JP5920810B2 - 地震予知システム及び地震予知方法 - Google Patents
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Description
この電磁ノイズは、従来、比較的低い周波数で発生するとされていたが、近年の観測で、高い周波数帯でも発生することが判ってきた。すなわち、10Hz程度以下のULF(Ultra Low Frequency)帯から、ELF(Extremely Low Frequency)帯,VLF(Very Low Frequency)帯,LF(Low Frequency)帯、更にはVHF(Very High Frequency)帯や、UHF(Ultra High Frequency)帯などの数百MHzや数GHzの周波数でも、電磁ノイズが発生することが判明した。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態の例の概要を説明する。
本実施の形態の例では、図14で説明した地震発生当日より数日前などに検出される電磁ノイズを、無線電話システム用基地局を使用して検出する。
例えば、図1に示すように、地球Eの特定の箇所を震源e0として、地震が発生したとする。このとき、背景技術の欄で既に説明したように、その震源e0の近傍の地表近くで、地震発生より数日前から発生当日まで、電磁ノイズNaが発生することが、電磁波の観測から知られている。例えば震源e0から約100km以内の領域で、電磁ノイズNaが発生することが知られている。
なお、電磁ノイズが発生する継続時間や発生間隔、並びに電磁ノイズの大きさについては、地震の大きさ(マグニチュード)や地表から震源までの深さなどと関係があり、震源からの距離についても、100kmは一つの例である。
具体的な電磁ノイズNaの発生状況の推測処理については後述するが、図1の状況では、震源e0の近傍に無線電話用基地局BS1があり、無線電話用基地局BS1と端末との無線通信状態が電磁ノイズNaで妨害を受ける。
図2は、本発明の第1の実施の形態のシステム構成例である。
図2に示すように、無線電話用の無線通信基地局として、第1基地局10と第2基地局20と第3基地局30とを設置する。図2では、3つの基地局10,20,30だけを示すが、実際には無線電話サービス提供エリアに応じて、非常に多数の基地局が配置される。
それぞれの基地局10,20,30は、各基地局10,20,30を中心として形成される半径数km程度のサービスエリア内の端末装置と無線通信を行う。例えば図2の例では、第1基地局10が、端末装置11,12,13,14,15と無線通信を行う。また、第2基地局20が、端末装置21,22,23,24と無線通信を行う。さらに、第3基地局30が、端末装置31,32,33と無線通信を行う。無線通信に使用する周波数帯としては、例えば数百kHz帯から数GHz帯のHF,VHF,UHF帯である。
基地局と端末装置とが無線通信を行っている状態には、端末装置が通話中やデータ通信中で、基地局と連続的にデータパケットのやり取りを行っている状態と、単に基地局からの待ち受け信号だけを端末装置で間欠的に受信して、その待ち受け信号に対する応答だけを行う待ち受け状態とがある。
このパワーコントロール信号を受信した端末装置では、その端末装置が備える出力アンプのゲインを、指示に基づいて1段階高くするか、あるいは1段階弱くする処理を行う。基地局でのパワーコントロール信号の生成は、該当する端末装置からの受信信号のレベルや受信エラーの発生状況などに基づいて行われる。
なお、ここでは遠近問題が比較的顕著に現れるCDMA方式を例にして説明したが、多数の端末装置からの信号を同時に受信処理する無線電話用基地局の場合、どのような無線伝送方式であっても、同様なパワーコントロール信号による端末制御が必要である。
次に、図3を参照して、基地局と端末装置の構成を説明する。図3では、第1基地局10と端末装置11の構成例を示す。第1基地局10は、この基地局が送受信可能なチャンネルごとに個別の無線通信処理系を備える。すなわち、第1無線通信処理系91,第2無線通信処理系92,第3無線通信処理系93,・・・を備え、それぞれの無線通信処理系91,92,93,・・・で1つのチャンネルの処理を行い、1つの端末装置と無線通信処理を行う。各無線通信処理系91,92,93,・・・は、有線処理系82を介して他の基地局や図示しない有線電話網などと接続されて、各端末装置の通信相手などと通信を行う。また、第1基地局10は、通信状態監視部80を備えて、その通信状態監視部80で各端末装置11,12,・・・との無線通信状態を監視し、その監視結果を制御局100に伝送する。
また、基地局制御部101は、各基地局での無線通信状態が適正かどうかを判断するために必要な情報についても収集して、制御データ用データベース102に記憶させる。例えば、それぞれの基地局での端末収容数が適正かどうかなどを制御データ用データベース102に記憶させる。
そして、制御データ用データベース102が記憶した、パワーコントロール信号の送信状態のデータを、制御局100に接続された解析装置110に随時転送する。解析装置110では、転送されたパワーコントロール信号の送信状態のデータを受信部111で受信した後、通信状態データベース(通信状態DB)112が受信したパワーコントロール信号の送信状態のデータを記憶する。この通信状態データベース112では、少なくとも過去の数日間、好ましくは過去の2週間程度の各基地局でのパワーコントロール信号の送信状態のデータを記憶する。
次に、図4を参照して、端末装置と基地局との間でのデータ伝送例を説明する。
図4では、第1基地局10と端末装置11との間の伝送例を示すが、システム内のいずれの基地局と端末装置との間でも、基本的に同じデータ構成で伝送が行われる。
第1基地局10から端末装置11には下り回線パケットPDを無線伝送し、端末装置11から第1基地局10には上り回線パケットPUを無線伝送する。これらのパケットPD,PUは、決められた周期で伝送される。
基地局からパワーコントロール信号dxで送信出力アップを指示する状態は、基地局での上り回線パケットPUの受信レベルやエラーレートが規定範囲未満で、受信状況が良くない状況である。また、基地局からパワーコントロール信号dxで送信出力ダウンを指示する状態は、基地局での上り回線パケットPUの受信レベルが過大などで、受信状況が規定範囲を超えている場合である。
次に、本実施の形態の例での無線通信状態の集計及び解析を行って、地震の発生の可能性の判定を行う処理について説明する。
まず、図5のフローチャートを参照して、無線通信状態の集計処理について説明する。
各基地局では、端末装置との交信時のパワーコントロール信号の送信状態を記録する(ステップS11)。このパワーコントロール信号は、図4に示したように、1つの送信パケットごとに配置される信号であり、例えば一定時間の間(1分間など)に、送信出力アップの信号を××回送信、送信出力ダウンの信号××回送信のように記録する。
図6及び図7は、解析装置110での解析処理例を示した図である。
図6のフローチャートから説明すると、解析装置110は、基地局毎のパワーコントロール信号の送信状態の記録データを取得すると、その記録データをある程度の時間ごとに平均化する(ステップS21)。例えば、基地局から送信された1分ごとの送信状態のデータを、1時間ごとに平均化するなど、比較的長時間の傾向を示すデータとして解析用に記録する。但し、基地局から送信された比較的短時間ごとの平均のデータをそのまま記録してもよい。
その後、過去の15日間の記録データの平均化を行い(ステップS22)、その過去の15日間の記録データの平均値に対する、ステップS21で算出した平均のデータの分散を算出し、その算出した分散を記録する(ステップS23)。
例えば、端末装置11では、図8(a)に示すように、あるタイミングから出力「高」の状態が継続したとする。また、別の端末装置12では、図8(b)に示すように、出力「高」の状態と出力「低」の状態とが比較的頻繁に変化しているが、端末装置11よりは短い期間、出力「高」の状態が継続したとする。さらに別の端末装置13では、図8(c)に示すように、端末装置11と同様に、あるタイミングから出力「高」の状態が一定時間継続したとする。
例えば、第1基地局10で各端末装置11,12,13,・・・に対して出力「高」を指示した数の平均の変化が、図8(d)に示す状態で、その出力「高」を指示した数が通常の平均値よりも高い値に設定した閾値TH1を超えたとき、図7のフローチャートのステップS35で地震の発生ありと判断される。
この例では、図9(a)に示すように、基地局BS1からのパワーコントロール信号で出力「高」を指示した回数と、基地局BS3からのパワーコントロール信号で出力「高」を指示した回数が、他の基地局BS2,BS4〜BSn(nは任意の数)での平均よりも多くなっている状態である。したがって、基地局BS1のエリアや、基地局BS1に隣接した基地局BS3のエリアの付近で、地震の発生の可能性が高いことが示される。
この図9に示すようなパワーコントロール信号で出力「高」を指示した回数の変化特性を見ることで、現在の状態が、地震発生よりどの程度前なのかを判断することができる。例えば、地震発生より5日から3日前程度に表れる比較的低い電磁ノイズと、地震発生より2日前から1日前程度に表れる比較的高い電磁ノイズのいずれであるかを判別して、地震発生までどの程度日数や時間があるのかを予測してもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態の例を説明する。
本実施の形態の例では、図14で説明した地震発生当日より数日前などに検出される電磁ノイズを、RFID(Radio Frequency Identification)を読み取るシステムを利用して検出する例である。
RFIDは、無線タグなどと称され、リーダと称される読み取り装置(基地局)を使用して、そのRFIDと無線通信を行うことで、RFIDに埋め込まれたID情報などを検出して、そのID情報から個体識別を行う。また、リーダライタと称される読み取り・書込装置を使用して、RFIDの記憶情報の読み取りと、そのRFIDへの書込みとを行うシステムもある。無線通信を行う周波数帯としては、例えば十数MHzや数百MHzが使用される。リーダと無線通信を行うRFIDは、リーダからの電波を受信して電源として利用するタイプのものと、電池を内蔵したタイプのRFIDのいずれでもよい。
このように無線通信を行うことで、工場210内で製造される製品の在庫管理などが可能になる。
また、商店230において、会計用レジの近傍にリーダ231を配置し、クレジットカードやプリペイドカードとしての電子マネーとしてのIFIDを認識する。
さらに、家屋240において、出入口の近傍などにリーダ241を設置して、出入口の施錠や解錠をRFIDで指示する構成とする。
そして本実施の形態の例では、各リーダからリーダ監視装置250に報告するデータの1つとして、各リーダで、近隣の無線通信エリアにRFIDがあることを検出しながら、その検出したRFIDと正しく通信ができず、通信に失敗した回数のデータを用意する。なお、以下の説明ではこのデータを、通信失敗回数と述べる。
リーダ監視装置250には解析装置251を接続し、この解析装置251で、通信失敗回数の増減についての解析を行い、地震の発生の可能性の判定を行う。
次に、本実施の形態の例での無線通信状態の集計及び解析を行って、地震の発生の可能性の判定を行う処理について説明する。
まず、図11のフローチャートを参照して、リーダでの無線通信状態の集計処理について説明する。
各リーダでは、例えば過去の1時間の間の、RFIDとの交信時の失敗回数と、RFIDとの交信に成功した回数との比率から、受信エラー発生率を求め、記憶する(ステップS41)。例えば、過去1時間の間に、RFIDとの交信に99回成功し、1回失敗した場合、この1時間での受信エラー率が1%になる。この受信エラー率のデータを、ネットワーク200を介してリーダ監視装置250に報告する。
そして、リーダ監視装置250で、報告されたリーダからの1時間ごとの受信エラー率のデータを、リーダが設置された地域ごとに平均化して記憶する(ステップS42)。
図12及び図13は、解析装置251での解析処理例を示した図である。
図12のフローチャートから説明すると、解析装置251は、過去の15日間の記録データの平均化を行い(ステップS51)、その過去の15日間の記録データの平均値に対する、ステップS51で算出した平均のデータの分散を算出し、その算出した分散を記録する(ステップS52)。
また、図10に示したリーダの使用例は、一例を示したものであり、その他のRFID用のリーダを使用してもよい。
ここまで説明した実施の形態の例では、無線電話システムに適用した例と、RFIDのリーダに適用した例を説明したが、無線通信エリアを超多点に設定して行う無線通信システムであれば、他の無線通信システムに適用してもよい。
例えば図14に示すように、インターネット300に接続される複数の無線LANアクセスポイント310,320,330,・・・のそれぞれが、家屋に設置したスマートメータなどと無線通信を行う構成に適用してもよい。各家屋側では、家屋311内の子局311aがスマートメータ311bと接続してあり、子局311aが無線LANアクセスポイント310と無線通信を行う。また、家屋312内の子局312aがスマートメータ312bと接続してあり、子局312aが無線LANアクセスポイント310と無線通信を行う。図14に示した他の家屋321,322,323,331,332についても、近隣の無線LANアクセスポイント320又は330と無線通信を行う子局と、その子局に接続されたスマートメータを備える。
そして、この無線通信状態についての情報の一定時間での変化を、無線LANアクセスポイント又は子局から、管理装置301に定期的に送信する。管理装置301には解析装置302を接続し、解析装置302で、各無線LANアクセスポイント310,320,330,・・・と各子局311a,312a,・・・との無線通信状態の変化の解析を行う。この無線通信状態の変化の解析は、既に第1又は第2の実施の形態で説明した処理を適用し、過去の数週間の変化から、それぞれの無線LANアクセスポイント310,320,330,・・・が設置されたエリアごとに、地震が発生する可能性についての判断を行う。
Claims (6)
- 無線通信基地局と、その無線通信基地局の周囲に存在する端末局との間で無線通信を行う無線通信系での、前記無線通信基地局と前記端末局との間の無線通信状態に関する情報を前記無線通信基地局から取得する監視部と、
前記監視部が取得した無線通信状態に関する情報についての一定時間ごとの変化を、直近の特定期間内で蓄積し、その蓄積した特定期間内の変化から地震発生の可能性の有無の判断を行う解析部と、を備え、
前記無線通信基地局は、無線電話用端末局と無線通信を行う複数の基地局であり、
前記解析部は、無線通信状態に関する情報で、無線通信環境の異常が検出された基地局の設置箇所の近傍を、地震が発生する可能性がある地域と判断する
地震予知システム。 - 前記無線通信状態に関する情報は、前記無線通信基地局と前記端末局との間の上り又は下りの無線通信回線で伝送される、相手の送信出力を指示する情報であり、
前記監視部は、前記送信出力を指示する情報の内の、送信出力アップを示す情報が、1つの無線通信基地局で送信又は受信された数を一定時間ごとにカウントし、そのカウント値の前記特定の期間内の変化で、無線通信環境の異常を検出する
請求項1記載の地震予知システム。 - 前記特定期間は、1週間以上の期間であり、1週間以上の期間内における一定時間ごとのカウント値の変化を検出して、地震が発生する可能性の判断を行う
請求項2記載の地震予知システム。 - 無線通信基地局と、その無線通信基地局の周囲に存在する端末局との間で無線通信を行う無線通信系での、前記無線通信基地局と前記端末局との間の無線通信状態に関する情報を前記無線通信基地局から取得する監視工程と、
その取得した無線通信状態に関する情報についての一定時間ごとの変化を、直近の特定期間内で蓄積し、その蓄積した特定期間内の変化から地震発生の可能性の有無の判断を行う解析工程と、を含む地震予知方法であって、
前記無線通信基地局は、無線電話用端末局と無線通信を行う複数の基地局であり、
前記解析工程では、無線通信状態に関する情報で、無線通信環境の異常が検出された基地局の設置箇所の近傍を、地震が発生する可能性がある地域と判断する ことを特徴とする
地震予知方法。 - 前記無線通信状態に関する情報は、前記無線通信基地局と前記端末局との間の上り又は下りの無線通信回線で伝送される、相手の送信出力を指示する情報であり、
前記監視工程では、前記送信出力を指示する情報の内の、送信出力アップを示す情報が、1つの無線通信基地局で送信又は受信された数を一定時間ごとにカウントし、そのカウント値の前記特定の期間内の変化で、無線通信環境の異常を検出する
請求項4記載の地震予知方法。 - 前記特定期間は、1週間以上の期間であり、1週間以上の期間内における一定時間ごとのカウント値の変化を検出して、地震が発生する可能性の判断を行う
請求項5記載の地震予知方法。
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