JP5910712B2 - 厚鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板の製造方法に関するものである。
近年、厚鋼板の熱間圧延においては、強度や靭性の優れた鋼板の製造が求められており、その一例として、圧延材に制御圧延(Controlled Rolling;CR)を施すことにより、優れた材質の厚鋼板を造り込んでいる。すなわち、1000℃以上に加熱したスラブを一旦所定の板厚まで圧延し、その後、圧延材の温度が未再結晶温度域やその温度域に近い温度域にある状態で仕上板厚まで圧延を行うものである。たとえば、厚さ200〜300mmのスラブを1100〜1200℃程度まで加熱後、仕上板厚の1.5〜2倍程度まで圧延し、その後、温度が未再結晶域である850℃以下になった時点で制御圧延を開始し、仕上板厚(たとえば15mm)まで圧延するというものである。
その際に、制御圧延を行う温度(制御圧延開始温度)が低くかつ制御圧延を行う板厚(制御圧延開始板厚)が厚い場合には、圧延材が制御圧延開始温度になるまでにかなりの時間を要するため、圧延機(可逆式圧延機)近傍の圧延ライン上で制御圧延開始温度になるまで圧延材を放冷状態で待機させていた。その結果、その冷却待ちによって圧延機に空き時間が発生し、圧延能率が低下するという問題が生じていた。
このような冷却待ちによって圧延機に空き時間が発生し圧延能率が低下するのを解消するために、特許文献1や特許文献2では、圧延機直近に大量の冷却水を供給できる冷却設備を設け、前記冷却設備内に鋼板を通過させて冷却する技術が提案されている。
特開2007−203370号公報 特開2008−200708号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、冷却能力が大きすぎて、水冷だけで鋼板をちょうど目標の温度まで冷やすということが難しい。
例えば、板厚25mmの鋼板で52.5℃分の水冷をする時に、特許文献1に記載の設備による冷却能力が1パスあたり30℃である場合、水冷は1パスだけ行える。しかし、残りの22.5℃分は空冷を行うことになるので、圧延能率の向上効果が十分でない。水冷を2パス行うと冷やしすぎになって、目標の材質が得られなくなるという問題が生じる。
また、特許文献2に記載の第2の冷却設備(例えばシャワー冷却設備など)を設けることによって、残り22.5℃分の冷却にかける時間を短縮する方法も考えられるが、設備コストがかかるわりには、圧延能率の向上効果はそれほど大きくないので、適当でない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、厚鋼板を制御圧延によって製造する場合等において、圧延材の冷却待ち時間を短縮でき、生産性を飛躍的に向上させることができる厚鋼板の製造方法、および、そのような厚鋼板の製造を可能とする厚鋼板の冷却における水冷パス数の決定方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]加熱したスラブを、可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の板厚の厚鋼板とした後、該厚鋼板を冷却設備による1パス以上の水冷および/または空冷によって制御圧延開始温度まで冷却し、さらに前記可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法において、
前記制御圧延開始温度までの冷却における空冷待機時間を最短とするように、前記冷却設備による水冷における厚鋼板の搬送速度および/または前記冷却設備の冷却水量を調整することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
[2]前記冷却設備による水冷は、前記冷却設備内の往復回数が小さく且つ水冷パス数が奇数よりも偶数が優先となるように、厚鋼板の搬送速度および/または前記冷却設備の冷却水量を調整することを特徴とする前記[1]に記載の厚鋼板の製造方法。
[3]熱間圧延中の厚鋼板を、冷却設備内を1パス以上通過させる水冷および/または空冷によって所定温度まで冷却する際の冷却設備による水冷パス数を決定する方法であって、
厚鋼板の搬送速度および/または前記冷却設備の冷却水量を調整することにより、前記冷却設備内の往復回数が小さく且つ水冷パス数が奇数よりも偶数が優先となるように、前記冷却設備による水冷パス数を決定することを特徴とする厚鋼板の冷却における水冷パス数の決定方法。
本発明を用いることにより、厚鋼板を制御圧延によって製造する場合等において、圧延材の冷却待ち時間を最大限短縮でき、生産性を飛躍的に向上させることができる。
本発明の一実施形態における厚鋼板の製造設備とそれによる厚鋼板の搬送・冷却パターンを表す図である。 本発明の一実施形態における冷却設備の一例を表す図である。 本発明の一実施形態における冷却設備の他の例を表す図である。 本発明の一実施形態における搬送・冷却パターンと温度降下の関係を表す図である。 本発明の一実施形態において、鋼板の冷却条件を決定する手順を表す図である。 本発明の一実施形態において、鋼板の冷却条件を決定する他の手順を表す図である。 本発明の一実施形態において、鋼板の冷却条件を決定する他の手順を表す図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における厚鋼板の製造設備と、その製造設備を用いて厚鋼板を製造する際の搬送・冷却パターンの一例を表す図である。
この実施形態における厚鋼板の製造設備は、上流側から順に、加熱炉1、可逆式圧延機2、冷却設備3を備えている。
そして、加熱したスラブを加熱炉1から抽出後、可逆式圧延機2にて所定の板厚(制御圧延開始板厚)まで圧延された厚鋼板(以下、単に鋼板ともいう)10は、冷却設備3に搬送されて、これを通過しながら水冷される。なお、図1中の時刻t1は鋼板10が制御圧延開始板厚になる時刻を意味している。
ここで、冷却設備3は、図2に示すような通過冷却式の冷却設備であり、鋼板10の上面に棒状冷却水23を供給する上ノズル22を備えた上ヘッダ21と、鋼板10の下面に棒状冷却水33を供給する下ノズル32を備えた下ヘッダ31からなる。なお、上ヘッダ21および下ヘッダ31の数は、1個であってもよいし、複数個であってもよい。
なお、図2では、上ノズル22から棒状冷却水23を垂直に供給する冷却設備を示したが、例えば図3に示すように、上ノズル22から棒状冷却水23を斜めに供給する設備であってもよいし、スプレー冷却水を供給する設備であってもよい。
ちなみに、図3に示す冷却設備では、鋼板10の上面に向けて斜めに棒状冷却水23を噴射する上ノズル22を搬送方向に複数列(ここでは6列)ずつ有した上ヘッダ21が2個、鋼板搬送方向に互いに対向するように設置されているとともに、鋼板10の下面に棒状冷却水33を供給する下ノズル32を備えた下ヘッダ31がテーブルローラ13を挟んで2個設置されている。このような冷却設備は、鋼板10の上面に向けて棒状冷却水23を鋼板搬送方向に互いに対向するように噴射するようになっているので、供給された冷却水23自身が鋼板10上の滞留冷却水24を堰き止めて適切に水切りを行うようになり、均一で安定した冷却を行うことが可能になっている。
ここで、棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口から噴射される冷却水のことを指しており、スプレー状の噴流でなく、膜状のラミナーフローでなく、ノズル噴出口から鋼板に衝突するまでの水流の断面がほぼ円形に保たれ、連続性で直進性のある水流の冷却水をいう。
なお、冷却設備3は、可逆式圧延機2の入側(加熱炉1に近い側)、出側(加熱炉1と反対側)のどちらにあってもよいが、可能な限り、可逆式圧延機2の直近に設置するのがよい。
そして、冷却設備3は、短い冷却時間で大きな温度降下を得るために、多量の冷却水を供給する必要がある。
冷却設備3のヘッダ21、31から冷却水23、33を噴射した状態で、鋼板10が冷却設備3を一定速度で通過するように搬送する。冷却パス数は、鋼板10の板厚や目標とする温度降下量によって予め計算機によって求めておく。この時、搬送速度は、水冷のパスによって(例えば往復の行きと帰りとで)変えてもよい。
なるべく短い搬送時間で目標の温度降下を得るには、水冷による温度降下を最大にするようにすればよいが、本発明者らは、2パスの冷却を行うのが最も効率がよいことを明らかにした。その考え方を、図4を用いて説明する。
図4において、CaseAでは、搬送速度Vで水冷1パスとした時に、水冷、搬送中の空冷、および搬送逆転中の空冷の3つの温度降下の総和が目標と一致する。搬送速度を2倍(2V0)、2パスの水冷としたCaseBの場合、水冷中の温度降下はCaseAと同じだが、搬送時間が半分になり、さらに空冷パスがなくなった分だけ搬送中の空冷温度降下が小さくなって、温度降下の総和は目標より小さくなる。
目標の温度降下を得るためには、CaseCのように搬送速度を2Vよりも若干遅いVとして、水冷の温度降下をCaseBよりも大きくすればよい。この時、搬送中および搬送逆転中の空冷温度降下はCaseAに比べて減少しており、したがって全体の空冷時間が短く、すなわち制御圧延開始までにかかる時間を短くできる。したがって、1パス冷却よりも2パス冷却の方が効率がよい。同じように考えると、水冷を奇数パスとするよりも、もう1パス増やして偶数パスとする方が効率がよい。
CaseCに対して、搬送速度を2倍(2V)、4パスの水冷としたCaseDの場合、水冷中の温度降下はCaseCと同じだが、搬送逆転中の空冷温度降下が2倍になって、温度降下の総和は目標より大きくなる。目標の温度降下を得るためには、CaseEのように搬送速度を2Vよりも若干速いVとして、水冷の温度降下をCaseDよりも小さくすればよい。この時、搬送中および搬送逆転中の空冷温度降下はCaseCに比べて増加しており、したがって全体の空冷時間が長く、すなわち制御圧延開始までにかかる時間は長くなる。したがって、4パス冷却よりも2パス冷却の方が効率がよい。同じように考えると、冷却設備3を往復する回数は少ないほど、効率がよい。
以上のことから、冷却設備3を往復する回数が少なく、さらに、同じ往復回数の中での冷却パス数は奇数よりも偶数の方が効率がよいことがわかる。すなわち、効率がよい順に並べると、2パス、1パス、4パス、3パス、6パス、5パス、・・・となる。
搬送速度と水冷パス数は、いろいろな組み合わせが考えられるが、本発明者らはその中で、空冷待機時間がなく、なおかつ最も高い圧延能率が得られる条件を求める計算手順を明らかにした。
図5に、冷却設備3の水量一定の条件下において、最適な冷却条件を決定する計算の手順を示す。
初めに、各パスには、自由に設定できる搬送速度の範囲を決めておく。搬送の最低速度は、冷却によって表面が冷えすぎて変態したり、割れが発生したりしないような条件を設定しておけばよく、最高速度は、圧延機やテーブルローラのモーター容量など設備の能力や制御のしやすさなどから決定すればよい。
図5の実線の四角で囲った部分では、それぞれ圧延によって制御圧延開始板厚になる時点(時刻t1)の温度を計算する。この温度が制御圧延開始温度になっていればちょうどよく、空冷待機をしなくてよい。それを超えていれば冷却不足であり、それ未満であれば冷えすぎであると判断する。
なお、図5に示す計算は、スラブ再加熱の設定計算に続いて行ってもよいし、幅出し圧延など板厚がより厚い段階で放射温度計などによって測定した値に基いて計算を行ってもよい。
最初に、水冷をしない0パス冷却の場合の温度計算を行う。計算結果が制御圧延開始温度以下であれば、冷えすぎ(便宜上、ちょうどよい場合も含む)と判断し、この条件を採用して待機なしとする。計算結果が制御圧延開始温度より高ければ、冷却不足であるので、1往復での冷却条件の探索(点線で囲んだ部分)に入る。
1往復冷却では、2パスで冷却することを優先して計算する。最高速条件で冷却不足と計算された場合において、最低速条件で冷えすぎと判断された場合は、その結果に応じて最適な搬送速度を選べばよく、冷却不足と判断された場合は、2往復(3パス以上の)冷却条件探索に入る。一方、最高速条件で冷えすぎと計算された場合は、1パスないしは0パスでの冷却条件の探索に入る。
1パスの冷却計算では、最高速条件で冷却不足と計算された場合において、最低速条件で冷えすぎと判断された場合は、その結果に応じて最適な搬送速度を選べばよく、冷却不足と判断された場合は、最低速条件かつ待機ありとする。一方、最高速条件で冷えすぎと計算された場合は、0パスで待機ありとする。
なお、2往復冷却計算では、図5の1往復計算における「2パス」を「4パス」に、「1パス」を「3パス」に置き換えればよい。3往復冷却計算以降も同様である。
このようにして冷却のパス数と搬送速度を随時変化させていくと、水冷の往復数を最少にし、水冷パスを偶数優先に設定できるようになって、空冷待機がないか、待機時間を極力短くできる条件を選択できる。つまり、水冷パスを2パス、1パス、4パス、3パス、6パス、5パス、・・・の優先順で判定していくことになる。
さらに、冷却設備3が複数のヘッダからなり、それぞれのヘッダにオンオフバルブが設置されている場合や、冷却水の流量を流量調整弁などで調整できる場合がある。このような場合は、搬送速度だけでなく、冷却水の流量も変更して冷却条件を決定することができる。その計算の手順を図6および図7に示す。水冷パスを2パス、1パス、4パス、・・の優先順で判定していくのは図5と同じ流れであるが、同じ搬送条件で流量が最大の場合と、最少の場合について計算を行う。
1往復で2パス冷却する場合は、最高速、最大流量条件で計算を行う。ここで、冷却不足と判定された場合は、次に最低速条件で計算を行う。この時、冷えすぎと計算された場合は、その結果に応じて最適な搬送速度を選べばよく、冷却不足と計算された場合は、2往復の冷却条件探索に入る。
最高速、最大流量条件で、冷えすぎと計算された場合は、最高速、最小流量条件で計算を行う。この時、冷えすぎと計算された場合は、1パスの冷却条件探索に入る。
最高速、最小流量条件で冷却不足と計算された後の計算は、以下の2つの方法がある。第1の方法は、図6に示すように最高速の条件で最適な流量を求める方法である。第2の方法は、図7に示すように最小流量の条件で最適な速度を求める方法であり、流量を多段階で変更できない設備では、この方法を用いるとよい。
なお、図6および図7に示す1パスの冷却計算および2往復冷却計算については、前記2パス冷却計算の説明および前記図5の説明により明らかであるので、その詳細な説明は省略する。
前述の、最適な速度(最高速と最低速の間の値)や、最適な流量(最大流量と最小流量の間の値)を求める場合、内挿計算や繰り返し計算などを行えばよい。例えば、搬送速度が2m/sで30℃、3m/sで20℃冷やせるが、25℃だけ冷やしたい場合は、単純な内挿計算によって2.5m/sと求めてよい。さらには、2.5m/sの条件でちょうど25℃冷やせるかどうか確認し、それが24℃と計算される場合は、再度内挿計算を繰り返してより誤差が小さくなるような速度を求めるという手法もある。流量についても同様で、最適条件を内挿計算や繰り返しを行えばよい。
また、図5〜図7には、最高速の条件で計算を開始しているが、最低速の条件で先に計算してもよい。
このようにして冷却のパス数と搬送速度や冷却水の流量を変化させて計算を行っていくと、水冷の往復数を最少にし、かつ水冷パスを偶数優先に設定できるようになって、空冷待機がないか、待機時間を極力短くできる条件を選択できる。特に、搬送速度の変更範囲が十分に大きい(最高速と最低速との差が十分に大きい)場合、さらには、流量の変更範囲が十分に大きい(最大流量と最小流量との差が十分に大きい)場合には、待機時間をなしとする条件を選択することができる。
なお、本発明の製造方法を適用する冷却設備は、水冷1パスで空冷時間を10s以上短縮できるような大きな冷却能力をもつ設備であった方がよい。板厚が30mmなら、少なくとも1パスで15℃以上冷やせる設備であった方がよい。
冷却能力が小さい場合には、水冷パスが多くなってしまい、本発明の目的である生産性の飛躍的な向上を実現できない。また、空冷待機時間が残ると計算されたとしても、その空冷待機時間は例えば5秒以内であったりして、長い待機時間にはならないからである。
本発明の実施例として、図1、図2で示した本発明の一実施形態における厚鋼板の製造設備を用いて厚鋼板を製造した。その際、冷却設備3を通過させる際の搬送速度の最適値を設定範囲内で選べることを可能とした場合を本発明例(本発明例1〜5)、予め定められた速度で搬送する場合を比較例(比較例1〜4)とし、鋼板Aまたは鋼板Bを冷却する場合の空冷待機時間と圧延能率を比較した。
なお、製品板厚は15mm、制御圧延開始板厚は25mm、制御圧延開始温度(圧延再開温度)は850℃である。制御圧延開始板厚になる時点(時刻t1)の温度(前パス圧延温度とよぶことにする)を圧延温度計算などによって予測して、圧延を中断して空冷待機をするか、しないかの判断をする。前パス圧延温度(圧延中断温度)は、鋼板Aで950.5℃、鋼板Bで970℃であった。したがって、前パス圧延温度(圧延中断温度)から制御圧延開始温度(圧延再開温度)の850℃までに必要な温度降下は、鋼板Aで100.5℃、鋼板Bで120℃ということになる。
そして、前述したように、冷却設備3は、図2に示したような通過冷却式の冷却設備であり、上下4個ずつあるヘッダから鋼板に棒状冷却水を供給した。
鋼板A、Bの長さは、24mであった。水冷を行う場合は、冷却装置3を通過した後、鋼板尾端が圧延機2より6m離れた位置で搬送を逆転したので、1往復した時の搬送距離は60mであった。一方、水冷を行わない比較例1の場合は、冷却設備3を通り抜ける必要がないので、圧延機2より3m離れた位置で搬送を逆転したので、1往復した時の搬送距離は54mであった。なお、水冷の有無に関わらず、搬送送方向が逆転するのに2sかかり、鋼板A、Bの空冷速度は1.5℃/sであった。
上記のようにして鋼板A、Bの冷却を行った結果を表1に示す。
Figure 0005910712
まず、鋼板Aの冷却を行った比較例1、2と本発明例1は以下の如くであった。
比較例1においては、鋼板Aの水冷を行わず、搬送中の空冷で43.5℃の温度降下があった。57℃の温度降下が不足したので、搬送を逆転する前に38sの空冷待機を行った。制御圧延開始まで67sかかり、圧延能率が極めて低かった。
比較例2においては、2m/sの速度で鋼板Aの搬送を行い、搬送中の空冷で48℃、水冷1パスで30℃の温度降下があった。22.5℃の温度降下が不足したので、15sの空冷待機を行った。
これに対し、発明例1では、搬送速度の設定範囲が1.5〜2.5m/sであり、この中から最適な搬送速度2.15m/sを決定することができた。これによって、搬送中の空冷で44.8℃、水冷1パスで55.7℃の温度降下があった。両者でちょうど100.5℃の温度降下が得られたので、空冷待機時間を0にすることができた。制御開始までの時間は29.9sであり、比較例1と比べて37.1s、比較例2と比べても17.1sも短縮でき、圧延能率を飛躍的に向上させることができた。
次に、鋼板Bの冷却を行った比較例3、4と本発明例2〜5は以下の如くであった。
比較例3においては、2m/sの速度で鋼板Bの搬送を行い、搬送中の空冷で48℃、水冷2パスで60℃の温度降下があった。12.0℃の温度降下が不足したので、8sの空冷待機を行った。
これに対し、発明例2では、搬送速度の設定範囲が1.25〜3m/sであり、2パス水冷する条件で最適な搬送速度1.79m/sを決定することができた。これによって、搬送中の空冷で53.1℃、水冷2パスで66.9℃の温度降下があった。両者でちょうど100.5℃の温度降下が得られたので、空冷待機時間を0にすることができ、比較例3と比べて4.6s短縮できた。
比較例4においては、1.5m/sの速度で鋼板Bの搬送を行い、搬送中の空冷で63℃、水冷1パスで40℃の温度降下があった。17.0℃の温度降下が不足したので、11.3sの空冷待機を行った。
発明例3では、搬送速度の設定範囲が1.25〜1.75m/sであり、2パス水冷する条件で最適な搬送速度を決定できなかったが、1パス水冷する条件で最適な搬送速度1.28m/sを決定することができた。これによって、搬送中の空冷で73.2℃、水冷1パスで46.8℃の温度降下があった。両者でちょうど100.5℃の温度降下が得られたので、空冷待機時間を0にすることができ、比較例4と比べて4.5s短縮できた。
発明例4では、搬送速度の設定範囲が1.25〜1.75m/sかつ冷却能力80〜100%の範囲で流量変更が可能であった。図4に示す流れにしたがって、最高速で2パス水冷する条件として、最適な冷却水量(冷却能力95.6%となる条件)を決定することができた。これによって、搬送中の空冷で54.4℃、水冷1パスで65.6℃の温度降下があった。両者でちょうど100.5℃の温度降下が得られたので、空冷待機時間を0にすることができ、比較例4と比べて17.0s短縮できた。
発明例5では、搬送速度の設定範囲が1.25〜1.75m/sかつ冷却能力80〜100%の範囲で流量変更が可能であった。図5に示す流れにしたがって、最小水量(冷却能力80%となる条件)で2パス水冷する条件として、最適な搬送速度1.59m/sを決定することができた。これによって、搬送中の空冷で59.6℃、水冷1パスで60.4℃の温度降下があった。両者でちょうど100.5℃の温度降下が得られたので、空冷待機時間を0にすることができ、比較例4と比べて13.6s短縮できた。
なお、鋼板B、搬送速度1.25〜1.75m/sの冷却について発明例3〜5を比較すると、水冷を1パスだけ行う発明例3の搬送時間は48.8sと長いのに対し、水冷を2パス行うと搬送時間は40s以内になるので、圧延能率はより高くなっていることがわかる。
1 加熱炉
2 可逆式圧延機
3 冷却設備
10 鋼板(厚鋼板)
13 テーブルローラ
21 上ヘッダ
22 上ノズル
23 棒状冷却水
24 滞留冷却水
31 下ヘッダ
32 下ノズル
33 棒状冷却水

Claims (4)

  1. 加熱したスラブを、可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の板厚の厚鋼板とした後、該厚鋼板を、少なくとも、通過冷却式の冷却設備による水冷を用いて制御圧延開始温度まで冷却し、さらに前記可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法において、
    水冷の各パスに、自由に設定できる搬送速度の範囲を決めておき、決められた搬送速度の範囲で厚鋼板の搬送速度を調整し、水冷のパス数を、1往復2パス、または2往復4パスとする厚鋼板の製造方法。
  2. 加熱したスラブを、可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の板厚の厚鋼板とした後、該厚鋼板を、少なくとも、通過冷却式の冷却設備による水冷を用いて制御圧延開始温度まで冷却し、さらに前記可逆式圧延機により1パス以上の圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法において、
    水冷の各パスに、自由に設定できる搬送速度の範囲を決めておき、決められた搬送速度の範囲で厚鋼板の搬送速度を調整し、水冷のパス数を偶数パスとして、通過冷却式の冷却設備を往復させる際に、往復ともに水冷する厚鋼板の製造方法。
  3. 通過冷却式の冷却設備は、冷却水の流量が調整可能であり、
    冷却水の最大流量から最低流量の範囲で冷却水の量を調整し、水冷のパス数を決定する請求項1または2に記載の厚鋼板の製造方法。
  4. 制御圧延開始温度までの冷却における空冷待機時間を最短とする請求項1または2に記載の厚鋼板の製造方法。
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