JP5906107B2 - ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び、反射型マスクの製造方法 - Google Patents

ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び、反射型マスクの製造方法 Download PDF

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本発明は、ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び、反射型マスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。この微細パターンの形成には、通常、何枚ものフォトマスク(以下、「転写用マスク」という。)が使用されている。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
フォトリソグラフィー法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す露光工程と、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンに従って前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存したレジストパターンを剥離除去する工程とを有している。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を溶解し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、転写用マスクが出来上がる。
ところで、上記転写用マスクの製造に用いられるマスクブランク用のガラス基板の製造工程においては、コロイダルシリカを含有する研磨液を用いてガラス基板表面の鏡面研磨を行った後、ガラス基板の表面に存在するパーティクル(異物等)を除去するための洗浄が行われている。従来、この洗浄にはいくつかの方法が知られている。
例えば、特許文献1には、透明基板の表面に存在するパーティクルを除去するための洗浄方法として、回転するブラシ等の洗浄ツールを透明基板の表面に押しつけて洗浄するスクラブ洗浄法、気体と液体を混合した混合流体を噴射ノズルから透明基板の表面へ噴射して当該表面を洗浄する2流体洗浄法、超音波が印加された液体を洗浄液として透明基板の表面へ供給して当該表面を洗浄する超音波洗浄法等が開示されている。
一方、近年、半導体デバイスの更なる微細化の要求に伴い、極端紫外(Extreme Ultraviolet:以下、EUVと呼称する)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。このEUVリソグラフィにおいて用いられるマスクとしては、露光光を透過する透過型マスクではなく、露光光を反射する反射型マスクが用いられるようになってきている。
このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
特開2005−221928号公報
近年、転写用マスクにおける転写パターンの微細化が著しい。このため、マスクブランクに求められる欠陥サイズおよびその個数に関する要求も厳しくなってきている。マスクブランクのパターン形成用の薄膜に凸状欠陥が発生する大きな要因の一つとして、薄膜を成膜する前の基板の表面における異物の付着がある。このため、基板の表面に薄膜を成膜する前に、基板の表面から異物を除去することが重要となる。
一方、EUV反射型マスクブランクの場合、その表面欠陥に対する要求はさらに厳しい。つまり、異物付着等によって表面に凸状欠陥が存在するガラス基板を使用して反射型マスクブランクあるいは反射型マスクを作製した場合、マスク面のパターン近傍に凸状欠陥が存在すると、露光光の反射光にはその凸状欠陥に起因した位相の変化が生じる。この位相の変化は転写されるパターンの位置精度やコントラストを悪化させる原因となる。特にEUV光のような短波長の光を露光光として用いる場合、マスク面上の微細な凹凸に対して位相の変化が非常に敏感となるため、転写像への影響が大きくなる。また、EUV反射型マスクブランクの場合、基板上に上記多層反射膜として、例えば数nmの厚さのMoとSiを交互に40乃至60周期程度積層させたものが使用されるため、基板表面上では特に問題とならない程度の微小な凸状欠陥が存在していても、上記多層反射膜を成膜した場合に基板表面の欠陥の大きさが拡大されて多層反射膜の表面では位相欠陥となり得るような大きさの凸状欠陥が生じることがある。このようなわけで、特にEUV反射型マスクブランクの場合、表面欠陥に対する非常に高いレベルの要求を満たす必要がある。
上述したように、鏡面研磨後の基板の表面を洗浄する方法としては、回転するブラシを基板に押し当てるスクラブ洗浄法、気体と液体の混合流体を基板の表面へ噴射する2流体洗浄法、及び、超音波を印加した液体を基板の表面へ供給する超音波洗浄法等が知られている。
しかし、スクラブ洗浄法を用いた場合、基板の表面から数100nmの間の領域の液体(洗浄液)は、粘性の影響を強く受けるため、ほとんど流動しない状態になる(この流動しない液体の領域を境界層または停滞層という。)。このため、基板の表面に微小な異物(数100nm以下の大きさの異物)が付着していても、スクラブ洗浄のブラシによって発生する液流では、その異物を移動させて除去することが困難であるという問題がある。また、基板に付着している異物が比較的大きく、ブラシによって異物を除去できたとしても、ブラシに付着した異物が基板の表面に再度付着してしまうという問題がある。一方、超音波洗浄法を用いた場合、超音波の周波数を大きくすることで微小な異物を除去することが可能になるが、それでも500nm以下程度の微小な異物を除去することは困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、鏡面研磨後のガラス基板の表面に存在する微小な異物をより確実に除去することのできるガラス基板の洗浄方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び、反射型マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鏡面研磨後の基板の表面の洗浄方法として、上述した2流体洗浄法について種々の検討を行った。その結果、2流体洗浄法には、以下のような問題があることを発見した。
2流体洗浄法は、スクラブ洗浄や超音波洗浄に比べて、 境界層内へも2流体の液滴が到達できる確率が高く、鏡面研磨後の基板の表面に存在する微細な異物(数100nm以下の大きさの異物)を除去することが可能になる。しかし、2流体洗浄法を用いた場合、鏡面研磨後の基板の表面に存在するゲル状の異物を除去することが困難であることを発見した。また、このゲル状の異物は、基板の鏡面研磨に使用する研磨液に含まれるコロイダルシリカに起因するものであることを発見した。さらに、このゲル状の異物を低減させるためには、鏡面研磨後の基板を待機させるための待機槽中の水溶液の酸化還元電位を50mV以下に制御することが有効であることを発見した。本発明は、かかる新規な発見に基づいて完成されたものであり、極めて高い技術的価値を有するものである。
本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
表面が鏡面研磨されたガラス基板の製造方法であって、
コロイダルシリカを含有する研磨液を用い、ガラス基板の表面を鏡面研磨する工程と、
前記鏡面研磨後のガラス基板を、水溶液の入った待機槽中に浸漬させて待機させる工程と、
前記待機槽から取り出したガラス基板の表面に対し、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射して洗浄する2流体洗浄を行う工程とを有し、
前記待機槽中の水溶液は、酸化還元電位が50mV以下である
ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(構成2)
前記鏡面研磨の工程後のガラス基板を、酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流した後に、前記待機槽に浸漬させて待機させることを特徴とする構成1に記載のガラス基板の製造方法。
(構成3)
前記研磨液と待機槽中の水溶液は、ともにアルカリ性であることを特徴とする構成1または2に記載のガラス基板の製造方法。
(構成4)
前記ガラス基板は、合成石英ガラスからなることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
(構成5)
前記ガラス基板は、SiO−TiOガラスからなることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
(構成6)
構成1から4のいずれかに記載のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の表面に、パターン形成用の薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成7)
構成6に記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクのパターン形成用の薄膜に、転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成8)
構成1から5のいずれかに記載のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の表面に、露光光を反射する機能を有する多層反射膜を形成する工程を有することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
(構成9)
構成8に記載の多層反射膜付き基板の製造方法で製造された多層反射膜付き基板の多層反射膜上に、吸収体膜を形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
(構成10)
構成9に記載の反射型マスクブランクの製造方法で製造された反射型マスクブランクの吸収体膜に、転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
本発明によれば、鏡面研磨後のガラス基板の表面に存在する微小な異物をより確実に除去することのできるガラス基板の洗浄方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び、反射型マスクの製造方法を提供することができる。
ガラス基板の洗浄方法のフローチャートである。 本発明の基板洗浄装置の一例を示す構成図である。 別の実施形態に係るガラス基板の洗浄方法のフローチャートである。 待機工程において使用した水溶液の酸化還元電位と、基板の表面の欠陥の個数との関係を示すグラフである。 待機工程において使用した水溶液のpHと、基板の表面の欠陥の個数との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、表面が鏡面研磨されたガラス基板の製造方法であって、コロイダルシリカを含有する研磨液を用い、ガラス基板の表面を鏡面研磨する工程と、前記鏡面研磨後のガラス基板を、水溶液の入った待機槽中に浸漬させて待機させる工程と、前記待機槽から取り出したガラス基板の表面に対し、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射して洗浄する2流体洗浄を行う工程とを有し、前記待機槽中の水溶液は、酸化還元電位が50mV以下であることを特徴とするガラス基板の製造方法である。
前記のとおり、ガラス基板の表面に付着する数100nm以下の微小な異物(付着物)に対しては、2流体洗浄が特に有効である。しかし、コロイダルシリカを含有した研磨液で鏡面研磨を行ったガラス基板を、純水(DIW:Deionized Water)で満たした待機槽中に浸漬させて待機させた後、そのガラス基板を取り出して2流体洗浄を行った場合、基板表面の異物が十分に除去できない問題が生じていた。この問題について鋭意研究したところ、以下のことが判明した。研磨液中に含まれるコロイダルシリカは、アルカリ性の水溶液中でゾル側に安定しやすいのに対し、洗浄時にはpHが下がるので不安定になり、表面に残留しているコロイダルシリカがゲル化する場合がある。2流体洗浄は、ゲル状の異物の除去能力が比較的低い。これらのことから、2流体洗浄を用いても、基板表面の異物を十分に除去できなかったものと推察される。
以上の推察から、待機槽中の水溶液のpHをアルカリ性にすることを試みた。その処置を施した場合、2流体洗浄後のガラス基板の表面に残存する異物数は、DIWの場合に比べると改善してはいた。しかし、2流体洗浄後のガラス基板の表面に残存する異物数はまだ多く、要求レベルに達することはできていなかった。さらなる鋭意研究を進めた結果、待機槽中の水溶液に存在する還元剤に関し、水素イオンのみが測定対象となるpHを指標とするのでは不十分であることを見出した。さらに、待機槽中の水溶液に存在する還元剤に関し、水素イオン以外の還元剤も測定対象に含まれる酸化還元電位を指標とする必要があることを突き止めた。そして、待機槽中の水溶液の酸化還元電位と、2流体洗浄後にガラス基板表面に残存する異物数との関係を検証した結果、待機槽中の水溶液の酸化還元電位が50mV以下であれば、60nm感度以上の大きさの欠陥数(異物数)を100個以下に低減することが可能であるという結論に至った。なお、ここでいう60nm感度以上の大きさの欠陥とは、ガラス基板上に、粒子径60nmのポリスチレンラテックス粒子(PSL粒子)をばらまいた試験体に対して欠陥検査を行っても凸欠陥として検出できる精度を有する欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行った場合に検出される欠陥のことをいう。
本発明のガラス基板の洗浄方法は、露光光を透過させる透過型マスクブランク用基板、露光光を反射する反射型マスクブランク用基板のいずれであっても適用することが可能である。
透過型マスクブランク用基板としては、例えば合成石英ガラス基板を用いることができる。
反射型マスクブランク用基板としては、例えば合成石英ガラス基板あるいは低熱膨張ガラス基板を用いることができる。
本発明のガラス基板の洗浄方法は、特に、露光光にEUV光を用いる反射型マスクブランク用の基板に対して好適に適用することができる。反射型マスクブランク用の基板としては、低熱膨張ガラスを好適に用いることができる。低熱膨張ガラスとしては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の熱膨張係数を有するものが好ましい。この範囲の熱膨張係数を有するガラス基板としては、例えばアモルファスガラスであれば、SiOに例えば5〜10重量%程度の範囲内でTiOを添加したSiO−TiO系ガラス基板を好ましく用いることができる。
図1は、ガラス基板の洗浄方法のフローチャートである。
図1に示すように、本発明のガラス基板の洗浄方法は、ガラス基板の表面を鏡面研磨する研磨工程と、鏡面研磨後のガラス基板を、水溶液の入った待機槽中に浸漬させて待機させる待機工程と、待機槽から取り出したガラス基板の表面に対し、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射して洗浄する2流体洗浄工程と、を有している。
上記研磨工程では、マスクブランク用基板(ガラス基板)の表面に研磨パッドを接触させ、ガラス基板の表面にコロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させてガラス基板の表面を研磨する。例えば、研磨パッドを貼着した研磨定盤にガラス基板を押し付け、コロイダルシリカを含有する研磨液を供給しながら上記研磨定盤とガラス基板とを相対的に移動(つまり研磨パッドと基板とを相対的に移動)させることにより、ガラス基板の表面を研磨する。この研磨工程には、例えば遊星歯車方式の両面研磨装置などを使用することができる。
上記研磨工程の後、鏡面研磨された基板を、水溶液の入った待機槽中に浸漬させて待機させる。前記待機槽中の水溶液としては、酸化還元電位が50mV以下である水溶液を用いる。このような水溶液としては、例えば、純水に洗剤を加えて酸化還元電位が50mV以下となるように調製した水溶液を用いることが好ましい。前記洗剤としては、例えば、界面活性剤やビルダー剤(アルカリ剤、キレート剤等)を含む洗剤を用いることが好ましい。
前記待機槽中の水溶液は、より好ましくは、酸化還元電位が0mV以下である。
前記研磨工程の研磨液と前記待機槽中の水溶液は、ともにpHが7よりも大きい水溶液、すなわち、アルカリ性の水溶液を用いることが好ましい。研磨工程で使用する研磨液中のコロイダルシリカは、アルカリ性の水溶液中で安定性がよい。一方、中性や酸性の水溶液中では、コロイダルシリカは凝集またはゲル化しやすい。また、研磨工程でガラス基板の表面を鏡面に研磨する際、コロイダルシリカによる研磨作用に加えて、ガラスを微小に溶解させるNaOH、KOH、TMAHのようなアルカリ溶液を添加することによるケミカルエッチング作用を併用した方が、研磨レートが速くかつ基板の表面でのキズの発生も低減できる。この研磨工程を経たガラス基板は、アルカリ性の研磨液中で存在していたコロイダルシリカが表面に付着している。このようなコロイダルシリカ由来の付着物が付着したガラス基板を、中性や酸性の水溶液中に浸漬させると、コロイダルシリカがゲル化して基板表面に高い付着力で付着する恐れがある。待機槽中の水溶液を、研磨液と同じアルカリ性の水溶液としておくことにより、コロイダルシリカのゲル化を抑制できる。
また、基板を待機槽中に浸漬させた際、基板の表面に付着していたコロイダルシリカ由来の付着物の一部は水溶液中に脱離していくが、この脱離した付着物と基板表面とのゼータ電位を同じ極性になるようにしておくと、脱離した付着物が基板表面に再付着することを抑制できる。アルカリ性の研磨液で研磨を行ったガラス基板と研磨液中の研磨材は、ともにゼータ電位がマイナスの極性を有する傾向がある。待機槽中の水溶液を、アルカリ性としておくことにより、コロイダルシリカ由来の付着物およびガラス基板の表面ともに、ゼータ電位の傾向を浸漬前の状態で維持することが可能である。待機槽中の水溶液は、pHが8以上であることが好ましく、より好ましくは9以上であり、さらに好ましくは10以上である。
待機槽中の水溶液の酸化還元電位(ORP)は、市販の酸化還元電位計(ORP計)によって測定することができる。例えば、株式会社堀場製作所製の酸化還元電位計(型式名:9300−10D)を用いて測定することができる。酸化還元電位計の仕様を例示すると、以下の通りである。
(仕様)
測定範囲:0〜±1999mV
使用温度範囲:0〜60℃
保存温度範囲:0〜50℃
金属極:Pt
内部電極:銀/塩化銀
比較電極内部液:3.33mol/L−KCl溶液(♯300)
液絡部材質:多孔性セラミック
接液部材質:ガラス、セラミック
上記待機工程の後、2流体洗浄法を用いて基板の表面を洗浄する(2流体洗浄工程)。図2は、2流体洗浄工程において使用する基板洗浄装置10の例を示す構成図である。
図2に示すように、基板洗浄装置10は、ガラス基板20を保持するためのスピンチャック12と、ガラス基板20の表面に液体と気体を混合させた洗浄液を噴射する噴射ノズル14と、噴射ノズル14をガラス基板20の中央から端部の間で移動させることのできるアーム16を備えている。噴射ノズル14には、噴射ノズル14に気体を供給するための気体供給装置22、及び、液体を供給するための液体供給装置24が接続されている。
2流体洗浄工程では、まず、待機槽中から取り出したガラス基板20を、スピンチャック12に固定する。つぎに、ガラス基板20をスピンチャック12によって所定の回転数で回転させながら、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射ノズル14からガラス基板20の表面に噴射するとともに、アーム16によって噴射ノズル14をガラス基板20の中央から端部の間で移動させる。これにより、ガラス基板20の全面にわたって洗浄液を噴射することができる。なお、噴射ノズル14を固定し、ガラス基板20のみを回転及び/又は移動させることでガラス基板20の表面に洗浄液を噴射してもよい。また、ガラス基板20を固定し、ガラス基板20の表面を走査するように噴射ノズル14を移動させることでガラス基板20の表面に洗浄液を噴射してもよい。さらに、ガラス基板20を固定し、ガラス基板20全体に対して洗浄液を噴射することができるように噴射ノズル14のみを移動させる構造とすることもできる。
気体供給装置22から噴射ノズル14に供給する気体としては、ガラス基板20の表面に影響を与えない不活性ガスであればどのような気体を用いてもよい。特に限定するものではないが、例えば、高圧(例えば0.4MPa程度)の窒素(N)ガスを用いるのが好ましい。
液体供給装置24から噴射ノズル14に供給する液体としては、純水(例えば、超純水、純水、イオン交換水等)を用いるのが好ましい。なお、硫酸過水やアンモニア過水などの酸性物質又はアルカリ性物質を含む洗浄液を用いることもできる。しかしながら、酸やアルカリ性の洗浄液を用いる場合には、研磨によって得られたガラス基板20表面の平滑性や平坦度を劣化させることもあるので、純水を用いることが好ましい。水素ガス溶解水、Oガス溶解水、Oガス溶解水、希ガス溶解水、Nガス溶解水等を用いることもできる。
2流体洗浄工程の後、スピンチャック12に保持されたガラス基板20を回転させることでガラス基板20を乾燥させてもよい(スピン乾燥)。
図3は、本発明のガラス基板の洗浄方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
図3に示すように、上記研磨工程と上記待機工程との間に、ガラス基板の表面に付着した付着物が待機槽に持ち込まれる量を低減するために、付着物をある程度洗い流すリンス工程を実施してもよい。つまり、鏡面研磨工程後のガラス基板を、酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流すリンス工程を実施した後に、リンス工程後のガラス基板を待機槽に浸漬させて待機させてもよい。
鏡面研磨工程後のガラス基板には、コロイダルシリカを含有する研磨液が付着している。したがって、鏡面研磨工程後のガラス基板を酸化還元電位が50mV以下の水溶液に浸漬させて待機させた場合には、ガラス基板の表面にコロイダルシリカの凝集物が付着する可能性がある。この付着物を洗い流すリンス洗浄で酸化還元電位が比較的高い純水(DIW)を用いてしまうと、前記の待機槽中の水溶液にガラス基板を浸漬させたときと同様の理由で、コロイダルシリカがゲル化しやすくなってしまう。コロイダルシリカが一度ゲル化してガラス基板の表面に付着してしまうと、待機槽の水溶液を酸化還元電位が低いものにしても改善することは難しい。
そこで、本実施形態のガラス基板の洗浄方法では、鏡面研磨後のガラス基板を待機槽中の水溶液に浸漬させる前に、酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流すリンス工程を実施する。これにより、ガラス基板の表面にコロイダルシリカの凝集物がゲル化して付着することをより確実に防止することができる。
ガラス基板を洗い流すための水溶液としては、例えば、純水に洗剤を加えて酸化還元電位が50mV以下となるように調製した水溶液を用いることが好ましい。前記洗剤としては、例えば、界面活性剤やビルダー剤(アルカリ剤、キレート剤等)を含む洗剤を用いることが好ましい。
リンス工程においてガラス基板を洗い流すために使用する水溶液は、より好ましくは、酸化還元電位が0mV以下である。
また、ガラス基板を洗い流すための水溶液としては、pHが7よりも大きい水溶液、すなわち、アルカリ性の水溶液を用いることが好ましい。前記の待機槽中の水溶液のときと同様、付着物と基板表面のゼータ電位の極性を同じマイナス側で維持することができ、一度基板の表面から脱離した付着物が、基板表面の別の場所で再付着することを抑制できる。待機槽中の水溶液は、pHが8以上であることが好ましく、より好ましくは9以上であり、さらに好ましくは10以上である。
本発明のガラス基板の洗浄方法は、例えば、以下の(1)〜(5)に示すマスクブランクを製造するためのガラス基板に適用することができる。
(1)遷移金属を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜を有する形態のものであり、この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。
かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(2)遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板(ガラス基板)上に光半透過膜を有する形態のものであって、該光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
また、光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)遷移金属、遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
この遮光膜は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素及び/又はホウ素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
(4)1以上の半透過膜と遮光膜との積層構造を備えた多階調マスクブランク
半透過膜の材料については、前記のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素のほか、クロム、タンタル、チタン、アルミニウムなどの金属単体や合金あるいはそれらの化合物を含む材料も含まれる。各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率となるように調整される。遮光膜の材料についても、前記のバイナリマスクブランクの遮光膜が適用可能であるが、半透過膜との積層構造で、所定の遮光性能(光学濃度)となるように、遮光膜材料の組成や膜厚は調整される。
また、上記(1)〜(4)において、透光性基板(ガラス基板)と遮光膜との間、又は光半透過膜と遮光膜との間に、遮光膜や光半透過膜に対してエッチング耐性を有するエッチングストッパー膜を設けてもよい。エッチングストッパー膜は、エッチングストッパー膜をエッチングするときにエッチングマスク膜を同時に剥離することができる材料としてもよい。
本発明のガラス基板の洗浄方法は、以下のような反射型マスクブランクの製造に用いる基板(多層反射膜付きガラス基板)の洗浄のために、特に好適に用いることができる。
(5)高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層してなる多層反射膜上に吸収体膜を備える反射型マスクブランク
反射型マスクは、EUVリソグラフィに用いられるマスクである。反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成された構造を有する。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光(EUV光)は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜の例としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択することができる。
吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。
Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、さらにOとNの少なくともいずれかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、TaとHfを含む材料、TaとHfとNを含む材料、TaとZrを含む材料、TaとZrとNを含む材料、等を用いることができる。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができるという効果が得られる。
EUV反射型マスクブランクの場合、表面欠陥に対する非常に高いレベルの条件を満たす必要がある。本発明のガラス基板の洗浄方法は、EUV反射型マスクブランクに用いるガラス基板の洗浄のために、特に好適に用いることができる。
上述のようにして得られたガラス基板の表面に、パターンを形成するための薄膜を形成する。これにより、転写用マスクを製造するためのマスクブランクを得ることができる。なお、ガラス基板への薄膜の形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
また、このようにして得られたマスクブランクの薄膜に転写パターンを形成することによって、転写用マスクを得ることができる。なお、マスクブランクの薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
上述のようにして得られたガラス基板の表面に、露光光を反射する多層反射膜を形成する。これにより、反射型マスクブランクを製造するための多層反射膜付きガラス基板を得ることができる。なお、ガラス基板への多層反射膜の形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
また、このようにして得られた多層反射膜付きガラス基板に吸収体膜を形成することによって、反射型マスクを製造するための反射型マスクブランクを得ることができる。なお、多層反射膜付きガラス基板への吸収体膜の形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
さらに、このようにして得られた反射型マスクブランクの吸収体膜に転写パターンを形成することによって、反射型マスクを得ることができる。なお、反射型マスクブランクの吸収体膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
なお、本発明の別の実施態様として、表面が鏡面研磨されたガラス基板の製造方法であって、コロイダルシリカを含有する研磨液を用い、ガラス基板の表面を鏡面研磨する工程と、前記鏡面研磨の工程後のガラス基板を、酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流す工程と、前記水溶液によって洗い流したガラス基板の表面に対し、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射して洗浄する2流体洗浄を行う工程とを有し、前記待機槽中の水溶液は、酸化還元電位が50mV以下であることを特徴とするガラス基板の製造方法とすることも可能である。
この実施態様は、ガラス基板の表面を鏡面研磨する工程において、一度に研磨するガラス基板が1枚である場合、すなわち1枚ずつ研磨するような場合に、特に好適に用いることができる。鏡面研磨後のガラス基板を待機槽に浸漬させて待機させなくても、ガラス基板に付着している研磨液が固着する前に酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流し、次工程の2流体洗浄を行う工程に送ることが可能であるためである。この実施態様における、詳細においては、前記の本発明の実施態様の場合と同様である。
以下、本発明のガラス基板の洗浄方法の実施例および比較例について説明する。
本実施例では、低熱膨張ガラス基板の研磨及び洗浄を行い、洗浄後の基板表面に存在する欠陥の個数を測定した。なお、合成石英ガラス基板よりもSiO−TiOの低熱膨張ガラス基板の方がコロイダルシリカ由来の付着物の付着量が多くなる傾向があるという知見から、SiO−TiOの低熱膨張ガラス基板によって検証を行うことにした。
まず、大きさが約152mm×約152mm、厚さが約6.25mm、材質SiO−TiOの低熱膨張ガラス基板を18枚準備した。
つぎに、準備したガラス基板に対して、以下の条件で鏡面研磨加工を行った(研磨工程)。
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
研磨液:アルカリ性(pH10.5),25℃,
コロイダルシリカ砥粒(平均粒径100nm)+水(NaOH添加)
加工圧力:50〜100g/cm
鏡面研磨工程終了後、未洗浄のガラス基板を3枚ずつに分け、水溶液A〜Fがそれぞれ満たされた実施例1〜4および比較例1、2の各待機槽中にそれぞれ浸漬させて待機させた。待機時間は、60分間とした(待機工程)。なお、待機槽中の水溶液は、DIWのみの水溶液Aと、DIWに薬液B〜Fをそれぞれ2vol%添加した水溶液B〜Fを、それぞれ使用した。各水溶液の酸化還元電位とpHを測定した結果を以下に示す。
比較例1: 水溶液A(DIW) ,酸化還元電位 359mV ,pH 6.0
比較例2: 水溶液B(DIW+薬液B) ,酸化還元電位 249mV ,pH 7.8
実施例1: 水溶液C(DIW+薬液C) ,酸化還元電位 18mV ,pH11.6
実施例2: 水溶液D(DIW+薬液D) ,酸化還元電位 46mV ,pH10.7
実施例3: 水溶液E(DIW+薬液E) ,酸化還元電位 −2mV ,pH10.3
実施例4: 水溶液F(DIW+薬液F) ,酸化還元電位 −18mV ,pH10.5
待機槽からガラス基板を3枚ずつ取り出し、図2に示す基板洗浄装置10を用いて、各ガラス基板の表面の洗浄を行った(2流体洗浄工程)。噴射ノズル14から噴射する液体としては、純水を使用した。噴射ノズル14から噴射する気体としては、窒素ガスを使用した。また、同じ待機条件の3枚のガラス基板に対し、洗浄時間を80秒、130秒、180秒に変えてそれぞれ2流体洗浄を行った。
つぎに、2流体洗浄工程後のガラス基板の表面に対し、欠陥検査装置(レーザーテック社製 M1350)を用いた欠陥検査を行った。なお、使用した欠陥検査装置は、60nm感度以上の凸状欠陥を検出可能な性能を有するものであった。各実施例および比較例のガラス基板で検出された凸状欠陥の個数は、それぞれ以下のとおりである。なお、各実施例および比較例における凸状欠陥の個数は、同じ待機条件の3枚のガラス基板に対する欠陥検査結果の平均値である。
比較例1: 水溶液A(DIW) 欠陥個数 平均348個
比較例2: 水溶液B(DIW+薬液B) 欠陥個数 平均212個
実施例1: 水溶液C(DIW+薬液C) 欠陥個数 平均 83個
実施例2: 水溶液D(DIW+薬液D) 欠陥個数 平均 61個
実施例3: 水溶液E(DIW+薬液E) 欠陥個数 平均 48個
実施例4: 水溶液F(DIW+薬液F) 欠陥個数 平均 10個
検出された凸状欠陥の個数と、待機槽中の水溶液の酸化還元電位との関係について、図4に示す。また、検出された凸状欠陥の個数と、待機槽中の水溶液のpHとの関係について、図5に示す。
図4に示す通り、待機工程で使用した水溶液の酸化還元電位と、ガラス基板の表面に存在する欠陥の個数との間には、明確な相関があることを確認することができた。また、待機工程で使用する水溶液の酸化還元電位を50mV以下とした場合には、ガラス基板の表面に存在する凸状欠陥の個数が100個以下であり、欠陥の個数が少ないことを確認することができた。特に、待機工程で使用する水溶液の酸化還元電位が0mV以下の場合、欠陥の個数が50個以下とすることが可能であり、欠陥の個数をきわめて少なくできることが確認された。
一方、図5に示す通り、待機工程で使用した水溶液のpHと、ガラス基板の表面に存在する欠陥の個数との間には、明確な相関は得られなかった。特に凸状欠陥の個数を50個以下に低減するには、待機槽中の水溶液のpHで制御することは困難であることは明らかである。
10…基板洗浄装置
14…噴射ノズル
20…ガラス基板

Claims (9)

  1. 表面が鏡面研磨されたガラス基板の製造方法であって、
    コロイダルシリカを含有する研磨液を用い、ガラス基板の表面を鏡面研磨する工程と、
    前記鏡面研磨後のガラス基板を、水溶液の入った待機槽中に浸漬させて待機させる工程と、
    前記待機槽から取り出したガラス基板の表面に対し、液体と気体を混合させた洗浄液を噴射して洗浄する2流体洗浄を行う工程とを有し、
    前記待機槽中の水溶液は、酸化還元電位が50mV以下であり、
    前記研磨液と前記待機槽中の水溶液は、ともにアルカリ性である
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記鏡面研磨の工程後のガラス基板を、酸化還元電位が50mV以下の水溶液によって洗い流した後に、前記待機槽に浸漬させて待機させることを特徴とする請求項1記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板は、合成石英ガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記ガラス基板は、SiO−TiOガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれかに記載のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の表面に、パターン形成用の薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  6. 請求項記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクのパターン形成用の薄膜に、転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の表面に、露光光を反射する機能を有する多層反射膜を形成する工程を有することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
  8. 請求項に記載の多層反射膜付き基板の製造方法で製造された多層反射膜付き基板の多層反射膜上に、吸収体膜を形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
  9. 請求項に記載の反射型マスクブランクの製造方法で製造された反射型マスクブランクの吸収体膜に、転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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