JP5916521B2 - アルカンジスルホニルジフロライドの製造方法 - Google Patents

アルカンジスルホニルジフロライドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルカンジスルホニルジフロライドの製造方法に関する。
アルカンジスルホニル化合物は動物用の医薬(特許文献1及び2)、電池(特許文献3)等に用いられている。アルカンジスルホニル化合物は、更に電解フッ素化(シモンズ法)やフッ素ガスフッ素化等によってペルフルオロアルカンジスルホニル化合物にして、イオン伝導材料のアニオン源(特許文献4及び5)、抗菌防カビ剤(特許文献6)、酸触媒等に導く事ができる。一般にペルフルオロスルホニル化合物を電解フッ素化(シモンズ法)やフッ素ガスフッ素化等の方法で得ようとする場合は、スルホン酸ハロゲン化物が原料に適し、フロライドがよい収率で目的化合物を与えている(非特許文献1)。
ところで、これらの原料となるアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法としては、非特許文献2が知られている。具体的に、非特許文献2には、下記式(1)に示すように、メタンジスルホニルジクロライド(Cl−OSCHSO−Cl)とアルカリ金属フッ素化物(例えば、KF)のフッ化水素付加体(例えば、KHF)とを120℃で4時間加熱してメタンジスルホニルジフロライドに変換し、除熱した後にアセトニトリルで抽出濾過、濃縮して粗製物を得る方法が開示されている。
Figure 0005916521
Cl,Br,Iを含む有機ハロゲン化合物をフッ素置換する場合、従来、アルカリ金属フッ化物(MF;M=Li、Na、K、Cs)、一般にはフッ化カリウム(KF)を用い、非プロトン性極性溶媒中で行われている。なお、化学式(R−SOCl)で示される化合物をフッ素化して、化学式(R−SOF)の化合物を得る場合、KF/アセトニトリル(非特許文献3)、KHF/水(非特許文献4)の方法も行われている。
特開2008−189612号公報 特表昭61−501089号公報 特開2007−273445号公報 特開2010−123265号公報 再公表WO2009/025246号公報 特開2008−184451号公報
化学総説(1980)No.27 29−30 Journal of Fluorine Chemistry 69(1994)157−162 フッ素の化学(1993)38−41 Chemistry of Organic Fluorine Compounds 2nd Edition(1976)128
しかしながら、非特許文献2に記載の方法では、蒸留精製後のアルカンジスルホニルジフロライドの収率は75%程度であり、生産性向上のために収率の改善が望まれていた。
また、非特許文献2に記載の方法では、上記式(1)に示すように、塩化カリウム(KCl)が生成し、フッ素化反応中にスラリーが固化するために撹拌が困難になるという問題があった。
さらに、酸性フッ化カリウム(KHF)から、反応によって発生するフッ化水素(HF)および上記式(1)に示す反応中に発生する塩化水素(HCl)により、金属又はガラス製の装置では腐食されやすいという問題があった。更にまた、フッ素樹脂材等を被覆した装置の場合には腐食はされないが、固化物(例えば、KCl及びKF)が堅いために被覆材が損傷してしまうために装置の耐久性が懸念されるという課題があった。
また、アルカンジスルホニルジフロライド、特にメタンジスルホニルジフロライドは、加水分解を受けやすいという性質がある。このため、反応後に混入するフッ化水素を除く目的で水洗浄を行うと、実質的に収量が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、目的物であるアルカンジスルホニルジフロライドを高収率で得るとともに、製造装置への影響を最小限とすることが可能な、アルカンジスルホニルジフロライドの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] 化学式(Cl−OSC2nSO−Cl;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジクロライドをフッ素化して、化学式(F−OSC2nSO−F;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジフロライドを製造する方法であって、
前記アルカンジスルホニルジクロライドとフッ化水素とを、前記フッ化水素と水素結合錯体を形成する溶媒中で反応させるとともに、
前記溶媒として、ニトリル類、エーテル類、硫化物類、ケトン類、アミン類のいずれかを用いることを特徴とするアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
[2] 前記アルカンジスルホニルジクロライド、前記フッ化水素及び前記溶媒を含む反応液を、還流条件で反応させることを特徴とする前項1に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
[3]記溶媒として、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、硫化エチル、アセトン、ピリジン、トリエチルアミンのいずれかを用いることを特徴とする前項1又は2に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
] 前記フッ化水素は、前記アルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも少なくすることを特徴とする前項1乃至3のいずれか一項に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
] 前記フッ化水素を完全に消費させた後、前記反応液にフッ化カリウムを加えて反応を完結させることを特徴とする前項に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
] 前記フッ化水素を、前記アルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも多く用い、反応後の前記反応液に、アルミナ、活性炭、モレキュラシーブスのいずれかを加えて、当該反応液に残存する未反応の前記フッ化水素を除去することを特徴とする前項2又は3に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
本発明のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法によれば、目的物であるアルカンジスルホニルジフロライドを高収率で得るとともに、製造装置への影響を最小限とすることが可能となる。
以下、本発明を適用した一実施形態として、アルカンジスルホニルジフロライドの製造方法ついて、以下に詳細に説明する。
本実施形態のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法は、化学式(Cl−OSC2nSO−Cl;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジクロライドをフッ素化して、化学式(F−OSC2nSO−F;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジフロライドを製造する方法である。具体的には、下記式(2)で示すように、アルカンジスルホニルジクロライドとフッ化水素とを、フッ化水素と水素結合錯体を形成する溶媒中で反応させることを特徴とする。
Figure 0005916521
原料としては、化学式(Cl−OSC2nSO−Cl;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジクロライドを用いる。具体的には、メタンジスルホニルジクロライド(Cl−OSCHSO−Cl)、エタンジスルホニルジクロライド(Cl−OSCHCHSO−Cl)、プロパンジスルホニルジクロライド(Cl−OSCHCHCHSO−Cl)が対象となる。
上記フッ化水素と水素結合錯体を形成する溶媒(以下、単に「溶媒」という)は、特に限定されるものではないが、入手が容易であって沸点が好適なもの(加熱によってフッ化水素が揮散しないもの)が好ましい。このような溶媒としては、ニトリル類、エーテル類、硫化物類、ケトン類、アミン類等があげられる。
上記ニトリル類としては、具体的には、アセトニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
上記エーテル類としては、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等の非環状エーテル類;モノグライム、ジグライム等の各種グリコール及びそのエーテル類等が挙げられ、上記非環状対称エーテルのほか非対称のものでも良い。
上記硫化物類としては、具体的には、硫化エチル等が挙げられる。
上記ケトン類としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記アミン類としては、具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミン類、上記対称3級アミンのほか非対称のもの、同様に2級、1級アミン類、各種置換体を含むピリジン類等が挙げられる。
なお、溶媒の沸点は、高いほうが好ましい。溶媒の沸点が高いと、還流条件において高い温度を用いることができるため、フッ素化反応の処理時間を短縮することができる。このような溶媒としては、沸点60℃以上のものが好ましい。
本実施形態では、アルカンジスルホニルジクロライドとフッ化水素とを、上記溶媒中で反応させる。より具体的には、アルカンジスルホニルジクロライド、フッ化水素及び溶媒を含む反応液を、還流冷却器を備えた耐蝕材質又は耐蝕材質で被覆された反応容器に入れ、撹拌しながら還流条件で反応させる。ここで、上記還流条件は、反応に用いる溶媒の種類によって適宜最適化することができる。具体的には、例えば、原料としてメタンジスルホニルジクロライド、溶媒としてアセトニトリルを用いたフッ素化反応の場合には、温度82℃、反応時間(撹拌時間)40時間以内、溶媒としてジオキサンを用いた場合は、温度100℃、反応時間(撹拌時間)12時間以内である。
ここで、アルカンジスルホニルジクロライドに対するフッ化水素の添加量は、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも多くすることが好ましい。これにより、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドのアルカンジスルホニルジフロライドへの転化を完全に行わせることができる。
なお、フッ化水素の添加量を上記理論量よりも多くした場合には、反応液に、除害剤を加えることにより、当該反応液に残存する未反応のフッ化水素を除去する。上記除害剤としては、例えば、アルミナ、活性炭、モレキュラシーブス等を挙げることができる。また、フッ化水素の除去に用いた除害剤は、適切な再生処理を施すことにより再度使用することができる。
一方、アルカンジスルホニルジクロライドに対するフッ化水素の添加量は、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも少なくしても良い。理論量よりも少ないフッ化水素を用いることにより、反応後の反応液中のフッ化水素の残存をなくすことができる。これにより、後処理工程でのフッ化水素による装置、器具の腐食を防止することができる。
アルカンジスルホニルジクロライドに対するフッ化水素の添加量を、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも少なくした場合でも、原料はほぼ消費され、少なくても片方の塩素はフッ素に置換された中間体(ジスルホニルフロライドクロライド;F−OSC2nSO−Cl)に変換されて残存する。この場合、MF(M=Li、Na、K、Cs)を添加して再度還流反応を行うことにより、分解等の副反応を伴わずに目的物であるアルカンジスルホニルジフロライドに変換することができる。
フッ素化反応の終了後、反応液を室温に冷却する。上記除害処理をする場合は、除害剤を投入し撹拌し、濾過する。除害剤は予め力価を求め、投入量は反応液の分析によって決定する。MF(M=Li、Na、K、Cs)を添加して再度反応を行った場合は濾過のみを行う。その後、ロータリーエバポレーター等を用いて濾液を濃縮し、蒸留又は再結晶を行うことにより、純粋なアルカンジスルホニルジフロライドを得ることができる。ここで、本実施形態の製造方法によれば、処理後又は反応後の反応液中にフッ化水素が残存していないため、濃縮あるいは蒸留等の後処理において、ガラス等の装置を腐食させることなく使用することが可能となる。
以上の工程により、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドから対応するアルカンジスルホニルジフロライドを、例えば90%以上の高い収率で得ることができる。具体的には、メタンジスルホニルジフロライド(F−O2SCH2SO2−F)、エタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHCHSO−F)、プロパンジスルホニルジフロライド(F−OSCHCHCHSO−F)を得ることができる。
本実施形態のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法によれば、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとフッ化水素とを、フッ化水素と水素結合錯対を形成する溶媒中において還流条件で反応させることにより、目的物であるアルカンジスルホニルジフロライドを高収率で得ることができる。
また、フッ素化反応において塩化カリウム(KCl)やフッ化カリウム(KF)等の過剰な固形物が生成しないため、フッ素化反応の際に反応容器内を撹拌する場合であっても反応容器を損傷することがない。
さらに、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりもフッ化水素の添加量を少なくすることにより、反応後の反応液中へのフッ化水素の残存を防止することができる。このため、濃縮あるいは減圧蒸留といった後処理において、ガラス製等の装置を腐食させることなく使用することができる。
更にまた、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりもフッ化水素の添加量を多くした場合には、原料であるアルカンジスルホニルジクロライドのアルカンジスルホニルジフロライドへの転化を完全に行わせることができる。この場合には、反応後の反応液に除害剤を加えることにより、反応液中に残存する未反応のフッ化水素を除去することができるため、濃縮あるいは減圧蒸留といった後処理において、ガラス製等の装置を腐食させることなく使用することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下、実施例によって本発明の効果をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって、なんら限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、フッ素樹脂製の還流冷却器及び温度計差し込み口を備えた、180ml容量のフッ素樹脂製反応器に、フッ素樹脂コートされた撹拌子を入れるとともに、アセトニトリル100mlを仕込んだ。次に、この反応器を氷冷し、別のフッ素樹脂容器に秤取った無水フッ化水素3.90g(0.195モル)を、配管を用いて反応器中のアセトニトリルに吸収させた。次いで、メタンジスルホニルジクロライド21.3g(0.1モル)を加えて、82℃(穏やかに還流)で40時間反応させた。
反応液の一部を取りだしてガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるメタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHSO−F)は98.5%、中間体であるメタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHSO−Cl)は0.9%であり、原料であるメタンジスルホニルジクロライドは痕跡量であった。
次に、反応液を室温に冷却した後、ガラス製の濃縮装置(ロータリーエバポレーター)を用いて濃縮し、ガラス製の蒸留装置を用いて減圧蒸留(沸点96℃/2.67kPa)した結果、ガスクロマトグラフにおいて純度99%以上の留分を収率90%(収量16.36g)で得た。なお、ガラス製の濃縮器及び蒸留装置に腐食は認められなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に反応を行い、30時間後に室温まで冷却し、反応液の一部を取りだしてガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるメタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHSO−F)は95.6%、中間体であるメタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHSO−Cl)は3.5%であり、原料であるメタンジスルホニルジクロライドは認められなかった。この反応液に微粉状の乾燥KFを0.5g(8.6mmol)投入し、4時間の還流で追加反応を行った。再度反応液の一部を取りだしてガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるメタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHSO−F)は97.8%、中間体であるメタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHSO−Cl)は痕跡量であった。
反応液を濾過した後、実施例1と同様にして、ガスクロマトグラフにおいて純度99%以上の留分を収率89%(収量15.96g)で得た。なお、ガラス製の濃縮器及び蒸留装置には、腐食は認められなかった。
(実施例3)
容量を1000mlとし、フッ素樹脂製の撹拌羽根を備えた他は実施例1と同様の構成のフッ素樹脂製反応器に、アセトニトリル500mlを仕込んだ。次に、この反応器を氷冷し、別のフッ素樹脂容器に秤取った無水フッ化水素22g(1.1モル)を、配管を用いて反応器中のアセトニトリルに吸収させた。次いで、メタンジスルホニルジクロライド106.5g(0.5モル)を加えて、83℃(還流)で40時間反応させた。室温まで冷却し、反応液の一部を取りだしてガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるメタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHSO−F)は98.7%、中間体であるメタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHSO−Cl)は0.2%であり、原料であるメタンジスルホニルジクロライドは認められなかった。
ポリエチレン製の容量1000ml容器に塩基性アルミナ(メルク社製 150 basic)を54.6g取り、アセトニトリル100mlを加え、フッ素樹脂製の撹拌羽根で撹拌してスラリー状にした。このスラリーに反応液を注ぎ、更に室温で30分間撹拌した。反応液をガラス製の器具で濾過した後、実施例1と同様にして、ガスクロマトグラフにおいて純度99%以上の留分を収率91%(収量82.7g)で得た。なお、ガラス製の濾過器具、濃縮器及び蒸留装置には、腐食は認められなかった。
(実施例4)
実施例1と同様の装置に1,4−ジオキサン100mlを仕込んだ。次に、この反応器を氷冷し、別のフッ素樹脂容器に秤取った無水フッ化水素3.90g(0.195モル)を、配管を用いて反応器中の1,4−ジオキサンに吸収させた。次いで、エタンジスルホニルジクロライド22.7g(0.1モル)を加えて、95℃(穏やかに還流)で72時間反応させた。
ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるエタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHCHSO−F)は69%、中間体であるエタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHCHSO−Cl)は18.82%であり、原料であるエタンジスルホニルジクロライドは痕跡量であった。
室温の当該反応液に微粉状の乾燥KFを2.9g(50mmol)投入し、5時間の還流で追加反応を行った。再度反応液の一部を取りだしてガスクロマトグラフを用いて分析したところ、目的物であるエタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHCHSO−F)は81.3%、中間体であるエタンジスルホニルフロライドクロライド(F−OSCHCHSO−Cl)は0.54%であった。
反応液を濾過した後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。室温で固化する濃縮物にクロロホルムを還流状態で溶解するまで加えた。更に、還流状態の溶液にノルマルヘキサンを少量ずつ溶液が濁り始めるまで加えた後、室温まで放冷し、更に氷で冷却した。
析出した結晶を濾過で分離し、少量のノルマルヘキサンで洗浄した後、室温で減圧乾燥した。収量は13.99gであった。また、ガスクロマトグラフでの分析では、目的物であるエタンジスルホニルジフロライド(F−OSCHCHSO−F)は98.4%、収率71%であった。
なお、参考文献[(Jounal Fluorine Chemistry 83 (1997) 145−149]では、DME/KF/水中において10〜15℃で反応を行い、精製後の収率が45%であった。
(比較例1)
上述した非特許文献2に記載された方法によって、メタンジスルホニルジクロライドからメタンジスルホニルジフロライドへのフッ素化を行った。フッ素樹脂製の機械式羽根攪拌機、還流冷却器と温度計差し込み口とを備えた300ml容量のフッ素樹脂製反応器にメタンジスルホニルクロライド201.3g(1モル)と、酸性フッ化カリウム(KHF)109.35g(1.4モル)とを仕込み、120℃で4時間反応させた。反応混合物は、始めにスラリー状、反応が進むにつれて固化し、反応終了時には撹拌羽根の回転部分しか撹拌されていなかった。
反応終了後、室温まで冷却した後、反応器にアセトニトリル100mlを加えて撹拌し、ガラス製の濾過器を用いて濾過し、ガラス製の濃縮器を用いて濃縮し、ガラス製の蒸留装置を用いて減圧蒸留した。メタンジスルホニルフロライドは133.26g(収率74%)であった。なお、濾過器、濃縮装置等のガラス製の後処理器具内には、著しい腐食が認められた。室温まで冷却した反応混合物は、撹拌された部分を除いて固化しており、アセトニトリルを加えた後、乳鉢での粉砕が必要であった。フッ素樹脂製の反応器の内面には固化物による擦過傷が、撹拌羽根には変形が認められた。
(比較例2)
比較例1と同様に反応を行った後、塩化メチレン500mlを加えて撹拌し、ポリエチレン製の濾過器で濾過した。濾液をフッ素樹脂製の分液ロートに移し、砕氷水計500mlで2回洗浄した。塩化メチレン層を分液して、硫酸ナトリウムで乾燥するまで1時間経過した。ガラス製の濾過器及び濃縮器を用いて操作した後、ガラス製の蒸留装置を用いて減圧蒸留した。メタンジスルホニルフロライドは79.97g(収率44%)に低下した。乾燥濾過器、濃縮装置等のガラス製の後処理器具内には、腐食は認められなかった。洗浄水中にはフッ化水素と共に、メタンジスルホニルフロライドからの加水分解物が認められた。
本発明により製造されたアルカンジスルホニルジフロライドを電解フッ素化、フッ素ガスフッ素化等によってペルフルオロ前駆体とし、さらに誘導体とすることにより、電池電解質、コンデンサ、イオン性液体、導電材、難燃剤等の用途に適用することが期待される。

Claims (6)

  1. 化学式(Cl−OSC2nSO−Cl;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジクロライドをフッ素化して、化学式(F−OSC2nSO−F;nは1〜3の整数)で示されるアルカンジスルホニルジフロライドを製造する方法であって、
    前記アルカンジスルホニルジクロライドとフッ化水素とを、前記フッ化水素と水素結合錯体を形成する溶媒中で反応させるとともに、
    前記溶媒として、ニトリル類、エーテル類、硫化物類、ケトン類、アミン類のいずれかを用いることを特徴とするアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
  2. 前記アルカンジスルホニルジクロライド、前記フッ化水素及び前記溶媒を含む反応液を、還流条件で反応させることを特徴とする請求項1に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
  3. 記溶媒として、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、硫化エチル、アセトン、ピリジン、トリエチルアミンのいずれかを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
  4. 前記フッ化水素は、前記アルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも少なくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
  5. 前記フッ化水素を完全に消費させた後、前記反応液にフッ化カリウムを加えて反応を完結させることを特徴とする請求項に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
  6. 前記フッ化水素を、前記アルカンジスルホニルジクロライドとの反応における理論量よりも多く用い、反応後の前記反応液に、アルミナ、活性炭、モレキュラシーブスのいずれかを加えて、当該反応液に残存する未反応の前記フッ化水素を除去することを特徴とする請求項2又は3に記載のアルカンジスルホニルジフロライドの製造方法。
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