以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、状態検知装置の一実施形態を示す図である。図1に例示した状態検知装置10は、カメラ4によって撮影された画像に基づいて、ベッド1に関連付けられた見守り対象の人物P1の状態を検知する。なお、以下の説明では、見守り対象の人物P1を対象者P1と称する。
図1に例示したカメラ4は、例えば、ベッド1の長手方向に光学系の光軸が一致するように配置することが望ましい。この場合に、カメラ4の撮影方向は、図1に符号Drで示すようになり、カメラ4は、ベッド1上で起き上がっている対象者P1を主に背後から撮影する。そして、このように配置されたカメラ4の撮影範囲R1は、対象者P1がベッド1上で起居する際の動作で移動する範囲と、対象者P1を介護する人物P2が活動する範囲とを含んでいる。なお、以下の説明では、対象者P1を介護する人物P2を、介護者P2と称する。
また、図1に例示したベッド1は、安全装置として、例えば、サイドレール2と高さ調整装置3とを装備している。図1に例示したサイドレール2は、ベッド1の長手方向の中央部に装着されている。ベッド1に安全装置の一つとして装着するサイドレール2は、例えば、ベッド1に横たわる対象者P1の頭側と脚側とに独立して着脱が可能な形式ものでもよい。また、サイドレール2は、ベッド1の長手方向あるいはベッド1の高さ方向への折り畳みあるいは伸縮を可能とする機構を有してもよい。なお、対象者P1のベッド1からの転落を防ぐためには、サイドレール2を、ベッド1の両側に装着することが望ましい。
また、図1に例示した高さ調整装置3は、ベッド1の床部の高さを調整する。この高さ調整装置3によって調整可能な範囲は、例えば、対象者P1がベッド1の左側あるいは右側の端部に腰を下ろした状態で足が床につく高さから、介護者P2が対象者P1の介護するための作業を行うために都合のよい高さまでを含むことが望ましい。なお、以下の説明において、ベッド1の左側および右側は、カメラ4から見たときの方向を示す。
図1に例示した状態検知装置10は、検出部11と、第1判別部13と、第2判別部14と、判断部15と、出力部16とを含んでいる。また、図1に例示した検出部11と、第1判別部13と、第2判別部14とは、カメラ4によって撮影された画像をそれぞれ取得している。
図1に例示した検出部11は、カメラ4を介して取得した画像を解析することにより、対象者P1の移動方向を検出する。検出部11は、例えば、本出願人により先に出願された特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」に開示した手法を用いることにより、対象者P1の移動方向を検出してもよい。
また、図1の検出部11は、カメラ4の撮影方向と略平行する方向に近赤外域の照明光を放射する照明部(図示せず)を設け、この照明部による照明光の点灯時と消灯時とにカメラ4で得た画像を比較する技法を、対象者P1の像を検出する処理に利用してもよい。なお、照明光の点灯時に得られた画像と消灯時に得られた画像との比較に基づいて、光源の近くにいる人物の像を検出する技法の詳細については、上述した特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」を参照されたい。
また、図1に例示した第1判別部13は、カメラ4から取得した画像に含まれるベッド1近傍の所定の範囲の画像に基づいて、介護者P2の存在の有無を含む状態を判別する。第1判別部13は、例えば、上述した特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」に開示した手法を、介護者P2の状態を判別する処理に利用してもよい。
また、図1に例示した第2判別部14は、カメラ4から取得した画像に基づいて、安全装置としてベッド1に設けられたサイドレール2の状態および高さ調整装置3の状態を判別する。第2判別部14は、例えば、カメラ4から取得した画像に含まれるサイドレール2の画像を解析することにより、サイドレール2の装着状態を判別してもよい。また、第2判別部14は、例えば、カメラ4から取得した画像に含まれるベッド1の画像を解析することにより、ベッド1の高さを求め、この結果に基づいて、高さ調整装置3の状態を判別してもよい。
また、図1に例示した判断部15は、検出部11によって検出された移動方向と、対象者P1の過去の状態と、第1判別部13で得られる介護者P2の状態と第2判別部14で得られる安全装置の状態とを示す情報に基づいて、対象者P1の現在の状態を判断する。判断部15は、例えば、対象者P1とベッド1との相対位置と、介護者P2および安全装置3を含む対象者P1の環境とに依存する対象者P1の安全性に関する状態を判断する。なお、対象者P1とベッド1との相対位置は、後述するようにして、対象者P1の過去の状態と、検出部11で得られた対象者P1の移動方向とに基づいて特定することができる。
ここで、介護者P2がベッド1の近傍に存在するか否かを含む介護者P2の状態は、サイドレール2や高さ調整装置3などの安全装置の状態とともに、対象者P1の安全性を左右する重要な要因である。例えば、高さ調整装置3によって、ベッド1の高さが安全のために望ましい高さよりも高く調整されている状態でも、介護者P2が対象者P1を介助する作業のためにそばにいる限り、対象者P1の状態は安全である。このように、対象者P1の安全性は、対象者P1の環境に含まれる安全装置の状態と介護者P2の状態との両方に基づいて判断することによって、初めて高い精度で判断することが可能である。
また、対象者P1とベッド1との相対位置ごとに、望ましい環境が異なる場合もある。例えば、サイドレール2がベッド1の両側に隙間なく装着されている状態は、ベッド1上で就寝している対象者P1にとっては安全性の高い状態である。しかし、同じ状態のサイドレール2は、ベッド1から降りようとしている対象者P1にとっては、安全な移動を妨げる障害物となる。
このように、判断部15が、対象者P1とベッド1との相対位置とともに、介護者P2の状態と各安全装置の状態とを含む対象者P1の環境を考慮することにより、対象者P1の安全性を含む対象者P1の状態を高い精度で判断することが可能である。つまり、判断部15は、対象者P1の過去の状態と、対象者P1の移動方向と、介護者P2の状態と、安全装置の状態との組み合わせに基づいて、対象者P1の現在の状態を、対象者P1の安全性を含めて高い精度で判断することができる。
また、図1に例示した出力部16は、判断部15で得られた対象者P1の安全性を含む対象者P1の状態を示す情報を出力する。例えば、出力部16は、判断部15によって、対象者P1の現在の状態が安全でない可能性があると判断されたときに、その旨を通知する音声メッセージあるいは警報音をスピーカ5に出力させてもよい。なお、出力部16は、判断部15による判断結果に応じた警報を、別に設けられたナースコールシステム(図示せず)にその旨を通知することによって出力してもよい。
上述したように、図1に例示した本件開示の状態検知装置10によれば、対象者P1の安全が確保されているか否かを含む対象者P1の状態を高い精度で判断し、この判断結果を対象者P1と介護者P2との少なくとも一方に通知することができる。つまり、本件開示の状態検知装置10によれば、対象者P1の安全性を含む対象者P1の状態を高い精度で検知することができるので、出力部16により、精度の高い警報を出力することが可能である。
これにより、対象者P1が安全な状態であるときに誤って警報を出力してしまうといった誤警報を減らすことができる。例えば、本件開示の状態検知装置10によれば、ベッド1の床面が高い状態でも、介護者P2が対象者P1を介助する作業のためにそばにいる限り、誤って警報が出力されることはない。そして、本件開示の状態検知装置10によれば、ベッド1の高さが高い状態にしたままで、介護者P2が対象者P1のそばを離れようとしたタイミングで警報を出力し、介護者P2および対象者P1に注意を促すことができる。
つまり、本件開示の状態検知装置10によれば、介護者P2の注意を喚起するために最も適したタイミングで警報を出力することができる。このように、本件開示の状態検知装置10によれば、適切なタイミングで警報を出力することが可能であるので、介護者P2が警報をわずらわしく感じたり、警報に慣れてしまったりすることを防ぐことができる。したがって、本件開示の状態検知装置10を用いることにより、介護者P2に対する警報を有効に作用させることができる。
以下に、図1に例示した状態検知装置10に含まれる各部について説明する。この説明に先立って、本件開示の状態検知装置10において用いる対象者P1の状態遷移モデルについて説明する。本件開示の状態検知装置10は、対象者P1の状態の変化を示すモデルとして、対象者P1とベッド1との相対位置の違いに基づいて、後述する5つの状態間の遷移として表す状態遷移モデルを用いる。
図2は、状態遷移モデルを示す状態遷移図の一例である。図2において、符号S1で示した就床状態は、対象者P1がベッド1に横になっている状態である。また、符号S2で示した起床状態は、対象者P1がベッド1上で起き上がっている状態である。また、符号S3で示した離床状態は、対象者P1がベッド1の左側あるいは右側の端部にいる状態である。また、符号S4で示した傍床状態は、対象者P1がベッド1を離れて、ベッド1の脇にいる状態である。そして、符号S5で示した不在状態は、対象者P1がベッド1の付近にいない状態である。
また、図2において、符号T1は、就床状態S1から起床状態S2への状態遷移を示し、符号T2は、離床状態S3から起床状態S2への状態遷移を示す。また、図2において、符号T3は、起床状態S2から就床状態S1への状態遷移を示し、符号T4は、離床状態S3から就床状態S1への状態遷移を示す。また、図2において、符号T5は、起床状態S2から離床状態S3への状態遷移を示し、符号T6は、傍床状態S4から離床状態S3への状態遷移を示す。また、図2において、符号T7は、離床状態S3から傍床状態S4への状態遷移を示し、符号T8は、不在状態S5から傍床状態S4への状態遷移を示す。そして、図2において、符号T9は、傍床状態S4から不在状態S5への状態遷移を示す。
図2に例示した各状態間の状態遷移は、対象者P1の移動による対象者P1とベッド1との相対位置の変化の発生に対応している。つまり、図1に例示した検出部11で得られた対象者P1の移動方向と、対象者P1の過去の状態とに基づいて、対象者P1の現在の状態が、対象者P1とベッド1との相対位置の観点で、上述した5つの状態のどれに属するかを特定することができる。
図1に例示した判断部15は、例えば、対象者P1の移動方向と、対象者P1の過去の状態とに基づいて、対象者P1の現在の状態が上述した5つの状態のどれに属するかを判定し、この判定結果を用いて、対象者P1の現在の状態を判断してもよい。
図3は、状態検知装置10の別実施形態を示している。なお、図3に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図3に例示した判断部15は、第1判定部151と、第2判定部154とを含んでいる。第1判定部151は、状態特定部152と、遷移テーブル153とを含んでいる。この遷移テーブル153は、図2に例示した各状態遷移T1〜T9に対応する遷移条件を保持している。そして、状態特定部152は、検出部11で得られた対象者P1の移動方向と、対象者P1の過去の状態と、この遷移テーブル153とに基づいて、対象者P1の現在の状態が、図2に例示した5つの状態S1〜S5のどれに属するかを特定する。
図2に例示した5つの状態S1〜S5は、対象者P1とベッド1との相対位置に基づいて区別される状態である。したがって、以下の説明では、第1判定部151による判定で対象者P1の状態が属するとされた状態を、対象者P1の見かけの状態と称する。
図4は、状態特定部152の処理を説明する図(その1)である。また、図5は、状態特定部152の処理を説明する図(その2)である。また、図6は、遷移テーブル153の一例を示している。なお、図4、図5では、図1に例示したサイドレール2の図示を省略している。
図4(A),(B),(C)および図5(A),(B)は、図1に例示したカメラ4によって得られる画像の例である。図4(A),(B),(C)および図5(A),(B)において、矩形の領域を示す符号R1は、カメラ4の撮影範囲に相当する領域を示している。また、図4(A),(B),(C)および図5(A),(B)において符号R2で示した台形の領域は、ベッド1上にいる対象者P1を検知するために用いる検知領域を示す。
この検知領域R2は、図4および図5に例示したように、撮影範囲R1の中央の下よりに、ベッド1の像とベッド1の上にいる人物の像を含むように設定することが望ましい。また、図4および図5において、符号BL,BRは、上述した検知領域R2の中央部と左端部あるいは右端部とを分ける境界線を示す。また、図4および図5において、符号R3−L,R3−Rで示した領域は、ベッド1の両脇の通路スペースに対応する領域を示している。
以下の説明において、カメラ4の撮影方向に向かって、ベッド1の左右に設けられたスペースに対応するこれらの領域R3−L,R3−Rを、近傍検知領域R3−L,R3−Rと称する。なお、左右の近傍検知領域R3−L,R3−Rを区別しない場合は、単に、近傍検知領域R3と称する。
図4(D),(E),(F)は、図4(A),(B),(C)に例示した画像が得られた際の対象者P1とベッド1との相対位置の例を示している。図4(D)は、対象者P1がベッド1上に横たわっている状態であり、上述した就床状態の一例に相当する。また、図4(E)は、対象者P1が、ベッド1上で起き上がっている状態であり、上述した起床状態の一例に相当する。また、図4(F)は、対象者P1が、ベッド1の端部に座っている状態であり、上述した離床状態の一例に相当する。
また、図5(C),(D)は、図5(A),(B)に例示した画像が得られた際の対象者P1のベッド1との相対位置の例を示している。図5(C)は、対象者P1がベッド1の脇に立っている状態であり、上述した傍床状態の一例に相当する。また、図5(D)は、対象者P1が、ベッド1のそばから離れる方向に移動している状態であり、上述した傍床状態の別例に相当する。
図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T1により起床状態に遷移する条件は、過去の状態が就床状態であることと移動方向が「検知領域R2の下側の境界を越えて上向きに検知領域R2内へ向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(E)に符号V1で示したように、対象者P1がベッド1上で起き上がったことにより、図1に例示した検出部11によって、図4(B)に符号V1で示した移動方向が検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T2により起床状態に遷移する条件は、過去の状態が離床状態であることと移動方向が「検知領域R2の左端部あるいは右端部から前記端部と中央部との境界を越えて中央部の内部へ向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(F)に例示した対象者P1がベッド1の中央に向かって移動したことにより、図4(C)に符号V2で示した移動方向とは逆の移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T3により就床状態に遷移する条件は、過去の状態が起床状態であることと移動方向が「検知領域R2の下側の境界を越えて下向きに検知領域R2の外部に向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(E)に例示した対象者P1がベッド1上に横たわる動きをしたことにより、図4(B)に符号V1で示した移動方向とは逆の移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T4により就床状態に遷移する条件は、過去の状態が離床状態であることと移動方向が「検知領域R2の下側の境界を越えて下向きに検知領域R2の外部に向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(F)に例示した対象者P1がベッド1上に横たわる動きをしたことにより、検知領域R2を斜めに横切るような移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T5により離床状態に遷移する条件は、過去の状態が起床状態であることと移動方向が「検知領域R2の中央部から中央部と左端部あるいは右端部との境界を越えて前記端部の内部へ向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(E)に例示した対象者P1が、図4(F)に例示した位置に向かってベッド1上で移動したことにより、図4(C)に符号V2で示した移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T6により傍床状態に遷移する条件は、過去の状態が離床状態であることと移動方向が「検知領域R2の左端部あるいは右端部から前記端部と近傍検知領域R3の境界を越えて近傍検知領域R3内へ向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図4(F)に例示した対象者P1がベッド1から降りる動作を行うことによって、図5(C)に例示した位置に移動したことにより、図5(A)に符号V3で示した移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
逆に、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T7により離床状態に遷移する条件は、過去の状態が傍床状態であることと移動方向が「近傍検知領域R3から近傍検知領域R3と検知領域R2の左端部あるいは右端部の境界を越えて前記端部の内部へ向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図5(C)に例示した位置に立っていた対象者P1が、図4(F)に例示したようにベッド1に腰掛ける動作をしたことにより、図5(A)に例示した符号V3とは逆の移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
また、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T8により傍床状態に遷移する条件は、過去の状態が不在状態であることと移動方向が「近傍検知領域R3の外部から近傍検知領域R3の境界を越えて近傍検知領域R3の内部に向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、カメラ4の撮影範囲外から対象者P1がベッド1に近づいたことにより、図5(B)に例示した符号V4とは逆の移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
逆に、図6に例示した遷移テーブル153は、状態遷移T9により不在状態に遷移する条件は、過去の状態が傍床状態であることと移動方向が「近傍検知領域R3の内部から近傍検知領域R3の境界を越えて近傍検知領域R3の外部に向かう方向」であることを示している。このような状態遷移は、図5(D)に例示したようにベッド1の脇を歩いている対象者P1が、カメラ4の撮影範囲外に出たことにより、図5(B)に符号V4で示した移動方向が検出部11によって検出された場合に相当する。
図3に例示した第1判定部151の状態特定部152は、検出部11で得られた移動方向と対象者P1の過去の状態とを、遷移テーブル153に示された遷移条件と照合することにより、対象者P1の見かけの状態を高い精度で特定できる。例えば、上述した遷移テーブル153を用いる状態特定部152によれば、上述したような撮影範囲をカメラ4で撮影して得られる画像のみによって判別することが難しい、就床状態と不在状態とを高い精度で判別することが可能である。
また、図3に例示した状態特定部152は、遷移テーブル153に基づいて特定した対象者P1の見かけの状態を示す情報とともに、検出部11で得られた対象者P1の移動方向を示す情報を、第1判定部151による判定結果として出力してもよい。
上述したように、図2に例示した5つの状態S1〜S5は、対象者P1とベッド1とが取りうる5種類の相対位置にそれぞれ対応している。したがって、第1判定部151による判定結果に含まれる対象者P1の見かけの状態を示す情報は、対象者P1とベッド1との相対位置を示す情報の一例である。
図3に例示した第2判定部154は、第1判定部151から受け取った対象者P1の見かけの状態で示される対象者P1とベッド1との相対位置ごとに異なる判断基準を用いて、対象者P1の状態が警報を必要とする状態であるか否かを判定してもよい。例えば、第2判定部154は、対象者P1とベッド1との相対位置に対応して、当該対象者P1の状態を安全にする介護者P2の状態と各安全装置の状態との組み合わせを示す判断基準を用意してもよい。そして、第2判定部154は、この判断基準と、取得した介護者P2の状態を示す情報と各安全装置の状態を示す情報との組み合わせとを照合することにより、対象者P1が現在の位置において安全でない可能性の有無を判定してもよい。また、第2判定部154は、この判定結果に基づき、対象者P1の状態が警報を要する状態であるか否かを判定し、この判定結果を示す情報を対象者P1の状態を示す情報の一部として出力してもよい。
このように、第1判定部151により、対象者P1とベッド1との相対位置を示す見かけの状態を特定しておくことにより、第2判定部154は、対象者P1の現在の状態を判断する際に、見かけの状態ごとに異なる判断基準を用いることができる。
なお、第2判定部154は、個々の相対位置において、対象者P1の安全性のために注目すべき介護者P2の状態と安全装置の状態との組み合わせが限られることを反映して、上述した見かけの状態で示される相対位置ごとに絞り込んだ判断基準を用意してもよい。
上述したような相対位置ごとに異なる判断基準を用いることにより、図3に例示した判断部15を有する状態検知装置10によれば、対象者P1が現在の位置において安全でない可能性の有無を含む対象者P1の状態を高い精度で判定することができる。
次に、図1に例示したカメラ4で得られる画像に基づいて、第1判別部13が介護者P2の状態を判別する手法および第2判別部14が安全装置の状態を判別する手法について説明する。
図7は、状態検知装置10の別実施形態を示している。なお、図7に示した構成要素のうち、図1あるいは図3に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図7に例示した第1判別部13は、探索部131と、位置特定部132とを含んでいる。図7に例示した探索部131は、カメラ4で得られた画像の近傍検知領域において、人物の像を探索する。また、位置特定部132は、探索部131による探索結果と、第1判定部151で得られる対象者P1の見かけの状態とに基づいて、探索処理で検出された人物の像が介護者P2の像であるか否かを判定するとともに、介護者P2の位置を特定する。
次に、図8に示す例を用いて、図7に例示した探索部131と、位置特定部132とを含む第1判別部13により、介護者P2の状態を判別する手法について説明する。
図8は、位置特定部132の処理を説明する図である。なお、図8に示した要素のうち、図4あるいは図5に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。また、図8において、サイドレール2の図示は省略している。
図8(A),(B),(C)は、図7に例示したカメラ4によって得られる画像の例である。
図8(D),(E),(F)は、図8(A),(B),(C)に例示した画像が得られた際の対象者P1および介護者P2とベッド1との相対位置の例を示している。
図8(D)は、対象者P1が横たわっているベッド1の脇に介護者P2が立っている様子を示している。また、図8(E)は、対象者P1がベッド1の一方の端部に腰掛けており、ベッド1の同じ側の脇に介護者P2が立っている様子を示している。また、図8(F)は、対象者P1がベッド1の脇に立っており、ベッド1の逆側の脇に、介護者P2が立っている様子を示している。
図7に例示した位置特定部132は、例えば、探索部131によって近傍検知領域R3において人物の像を検出されなかった場合に、介護者P2の状態は、ベッド1の近傍にいない状態であると判別する。一方、探索部131から、近傍検知領域R3において人物の像を検出した旨の探索結果を受け取った場合に、位置特定部132は、介護者P2がベッド1の近傍に存在する可能性があると判断する。この場合に、位置特定部132は、上述した検出部11による対象者P1の像についての検出結果あるいは第1判定部151による判定結果を利用することにより、近傍検知領域R3において検出した人物の像が介護者P2の像であるか否かを判断する。
ここで、例えば、図8(D)に示したように、対象者P1が就床状態である場合は、図8(A)に例示したように、カメラ4の撮影範囲内に対象者P1は含まれない。また、対象者P1が起床状態である場合は、図4(B)に例示したように、対象者P1の像は、カメラ4で得られた画像内の検知領域R2内に含まれており、近傍検知領域R3の内部には含まれていない。同様に、図8(E)に示したように、対象者P1が離床状態である場合は、図8(B)に例示したように、対象者P1の像は、カメラ4で得られる画像の近傍検知領域R3ではなく、検知領域R2の左端部あるいは右端部に含まれている。つまり、これらの場合に、カメラ4で得られた画像の近傍検知領域R3について、探索部131が行った探索によって検出される人物の像は、介護者P2の像である可能性が高い。したがって、第1判定部151で得られた対象者P1の見かけの状態が就床状態、起床状態、離床状態のいずれかであって、探索部131が近傍検知領域R3で人物の像を検出した場合に、位置特定部132は、介護者P2はベッド1の近傍にいると判定してよい。
一方、図8(F)に示したように、対象者P1が傍床状態である場合は、対象者P1の像は、図8(C)に示したように、カメラ4で得られた画像の近傍検知領域R3−Lあるいは近傍検知領域R3−Rのいずれかに含まれている。つまり、この場合に、探索部131により、カメラ4で得られた画像の近傍検知領域R3から対象者P1以外の人物の像が検出された場合は、当該人物の像は介護者P2の像である可能性が高い。したがって、第1判定部151で得られた対象者P1の見かけの状態が傍床状態であって、探索部131が近傍検知領域R3において対象者P1以外の人物の像を検出した場合に、位置特定部132は、介護者P2はベッド1の近傍にいると判定してよい。
このようにして、位置特定部132は、介護者P2がベッド1の近傍にいるか否かを高い精度で判定し、この判定結果を示す情報を、介護者P2の状態を示す情報の一部として出力することができる。
更に、位置特定部132は、対象者P1の見かけの状態が離床状態あるいは傍床状態であるときに、介護者P2の像と対象者P1の像とがそれぞれ検出された位置に基づいて、介護者P2と対象者P1との相対位置を特定してもよい。位置特定部132は、例えば、対象者P1の像および介護者P2の像が、それぞれベッド1の左右のどちら側で検出されたかに基づいて、介護者P2が対象者P1と同じ側にいるか否かを判定してもよい。
例えば、図8(B)のように、介護者P2の像が近傍検知領域R3−Lで検出され、対象者P1の像が検知領域R2の左端部で検出された場合に、これらの像の位置を示す情報に基づき、位置特定部132は、介護者P2が対象者P1と同じ側にいると判定する。一方、図8(C)のように、介護者P2の像が近傍検知領域R3−Rで検出され、対象者P1の像が近傍検知領域R3−Lで検出された場合に、これらの像の位置を示す情報に基づき、位置特定部132は、介護者P2は対象者P1と逆側にいると判定する。
このようにして、図7に例示した位置特定部132は、対象者P1がベッド1の中央以外の偏った位置にいる場合について、介護者P2と対象者P1との相対位置を判別し、この判別結果を介護者P2の状態を示す情報の一部として出力することができる。なお、位置特定部132は、対象者P1の見かけの状態が就床状態又は起床状態である場合にも、探索部131が介護者P2の像を左右どちらの側の近傍検知領域R3から検出したかを示す情報を、介護者P2の状態を示す情報の一部として出力してもよい。
また、図7に例示した第2判別部14は、エッジ検出部141と、装着判定部142と、高さ判定部143と、状況判定部144とを含んでいる。更に、図7に例示した状況判定部144は、判定処理部145と、判定テーブル146とを含んでいる。
図7に例示したエッジ検出部141は、カメラ4で得られた画像内でサイドレール2の像が含まれる可能性のある領域から、直線状のエッジを検出する。装着判定部142は、エッジ検出部141による検出結果に基づいて、後述するようにして、ベッド1の左右の側面それぞれについて、サイドレール2の装着状態を判定する。
ここで、図9を参照しつつ、カメラ4で得られる画像に基づいて、図7に例示したエッジ検出部141と装着判定部142とにより、安全装置の一例であるサイドレール2の状態を判別する手法について説明する。
図9は、装着判定部142の処理を説明する図である。なお、図9に示した要素のうち、図4あるいは図5に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図9において、符号R4−L1、R4−L2で示した領域は、カメラ4の撮影方向に向かって左側のベッド1の側面に装着されたサイドレール2の像が含まれる可能性のある側方検知領域の一例である。また、符号R4−R1、R4−R2で示した領域は、カメラ4の撮影方向に向かって右側のベッド1の側面に装着されたサイドレール2の像が含まれる可能性のある側方検知領域の一例である。これらの側方検知領域R4−L1、R4−L2の境界は、例えば、ベッド1の長手方向を2等分する中央線Bcに基づいて決定しておくことができる。同様に、側方検知領域R4−R1、R4−R2の境界も、例えば、上述したベッド1の中央線Bcに基づいて決定しておくことができる。なお、以下の説明において、上述した側方検知領域R4−L1、R4−L2、R4−R1、R4−R2を互いに区別しない場合は、単に側方検知領域R4と称する。
図7に例示したエッジ検出部141は、例えば、図9に例示した4つの側方検知領域R4−L1、R4−L2、R4−R1、R4−R2において、直線状のエッジを持つ物体の像を探索する。エッジ検出部141は、例えば、上述した側方検知領域R4−L1および側方検知領域R4−L2において、ベッド1の床部に相当する四角形の左側の辺L1に略平行な直線状のエッジを探索してもよい。また、同様に、エッジ検出部141は、側方検知領域R4−R1および側方検知領域R4−R2において、ベッド1の床部に相当する四角形の右側の辺L2に略平行な直線状のエッジを探索してもよい。
図7に例示した装着判定部142は、まず、エッジ検出部141が検出したエッジの中から、所定の閾値以上の長さを持つエッジを、サイドレール2の像として抽出する。装着判定部142は、例えば、ベッド1の1/10程度の長さに相当する閾値に基づいて、サイドレール2の像を抽出してもよい。そして、装着判定部142は、抽出したエッジそれぞれについて、当該エッジの両端が、上述した4つの側方検知領域R4−L1、R4−L2、R4−R1、R4−R2のいずれか一つに収まっているか否かを判定する。
エッジの両端が上述した側方検知領域R4のいずれかに収まる場合に、装着判定部142は、対応する位置に独立してサイドレール2が装着されていると判定する。例えば、図9において符号S1で示した直線状のエッジは、両端が側方検知領域R4−R1の内部に収まっている。エッジ検出部141が、このようなエッジS1を検出した場合に、装着判定部142は、このエッジS1を含む側方検知領域R4−R1に対応するベッド1の右側の足元側に、独立したサイドレール2が装着されていると判定する。同様にして、両端が側方検知領域R4−R2の内部に収まっているエッジS2の検出に応じて、装着判定部142は、側方検知領域R4−R2に対応するベッド1の右側の頭側に独立して装着されているサイドレール2を検出してもよい。
一方、エッジ検出部141で検出されたエッジの両端がそれぞれ別の側方検知領域R4に含まれる場合に、装着判定部142は、当該側方検知領域R4に対応する側に、サイドレール2が、ベッド1の頭側と足元側とに跨るように装着されていると判定する。
例えば、図9において符号S3で示した直線状のエッジは、一端が側方検知領域R4−L1の内部にあり、もう一端は側方検知領域R4−L2の内部にある。エッジ検出部141がこのようなエッジS3を検出した場合に、装着判定部142は、このエッジS3を含む側方検知領域R4−L1、R4−L2に対応するベッド1の右側の頭側と足元側とに跨って、サイドレール2が装着されていると判定する。
なお、装着判定部142は、上述したようにして検出したサイドレール2のそれぞれについて、対応するエッジの端部の画像における座標などに基づいて、個々のサイドレール2の長さを評価してもよい。また、装着判定部142は、同様にして、隣接して装着されている2つのサイドレール2の隙間の大きさや、サイドレール2の一端とベッド1の頭側に取り付けられているヘッドボードとの隙間の大きさなどを評価してもよい。また、装着判定部142は、これらの評価結果を示す情報を、安全装置の状態を示す情報の一部として出力してもよい。
ところで、ベッド1に装着されたサイドレール2は、ベッド1上の対象者P1の転落を防止するための転落防止機能とともに、対象者P1がベッド1に乗り降りする際の乗降補助機能を果たしている。そして、サイドレール2が転落防止機能を有効に果たすことによって転落防止についての安全に寄与する装着状態と、サイドレール2が乗降補助機能を有効に果たすことによって乗降についての安全に寄与する装着状態とは互いに異なっている。
図7に例示した状況判定部144は、サイドレール2のように複数種類の機能を有する安全装置について、機能ごとに異なる判断基準を用いて、装着判定部142で得られた装着状態が、各機能を有効に作用させる状況か否かをそれぞれ判定する。
この状況判定部144は、例えば、上述したようにして得られたサイドレール2の装着状態が、それぞれの機能の目的について安全であるか安全でないかを、ベッド1の左右の側面それぞれについて判定することが望ましい。なお、以下の説明では、安全でないことを不安全と称する。
図7に例示した状況判定部144は、判定処理部145と判定テーブル146とを含んでいる。この判定テーブル146は、例えば、サイドレール2の様々な装着状態に対応して、当該装着状態のサイドレール2が転落防止の面で安全に寄与するか否かおよび乗降の面で安全に寄与するか否かを、それぞれ示す情報を保持している。つまり、この判定テーブル146は、サイドレール2の転落防止機能と乗降補助機能とについて、それぞれの安全状況を判定する際の判断基準を示している。
図10は、判定テーブル146の一例を示している。なお、図10においては、図9に例示したベッド1のヘッドボード側の側方検知領域R4−L2,R4−R2を領域2として示し、足元側の側方検知領域R4−L1,R4−R1を領域1として示した。
図10に例示した判定テーブル146では、サイドレール2の装着状態を、領域1と領域2とにそれぞれ独立して装着可能なサイドレール2が装着されているか否かと、2つの領域に跨るサイドレール2が装着されているか否かの組み合わせとして示している。
なお、図10に例示した判定テーブル146は、上述した装着判定部142により、ベッド1の1/10の長さに相当する閾値よりも長いエッジをサイドレール2の像として抽出した場合に対応している。この判定テーブル146では、上述した長さのサイドレール2がベッド1の中央部と、ヘッドボード側あるいは足元側に同時に装着されることは現実的にほとんどないことを反映して、サイドレール2の装着状態を5通りに分類して示している。
図10に例示した判定テーブル146の最初の行に示したサイドレール2の装着状態は、図9の側方検知領域R4−R1,R4−R2に例示したように、ベッド1の頭側と足元側とにそれぞれ独立して装着されたサイドレール2があることを検出した場合に相当する。
このように、ベッド1のヘッドボード側と足元側にそれぞれサイドレール2が装着されている場合は、ベッド1の一方の側に大きな隙間がない状態である。このような装着状態は、対象者P1の転落防止に有用である反面、対象者P1がベッド1に乗降する動作の妨げとなる。したがって、この装着状態の組み合わせに対応するサイドレール2の安全状況として、判定テーブル146は、「転落防止に安全」と「乗降に不安全」との組を保持している。
また、図10の判定テーブル146の第2行に示したサイドレール2の装着状態は、図9の側方検知領域R4−L1,R4−L2に例示したように、2つの領域に跨って装着されたサイドレール2があることを検出した場合に相当する。
このように、ベッド1の中央部にサイドレール2が装着されている状態は、対象者P1の転落防止に有用であり、かつ、対象者P1がベッド1に乗降する動作を補助する上でも有用である。したがって、この装着状態の組み合わせに対応するサイドレール2の安全状況として、判定テーブル146は、「転落防止に安全」と「乗降に安全」との組を保持している。
一方、図10の判定テーブル146の第3行および第4行に例示したサイドレール2の装着状態は、領域1あるいは領域2のどちらか一方に対応する位置にのみサイドレール2が装着されていることを示している。これらの装着状態では、対象者P1がベッド1に乗り降りするために十分な間隔が設けられている反面、ベッド1の中央部に転落防止の対策は不十分である可能性がある。このため、これらの装着状態に対応するサイドレール2の安全状況として、判定テーブル146は、「転落防止に不安全」と「乗降に安全」との組を保持している。
また、図10の判定テーブル146の第5行に例示したサイドレール2の装着状態は、ベッド1の注目する側にサイドレール2が装着されていないことを示している。サイドレール2が全く装着されていない場合は、対象者P1の転落を防止する機能も乗降を補助する機能も実現することができない。したがって、この装着状態に対応するサイドレール2の安全状況として、判定テーブル146は、「転落防止に不安全」と「乗降に不安全」との組を保持している。
なお、装着判定部142が、ベッド1の各側に装着されたサイドレール2の長さなどを評価する機能を有する場合には、その評価結果に対応するように、きめ細かい判断基準を示す判定テーブル146を用意してもよい。例えば、判定テーブル146は、サイドレール2の装着状態を、ベッド1の中央部とヘッドボード側および足元側における隙間の大きさがそれぞれ所定の閾値以上であるか否かを示す情報の組み合わせで表し、各組み合わせについて安全状況を示してもよい。
また、サイドレールの装着状態ごとの安全状況が異なる複数の判定テーブルを用意しておき、対象者P1の年齢や容体を含む対象者の属性に応じて、判定処理部145が安全状況を判定する際に、その中から適切な判定テーブルを選択してもよい。このような判定テーブルの選択を行うことにより、サイドレールに対して期待される機能が対象者の属性によって違っていることを、サイドレールの安全状況の判定結果に反映することができる。
また、図7に例示した第2判別部14は、安全装置の一例である高さ調整装置3の状態を判別するために、高さ判定部143を含んでいる。この高さ判定部143は、上述したエッジ検出部141による検出結果に基づいて、次に説明するようにして、ベッド1の高さを判定する。
図11は、高さ判定部143の処理を説明する図である。なお、図11に示した要素のうち、図4あるいは図5に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。また、図11では、サイドレール2の図示を省略している。
図11(A)、(B)は、カメラ4によって得られた画像の例である。また、図11(C),(D)は、図11(A),(B)に示した画像が得られた際に、ベッド1に設けられた高さ調整装置3によって、それぞれどのようにベッド1の床部の床面からの高さが調整されているかを示している。
なお、図11(C)は、ベッド1の端に対象者P1が腰掛けた状態で、当該対象者P1の足が床面につくような望ましい高さHsに、ベッド1の高さが調整されている状態を示す。一方、図11(D)は、ベッド1の端に対象者P1が腰掛けた状態で、当該対象者P1の足が床面につかないような高さHに、ベッド1の高さが調整されている状態を示す。
図11(A),(B)において符号Bdは、ベッド1の床部の足元側の端部に対応するエッジを示している。図11(A),(B)の比較から分かるように、このエッジBdの画像の上下方向における位置は、図11(C)および図11(D)にそれぞれ例示したベッド1の床部の高さの違いを反映している。
したがって、図7に例示した高さ判定部143は、エッジ検出部141によって検出されたエッジに含まれる、ベッド1の床部の足元側の端部に相当する直線状のエッジBdの位置Yと所定の基準位置Ysとの比較に基づいて、ベッド1の高さを判断してもよい。例えば、高さ判定部143は、図11(C)に例示したように、望ましい高さにベッド1の高さを調整した際に、カメラ4で得られた画像におけるエッジBdの位置に基づいて、上述した基準位置Ysを予め設定しておいてもよい。
そして、高さ判定部143は、エッジ検出部141によって検出されたエッジBdの位置Yが、所定の基準位置Ysと所定の許容範囲内で一致する場合に、ベッド1は望ましい高さであると判定する。この場合に、高さ判定部143は、高さ調整装置3の状態はベッド1を望ましい高さに調整している状態である旨の判別結果を、安全装置の状態情報の一部として出力してもよい。
一方、高さ判定部143は、検出されたエッジBdの位置Yが、上述した許容範囲を超えて基準位置Ysよりも画面の上方にずれている場合に、ベッド1の高さは望ましい高さよりも高いと判定する。そして、この場合に、高さ判定部143は、高さ調整装置3の状態はベッド1を望ましい高さに調整している状態でない旨の判別結果を、安全装置の状態情報の一部として出力してもよい。
このようにして、高さ判定部143を有する第2判別部14は、カメラ4で得られた画像に基づいて、ベッド1の高さが、図11(C)に示したような望ましい高さに調整されているか否かを高い精度で判別することができる。
また、高さ判定部143は、図1に例示したカメラ4で得られた画像に含まれるベッド1の他の備品の像の位置に基づいて、ベッド1の高さを判断してもよい。例えば、高さ判定部143は、ベッド1に装着されたサイドレールの上端部の像の位置やヘッドボードの上端部の像の位置に基づいて、ベッド1の高さを判断してもよい。同様に、高さ判定部143は、ベッド1の足元側の手すりの上端部の像の位置に基づいて、ベッド1の高さを判断してもよい。
上述したようにして、図7に例示した第2判別部14は、安全装置の一例であるサイドレール2の安全状況を示す情報とともに、同じく安全装置の一例である高さ調整装置3の状態を示す情報を取得することができる。そして、第2判別部14は、このようにして得られたサイドレール2の安全状況を示す情報と高さ調整装置3の状態を示す情報とを、それぞれ安全装置の状態を示す情報の一部として出力する。
ところで、ベッド1は、上述したサイドレール2および高さ調整装置3のほかに、例えば、ベッド1の無用な移動を防ぐためのブレーキなどを装備している場合がある。そして、このブレーキなどの状態とともに、高さ調整装置3によって調整されたベッド1の高さやサイドレール2の装着状態を示す情報を管理するベッド制御装置を搭載しているベッド1もある。ベッド1が、このようなベッド制御装置を搭載している場合に、第2判別部14は、上述した画像に基づく判別処理を行う代わりに、このベッド制御装置から、高さ調整装置3やサイドレール2の状態を示す情報を取得してもよい。更に、第2判別部14は、ベッド制御装置からブレーキなどの状態を示す情報を受け取り、この情報を安全装置の状態を示す情報の一部として、図1又は図7に例示した判断部15に渡してもよい。
図7に例示した判断部15において、第2判定部154は、判断処理部155と、判断テーブル156と、保持部157とを含んでいる。判断処理部155は、第1判定部151からの対象者P1の見かけの状態および移動方向を示す情報と、第1判別部13からの介護者P2の状態を示す情報と、第2判別部14からの安全装置の状態を示す情報とを受け取る。また、判断処理部155は、後述する判断処理の過程で、判断テーブル156および保持部157を参照する。
判断処理部155は、まず、安全装置の状態を示す情報に含まれるサイドレール2の安全状況と高さ調整装置3の状態を示す情報とに基づき、これらの安全装置の総合的な安全性を判定する。
判断処理部155は、例えば、高さ調整装置3の状態を示す情報により、ベッド1の高さが望ましい高さであることが示され、サイドレール2の状態が転落防止に安全である場合に、安全装置は転落防止に安全であると判定する。同様に、判断処理部155は、高さ調整装置3の状態を示す情報により、ベッド1の高さが望ましい高さであることが示され、サイドレール2の状態が乗降に安全である場合に、安全装置は乗降に安全であると判定する。一方、ベッド1の高さが望ましい高さではない場合に、判断処理部155は、安全装置の転落防止機能についても乗降補助機能についても不安全であると判定する。また、ベッド1の高さが望ましい高さであっても、サイドレール2の状態が転落防止に不安全である場合に、判断処理部155は、安全装置は転落防止に不安全であると判定する。同様に、また、ベッド1の高さが望ましい高さであっても、サイドレール2の状態が乗降に不安全である場合に、判断処理部155は、安全装置は乗降に不安全であると判定する。
そして、この判定結果と、対象者P1の見かけの状態および介護者P2の状態を示す情報と、判断テーブル156および保持部157とに保持された情報とに基づいて、判断処理部155は、対象者P1の安全性について警報を必要とする状態か否かを判断する。
図7に例示した判断テーブル156は、対象者P1の見かけの状態ごとに、介護者P2の状態および安全装置の安全性についての判定結果の組み合わせによって、対象者P1の安全性が確保できるか否かを示している。また、図7に例示した保持部157は、対象者P1が介助を必要とするか否かを示す情報を含む属性情報を保持する。例えば、この保持部157は、対象者P1がベッド1に乗降する際に介助を必要とするか否かを示す情報を保持してもよい。
図12は、判断テーブル156の一例を示している。図12に例示した判断テーブル156は、対象者P1の状態と、介護者P2の状態と、安全装置の状態との想定可能な組み合わせ全てに対応して、当該組み合わせで示される環境において対象者P1が安全であるか否かを警報の要否として示している。なお、図12に例示した判断テーブルの各欄に示した符号「−」は、当該項目が任意であることを示している。
図12に例示した判断テーブル156は、対象者P1の状態に関する項目として、第1判定部151で得られた対象者P1の見かけの状態と対象者P1の移動方向を含んでいる。また、この判断テーブル156は、介護者P2の状態を示す項目として、介護者P2の在/不在と、介護者P2の位置とを含んでいる。また、判断テーブル156は、安全装置の状態を示す項目として、安全装置の安全性の判定結果を含んでいる。
そして、図12に例示した判断テーブル156において、「警報の要否」欄に示した「不要」は、対象者P1が現在の状態は、対象者P1の安全性について警報が不要な状態であることを示す。一方、この判断テーブル156の「警報の要否」欄に示した「必要」は、対象者P1が、現在の状態が、対象者P1の安全性について警報が必要な状態であることを示す。また、この判断テーブル156の「警報の要否」欄に示した「条件付き要」は、対象者P1が現在の状態が対象者P1の安全性について警報を必要とする状態であるか否かが、対象者P1が介助を必要とするか否かによって異なることを示している。つまり、「警報の要否」欄に示した「条件付き要」は、対象者P1の見かけの状態において想定される行動について、対象者P1が介助を必要とする場合に、対象者P1の状態が警報を必要とする状態であることを示す。一方、対象者P1が介助を必要としない場合に、判断テーブル156の「警報の要否」欄に示した「条件付き要」は、対象者P1の状態が警報を必要としない状態であることを示す。
図12に例示した判断テーブル156において、対象者P1の状態が「就床状態又は起床状態」である場合に対応する部分は、「就床状態又は起床状態」において、対象者P1の安全性を判断する上で考慮すべき要因の組み合わせを示している。この組み合わせは、介護者P2の存在する場合と不在である場合とのそれぞれについて、安全装置の安全性の判定結果が安全である場合と不安全である場合とを含んでいる。ここで、対象者P1の見かけの状態が就床状態又は起床状態である場合に、対象者P1の安全性を左右する安全装置の機能は転落防止機能である。したがって、判断テーブル156の対象者P1の状態「就床状態又は起床状態」に対応する部分は、安全装置の安全性の判定結果として、「転落防止に安全」又は「転落防止に不安全」を含むことが望ましい。
この判断テーブル156は、対象者P1が就床状態又は起床状態であって、介護者P2の状態が不在である場合に、安全装置の安全性についての判定結果が転落防止に安全であれば警報は不要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。また、この判断テーブル156は、対象者P1が就床状態又は起床状態であって、介護者P2の状態が存在である場合に、安全装置の安全性についての判定結果が転落防止に安全であるか不安全であるかにかかわらず警報は不要であることを示している。
ここで、この判断テーブル156において、介護者P2の状態が「存在」である場合は、介護者P2が対象者P1を介護するための作業を継続している可能性があることを示している。このように、判断テーブル156において、上述した介護者P2の状態を含む組み合わせについて、警報が不要である旨を示すことにより、介助作業中の介護者P2が存在するか否かを警報の要否の判断に反映することができる。
図12に例示した判断テーブル156において、対象者P1の状態が「離床状態」である場合に対応する部分は、「離床状態」において、対象者P1の安全性を判断する上で考慮すべき要因の組み合わせを示している。この組み合わせは、介護者P2が存在する場合であって、介護者P2の位置が対象者P1と同じ側である場合と逆側である場合のそれぞれと、安全装置の安全性の判定結果が安全である場合と不安全である場合との組み合わせを含んでいる。さらに、この組み合わせは、介護者P2が不在である場合について、安全装置の安全性の判定結果が安全である場合と不安全である場合との組み合わせも含んでいる。ここで、対象者P1の状態が離床状態である場合に、対象者P1の安全性を左右する安全装置の機能は乗降補助機能である。したがって、判断テーブル156の対象者P1の状態「離床状態」に対応する部分は、安全装置の安全性の判定結果として、「乗降に安全」又は「乗降に不安全」を含むことが望ましい。
図12に例示した判断テーブル156は、対象者P1が離床状態であって、介護者P2の状態が不在である場合に、安全装置の安全性についての判定結果が転落防止に安全であれば警報は条件付き要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。また、この判断テーブル156は、対象者P1が離床状態であって、介護者P2が対象者P1と同じ側にいる場合に、安全装置の安全性についての判定結果が転落防止に安全であれば警報は不要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。更に、この判断テーブル156は、対象者P1が離床状態であって、介護者P2が対象者P1と逆側にいる場合に、安全装置の安全性についての判定結果が転落防止に安全であれば警報は条件付き要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。
ここで、この判断テーブル156において、介護者P2の状態を示す情報によって、介護者P2が対象者P1と同じ側にいることが示された場合は、介護者P2が対象者P1の動作を介助していることを示している。したがって、判断テーブル156において、上述した介護者P2の状態を含む組み合わせについて、警報が不要である旨を示すことにより、介助作業中の介護者P2が存在するか否かを警報の要否の判断に反映することができる。つまり、このような判断テーブル156は、介護者P2と対象者P1との相対位置に応じた判断基準の一例である。更に、判断テーブル156において、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全である場合について、警報の要否を「条件付き要」とすることにより、対象者P1の属性情報を警報の要否の判断に反映することができる。したがって、このような判断テーブル156は、保持部157に保持された属性情報に応じて異なる判断基準の一例でもある。
また、図12に例示した判断テーブル156において、対象者P1の状態が「傍床状態」である場合に対応する部分は、「傍床状態」において、対象者P1の安全性を判断する上で考慮すべき要因の組み合わせを示している。この組み合わせは、対象者P1の移動方向がベッド1から遠ざかる方向である場合と、介護者P2の任意の状態および安全装置の安全性についての任意の判定結果との組み合わせを含んでいる。また、この組み合わせは、対象者P1の移動方向がベッド1に近づく方向である場合について、上述した「離床状態」に対応する組み合わせと同様の組み合わせを含んでいる。つまり、「傍床状態」に対応する組み合わせは、介護者P2が存在する場合であって、介護者P2の位置が対象者P1と同じ側である場合と逆側である場合のそれぞれと、安全装置の安全性の判定結果が安全である場合と不安全である場合との組み合わせを含んでいる。更に、この組み合わせは、介護者P2が不在である場合について、安全装置の安全性の判定結果が安全である場合と不安全である場合との組み合わせも含んでいる。ここで、対象者P1の状態が傍床状態である場合も、対象者P1の安全性を左右する安全装置の機能は乗降補助機能である。したがって、判断テーブル156の対象者P1の状態「傍床状態」に対応する部分に含まれる組み合わせは、安全装置の安全性の判定結果として、「乗降に安全」又は「乗降に不安全」を含むことが望ましい。
図12に例示した判断テーブル156は、対象者P1が傍床状態であって、対象者P1の移動方向がベッド1から遠ざかる方向である場合に、介護者P2の状態および安全装置の安全性についての判定結果にかかわらず、警報が不要であることを示している。一方、この判断テーブル156は、対象者P1の移動方向がベッド1に近づく方向である場合に、警報の要否の判断は、上述した離床状態の場合と同様に、介護者P2の位置と安全装置の安全性についての判定結果とに依存することを示している。つまり、判断テーブル156は、対象者P1がベッド1に近づいており、介護者P2の状態が不在である場合に、安全装置の安全性の判定結果が乗降に安全であれば警報は条件付き要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。また、この判断テーブル156は、対象者P1がベッド1に近づいており、介護者P2が対象者P1と同じ側にいる場合に、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全であれば警報は不要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。更に、この判断テーブル156は、対象者P1がベッド1に近づいており、介護者P2が対象者P1と逆側にいる場合に、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全であれば警報は条件付き要であり、不安全であれば警報が必要であることを示している。
ここで、この判断テーブル156において、介護者P2の状態を示す情報によって、介護者P2がベッド1に近づいている対象者P1と同じ側にいることが示された場合は、介護者P2が対象者P1の動作を介助していることを示している。したがって、判断テーブル156において、上述した介護者P2の状態を含む組み合わせについて、警報が不要である旨を示すことにより、介助作業中の介護者P2が存在するか否かを警報の要否の判断に反映することができる。つまり、このような判断テーブル156は、介護者P2と対象者P1との相対位置に応じた判断基準の一例である。更に、判断テーブル156において、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全である場合について、警報の要否を「条件付き要」とすることにより、対象者P1の属性情報を警報の要否の判断に反映することができる。したがって、このような判断テーブル156は、保持部157に保持された属性情報に応じて異なる判断基準の一例でもある。
そして、図12に例示した判断テーブル156は、対象者P1の状態が「不在状態」である場合について、介護者P2の状態および安全装置の安全性についての判定結果にかかわらず、警報は不要であることを示している。
このように、判断テーブル156は、対象者P1の見かけの状態ごとに、介護者P2の状態と安全装置の安全性の判定結果との組み合わせのうち、対象者P1の安全を左右する組み合わせについての判断基準を示している。したがって、図7に例示した判断処理部155は、この判断テーブル156と、対象者P1の見かけの状態と、介護者P2の状態と、安全装置の安全性の判定結果との組み合わせとの照合により、対象者P1の状態が警報を要するか否かの判定結果を得ることができる。
つまり、図6に例示した判断テーブル156と判断処理部155とを含む判断部15によれば、介護者P2の状態と安全装置の状態との様々な組み合わせで示される環境における対象者P1の安全性を簡易な処理で判断することができる。
更に、判断テーブル156により、警報の要否として「条件付き要」が示された場合に、判断処理部155が、保持部157に保持された属性情報に基づく判断を行うことにより、対象者P1の安全性の判断に、対象者P1の特徴を反映することもできる。
例えば、介護者P2がベッド1の近傍に存在しない状態であって、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全である場合に、対象者P1が離床状態となったときに、判断処理部155は、判断テーブル156から警報の要否として「条件付き要」を得る。同様に、介護者P2の位置が対象者P1とは逆側であって、安全装置の安全性についての判定結果が乗降に安全である場合にも、対象者P1が離床状態となったときに、判断処理部155は、判断テーブル156から警報の要否として「条件付き要」を得る。
これらの場合に、保持部157の属性情報により、対象者P1がベッド1の乗降に介助を必要としない旨が示されていれば、判断処理部155は、この対象者P1にとって、現在の環境は安全であり、対象者P1の状態は警報が不要な状態であると判断する。
一方、同じ環境でも、保持部157の属性情報により、対象者P1がベッド1の乗降に介助を必要とする旨が示されていれば、判断処理部155は、この対象者P1にとって、現在の環境は不安全であり、対象者P1の状態は警報が必要な状態であると判断する。
このように、本件開示の状態検知装置10によれば、対象者P1の特徴を対象者P1の安全性の判断に反映することができるので、介護者P2に注意を促すことが必要な場合に限って、出力部16を介して警報を出力させることが可能である。
これにより、介助が不要な対象者P1が自力でベッド1から降りる場合などに、誤って警報を出力してしまうケースを低減することができるので、介護者P2に対する警報の有効性を維持することができる。
その一方、介助が必要な対象者P1がベッド1から降りようとしていることを漏れなく検出することができる。そして、この検出に応じて警報を出力することによって、介護者P2の注意を喚起することができるので、対象者P1の安全性の向上にも有用である。
ところで、第2判別部14の構成は、図7に例示した構成に限られない。また、上述した特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」に開示した技法を、対象者P1の移動方向や介護者P2の状態および安全装置の状態を判別する処理に利用してもよい。
図13は、状態検知装置の別実施形態を示している。なお、図13に示した構成要素のうち、図1あるいは図7に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図13に例示した照明装置8は、カメラ4の撮影方向と略平行に近赤外域の波長の照明光により、ベッド1とベッド1上あるいはベッド1の近傍にいる対象者P1および介護者P2を照明する。また、図13に例示したサイドレール2は、手すり部分に貼付された複数のマーカ7を有している。これらのマーカ7は、上述した照明装置8による照明光を反射する素材を用いて形成されていることが望ましい。また、図8に例示した照明装置8は、カメラ4による撮影に同期して、照明光の点灯と消灯とを繰り返す制御を行うことが望ましい。
また、図13に例示した状態検知装置10は、差分画像生成部17を含んでいる。この差分画像生成部17は、照明光の点灯時に得られた画像から消灯時に得られた画像を差し引くことにより、サイドレール2に貼付された複数のマーカ7の像を含む差分画像を生成する。また、この差分画像生成部17は、生成した差分画像を、検出部11と第1判別部13と第2判別部14にそれぞれ入力する。なお、この差分画像の生成手法の詳細および差分画像から人物の像を検出する処理の詳細については、上述した特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」を参照されたい。
また、図13に例示した第2判別部14は、図7に例示したエッジ検出部141に代えて、マーカ部146を含んでいる。このマーカ検出部147は、差分画像に含まれるマーカ7の像を検出し、検出したマーカ7の像の位置を装着判定部142および高さ判定部143に入力する。
図13に例示した装着判定部142は、マーカ検出部147によって、上述したマーカ7の像が検出されたか否かおよび検出された各マーカ7の位置に基づいて、各サイドレール2の装着状態を判別する。装着判定部142は、例えば、差分画像から検出されたマーカ7の像が、画像において直線状に並んでいるか否かに基づいて、ベッド1の左側にサイドレール2が同じ高さで装着されているか否かを判別してもよい。また、装着判定部142は、ベッド1の右側におけるサイドレール2の装着状態も同様にして判別することができる。また、図13に例示した高さ判定部143は、上述したマーカ7の像の画像の上下方向の位置に基づいて、図11を用いて説明したようにして、ベッド1の高さを判定することができる。
上述した差分画像生成部17で得られる差分画像においては、マーカ7の像は容易に検出可能である。したがって、マーカ検出部147と装着判定部142と高さ判定部143とを有する第2判別部14によれば、近赤外域の照明光の下で撮影したサイドレール2の画像に基づいて、サイドレール2の装着状態およびベッド1の高さを高い精度で判別できる。これにより、室内の照明が消灯された状態でも、サイドレール2の装着状態およびベッド1の高さを含む安全装置の状態を判別することが可能である。
なお、各サイドレール2に貼付する複数のマーカ7の間隔を、サイドレール2ごとに予め決定しておけば、装着判定部142は、画像から求めたマーカの間隔に基づいて、個々のサイドレール2を識別することができる。また、個々のサイドレール2のサイズや折り畳み機能の有無などの特徴を示す情報は、個々のサイドレール2を示す識別情報に対応して予め集積しておくことができる。そして、装着判定部142は、識別したサイドレール2に対応して集積された特徴を示す情報を用いて、隣接して装着されている2つのサイドレール2の隙間の大きさや、サイドレール2の一端とベッド1のヘッドボードとの隙間の大きさなどを評価してもよい。
以上に説明した本件開示の状態検知装置10は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することもできる。
図14は、状態検知装置10のハードウェア構成の一例を示している。なお、図14に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
コンピュータ装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置(HDD)23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26とを含んでいる。また、コンピュータ装置20は、更に、カメラインタフェース28と、警報インタフェース29と、ベッドインタフェース30とを含んでいる。図14に例示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26とは、バスを介して互いに接続されている。また、このバスには、カメラインタフェース28、警報インタフェース29およびベッドインタフェース30も接続されている。
図14に例示した光学ドライブ装置26は、光ディスクなどのリムーバブルディスク27を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク27に記録された情報の読出および記録を行う。また、図14に例示した状態検知装置10は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、カメラインタフェース28と、警報インタフェース29と、ベッドインタフェース30とを含んでいる。
図14に例示したコンピュータ装置20は、カメラインタフェース28を介して、カメラ4に接続されている。また、このコンピュータ装置20は、警報インタフェース29を介して、スピーカ5とナースコールシステム101に接続されている。更に、このコンピュータ装置20は、ベッドインタフェース30を介して、ベッド1に搭載されたベッド制御装置9に接続されている。なお、図14に例示したベッド制御装置9は、例えば、高さ調整装置3がベッド1の床部をどんな高さに調整しているかを含むベッドの状態を示す情報を、ベッドインタフェース30を介してコンピュータ装置20のプロセッサ21に渡すことができる。
図14に例示した入力装置25は、例えば、キーボードやマウスなどである。状態検知装置10の操作者は、入力装置25を操作することにより、状態検知装置10に含まれる各部に対して、例えば、対象者P1や介護者P2およびベッド1に設けられた安全装置に関する情報の収集を開始させる旨の指示などを入力することができる。なお、入力装置25および表示装置24は、例えば、ローカルエリアネットワーク(図示せず)などを介して、ナースステーションなどのように、ベッド1とは離れた場所に配置することもできる。また、対象者P1がベッド1からの乗り降りに介助を必要とする場合などに、状態検知装置10の操作者は、入力装置25を操作することにより、その旨を示す情報を、予め入力しておくこともできる。このようにして入力された情報は、属性情報の一部として、メモリ22あるいはハードディスク装置23に設けた保持部157に格納しておくことができる。
図14に例示したメモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した状態検知処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述した状態検知処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク27に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、状態検知処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して、状態検知処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
そして、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に例示した検出部11、第1判別部13、第2判別部14、判断部15および出力部16の機能を果たしてもよい。
図15は、状態検知処理のフローチャートの一例を示している。図15に示したステップS300〜ステップS308の各処理は、上述した状態検知処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS300〜ステップS308の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、カメラインタフェース28を介してカメラ4で得られた画像を取得し、取得した画像を、例えば、メモリ22に保持させる(ステップS300)。プロセッサ21は、例えば、入力装置25を介して状態検知処理のための情報収集を開始する旨の指示が入力されてから、数十ミリ秒から数秒程度の所定の時間間隔で、カメラ4で撮影された画像を取得してもよい。
次に、プロセッサ21は、取得した画像に基づいて、後述するようにして、対象者P1の移動方向を検出する(ステップS301)。プロセッサ21が、このステップS301の処理を実行することは、図1に例示した検出部11を実現する手法の一例である。
次いで、プロセッサ21は、後述するようにして、ステップS301で得られた検出結果に基づいて、対象者P1の見かけの状態を判別する処理を実行する(ステップS302)。プロセッサ21が、このステップS302の処理を実行することは、図3に例示した第1判定部151を実現する手法の一例である。なお、プロセッサ21は、このステップS302の処理の過程で、対象者P1の見かけの状態を示す情報をメモリ22あるいはハードディスク装置23に保持させることにより、この情報を以降の処理において参照可能としてもよい。
次に、プロセッサ21は、後述するように、ステップS302の処理結果を利用して、介護者P2の状態を判別する処理を実行する(ステップS303)。プロセッサ21が、このステップS303の処理を実行することは、図1に例示した第1判別部13を実現する手法の一例である。
また、プロセッサ21は、上述したステップS300で取得した画像に基づいて、安全装置の状態を判別する処理を実行する(ステップS304)。プロセッサ21が、このステップS304の処理を実行することは、図1に例示した第2判別部14を実現する手法の一例である。なお、プロセッサ21がステップS304の処理を実行するタイミングは、ステップS300において画像を取得した後であれば、ステップS301〜ステップS303の各処理の前であってもよい。また、プロセッサ21は、ステップS304の処理を、ステップS301〜ステップS303の処理と並行して実行してもよい。
ステップS302〜ステップS304の処理の終了後に、プロセッサ21は、これらの処理で得られた判別結果に基づいて、後述するようにして、対象者P1の安全性を含む対象者P1の状態を判断する処理を実行する(ステップS305)。プロセッサ21が、このステップS305の処理を実行することは、図1に例示した判断部15を実現する手法の一例である。
ステップS305の処理において、対象者P1の現在の状態が安全でないと判断した場合に、プロセッサ21は、ステップS306の否定判定ルートに進む。そして、ステップS307において、プロセッサ21は、図14に例示した警報インタフェース29を介して、スピーカ5に対象者P1および介護者P2に注意を促す音声メッセージやチャイムなどの警報音を出力させる。また、このとき、プロセッサ21は、スピーカ5を介して警報音を出力させる代わりに、警報インタフェース29を介して、ナースコールシステム101に、対象者P1の状態が安全でない旨を示す情報を含むメッセージを通知してもよい。なお、プロセッサ21は、ナースコールシステム101に通知するメッセージに、ステップS302〜ステップS304の処理で得られた判別結果を示す情報を含めることもできる。また、プロセッサ21は、ステップS307の処理で、スピーカ5による警報音の出力およびナースコールシステム101へのメッセージの通知の両方を実行してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップS307の処理を実行することにより、図1に例示した出力部16の機能を実現することができる。
一方、ステップS305の処理において、対象者P1の現在の状態が安全であると判断した場合に、プロセッサ21は、ステップS306の肯定判定ルートに進み、上述したステップS307の処理をスキップする。
上述したステップS306の肯定判定ルートと否定判定ルートとは、ステップS308において合流する。このステップS308において、プロセッサ21は、対象者P1についての状態検知処理を終了するか否かを判定する。例えば、図14に例示した入力装置25を介して状態検知処理を終了する旨の指示が入力されていない場合に、プロセッサ21は、ステップS308の否定判定ルートに進む。この場合に、プロセッサ21は、ステップS301の処理に戻って、上述した状態検知処理を続行する。つまり、状態検知処理を終了する旨の指示が入力されない限り、プロセッサ21は、ステップS300〜ステップS308の処理を繰り返し実行することにより、対象者P1の状態の見守りを継続する。なお、プロセッサ21が、上述した状態検知処理を実行する時間間隔は、例えば、ステップS300において画像を取得する際の待ち時間などによって予め設定しておくことができる。一方、状態検知処理を終了する旨の指示が既に入力されていた場合に、プロセッサ21は、ステップS308の肯定判定ルートに進み、状態検知処理を終了する。
このようにして、プロセッサ21は、メモリ22やハードディスク装置23に格納されたアプリケーションプログラムに従って、カメラインタフェース28や警報インタフェース29およびベッドインタフェース30と協働する。このようなプロセッサ21とコンピュータ装置20の各部の協働処理により、図1に例示した状態検知装置10の機能を実現することができる。
例えば、プロセッサ21は、上述したアプリケーションプログラムおよびステップS300で取得した画像を保持するメモリ22と協働することにより、次に説明するようにして、図1に例示した検出部11の機能を実現することができる。
図16は、対象者P1の移動方向を検出する処理のフローチャートの一例を示している。図16に例示したステップS311〜ステップS317の処理は、図15に例示したステップS301の処理の一例である。なお、図16に例示したステップS311〜ステップS317の処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23に保持された対象者P1の過去の状態を示す状態情報を取得する(ステップS311)。そして、プロセッサ21は、取得した状態情報で示される対象者P1とベッド1との相対位置に基づいて、カメラ4で得られた画像の中で対象者P1の像を探索する領域を選択する(ステップS312)。プロセッサ21は、図4、図5などに例示した検知領域R2および近傍検知領域R3のうち、対象者P1の過去の状態に対応する位置にいる場合に、当該対象者P1の像が検出されることが想定される領域を、対象者P1の像を探索する領域として選択する。例えば、対象者P1について、過去に判別された見かけの状態が就床状態や起床状態である場合に、プロセッサ21は、検知領域R2を、対象者P1の像を探索する領域として選択してもよい。また、対象者P1について、過去に判別された見かけの状態が不在状態である場合に、プロセッサ21は、近傍検知領域R3を、対象者P1の像を探索する領域として選択してもよい。このように、対象者P1について、過去に判別された見かけの状態に基づいて、対象者P1の像を探索する範囲を絞り込むことにより、探索処理に要する処理コストを削減するとともに、対象者P1の像を高い確率で検出することができる。
次いで、プロセッサ21は、ステップS312の処理で選択した領域において、対象者P1の像を探索する(ステップS313)。ステップS313の処理において、プロセッサ21は、例えば、カメラインタフェース28を介して受け取った画像の選択した領域から、人物の像を検出する。なお、プロセッサ21は、人物の像を検出する処理に、特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」に開示した手法を利用してもよい。
次に、プロセッサ21は、ステップS313の処理において対象者P1の像の検出に成功した否かを判定する(ステップS314)。
対象者P1の像の検出に成功した場合に(ステップS314の肯定判定)、プロセッサ21は、カメラ4から得られた画像に基づいて、更に、対象者P1の移動方向を判定する(ステップS315)。プロセッサ21は、例えば、対象者P1の見かけの状態の判別に用いた過去の画像における対象者P1の位置と現在の位置とを比較することにより、対象者P1の移動方向を判定してもよい。次いで、プロセッサ21は、例えば、ステップS315の処理で得られた移動方向を示す情報をメモリ22あるいはハードディスク装置23に格納することにより、この情報を出力する(ステップS316)。なお、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向の検出結果を示す情報に、例えば、対象者P1の像の位置を示す情報を含めてもよい。プロセッサ21は、例えば、対象者P1の像が検出された領域を特定する情報を、対象者P1の像の位置を示す情報としてメモリ22あるいはハードディスク装置23に格納してもよい。対象者P1の像が検出された領域を特定する情報は、例えば、図4および図5に例示した検知領域R2を境界線BL,BRで区切って得られる3つの領域と近傍検知領域R3−L、R3−Rのいずれかを特定する情報でもよい。このようにして、対象者P1の像の位置を示す情報を保持しておくことにより、プロセッサ21は、図15に例示したステップS302以降の処理の際に、この情報を参照することができる。
図16に例示したステップS314の肯定判定ルートでは、このステップS316の処理の終了後に、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向を検出する処理を終了する。
一方、ステップS313の処理において対象者P1の像の検出に失敗した場合に(ステップS314の否定判定)、プロセッサ21は、対象者P1の像を検出しない旨を示す情報を出力する(ステップS317)。プロセッサ21は、例えば、この情報をメモリ22あるいはハードディスク装置23に格納することにより、図15に例示したステップS302以降の処理に供してもよい。ステップS314の否定判定ルートでは、このステップS317の処理の終了後に、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向を検出する処理を終了する。
また、プロセッサ21は、上述したアプリケーションプログラムおよびメモリ22あるいはハードディスク装置23に保持された遷移テーブル153と協働することにより、次に説明するようにして、図3に例示した第1判定部151の機能を実現することができる。
図17は、対象者P1の見かけの状態を判別する処理のフローチャートの一例を示している。図17に例示したステップS321〜ステップS327の処理は、図15に例示したステップS302の処理の一例である。なお、図17に例示したステップS321〜ステップS327の処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、上述したステップS301の処理でメモリ22あるいはハードディスク装置23を参照することにより、対象者P1の移動方向についての検出結果を取得する(ステップS321)。
次いで、プロセッサ21は、以前に図15に例示した状態検知処理を実行した際に得られた対象者P1の見かけの状態を示す情報を、対象者P1の過去の状態を示す情報としてメモリ22あるいはハードディスク装置23から取得する(ステップS322)。
次に、プロセッサ21は、ステップS321の処理で取得した移動方向の検出結果に基づいて、上述したステップS301の処理の過程で対象者P1の像の検出が成功したか否かを判定する(ステップS323)。プロセッサ21は、例えば、ステップS321の処理で、対象者P1の移動方向を示す情報を取得した場合に、対象者P1の像の検出は成功したと判定する(ステップS323の肯定判定)。一方、ステップS321の処理で、対象者P1の像を検出しない旨を示す情報を取得した場合に、プロセッサ21は、対象者の像の検出は失敗したと判定する(ステップS323の否定判定)。
ステップS323の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向と対象者P1の過去の状態との組み合わせを、遷移テーブル153で示された遷移条件と照合することにより、対象者P1の現在の見かけの状態を判別する(ステップS324)。
このステップS324において、プロセッサ21は、対象者P1の過去の状態と移動方向との組み合わせが、図6に例示した各状態遷移に対応する遷移条件のいずれかと一致する場合に、当該状態遷移が発生したと判断する。そして、この場合に、プロセッサ21は、この状態遷移による遷移先の状態を、対象者P1の現在の見かけの状態についての判別結果とする。一方、対象者P1の過去の状態と移動方向との組み合わせが、図6に例示した各状態遷移に対応する判断基準のいずれとも不一致である場合に、プロセッサ21は、対象者P1の過去の状態は継続していると判断する。そして、この場合に、プロセッサ21は、対象者P1の過去の状態を、そのまま、対象者P1の現在の見かけの状態についての判別結果とする。
次いで、プロセッサ21は、ステップS324の処理で得られた対象者P1の現在の見かけの状態を示す情報を、例えば、メモリ22あるいはハードディスク装置23に記憶させることにより、この情報を出力する(ステップS325)。これにより、対象者P1の現在の見かけの状態を示す情報を、図15に例示したステップS303以降の処理に供することができる。また、ステップS325の処理でメモリ22あるいはハードディスク装置23に記憶させた対象者P1の現在の見かけの状態を示す情報を、次に、状態検知処理を実行する際に引き継ぐことにより、次回の状態検知処理において、この情報を対象者P1の過去の状態を示す情報として利用することができる。
一方、ステップS323の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、まず、対象者P1の状態異常が発生している可能性の有無を判定する(ステップS326)。例えば、プロセッサ21は、対象者P1の状態が不在状態と就床状態とのいずれでもない場合に、対象者P1の少なくとも一部がカメラ4の撮影範囲に含まれていることを利用して、ステップS326の判定処理を行ってもよい。
例えば、ステップS322で取得した対象者P1の過去の状態が不在状態あるいは就床状態である場合に、プロセッサ21は、対象者P1の状態は異常ではないと判断してもよい(ステップS326の否定判定)。この場合に、プロセッサ21は、上述したステップS323の肯定判定ルートの処理と同様に、ステップS324およびステップS325の処理を実行する。
一方、対象者P1の過去の状態が不在状態と就床状態とのいずれかでもない場合に、プロセッサ21は、対象者P1が転倒しているなど、異常な状態となっている可能性があると判断する(ステップS326の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS327の処理に進み、対象者P1の状態が異常である旨の警報を出力した後に、対象者P1の見かけの状態を判別する処理とともに、状態検知処理を異常終了させてもよい。
上述したように、プロセッサ21が、ステップS321〜ステップS327の処理を実行することにより、図3に例示した状態特定部152を有する第1判定部151の機能を実現することができる。
また、プロセッサ21は、アプリケーションプログラムおよびステップS300で取得した画像を保持するメモリ22と協働することにより、次に説明するようにして、図1に例示した第1判別部13の機能を実現することができる。
図18は、介護者P2の状態を判別する処理のフローチャートの一例を示している。図18に例示したステップS331〜ステップS336の処理は、図15に例示したステップS303の処理の一例である。なお、図12に例示したステップS331〜ステップS336の処理は、プロセッサ21によって実行される。
プロセッサ21は、まず、メモリ22に保持された画像に含まれる、図4および図5で説明した近傍検知領域R3において、介護者P2である可能性の高い人物の像を探索する(ステップS331)。プロセッサ21が、このステップS331の処理を実行することにより、図7に例示した探索部131の機能を実現することができる。なお、プロセッサ21は、近傍検知領域R3の画像から人物の像を検出する処理に、上述した特願2011−32223「状態検知装置および状態検知方法」に開示した手法を利用してもよい。
次いで、プロセッサ21は、ステップS331の処理で人物の像の検出に成功したか否かを判定する(ステップS332)。
近傍検知領域R3における人物の像の検出に失敗した場合に(ステップS332の否定判定)、プロセッサ21は、介護者P2は不在である旨を示す情報を、介護者P2の状態を判別する処理の処理結果として出力する(ステップS333)。プロセッサ21は、ステップS333の処理において、介護者P2は不在である旨の情報をメモリ22あるいはハードディスク装置23に記憶させることにより、この情報を出力してもよい。ステップS332の否定判定ルートの処理において、プロセッサ21は、このステップS333の処理の終了後に、介護者P2の状態を判別する処理を終了する。
一方、近傍検知領域R3における人物の像の検出に成功した場合に(ステップS332の肯定判定)、プロセッサ21は、次に述べるように、ステップS331の処理で検出した人物の像が介護者P2の像であるか否かを判断する処理を行う。
まず、プロセッサ21は、検出した人物の像の位置と上述したステップS301の処理の過程において検出された対象者P1の像の位置とを照合する(ステップS334)。プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23を参照することにより、ステップS301の処理の際に得られた対象者P1の像の位置を示す情報を取得してもよい。そして、プロセッサ21は、2つの像の位置が異なっているか否かに基づいて、ステップS331で検出した人物の像が介護者P2の像であるか否かを判定する(ステップS335)。
例えば、ステップS331で検出した人物の像の位置が、対象者P1の像の位置と同一であった場合に、プロセッサ21は、ステップS331で検出した人物の像は、介護者P2の像ではないと判断する(ステップS335の否定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS335の否定判定ルートに従ってステップS333の処理に進み、介護者P2は不在である旨を示す情報を、介護者の状態を判別する処理の処理結果として出力する。
一方、対象者P1の像とは位置が異なる人物の像が検出された場合に、プロセッサ21は、ステップS331で検出した人物の像は、介護者P2の像であると判断する(ステップS335の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS335の肯定判定ルートに従ってステップS336に進む。そして、ステップS336において、プロセッサ21は、介護者P2が存在する旨と当該介護者P2の位置を示す情報を、介護者の状態を判別する処理の処理結果として出力する。
プロセッサ21は、上述したようにして得られた介護者P2の状態情報を、例えば、メモリ22あるいはハードディスク装置23に格納してもよい。これにより、プロセッサ21は、図10に例示したステップS305などの処理の際に、これらの情報を参照することができる。なお、プロセッサ21は、ステップS336において、介護者P2の状態情報を出力する際に、介護者P2の位置を示す情報として、介護者P2の像が、図8に示した近傍検知領域R3−L,R3−Rのどちらから検出されたかを特定する情報を含めてもよい。
このように、上述したステップS332〜ステップS336の処理をプロセッサ21が実行することにより、図7に例示した位置特定部132の機能を実現することができる。
また、プロセッサ21は、アプリケーションプログラムとメモリ22とベッドインタフェース30と協働することにより、次に説明するようにして、図1に例示した第2判別部14の機能を実現することができる。
図19は、安全装置の状態を判別する処理のフローチャートの一例を示している。図19に例示したステップS341〜ステップS345の処理は、図15に例示したステップS304の処理の一例である。なお、図19に例示したステップS341〜ステップS345の処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、上述したステップS300の処理でメモリ22に保持された画像に含まれるサイドレール2の像を、図9に例示したように設定された各側方検知領域R4において探索する(ステップS341)。例えば、プロセッサ21は、カメラ4で得られた画像の各側方検知領域R4から、図9を用いて説明したような特徴を持つエッジの像を検出することにより、サイドレール2の像を検出してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップS341の処理を実行することにより、図7に例示したエッジ検出部141の機能を実現してもよい。
次に、プロセッサ21は、ベッド1の左側面に対応する側方検知領域R4−L1,R4L2と右側面に対応する側方検知領域R4−R1,R4−R2とについて得られた探索結果に基づいて、サイドレール2の装着状態をそれぞれ判定する(ステップS342)。プロセッサ21は、図9を用いて説明したように、ステップS341の探索処理で検出されたエッジの端点の位置と、各側方検知領域R4の境界の位置とに基づいて、個々のエッジに対応するサイドレール2の装着状態を判定する。このように、プロセッサ21が、ステップS342の処理を実行することにより、図7に例示した装着判定部142の機能を実現してもよい。
そして、ステップS342の処理で得られたサイドレール2の装着情報に基づいて、プロセッサ21は、サイドレール2の安全状況を、ベッド1の左側と右側とについてそれぞれ判定する(ステップS343)。
プロセッサ21は、図19に例示したステップS343の処理において、メモリ22あるいはハードディスク装置23に格納された判定テーブル146を利用してもよい。例えば、プロセッサ21は、図10に例示した判定テーブルとステップS342で得られたサイドレール2の装着状態とを照合することにより、ベッド1の各側についてサイドレール2の安全状況を判定してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップS343の処理を実行することにより、図7に例示した判定処理部145と判定テーブル146とを有する状況判定部144の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、図14に例示したベッドインタフェース30を介して、ベッド制御装置9からベッド1の高さを示す情報を取得する(ステップS344)。なお、プロセッサ21は、ステップS344の処理の代わりに、図11を用いて説明したようにして、カメラインタフェース28を介して取得した画像に基づいて、ベッド1の高さを算出する処理を実行してもよい。この処理をプロセッサ21が実行することにより、図7に例示した高さ判定部143の機能を実現することができる。このように、ベッド1の高さを画像に基づいて取得する手法は、ベッド1がベッド制御装置9を搭載していない場合にも適用することが可能である。
次いで、プロセッサ21は、ステップS343で得られたサイドレール2の安全状況とステップS344で得られたベッド1の高さとそれぞれを示す情報を含む安全装置の状態情報を、安全装置の状態を判別する処理の結果として出力する(ステップS335)。
プロセッサ21は、上述したようにして得られた安全装置の状態情報を、例えば、メモリ22あるいはハードディスク装置23に格納してもよい。これにより、プロセッサ21は、図15に例示したステップS305などの処理の際に、これらの情報を参照することができる。なお、プロセッサ21は、ステップS345の処理において、ベッド1の高さを示す数値情報を安全装置の状態情報の一部としてもよい。また、プロセッサ21は、ベッド1の高さと、図11を用いて説明した対象者P1の足が床面につくように調整されたベッド1の高さHsとを比較した結果を示す情報を安全装置の状態情報の一部としてもよい。一方、図14に例示した高さ調整装置3によってベッド1の高さを最低となるように調整した場合の高さが、上述した高さHsである場合が多いことを、安全装置の状態情報の出力に利用してもよい。例えば、プロセッサ21は、ベッド1の高さが最低となるような調整がなされているか否かを示す情報を、安全装置の状態情報の一部として出力してもよい。
また、プロセッサ21は、アプリケーションプログラムに基づいて、メモリ22あるいはハードディスク装置23に格納された各状態情報を処理することにより、次に説明するようにして、図1に例示した判断部15の機能を実現することができる。
図20は、対象者P1の状態を判断する処理のフローチャートの一例を示している。図20に例示したステップS351〜ステップS358の処理は、図14に例示したステップS305の処理の一例である。なお、図20に例示したステップS351〜ステップS358の処理は、プロセッサ21によって実行される。
プロセッサ21は、まず、メモリ22あるいはハードディスク装置23から、ステップS302の処理で得られた対象者P1の現在の見かけの状態を取得する(ステップS351)。次いで、プロセッサ21は、次に述べるステップS352およびステップS353の処理により、対象者P1の現在の状態を、不在状態である場合と、就床状態又は起床状態である場合と、離床状態又は傍床状態である場合との3つに場合分けする。例えば、プロセッサ21は、まず、対象者P1の現在の状態が不在状態であるか否かを判定する(ステップS352)。このステップS352の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、対象者P1の現在の状態が起床状態又は就床状態であるか否かを判定する(ステップS353)。
ここで、対象者P1の現在の状態が起床状態又は就床状態である場合に(ステップS353の肯定判定)、対象者P1の安全性を向上する上で安全装置に対して求められる機能は転落防止機能である。そこで、プロセッサ21は、ステップS353の肯定判定ルートでは、安全装置の状態が、転落防止の観点で対象者P1の安全性の向上に寄与するか否かを判定する(ステップS354)。ステップS354の処理で、プロセッサ21は、次に述べるようにして、メモリ22あるいはハードディスク装置23に保持された安全装置の状態情報に基づいて、転落防止の安全性を判定する。
図21は、転落防止の安全性を判定する処理のフローチャートの一例を示している。図21に例示したステップS361〜ステップS365の処理は、図20に例示したステップS354の処理の一例である。なお、図21に例示したステップS361〜ステップS365の処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23を参照することにより、上述した安全装置の状態を判別する処理で得られた安全装置の状態情報を取得する(ステップS361)。プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23に保持された安全装置の状態情報から、サイドレール2の装着状態およびサイドレール2の安全状況を示す情報と、ベッド1の高さを示す情報とを読み出すことにより、これらの情報を取得する。
次いで、プロセッサ21は、ベッド1の高さを示す情報に基づいて、ベッド1の高さがベッド1に腰掛けている対象者P1の足が床に着くような所定の高さ以下に調整された状態であるか否かを判定する(ステップS362)。なお、ベッド1の高さを示す情報として、ベッド1の高さが最低となるように調整されているか否かを示す情報を取得した場合に、プロセッサ21は、この情報に基づいて、ステップS362の判定を行ってもよい。
例えば、安全装置の状態情報により、ベッド1の高さが所定の高さ以下に調整されていない旨が示された場合に(ステップS362の否定判定)、プロセッサ21は、サイドレール2の安全状況にかかわらず、ステップS363の処理に進む。そして、このステップS363の処理において、プロセッサ21は、ベッド1の安全装置は転落防止に不安全である旨の判定結果を出力する。
一方、安全装置の状態情報により、ベッド1の高さが所定の高さ以下に調整されている旨が示された場合に(ステップS362の肯定判定)、プロセッサ21は、更に、サイドレール2の安全性を判定する(ステップS364)。例えば、プロセッサ21は、安全装置の状態情報に含まれる左右それぞれのサイドレール2の安全状況が、ともに転落防止に安全であることを示しているか否かを判定することにより、ステップS364の判定処理を行うことができる。
サイドレール2の安全状況を示す情報により、少なくとも左右いずれかのサイドレール2が転落防止に不安全であることが示された場合に、プロセッサ21は、サイドレール2は転落防止に不安全であると判定する(ステップS364の否定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS363の処理に進み、ベッド1の安全装置は転落防止に不安全である旨の判定結果を出力する。
一方、サイドレール2の安全状況を示す情報により、左右両方のサイドレール2が転落防止に安全であることが示された場合に、プロセッサ21は、サイドレール2は転落防止に安全であると判定する(ステップS364の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS355の処理に進み、ベッド1の安全装置は転落防止に安全である旨の判定結果を出力する。
このようにして、プロセッサ21がステップS361〜ステップS365の処理を実行することにより、安全装置の状態情報に基づいて、ベッド1に設けられた安全装置につき、対象者P1の転落防止についての安全性を判定することができる。
一方、対象者P1の現在の状態が離床状態又は傍床状態である場合に、対象者P1の安全性を向上する上で安全装置に対して求められる機能はベッド1への乗降を補助する機能である。そこで、プロセッサ21は、図20に例示したステップS353の否定判定ルートでは、安全装置の状態が、乗降補助の観点で対象者P1の安全性の向上に寄与するか否かを判定する(ステップS355)。ステップS355の処理で、プロセッサ21は、次に述べるようにして、メモリ22あるいはハードディスク装置23に保持された安全装置の状態情報に基づいて、乗降の安全性を判定する。
図22は、乗降の安全性を判定する処理のフローチャートの一例を示している。図22に例示したステップS371〜ステップS375の処理は、図20に例示したステップS355の処理の一例である。なお、図22に例示したステップS371〜ステップS375の処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23を参照することにより、上述した安全装置の状態を判別する処理で保持された安全装置の状態情報とともに、対象者P1の移動方向の検出結果を示す情報を取得する(ステップS371)。
次いで、プロセッサ21は、上述したステップS362の処理と同様に、ベッド1の高さを示す情報に基づいて、ベッド1の高さが所定の高さに調整された状態であるか否かを判定する(ステップS372)。
安全装置の状態情報により、ベッド1の高さが所定の高さ以下に調整されていない旨が示された場合に(ステップS372の否定判定)、プロセッサ21は、サイドレール2の安全状況にかかわらず、ステップS373の処理に進む。そして、このステップS373において、プロセッサ21は、ベッド1の安全装置は乗降に不安全である旨の判定結果を出力する。
一方、安全装置の状態情報により、ベッド1の高さが所定の高さ以下に調整されている旨が示された場合に(ステップS372の肯定判定)、プロセッサ21は、更に、サイドレール2の安全性を判定する(ステップS374)。
ステップS374の処理で、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向に対応する側のサイドレール2の安全状況を示す情報に注目する。例えば、対象者P1の移動方向が図4に示した検知領域R2の中央から左端部に向かう方向のように左向きである場合に、プロセッサ21は、左側のサイドレール2の安全状況に基づいて、サイドレール2が乗降に安全であるか否かを判定する。同様に、プロセッサ21は、対象者P1の移動方向が図4に示した検知領域R2の中央から右端部に向かう方向のように右向きである場合に、右側のサイドレール2の安全状況に基づいて、サイドレール2が乗降に安全であるか否かを判定する。
サイドレール2の安全状況を示す情報により、対象者P1の移動方向に対応する側のサイドレール2が乗降に不安全であることが示された場合に、プロセッサ21は、サイドレール2は乗降に不安全であると判定する(ステップS374の否定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS373の処理に進み、ベッド1の安全装置は乗降に不安全である旨の判定結果を出力する。
一方、サイドレール2の安全状況を示す情報により、対象者P1の移動方向に対応する側のサイドレール2が乗降に安全であることが示された場合に、プロセッサ21は、サイドレール2は乗降に安全であると判定する(ステップS374の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、ステップS375の処理に進み、ベッド1の安全装置は乗降に安全である旨の判定結果を出力する。
このようにして、プロセッサ21がステップS371からステップS375の処理を実行することにより、安全装置の状態情報と対象者P1の移動方向を示す情報とに基づき、ベッド1に設けられた安全装置の乗降についての安全性を判定することができる。
以上に説明したようにして、図20に例示したステップS352,S353による場合分けで分類された3つのケースごとに、安全装置に対して求められる機能についての安全性を判定することができる。なお、対象者P1の現在の状態が不在状態である場合は、ベッド1に装備された安全装置に対して求められる機能がないので、図20に示したステップS354あるいはステップS355による安全装置についての判定処理をスキップする。
次に、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23を参照することにより、上述した介護者P2の状態を判別する処理で得られた介護者P2の状態を示す情報を取得する(ステップS356)。
次いで、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク23に格納された判断テーブル156に基づいて、対象者P1の状態が警報を必要とする状態であるか否かを含む対象者P1の現在の状態を特定する(ステップS357)。プロセッサ21は、対象者P1の見かけの状態および移動方向と介護者P2の状態と安全装置の安全性の判定結果との組み合わせを、判断テーブル156に含まれる判断条件と照合する。そして、プロセッサ21は、上述した組み合わせに一致する判断条件に対応して、判断テーブル156に示された警報の要否に基づいて、対象者P1の状態が警報を必要とする状態であるか否かを判定する。なお、ステップS357の処理の過程で、対象者P1の状態についての警報の要否が「条件付き要」である場合に、プロセッサ21は、メモリ22あるいはハードディスク装置23に設けられた保持部157に含まれる属性情報を参照してもよい。そして、得られた属性情報に基づいて、プロセッサ21は、対象者P1の状態についての警報の要否を特定してもよい。
そして、このステップS357の処理で特定された対象者P1の状態を、プロセッサ21は、対象者P1の状態を判断する処理の処理結果として出力し(ステップS358)、対象者P1の状態を判断する処理を終了する。
上述したように、プロセッサ21が、ステップS351〜ステップS358の処理を実行することにより、図7に例示した判断処理部155を有する判断部15の機能を実現することができる。つまり、プロセッサ21がアプリケーションプログラムに従って上述した処理を実行することにより、対象者P1とベッド1との相対位置とともに、介護者P2および安全装置の状態を考慮することにより、対象者P1の状態を高い精度で検知することができる
また、上述したステップS357の処理で用いる判断テーブル156は、図12に例示したように、対象者P1の見かけの状態ごとに注目すべき項目について判断基準を示している。つまり、この判断テーブル156では、対象者P1の見かけの状態および移動方向と介護者P2の状態と安全装置の安全性の判定結果との組み合わせと照合する判断条件が絞り込まれている。したがって、プロセッサ21は、このような判断テーブル156を用いることにより、迅速に対象者P1の現在の状態を特定することができる。
ステップS357の処理において、更に、保持部157に保持した属性情報を利用することにより、プロセッサ21は、対象者P1の属性情報を対象者P1の状態の判断結果に反映することができる。
これにより、プロセッサ21は、ベッド1への乗降に介助が必要な対象者P1が離床状態や傍床状態である場合に、安全装置が乗降に不安全である場合に加えて、介護者P2が対象者P1と同じ側にいない場合についても、警報を要すると判断することができる。
なお、対象者P1の過去の状態と、対象者P1の移動方向と、介護者P2の状態と、安全装置の状態とについて想定される全ての組み合わせについて、警報の要否の判断結果を示す判断テーブルを作成することも可能である。また、プロセッサ21は、上述したステップS351〜ステップS357の処理の代わりに、このような判断テーブルを用いて、対象者P1の状態を特定する処理を実行することによって、図1に例示した判断部15の機能を実現してもよい。
図14に例示した状態検知装置10において、プロセッサ21は、上述したステップS351〜ステップS357の処理を含むステップS305の処理で得られた判断結果に基づいて、図15に例示したステップS306,S307の処理を実行する。そして、プロセッサ21が、例えば、所定の時間ごとに、ステップS301〜ステップS308の処理を繰り返すことにより、介護者P2がベッド1のサイドレール2をはずしたまま立ち去ろうとしていることなどを、高い確度で検出することができる。したがって、図15に例示したフローチャートに従って、プロセッサ21が、状態検知処理を繰り返し実行することにより、対象者P1にとってベッド1の高さやサイドレール2などの安全装置の不備が危険になるときに、警報を出力させることが可能である。
以上に説明したように、本件開示の状態検知装置によれば、対象者P1の状態を高い精度で判断することができる。つまり、本件開示の状態検知装置によれば、対象者P1の状態が不安全である場合に漏れなく警報を出力するとともに、対象者P1の状態が安全でない可能性を誤検出する事象を低減させることができる。これにより、対象者P1の状態に応じて過不足なく警報を出力させることが可能であるので、対象者P1の安全性についての警報を、介護者P2に対して有効に作用させ続けることが可能となる。
以上の説明に関して、更に、以下の各項を開示する。
(付記1)
ベッド上あるいは前記ベッドの近傍にいる対象者を撮影した画像を解析することにより、前記対象者の移動方向を検出する検出部と、
前記画像に含まれる前記ベッドの近傍の所定の範囲の画像に基づいて、前記対象者を介助する介護者の存在の有無を含む状態を判別する第1判別部と、
前記撮影した画像に含まれる前記ベッドに設けられた少なくとも一つの安全装置の状態を示す画像と前記各安全装置の装着状態を示す前記各安全装置からの通知との少なくとも一方に基づいて、前記各安全装置の状態を判別する第2判別部と、
前記検出部によって検出された前記対象者の移動方向と、前記対象者の過去の状態と、前記介護者の状態を示す情報と、前記各安全装置の状態を示す情報とに基づいて、前記対象者の現在の安全性に関する状態を判断する判断部と、
前記判断部で得られた前記対象者の現在の状態を示す情報を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする状態検知装置。
(付記2)
請求項1に記載の状態検知装置において、
前記第1判別部は、前記介護者の状態の一部として、前記介護者と前記対象者との相対位置を判別し、
前記判断部は、前記介護者の状態に含まれる前記対象者との相対位置に応じた判断基準を用いて、前記対象者の現在の状態を判断する
ことを特徴とする状態検知装置。
(付記3)
請求項1に記載の状態検知装置において、
前記判断部は、
前記対象者の移動方向と、前記対象者の過去の状態とに基づいて、前記対象者と前記ベッドとの現在の相対位置を判定する第1判定部と、
前記対象者と前記ベッドとの相対位置に応じた判断基準と、前記介護者の状態を示す情報および前記各安全装置の状態を示す情報とを照合することにより、前記対象者の状態が警報を必要とする状態であるか否かを判定する第2判定部とを有する
ことを特徴とする状態検知装置。
(付記4)
請求項1に記載の状態検知装置において、
前記判断部は、
前記対象者が介助を必要とするか否かを示す情報を含む属性情報を保持する保持部を有し、
前記保持部に保持された情報に応じた判断基準を用いて、前記対象者の現在の状態を判断する
ことを特徴とする状態検知装置。
(付記5)
付記1に記載の状態検知装置において、
前記第2判別部は、
前記少なくとも一つの安全装置のうち複数種類の機能を有する安全装置について、前記複数種類の機能ごとに異なる判断基準を用いて、当該安全装置の状態が、前記各機能を有効に作用させる状況か否かをそれぞれ判定する状況判定部を有し、
前記状況判定部による判定結果を前記安全装置の状態を示す情報の一部として出力する
ことを特徴とする状態検知装置。
(付記6)
付記1に記載の状態検知装置において、
前記少なくとも一つの安全装置の一つは前記ベッドの側面に装着されるサイドレールであり、
前記第2判別部は、
前記画像に含まれる前記ベッドの側面に対応する領域の画像から抽出した前記サイドレールの像に基づいて、前記サイドレールの装着状態を判定する装着判定部を有する
ことを特徴とする状態検知装置。
(付記7)
ベッド上あるいは前記ベッドの近傍にいる対象者を撮影した画像を解析することにより、前記対象者の移動方向を検出し、
前記画像に含まれる前記ベッドの近傍の所定の範囲の画像に基づいて、前記対象者を介助する介護者の存在の有無を含む状態を判別し、
前記撮影した画像に含まれる前記ベッドに設けられた少なくとも一つの安全装置の状態を示す画像と前記各安全装置の装着状態を示す前記各安全装置からの通知との少なくとも一方に基づいて、前記各安全装置の状態を判別し、
前記検出された前記対象者の移動方向と、前記対象者の過去の状態と、前記介護者の状態を示す情報と、前記各安全装置の状態を示す情報とに基づいて、前記対象者の現在の安全性に関する状態を判断し、
前記判断で得られた前記対象者の現在の状態を示す情報を出力する
ことを特徴とする状態検知方法。
(付記8)
ベッド上あるいは前記ベッドの近傍にいる対象者を撮影した画像を解析することにより、前記対象者の移動方向を検出し、
前記画像に含まれる前記ベッドの近傍の所定の範囲の画像に基づいて、前記対象者を介助する介護者の存在の有無を含む状態を判別し、
前記撮影した画像に含まれる前記ベッドに設けられた少なくとも一つの安全装置の状態を示す画像と前記各安全装置の装着状態を示す前記各安全装置からの通知との少なくとも一方に基づいて、前記各安全装置の状態を判別し、
前記検出された前記対象者の移動方向と、前記対象者の過去の状態と、前記介護者の状態を示す情報と、前記各安全装置の状態を示す情報とに基づいて、前記対象者の現在の安全性に関する状態を判断し、
前記判断で得られた前記対象者の現在の状態を示す情報を出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする状態検知プログラム。