JP5908464B2 - 機能化されたグラフェン - Google Patents

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Description

本発明は、新規な材料であるフルオログラフェン(FG)、フルオログラフェンの製造方法、および、エレクトロニクスおよびその関連分野におけるその応用に関する。また、フルオログラフェンは、本発明のフルオログラフェンを1以上の材料、例えば、フルオロポリマー(FP)およびそれに類似するものと混合することによって、複合材料の特性を改善するのにも使用される。
通常、FP分子間鎖における相互作用は、非常に弱いがFGの領域にわたって拡がるものであり、FGは非常に有効で高い融和性(compatible)をもつ補強材(reinforcement)として作用する。
グラフェンの並外れた特性は、そのグラフェンの電子物性の点から関心を集めている。グラフェンは、化学反応で修飾し得る巨大高分子とみなせることが知られている[Geim, A.K. Graphene: Status and prospects. Science 324, 1530-1534 (2009) and Ruoff, R. Calling all chemists. Nature Nanotechnol. 3, 10-1 1 (2008)]。グラフェンの表面は、限られた範囲であるが、様々な原子および分子により機能化されている [Schedin, F., Geim, A.K., Morozov, S.V. Hill, E.W., Blake, P., Katsnelson, M.I. & Novoselov, K.S. Detection of individual gas molecules adsorbed on graphene. Nature Mater. 6, 652-655 (2007); Park, S. & Ruoff, R.S. Chemical methods for the production of graphenes. Nature Nanotechnol. 4, 217-224 (2009); Liu , H . , Ryu , S. , Chen , Z. , Steigerwald , M . L. , N uckolls, C. & Brus, L. E. Photochemical reactivity of graphene. J. Am. Chem. Soc. 131 , 17099-171 01 (2009); and Sharma, R., Baik, J.H., Perera, C.J. & Strano, M.S. Anomalously large reactivity of single graphene layers and edges toward electron transfer chemistries. Nano Lett. 10, 398-405 (2010)]。本発明者らは、懸濁したグラフェンの両表面を原子状フッ素に曝露するという手法によって、充分にフッ素化したグラフェン(フルオログラフェン)の合成を実現するとともに、多くの適用分野において非常に重要となるこの新規材料の特性を確認した。
この材料にとって発展する可能性がある領域の1つとして、集積エレクトロニクスでの使用がある。これには、グラフェンのギャップレス電子スペクトルにおけるエネルギーギャップEgを開くことによって、オフ状態において充分に低い散逸状態を呈する電界効果トランジスタ(field-effect transistor)となることが要求される。このようなギャップを、ナノリボンの使用を含む物理的な方法によって、開こうとする大規模な取り組みが進んでいる[Han, M.Y., Ozyilmaz, B. Zhang, Y.B. & Kim, P. Energy band-gap engineering of graphene nanoribbons. Phys. Rev. Lett. 98, 206805 (2007); and Li, X.L., Wang, X.R., Zhang, L., Lee, S.W. & Dai, H.J. Chemically derived, ultrasmooth graphene nanoribbon semiconductors. Science 319, 1229-1232 (2008)]]。量子ドット(quantum dots)の使用 [Ponomarenko, L.A., Schedin, F., Katsnelson, M.I., Yang, R., Hill, E.W., Novoselov, K.S. & Geim, A.K. Chaotic dirac billiard in graphene quantum dots. Science 320, 356-358 (2008)] は、これとは別のアプローチである。同様に、歪み(strain)の使用[Guinea, F., Katsnelson, M.I. & Geim, A.K. Energy gaps and a zero-field quantum Hall effect in graphene by strain engineering. Nature Phys. 6, 30-33 (2010)]、二重ゲート(double gating)の使用[Geim, A.K. & Novoselov, K.S. The rise of graphene. Nature Mater. 6, 183-191 (2007); Castro Neto, A.H., Guinea, F., Peres, N.M.R., Novoselov, K.S. & Geim, A.K. The electronic properties of graphene. Rev. Mod. Phys. 81 , 109-162 (2009); and Geim, A.K. Graphene: Status and prospects. Science 324, 1530-1534 (2009)]などは、すべてこの目的に対して試みられている手法である。極めて重要なことは、エレクトロニクスグレードのFGには欠陥(defect)の数が少ないことである。FGの欠陥は、電子バンドギャップに局在状態を引き起こし、それによって、トランジスタの性能が非常に不利なものとなるか、または完全に使用できなくなってしまう(移動度端(mobility edge)より下位のギャップ領域におけるフェルミ準位のピニング(pinning)による)。
エレクトロニクスで有用となり得るFGの別の使用としては、高品質な絶縁体がある。FGは、電子スペクトルでの大きいエネルギーギャップをもつ高品質な結晶であり、電界効果トランジスタにおける絶縁体としての役割をする。FGは、単層または複層のいずれであっても、これらの目的に使用することができる。別の応用としては、平面状グラフェン構造(planar graphene structure)を形成させることである。グラフェンの所定の領域のみをフッ素化させることによって、任意形状の導電路(conductive path)が、連続的なグラフェン層から形成される。
Nano Lett 2010, 10, 3001 -3005は、フッ素化されたグラフェン薄膜の特性を開示している。重要なことは、この文献では、フッ素化されたグラフェンのバンドギャップの評価が、理論計算にのみに基づくものであり、実験結果によって裏付けられているものではないということである。
シリコン・オン・インシュレータ(SOI)上に支持されたグラフェンのフッ素化度合いの評価は、XPS分析に基づいている。残念なことに、XPSデータの分析は不確かなものであり、その手法では、一定の誤差を招いてしまう。例えば、フッ素化処理されたサンプルの化学量論上の要求(CF)は、SOI上のフッ素(50%)の原子%の評価に基づいている。しかし、これにより誤差が生じている。例えば、その著者らは、XeF2へのSOIのフッ素暴露の間に生じる酸化ケイ素表面のフッ素化を無視していた。シリコン上およびSi02表面上でのフッ素曝露の影響は、詳細に研究されており (参照例: J.F Morar et.al. APL, 45,174; Applied Surface Science 47 (1991 ) 77-90; F. R McFeely et.al. PRB 30, 764-770; and T.Takahagi et.al. J.Appl.Phys, 76, 3140) 、このようなケースにおけるSiF、SiF2、Si-F3結合構造は、充分に調べられている。
これが分かれば、この材料のF/C比は、実際には、その著者らが計算で使用する数値よりはるかに低い。該論文は、検出されたフッ素すべてが、炭素に結合しているという誤った仮定に基づいている。
この根拠は、該論文において、例えば、図2Eの明確なSi-Oピークは、Si-FとSi-Oのピークを重畳したものと認められることから明らかである。さらに、図2Cおよび2Dで示されるC1 sスペクトルは、フッ素化が充分に進行したという結論を裏付けていない;両スペクトルは、284.5eVでのC-Cピークの存在を示しており、これは、Sp2結合炭素の存在を示唆するものである。
さらなる疑問が、これら研究者が調べた該材料の性質に対して生じる。XPS以外には、SOI上でフッ素化されたグラフェンの存在について、明確な根拠(例えば、SEM、AFなどの他の評価方法を使用して)が無い。事実、観測されたXPSデータは、フッ素化炭化水素汚染物からも同様に得ることができる。
最も重大なことは、この論文には浮遊グラフェン(suspended graphene)についての明確な根拠が無いということである。この事実は両側フッ素化(double-sided fluorination)を得ることにとって非常に重要である。その著者らは、グラフェンフィルムの欠陥またはSi層側から浸透するXeF2ガスによって、上層のSi層をエッチングすることによりSi/Si02/Si上でグラフェンが浮遊し得ることを主張してきた。もしそうであれば、Dピークが現れないラマンデータ(図4A参照)によれば、ほぼ欠陥(defects)が無いことになるため、この主張は、観測事実と合致しない。
さらに、その著者らはSiエッチングの根拠として、Si-Si XPSピーク強度が減少することを示しているが、エッチングされたSi原子がどこで取り除かれているのかは明確では無い。エッチングされたガスが欠陥孔(defect hole)を通過して漏出して戻っていると結論付けられているようではあるが、実際には、これは物理的に可能ではない。なぜなら、該材料が、かなりの数の意図的に作成された拡散孔(diffusion hole)またはクラック(crack)を含んでいる必要があるためである。実際に、CVDグラフェンフィルムは、粉砕されて多数の小片状の非連続フッ素化グラフェンフレーク(non-continuous fluorinated graphene flake)になることが、XeF2エッチングの間に起こり得る。これは、結論が、誤った仮定に基づいてなされたというさらなる証拠を示すものである。かくして、本発明者らは、従来ではできなかった方法を用いて、グラフェン化学においてそのバンドギャップを開くことに対する代替アプローチを提供する。
現在のところ、公知のグラフェン誘導体とは次のものを含む:すなわち、グラフェン酸化物(GO)およびグラファン(graphane)である。GOとは、本質的には、水酸基とエポキシ基で無作為に修飾されたグラフェン・シートであり、液状の酸化剤にグラファイトを曝露することによって得られるものである。[Park, S. & Ruoff, R.S. Chemical methods for the production of graphenes. Nature Nanotechnol. 4, 217-224 (2009) and Ed, C. & Chhowalla M. Chemically derived graphene oxide: towards large-area thin-film electronics and optoelectronics. Adv. Mater. 22, 1 -24 (2010)]。顕微鏡レベルでは、GOは、プリスティン(pristine)および高濃度修飾の領域が混合した不均質な状態に見える。
グラファン(graphane)とは、その各々の炭素に水素原子が付加したグラフェンの化学量論的な誘導体である[Sofo, J.O. Chaudhari, A.S. & Barber, G.D. Graphane: A two-dimensional hydrocarbon. Phys. Rev. B 75, 153401 (2007)]。この材料は、予想されるように、比較的不安定であり、そのため、エレクトロンおよびその他の分野における実用価値は無い。一方または両側のいずれかから水素化されたグラフェンは、温和な温度Tで急速に水素Hを失うことが知られている。明らかにこれは重大な欠点であり、グラファン(graphane)は、その利用の際に、絶えず安定性が要求される条件下で使用し得るかという点に疑念が生じる。
FGの測り知れない潜在的価値のもう1つの領域は、フッ素重合体(FP)の特性を改善する可能性にある。従来では、FPは、ガラスや炭素と「複合化」(compounded)され、それらはいくつかの複合材料に比べて弱い部分があるものの、その格別な特性により多くの分野で有用となっている。本発明に係るFGは、従来のFG複合材料を改善する途を提供する。好ましくは、FGがFPに対して相似性であり、FGがFPと融和性が高く、FP中に良好に分散できることである。これは、より良い結果に結びつくものとなる。FGは、水系または非水系のディスパージョン(dispersion)、あるいは水系のコロイドディスパージョン(colloidal dispersion)による初期の混合で分散することができる。
FP自体の側鎖に対する化学修飾(FEPまたはPFAにおいても同様)もまた、ポリマーとフィラー(filler)間でのさらなる有利な作用、および、相互作用の改善をもたらし得るものである。融点、連続使用温度(CUT)、強度、および係数は、FPの種類や、および異なるFPの重合または部分フッ素化の程度によって変わるものである。
PTFEでは、フッ素原子は、炭素骨格の周りに、最密螺旋(close packed spiral)を形成している。これは、非常に弱い鎖間相互作用(interchain interaction)を有する無極性かつ高い結晶性構造(crystalline structure)を生み出す。PTFEは、摩擦係数が低いことから、他の高機能ポリマーと比べて弱くかつ柔らかいものと認識されている。有用な機械的特性を引き出すためには、非常に高い分子量が要求されるが、このことは融解粘度(melt viscosity)を増加させる。該融点は高く、PTFEは結晶性が高い。この結果として、耐化学性に優れたものとなる。C−F結合は非常に強く、酸化安定度(oxidative stability)に優れている。
機械的特性が不十分な場合には、水素原子の導入によって改善される場合がある。しかしながら、この場合には、他の特性(例えば、CUT、融点、および耐化学性)を損失する。
FEPは、通常、CF側鎖を含む。このことは、所与の分子量における機械的特性を改善する(−溶融加工性(melt processibility)が改善される)。しかしながら、融点およびCUTは低下する。本発明に係るFGをFPへ導入することは、これらの問題を巧みに回避する優れた手段となる。
FGは、FPおよび他の高温ポリマー(すなわちFP以外のポリマー)の絶縁破壊の強度を改善する可能性もある。多くの高温ポリマーは、フェニレン基を含んでおり、容易に炭素に分解される。そのようなポリマーは、絶縁強度(dielectric strength)、アークトラッキング抵抗性(arc track resistance)およびトラッキング指数(tracking index)を制限する。FPまたは他のポリマー(FGの形態でプレート様フィラーを含有する)の複合型(composite version)は、この問題を抑制し得ると考えられる。
グラフェンを機能化することには多くの問題がある。1つの問題は、結果として得られる生成物が、欠陥(defect)または転位(dislocation)を含むことである。これは不均質性(inhomogeneity)につながり、要求される電子構造も得られなくなる。別の問題は、機能化または部分的に機能化された材料は、不安定であり、その表面から境界原子(bound atom)を失う傾向にあるということである。従って、グラフェンを、均一(uniform)または完全(complete)な様態のいずれであっても、機能化することは非常に難しく、その最終生成物は不安定であり実用化に向くものではない。
本発明は、従来の材料に関するこれらの諸問題を解決すべくなされたものである。本発明に係る方法は、均一(uniform)かつ均質(homogeneous)なグラフェン誘導体(安定性があり、電子特性が良好である)を得るための信頼できる方法も提供する。本発明は、複合材料中での補強材(a reinforcing material)として使用することができる材料も提供する。本発明者らは、本発明に係るフルオログラフェンが、グラフェンに類似する機械的特性(例えば、非常に強いこと)を有することを見出した。これによれば、エレクトロニクス分野に加えて、構造的な応用分野にも役立つものとなる。
本発明の1つの態様によれば、グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物であって、グラフェンに結合するフッ素の量が、フッ素化グラフェン化合物(graphene fluorine compound)の理論的な最大化学量論限界の少なくとも50原子%である機能化されたグラフェン化合物が提供される。
グラフェンをフルオログラフェンに変換する方法を示す。 FGのラマン特性図を示す。 FGの透過型電子顕微鏡写真を示す。 フッ素化処理によるグラフェンの光透過性(optical transparency)の変化を示す。 安定したワイドギャップ2D半導体を示す。 アルゴン水素雰囲気下での異なる温度TAにおけるアニール(annealing)によって引き起こされた電気伝導率の変化を示す。 写真(挿入図)に示す厚さ5μmのサンプルについて、FGペーパーの光透過性(optical transparency)をEの関数で示したものである。 2層(bi-layer)および数層(few-layer)のグラフェンのラマンスペクトルを図示している。 種々のレベルまでフッ素化し、次いで異なる温度Tでアニール処理したグラフェンのラマンスペクトルを示す。 SiC上で成長し、70℃で2ヶ月にわたりXeFでフッ素化処理されたグラフェンのXPSを示す。 FG膜について、代表的な負荷曲線(青色および赤色)および無負荷曲線(緑色)を示す。 アニール処理前後のフルオログラフェンの光伝達(optical transmission)を、エネルギーEの関数として示す。 完全にフッ素化および部分的にフッ素化されたグラフェンの光透過性(optical transparency)を、エネルギーEの関数として示す。
この態様においては、50原子%のフッ素とは、フルオログラフェンの生成物中の炭素に対して、フッ素が0.50:1の比率となることである。0.50:1またはそれ以上の比率は、「充分に(fully)」グラフェンがフッ素化されることを意味する。本発明者らは、約0.55:1以上の比率が、材料中に明確なバンドギャップを形成するために必要であることを見出した。1つの実施形態では、グラフェンに結合するフッ素の量が、理論的な最大化学量論限界の少なくとも55原子%であり、通常、少なくとも75原子%である。より好ましくは、フッ素化グラフェン化合物の理論的な最大化学量論限界の85原子%(すなわち、フッ素対炭素の比率が0.85:1)である。
フッ素は、グラフェンと反応して結合して、グラフェン・シート中の実質的にすべての炭素原子がフッ素原子を保持することになる。100原子%の結合レベル(bonding level)は、理論的なケースであり、その場合には、グラフェン中のすべての炭素原子が各々1つずつのフッ素原子と結合している。これは、フッ素原子と炭素原子の化学量論比が1:1であることを示している。本発明では、フッ素化グラフェン化合物(以下、フルオログラフェンという)の化学量論比が、フッ素対炭素の比率で少なくとも0.25:1となる。フッ素原子は、グラフェン・シートの両面から、グラフェンに結合し得る。本発明に係る方法は、グラフェンの一方の面または両面で、フッ素化を引き起こすことを可能とする。しかしながら、高い化学量論比を達成するために、両面のフッ素化(double-sided fluorination)を引き起こせることは重要なことであり、このことが本発明の方法および材料での1つの重要な利点となる。
1つの実施形態では、フルオログラフェンの化学量論比は少なくとも0.50:1であり、より好ましくは0.75:1または0.85:1である。フルオログラフェンのより純粋な組成としては、比率0.9:1である(すなわち、フルオログラフェン中にフッ素が少なくとも90原子%存在している)。より好ましくは、少なくとも0.95:1である。好ましくは、化学量論比は少なくとも0.97:1であり、最も好ましくは、少なくとも0.98:1である。本発明者らは、本発明に係る方法を用いることによって、実測の範囲内(測定の許容誤差が±0.05、理想的には±0.01)で1:1化学量論となる材料までも得ることができると考えている。
本発明の別の態様は、比較的「欠陥のある(defective)」FG材料に関し、この場合のFG材料は主としてポリマー複合材料および他の構造材料での使用を主に意図している。当然ながら、そのような適用においても、より高い化学量論比のFG材料を使用することが可能である。このようなより低い化学量論比の材料は、バンドギャップが無いこともあり、さらにより多くの欠陥がある。さらにこの場合には、F:Cの比率が0.25:1またはそれ以上のFGを意味する。該材料は、特にポリマーマトリクス(例えば、フルオロポリマー)内に被包されていれば、フッ素原子を失うまでの期間を延ばせて長期間に渡り安定な状態を維持し得る。
本発明に係るFGの安定性は重要な特性である。充分な安定性が無い場合では、該材料には実用性が無い。本発明に係るFGのすべてに共通する1つの特徴は、F:C比が0.5:1もしくはそれより大きい化学量論比の高いFGであっても、あるいは、より多くの欠陥および可能な限り低い化学量論比を有する「欠陥のある(defective)」FG(すなわち、F:C比が0.25:1以上のFG)のいずれであっても、フッ素原子を失うまでの期間を延ばせて長期間に渡って安定性があるということである。この室温での安定性は、実質的には、少なくとも24時間、より一般には、少なくとも168時間、より好ましくは少なくとも720時間の間、フッ素原子の損失が無いという点から示される;より好ましくは、少なくとも9000時間安定し、最も好ましくは、少なくとも100,000時間安定する。
本発明に係るFGは、その熱的安定性の点からも特徴付けることができる。すなわち、本発明に係るFGは、高温(例えば、200℃、260℃、さらには350℃であっても)においても安定性がある。FPの特性を決定する同様な方法は、広く知られており、学術的文献の中で使用されている。
実用上では、FGは、その連続使用温度(CUT)の点から特徴付けることができる。これは、諸特性の50%が所定時間の後に失われた時点の温度として、定義することができる。本発明の場合では、FGの連続使用温度が、少なくとも100℃であり、より好ましくは少なくとも150℃であり、さらに好ましくは少なくとも200℃であり、最も好ましくは少なくとも260℃である。場合によっては、FGは、350℃でフッ素を失って安定することもある。CUTは、材料の最終的な使用に依存するものであり、例えば、複合材料に取り入れられているか、または「自由な(free)」FGとして独自に使用されているかに依存する。
本発明に係るFGは、その欠陥の観点からも定義することができる。結果として得られるFGは、50%までの欠陥を含むFGから、固有欠陥(intrinsic defects)として20%未満の欠陥、理想的には10%、5%、2%、1%、または0.1%未満(最終的な使用に依存する)の欠陥を含む実質的に無欠陥(defect-free)なFGまで及ぶ。
本発明の別の態様では、グラフェンおよびフッ素を含む上記の機能化されたグラフェン化合物を調製する方法に関する。本発明の別の様相によれば、グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物を調製する方法であって、グラフェンに結合するフッ素の化学量論量が少なくとも0.25:1であり、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)シート状のグラフェンを得ること;
(b)グラフェン・シートの構造的無欠性(完全性:integrity)を判定し、その判定に基づいて、工程(c)において該グラフェン・シートを使用すること、または、該グラフェン・シートを用いずに工程(a)を繰り返すこと、のいずれかを行うこと;
(c)工程(b)により得られたグラフェン・シートを、反応槽中の高温高圧下でフッ素源に曝露すること、および
(d) 該反応槽からフルオログラフェンを回収すること。
該工程は経時的に提示した順序で進められる。
好ましくは、上記比率は少なくとも0.50:1である。
グラフェン・シートは公知の期間の間、フッ素源に曝露される。この期間は、反応条件およびフッ素源に応じた実験によって容易に予め決定される。通常、反応時間(すなわち、予め決定される)は、1〜168時間の範囲の時間である。より一般には、該時間は、8〜48時間の範囲であり、より好ましくは12〜36時間または12〜24時間の範囲であり、さらに好ましくは12〜18時間である。場合によっては、フッ素源が、わずか1〜12時間ほどで、フッ素化を引き起こすこともある。
本発明の機能化されたグラフェン化合物は、多くのエレクトロニクスおよび機械分野で使用することができる。
本発明の別の態様によれば、機能化されたグラフェン化合物の使用であって、該機能化されたグラフェンがグラフェンおよびフッ素を含み、グラフェンに結合するフッ素の量が、フッ素化グラフェン化合物の理論的な最大化学量論限界の少なくとも25 原子%であり、フッ素対炭素の比率が少なくとも0.25:1であり、構造材料、エレクトロニクス部品、光学部品、磁気部品として、またはコーティング材料としての使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物のポリマー複合材料であって、グラフェンに結合するフッ素の量が、フッ素化グラフェン化合物の理論的な最大化学量論限界の少なくとも25 原子%である、すなわち、フッ素対炭素の比率が少なくとも0.25:1である機能化されたグラフェン化合物のポリマー複合材料が提供される。
いくつかの態様では、該材料は、0.50:1以上の下限を有する。該材料は、特に該比率が少なくとも0.25:1から0.50:1以下までの場合には、複合材料(composite)に有用性が見出せるということも有り得る。しかしながら、より高い化学量論比のフルオログラフェンもまた、複合材料において使用することができる。
1つの態様では、グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物のポリマー複合材料であって、グラフェンに結合するフッ素の量が、フッ素化グラフェン化合物の理論的な最大化学量論限界の少なくとも25 原子%(フッ素対炭素の比率が少なくとも0.25:1)である機能化されたグラフェン化合物のポリマー複合材料が、構造材料またはコーティング材料として使用される。
機能化されたグラフェン化合物は、単独で使用することや、1もしくは複数の追加材料と共に使用して複合材料を形成することができる。該追加材料はポリマーとすることができる。しかしながら、補強などを目的として、機能化されたグラフェン化合物を、他の基材(例えば、ガラス、金属もしくは合金)、セラミックス、または同様の材料と混合することが可能である。複合材料は、物理的および/または機械的特性を結果的には変化させる。例えば、本発明のフルオログラフェンは、補強を与え得ることと、同時に/または、バルク材の電子特性を変化させ得ることとなる。
本発明に係るFGの調製で使用されるグラフェン・シートの構造的無欠性(完全性:integrity)は、いくつかの分野において(例えば、エレクトロニクス分野であり、その他の分野(例えば、FP複合体のような複合材料の調製)ではない)重要である。本発明のFGは、小さな「歪んだ(distorted)」断片のグラフェンから、「完全な(perfect)」[すなわち、無欠陥(defect-free)なフルオログラフェン(高いフッ素:炭素比を有する)]ものまで及ぶ。
構造的無欠性(完全性:integrity)が重要となる場合には、グラフェン・シートには、実質的に、転位(dislocation)を含む欠陥が含まれないべきである。これは、反応が円滑に進行し、その結果得られる生成物も、実施的に欠陥が無いということを裏付ける。反応は、より多くの「欠陥のある(defective)」グラフェン上で進むが、その結果得られるFGも、相応な割合の欠陥が含まれる。グラフェンおよびFGの構造的無欠性(完全性:integrity)は、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用する検査によって確定される。認識される欠陥および転位のレベルは、理想的には20%未満であるべきで、そうでなければ、材料は廃棄され、フッ素化反応には使用されない。欠陥および転位のレベルは、10%未満であることが好ましく、より好ましくは、5%未満、または2%未満もしくは1%未満であり、最も好ましくは、0.1%未満である。欠陥の対応レベルは、欠陥に影響されるような(defect-sensitive)分野を目的とする場合には、FG生成物において必要となる。
他の分野において、欠陥の存在が材料の実施にとって重大ではない場合には、FGを調製するために使用されるグラフェン・シートに有意な割合の欠陥があることは許容可能である。そのような場合には、欠陥は、材料の約50%までを占めることもある。あるエレクトロニクス分野(例えば、バンドギャップが材料特性としてあまり重要ではない場合)では、より多くの「欠陥のある(defective)」形態のFG(重大な悪影響のない20%より大きい欠陥、あるいは場合によっては50%より大きい欠陥を含む)グラフェンは、sp2混成炭素原子の六方晶系の単分子層ネットワークから成る。グラフェンの特性は、カーボンナノチューブ用の母材としてのグラフェンに対する算定に基づいて、著しいものとなることが予想された。本発明者らは、同じことがFGにも当てはまることを見出した。予見された並外れた特性のうちのいくつかは、FGの点欠陥(point defect)における高い形成エネルギーのためと考えられる極めて低い欠陥濃度でしか観察できない。それでもなお、他の実際の材料と同様に、構造的欠陥はFGに存在し、その特性を劇的に変更し得る。例えば、欠陥での電子波(electron wave)の散乱(scattering)は、電気伝導率にとって甚大な影響がある。欠陥は、意図的に該材料に導入することもできる(例えば、照射(irradiation)または化学処理によって)。
充分に二次元であることに加えて、FGは、(他の従来材料では生じない)再構成された原子配列における格子欠陥(lattice defect)のホストとなることができる。このような特性を有する理由の一つは、炭素にいろいろな混成化(hybridizations)が生じ、その結果、いろいろな数の最近接を可能として、炭素自身に(グラファイトやダイアモンドのように)いろいろな安定構造を生じるようにするからである。あるいは、より重要なことは、sp2混成炭素原子が、自身を配置して様々な異なる多角形となることであり、さらに意義深いことは、六角形のみならず、いろいろな構造を形成することである。非六角形環は、該シートに湾曲性を与えるか、または多角形の配置が所定の対称則を満たす場合に平坦化するか、のいずれかとなり得る。
この特性は、他のバルク結晶(例えばシリコン半導体)では見られない。原子ネットワークの再構成は、未配位原子(under-coordinated atoms)の無いコヒーレントな欠陥格子を可能とする。それらは未使用の結合手がないものの、該再構成された欠陥によって該構造の反応性が向上する。
三次元結晶の欠陥は、結晶秩序が散乱(perturbed)しており、外来原子(foreign atoms)が存在しない場合には固有のものとされる。後者は不純物となり、外的欠陥(extrinsic defects)を構成する。巨視的な結晶性材料では、固有欠陥(intrinsic defects)は、種々の次元数を有する。点欠陥(通常、空孔(vacancies)または格子間原子(interstitial atoms))は0次元であるのに対して、転位(dislocation)の概念は、1次元直線に基づく欠陥である。粒界(grain boundaries)または積層欠陥(stacking fault)が二次元で拡がるが、含有物(inclusions)および空隙(voids)は、すべて三次元で有限の大きさを有する。外来原子は、結晶の個々の原子を代用するか格子間位置(interstitial site)に配置される場合には、0次元の欠陥として存在し得る。FGの場合には、欠陥とは固有欠陥である。1つの実施態様では、反応をリアルタイムで監視することで、適切な期間(すなわち、グラフェン・シートがフッ素源に暴露する既知の時間)を決定することができる。別の実施態様では、既知の期間は、反応および条件に関する知識に従って予め決定される。この場合、先め決定される時間は、8〜168時間の範囲である。より一般には、該時間は8〜48時間の範囲であり、より好ましくは12〜36時間、または12〜24時間である。
1つの実施態様では、フッ素源は二フッ化キセノンである。他の簡便な固体フッ素源としては、遷移金属フッ化物(例えば、CoF,MnF,CrF,AgF,AgF,ZnF,HgF)および典型元素フッ化物Al (即ち、フッ化アルミニウム),PbF,PbF,SbFTl(即ち、フッ化タリウム),BiFが含まれる。別の実施態様では、液状のフッ素化剤が好ましく、フッ素含有ハロゲン間化合物BrF,IF,BrFおよびIF,AsF,SbFおよびSeFが挙げられる。別の実施態様では、ガス状のフッ素化剤を使用することができ、例えば、フッ素元素、CIF,CIF,BF,NF,PF,PF,SiF,SF,SOF,SOF,S0およびCOFが挙げられる。また、上記の2つ以上を組み合わせて使用することもできる(例えば、混合金属フッ化物)。場合によっては、これらフッ素源のうちのいくつかを間接的に生成することも可能である(例えば、ハイドロフルオロカーボンなどを調製するのに用いられている方法に類似の方法を使用し、高温下で酸化物およびHFから生成する)。
反応温度は、通常、70°〜450°Cの範囲である。1つの好ましい実施態様では、反応は200°〜450°Cの温度で進行する。別の実施態様では、反応は70°〜200°Cの温度で進行する。反応は、室温近傍または室温からやや高い温度で進行することもできる(すなわち、20°〜70°Cの範囲で)。
反応は高圧下で行なわれる。通常、該圧力は、5バール〜150バールで行われる。より一般には、該反応は、10〜100バールの圧力で進行し、より好ましくは50〜100バールの圧力である。場合によっては、該反応は、大気圧近傍または大気圧からやや高い圧力で進行することもある(すなわち、1〜10バールの範囲で)。したがって、該反応は、広範な温度および/または圧力の範囲で可能である。
慎重に反応条件を制御することは重要である。なぜなら、最適な反応条件は、反応が適切に進行することを確保することと、生成物の脱フッ素化が反応進行より速い割合で起きないことを確保することとの慎重なバランスの結果であるためである。この場合では、本発明に係るフルオログラフェンを得ることは不可能になる。驚くべきことに、本発明者らは、本発明らの反応条件が、フルオログラフェンを確実かつ反復可能に調製できることを見出した。該材料についての1つの問題は、部分的にフッ素化されたグラフェンが、比較的不安定で、フッ素を容易に失うことであり、有意な程度までのフッ素化反応の遂行を不確かにすることである。
本発明のフルオログラフェンは、出発材料グラフェン(C)と比べて全く異なる特性を持つ新規の材料(CF)である。本発明者らは、基礎材料物性のいくつか(例えば、この新規な材料のバンドギャップ、原子構造、機械的強度、化学組成および抵抗率)が、公知の材料とは著しく異なることを示した。
従来の研究者は、グラフェンのフッ素化を試みているものの、完全に成功したとは言えず、純粋なフルオログラフェンは得られていない。出発原料は、グラフェンでもグラファイトでもなくグラファイト酸化物であるが、これは、グラフェン自体に生じることが予想される問題のためである。すなわち、フッ素化の後、フッ素化サンプル中に酸素があり、それらの化合物の化学組成は、〜COF(グラファイトオキシフルオリドに類似する)である。該材料は、不均質な傾向をもつため、純粋でもなく特に有用でもない。
部分的にフッ素化されたグラフェン(すなわち、0.50未満から1.0までの化学量論比)は、非化学量論的化合物(non-stoichiometric compound)である。これは、本発明によって完全にフッ素化された化学量論的結晶のグラフェンとは構造的および電子的に全く異なる。部分的にフッ素化されたグラフェンは、明確なエネルギーギャップを持っておらず、それによって、室温断熱性のCFとは対照的に、室温で電流を充分に伝導しないこととなる。
従って、高い化学量論比を有するフルオログラフェン(すなわち、本発明による)は、オプトエレクトロニクスおよびエレクトロニクス分野(公知のグラフェン誘導体材料が無い分野)に非常に適している。本発明に係る材料の高いフッ素含有量は、保護コーティング、高機能シーリングなどを含む分野でも、さらに有益である。
本発明の材料および方法は、特にスケール(大きさ)によって制限されるものではない。したがって、本発明のFGは、一方の極端な例として、ナノスケールの寸法のグラフェン・シート(すなわち、1〜5nmまたはそれ以上の寸法のシート)から、他方の極端な例として、mmまたはcmで表される寸法のバルク材料として調製することができる。通常、10nmまたはそれ以上のプレートまたはシート、すなわち、一つの寸法が10nmまたはそれ以上あり、他の寸法がそれ以上(例えば、50nmまたはそれ以上)であるようなプレートまたはシートとして製造することができる。該材料は、さらに大きい寸法(すなわち、事実上、エッジ効果が重要とならない連続シート)とすることもできる。
本発明者らは、フルオログラフェンの形態で、安定で完全に機能化されたグラフェン誘導体の製造に成功した。重要なことは、本発明者らが製造した材料が、室温で安定なことであり、さらに驚くべきことには、フッ素原子の損失を受けないということである。
場合によっては、不完全なフッ素化が、不安定で原子フッ素を失いやすい生成物をもたらすことがある。本発明者らは、高い化学量論比のFG(すなわち、フッ素:炭素比が0.50:1以上)が、フッ素の損失に対して安定であることを見出した。理想的には、全フッ素含有量は、達成可能な理論的な1:1化学量論比の少なくとも85%であるべきであり、より一般には、この値の少なくとも90%であるが、その目的は該生成物の安定性を確実にするためである。これは、結果として得られる生成物が、要求される程度で、転位(dislocation)または欠陥(defect)が無いことも確実にする。
ここで、フッ素で処理されたグラフェンを、概括的な用語でフルオログラフェン(FG)と呼ぶ。また、完全にフッ素化された(FF;fully fluorinated)グラフェンを、PTFE(FF 1 D炭素鎖)、または、フッ化グラファイト(GrF)(バッテリー内や潤滑油(lubricant)として使用される3D化合物)のいずれかの二次元(2D)相当物とみなすこともできる[Ruff, V.O. & Bretschneider, O. Die reaktionsprodukte der verschiedenen Kohlenstoffformen mit Fluor II (Kohlenstoff-monofluorid). Z. Anorg. Allg. Chem. 217, 1 -18 (1934) and Watanabe, N., Nakajima, T. & Touhara, H. Graphite fluorides (Elsevier, Amsterdam, 1988)]。本発明者らは、本発明の新規材料について、上記と同様の使用を予想している。
本発明者らは、2つの相補的なアプローチを使用してFGを調製した。1つは、市販のGrFに対する機械的劈開(mechanical cleavage)である [Novoselov, K.S., Jiang, D., Schedin, F., Booth, T.J., Khotkevich, V.V., Morozov, S.V. & Geim, A.K. Two-dimensional atomic crystals. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 10451 -10453 (2005) and Cheng, S.H., Zou, K., Gutierrez, H.R., Gupta, A., Shen, N., Eklund, P.C., Sofo, J.O., Zhu, J., Okino, F. Reversible fluorination of graphene: towards a two-dimensional wide bandgap semiconductor. arxiv:1005.01 13 (2010)]。
このようにして製造された白色粉末状の材料は、多くの構造的欠陥を含むもので[Kita, Y., Watanabe, N. & Fujii, Y. Chemical composition and crystal structure of graphite fluoride. J. Am. Chem. Soc. 101 , 3832-3841 (1979)]、そのことによって、その単層が非常に脆弱なものになるとともに破裂が生じやすくなるために、本発明者らは、約1μmより大きな原子面を取り出すことができなかった。それらは、以下に示すラマン測定で使用した。
大部分の実験に適する大規模なFGサンプルを調製するために、本発明者らは、グラフェンを、二フッ化キセノン(XeF2)の分解によって生じた原子Fに曝露するという代替アプローチを使用することが簡便であることを見出した。このアプローチは、プラズマ(グラフェンの水素化に使用される)中で起こり得るフッ素化について明確な利点があり、その理由は、XeF2の使用が、イオン衝撃による任意の潜在的な損失を回避するためである。このことは、本発明に係る生成物の構造的無欠性(完全性:integrity)性を確実にすることを促す。さらに、XeF2によるフッ素化は、簡素で危険性の低い方法であって、任意の実験室で実施可能な方法である。
図1は、グラフェンをフルオログラフェンに変換する方法を示す。工程1:グラフェン結晶は、酸化したSiウエハー(300nmのSi02)上に劈開(cleave)し、ポリマー薄層(100nmのPMMA)で被覆される。工程2では、グラフェンが結合したこの層が、3%のKOH下でSi02をエッチングすることにより剥離(lifted off)される。フィルムは液状でTEMグリッド上に取り出される。その後、PMMAは臨界点乾燥法(critical point dryer)の使用によりアセトン中で除去される(工程3)。その光学顕微鏡写真は、1つのクァンティフォイル−金(Quantifoil-Au)グリッドを示す。クァンティフォイル(Quantifoil)メッシュのサイズは7μmであり、グラフェンは全Auセルを被覆する。工程4では、グラフェンがフッ素化される。該方法はグローブボックス中で行うが、それはHFに生じるいかなる湿気も回避するためである。工程4の挿入図は、FGで完全に被覆された1つのクァンティフォイル(Quantifoil)セルのTEM顕微鏡写真を示す。それは、アパーチャ(aperture)内の小さなダスト粒子(dust particles)として見ることが可能である。輸送実験として、FGが酸化したSiウエハー上に転送される。その後に、電子線リソグラフィを含む微細加工法を用いて、デバイスが作製される(工程5、6)。
本発明の実験で使用するFGサンプルを得るための処理チャートを図1に示す。要約すれば、本発明者らは、標準的な劈開技術を用いて、大きなグラフェン結晶(>100imのサイズ)を調製した[Novoselov, K.S., Jiang, D., Schedin, F., Booth, T.J., Khotkevich, V.V., Morozov, S.V. & Geim, A.K. Two-dimensional atomic crystals. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 10451 -10453 (2005)]。XeF2が速やかにSiをエッチングし、アモルファスなSi02の厚い層にまでも容易に拡散するため、フッ素化処理にSiウエハーを使用することは不可能と思われた。化学的に不活性な担体を使用する必要性と、完全なフッ素化には両面からのグラフェンの曝露を必要とする事実との兼ね合いで、本発明者らは、劈開した結晶を、透過型電子顕微鏡法(TEM)で使用するAuグリッド上にトランスファーした。グラフェン(フッ素化後に、より脆弱になる)を十分に支持するために、本発明者らは、クァンティフォイル(Quantifoil)で被覆されたAuグリッド、すなわち、リソグラフィパターン化ポリマー・フィルムを使用した(図1参照)。その後、サンプルは、XeF2とともにPTFEコンテナーに置かれ、70℃に加熱した(高温では反応を促進した;さらに高温を適用した場合にはグリッドを破壊した)。
その後、結果として得られたサンプルは、ラマン、TEMおよび光学研究のために使用し、原子間力顕微鏡(AFM)によって調べた。本発明者らは、この材料のラマン、光学、電子顕微鏡法観察、機械的および輸送研究を行ない、この材料が、約3eVのギャップ、およびグラフェンよりもわずかに(約1%)大きな格子定数を有する半導体であることを見出した。フルオログラフェンは、約100 N/mのヤング係数、および約15N/mという見事な破壊強度を示す。
水素化したグラフェンとは異なり、フルオログラフェンは、強い絶縁性があり(抵抗値>1012Ω)、室温条件下だけでなく400°Cまでの温度でも安定性がある。グラフェンの安定的な半導体相当物は、出発原料によってその可能性の範囲が広げられるものであり、特定の要件(例えば、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクス分野において)を満たすように修飾することが可能となる。
電気的な特性に関して、FGは、TEMグリッドから酸化したSiウエハー上にトランスファーした。これは、ウエハーに対してグリッドをプレスすることによって、または毛管移動法(capillary transfer method)(例えば、Meyer, J.C., Girit, CO., Crommie, M.F. & Zettl, A. Hydrocarbon lithography on graphene membranes. Appl. Phys. Lett. 92, 1231 10 (2008)に記載されている)を用いて行った。後述するいくつかの実験では、グラフェンは、クォーツおよびSiCウエハー上で直接フッ素化も行い、追加のトランスファー無しで確認を行った。
図2は、FGのラマン特性図を示す。(A) 原子Fに曝露したグラフェン薄膜のスペクトルであり、常に、同一ラマン条件(レーザー波長514.5nm)下で毎時間測定したものである。各曲線は、分かり易くするため、ずらしている。(B)Dおよび2Dピークのインテンシティ(Gピーク強度に関して規格化されたもの)であり、フッ素化時間の関数である。実線による曲線は視覚的なガイドである。(C) 本発明のFF薄膜と、GrFおよびその単層とのの比較である。該測定は同一条件下で実施した。各曲線は、分かり易くするため、ずらしており、GrFの1つは50倍率である。
グラフェンのラマンスペクトル(原子Fに対するその連続的な曝露による)は、図2に示される。最初に、顕著なDピークが出現することがわかる。これは、グラフェン格子上で、原子スケールの欠陥が出現していることを示すものである。フッ素化時間の進行とともに、二重共鳴バンド(一般に2DまたはG'ピークという)が消滅する一方で、DおよびGピークのインテンシティの比率は、ほぼ同じままである。
飽和は約20時間後に達成され、さらなるフッ素化処理では変化がほとんど生じない(図2b)。この挙動は、水素化したグラフェンで観察されたものとは完全に異なるもので、この場合には、2Dバンドが常に強い状態を維持しており、さらに著しい変化がフッ素化処理によって引き起こされることを示唆している。部分的にフッ素化されたグラフェン(10〜20h)は、GおよびDピークでの比較可能なインテンシティ、および比較的小さな2Dバンドも有するGOのそれと共通点のあるラマン・スペクトルを示す。
しかしながら、グラフェン薄膜が十分に長くフッ素化処理される場合、2Dピークは完全に消滅し、GおよびDのピークは同一検出条件下でのGOよりもはるかに小さくなる。かくして、本発明者らは、正確な反応条件を使用することが、プロセスの重要部分であることを見出した。反応時間は、実質的には、完全なフッ素化(ここでは、理論的最大値の少なくとも85%のレベルでのフッ素化を指す)が生じることを確実にするための要素である。該反応は、8〜168時間行なわれるべきであり、より好ましくは12〜24時間である。20〜24時間の時間が便宜的である。
図2cは、FFグラフェンのラマンスペクトルに対して、GrFと、さらに後者から取り出した単層とを比較したものである。ノイズレベルの範囲内では、これらすべてのスペクトルが、予想通り、ほぼ同一であることが理解される。2Dピークは強く抑えられているかまたは欠如しており、GおよびDピークのインテンシティはすべての場合でほぼ等しい。GrFにおける50倍のより強いシグナルは、多くの原子層からの累積的な寄与に依るものである。本発明者らが見出したFGとGrFを区別するための唯一の再現性のある特徴は、2575cm-1での小さなピークである(その生成原因は未だ分かっていない)。図2は、グラフェンとFG/GrFのラマンスペクトルの主要な違いが、後者の材料におけるすべてのラマン特性が強く抑制されていることを明示している。この事実は、FFグラフェンが可視周波数で透明になることに因ると考えられる。事実、理論によれば、たとえギャップが測定されていなくても、GrFはEgが約3.5eVであり(つまり、グリーンレーザー・エネルギーより大きい)、この理由は恐らく、材料が通常、乳白色パウダーの形態で得られるためである。
図3は、FGの透過型電子顕微鏡写真を示す。(A)FG薄膜からの回折像、(B)顕微鏡写真(例えば(a)で示されるもの)を使用して測定された格子定数d。比較のために、同様の測定を、薄膜に対して、フッ素化処理(左のヒストグラム)の前に行った。点線は、グラファイトのdを示す。
FGに関する構造情報はTEMの使用により得た。図3aは、FG薄膜の電子回析顕微鏡写真を示す。その写像は、完全な六方対称性を形成しており、プリスティン(pristine)なグラフェンで見られるものと質的に似ている。本発明者らは、このことが、フルオログラフェンの予期外の安定性を説明し得るものと考えている。
FGの単位セル(unit cell)は、グラフェンのセルに関してわずかに拡大しており、これは、水素化したグラフェン(圧縮した格子(compressed lattice)を示す)の場合とは対照的である。FGの格子は、すべての確認されたFG薄膜に対して同じものと分かり、その拡張は等方性(isotropic)を有するものであった(軸歪み(axial strain)は無い [Elias, D.C., Nair, R.R., Mohiuddin, T.M.G., Morozov, S.V., Blake, P., Halsall, M . P. , Ferrari , A. C. , Boukhvalov, D.W. , Katsnelson , M . I . , Geim , A. K. & Novoselov, K.S. Control of graphene's properties by reversible hydrogenation: Evidence for graphene. Science 323, 610-613 (2009)])。
図3bは、グラフェンおよびFGの格子定数dのヒストグラムを示す。表示数値の幅は、dの精密測定におけるTEMの限界精度による。それにも関わらず、FGがグラフェンよりも約1%大きい単位セル(すなわちd=2.48 A)を有することが明確に理解される。観察された増分は、GrFの場合(公知のdは、グラファイトより2.8〜4.5%大きい)より小さい [Cheng, S.H., Zou, K., Gutierrez, H.R., Gupta, A., Shen, N., Eklund, P.C., Sofo, J.O., Zhu, J., Okino, F. Reversible fluorination of graphene: towards a two-dimensional wide bandgap semiconductor. arxiv:1005.01 13 (2010), Kita, Y., Watanabe, N. & Fujii, Y. Chemical composition and crystal structure of graphite fluoride. J. Am. Chem. Soc. 101 , 3832-3841 (1979) and Touhara, H., Kadono,K., Fujii,Y. & Watanabe, N. On the structure of graphite fluoride. Z. Anorg. Allg. Chem. 544, 7-20 (1987)]。炭素原子の面外変位(out-of-plane displacements)が、周囲の3Dマトリックスによって制限されないとすれば、FGにおいてdが小さくなっているのは、2Dシートが強い原子間のコルゲーション(corrugation)を受け得る事に起因しているのであろう。
反応温度は、プロセス管理の重要な要素である。選択する温度は、より高温で増大する動力学(kinetic)についての有利な点、より大きな生成物の不安定性についての不利な点、および反応が充分に進行し得る条件を与える必要性の間のバランスに対応する。該反応は、50〜400℃の温度範囲内で効率的に行なうことができる。70〜200°C、または200〜450°C の温度を使用した。好ましくは、200〜400°Cの範囲の温度である。
図2aで示される完全なおよび部分的なフッ素化に関するラマン特性図は、高温のTで、および様々な化学物質への暴露に関して、FGの安定性を確認することを可能とした。数時間のみフッ素化処理を行ったグラフェンについて、該プロセスは大部分が可逆的であることが分かり(水素化処理の場合と同様である)、アルゴン水素混合気(10%のH2を含む)下での250°Cの短いアニール(annealing)によって、ほとんどプリスティン(pristine)な状態(Dピークがわずかに消失している)に薄膜を戻すことができた。より広範囲なフッ素化処理(>20h)の後、450°Cでのアニールでさえ、2Dピークを復元することができなかったが、24h後にDおよびGのピークは顕著に増大し、例えば、図2aの中央の曲線上で、インテンシティ(強度)が類似するようになったが、これは、著しい量のフッ素が炭素骨格に付加(結合)し続けたことを示している。FFグラフェンについては、そのラマンスペクトルは、200℃までのTでは変化せず、Fの損失は、400°C以上でのアニールでのみ顕著となった。
本発明に係るFGは、水、アセトン、プロパノールなどのような液体中や室温条件下でも、安定性があることが分かった。化学的安定性は、フッ化グラファイトおよびPTFEに似ていると考えられる。試験は、リソグラフィプロセスと共通する化学物質を含む。特筆すべきことは、本発明者らがフッ化グラファイト(C2F)(比較のための第2ステージインターカレーショングラファイト化合物)も調べたことである。この材料は、比較的容易に剥離(exfoliation)できたが、上記液体のうちのいずれの中でも不安定であった。その単一(および少数)層の結晶は、室温条件下でさえ不安定であり、強くダメージを受けたグラフェンまたは分解したGOに似た状態へと急速に分解した。FGの安定性についてのさらに詳しい情報は、後述する輸送実験で得た。
さらに、本発明者らは、この新規材料の光学特性を調べた。
図4は、フッ素化処理によるグラフェンの光透過性(optical transparency)の変化を示す。
上側の曲線はグラフェンであり、実験誤差の範囲内で、「Nair, R.R., Blake, P., Grigorenko, A.N., Novoselov, K.S., Booth, T.J., Stauber, T., Peres, N.M.R. & Geim, A.K. Fine structure constant defines visual transparency of graphene. Science 320, 1308-1308 (2008)」に示されている低Eデータに従っている。従来から知られている範囲(<3eV)のほかに、グラフェンは紫外線に吸収ピークを示す[Kravets, V. G . ,Grigoren ko, A. N . , Nair, R. R. , Blake, P. , An issimova , S. , Novoselov, K.S. & Geim, A.K. Spectroscopic ellipsometry of graphene and an exciton-shifted van Hove peak in absorption. Phys. Rev. S 81 , 155413, (2010)]。部分的にフッ素化されたグラフェンは、より高い光透過性(optical transparency)(中央の曲線)を示す。FFグラフェンは、E≦3eVで透過性(transparent)があるが、紫外光(violet light)を吸収し始める。大きな白丸は、TEMグリッド上のFG薄膜であり、薄フィルタ顕微鏡観察(narrow-filter microscopy)(Nair, R.R., Blake, P., Grigorenko, A.N., Novoselov, K.S., Booth, T.J., Stauber, T., Peres, N.M.R. & Geim, A.K. Fine structure constant defines visual transparency of graphene. Science 320, 1308-1308 (2008)で使用されている)によって評価した。破線は、0およびπα不透明度(opacities)を示す。べた黒の曲線は、Eg=3eVの2D半導体として期待される吸着挙動である。
FGでの弱く、ほとんど存在しないラマン信号(Raman signal)は、その高い光透過性(optical transparency)を示唆している。図4は、プリスティン(pristine)で部分的なFFグラフェンの吸収スペクトルが示されることで、この定性的な示唆を与えている。該測定は、クオーツウエハー上に沈積され、その後70℃のXeF2下(無湿気雰囲気下でクオーツを破損しなかった)でフッ素化されたグラフェンに対して行った。この方法は、大きな結晶(>100μmの大きさ)(標準的な光学分光に適する)を得ることを可能にした。結晶の透過性は、ウエハーに関して測定した。
図4の上側の曲線は、プリスティン(pristine)なグラフェンである。光エネルギーE<2.5eVでは、フラットな吸収スペクトルabs(E)が、πα(αは微細構造定数)が約2.3%である「普遍的な不透過度」(universal opacity)とともに示される。この普遍性からの強い逸脱は、青色領域で生じ、グラフェンの不透過度(opacity)は、4.6eVでピークとなり3倍に増える。これは、グラフェンの電子スペクトルが、約2.5eVのホッピングエネルギー [Nair, R.R., Blake, P., Grigorenko, A.N., Novoselov, K.S., Booth, T.J., Stauber, T., Peres, N.M.R. & Geim, A.K. Fine structure constant defines visual transparency of graphene. Science 320, 1308-1308 (2008) and Stauber, T., Peres, N.M.R. & Geim, A.K. Optical conductivity of graphene in the visible region of the spectrum. Phys. Rev. B 78, 085432 (2008)]近傍のエネルギーにおいて、もはや線形ではなく、その状態密度でファン・ホーヴェ特異点 (van Hove singularity)を示すという事実に拠る。特筆すべきは、そのピークが低E末部(low-E tail)を持ち、明らかに非対称であるということである(励起子効果に起因する)。
クオーツ上でフッ素化したグラフェンについて、その状態は、先ず、ラマン分光法によって評価した。Fは、グラフェンとクオーツとの間に拡散するはずであるが[Watanabe, N., Nakajima, T. & Touhara, H. Graphite fluorides (Elsevier, Amsterdam, 1988)]、グラフェン・シート底面での原子Fの濃度は、低反応性F2への再結合により制約されていることが考えられる。このため、グラフェン薄膜に対して9時間の後に達成されたのと同様のフッ素化状態に達するには数日を要した(図2a参照)。部分的にフッ素化されたグラフェンは、全E範囲(図4)にわたるグラフェンについては高い透過性(transparency)を示したが、可視光線については、その不透過度(opacity)は約0.5%まで低下した。不純物散乱が光学伝導度に有意な減少をもたらすことは予想されないため、部分的なフッ素化状態(fluorination state)での高い透過性(transparency)は、グラフェンの電子スペクトルでギャップが開くことによってのみ説明される。残りの吸収(remnant absorption)は、フッ素化されないままとなっている微視的領域に拠る(GOの場合と同じである)。
フッ素化処理が数週間経過した後、図2aの上側の曲線に一致したラマン状態(Raman state)を達成した。当該FF状態は、可視周波数で完全に透過性(transparent)を有することが分かり、青色領域(図4のより低い曲線)のみで、光の吸収を開始した。このことは、本発明のFGが、ワイドギャップ半導体であることを示している。この結果を確認するために、[Nair, R.R., Blake, P., Grigorenko, A.N., Novoselov, K.S., Booth, T.J., Stauber, T., Peres, N.M.R. & Geim, A.K. Fine structure constant defines visual transparency of graphene. Science 320, 1308-1308 (2008)]に記載の技術も使用し、1組の狭帯域フィルタ(narrow-pass filters)を用いることによって、光学顕微鏡で得た画像を分析した。このアプローチでは、測定は可視スペクトルに制限されるものの、小さなグラフェン薄膜(TEMグリッド上で直接得られ、広範囲にフッ素化されている)のスペクトル観測を可能とした。不透過度(opacity)は、電子顕微鏡法アプローチ(図4中の大きい記号)により利用可能なすべての周波数で、これらのサンプルでは検知されなかった。
バルク半導体とは異なり、2D材料は、ギャップ・エネルギー以上のEでさえ部分的に透過性(transparent)を維持している。
FGの電子物性を評価するために、フッ素化されたグラフェンの電子伝達(electron transport)も調査し、サンプルをクァンティフォイル(Quantifoil)から酸化したSiウエハー上にトランスファーし、多端子デバイス(multi-terminal devices)(図5に例示する)を作製した。
図5は安定したワイドギャップ2D半導体を示す。(a)アニール(annealing)によって引き起こされたFGのρの変化。175°CまでのTAで変化は検知できなかった。より高いTAでは、FGの抵抗値は1012Ω以下に低下し、実験で測定可能になる。非線形I-V特性のため、プロットしたρ値は、1Vの固定バイアスVSD(丸印)で記録した。所定のTAについて、本発明者らは、飽和状態に達するためには約1hを要することを見出した。実線は、約0.65eVのEdesを生み出す指数関数的な相関関係である。挿入図は、隣り合う接点間に2μmの間隔がある1つのデバイスを示す。(b)350°CでアニールされたFGデバイスのI-V特性。最も水平から最も急勾配となる曲線が、T=100、150、200、250および300 Kでそれぞれ測定された。倍率Aは、挿入図中にプロットした。実線は、exp(Eh/T)に最も適合している。
弱くフッ素化されたグラフェン(図2aの1hカーブと同じラマンスペクトルをもつ)でさえ、高い絶縁性を有していることが分かり、メガオーム範囲(すなわちグラフェンより3桁以上)で、室温Tで抵抗値ρを示した。これは、フッ素化処理と水素化処理との相違を明確に示す(後者は、結果として室温Tではρがあまり増加しない)。FFグラフェンから作製されたデバイスは、10VまでのバイアスVSDで(寄生導電率(parasitic conductivities)のため0.1 nAまでの検出限界内で)漏洩電流を示さなかった。該デバイスが、通常、10〜100の幅-長さ比率(width-to-length ratios)をもつことを考慮すれば、室温Tで1012オームより大きいFGのρが下限に設定される。そのような高い絶縁状態は、FGの電子スペクトルでワイドギャップが開くことに合致している。
電気的測定は、ラマン分光法より詳細に、FGの熱的安定性を調べることを可能とした。図6aは、アルゴン水素雰囲気下での異なる温度TAにおけるアニール(annealing)によって引き起こされた電気伝導率の変化を示す。FGを流れる電流は、175℃までのTAでの長時間アニール(prolonged annealing)後には、検知できなかった。より高いTAでは、FGは導電性が弱くなり(図5a参照)、また、350℃もの高いTでは、1Vの大きなソースドレイン電圧VSDを適用した場合には、有効抵抗値ρ=V/lは、約1GΩまで低下する。この挙動は、アニール(annealing)を起因とするラマンスペクトルで見られる変化と合致している。図5aのρ(TA)依存は、脱離エネルギー(desorption energy)Edesが約0.65eVである関数形式exp(Edes/TA)によって、よく表される。検出されたEdeは、約5.3eVのC-F結合エネルギーより著しく低く、これは、初期の脱離(desorption) が、恐らくは欠陥部位(defective sites)から生じることを示している。分解が構造欠陥(structural defects)および歪み領域(strained regions)から開始するという事実は、実質的にフッ素化されたグラフェンを調製することがこれまでできなかった理由の1つであると考えられる。主な問題(特に高温で)は、分解反応速度が、反応が実行可能な状態で進行できない程度まで促進されることであると考えられていた。
FGの熱的安定性が、GrFより高くPTFEに近いことを強調することは重要である。GrFは、既に300℃で完全に分解する。FGのより高い安定性は、FGに構造欠陥(structural defects)が実質的に無いこと、および歪み(strain)があまり無いことに帰着される。
PTFEは、T>260°Cで遅い分解を示し、その急速な分解が400°C以上でのみ生じる[Conesa, J.A. & Font, R. Polytetrafluoroethylene decomposition in air and nitrogen. Polym. Eng. Sci. 41 , 2137-2147 (2001 )]。輸送測定(transport measurements)は、小さな構成的変更(200°C以下では何も示さない)に敏感である一方で、上述したラマンスペクトルは、400°C以上でのみ相対的に著しいFの損失を示した。これらの特性は、PTFEと同様である。
さらにアニールすることで部分的に縮小したデバイスの電気的測定によって、該材料がワイドギャップ半導体であることを確認した。この目的のために、高温のT=350°C(図5b)で縮小したFGのI-V特性を測定した。仮にI軸(図示せず)に沿って測定した場合には、それらは単一のIV曲線上で急降下する。見つかったプレファクターΓは、挿入図中にプロットした。ΓのT依存は、Eh =約0.6 eVの活性化関数exp(Eh/T) によってよく表される。その値は、光学的測定から予想される活性化エネルギーEg/2=約1.5eVより小さい。これは、ギャップ内部の不純物状態(impurity states)の広帯域(broad band)を生み出すが、それはアニール(annealing)中に顕れるフッ素空格子点(fluorine vacancies)に帰する。この場合には、電子伝達(electron transport)が、不純物帯(impurity band)から伝導帯(conduction band)または価電子帯(valance band)までの活性化によって生じる(ディープドーパント密度の高い半導体に共通するメカニズムである)。FF状態(アニール前)では、不純物帯(impurity band)がより狭くなることが予想され、それによって、Ehがより高くなり、検出限界を超える電気伝導率が抑制される。
本発明者らは、該生成物の剛直性(stiffness)および機械的強度も調べた。AFMを使用して、FF薄膜の機械的特性に関する情報を得た。
図6は、FGの機械的特性を示す。(a) -グラフェン(青)およびFG(赤)薄膜の荷重曲線の一例。破壊荷重は丸囲み×印で示される。これらの破壊点まで、曲線は非ヒステリシスであった。上下の挿入図:各々、破砕前後のFG薄膜のAFM画像。当該画像の側面のスケールは、それらの幅2.2μmで示される;Z縮尺(Z-scale)は約100nmである。(b) グラフェン(ハッシュ部)およびFG(無地部)に関する破断荷重のヒストグラム。すべての薄膜(各タイプのうちの15個)を、同一のクァンティフォイル(Quantifoil)上に置き、半径約15nm(SEMで測定)をもつ同一のAFMチップによってパンチ(punch)した。
これら実験でのFGの担体として、周期的配列の円形アパーチャ(図6aのAFM画像、挿入図を参照)をもつクァンティフォイル(Quantifoil)を使用した。実験の配置および分析は Lee, C, Wei, X.D., Kysar, J.W. & Hone, J. Measurement of the elastic properties and intrinsic strength of monolayer graphene. Science 321 , 385-388 (2008)に記載されたものと同様である。つまり、AFMチップは、FG薄膜の中心上に配置し、下へ動かして、へこませた。AFMカンチレバーの曲がりを、その変位の関数として記録し、薄膜に作用する力を、そのカンチレバーの剛性(rigidity)から算出した。図6aは代表的な荷重曲線を示す。参照基準として、同一のクァンティフォイル(Quantifoil)グリッド上でプリスティン(pristine)なグラフェンを使用した。これによって、結果に対するクロスチェックが可能となり、ポリマー骨格荷重にも応答する有限の剛性を原因とする系統誤差の回避が可能となった。力‐変位曲線(force-displacement curve)の分析から、FG=約100±30 N/mまたは0.3TPaのヤング率Eを得た。(つまり、FGはグラフェンより3倍、剛直(stiff)ではない。)
FGの破壊強さを測定するため、薄膜が崩壊するまで、へこませた(図6a)。破断荷重の観測値は、図6bにまとめている。グラフェンおよびFGは共に、同様なヒストグラムを示すが、グラフェンは、平均約2.5倍のより高い強さを示す。このことから、従来測定された強さ(=約42N/m)をプリスティン(pristine)なグラフェンに適用すれば、FG固有の強さはσ=約15N/mと推定される。Eおよびσは共に、他の材料と比較して極めて高い。また、特筆すべきは、グラフェンおよびFGが、〜15%のほぼ同様な弾性変形(elastic deformation)σ/Eを維持するという点である。このことは、図6aから直接、見受けられる(両薄膜が同様のへこみで壊れている)。FGの大きな破壊強さおよびそれが非常に高い歪み(strain)を支えているという事実は、フッ素化処理の間にあまり損傷を受けないこと、および構造欠陥(structural defects)が実質的に無いことを示している(グラフェンの場合と同様である)。
フルオログラフェン・ペーパー(Fluorographene paper)を調製したが、その目的は、様々な分野でFGの生産がスケールアップ可能であることを示すためである。本発明者らは、上述したタイプのグラフェン・ラミネート[Geim, A.K. Graphene: Status and prospects. Science 324, 1530-1534 (2009)]、およびSiC上のグラフェンをフッ素化処理した。ラミネートは、フィルタ堆積(filter deposition)によって、グラフェン懸濁液(有機液体中でグラファイトを超音波処理することによって調製した)から得た(Hernandez, Y., Nicolosi, V., Lotya, M., Blighe, F. M., Sun, Z. Y., De, S.,McGovern, I. T., Holland, B., Byrne, M., Gun'ko, Y. K., et al. High-yieldproduction of graphene by liquid-phase exfoliation of graphite. Nat. Nanotechnol. 3, 563-568 (2008) および Blake, P., Brimicombe, P. D., Nair, R. R., Booth, T. J., Jiang, D., Schedin,F.,Ponomarenko, L. A., Morozov, S. V., Gleeson, H. F., Hill, E. W., Geim, A. K.,Novoselov, K. S. Graphene-based liquid crystal device. Nano Lett. 8, 1704-1708 (2008)に記載の通りである)
グラフェン結晶子(graphene crystallites)間でのF拡散を含むフッ素化処理プロセスを促進するためには、該ラミネートを200℃でXeF2に曝露することで可能となることがわかった。基板は不要である(AuおよびクオーツはこのTでFと反応した)。10時間が、飽和状態(さらなるフッ素化処理によって変化しない)に達するのに十分な時間であった。特筆すべきことは、同一実験条件下では、グラファイトをフッ素化できなかったことである(GrFを生成するためにはより高いTが要求される[Watanabe, N., Nakajima, T. & Touhara, H. Graphite fluorides (Elsevier, Amsterdam, 1988)])。このことは、厚い結晶子が、フッ素化されないまま該ラミネート中にまだ存在していることを示唆している。
図7は、写真(挿入図)に示す厚さ5μmのサンプルについて、FGペーパーの光透過性(optical transparency)をEの関数で示したものである。該サンプルの大きさは約1cmである。灰色領域は、検出限界(入射光線強度の0.1%)を示す。
従って、図7は、充分なフッ素化処理後のグラフェン・ラミネートの光学写真を示している。結果として得られる材料は、当初のものとは視覚的に区別される(グラファイトに類似する金属性の光沢を持ち完全に黒い)。対照的に、FGペーパーは、数μmの厚さでさえ透過性(transparent)があり、紫外線吸収に対応する茶色がかった色をもつ。これは、FGがワイドギャップ材料であることを直接的に示すものである。写真の暗い染みは、フッ素化できなかったグラファイト含有物に拠る。グラファイト含有物を含む領域以外では、FGペーパーは、FF薄膜と同じラマンスペクトルを示した。FGペーパーの光学スペクトルは図7に示される。光線伝達(light transmission)は、約3.1eVでその徴候が現れる(単一のFG結晶の吸収スペクトルから推測されたギャップ値と極めてよく一致する)。GrFに関してFGのより小さいギャップ(約3.5eVのEgを持つことが予測される[Charlier, J.C., Gonze, X. & Michenaud, J. P. First-principles study of graphite monofluoride (CF)n. Phys. Rev. B 47, 16162-16168 (1993) and Takagi, Y. & Kusakabe, K. Transition from direct band gap to indirect band gap in fluorinated carbon. Phys. Rev. B 65, 121 103 (2002)])は、異なる格子定数または励起子効果を持つ極小コルゲート構造(atomically corrugated structure)が原因となり得る。特筆すべきは、GOペーパーは同系色であるにも関わらず、かなり多くの光を吸収し、サブミクロンの厚さで既に透過性がなくなる(non-transparent)ということである。
さらに、図7のスペクトルは、GOの1つ(明白なギャップを示さないGO)とは定性的に異なる。FGペーパーは、機械的に脆弱であるが、これは、おそらく、個々の薄片間の弱い結合、強い疎水性(フッ化グラファイトに似ている)、ならびに、室温条件下および高温下での安定性によるものと考えられ、個々のFG結晶に関する本発明者らの測定からも予想されるものである。
本発明者らは、グラフェンを原子Fに曝露することによって、ほぼ化学量論的または化学量論的な誘導体(様々な条件下で安定性がある)を得ることができるということを示した。また、本発明者らは、この材料がワイドギャップ半導体であることも見出した。FGの光学および電子物性は、グラフェンおよびグラファンとでは全く異なるが、これは電子スペクトルで大きいエネルギーギャップが開かれることが原因である。
機械的には、FGは非常に強いことが見出されており、これまで知られた最高のグラフェンよりわずかに2-3倍だけ弱い。FGが熱的および化学的に安定であるため、本発明者らは、その電子品質が著しく改善されることで、電界効果をさらに可能とし、グラフェン・エレクトロニクスの新しい分野が次々と提供されると考えている。FGは、高品質な2D絶縁体(例えば、グラフェンデバイス内で局所的な絶縁領域を形成する)として使用することができる。オプトエレクトロニクス(電子品質にあまり敏感でない)でのその使用は、非常に魅力的な好機である。FGおよびPTFEの類似性(絶縁特性と熱的安定性を含む)から、幅広い様々な技術[例えば、保護コーティング、高機能シーリング、エレクトレットなど(フッ化グラファイトよりもむしろPTFEが使用される分野)]で用いられるPTFEの2D相当物になると考えられる。より一般には、FGは、グラフェン系誘導体(GOおよびグラファン)の小群に追加され、且つ、2D原子結晶の成長群を拡張する。
本発明に係る材料の適用は、FG材料の形態は、それ自体であっても、別の材料(群)との組み合わせであってもよい。そのような使用として、次のものが挙げられる:
- 化学物質(chemical)
- 生体適合性材料 (biocompatible materials) / 移植組織(grafts)、
- 腐食物用の化学容器(corrosive chemical containers),
- 抗酸化コーティグ(anti-oxidation coatings)、
- 抗オゾンコーティグ(anti-ozone coating)、
- 燃焼調節剤(combustion modifier)、
- 絶縁体(dielectric)、
- 高RF絶縁体(high RF insulator) - ケーブル(cables) / ポリマー(polymers)/ PCB群(PCBs)、
- カソード(cathode) - リチウムバッテリ(lithium batteries)、
- エレクトレット(electrets) - 磁石の類似体(analogs of magnets)、
- 半導体(semiconductor)、
- ナノスケール・コンピューティング(nano-scale computing)/ エレクトロニクス(electronics)、
- 気体および吸湿バリアフィルム(gas and moisture barrier films)、
- 生体膜(biological membranes)、
- コーティング(coatings)/パッケージ(packaging)/ポリマー(polymers)、
- 非粘着性コーティング(non-stick coatings)、
- ベアリング(bearings)、
- コーティング(coatings)、
- 自己浄化材料(self-cleaning materials)、
- ラジオメトリ(radiometry)、
- 透過性コーティング(transparent coatings)、
- オプトエレクトロニクス(optoelectronics)、
- LED、 レーザー(lasers)、
- 抗湿潤コーティング(anti wetting coating)、
- 着色防止剤(stain repellent)、
- 潤滑剤(lubricants) / 固体潤滑剤(solid lubricant)、
- シール(seals)、
- 塗料(paints) / ポリマー(polymers) / コーティング(coatings)、および
- 日光遮蔽コーティング(anti-sunlight coatings)。
FGポリマー複合材料として、プラスチック材料の分野で、FGには多くの応用がある。
本発明に係るFG−ポリマー複合材料は、任意のプラスチック材料を組込み得る。しかしながら、FPは、それ自体が基本材料に対する融和性(compatibility)および特性を高めるために、該FGのキャリアであることが好ましい。しかしながら、特に興味のある主な樹脂タイプは、以下の通りである:
PTFE
PTFEは、テトラフロオルエチレン・モノマー単位の重合によって得られる。その化学式は、[CF2-CF2]nである。PTFEは、融解して液体状にはならず、さらには融解して押し出し成形(extruded)または射出成形(injection moulded)することはできない。未使用の樹脂(約335℃のPTFEで結合可能なゲルを形成する)は、粒状粉末(granular powder)、凝集ディスパージョン(coagulated dispersion)/微粉末(fine powder)、または水系ディスパージョン(aqueous dispersion)として販売されている。各々は、異なる方法で処理される。
FEP
FEPフッ化炭素樹脂は、化学式[(CF(CF3)-CF2)x(CF2-CF2)y]nで示されるテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体である。融点範囲は、245℃−280℃である。融解加工(melt processible)が可能である。ペレット(pellets)、粉末(powder)、または水系ディスパージョン(aqueous dispersions)の形態で提供される。
PFA
PFAフッ化炭素樹脂は、テトラフルオロエチレンおよび全フッ素置換されたビニルエーテルの共重合体であり、ともに化学式が[(CF(ORf)-CF2)x(CF2-CF2)y]n (ORfはパーフルオロアルコキシ基を示す)で示される。PFAは、約280℃で融解し、融解加工(melt processible)が可能である。半透明ペレット(translucent pellets)、粉末(powder)、または水系ディスパージョン(aqueous dispersions)の形態で入手できる。
ETFE
ETFEは、主としてエチレンおよびテトラフロオロエチレンから成る共重合体であり、その化学式は[(CF2-CF2)x-(CH2-CH2)y]n (第3のモノマーの数パーセントが化学修飾されることが多い)である。融点範囲は、215℃−270℃である。融解加工(melt processible)が可能であり、ペレット(pellets)、粉末(powder)、およびディスパージョン(dispersions)の形態で提供される。
ECTFE
ECTFEは、エチレンおよびクロロトリフルオロエチレンの共重合体であり、その化学式は[(CH2-CH2)x-(CFCI-CF2)y]nである。第3のモノマーの数パーセントが化学修飾されることが多い。分子構造に拠るが、融解範囲は、190−240℃である。半透明ペレット(translucent pellets)の形態、および微粉末(fine powder)として入手できる。
PVDF
PVDFは、化学式が[CH2-CF2]nであるフッ化ビニリデンのホモポリマー、または化学式が[CF(CF3)-(CF2)x(CH2-CF2)y]nであるフッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体である。PVDFポリマーは、約160℃で融解し、融解加工(melt processible)が可能であり、粉末(powder)、ペレット(pellets)、およびディスパージョン(dispersions)の形態で提供される。
MFA
MFAは、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロメチルビニルエーテルの共重合体である。PFAポリマーの一般分類に属する。MFAは、280℃で融解する。半透明ペレット(translucent pellets)、および水系ディスパージョン(aqueous dispersions)の形態で入手できる。
THV
THVは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンからなるターポリマーであり、その化学式は[CF(CF3 )-CF2 )x(CF2- CF2)V(CF2- CF2)z]nで示される。THVは、120℃〜230℃の融点(グレードに拠る)で融解加工(melt processible)が可能である。ペレット(pellets)、凝集粒子(agglomerates)、または水系ディスパージョン(aqueous dispersions)として入手できる。
フルオロポリマーの最も重要な特性の1つは、耐熱性である。耐化学性および優れた安定的な電気特性と相まって、フルオロポリマー樹脂の耐熱性は、極めて用途の広いエンジニアリング材料の群を生み出す。これら他に類を見ない特性は、発火の際に[流体の封じ込め(containment)もしくは閉鎖(exclusion)、電気過負荷(electrical overload)、および同様な非常時に]要求される所定の望ましい挙動特性を提供し得る。しかしながら、これら樹脂が燃焼する際には、有毒物の放出が起こり得る。
フルオロポリマーは、最も熱的に安定している公知のポリマーの1つであるが、高温に加熱された場合、緩やかに分解をし始める。公表されている結果は、分解が発生する正確な温度について異なっている。これは、微量元素放出(trace element emissions)を分析することの困難性を示している。しかしながら、有意な分解は、推奨された連続使用温度以上でのみ生じる。
放出される分解生成物の量は、ポリマーの標準加工温度(normal processing temperature)より大きい温度に到達するまで、少ないままである。フルオロポリマーの熱分解率は、温度の比重測定法に関するアナライザ(thermogravimetric analyser)を使用して測定できる。温度は、通常、20℃/分で、室温から試験温度に上げる。その後、サンプルを一定温度に保持し、その重量損失を測定する(等温下での重量損失)。重量損失の割合は、試験対象のポリマーの熱的安定性に対して適切となる一連の一定温度で測定される。
FGがフルオロポリマー(FPs)の重要な制約を幾分か相殺できるため、通常のフルオロポリマーの範囲外でも適用できることに留意することは重要である。FGは、フッ素化処理されていない系も強化し得る。従って、FGは、高機能エンジニアリング・プラスチックおよびより低機能な多くの樹脂についての主要な分類のすべてで、広範な典型的適用に有用性を持ち得る。これらは次のものが挙げられる:すなわち、ポリエーテルスルホン(polyethersulfones)、ポリエーテルイミド(polyetherimides)、ポリフタルアミド(polyphthalamides)、 ポリフェニレンスルフィド(olyphenylenesulfides)、 ポリアリールエーテルケトン(polyaryletherketones)、ポリアミドイミド(polyamideimides)、ポリイミド(polyimides)、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazoles)、液晶ポリエステル(liquid crystalline polyesters)、フルオロポリマー(fluoropolymers)、ポリアミド(polyamides)、およびポリエステル(polyesters)。さらに、より小さく、より速いデバイス(より厳しい環境で作動する)に向かっている産業界の動向を考慮すると、最先端技術におけるFGの潜在的な用途がある。
FGの最も注目されるべき使用[その比類なき特性からの利点を得るために、その適用(例えば、エレクトロニクス、光学、または物理的組成物として)において、単独で使用しない場合]は、キャリアとして機能する他の材料に対する添加剤(additive)としての使用がある。FGは、コーティング剤として(それ自身の特性によるか、または少量のバインダーを添加して)使用してもよい。
FGを加えた基礎材料の特性を、種々に強化し得る方法は多くある。一または複数の性質の強化、および該強化の程度は、その他の材料の性質およびFGの添加量に依存する。通常、FGは、複合材料の全重量に対して重量比0.01%〜10%で添加し、より一般には、約0.01〜5%である。より好ましくは、FGは、複合材料の0.1%〜5%を占め、最も好ましくは、0.1%〜2.0%を占める。その他の実施態様としては、FGの添加量は、0.01%〜95%までの範囲とすることができる。これは、FGが、バインダーとして機能するのに適するFPの量を含んで使用される場合となり得る。このような使用に関する実施態様では、該上限は95%、85%、60%、40%、または30%とすることができる。バインダーの使用が非常に好ましい場合もある。
機械的特性の改善は、複合材料にとって重要な側面である。FGは、高い強度および弾性(modulus)により、物理的補強材として機能する。このような補強の効果は、マトリックス、FGの寸法、およびマトリックス内でのFGの分布の適合性(compatibility)に依存する。FGは、FPだけでなく、部分的にフッ素化されたポリマーおよびその他の材料も補強することが期待できる。疲労強度、クリープ、および耐割れ伝播は、大幅に改善され得る。
複合材料に重要なその他の特性上の改善は、高温での性能に関連する。複合材の熱性能については、単独の物理的補強から予想される以上に、FGの存在によって強化される。その理由は明らかではないが、FGは分子スケールで材料も固定化し、これによって樹脂中のTgが向上し、補強されるものと考えられる。
耐化学性は、複合材料に重要なさらなる特性上の改善である。FGを含有する複合材は、広範な化学物質に対して優れた耐性をもつと予想される。優れたバリア性が与えられるとみられ、添加された樹脂の耐化学性が、さらに強化され得る。
同様に、耐放射性(radiation resistance)も良好であることが予想される。このため、紫外線抵抗性(UV resistance)が非常に良好であると考えられ、また基礎材料自体については、硬放射線(hard radiation)の耐性までも改善され得る。
FGは優れた電気特性をもつ。FGは絶縁性があり、その機械的強度により、その添加した複合材の絶縁破壊強度(dielectric breakdown strength)が強化され得る。FGは、複合材料の誘電率を変更するために使用することもできる。
上記の特性を考慮すると、本発明による複合材料にとって、多くの応用が見込まれる。全体にわたる主な利点は、比較的、強度(strong)および硬度(stiff)があり、耐クリープ(creep)および耐摩耗性(wear resistant)を有するFG群を生み出す可能性があるということである。このことが、新規な応用を切り開き得るとともに、既存の応用範囲を拡張し得る。
FGを、いろいろなFPおよび他のポリマー材料にも添加することによって、それらの特性が強化される。これは、強度(strength)、弾性(modulus)、耐クリープ(creep)、および耐摩耗性(wear resistant)の強化が含まれる。また、耐温度性、耐化学性、および一定の電気特性も改善され得る。それによって、フルオロポリマーおよびその他の材料が持つ並外れた特性を、一層望まれている応用および環境での幅広い範囲で利用することができる。また、ほぼ全般的な耐化学性を、改善された強度(strength)、弾性(modulus)、耐クリープ(creep)、および耐摩耗性(wear resistant)と組み合わせることもできる。
適切なフルオロポリマーとしては、限定するものではないが、次のようなポリマーおよびそれらのコポリマーが挙げられる:すなわち、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene);フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylenepropylene);パーフルオロアルコキシ樹脂(perfluoroalkoxy resins);テテトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル コポリマー(tetrafluoroethylene/perfluoropromethylvinylether copolymers);テトラフルオロエチレン/パーフルオロプロピルビニルエーテルコポリマー(tetrafluoroethylene/perfluoropropylvinylether copolymers);ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifuruoroetirene);フッ化ポリビニリデン(polyvinylidene fluoride);ポリフッ化ビニル(polyvinyl fluoride);ポリエチレンテトラフルオロエチレン(polyethylenetetrafluoroethylene);フッ化炭素エラストマー(fluorocarbon elastomers);フルオロシリコン(fluorosilicone);テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンからなるターポリマー(terpolymers of tetrafluoroethylene, hexafluoropropylene and vinylidenefluoride);テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレンからなるターポリマー(terpolymers of tetrafluoroethylene, hexafluoropropylene and ethylene)。
生成物の形態は、任意の形態とすることができるが、水系または非水系のディスパージョン(dispersion)、粒状形態(granular forms)、粉末(powders)、微粉末(very fine powders)、棒状体(rods)、ブロック体(blocks)、成形体(mouldings)、膜体(membranes)、フィルム(films)、繊維(fibres)、シート(sheets)、泡状体(foams)、ハニカム体(honeycombs)、マイクロ多孔質膜(micro porous membranes)、およびマイクロ多孔質繊維(micro porous fibres)が挙げられる。それらは、フィラー(fillers)および/または強化繊維(reinforcing fibres)を含むことができる。
可能性がある応用には、拡大して以下も挙げられる:
エンジンおよびトランスミッションのコンポーネント;シールリング(seal rings);スラストワッシャ(thrust washers);ベアリング(bearings);ガスケット(gaskets);摩擦ワッシャ(friction washers);ブッシュ(bushings);フォークパッド(fork pads);センサーハウジング(sensor housings);コネクターライニング(connector linings);タンク(tanks);パイプ(pipes);タンクおよびパイプのライニング(tank and pipe linings);燃料配管(fuel lines);燃料フィルタ(fuel filters);燃料フィルタハウジング(fuel filter housings);燃料タンク(fuel tanks);燃料タンクのマンホールカバー(fuel tank manhole covers);燃料タンクのライニング(fuel tank linings);真空ポンプのベーン先端(vacuum pump vane tips);バックアップ用リング(backup rings);ピストンリング(piston rings);スリーブ(sleeves);潤滑フリーのケーシングライナ(lubricant free wear plates);Oリング(O rings);シャフトシール(shaft seals);サーモスタットのハウジング(thermostat housings);ヒューズのホルダ(fuse holders);排気再循環コンポーネント(exhaust gas recirculation components);および吸気マニホルド(air intake manifolds);
ワイヤおよびケーブルの絶縁体(Wire and cable insulation);ワイヤ絶縁のスタンドオフ(wire insulation stand offs);安全システムおよびスイッチギアのケーブル絶縁体(cable insulation for safety systems and switchgear);ケーブル用ラッピングテープ(cable wrapping tape);計測プローブ(measurement probes);高電圧サーキットブレーカ(high voltage circuit breakers);モータ(motors)、変圧器(transformers)、リレー(relays)、およびスイッチ(switches)の絶縁体;コンピュータ(computers)および航空機(aircraft)の電子機器(electronic equipmen)用、および同軸ケーブル(coaxial cables)のラッピング(wrapping)用の絶縁体;コイルボビン(coil bobbins);端末ブロック(terminal blocks);バッテリ用ケーシング(battery casings);電気用コネクタ(electrical connectors);鉛フリーはんだ処理(free solder processes)に強いコンポーネント;キャパシタ用誘電体(capacitor dielectrics);バッテリ用ガスケット(battery gaskets);
フィルム(Films);自己接着性テープ(self adhesive tapes);編込み繊維(braided fibre);熱音響用絶縁体(thermal, acoustic through insulation);ファイヤーバリアー(fire barriers);ケーブルタイ(cable ties);カテーテル(catheters);
半導体処理設備(Semiconductor processing equipment);ウエハ用キャリア(wafer carriers);ロボット用ワンド(robotic wands);ウエハ処理洗浄設備(wafer processing and cleaning equipment);
膜(membranes);高多孔質膜(highly porous membranes);拡張多孔質膜(expanded porous membranes);熱交換器用コンポーネント(heat exchanger components);分析設備用コンポーネント(analytical equipment components);食品処理器(food processing equipment);調理器(cooking equipment);ポンプ(pump)、バルブ(valve)およびインペラ用ハウジング(impellor housings)およびライナー(liners);弁板(valve plates);ベローズ(bellows);ライナー付きパイプ(lined pipes);ボールベアリングおよびロールベアリング用コンポーネント(ball and roller bearing components);ベアリングフィルム(bearing films);滑り軸受パッド(sliding bearing pads);
エクスパンション・ジョイント(expansion joints);コーティング金属コンポーネント(coated metal components);オバー編込みホース(over braided hoses);実験用具(laboratory ware);非粘着性コンベヤベルト(antistick conveyor belts);ロール被覆(roll coverings);熱シール材料(heat sealing materials);蛇管(corrugated tubing);油田ダウンホール機器(oilfield down hole instruments);パイプおよびホース(pipes and hoses); パイプおよびホース用ライナー(pipe and hose liners);油田ライザー用ライナー(oilfield riser liners);ドリルビット用シール(drill bit seals);アンビリカル・ライナー(umbilical liners);化学処理設備(chemical process equipment);化学的処理設備用ハウジング(chemical process instrument housings)およびシール(seals);分離蒸留コラム用プレート(separation and distillation column plates)およびパッキング(packings);ラビリンスシール(labyrinth seals);コンプレッサー用コンポーネント(compressor components);編込みフィルタ用クロス(woven filter cloth);ガス送管(gas flues);ワイヤ用ガイド(wire guides);ヤーン(yarn)およびスレッド用ガイド(thread guides);蒸着フィルム(metallised films);離型フィルム(release films);太陽光収集窓(solar collector windows);熱シール可能な配管(heat sealable tubing)、収縮性チュービング(shrinkable tubing);押出し成形された放射線熱収縮性チュービング(extruded and irradiated heat shrinkable tubing);
医薬品(drugs)、感湿性化学物質(moisture sensitive chemicals)、および電子デバイス(electronic devices)用パッケージ(Barrier packaging);医薬品用ブリスター用パック(pharmaceutical blister packs);エレクトロルミネッセンスランプ(electroluminescent lamps)における蛍光体コーティング(phosphor coatings)のカプセル化(encapsulation);
コーティング(Coatings);外側および内側保護(exterior and interior protective)ならびに/または低摩擦コーティング(low friction coatings)(例えば、パイプ(pipes)、タンク(tanks)、ダクト(ducts)、ベアリング(bearings)、摩耗板(wear plates)、保護スリーブ(protective sleeves)、工業的ローラ(industrial rollers)、複写機ローラ(copier rollers)、スプリットフィンガー(split fingers)、プロセスベルト(process belts)、ポンプ(pumps)、バルブ(valves)、医療デバイス(medical devices)、ドリルビット(drill bits)、食品処理器(food processing equipment)、調理器(cooking equipment)、フライパン(frying pans)、ライス調理器(rice cookers)、ノンスティック調理器(non stick cookware)、および耐熱皿(bakeware)上で);保護(protective)および装飾コーティング(decorative coatings);耐紫外線コーティング(UV resistant coatings);コーティング布(coated fabrics);布地(textiles)、皮革(leathers)、ガラス(glass)、紙(paper)、木材(wood)の表面保護(surface protection);
高強度繊維(High strength fibres);低クリープ繊維(low creep fibres);高弾性繊維(high modulus fibres)。マリンオーニング(marine awnings)、コンベヤベルト(conveyor belts)、離型布(release fabrics)、デンタルフロス(dental floss)および高性能ロープ(high performance ropes)における繊維(Fibres)。
被覆布地(Coated fabrics)、被覆ガラス(coated glass)またはアラミド布地(aramid fabrics)、建築応用(construction applications)(例えば、屋根(roofing)またはサイディング材料(siding materials))のためのフィルム(films)および被覆布地(coated fabrics );安全用の服(clothing)および手袋(gloves)で使用される被覆布地(coated fabrics)および織物繊維(woven fibres);および
ヘルスケア殺菌(Healthcare sterilisation)および輸送コンテナ(transport containers);硬さからの利点があるカテーテル(catheters)および腹腔鏡チューブ(laparoscopic tubes);ピペット(pipettes)およびぺトリ皿(Petri dishes)。
上記に加えて、該材料の特徴から、利点を受ける可能性のある応用が多くある。そのような応用としては次のものが挙げられる:オイル制御ピストン(oil control pistons);スロットル本体(throttle bodies);イグニッションコンポーネント(ignition components);ベアリング用のリテーナおよびケージ(bearing retainers and cages);ギア(gears);真空ポンプベーン(vacuum pump vanes);ボルト(bolts);ナット(nuts);インサート(inserts)およびブラケット(brackets);スピーカーフィルム(speaker films)およびマイクロホン(microphones)。
フッ化グラファイト(GrF)の剥離によるフルオログラフェン
層状を呈するGrFの性質から、物理的な剥離(exfoliation)によって、その単層を作製することを試みた。上述したように、本発明で調べた単層のFGを得るために、様々なアプローチを用いた。この理由は、一つには、GrFの物理的な劈開(cleavate)によって単層を得る試みが、割合にうまくいかず、結果として、小さく(ミクロンサイズの)構造的に損傷した単層しか得られなかったためである。
剥離(exfoliation)に使用した初期のGrFは、白色微粉末であり、X線光電子分光器(XPS)によって測定された組成式はCF1.1±0.05である。この材料は、単一層を隔離させることが極めて困難であることが分かった。厚さが数ナノメートル(nm)の結晶子(crystallites)だけが、大量に存在していた。それにもかかわらず、光学顕微鏡で注意深く追跡したところ(300nmのSiOを含む酸化Siウエハーの上部で)、多少の単層サンプルを見つけることができた。該単層は、僅かな光学的コントラストを生じさせ、これら単層を確認するために、該単層を比較的厚い薄片(flakes)近傍の領域に集めた。該コントラストは、数%のみに過ぎず、ほとんど青色領域であった(参照:グラフェンでは>10%)。連続AFM測定により、これらの領域が<2nmの厚さであることが示された(SiO上の単一層グラフェンの見かけの厚さと同様である。)
本発明者らは、GrF単層の視覚化をSEMで容易に行えることを見出したが、それは、該SEMコントラストがグラフェンのそれよりも一層強かったためである(GrFの高抵抗性が原因と考えられる)。残念ながら、SEMからは、GrFの厚さを示唆するものは得られない。このため、単層については、SEMで見えるものの、視覚的にはほとんど見えないコントラストの薄片(flakes)として同定した。このような劈開(cleave)したGrF単層の同定は、XeFの暴露によって得られたフルオログラフェンを用いて遡及的に確認したが、それは視覚的に同様なAFMおよびSEM特性を示した。
物理的な劈開(cleave)によりFGを生成することの困難性は、初期のGrF材料での結晶子の小ささ、および単層の脆弱性とに起因するものと考えられる。なぜなら、GRFでは、かなり多くの構造欠陥(structural defects)が存在するためである。
数層のグラフェンのフッ素化
2層および数層のグラフェンサンプルを、TEMグリッドに支持し、次いで数日間にわたりフッ素化処理した。図8は、2層(bi-layer)および数層(few-layer)のグラフェンのラマンスペクトルを図示している。ラマンスペクトルでの強いDピークおよび2Dピークのサプレッションから、フッ素化反応が多層サンプルにおいても起きることが示される。しかしながら、単層のグラフェンと比較すると、該反応は緩やかであり、それは、両側から暴露される2D材料の反応性が、その3D対応物(原子面間でフッ素を拡散させる必要がある)の反応性よりもさらに高いことを示している。
フルオログラフェンの安定性
ラマン分光は、材料を評価するための迅速かつ非破壊なツールとなる。ラマン分析は、レニショー(Renishaw)分光計(波長514.5nm)およびXeFでフッ素化処理されたグラフェンを用いて行われ、次いで酸化シリコンウエハー上にトランスファーした(図1の工程5)。種々の溶剤(本明細書で列挙した)および周囲空気に数週間、曝露した後、FGのラマン特性には変化が検出されなかった。FG組成に変化を誘導するために、サンプルは異なった温度Tでアニール処理した。図9では、種々のレベルまでフッ素化し、次いで異なる温度Tでアニール処理したグラフェンのラマンスペクトルを示す。(A、B、C)−各々のラマンスペクトルは、弱程度に(weakly)、適度に(moderately)、および高度に(highly)、フッ素化したグラフェンに対するものである。従って、図9では、異なったレベルでフッ素化し、次いでアルゴン−水素(10%)混合下で、アニール処理されたグラフェンのラマンスペクトルが示されている。この図から、フッ素化された単層の安定性が、それらのフッ素化のレベルに強く依存しているということが明確に理解される。弱程度に(1h)フッ素化されたグラフェンのDピークは、250℃でのアニール処理後には実質的に消失しているが、そのことは、初期の化学反応の可逆性を示唆している(図9A)。適度に(数h)フッ素化されたグラフェンについては、250℃でのアニール処理により部分的に復元し、このとき強いDピークはその後保たれたままとなった。そのようなサンプルを一層高い温度Tでアニール処理を行う試みは、Dピークを更に増大させたが、その要因は、Fが高い温度Tで除去されたときに形成された構造欠陥(structural defects)にあると考えられる。200℃までの温度TでのFFグラフェンのラマンスペトルでは、弱い蛍光背景(約1.7eVで中心となるブロードピークをもつ)が現れた点を除けば、何らの変化も認められなかった(図示せず)。450℃でのアニール処理が長引くと、GおよびDピークが発生したが、2Dピークは復元しなかった(図9C)。このことは、グラフェン骨格が、CおよびFの双方の損失とともに損傷を受けることを示唆するものと考えられる(同様なラマンスペクトルは、TEMで、300kV電子ビームに長期間暴露されたFGに対して観察された)。
充分にフッ素化されたグラフェンの化学的組成
図2a、bのラマンスペクトルで観察された飽和状態、および、FF膜のスペクトルとGrF(図2c)との間の緊密な類似性は、前者が約1に近いF/C比の組成を有しているということを示している。さらに詳しく調べるために、X線光電子分光分析法(X-ray photoelectron spectroscopy)を使用した。FG膜のXPSスペクトルにより、充分なフッ素化(F/C比≧0.7)を示すFおよびC−Fピークの双方が明らかとなったが、該サンプルは、正確な組成分析のためには小さ過ぎであった。さらに、支持ポリマー[クァンティフォイル(Quantifoil)]骨格もフッ素化し、XPS分析は一層不明瞭となった。
この問題を回避するために、SiC上で成長した数層グラフェンの大きな(cmサイズ)領域をフッ素化処理した。このフッ素化プロセスは、ラマン分光によって監視した。ラマンスペクトルでの飽和状態(図2aの上側の2つの曲線(20〜30h)(打点位置に依存する)におけるスペクトルに類似する)に到達するには、XeFの暴露は2ヶ月を要した。
プリスティン(pristine)なSiCサンプルには強いDピークが表れたにもかかわらず、多くの欠陥(defects)および粒界(grain boundaries)が示唆され、これによって、グラフェン面間の原子Fの拡散が高まったことが考えられる。
図10は、SiC上で成長し、70℃で2ヶ月にわたりXeFでフッ素化処理されたグラフェンのXPSを示す。符号は、測定値(SiC基板由来の炭素信号は減算している)である;実線の曲線は最適合致を示す。
従って、図10には、SiC上で上述のように充分にフッ素化されたグラフェンの代表的なXPSスペクトルが示されているが、依然として、浮遊グラフェン(suspended graphene)で達成されるFF状態は、幾分短い。688eVで顕著なFピークを、さらには約289eVでC−Fピークを確認することができる。これらの位置では、強い共有F結合が得られる。約284eVでのピークはC−C結合に対応し、その他のピークについては、異なるタイプのC−F結合の存在[CF(約291eV)およびCF(約293eV)を含む]を示唆している。図10に示すスペクトルでは、約0.9のF/C比が得られる。本SiCサンプル上のスポットの違いに応じて、この比が、0.8〜1.1の間で変化し、C−Fピークの相対的なインテンシティ(強度)も変化した。
1より大きいF/C比は、GRFに共通であり、構造欠陥(structural defects)の存在によって、より多くのC結合末端がフッ素を含む(CFおよびCF結合)。1以下のF/C比は、直径約100μmの領域内(該XPSで探査した)での部分的にフッ素化した領域の存在に起因し得る。XPS測定により証明されたことは、グラフェン膜(より急速なフッ素化を可能とし、より弱いラマン特性を示すものの、空間的な不均質性(inhomogeneity)を全く示さない)がSiC上のグラフェンよりも多くのフッ素を含有するため、後者よりも化学量論的により近い組成であったということである。
弱程度かつ部分的にフッ素化されたグラフェンの電子伝達(electron transport)
フッ素化されたグラフェンの電気的測定は、ケースレーの2410型ソースメータ(Keithley’s 2410 SourceMeter)および2182A型ナノボルトメータ(2182A NanoVoltmeter)を用いてdc態様(dc regime)で行った。I−V特性およびそのT依存は、ヘリウム雰囲気中で低温維持装置(クライオスタット)内に置いたデバイスで記録した。同様なデバイス(但し、グラフェン・シートを含まない)では、10Vの高ソース−ドレイン電圧を印加した場合に、〜0.1nAまでの電流の漏れを示した。これは、測定回路内の寄生並列抵抗(parasitic parallel resistances)に起因するものと考えられる。
より低いフッ素化レベルのグラフェンの電気的特性を調べた。弱程度にフッ素化されたグラフェン(70℃で1時間)では、本デバイスは、MΩレンジでρを示し、そのI−V特性はすべての測定T(>4K)に対して線形を維持した。Tの減少に伴うn(上に波線が付いている"n")の弱い増加のみが観察された。該デバイスでは、強力なドナードーピング(>1013 cm-2)と、0.1〜1cm2/Vsの低い移動性(mobility)をもつ電界効果とが示された。このような挙動は、フッ素化およびプリスティン(pristine)領域の両方によって説明することができ、電子伝達(electron transport)は、大部分は後者を通じて生じるものであり、長い浸透経路(percolation paths)が伴う。
部分的にフッ素化されたグラフェンの場合では、該デバイスは、図2aの9時間の曲線と同様のラマンスペクトルを示した。室温Tでは、そのI−V特性は線形であり、抵抗Rは1MU(約5MΩのρに対応する)より十分に低かった。より低い温度Tでは、Rは急増し、I−V特性は50K以下で強い非線形を示した。
しかしながら、より高い温度Tおよび低いソース−ドレイン電圧では、オーム則が維持された。明らかなことは、部分的にフッ素化されたグラフェンでの電子伝達(electron transport)は、不純物状態(impurity states)の間にホッピング(hopping)を伴うということである。
機械的特性のAFM測定
FGの剛直性(stiffness)および破壊強度(breaking strength)を調べるために、ビーコ社AFM(マルチモードナノスコープ)[Veeco AFM (MultiMode Nanoscope)]と、タッピング−モード(tapping-mode)でドープしたシリコンチップ(ナノセンサーズ社(Nanosensors)の型番PPP-NCHR)とを使用した。チップ半径は、SEMでの直接観察によって、実験の前後で調整した。合計で、15のプリスティン(pristine)およびそれと同数の完全にフッ素化された膜を調べ、その後、実験上、これらを意図的に破壊した。先ず、膜(直径Dが約1.7μm)は、タッピングモード(tapping mode)で走査した。次いで、チップは膜の中心からD/10以内で位置決めした。次に、カンチレバー(cantilever)が、閾歪み(threshold deflection)に達するまで、サンプルに押し込んだ。膜の中心の凹みδは、カンチレバー歪みdとチップ垂直移動zとの差から計算した。カンチレバー歪みは、酸化シリコン[無限の硬さを持つと仮定(つまり、d=z)]の表面上で較正した。膜に加えられた負荷は、カンチレバーの歪み(deflection)とその有効ばね定数k(当該カンチレバーでは約40N/m)とから、F=kdとして計算した。
図11は、FG膜について、代表的な負荷曲線(青色および赤色)および無負荷曲線(緑色)を示す。チップと膜との間の最初の接触は、地点Aで生じる。青色および緑色の曲線は、最大負荷に達することなく、非ヒステリシスである。負荷が一定限界(地点C)を越えたとき、負荷曲線は急降下し、領域D(該膜が破壊した)では元に戻らなかった。
小さな凹み深さ(破壊点以下)では、有負荷と無負荷との間でヒステリシスは観察されず、その後の凹みは同一であった(図11)。このことは、クァンティフォイル(Quantifoil)支持体に対する膜の滑りは、凹み付け中には比較的無かったということを示している。破壊力Fbは、カンチレバーの最大曲げdmaxから(Fb=kdmaxで膜が破壊される以前に)求めた。該破壊力は、フッ素化された膜では、250-800nNの範囲内、プリスティン(pristine)な膜では、900-1500nNの範囲内であることがわかった。
ヤング率Eを測定するために、連続する2つの弾性膜を伴うモデルを使用した。(Lee, C., Wei, X.D., Kysar, J.W. & Hone, J. Measurement of the elastic properties and intrinsic strength of monolayer graphene. Science 321, 385-388 (2008)]で報告されている公知の方法を利用した)。本発明者らは、フルオログラフェンの2次元ヤング率が100±30N/mであることを見出した。また、同パラメータから、プリスティン(pristine)なグラフェンのEが約340N/mであることも得た。
ラマンデータ
ラマンデータは、調製したなかで最も低い%(XPSで58%)のFGサンプルの熱処理(アルゴンガスの静圧下、250℃での1時間の加熱)では、有意な変化(ラマンデータによれば)が何も起きないことを示唆している。D、Gおよび2Gピークの相対的なインテンシティは、先の同サンプルについてまとめられたラマンスペクトルと比較した場合、概略的には同じである。このことにより、該材料は250℃でさえも熱的に安定であることが示され、さらに本発明者らのその後の実験で、350℃での同様な安定性も実証された。
アルミナおよびシリコンウエハ基板上のフッ素化カーボンサンプルのXPS分析
以下の表に記載したサンプルは、クラトス「アクシス ウルトラ」装置(Kratos 'Axis Ultra' insturment)を使用して、X線光電子分光分析法(X-ray photoelectron spectroscopy;XPS)を用いて分析した。調査の目的は、各サンプルの表面C:F比を測定することである。
サンプルは、小さな不定形標本として示され、幾つかはアルミニウム基板上に置き、また幾つかはシリコンウエハ小片上に固定した。これらの標本は、プラスチック容器内に保管した。
結果の概要
1.小領域XPS測定(約110μm×110μmの分析領域)を該サンプルに対して行った。スペクトルは、各標本で3つの地点から記録し、それを用いて、各地点での相対的な表面組成を定量化した。
2.任意の個々のサンプルに対する相対的な表面組成の結果および相対的なC:F比の値は、かなりの程度、均一にフッ素化されたカーボン層の存在と一致した。
3.サンプル間で平均C:F比の値は変動し、得られた最低値は1.06であり、最高値は1.72であった。
4.高分解能C1sスペクトルのピークフィット分析(peak fit analysis)を実施して、C−C、C−F、C−F、およびCF官能基の相対比率を推定した。
実験の詳細
すべてのケースにおいて、小さな標本は、プラスチック容器から取り出し、適切なXPSサンプルホルダ(シリコンフリーの両面テープの小片を使用)上に固定した。標本は3回測定した。XPS作業では、データは、約110μm×110μmの領域から記録した(モノクロAlkαX線を使用)。
原子パーセント単位の拡張不確かさ (expanded uncertainty)Y(測定した原子パーセント組成Xと関連付けられる)は、ポリマーおよび有機材料を分析[サーベイ走査条件(survey scan conditions)(クラトス「アクシス ウルトラ」上での160eVパスエネルギー)を使用]して、式Y=mX+c(m=0.027、c=0.14)によって計算することができる。既報告の拡張不確かさは、包含係数k=2を乗じた標準不確かさ(standard uncertainty)に基づいており、約95%の信頼性水準が得られる。金属および無機材料にとって、これは唯一の概算基準である。
XPSは、材料濃度に依存したサンプリング深さ(有機/ポリマー材料では約10nm、金属/酸化物材料では約3-5nm)を持つ。公認の検出限界は約1000分の1原子[Hを除く(すなわち、0.1原子パーセントまたは1000ppm)]である。本例で示された分析結果は、分析した実物サンプル表面のみにあてはまるもので、表面化学組成は有意に変化した。
サーベイ走査(survey scans)は、160eVパスエネルギーで記録し、標本表面に存在するすべての元素(Hを除く)を特定した;また、表面組成を定量化するためにも使用した。得られた結果を、相対的な原子パーセントとして表1に示す。高分解能スペクトルは、特定元素(フッ素および炭素)の化学的環境を特定するために、40eVパスエネルギーでも記録した。
Figure 0005908464
XPSは、表面の頂面の10nm以内に存在するすべての元素(水素を除く)を検出する。該表面は、機能化されたフッ素化されたポリマーに基づく系であることから、炭素、フッ素、および酸素が、検出された主要元素(相対的な原子パーセント組成の結果によって示される)であった。また、アルミニウムも検出され(基板から生じると考えられる)、他の残存低レベル元素は、処理残渣(processing residues)、界面活性添加剤(surfactant additives)、または付加的な表面汚染(surface contaminants)と関連する(各サンプルが経た過程を反映する)と考えられる。
すべての場合において、高分解能C1sおよびF1sスペクトルは、フッ素化された炭素表面に特徴的なものであり、この場合の主要成分は、C−F、C−F、およびCF官能基である。その比率はサンプル毎に変動した。ピークフィット分析(peak fit analysis)は、官能基の相対レベルを推定するために行った。
任意の個々のサンプルについて、相対的なC:F比は、分析した領域の範囲内では均一であると認められた。最低平均値1.06(FGP005)および最高平均値1.72(FGP017)を持つサンプルとの間には有意なばらつきがあった。
フルオログラフェンの安定性およびバンドギャップを例示するデータ
図12は、アニール処理前後のフルオログラフェンの光伝達(optical transmission)を、エネルギーEの関数として示す。同図では、プリスティン(pristine)およびアニール処理されたFGの光伝達(optical transmission)の変化が、エネルギーEの関数として示されている。同図から明らかなことは、観察されたバンドギャップ(〜3eV)が、アルゴン下で350℃のアニール処理後、安定性があるということである。
図13は、完全にフッ素化および部分的にフッ素化されたグラフェンの光透過性(optical transparency)を、エネルギーEの関数として示す。同図は、完全にフッ素化および部分的にフッ素化されたグラフェンについてのエネルギーを含む光伝達(optical transmission)の変化を示している。3eV以上でのFGの不透過度(opacity)が、このバンドギャップの特徴を示すものである。部分的にフッ素化されたグラフェンについてのエネルギーを含む光伝達(optical transmission)の変化は、FGとは著しく異なり、明確なバンドギャップを全く表していない。

Claims (16)

  1. グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物であって、当該グラフェン化合物中の炭素原子の少なくとも85%が各々1フッ素原子に結合していることを特徴とする機能化されたグラフェン化合物。
  2. フッ素化グラフェン化合物が、グラフェン面の両側に結合するフッ素原子を有することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. フッ素化グラフェン化合物が、少なくとも720時間に渡ってフッ素原子が実質的に失われないという観点で示される室温安定性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
  4. フッ素化グラフェン化合物が、固有欠陥として10%未満の欠陥を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
  5. グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物であって、炭素原子の少なくとも85%が各々1フッ素原子に結合している機能化されたグラフェン化合物を調製する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
    (a)シート状のグラフェンを得ること;
    (b)グラフェン・シートの構造的無欠性を判定し、その判定に基づいて、工程(c)において該グラフェン・シートを使用すること、または、該グラフェン・シートを用いずに工程(a)を繰り返すこと、のいずれかを行うこと;
    (c)工程(b)により得られたグラフェン・シートを、反応槽中で20°C〜450°Cの反応温度及び1バール〜150バールの圧力下でフッ素源に曝露すること、および
    (d) 該反応槽からフルオログラフェンを回収すること。
  6. 反応時間が、1時間〜168時間であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. フッ素源として、以下の群から1または複数が選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法:XeF,CoF,MnF,CrF,AgF,AgF,ZnF,HgFAl,PbF,PbF,SbFTlF,BiF,BrF,IF,BrF,IF,AsF,SbF,SeF,F,CIF,CIF,BF,NF,PF,PF,SiF,SF,SOF,SOF,SO,およびCOF
  8. フッ素源がXeFであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 反応時間が、1〜168時間であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載された機能化されたグラフェン化合物の使用、および/または、請求項5〜9のいずれかに記載の方法により調製された機能化されたグラフェン化合物の使用であって、単独で、または1もしくは複数のさらなる材料と結合し、構造材料、エレクトロニクス部品、光学部品、磁性部品、またはコーティング材料としての機能化されたグラフェン化合物の使用。
  11. 機能化されたグラフェン化合物が、1または複数のさらなる材料と結合して複合材料を形成することを特徴とする請求項10に記載の使用。
  12. さらなる材料が、1または複数のフルオロポリマーを含むことを特徴とする請求項10に記載の使用。
  13. グラフェンおよびフッ素を含む機能化されたグラフェン化合物−ポリマー複合材料であって、当該グラフェン化合物中の炭素原子の少なくとも85%が各々1フッ素原子に結合していることを特徴とする機能化されたグラフェン化合物−ポリマー複合材料。
  14. 構造材料またはコーティング材料として使用されることを特徴とする請求項13に記載の機能化されたグラフェン化合物−ポリマー複合材料。
  15. エレクトロニクス部品または光学部品として使用されることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の使用。
  16. エレクトロニクス部品または光学部品として使用されることを特徴とする請求項13に記載の機能化されたグラフェン化合物−ポリマー複合材料。
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