JP5907539B2 - Maldi質量分析用マトリックスおよびmaldi質量分析法 - Google Patents

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Description

本発明は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析において分析物のイオン化に用いられるマトリックスに関する。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法は、生体分子の迅速な解析に広く用いられているソフトイオン化質量分析法である。MALDI質量分析法を用いると、他のイオン化法では困難であった高分子量のタンパク質等の高精度な解析が可能となるため、主として生体高分子の質量分析に用いられてきた。
MALDI質量分析法では、分析物とマトリックスの混合結晶を調製し、それにレーザー光を照射することにより分析物のイオン化を行う。マトリックスは、照射されたレーザーの光エネルギーを吸収し、イオン化すると同時に急速加熱されて気化する。レーザー照射で直接試料分子が気化する事はないが、試料分子を取り囲んでいたマトリックス分子と共に脱離する。続いてイオン化したマトリックス分子と試料分子との間でプロトンや電子などの授受が起こる事によって、分析物をイオン化させる。レーザー源として、窒素レーザー(波長337nm)やYAGレーザー(波長355nm)が一般的に用いられるため、マトリックスにはこの波長領域に吸収帯を持つ物質が使用される。
近年、MALDI質量分析法は低分子化合物の分析にも用いられるようになり、迅速分析、微量分析で可能であり、分子イメージングの応用可能性もあることから、メタボローム解析への応用が期待されている。MALDI質量分析法の成否は、マトリックスの性能に負う部分が大きく、低分子化合物の解析に適したマトリックスの需要が高まりつつある。例えば、特許文献1には、1H−テトラゾール誘導体が、低分子化合物の陽イオン化に好適なマトリックスとして提案されている。
特に、生体低分子には、カルボン酸、アミノ酸、リン酸エステル等のアニオン静の化合物が多く、陰イオンを検出するための負イオンモードに適したマトリックスの開発の重要性が増大しつつある。例えば、非特許文献1には、負イオンモードMALDI質量分析用のマトリックスとして9−アミノアクリジンが好適であることが開示されている。
特開2010−204050号公報
「9-Amino acrydine as a matrix for negative mode matrix-assisted laser desorption/ionization」 Rachal L. Vermillion-Salsbury and David M. Hercules, Rapid Communications in Mass Spectrometry, 第16巻, 第16号, p.1,575-1581, 2002年8月30日発行、John Wiley & Sons社
しかしながら、特許文献1記載の1H−テトラゾール誘導体は正イオンモードMALDI質量分析用のものであり、負イオンモードへの適用可能性は明らかでない。また、非特許文献1記載の9−アミノアクリジンは、現在負イオンモードMALDI質量分析用のマトリックスとして最も一般的であるが、測定できない化合物が多数あり、必ずしも最適のマトリックスではない。以上述べたように、低分子化合物を対象とする負イオンモードMALDI質量分析用のマトリックスの需要が高まりつつあるにもかかわらず、汎用性を有するマトリックスは未だ存在しないのが現状である。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、低分子化合物のイオン化能が高く、かつ負イオンモード測定が可能なMALDI質量分析用のマトリックスを提供することを目的とする。
本発明は、下記のMALDI質量分析用のマトリックスおよびMALDI質量分析法を提供する。
[1] マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
下記の18〜21、25、26、41または42で表される化合物またはその塩を含むMALDI質量分析用マトリックス。
[2]
[3]
[4] マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
下記の18で表される化合物またはその塩を含む上記[1]に記載のMALDI質量分析用マトリックス。
[5] マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
下記の41または42で表される化合物またはその塩を含む上記[1]に記載のMALDI質量分析用マトリックス。

[6] 上記[1]、[4]又は[5]のいずれかに記載のマトリックスを使用し、負イオンモードでMALDI質量分析を行うMALDI質量分析法。
[7] 分析物が分子量1000以下の有機化合物である上記[6]に記載のMALDI質量分析法。
また、本発明は、下記のMALDI質量分析用のマトリックスおよびMALDI質量分析法を提供する。
[8] マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
下記の式(17)で表される化合物またはその塩を含むMALDI質量分析用マトリックス。

[9] 上記[8]記載のマトリックスを使用し、負イオンモードでMALDI質量分析を行うMALDI質量分析法。
[10] 分析物が分子量1000以下の有機化合物である上記[9]に記載のMALDI質量分析法。
本発明によると、多くの低分子化合物、特に生体低分子化合物について9−アミノアクリジンよりも高いイオン化能を有すると共に、負イオンモードでの高感度な質量分析を可能にする新規なMALDI質量分析用マトリックスが提供される。本発明のMALDI質量分析用マトリックスは、生体分子やその代謝産物について高感度なMALDI質量分析を可能にするため、メタボローム解析等に好適に用いることができる。
9−アミノアントラセン(17)のブランク測定の結果を示すマススペクトルである。 9−アミノアントラセン(17)のブランク測定の結果を示すマススペクトルである。 9−アミノアントラセン(17)をマトリックスとしてアニオン性生体成分の混合物(表2参照)のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 9−アミノアクリジン(9−AA)をマトリックスとしてアニオン性生体成分の混合物(表2参照)のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 7−クロロ−4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(18)のブランク測定の結果を示すマススペクトルである。 7−クロロ−4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(18)をマトリックスとしてアニオン性生体成分の混合物(表3参照)のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 9−アミノアクリジン(9−AA)をマトリックスとしてアニオン性生体成分の混合物(表3参照)のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 9−アミノアクリジン(9−AA)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 アントラセン(37)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 2−アミノアントラセン(38)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 アクリジン(39)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 1−アミノアントラセン(40)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 4−(N−p−フルオロベンジル)アミノ−7−クロロキノリン(41)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。 4−(N−p−フルオロベンジルアミノ)キノリン(42)をマトリックスとしてcis−ケイ皮酸のMALDI質量分析を行った結果を示すマススペクトルである。
本発明の一実施の形態に係るMALDI質量分析用マトリックスは、下記の一般式(I)、(II)または(III)で表される構造を有する化合物またはそれらの塩である。
なお、式(I)において、
Xは炭素または窒素原子であり、
は、水素原子、アルキル基、アリール(aryl)基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、NR、ハロゲン原子、ニトロ基、アリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリル(allyl)基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基である(ただし、RおよびRが共に水素原子である場合を除く。)。
式(II)において、
は、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、NR、ハロゲン原子、ニトロ基、アリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基からなる群より選択される基である。
式(III)において、
Zは炭素または窒素原子であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子およびアミノ基(NH)からなる群より選択される基である(ただし、RおよびRが共にアミノ基である場合を除く。)。
アルキル基の具体例としては、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖または環状アルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、1−ペンチル基、シクロペンチル基、1−ヘキシル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基である。
アルコキシル基の具体例としては、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖または環状アルキル基を有するものが挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、1−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、1−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基である。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基の具体例としては、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、チオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。置換アリール基および置換ヘテロアリール基上の置換基の具体例は、R2およびR6の場合と同様である。
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかであり、好ましくは、フッ素、塩素、臭素である。
好ましいMALDI質量分析用マトリックスとしては、下記の式(5)、(17)、(18)、(21)、(24)、(30)、(35)、(36)、(37)〜(42)で表される化合物からなる群より選択される1または複数の化合物が挙げられる。
MALDI質量分析用マトリックスのうち一部は市販の化合物であり、市販されていないものについても、任意の公知の方法を用いて市販されている化合物より数工程で合成することができる。
このようにして得られるMALDI質量分析用マトリックスは、通常用いられているマトリックスと同様に取り扱うことができる。例えば、分析物とマトリックスを、アセトニトリル、THF等の任意の適当な溶媒に溶解し、サンプルプレート上に滴下後乾燥させることにより、MALDI質量分析法における測定用のサンプルを調製することができる。
マトリックスの合成
下記の2〜36、41、42の37種類の化合物を合成した。なお、下記の化学式のリストには、比較対象として用いた9−アミノアクリジン(9−AA)を併記している。
化合物37(アントラセン)、38(2−アミノアントラセン)、39(アクリジン)、40(1−アミノアントラセン)については、市販品を使用した。
(9−フェニルアミノ)アクリジン塩酸塩(4)および(9−フェニルアミノ)アクリジン(5)の合成
(9−フェニルアミノ)アクリジン塩酸塩(4)の合成
参考文献:Cope, H. Mutter, R.; Heal, W.; Pascoe, C.; Brown, P.; Pratt, S.; Chen, B. Europian Journal of Medicinal Chemistry, 2006, 41, 1124-1143.
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)にアニリン(55.9mg、0.6mmol、1.2当量)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。メタノール/酢酸エチルで再結晶した。収量104mg、68%。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ: 7.39-7.45 (m, 5H), 7.49-7.53 (m, 2H), 8.01 (dd, J = 12, 12 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 113.62, 119.23, 123.74, 124.66, 125.76, 127.51, 129.96, 135.27, 140.09, 140.92, 155.24, MS (ESI) m/z : 271 (M+H)+
(9−フェニルアミノ)アクリジン(5)の合成
次に、塩酸塩63.5mg、NaOH120mgを水1.5mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。得られた結晶を酢酸エチルで再結晶した。収量38.0mg、57%、黄色、粒状結晶、mp.227.2〜228.9℃。
9−(4−ブロモフェニルアミノ)アクリジン(10)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に4−ブロモアニリン(103mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。メタノール/アセトニトリルで再結晶した。収量127mg、66%、mp.231.4℃。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.41 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.52 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.02-8.10 (m, 4H), 8.25 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 114.10, 114.94, 119.30, 123.98, 125.74, 126.06, 132.63, 135.32, 140.11, 140.71, 154.96; MS (ESI) m/z: 349 (M+H)+
次に、塩酸塩77mg、NaOH120mgを水1.5mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。得られた結晶を酢酸エチルで再結晶した。収量36.3mg、52%、黄色、粒状結晶、mp.220.7−221.9℃。
9−(4−クロロフェニルアミノ)アクリジン(11)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に4−クロロアニリン(76.5mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。メタノールで再結晶した。収量(塩酸塩)149mg、87%。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ:7.46-7.51 (m, 4H), 7.56 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.02 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 8.17 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.30 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 114.02, 119.28, 123.96, 125.77, 125.88, 129.72, 131.04, 135.30, 140.12, 155.04, MS (ESI) m/z: 305 (M+H)+
次に、塩酸塩149mg、NaOH240mgを水3mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量56.9mg、43%、黄色、粒状結晶、mp.208.7〜209.6℃。
9−(4−ニトロフェニルアミノ)アクリジン(12)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に4−ニトロアニリン(82.8mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌したその後、酢酸エチルを20mL加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。収量(塩酸塩)167mg、95%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.49 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 8.10 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 8.21-8.33 (m, 6H), MS (ESI) m/z: 316 (M+H)+
次に、塩酸塩167mg、NaOH240mgを水3mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。得られた結晶をアセトニトリルで再結晶した。収量96.7mg、65%、赤橙色、針状結晶、mp.218.5〜222.6℃。
9−(4−メトキシフェニルアミノ)アクリジン(13)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に4−アニシジン(73.8mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。収量(塩酸塩)158mg、94%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.84 (s, 3H), 7.10 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 8.8 Hz, 4H), 7.97 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 55.46, 113.15, 115.11, 119.06, 123.49, 125.65, 126.40, 133.21, 135.05, 140.02, 155.31, 158.53, MS (ESI) m/z : 301 (M+H)+
次に、塩酸塩158mg、NaOH240mgを水3mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。水/メタノールで再結晶した。収量79.5mg、56%、暗赤色、粒状結晶。
N−(4−メチルフェニル)アクリジン−9−アミン塩酸塩(14)およびN−(4−メチルフェニル)アクリジン−9−アミン(36)の合成
9−(4−フルオロフェニルアミノ)アクリジン塩酸塩(14)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に4−フルオロアニリン(66.7mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチルを20mL加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。アセトニトリルで再結晶した。収量125mg、77%、黄色、針状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.38 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 7.45 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.51-7.55 (m, 2H), 7.99 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 8.16 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.26 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 113.49, 116.73 (d, J = 23 Hz), 119.18, 123.73, 125.73, 126.84 (d, J = 9.1 Hz), 135.16, 137.25, 140.08, 155.35, 160.73 (d, J = 246 Hz) ; MS (ESI) m/z: 289 (M+H)+
9−(4−フルオロフェニルアミノ)アクリジン(36)の合成
塩酸塩(14)64.8mg、NaOH120mgを水1.5mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。得られた結晶をアセトニトリルで再結晶した。収量35.7mg、62%、黄色、針状結晶、mp.183.5〜196.1℃。
9−(4−メチルフェニルアミノ)アクリジン(15)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol) に4−トルイジン(64.5mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP 2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチルを20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。収量(塩酸塩)117mg、82%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.41 (s, 3H), 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 7.97-8.06 (m, 8H), 8.23 (d, J = 9.6 Hz, 2H), MS (ESI) m/z: 285 (M+H)+
塩酸塩117mg、NaOH240mgを水3mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。得られた結晶をアセトニトリルで再結晶した。収量62.5mg、54%、橙色、針状結晶、mp.172.7〜174.3℃。
9−(ナフタレン−1−イル−アミノ)アクリジン(16)の合成
9−クロロアクリジン(110mg、0.5mmol)に1−ナフチルアミン(85.9mg、0.6mmol、1.2当量)、NMP2.5mL、濃塩酸を3滴、パスツールピペットを用いて加え、常温で6時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mLを加え常温で1時間撹拌し、析出した結晶を酢酸エチルで洗いながら吸引濾過。収量(塩酸塩)110mg、69%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.35 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.59-7.70 (m, 4H), 7.98 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 8.07-8.17 (m, 7H), MS (ESI) m/z: 321 (M+H)+
塩酸塩110mg、NaOH240mgを水3mLに加え1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。
9−アミノアントラセン(17)の合成
参考文献:Adams, H.; Bawa, R. A.; McMillan, K. G.; Jones, S. Tetrahedron: Asymmetry, 2007, 18, 1003-1012
9−ニトロアントラセン(446mg、2.00mmol)を酢酸(9.6g、160mmol、80当量)に加え、70℃で1時間撹拌した後、SnCl2(1.89g、10mmol、5当量)を濃塩酸(7.3g、200mmol、100当量)に溶かした溶液をゆっくり加え、80℃で1時間撹拌した後、析出した結晶を濃塩酸で洗いながら吸引濾過。その後、ろ物を10%NaOH水溶液30mLに加え、1時間撹拌した後、水で洗いながら吸引濾過した。得られた粗結晶をメタノールで再結晶した。収量270mg、70%、赤紫色、針状結晶、mp.137.9〜171.2℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:4.87 (s, 2H), 7.39 - 7.46 (m, 4H), 7.88 (s, 1H), 7.88 - 7.98 (m, 4H), MS (ESI) m/z: 194 (M+H)+
4−(N−ベンジル)アミノ−7−クロロキノリン(18)の合成
参考文献:Pellegrini, S.; Grad, J-N.; Bousquet, T.; Pelinski, L. Tetrahedron Lett. 2011, 52, 1742-1744.
de Souza, M. V. N.; Pais, K. C.; Kaiser, C. R.; Peralta, M. A.; Ferreira, M. de L.; Lourenco, M. C. S. Bioorganic and Medicinal Chemistry, 2009, 17, 1474-1480
4,7−ジクロロキノリン(1.98g、10mmol)をフェノール25mLに加え120度で撹拌した後、160℃に上げベンジルアミン(1.61g、15mmol、1.5当量)を加えた後、12時間撹拌した後、常温に戻し、アセトンを30mL 加え、0℃にし1時間撹拌。析出した結晶をアセトンで洗いながら吸引濾過。得られた結晶を10%NaOH水溶液100mLに加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。酢酸エチルで再結晶した。収量552mg、21%、無色、針状結晶、mp.173.1〜174.6℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.53 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 5.32 (s, 1H), 6.46 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.34 - 7.40 (m, 6H), 7.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.53 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 47.61, 99.70, 117.13, 120.84, 125.50, 127.59, 127.98, 129.01, 134.94, 137.19, 149.17, 149.41, 152.14, MS (ESI) m/z : 269 (M+H)+
4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(19)の合成
参考文献:浜名政和、船越和久、薬学雑誌、1964、84、42-47.
4−(N−ベンジル)アミノ−7−クロロキノリン(485mg,1.80mmol)をメタノール12mLに溶かし、Pd/C(10%、25.5mg、0.024mmol、0.01当量)を加え常温・常圧で水素をバブリングしながら加えていき、3時間撹拌した。その後、セライト濾過し濃縮。次に10%NaOH水溶液30mLを加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量335g、66%、無色、針状結晶、mp.131.5〜132.2℃(文献値113−115℃(ベンゼン−石油ベンジン))。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.54 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 5.40 (s, 1H), 6.46 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.35 - 7.45 (m, 6H), 7.64 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.55 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3-d6) δ: 47.55, 99.39, 118.73, 119.26, 124.75, 127.54, 127.82, 128.93, 129.03, 130.07, 137.52, 148.46, 149.39, 151.11, MS (ESI) m/z : 235 (M+H)+
7−クロロ−4−(N−フェニルアミノ)キノリン(20)の合成
参考文献:Chambers, R. A.; Pearson, D. E. J Org. Chem. 1963, 28, 3144-3147.
Souza, M. Bioorganic and Medicinal Chemistry, 2009, 17, 1474-1480
4,7−ジクロロキノリン(1.98g、10mmol)をフェノール 25mLに加え120度で撹拌した後、160度に上げアニリン(1.40g、15mmol、1.5当量)を加えた後、12時間撹拌した後、常温に戻し、アセトンを加え、0℃にし1時間撹拌。析出した結晶をアセトンで洗いながら吸引濾過。得られた結晶を10% NaOH 水溶液100mLに加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量888mg、35%、無色、粒状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 6.92 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.36 - 7.46 (m, 4H), 7.58 (dd, J = 2.0 , 7.6 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.43 - 8.47 (m, 2H), 9.10 ppm (s, 1H), 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ:101.71, 118.29, 122.64, 124.04, 124.42, 124.88, 127.65, 129.40, 133.85, 140.11, 147.95, 149.58, 151.95, MS (ESI) m/z : 255 (M+H)+
21
4−(N−フェニルアミノ)キノリン(21)の合成
参考文献:Alan R. Katritzky,, A. R.; Tian-Bao Huang, T-B.; Voronkov, M. V. J. Org. Chem. 2001, 66, 1043-1045.
Souza, M. Bioorganic and Medicinal Chemistry, 2009, 17, 1474-1480
N−フェニル−7−クロロキノリン−4−アミン(180mg、0.709mmol)をメタノール30mLに溶かし、Pd/C(10%、10mg、0.0009mmol、0.013当量)を加え常温・常圧で水素をバブリングしながら加えていき、3時間撹拌した。その後、セライト濾過し濃縮。次に10%NaOH水溶液10mLを加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量57.7mg、37%、淡黄色、粒状結晶、mp.194.8〜195.6℃(文献値mp.197〜198℃)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 6.77 (s, 1H), 7.00 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.19, (t, J = 6.8 Hz, 1H) 7.31 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.50 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.69 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 8.8 Hz, 1H) 8.58 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 102.23, 119.57, 119.71, 122.60, 124.59, 125.32, 129.34, 129.68, 130.19, 139.87, 147.40, 149.13, 150.93, MS (ESI) m/z : 221 (M+H)+
4−ニトロ−2−(フェニルアミノ)安息香酸(22)の合成
参考文献:Ullmann, F.; Wagner, C. Justus Liebigs Ann. Chem. 1907, 355, 359-371
Ramage, R. WO2007/049057(2007年5月3日)
アニリン(4.66g、0.05mol、5当量)と2−クロロ−4−ニトロ安息香酸(2.02g、0.01mol、1当量)との混合溶液に炭酸カリウム(1.6g、0.012mol、1.15当量)を加え160℃にし酢酸銅(91mg、0.456mmol)加えたのち、180℃で10時間攪拌した。その後反応溶液に水30mLを加え、6Mの塩酸をpH2になるまで加え1時間撹拌。乳鉢ですり潰した後、デシケーターで乾燥。シリカゲルカラム(シリカゲル400g)展開溶媒1%メタノール/クロロホルムで行った。アセトニトリルで再結晶した。収量、910mg、35%、橙色、針状結晶、mp.232.9〜234.0℃(文献値230℃)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.33 (broad, 1H), 7.22 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.43 - 7.52 (m, 3H), 7.82 (d, J = 2 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 9.78 (broad, 1H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 107.52, 110.67, 117.04, 122.74, 124.71, 129.79, 133.58, 139.19, 147.84, 150.83, 168.64, MS (ESI) m/z: 257 (M-H)-
3−ニトロ−9−クロロアクリジン(23)の合成
参考文献: Robert Faure, Jean-Pierre Galzy, Jacques Barbe, Abdel Lhatif Boukir, Emile-Jean Vincent, Gerard Boyer, Jose Elguero, Bull. Soc. Chim. Belges, 1991, 100, 639-646.
Ramage, R. WO2007/049057(2007年5月3日)
4−ニトロ−2−(フェニルアミノ)安息香酸(361mg、1.4mmol)にオキシ塩化リン(5.36g、35mmol、25当量)加え130℃で30分攪拌した。その後、常温に冷ました後28%のアンモニア水を塩基性になるまで加え、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。酢酸エチルで再結晶した。収量192mg、53%、黄色、mp.213.0〜214.2℃(文献値213℃)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.35 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.82 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 8.26 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.44 (dd, J = 2.8, 8.8 Hz, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 113.34, 114.29, 117.72, 120.98, 122.21, 123.35, 126.09, 128.47, 134.42, 140.56, 141.28, 150.06, 176.20, MS (EI) m/z : 258 (M+H)+
3−ニトロ−9−アミノアクリジン(28)の合成
参考文献: Ramage, R. WO2007/049057(2007年5月3日)
3−ニトロ−9−クロロアクリジン(115mg、0.445mmol)にフェノール(419mg、4.45mmol、10当量)を加え70℃で1時間攪拌し、その後炭酸アンモニウム64mg(0.668mmol、1.5当量)を加えたのち120℃まで温度を上げ6時間攪拌した。常温に戻した後、アセトンを加え0度にし、1時間撹拌。次に2.5M NaOH水溶液15mLを加え1時間撹拌後、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。メタノールで再結晶した。収量68.3mg、64%、赤色、mp.216.2℃(分解)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.45 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.76 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.96 (dd, J = 3.2 , 8.8 Hz, 1H), 8.18 (broad, 2H), 8.46 (d, J = 8.8 Hz, 1H) 8.62-8.66 (m, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 113.54, 113.62, 115.25, 123.35, 124.84, 126.07, 129.03, 131.13, 147.39, 148.23, 150.06, 150.71, MS (EI) m/z : 240 (M+H)+
7−クロロ−N−(4−フルオロフェニルアミノ)キノリン(25)の合成
参考文献: Motiwala, F. Australian Journal of Chemistry 2007, 60, 369-374
4,7−ジクロロキノリン(1.98g、10mmol)をフェノール 25mLに加え120度で撹拌した後、170℃に上げ、4−フルオロアニリン(1.67g、15mmol、1.5当量)を加えた後、12時間撹拌した後、常温にさまし、アセトンを30mL加え、0℃にし1時間撹拌。析出した結晶をアセトンで洗いながら吸引濾過。次に、ろ物を10%NaOH水溶液100mLに加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量1.35g、50%、紫色、粒状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 6.78 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.28 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 7.39 (dd, J = 5.2, 8.8 Hz, 2H), 7.58 (dd, J = 2.0 , 9.6 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.40 - 8.46 (m, 2H), 9.08 (broad, 1H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 101.24, 116.13 (d, J = 22 Hz), 118.04, 124.59 (d, J = 59 Hz), 125.27 (d, J = 8.2 Hz), 127.66, 133.86, 136.27, 148.39, 148.50, 151.96, 158.89 (d, J = 242 Hz), 168.25, MS (ESI) m/z : 273 (M+H)+
N−(4−フルオロフェニル)キノリン−4−アミン(26)の合成
7−クロロ−N−(4−フルオロフェニル)キノリン−4−アミン(1.29g、4.74mmol)を酢酸エチル30mLに溶かし、Pd/C(10%、65.6mg、0.0616mmol、0.013当量)を加え、常温・常圧で水素をバブリングしながら加えていき、10時間撹拌した。その後、セライト濾過し濃縮。次に10%NaOH水溶液100mLを加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量662mg、59%、無色、粒状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 6.79 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 8.8 Hz, 2H)7.40 (dd, J = 4.8, 8.8 Hz, 2H), 7.53 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.70 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.44 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 8.93 ppm (broad, 1H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 100.94, 115.95, 116.17, 119.48, 121.95, 124.56, 125.00 (d, J = 8.2 Hz), 129.17, 136.72, 148.09, 148.84, 150.66, 158.69 (d, J = 241 Hz), MS (ESI) m/z : 239 (M+H)+
4−アミノキノリン(27)の合成
参考文献:Souza, M. Bioorganic and Medicinal Chemistry 2009, 17, 1474-1480.
4,7−ジクロロキノリン(198mg、1mmol)をフェノール(1.8 ml、20mmol、20当量)に溶かし、70℃で1時間攪拌させた。その後、炭酸アンモニウム(144mg、1.5mmol、1.5当量)を加えて120度で1時間30分攪拌した後、常温にさまし、アセトンを加え、0℃にし1時間撹拌。析出した結晶をアセトンで洗いながら吸引濾過。次に、ろ物を10%NaOH水溶液10mLに加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。シリカゲルカラム(シリカゲル:30g)展開溶媒5〜20%メタノール/クロロホルムで精製した。収量、103mg、58%、暗赤色。
次に4−アミノ−7−クロロキノリン(103mg、0.577mmol)をメタノール10mLに溶かし、Pd/C(10%、8.16mg、0.0008mmol、0.013当量)を加え常温・常圧で水素をバブリングしながら加えていき、3時間撹拌した。その後、セライト濾過し濃縮。次に10%NaOH水溶液10mLを加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量42mg、51%、無色、粒状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 6.85 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.68 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.93-8.02 (m, 2H), 8.41 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 9.14 (broad, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 101.72, 115.95, 119.81, 123.82, 126.14, 133.76, 138.32, 141.34, 158.26, MS (ESI) m/z: 145 (M+H)+
3−メトキシ−9−アミノアクリジン(29)の合成
4−メトキシ−2−(フェニルアミノ)安息香酸(584mg、2.4mmol)にオキシ塩化リン(8.09g、52.8mmol、22当量)加え130℃で30分攪拌した。その後,常温に冷ました後28%のアンモニア水を塩基性になるまで加え、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。得られた粗結晶をメタノールで再結晶した。収量391mg、67%、淡黄色、mp.169.4−169.5℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.01 (s, 3H), 7.30 (d, J = 10 Hz, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.58 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.79 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 55.65, 105.24, 120.39, 122.24, 123.13, 124.63, 125.74, 125.80, 128.99, 130.49, 140.88, 149.11, 150.66, 161.50 , MS (EI) m/z : 243 (M+H)+
3−メトキシ−9−アミノアクリジン(31)の合成
3−メトキシ−9−クロロアクリジン(262mg、1.08mmol)にフェノール(1.02g、10.8mmol、10当量)を加え70℃で1時間攪拌し、その後炭酸アンモニウム(207mg、2.16mmol、1.5当量)を加えたのち120℃まで温度を上げ3時間攪拌した。常温に戻した後、アセトンを加え0℃にし、1時間撹拌。次に、2.5M NaOH15mLを加え1時間撹拌後、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。メタノールで再結晶した。収量194mg、80%、黄色、粒状結晶、mp.196.9〜199.8℃。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.92 (s, 3H), 6.99 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.27 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.62 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.69 (broad, 2H), 7.77 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.31-8.37 ppm (m, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 55.17, 105.45, 108.16, 112.78, 115.41, 120.87, 123.27, 124.81, 128.17, 129.77, 149.19, 149.82, 150.86, 160.62 ppm, MS (ESI) m/z : 225 (M+H)+
3−フェニル−9−クロロアクリジン(34)の合成
2−([1,1’−ビフェニル]−3−イルアミノ)安息香酸(868mg、3mmol)にオキシ塩化リン(11.5g、75mmol、25当量)加え,130度にし30分撹拌した。その後、常温に冷ました後28%のアンモニア水を塩基性になるまで加え、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量593mg、68%、淡黄色、針状結晶、mp.104.0〜107.9℃。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.36-7.38 (m, 2H), 7.54 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 7.57-7.66 (m, 2H), 7.75-7.85 (m, 5H), 7.95 (dd, J = 2.0, 8.8 Hz, 1H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 124.70, 125.00, 125.23, 126.82, 126.85, 126.97, 127.02, 127.45, 127.69, 128.37, 129.12, 129.45, 129.55, 129.78, 130.16, 130.61, 130.67, MS (ESI) m/z : 290 (M+H)+
3−フェニル−9−アミノアクリジン(35)の合成
3−フェニル−9−クロロアクリジン(290mg、1.00mmol)にフェノール(941mg、10mmol、10当量)を加え70℃で1時間攪拌し、その後炭酸アンモニウム(192mg、2.00mmol、2当量)を加えたのち120℃まで温度を上げ3時間攪拌した。常温に戻した後、アセトンを加え0℃にし,1時間撹拌。次に、2.5M NaOH10mLを加え1時間撹拌後、酢酸エチルで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量198mg、73%、黄色、粒状結晶。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.53-7.62 (m, 4H), 7.86-8.02 (m, 5H), 8.21 (s, 1H), 8.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.83 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 10.13 (broad, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 110.68, 111.70, 115.44, 118.71, 122.81, 123.77, 124.88, 125.78, 127.24, 129.35, 135.48, 137.89, 139.58, 139.88, 146.44, 157.42, MS (ESI) m/z : 271 (M+H)+
4−(N−p−フルオロベンジル)アミノ−7−クロロキノリン(41)の合成
4,7−ジクロロキノリン(1.98g、10mmol)をフェノール25mLに加え120℃で撹拌した後、160℃に昇温させ、p−フルオロベンジルアミン(1.61g、15mmol、1.5当量)を加えた。6時間撹拌した後、常温に戻し、アセトン30mLを加え、0℃にし1時間撹拌した。析出した結晶をアセトンで洗いながら吸引濾過。得られた結晶を10%NaOH水溶液100mLに加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量1.52g、収率53%、無色、針状結晶、mp.194.9〜196.0℃。
IR (KBr) 3217 (NH) cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 4.52 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 6.34 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 8.8 Hz), 7.41 - 7.49 (m, 3H), 7.79 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 8.31 - 8.33 (m, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 47.79, 99.41, 115.06, 115.28, 117.51, 123.97, 124.30, 127.57, 128.83, 128.92, 133.45, 134.69, 134.71, 149.04, 149.78, 151.79, 159.99, 162.43; MS (EI) m/z : 286 (M+H)+
4−(N−p−フルオロベンジルアミノ)キノリン(42)の合成
4−(N−9−フルオロベンジル)アミノ−7−クロロキノリン(41)(287mg,1mmol)をメタノール20mLに溶かし、Pd/C(10%、11mg、0.01mmol、0.01当量)を加え常温・常圧で水素をバブリングしながら加えていき、4時間撹拌した。その後、セライト濾過し濃縮。次に10%NaOH水溶液20mLを加え1時間撹拌し、クロロホルムで抽出し、水2回、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮。アセトニトリルで再結晶した。収量179mg、収率71%、無色、針状結晶。mp.180.3〜181.7℃。
IR (KBr) 3221 (NH) cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 4.53 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 6.32 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 8.8Hz), 7.40 - 7.46 (m, 3H), 7.61 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.89 (s, 1H), 8.26 - 8.31 (m, 2H), 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ: 44.79, 98.95, 115.03, 115.24, 118.90, 121.57, 124.00, 128.75, 128.83, 129.09, 134.97, 135.01, 148.28, 149.57, 150.54, 159.95, 162.38; MS (EI) m/z : 252 (M+H)+
スペクトル解析の実施例(1)
複数のアニオン性化合物を混合した試料を6種類作成し(下記の表1〜6)、これらの混合物について、負イオンモードでMALDI質量分析を行い、各アニオン性化合物のイオン化能、ピーク強度に及ぼすマトリックスの効果を評価した。それぞれの混合物とマトリックスを任意の割合で混合したのち、MALDI用ステンレス製プレート上で風乾させ、この試料をMALDI質量分析装置(島津製作所製 MALDI-TOF-MS:AXIMA,Performance)で測定した。
マトリックスとして9−アミノアントラセン(17)を用い、MALDI質量分析を負イオンモードで測定した結果を図1から図3に示す。図1および図2は、試料なしのブランク測定の結果を示すマススペクトルであるが、マトリックスのプロトン脱離イオン[M−H]-のピーク(m/z192)とM-イオンのピーク(m/z193)が観測される。その他のピークは帰属不可能なマトリックス由来ピークである。
図3にはカルボン酸など計34種のアニオン性生体成分の混合物(組成は上記の表2参照)のMALDI質量分析スペクトルを示しているが、フマル酸、コハク酸、イタコン酸、キサンチン、ホスホエノールピルビン酸、クエン酸のピークが観察されている。
一方、従来の負イオンモード測定での代表的マトリックスである9−アミノアクリジン(以下、9AAと略す)で同じ混合物のMALDI質量分析を行った結果を図4に示しているが、ほとんど質量ピークが観測されていない。このことから、負イオンモードにおける低分子量生体成分の検出に9−アミノアントラセンは9AAよりも有用であることが明らかである。
図5は、7−クロロ−4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(18)をマトリックスとした場合のブランク測定の結果を示す図であるが、m/z100から220の間に顕著なピークは観測されていない。図6は、7−クロロ−4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(18)をマトリックスとして約30種のアニオン性生体成分混合物(組成は下記の表2参照)を負イオンモードでMALDI質量分析を行った結果得られたスペクトルを示しているが、ニコチン酸、アジピン酸、キノリン酸、アゼライン酸、セバシン酸の顕著なピークが観測されている。
一方、図7には、9−アミノアクリジン(9−AA)をマトリックスとして上記の表3に示した組成を有する生体成分混合物を負イオンモードでMALDI質量分析を行った結果得られたスペクトルを示しているが、アジピン酸及びキノリン酸の弱いピークが観測されているに過ぎず、明らかに、7−クロロ−4−(N−ベンジルアミノ)キノリン(18)は9AAよりマトリックスとして有用であることがわかる。
上記の表1〜6に示した6種類のアニオン性化合物の混合物について、種々のマトリックスを用いて負イオンモードでMALDI質量分析を行い、9−AAをマトリックスとして同様の測定を行った場合との比較を行い、各マトリックスと9−AAを用いた場合に得られるピーク強度との比が大きい順に化合物の序列を作成した。上記の表1および表2に示す混合物についての測定結果より得られた序列を、それぞれ、表7および表8に示す。表中に記載の番号は、測定に用いたマトリクス化合物を示しており、本明細書中に記載しているマトリクス化合物番号を参照している。
従来技術に係るマトリックスである9−AAを用いた場合、検出できない化合物が多数ある一方、本発明において創成したマトリクス化合物は、大半のアニオン性化合物を効率的にイオン化し、ワイドレンジかつ高感度に検出出来ることを証明した。これらの結果より、化合物5、17、18、21、24、30、35および36について、特に高いイオン化能を有することがわかる。特に、化合物17、18、36については、多くの分析物について顕著なイオン化能が認められた。
スペクトル解析の実施例(2)
植物に対する作用物質であるcis−ケイ皮酸およびそのアナローグ(表9参照)について、負イオンモードでMALDI質量分析を行い、各アニオン性化合物のイオン化能、ピーク強度に及ぼすマトリックス化合物37〜42の効果を評価した。それぞれのカルボン酸とマトリックスを任意の割合で混合したのち、MALDI用ステンレス製プレート上で風乾させ、この試料をMALDI質量分析装置(島津製作所製 MALDI-TOF-MS:AXIMA,Performance)で測定した。
cis−ケイ皮酸についての測定結果を図8〜14に示す。従来より負イオンモードでの測定においてマトリックスとして用いられている9−AAを用いた場合には、図8に示すように十分なピーク強度(m/z=147.05:[M−1]-)が得られていないのに対し、化合物37〜42をマトリックスとして用いた場合には、図9〜14に示すように、より高いイオン化能を有し、高感度でのMALDI質量分析が可能であることがわかる。表9に示した他のカルボン酸についても、cis−ケイ皮酸の場合と同様に、9−AAをマトリックスとして用いた場合には困難であった、負イオンモードにおける高感度MALDI質量分析が可能になった。
低分子量生体成分のMALDI質量分析測定において、マトリックスとして2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)が良く用いられているが、イオン化能が高いとはいえず検出されない分子も多い。近年、負イオンモードでの測定において、マトリックスとして9−アミノアクリジン(9−AA)を用いる事で、比較的高感度に様々な低分子量生体成分を分析可能であることが示された(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、9−AAでは測定不可能な化合物も多く、迅速かつ高感度を要求されるメタボローム解析にはより高性能なマトリックスの開発が望まれている。本発明において、9−アミノアントラセンとその誘導体、9−アミノキノリンとその誘導体、9−アミノアクリジン誘導体を合成し、それらが9−アミノアクリジンよりも高いイオン化能および感度を示し、従来、MALDI質量分析では検出困難であった生体由来低分子量化合物の検出に成功した。また、対象となる生体成分に適したマトリックスを選択することにより、マトリックス自身のイオンピークによるピークの検出の妨害を避けることができる。特定の微量生体成分の検出やバイオイメージングには特に有用である。
これまでの結果から、マトリックスの条件として縮合多環式芳香環もしくは縮合多環式複素環及び芳香環上のアミノ基が望ましいという示唆が得られた。縮合多環式芳香環としてはアントラセン、フェナントレン等が望ましい。縮合多環式複素環としてはアクリジン、キノリンが望ましい。また、芳香環上の置換基およびアミノ基上の置換基を変換することで、イオン化能や感度を調整することができる。アミノ基としては1級もしくは2級が望ましい。アミノ基上の置換基としてはアリル基、アリール基、ベンジル基、アルキル基が望ましい。また、これらのアミンの塩(例えば塩酸塩)であってもよい。縮合芳香環上のアミノ基以外の置換基はアルコキシル基、アミノ基、アリール基、アリル基、ニトロ基であってもよいが、それらに限定されない。いずれの化合物も、市販されているか、市販の原料から数工程で容易に合成できる。

Claims (5)

  1. マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
    下記の18〜21、25、26、41または42で表される化合物またはその塩を含むことを特徴とするMALDI質量分析用マトリックス。
  2. マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
    下記の18で表される化合物またはその塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のMALDI質量分析用マトリックス。
  3. マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析用のマトリックスであって、
    下記の41または42で表される化合物またはその塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のMALDI質量分析用マトリックス。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のマトリックスを使用し、負イオンモードでMALDI質量分析を行うことを特徴とするMALDI質量分析法。
  5. 分析物が分子量1000以下の有機化合物である請求項記載のMALDI質量分析法。
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