JP5916091B2 - 口腔内崩壊錠のuvレーザー印刷方法 - Google Patents
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この様な背景から、最近になって、特定の変色誘起酸化物(酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄)を分散させた錠剤等の表面に一定のレーザー光を照射することにより、鮮明な識別文字や記号を印刷することができるUVレーザー印刷技術が開発され、その詳細が開示されている(特許文献1)。
特許文献2 特開2010−248106号公報
そこで、本発明者らは、常法にしたがってコーティングが施されていない口腔内速崩壊錠を製造し、繁用されている種々のコーティング剤に酸化チタンを分散させてコーティングし、その表面に識別文字をUVレーザー印刷する方法について検討したところ、好ましいと考えられるコーティング剤、酸化チタンの使用割合、及びUVレーザーの照射条件を組合せても、識別できる文字等の印刷は得られるものの、小さな文字をも鮮明に判別可能なほどに識別性が顕著なものを得るのは困難であることが判った。
(1)ポリビニルアルコール系重合体から選ばれた化合物と変色誘起金属酸化物とが均一に分散したコーティング液でフィルムコーティングされた口腔内崩壊錠の表面に、UVレーザーを照射することにより識別文字又は記号を印刷することを特徴とする口腔内崩壊錠のUVレーザー印刷方法。
(2)ポリビニルアルコール系重合体が、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体又はポリビニルアルコール・ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体である前記(1)に記載の方法。
(3)変色誘起金属酸化物がアナターゼ型若しくはルチル型の酸化チタン、三二酸化鉄又は黄色三二酸化鉄である前記(1)に記載の方法。
(4)ポリビニルアルコール系重合体がポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体であり、金属酸化物がアナターゼ型酸化チタンである前記(1)に記載の方法。
また、本発明は、フィルムコーティングされた錠剤の表面に所謂マーキングする方法に関するものであるから、錠剤に含まれる医薬ないし生理活性物質に何ら影響を及ぼすことがなく、種々の医薬や生理活性物質に適用できる。
これらのコーティング剤の好ましい使用量は、その種類によって異なるが、一般に、素錠である口腔内速崩壊錠100重量部に対し0.3〜1.0重量部であり、より好ましくは0.35〜0.7重量部、さらに好ましくは0.4〜0.6重量部である。
これら変色誘起金属酸化物の好ましい使用量は、その種類によって異なるが、一般に、素錠である口腔内崩壊錠100重量部に対し、0.01〜0.20重量部であり、より好ましくは0.02〜0.15重量部である。
〔参考例〕口腔内速崩壊錠(素錠)の製造
部分アルファー化デンプン(PCS/旭化成ケミカルズ製)792.5gを流動層造粒乾燥コーティング機(MP−01SPC型/パウレック製)に投入し、これに、予めドネペジル塩酸塩250g(TEVA製)及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT/大同化成工業製)7.5gを精製水750gに溶解・分散させた液を噴霧し、レイヤリング造粒した。次いで、ポリビニルアルコール共重合体20g及びタルク(クラウンタルク/松村産業製)を精製水1,300gに溶解・分散させた液を噴霧してコーティングし、乾燥した。この乾燥造粒物に、さらにメタクリル酸コポリマーLD(オイドラギッドL30D55/エボニック・テグサ・ジャパン製)1,500g、D−マンニトール(マンニットP/三菱フードテック製)125g、タルク125g及びクエン酸トリエチル(シトロフレックス2SC−60/森村商事製)を精製水1,875gに溶解・分散した液でコーティングし、乾燥して、コーティング顆粒を得た。
このコーティング顆粒とD−マンニトール3890.5g、結晶セルロース(セオラスKG−802/旭化成ケミカルズ製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学製)1,000gを流動層造粒乾燥コーティング機(FD−GPCG−5SPC型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L/日本曹達製)90gを精製水2,910gに溶解した液を噴霧しながら造粒し、乾燥して造粒顆粒を得た。
この造粒顆粒を結晶セルロース150g、l−メントール(小林桂製)12g、アスパルテーム(味の素製)150g、香料(ドライコートストロベリー/高田香料製)7.5g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製)100gと共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K型/菊水製作所製)にて打錠して、1錠質量190mg、直径8mm、口腔内崩壊時間約30秒のドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠(素錠)を得た。
参考例で得られた口腔内崩壊錠190gをコーティング機(DRC−200型/パウレック製)に投入し、これに、予めポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT/大同化成工業製)1.9g及び酸化チタン(アナターゼ型/フロイント産業製)0.1gを精製水38gに加え、超音波分散装置を用い、酸化チタンの平均粒子径が1μm以下に均一分散させた液を噴霧し、1錠質量191mgになるまでコーティングし、乾燥して口腔内崩壊時間が約60秒のレーザー印刷用口腔内崩壊錠を得た。
(2)UVレーザー印刷
前記(1)で得られたレーザー印刷用口腔内崩壊錠をUVレーザーマーキング装置(LIS−250型/クオリカプス製)にてPE=44%、40,000Hzの条件でレーザー印刷を施し、レーザー印刷口腔内崩壊錠を得た。
参考例で得られた口腔内崩壊錠190gをコーティング機(DRC−200型/パウレック製)に投入し、これに、予めポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT/大同化成工業製)1g及び酸化チタン(アナターゼ型/フロイント産業製)1gを精製水38gに加え、超音波分散装置を用い、酸化チタンの平均粒子径が1μm以下に均一分散させた液を噴霧し、1錠質量191mgになるまでコーティングし、乾燥して口腔内崩壊時間約60秒のレーザー印刷用口腔内崩壊錠を得た。これに実施例1と同条件でレーザー印刷を施し、レーザー印刷口腔内崩壊錠を得た。
参考例で得られた口腔内崩壊錠190gをコーティング機(DRC−200型/パウレック製)に投入し、これに、予め酸化チタン(アナターゼ型/フロイント産業製)1gを精製水39gに加え、超音波分散装置を用い、酸化チタンの平均粒子径が1μm以下に均一分散させた液を噴霧し、1錠質量191mgになるまでコーティングし、乾燥して口腔内崩壊時間約30秒のレーザー印刷用口腔内崩壊錠を得た。これに実施例1と同条件でレーザー印刷を施し、レーザー印刷口腔内崩壊錠を得た。
参考例で得られた口腔内崩壊錠190gをコーティング機(DRC−200型/パウレック製)に投入し、これに、予めヒプロメロース(TC−5(E)/信越化学製)1.9g及び酸化チタン(アナターゼ型/フロイント産業製)0.1gを精製水38gに加え、超音波分散装置を用い、酸化チタンの平均粒子径が1μm以下に均一分散させた液を噴霧し、1錠質量191mgになるまでコーティングし、乾燥して口腔内崩壊時間約60秒のレーザー印刷用口腔内崩壊錠を得た。これに実施例1と同条件でレーザー印刷を施し、レーザー印刷口腔内崩壊錠を得た。
参考例で得られた口腔内崩壊錠190gをコーティング機(DRC−200型/パウレック製)に投入し、これに、予めヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL/日本曹達製)1.9g及び酸化チタン(アナターゼ型/フロイント産業製)0.1gを精製水38gに加え、超音波分散装置を用い、酸化チタンの平均粒子径が1μm以下に均一分散させた液を噴霧し、1錠質量191mgになるまでコーティングし、乾燥して口腔内崩壊時間約60秒のレーザー印刷用口腔内崩壊錠を得た。これに実施例1と同条件でレーザー印刷を施し、レーザー印刷口腔内崩壊錠を得た。
図1に示すとおり、実施例1及び実施例2の印刷は、比較例1〜4の印刷とくらべ顕著に鮮明であり、識別が容易である。
Claims (4)
- 素錠100重量部に対し0.3〜1.0重量部のポリビニルアルコール系重合体と素錠100重量部に対し0.01〜0.20重量部の変色誘起金属酸化物が均一に分散したコーティング液でフィルムコーティングされた口腔内崩壊錠の表面に、UVレーザーを照射して識別文字又は記号を印刷する、口腔内崩壊錠のUVレーザー印刷方法。
- ポリビニルアルコール系重合体が、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体又はポリビニルアルコール・ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠のUVレーザー印刷方法。
- 変色誘起金属酸化物がアナターゼ型若しくはルチル型の酸化チタン、三二酸化鉄又は黄色三二酸化鉄である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠のUVレーザー印刷方法。
- ポリビニルアルコール系重合体がポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体であり、変色誘起金属酸化物がアナターゼ型酸化チタンである、請求項1に記載の口腔内崩壊錠のUVレーザー印刷方法。
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