JP5906518B2 - シクロデキストリン包接化合物含有組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には「排泄物処理シートに排泄物が接触すると、香料の発する香気によってその排泄物の臭気を速やかにマスキングすることができるように、従来の排泄物処理シートに改良を加えることを課題にして」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0004)なされたものであり、具体的には「透液性シートと不透液性シートとの間に吸液性芯材が介在するとともに、愛玩動物の排泄物が接触すると前記排泄物の臭気をマスキングすることが可能な香気を発生させる香料が含まれた愛玩動物用の排泄物処理シートであって、前記香料がシクロデキストリンに包接されている粒子状包接化合物としてのものであって、前記芯材が前記透液性シートの側に位置する上面と、前記不透液性シートの側に位置する下面とを有し、前記包接化合物が前記芯材の上面と、前記上面の直上の透液性シートとの間にあることを特徴とする前記処理シート」(特許文献1、請求項1)が開示されている。かかる排泄物処理シートによれば、「この発明に係る排泄物の処理シートは、香料を水溶性のシクロデキストリンに包接させ、そのシクロデキストリンによる包接化合物が吸液性芯材の上面と、その上面の直上の透液性シートとの間にあるから、この排泄物処理シートの上に尿が排泄されると、その尿で包接化合物が速やかに溶解し、香料の臭気が透液性シートを通過して速やかに大気中に拡散して尿の臭気をマスキングすることができる」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0014)というものである。
本方法は、第1ステップと第2ステップとを含んでなる。
第1ステップは、シクロデキストリン(CD)にゲスト化合物を包接させた包接化合物と、両親媒性高分子化合物と、を水相中で接触させ、含水の第1組成物を形成する。ここにCDとしては、後で詳述するように、α型(重合度6)、β型(重合度7)及びγ型(重合度8)の1又は2以上の混合物のいずれであってもよく、さらに保有する水酸基を化学修飾したものを用いてもよい。CDにゲスト化合物を包接させた包接化合物は、従来から知られ多用されているが、本発明においては包接化合物が水と接触した際の変質やゲスト化合物脱離を防止又は減少させるため両親媒性高分子化合物を用いる。両親媒性高分子化合物は、後述の如く、1分子中に親水基と疎水基を併せ持つ高分子化合物であり、包接化合物と両親媒性高分子化合物とを水相中で接触させ形成した第1組成物を第2ステップにて脱水することで、両親媒性高分子化合物がバインダー成分として包接化合物を結合させる。
第2ステップは、第1ステップで得られた第1組成物を脱水し、包接化合物を含む固体(シクロデキストリン包接化合物含有組成物)を得る。このようにして得られたシクロデキストリン包接化合物含有組成物においては、シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物が、バインダー成分としての両親媒性高分子化合物によって結合され集合体を形成しており、シクロデキストリン包接化合物含有組成物が水と接触しても、それに含まれる包接化合物が変質したり包接化合物からゲスト化合物が脱離することを防止又は減少させる。
包接化合物と両親媒性高分子化合物とを水相中で接触させ含水の第1組成物を形成する第1ステップが、包接化合物と水とを含有する包接化合物水組成物と、両親媒性高分子化合物と水とを含有する両親媒性高分子化合物水組成物と、を混合することで行われるようにすれば、包接化合物と両親媒性高分子化合物とのいずれも予め水と混合され、包接化合物と水との混合物(包接化合物水組成物)と、両親媒性高分子化合物と水との混合物(両親媒性高分子化合物水組成物)と、を混合するので、包接化合物と両親媒性高分子化合物とをむらなく混合することができる。このように包接化合物と両親媒性高分子化合物とが十分混合されることで、第2ステップにて脱水した際、包接化合物が両親媒性高分子化合物によってむらなく結合することができる。
割合(w4/m3)はあまり大きいと第1ステップにおいて包接化合物からゲスト化合物の脱離を促進させ、逆に、該割合(w4/m3)があまり小さいとシクロデキストリン包接化合物含有組成物が水と接触した際の包接化合物の変質や包接化合物からのゲスト化合物の脱離をうまく減少や防止することができないので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、0.03〜0.24とされてもよい。
エチレン・アクリル酸共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体は、1分子中に親水基と疎水基とをバランス良く併せ持つ高分子化合物とすることができ、両親媒性高分子化合物としてエチレン・アクリル酸共重合体及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体を用いることで、包接化合物を結合させるためのバインダー成分としてうまく機能できる。
第1組成物を脱水する第2ステップにおいて、第1組成物を噴霧乾燥法によって脱水(乾燥)すれば、シクロデキストリン包接化合物含有組成物が球形状をほぼなす。比表面積(単位体積当たりの表面積)が小さな球形状をシクロデキストリン包接化合物含有組成物(実施例等におけるCD包接物)がなしていれば、シクロデキストリン包接化合物含有組成物(CD包接物)が水と接触しても水と接触する比表面積が小さいので、水と接触することによるシクロデキストリン包接化合物含有組成物(CD包接物)に含まれる包接化合物の変質やそれからのゲスト化合物の脱離をうまく減少や防止することができる。
包接化合物と両親媒性高分子化合物とを水相中で接触させ混合した第1組成物においては、包接化合物と両親媒性高分子化合物とが十分混合されている方が、第2ステップによって第1組成物が脱水されて形成されるシクロデキストリン包接化合物含有組成物が均一に近い組織を有することから好ましい。このため第2ステップに先立ち第1組成物をホモゲナイズすることで、包接化合物と両親媒性高分子化合物とを十分混合するようにしてもよい。
即ち、本組成物は、本方法により製造されうるシクロデキストリン包接化合物含有組成物である。本組成物は、前述の如く、シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物が、バインダー成分としての両親媒性高分子化合物によって結合され形成された集合体をなしている。本組成物が水と接触しても、それに含まれる包接化合物が変質したり包接化合物からゲスト化合物が脱離することを防止又は減少させる。
例えば、製紙工程において多量の水が存在するパルプ懸濁液に本組成物を添加することで、本組成物が付着した紙を製造することもできる。即ち、本組成物が添加されたパルプ懸濁液を用いて製紙工程を行うことで、本組成物が付着した紙を製造できる。かかる紙に付着した本組成物は製紙工程において水と接触しても包接化合物が変質することやその包接化合物からのゲスト化合物の脱離は大幅に抑制されるので、本来の包接化合物に応じた性質を紙に付与することができる。
本発明は、シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物と、両親媒性高分子化合物と、を水相中で接触させ、含水の第1組成物を形成した後、第1組成物を脱水し、該包接化合物を含む固体(シクロデキストリン包接化合物含有組成物)を得ることを特徴とするものであり、ここでは図1に示すようにCD包接体水混合物17(包接化合物と水とを含有する包接化合物水組成物)と両親媒性高分子化合物液19(両親媒性高分子化合物と水とを含有する両親媒性高分子化合物水組成物)とを混合20し(包接化合物と両親媒性高分子化合物との水相中での接触)、ホモゲナイズ23を行った後、乾燥27させることでCD包接物29(シクロデキストリン包接化合物含有組成物)を製造する。
(CD水混合物11)
シクロデキストリン(CD)水混合物11は、シクロデキストリン(CD)を水に混合することで調製する。
シクロデキストリンは、グルコースの重合度がそれぞれ6、7及び8であるα型(重合度6)、β型(重合度7)及びγ型(重合度8)が存在するが、ここではα型、β型及びγ型のいずれか1種又は2種以上の混合物を好適に用いることができる。また、CDのグルコース1単位は水酸基を3つ有しており(例えば、β型(重合度7)のCDの1分子には修飾可能な水酸基が21個存在する)、これらの水酸基を化学修飾したCDを用いることもできる。1分子のCD中に存する水酸基(nt個)のうち化学修飾された水酸基(nc個)の割合(100×nc/nt)は、0%(修飾無し)以上100%(全ての水酸基が修飾)以下でよい。これら水酸基の化学修飾は、メチル化やヒドロキシプロピル化等を例示として挙げることができるがこれに限定されるものではなく、目的のゲスト化合物13(後述)を所望程度包接できるものであればよい。加えて、CDは水溶性、難水溶性及び不溶性のいずれであってもよく、水に溶解しない場合にはスラリー状態のCD水混合物11としてもよい(即ち、CD水混合物11としてはCD水溶液、CDスラリー液及びこれら両者の混合物のいずれであってもよい。)。
CD水混合物11の調製は、例えば、容器中に注入した水(例えば、蒸留水)を室温下で攪拌しつつ、CDを徐々に加えることで行ってもよい。
用いるゲスト化合物13としては、CD水混合物11に含まれるCDの環空孔(環状構造の中空部分)に包接可能な化合物(揮発性の化合物が特に好ましい)を特に制限なく用いることができる。
ゲスト化合物13の一例を挙げれば、次の如きである。例えば、香料や抗菌剤に用いられる精油に含まれる成分を挙げることができ、具体的には、天然の樹木、枝葉、根茎、木皮、果実等を原料とし、該原料を水蒸気蒸留、圧搾、各種抽出法に供し得られる天然の精油成分(例えば、ヒバオイル、ミント精油、レモングラス精油等)を使用してもよい。かかる天然の精油成分は、植物に含まれる天然物であることから、人体に対する安全性が高く好ましいが、ゲスト化合物13は天然物に限定されるものではなく、人為的に合成された合成品を用いてもよい。
天然の精油成分の例としては、テルペン(リモネンなどのテルペン炭化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン、テルペンオキシド等)やイソチオシアン酸アリル(カラシやワサビの辛味成分として知られる)等の物質が挙げられる。これら精油成分は、1種類のみを用いても、また2種以上のものを混合して用いてもよい。また、CDの環空孔に包接可能であれば、2種類以上の物質を混合して用いることができる(1の環空孔に2種類以上の物質が包接される場合と、各環空孔には1つの物質が包接されるが各環空孔毎に包接される物質が異なる場合と、の両方の場合を含む。)。
CD水混合物11中のCDにゲスト化合物13を包接させるため、CD水混合物11にゲスト化合物13を混合15する。室温のCD水混合物11にゲスト化合物13を加え、そのまま室温下にて1日撹拌することでCD水混合物11をゲスト化合物13と混合15し、包接化合物を含むCD包接体水混合物17を得る。
CD水混合物11とゲスト化合物13との混合15は、CD水混合物11中に含まれるCDのモル数Mcに対するゲスト化合物13のモル数Mgの比(Mg/Mc)があまり高いとCDに包接されないゲスト化合物13が多量に残留するのでゲスト化合物13が無駄になり、逆に、あまり低いとゲスト化合物13がCDにうまく包接されないので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、1.0〜1.5とされてもよい(例えば、比(Mg/Mc)=1.5程度としてもよい)。
また、CD水混合物11にゲスト化合物13を加えた後の撹拌時間は、あまり短いとゲスト化合物13がCDにうまく包接できず、逆に、あまり長くしてもゲスト化合物13のCDへの包接量が増加しなくなるので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、12時間〜24時間としてもよい。そして、CD水混合物11にゲスト化合物13を加えた後の撹拌中の温度はあまり高いとゲスト化合物13の揮発による損失が増加し、逆に、あまり低いとCDへゲスト化合物13が包接されにくくなるので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、10℃〜40℃とされてもよい。
なお、後述のCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21中における、CDとゲスト化合物13との合計質量の割合は、あまり高いとCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21の粘度が高くなることで、得られるCD包接物29の粒径が大きくなりすぎたり、得られるCD包接物29の粒が球状ではなく歪な形状になることがある。逆に、該割合があまり低いと乳化液25の溶液量が多くなり、最終的な乾燥工程27での包接化合物からのゲスト化合物13の脱離(揮発)が増加し、CD包接物29の収率低下につながるので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、該割合(CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21全質量w7に対し、それに含まれるCDとゲスト化合物13との合計質量w8の割合(100×w8/w7))は、通常、25%〜40%とされてもよい。
両親媒性高分子化合物液19としては、両親媒性高分子化合物水溶液及び両親媒性高分子化合物の水分散液(懸濁液等)を用いることができる。
両親媒性高分子化合物は、1分子中に親水基と疎水基を併せ持つ高分子化合物であり、CD包接体水混合物17に含まれている包接化合物(ゲスト化合物13がCDに包接されたもの)を集合体として形成させると共に、水中においても該集合体が保持できるものである必要がある。そのためには、両親媒性高分子化合物が有する親水性及び疎水性のバランスが重要である。即ち、両親媒性高分子化合物の親水性が高すぎると、水中でCD包接物の吸水による崩壊または包接化合物の離脱が起こり、包接化合物の保持率が低下する(水中における該集合体の保持に支障を生じうる)。そして、両親媒性高分子化合物の疎水性が高すぎると水中で分散しにくかったり浮遊してしまうなどのように取り扱いが悪くなってしまう(CD包接体を集合体として形成させることに支障を生じうる)。両親媒性高分子化合物としては、水に可溶性であるか、又は水中に両親媒性高分子化合物の粒子が水中に分散できるもの(水中に分散した状態の粒子の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。この平均粒子径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、分散媒に蒸留水を用いて3回測定を行い、その3回の算術平均値を平均粒子径とする。)を使用してもよい。
親水性と疎水性とをバランスよく併せ持ち両親媒性高分子化合物として使用可能な物質としては、エチレン・アクリル酸共重合体やエチレン酢酸ビニル共重合体を例示的に挙げることができる。詳細には、エチレン・アクリル酸共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体のいずれも、水に可溶性であるか、又は水中にこれら共重合体の粒子が分散できるもの(水中に分散した状態の粒子の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。この平均粒子径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、分散媒に蒸留水を用いて3回測定を行い、その3回の算術平均値を平均粒子径とする。)であれば特に制限なく用いることができる。
両親媒性高分子化合物液19の両親媒性高分子化合物の濃度は、あまり高いとCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21をうまく形成できず、逆に、あまり低いと乳化液25の溶液量が多くなり、最終的な乾燥工程27でのCDからのゲスト化合物13の脱離(揮発)が増加し、CD包接物29の大きな損失につながるので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、該濃度(両親媒性高分子化合物液19全体質量に対するそれに含まれる両親媒性高分子化合物の質量の割合)は、20%〜70%とされてもよい。
両親媒性高分子化合物液19をCD包接体水混合物17に混合20し撹拌することで、CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21を調製する。
混合20において、両親媒性高分子化合物液19のCD包接体水混合物17への添加量は、両親媒性高分子化合物液19中に含有される両親媒性高分子化合物の量として規定できる。即ち、CD包接体水混合物17を調製するのに用いたCD水混合物11含有のCD(m1(g))とゲスト化合物13(m2(g))との合計質量(m3(g)=m1+m2)に対する、両親媒性高分子化合物液19中に含有される両親媒性高分子化合物の質量w4(g)の割合(w4/m3)があまり大きいとCD包接体水混合物17中の包接化合物からゲスト化合物13の脱離を促進させるので好ましくなく、逆に、該割合(w4/m3)があまり小さいとCD包接物29を水に分散させたとき、CD包接物29が水に溶解したり包接化合物からゲスト化合物13の脱離が促進され、両親媒性高分子化合物による十分な効果が得られないので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、0.03〜0.24とされてもよい。例えば、両親媒性高分子化合物としてエチレン・アクリル酸共重合体(エチレンユニット:アクリル酸=8:2)を用いる場合には、該割合(w4/m3)は0.03〜0.24とされてもよく、後述するCD包接物29を水中に分散させる前のCD包接物29に包接されたゲスト化合物13の量(m5)に対する、CD包接物29を水中に分散させた後のCD包接物29に包接されたゲスト化合物13の量(m6)の割合(m6/m5)が、割合(w4/m3)=0.03の場合には0.327であったが(従来から知られていたリモネンのCD包接物を用いると割合(m6/m5)=0.12)、割合(w4/m3)=0.36の場合には0.347であった。
混合20により得られたCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21を、ホモゲナイザー(例えば、キネマティカ社製の商品名「POLYTRON PT6100」)を用いてホモゲナイズ23(例えば、8000回転/分、3分間)し、乳化液25を調製する。なお、CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21をホモゲナイズ23する目的は、CD包接体と両親媒性高分子化合物とを十分混合するためである。
乳化液25を乾燥27させ、粉体のCD包接物29を形成する。
乳化液25の乾燥27は、噴霧乾燥法や混練法などのような公知のCDマイクロカプセル調製方法で実施することができる。
噴霧乾燥法により形成されるCD包接物29は球形状をなす。比表面積(単位体積当たりの表面積)が小さな球形状をCD包接物29がなしていれば、CD包接物29が水と接触しても水と接触する比表面積が小さいので、水と接触することによるCD包接物(包接化合物)の劣化(例えば、吸水による崩壊、ゲスト化合物13の離脱等)を防止又は減少させることができる。この点からは乾燥27は噴霧乾燥法とすることが好ましい。
このようにして得られるCD包接物29は、顕微鏡下ではクラスター状や球状の形態を有し、従来から知られていたCD包接物(包接化合物)に比し、後述のように水分との接触による劣化(例えば、吸水による崩壊、ゲスト化合物13の離脱等)を防止又は減少させることができる。
以上のようにして得られるCD包接物29は、次に挙げる性質を有する。
(1)水分との接触
従来の包接化合物に比し、CD包接物29は水との接触による包接化合物の水中溶解やゲスト化合物の離脱が小さい。
(2)形態
CD包接物29は、顕微鏡下でクラスター状や球状の形態を呈する。
(3)ゲスト化合物の放出
CD包接物29は、周囲の雰囲気中の湿度増加に伴ってゲスト化合物の放出量が増加する(相対湿度が約70%よりも大きくなると、放出量が顕著に増加する。)。
なお、このゲスト化合物の放出量の湿度従属性は、CD包接物29を担持した紙に関しても同様の傾向を示す。
(4)CD包接物29を担持した紙の抗菌性
ゲスト化合物13として、抗菌性を有するもの(例えば、ヒバオイル)を選択すれば、該紙が抗菌性を発揮する。
CD包接物29を担持(付着)した紙を次のように製造することができる。
CD包接物29が添加されたパルプの懸濁液を抄紙原料として抄紙することで、CD包接物29を紙に含有させることができる。
ここで用いるパルプの懸濁液は、所望の紙に対応した従来から用いられているものと同様のものを用いることができ、それにCD包接物29を添加して従来と同様の抄紙工程を行うことで、CD包接物29を含有した紙を製造できる。即ち、従来の抄紙原料であるパルプ懸濁液にCD包接物29を添加することにより、従来と同様の紙製造工程に従いCD包接物29を含有した紙を製造できる。
パルプ懸濁液へのCD包接物29の添加量は、あまり少ないとCD包接物29が十分紙に含まれず、逆に、あまり多いと紙に担持されなかったCD包接物29が抄き工程におけるトラブル原因(例えば、CD包接物29が抄き網に付着し網目を閉塞させる等)となり得るので、これら両条件を満たす範囲とされてもよく、通常、30%〜70%((CD包接物29質量)/(パルプ懸濁液質量))とされてもよい。
(CD水混合物11の調製)
表1に、実施例1〜22及び比較例1の実験条件をまとめた。表1も参照しつつ、実験操作について説明する。
実施例1〜22及び比較例1のいずれも、ビーカーに蒸留水w9(g)を入れ攪拌(室温下)しつつ、β-シクロデキストリン(β−CD、シクロケム株式会社製)m1(g)を徐々に加え、CD水混合物11を調製した。
実施例1〜22及び比較例1のいずれも、上述のようにして調製されたCD水混合物11に含まれているCDのモル数のRm倍のモル数に相当するm2(g)のゲスト化合物13をCD水混合物11に混合15し、その後、室温で1日(24時間)攪拌してCD包接体水混合物17を調製した(ここでは、後述のCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21全体に対する、CD(m1(g))とゲスト化合物13(m2(g))との合計質量((m1+m2)(g))の割合は、表1中の「全重量に占めるCDおよびゲスト化合物の合計重量の濃度」の欄に示した通り、実施例5及び実施例6はそれぞれ25%及び20%としたが、その他の実施例及び比較例はいずれも40%とした。)。ここではゲスト化合物13として、ナカライテスク株式会社製の商品名「d-リモネン」(型番20503−55)及び有限会社キセイテック社製の商品名「青森ヒバ精油」(青森ヒバオイル)を用いた。
実施例1〜22のいずれも、両親媒性高分子化合物液19として、ビーカーに蒸留水w3(g)を入れ攪拌(室温下)しつつ、両親媒性高分子化合物w4(g)を徐々に加え、両親媒性高分子化合物液19を調製した。 なお、比較例1については、両親媒性高分子化合物液19を用いなかった。
ここでは両親媒性高分子化合物として、株式会社セイシン企業社製の商品名「ベターゾル」(成分:エチレン・アクリル酸共重合体(エチレンユニット比率80%)、固形分量:20%。表1においては「エチレンアクリル酸(エチレン約80%)」と示した。)、住友化学株式会社製の商品名「スミカフレックス752」(成分:エチレン酢酸ビニル共重合体(エチレンユニット比率10%)、固形分量:50%。表1においては「エチレン酢酸ビニル(エチレン約10%)」と示した。)、住友化学株式会社製の商品名「スミカフレックス755」(成分:エチレン酢酸ビニル共重合体(エチレンユニット比率25%)、固形分量:50%。表1においては「エチレン酢酸ビニル(エチレン約25%)」と示した。)、住友化学株式会社製の商品名「スミカフレックス408」(成分:エチレン酢酸ビニル共重合体(エチレンユニット比率40%)、固形分量:50%。表1においては「エチレン酢酸ビニル(エチレン約40%)」と示した。なお、表1の実施例22の両親媒性高分子化合物の表示は「エチレンアクリル酸」として示しているが、これは前述の「エチレンアクリル酸(エチレン約80%)」に同じである。)を用いた。
実施例1〜22のいずれも、CD包接体水混合物17((w9+m1+m2)(g))に両親媒性高分子化合物液19((w3+w4)(g))を加え、室温で30分間攪拌し(混合20)、CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21を調製した。両親媒性高分子化合物の添加量w4(g)が、CDの質量m1(g)とゲスト化合物13の質量m2(g)の合計質量(m3(g)=m1+m2)(g)に対する割合(100×w4/m3)を表1中「添加量」(%)として示した。
なお、比較例1については、CD包接体水混合物17に両親媒性高分子化合物液19を加えることなく、室温で30分間攪拌し(混合20)、CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21に代わる液を調製した。
実施例1〜22及び比較例1のいずれも、CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21(実施例1〜22)又はCD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21に代わる液(比較例1)をホモジナイザー(キネマティカ社製の商品名「POLYTRON PT6100」)に供し、ホモジナイザーの運転条件8000回転/分にて3分間ホモゲナイズ23し、乳化液25を得た。
実施例1〜22及び比較例1のいずれも、大川原化工機株式会社製の噴霧乾燥機(型番L-8型)を用い、それぞれの乳化液25を噴霧乾燥させ(乾燥27)、CD包接物29を調製した。噴霧乾燥機の運転条件は、入口温度200℃、出口温度150℃、アトマイザー速度10000回転/分、原料装入速度(エマルジョンフィード速度)30ml/分、空気流量110kg/時であった。
CD包接物29が水分と接触することを含む工程(例えば、湿式の抄紙工程、繊維への加工等)においてCD包接物29が使用された場合の影響(具体的には、水への溶解性やゲスト化合物13の保持性)を評価した。水分接触を伴う工程として湿式の抄紙工程をモデルとし、CD包接物29を水に分散させ、水分散前後の重量変化及びゲスト化合物の保持性を算出した。ここではCD包接物29として、表1中の実施例1〜6のCD包接物29を用いた。
具体的には、水分散前後の重量変化は、分散液を減圧濾過(濾紙は桐山ロート用濾紙 No.5C(φ60mm)を用いた)により濾過し、CD包接物を回収してその回収したCD包接物を105℃にて30分間乾燥させ、乾燥後得られたCD包接物の質量を測定した。
前段階では、通常、パルプ重量が1%になるように水に分散され、CD包接物29は、パルプ重量に対して60重量%を添加するものと予想される。後段階では、CD包接物29を定着させたパルプが抄紙段階でさらに水に希釈されながら抄紙されていく。このため水300mlにCD包接物29を1.8gを添加した実験は前段階の状態を近似し(以下、「前段階近似実験」)、水1.5LにCD包接物29を1.8gを添加した実験は後段階の状態を近似する(以下、「後段階近似実験」)と考えられる。
(前段階近似実験)
従来のCD包接体と考えられる比較例1のCD包接物と、実施例1〜6のCD包接物29と、の間で前段階近似実験においては重量変化及びゲスト化合物保持性に関し大きな差は観察されなかった。これは、室温における水に対する各種のCD包接体の溶解度(g/100ml)は、約0.1g/100ml程度と考えられる。この前段階近似実験で使用した水の量は300mlであり、溶解度が0.1g/100ml程度と考えれば、溶解量は0.3g/300ml程度である。CD包接体の添加量が溶解度以上であるため、このモデルでは大きな差が生じなかったものと考えられる。
水分散前後の重量変化に関する実験結果(後段階近似実験)を表2に示し、ゲスト化合物の保持性に関する実験結果(後段階近似実験)を表3に示した。
CD包接物29を走査型電子顕微鏡により形態観察を行った。その結果、CD包接物29の形態は、実施例1、7〜9、12、13、17のときはクラスター状となり、実施例2〜6、10、11、14〜16、18〜21のときは球状となっていた。
また、水に分散させた後のCD包接物29も走査型電子顕微鏡により形態観察を行った。この水分散後のCD包接物29は、水300ml にCD包接物29を1.8g添加し、室温下で1時間撹拌して水中に分散させ分散液とし、分散液を減圧濾過(濾紙は桐山ロート用濾紙 No.5C(φ60mm)を用いた)により濾過し、CD包接物を回収した。その回収したCD包接物を105℃にて30分間乾燥させ、形態観察用の水分散後CD包接物29とした。水分散後のCD包接物29の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。図2中の実施例の番号は表1中の実施例の番号に対応している。図2中、横方向は両親媒性高分子化合物の種類をとり、縦方向には両親媒性高分子化合物の添加量(w4/m3)をとって示した。
以上のように元のCD包接物29の形態がクラスター状となるか球状になるかは、用いる両親媒性高分子化合物の種類や添加量(w4/m3)によって決まる。例えば、エチレンアクリル酸共重合体(エチレンユニット:アクリル酸=8:2)の場合は、3%添加で球構造を形成し、6%以上添加することで水分散後でも球形状を維持できる。一方、エチレン酢酸ビニル共重合体の場合、エチレンユニットの割合が低いものほど親水性が高く成膜性が高いので、低濃度でも球構造を形成する。しかし、水分散後には、逆にエチレンユニットの割合が低いものは、高い親水性のため、低濃度では球形状を維持できない。水分散後に球形状を維持するためには、12%以上の添加が必要である。
パルプ3g(絶乾換算重量)を水300mlに添加し、十分に撹拌した。
次に、CD包接物29を対パルプ重量に対して50%(1.5g)添加し、十分に撹拌した。
その後、定着剤としてカチオン系ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製の商品名「ファイレックス」(型番RC104))、アニオン系ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製の商品名「ファイレックス」(型番M))を各1%(対パルプ重量。即ち、各0.03g)添加して十分撹拌した(これによりCD包接物29がパルプに付着する)。
そして、ポリエチレンオキシド系抄紙用粘剤(明星化学工業社製の商品名「アルコックス」(型番K2))を0.03g(パルプ重量に対して1%)加えた後、角形シートマシン(抄紙面積25×25cm)で抄紙し、プレス圧0.5MPaで圧搾後、回転式乾燥機によりドライヤ温度105℃で2分間乾燥して、CD包接物担持紙を得た。
CD包接物29からゲスト化合物13がどのように放出されるか実験した。
放出実験は、図3に概念図を示す徐放速度測定装置101を用いた。まず、図3を参照して、徐放速度測定装置101について説明する。徐放速度測定装置101は、大まかには、調湿ガス作製部111と徐放速度測定部131とを備えてなる。
なお、サンプル148は、内径9mm, 深さ1mm(直円柱形状の内部空間)の有底無蓋のアルミ製容器に振動を加えながら充填し、その後、スパーテルですり切りし、重量測定後に放出容器133底部にセットした。このためサンプル148の放出容器133内部空間における表面積Aは、有底無蓋の中空の直円筒形状のアルミ製容器に試料(サンプル)を装入した場合の試料の上面の見かけ表面積であり、具体的には4.5mm×4.5mm×3.14である。
(数式1)N=v×Cg
(数式2)F=N/(A・m)
但し、数式1及び数式2の各文字は次のものを表す。
N: 徐放速度 [g/s]
A: 表面積 [cm2]
v: 窒素ガス流量 [mL/s]
m : CD包接物の質量 [g]
Cg: リモネン濃度 [g/mL]
F: 単位質量及び単位面積当たりの徐放速度 [g/s?cm2?g]
これらのうち、vはバイパス流量調整弁117と湿度付与部流量調整弁121との合計流量とし、Cgはガスクロマトグラフ分析器139でのリモネン濃度分析値とし、Aは試料の見かけ表面積であり、具体的には4.5mm×4.5mm×3.14とし、mは放出容器133底部にセットしたサンプル148の質量とした。
ここではCD包接物29として、表1中の実施例1〜5、7〜21、比較例1用いた
実験結果を図5及び図6に示した。
図5においては、両親媒性高分子化合物それぞれについて横軸に関係湿度(相対湿度とも言う)をとると共に、縦軸にF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)をとり、そして「Ramp rate」とは1分間当たり増加させる相対湿度の増加速度を示し、ここでは毎分0.375%とした。
また、図5に関しては、疎水性が高いエチレンアクリル酸(エチレン約80%)を用いたCD包接物のF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)は、親水性が高いエチレン酢酸ビニルを用いたCD包接物の約50%以下の値であった(例えば、F(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)が急激に増加する関係湿度90%におけるF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)の値を比較する)。そして、3種類のエチレン酢酸ビニルを用いたCD包接物の徐放速度は、全て同程度であり、エチレン酢酸ビニル中のエチレン量は大きく影響しないことが明らかになった。
そして、CD包接物29は、従来のCD包接体(比較例1)と同様、両親媒性高分子化合物液19としてエチレン・アクリル酸又はエチレン酢酸ビニルを用いたもの(図5及び図6中の実施例)は、相対湿度70〜90%でゲスト化合物(ここではリモネン)を放出することが明らかになった。
次いで、CD包接物及びそれを担持したCD包接物担持紙からのゲスト化合物の放出が雰囲気湿度の変化によりどのように変化するか実験した。
用いたCD包接物29及びCD包接物担持紙の製造に使用したCD包接物29としては、表1における実施例1を用いた。また、実施例1のCD包接物29を用いて上述した抄紙実験のようにしてCD包接物担持紙を形成した。
また、CD包接物担持紙の抄紙に用いた実施例1のCD包接物29からのゲスト化合物の放出実験は、上述した徐放速度測定装置101を用いたCD包接物からのゲスト化合物の放出実験と同様に行った。
CD包接物担持紙からのゲスト化合物13(リモネン)のF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)の算出は次に示す式によって計算した。
(数式3)N=v×Cg
(数式4)F=N/(A・m)
但し、数式3及び数式4の各文字は次のものを表す。
N: 徐放速度 [g/s]
A: 表面積 [cm2]
v: 窒素ガス流量 [mL/s]
m : CD包接物担持紙の質量 [g]
Cg: リモネン濃度 [g/mL]
F: 単位質量及び単位面積当たりの徐放速度 [g/s?cm2?g]
これらのうち、vはバイパス流量調整弁117と湿度付与部流量調整弁121との合計流量とし、Cgはガスクロマトグラフ分析器139でのリモネン濃度分析値とし、Aは190cm2(内側用短冊紙80cm2(2.5cm×16cm×2)+外側用短冊紙110cm2(2.5cm×22cm×2))とし、mは放出容器233にセットしたCD包接物担持紙の質量とした。
なお、CD包接物及びCD包接物担持紙のいずれの実験も、バイパス流量調整弁117及び湿度付与部流量調整弁121の調整と、水125dの温度調整と、を併用しつつ雰囲気湿度を変化させた。
図7及び図8のいずれも、横軸に時間(分)をとり、縦軸にF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)及び関係湿度をとっている(図中、▲のプロットが関係湿度を示し、■のプロットがF(単位質量及び単位面積当たりの徐放速度)を示している。)。
CD包接物29(図7)及びCD包接物担持紙(図8)のいずれも、雰囲気中の相対湿度を増減させることで、それに対応してゲスト化合物(ここではリモネン)の放出量も繰り返し増減した。このことからCD包接物29及びCD包接物担持紙のいずれも、雰囲気中の相対湿度の増減に応じて、ゲスト化合物(ここではリモネン)の放出量も繰り返し増減することが明らかになった。
CD包接物担持紙の抗菌性をフィルム密着法(JIS-Z-2801)にて評価した。詳細には、日本紡績検査協会にて抗菌性実験を行い、試験菌は黄色ブドウ球菌とした。フィルム密着法(JIS-Z-2801)においては、コントロール菌数[A]とサンプル菌数[B]から抗菌活性値を計算し、抗菌活性値が2以上なら抗菌能が十分に示されたことになる。抗菌活性値はlog[A/B]で求められる。
CD包接物担持紙の製造に使用したCD包接物29としては、表1における実施例1及び実施例22を用いた。
このことからゲスト化合物13として、揮発性の抗菌性を有する化合物を用いれば、CD包接物29が抄紙工程で水分と接触しても、抄紙され製造された紙は十分な抗菌性を発揮することが明らかになった。
また、ここではシクロデキストリンとゲスト化合物との合計質量m3に対する両親媒性高分子化合物の質量w4の割合(w4/m3)が、表1中「添加量」(%)として示されているように、実施例1〜5、7〜22において0.03〜0.24である。
さらに、実施例のいずれも、両親媒性高分子化合物として、エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン酢酸ビニル共重合体を用いている。
実施例のいずれも、第2ステップ(乾燥27工程)に先立ち、第1組成物(CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液21)をホモゲナイズ23するものである。
以上のように、実施例により製造されるCD包接物29は、本方法により製造されうるシクロデキストリン包接化合物含有組成物である。本方法により製造されうるシクロデキストリン包接化合物含有組成物は、シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物が、バインダー成分としての両親媒性高分子化合物によって結合された、シクロデキストリン包接化合物含有組成物である。
また、上記のCD包接物担持紙は、本方法により製造されうるシクロデキストリン包接化合物含有組成物が付着(担持)した紙である。かかる上記のCD包接物担持紙は、本方法により製造されうるシクロデキストリン包接化合物含有組成物が添加されたパルプ懸濁液を用いた紙の製造方法により製造されている。
13 ゲスト化合物
15 混合
17 CD包接体水混合物
19 両親媒性高分子化合物液
20 混合
21 CD包接体・両親媒性高分子化合物分散液
23 ホモゲナイズ
25 乳化液
27 乾燥
29 CD包接物
101 徐放速度測定装置
111 調湿ガス作製部
113 バイパス部
115 バイパス管部
117 バイパス流量調整弁
118 湿度付与部
119 湿度付与部管部
121 湿度付与部流量調整弁
123 バブリング瓶
125 恒温水槽
125a 水槽本体
125b ヒータ
125c プログラム温度調節計
125d 水
127 合流点
131 徐放速度測定部
132 鋼管コイル
133 放出容器
135 ガスサンプラー
137 湿度計
139 ガスクロマトグラフ分析器
141 サンプラー制御装置
141a 電磁弁
141b タイマー
141c エアーアクチュエータ
143 空気恒温槽
148 サンプル
201 徐放速度測定装置
231 徐放速度測定部
233 放出容器
Claims (8)
- シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物と、エチレン・アクリル酸共重合体及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体である両親媒性高分子化合物と、を水相中で接触させ、含水の第1組成物を形成する第1ステップと、
第1ステップにより形成された第1組成物を脱水し、該包接化合物を含む固体を得る第2ステップと、
を含んでなる、シクロデキストリン包接化合物含有組成物の製造方法。 - 第1ステップが、前記包接化合物と水とを含有する包接化合物水組成物と、両親媒性高分子化合物を含有する両親媒性高分子化合物水組成物と、を混合することで行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
- シクロデキストリンとゲスト化合物との合計質量m3に対する両親媒性高分子化合物の質量w4の割合(w4/m3)が0.03〜0.24である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 第2ステップが、第1組成物を噴霧乾燥することで脱水するものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載の製造方法。
- 第2ステップに先立ち、第1組成物をホモゲナイズするものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の製造方法。
- シクロデキストリンにゲスト化合物を包接させた包接化合物が、エチレン・アクリル酸共重合体及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合体であるバインダー成分としての両親媒性高分子化合物によって結合された、シクロデキストリン包接化合物含有組成物。
- 請求項6に記載のシクロデキストリン包接化合物含有組成物が付着した紙。
- 請求項6に記載のシクロデキストリン包接化合物含有組成物が添加されたパルプ懸濁液を用いた、請求項7に記載の紙の製造方法。
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