しかしながら、図10の鋳型の製造装置は、水蒸気を供給する一つの水蒸気供給手段103に対して水蒸気を排出する水蒸気排出路104が複数ある構成であるため、鋳型の構造で水蒸気排出路104を多くして複数個所から排気した方が良い鋳型の構造であれば問題ないが、鋳型の構造、例えば縦長の鋳型の構造の場合には、水蒸気排出路104が多くあっても必ずしも効果が得られる訳ではなく、むしろ水蒸気供給手段103が多くあった方が望ましいような鋳型の構造に対しては好ましい水蒸気の供給は行われない。また、モールド102の上面からの1つの供給流路と、下面と両側面に各々1つの水蒸気排出路104を設けるものであるため、例えば平板に近い構造の鋳型を成形する場合などには、平板の面に対して一点から水蒸気を排出させることになり、満遍なく水蒸気の供給と排出が行われているとは言えない。このように、図10の鋳型の製造装置は、鋳型の構造によっては向き不向きが生じるという不都合がある。このため、キャビティ形状の変更によっては、製造される鋳型にムラが生ずるおそれがある。
また、図11の鋳型の製造装置においても、水蒸気が成形型109上部の注入路114からキャビティ108に供給されるとともに、型加熱用空洞路111を介して水蒸気導入路113からキャビティ108に供給され、排気路115から排出される構成を有しているため、鋳型の構造によっては排気に時間がかかり、水蒸気を供給し過ぎてコーテッドサンド107が必要以上湿って乾燥に時間がかかったり、硬化に望ましい湿りが得られずに硬化にムラが生じたりするなど、鋳型の構造によっては向き不向きがあるという不都合がある。また、成形型109内に型加熱用空洞路111や水蒸気導入路113を設ける構成であるため、成形型109の製造が困難であり成形型の製造に時間やコストがかかるという不都合があり、特に鋳型が複雑な構造や極端に偏った構造である場合は型加熱用空洞路111や水蒸気導入路113を形成するのが非常に困難となる不都合がある。また、成形型109内に水蒸気の流路を設けるので入り組んだ構造となり、水蒸気導入路113が詰まった場合などは成形型109を解体しなければならず維持管理が面倒となる不都合や、成形型109内に流路を設けるために成形型109の強度が低下して長期使用に不都合がある。さらに、キャビティ形状の変更を行う場合には、成形型ごとに毎回成形型109内に水蒸気の流路を形成しなければならず、容易にキャビティ形状の変更作業を行うことができない。
本発明は、これら不都合に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、鋳型の構造に応じてキャビティの形状を変更する場合等にあっても、的確なキャビティへの気体供給を行えるよう経路を容易に変更することができ、ムラのない鋳型を製造することができる鋳型製造装置及び鋳型の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の鋳型製造装置は、
コーテッドサンドを充填可能なキャビティを有する成形型と、
このキャビティに気体を供給する気体供給手段と
を備える鋳型製造装置であって、
上記成形型が、キャビティに連通し、上面、下面、第一側面及び第二側面に開口する上面連通路、下面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路を有し、
これらの上面連通路、下面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路のうち少なくとも何れか2種の連通路が連通状態を変更可能に気体供給手段に接続され、少なくとも1種の連通路が、キャビティの気体を排気する機能を有することを特徴とする。
当該鋳型製造装置にあっては、気体供給手段から供給される気体は、気体供給手段と連通状態の連通路を介してキャビティに供給され、このキャビティの気体は少なくとも1種の連通路から排気される。ここで、当該鋳型製造装置は、上面連通路、下面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路のうち少なくとも何れか2種の連通路が連通状態を変更可能に気体供給手段に接続された構成を有するので、この少なくとも何れか2種の連通路のうち鋳型の構造等に適した連通路を気体供給手段と連通させて、この連通路から気体をキャビティに供給することができる。具体例を挙げて説明すると、例えば上面連通路と第一側面連通路とが連通状態を変更可能に気体供給手段に接続されている場合を例にとり説明すると、キャビティへの気体供給に関して、上面連通路のみを気体供給手段と連通させた状態にしたり、第一側面連通路のみを気体供給手段と連通させた状態にしたり、上面連通路及び第一側面連通路の双方を気体供給手段に連通させた状態とすることができ、鋳型の構造等に応じた連通路から気体をキャビティに供給することができる。このため、キャビティの形状に合致した気体の供給が可能となり、ムラのない鋳型を製造することができる。つまり、当該鋳型製造装置は、鋳型の構造に応じてキャビティの形状を変更する場合等にあって、気体供給手段と連通状態の連通路を変更することによって、容易且つ確実に的確なキャビティへの気体供給を行うことができ、これによりムラのない鋳型を製造することができる。
当該鋳型製造装置は、気体供給手段が、連通路との連通状態を変更するための開閉弁を有することが好ましい。これにより、この開閉弁によって気体供給手段と連通状態の連通路の変更を容易且つ確実に行うことができる。
当該鋳型製造装置は、上記気体供給手段が接続される連通路のうち少なくとも一種の連通路が、気体供給手段との非連通状態において外気と連通状態とすることができるとともに、気体供給手段との連通状態において外気との非連通状態とすることができるよう設けられていることが好ましい。これにより、上記一種の連通路は、気体供給手段との連通状態且つ外気との非連通状態において気体の注入路として機能し、また気体供給手段との非連通状態且つ外気との連通状態において気体の排気路として機能する。つまり、この連通路は、注入路又は排気路として選択的に用いることができ、このためキャビティでの気体の流通経路の選択肢が増え、より確実にムラのない鋳型を製造することができる。
当該鋳型製造装置は、上記第一側面及び第二側面が対向していることが好ましい。これにより、対抗する第一側面及び第二側面の各連通路を用いて、キャビティへの気体の供給及び排気をより効果的に行うことができる。
当該鋳型製造装置は、上記上面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路が上記気体供給手段との連通状態を変更可能に接続され、上記下面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路が外気との連通状態を変更可能に設けられ、上記第一側面連通路及び第二側面連通路が、上記気体供給手段との非連通状態において外気と連通状態とすることができるとともに、気体供給手段との連通状態において外気と非連通状態とすることができるよう設けられていることが好ましい。この構成を採用した鋳型製造装置は、例えば上面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路を上記気体供給手段と連通状態とし、下面連通路を外気との連通状態とすることにより、気体をキャビティの上方及び側方から供給し、下方から排気することができる。また、この構成を採用した鋳型製造装置は、例えば上面連通路を上記気体供給手段と連通状態とし、下面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路を外気との連通状態とすることにより、気体をキャビティの上方から供給し、下方及び側方から排気することができる。
当該鋳型製造装置にあっては、当接面側に開口する凹部とこの凹部に気体供給手段からの気体を供給可能なジャケット連通路を有し、この凹部が上記第一側面連通路又は第二側面連通路の一方の外部開口を覆うよう成形型に装着可能に構成される側部ジャケットをさらに備えることが好ましい。これにより、鋳型の形状変更によりキャビティの形状変更等の必要が生じ、そのキャビティの形状に適した位置に第一側面連通路及び/又は第二側面連通路を形成したい場合にあっても、上記凹部の開口を覆うことのできる範囲で所望箇所及び所望個数の連通路を形成することができる。従って、キャビティの形状に合致した連通路を配設し、ムラのない鋳型を製造することができる。
上記成形型の第一側面又は第二側面に複数の第一連通路又は第二連通路が形成され、上記凹部が、この複数の第一連通路又は第二連通路を覆うよう形成されていることが好ましい。これにより、キャビティへの気体の供給を側面から全体に亘り効率的に且つ短時間に行うことができる。また、ジャケットの凹部から等圧の気体が複数の連通路に供給されるため、常に同じ圧力で安定した気体の供給を行うことができる。
上記側部ジャケットが、凹部の気体を排出可能な排出路をさらに有し、この排出路が開閉可能に設けられていることが好ましい。これにより、側部ジャケットの凹部が気体供給手段と非連通状態である際に、排出路を開放することで、キャビティからの気体の排出を側面から行うことができる。
上記側部ジャケットの上記排出路から気体を吸引する吸引手段をさらに備えることが好ましい。これにより、気体の吹き込みの停滞を防ぎ、キャビティ全体へ効率よく気体を行き渡らせ易い。
当該鋳型製造装置は、上記側部ジャケットを有する場合には、対向するよう一対の側部ジャケットが成形型に装着され、この一対の側部ジャケットが同一形状であることが好ましい。対向するよう一対の側部ジャケットが装着されることで、成形型の第一側面及び第二側面の双方に側部ジャケットが装着されることになり、このため第一側面又は第二側面の一方のみに側部ジャケットを設けるものに比して、よりムラのない鋳型を製造することができる。また、この一対の側部ジャケットが同一形状であるため、側部ジャケットの製造コストの低減も図られる。
当該鋳型製造装置は、当接面側に開口する凹部とこの凹部に気体供給手段からの気体を供給可能なジャケット連通路を有し、この凹部が上記上面連通路の外部開口を覆うよう成形型に装着可能に構成される上部ジャケットをさらに備えることが好ましい。これにより、鋳型の形状変更によりキャビティの形状変更等の必要が生じ、そのキャビティの形状に適した位置に上面連通路を形成したい場合にあっても、上記凹部の開口を覆うことのできる範囲で所望箇所及び所望個数の連通路を形成することができる。従って、キャビティの形状に合致した連通路を配設し、ムラのない鋳型を製造することができる。
上記成形型の上面に複数の上部連通路が形成され、上記凹部が、この複数の上部連通路を覆うよう形成されていることが好ましい。これにより、キャビティへの気体の供給を上面から全体に亘り効率的に且つ短時間に行うことができる。また、ジャケットの凹部から等圧の気体が複数の連通路に供給されるため、常に同じ圧力で安定した気体の供給を行うことができる。
上記上部ジャケットは、凹部により形成される空間部をジャケット連通路側及び凹部開口側に区画する隔壁と、この隔壁に形成される貫通孔と、この貫通孔の周囲からジャケット連通路側に突設される筒状体とを有することが好ましい。これにより、この上部ジャケットに気体が供給され、それにより上部ジャケットの凹部に水分が生じたとしても、この水分は凹部開口側に侵入することを隔壁及び筒状体によって規制でき、このため不要な水分がキャビティに侵入するのを防ぐことができる。
上記気体供給手段が、上記上部ジャケットとの連結部分よりも上流側で分岐される分岐部と、この分岐部よりも下流側で上記上部ジャケットの凹部への気体供給を制御する開閉弁とを有することが好ましい。これにより、上記開閉弁を開放することで気体供給手段と上部ジャケットの凹部との連通状態が得られ、また開閉弁を閉塞することで気体供給手段と上部ジャケットの凹部との非連通状態が得られる。
上記上部ジャケットが、凹部の気体を排出することができるよう設けられていることが好ましい。これにより、上部ジャケットの凹部が気体供給手段と非連通状態である際に、キャビティからの気体を上部ジャケットの凹部を介して行うことができる。
上記上部ジャケットの凹部の気体を吸引する吸引手段を当該鋳型製造装置がさらに備えることが好ましい。これにより、気体の吹き込みの停滞を防ぎ、キャビティ全体へ効率よく気体を行き渡らせ易い。
当該鋳型製造装置は、当接面側に開口する凹部とこの凹部に気体供給手段からの気体を供給可能なジャケット連通路を有し、この凹部が上記下面連通路の外部開口を覆うよう成形型に装着可能に構成される下部ジャケットをさらに備えることが好ましい。これにより、鋳型の形状変更によりキャビティの形状変更等の必要が生じ、そのキャビティの形状に適した位置に下面連通路を形成したい場合にあっても、上記凹部の開口を覆うことのできる範囲で所望箇所及び所望個数の連通路を形成することができる。従って、キャビティの形状に合致した連通路を配設し、ムラのない鋳型を製造することができる。
上記成形型の下面に複数の下部連通路が形成され、上記凹部が、この複数の下部連通路を覆うよう形成されていることが好ましい。これにより、キャビティへの気体の供給を下面から全体に亘り効率的に且つ短時間に行うことができる。また、ジャケットの凹部から等圧の気体が複数の連通路に供給されるため、常に同じ圧力で安定した気体の供給を行うことができる。
上記気体供給手段が、上記下部ジャケットとの連結部分よりも上流側で分岐される分岐部と、この分岐部よりも下流側で上記下部ジャケットの凹部への気体供給を制御する開閉弁とを有することが好ましい。これにより、上記開閉弁を開放することで気体供給手段と下部ジャケットの凹部との連通状態が得られ、また開閉弁を閉塞することで気体供給手段と下部ジャケットの凹部との非連通状態が得られる。
上記下部ジャケットが、凹部の気体を排出することができるよう設けられていることが好ましい。これにより、下部ジャケットの凹部が気体供給手段と非連通状態である際に、キャビティからの気体を下部ジャケットの凹部を介して行うことができる。
上記下部ジャケットの凹部の気体を吸引する吸引手段を当該鋳型製造装置がさらに備えることが好ましい。これにより、気体の吹き込みの停滞を防ぎ、キャビティ全体へ効率よく気体を行き渡らせ易い。
上記気体供給手段が、空気供給ライン、水蒸気供給ライン、二酸化炭素供給ライン及びこれらの各供給ラインの切替及び混合可能な開閉弁を備え、上記空気供給ラインに加熱器が設けられていることが好ましい。これにより、各供給ラインの開閉弁を調整することで、供給する気体を選択することができ、また複数種類の気体を混合することができる。さらに、空気供給ラインに加熱器を設けることで、加熱空気をキャビティに供給することができるので、コーテッドサンドの乾燥に際して加熱空気を供給することができる。
上記空気供給ライン、水蒸気供給ライン及び二酸化炭素供給ラインに流量計及び減圧弁が設けられていることが好ましい。これにより、キャビティに供給される気体の流量や圧力等を調整することができるとともに、複数種類の気体を所望の混合割合で混合してキャビティに供給することができる。
当該鋳型製造装置は、コーテッドサンド供給手段が、上記キャビティに連通路を介してコーテッドサンドを供給する貯留槽と、この貯留槽内に配設され、コーテッドサンドを予備加熱する予熱器とを有していることが好ましい。これにより、キャビティに供給する前の貯留槽内のコーテッドサンドを予備加熱することができ、コーテッドサンドの表面に付着した水分を除去しておくことができる。
上記気体供給手段が、水蒸気供給ラインを備え、上記予熱器が、上記水蒸気供給ラインから分流した水蒸気を熱源とすることが好ましい。これにより、キャビティに供給する気体供給手段の水蒸気供給手段を熱源として利用することができ、別途熱源を用意する必要がなく鋳型製造装置のコストを抑えることができる。
上記のように、予熱器が水蒸気供給ラインから分流した水蒸気を熱源とする場合、水蒸気を貫流させる螺旋状の中空管を有することが好ましい。これにより、螺旋状の中空間部によって均等かつ効率よくコーテッドサンドを予備加熱することができる。
上記気体供給手段は加熱器が設けられている空気供給ラインを備え、上記予熱器は上記空気供給ラインから加熱器後に分流された空気を噴出する空気噴出孔を有することが好ましい。これにより、加熱空気の吹き出しにより、コーテッドサンドを予備加熱することができ、またコーテッドサンドがダマの状態になることを防止することができる。
さらに、本発明に係る鋳型の製造方法は、上記構成からなる鋳型製造装置の成形型のキャビティにコーテッドサンドを充填する工程、上記キャビティのコーテッドサンドに気体供給手段によって水蒸気を供給する水蒸気供給工程と、上記水蒸気供給工程により水蒸気を含んだコーテッドサンドを乾燥させる乾燥工程とを備える。
当該鋳型の製造方法によれば、当該鋳型製造装置と同様の利点を奏することができる。つまり、気体供給手段と連通状態の連通路を変更することによって、容易且つ確実に的確なキャビティへの気体供給を行うことができ、これによりムラのない鋳型を製造することができる。
上記水蒸気供給工程において、上記上面連通路、第一側面連通路及び第二側面連通路からそれぞれ水蒸気を供給し、上記下面連通路から水蒸気を排出することが好ましい。これにより、キャビティへの水蒸気の供給を効率的かつ短時間に行うことができる。
上記水蒸気供給工程において、上記上面連通路から水蒸気を供給し、上記第一側面連通路、第二側面連通路及び下面連通路から水蒸気をそれぞれ排出することが好ましい。これにより、キャビティから水蒸気の排出を効率的かつ短時間に行うことができる。
上記コーテッドサンドを形成する耐火骨材を被覆する水溶性バインダーとして、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類又は無機高分子のうちから1又は2以上を用いることが好ましい。これにより、コーテッドサンドの固化及び硬化を効果的にすることができる。
上記コーテッドサンドを形成する耐火骨材を被覆する水溶性バインダーとして、アルカリフェノール樹脂を用いることが好ましい。これにより、鋳型の品質を向上でき、鋳型製造の作業環境の改善をすることができる。
以上説明したように、本発明の鋳型製造装置及び鋳型の製造方法は、鋳型の構造に応じてキャビティの形状を変更する場合等にあっても、的確なキャビティへの気体供給を行えるよう経路を容易に変更することができ、ムラのない鋳型を製造することができる。
以下、図面を参酌しつつ本発明の実施の形態を説明する。
<第一実施形態>
図1に示す第一実施形態の鋳型製造装置は、コーテッドサンド7を充填可能なキャビティ8を有する成形型3と、成形型3に着脱可能に装着される一対の側部ジャケット4、5と、気体供給装置6を有しキャビティ8に気体を供給する気体供給手段と、キャビティ8にコーテッドサンド7を供給する貯留槽51(図2参照)を有するコーテッドサンド供給手段をさらに備えている。
(成形型3)
成形型3は、型開きにおいて固定側に取り付けられる固定型1及び可動側に取り付けられる可動型2から構成されており、横開き型の成形型である。成形型3は、キャビティ8に連通し上面及び下面に開口する上面連通路9及び下面連通路10を有している。また、固定型1及び可動型2は、型閉めの時には水蒸気等の気体が漏れないよう加圧状態で閉じられている。
また、成形型3は、対向する第一側面及び第二側面を有し、成形型3は、この第一側面及び第二側面に開口しキャビティ8に連通する複数の第一側面連通路11及び第二側面連通路12を有している。さらに、下面連通路10、第一側面連通路11及び第二側面連通路12のキャビティ8側の開口には、金網などの網13が配設されており、キャビティ8に充填されるコーテッドサンド7が下面連通路10、第一側面連通路11及び第二側面連通路12に入り込みにくく通気可能な状態になっている。なお、図1では4つの第一連通路11と4つの第二側面連通路12とを設けたものを図示しているが、第一連通路11及び第二連通路12の形成箇所及び形成数は特に限定されるものではなく、また、上面連通路9及び下面連通路10の形成箇所及び形成数は特に限定されるものではなく、製造される鋳型の形状にあわせて連通路を形成すれば足りる。
上記下面連通路10は、外気との連通状態を変更可能に設けられており、具体的には、下面連通路10には開閉弁16が付設されており、この開閉弁16の開閉によって下面連通路10が開閉するよう設けられている。
(ジャケット)
当該鋳型製造装置は、上記第一側面及び第二側面に装着される第一側部ジャケット4及び第二側部ジャケット5を有している。この第一側部ジャケット4は、全体として略方形状の箱型の形状であり、成形型3の装着面側に開口する凹部17を有する。第一側部ジャケット4は、凹部17によって複数の上記第一側面連通路11の外部開口が覆われるよう第一側部ジャケット4は成形型3に装着される。また、第一側部ジャケット4は、凹部17の外縁において成形型3の側壁(固定型1の側面)に密接する当接面を有し、凹部17により形成される空間部18は、第一側面連通路11、後述のジャケット連通路23及び排出路27のみと連通し、その他の部分では気密に設けられる。ここで、第一側部ジャケット4は、上記当接面に配設される例えばシリコン製のシールリングを有している。なお、第一側部ジャケット4の形状等は限定されるものではなく、例えば有蓋円筒状の形状等も採用可能である。
また、第一側部ジャケット4は、この凹部17に気体供給手段からの気体を供給するジャケット連通路23を有している。このジャケット連通路23は、上記凹部17の開口と対向する壁面(第一側部ジャケット4の側壁)に形成されている。このジャケット連通路23は、側面視凹部17の中央に一箇所設けられている。さらに、ジャケット連通路23の凹部17側の開口面積は、上記凹部17の装着面側の開口面積よりも小さく設けられている。ここで、ジャケット連通路23の凹部17側の開口面積に対する上記凹部17の装着面側の開口面積の比は、3倍以上1000倍以下が好ましく、5倍以上500倍以下がより好ましく、10倍以上200倍以下がさらに好ましい。この開口面積の比が上記下限値未満であると、凹部17の装着面側の開口が小さくなり過ぎ、この凹部17によって覆われる領域(第一側面連通路11の形成領域)が小さくなり過ぎるおそれがある。一方、上記開口面積の比が上記上限値を超えると、凹部17が大きくなり過ぎ第一側部ジャケット4が大型化し、取扱に困難となるおそれがある。なお、ジャケット連通路23の形成箇所等は限定されるものではなく、複数のジャケット連通路23を設けることも可能であり、また第一側部ジャケット4の側壁中央部以外に設けることも可能であり、さらには凹部17の上面に形成することも可能である。
上記第一側部ジャケット4は、凹部17の気体を排出可能な排出路27を有し、この排出路27は開閉可能に設けられている。この排出路27は、凹部17に開口した排出口26を有するとともに、この排出路27の排出口26の反対側(下流側)に配管58が接続され、この配管58に開閉弁28が付設されている。つまり、排出路27は開閉弁28によって開閉可能に設けられている。
なお、ジャケット連通路23は、後述する開閉弁25によって開閉可能に設けられている。そして、開閉弁25、28の開閉により第一側面連通路11を気体の供給路として使用するのか、排出路として使用するのか選択することができるようになっており、開閉弁25を開き開閉弁28を閉じることで第一側面連通路11は気体の供給路として機能し、開閉弁25を閉じて開閉弁28を開くことで第一側面連通路11は排気路として機能することになる。
第二側部ジャケット5は、第二側面連通路12の外部側の開口を覆うよう成形型3の第二側面に付設されている。この第二側部ジャケット5は、第一側部ジャケット4と左右対称の同一形状に設けられ、第一側部ジャケット4と対向するよう成形型3に装着されている。なお、第二側部ジャケット5は、凹部19、空間部20、ジャケット連通路31、排出路35を有しているが、その構成は第一側部ジャケット4と同様であるため詳細な説明を省略する。また、第二側部ジャケット部5の排出路35も、この排出路35が接続される配管59に付設された開閉弁36によって開閉可能に設けられている。
(気体供給手段)
気体供給手段は、気体供給装置6を備えるとともに、気体供給装置6と側部ジャケット4、5の凹部17、19との連通状態を変更するための開閉弁25、33を備えている。具体的には、気体供給手段は、気体供給装置6に接続される配管24、32を備え、開閉弁25、33は、配管24、32とジャケット連通路23、31とを接続するともに流路を開閉するよう配設されている。この開閉弁25、33は、側部ジャケット4、5に付設されており、具体的にはジャケット連通路23、31の流入口22、30(側部開口)に付設されている。
また、気体供給手段は、気体供給装置6と上面連通路9との連通状態を変更するための開閉弁15を備えている。具体的には、気体供給手段は、気体供給装置6に接続される配管14を備え、開閉弁15は、配管14と上面連通路9とを接続すると共に流路を開閉するよう配設されている。
気体供給装置6は、側部ジャケット4、5の凹部17、19に水蒸気等の気体を供給するための装置である。この気体供給装置6は、図2に示すように、側部ジャケット4、5のジャケット連通路23、31と接続される配管24、32に水蒸気を供給する水蒸気供給ライン39を有するとともに、さらに配管24、32に空気を供給する空気供給ライン37、及び配管24、32に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給ライン38を有している。
空気供給ライン37、二酸化炭素供給ライン38及び水蒸気供給ライン39は、それぞれ開閉弁47、48、49と、流量計40、43、45と、減圧弁41、44、46とを有しており、さらに、空気供給ライン37は加熱器42を有している。
気体供給手段は、それぞれの気体を混合できる空間部を有する混合部50を備え、開閉弁47、48、49により、配管24、32に供給する気体の切り替えや気体の量の調整をすることができ、また、混合部50により、気体を混合することができる。流量計40、43、45及び減圧弁41、44、46は、所定の定圧の状態で気体が供給されるよう形成されている。さらに、加熱器42は、空気を加熱することができ、これにより加熱空気を供給することができる。
さらに、空気供給ライン37及び水蒸気供給ライン39は、分岐され、貯留槽51内に接続される配管(後述)に接続されている。
(コーテッドサンド供給手段)
コーテッドサンド供給手段は、図2〜図4に示すように貯留槽51を備え、この貯留槽51は、円筒形状に形成され下部はすり鉢状になっており、貯留槽51の下部には、シャッター(図示省略)を備えた排出口52が形成されている。
上記コーテッドサンド供給手段は、図2に示すように、貯留槽51内に配設され、コーテッドサンドを予備加熱する予熱器を有している(図3及び図4においては図示省略)。この予熱器は、熱交換器55及び流動用気体分岐管54を有している。熱交換器55は、水蒸気供給ライン39から分流した水蒸気を熱源とするものであり、水蒸気を貫流させる螺旋状の中空管を有している。具体的には、この中空管は、貯留槽51の軸線を取り囲むように螺旋状に配設されている。なお、熱交換器55の中空管は、構造的に熱交換能力を向上させるために、複数の中空間部を縦列、並列状又は同心円状に形成されてもよい。また、螺旋状として、円錐形、円筒形及び太鼓形に設けてもよく、平面渦巻状に設けても、楕円状や四角形状に形成してもよい。
熱交換器55の中空管は、特に限定されないが、熱伝導率が良いものであればよく、例えば、金属、陶磁器、繊維強化プラスチック、プラスチックを用いることができ、熱伝導率が高い銅製がより好ましい。
熱交換器55の一方の端部には、水蒸気供給ライン39に接続されている配管と接続されており、もう一方の端部は、貯留槽51の外部に出されており、水蒸気供給ライン39より供給された水蒸気が外部に排出される。
流動用気体分岐管54は、空気供給ライン37から加熱器42後に分流された空気を噴出する空気噴出孔53を有している。この流動用気体分岐管54は、空気供給ライン37に接続され貯留槽51の軸線位置に配設された直管部56、この直管部56の下端部にリング状に形成されている径違いの2つの環状管部57、直管部56より分岐された分岐管及び直管部56と2つの環状管部57とを接続する連結管を有している。この直管部56、環状管部57、分岐管及び連結管は、中空管により形成されており、直管部56より分岐した上記分岐管より、上記連結管に接続され、空気供給ライン37より加熱空気が供給される。また、直管部56、環状管部57、分岐管及び連結管は、特に限定されないが、熱伝導率が良いものであればよく、例えば、金属、陶磁器、繊維強化プラスチック、プラスチックを用いることができ、熱伝導率が高い銅製がより好ましい。
また、環状管部57には、複数の空気噴出孔53が形成されている。空気噴出孔53は、環状管部の下側に形成されているのが好ましく、さらに斜め下や真下に形成されているのがより好ましい。これにより、コーテッドサンド7の管内流入による詰り又は加熱空気のショートパスなどが生じにくくなる。また、空気噴出孔53は、等間隔で環状管部57に設けられている。空気噴出孔53の孔径としては、特に限定されないが、0.3mm以上6mm以下であることが好ましい。
なお、流動用気体分岐管54は、空気噴出孔53が貯留槽51の下部から噴出できる構成であれば、その形状は特に限定されない。
(コーテッドサンド)
キャビティ8に充填するコーテッドサンド7、耐火骨材とこの耐火骨材を被覆する水溶性バインダーにより形成されている。
上記耐火骨材として、従来から鋳型用に用いられている各種の耐火骨材を用いることができる。具体的には、ケイ砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナサンド、合成ムライト砂等を用いることができる。また、これらの耐火骨材は、新砂、又は鋳物砂として鋳型の造型に一回或いは複数回使用された再生砂若しくは回収砂であっても良く、これらの混合砂であっても良い。上記耐火性骨材の粒度としては、AFS指数で40以上80以下の粒度のものが好ましく、より好ましくは50以上70以下の粒度のものがより好ましい。
上記水溶性バインダーは粘結剤とも呼ばれるものであり、上記水溶性バインダーとして、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類、無機高分子を用いることができる。これらは単独で用いても良く、二つ以上を選択して用いても良い。
上記水溶性バインダーとして用いられる熱硬化性樹脂として、レゾール型、ノボラック型、ベンジリックエーテル型等のフェノール樹脂、フラン樹脂、イソシアネート化合物、アミンポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等を用いることができる。これら樹脂に添加される硬化剤として、イソシアネート化合物、有機エステル類、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることができ、硬化触媒として第三級アミン、ピリジン誘導体、有機スルホン酸等を用いることができる。
また、上記熱硬化性樹脂の中では、フェノール樹脂が好ましい。このフェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
上記フェノール類とは、フェノール又はフェノールの誘導体のことである。例えばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を用いることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。また、これらは単独で用いても複数を混合して用いても良い。
また、ホルムアルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いても良く、ホルムアルデヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えて使用しても良い。このうちホルムアルデヒド類は、水溶液の形態で用いることが最適であり、ホルマリンが好適なものとして挙げられる。
上記のフェノール類とホルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が1:0.6〜1:3.5の範囲になるのが好ましく、1:1.5〜1:2.5の範囲になるのがより好ましい。
熱硬化性樹脂に用いる反応触媒として、例えばノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることが好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミド等の脂肪族の第1級、第2級、第三級アミンを用いることや、N,N−ジメチルベンジルアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミン等の芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物等を用いることが好ましい。
また、フェノール樹脂を希釈して使用する場合、希釈用の溶剤としてはアルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコール等を用いても良い。
上記フェノール樹脂の一例として、水溶性のアルカリフェノール樹脂(レゾール樹脂)が好適に用いることができる。水溶性アルカリフェノール樹脂とは、フェノール類を大量のアルカリ性物質の存在下において、例えば、フェノール類に対するアルカリ性物質のモル数が、0.01〜2.0倍モル程度となる割合において、アルデヒド類と反応させることによって得られるアルカリ性のフェノール樹脂(レゾール樹脂)である。上記アルカリ性物質として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物などを用いることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いる。
水溶性バインダーとして用いられる糖類として、単糖類、少糖類、多糖類等を用いることができ、各種の単糖類、少糖類、多糖類のなかから、1種を選んで単独で用いても複数種を併用して用いても良い。
単糖類としては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどを用いることができ、少糖類として、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオース等の二糖類を用いることができる。
多糖類として、でんぷん糖、デキストリン、ザンサンガム、カードラン、プルラン、シクロアミロース、キチン、セルロース、でんぷん等を用いることができる。上記でんぷんとして、未加工でんぷん及び加工でんぷんを用いることができる。具体的には、未加工でんぷんとして、馬鈴薯でんぷん、コーンスターチ、ハイアミロース、甘藷でんぷん、タピオカでんぷん、サゴでんぷん、米でんぷん、アマランサスでんぷんを用いることができ、加工でんぷんとして、焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷん、ジアルデヒド化でんぷんを用いることができる。また、エーテル化でんぷんとしてカルボキシメチルでんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、カチオンでんぷん、メチロール化でんぷん等を用いることができ、エステル化でんぷんとして、酢酸でんぷん、リン酸でんぷん、コハク酸でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷん、マレイン酸でんぷん、高級脂肪酸エステル化でんぷんを用いることができる。さらに、架橋でんぷん、クラフト化でんぷん、湿熱処理でんぷん等も用いることができる。
上述以外にも、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナン、半合成高分子のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等の植物粘質物のガム類を用いても良い。
糖類、特に多糖類の硬化剤として、カルボン酸を用いてもよい。カルボン酸として、特に限定されないが、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ブタンテトラジカルボン酸、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等を用いることができる。
水溶性バインダーとして用いられるタンパク質として、ゼラチン、膠等を用いることができる。
水溶性バインダーとして用いられる合成高分子として、ポリエチレンオキシド、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、アクリル酸系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系、ノニオン系ポリアクリルアミド、アニオン系ポリアクリルアミド、カチオン系ポリアクリルアミド、ポリアミノアルキルメタクリレート、アクリルアミド/アクリル酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化マレイン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、またはこれらの変性物などを用いることができる。また、これらは単独で用いても複数を選択して用いても良い。
水溶性バインダーとして用いられる塩類として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、アルミニウム等の金属の塩化物や、臭化物、炭酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等の無機塩を用いることができる。
水溶性バインダーとして用いられる無機高分子として、水ガラス、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、ベントナイト、セメント等を用いることができる。
耐火骨材と水溶性バインダー配合量は、耐火骨材100質量部に対して固形分換算で、0.3質量部以上5質量部以下の割合で水溶性バインダーが配合されるのがよく、0.5質量部以上3質量部以下の割合で配合されるのがより好ましい。
また、コーテッドサンド7は、耐火骨材と水溶性バインダーとを混練又は混合して耐火骨材の表面を水溶性バインダーにて被覆した後、水溶性バインダーの水分を蒸散させることにより、常温流動性を有する乾態の粉末状水溶性バインダー被覆耐火骨材にしたものである。このような水溶性バインダーの水分の蒸散は、水溶性バインダーの硬化が進む前に迅速に行われる必要があり、一般に5分以内、好ましくは2分以内に含有水分を飛ばして、乾態の粉末状水溶性バインダー被覆耐火骨材にしている。
水溶性バインダーの水分を迅速に蒸散するための一つの手段として、予め加熱した耐火性骨材と水溶性バインダーを混練又は混合する方法がある。この予め加熱された耐火骨材と水溶性バインダーを混練又は混合することにより、水溶性バインダーの水分は、加熱された耐火骨材の熱にて迅速に蒸散するため、水溶性バインダー被覆耐火骨材の水分率を効率よく低下させ、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド7を好適に得ることができる。なお、耐火骨材の予熱温度としては、水溶性バインダーの含有水分量やその配合量等に応じて適宜に選定されることとなるが、100℃以上140℃以下の温度に加熱しておくことが好ましい。この予熱温度が低くなり過ぎると水分の蒸散を効果的に行えず、また予熱温度が高くなり過ぎると水溶性バインダーの硬化が進む恐れがある。
上述のように形成されたコーテッドサンド7は、水分率が0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。これにより、サラサラな乾態の粉体となって、常温流動性が付与された優れた特性を有するコーテッドサンド7となる。
(鋳型の製造方法)
次に、第一実施形態の鋳型製造装置を用いた鋳型の製造方法について、図1、図3及び図4を用いて説明する。
当該鋳型製造装置を用いた鋳型の製造方法は、コーテッドサンド7を成形型3のキャビティ8に充填する充填工程、キャビティ8のコーテッドサンド7に気体供給手段によって水蒸気を供給する水蒸気供給工程、及び水蒸気供給工程により水蒸気を含み湿った9コーテッドサンド7を乾燥させる乾燥工程を有している。また、当該鋳型製造方法は、キャビティ8における給気排気の経路を選定する選定工程を有している。
上記充填工程に関して説明する。まず、貯留槽51内に内蔵したコーテッドサンド7をキャビティ8に充填する前に、予熱器によりコーテッドサンド7を予熱する。予熱器でコーテッドサンド7を予熱する温度は、30℃以上が好ましく、60℃以上80度以下がより好ましい。予熱する温度が、上記温度以上であると、水分除去を効率よく行うことができ、上記温度以下であれば、コーテッドサンドの劣化による強度低下を防ぐことができる。
次に、図4に示すようにコーテッドサンド7が貯蔵されている貯留槽51の下部の排出口52と成形型3の上面連通路9を接続する。なお、上面連通路9が複数形成されている場合は、貯留槽51の排出口52に連結する上部連結口と複数の上面連通路9に対応し上面連通路9に連結する複数の下部連結口を有するブローヘッド(図示せず)を用いることも可能である。
そして、コーテッドサンド7を成形型3のキャビティ8に充填する。このとき、貯留槽51内を密閉させて貯留槽51内に空気を吹き込んだり排出口52付近で空気を吹き込んだりすることで貯留槽51内を加圧し、コーテッドサンド7を空気圧でキャビティ8に吹き込んで充填しても良い。下面連通路10、第一側面連通路11及び第二側面連通路12の開口は網13で塞いであるので、コーテッドサンド7が各開口から洩れ出しにくくなっている。
次に、選定工程、水蒸気供給工程及び乾燥工程について説明する。この選定工程は、水蒸気供給工程及び乾燥工程において供給する気体をいずれの連通路から供給し排出するかを選定する工程である。また、水蒸気供給工程は、キャビティ8のコーテッドサンド7に水蒸気を連通路を通して供給する工程である。乾燥工程は、水蒸気で湿ったコーテッドサンド7に対し二酸化炭素及び加熱空気を供給することにより、コーテッドサンド7を乾燥させ、固化及び硬化させる工程である。なお、選定工程は、既述の充填工程の前に行うことも可能である。
選定工程における供給及び排出する連通路の選定によって、水蒸気供給工程及び乾燥工程におけるキャビティ8における気体の給気排気の経路が定められる。この給気排気の経路の設定は、上面連通路9、下面連通路10及び側部ジャケット4、5に接続される開閉弁15、16、25、28、33,36の開閉によって行われる。
なお、第一実施形態の鋳型製造装置で行うことのできる気体の供給と排気のパターンについては、図9を参照して説明する。この上面連通路9は、開閉弁15を開くと気体が供給され、閉めると供給も排気も行われない。下面連通路10は、開閉弁16を開くと気体が排気され、閉めると供給も排気も行われない。第一側面連通路11は、開閉弁25を開き、開閉弁28を閉めることで水蒸気が供給され、開閉弁25を閉めて開閉弁28を開くことで排気が行われる。また、開閉弁25、28を閉めることで供給も排気も行われない。第二側面連通路12は、開閉弁33を開き、開閉弁36を閉めることで気体が供給され、開閉弁33を閉めて、開閉弁36を開くことで排気が行われる。また、開閉弁33、35を閉めることで供給も排気も行われない。
気体の供給と排気を行うパターンとしては、21パターンあり、図9(a)〜図9(u)に示す。図9(a)では上面連通路9、第一側面連通路11及び第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(b)では上面連通路9より気体の供給を行い、下面連通路10、第一側面連通路11及び第二側面連通路12より排気を行う。図9(c)では上面連通路9及び第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10及び第一側面連通路11より排気を行う。図9(d)では上面連通路9及び第一側面連通路11より気体の供給を行い、下面連通路10及び第二側面連通路12より排気を行う。図9(e)では第一側面連通路11及び第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(f)では第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10及び第一側面連通路11より排気を行う。図9(g)では第一側面連通路11より気体の供給を行い、下面連通路10及び第二側面連通路12より排気を行う。図9(h)では上面連通路9より気体の供給を行い、下面連通路10及び第一側面連通路11より排気を行う。図9(i)では上面連通路9より気体の供給を行い、下面連通路10及び第二側面連通路12より排気を行う。図9(j)では上面連通路9及び第一側面連通路11より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(k)では上面連通路9及び第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(l)では上面連通路9より気体の供給を行い、第一側面連通路11及び第二側面連通路12より排気を行う。図9(m)では上面連通路9及び第二側面連通路12より気体の供給を行い、第一側面連通路11より排気を行う。図9(n)では上面連通路9及び第一側面連通路11より気体の供給を行い、第二側面連通路12より排気を行う。図9(o)では上面連通路9より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(p)では第二側面連通路12より気体の供給を行い、第一側面連通路11より排気を行う。図9(q)では第一側面連通路11より水蒸気の供給を行い、第二側面連通路12より排気を行う。図9(r)では上面連通路9より気体の供給を行い、第一側面連通路11より排気を行う。図9(s)では上面連通路9より気体の供給を行い、第二側面連通路12より排気を行う。図9(t)では第一側面連通路11より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。図9(u)では第二側面連通路12より気体の供給を行い、下面連通路10より排気を行う。なお、水蒸気の供給と排気について、図9(a)と図9(b)が好適に用いられる。
図9(a)の場合、上記上面連通路9、第一側面連通路11及び第二側面連通路12からそれぞれ気体を供給し、上記下面連通路10から気体を排出する。具体的には、側部ジャケット4、5の排出側の開閉弁28、36のみを閉塞状態とし、その他の開閉弁15、16、25、33を開く。そして、気体供給手段から気体が供給されると、上面連通路9からキャビティ8へ供給されるとともに、側部ジャケット4、5のジャケット連通路23、31を介して空間部18、20に供給され、この空間部18、20の気体が第一側面連通路11及び第二側面連通路12を介してキャビティ8に供給される。キャビティ8に供給された気体は下面連通路10から排気される。このため、比較的縦長で圧肉の鋳型を製造する場合には効率よくムラなく水蒸気を供給できると共に短時間での成形が可能となる。
また、図9(b)の場合、上面連通路9から気体を供給し、第一側面連通路11、第二側面連通路12及び下面連通路10から気体をそれぞれ排出する。具体的には、側部ジャケット4、5の供給側の開閉弁25、33のみを閉塞状態とし、その他の開閉弁15、16、28、36を開く。そして、キャビティ8に供給された気体は下面連通路10から排気されるとともに、第一側面連通路11及び第二側面連通路12を介して側部ジャケット4、5の空間部18、20に排気され、この空間部18、20の気体が排出路27、35を介して排気される。このため、比較的横長で圧肉の鋳型を製造する場合には効率よくムラなく水蒸気を供給と排気ができると共に短時間での成形が可能となる。
上述の水蒸気、二酸化炭素及び加熱空気の供給手順は、図8(a)に示すようにそれぞれの気体を順番に供給したものである。一方、気体の供給は、混合した気体を供給してもよく、例えば図8(b)に示すように、第1段階で水蒸気及び二酸化炭素を供給し、第2段階で二酸化炭素及び加熱空気を供給し、第三段階で加熱空気のみを供給してもよい。また、図8(c)に示すように、第1段階で水蒸気、二酸化炭素及び加熱空気を供給し、第2段階で二酸化炭素及び加熱空気を供給し、第三段階で加熱空気を供給してもよく、図8(d)に示すように、第1段階で水蒸気及び二酸化炭素を供給し、第2段階で二酸化炭素を供給し、第三段階で加熱空気を供給してもよい。あるいは、図8(e)に示すように、第1段階で水蒸気を供給し、第2段階で二酸化炭素及び加熱空気を供給し、第三段階で加熱空気を供給してもよく、図8(f)に示すように、第1段階で水蒸気を供給し、第2段階で二酸化炭素を供給し時間をおいて加熱空気を供給し、第三段階で加熱空気を供給してもよい。図8の(b)から(f)に示すように、それぞれの気体を混合して供給することにより、それぞれの気体による作用が同時進行され気体の供給時間を短縮することができる。上述のように、気体供給手段より供給する気体の順序は、最初に水蒸気を供給し途中で水蒸気の供給を停止し、最後に加熱空気の供給があるという順序であれば、どのような組み合わせでもよい。したがって、水蒸気供給工程と乾燥工程は並行に行ってもよい。なお、用いられる水溶性バインダーによっても異なるが、コーテッドサンド6の固化又は硬化は、水蒸気供給工程から乾燥工程において、又は乾燥工程において行われる。
なお、二酸化炭素を供給することによりコーテッドサンド7を中和反応させ、コーテッドサンドの6の固化及び硬化を促進させているが、二酸化炭素供給による中和反応を必要としない水溶性バインダーが用いられるコーテッドサンド7の場合は、二酸化炭素の供給を省いてもよい。また、コーテッドサンド7の乾燥や固化及び硬化を加熱空気以外の方法で行う場合は、加熱空気の供給を省いてもよい。
気体供給手段による水蒸気の供給は、0.03Mpa以上0.5Mpa以下の圧力で供給されるのが好ましく、0.05Mpa以上0.15Mpa以下がより好ましい。また、供給される水蒸気の温度は、80℃以上120℃以下が好ましく、95℃以上105℃以下がより好ましい。この際の第1段階における水蒸気の供給時間は、3秒以上30秒以下が好ましく、5秒以上15秒以下がより好ましい。
気体供給手段による二酸化炭素の供給は、0.03Mpa以上0.5Mpa以下の圧力で供給されるのが好ましく、0.1Mpa以上0.3Mpa以下がより好ましい。また、供給される二酸化炭素の温度は、常温以上60℃以下が好ましく、40℃以上60℃以下がより好ましい。これにより、キャビティ8内の温度変化を抑えることができる。また、二酸化炭素の時間あたりの供給量は、100リットル/秒以下が好ましく、5リットル/秒以上30リットル/秒以下がより好ましい。この際の二酸化炭素の供給時間は、5秒以上60秒以下が好ましい。
気体供給手段による加熱空気の供給は、0.03Mpa以上0.5Mpa以下の圧力で供給されるのが好ましく、0.05Mpa以上0.25Mpa以下がより好ましい。また、供給される加熱空気の温度は、60℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上160℃以下がより好ましい。これにより、キャビティ8内のコーテッドサンド7の乾燥を効果的に行うことができる。また、加熱空気の時間あたりの供給量は、30リットル/秒以上400リットル/秒以下が好ましい。この際の加熱空気の供給時間は、15秒以上180秒以下が好ましい。なお、これらの気体の条件は、成形型の大きさによって変動するため、特に限定されるものではない。
(利点)
当該鋳型製造装置にあっては、上述のように気体供給手段から供給される気体は、気体供給手段と連通状態の連通路を介してキャビティ8に供給され、このキャビティ8の気体は少なくとも1種の連通路から排気される。そして、当該鋳型製造装置は、上面連通路9、第一側面連通路11及び第二側面連通路12が連通状態を変更可能に気体供給手段に接続されているので、この3種の連通路のうち鋳型の構造等に適した連通路を気体供給手段と連通させて、この連通路から気体をキャビティ8に供給することができる。このため、キャビティの形状に合致した気体の供給が可能となり、ムラのない鋳型を製造することができる。つまり、当該鋳型製造装置は、鋳型の構造に応じてキャビティ8の形状を変更する場合等にあって、気体供給手段と連通状態の連通路を変更することによって、容易且つ確実に的確なキャビティへの気体供給を行うことができ、これによりムラのない鋳型を製造することができる。
また、当該鋳型製造装置は、少なくとも2種の連通路を介してキャビティ8の気体を排気可能に設けられ、具板的には、下面連通路10、第一側面連通路11及び第二側面連通路12が連通状態を変更可能に外気に接続されているので、この3種の連通路のうち鋳型の構造等に適した連通路を外気と連通させて、この連通路を介して気体をキャビティ8から排気することができる。このため、キャビティ8の形状に合致した気体の排気が可能となり、ムラのない鋳型を製造することができる。つまり、当該鋳型製造装置は、鋳型の構造に応じてキャビティ8の形状を変更する場合等にあって、外気と連通状態の連通路を変更することによって、容易且つ確実に的確なキャビティへの気体供給を行うことができ、これによりムラのない鋳型を製造することができる。
また、該鋳型製造装置にあっては、気体供給手段から供給される気体はジャケット連通路23を介して側部ジャケット4、5の凹部17、19によって形成される空間部18、20に供給され、この空間部18、20に供給された気体は複数の第一側面連通路11又は第二側面連通路12を介してキャビティ8に供給することができる。さらに、開閉弁25、28、33、36の開閉によって、キャビティ8から複数の第一側面連通路11又は第二側面連通路12を介して空間部18、20に排気でき、この空間部18、20の気体を排出路27、35を介して排気することができる。このため、鋳型の形状変更によりキャビティ8の形状変更を行う場合に、凹部17、19に覆われる領域に第一側面連通路11及び第二側面連通路12を形成することができ、キャビティ8の形状に適した位置に容易に第一側面連通路11及び第二側面連通路12を配設することができる。したがって、所望位置に配設した第一側面連通路11及び第二側面連通路12によって、ムラのない鋳型を製造することができる。
さらに、気体供給手段が、水蒸気供給ライン39、二酸化炭素供給ライン38、空気供給ライン37及びこれらの各供給ラインの切り替え及び混合可能な開閉弁を備えているため、各供給ラインの気体を切り替えることや複数の気体を選択して混合することができる。また、各供給ラインに流量計40、43、45及び減圧弁41、44、46が設けられているため、気体を定圧の状態で成形型3のキャビティ8に供給することができる。
また、第一の実施形態である鋳型製造装置は貯留槽51に予熱器を有していることにより、コーテッドサンド7の表面に付着した水分を、コーテッドサンドをほとんど劣化させることなく除去することができ、コーテッドサンドの流動性をさらに高めることができる。また、水蒸気を供給したときに生じる結露水を少なくすることができる。そして、熱交換器55により、熱交換器55の周辺のコーテッドサンド7は、均等かつ効率よく熱交換をうけることにより、所望温度への予熱が円滑にでき、螺旋状に形成された熱交換器55と流動用気体分岐管54との組合せにより、コーテッドサンド7の自重による下方への移動を効果的に促し、熱交換器55等へのコーテッドサンド7の付着を防止することができ、貯留槽51から成形型3のキャビティ8へのコーテッドサンド7の排出を円滑にすることができる。また、流動用気体分岐管54により吹き出される加熱空気とコーテッドサンド7が熱交換され、さらに吹き出される加熱空気により流動するコーテッドサンド7と接するコーテッドサンド7と熱交換されることにより、コーテッドサンド7を所望の温度に予熱することができる。さらに、加熱空気が吹き出されることにより、コーテッドサンド7が流動状態で予熱されるので、コーテッドサンド7がダマの状態になることや予熱の偏りが生じたりする可能性がすくない。
また、コーテッドサンド7を形成する耐火骨材を被覆する水溶性バインダーとして、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類又は無機高分子のうちから1又は2以上を用いることにより、コーテッドサンド7を効果的に固化及び硬化させることができ、アルカリフェノール樹脂を用いることにより、欠陥が少ない等の製造する鋳型の品質を向上でき、造型時の臭気臭が少ない等の鋳型製造の作業環境を改善することができる。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の鋳型製造装置について、図5を用いて説明する。
図5に示す鋳型製造装置は、成形型3の上面側、下面側、第一側面側及び第二側面側に上部ジャケット61、下部ジャケット70、第一側部ジャケット4及び第二側部ジャケット5を有している。第一側部ジャケット4及び第二側部ジャケット5は、第一の実施形態と同様の構成であるため、その説明を省略する。
上部ジャケット61は、上面連通路64の外部開口を覆うよう形成されている。上部ジャケット61は、成形型の付設面に形成される凹部62、及びこの凹部により形成される空間部63に気体を供給するためのジャケット連通路67を有している。なお、上面連通路64の配設箇所や配設数は、成形型3及びキャビティ8の形状にあわせて形成されてよく空間部63とキャビティ8に連通されていればよい。上部ジャケット61のジャケット連通路67と上面連通路64は、空間部63を介して連通しており、ジャケット連通路67の流入口66は開閉弁69を介して開閉可能に気体供給手段からの配管68に接続されている。
下部ジャケット70は、成形型の下面連通路73の外部開口を覆うよう形成されている。下部ジャケット70は、成形型の付設面に形成される凹部71、及びこの凹部71により形成される空間部72から気体を排出するためのジャケット連通路76を有している。なお、下面連通路73の配設箇所や配設数は、成形型3及びキャビティ8の形状にあわせて形成されてよく空間部72とキャビティ8に連通されていればよい。下部ジャケット70のジャケット連通路76と下面連通路73は、空間部72を介して連通しており、ジャケット連通路76の排出路75は開閉弁77を介して開閉可能に配管78に接続されている。この配管78は、第一側部ジャケット4及び第二側部ジャケット5の排出路27、35に分岐し接続されており、それぞれの排出路から排出される気体が合流するように形成されている。また、配管78の合流部の下流側に吸引機79が配設されており、成形型へ排出する気体を吸引し排出している。なお、吸引機79は、それぞれの排出路に接続されている配管に配設されてもよい。
第二実施形態の鋳型製造装置においては、気体は、気体供給手段からジャケット連通路67を通って上部ジャケット61の空間部63に供給され、キャビティに供給された気体は、下部ジャケット70の空間部72から排出路75を通って配管78に排出される。第一側面連通路11及び第二側面連通路12については、気体の供給又は排出のいずれかを選択することができる。
また、上部ジャケット61は、気体を供給する際に成形型3に付設されることができる着脱可能なものであり、気体供給手段からの配管68の先端部に取り付けられた状態でもよく、貯留槽51の設置と自動的に切り替えられるように設けておいてもよい。また、上部ジャケット61及び下部ジャケット70と成形型3と接する箇所には、シリコン製のシールリングが配設され空間部63、72を密封している。
第二実施形態の鋳型製造装置においては、成形型3内にコーテッドサンド7を充填し貯留槽51を外した後に、気体供給手段からの配管68に配設された上部ジャケット61を成形型3の上面側に付設し、空間部63にジャケット連通路67及び上面連通路64をそれぞれ連通させる。その後、開閉弁69を開き、気体供給手段から気体を成形型3内へ供給する。供給される気体は、ジャケット連通路67を通って空間部63に送り込まれ、空間部63から連通路64を通ってキャビティ8に吹き込まれる。キャビティ8に吹き込まれた気体は、下部ジャケットの空間部72に集まった後、ジャケット連通路76を通って排出路75から排出される。また、排出される気体は、吸引機79によって吸引され外部へ排出される。
第二実施形態の鋳型製造装置を用いることにより、上部ジャケット61の凹部62により形成される空間部63を通って上面連通路64から気体を吹き込む構成であるため、複数の上面連通路64の外部側開口のそれぞれに連通するような流路を設ける必要がなく、成形型3を交換し別の成形型の連通路の形状が異なったとしても、空間部63に連通路を連通させれば同じ上部ジャケット61を用いることできる。また、排出される気体は空間部72に集まった後、ジャケット連通路76を通って排出される構成であるため、複数の下面連通路73の外部側開口のそれぞれに連通するような流路を設ける必要がなく、成形型3を交換し別の成形型の連通路の形状が異なったとしても、空間部72に連通路を連通させれば同じ下部ジャケット70を用いることできる。さらに、吸引機79により吸引され外部へと排出されるため、キャビティ8内の気体の吹き込みの停滞を防ぎ、キャビティ8内全体へ効率よく気体を行き渡らせることができると共に、キャビティ8内の通気の悪い箇所へも十分通気させることができる。特に複雑な形状の鋳型用の成形型3のキャビティ8も複雑な構造になるため、このような構造のキャビティ8への通気を全体に滞りなく行うことができる。これにより、鋳型の造形不良が起こりにくく、成形型の改造を行わず複雑な構造の鋳型の成形が可能となる。
<第三実施形態>
次に、第三実施形態の鋳型製造装置について、図6を用いて説明する。
図6に示す鋳型製造装置は、2つの空間部85、89を有する上部ジャケットを備えている。このジャケットは、ジャケット連通路93が形成される上部体82、及び後述する隔壁84と貫通孔91と筒状体90とが形成される下部体83を備え、上部体82と下部体83とが一体的に接合されて形成されている。
図6に示す上部ジャケットは、成形型3の連通路86の外部開口を覆うよう形成された凹部を有している。上記上部ジャケットは、この凹部によって形成される空間部をジャケット連通路93側の上部空間部89及び凹部の開口側の下部空間部85に区画する隔壁と、この隔壁に形成される複数の貫通孔91と、これらの貫通孔91の周囲からジャケット連通路93側に突設される筒状体90とを有している。この隔壁によって区画される上部空間部89と下部空間部85とは、貫通孔91により連通されており、下部空間部85と成形型3内のキャビティ8とは、複数の連通路86を介して接続されている。また、上部ジャケットは、上部空間部89に連通するドレイン孔92を有しており、このドレイン孔92は、筒状体90の上端よりも低い位置に形成されている。また、このドレイン孔92は、開閉弁を介在し配管に接続されている。なお、このドレイン孔92は、ジャケットの下部体83の隔壁84の上部に形成されている。
ジャケット連通路93は、気体供給手段に連通しており、気体供給手段(気体供給装置6)から供給された気体が、ジャケット連通路93を介して上部空間部89に供給され、貫通孔91を介して下部空間部に供給される。その後、下部空間部に供給された気体が、連通路86を介し成形型3内のキャビティ8に供給される。
第3実施形態の鋳型製造装置を用いることにより、ジャケット連通路93から供給された水蒸気は、上部空間部89に供給され、その後、貫通孔91を通って下部空間部に送り込まれる。下部空間部に送り込まれた水蒸気は、それぞれの連通路86を通って、成形型3内のキャビティ8に供給される。この際、上部空間部89内に供給された水蒸気の余分な水滴は、上部空間部89の底に貯まることになり、この貯まった水は、ドレイン孔92から外部へ排出される。これにより、水滴がキャビティ8に侵入することを防ぐことができ、コーテッドサンド7の湿り状態のバラツキによる固化及び硬化のムラが生じるのを防ぐことができる。
<第四実施形態>
次に、第四実施形態の鋳型製造装置について、図7を用いて説明する。
図7に示す鋳型製造装置は、成形型95のキャビティの形状及び連通路の形状が図1に示す第一の実施形態の鋳型製造装置と異なっているが、第一側部ジャケット及び第二側部ジャケットは同様のものを用いることができ、成形型に応じた気体供給用流路をもうけなくても、成形型内のキャビティ8に気体を供給することができる。
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
当該鋳型製造装置おいては、成形型3は上下縦開きの構成であってもよい。また、第1側部ジャケット4及び第2側部ジャケット5は、成形型3の構成に応じて対向しない直交する面に配設されてもよい。ジャケット連通路23、31においても、流入口22、30及び流出口21、29を直線状に連結させた形状に限定されず、第一側部ジャケット4又は第二側部ジャケット5内で連通路が分岐し、分岐した連通路のそれぞれの開口となる流出口を複数有した構成でもよい。また、空間部内に流出口21、29から配管が突出した形状でもよく、この配管が空間部内で分岐された構成であってもよい。
また、上部ジャケット61及び下部ジャケット70のジャケット連通路67、76は、気体供給手段から気体を供給する流路だけでなく、外部へ排出する流路として用いることができる。
また、気体供給手段の混合部50は、各気体を混合させやすくするために通気口をそれぞれ斜めに取り付けてもよく、混合部50内部に混合用の羽根及びスタティックミキサーを配設してもよい。さらに、貯留槽51の予熱器の熱源としては、加熱用のヒーターを用いたものでもよい。また、混合部31及びジャケット4は、予熱しておくことが好ましく、この予熱の熱源として、水蒸気供給ライン20又は加熱器23後に分流した空気供給ライン18から混合部31及びジャケット4に接続される配管を設けてもよい。
また、上面連通路9を排気用流路及び下面連通路を供給用流路にしてもよく、ジャケットを設けて供給流路又は排気流路を選択できるようにしても良い。この場合、図9で示した水蒸気の供給と排気のパターンから更に多くのパターンを適宜選択することができる。
また、鋳型の製造方法において、水蒸気供給工程において、上面連通路9、第一側面連通路11及び第二側面連通路12からそれぞれ水蒸気を供給し、下面連通路10から水蒸気を排出することができる。また、上面連通路9から水蒸気を供給し、第一側面連通路11、第二側面連通路12及び下面連通路10から水蒸気をそれぞれ排出することができる。キャビティの形状等により、効率的かつ短時間に水蒸気の供給及び排気を選択できる。