JP5907056B2 - 駆動装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1に開示されたバルブリフト調整機構では、「被制御部」に相当するバルブリフト調整機構のコントロールシャフトの一端が駆動装置(リフト量調整アクチュエータ)の出力軸に連結されている。
制御手段は、駆動装置と被制御部との相対位置に応じて、動力源の駆動力を停止したとき接触部に接する保持部を保持領域の中から選択する。
ここで、動力源は、例えばモータ等で構成される。また、接触部は、例えば支持部材に回転可能に支持された円筒状のローラで構成される。さらに、支持部材及び制御軸部材が往復直線移動する方向は、カム軸部材と概ね垂直な方向であって、厳密に直交していなくてもよい。
例えば、隣接する複数の保持部の輪郭径の差を、従来のシム調整に用いていたシム1枚の厚さと同等に設定すれば、制御手段が、接触部に接する保持部として1つ隣の保持部を選択する度に、シムを1枚追加又は除去するのと同等の調整機能を有することとなる。
これにより、駆動装置を被制御部に取り付ける工程において、駆動装置と被制御部との相対位置に応じて、初期位置を容易に調整することができる。したがって、従来に比べ、作業時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
また、保持部は、正転方向及び逆転方向のいずれにも輪郭径が増加するポケット部によって構成されることが好ましく、ポケット部は、特に平面で構成されることが好ましい。
本発明の駆動装置は、例えば、「被制御部の制御量」として、エンジンの吸気弁または排気弁のリフト量を調整するバルブリフト調整装置に有効に適用される。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による駆動装置について、図1〜図7を参照して説明する。
図3、図4に示すように、本実施形態の駆動装置は、制御軸部材30の軸方向位置に基づいて、例えば4気筒エンジン90の吸気弁91のリフト量Lを調整するバルブリフト調整装置100の駆動装置10として用いられる。
ヘリカルスプライン34は、例えば内壁が延長軸35の外壁とはす歯で係合しており、制御軸部材30及び延長軸35の往復直線運動に応じて回転する。これにより、延長軸35の中心とローラ36とを結ぶ仮想線s1と、延長軸35の中心と揺動カム38のノーズ381とを結ぶ仮想線s2とがなす開き角ψが変化する。
なお、本実施形態のバルブリフト調整装置100は、排気弁用カムシャフト94の回転に伴う排気弁92のリフト量については調整しない。
このように本実施形態では、「被制御部」であるヘリカルスプライン34側から制御軸部材30に対し、制御軸部材30を駆動カム501から離す方向に荷重Faが加わっている。
図2に示すように、駆動装置10は、「動力源」としてのモータ20、制御軸部材30、支持枠41、ローラ44、駆動カム501(図1参照)、角度センサ60、「制御手段」としてのECU(電子制御装置)80、及びEDU(駆動回路)82等を有している。駆動装置10は、ECU80及びEDU82の指令に基づき、モータ20が駆動トルクを発生する。
モータ20は、例えばDCモータであり、コイルが巻回された回転子22、及び、回転子22の径外側に設けられる永久磁石24を有している。回転子22と共に回転するモータ20のシャフト26の端部に、モータギア28が取り付けられている。
四角形状の支持枠41は、駆動カム501の回転中心Pに対し径方向の一方側であって制御軸部材30と反対側に設けられている。図1(b)に示すように、円筒状のローラ44は、支持枠41に固定されたピン411によって、回転可能に軸支されている。
支持枠41及びローラ44は、特許請求の範囲に記載の「支持部材」及び「接触部」に相当する。支持枠41及びローラ44は、駆動カム501の回転運動を往復直線運動に変換して制御軸部材に伝達する伝達部40を構成する。
ここで、駆動カム501の回転中心P、ローラの軸Q、接触点Cは、制御軸部材30の軸J上に配置されている。なお、ローラ44と駆動カム501との「接触点C」は、三次元的には図1(b)の上下方向に延びる線分であり、正しくは「接触線」である。しかしここでは、図1(a)等に表された二次元的な解釈に基づき、「接触点C」ということにする。
また、モータ20の駆動力を停止したときローラ44に接触する部分として、駆動カム501の外周に保持領域551、552、553が形成されている。特に本実施形態では3つの保持領域が形成されているため、ECU80は、どの保持領域をローラ44に接触させた状態でモータ20の駆動力を停止させるか選択する。これにより、制御軸部材30の軸方向位置を、最後退位置、中間位置、最前進位置のいずれか選択した位置で保持することができる。つまり、非通電時における保持位置を多段階に設定することができる。
ECU80は、角度センサ60の検出信号、及びアクセル開度等の他のセンサ検出信号が入力され、入力されたセンサ検出信号に基づいて、EDU82に制御信号を出力する。
EDU82は、ECU80からの制御信号に基づいて、モータ20を駆動する。
特に本実施形態では、ECU80は、モータ20の通電を停止したとき、駆動カム501の回転角を制御し、ローラ44に接触させる保持部を選択することを特徴とする。
図11に示すように、駆動装置10側は、制御軸部材30の先端に、径方向に貫通する第1通孔301が形成されている。一方、バルブリフト調整装置100側は、延長軸35の先端に、径方向に貫通する第2通孔321が形成されたパイプ状のカップリング32が固定されている。第1通孔301及び第2通孔321は、略同径であり、制御軸部材30の先端をカップリング32に所定長さ挿入したとき、同一軸上に配置される。この位置でピン33を第2通孔321の一方側から第1通孔301を通して第2通孔321の他方側へ挿入することにより、制御軸部材30とカップリング32とを連結可能となる。
この場合、厚さtを得るために、基準厚さのシムを数枚重ねて用いてもよいし、厚さの異なる複数種類のシムを準備しておき、適当な厚さのシムを選んで用いてもよい。
図5(a)に示すように、駆動カム501は、カム軸部材51を中心として、外周に3箇所の保持領域551、552、553が形成されている。この駆動カム501において、回転中心Pに対し図の右方向をカム角度θの基準軸xとする。カム角度θは、基準軸x(θ=0)から反時計回り方向を正とする。駆動カム501は、図5(a)の時計回り方向である正転方向に回転する。
各保持領域における上記の輪郭径R1A、R2A、R3Aの技術的意味については後述する。3つの保持領域における輪郭径R1A、R2A、R3Aの関係は、図6に示すように、「R3A>R2A>R1A」となっている。
第1保持領域551、第2保持領域552、第3保持領域553は、それぞれ、制御軸部材30の軸方向の「最後退位置、中間位置、最前進位置」に対応し、さらにバルブリフト調整装置100における吸入弁91のリフト量Lの「低モード、中モード、高モード」に対応する。
詳しくは図7に示すように、本実施形態の保持部551A/B/Cは平面で構成されている。平面の保持部においては、駆動カム501の回転中心Pから輪郭までの距離である輪郭径Rは、保持部551A/B/Cの両端で最大であり、中央部で極小となる。この極小輪郭径RをR1A、R1B、R1Cとする。また、極小部を基準に考えると、正転方向及び逆転方向のいずれにも輪郭径Rが増加する。
ポケット部をローラ44に接触させると、ポケット部の端部から中央部へ向かう回転力が発生し、接触点Cが極小部に一致したとき回転力がゼロとなる。こうして、駆動カム501は、周方向の回転がロックされた状態となり、安定した位置に保持される。これを「ポケット効果」という。本実施形態では、ポケット効果により、駆動カム501の回転位置、及び制御軸部材30の軸方向位置を一定の位置に保持することができる。
駆動装置10をバルブリフト調整装置100に取り付ける初期位置調整においては、例えば1段目の保持部551Aをローラ44に接触させる場合と、2段目の保持部551Bをローラ44に接触させる場合とで、制御軸部材30のストロークが段差高Δだけシフトする。そこで、従来のシム調整に用いていたシム1枚の厚さと同等に段差高Δを設定すれば、ECU80が、ローラ44に接触させる保持部を1段変えて選択する度に、シムを1枚追加又は除去するのと同等の調整機能を有することとなる。
駆動装置10をバルブリフト調整装置100に取り付ける工程では、暫定的に、例えば第1保持領域551の1段目の保持部551Aをローラ44に接触させた位置で、駆動装置10の取付側端面V1をバルブリフト調整装置100の基準面V2に当接させる。このとき、第1通孔301と第2通孔321との位置のずれに応じて、制御軸部材30のストロークをどれだけシフトさせればよいか判断し、そのシフト量に該当する保持部を選択してECU80のプログラムに記憶させる。そして、選択した保持部がローラ44に接触する位置で、取り付けを完了する。
制御軸部材30及び延長軸35の軸方向位置に応じて、バルブリフト調整装置100のヘリカルスプライン34が回転し、ローラ36と揺動カム38との位置に基づく開き角ψ(図4参照)が変化し、吸気弁91のリフト量Lが変化する。
こうしてモータ20の駆動力が停止したとき、保持部の極小輪郭径に対応するカム角度で、駆動カム501は周方向への回転がロックされ、駆動カム501の回転位置、及び制御軸部材30の軸方向位置が一定の位置で保持される。
(1)本実施形態では、駆動カム501の保持領域551等は、互いに隣接し輪郭径Rが段階的に変化する複数の保持部551A/B/C等からなる。また、ECU80は、モータ20の駆動力を停止したとき、ローラ44に接する保持部を保持領域の中から選択する。
これにより、駆動装置10をバルブリフト調整装置100に取り付ける工程において、従来のようにシム調整を行うことなく、制御軸部材30と延長軸35との相対位置に応じて、初期位置を容易に調整することができる。したがって、従来に比べ、作業時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
(3)さらに、複数の保持領域551、552、553は、対応する保持部同士の輪郭径Rの差が一定となるように形成されている。また、ECU80は、モータ20の駆動力を停止したとき、各保持領域について対応する保持部を選択する。
これにより、駆動装置10の個体毎に初期位置の調整でいずれの保持部を選択するかによらず、制御軸部材30の相対ストロークを一定とすることができる。
そのため、この駆動装置10が適用されたバルブリフト調整装置100では、エンジン90の運転時に、吸気弁91のバルブリフト量を所定量で保持することができる。したがって、エンジンの始動性を確保しつつ、運転中の燃費を向上することができる。
(5)さらに、本実施形態では、保持部551A/B/Cが平面のポケット部で構成されているため、駆動カム501の加工が容易である。また、円筒のローラ44と、平面の保持部551A/B/Cとが接触するため、円筒同士が接する構成に比べ、ヘルツ応力が低下し、接触面圧を低減することが可能となる。
以下、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態の駆動カム502は、第1保持領域561における各保持部561A/B/Cが平面でなく、凹曲面のポケット部として構成されている。図8(b)は、第2実施形態の輪郭径軌跡S2を第1実施形態の輪郭径軌跡S1(二点鎖線)と対比して示す。
このように、保持部561A/B/Cの極小輪郭径R1A-、R1B-、R1C-は、第1実施形態の第1保持領域551における保持部551A/B/Cの極小輪郭径R1A、R1B、R1Cよりもさらに小さく設定されている。したがって、各保持部561A/B/Cの端部から輪郭径Rの極小部である中央部へ向かう回転力が大きくなり、ポケット効果がより大きくなる。
図9に示すように、第3実施形態の駆動カム503は、第1保持領域571における各保持部571A/B/Cが平面でなく、円弧曲面より内側に位置する凸曲面のポケット部として構成されている。図9(b)は、第3実施形態の輪郭径軌跡S3を第1実施形態の輪郭径軌跡S1(二点鎖線)と対比して示す。
このように、保持部571A/B/Cの極小輪郭径R1A+、R1B+、R1C+は、第1実施形態の第1保持領域551における保持部551A/B/Cの極小輪郭径R1A、R1B、R1Cよりも大きく、且つ各保持部571A/B/Cの両端の輪郭径Rよりも小さくなるように設定されている。この実施形態でも、各保持部571A/B/Cにて正転方向及び逆転方向のいずれにも輪郭径Rが増加するため、ポケット効果が得られる。
図10に示すように、第4実施形態の駆動カム504は、第1保持領域581における各保持部581A/B/Cが円弧曲面で構成されている。図10(b)に示すように、第4実施形態の輪郭径軌跡S4は、各保持部581A/B/Cの輪郭径R1A○、R1B○、R1C○が一定の階段状を呈する。すなわち第4実施形態ではポケット部が形成されない。ただし、この実施形態でも、本発明の主要な効果である「初期位置調整機能」を発揮することができる。
(第5、第6実施形態)
第5、第6実施形態について、図12(a)、(b)を参照して説明する。図12(a)、(b)は、第1実施形態の図1(b)と対応する、ローラ部の軸方向断面図である。
第5実施形態の変形例として、ローラは、完全な球状に限らず、駆動カム501に接触する帯状部分のみが凸曲面状に形成されていてもよい。また、ローラ側にピンを固定し、支持枠側に軸受穴を形成してもよい。
なお、第5、第6実施形態では、第1実施形態の駆動カム501に代えて、第2〜第4実施形態の駆動カム502〜504を用いてもよい。
第7、第8実施形態について、図13(a)、(b)を参照して説明する。図13は、第1実施形態の図1(a)と対応し、カム軸部材51の軸方向から支持枠を見た図である。ただし、駆動カム501については、1つの平面のポケット部(例として551Aを示す。)を誇張して示すため、外郭形状を簡略化し、他のポケット部等の図示を省略する。
図13(a)に示す第7実施形態では、支持枠45に形成された球面又は凸曲面の端面451がポケット部551Aと点接触する。これにより、駆動カム501との三次元の軸ずれを吸収することができる。
第7、第8実施形態の支持枠45、46は、特許請求の範囲に記載の「接触部」と「支持部材」とが一体に形成されたものである。また、第7、第8実施形態の変形例として、端部を形成する別部材が、支持枠本体に固定されてもよい。
(ア)駆動カムの具体的な輪郭形状、保持領域の数、及び各保持領域の保持部の数は、上記実施形態に例示したものに限らない。制御軸部材30の軸方向位置について多段階での保持を要しない場合には、保持領域は1箇所でよい。
(イ)ローラ44が駆動カム501に接するように付勢するための構成として、上記実施形態では、被制御部側から制御軸部材30を引っ張る方向へ荷重Faが加わる例について説明した。この他、本発明の駆動装置は、制御軸部材が直接、または他の部材を介して間接的に駆動カム501を押す方向へ荷重が加わる場合にも適用することができる。
図14(b)に示すように、球面又は凸曲面の先端面481を有する制御軸部材48を用いる形態では、先端面481とポケット部551Aとが接触点Cで点接触する。したがって、第7実施形態と同様の効果が得られる。
これらの形態の制御軸部材47、48は、特許請求の範囲に記載の「接触部」、「支持部材」、及び「制御軸部材」の3つが一体に形成されたものである。
この形態の制御軸部材49は、特許請求の範囲に記載の「支持部材」と「制御軸部材」とが一体に形成されたものである。また、ボール492は「接触部」に相当する。
(エ)バルブリフト調整装置においてリフト量を調整する機構は、上記実施形態の構成に限らない。また、バルブリフト調整装置は、吸気弁に限らず、排気弁のリフト量を調整するものであってもよい。
以上、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施することができる。
20 ・・・モータ(動力源)、
30 ・・・制御軸部材、
41、41A、41B ・・・支持枠(支持部材)、
44、44A ・・・ローラ(接触部)、 44B ・・・ボール(接触部)、
45、46 ・・・支持枠(支持部材、接触部)、
501〜504・・・駆動カム、 51 ・・・カム軸部材、
551、552、553、561、571、581・・・保持領域、
551A/B/C、552A/B/C、553A/B/C、
561A/B/C、571A/B/C、581A/B/C・・・保持部、
80 ・・・ECU(制御手段)、
100 ・・・バルブリフト調整装置。
Claims (5)
- 制御軸部材の軸方向位置に応じて被制御部の制御量を調整する駆動装置であって、
動力源(20)と、
回転中心(P)から輪郭までの距離である輪郭径(R)が周方向で不均一であり、前記動力源の駆動力によりカム軸部材(51)を中心として回転する駆動カム(501〜504)と、
前記駆動カムの回転中心に対し径方向の一方側に設けられ、前記駆動カムの輪郭に接触点(C)で接するように前記被制御部から付勢された接触部(44、44A、44B、45、46)と、
前記接触部を支持し、前記駆動カムの回転運動に伴う前記接触点における前記輪郭径の変化に応じて、前記カム軸部材と直交する方向に往復直線運動する支持部材(41、41A、41B、45、46)と、
前記支持部材に結合され、前記支持部材と共に軸方向に往復直線運動する制御軸部材(30)と、
前記動力源の駆動力を停止したときの前記駆動カムの回転位置を制御する制御手段(80)と、
を備え、
前記駆動カムは、互いに隣接し前記輪郭径が段階的に変化する複数の保持部(551A/B/C、552A/B/C、553A/B/C、561A/B/C、571A/B/C、581A/B/C)からなり前記動力源の駆動力が停止したとき前記接触部に接触可能な保持領域(551、552、553、561、571、581)が形成されており、
前記制御手段は、当該駆動装置と前記被制御部との相対位置に応じて、前記動力源の駆動力を停止したとき前記接触部に接する前記保持部を前記保持領域の中から選択することを特徴とする駆動装置(10)。 - 前記駆動カムは、複数の前記保持領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
- 複数の前記保持領域は、対応する前記保持部同士の前記輪郭径の差が一定に形成されており、
前記制御手段は、各前記保持領域について、対応する前記保持部を選択することを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。 - 複数の前記保持部は、正転方向及び逆転方向のいずれにも前記輪郭径が増加するポケット部によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動装置。
- 前記ポケット部は、平面で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
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