以下、図1〜図8を参照して、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の実施形態を説明する。本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図せず、当該構成と均等な構成も含む。
[画像形成装置100の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置1を含む画像形成装置100の模型的正面断面図である。画像形成装置100は、原稿搬送装置2と画像読取部3とを含む画像読取装置1を備える。画像読取部3の前面に操作パネル10が設けられ、画像形成装置100の本体内に、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a及び定着部5b等が設けられる。
操作パネル10は、画像形成装置100の正面上方に設けられる。操作パネル10は、画像形成装置100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部101を備える。液晶表示部101は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを複数表示する。液晶表示部101の上面にタッチパネル部102が設けられる。タッチパネル部102は、液晶表示部101において画像形成装置100の使用者によって押された部分の位置を抽出する。操作パネル10には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するスタートキー103等の各種ハードキーが設けられる。
給紙部4aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路4bに送る。搬送路4bは、給紙部4aから排出トレイ41まで用紙を搬送する通路である。搬送路4bには、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対42及び搬送ローラー対43、レジストローラー対44等が設けられる。レジストローラー対44は、搬送されてくる用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送る。
画像形成部5aは、画像データに基づいてトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。画像形成部5aは、回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55、清掃装置56等を備える。
感光体ドラム51は、画像形成部5aの中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置52は、所定電位に感光体ドラム51を帯電させる。露光装置53は、画像データに基づき、レーザ光を出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。画像データとしては、例えば画像読取部3で得られた画像データ、ネットワーク等により接続される外部のコンピューターから送信された画像データ等が用いられる。
現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して画像を現像する。転写ローラー55は感光体ドラム51に圧接し、第1ニップ部が形成される。用紙が第1ニップ部に進入する時、転写ローラー55には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナーを除去する。
定着部5bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5bは主として発熱体を内蔵する加熱ローラー57と加圧ローラー58とで構成される。加熱ローラー57と加圧ローラー58は圧接し第2ニップ部を形成する。そして、用紙が第2ニップ部を通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ41に受け止められる。
画像形成装置100によれば、図1を参照して説明したように、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
[画像読取装置1の構成]
図2は、本発明の実施形態に係る画像読取装置1を示す模型的正面断面図である。図2を参照して、画像読取装置1を説明する。
画像読取装置1は、原稿搬送装置2と画像読取部3とを含む。原稿搬送装置2は、読み取り対象の原稿を載置する原稿トレイ21、原稿搬送ローラー対22、原稿搬送路23、原稿排出ローラー対24、及び原稿排出トレイ25を備える。原稿トレイ21上の原稿は、1枚ずつ原稿搬送路23に送り出される。送り出された原稿は、画像読取部3上面の送り読取用コンタクトガラス31に接するように自動的かつ連続的に搬送される。そして、原稿排出ローラー対24は読取済の原稿を原稿排出トレイ25に排出する。
原稿搬送装置2は、紙面奥側に設けられた支点により、上方に持ち上げ可能である。例えば書籍等の原稿を画像読取部3の上面の載置読取用コンタクトガラス32に載せることができる。
画像読取部3は、例えば送り読取用コンタクトガラス31を通過する原稿、及び載置読取用コンタクトガラス32に載置された原稿に光を照射し、原稿からの反射光に基づいて原稿を読み取り画像データを生成する。画像読取部3は、CIS(Contact Image Sensor)方式の第1読取ユニット61(読取ユニット6)を備える。
第1読取ユニット61は、ワイヤ33で巻取ドラム34に接続される。巻取ドラム34は、正逆回転する巻取モータにより回転させられ、第1読取ユニット61を水平方向(即ち画像形成装置100の左右方向)に自在に移動させることができる。原稿搬送装置2を用いて原稿を読み取る時、第1読取ユニット61は、送り読取用コンタクトガラス31の下方で固定される。一方、載置読取用コンタクトガラス32上の原稿を読み取る時、巻取ドラム34の回転駆動により第1読取ユニット61を水平方向に移動させる。
送り読取用コンタクトガラス31と載置読取用コンタクトガラス32との間には、原稿の搬送をガイドするガイド部材26が設けられる。ガイド部材26の下面には、白基準を得るための白基準板27や黒基準値の補正に用いる補正用基準板28が設けられる。白基準板27及び補正用基準板28は、画像読取装置1の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)に伸びる板である。
原稿搬送路23には、CIS(Contact Image Sensor)方式の第2読取ユニット62(読取ユニット6)が設けられる。第2読取ユニット62は、例えば、送り読取用コンタクトガラス31と原稿排出ローラー対24との間に設けられる。第2読取ユニット62は、両面印刷された原稿の裏面側を読み取る。従って、原稿が原稿搬送路23を1度通過させるだけで原稿の両面を読み取ることができる。その結果、両面印刷された原稿を自動的に読み取るため、原稿の搬送方向の反転や複雑な原稿搬送路23を設けることなく、容易に原稿の両面を読み取ることができる。
第2読取ユニット62に対向して白基準値を得るための白基準ローラー29が設けられる。なお、白基準ローラー29に変えて白基準板27を設けても良い。
[読取ユニット6]
図3は、読取ユニット6の断面図である。図2と図3とを参照して、読取ユニット6(第1読取ユニット61及び第2読取ユニット62)の構成を説明する。
読取ユニット6は、本発明において複数の光源及び読取手段として機能し、断面略U字状の筐体63(外部フレーム)を備える。読取ユニット6は、例えば、RGB光源順次点灯方式であるモノクロセンサ(密着型イメージセンサ:CIS)である。筐体63は、図3の紙面垂直方向を長手方向とし、函状である。筐体63の長手方向が読取ユニット6の主走査方向に対応する。筐体63の上面には、筐体63の開口を閉じるように板状ガラス64が取り付けられる。第2読取ユニット62では、ガラス64に接して原稿が通過したり、ガラス64の近傍を原稿が通過したりする。
筐体63の下面には、図3の紙面垂直方向(主走査方向)にのびるイメージセンサー8が設けられる。イメージセンサー8は、複数の受光素子9(光電変換素子)を含み、複数の受光素子9は主走査方向に沿って配列している。本実施形態において、読取ユニット6がA3サイズの用紙を読み取れるように、イメージセンサー8はA3サイズの用紙の短辺よりも長い。
イメージセンサー8の上方には、レンズ部65が設けられる。レンズ部65側方に、2つの導光体66が設けられる。図3に破線で示すように、各導光体66に対し、筐体63の紙面垂直方向の奥側の端部に光源67(例えば、LED)が設けられる。
導光体66は、光源67が発する光を各読取ユニット6の長手方向(主走査方向)に導く。導光体66は、図3に2点鎖線矢印で示すように、各読取ユニット6の長手方向(主走査方向)の各位置でほぼ均一な光量レベルとなるように、ガラス64の上方に向けて、光を放つ。光源67は、3原色(3基準色)の各々に対応するLED(赤色LED、緑色LED、青色LED)を含む。赤色LED、緑色LED及び青色LEDの各々は順次点灯と消灯とを繰り返す。イメージセンサー8は、赤色LEDからの赤色光と、赤色LEDの次に点灯する緑色LEDからの緑色光と、緑色LEDの次に点灯する青色LEDからの青色光とを読み取る。なお、イメージセンサー8の電源と光源67の電源とは共通電源である。
レンズ部65は、原稿に照射された光のうち反射された光を集光しつつイメージセンサー8に導く。図3において、反射光の光の方向を矢印付2点差線で示す。
[画像形成装置100のハードウェア構成]
図4は、画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図4を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成を説明する。
画像形成装置100は、内部に制御部11を有する。制御部11は、画像形成装置100全体を制御する。例えば、制御部11は、CPU11a、記憶部11bから構成される。
CPU11aは、記憶部11bに格納され展開される制御プログラムに基づいて画像形成装置100の各部を制御する。記憶部11bは、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の記憶装置で構成される。記憶部11bは、画像形成装置100の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取部3でスキャンした画像データ等を記憶する。
制御部11は、画像読取装置1(原稿搬送装置2や画像読取部3)、及び画像形成装置100内の給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、操作パネル10等と接続される。制御部11は、記憶部11bの制御プログラムやデータに基づいて適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
制御部11は、I/F部11cと接続される。I/F部11cは各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備える。I/F部11cは、ネットワーク、ケーブル又は公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)又は相手方のFAX装置300と画像形成装置100とを通信可能に接続する。例えば、設定データ等を含む画像データを外部のコンピューター200又は相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)と双方向に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。更に、外部のコンピューター200又は相手方FAX装置300からの画像データを記憶部11bに蓄積したり、印刷したりすることもできる。
[画像読取装置1のハードウェア構成と画像データの生成]
図5は、本発明による実施形態に係る画像読取装置1を示すブロック図である。図1及び図5を参照して、画像読取装置1のハードウェア構成と画像データの生成を説明する。尚、図5において、画像データの流れは、白抜矢印で示される。
原稿搬送装置2には原稿搬送制御部20が設けられる。原稿搬送制御部20は、制御部11に通信可能に接続される。原稿トレイ21に原稿が載置された状態で操作パネル10のスタートキー103が押された場合など、原稿搬送装置2を用いて原稿を読み取る際に、制御部11は、原稿搬送制御部20に原稿の搬送を指示する。例えば、原稿搬送制御部20は原稿を搬送する各種回転体を回転させる原稿搬送モータ2M等を制御する。その結果、原稿搬送装置2の動作が制御される。
画像読取部3には読取制御部30が設けられる。読取制御部30は、CPU、チップ等の各種電子部品が実装された基板である。読取制御部30内には、読取制御部30による制御のためのプログラムやデータを保存するための記憶部36を設けることができる。読取制御部30は、制御部11と通信可能に接続される。操作パネル10のスタートキー103が押された場合など原稿の読み取りを行う際に、制御部11は、読取制御部30に原稿読み取りの指示を与える。
載置読取用コンタクトガラス32上の原稿や、原稿搬送装置2に搬送される原稿の表面を読み取るとき、読取制御部30は、第1読取ユニット61を動作させる。具体的には、第1読取ユニット61の光源67を点灯させ、イメージセンサー8を駆動させる。読取制御部30は、巻取ドラム34を回転させる巻取モータ35を制御する。更に、読取制御部30は、原稿搬送装置2に搬送される原稿の裏面を読み取るとき、原稿搬送装置2内の第2読取ユニット62を動作させる。具体的には、第2読取ユニット62の光源67を点灯させ、イメージセンサー8を駆動させる。
読取ユニット6のイメージセンサー8の出力は補正部12に入力される。第1読取ユニット61と第2読取ユニット62で共通の補正部12を用いることなく、第1読取ユニット61用の補正部12と第2読取ユニット62用の補正部12とを各々設けても良い。そして、イメージセンサー8の各受光素子9は、反射光の強さに応じた電流(電圧)を出力する。イメージセンサー8は、受光素子9(画素)についてアナログの出力値(例えば、電圧値)を補正部12に向けて出力する。イメージセンサー8内外に各受光素子9の出力を増幅した電圧を増幅する増幅部が設けられてもよい。この場合、補正部12は、増幅後の電圧値を各受光素子9からの出力値として受け取る。
補正部12のA/D変換部121は各受光素子9からの出力値に応じて量子化を行う。即ち、A/D変換部121は、各画素(各受光素子9)について濃度を示す画素値を生成して各受光素子9のアナログの出力値のデジタルデータ化を行う。尚、各受光素子9の感度のばらつきや主走査方向での位置による原稿への照射光のムラ等を考慮し、量子化を行う上での各読取ユニット6の各受光素子9についての白基準値と黒基準値を記憶する基準値保持部122が設けられる。
以下、黒基準値と白基準値を説明する。始めに、第1読取ユニット61の白基準値と黒基準値の取得を説明する。基準値保持部122は、原稿読取前や主電源投入後や省電力モードからの復帰時に第1読取ユニット61の黒基準値と白基準値を取得する。
本実施形態では、第1読取ユニット61では、各受光素子9の黒基準値は光源67を消灯させた状態でのイメージセンサー8の出力に基づいて定められる。即ち、基準値保持部122は、光源67消灯時の各受光素子9からの出力値(例えば、電圧値)を取得し、各受光素子9の黒基準値とする。ガイド部材26の下方に黒基準板を設け、黒基準板を読み取って黒基準値を取得しても良い。このため、基準値保持部122は、イメージセンサー8からの各受光素子9の電圧値を認識するための回路、素子を有する(例えば、A/Dポートを有するチップ)。具体的には、基準値保持部122は、光源67消灯時の各受光素子9からの出力値を数ライン分取得し、各受光素子9について出力値の平均をとり、ノイズの影響を軽減して各受光素子9の黒基準値を得る。
第1読取ユニット61では、各受光素子9の白基準値は、光源67を点灯させ、白基準板27を読み取ったときのイメージセンサー8の出力に基づいて定める。即ち、基準値保持部122は、白基準板27の読取時の各受光素子9からの出力値(例えば、電圧値)を取得し、各受光素子9の白基準値とする。具体的には、基準値保持部122は、白基準板27読取時の各受光素子9からの出力値を数ライン分取得し、各受光素子9について出力値を平均し、ノイズの影響を軽減して各受光素子9の白基準値を得る。
次に、第2読取ユニット62の白基準値と黒基準値の取得を説明する。基準値保持部122は、読取前や主電源投入後や省電力モードからの復帰時に、第2読取ユニット62の黒基準値と白基準値を取得する。
第2読取ユニット62では、各受光素子9の黒基準値は、光源67を消灯させた状態でのイメージセンサー8の出力に基づいて定める。即ち、基準値保持部122は、光源67消灯時の各受光素子9からの出力値(例えば、電圧値)を取得し、各受光素子9の黒基準値とする。具体的には、基準値保持部122は、光源67消灯時の各受光素子9からの出力値を数ライン分取得し、各受光素子9について出力値を平均し、ノイズの影響を軽減した各受光素子9の黒基準値を得る。
第2読取ユニット62では、各受光素子9の白基準値は、光源67を点灯させ、第2読取ユニット62に対向して設けられる白基準ローラー29(図2参照)を読み取ったときのイメージセンサー8の出力に基づいて定める。即ち、基準値保持部122は、白基準板27の読取時の各受光素子9からの出力値(例えば、電圧値)を取得し、各受光素子9の白基準値とする。具体的には、基準値保持部122は、白基準板27読取時の各受光素子9からの出力値を数ライン分取得し、各受光素子9について出力値を平均し、ノイズの影響を軽減した各受光素子9の白基準値を得る。
補正部12の基準値保持部122は、各読取ユニット6の各イメージセンサー8の各画素について白基準値と黒基準値をA/D変換部121に与える。そして、A/D変換部121は、各受光素子9(各画素)について、白基準値と黒基準値の間を予め定められたステップ数(階調数、例えば、8ビット256階調)で刻み、各受光素子9(各画素)からの出力値の大きさに応じて、量子化(階調化)を行う。例えば、補正部12が白黒の画像データを出力する場合、1画素当たり8ビット(例えば、256階調、黒を0、白を255)で出力し、各画素の値が濃度を示す値とする。
カラー画像形成の場合、補正部12は、RGBで1画素当たり、計24ビットに量子化を行う(例えば、Red=8ビット、Green=8ビット、Blue=8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。尚、補正部12に入力される各受光素子9からの出力値が白基準値と黒基準値の間に収まらなければ、例えば、階調での最高値(真っ白、例えば、256階調ならば255)又は最小値(真っ黒、例えば、0)と同値とされる。
補正部12が出力する原稿画像の画像データは、画像処理部11dに入力される。画像処理部11dは、画像データに関する演算や作業領域としてのワークRAMや専用回路としてのASIC等を組み合わせて構成される回路である。
制御部11のCPU11aや記憶部11bに画像処理プログラムを格納してソフトウェア的に画像処理部11dを実現することもできる。画像処理部11dは、例えば、濃度変換処理、拡大縮小処理、画像データのデータ形式変換処理等の各種画像処理を行うことができる。
画像処理部11dが画像処理を施した後の画像データは、例えば、画像形成部5aの露光装置53に送られ、各感光体ドラム51の走査・露光に用いられる。これにより、原稿に基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。なお、例えば、画像処理部11dが画像処理を施した後の画像データを記憶部11bに送り、記憶部11bに記憶させておくこともできる(スキャナ機能)。
なお、補正部12は、本発明の調整手段として機能する。補正部12は、光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。補正部12は、第1基準データ値と第2基準データ値との比較に基づいて、光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、第1基準データ値は、複数の光源(例えばR光源、G光源、B光源)が順次点灯する前の光に基づき取得された基準データ値を示す。第2基準データ値は、点灯中の第2光源からの第2原色光に基づき取得された基準データ値を示す。第1基準データ値と第2基準データ値とは、黒基準データ値又は白基準データ値であり得る。
第1基準データ値と第2基準データ値とが黒基準データ値である場合は、補正部12は、第1黒基準データ値と第2黒基準データ値との比較に基づいて、光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、第1黒基準データ値は、複数の光源(例えばR光源、G光源、B光源)が順次点灯する前の光に基づき取得された黒基準データ値を示す。第2黒基準データ値は、点灯中の第2光源からの第2原色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。
第1黒基準データ値は、3光源が順次点灯する前において、3光源点灯中の状態からの光に基づいても、3光源消灯中の状態からの光に基づいても、取得し得る。一方、第2黒基準データ値は、点灯中の光源からの光に基づき取得され、消灯した状態では取得しない。消灯した状態で取得した場合には、電源の振れの影響のないパルス幅変調の範囲が判断できないためである。
第1基準データ値と第2基準データ値とが白基準データ値である場合は、補正部12は、第1白基準データ値と第2白基準データ値との比較に基づいて、光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、第1白基準データ値は、複数の光源(例えばR光源、G光源、B光源)が順次点灯する前の光に基づき取得された白基準データ値を示す。第2白基準データ値は、点灯中の第2光源からの第2原色光に基づき取得された白基準データ値を示す。
以下、本実施形態では、第1基準データ値と第2基準データ値とが黒基準データ値である形態を説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る読取ユニット6のライン単位のタイミングチャートを示す。以下、図6を参照して、読取ユニット6のライン単位のタイミングを説明する。
本発明では、モノクロセンサ(RGB光源順次点灯方式)を用いている画像読取装置において、LED点灯による電源変動によるパルス幅変調の限度値を算出し、光量調整を行う。パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)とは変調方法の一つであり、パルス波のデューティー比を変化させてパルス幅を変調する。
チャートSPは、蓄積時間(Tstg)を示す。蓄積時間とは、イメージセンサにおいて光によって発生した電荷を蓄積する時間である。蓄積される電荷量は蓄積時間に比例する。チャートSPにおいて、Hiは点灯消灯の切り替えタイミングであり、Lowは順次点灯する期間である。
チャートR_LEDは、赤色光源の点灯消灯の期間を示す。チャートR_LEDにおいて、Hiは順次点灯する期間であり、Lowは消灯期間である。同様に、チャートG_LEDは、緑色光源の点灯消灯の期間を示す。チャートG_LEDにおいて、Hiは順次点灯する期間であり、Lowは消灯期間である。チャートB_LEDは、青色光源の点灯消灯の期間を示す。チャートB_LEDにおいて、Hiは順次点灯する期間であり、Lowは消灯期間である。
補正部12は、第1黒基準データ値と第2黒基準データ値との差分と閾値との比較に基づいて、第1光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。例えば、第1黒基準データ値と第2黒基準データ値との差分が目標値(閾値)に入るまでPWM幅を減算していき、PWM幅限度値の算出を行い、光量調整時にその限度値を超えないように光量調整を行う。
第1黒基準データ値と第2黒基準データ値との差分が閾値より小さい場合は、第1光源のパルス幅変調の幅限度値を設定し、差分が閾値以上の場合は、第1光源のパルス幅変調の幅が小さくなるように第1光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。限度値を超えないような光量調整を行うことで、点灯光源の入射光量が次の点灯光源の入射光量に影響を及ぼさないように光量を調整できる。
図7は、本発明の実施形態による光量調整工程を示すフローチャートである。以下、図7を参照して、本発明の実施形態による光量調整工程を説明する。光量調整工程は、ステップS402〜ステップS408を実行することにより実現する。
ステップS402:光量調整を開始する。画像形成装置100の有する機能を実施時に、光量調整を実施してもよく、画像形成装置100の起動時に一回行うだけでもよい。
ステップS404:補正部12は、光源(赤色光源、緑色光源、青色光源)のパルス幅変調の幅限度値を算出する。
ステップS406:光量調整手段を制御し、イメージセンサの感度が等しくなるように光源の光量を調整する。3つの光源を順次点灯させながら光源の光量調整を行うことにより、イメージセンサの感度を等しくする制御手段で出力値のばらつきを調整する。
ステップS408:光量調整を終了する。
ここで、ステップS404は、ステップS404a〜ステップS404cを実行することにより、3つの光源(赤色光源、緑色光源、青色光源)のパルス幅変調の幅限度値を算出する。詳細を以下に説明する。
ステップS404a:第1光源(例えば、赤色光源)のパルス幅変調の幅限度値を算出する。補正部12は、緑色光源の第1黒基準データ値と緑色光源の第2黒基準データ値との比較に基づいて、赤色光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、緑色光源の第1黒基準データ値は、複数の光源が順次点灯する前の緑色光源からの緑色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。緑色光源の第2黒基準データ値は、点灯中の緑色光源からの緑色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。
ステップS404b:第2光源(例えば、緑色光源)のパルス幅変調の幅限度値を算出する。補正部12は、青色光源の第1黒基準データ値と青色光源の第2黒基準データ値との比較に基づいて、緑色光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、青色光源の第1黒基準データ値は、複数の光源が順次点灯する前の青色光源からの青色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。青色光源の第2黒基準データ値は、点灯中の青色光源からの青色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。
ステップS404c:第3光源(例えば、青色光源)のパルス幅変調の幅限度値を算出する。補正部12は、赤色光源の第1黒基準データ値と赤色光源の第2黒基準データ値との比較に基づいて、青色光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。ここで、赤色光源の第1黒基準データ値は、複数の光源が順次点灯する前の赤色光源からの赤色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。赤色光源の第2黒基準データ値は、点灯中の赤色光源からの赤色光に基づき取得された黒基準データ値を示す。
図8は、本発明の実施形態によるPWM限度値算出工程を示すフローチャートである。以下、図3、図5及び図8を参照して、本発明の実施形態によるPWM限度値算出工程を説明する。PWM限度値算出工程は、ステップS502〜ステップS522を実行することにより実現する。なお、図7を参照して説明したようにPWM限度値算出工程には、赤色光源のPWM限度値算出工程と緑色のPWM限度値算出工程と青色光源のPWM限度値算出工程とが含まれる。3つの光源のPWM限度値算出工程の各々は互いに同一のため、以下、赤色光源のPWM限度値算出を例に説明する。
ステップS502:光量調整の開始に伴い、赤色光源のPWM限度値算出工程が開始される。
ステップS504:3光源が順次点灯する前の3光源からの光に基づき取得された黒基準データ値を取得する。少なくとも緑色光源の第1黒基準データ値(3光源が順次点灯する前の緑色光源からの緑色光に基づき取得された黒基準データ値)を取得する。
具体的には、読取ユニット6によって、光源67を消灯させた状態でのイメージセンサー8の出力に基づいて受光素子9の黒基準値を示すデータ値(黒基準データ値)を定める。即ち、基準値保持部122は、光源67消灯時の各受光素子9からの出力値(黒基準板を読み取っての黒基準データ値)を取得する。
ステップS506:基準値保持部122は、赤色光源の初期のPWM幅を設定し(Tr=Tmax)、工程はステップS508に進む。ここで、Trは赤色光源の初期のPWM幅を示し、Tmaxは赤色光源の最大PWM幅を示す。
ステップS508:赤色光源のみを点灯する。
ステップS510:赤色光源を消灯する。
ステップS512:赤色光源の次に点灯する光源(緑色光源)のみ点灯する。
ステップS514:緑色光源の第2黒基準データ値(点灯中の緑色光源からの緑色光に基づき取得された黒基準データ値)を取得する。具体的には、基準値保持部122は、赤色光源消灯時の各受光素子9からの出力値(黒基準板を読み取っての黒基準データ値)を取得する。
ステップS516:緑色光源の第1黒基準データ値と緑色光源の第2黒基準データ値とを比較する。例えば、緑色光源の第1黒基準データ値と緑色光源の第2黒基準データ値との差分(例えば緑色光源の第1黒基準データ値−緑色光源の第2黒基準データ値)と閾値(目標値)とを比較する。
ステップS516において差分が閾値以上の場合(ステップS516においてNoの場合)、赤色光源のPWM限度値算出工程はステップS518に進む。ステップS516において差分が閾値より小さい場合(ステップS516においてYesの場合)、赤色光源のPWM限度値算出工程はステップS520に進む。
ステップS518:ステップS516において差分が閾値以上の場合は、Tr=Tmax−T△を実施する。ここで、T△は調整精度幅を示す。例えば、調整精度幅は、CPU
の基準クロックを基準として、1クロック〜複数クロックである。具体的には約0.5μs〜1.0μsであり得る。具体的には、赤光源のパルス幅変調の幅が小さくなるように赤色光源のパルス幅変調の幅限度値を調整する。
ステップS520:ステップS516において差分が閾値より小さい場合は、Trmax=Trを実施する。具体的には、赤色光源のパルス幅変調の幅限度値を設定する。
以上、図1〜図8を参照して、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の実施形態を説明した。本発明に係る画像読取装置および画像形成装置によれば、光源のパルス幅変調の幅限度値を調整することで画像読取の感度が等しくなるように光源の光量を調整することができる。