以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1から図4は、実施の形態1に係る清掃装置及び画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置)を示し、図3はその清掃装置の外観を示し、図4はその清掃装置及びその周辺部の構成を示している。
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。そして、この画像形成装置1は、図1に示すように、支持構造材、外装材等で構成される装置本体10を有しており、その装置本体10の内部に、現像剤(着色等がされた微粉)18で現像される現像剤像を形成する複数の作像装置20と、各作像装置20で形成された現像剤像をそれぞれ保持して最終的に被記録材の一例としての記録用紙19に転写する中間転写装置30と、中間転写装置30に供給すべき所要の記録用紙19を収容して搬送する給紙装置40と、中間転写装置30で現像剤像が転写された記録用紙19のトナー像の定着を行う定着装置45等を配置している。
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色の現像剤像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kで構成されている。この4つの作像装置20(Y,M,C,K)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置20(Y,M,C,K)は、図1や図2に示すように、矢印Aで示す方向に回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の像形成が可能な像保持面(外周面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された外周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤18で現像することにより可視像である現像剤像とする現像装置24(Y,M,C,K)と、その現像剤像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後における感光ドラム21の像保持面に残留して付着する現像剤18等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置26等とである。
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印で示す方向に回転する。帯電装置22は、感光ドラム21の像保持面に所要の間隔をあけた状態で配置される放電ワイヤに帯電電流を印加してコロナ放電により帯電させる非接触型の帯電装置や、感光ドラム21の像保持面に接触した状態で配置されるとともに帯電バイアスが供給される帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置である。帯電バイアスとしては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置23としては、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置や、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものが使用される。この露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像の情報について図示しない画像処理装置で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が送信されるようになっている。
現像装置24(Y,M,C,K)は、図2に示すように、容器状の装置本体24aに収容されている前記4色のいずれかの色の現像剤18を、図示しない攪拌搬送部材により攪拌して所要の極性に摩擦帯電させた後に、現像バイアスが供給されて回転する現像ロール24bに保持させて感光ドラム21と対向する現像域まで供給し、その感光ドラム21に形成されている潜像を現像するものである。一次転写装置25は、感光ドラム21の像保持面に接触して回転するとともに一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写バイアスとしては、現像剤18の帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が図示しない転写用電源部から印加される。現像剤18としては、例えば、トナーとキャリアからなる二成分現像剤や、トナーのみからなる一成分現像剤が使用される。
ドラム清掃装置26は、容器状の本体26aと、一次転写後の感光ドラム21の外周面に毛材を接触した状態で回転する回転ブラシ26bと、感光ドラム21の外周面における回転ブラシ26bとの接触部よりも回転方向下流側の位置で所要の圧力で接触するように配置されて残留して付着する現像剤(トナー)18等の付着物を掻き取る清掃ブレード26cと、回転ブラシ26の毛材に付着する現像剤(トナー)18を掻き落とすフリッカー26dと、回転ブラシ26の毛材から掻き落とされた現像剤18を回収して図示しない回収システムに搬送するスクリューオーガー等の回収搬送部材26e等で構成されている。清掃ブレード26cとしては、可撓性のあるゴム、樹脂等からなる板状の部材が使用される。
中間転写装置30は、図1等に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転(周回移動)する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32dと、支持ロール32dに支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)に所定の圧力で接触して回転する二次転写装置35と、二次転写装置35を通過した後に中間転写ベルト31の外周面に残留して付着する現像剤18、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置5とで主に構成されている。
中間転写ベルト61は、実施の形態1では複数の支持ロール32a〜32dによってほぼ逆三角形になるよう張られた状態に保持されている。また、中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして構成されている。二次転写装置35は、無端状の二次転写ベルトが、支持ロール32dに支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)に所定の圧力で接触して回転する駆動ロールと、従動ロールにかけられて所定の方向に回転するように構成されている。支持ロール32d(又は二次転写ベルト)には、二次転写バイアスが図示しない転写用電源部から供給される。二次転写バイアスとしては、現像剤18の帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。
ベルト清掃装置5は、中間転写ベルト31の外周面のうち二次転写装置35と駆動ロールとしての支持ロール32aとの間になる外周面部分に配置される。実施の形態1では、図1に示すように中間転写ベルト31の支持ロール32aで支持されている位置から回転移動方向Bの上流側の近傍の位置に存在するよう配置している。このベルト清掃装置5の詳細については、後述する。
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置40は、所望のサイズ、種類等の記録用紙19を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙19を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。
この他、装置本体10には、給紙装置40と中間転写装置30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写装置35の間)との間に、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,43c,…や搬送ガイド材で構成される供給搬送路が設けられている。また、二次転写装置35と定着装置45の間に、二次転写後の記録用紙19を定着装置45に搬送するベルト式等の用紙搬送装置が設置されている。さらに、定着装置45の排出側には、複数の搬送ロール対43d、43dや搬送ガイド材で構成される排出搬送路が設けられている。この他、装置本体10の外部等には、排出搬送路から排出される画像形成後の記録用紙19を収容する排出収容部が設けられている。
この画像形成装置1による基本的な画像形成動作は、以下のように行われる。ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して、前記4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターン(フルカラーモード)を説明する。
画像形成装置1に画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印Aの方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の像保持面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の表面に対し、画像処理装置27から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
次いで、各現像装置24(Y,M,C,K)が、各感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)に帯電された各色(Y,M,C,K)の現像剤18(二成分現像剤の場合にはトナー)をそれぞれ供給して静電的に付着させる。これにより、各作像装置21における感光ドラム21の外周面には、4色(Y,M,C,K)のトナー像のいずれかが形成される。
次いで、各作像装置20(Y,M,C,K)で形成された4色の現像剤像が、各一次転写装置25により、中間転写装置30の矢印Bの方向に回転する中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。この一次転写が終了した後の感光ドラム21は、その外周面がドラム清掃装置26により清掃されて次の画像形成工程に備える。続いて、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、二次転写位置に給紙装置40から供給搬送路を通して搬送される用紙19に対し、二次転写装置35により一括して二次転写させる。この二次転写が終了した後の中間転写ベルト31は、その外周面がベルト清掃装置5により清掃されて次の中間転写工程に備える。
最後に、トナー像が二次転写された記録用紙19は、中間転写ベルト31から剥離された後に用紙搬送装置44により搬送されて定着装置45に導入され、その定着装置45において必要な定着処理(加熱及び加圧)を受け、トナー像の定着が行われる。そして、定着が終了した後の用紙19は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、排出搬送路を通して装置本体10の外部に排出されて排出収容部に収容される。
以上の動作により、4色の現像剤像を組み合わせて構成されるフルカラーの画像が形成された記録用紙19が出力される。
以下、中間転写装置30におけるベルト清掃装置5について説明する。
ベルト清掃装置5は、図3、図4等に示すように、中間転写ベルト31と向き合う上面部が開口された箱状の装置本体50を有し、この装置本体50に回転ブラシ6、掻き落とし部材7、清掃ブレード8、回収搬送部材9等を配置して構成されている。
清掃ブレード8は、中間転写ベルト31の外周面に接触してその外周面に付着している現像剤(トナー)を掻き取る掻き落とし部材である。この清掃ブレード8は、例えばゴム、樹脂等の可撓性を有する材質からなる板状のブレード本体80を有し、そのブレード本体80がその一端部において支持板81に支持されている。
この清掃ブレード8は、その他端部が自由端80aとして中間転写ベルト31の外周面の幅方向にわたって所要の接触角で接触することができるように、支持板81を介して装置本体50の上面開口部に露出した状態で固定されている。中間転写ベルト31の外周面の幅方向は、その回転移動方向Bと直交する方向であり、例えば支持ロール32aの回転軸の方向に相当するものである。また、清掃ブレード8の接触する位置と向き合う中間転写ベルト31の内周面の位置には、清掃ブレード8が接触する中間転写ベルト31の外周面部分の位置を安定させるように支持する背面支持ロール84が設けられている。
清掃ブレード8(ブレード本体の自由端80a)の中間転写ベルト31に接触し始める接触開始位置P1よりもベルト31の回転移動方向Bの下流側になる位置には、中間転写ベルト31の外周面の幅方向にわたって接触する第2清掃板としてのスクレーパ85が設けられている。このスクレーパ85は、清掃ブレード8によって中間転写ベルト31の外周面から掻き取られなかった微量の現像剤(トナー)と現像剤のトナーから遊離した外添剤などを最終的に掻き取るものである。
スクレーパ85は、その一端部が中間転写ベルト31の外周面に所要の接触角で接触するように、その他端部において支持板86を介して装置本体50の上面開口部に露出した状態で固定されている。スクレーパ85で掻き取られた現像剤18Cは、装置本体50に形成された容器状の現像剤回収部55に落下して回収される。図中の符合56は、現像剤回収部55の上部入口に所定の間隔をあけた状態で形成された複数枚のリブ板である。
回転ブラシ6は、回転軸を兼ねた導電性の芯材61の周面に、その芯材61の回転中心から放射状に延びて林立するように導電性の毛材62を形成し、全体がロール状の形態からなるものである。
この回転ブラシ6は、その全体が装置本体50の装着凹部52の上方に存在した状態で収容され、その毛材62が中間転写ベルト31の外周面に接触した状態になり、しかも芯材61が中間転写ベルト31の幅方向(例えば支持ロール32aの回転軸の方向に相当する)に沿った状態で配置される。また、回転ブラシ6は、その芯材61の両端部61a,61bが装置本体50の側面部51において回転可能になるよう軸受けされた状態で取り付けられている。回転ブラシ6の毛材62は、中間転写ベルト31の外周面のうち清掃ブレード8の接触開始位置P1よりもベルト31の回転移動方向Bの上流側になる位置でそのベルト幅方向に沿って接触する。
また、回転ブラシ6は、図5に示すように、芯材61の端部にギヤ列等の駆動伝達機構65を介してモータ等の回転駆動源66から回転動力が伝達され、これにより所要の方向Cに所要の速度で回転駆動するようになっている。実施の形態1における回転ブラシ6は、その回転方向Cが中間転写ベルト31との接触位置においてベルト31の回転移動方向Bと同じになる方向に設定されており、また、その回転速度が中間転写ベルト31の回転(移動)速度に対して例えば1.1〜3.0倍になる速度に設定されている。
さらに、回転ブラシ6は、図5に示すように、その芯材61の一端部に対し、中間転写ベルト31に残留する現像剤18の帯電極性(実施の形態1ではマイナス極性)の電圧又は電流が電源67から図示しない給電素子を介して供給されている。さらに、回転ブラシ6と向き合う中間転写ベルト31の内周面の位置には、回転ブラシ6の毛材62が接触する中間転写ベルト31の外周面部分の位置を安定させるように支持する背面支持ロール68が設けられている。
回転ブラシ6の毛材62としては、例えば、導電性のナイロン、アクリル、ポリエステル等が用いられる。また、毛材62としては、例えば1デニール〜4デニールの太さのものが用いられる。ここで「デニール(denior)」とは、太さの計測が困難な糸、合成繊維等の太さを一定の長さの質量で代替的に示す単位の1つであり、測定対象物の9000メートルの質量をグラム単位で表したものになる。例えば、1デニールとは、9000メートルの質量が1gの糸等の太さを表わす。また、毛材62の回転ブラシ6の表面における形成密度は、2デニールの毛材を用いる場合、例えば、20万〜40万(本/平方インチ)とされる。ちなみに、この毛材62は、後述する理由から、その形成密度をF(1000本/平方インチ)、その1本の太さの指標をD(デニール)とした場合、次の条件式、「400<F・D<700」を満たすように構成することが好ましい。
掻き落とし部材7は、回転ブラシ6の中間転写ベルト31の外周面に接触した後の毛材62に接触する位置に設けられ、その毛材62を一時的に弾性変形させた後に復元させることにより毛材62に付着する現像剤18を掻き落とすための部材である。
この掻き落とし部材7は、図4、図6等に示すように、断面形状が円形状の細長い金属の棒で構成されたものであり、この掻き落とし部材7を支持する支持材75に取り付けられている。また、掻き落とし部材(棒)7は、所要の太さ(断面の直径)を有し、また回転ブラシ6の軸方向と平行して延びる長さを有するものである。この掻き落とし部材7の材料としては、例えば、ステンレス鋼材(SUS)、硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(SUM:JIS G4804)、アルミニウム等の導電性を有する金属が用いられる。
支持材75は、掻き落とし部材である掻き落とし棒7の長さに相当する長さからなる本体部76と、本体部76から回転ブラシ6に向けて突出した状態でかつ間隔をあけて設けられる複数の取付け支持部77、78とで構成されている。本体部76は、掻き落とされた現像剤18を回収搬送部材9にむけて落下させるように誘導する誘導壁面76aが設けられている。一方の取付け支持部77は、本体部76の長手方向の両端部に対称的に形成された一対のメイン支持部77A,77Bであり、掻き落とし棒7の両端部7a,7bを嵌め入れる取付け孔77cが設けられている。他方の取付け支持部78は、本体部76の長手方向のほぼ中央部に並べて形成された一対の補助支持部78A,78Bであり、掻き落とし棒76のほぼ中央部を支持して位置を保持する位置決め支持窪み78cが設けられている。
この支持材75は、隣り合う複数の取付け支持部77、78の隣り合う間には、図4、図6、図7等に示すように、重力方向Gにほぼ沿う方向に貫通した空間S1が形成された構造になる。この空間S1は、後述するように、掻き落とし棒7で掻き落とされる現像剤18を回収搬送部材9にむけて落下させるための空間として利用される。
掻き落とし棒7は、支持材75により支持されて、例えば、その断面の円形部の1/3程度の部分が回転ブラシ6の林立する毛材62(群)の内側空間に入り込んだ状態に配置される。また、掻き落とし棒7の回転ブラシ6の毛材62と接触させる位置(設置位置)は、中間転写ベルト31の接触した後の毛材62に付着する現像剤18を効率よく掻き落とすことができる位置に設定される。この設置位置については、後述する。
回収搬送部材9は、装置本体50において掻き落とし棒7よりも重力方向Gの下方側の位置に形成された搬送溝部53に設けられ、掻き落とし棒7により回転ブラシ6の毛材62から掻き落とされた現像剤を回収して例えば図示しない現像剤回収容器にむけて搬送するものである。回収搬送部材9としては、図5等に示すように、回転軸91の周囲に螺旋形状の搬送羽根部92が形成された構造のもの(例えばスクリューオーガー)が使用される。
この回収搬送部材9は、その回転軸91が回転ブラシ6の回転軸61とほぼ平行した状態になるよう配置されているとともに、その回転軸91の両端部91a,91bが装置本体50の上記搬送溝部53の内部において回転可能になるよう軸受けされた状態で取り付けられている。図中における符合58は、装置本体50の内部から現像剤が漏れ出るのを防止するための漏れ防止部材(シール部材)であり、その一端部が中間転写ベルト31の外周面に接触する状態になるよう装置本体50側に固定されている。
また、回収搬送部材9は、図5に示すように、回転ブラシ6に使用される回転駆動源66からの回転動力が駆動伝達機構65を介して回転軸91の端部に伝達され、これにより所要の方向Dに所要の速度で回転駆動するようになっている。実施の形態1における回収搬送部材9は、その回転方向Cが現像剤を装置本体50の排出側に搬送する方向に設定されている。装置本体50の一方の側面部51には、回収搬送部材9で搬送される現像剤を排出するための排出口54aが形成された排出搬送部54が設けられている。
このベルト清掃装置5では、前述したように掻き落とし棒7が支持材75の本体部75から間隔をあけて突出した形状の複数(実施の形態1では4つ)の取付け支持部77,78に取り付けられている。このため、掻き落とし棒7の回転ブラシ6とは反対側の部位には、図7等に示すように、重力方向Gにほぼ沿って貫通する空間S1が存在することとになり、例えば、この空間S1を介して装置本体50の内部には清掃ブレード8から回収搬送部材9に至るまで開放されて繋がる空間Sが形成されることになる。
また、このベルト清掃装置5では、図7等に示すように、清掃ブレード8、回転ブラシ6及び回収搬送部材9が、この順番で重力方向Gの上方側から下方側にずれた状態になるよう配置されている。しかも、回転ブラシ5は、その毛材62の少なくとも先端部62aが、清掃ブレード8の中間転写ベルト31の外周面に接触し始める接触開始部P1と回収搬送部材9の中心部(回転軸91の回転中心O9)とを結ぶ仮想直線(VL)に少し交わる状態になるよう配置されている。
ちなみに、実施の形態1では、回収搬送部材9が重力方向G(鉛直座標Yとほぼ同じ方向)に対して清掃ブレード8の先端部80aよりもブレード8の内側に存在するような状態で配置されている。これにより、上記仮想直線VLが重力方向Gに対して少し傾斜した直線となるので、清掃ブレード8の先端部80aが回転ブラシ6の上方側において重複する状態で存在するような位置関係になっている。
そして、このベルト清掃装置5では、図7等に示すように、掻き落とし棒7が回転ブラシ6の上記仮想直線VLと交わる領域で毛材62の少なくとも先端部62aに接触するように配置されている。
以下、このベルト清掃装置5の動作や現像剤18の動きについて説明する。
まず、ベルト清掃装置5では、二次転写が終了した後で矢印Bの方向に回転移動する中間転写ベルト31の外周面に対し、回転ブラシ6、清掃ブレード8及びスクレーパ85がこの順番で接触する。
これにより、中間転写ベルト31の二次転写後の外周面に残留して付着する現像剤18等の付着物が、はじめに矢印Cの方向に回転する回転ブラシ6の毛材62により物理的な衝撃を受け、その一部の現像剤が掻き落とされる。また、回転ブラシ6の毛材62には、中間転写ベルト31に付着する現像剤の帯電極性(実施の形態1ではマイナス極性)と同じ極性が電源67から供給されているので、中間転写ベルト31に付着する現像剤が静電的な反発力を受けて中間転写ベルト31から脱落しやすくなる。しかも、その掻き落とされた現像剤は、回転ブラシ6の毛材62に静電的に付着することがなく、堆積するおそれがない。
続いて、中間転写ベルト31の外周面上の現像剤18等は、回転ブラシ6よりも中間転写ベルト31の回転移動方向Bの下流側になる位置(P1)で接触する清掃ブレード8の先端部80aによりその殆どが掻き取られ、点線矢印E1で例示するように装置本体50の内部にむけて落下する。最後に、清掃ブレード8で掻き取られずに中間転写ベルト31の外周面上に残った微量な現像剤18Cやその外添剤等は、スクレーパ85によって最終的に掻き取られ、現像剤回収部55に落下して回収される(図4、図8)。
そして、上記したように回転ブラシ6と清掃ブレード8で掻き取られた現像剤(トナー)18は、回転ブラシ6の毛材62により当初から捕捉されるか或いは清掃ブレード8の掻き取りにより落下して補足され、回転ブラシ6の回転により搬送される。回転ブラシ6の毛材62に補足されて搬送される現像剤は、掻き落とし棒7を通過する際に、その毛材62が掻き落とし棒7との接触によって一時的に弾性変形させられた後に復元するように挙動するため、毛材62から振り払われるようにして掻き落とされる。
この際、その一部の現像剤は、点線矢印E2に示すように掻き落とし棒7と回転ブラシ6の回転軸61の間における毛材62どうしの隙間を通過して毛材62から脱離し、掻き落とし棒7よりも重力方向Gの下方側に配置された回収搬送部材9にむけて飛ばされるか又は落下する。また、その他の現像剤は、掻き落とし棒7が回転ブラシ6の毛材62と接触し始める接触開始位置P2から上方の空間S2に弾き出されるが、その後、点線矢印E3に示すように掻き落とし棒7の回転ブラシ6とは反対側の部位に移動することで、掻き落とし棒7と支持材75の本体部76との間に形成された空間S1を通過して落下し、最終的に回収搬送部材9にむけて移動する。
またこの際、掻き落とし棒7が回転ブラシ6の毛材62と接触し始める接触開始位置P2から上方の空間S2に弾き出された現像剤は、掻き落とし棒7が断面円形のものであるため、その上面部に留まりにくく、堆積するおそれがない。しかも、掻き落とし棒7は、導電性を有するものであって現像剤の帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給されている回転ブラシ6の毛材62に接触していて同じ(極性の)電位に保たれているので、これによっても、掻き落とし棒7の上面部に溜まって堆積するおそれがない。この結果、図8に示すように、回転ブラシ6と掻き落とし棒7とが接触し始める接触開始位置P2の上に形成される窪んだ空間S2aにおける回転ブラシ6と掻き落とし棒7の上に、現像剤が溜まって堆積することが殆どない。
以上のように、このベルト清掃装置5では、上記窪んだ空間S2aにおける回転ブラシ6と掻き落とし棒7の上に現像剤が堆積することが殆どないので、回転ブラシ6の毛材62に現像剤が大量に蓄積して中間転写ベルト31に付着する現像剤の掻き落とし性能が低下するおそれがなく、しかも、掻き落とし棒7の上に現像剤が大量に堆積して回収搬送部材9に送られず装置本体50から溢れ出るおそれがない。
このため、ベルト清掃装置5の清掃性能が低下するおそれがないので、中間転写ベルト31の外周面を良好に清掃することができる。また、このベルト清掃装置5を装備する画像形成装置1においては、ベルト清掃装置5の清掃性能が低下することが原因で中間転写ベルト31の外周面に回転移動方向Bにそって筋状の清掃不良部が発生するおそれがなく、しかも、その清掃不良に起因して出力画像内に筋状の画質欠陥(濃度むら、ノイズ)が発生するというおそれもなくなる。この他、画像形成装置1の制御動作として、多量の現像剤を中間転写ベルト31に一次転写させた後にベルト清掃装置5で取り除かなければならない動作を実行する構成を有している場合であっても、ベルト装置5においては、上記した窪んだ空間S2aにおける回転ブラシ6と掻き落とし棒7との上に現像剤が大量に堆積してしまう現象が発生することがない。
図9は、ベルト清掃装置5の性能に関する試験1の結果を示すものである。
試験1は、実施の形態1に係るベルト清掃装置5を装備した画像形成装置1を用いてテスト画像を所定枚数の記録用紙19に連続して実行し、その所定枚数の画像形成に達するごとに清掃装置5を取り外して回転ブラシ5等の重量を測定し、そのときの重量の増加分について調べたものである。テスト画像の形成は、温度が28℃、湿度が85%RHの環境下で、画像密度が40%のベタのフルカラー画像を横送りするA3判の普通紙に記録することで行った。
実施例としてのベルト清掃装置5は、回転ブラシ6として、直径が14mmの芯材61に、太さが2デニールのナイロン繊維からなる毛材62を形成密度291k本/平方インチで形成し、ブラシ6全体の直径が26mmとなるブラシロールを使用した。また、掻き落とし棒7としては、直径が4mmの硫黄快削鋼鋼材(SUM)からなる丸棒を使用した。現像剤18としては、平均粒径が5.8μmの非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を使用した。
また、比較例として、実施例における掻き落とし棒7に代えて図11及び図12に示す掻き落とし部材700を装着した点でのみ異なるベルト清掃装置500を用意し、このベルト清掃装置700を装着した画像形成装置1を用いて実施例の場合と同じ試験を行った。比較例における掻き落とし部材700は、回転ブラシ6の軸方向と同じ方向に延びて毛材62に接触する板状の接触部707と、その接触部707を支持する支持部750とを有するものであり、ポリアセタール(POM)樹脂を用いて成形したものである。支持部750は、面が鉛直(重力方向Gとほぼ平行する方向)となるように配置された多数の支持板752を有し、これら多数の支持板752が互いに間隔をあけて配置されている。このため、この掻き落とし部材700は、その互いに隣り合う支持板752の間に鉛直方向に貫通した比較的細かく区分けされた空間S0を有した構造になっている。
この実施例及び比較例について行った試験1の結果を図9に併せて示している。図中に示すベルト清掃装置に突入させた現像剤(トナー)の総量は、各画像形成が終了した時点で取り外した各ベルト装置5、500の重量の増加分を測定したものである。
図9に示されるように、実施例のドラム清掃装置5では、回転ブラシ6に現像剤(トナー)が蓄積される量(残留率)が、比較例のドラム清掃装置500に比べて大幅に少なかった。実施例における回転ブラシ6でのトナー残存率((ブラシでの増加分/突入トナー総量)×100)は約10%であった。ちなみに、比較例における回転ブラシ6でのトナー残存率は約60%であった。
また、この試験終了後に実施例及び比較例の各画像形成装置において上記テスト画像の形成を最終的に400K(400×1000)枚になるまで連続して行った。また、この画像形成は高温高湿(28℃、85%RH)の環境Aで行った。このテスト画像の連続形成後に、各ベルト清掃装置5,500を取り外して現像剤の堆積状況について観察して調べた。
この結果、実施例のドラム清掃装置5では、掻き落とし棒7の上面部と回転ブラシ6を含めて現像剤の堆積が殆ど発生していなかった。一方、比較例のドラム清掃装置500では、掻き落とし部材700の接触部707から支持部750の空間S0を塞ぐような状態(ブリッジ状態)で現像剤が大量に堆積しているのが認められた。ちなみに、このテスト画像の連続形成については、以下の別の環境下で同様に行ったところ、実施例のベルト清掃装置5では、その掻き落とし棒7の上面部への現像剤の堆積が確認されなかった。その環境とは、常温常湿(22℃、55%RH)の環境B、低温低湿(10℃、15%RH)の環境Cである。
図10は、ベルト清掃装置5の性能に関する別の試験2の結果を示すものである。
試験2は、実施の形態1に係るベルト清掃装置5における回転ブラシ6として、その毛材62の形成密度:Fとその1本の太さ:Dとを図10に示す値にそれぞれ変更した構成の各回転ブラシを作製して取り付け、その各ベルト清掃装置5を装着した画像形成装置1によりテスト画像の形成を行い、その画像形成後における清掃装置5等の回収搬送部材9が配置された搬送路(装置本体50の搬送溝部53)に現像剤が詰まる現象(搬送路の詰まり現象)が発生するか否かについて調べた。
テスト画像の形成は、4色(Y,M,C,K)の矩形状(2cm×2cm)からなるパッチ像(いずれの色も画像密度4%)を複数並べた状態で形成してなるテスト画像を、A4判サイズの記録用紙18(坪量82g/mm2)に10万枚記録することで行った。この他、試験2では、中間転写ベルト31においてテスト画像の間(記録用紙18の間)に該当する部分(インターイメージ部)に、現像剤をリフレッシュし、かつ清掃ブレード8を保護するための帯状のトナー像(トナーバンド)を各作像装置20で作成して一次転写した後、その帯状のトナー像を記録用紙18には二次転写させずに、ベルト清掃装置5まで搬送して除去した。帯状のトナー像としては、各色とも画像面積率:Cinが50%で、ベルト回転方向の寸法である長さが6mmで、ベルト回転方向と直交する方向の寸法である幅が現像可能な最大幅となる条件のものを形成した。つまり、試験2では、ベルト清掃装置5の搬送路において現像剤が詰まりやすい作業を追加して行った。また、この試験2は、高温高湿の環境(温度28℃、湿度85%RH)で行った。つまり、試験2は、現像剤(トナー)が吸湿して流動性が低下するため、ベルト清掃装置5の搬送路において現像剤が詰まりやすい環境のなかで行った。
搬送路の詰まり現象の発生の有無については、目視による観察をすることで判断した。この結果については、図10において詰まり現象が発生しなかった場合を「○」で示し、詰まり現象が発生した場合を「×」で示した。なお、図10に毛材62の形成密度:Fの値をその太さ:Dの値で乗じた(掛け算した)ときの値(F・D=F×D)を併せて示した。
図10に示されるように、構成例2,5,8のベルト清掃装置5では搬送路の詰まり現象が発生しないか僅かに発生する程度であり、出力される画像を見てみも筋状の画像欠陥が発生していなかった。一方、上記以外の構成例1,3,4,6,7,9のベルト清掃装置では、搬送路の詰まり現象が発生しており、出力画像に筋状の画像欠陥が発生していることが確認された。そして、結果が良好であった構成例2,5,8では、そのF・Dの値が400〜700の範囲内におさまっていることが判明した。
これにより、前述したようにベルト清掃装置5における回転ブラシ6は、その毛材62が中間転写ベルト31の表面に接触する面積(ブラシの表面積)が広く保たれるとともに、回転ブラシ6の掻き落とし棒7による現像剤の掻き落とし性が良好に保たれ、最終的にその清掃装置5における搬送路の現像剤等による詰まり現象が発生しなくなる等の観点からすると、その毛材62の形成密度(F)と太さ(D)について前記式(1)で表される条件を満たすように設定すれば有効であることが判明した。ちなみに、毛材62の形成密度(F)とその太さ(D)との積は、回転ブラシ6の表面積(毛材62が中間転写ベルト31の表面に接触する面積)と相関がある。そして、その積の値を式(1)で示す数値範囲に設定した場合には、回転ブラシ6の表面積を広く保つことができる。
[他の実施の形態]
実施の形態1では、清掃装置5の掻き落とし部材7として断面形状が円形の掻き落とし棒を例示したが、掻き落とし部材7としては、その他にも、例えば回転ブラシ6の毛材62に接触する部分が曲面を有する棒状の形態などであってもよい。また、掻き落とし部材7は、少なくとも表面部分が導電性を有するものであれば、その材質や層構造等については特に限定されない。さらに、掻き落とし部材7を支持する支持材75については、実施の形態1のように装置本体50と別体のものとして形成した構造物に限らず、装置本体50の一部として一体に形成したものであってもよい。
また、実施の形態1では、ベルト清掃装置5の回転ブラシ6の配置例として、その毛材62の少なくとも先端部62aが前記仮想直線VLに交差した状態になるよう配置した場合を例示したが、その毛材62の少なくとも先端部62aが仮想直線VLに接した状態になるよう設置することも有効である。
さらに、実施の形態1では、この発明の清掃装置として中間転写ベルト31を清掃するベルト清掃装置5を例示したが、例えば、感光ドラム21の表面に付着する現像剤を除去して清掃するドラム清掃装置26として構成することも可能である。このため、この発明の清掃装置は、帯電した現像剤を保持して回転する像保持体の表面に付着する現像剤を除去して清掃するための清掃装置として構成することが可能である。なお、他の像保持体としては、例えば、用紙搬送転写ベルト、中間転写ドラム、感光ベルト等が挙げられる。
この他、画像形成装置1については、この発明の清掃装置を適用する像保持体を有する画像形成装置であればよく、例えば、中間転写装置3を使用せずに記録用紙19を複数の作像装置20の一次転写位置を通過させるように搬送する用紙搬送装置を採用した画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置1については、作像装置20の数が単数又は他の複数(4つ以外の複数)である構成のものであっても構わない。