JP5918386B2 - キラル触媒およびそれらの塩の製造方法 - Google Patents

キラル触媒およびそれらの塩の製造方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年11月30日に出願された米国仮特許出願第61/565,449号の優先権の利益を主張し、その全内容を参照することにより本明細書に援用する。
連邦政府支援の研究開発がなされた発明についての権利に関する声明
該当なし
コンパクトディスクで提出した添付の「配列表」、表、またはコンピュータプログラムリストへの参照
該当なし
「(−)−MITH」の略称をもち、γ−アミノチオールリガンドに分類される、((−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオールは、特定の反応において不斉炭素中心の立体選択的な形成を誘導する有効な触媒である(J.Org.Chem.2006,71,833−835)。(−)−MITH(CAS番号:874896−16−9)は、((1R,2R,4R)−7,7−ジメチル−2−モルホリノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオールという系統名および構造:
Figure 0005918386
を有する。
略称MITHは、本明細書において、(−)−MITHおよびそのエナンチオマーである(+)−MITH((+)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール)を指すものとして使用する。これは、メチル化、エチル化、ビニル化、プロパルギル化、およびアリール化を含む、α−ケトエステルおよびアルデヒド類への有機亜鉛付加反応におけるキラル触媒として特に有用である(J.Org.Chem.2006,71,833−835;Chem.Asian J.2012,7,2921−2924;J.Org.Chem.2007,72,5935−5937;Tetrahedron:Asymmetry 2009,20,1837−1841;J.Org.Chem.2008,73,6445−6447;U.S.Patent8,168,835;米国特許出願第2011/0269955参照)。
MITHは、不斉炭素−炭素結合形成反応において高い立体選択性を誘導するのに有用であることであることが示された。しかしながら、その物理的性質(すなわち、周囲条件下において、非固体の油性形態であり不安定であること)のため、報告されてきた合成方法では、製薬業界において十分に有用な程度の大規模製造に非常に制限がかかる。審査文献に開示されたMITHの合成では、市販の出発原料であるカンファースルホン酸から製品にするために、6つの主要な反応工程および様々なワークアップおよび精製工程が関与する(図1およびJ.Org.Chem.2006,71,833−835参照)。合成経路自体は効率的であるものの、全収率が25%の場合、この合成経路は大規模製造に不向きである。規模の拡大は、上記で述べた理由を含む数多くの理由により不適切である。
例えば、スルホニルクロリド中間体(図1のA−2)を還元して所望のチオールにするには、トリフェニルホスフィンが必要である。この反応のホスフィンオキシド副生成物の除去には問題があり、複数回にわたるA−2の再結晶化とそれに続くカラムクロマトグラフィー精製が必要であった。
規模の拡大には、保護および脱保護工程が必要なのでさらに複雑となる。チオール中間体A−2は反応性が高いため、チオール官能基を、ベンジルチオエーテルとして保護した(図1のA−3)。ベンジルチオエーテルは、脱保護してチオール化合物を回収するのが困難であり、最終脱保護工程では厳しい反応条件が必要であった。脱保護工程におけるバーチ還元反応を利用するには、ナトリウム金属を取り扱い、そして液体アンモニア中においてそれを溶解することが必要である。ナトリウムは、水分、水、酸およびアルコールのようなプロトン性溶媒と接触すると引火性なので、規模を拡大すると危険性が高くなる。さらに、アンモニアは、−33℃で沸騰するので、危険な圧力上昇を防止するためにかなりの低温(−78℃)を要する。このような条件を採用するのは、製造規模では安全性を考慮して避けるべきである。
加えて、複数のカラム精製操作が必要なので、規模の拡大に適合させるのに制限がかかる。既知の合成経路には、6つのクロマトグラフィー精製工程の使用が必要である(J.Org.Chem.2006,71,833−835参照)。また、生成物それ自体は油であり、カラムクロマトグラフィーにより精製される。製造において、カラムクロマトグラフィーを用いて有機化合物を精製すると、典型的に、他の精製方法と比べ必要な時間および材料が増えるので、製造コストが高くなる。大量の有機溶媒をリサイクルまたは廃棄する必要があるので、環境面および金銭面で負担となる。従って、クロマトグラフィーを用いないMITHおよびMITHアナログの合成工程は、非常に有益で、製薬および化学産業におけるMITHの触媒または化学量論的試薬としての有用性が拡大することになるだろう。
米国特許出願第2011/0269955号では、以前に使用していたベンジル保護基の代わりにマスクされたチオールとしてモルホリノスルホンアミド官能基を使用することを含む合成経路が開示されている。これは、還元剤としてLiAlH4を用いて最終中間体B−6からチオール(すなわち、MITH)への直接的かつ1工程での変換を可能にした(図2)。この合成では、元の方法における危険な脱保護工程を削除することにより規模拡大の可能性が改善されたものの、全体的な収率は低減した(20%)。さらに、米国特許出願第2011/0269955号に開示されたこの方法は、以下の理由により、産業上の観点で未だ問題がある:i)モルホリノスルホンアミド置換基を有する全ての合成中間体はUV透過性なので、通常のUV−HPLCによる反応モニタリングの妨げとなる。反応モニタリングにより、再現可能な収率および生成物の品質をもたらす反応の効果的な制御を確実にするインプロセス制御が可能になるので、製造時に非常に重要である。;ii)カラムクロマトグラフィーによるいくつかの中間体の精製が必要である;そしてiii)大量の水素化アルミニウムリチウムが最終還元工程で使用されるが、これはかなり自然発火性があるので、製造規模では特にその取り扱いが危険である。
また、固体ではなく油であるMITHなどの有機化合物は、製造時に、以下の点を含む不利益がある:i)これらの有機化合物は、多くの場合、固形物よりも不安定であり、従って不活性雰囲気および/または低温下といった長期保存条件が必要となり不便である;ii)これらの有機化合物は、例えば、反応器に試薬を投入するのに必要な、ある容器から別の容器への移動が困難である。MITHは、周囲条件下でたったの数日から数週間の期間のみ安定である。MITHまたはMITHアナログの固体、好ましくは結晶形態は、より安定しているので輸送および保存がしやすく、工業規模の化学変換における取り扱いが容易であろうことから、とても有利だろう。
1つの態様において、本発明は、式(I)
Figure 0005918386
の化合物を調製する方法を提供する。
当該方法は:i)式(II)
Figure 0005918386
のスルホンアミドを、式(III)
Figure 0005918386
のジスルフィド化合物を提供するのに十分な条件下で、第一還元剤と接触させる;そして
ii)式(III)のジスルフィド化合物を、式(I)の化合物を形成するのに適した条件下で、第二還元剤に接触させる
(式中、R1およびR2は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;
3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合により
3、R4およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)ことを含む。
第二の態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。当該方法は:i)式(V)
Figure 0005918386
の化合物を式(VII)
Figure 0005918386
の化合物に変換する;そして
ii)式(VII)(式中、R1、R2、R3、およびR4は、上述の定義の通りである)の化合物を式(I)の化合物に変換する、ことを含む。
第3の態様において、本発明は:
Figure 0005918386
(式中、R3およびR4は、上述の定義の通りであり、HXはブレンステッド酸であり、ここで、Hはプロトンであり、Xは共役塩基である)を含む新規化合物を提供する。
第4の態様において、本発明は、生成物を立体選択的に提供するための不斉変換において式(Is)、(III)、または(XI)の化合物を、反応体に接触させることを含む不斉合成方法を提供する。
図1は、J.Org.Chem.2006,71,833−835に開示のMITH合成の模式図を示す。
図2は、米国特許出願第2011/0269955に開示のMITH合成の模式図を示す。
図3は、本発明の方法に係るMITH、MITH・HCl、およびアナログの合成の模式図を示す。
図4は、式(VII)のエナミン化合物を介した式(I)のMITH型化合物の合成の模式図を示す。
図5は、ポリマーに担持されたMITHアナログを示す。
図6は、MITH・HClの結晶形のX線粉末回折パターンを示す。
図7は、HPLCにより評価した周囲温度での保存におけるMITHおよびMITH・HClの安定性を示す。
図8は、HPLCにより評価したMITH、MITH・HClおよび式(IIIa)のジスルフィドにより触媒されるベンズアルデヒドの付加反応生成物への不斉変換を示す。
本発明は、不斉合成で使用するための光学活性触媒の合成方法を提供する。これらの触媒は、金属のリガンドとして作用する。本発明は、式(I)の化合物が、中間体化合物(II)および(III)を介し穏やかな条件下で生成できるという驚くべき発見に基づく。本発明の方法において鍵となる生成物および中間体は、高価なクロマトグラフィー工程を必要とせずに単離および精製できる。特に、ベンジルスルホンアミド、ジスルフィド、および触媒塩は、効率的な単離および精製が可能になる溶解特性を有することが予想外に見出された。さらに、スルホンアミドを還元する新規な方法により、他の経路よりも良好な収率および品質で、チオール含有触媒が得られることが予想外に見出された。従って、本発明の方法により、触媒の工業的用途への規模の拡大が可能になる。また、本発明は、本明細書に開示されるように、新規化合物および不斉合成方法を提供する。
本明細書において用いる場合、用語「接触」は、少なくとも二つの異なる種が反応可能になるように接触させるプロセスを指す。しかしながら、得られる反応生成物は添加した試薬の間における反応から直接製造されるか、またはこの反応混合物中において生成し得る1つ以上の添加した試薬から生じる中間体から製造されることもあると理解すべきである。
本明細書において用いる場合、用語「還元剤」は、別の化合物を還元できる薬剤を指す。還元剤は、金属、有機化合物、無機化合物、金属および無機化合物の錯体、または金属および有機化合物の錯体であってもよい。還元剤の例として、アルカリ金属、金属水素化物、チオールおよびホスフィン系の還元剤、アスコルビン酸、等が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキル」はそれ自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味する。アルキル置換基は、他の炭化水素置換基と同様、置換基中の炭素原子の数を示す指示子(すなわち、C1〜C8は、1〜8個の炭素を意味する)を含んでもよいが、このような指示子を省略してもよい。特に断りのない限り、本発明のアルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。例えば、アルキル基は、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12、2〜3、2〜4、2〜5、2〜6、3〜4、3〜5、3〜6、4〜5、4〜6または5〜6個の炭素原子を含み得る。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、等が挙げられる。
本明細書において用いる場合、用語「シクロアルキル」は、3〜12個、または指定した原子数の環原子を含有する、飽和または場合により部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式、または架橋した多環式環の集合体を指す。単環式環は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルを含む。二環式および多環式環は、例えば、ノルボルネン、デカヒドロナフタレン、およびアダマンタンを含む。例えば、C3−8シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、およびノルボルナンを含む。
本明細書において用いる場合、用語「ヘテロシクロアルキル」および「複素環」は、3環員から約20環員、および環頂点として1〜約5個のN、OおよびS等のヘテロ原子を有する環系を指す。また、加えて、B、Al、SiおよびPを含むヘテロ原子も使用できるがこれらに限定されない。また、ヘテロ原子は、−S(O)−および−S(O)2−のように酸化されてもよいが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルとして、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、インドリニル、キヌクリジニルおよび1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、用語C4−9ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つのヘテロ原子環員を環頂点に有する指定された数(4〜9)の4〜9員環(二環式および多環式環を含む)を指す。
本明細書において用いる場合、用語「アリール」および「芳香環」はそれ自体または別の置換基の一部として、単環または多環(3環まで)が一緒に縮合または共有結合した多価不飽和炭化水素基を指す。アリール基の非限定的な例として、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが挙げられる。
本明細書において用いる場合、用語「アリールアルキル」は、アルキル成分およびアリール成分を有し、当該アルキル成分が結合点で当該アリール成分に結合するラジカルを指す。アルキル成分が分子のその他の部分とアリール成分に結合するために、少なくとも二価である場合を除き、アルキル成分は先に定義した通りである。アリール成分は先に定義した通りである。アリールアルキル基の例として、ベンジルおよびフェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いる場合、用語「ヘテロアリール」は、5〜16個の環原子を含有し、1〜4個の環原子はそれぞれN、OまたはSのヘテロ原子である、単環式、あるいは縮合二環式または三環式芳香環の集合体を指す。ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、およびチエニルが挙げられる。例えば、用語C5−9ヘテロアリールは、少なくとも1つのヘテロ原子環員を環頂点に有する指定された数(5〜9)の5〜9員環(二環式環を含む)を指す。
本明細書において用いる場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素のいずれかを指す。特に断りのない限り、本発明のアルケニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。アルケニル基の例として、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、イソペンテニル、1,3−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,5−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、または1,3,5−ヘキサトリエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いる場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合有する直鎖または分岐鎖炭化水素のいずれかを指す。特に断りのない限り、本発明のアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。アルキニル基の例として、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、ブタジイニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、イソペンチニル、1,3−ペンタジニル、1,4−ペンタジニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、1,3−ヘキサジイニル、1,4−ヘキサジイニル、1,5−ヘキサジイニル、2,4−ヘキサジイニル、または1,3,5−ヘキサトリイニルが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「スルフィド」、「チオール」、および「メルカプト」は、硫黄が有機分子への結合点である−S−H構造を有するラジカルを指す。スルフィドは、S−S結合を含有するジスルフィドに酸化することができるが、当業者は、ジスルフィドは、スルフィドの酸化以外の他の経路を介しても得ることができることを理解するだろう。ジスルフィドは、R−S−S−R’構造(式中、RおよびR’は、上述の通り、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり得る)を有する混合ジスルフィドであってもよい。ある高反応性チオールを、ジスルフィドを還元するのに十分な還元剤として使用することができ;そのようなチオールの例として、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノール、等が挙げられる。
用語「スルホンアミド」は、硫黄が有機分子への結合点である−SO2NR’R”構造(R’およびR”は、上述の通り、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり得る。また、N、R’、およびR”も、上述の通り、一緒になってヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールを形成し得る。)を有するラジカルを指す。
本明細書において用いる場合、用語「ポリマー担持体」は、本発明の化合物を含むように誘導化できるポリマー材料を指す。好適なポリマー担持体の例として、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。誘導体化用として意図した反応部位を除き、ポリマー担体材料は、一般に、それらが施される可能性がある様々な化学反応条件に耐えうる。当業者は、本発明において他のポリマー担持体も有用であることを理解するであろう。
本明細書において用いる場合、用語「脱離基」は、アミン、チオール、またはアルコールなどの求核基に置換される官能基を指す。いくつかの実施形態において、脱離基は、スルホンアミド部分を提供するアミンによって置換される。脱離基の例として、(塩化物およびフッ化物を含む)ハライド、(スルホニルエステルから変換した)活性化アルコール、(スルホン酸無水物から変換した)スルホン酸、(α−ジスルホンから変換した)スルフィン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いる場合、用語「塩」は、本発明の方法で使用される化合物の酸塩または塩基塩を指す。用語「酸塩」は、特に、塩基性有機化合物と好適な酸との反応から得られるイオン性化合物を指す。好適な酸の例として、無機/鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、等)、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸、等)塩、および有機スルホン酸(p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、等)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いる場合、用語「不斉合成」は、1つ以上のキラリティーの新しい要素が基質分子内に形成され、エナンチオマーまたはジアステレオマーの異性体生成物を不均等な量で生成する一つの化学反応または一連の化学反応を指す。得られた生成物の分布は、立体異性体過剰率として表すことができる。これは、エナンチオマーまたはジアステレオマーのペアにおける各立体異性体のモル分率間の絶対差(すなわち、それぞれエナンチオマー過剰またはジアステレオマー過剰)のことである。用語「立体選択的」および「立体選択的に」は、大部分が単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーで構成される生成物をもたらすプロセスを指す(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.Blackwell Scientific Publications,Oxford,1997参照)。
本明細書において用いる場合、用語「リガンド」は、官能基、典型的には金属原子に結合可能な有機分子を指し、化学変換に使用するための触媒を提供するものである。本発明のリガンドは、不斉合成のための「キラルリガンド」として使用できる。キラルリガンドは、典型的には、単一の立体異性体で構成され、そしてそのリガンドの構造は、特定のエナンチオマーまたはジアステレオマー生成物の形成を誘導するものである。
MITH前駆体における他のチオール保護基を利用する方法とは対照的に、本発明の方法は、被保護スルホンアミドを利用する(図3)。これにより、液体アンモニア中にナトリウムを含有する危険かつ規模拡大の可能性がない脱保護工程の必要がなくなる。むしろ、本方法におけるスルホンアミドは、1つの反応工程(すなわち、図3におけるスルホンアミド(II)からチオール(I)への反応)、または2つの反応工程(すなわち、スルホンアミド(II)からジスルフィド(III)、そしてチオール(I)への反応)で還元することにより必要なチオール官能基に変換することができる。特に、2工程からなる還元プロセスにより、収率および製品の品質が改善される結果となる。
さらに、本発明では、上述の方法では必要なクロマトグラフィー精製工程の必要がなくなる。特に、本方法において用いるベンジルスルホンアミドおよび関連化合物は、良好な結晶性を示すので、結晶化を通じて特定の中間体の精製が可能になる。また、標的化合物についても、結晶塩誘導体(Is)へ変換することにより、カラムクロマトグラフィーの必要なく精製可能である。カラムクロマトグラフィーの必要性を排除するのは、材料および操作時間の負担を低減するため、非常に有利である。
1つの態様において、本発明は、式(I)
Figure 0005918386
の化合物を調製する方法を提供する。
当該方法は:i)化合物(II)
Figure 0005918386
のスルホンアミドを、式(III)
Figure 0005918386
のジスルフィド化合物を提供するのに十分な条件下で、第一還元剤と接触させる;そして
ii)前記式(III)のジスルフィド化合物を、式(I)の化合物を形成するのに適した条件下で、第二還元剤に接触させる
(式中、R1およびR2は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;
3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合により
3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)ことを含む。
本発明の方法で用いる第一還元剤は、任意の好適な還元剤であり得る。いくつかの実施形態において、第一還元剤は水素化アルミニウム試薬である。水素化アルミニウム試薬の例として、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al(登録商標)またはVitride(登録商標))、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、および水素化ジイソブチルアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。製造規模で使用するときは、非自然発火性かつ低水分感受性であり、そしてトルエンのような芳香族有機溶媒中で使用できるので、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが特に好ましい。従って、いくつかの実施形態において、第一還元剤は、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである。
本発明の方法で用いる第二還元剤は、任意の好適な還元剤であり得る。一般に、第二還元剤は、ジスルフィドをチオールに還元できる試薬である。いくつかの実施形態において、第二還元剤は、ゼロ価金属を含む金属、ゼロ価金属合金、および非ゼロ価金属、金属水素化物、または高反応性チオールである。金属水素化物の例として、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al(登録商標))、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ジイソブチルアルミニウム(i−Bu2AlH)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、および水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)が挙げられるが、これらに限定されない。ゼロ価金属還元剤の例として、亜鉛金属、ナトリウム金属、カリウム金属、アルミニウム金属、鉄金属およびマグネシウム金属が挙げられるが、これらに限定されない。非ゼロ価金属還元剤の例として、チタン(III)化合物、鉄(II)化合物、銅(I)化合物、およびサマリウム(II)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。高反応性チオールの例として、ジチオスレイトール、エチルメルカプタン、グルタチオン、エタンジチオール、ジチオブチルアミン、および3−メルカプト−1,2−プロパンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。亜鉛金属は、非自然発火性であり、製造規模における試薬としての使用に好適である。いくつかの実施形態において、還元剤は亜鉛金属である。
図3に示すように、1つの工程または2つの工程でスルホンアミド化合物(II)を還元してチオール(I)を提供することができる。ある例では、チオール生成物の全収率および品質は、2工程の還元プロセスのほうが良好である。例えば、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのような水素化物試薬を用いたスルホンアミド(IIa)の還元では、チオール(Ia)よりも主要な生成物として、ジスルフィド(IIIa)が得られることを予想外に発見した。しかしながら、第一工程では水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを用い、第二工程では酢酸と共に亜鉛金属を用いてスルホンアミド(IIa)を還元する2工程からなる還元では、全収率が改善したMITH(Ia)が得られた(70%)。この効率性の驚くべき改善に加えて、当該2工程からなる還元方法は、他の利点ももたらされた。MITHとは異なり、ジスルフィド(IIIa)は固体であり、例えば、再結晶化により容易に精製できる。また、ジスルフィド(IIIa)そのものを不斉反応の触媒に使用することができる。
対照的に、金属水素化物を用いたスルホンアミド(IIa)からMITH(Ia)へ1工程からなる還元は、一般にゆっくりと起こりその収量は低かった。いかなる特定の理論に縛られることを望まないが、金属水素化物を用いたある種のスルホンアミドについての1工程からなる還元は、このような還元条件下でゆっくりと反応するジスルフィドの形成により減速されると考えられる。従って、第一工程でスルホンアミド化合物を対応するジスルフィド化合物に還元し、次いで第二工程でより好適な条件を用いてこのジスルフィド化合物をチオール化合物に還元するほうがより効率的であろう。この前例のない発見により、スルホンアミドを所望の触媒に変換する本発明の方法の開発につながった。しかしながら、当業者は、本発明の方法において使用する特定のスルホンアミドによって、1工程からなる還元が好適である場合やまたは2工程からなる還元が好適である場合があり得ることを理解するだろう。
上述の通り、R1およびR2は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、R1およびR2の少なくとも1つは、ベンジル基または置換ベンジル基である。ベンジル基は、独立して、ハロゲン、アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノよりなる群から選択される1つ以上の置換基で置換してもよい。いくつかの実施形態において、R1およびR2の少なくとも1つは水素である。式(II)の化合物にベンジルスルホンアミド官能基を使用すると、特に、化合物に良好な結晶性が得られ、結晶化を通じ主要な中間体の精製が可能になるので、クロマトグラフィー精製の必要性が排除される。再結晶化を通じた化合物の精製は、クロマトグラフィーによる精製よりも材料、時間、およびコストの面で無駄が少ないので、特に製造規模で有利である。
上述の通り、R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールである。場合によりR3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る。いくつかの実施形態において、R3、R4、およびNは一緒になって、モルホリン基を形成する。
関連する実施形態において、R3、R4、およびNは一緒になって、ポリマー担持体の一部を形成するかまたはポリマー担持体へ結合する。ポリマー担持触媒は、ファインケミカルおよび医薬品中間体合成において重要な役割を果たす。ポリマー担持触媒は、通常の触媒として作用できるが、使用後に容易で簡単な濾過によりこの反応から除去できるので、利便性が高くリサイクルおよび再利用できる。ポリマー担持触媒を使用することの利点は、これらは利便性が高く再利用できるので、触媒のコストを気にすることなくより多くの量の触媒を充填して使用できるということである(例えば、有機亜鉛反応におけるポリマー担持触媒、Org.Lett.2012,14,1816−1819参照)。有機亜鉛反応では、特に、高いエナンチオ選択性が高い触媒充填量と関連することが多い。従って、ポリマー担持MITHアナログは、効率的かつ高いエナンチオ選択的な変換をもたらすことになる。図5に概説するように、MITHのポリマー担持アナログが調製可能である。ポリマーに結合したビス(ブロモエチル)アミンへの溶液合成に使用するアルキル化ジブロミドを変更することにより、この溶液合成と同じ合成戦略を用いてポリマー担持MITHが得られる。これはまた、エナンチオマーポリマー担持MITHアナログの合成にも適用可能である。
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、エキソ−ジアステレオマーIIx
Figure 0005918386
である。
本発明のいくつかの実施形態において、式(I)の化合物を調製する方法は、さらに:iii)式(I)の化合物を酸(HX)に接触させることにより、式(I)の化合物をその酸塩(Is)
Figure 0005918386
(式中、HXは、無機/鉱酸、カルボン酸、および有機スルホン酸から選択される。)に変換することを含む。
いくつかの実施形態において、式(Is)
Figure 0005918386
の化合物は、エキソ−ジアステレオマーである。
酸HXは、任意の好適な酸であり得る。好適な酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸およびスルホン酸等の無機/鉱酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、ならびに、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸が挙げられる。いくつかの実施形態において、酸HXはHCl(塩酸)である。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、化合物(Ia)および化合物(Ia)のエナンチオマー
Figure 0005918386
から選択される。
いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは、化合物(IIa)
Figure 0005918386
および化合物(IIa)のエナンチオマーから選択される。
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、化合物(IIIa)
Figure 0005918386
および化合物(IIIa)のエナンチオマーから選択される。
いくつかの実施形態において、式(Is)の化合物は、化合物(Ib)
Figure 0005918386
および化合物(Ib)のエナンチオマーから選択される。
当業者は、式(I)、(Is)、(II)、または(III)の化合物のいずれかが所与のエナンチオマーとして存在する場合、その他の化合物も、もし存在すれば、同じ立体化学構造を有することを理解するであろう。
MITHとは対照的に、酸塩(Ib)は結晶性であり、周囲条件下で安定している。塩形成に特に有用な酸は、非配位性かつ非求核性の共役塩基を有し、不斉変換の触媒を妨げない。いくつかの実施形態において、MITH(Ia)を塩酸と接触させてHCl塩(Ib)を生成する。塩(Ib)は、容易に結晶化により精製できる非吸湿性の白色粉末である。MITH塩(Ib)のXRPDパターンにより、これが結晶性であることが示される(図6)。
本質的に安定でないと、しばしばリガンドとして使用するための典型的なアミノチオール化合物の合成および適用が複雑になる。この不安定性は、遊離チオールが酸素の存在下で対応するジスルフィドに容易に酸化されやすいという事実によるものである(スキーム1参照)。これは、空気に曝露すると起こり得る。
Figure 0005918386
MITHおよび特定の関連化合物は、周囲温度の空気中においてこの種の酸化を受けることが分かった。MITHは周囲条件下で不安定なので不活性条件下で保存する必要があるが、そうすると輸送が複雑になり、産業用用途への有用性が低減する。一方、本発明の塩(Ib)および関連する塩は、安定性の改善を示す。例えば、HPLCにより評価したMITH(Ia)の純度は、一ヶ月間、周囲条件下で保存した場合、93%から81%に減少した。しかしながら、塩(Ib)は、同じ期間、同じ条件下で保存しても、純度の有意な減少を示さなかった(図7)。
式(I)の化合物の触媒塩の分離が容易だと、利点が追加される。特に、式(I)の粗化合物は、水性ワークアップおよびシリカゲルを用いた濾過により得ることができる。この粗物質を、イソプロパノールなどの溶媒中で直接HClと接触させて、濾過により容易に単離可能な純粋な形態の固体塩(Is)を形成できる。例えば、この方式で分離したMITH塩(Ib)の純度は、HPLCによると95%超であった。一方、粗MITH(Ia)は、わずか24%の純度であり、塩形成操作なしでクロマトグラフィーによる分離が必要であろう。
塩(Is)は、不斉反応における触媒に直接使用できる。例えば、HCl塩(Ib)を不斉選択性に影響を与えることなく、不斉変換の触媒に直接使用できる。また、式(I)の遊離塩基化合物も必要に応じて不斉反応への使用前に再生可能である。再生は、塩(Is)を好適な塩基に接触させることにより実施できる。例えば、HCl塩(Ib)を、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの水性塩基で処理することにより、MITH(Ia)に変換可能で、n−ヘプタン等の水と非混和性の溶媒中に分離できる。従って、本発明は、遊離塩基化合物よりも取り扱いが容易なだけでなく、効率的な分離および精製ならびに長期保存が可能な塩化合物を提供する。特にMITHとは対照的に、本発明の塩は取り扱いが容易であり;安定性が改良されたため長期保存に適しており;カラムクロマトグラフィーなしに、粗生成混合物からの抽出による所望の物質の分離が可能で;そして再結晶化による精製が可能である。
本発明における有用なスルホンアミドは、当該分野で公知の多数の方法に従って合成できる。いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは:i)式(IV)
Figure 0005918386
(式中、Yは脱離基である)の化合物を式(V)の化合物に変換し;ii)式(V)
Figure 0005918386
の化合物を式(VI)
Figure 0005918386
の化合物に変換し;そしてiii)式(VI)の化合物を化合物(II)のスルホンアミドに変換する、ことにより調製できる。このスルホンアミドの調製手順はまた、(II)、(IV)、(V)および(VI)のエナンチオマーにも適用される。いくつかの実施形態において、R3、R4、およびNは一緒になって、モルホリン基を形成する。いくつかの実施形態において、R1およびR2の少なくとも1つは、ベンジル基または置換ベンジル基である。いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは、エキソ−ジアステレオマーである。いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは、エンド−ジアステレオマーである。化合物(II)のスルホンアミドもまたエキソおよびエンド−ジアステレオマーのエナンチオマーから選択され得る:
Figure 0005918386
式(I)の化合物は、エナミン中間体を含む経路を介して到達できる。従って、本発明は、式(I)
Figure 0005918386
の化合物を調製する方法であって、i)式(V)
Figure 0005918386
の化合物を、式(VII)
Figure 0005918386
のエナミン化合物に変換し;そしてii)式(VII)の化合物を式(I)の化合物に変換する(式中、R1およびR2は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合によりR3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)ことを含む、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
この「エナミン経路」もまた(V)、(VII)および(I)のエナンチオマーの調製に適用される。合成方法を、図4に示す。化合物(VII)から化合物(I)への変換は、1工程による操作、2工程による操作、または3工程による操作であり得る。2工程による操作は、式(II)の化合物を介して進行する。3工程による操作は、上述の通り式(II)の化合物および式(III)の化合物を介して進行する。いくつかの実施形態において、この方法はさらに、式(VII)の化合物を化合物(II)のスルホンアミドに変換することを含む。例えば、エナミンを、ギ酸を含むがこれに限定されない還元剤を用いて第三級アミンに還元し得る。エナミンはまた、水素化または移動水素化(transfer hydration)により第三級アミンに変換し得る。チタン、ロジウム、およびイリジウム系の触媒、ならびにその他の触媒を用いた様々なエナミン類の不斉水素化の方法が当技術分野で公知である。当業者は、式(VII)のエナミンを式(II)のスルホンアミドに変換するのに、他の方法を用いることができることを理解するであろう。
エナミン経路により、自身のエナンチオマーを含む上記記載の生成物および中間体のいずれかが得られる。いくつかの実施形態において、R3、R4、およびNは一緒になって、モルホリン基を形成する。いくつかの実施形態において、R1およびR2の少なくとも1つは、ベンジル基または置換ベンジル基である。いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは、エキソ−ジアステレオマーである。いくつかの実施形態において、化合物(II)のスルホンアミドは、エンド−ジアステレオマーである。化合物(II)のスルホンアミドは、エキソおよびエンド−ジアステレオマーのエナンチオマーから選択してもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、化合物(Ia)および化合物(Ia)のエナンチオマーよりなる群から選択され、化合物(II)のスルホンアミドは、化合物(IIa)および化合物(IIa)のエナンチオマーよりなる群から選択される。当業者は、式(I)または(II)の化合物のいずれかが所与のエナンチオマーとして存在する場合、もう一方の化合物も、同じ立体化学構造を有することを理解するであろう。
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物(Is)
Figure 0005918386
(式中、R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合によりR3、R4 およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る;そしてHXは、無機/鉱酸、カルボン酸、および有機スルホン酸よりなる群から選択される)ならびに化合物(Is)のエナンチオマーから選択される化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、HXはHClである。いくつかの実施形態において、式(Is)の化合物は、化合物(Ib)および(Ib)のエナンチオマーから選択される。
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物(III)
Figure 0005918386
(式中、R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合によりR3、R4 およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)および化合物(III)のエナンチオマーよりなる群から選択される化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、化合物(IIIa)および化合物(IIIa)のエナンチオマーから選択される。
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物(XI)および化合物(XI)のエナンチオマーならびに化合物(XI’)および化合物(XI’)のエナンチオマー
Figure 0005918386
より選択される化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、式(XI)の化合物は、化合物(IIIb)
Figure 0005918386
および化合物(IIIb)のエナンチオマーならびに化合物(IIIb’)および化合物(IIIb’)のエナンチオマーから選択される。
いくつかの実施形態において、本発明は、不斉合成方法を提供する。この方法は、不斉変換において(Is)、(Ib)、(III)、(IIIa)、(XI)、(IIIb)、およびそれらのエナンチオマーから選択される化合物を反応体に接触させ、立体選択的に生成物を提供することを含む。いくつかの実施形態において、不斉変換は、不斉付加反応である。いくつかの実施形態において、反応体は、式(VIII)
Figure 0005918386
および式(IX)
Figure 0005918386
の化合物を含み;そして当該生成物は、式(X)
Figure 0005918386
の化合物を含む(式中、R5はアリール、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;R6はH、メチル、トリフルオロメチルまたはCO29で、ここで、R9はアルキルであり;そしてR7およびR8は独立して、アリール、アルキル、アルケニルまたはアルキニルである)。
一般的に、不斉付加反応は、本発明の触媒化合物がリガンドとして作用しカルボニル化合物(VIII)との反応前に有機亜鉛化合物(IX)と配位錯体を形成するように実施する。塩(Is)、ジスルフィド(III)、およびジスルフィド(XI)または(XI’)の塩はすべて、本発明の不斉付加反応における触媒として使用できる。有機亜鉛化合物(IX)に対する触媒について任意の好適なモル比を不斉付加反応に採用できる。いくつかの場合では、化学量論量の触媒を使用できる。他の場合では、1当量未満の触媒を各当量の有機亜鉛化合物に対し使用できる。他の反応体に対する触媒の最小量は、触媒の構造、反応させる特定のカルボニル化合物および有機亜鉛化合物、反応条件、ならびに反応が完了するまでの最大時間に依存し得る。適切な触媒の充填は、当業者によって容易に決定できる。キラルアルコール生成物(X)は、一般的に、ゼロより大きい立体異性体過剰率を有する。例えば、キラルアルコールは、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の立体異性体過剰率で形成できる。立体異性体過剰率とは、付加反応で生成されたアルコール基のヒドロキシル含有炭素におけるキラリティを指す。カルボニル化合物(VIII)がアキラルであるとき、キラルアルコールは、2つのエナンチオマーの一方である場合があり、エナンチオマー過剰率(e.e.)は立体異性体過剰率の尺度となる。カルボニル化合物(VIII)が既にキラルであるとき、キラルアルコール生成物はジアステレオマーであり、ジアステレオマー過剰(d.e.)は立体異性体過剰率の正式に適切な尺度となる。
例えば、MITH(Ia)およびMITH塩(Ib)は、ジエチル亜鉛からベンズアルデヒドへ変換するエタンの不斉1,2−付加を触媒する(表1)。MITHおよびMITH・HClの両方は、同等の触媒活性を示し、同一の光学純度を有する生成物をもたらした(表1のエントリー1および3と、表1のエントリー2および4とを比較されたい)。触媒塩形成時の選択率が見かけ上保持されていたのは、塩化物対イオンが、特定の状況においてリガンドとしてアミノチオール化合物を用いた不斉触媒反応を妨げることが示されている(例えば、Hof、R.P.Ph.D.Dissertation、University of Groningen、The Netherlands、1995参照)のを考慮すると、予想外であった。MITHおよび関連する化合物は、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの水性塩基で処理することにより塩から再生し、n−ヘプタン等の水と非混和性の溶媒中に分離できる。再生されたMITH(Ia)により、例えば、(塩形成のない)遊離塩基MITHおよびMITH塩により得られるものと同一の光学純度を有する付加生成物が得られる(それぞれ、表1のエントリー5、3、および4)。
上述のように、式(III)のジスルフィドまたはそれらの塩(XI)および(XI’)もまた、不斉C−C結合形成反応における触媒または化学量論的試薬として採用し得る。このような変換は、他の工業的に関連する化合物のうち、薬物および薬物中間体の製造に有用である。ジスルフィド(IIIa)は、例えば、不斉触媒でもある。ジスルフィド(IIIa)は、ジエチル亜鉛からベンズアルデヒドへ変換するエチルの不斉1,2−付加を触媒した(表1、エントリー6)。この触媒により、遊離塩基MITHとそのHCl塩(それぞれ表1のエントリー3および4)によって得られるものに匹敵する光学純度を有する生成物が得られた。式(III)の新規ジスルフィドは、好適な酸を用いて塩(XI)および(XI’)に変換してもよい。好適な酸の例として、カルボン酸(トリフルオロ酢酸等)、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、および無機/鉱酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、スルホン酸、等)が挙げられる。これらの塩を、本発明の不斉反応に用いてもよい。
ジスルフィド(IIIa)の触媒活性は、NMR分光法を用いて確認した。ジエチル亜鉛からベンズアルデヒドへ変換するエチル基の不斉1,2−付加反応を、20mol%の(IIIa)を触媒として用いて行った。粗反応生成物の1H NMR分光分析により、検出可能なMITHを含有しない、1−フェニルプロパノールおよびジスルフィド(IIIa)の二元混合物が明らかになった。また、触媒(IIIa)は、カラムクロマトグラフィーによる分離後、98%の収率で回収した。まとめると、これらの結果は、ジスルフィド(IIIa)が触媒種であることを示唆しており、このジスルフィドがジエチル亜鉛との接触の際に遊離亜鉛チオレートに変換されたという可能性が排除されるということである。式(IIIa)の新しいジスルフィド化合物を、アリール亜鉛付加反応に用いてもよい(例えば、表1のエントリー7参照)。ベンズアルデヒドは、スムーズに96%e.e.でジアリールメタノールに変換され;J.Org.Chem.2006,71,833−835で報告されているのと同じ光学純度がMITH触媒について観察された。
表1.アルデヒド類への不斉有機亜鉛付加
Figure 0005918386
Figure 0005918386
上記の説明及び以下の実施例で使用する記号、規則および略語は、現在の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society and The ACS Style Guide:effective communication of scientific information,3rd ed.;Coghill,A.M.and Garson,L.R.ed.;Washington,DC,Oxford University Press,New York Oxford,2006で使用するものと一致する。
t−Bu:tert−ブチル
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
Ph:フェニル(C65
g:グラム
mg:ミリグラム
mL:ミリリットル
M:モル濃度
N:規定度
MHz:メガヘルツ
mol:モル
mmol:ミリモル
min:分
h:時間
TLC:薄層クロマトグラフィー
IPA:イソプロパノール
DCM:ジクロロメタン
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
THF:テトラヒドロフラン
塩水:飽和塩化ナトリウム水溶液
AcOH:酢酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
以下の実施例を、さらなる説明のために提供するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1:式(IIIa)のジスルフィドの合成
(1S,4R)−N−ベンジル−10−カンファースルホンアミド(Va)
Figure 0005918386
カンファースルホニルクロリド(80.1g、0.32mol)をジクロロメタン(DCM、160mL)中に含む溶液を、ベンジルアミン(87.5mL、0.80mol)をDCM(240mL)中に含む溶液に滴下して加えた。添加は<20℃で行い、続いてこの混合物を周囲温度で撹拌した。HPLC分析による判断により反応を完了した後、この混合物を、DCM(240mL)および3N HCl水溶液(640mL)で希釈した。0.5時間撹拌後、層を分離し、有機層を1M Na2CO3水溶液(400mL)および塩水(400mL)で洗浄した。DCMを蒸発し、オレンジ色の油を得た。この油をさらに精製することなく使用した。プロトンおよび炭素NMRスペクトルは、報告されたデータ(Tetrahedron:Asymmetry 1997,8,2479−2496)と同一であった。
(1S,4R)−N−ベンジル−2−ヒドロキシイミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IXa)
Figure 0005918386
(1S,4R)−N−ベンジル−10−カンファースルホンアミド(Va)をエタノール(320mL)中に含む溶液に、酢酸ナトリウム(39.4g、480mmol)およびNH2OH・HCl(33.4g、481mmol)を加えた。この反応混合物を、TLCによる判断で反応が完了するまで穏やかな還流下で加熱した。この熱い溶液をろ過し固形分をエタノール(80mL)で洗浄した。ろ液を周囲温度まで冷却した後、水(800mL)を混合濾液に滴下して加えた。1時間周囲温度で攪拌後、生成混合物をろ過し、ろ過ケーキをエタノール/水混合物(1:2、240mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、白色粉末(105.9g、315mmol、2工程で98%、>99.9%HPLC純度)を得た。プロトンおよび炭素NMRスペクトルは、報告されたデータ(Tetrahedron:Asymmetry 2000,11,1629−1644)と同一であった。
(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(VIa)
Figure 0005918386
(1S,4R)−N−ベンジル−2−ヒドロキシイミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IXa)(45.0g、134mmol)をエタノール(360mL)中に含む溶液を、−20〜−10℃で、酢酸ナトリウム(94.5g、1150mmol)およびTiCl3(460mmol)を10.5重量%HCl水溶液(320mL)中に含む溶液に滴下して加えた。添加は、0℃未満で行い、この反応混合物を次に0℃で1時間撹拌してから純t−BuNH2・BH3(29.1g、335mmol)を分けて加えた。この混合物を、0〜10℃で30分間、次いで周囲温度で撹拌した。反応終了後、溶液を酢酸エチル(675mL)で希釈し、水(450mL)で抽出した。層の分離後、有機層を、飽和NH4Cl水溶液(675mL)、1M Na2CO3水溶液(900mL)、そして最後に10%NaCl水溶液(450mL)で洗浄した。有機溶液を濃縮し、淡黄色粉末として粗アミン生成物(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(VIa)を得た。粗生成物を70〜75℃でエタノール(180mL)に溶解し、熱ろ過した。ろ過ケーキを熱エタノール(45mL)で洗浄し、ろ液をゆっくりと冷却して約50℃で再結晶化させた。0℃で1時間撹拌後、白色の懸濁液をろ過し、冷エタノール(45mL)で洗浄し、白色粉末(23.5g;54%;>99.9%の純度、HPLCによる評価)として純(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(VIa)を得た。
1H NMR δ (400 MHz, CDCl3) 7.39−7.31 (m, 5H), 5.05 (br, 1H), 4.37 (d, J= 14.2 Hz, 1H), 4.32 (d, J= 14.2 Hz, 1H), 3.49 (d, J= 13.6 Hz, 1H), 3.27 (dd, J= 8.8, 5.2 Hz, 1H), 2.76 (d, J= 14.0 Hz, 1H), 1.82−1.70 (m, 4H), 1.55−1.46 (m, 4H), 1.19−1.15 (m, 1H), 0.98 (s, 3H), 0.76 (s, 3H)。 ESI MS計算値 [C172622SNa+]= 345.1607、実測値:345.1611
(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−モルホリノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IIa)
Figure 0005918386
ビス(2−ブロモエチル)エーテル(18.3mL、146mmol)を、(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(VIa)(23.5g、72.9mmol)およびN,N−Diイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(55.8mL、320mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)(470mL)中に含む溶液に加えた。この溶液を、アミン(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(VIa)がHPLC分析により<2%になるまで120℃で加熱した。この混合物を周囲温度まで冷却し、トルエン(470mL)で希釈し、水(470mL)で抽出した。層を分離した後、トルエン層を10%NaCl水溶液(それぞれ230mL)で2回洗浄し、濃縮して、褐色の固体として粗生成物を得た。ゆっくりと75℃から60℃に冷却し、60℃で1時間攪拌し、周囲温度に冷却してからn−ヘプタン(70mL)を加え1時間攪拌することによりトルエン(23mL)およびn−ヘプタン(47mL)の混合物から、スルホンアミド(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−モルホリノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IIa)を結晶化させた。懸濁液を濾過し、粉末をトルエンおよびn−ヘプタンの混合物(1:5、47mL)で洗浄して、オレンジ色から薄茶色の粉末(22.2g;78%;98.9%の純度、HPLCによる評価)として、(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−モルホリノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IIa)を得た。
1H NMR δ (400 MHz, CDCl3) 7.41−7.31 (m, 5H), 4.99 (t, J= 6.2 Hz, 1H), 4.36 (dd, J= 13.8, 6.2 Hz, 1H), 4.30 (dd, J= 13.8, 5.8 Hz, 1H), 3.78 (d, J= 14.8 Hz, 1H), 3.65 (ddd, J= 11.2, 6.4, 2.8 Hz, 2H), 3.58 (ddd, J= 11.2, 6.0, 3.2 Hz, 2H), 2.88 (d, J= 14.8 Hz, 1H), 2.71−2.57 (m, 5H), 2.15 (ddd, J= 12.3, 12.3, 4.9 Hz, 1H), 1.98−1.91 (m, 1H), 1.83−1.74 (m ,1H), 1.71 (dd, J= 4.4 Hz, 1H), 1.56 (ddd, J= 12.8, 9.5, 3.5 Hz, 1H), 1.46 (dd, J= 13.0, 9.4 Hz, 1H), 1.20 (ddd, J= 12.5, 9.3, 4.9 Hz, 1H), 0.87 (s, 3H), 0.78 (s, 3H)。 ESI MS計算値[C213223SNa+]=415.2026、実測値:415.2028
(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)
Figure 0005918386
(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−モルホリノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IIa)(10.07g、25.7mmol)をトルエン(70mL)中に含む溶液に、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(73mL、70重量%トルエン、256mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。HPLCによる判断で反応が完了した後に、混合物を0℃に冷却してTHF(140mL)、水(10mL)、珪藻土、15%NaOH水溶液(10mL)、水(26mL)およびNa2SO4を順次加えた。懸濁液を周囲温度で1時間撹拌した。混合物を珪藻土を用いてろ過し、ろ過ケーキをTHF(それぞれ140mL)で2回洗浄した。濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈し、そして10%NaCl水溶液(100mL×3)および塩水(50mL)で洗浄し、濃縮して淡褐色の半固体として粗ジスルフィドを得た。これを直接次の工程で使用した。
1H NMR δ (400 MHz, CDCl3) 3.76 (ddd, J= 11.0, 6.6, 2.6 Hz, 4H), 3.63 (ddd, J= 11.0, 6.6, 3.0 Hz, 4H), 3.25 (d, J= 12.0 Hz, 2H), 2.80 (d, J= 11.6 Hz, 2H), 2.73−2.69 (m, 4H), 2.58−2.54 (m, 4H), 2.32 (dd, J= 9.2, 6.0 Hz, 2H), 1.94−1.90 (m, 2H), 1.72−1.64 (m, 4H), 1.36 (dd, J= 12.8, 9.2 Hz, 2H), 1.25−1.16 (m, 4H), 1.09−1.05 (m, 2H), 0.874 (s, 6H), 0.866 (s, 6H)。 ESI MS計算値 [C2848222Na+]= 531.3049、実測値:531.3058。MS/MS(m/e):254.2、509.5。
実施例2:MITH・HCl(Ib)の合成
(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))
Figure 0005918386
粗ジスルフィド(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)を酢酸(20mL)およびTHF(40mL)中に含む溶液に、亜鉛末(8.4g、128mmol)を加えた。反応がHPLC分析により完了するまで、この混合物を60℃で加熱した。この混合物を次に周囲温度に冷却し、酢酸エチル(60mL)で希釈した。懸濁液のpHを20%Na2CO3水溶液(50mL)で約6〜7に上昇させ、珪藻土を加え、この混合物をさらなる珪藻土を用いてろ過した。ろ過ケーキを酢酸エチル(100mL)で洗浄した。ろ液を水(100mL)と混合し、有機層を10%Na2CO3水溶液(100mL)、10%NaCl水溶液(100mL)、および塩水(50mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、黄色の油状物として粗(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))を得た。これを直接次の工程で使用した。プロトンNMRスペクトルは、報告されたデータ(J.Org.Chem.2006,71,833−835)と同一であった。
1H NMR δ (400 MHz, CDCl3) 3.73 (ddd, J= 11.1, 6.3, 3.1 Hz, 2H), 3.65 (ddd, J= 11.2, 6.0, 3.2 Hz, 2H), 2.88 (dd, J= 13.4, 7.8 Hz, 1H), 2.68−2.57 (m, 5H), 2.46 (dd, J= 9.2, 6.0 Hz, 1H), 1.97−1.90 (m, 1H), 1.76−1.67 (m, 2H), 1.61−1.53 (m, 2H), 1.44−1.32 (m, 2H), 1.14−1.07 (m, 1H), 0.92 (s, 3H), 0.88 (s, 3H).
(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(MITH・HCl;(Ib))
Figure 0005918386
粗(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))を酢酸エチル(50mL)中に含む溶液を、シリカゲルの1cmパッドを用いて濾過し、このシリカゲルのパッドを酢酸エチル(100mL)で1回洗浄した。ろ液を濃縮し、得られた油(4.34g、24.0%HPLC純度)をイソプロパノール(IPA)(13mL)およびn−ヘプタン(22mL)で希釈した。HClのIPA溶液(22mL、73mmol)を、この溶液に滴下して加え、得られた懸濁液を69〜71℃に加熱することで溶解した。この溶液を穏やかに35℃に冷却し、その後1時間この温度に保ってから、n−ヘプタン(13mL、3vol.)を加えた。その後、この懸濁液を周囲温度に冷却し、約1時間攪拌した。この混合物をろ過し、ろ過ケーキをIPAおよびn−ヘプタン(1:2、13mL)の混合物で洗浄し、白色粉末(1.65g;22%;95.5%の純度、HPLCによる評価)として(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(Ib)を得た。
1H NMR δ (400 MHz, DMSO−d6) 9.80 (s, 1H, br), 4.28−4.12 (m, 2H), 3.91−3.81 (m, 3H), 3.54−3.49 (m, 2H), 3.37−3.28 (m, 2H), 3.15−3.06 (m, 1H), 2.84−2.77 (m, 2H), 2.25−2.22 (m, 1H), 1.80−1.65 (m, 4H), 1.40−1.35 (m, 1H), 1.17−1.09 (m, 1H), 0.98 (s, 3H), 0.89 (s, 3H).
実施例3:MITH(Ia)の合成
(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))
粗(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))を実施例2のように調製し(5.04g、12.8mmolの(1S,2R,4R)−N−ベンジル−2−モルホリノ−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホンアミド(IIa)から)、酢酸エチル/n−ヘプタン(1:20)を溶離液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の油(2.32g;2工程で71%の収率)を得た。(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH)は、NMRの評価によると実質的に純粋であった。
実施例4:(IIIb)の合成
(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン塩酸塩(IIIb)
Figure 0005918386
(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)(111mg、0.22mmol)をIPA(1mL)およびn−ヘプタン(2mL)中に含む溶液に、HClのIPA溶液(1mL、4.9mmol)を加えた。得られた混合物を真空中で濃縮し、白色粉末としてタイトルの生成物である(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン塩酸塩(IIIb)を得た。
1H NMR δ (400 MHz, CD3OD) 4.50−4.45 (m, 2H), 4.29−4.24 (m, 1H), 4.05−3.96 (m, 3H), 3.70−3.67 (m, 1H), 3.59−3.55 (m, 2H), 3.29−3.20 (m, 2H), 2.40−2.36 (m, 1H), 1.96−1.83 (m, 4H), 1.49−1.44 (m, 1H), 1.34−1.24 (m, 1H), 1.08 (s, 3H), 1.03 (s, 3H).
実施例5:モルホリノ−(1S,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ−[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホンアミド(IIc)の合成
モルホリノ−(1S,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−1−イル)メタンスルホンアミド(VIIc)
Figure 0005918386
反応容器に、モルホリノ−(1S,4R)−10−カンファースルホンアミド(10.0g、33.2mmol)、トルエン(130mL)、およびモルホリン(28.6mL、332mmol)を投入した。この混合物を60℃に加熱し、TiCl4(7.3mL、66.6mmol)をトルエン(70mL)中に含む溶液を10分の時間をかけて滴下して加えた。次いでこの混合物を22時間穏やかな還流下で攪拌してから、周囲温度に冷却した。この懸濁液を珪藻土を用いてろ過し、ろ過ケーキをトルエン(各回あたり100mL)で2回洗浄して、トルエン中の溶液として純粋エナミンモルホリノ−(1S,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−en−1−イル)メタンスルホンアミド(VIIc)を得た。エナミンを次の還元工程に直接使用した。
1H NMR δ (400 MHz, CDCl3), 5.12 (d, J= 3.6 Hz, 1H), 3.83 (dd, J= 4.6, 4.6 Hz, 4H), 3.76 (dd, J= 4.8, 4.8 Hz, 4H), 3.52 (d, J= 15.2 Hz, 1H), 3.36−3.26 (m, 4 H), 3.08−3.02 (m, 2H), 2.75 (d, J= 14.8 Hz, 1H), 2.52−2.47 (m, 3H), 2.28 (dd, J= 3.6, 3.6 Hz, 1H), 2.01−1.94 (m, 1H), 1.53 (ddd, J= 12.3, 9.1, 3.5 Hz, 1H), 1.23−1.17 (m, 1H), 0.923 (s, 3H), 0.861 (s, 3H).
モルホリノ−(1S,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホンアミド(IIc)
Figure 0005918386
ギ酸(5.2g、113mmol)をDCM(50mL)中に含む溶液を、0〜10℃でエナミンモルホリノ−(1S,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−en−1−イル)メタンスルホンアミド(VIIc)(32g、86.4mmol)をDCM(160mL)中に含む溶液にゆっくりと加えた。この反応混合物を、4時間周囲温度で撹拌し、0.4N HCl水溶液(250mL)の添加により鎮静化した(quenched)。層の分離後、水層を30%NaOH水溶液でpH8〜9にした。この溶液をDCM(300mL)で抽出し、このDCM溶液を回収し、無水MgSO4上で乾燥・濃縮して、固形物(20.4g、63%;95.7%の純度、GCによる評価)として、粗生成物モルホリノ−(1S、4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホンアミド(IIc)を得た。
実施例6:(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(MITH・HCl;(Ib))により触媒される代表的なジエチル亜鉛付加反応
(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(MITH・HCl;(Ib))(58mg、0.20mmol)およびジエチル亜鉛溶液(3.2mmol、1.0Mヘキサン中)の混合物を周囲温度で30分間撹拌後、純ベンズアルデヒド(200μL、2.0mmol)を0℃で一度に添加した。反応が完了したら(TLC分析による判断)、この反応生成混合物に飽和NH4Cl水溶液(3mL)をゆっくりと添加し、その後酢酸エチル(20mL)を加えた。この混合物を1N HCl水溶液(各回あたり200mL)および塩水(5mL)で2回洗浄して、固形Na2SO4上で乾燥・濃縮して、無色の油を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:10酢酸エチル/n−ヘプタン)により精製し、無色の油(217mg;80%;96.3%e.e.)として(R)−1−フェニル−プロパノールを得た。光学純度は、Chiralcel OD−Hキラルカラムを用いた順相HPLCにより決定した(定組成IPA/ヘキサン=2:98、1.0mL/分の流速による溶出;254nmでモニターした)。
実施例7:(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(MITH・HCl;(Ib))から調製される(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール、(−)−2−エキソ−モルホリノイソボルン−10−チオール(MITH;(Ia))により触媒される代表的なジエチル亜鉛付加反応
(1S,2R,4R)−(7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンチオール塩酸塩(MITH・HCl;(Ib))(58mg、0.20mmol)をn−ヘプタン(10mL)中に含む溶液を、1M Na2CO3(10mL)で抽出した。層の分離後、n−ヘプタン層を10%NaCl水溶液(5mL)で洗浄し濃縮した。残った油を、n−ヘプタン(10mL)と共蒸発させて、無色の油としてMITH遊離塩基を得た。この油に、ジエチル亜鉛(3.0mmol、1.0Mヘキサン中)を周囲温度で加え、この混合物を10分間攪拌した。純ベンズアルデヒド(200μL、2.0mmol)を0℃で一度に添加した。TLCによる判断でベンズアルデヒドが完全に消費したら、この反応生成混合物に飽和NH4Cl水溶液(3mL)をゆっくりと添加し、その後酢酸エチル(20mL)を加えた。この混合物を1N HCl水溶液(各回あたり200mL)および塩水(5mL)で2回洗浄して、固形Na2SO4上で乾燥・濃縮して、無色の油を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:10酢酸エチル/n−ヘプタン)により精製し、無色の油(232mg;85%;96.3%e.e.)として(R)−1−フェニル−プロパノールを得た。
実施例8:(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)により触媒される代表的なジエチル亜鉛付加反応
(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)(51mg、0.10mmol)およびジエチル亜鉛(3.2mmol、1.0Mヘキサン中)の混合物を周囲温度で30分間撹拌後、純ベンズアルデヒド(200μL、2.0mmol)を一度に添加した。TLCによる判断でベンズアルデヒドが完全に消費したら、この反応生成混合物に飽和NH4Cl水溶液(3mL)をゆっくりと添加し、その後酢酸エチル(20mL)を加えた。この混合物を1N HCl水溶液(各回あたり200mL)および塩水(5mL)で2回洗浄して、固形Na2SO4上で乾燥・濃縮して、無色の油を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:10酢酸エチル/n−ヘプタン)により精製し、無色の油(221mg;81%;95.2%e.e.)として(R)−1−フェニル−プロパノールを得た。
実施例9:(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)により触媒される代表的なプロパルギル亜鉛付加反応
(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)(51mg、0.10mmol)およびTHF(0.66mL)の溶液に、ジメチル亜鉛(3.3mL、4.0mmol、1.2Mトルエン中)およびフェニルアセチレン(0.44mL、4.0mmol)を加えた。2時間周囲温度で撹拌した後、溶液を0℃に冷却した。純ベンズアルデヒド(0.10mL、1.0mmol)を一度に添加し、この反応を0℃で2日間撹拌した。反応は、飽和NH4Cl水溶液(3mL)をゆっくりと加えることにより鎮静化させてから、DCM(20mL)および1N HCl水溶液(15mL)で希釈した。層の分離後、この水溶液をDCM(10mL)で2回洗浄した。DCM層は、合わせて固形Na2SO4上で乾燥・濃縮して、淡黄色の油を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:5酢酸エチル:n−ヘプタン)により精製し、淡黄色の油(80mg;38%;18.2%e.e.)として(1S)−1,3−ジフェニル−プロパ−2−イン−1−オールを得た。光学純度は、Chiralcel OD−Hキラルカラムを用いた順相HPLCにより決定した(定組成10:90IPA/ヘキサン、1.0mL/分の流速による溶出;254nmでモニターした)。
実施例10:(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)により触媒される代表的なフェニル亜鉛付加反応
フェニルボロン酸(0.24g、2mmol)をトルエン(4.0mL)中に含む溶液に、ジエチル亜鉛(6.0mL、6mmol、1.0Mヘキサン中)を加えた。この混合物を、一晩60℃で加熱してから、周囲温度に冷却した。この混合亜鉛溶液を、シリンジを用いて(1S,2R,4R)−1,2−ビス((7,7−ジメチル−2−モルホリノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)ジスルファン(IIIa)(51mg、0.1mmol)を含む別のフラスコに移した。周囲温度で10分してから、この混合物を0℃に冷却し、純p−トルアルデヒド(108μL、1mmol)を滴下して加えた。この反応は、0℃で24時間攪拌し、飽和NH4Cl水溶液(3mL)をゆっくりと加えることにより鎮静化させてから、次いでDCM(25mL)および1N HCl水溶液(30mL)で希釈した。層の分離後、この水溶液をDCM(20mL)で2回洗浄した。DCM層は、合わせてNa2SO4上で乾燥・濃縮して、黄色の油を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:6酢酸エチル:n−ヘプタン)により精製し、白色固体(0.147g;74%収率;95.9%e.e.)として(R)−フェニル−p−トリル−エタノールを得た。光学純度は、Chiralcel OD−Hキラルカラムを用いた順相HPLCにより決定した(定組成10:90IPA/ヘキサン、0.5mL/分の流速による溶出;254nmでモニターした)。
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例により幾分詳細に記載されているが、当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で可能なことを理解するであろう。加えて、本明細書に示す参考文献は、各参考文献を個別に参照により援用するのと同程度にその全体を参照により援用する。本出願および本明細書に示す参考文献との間に競合が存在する場合には、本出願が優勢であるものとする。

Claims (15)

  1. 式(I)
    Figure 0005918386
    の化合物を調製する方法であって、
    i)化合物(II)
    Figure 0005918386
    のスルホンアミドを、式(III)
    Figure 0005918386
    のジスルフィド化合物を提供するために、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、および水素化ジイソブチルアルミニウムから選択される第一還元剤と接触させる;そして
    ii)(I)の化合物を形成するために、式(III)のジスルフィド化合物を、ゼロ価金属合金、非ゼロ価金属、および金属水素化物から選択される第二還元剤に接触させる
    (式中、R1およびR2は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;
    3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合により
    3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)ことを含む、
    式(I)の化合物を調製する方法。
  2. 前記第一還元剤は水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、請求項に記載の方法。
  3. 前記第二還元剤は、亜鉛金属、ナトリウム金属、カリウム金属、アルミニウム金属、鉄金属およびマグネシウム金属から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第二還元剤は、亜鉛金属である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 3、R4、およびNは一緒になって、モルホリン基を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 化合物(II)のスルホンアミドは、エキソ−ジアステレオマーIIx
    Figure 0005918386
    である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 更に、
    iii)式(I)の化合物を酸(HX)に接触させることにより、式(I)の化合物を、その酸塩(Is)
    Figure 0005918386
    へ変換する
    (式中、HXは、無機/鉱酸、カルボン酸、および有機スルホン酸よりなる群から選択される)ことを含む、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 式(Is)の化合物はエキソ−ジアステレオマーである、請求項7に記載の方法。
  9. 酸はHClである、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 化合物(III)
    Figure 0005918386
    (式中、R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合により
    3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る)ならびに化合物(III)のエナンチオマーよりなる群から選択される化合物。
  11. 化合物(IIIa)
    Figure 0005918386
    および化合物(IIIa)のエナンチオマーよりなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
  12. 化合物(XI)
    Figure 0005918386
    (式中、R3およびR4は独立して、H、ベンジル、置換ベンジル、C1−12アルキル、C3−10シクロアルキル、C4−9ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、またはC5−9ヘテロアリールであり;あるいは場合により
    3、R4、およびNは一緒になって、C3−10複素環を形成し得る;そして
    HXは、無機/鉱酸、カルボン酸、および有機スルホン酸よりなる群から選択される。)ならびに(XI)のエナンチオマーよりなる群から選択される化合物。
  13. 化合物(IIIb)
    Figure 0005918386
    および(IIIb)のエナンチオマーよりなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
  14. 式(I)の化合物は、化合物(Ia)
    Figure 0005918386
    および化合物(Ia)のエナンチオマーよりなる群から選択され;
    化合物(II)のスルホンアミドは、化合物(IIa)
    Figure 0005918386
    および化合物(IIa)のエナンチオマーよりなる群から選択され;
    式(III)の化合物は、化合物(IIIa)
    Figure 0005918386
    および化合物(IIIa)のエナンチオマーよりなる群から選択され;
    ただし式(I)、(II)、または(III)の化合物のいずれか1つが所与のエナンチオマーとして存在する場合、その他の化合物も同じ立体化学構造を有するという条件においてである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  15. 式(Is)の化合物は、(Ib)
    Figure 0005918386
    および化合物(Ib)のエナンチオマーよりなる群から選択される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
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