JP5909858B2 - 圧電型発電機及びセンサーノード - Google Patents

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本発明は、圧電型発電機とその製造方法、及びセンサーノードに関する。
片持ち梁状の圧電変換部を備え、圧電変換部が振動することで圧電効果により電気エネルギーを発生する圧電型発電機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の圧電型発電機は、圧電変換部(第1電極、圧電薄膜、及び第2電極)の下側に、圧電変換部と一緒に変形する変形部と変形部を支持する支持部とを有する支持部材を備えている。このような圧電型発電機は、シリコン基板上に犠牲層、支持層、2層の電極層、圧電体層等の各層をスパッタリング法や化学気相蒸着法等の低圧成膜法により成膜し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターニングして製造される。
また、通信機能を有するセンサーネットワーク端末(以下では、センサーノードと呼ぶ)を様々な場所に多数設置してネットワークを形成し、センサーノードが取得したデータの収集を行うセンサーネットワークが提案されている。センサーノードは、センサーと回路と通信システムと電源とを備えるが、小型、薄型で様々な場所に設置し易いこと、効率よく発電し長期間稼動できること、低価格で提供できること、等が求められる。このようなセンサーノードの電源として、上述の圧電型発電機を用いることが検討されている。
特開平11−18445号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧電型発電機では、圧電変換部の下側に支持部材が介在し支持部材の変形部が圧電変換部と一緒に振動する構成を有しているため、薄型化しにくいという課題があった。また、圧電型発電機の製造工程において高価な真空(低圧)成膜装置を必要とするとともにフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いる複雑な工程を含んでいるため、低コスト化が困難であるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る圧電型発電機は、基体と、前記基体上に配置され、振動によるエネルギーを電気エネルギーに変換する圧電変換部と、前記圧電変換部上に配置された第1の錘と、を備え、前記圧電変換部は、前記基体に固定された支持部と、前記基体から離間され、かつ、一端が前記支持部に接続され他端が自由端とされて外部より加わる振動により振動する振動部と、を含み、前記振動部の前記他端と前記基体との距離は、前記振動部の前記一端と前記基体との距離よりも大きいことを特徴とする。
この構成によれば、支持部の下面は基体により拘束され、支持部の上面は第1の錘により拘束されるので、振動部の振動が支持部に漏れにくい。このため振動部の振動は減衰しにくくなる。また、圧電変換部の一部をボルト締めで基体に拘束する場合に比べて、複雑な加工が不要となるため、圧電型発電機を低コスト化かつ薄型化できる。また、基体に対して振動部の一端側よりも他端側の方が離れているため、基体との距離が一端側と他端側とで同じ場合に比べて、外部振動により誘起される振動部の振幅を大きくできる。これにより圧電変換部に生じる歪量が大きくなるので、圧電型発電機が発生する電気エネルギーがより大きくなる。この結果、低コスト、薄型で効率よく発電する圧電型発電機を提供できる。
[適用例2]上記適用例に係る圧電型発電機であって、前記圧電変換部は、前記基体上に配置された第1の電極と、前記第1の電極上に配置された圧電体と、前記圧電体上に配置された第2の電極と、を備え、前記圧電型発電機は、前記第2の電極上に第2の錘をさらに備え、前記振動部の質量をW1、前記第1の錘の質量をWM、前記第2の錘の質量をW、前記一端から前記第2の錘の重心までの距離をL2、前記一端から前記第1の錘の重心までの距離をL1、前記一端から前記振動部の重心までの距離をB1、重力加速度をG、外部より加わる振動の加速度をGA、としたとき、以下の式
を満たすことが好ましい(図6(B)参照)。
この構成によれば、振動部と支持部との境を支点とした振動部側のモーメント(G+GA)×(W1×B1+W×L2)よりも、支持部側のモーメントG×WM×L1が大きくなるので、振動部側のモーメントは打ち消される。これにより、外部より加わる振動によって、振動部に振動が誘起されたときでも、支持部の変形は抑制されるため、振動部の振動は減衰しにくくなる。
[適用例3]上記適用例に係る圧電型発電機であって、前記圧電変換部は、前記基体上に配置された第1の電極と、前記第1の電極上に配置された圧電体と、前記圧電体上に配置された第2の電極と、を備え、前記第1の電極の熱収縮率は、前記圧電体の熱収縮率よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、圧電体の基体側に位置する第1の電極の熱収縮率が圧電体の熱収縮率よりも小さいので、焼成により圧電体は第1の電極よりも大きく収縮する。そのため、焼成後の圧電変換部において、振動部の自由端である他端側が一端側よりも基体とは反対側に反るので、振動部の他端と基体との距離を振動部の一端と基体との距離よりも大きくできる。
[適用例4]上記適用例に係る圧電型発電機であって、前記圧電変換部は、前記基体上に配置された第1の電極と、前記第1の電極上に配置された圧電体と、前記圧電体上に配置された第2の電極と、を備え、前記第2の電極の熱収縮率は、前記圧電体の熱収縮率よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、圧電体の基体とは反対側に位置する第2の電極の熱収縮率が圧電体の熱収縮率よりも大きいので、焼成により第2の電極は圧電体よりも大きく収縮する。そのため、焼成後の圧電変換部において、振動部の自由端である他端側が一端側よりも基体とは反対側に反るので、振動部の他端と基体との距離を振動部の一端と基体との距離よりも大きくできる。
[適用例5]上記適用例に係る圧電型発電機であって、前記第2の錘は、前記振動部の前記他端側に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、外部振動により誘起される振動部の振動が第2の錘により促進されるので、振動部の振幅をさらに大きくできる。また、第2の錘の量を調整することにより、圧電型発電機の固有周波数を調整して外部振動に対して共振し易くすることができる。これにより、圧電型発電機から出力される電流又は電圧が大きくなるので、より効率よく発電する圧電型発電機を提供できる。
[適用例6]本適用例に係る圧電型発電機の製造方法は、基体層を用意する工程と、前記基体層上の一部の領域に、熱分解する材料を含むペーストを印刷法により配置して犠牲層を形成する工程と、前記基体層上と前記犠牲層上とに跨るように、第1の電極層を印刷法により配置する工程と、前記第1の電極層上に、圧電体粒子を含むペースト状の圧電体層を印刷法により配置する工程と、前記圧電体層上に第2の電極層を印刷法により配置する工程と、前記圧電体層上と前記第2の電極層上とに跨るように、第1の錘層を印刷法により配置する工程と、前記基体層、前記犠牲層、前記第1の電極層、前記圧電体層、前記第2の電極層、及び前記第1の錘層を焼成する焼成工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、犠牲層、第1の電極層、圧電体層、第2の電極層、及び第1の錘層の各層を印刷法により配置するので、高価な真空(低圧)成膜装置を必要としない。そして、これらの層を焼成することにより、犠牲層が熱分解して除去され、第1の電極、圧電体、及び第2の電極で構成される圧電変換部が片持ち梁状に形成されるので、パターニングや犠牲層除去のためのフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いる複雑な工程を不要にできる。これらの結果、圧電型発電機の製造工数及び製造コストを低減できる。なお、ここでいう印刷法とは、スクリーン印刷法や、インクジェット法等の液滴吐出法を含む。
[適用例7]上記適用例に係る圧電型発電機の製造方法であって、前記基体層を用意する工程では、前記基体層として、前記圧電体層と同じ成分を含む未焼成のセラミックスをフィルム上に配置したセラミックスシートを用意し、前記焼成工程の前に、前記基体層、前記犠牲層、前記第1の電極層、前記圧電体層、前記第2の電極層、及び前記第1の錘層に等方加圧処理を行う工程をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、基体層として未焼成のセラミックスシートを用いるので、焼成時に基体を任意の形状に形成することが可能となる。そして、等方加圧処理を行う工程では、基体層が既に焼成されている場合に比べて、基体層と接触する部分に対する面方向の拘束が少ないので、等方加圧処理を効率よく行うことができる。これにより、圧電体層における圧電粒子の密度がより高められるので、圧電特性をより高めることができる。また、基体層が圧電体層と同じ成分を含むので、基体層と圧電体層との成分が異なる場合に比べて、焼成時における両者の収縮率の差が小さくなるとともに基体層から圧電体層への不純物の拡散が少なくなる。これにより、収縮率の差が大きいことによる基体層や圧電体層におけるクラックや残留応力の発生、及び不純物の拡散による圧電体層における圧電特性の劣化が抑えられる。
[適用例8]本適用例に係るセンサーノードは、センサーと、前記センサーが取得したデータを処理する回路と、前記センサーが取得したデータを通信する通信システムと、前記センサー、前記通信システム、及び前記回路を駆動する電源と、を備えたセンサーノードであって、上記のいずれか一項に記載の圧電型発電機、前記センサー及び前記電源として有していることを特徴とする。
この構成によれば、外部振動により効率よく発電する圧電型発電機を電源として備えているので、センサーノードの電源交換を不要にできる。また、低コストで製造できる圧電型発電機が電源だけでなくセンサーとしても機能するので、低価格なセンサーノードを提供できる。さらに、圧電型発電機の基体を任意の形状にできるので、基体がシリコン基板等で構成されている場合に比べて、設置の自由度を向上できる。
第1の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成を示す模式図。 第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法を示す概略断面図。 第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法を示す概略断面図。 第1の実施形態に係るセンサーノードの概略構成を示す模式図。 第2の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成を示す模式図。 変形例に係る圧電型発電機の概略構成を示す図。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
(第1の実施形態)
<圧電型発電機の構成>
まず、第1の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成を示す模式図である。詳しくは、図1(A)は圧電型発電機の概略平面図であり、図1(B)は図1(A)におけるA−A線に沿った概略断面図である。
第1の実施形態に係る圧電型発電機1は、図1(A)、(B)に示すように、基体20と、基体20上に順に積層配置された第1の電極21、圧電体22、及び第2の電極23を含む圧電変換部24と、第1の錘40と、を備えている。基体20は、圧電体22と同じ成分を含むセラミックス材料で構成されている。本実施形態では、基体20は、圧電体22と同じ構成材料からなる。基体20の厚さは、例えば、0.01mm〜1mm程度である。
圧電変換部24は、支持部30と振動部32とを有している。支持部30は、圧電変換部24のうち基体20に固定された部分である。振動部32は、圧電変換部24のうち基体20から上方に離間された梁状の部分である。振動部32は、一端32aが支持部30に接続されており、支持部30とは反対側の他端32bを自由端として、外部より加わる振動により振動する。分極処理された圧電材料に歪を加えると、歪を打ち消す方向に圧電材料中に電荷が発生する。図1(B)において、矢印は分極方向であり、電荷(+、−)は振動部32が下方(基体20側)に振れたときに生じる電荷を示している。圧電変換部24は、振動部32が振動することで屈曲して歪が生じ、圧電効果により電気エネルギーを発生する。
振動部32の他端32bと基体20との距離G2は、一端32aと基体20との距離G1よりも大きい(図1(B)参照)。換言すれば、振動部32は、他端32b側が上方(基体20とは反対側)に反った形状を有している。そのため、基体20との距離が一端32aと他端32bとで同じ場合に比べて、外部振動により誘起される振動部32の振幅を大きくできるので、圧電変換部24に生じる歪量が大きくなる。これにより、圧電変換部24が発生する電気エネルギーをより大きくすることができる。
第1の電極21は、圧電変換部24のうち最も基体20側に配置されている。第1の電極21は、例えば、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との合金からなる。第1の電極21の層厚は、例えば、1μm〜5μm程度である。
圧電体22は、第1の電極21上に配置されている。圧電体22は、下層の第1の電極21に配線を接続するための領域が露出するように、例えば、支持部30の一辺側が第1の電極21よりも小さく形成されている。圧電体22は、2層の圧電体層が積層され形成されている(図3(E)参照)。圧電体22は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3:PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、Pb(Mg、Nb)O3−PbTiO3、Pb(Zn、Nb)O3−PbTiO3等の圧電材料で構成されている。圧電体22の層厚は、例えば、3μm〜40μm程度である。
第2の電極23は、圧電体22上に配置されている。第2の電極23は、圧電体22を間に挟んで下層の第1の電極21との接触やリークが発生しないように、圧電体22よりも一回り小さく形成されている。第2の電極23は、例えば、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との合金からなる。第2の電極23の層厚は、例えば、1μm〜5μm程度である。
第1の錘40は、一端32aから支持部側に形成され、第2の電極23に配線を接続するための領域が露出するように、支持部30に含まれる圧電体22上の一部の領域と支持部30に含まれる第2の電極23上の一部の領域に跨って配置されている。第1の錘40は、圧電体22と同じ成分を含むセラミックスで構成されている。第1の錘40は、式(1)を簡単化した式(2)を満たすように、形成領域と層厚を決定する(図4(E)参照)。
このとき、振動部32の質量をW1、第1の錘40の質量をWM、一端32aから第1の錘40の重心までの距離をL1、一端32aから振動部32の重心までの距離をB1、重力加速度をG、外部より加わる振動の加速度をGA、とする。
このようにすることで、支持部30の下面は基体20により拘束され、支持部30の上面は第1の錘40により拘束されるので、支持部30の変形は抑制される。また、振動部32と支持部30との境を支点とした振動部32側のモーメント(G+GA)×(W1×B1)よりも、支持部30側のモーメントG×WM×L1が大きくなるので、振動部32側のモーメントは打ち消される。これにより、外部より加わる振動により、振動部32に振動が誘起されたときでも、支持部30の変形は抑制されるため、振動部32の振動は減衰しにくくなる。これにより、圧電変換部24が発生する電気エネルギーを大きくすることができる。
なお、図1(B)では、第1の電極21の厚さが支持部30と振動部32とで異なるように示されているが、このような形態に限定されない。第1の電極21の厚さが支持部30と振動部32とで略同一であり、圧電変換部24全体が一端32aで上方に屈曲して梁状の振動部32が形成されていてもよい。
<圧電型発電機の製造方法>
次に、第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法について、図2、図3、及び図4を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法を示すフローチャートである。図3及び図4は、第1の実施形態に係る圧電型発電機の製造方法を示す概略断面図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る圧電型発電機1の製造方法は、基体層10を用意する工程(ステップS1)と、犠牲層16を形成する工程(ステップS2)と、第1の電極層11を配置する工程(ステップS3)と、圧電体層12を配置する工程(ステップS4)と、第2の電極層13を配置する工程(ステップS5)と、第1の錘層17を配置する工程(ステップS6)と、等方加圧処理を行う工程(ステップS7)と、焼成工程(ステップS8)と、を備えている。
ステップS1では、図3(A)に示すように、基体層10を用意する。基体層10の材料として、例えば、エタノール、ブタノール、トルエン、ターピネオール等の溶媒と、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の結合剤と、ポリカルボン酸系分散剤等の分散剤と、アジピン酸ジオクチル等の可塑剤とに、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3:PZT)等の圧電材料の粉末を加えた混合溶液を作る。この混合溶液を遊星ボールミル等を用いて混合し解砕を行うことにより、圧電材料が良好に分散されたスラリー(ペースト)を作成する。このスラリーをフィルム15上に塗布して乾燥させることにより、フィルム15上に未焼成の基体層10が配置されたセラミックスシートが得られる。基体層10の厚さは、例えば、0.01mm〜1mm程度とするが、必要に応じて、複数の層を積層して基体層10を形成してもよい。
ステップS2では、図3(B)に示すように、基体層10上の一部の領域に犠牲層16を形成する。犠牲層16の材料として、例えば、エチルセルロース等の結合剤を、ターピネオール等の溶媒に溶解し、カーボン等の熱分解する材料の粒子を加えた混合溶液を作る。この混合溶液を三本ロールミル等を用いて分散し混練して、熱分解する材料を含むペーストを作成する。このペーストを、例えばスクリーン印刷等の印刷法により、基体層10上に配置して乾燥させることにより、犠牲層16が得られる。犠牲層16の厚さは、例えば、2μm〜20μm程度とする。
ステップS3では、図3(C)に示すように、基体層10上と犠牲層16上とに跨るように、第1の電極層11を配置する。第1の電極層11の材料として、例えば、銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを重量比で7:3から8:2程度含む電極ペーストを用い、必要に応じて、例えばターピネオール等の溶媒で粘度を調整する。この電極ペーストを、例えばスクリーン印刷等の印刷法により、基体層10上と犠牲層16上とに配置して乾燥させることにより、第1の電極層11が得られる。第1の電極層11の層厚は、焼成後の第1の電極21の層厚が、例えば1μm〜5μm程度となるように適宜調整する。
なお、図3(C)では、第1の電極層11の厚さが基体層10上と犠牲層16上とで異なるように示されているが、第1の電極層11の厚さが基体層10上と犠牲層16上とで略同一となっていてもよい。
ステップS4では、図3(D)、(E)に示すように、第1の電極層11上に圧電体層12を配置する。本実施形態では、圧電体層12の材料として、基体層10と同じ材料からなるスラリーを用いる。このスラリーを、例えばスクリーン印刷等の印刷法により、第1の電極層11上に配置して乾燥させる。本実施形態では、まず、図3(D)に示すように、第1の電極層11上に圧電体層12aを配置し乾燥させる。そして、図3(E)に示すように、圧電体層12a上に圧電体層12bを配置し乾燥させる。これにより、圧電体層12a,12bが積層された圧電体層12が得られる。ここでは、焼成後の圧電体22の層厚が、例えば3μm〜40μm程度となるように圧電体層12a及び圧電体層12bの層厚を適宜調整する。圧電体層12は、一辺部において下層の第1の電極層11が露出するように配置する。
なお、ステップS4において、圧電体層12を圧電体層12aの1層で構成してもよい。しかしながら、圧電体層12を上述のように2層で構成すると、圧電体層12が1層である場合に比べて所望の層厚が得易くなるとともに層厚をより均一にできる。これにより、圧電体層12の層厚のばらつきに起因する破損や焼成後の第1の電極21と第2の電極23間のリークが抑えられる。圧電体層12は、圧電体層12a,12b上にさらに圧電体層を積層して3層以上で構成してもよい。
ステップS5では、図4(A)に示すように、圧電体層12上に第2の電極層13を配置する。第2の電極層13は、第1の電極層11と同じ材料を用いて、例えばスクリーン印刷等の印刷法により、圧電体層12上に配置して乾燥させる。第2の電極層13は、例えば3つの辺部において圧電体層12よりも一回り小さく配置する。第1の電極層11、圧電体層12、及び第2の電極層13で圧電変換層14が構成される。
ここで、圧電変換層14を構成する第1の電極層11、圧電体層12、及び第2の電極層13は、後述するステップS7の焼成工程においてそれぞれ焼成により収縮する。この焼成の結果得られる圧電変換部24の振動部32を、図1(B)に示すように、他端32b側が上方に反った形状とするためには、第1の電極層11の熱収縮率は圧電体層12の熱収縮率よりも小さいことが好ましく、第2の電極層13の熱収縮率は圧電体層12の熱収縮率よりも大きいことが好ましい。圧電変換層14の各層の熱収縮率は、各層の材料に添加するポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、水溶性ポリウレタン、メチルセルロース等の樹脂材料の量により調整することが可能である。すなわち、樹脂材料の添加量を多くするほど熱収縮率を大きくすることができる。したがって、第1の電極層11、圧電体層12、及び第2の電極層13の各層に添加する上述の樹脂材料の量を適宜調整して熱収縮率を調整することにより、図1(B)に示すような形状を有する振動部32(圧電変換部24)が得られる。
ステップS6では、図4(B)に示すように、圧電変換層14上の一部の領域に第1の錘層17を配置する。第1の錘層17は、圧電体層12と同じ材料を用いて、例えばスクリーン印刷等の印刷法により、圧電体層12上の一部の領域及び第2の電極層13上の一部の領域に跨って配置して乾燥させる。第1の錘層17は、例えば犠牲層16と第1の電極層11との境16aから犠牲層16とは逆側に第2の電極層13に配線を接続するための領域が露出するように配置する。
なお、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5、及びステップS6の各工程において各層を配置する印刷法は、スクリーン印刷法に限定されない。印刷法としては、所定の外形(パターン形状)及び層厚が得られる印刷方法であれば、インクジェット法やディスペンサー法等の液滴吐出法や他の印刷法を適用してもよい。
次に、ステップS7では、図4(C)に示すように、基体層10上に配置された犠牲層16、圧電変換層14、及び第1の錘層17に等方加圧処理として、例えば、冷間等方加圧処理(Cold Isostatic Pressing:CIP)を行う。等方加圧処理を行うことにより、圧電体層12において圧電材料の粒子の密度が高められる。なお、ステップS7の等方加圧処理の前に、フィルム15を剥離する。
ステップS7において、仮に、基体層10が既に焼成されたセラミックスである場合、基体層10上に配置された犠牲層16及び第1の電極層11は、基体層10に接する面が拘束されるため、面方向における等方加圧が行われにくくなる。これに対して、本実施形態では、基体層10が未焼成であり柔軟性を有しているため、基体層10に接する面に対する拘束が少なくなるので、等方加圧処理を効率よく行うことができる。これにより、圧電体層12における圧電粒子の密度がより高められるので、圧電体22の圧電特性をより高めることができる。
なお、等方加圧処理として、温間等方加圧処理(Warm Isostatic Pressing:WIP)を適用してもよい。温間等方加圧処理を行うと。圧電体層12と第1の電極層11及び第2の電極層13との密着性が高められる。
ステップS8は、基体層10、犠牲層16、圧電変換層14、及び第1の錘層17を焼成する焼成工程である。ステップS8では、例えば、大気中で1200℃以下の温度で焼成を行うことにより、図4(D)に示すように、犠牲層16の材料が熱分解して除去される。また、基体層10、圧電変換層14、及び第1の錘層17の各層が焼成されて、基体20上に、第1の電極21、圧電体22、第2の電極23、及び第1の錘40で構成され、支持部30と梁状の振動部32とを有する圧電変換部24が形成される。
ステップS8において、基体層10として未焼成のセラミックスシートを用いているので、基体層10を、例えば湾曲した形状等任意の形状にして焼成することが可能となる。また、基体層10と圧電体層12と第1の錘層17とが同じ成分を含んでいるので、基体層10と圧電体層12と第1の錘層17の成分が異なる場合に比べて、焼成時における各層の収縮率の差が小さくなるとともに基体層10、第1の錘層17から圧電体層12への不純物の拡散が少なくなる。これにより、焼成工程において、収縮率の差が大きいことによる基体20や圧電体22や第1の錘40におけるクラックや残留応力の発生、及び不純物の拡散による圧電体22の圧電特性の劣化が抑えられる。
以上のステップS1〜ステップS8の工程により、図1(A)、(B)に示す圧電型発電機1が形成される。
<センサーノードの構成>
次に、第1の実施形態に係るセンサーノードの概略構成について、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係るセンサーノードの概略構成を示す模式図である。
図5に示すように、第1の実施形態に係るセンサーノード100は、基体101上に配置された圧電型発電機1と、回路4と、通信システム5とを備えている。センサーノード100は、センサーネットワーク(図示省略)の端末として使用される。センサーネットワークは、様々な場所に設置されたセンサーノード同士を結ぶネットワークであり、センサーノードにより取得された環境情報等のデータを収集し、例えば、これらのデータをもとに特定範囲の状況を総合的に判断すること等を可能とする。センサーノードは、メインテナンスが困難な場所にも設置されるため、効率よく発電し長期間稼動できること、電池交換を必要としないメインテナンスフリーの電源を有していることが求められる。また、センサーノードは、様々な場所に多数設置されるため、小型、薄型で低価格であることも求められる。
センサーノード100では、圧電型発電機1が回路4や通信システム5を駆動する電源として機能する。圧電型発電機1は、圧電変換部24の圧電効果により電気エネルギーを効率よく発生するので、交換を必要としないメインテナンスフリーの電源として好適に用いることができる。また、圧電型発電機1は、振動部32を有する圧電変換部24の圧電効果により振動や衝撃を感知するセンサーとしても機能するので、別途センサーを必要としない。
回路4は、圧電型発電機1がセンサーとして取得したデータについて、例えば基準値と比較する等の処理を行う。通信システム5は、圧電型発電機1がセンサーとして取得したデータをネットワークに送信する等の通信を行う。基体101は、例えば、基板やフィルム等、センサーノード100が設置される場所に応じて選択された材料で構成される。
第1の実施形態に係るセンサーノード100は、低コストで製造できるとともにセンサーを兼ねる圧電型発電機1を備えているので、小型で低価格なセンサーノード100を提供できる。また、圧電型発電機1の基体20を任意の形状にできるので、基体20がシリコン基板等で構成されている場合に比べて、センサーノード100の設置の自由度を向上できる。
なお、圧電型発電機1は、圧電変換部24上に、振動及び衝撃以外の環境変化、例えば、温度や湿度等の変化に伴って収縮する材料で構成された層を設けることにより、温度や湿度を感知するセンサー等として用いることも可能である。このような構成とすることにより、様々な環境情報のデータ取得に対応するセンサーノード100を提供できる。
以上、第1の実施形態に係る圧電型発電機1の構成、及び製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)支持部30と振動部32とを有する圧電変換部24と基体20との間に他の層が介在しないので、圧電型発電機1を薄型化できる。また、振動部32の他端32b側が上方に反っているため、外部振動により誘起される振動部32の振幅を大きくできる。これにより圧電変換部24に生じる歪量が大きくなるので、圧電型発電機1が発生する電気エネルギーが大きくなる。この結果、薄型で効率よく発電する圧電型発電機1を提供できる。
(2)製造工程において犠牲層16及び圧電変換層14を印刷法により配置するので、高価な真空(低圧)成膜装置を必要としない。そして、配置したこれらの層を焼成することにより犠牲層16が熱分解して除去され、圧電変換部24を片持ち梁状に形成できるので、圧電変換部24のパターニングや犠牲層16除去のためのフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を用いる複雑な工程を不要にできる。これらの結果、圧電型発電機1の製造工数及び製造コストを低減できる。
(3)圧電体22は圧電体層12a,12bの2層を積層して形成されているので、所望の層厚が得易くなるとともに層厚をより均一にできる。これにより、圧電体22の層厚のばらつきに起因する破損や第1の電極21及び第2の電極23間のリークが抑えられる。
(4)基体層10として未焼成のセラミックスシートを用いるため、基体20の形状を任意の形状とすることが可能となるので、設置の自由度を向上できる。そして、等方加圧処理を行う工程では、基体層10と接触する部分に対する面方向の拘束が少ないので、等方加圧処理を効率よく行うことができる。これにより、圧電体22における圧電粒子の密度がより高められるので、圧電特性をより高めることができる。
(5)基体層10が圧電体層12と同じ成分を含むので、焼成時における両者の収縮率の差が小さくなるとともに基体層10から圧電体層12への不純物の拡散が少なくなる。これにより、収縮率の差が大きいことによる基体20や圧電体22におけるクラックや残留応力の発生、及び不純物の拡散による圧電体22の圧電特性の劣化が抑えられる。また、基体層10は柔軟性を有しているため焼成後の基体20を任意の形状とすることが可能となる。
(6)第1の電極層11の熱収縮率が圧電体層12の熱収縮率よりも小さいので、焼成により上方に位置する圧電体層12は第1の電極層11よりも大きく収縮する。そのため、焼成後の圧電変換部24において、振動部32の他端32b側が上方に反るので、振動部32の他端32bと基体20との距離を振動部32の一端32aと基体20との距離よりも大きくできる。
(7)第2の電極層13の熱収縮率が圧電体層12の熱収縮率よりも大きいので、焼成により上方に位置する第2の電極層13は圧電体層12よりも大きく収縮する。そのため、焼成後の圧電変換部24において、振動部32の他端32b側が上方に反るので、振動部32の他端32bと基体20との距離を振動部32の一端32aと基体20との距離よりも大きくできる。
(8)支持部30上の一部の領域に第1の錘40が形成されているので、振動部32が振動したときでも、支持部30は変形が抑制され、振動部32の振動が支持部30に漏れにくくなっている。そのため、振動部32の振動は減衰しにくい。
(9)外部振動により効率よく発電する圧電型発電機1を電源として備えているので、センサーノード100の電源交換を不要にできる。また、低コストで製造できる圧電型発電機1が電源だけでなくセンサーとしても機能するので、低価格なセンサーノード100を提供できる。さらに、圧電型発電機1の基体20を任意の形状にできるので、基体20がシリコン基板等で構成されている場合に比べて、設置の自由度を向上できる。
(第2の実施形態)
<圧電型発電機の構成>
次に、第2の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成について、図6を参照して説明する。図6は、第2の実施形態に係る圧電型発電機の概略構成を示す模式図である。詳しくは、図6(A)は圧電型発電機の概略平面図であり、図6(B)は図6(A)におけるA−A線に沿った概略断面図である。
第2の実施形態に係る圧電型発電機2は、第1の実施形態に係る圧電型発電機1に対して、振動部32上に第2の錘41を備えている点が異なっているが、その他の構成は略同じである。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第2の実施形態に係る圧電型発電機2は、図6(A)、(B)に示すように、基体20と、基体20上に配置された圧電変換部24と、支持部30上の一部の領域に配置された第1の錘40と、圧電変換部24上に配置された第2の錘41とを備えている。第2の錘41は、圧電変換部24の振動部32の他端32b側に設けられている。第2の錘41は、例えば、ドット状の塊を積み重ねたように形成されている。したがって、第2の錘41の形状は、図6(A)、(B)では平面視矩形状で平坦な表面を有しているが、このような形状に限定されるものではない。
振動部32(圧電変換部24)上に第2の錘41を備えることで、外部振動により誘起される振動部32の振動が第2の錘41により促進されるので、振動部32の振幅をさらに大きくできる。その結果、第2の錘41を備えていない場合に比べて、圧電変換部24が発生する電気エネルギーをより大きくすることができるので、圧電型発電機2から出力される電流又は電圧をより大きくすることができる。
また、振動部32上に第2の錘41を備えることで、圧電型発電機2の固有周波数は低くなる。そして、第2の錘41の量を調整することで、圧電型発電機2の固有周波数を調整することができる。外部振動の周波数と圧電型発電機2の固有周波数とが等しいときに圧電型発電機2の出力が最大になるので、圧電型発電機2の固有周波数を適宜調整して外部振動に対して共振し易くすることにより、圧電型発電機2から出力される電流又は電圧を最大に近付けることができる。
なお、圧電型発電機2の固有周波数は振動部32の長さや厚さによって変化するので、振動部32の長さを変えたり、振動部32(圧電体22)の厚さを変えたりすることで固有周波数を調整することが可能である。しかしながら、圧電型発電機2のように第2の錘41の量で調整すれば、振動部32の寸法設定を変更することなく容易に固有周波数を調整することができるので、外部振動が異なる設置環境等に容易に対応することが可能となる。
第2の錘41は、式(1)を満たすように、形成領域と層厚を決定する。振動部32の質量をW1、第1の錘40の質量をWM、第2の錘41の質量をW、一端32aから第2の錘41の重心までの距離をL2、一端32aから第1の錘40の重心までの距離をL1、一端32aから振動部32の重心までの距離をB1、重力加速度をG、外部より加わる振動の加速度をGA、としたとき、振動部32と支持部30との境を支点とした振動部32側のモーメント(G+GA)×(W1×B1+W×L2)よりも、支持部30側のモーメントG×WM×L1が大きくなるので、振動部32側のモーメントは打ち消される。これにより、外部より加わる振動により、振動部32に振動が誘起されたときでも、支持部30の変形は抑制されるため、振動部32の振動は減衰しにくくなる。これにより、圧電変換部24が発生する電気エネルギーを大きくすることができる。
第2の実施形態に係る圧電型発電機2の製造方法は、第1の実施形態に係る圧電型発電機1の製造方法に対して、ステップS8の焼成工程の後に第2の錘41を形成する工程をさらに備えている点が異なっている。第2の錘41の材料としては、例えば、光硬化性樹脂等の有機物、Si、SiO2、ZrO2等の無機物、Au、Ag、Cu等の金属、レジスト等のいずれかを用いることができる。
第2の錘41を形成する方法は、例えば、インクジェット法やディスペンサー法等を用いて、圧電変換部24上に第2の錘41の材料からなるドット状の塊を複数配置する。これにより第2の錘41が形成され、このドット状の塊の数(量)により第2の錘41の量を調整することができる。第2の錘41を配置する場所は振動部32の振幅が最大になる場所とすることが好ましい。第2の錘41をインクジェット法やディスペンサー法等により直接形成することで、複雑な製造工程を必要としないので生産性が向上する。
第2の実施形態に係る圧電型発電機2は、第1の実施形態に係るセンサーノード100のセンサー及び電源として用いることができる。センサーノード100が圧電型発電機2を備えることで、電源としての圧電型発電機2から供給される電流又は電圧をより大きくすることができる。また、圧電型発電機2の固有周波数を容易に調整することができるので、センサーノード100の設置環境等に容易に対応することができる。
以上、本発明の圧電型発電機を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
第1の実施形態における圧電型発電機1は、基体20上に、1層の圧電変換部24(第1の電極21、圧電体22、及び第2の電極23)が配置された構成を有していたが、このような構成に限定されない。圧電型発電機は、基体20上に複数の圧電変換部が積層された構成を有していてもよい。
図7は、変形例に係る圧電型発電機の概略構成を示す図である。詳しくは、図7(A)、(B)、(C)は、それぞれ異なる構成の圧電型発電機の概略断面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
(変形例1)
図7(A)に示す圧電型発電機1Aは、圧電変換部24(第1の電極21、圧電体22、及び第2の電極23)の上に、さらに圧電体27と第3の電極28とが積層されている。圧電型発電機1Aでは、第2の電極23、圧電体27、及び第3の電極28により圧電変換部24aが構成される。第2の電極23は、圧電変換部24aにおける電極を兼ねる。したがって、圧電型発電機1Aは、第1の実施形態における圧電型発電機1に対して、圧電変換部24の上に積層された圧電変換部24aを有している点が異なっている。
圧電型発電機1Aでは、基体20上に積層された複数の圧電変換部24,24aのそれぞれから、外部振動により電気エネルギーが得られる。図7(A)に矢印で示すように、圧電変換部24の分極方向と圧電変換部24aの分極方向とが同じであるので、圧電型発電機1Aは、第1の実施形態における圧電型発電機1に対して、出力される電流を増加させることができる。これにより、より効率よく発電する圧電型発電機1Aを提供できる。
(変形例2)
図7(B)に示す圧電型発電機1Bは、変形例1の圧電型発電機1Aと同様に、圧電変換部24の上に圧電変換部24aが積層された構成を有している。ただし、配線の仕方が異なっており、分極方向が圧電変換部24と圧電変換部24aとで互いに対向する方向となっている。このような構成により、圧電型発電機1Bは、圧電型発電機1に対して、出力される電圧を増加させることができる。
(変形例3)
図7(C)に示す圧電型発電機1Cは、圧電変換部24(第1の電極21、圧電体22、及び第2の電極23)の上に絶縁層25が配置され、絶縁層25上にさらに第4の電極26と圧電体27と第3の電極28とが積層されている。第4の電極26、圧電体27、及び第3の電極28で圧電変換部24cが構成される。したがって、圧電型発電機1Cは、圧電型発電機1に対して、圧電変換部24上に絶縁層25を介して圧電変換部24cが積層されている点が異なっている。
圧電型発電機1Cでは、圧電変換部24の分極方向と圧電変換部24cの分極方向とが同じであり、変形例1の圧電型発電機1Aと類似した構成となっている。このような構成により、圧電型発電機1Cは、圧電型発電機1Aと同様に出力される電流を増加させることができる。
圧電型発電機1Aと比較すると、圧電型発電機1Cでは、絶縁層25と第4の電極26との厚さ分だけ振動部32がより厚くなるので、固有周波数は高くなる。つまり、圧電型発電機1Cの構成によれば、絶縁層25の層厚や材質を変えることで、振動部32の圧電型発電機1Cの固有周波数を調整することができる。したがって、振動部32の長さや圧電体22,27等の厚さを変えなくても、圧電型発電機1Cの固有周波数を調整することが可能である。
絶縁層25の材料としては、圧電体22,27の構成材料と同じ材料で分極しないものを用いることが好ましい。絶縁層25の材料として、圧電体22,27の構成材料と異なる材料を用いると、焼成時に絶縁層25の材料の成分が圧電体22,27に拡散して圧電体22,27の圧電特性が劣化するおそれがある。
なお、上述の変形例1,2,3の圧電型発電機1A,1B,1Cが第2の実施形態の第2の錘41を備えた構成としてもよい。圧電型発電機1A,1B,1Cが第2の錘41を備えることで、振動部32の振幅をさらに大きくできるとともに、固有周波数を容易に調整することができる。また、変形例1,2,3の圧電型発電機1A,1B,1Cを第1の実施形態に係るセンサーノード100のセンサー及び電源として用いる構成としてもよい。
1,1A,1B,1C,2…センサー及び電源としての圧電型発電機、4…回路、5…通信システム、10…基体層、11…第1の電極層、12,12a,12b…圧電体層、13…第2の電極層、14…圧電変換層、15…フィルム、16…犠牲層、16a…犠牲層と第1の電極層との境、17…第1の錘層、20…基体、21…第1の電極、22,27…圧電体、23…第2の電極、24,24a,24c…圧電変換部、25…絶縁層、26…第4の電極、27…圧電体、28…第3の電極、30…支持部、32…振動部、32a…一端、32b…他端、40…第1の錘、41…第2の錘、100…センサーノード、101…基体。

Claims (6)

  1. 基体と、
    第1の電極および第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された圧電体を有し、前記基体に配置された圧電変換部と、
    前記圧電変換部に配置された第1の錘と、を備え、
    前記圧電変換部は、
    前記基体に固定された支持部と、
    前記基体から離間され、かつ、一端が前記支持部に接続され他端が自由端とされて外部より加わる振動により振動する振動部と、を含み、
    前記振動部における前記第1の電極の厚さが、前記一端から前記他端に向けて徐々に薄
    くなっており、前記振動部の前記他端と前記基体との距離が、前記振動部の前記一端と前
    記基体との距離よりも大きく、
    前記振動部における前記第1の電極の長さは前記圧電体の長さより長くされ、前記振動部における前記第2の電極の長さは前記圧電体の長さより短くされた、
    ことを特徴とする圧電型発電機。
  2. 請求項1に記載の圧電型発電機であって、
    前記圧電型発電機は、前記第2の電極に配置された第2の錘をさらに備え、
    前記振動部の質量をW1、前記第1の錘の質量をWM、前記第2の錘の質量をW、前記一端から前記第2の錘の重心までの距離をL2、前記一端から前記第1の錘の重心までの距離をL1、前記一端から前記振動部の重心までの距離をB1、重力加速度をG、外部より加わる振動の加速度をGA、としたとき、以下の式
    を満たすことを特徴とする圧電型発電機。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電型発電機であって、
    前記圧電変換部は、前記基体に配置された第1の電極と、前記第1の電極に配置された圧電体と、前記圧電体に配置された第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極の熱収縮率は、前記圧電体の熱収縮率よりも小さいことを特徴とする圧電型発電機。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の圧電型発電機であって、
    前記圧電変換部は、前記基体に配置された第1の電極と、前記第1の電極に配置された圧電体と、前記圧電体に配置された第2の電極と、を備え、
    前記第2の電極の熱収縮率は、前記圧電体の熱収縮率よりも大きいことを特徴とする圧電型発電機。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電型発電機であって、
    前記支持部において、前記第1の電極のうち前記基体に固定された部分とは反対側の部分が露出するように、前記第1の電極及び前記圧電体は少なくとも一部が重ならないように配置されていることを特徴とする圧電型発電機。
  6. センサーと、前記センサーが取得したデータを処理する回路と、前記センサーが取得したデータを通信する通信システムと、前記センサー、前記通信システム、及び前記回路を駆動する電源と、を備えたセンサーノードであって、
    前記電源として、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電型発電機を有していることを特徴とするセンサーノード。
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