以下、図面を用いて実施形態を説明する。太線で示した信号線は、複数ビットの信号が伝達されるバス信号線を示している。先頭に”/”の付いている信号は、負論理を示している。二重の四角印は、外部端子を示している。外部端子は、例えば、半導体チップ上のパッド、あるいは半導体チップが収納されるパッケージのリードである。外部端子を介して供給される信号には、端子名と同じ符号を使用する。
図1は、一実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。例えば、半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、クロックに同期して動作してもよく、クロックに非同期で動作してもよい。
半導体メモリMEMは、リアルメモリセルMC、リファレンスメモリセルRMC、負荷制御回路LDCNTおよびセンスアンプSAを有している。例えば、リアルメモリセルMCは、リアルワード線WLに接続された制御ゲートとフローティングゲートとを有するリアルセルトランジスタCTを含む不揮発性のメモリセルである。リアルメモリセルMCに書き込まれた論理0または論理1のデータは、電源電圧VCCが供給されない状態でも保持される。例えば、フローティングゲートに電荷が蓄積される書き込み動作により、リアルメモリセルMCは論理0に設定される。フローティングゲートから電荷が放出される消去動作により、リアルメモリセルMCは論理1に設定される。
リファレンスメモリセルRMCは、リファレンスワード線RWLに接続された制御ゲートとフローティングゲートとを有するリファレンスセルトランジスタRCTを含む不揮発性のメモリセルである。リファレンスセルトランジスタRCTは、予め所定の閾値電圧に設定されており、リアルメモリセルMCからデータを読み出す読み出し動作時にリファレンス電流IRを発生する。リファレンス電流IRは、負荷制御回路LDCNTを介して接地線GNDに流れる。
負荷制御回路LDCNTは、リファレンスメモリセルRMCと接地線GNDとの間に配置される負荷LD1およびスイッチSW1と、リファレンスメモリセルRMCと接地線GNDとの間に配置される負荷LD2およびスイッチSW2とを有している。例えば、スイッチSW1は、設定信号SETが第1レベルのときにオンし、スイッチSW2は、設定信号SETが第1レベルと逆の第2レベルのときにオンする。例えば、第1レベルは、論理0、論理1の一方であり、第2レベルは、論理0、論理1の他方である。負荷LD1と負荷LD2との負荷量は互いに異なる。接地線GNDは、電源線の一例である。
設定信号SETは、半導体メモリMEMに形成されるプログラム回路等により生成される。あるいは、設定信号SETは、半導体メモリMEMの外部から供給される。設定信号SETは、設定信号SETを受ける外部端子を論理0または論理1に固定することで、第1レベルまたは第2レベルに設定されてよい。
センスアンプSAは、読み出し動作時に、リアルメモリセルMCに流れるセル電流ICとリファレンス電流IRとを比較する。セル電流ICは、リアルセルトランジスタCTのソース、ドレイン間に流れる電流である。リファレンス電流IRは、リファレンスセルトランジスタRCTのソース、ドレイン間に流れる電流である。センスアンプSAは、電流IC、IRの比較結果に基づいてリアルメモリセルMCに保持されているデータの論理を判定し、判定した論理を読み出しデータ信号RDTとして出力する。
この実施形態では、例えば、スイッチSW1がオンし、スイッチSW2がオフすることで、リファレンスメモリセルRMCは、負荷LD1を介して接地線GNDに接続される。スイッチSW1がオフし、スイッチSW2がオンすることで、リファレンスメモリセルRMCは、負荷LD2を介して接地線GNDに接続される。負荷LD1、LD2の負荷量は互いに異なるため、読み出し動作時に流れるリファレンス電流IRは、設定信号SETが第1レベルのときと第2レベルのときとで互いに異なる。
例えば、リアルメモリセルMCから論理1を読み出すときのセル電流ICとリファレンス電流IRとの差は、設定信号SETが第1レベルのときに相対的に小さく、設定信号SETが第2レベルのときに相対的に大きくなる。換言すれば、リアルメモリセルMCの論理1の読み出しマージンは、設定信号SETが第1レベルのときよりも設定信号SETが第2レベルのときのほうが大きい。
例えば、半導体メモリMEMの製造後に実施される動作テストは、スイッチSW1をオンにし、スイッチSW2をオフして、読み出しマージンが小さい状態で実施される。動作テスト後に、スイッチSW1がオフされ、スイッチSW2がオンされ、リファレンス電流IRは動作テスト時に比べて小さくなり、読み出しマージンは動作テスト時に比べて大きくなる。半導体メモリMEMが出荷されるときには、読み出しマージンは大きい状態に設定されている。このため、半導体メモリMEMがユーザシステムに搭載されて長期間動作した後に、読み出し動作時のセル電流ICが少なくなっても、読み出しマージンを確保できる。この結果、半導体メモリMEMの誤動作を防止でき、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
以上、この実施形態では、読み出しマージンが大きくなる側のスイッチSW1、SW2のいずれかをオンすることで、回路規模の増加を抑制して、リアルメモリセルMCの電気的特性が劣化した場合にも読み出しマージンを確保できる。
リファレンス電流IRの値は、動作テスト後に小さく設定されるため、例えば、ユーザシステムに搭載された半導体メモリMEMが長期間使用され、読み出し動作時のセル電流ICが少なくなった場合にも、読み出しマージンを確保できる。換言すれば、リアルセルトランジスタCTの電流能力が低下した場合にも、例えば、論理1を保持するリアルメモリセルMCの読み出し動作を正しく実行でき、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
動作テスト時には、リファレンス電流IRの値が相対的に大きく設定されるため、読み出しマージンを小さくでき、厳しい条件で動作テストを実施できる。このように、本実施形態では、リファレンスセルトランジスタRCTのリファレンス電流IRを、最小限の回路の追加により切り換えることができ、ユーザシステム上で動作する半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
図2は、別の実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。例えば、半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、クロックに同期して動作してもよく、クロックに非同期で動作してもよい。
半導体メモリMEMは、状態コントローラ10、アドレスラッチ回路12、高電圧発生回路14、負電圧発生回路16、セクタスイッチ回路18、リファレンスセルアレイ20、Yデコーダ22、Xデコーダ24、プログラム回路26、データ入力バッファ28、データラッチ回路30、データ出力バッファ32、センスアンプ34、Yゲート36およびメモリセルアレイ38を有している。メモリセルアレイ38は、リアルセルアレイ40およびリファレンスセルアレイ42を有している。
状態コントローラ10は、ライトイネーブル信号/WE、チップイネーブル信号/CE、アウトプットイネーブル信号/OEおよび書き込みデータ信号WDTを受け、メモリセルアレイ38のアクセス動作を実行するための複数の制御信号を出力する。ライトイネーブル信号/WE、チップイネーブル信号/CE、アウトプットイネーブル信号/OEおよび書き込みデータ信号WDTは、半導体メモリMEMを動作するためのコマンド信号の一例である。アクセス動作は、書き込み動作、読み出し動作および消去動作を含む。書き込み動作は、プログラム動作およびプログラムベリファイ動作を含み、消去動作は、イレーズ動作およびイレーズベリファイ動作を含む。
状態コントローラ10からの制御信号は、アドレスラッチ回路12、高電圧発生回路14、負電圧発生回路16、Yデコーダ22、プログラム回路26、データラッチ回路30、データ出力バッファ32およびセンスアンプ34等の動作を制御するために、これら回路に供給される。制御信号は、回路の動作タイミングを決めるタイミング信号を含む。
アドレスラッチ回路12は、例えば、アドレス端子で受けるアドレス信号AQの上位ビットをロウアドレス信号RAとして出力し、アドレス信号AQの下位ビットをカラムアドレス信号CAとして出力する。ロウアドレス信号RAは、Xデコーダ24に供給され、カラムアドレス信号CAは、Yデコーダ22に供給される。ロウアドレス信号RAおよびカラムアドレス信号CAにより、アクセスされるメモリセルMCが選択される。
高電圧発生回路14は、電源端子に供給される電源電圧VCCおよび接地電圧GNDに基づいて、例えば、電源電圧VCCより高い複数種の高電圧と、電源電圧VCCより低い正の内部電圧とを生成する。高電圧発生回路14は、生成した高電圧および内部電圧を、Yデコーダ22およびXデコーダ24等に供給する。例えば、高電圧は、メモリセルMCの書き込み動作時および読み出し動作時のリアルワード線WLの電圧として使用される。
負電圧発生回路16は、電源電圧VCCおよび接地電圧GNDに基づいて、負電圧を生成し、生成した負電圧をセクタスイッチ回路18に供給する。例えば、負電圧は、メモリセルMCの消去動作時のリアルワード線WLの電圧として使用される。
セクタスイッチ回路18は、消去動作時に、負電圧発生回路16からの負電圧を、消去動作を実行するリアルセルアレイ42内のセクタに対応するXデコーダ24の領域に選択的に供給するセクタスイッチを有している。リアルセルアレイ24に形成される複数のセクタは、イレーズ動作が実行される最小の領域である。
リファレンスセルアレイ20は、書き込み動作時のプログラムベリファイ動作に使用するプログラムリファレンス電圧を生成するためのプログラムリファレンスメモリセルを有している。また、リファレンスセルアレイ20は、消去動作時のイレーズベリファイ動作に使用するイレーズリファレンス電圧を生成するための消去リファレンスメモリセルを有している。プログラムリファレンス電圧およびイレーズリファレンス電圧は、リファレンスビット線PEBLを介してセンスアンプ34に供給される。
Yデコーダ22は、カラムアドレス信号CAにより示されるリアルビット線BLを選択するためのカラム選択信号CLを生成し、生成したカラム選択信号CLをYゲート36に出力する。
Xデコーダ24は、ロウアドレス信号RAにより示されるリアルワード線WLを選択し、選択したリアルワード線WLを所定の電圧に設定するためのワード線デコーダを有している。また、Xデコーダ24は、ロウアドレス信号RAにより示されるリアルソース線SLを選択し、選択したリアルソース線SLを所定の電圧に設定するためのソース線デコーダを有している。さらに、Xデコーダ24は、リファレンスワード線RWLを読み出し動作用の高電圧に設定するためのリファレンスワード線デコーダを有している。
例えば、リアルソース線SLは、セクタ毎に配線される。Xデコーダ24が、ソース線ドライバおよびワード線ドライバを含むとき、Xデコーダからリアルセルアレイ42に延びる信号線は、リアルソース線SLおよびリアルワード線WLである。ソース線ドライバおよびワード線ドライバが、リアルセルアレイ42内に形成されるとき、Xデコーダ24からリアルセルアレイ42に延びる信号線は、ロウアドレス信号RAをデコードすることで得られるデコード信号である。
プログラム回路26は、電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリセルを用いて形成される。プログラム回路26は、設定信号SHIPを論理1または論理0に設定する設定回路の一例である。プログラム回路26のメモリセルは、例えば、テストモード中に、状態コントローラ10によりプログラムされる。そして、プログラム回路26は、メモリセルにプログラムされた値に応じて、ハイレベルまたはロウレベルの設定信号SHIPを出力する。
例えば、半導体メモリMEMは、状態コントローラ10に供給されるコマンド信号の論理に応じて、通常動作モードからテストモードに移行し、あるいは、テストモードから通常動作モードに復帰する。プログラム回路26のプログラムをテストモード中のみ実施可能とすることで、半導体メモリMEMの出荷後に、プログラム回路26の設定値が誤って変更されることを防止できる。
この例では、後述する図8で説明するように、プログラム回路26は、半導体メモリMEMの動作テストを実施する前に、設定信号SHIPをロウレベルに設定するためにプログラムされ、ロウレベルの設定信号SHIPは、動作テスト中にロウレベルに維持される。また、プログラム回路26は、動作テスト後に設定信号SHIPをハイレベルに設定するためにプログラムされる。このため、設定信号SHIPは、半導体メモリMEMが出荷され、ユーザシステムに搭載されている状態で、常にハイレベルを維持する。設定信号SHIPは、リファレンスメモリセルRMCの電気的特性の1つであるリファレンス電流IRを変更するために使用される。
なお、プログラム回路26は、ヒューズ回路等を用いて形成されてもよい。この場合、半導体メモリMEMが製造され、ヒューズ回路のヒューズが切断されていない状態で、プログラム回路26はロウレベルの設定信号SHIPを出力する。そして、半導体メモリMEMのテスト工程等において、動作テスト後にヒューズが切断され、それ以降プログラム回路26はハイレベルの設定信号SHIPを出力する。
データ入力バッファ28は、データ入力端子DINを介して、リアルメモリセルMCに書き込むデータの論理を受け、受けた論理を書き込みデータ信号WDTとしてデータラッチ回路30に出力する。また、データ入力バッファ28は、データ入力端子DINを介して、コマンド信号を受け、受けた論理を書き込みデータ信号WDTとして状態コントローラ10に出力する。例えば、データ入力端子DINの数は、16個である。
データラッチ回路30は、プログラム動作時に動作し、データ入力バッファ28からの書き込みデータ信号WDTの論理をラッチし、ラッチした論理をYゲート36を介してリアルセルアレイ42に供給する。なお、データラッチ回路30は、リファレンスメモリセルRMCのプログラム動作時に、書き込みデータ信号WDTの論理をYゲートを介してリファレンスセルアレイ40に供給するために動作してもよい。
センスアンプ34は、読み出し動作時に、リアルメモリセルMCに流れるセル電流ICとリファレンスメモリセルRMCに流れるリファレンス電流IRとを比較する。センスアンプ34は、比較結果に基づいて、リアルメモリセルMCに保持されているデータの論理を判定する。例えば、センスアンプ34は、セル電流ICとリファレンス電流IRを比較する代わりに、データを読み出すリアルメモリセルMCに接続される各グローバル読み出しビット線GRBLの電圧と、リファレンスビット線RBLの電圧とを比較する。センスアンプ34は、判定により得られた論理を読み出しデータ信号RDTとしてデータ出力バッファ32に出力する。
また、センスアンプ34は、書き込み動作時のプログラムベリファイ動作時に、データが書き込まれるリアルメモリセルMCに接続される各グローバル読み出しビット線GRBLの電圧と、プログラムリファレンスメモリセルに接続されたリファレンスビット線PEBLの電圧とを比較する。センスアンプ34は、比較結果に応じて、リアルメモリセルMCにデータが書き込まれたか否かを判定し、判定結果を読み出しデータ信号RDTの論理値として状態コントローラ10に出力する。なお、データが書き込まれたリアルメモリセルMCは、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧が消去状態に比べて高くなり、例えば、論理0の保持状態となる。
さらに、センスアンプ34は、消去動作時の消去ベリファイ動作時に、データが消去されるリアルメモリセルMCに接続される各グローバル読み出しビット線GRBLの電圧と、消去リファレンスメモリセルに接続されたリファレンスビット線PEBLの電圧とを比較する。センスアンプ34は、比較結果に応じて、リアルメモリセルMCのデータが消去されたか否かを判定し、判定結果を読み出しデータ信号RDTの論理値として状態コントローラ10に出力する。データが消去されたリアルメモリセルMCは、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧がプログラム状態に比べて低くなり、例えば、論理1の保持状態になる。例えば、半導体メモリMEMは、データ出力端子DOUTのビット数およびデータ入力端子DINのビット数と同じ数のセンスアンプ34を有している。
データ出力バッファ32は、読み出し動作時に動作し、センスアンプ34から出力される読み出しデータ信号RDTの論理をデータ出力端子DOUTに出力する。例えば、データ出力端子DOUTの数は、16個である。
Yゲート36は、読み出し動作時に、Yデコーダ22からのカラム選択信号CLに応じて、データ出力端子DOUT毎にリアルビット線BLをグローバル読み出しビット線GRBLを介してセンスアンプSAに接続する。Yゲート36は、書き込み動作時に、Yデコーダ22からのカラム選択信号に応じて、例えばデータ入力端子DIN毎に、データラッチ回路30の出力をグローバル書き込みビット線GWBLを介してリアルビット線BLに接続する。
リアルセルアレイ42は、マトリックス状に配置される複数のリアルメモリセルMCを有している。なお、リアルセルアレイ42は、消去動作の単位である複数のセクタに区画されている。各メモリセルMCは、リアルソース線SLとリアルビット線BLとの間に配置されたリアルセルトランジスタCTを有している。例えば、リアルセルトランジスタCTは、nMOSトランジスタの構造を有しており、電荷(例えば、電子)を蓄積するフローティングゲートと、リアルワード線WLに接続された制御ゲートとを有している。なお、リアルセルトランジスタCTは、フローティングゲートの代わりに、電荷が所定の場所に蓄積されるトラップゲートを用いて形成されてもよい。
リファレンスセルアレイ40は、マトリックス状に配置される複数のリファレンスメモリセルRMCを有している。例えば、リファレンスメモリセルRMCの構造は、リアルメモリセルMCと同じ構造であり、リファレンスセルトランジスタRCTを有している。リファレンスセルトランジスタRCTはnMOSトランジスタの構造を有しており、リファレンスソース線RSLとリファレンスビット線RBLとの間に配置されている。そして、読み出し動作では、リファレンス電流IRを発生するリファレンスメモリセルRMCの1つがリファレンスビット線RBLを介してセンスアンプSAに接続される。例えば、リファレンス電流IRは、リファレンスセルトランジスタRCTを介して、プリチャージされたリファレンスビット線RBLからリファレンスソース線RSLに流れる。
図3は、図2に示したリアルセルアレイ42の例を示している。なお、図3は、リアルセルアレイ42の一部の領域を示している。図3の横方向に並ぶリアルメモリセルMCの列は、制御ゲートを共通のリアルワード線WLに接続している。図3の縦方向に並ぶリアルメモリセルMCの列は、ドレインを共通のリアルビット線BLに接続し、ソースをセクタ毎に共通のリアルソース線SLに接続している。
リアルソース線SLは、所定の間隔を置いて図3の縦方向に配線されるグローバルリアルソース線GSLL、GSLRに接続されている。例えば、グローバルリアルソース線GSLL、GSLRは、横方向に並ぶ8個のリアルメモリセルMC毎に配線されている。グローバルリアルソース線GSLL、GSLRは、金属配線層を用いて形成されている。リアルソース線SLは、シリコン等の半導体基板上に形成される拡散領域を用いて形成されている。リアルソース線SLの配線抵抗は、金属配線層を用いて形成される配線の抵抗より_い。このため、図では、リアルソース線SLに拡散領域に形成される寄生抵抗を示している。
図4は、図3に示したリアルセルアレイ42のレイアウトの例を示している。図4に網掛けで示した領域は、拡散領域を示している。図4に破線および一点鎖線で示した縦方向に延びる配線は、金属配線を示している。例えば、破線および一点鎖線で示した金属配線は、使用される配線層が互いに異なっている。X印を付けた矩形は、拡散領域を金属配線に接続するためのコンタクトを示している。太い二点鎖線は、1つのリアルメモリセルMCの領域を示している。
図5は、図2に示した読み出し動作用のリファレンスセルアレイ40の要部の例を示している。上述したように、例えば、リファレンスセルアレイ40に形成されるリファレンスメモリセルRMCの1つが動作する。リファレンスメモリセルRMCのリファレンスセルトランジスタRCTは、ドレインがリファレンスビット線RBLに接続され、ソースがリファレンスソース線RSLに接続され、制御ゲートがリファレンスワード線RWLに接続されている。リファレンスセルトランジスタRCTの閾値電圧は、半導体メモリMEMの製造後の試験工程において、所定の値にプログラムされる。
リファレンスソース線RSLは、抵抗RLを介してグローバルリファレンスソース線GRSLLに接続され、抵抗RHを介してグローバルリファレンスソース線GRSLRに接続されている。抵抗RHの抵抗値は、抵抗RLの抵抗値に比べて高く設計されている。抵抗RLは、nMOSトランジスタNM1を介して接地線GNDに接続され、抵抗RHは、nMOSトランジスタNM2を介して接地線GNDに接続されている。例えば、nMOSトランジスタNM1、NM2の構造およびサイズは同じであり、nMOSトランジスタNM1、NM2の電気的特性は同じである。
抵抗RLおよびnMOSトランジスタNM1は、リファレンスメモリセルRMCと接地線GNDとの間に配置される第1負荷および第1スイッチの一例である。抵抗RHおよびnMOSトランジスタNM2は、リファレンスメモリセルRMCと接地線GNDとの間に配置される第2負荷および第2スイッチの一例である。抵抗RL、RHおよびnMOSトランジスタNM1、NM2は、リファレンス電流IRの値を切り換える負荷制御回路として動作する。
nMOSトランジスタNM1のゲートは、インバータIVを介して設定信号SHIPと反対の論理を受けている。nMOSトランジスタNM1は、設定信号SHIPがロウレベルのときにオンし、リファレンスビット線RBLをリファレンスメモリセルRMCおよび抵抗RLを介して接地線GNDに接続する。nMOSトランジスタNM2のゲートは、設定信号SHIPを受けている。nMOSトランジスタNM2は、設定信号SHIPがハイレベルのときにオンし、リファレンスビット線RBLをリファレンスメモリセルRMCおよび抵抗RHを介して接地線GNDに接続する。これにより、読み出し動作時にリファレンスメモリセルRMCに流れるリファレンス電流IRは、設定信号SHIPがロウレベルのテストモード中のほうが、設定信号SHIPがハイレベルの通常動作モード中に比べて多くなる。リファレンス電流IRの詳細は、図11で説明する。
図6は、図2に示した読み出し動作用のリファレンスセルアレイ40の例を示している。図中の配線上に示した白丸は、配線間を接続するコンタクトが形成されないことを示している。すなわち、リファレンスセルアレイ40内のコンタクトの一部が形成されないことにより、リファレンスセルアレイ40内に形成されるメモリセルの1つのみが、リファレンスメモリセルRMCとして動作する。
リファレンスセルアレイ40のメモリセルの配置間隔は、図3に示したリアルセルアレイ42のリアルメモリセルMCの配置間隔と同じである。グローバルリファレンスソース線GRSLL、GRSLRの配線間隔は、図3に示したグローバルリアルソース線GSLL、GSLRの配線間隔と同じである。この例では、図6の横方向に並ぶ8個のメモリセルのうち、左から3番目のメモリセルがリファレンスメモリセルRMCとして動作する。他のメモリセルは、リファレンス電流IRを流さないダミーメモリセルとして配置される。
リファレンスメモリセルRMCのドレインに接続されたビット線は、リファレンスビット線RBLとして機能する。他のビット線は、ダミービット線DBLとして配線される。リファレンスメモリセルRMCのソースに接続されたソース線は、リファレンスソース線RSLとして機能する。他のソース線は、ダミーソース線DSLとして配線される。リファレンスメモリセルRMCの制御ゲートに接続されたワード線は、リファレンスワード線RWLとして機能する。他のワード線は、ダミーワード線DWLとして配線される。例えば、ダミービット線DBL、ダミーソース線DSLおよびダミーワード線DWLは、接地線GNDに接続される。
リファレンスメモリセルRMCのソースは、2つのダミーメモリセルの形成領域を介してグローバルリファレンスソース線GRSLLに接続され、5つのメモリセルの形成領域を介してグローバルリファレンスソース線GRSLRに接続されている。このため、グローバルリファレンスソース線GRSLR側のリファレンスソース線RSLの配線部分の抵抗値は、グローバルリファレンスソース線GRSLL側のリファレンスソース線RSLの配線部分の抵抗値に比べて高くなる。すなわち、図5に示した抵抗RL、RHは、リファレンスメモリセルRMCが形成される位置を利用して、リファレンスソース線RSLの配線抵抗を用いて形成される。
グローバルリファレンスソース線GRSLLは、リファレンスセルアレイ40の外側でnMOSトランジスタNM1のドレインに接続されている。グローバルリファレンスソース線GRSLRは、リファレンスセルアレイ40の外側でnMOSトランジスタNM2のドレインに接続されている。スイッチとして動作するnMOSトランジスタNM1、NM2を、リファレンスセルアレイ40の外側に形成することで、リファレンスセルアレイ40内にダミーメモリセルおよびリファレンスメモリセルRMCを規則的に配置できる。この結果、リファレンスメモリセルRMCの電気的特性の設計値からのずれを少なくでき、所望の値のリファレンス電流IRを流すリファレンスメモリセルRMCを形成できる。
リファレンスメモリセルRMCをグローバルリファレンスソース線GRSLLに接続するリファレンスソース線RSLの一部は、第1分岐線の一例である。リファレンスメモリセルRMCをグローバルリファレンスソース線GRSLRに接続するリファレンスソース線RSLの別の一部は、第2分岐線の一例である。
図7は、図6に示した読み出し動作のリファレンスセルアレイ40のレイアウトの例を示している。破線、一点鎖線、太い二点鎖線、X印を付けた矩形および網掛けのパターンの意味は、図4と同じである。リファレンスセルアレイ40のレイアウトは、コンタクトの一部が形成されないことを除き、図4に示したリアルセルアレイ42のレイアウトと同様である。
すなわち、リファレンスソース線RSLの一部は、図の横方向に沿って形成される拡散領域を用いて形成されている。リファレンスメモリセルRMCは、リファレンスメモリセルRMCからグローバルリファレンスソース線GRSLLまでのリファレンスソース線RSLの一部(拡散領域)の長さが、リファレンスメモリセルRMCからグローバルリファレンスソース線GRSLRまでのリファレンスソース線RSLの別の一部(拡散領域)の長さより短くなる位置に配置されている。拡散領域は、単位長さ当たりの抵抗値が金属配線に比べて高いため、短い長さの拡散領域で抵抗RL、RHを形成することができる。
図8は、図2に示した半導体メモリMEMの製造方法の例を示している。まず、ステップS10において、半導体製造工程が実施され、シリコン等のウエハ上に半導体メモリチップ(図2のMEM)が形成される。半導体メモリチップの形成後、ステップS20において、図2に示したプログラム回路26がプログラムされ、設定信号SHIPがロウレベルLに設定される。例えば、設定信号SHIPの論理の設定は、LSIテスタ等のテストシステムにより、ウエハ上の各半導体メモリチップにアクセスすることで行われる。
ロウレベルLの設定信号SHIPにより、リファレンスメモリセルRMCのソースは、相対的に抵抗値が低い抵抗RLを介して接地線GNDに接続される。なお、プログラム回路26がヒューズ回路により形成される場合、半導体メモリMEMは、半導体メモリチップが形成された初期状態で、設定信号SHIPがロウレベルLになるように設計される。このため、ステップS20の処理は不要である。
次に、ステップS30において、LSIテスタ等のテストシステムを用いて、半導体メモリチップの動作テストが実施される。この際、動作テストは、図5に示したように、相対的に抵抗値が低い抵抗RLを介して接地線GNDに接続されたリファレンスメモリセルRMCを用いて実施される。このため、後述する読み出し動作RD(図10)において、リファレンス電流IRの値は、設定信号SHIPがハイレベルHのときのリファレンス電流IRの値より大きくなる。リファレンス電流IRの値が大きいほど、論理1を記憶するリアルメモリセルMCの読み出しマージンは小さくなり、厳しいテストを実施できる。読み出しマージンについては、図11で説明する。
ステップS40において、動作テストでフェイルした半導体メモリチップは、不良品として扱われる。ステップS50において、動作テストでパスした半導体メモリチップの設定信号SHIPは、LSIテスタ等のテストシステムによりハイレベルHに設定される。ハイレベルHの設定信号SHIPにより、リファレンスメモリセルRMCのソースは、図5に示したように、相対的に抵抗値が高い抵抗RHを介して接地線GNDに接続される。このため、これ以降の半導体メモリMEMの読み出し動作は、半導体メモリMEMの出荷後も含め、相対的に抵抗値が高い抵抗RHを介して接地線GNDに接続されたリファレンスメモリセルRMCを用いて実施される。すなわち、これ以降の半導体メモリMEMの読み出し動作は、値が相対的に大きいリファレンス電流IRを用いて実行される。
図9は、リアルメモリセルMCの閾値電圧の分布の例を示している。リアルメモリセルMCの閾値電圧は、リアルセルトランジスタCTの制御ゲートにゲート電圧VGを与えるときに、セル電流ICの値が、リファレンスメモリセルRMC、プログラムリファレンスメモリセルまたは消去リファレンスメモリセルに流れるリファレンス電流の値より大きいか否かにより判定される。
読み出し動作RDでは、リアルメモリセルMCに保持されている論理は、リアルメモリセルMCの閾値電圧が電圧VGRより大きいか否かにより判定される。消去動作のイレーズベリファイ動作ERSVでは、リアルメモリセルMCの閾値電圧が電圧VGEより小さいことが確認される。書き込み動作のプログラムベリファイ動作PGMVでは、リアルメモリセルMCの閾値電圧が電圧VGPより大きいことが確認される。
図10は、読み出し動作、消去動作、書き込み動作および各種ベリファイ動作における電圧の設定例を示している。符号FLTは、フローティング状態を示している。符号PWは、リアルメモリセルMC、読み出し動作用のリファレンスメモリセルRMC、消去リファレンスメモリセルおよびプログラムリファレンスメモリセルのセルトランジスタのバックゲートであるp形ウエル領域PWを示している。
選択ラインは、読み出し動作RDまたは書き込み動作におけるプログラム動作PGMが実行されるセクタ(選択セクタ)内のリアルメモリセルMCに接続されるリアルワード線WL(選択ワード線)およびリアルビット線BL(選択ビット線)である。非選択ラインは、選択ワード線以外のリアルワード線WL(非選択ワード線)および選択ビット線以外のリアルビット線BL(非選択ビット線)である。非選択セクタは、読み出し動作RD、消去動作、書き込み動作を実行しないセクタを示す。
読み出し動作では、選択ワード線WLは電圧VGRに設定される。選択ビット線BLは、選択ワード線WLに電圧VGRが供給される前に、例えば0.6Vにプリチャージされる。非選択ワード線WLおよび非選択ビット線BLは、例えば0Vに設定される。プログラム動作PGMでは、選択ワード線WLは、例えば9Vに設定され、選択ビット線BLは、例えば5Vに設定される。非選択ワード線WLおよび非選択ビット線BLは、例えば0Vに設定される。
消去動作におけるイレーズ動作ERSでは、消去動作を実行するセクタ内の全てのリアルワード線WLは、例えば−9Vに設定される。セクタ内の全てのリアルビット線BLおよびソース線SLは、例えばフローティング状態FLTに設定される。p形ウエル領域PWは、例えば9Vに設定される。イレーズ動作ERSが実行されるセクタ以外のセクタでは、リアルワード線WL、ソース線SLおよびp形ウエル領域は、例えば0Vに設定され、リアルビット線BLは、フローティング状態FLTに設定される。
消去動作のイレーズベリファイ動作ERSVおよび書き込み動作のプログラムベリファイ動作PGMVは、リアルワード線WLの電圧が相違することを除き、読み出し動作と同様に実行される。なお、図10に示した電圧は一例であり、これ等以外の電圧でもよい。例えば、書き込み動作PGM時の選択ラインのリアルワード線WLの電圧は、9.3Vでもよい。
図11は、図8に示した製造方法において、読み出し動作用のリファレンスセルトランジスタRCTの特性の変化を示している。波形(a)は、設定信号SHIPがロウレベルに設定されているときのリファレンスセルトランジスタRCTの特性を示している。すなわち、波形(a)は、図8のステップS30における動作テスト時のリファレンスセルトランジスタRCTの特性を示している。波形(b)は、設定信号SHIPがハイレベルに設定されているときのリファレンスセルトランジスタRCTの特性を示している。すなわち、波形(b)は、図8の動作テスト以降のリファレンスセルトランジスタRCTの特性を示している。
波形(c)は、消去用のリファレンスセルトランジスタの特性、および論理1に設定されたリアルセルトランジスタCTのうち最大の閾値電圧を有するリアルセルトランジスタCTメモリセルMCの特性を示している。波形(e)は、書き込み用のリファレンスセルトランジスタの特性、および論理0に設定されたリアルセルトランジスタCTのうち最小の閾値電圧を有するリアルセルトランジスタCTの特性を示している。波形(d)は、論理1に設定されたリアルセルトランジスタCTの特性が劣化した例を示している。
読み出し動作RDでは、リアルセルトランジスタCTの制御ゲートおよびリファレンスセルトランジスタRCTの制御ゲートにゲート電圧VGRが与えられ、セル電流ICとリファレンス電流IRとが比較される。セル電流ICの値がリファレンス電流IRの値より大きいとき、リアルメモリセルMCに論理1(消去状態)が保持されていると判定される。セル電流ICの値がリファレンス電流IRの値より小さいとき、リアルメモリセルMCに論理0(プログラム状態)が保持されていると判定される。
波形(c)の特性を有するリアルメモリセルMCの論理1を、波形(a)の特性を有するリファレンスメモリセルRMCを用いて読み出す場合、セル電流ICとリファレンス電流IRとの差は、波形(b)の特性を有するリファレンスメモリセルRMCを用いる場合より小さくなる。このため、設定信号SHIPがロウレベル(波形(a))のときの論理1の読み出しマージンは、設定信号SHIPがハイレベル(波形(b))のときの論理1の読み出しマージンより小さくなる。
なお、実際の読み出し動作では、セル電流ICに応じて図2に示したグローバル読み出しビット線GRBLに生成される読み出し電圧と、リファレンス電流IRに応じてリファレンスビット線RBLに生成されるリファレンス電圧とがセンスアンプ34により比較される。そして、読み出し電圧がリファレンス電圧より低いときに、リアルメモリセルMCに論理1が保持されていると判定される。読み出し電圧がリファレンス電圧より高いときに、リアルメモリセルMCに論理0が保持されていると判定される。
消去動作におけるイレーズ動作では、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧を下げるために、リアルセルアレイ42のセクタ毎にリアルセルトランジスタCTのフローティングゲートに蓄積されている電荷が放出される。消去動作におけるイレーズベリファイ動作では、各リアルセルトランジスタCTおよび消去用のリファレンスセルトランジスタの制御ゲートに電圧VGEが与えられる。セクタ内の各リアルセルトランジスタCTに流れるセル電流ICと消去用のリファレンスセルトランジスタに流れる消去用のリファレンス電流とが比較される。そして、全てのリアルセルトランジスタCTのセル電流ICの値が消去用のリファレンス電流の値より大きくなるまで、イレーズ動作とイレーズベリファイ動作とが繰り返し実施される。これにより、セクタ内の全てのリアルメモリセルMCの閾値電圧は、電圧値VGEより低くなり、図9に論理1で示した領域に分布する。
実際のイレーズベリファイ動作では、セル電流ICに応じてグローバル読み出しビット線GRBLに生成される読み出し電圧と、消去用のリファレンス電流に応じてリファレンスビット線PEBLに生成される消去リファレンス電圧とがセンスアンプ34により比較される。そして、読み出し電圧が消去リファレンス電圧より低いときに、リアルメモリセルMCが論理1に設定されたと判定される。読み出し電圧が消去リファレンス電圧より高いときに、リアルメモリセルMCの消去が完了していないと判定される。
なお、消去されやすい特性を有するリアルセルトランジスタCTでは、イレーズ動作が繰り返されることで、閾値電圧が負になるおそれがある。これを防止するために、リアルセルトランジスタCT毎に、負の値になった閾値電圧を正の値(但し、論理1の領域)に戻す書き戻し動作および書き戻しベリファイ動作を実施してもよい。
書き込み動作におけるプログラム動作では、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧を上げるために、リアルセルトランジスタCTのフローティングゲートに電荷が注入される。書き込み動作におけるプログラムベリファイ動作では、リアルセルトランジスタCTおよび書き込み用のリファレンスセルトランジスタの制御ゲートに電圧VGPが与えられる。リアルセルトランジスタCTに流れるセル電流ICと書き込み用のリファレンスセルトランジスタに流れる書き込み用のリファレンス電流とが比較される。そして、セル電流ICの値が消去用のリファレンス電流の値より小さくなるまで、プログラム動作とプログラムベリファイ動作とが繰り返し実施される。すなわち、書き込み動作により、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧は、電圧値VGPより高くなり、図9に論理0で示した領域に分布する。
実際のプログラムベリファイ動作では、セル電流ICに応じてグローバル読み出しビット線GRBLに生成される読み出し電圧と、書き込み用のリファレンス電流に応じてリファレンスビット線PEBLに生成される書き込みリファレンス電圧とがセンスアンプ34により比較される。そして、読み出し電圧が書き込みリファレンス電圧より高いときに、リアルメモリセルMCが論理0に設定されたと判定される。読み出し電圧が書き込みリファレンス電圧より低いときに、リアルメモリセルMCの書き込みが完了していないと判定される。
例えば、波形(d)に示す劣化したリアルセルトランジスタCTの特性は、リアルセルトランジスタCTのトンネル絶縁膜の膜質の劣化、トンネル絶縁膜付近への電荷のトラップ、またはその両方が原因で発生すると考えられる。この種の劣化は、多くの回数の消去動作、書き込み動作および読み出し動作が半導体メモリMEMに対して実行されることで発生する。すなわち、この種の劣化は、半導体メモリMEMの出荷後に、ユーザシステムに搭載された半導体メモリMEMの動作期間が長いほど発生しやすくなる。劣化が発生した場合、消去動作時間および書き込み動作時間が長くなり、リアルセルトランジスタCTの電流能力(トランスコンダクタンスgm)は低下する。
リアルセルトランジスタCTの特性が劣化し、波形(c)から波形(d)に変化すると、読み出し動作RD時のセル電流ICの値は小さくなる。読み出し動作RDにおいてゲート電圧VGRが発生しているときに、セル電流ICの値がリファレンス電流IRの値より小さくなると、センスアンプ34は、消去されているリアルメモリセルMCに保持されている論理を”0”(プログラム状態)と判定してしまう。
しかしながら、この実施形態では、動作テストでパスした半導体メモリMEMは、設定信号SHIPがハイレベルHに設定される。これにより、図5に示したリファレンスセルトランジスタRCTは、抵抗RHを介して接地線GNDに接続され、擬似的に特性が劣化された状態になる。すなわち、波形(b)の特性を有するリファレンスセルトランジスタRCTのリファレンス電流IRの値は、波形(a)の特性を有するリファレンスセルトランジスタRCTのリファレンス電流IRの値より小さくなる。したがって、特性が劣化した消去状態のリアルメモリセルMCの読み出し動作を実行する場合にも、論理1を正しく読み出すことができる。特性が劣化していないリアルメモリセルMCについては、読み出しマージンを向上できる。
なお、論理0を保持しているリアルセルトランジスタCTの電流能力が、半導体メモリMEMの長期間の使用により劣化する場合にも、セル電流ICは低下し、閾値電圧は高くなる。しかし、論理0を保持しているリアルセルトランジスタCTのセル電流ICの低下により、セル電流ICとリファレンス電流IRとの差は大きくなる。このため、論理0を保持しているリアルセルトランジスタCTの電流能力が低下する場合、十分な読み出しマージンを確保できる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、既存のリファレンスソース線RSLを利用して抵抗RL、RHを形成することで、回路規模の増加を抑制して、リアルセルトランジスタCTの電流能力が低下した場合にも、読み出しマージンを確保できる。この結果、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。特に、単位長さ当たりの抵抗値が金属配線に比べて高い拡散領域を用いて抵抗RL、RHを形成することで、短い長さの拡散領域で図11に示した波形(a)、(b)の特性を得ることできる。さらに、抵抗RL、RHの値を、リファレンスセルアレイ40内に配置するリファレンスメモリセルRMCの位置により設定できるため、既存のリファレンスセルアレイ40を用いて、抵抗RL、RHの値を調整できる。
図12は、別の実施形態における読み出し動作用のリファレンスセルアレイ40Aの要部の例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。リファレンスセルアレイ40Aを除く構成は、図2と同じである。すなわち、リファレンスセルアレイ40Aが形成される半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、クロックに同期して動作してもよく、クロックに非同期で動作してもよい。
この実施形態においても、図6および図7と同様に、リファレンスセルアレイ40Aに形成されるリファレンスメモリセルRMCの1つが動作する。リファレンスセルアレイ40Aは、図5に示したリファレンスセルアレイ40のnMOSトランジスタNM1、NM2の代わりに、nMOSトランジスタNMS、NMLを有している。また、リファレンスセルアレイ40Aは、図5に示したリファレンスセルアレイ40から抵抗RL、RHを削除している。
実際には、リファレンスソース線RSLの拡散抵抗を削除することはできない。このため、この実施形態では、リファレンスメモリセルRMCは、図6の中央(例えば、左から4番目または5番目)に配置される。あるいは、リファレンスソース線RSLの拡散領域上に、リファレンスソース線RSLに接続される金属配線が形成される。あるいは、リファレンスソース線RSLの抵抗値を下げるために、リファレンスソース線RSLの拡散領域上に、リファレンスワード線RWLに沿ってシリサイド配線が形成される。これにより、図5に示した抵抗成分RL、RHを互いに等しくでき、抵抗RL、RHが削除されたと見なすことができる。リファレンスセルアレイ40Aのその他の構成は、リファレンスセルアレイ40と同様である。
nMOSトランジスタNMSのゲート幅は、nMOSトランジスタNMLのゲート幅より大きく設計されている。nMOSトランジスタNMS、NMLは、ゲート幅以外の構造は互いに同じである。これにより、nMOSトランジスタNMLのオン抵抗は、nMOSトランジスタNMSのオン抵抗より低くなる。nMOSトランジスタNMLがオンしているときのリファレンス電流IRの値は、nMOSトランジスタNMSがオンしているときのリファレンス電流IRの値より大きくなる。
この実施形態では、ゲート幅が小さいnMOSトランジスタNMSを使用して、図8に示した動作テストが実施される。動作テスト以降は、ゲート幅が大きいnMOSトランジスタNMLが使用される。これにより、リファレンスセルトランジスタRCTの特性を、動作テスト時に図11に示した波形(a)にでき、動作テスト以降は図11に示した波形(b)にできる。したがって、半導体メモリMEMの長期間の使用により、リアルセルトランジスタCTの電流能力が低下した場合にも、論理1の読み出しマージンを確保でき、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
なお、ゲート幅が異なるnMOSトランジスタNMS、NMLとリファレンスソース線RSLの拡散抵抗の両方を利用して、リファレンスメモリセルRMCのリファレンス電流IRを切り換えてもよい。すなわち、図5に示したnMOSトランジスタNM1をnMOSトランジスタNMSに置き換え、nMOSトランジスタNM2をnMOSトランジスタNMLに置き換えてもよい。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、nMOSトランジスタNMS、NMLのオン抵抗を利用して、リファレンスメモリセルRMCのリファレンス電流を切り換えることで、回路規模の増加を抑制して読み出しマージンを確保できる。この結果、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
図13は、別の実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の半導体メモリMEMは、図2に示したXデコーダ24およびリファレンスセルアレイ40の代わりに、Xデコーダ24Bおよびリファレンスセルアレイ40Bを有している。また、設定信号SHIPは、Xデコーダ24Bに供給される。
半導体メモリMEMのその他の構成は、図2と同様である。すなわち、半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、クロックに同期して動作してもよく、クロックに非同期で動作してもよい。
図14は、図13に示したXデコーダ24Bの要部の例を示している。図14は、リファレンスワード線RWLを高電圧VGRRに設定するためのリファレンスワード線デコーダの一部を示している。Xデコーダ24Bは、図14に示した以外に、ロウアドレス信号RAに応じてリアルワード線WLを選択し、選択したリアルワード線WLを所定の電圧に設定するためのワード線デコーダを有している。また、Xデコーダ24Bは、図14に示した以外に、ロウアドレス信号RAにより示されるリアルソース線SLを選択し、選択したリアルソース線SLを所定の電圧に設定するためのソース線デコーダを有している。
Xデコーダ24Bは、分圧回路VDIV、pMOSトランジスタPM1、PM2およびインバータIVを有している。分圧回路VDIVは、図13に示した高電圧発生回路14から供給される読み出し動作用の高電圧VGRを分圧し、高電圧VGRより低い高電圧VGR1を生成する。pMOSトランジスタPM1、PM2は、設定信号SHIPに応じて一方がオンし、他方がオフするスイッチとして機能する。設定信号SHIPは、図8に示したように、半導体メモリMEMの動作テスト時にロウレベルに設定され、動作テスト以降にハイレベルに設定される。
pMOSトランジスタPM1のゲートは、インバータIVを介して設定信号SHIPと反対の論理を受けている。pMOSトランジスタPM1は、設定信号SHIPがハイレベルのときにオンし、高電圧線VGR1をリファレンスワード線RWLに高電圧を供給するための高電圧線VGRRに接続する。pMOSトランジスタPM2のゲートは、設定信号SHIPを受けている。pMOSトランジスタPM2は、設定信号SHIPがロウレベルのときにオンし、高電圧線VGRを高電圧線VGRRに接続する。
これにより、半導体メモリMEMの動作テスト(SHIP=L)の読み出し動作時に、共通の高電圧VGRがリアルワード線WLおよびリファレンスワード線RWLに読み出し電圧として供給される。動作テスト以降(SHIP=H)の読み出し動作時に、高電圧VGRがリアルワード線WLに読み出し電圧として供給され、高電圧VGR1がリファレンスワード線RWLの電圧VGRRとして供給される。
図15は、図13に示した読み出し動作用のリファレンスセルアレイ40Bの要部の例を示している。リファレンスセルアレイ40Bは、図5および図6の構成からnMOSトランジスタNM1、NM2およびインバータIVを削除して形成される。すなわち、リファレンスセルアレイ40Bでは、リファレンスメモリセルRMCの1つがリファレンスビット線RBLおよびリファレンスソース線RSLに接続されている。例えば、リファレンスソース線RSLは、図7に示したリファレンスソース線RSLの拡散抵抗である抵抗RL、RHを介して接地線GNDに直接接続されている。なお、図12で説明したように、抵抗RL、RHを互いに等しくする工夫をしてもよい。
この実施形態では、動作テストの読み出し動作では、リファレンスセルトランジスタRCTの制御ゲート(すなわち、リファレンスワード線RWL)に電圧VGRと同じ値の電圧VGRRが与えられる。動作テスト以降の読み出し動作では、リファレンスセルトランジスタRCTの制御ゲートに電圧VGRより低い電圧VGRR(図14のVGR1)が与えられる。これにより、動作テスト以降の読み出し動作時にリファレンスセルトランジスタRCTに流れるリファレンス電流IRの値は、動作テストの読み出し動作時にリファレンスセルトランジスタRCTに流れるリファレンス電流IRの値より小さくなる。したがって、上述した実施形態と同様に、動作テスト以降の読み出し動作時の読み出しマージンを大きくできる。この結果、半導体メモリMEMの長期間の使用により、リアルセルトランジスタCTの電流能力が低下した場合にも、読み出しマージンを確保でき、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、リファレンスワード線RWLに供給される電圧VGRRは、設定信号SHIPのレベルに応じて、リアルワード線WLに供給される電圧VGRに設定され、あるいは電圧VGRより低い電圧VGR1に設定される。例えば、設定信号SHIPは、動作テスト時にロウレベルに設定され、動作テスト後にハイレベルに設定される。これにより、上述した実施形態と同様に、回路規模の増加を抑制して、リアルメモリセルの電気的特性が劣化した場合にも、読み出しマージンを確保でき、半導体メモリMEMの信頼性を確保できる。
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
データが書き込まれる不揮発性のリアルメモリセルと、
前記リアルメモリセルからデータを読み出す読み出し動作時にリファレンス電流を発生するリファレンスメモリセルと、
前記リファレンスメモリセルと電源線との間に直列に配置される第1負荷および第1スイッチと、前記リファレンスメモリセルと前記電源線との間に直列に配置される第2負荷および第2スイッチとを有し、前記第1スイッチは設定信号が第1レベルのときにオンし、前記第2スイッチは前記設定信号が第2レベルのときにオンし、前記第1負荷と前記第2負荷との負荷量が互いに異なる負荷制御回路と、
前記読み出し動作時に、前記リアルメモリセルに流れるセル電流と前記リファレンス電流とを比較するセンスアンプと
を備えていることを特徴とする半導体メモリ。
(付記2)
前記リファレンスメモリセルに接続され、互いに分岐された第1分岐線および第2分岐線を有するリファレンスソース線を備え、
前記第1負荷は、前記第1分岐線の抵抗を含んで形成され、
前記第2負荷は、前記第2分岐線の抵抗を含んで形成されていること
を特徴とする付記1記載の半導体メモリ。
(付記3)
一方向に配列された複数の第1メモリセルを有し、前記第1メモリセルの1つが前記リファレンスメモリセルとして動作するリファレンスセルアレイを備え、
前記リファレンスソース線の一部は、前記一方向に沿って形成される拡散領域を用いて形成され、
前記第1分岐線は、前記リファレンスメモリセルから前記一方向の一端に延びる前記拡散領域により形成された前記リファレンスソース線の一部を含み、
前記第2分岐線は、前記リファレンスメモリセルから前記一方向の他端に延びる前記拡散領域により形成された前記リファレンスソース線の別の一部を含み、
前記リファレンスソース線の前記一部の長さと、前記ソース線の前記別の一部の長さとが相違すること
を特徴とする付記2記載の半導体メモリ。
(付記4)
前記リファレンスセルアレイにおける前記一方向の両端にそれぞれ配置され、前記拡散領域に接続される第1グローバルリファレンスソース線および第2グローバルリファレンスソース線を備え、
前記第1スイッチは、前記リファレンスセルアレイの外側で前記第1グローバルリファレンスソース線に接続され、
前記第2スイッチは、前記リファレンスセルアレイの外側で前記第2グローバルリファレンスソース線に接続されていること
を特徴とする付記3記載の半導体メモリ。
(付記5)
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、トランジスタでそれぞれ形成され、
前記第1負荷および前記第2負荷の各々は、前記各トランジスタのドレイン、ソース間抵抗を含んで形成されていること
を特徴とする付記1ないし付記4のいずれか1項記載の半導体メモリ。
(付記6)
データが書き込まれる不揮発性のリアルメモリセルと、
前記リアルメモリセルからデータを読み出す読み出し動作時にリファレンス電流を発生するリファレンスメモリセルと、
前記リアルメモリセルに接続され、前記読み出し動作時に第1電圧が供給されるリアルワード線と、
前記リファレンスメモリセルに接続され、前記読み出し動作時に第2電圧が供給されるリファレンスワード線と、
設定信号が第1レベルのときに前記リファレンスワード線に前記第1電圧と同じ値の前記第2電圧を供給し、前記設定信号が第2レベルのときに前記リファレンスワード線に前記第1電圧より低い前記第2電圧を供給するワード制御回路と、
前記読み出し動作時に、前記リアルメモリセルに流れる電流と前記リファレンス電流とを比較するセンスアンプと
を備えていることを特徴とする半導体メモリ。
(付記7)
プログラムされた状態に応じて、前記第1レベルまたは前記第2レベルを有する前記設定信号を出力するプログラム回路を備えていること
を特徴とする付記1ないし付記6のいずれか1項記載の半導体メモリ。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。