JP5911752B2 - 熱交換用プレートとなる元板材の製造方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1の金属板表面への転写方法では、移送ロールの回転によって金属シートを移送させ、移送している金属シートに対して転写ロールの外周面に転写された凹凸状の転写部を押圧することによって、金属シートの表面に転写ロールの転写部と略同じ凹凸の形状の被転写部を形成させるようにしている。
すなわち、特許文献2の図6に開示されているように、通常は微細な凹凸が形成された平板材は、その平面に例えば「ヘリンボーン」と言われる高さ数mm〜数cmの山形の溝(マクロ的な溝)がプレス成形され、その後、熱交換器内へ組み込まれる。そのため、微細な凹凸形成(ミクロ的な凹凸の形成)後の平板材に関しては、プレス成形性が望まれることとなる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、表面に凹凸が形成されることで伝熱性が非常に優れると共に、後処理であるプレス成形での加工性が非常に良く、容易に熱交換用のプレートへと成形可能な熱交換用プレートとなる元板材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明における熱交換用プレートとなる元板材の製造方法は、表面に微細な凹部と凸部が形成されたチタン製の平板材で構成され、当該平板材に対してプレス加工が施されることによって熱交換用プレートとなる元板材の製造方法であって、焼鈍工程にて、前記平板材の表面に、前記プレス加工時における摩擦低減のための潤滑層として酸化皮膜を形成し、 前記潤滑層の一部をレーザ光によって取り除くことで、前記潤滑層が残存する表面領域を当該潤滑層でマスクされた状態とし、前記潤滑層でマスクされた表面を、酸洗いすることで表面に微細な凹凸部を形成し、前記焼鈍工程における熱処理条件が、前記潤滑層の厚さを600nm以上とするために750℃以上かつ3分以上であることを特徴とする。
図1は、熱交換用プレートの製造方法を示した概念図である。
図1に示すように、熱交換用プレートを製造するにあたっては、まず、図1(a)に示すように素材である平板材1を所定の大きさに形成する。この平板材1はチタン材(チタン製)であって、その寸法、板厚は最終製品である熱交換用プレートにて所望される寸法、板厚を考慮して決定する。以降、平板材1のことをチタン材ということがある。
図2(a)に示すように、元板材2(平板材1)の表面1aに形成された凸部4は、平面視で円形であって、その直径Dは400μm以上とされている。凸部4の平面視での配置は、千鳥状とされている。ここで千鳥状の配置(千鳥配置)とは、縦方向及び横方向において、いずれか一方に隣り合う凸部4、4の中心が一直線上に並ばないという意味である。具体的には、元板材2において、縦方向に隣接する凸部4、4は、横方向に半ピッチだけズレており、横方向に隣接する凸部4の中心同士を結んだ直線(一点鎖線)Aと、縦方向に隣接する凸部4の中心同士を結んだ直線(一点鎖線)Bとの角度θが60°となるように凸部4を配置してもよい。
凸部4の頂部8(凸部4の表面)、ならびに元板材2の裏面には潤滑層10が形成されている。この潤滑層10は、例えば、元材2を構成する前の平板材1の表面1aを酸化させることによって形成した酸化皮膜層(酸化チタンの皮膜)により構成されている。潤滑層10を酸化皮膜層で形成した場合、元板材2の自体を形成する平板材1に比して、反応性が低いと共に可塑性を有するため、プレス加工時における摩擦低減のための潤滑(ポンチ、ダイスと元材との間に存在し、潤滑作用を奏する層)として作用する。そのため、プレス加工時における、元板材2での応力集中やそれに伴う割れの発生の抑制に寄与することとなる。加えて、本明細書で説明する凹凸部3の形状は、チタン等の異方性のある材料に対して、異方性起因の応力集中の低減に対応できるものとなっている。
図2(a)に示した凹部5の幅Lは、縦方向及び横方向ともに同じ値である(縦方向に隣接する凸部4同士の距離と、横方向に隣接する凸部4同士の距離とが共に同じ値)。隣り合う凸部4のピッチP(凸部4の中心間距離)は600μm以上が好ましい。
以上のような元板材2に関して、その製造方法について精説する。
熱交換プレートの元材2となる平板材1は、ブルームやビレットなどの鋳片を熱間圧延工程や冷間圧延工程などの圧延工程によって形成される。ここで、平板材1を冷間圧延工程などに導入する前には、材料特性を調整するために平板材1を焼鈍炉に導入する。この焼鈍炉(焼鈍工程)では、例えば、炉内の上下に対で配備した直火のバーナの火炎によっ
て炉内の温度を所定温度まで上昇させ、炉内の雰囲気の状態により、炉内を連続的に通過する平板材1の表面性状をコントロールするようにしている。
このように、平板材1の表面に潤滑層10を形成した後は、図3(b)に示すように、平板材1の表面にレーザ光13を照射し、潤滑層10の一部を除去するようにする。具体的には、平板材1の表面1aを見たとき、この表面1a上に凹部5を形成する部分に対して、例えば、YAGレーザにより生成されたレーザ光13を照射し、このレーザ光13によって平板材1の表面1aに形成された潤滑層10を取り除く。レーザ光13の照射により剥離させずに残存させた潤滑層10は、後述するように、凹凸部5を形成する際でのマスク材として作用することとなる。つまり、平板材1の表面1aにレーザ光13を照射することによって、平板材1の表面1aに、潤滑層10を形成した部分と、潤滑層10を除去した部分とを形成させる。
図4(a)は、5つのサンプル(サンプルA〜サンプルE)について、焼鈍工程における加熱状態、すなわち熱処理温を変化させた際の形成される潤滑層10の厚さを示したものである。この実験における平板材1の加熱時間は4分間としている。
図4(b)には、このように焼鈍処理を行って、潤滑層10(酸化皮膜層)を形成した元板材2に対し、エリクセン試験を行い、プレス成形性を評価した結果を示している。
てA法とB法とに分けられる。エリクセン値は、張り出し部の少なくとも一カ所に裏面に達する割れが発生するまでに、ポンチの先端がしわ押さえ面から下方に移動した距離(ポンチの押し込み深さ)を言う(単位mm)。
例えば、熱交換用のプレート4は、元板材2をプレス加工することにより製造されるが、元板材2のプレス加工は何でも良く、上述したようなヘリンボーンを形成するものでなくてもよい。
1a 平板材の表面
2 プレート元板(元板材)
3 凹凸部
4 凸部
5 凹部
6 溝(ヘリンボーン6)
7 熱交換プレート
8 頂部
10 潤滑層
11 上壁
12 表壁
Claims (1)
- 表面に微細な凹部と凸部が形成されたチタン製の平板材で構成され、当該平板材に対してプレス加工が施されることによって熱交換用プレートとなる元板材の製造方法であって、
焼鈍工程にて、前記平板材の表面に、前記プレス加工時における摩擦低減のための潤滑層として酸化皮膜を形成し、
前記潤滑層の一部をレーザ光によって取り除くことで、前記潤滑層が残存する表面領域を当該潤滑層でマスクされた状態とし、
前記潤滑層でマスクされた表面を、酸洗いすることで表面に微細な凹凸部を形成し、
前記焼鈍工程における熱処理条件が、前記潤滑層の厚さを600nm以上とするために750℃以上かつ3分以上であることを特徴とする熱交換用プレートとなる元板材の製造方法。
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