以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に概略的に示すように、本実施形態に係る通信システムは、信号機、標識、マンホール等の、道路または道路の近傍に設置された複数の構造物(例えば構造物1)のそれぞれに1個ずつ取り付けられた複数個の路側機(例えば受信機2)を備えている。
更に当該通信システムは、複数の車両3a、3bのそれぞれに搭載された複数の車載機4a、4b、および、自動車に搭乗していない複数の歩行者等(例えば歩行者5aおよび自転車運転者5b)のそれぞれが携帯する携帯機(例えば携帯機6a、6bを備えている。携帯機は、例えば、子供や老人など、自動車の接近などの状況を判断する能力が比較的低い歩行者等に携帯させるようにする。
路側機のそれぞれは、自機の通信可能範囲内にいる携帯機と直接無線通信可能である。通信の方式は、ブルートゥース、無線LAN、スマート通信(車両のドアの施錠、解錠にも用いられるRF帯域の通信)等、どのようなものでもよい。
携帯機は、電話通信機能を備えた携帯電話機に路上機との通信機能を付加して実現してもよいし、ネットワーク8(例えば、携帯電話網、インターネット等の広域ネットワーク)に接続可能なPDAに路上機との通信機能を付加して実現してもよいし、車載機と双方向で直接無線通信して車両のドアの施錠、解錠、エンジンの始動等を実現するための携帯キーに路上機との通信機能を付加して実現してもよい。
また、通信システムは、インターネット等のネットワーク8に接続されたサーバ9を備えている。路側機のそれぞれは、自機の近くにある無線基地局(図1の例では、無線基地局7a、7b)と無線接続することで、このネットワーク8を介してサーバ9と通信可能となっている。また、上記複数の車載機のそれぞれも、自機の近くにある無線基地局と無線接続することで、このネットワーク8を介してサーバ9と通信可能となっている。
図2に例示するように、複数の路側機(例えば路側機2a〜2d)は、それぞれ異なる位置に配置され、異なる範囲を通信可能範囲(以下、例えば、通信可能範囲10a〜10d)を有している。以下、路側機の通信可能範囲をセルという。
セル同士は、図2に例示するように一部が重なっていてもよい。例えば、図2の例では、携帯機6aが路側機2aのセル10aと路側機2bのセル10dとが交わった箇所に存在する。
なお、本実施形態では、図3に示すように、例えば縦8×横8=計64個のセルが形成されるように、64個の路側機が配置される。したがって、この64個のセルの各々には、1個の路側機の位置が含まれる。そして、この64個のセルをカバーする縦4×横4=計16個のエリアが設定される。図2中で太実線矩形で囲まれたそれぞれのエリアは、4つのセルから成る。したがって、それぞれのエリアが4つの路側機の位置を含むようになっている。
ここで、路側機の構成について説明する。各路側機は、図4に示すように、無線基地局と無線接続してサーバ9と通信するための第1通信部21、携帯機と通信するための第2通信部22、および制御部23を有している。制御部23は、所定のプログラムを実行することで、図8に示す処理およびその他後述する処理を実現する。
次に、携帯機の構成について説明する。各携帯機は、図5に示すように、路側機と通信するための通信部61、自機の現在位置を特定するための位置検出部62(例えばGPS受信機)、および制御部63を有している。なお携帯機は、路側機と通信する機能以外の機能のための各種図示しない構成を有していてもよい。制御部63は、所定のプログラムを実行することで、図9に示す処理およびその他後述する処理を実現する。
次に、サーバ9の構成について説明する。サーバ9は、図6に示すように、ネットワーク8を介して路側機および車載機と通信するための通信部91、後述するエリアデータを記憶するためのデータ記憶部92、および制御部93を有している。制御部93は、所定のプログラムを実行することで、図10に示す処理およびその他後述する処理を実現する。
次に、車載機の構成について説明する。各車載機は、図7に示すように、無線基地局と無線接続してサーバ9と通信するための通信部41、画像表示装置および音声出力装置を含む表示部42、および制御部43を有している。制御部43は、所定のプログラムを実行することで、図11に示す処理およびその他後述する処理を実現する。
以下、上記のような構成の通信システムの作動について説明する。まず、図12に示す第1の作動事例について説明する。この事例では、図2に示すように、携帯機6aが路側機2aのセル10aと路側機2bのセル10bとが重なる範囲内に存在している。したがって、携帯機6aは、複数の路側機のうち、2個の路側機2a、2bとのみ通信可能となっている。
まず、複数の路側機(路側機2a、2b、2c、2dを含む)のそれぞれにおいて、制御部23は、携帯機に呼び出し信号を送信するようになっている。具体的には、図8に示すように、まずステップ110で第2通信部22を用いて呼び出し信号を送信する。
この呼び出し信号は、図13に示すように、路上機を個別に特定するためのID、遅延計算用のパラメータNa、Ta、Tc、および自機の路上機の取り付け位置(緯度、経度)の情報を含んでいる。これらの情報としては、あらかじめ設定されて制御部23内の記憶媒体(例えばROM)に記録されているものを用いる。
このような処理により、他のすべての路側機と同様、路側機2aも呼び出し信号を送信し(ステップ505)、路側機2bも呼び出し信号を送信する(ステップ510)。なお、セルが互いに重なるように配置された路上機同士は、互いの呼び出し信号が衝突しないように、互いに異なるチャンネルで(TDMAなら異なるタイムスロット、FDMAなら異なる周波数、CDMAなら異なる拡散コード)で呼び出し信号を送信するように設定されている。
一方、携帯機6aでは、制御部63が、ステップ210で、呼び出し信号を所定期間待ち受ける。制御部63は、この所定期間31aの間に、路側機2a、2bから送信された上記呼び出し信号を、通信部61を介して受信する。
待ち受けを開始してから所定期間31aが経過すると、ステップ220に進み、当該所定期間31aにおいて呼び出し信号を受信したか否か判定し、受信していないと判定した場合(例えば、携帯機6aがどのセルからも外れた位置にある場合)はステップ210に戻る。
受信したと判定した場合、ステップ230に進み、自機に最も近い路上機を1個選択する。例えば、所定期間31aに呼び出し信号を1個の路上機のみから受信した場合は、その呼び出し信号に含まれるIDに対応する路上機を、自機に最も近い路上機として選択する。
また、本事例のように、同じ所定期間31aに複数個(具体的には2個)の路上機2a、2bから呼び出し信号を受信した場合は、当該所定期間31aに受信したすべての呼び出し信号中の存在位置の情報と、自機の現在位置情報とに基づいて、自機に最も近い路上機を1個選択する。
すなわち、位置検出部62を用いて特定した自機の現在位置情報の示す位置から、受信した各呼び出し信号に含まれる所在位置情報の示す位置までの距離を算出し、算出した距離のうち、最も短い距離となった所在位置情報を特定し、当該所在位置情報を含む呼び出し信号に含まれるIDに対応する路上機を、自機に最も近い路上機として選択する。本事例では、このような処理によって路上機6a、6bのうち、路上機6aを、自機に最も近い路上機として選択する。
続くステップ240では、直前のステップ230で選択した路側機から既に応答確認を受信済みか否かを判定する。この応答確認は、携帯機番号を送信した先の路上機から受信するものである。制御部63は、どの路上機から応答確認を受信したかを示す受信履歴を記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)に記録するようになっており、この受信履歴に基づいて、このステップ240の判定を行うようになっている。なお、制御部63は、ステップ230で、最も近い路側機が変化した段階で、この受信履歴をすべて削除するようになっている。
本事例では、直前のステップ230で、最も近い路側機が路側機2aに変化したとする。本事例でこのようになるのは、携帯機6aを持った歩行者が移動した結果、携帯機6aがどの路側機のセル内にも入っていなかった状態から、新たにセル10a、10b内に入った時点で、路側機6aが路側機2bよりも路側機2aに近い状態となったからである。
したがって、ステップ240では、受信履歴が空の状態になっているので、選択した路側機から応答確認を受信済みでないと判定し、ステップ250に進む。
ステップ250では、遅延時間32aを計算する。続いてステップ260では、直前のステップ230で選択した路側機2aが送信した呼び出し信号の受信開始タイミングを始点とする経過時間が、この遅延時間32aに到達するまで待機する。そして、経過時間が遅延時間32aに到達すると、ステップ270に進み、当該選択した路側機2aのみを宛先として、通信部61を用い、自機6aの携帯機番号を送信する(図12のステップ515)。そしてその後、ステップ280で、送信先の路上機2aから応答確認を受信するまで待つ。
このように、同時期、すなわち、ステップ210における同じ所定期間内に、2つ以上の路上機から呼び出し信号を受信した場合でも、自機に近い一方のみに携帯機番号を送信することで、1つの携帯機が2つ以上の路側機に二重にアクセスしてしまう(携帯機番号を送信する)ことがなくなる。
携帯機番号の送信時に路側機2aを宛先とする方法は、例えば、宛先フィールドと内容フィールドを含むフレームを作成し、路側機2aから受信した呼び出し信号に含まれるIDを、当該宛先フィールドに含め、上記携帯機番号を当該内容フィールド煮含めた上で、当該フレームを送信する方法を採用してもよい。この場合、各携帯機は、自機のIDが宛先フィールドに含まれているフレームのみを受信する。
ここで、ステップ250における遅延時間の計算について説明する。上述の通り、遅延時間は、選択した路側機が送信した呼び出し信号の受信開始タイミングから、携帯機番号の送信開始タイミングまでの時間として計算される。
具体的には、選択した1個の路側機2aから受信した呼び出し信号に含まれる遅延計算用のパラメータNa、Ta、Tcおよび自機6aの携帯機番号(本実施形態では正の整数である)に基づいて、遅延時間を計算する。なお、Naは3以上の整数であり、Ta、Tcは時間の長さを表す量である。
例えば第1の計算方法として、携帯機番号をパラメータNaで除算した際の剰余に1を加算し、その加算結果にパラメータTaを乗算した量
T={1+mod(携帯機番号/Na)}×Ta
を遅延時間としてもよい。
このようにすると、遅延時間Tは携帯機番号に応じてTa、2×Ta、・・・、Na×Taのいずれか1つになる。したがって、図14に示す通り、Naが3の場合は、携帯機番号に応じて、同じ呼び出し信号の受信タイミング33からの遅延時間Tが、Ta、2×Ta、3×Taのいずれかになる。
このようになっていれば、仮に携帯機6aおよび携帯機6bの両方が同じ路上機2aから同じタイミングで呼び出し信号を受信し、それぞれの携帯機6a、6bにおいて路上機2aが最も近い路側機として選択されても、各携帯機6a、6bの携帯機番号の違いにっより、それぞれの送信タイミングが異なる場合がある。
このようになっていることで、複数の携帯機が1つの路上機に同時送信する可能性が低減されるので、通信の衝突の可能性を低減することができ、あるいは、路上機における処理負荷の急増を抑えることができる。なお、パラメータNaの値は、3に限らず、例えば10であってもよいし、100であってもよいし、1000であってもよい。
また、第2の計算方法として、携帯機番号をパラメータNaで除算した際の剰余に1を加算し、その加算結果にパラメータTaを乗算した第1遅延量
T1={1+mod(携帯機番号/Na)}×Ta
を計算し、更に、携帯機番号をパラメータNaで除算した商以上の最小の整数Ceil(携帯機番号/Na)から1を減算し、その減算結果にパラメータTcを乗算した第2遅延量
Td={Ceil(携帯機番号/Na)−1}×Tc
を計算し、これら第1遅延量T1と第2遅延量Tdの和T=T1+Tdを、遅延時間としてもよい。
このようになっていれば、仮に、携帯機6aおよび携帯機6bの両方が同じ路上機2aから同じタイミングで呼び出し信号を受信し、それぞれの携帯機6a、6bにおいて路上機2aが最も近い路側機として選択され、更に、各携帯機で剰余mod(携帯機番号/Na)に基づいて算出した第1遅延量T1が同じであっても、図15に示すように、Ceil(携帯機番号/Na)が異なるので、第2遅延量Tdが同じにならず、その結果、遅延時間Tが同じにならない。
このようになっていることで、複数の携帯機が1つの路上機に同時送信する可能性が更に低減されるので、通信の衝突の可能性を低減することができ、あるいは、路上機における処理負荷の急増を抑えることができる。
なお、TaとTcの間には、Tc×NID<Taという関係が成り立つようにあらかじめ設定する。ここで、NIDは、割り当てた携帯機番号の最大値/Naとする。これにより、携帯機番号の剰余が異なる複数の携帯機間で遅延時間が同じになってしまう可能性がなくなる。また、ここで使用する携帯機番号は、携帯機番号全体ではなく、携帯機番号の下数桁(例えば下2桁)のみとしてもよい。
路側機2aでは、制御部23が、ステップ110で呼び出し信号を送信した後、ステップ120で、携帯機番号を所定の待受期間だけ待ち受け、その後、ステップ130に進み、ステップ120の待受期間において第2通信部22を介して携帯機番号を1個以上受信したか否かを判定する。受信していないと判定した場合、ステップ110に戻り、前回の呼び出し信号送信から基準時間経過した時点で再度呼び出し信号を送信する。
本事例においては、上述の通り、この所定期間において携帯機6aから携帯機番号を受信しているので、このステップ130で受信していると判定し、ステップ140に進む。なお、この所定期間において、路側機2aは、携帯機6a以外のセル10a内の携帯機からも、携帯機番号を受信している場合もあれば、携帯機6aのみから携帯機番号を受信している場合もある。
ステップ140では、上記待受期間に受信した各携帯機番号の送信元の各携帯機を宛先として、所定の応答確認を送信する(図12のステップ520)。
路側機2aを宛先とする方法は、例えば、送信元フィールドと宛先フィールドと内容フィールドを含むフレームを作成し、自機2aのIDを送信元フィールドに含め、携帯機6a等の携帯機から受信した携帯機番号を、当該宛先フィールドに含め、所定の確認応答用データを当該内容フィールドに含めた上で、当該フレームを送信する方法を採用してもよい。この場合、各携帯機は、自機の携帯機番号が宛先フィールドに含まれているフレームのみを受信する。
携帯機6aでは、ステップ280で応答確認の待ち受け中だった制御部63が、通信部61を介してこの応答確認を受信すると、上述の受信履歴に、路側機2aから応答確認を受信したことを記録し、ステップ210に戻り、呼び出し信号の所定期間31bの待ち受けを開始する。
なお、本例とは異なり、ステップ270で応答確認を送信したにもかかわらず、その後のステップ280で所定の待機期間内に応答確認を受信できなかった場合は、再度ステップ270に戻って、携帯機番号を再送信する。
路側機2aの作動の説明に戻る。続くステップ150で制御部23は、第1通信部21を用い、上記待受期間に受信した各携帯機番号を、基地局7bおよびネットワーク8を介して、サーバ9に送信する(図12のステップ525)。その後、ステップ110に戻り、前回の呼び出し信号送信から基準時間経過した時点で再度呼び出し信号を送信する。
一方、サーバ9では、制御部93が、図10の処理のステップ310で、通信部91を介して複数の路側機のいずれかから携帯機番号を受信するまで待機している。本事例においては、路側機2aから携帯機番号を受信すると、ステップ310からステップ320に進み、受信した携帯機番号および当該携帯機番号の受信時刻の組、データ記憶部中のセル別携帯機番号リストに追加する。
セル別携帯機番号リストは、セル毎に、そのセル内に存在する携帯機の携帯機番号のリストである。したがって、本事例では、セル別携帯機番号リスト中のセル10aのリストに対して、路側機2aから受信した当該携帯機番号を追加する。
より具体的には、サーバ9のデータ記憶部92には、どの路側機がどのセルに対応しているかの参照テーブルがあらかじめ記録されており、制御部93は、この参照テーブルと、受信した携帯機番号の送信元の路側機(本事例では路側機2b)とを用いて、送信元の路側機に対応するセルを特定し、特定したセル(本事例ではセル10a)のリストに対して、当該受信した当該携帯機番号および当該携帯機番号の受信時刻の組を追加する。なお、送信元の路側機は、携帯機番号と共に路側機から受信する路側機のIDに基づいて特定してもよい。
続いてステップ330では、セル別携帯機番号リストから、重複する携帯機番号およびそれと組になる受信時刻を削除する。つまり、直前のステップ320で追加した携帯機番号と同じ携帯機番号が、セル別携帯機番号リスト中の他のセルのリスト内にあれば、その携帯機番号およびそれと組になる受信時刻を削除する。本事例では、重複は無いとする。この場合は、ステップ330では削除を行わず、ステップ340に進む。
なお、本事例では、サーバ9は、過去に路上機2aを含む複数の路上機から、図8〜図10を用いて説明したのと同様の作動で、複数の携帯機番号を受信し、それをセル別携帯機番号リストに反映しているものとする。したがって、セル別携帯機番号リストは、実際に各セル内に存在する携帯機の状況を反映したものとなっている。
ステップ340では、図3を用いて説明したようにエリアを設定する。つまり、64個のセルのうち、4個の隣接するセルを1つのエリアとするように、16個のエリアを設定する。
この設定により、複数のセルのそれぞれが、どのエリアに属するかが決まる。1つのセル内にはそのセルを通信可能範囲とする路上機が1つ存在するのだから、この設定により、複数の路上機のそれぞれがどのエリアに属するかが決まることにもなる。なお、同じセルが異なる2つのエリアに属することはない。
続いてステップ350では、エリアデータをデータ記憶部内に作成する。エリアデータは、エリア毎に、そのエリアがカバーする範囲(緯度、経度の範囲)、および、そのエリア内に存在する人数(すなわち、携帯機の数)を表すデータである。このエリアデータは、あらかじめ例えばデータ記憶部92に記録された各セルがカバーする範囲、および、最新のセル別携帯機番号リストに基づいて作成する。
具体的には、エリア毎に、当該エリアに属する全セル内の携帯機の数(ただし、重複する複数の携帯機番号は1個と数える)を、セル別携帯機番号リストに基づいて算出し、その算出した数を、当該エリアに存在する人数として、エリアデータに記録する。
これにより、エリアデータは、実際に各エリア内で携帯機を携帯している歩行者等の数を反映したものとなる。本事例では、例えばステップ310で、路側機2aのみから路側機6aのみの携帯機番号を受信していれば、セル別携帯機番号リストにおいてはセル10aのみに路側機6aの携帯機番号のみが追加され、その結果、エリアデータでは、セル10aが属するエリアの存在人数が、1人分増加する。
続いてステップ360では、直前のステップ350で作成したエリアデータに応じた配信データを作成する(図12のステップ530)。この配信データは、エリアデータそのもの、および、エリアデータに基づいて作成したマップを含む。
マップは、図16、図17に例示すように、エリア毎の存在人数を視覚的に表すための画像データである。図16、図17の例では、エリアとセルの対応関係は図3と同じである。
図16のマップは、エリアデータにおいて、最も左上のエリア、そのすぐ右下のエリア、および、最も右下のエリアの3つのエリアにおける存在人数が1であり、他のエリアの存在人数がゼロであった場合に作成するマップである。図17のマップは、エリアデータにおいて、最も左上のエリアにおける存在人数が3であり、他のエリアの存在人数がゼロであった場合に作成するマップである。
この図に示すように、マップでは、存在人数がゼロのエリアについては人数表示を行わず、存在人数が1以上の各エリアについては、そのエリアの存在人数分だけ人の図形を表示するとともに、そのエリアの存在人数を、セルの配置に併せて複数個(図16、17の例では4個)並べて表示する。このような図を最終的に車両のドライバーに見せることで、ドライバーは直感的に危険領域を把握することができる。ステップ360の後、ステップ310に戻る。
このような作動の後、携帯機6aの制御部63は、ステップ210で所定期間31bだけ待ち受けする状態になる。また、各路側機(路側機2a、2bを含む)の制御部23は、ステップ130から直接ステップ110に戻るか、ステップ150からステップ110に戻り、ステップ110で定期(間隔は基準時間)の呼び出し信号送信タイミングを待つ状態になる。また、サーバ9の制御部93は、ステップ310で路側機から携帯機番号の受信を待つ状態になる。このとき、携帯機6aの位置は変化していないものとする。
そして、路側機2aにおいて、制御部23が、ステップ110で、呼び出し信号の送信タイミング(前回の送信から基準時間経過時)が訪れたと判定し、第2通信部22を用いて、上述した構成の呼び出し信号を送信する(図12のステップ535)。更に、路側機2bにおいて、制御部23が、ステップ110で、呼び出し信号の送信タイミング(前回の送信から基準時間経過時)が訪れたと判定し、第2通信部22を用いて、上述した構成の呼び出し信号を送信する(図12のステップ540)。これらの呼び出し信号は、携帯機6aで受信される。
その後、携帯機6aの制御部63は、待ち受けを開始してから所定期間31bが経過したと判定し、ステップ220に進み、呼び出し信号を受信したと判定し、ステップ230に進む。
更にステップ230では、すでに説明した通りの処理で、自機6aに最も近い路側機として、路側機2aを選択する。ただし、このステップ230では、最も近い路側機が前回のステップ230から変化していないので、受信履歴を削除しない。つまり、受信履歴には、路側機2aから応答確認を受信した履歴が残っている。
したがって、続くステップ240では、選択した路側機2aから応答確認を受信済みであると判定し、携帯機番号を送信しないままステップ210に戻り、再度所定期間31cの呼び出し信号の待ち受けを開始する。
一方、路側機2a、2bにおいては、ステップ120で携帯機番号を所定期間待ち受け、その後、携帯機6a以外の携帯機から携帯機番号を受信していなければ、ステップ130で受信していないと判定してステップ110に戻って次の送信タイミングを待つ。また、携帯機6a以外の携帯機から携帯機番号を受信していれば、既に説明した通り、ステップ130で受信していると判定し、ステップ140で応答確認を携帯機番号の送信元に送信し、ステップ150で携帯機番号をサーバに送信し、ステップ110に戻って次の送信タイミングを待つ。
その後、携帯機6aの位置が変化しなければ、同様のことが繰り返される。すなわち、そして、路側機2aにおいて、制御部23がステップ110で呼び出し信号を送信し(ステップ545)、更に路側機2bにおいて呼び出し信号を送信し(ステップ550)、これら呼び出し信号が携帯機6aで受信される。
その後、携帯機6aの制御部63は、待ち受けを開始してから所定期間31cが経過したと判定し、ステップ220に進み、呼び出し信号を受信したと判定し、ステップ230に進み、路側機2aを選択する。そして、続くステップ240では、選択した路側機2aから応答確認を受信済みであると判定し、携帯機番号を送信しないままステップ210に戻り、再度所定期間31dの呼び出し信号の待ち受けを開始する。一方、路側機2a、2bにおいては、130から直接ステップ110に戻るか、あるいは、ステップ150からステップ110に戻り、次の送信タイミングを待つ。
このように、携帯機6aにおいて、最も近い路側機が変化しない場合は、その路側機2aから再度呼び出し信号を受けても携帯機番号を返信しないので、通信量を低減することができる。
以上で、第1の作動事例が終了する。次に、図18に示す第2の作動事例について説明する。第2の作動事例は、第1の作動事例の終了後引き続き実行される事例であり、携帯機6aを持った歩行者が路側機2bに近づく方向に移動した結果、携帯機6aがセル10b内に入ったままセル10aの外に出たとする。
この場合、路側機2aがステップ110で呼び出し信号の送信を行っても(図18のステップ555)、携帯機6aはその呼び出し信号を受信することはない。一方、路側機2aがステップ110で呼び出し信号の送信を行った場合(ステップ560)、携帯機6aはその呼び出し信号を受信する。
その後、携帯機6aでは、待ち受けを開始してから所定期間31dが経過したと判定してステップ220に進み、当該所定期間31dにおいて呼び出し信号を受信したと判定し、ステップ230に進む。
そしてステップ230では、自機に最も近い路上機を1個選択する。本事例では、携帯機6aは当該所定期間31dにおいて路上機2bのみから呼び出し信号を受信しているので、その呼び出し信号に含まれるIDに対応する路上機2bを、自機に最も近い路上機として選択する。また制御部63は、ステップ230で、最も近い路側機が路側機2aから路側機2bに変化したので、応答確認の受信履歴をすべて削除する。
続くステップ240では、直前のステップ230で選択した路側機から既に応答確認を受信済みか否かを判定するが、上述のように応答確認の受信履歴が削除されているので、応答確認を受信済みでないと判定し、ステップ250に進む。
ステップ250では、既に説明した通り、当該所定期間31dにおいて路上機2bから受信した呼び出し信号に含まれる遅延計算用のパラメータNa、Ta、Tcおよび自機6aの携帯機番号に基づいて遅延時間32bを計算する。
続いてステップ260では、直前のステップ230で選択した路側機2bが送信した呼び出し信号の受信開始タイミングを始点とする経過時間が、この遅延時間32bに到達するまで待機する。そして、経過時間が遅延時間32bに到達すると、ステップ270に進み、当該選択した路側機2bを宛先として、通信部61を用い、自機6aの携帯機番号を送信する(図18のステップ565)。そしてその後、ステップ280で、送信先の路上機2bから応答確認を受信するまで待つ。
路側機2bでは、制御部23が、ステップ110で呼び出し信号を送信した後、ステップ120で、携帯機番号を所定の待受期間だけ待ち受け、その後、ステップ130に進み、ステップ120の待受期間において第2通信部22を介して携帯機番号を1個以上(携帯機6aからの携帯機番号を含む)受信したと判定し、ステップ140に進む。なお、この所定期間において、路側機2bは、携帯機6a以外のセル10b内の携帯機からも、携帯機番号を受信している場合もあれば、携帯機6aのみから携帯機番号を受信している場合もある。ステップ140では、上記待受期間に受信した各携帯機番号の送信元の各携帯機を宛先として、所定の応答確認を送信する(図18のステップ570)。
携帯機6aでは、ステップ280で応答確認の待ち受け中だった制御部63が、通信部61を介してこの応答確認を受信すると、上述の受信履歴に、路側機2bから応答確認を受信したことを記録し、ステップ210に戻り、呼び出し信号の所定期間31eの待ち受けを開始する。
路側機2bの作動の説明に戻り、続くステップ150で制御部23は、第1通信部21を用い、上記待受期間に受信した各携帯機番号を、基地局およびネットワーク8を介して、サーバ9に送信する(図18のステップ575)。その後、ステップ110に戻り、前回の呼び出し信号送信から基準時間経過した時点で再度呼び出し信号を送信する。
一方、サーバ9では、制御部93が、通信部91を介して路側機2bから携帯機番号を受信すると、ステップ310で路側機から携帯機番号を受信したと判定してステップ320に進み、セル別携帯機番号リスト中のセル10bのリストに対して、路側機2bから受信した当該携帯機番号および当該携帯機番号の受信時刻の組を追加する。
続いてステップ330では、セル別携帯機番号リストから、他のセルにおいて重複する携帯機番号およびそれと組になる受信時刻を削除する。本事例では、セル別携帯機番号リスト中のセル10aのリストに、携帯機6aの携帯機番号が含まれている状態なので、セル10aのリストから携帯機6aの携帯機番号およびそれと組になる受信時刻を削除する。
続いてステップ340では、既に説明した通りにエリアを設定する。続いてステップ350では、続いてステップ350では、既に説明した通りの方法でエリアデータをデータ記憶部内に作成する。
セル10aとセル10bが同じエリアに属していれば、携帯機6aの移動に起因する当該エリアの存在人数の変化は無い。セル10aとセル10bが異なるエリアに属していれば、携帯機6aの移動に伴い、セル10aが属するエリアの存在人数の計算からは携帯機6aの分が除外され、セル10bが属するエリアの存在人数の計算には携帯機6aの分が追加される。ただし、他の携帯機の移動に応じて、各エリアの存在人数は増加する場合も減少する場合も変化しない場合もある。
続いてステップ360では、直前のステップ350で作成したエリアデータに応じた配信データを、既に説明した通りの方法で作成する(図18のステップ580)。ステップ360の後、ステップ310に戻る。
このように、携帯機6aに対して最も近い路側機が変化すると、携帯機6aは新たに最も近くなった路側機2bに対して携帯機番号を送信し、路側機2bは、受信した携帯機番号をサーバ9に送信し、サーバ9は、受信した携帯機番号の送信元の路側機のセルに路側機が移動するよう、セル別携帯機番号リストを修正する(ステップ320、330)。このような作動により、携帯機のセル間移動がサーバ9のセル別携帯機番号リストに反映される。
このような作動の後、携帯機6aの制御部63は、ステップ210で所定期間31eだけ待ち受けする状態になる。また、各路側機(路側機2a、2bを含む)の制御部23は、ステップ130から直接ステップ110に戻るか、ステップ150からステップ110に戻り、ステップ110で定期(間隔は基準時間)の呼び出し信号送信タイミングを待つ状態になる。また、サーバ9の制御部93は、ステップ310で路側機から携帯機番号の受信を待つ状態になる。このとき、携帯機6aの位置は変化していないものとする。
そして、路側機2aにおいて、制御部23が、ステップ110で、呼び出し信号の送信タイミングが訪れたと判定し、第2通信部22を用いて、上述した構成の呼び出し信号を送信する(図18のステップ585)が、この呼び出し信号は携帯機6aで受信されない。
更に、路側機2bにおいて、制御部23が、ステップ110で、呼び出し信号の送信タイミングが訪れたと判定し、第2通信部22を用いて、上述した構成の呼び出し信号を送信する(図18のステップ590)。路側機2bからの呼び出し信号は、携帯機6aで受信される。
その後、携帯機6aの制御部63は、待ち受けを開始してから所定期間31eが経過したと判定し、ステップ220に進み、呼び出し信号を受信したと判定し、ステップ230に進む。
更にステップ230では、すでに説明した通りの処理で、自機6aに最も近い路側機として、路側機2bを選択する。ただし、このステップ230では、最も近い路側機が前回のステップ230から変化していないので、受信履歴を削除しない。つまり、受信履歴には、路側機2bから応答確認を受信した履歴が残っている。
したがって、続くステップ240では、選択した路側機2bから応答確認を受信済みであると判定し、携帯機番号を送信しないままステップ210に戻り、再度所定期間31fの呼び出し信号の待ち受けを開始する。
一方、路側機2a、2bにおいては、ステップ120で携帯機番号を所定期間待ち受け、その後、携帯機6a以外の携帯機から携帯機番号を受信していなければ、ステップ130で受信していないと判定してステップ110に戻って次の送信タイミングを待つ。また、携帯機6a以外の携帯機から携帯機番号を受信していれば、既に説明した通り、ステップ130で受信していると判定し、ステップ140で応答確認を携帯機番号の送信元に送信し、ステップ150で携帯機番号をサーバに送信し、ステップ110に戻って次の送信タイミングを待つ。
このように、携帯機6aにおいて、最も近い路側機が変化しない場合は、その路側機2bから再度呼び出し信号を受けても携帯機番号を返信しないので、通信量を低減することができる。以上で、第2の作動事例が終了する。
次に、携帯機が或るセル内から当該セルを出て、どのセルにも属さなくなった場合に対応するための作動について説明する。この作動のため、各携帯機の制御部63は、定期アクセス処理を、図9の処理と並列で同時実行する。
制御部63は、この定期アクセス処理において、図19に示すように、図9の処理のステップ270で携帯機番号35aを路上機宛に送信したタイミングを契機として、その送信から所定のタイマ時間Tr経過後を起点として、当該タイマ時間Tr間隔で定期的に携帯機番号35bを送信し始める。なお、定期的送信する携帯機番号の宛先は、契機となった携帯機番号送信の宛先と同じにする。
また、タイマ時間Trは、路側機がステップ110で送信する呼び出し信号34a〜34fの送信間隔(基準時間)よりも長いものとする。このようにすることで、図9のステップ240の判定によって得られた通信量の低減効果を、携帯機番号の定期的送信による通信量の増大が相殺してしまうことがなくなる。
すると、当該宛先の路側機は、当該携帯機が当該路側機のセル内に入っている限り、当該携帯機番号を受信し、その度に、当該路側機の制御部23は、図8の処理を実行することで、ステップ150で、当該携帯機番号をサーバ9に送信する。
この携帯機番号を受信したサーバ9の制御部93は、図10の処理ステップ320で、当該携帯機番号の送信元の路側機に対応するセルのリスト中に、当該携帯機番号および当該携帯機番号の受信時刻の組を追加する。
また、サーバ9は、削除処理を、図10の処理と並列で同時実行する。制御部93は、この削除処理において、セル別携帯機番号リストに記録されている携帯機番号のそれぞれについて、当該携帯機番号と組になっている最後の受信時刻を特定し、特定した最後の受信時刻から現在までの経過時間を算出し、算出した経過時間が所定の許容限度時間以上であるか否かを判定する。
この許容限度時間は、上述のタイマ時間Tr+αとする。この値α(正の値)は、マージン時間であり、例えばタイマ時間Trの10%程度とする。ある携帯機番号について許容限度時間以上であると判定した場合は、当該携帯機番号に対応する携帯機がどのセルにも属さなくなったと判定し、セル別携帯機番号リスト中の当該携帯機番号およびそれと組になる受信時刻のすべてを削除する。
また、ある携帯機番号について許容限度時間以上でないと判定した場合は、当該携帯機番号に対応する携帯機がまだセルに属していると判定し、セル別携帯機番号リスト中の当該携帯機番号およびそれと組になる受信時刻を削除せずそのままにしておく。
このようにすることで、携帯機がどのセルからも外れてしまった場合でも、その携帯機の定期アクセス処理による携帯機番号が路上機を介してサーバ9に届かなくなったことに基づいて、サーバ9がセル別携帯機番号リストから当該携帯機を削除することができる。
ここで、上述のようにして作成された配信データのサーバ9から複数の車載機の各々への送信について説明する。
車載機の制御部43は、図11の処理において、情報取得タイミングが訪れるまで待機している。情報取得タイミングが訪れたか否かは、例えば、ドライバーが車内の操作部(例えば所定のボタン)に対して所定の情報取得操作を行ったか行っていないかによって判定してもよいし、定期的なタイタイミングが訪れたか否かによって判定してもよい。
情報取得タイミングは、どのようなタイミングで訪れてもよいが、例えば図12のステップ530の直後にドライバーの上記操作によって訪れてもよいし、図18のステップ580の直後にドライバーの上記操作によって訪れてもよい。
情報取得タイミングが訪れたと判定すると、ステップ420に進み、通信部41を用いて基地局に接続し、ネットワーク8を介してサーバ9に対して要求信号を送信する。
サーバ9では、制御部93が通信部91を介してこの要求信号を受信し、受信した要求信号に従って、通信部91を用いて、要求信号の送信元の車載機に、最新の配信データを送信する。制御部93が、このような処理を実行することで、送信手段の一例として機能する。
当該車載機では、要求信号の送信後、ステップ430で配信データの受信を待ち、上述のようにサーバ9から送信された配信データを、通信部41を介して受信する。すると、ステップ440に進み、受信した配信データに含まれるマップを表示部42の画像表示装置に表示させる。これにより、車両のドライバーは、マップを見ることで、ドライバーは直感的に危険領域を把握することができる。
また、制御部43は、自車両に搭載されている図示しない位置検出器(例えばGPS受信機)を用いて自車両の現在位置および進行方向を特定できる場合は、自車両の進行方向を中心とする所定の角度範囲内かつ自車両から所定の距離内にあるエリアをエリアデータ中の各エリアがカバーする範囲の情報から特定し、特定したエリアのうち、1つでも存在人数が1以上のエリアがあれば、「歩行者がいます!気をつけてください」(携帯機を主に子供に携帯させている場合は、「こどもがいます!気をつけてください」でもよい)等の警告を、ディスプレイ、メータ画面、または音声出力装置を用いて行うようになっていてもよい。
続いてステップ450では、受信した配信データ中のエリアデータに基づいた車両の制御を行う。例えば、自車両に搭載されている図示しない位置検出器(例えばGPS受信機)を用いて自車両の現在位置および進行方向を特定できる場合は、自車両の進行方向を中心とする所定の角度範囲内かつ自車両から所定の距離内にある路上機をエリアデータ中の路上機の位置から特定し、特定した路上機に対応するエリアのうち1つでも存在人数が1以上のものがあれば、車両の駆動装置(例えばエンジン、電気モータ)または制動装置を制御して車両を減速させるようになっていてもよい。
なお、上記実施形態において、サーバ9の制御部93は、ステップ340を実行することで、エリア設定手段の一例として機能し、ステップ350を実行することでエリアデータ作成手段の一例として機能する。また、携帯機6aが、第1の携帯機の一例に相当する。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
携帯機番号は上記実施形態では正の整数であったが、必ずしもこのようになっておらずともよい。携帯機番号は複数の携帯機の個々を区別するために携帯機に割り当てられた識別情報であればどのようなものであってもよい。例えば、整数ではなく記号列であってもよい。その場合は、遅延時間の計算の際には、記号列を整数に変換した数を携帯機番号の代わりに使用すればよい。
また、上記実施形態では、携帯機がどのセルにも属さなくなった場合に対応するために設けられたタイマ時間Trは、固定値であった。しかし、タイマ時間Trは、サーバ9から路側機を介して携帯機に変更を要求することで変更可能としてもよい。具体的には、サーバ9から各路側機にタイマ時間変更命令(変更後のタイマ時間Trを含む)を送信し、各路側機は、そのタイマ時間変更命令を受信して以降は、図8のステップ110で送信する呼び出し信号に、変更後のタイマ時間Trの情報を含める。そして、携帯機は、受信した呼び出し信号中の変更後のタイマ時間Trに従って、受信後の定期アクセス処理を実行するようになっていればよい。この場合、サーバ9は、許容限度時間をタイマ時間Trに合わせて変動させる。
また、上記実施形態では、サーバ9の制御部93がステップ340で設定するエリアは、エリアとセルとの対応関係が固定的なものであって、しかし、エリアとセルとの対応関係は各種条件に応じて変動するようになっていてもよい。
例えば、ステップ340では、時刻に応じてエリアとセルとを変更してもよい。例えば、学校、幼稚園、または保育園の周囲に複数の路側機を配置し、携帯機をその学校、幼稚園、または保育園に通う児童に携帯させる様にしている場合は、登校、登園の時間帯および下校、降園の時間帯には、各セル内の携帯機の数が多くなることを予測して、1エリア内の存在人数が大きくなり過ぎないよう、それ以外の時間帯に比べて、エリア数を多く、かつ、各エリアを狭く設定する。
例えば、登校、登園の時間帯および下校、降園の時間帯以外の時間帯には、図3のようにエリアを設定し、登校、登園の時間帯および下校、降園の時間帯には、64個のセルのうち、2個の隣接するエリアを1つのエリアとするように、32個のエリアを設定するようになっていてもよい。
このようにすることで、車載機を搭載する車両のドライバーは、児童が道路に多い時間帯(登校、登園、下校、降園時間帯)には、細かいエリア分けで児童の人数分布を詳しく確認することができ、そうでない時間帯には、より大まかなエリア分けで児童の人数分布を速やかに確認することができる。
また、エリアは必ずしも複数個なくてもよく、エリアデータは、1つのエリアのみについての存在人数、カバー範囲の情報であってもよい。
また、上記実施形態では、サーバ9がセル別携帯機番号リストに基づいて作成するエリアデータは、エリア毎の携帯機を携帯した歩行者等の存在人数を表している。しかし、エリアデータは、エリア内の人の数を表さず、単に各エリア内に携帯機を携帯した歩行者等が存在するか否かの情報のみを表すようになっていてもよい。
また、本実施形態の通信システムが有する路側機は、必ずしも複数個でなくてもよい。例えば、路側機は、1個しかなくてもよい。その場合、セル別携帯機番号リストは、当該1つのセルに属する携帯機の携帯機番号のリストとなる。
また、上記の実施形態において、制御回路23、43、63、93がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。