JP5904483B2 - 研磨剤を含有する核酸導入剤 - Google Patents

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本発明は、核酸導入剤に関する。より詳細には、研磨剤として炭酸カルシウムを含有する、細胞への核酸導入を行なうための核酸導入剤等に関する。
胃等の腹腔内臓器の癌治療では、癌細胞が体腔内に遊離して腹腔内臓器の表面を覆う腹膜へ転移すること(腹膜播種)が問題となっている。TS−1やタキソールなどのいくつかの抗癌剤が腹膜播種に有効であることが示されているが、治療方法は限られており、新たな治療薬の開発や治療方法の大幅な改善が求められている。
腹膜播種の予防又は治療を目的として遺伝子治療や核酸医薬の使用が検討されている。核酸を動物細胞に導入する場合、核酸単体では導入効率が低く、何らかの運搬体(キャリア)が必要である。キャリアとしては、核酸導入効率が高いことから、前臨床、臨床試験ともにウイルスベクターが主流である。しかしながら、ウイルスベクターは、大量生産が難しい上に、取り扱うためには物理学的封じ込めレベルの高い施設が必要となるため、臨床応用上制約が多い。またウイルスベクターを使用した臨床試験において死亡や白血病の発症等の副作用が報告されており、安全性に問題がある。ウイルス以外のキャリアとしてはカチオン性のキャリアが用いられている。カチオン性キャリアは核酸と複合体を作ることで正に帯電した複合体が細胞に取り込まれることにより遺伝子発現に至る。ウイルスベクターと比較して核酸の導入効率が低いことや、カチオン性のキャリア自体にアポトーシス誘導作用などの毒性があること、ロット間差等が問題となっている。さらにリン酸カルシウム共沈法は、インビトロにおいて古くから用いられている方法であるが、リン酸カルシウムと核酸とが複合体を作る点において、調製時の操作の差で遺伝子導入効率に大きな差が出てしまうという問題がある。
キャリアとしては上記の他、炭酸カルシウムを利用した核酸導入用の材料が開発されている。特許文献1には、遺伝子送達システムに応用され得る、核酸を内包する炭酸カルシウムからなるマイクロカプセルが開示されている。特許文献2には、腹膜腔内に導入される、多孔質サンゴ様の炭酸カルシウムをベースとする支持体からなる遺伝子移植片が開示されている。また非特許文献1には、細胞にDNAを送達させる為の手段として、表面誘起石灰化により調製されたDNA/炭酸カルシウムナノ複合材料が開示されている。しかしながらこれらの文献においては、炭酸カルシウムはカプセルや支持体として使用されており、炭酸カルシウム自体が核酸と併用するだけで導入効率を向上させる効果を有するか否かは不明である。
一方、本発明者らは、上記のようなキャリアを利用することなく、肝臓、腎臓、膵臓及び胃漿膜などの腹腔内臓器表面にプラスミドDNAなどの遺伝子を含む溶液を直接滴下することにより、効率的な遺伝子導入が可能であることを明らかにしている(非特許文献2−5)。
特開2007−015990号公報 特表平08−508880号公報
Biomaterials, 30(31), 6386-6393 (2009) Biol. Pharm. Bull., 27, 1697-1699 (2004) Biol. Pharm. Bull., 28, 181-184 (2005) Biol. Pharm. Bull., 30, 941-945 (2007) Biol. Pharm. Bull., 29, 2082-2086 (2006)
しかしながら、腹腔内臓器の表面を含む腹膜全体に対して遺伝子導入を行なうことを目的として、プラスミドDNAなどの遺伝子を開腹せずに腹腔内投与しても、遺伝子導入効率は低いとの結果も得られていた。このことは、腹膜全体に効率的に遺伝子導入するためには、腹壁を切開し、腹腔内臓器全体を露出させる必要があることを示唆しているが、腹腔内臓器全体を露出させることは、臨床的に現実的ではない。
本発明の目的は、細胞への核酸導入を効率良く行なう手段を提供すると共に、患者に過度の負担をかけることなく、安全且つ簡便な臓器表面への核酸導入を可能とする手段を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、意外なことに、腹腔内臓器表面への物理的な刺激(例えば、薬さじで摩擦を加えることなど)により、遺伝子導入効率が60倍程度上昇することを見出した。かかる知見に基づき、開腹することなく臓器表面に摩擦を加えたのと同様の効果を得るための、核酸導入剤について更に検討を行なった。その結果、臓器表面に対して簡便に摩擦を加えるため、研磨剤を用いることを考案し、特に研磨剤として炭酸カルシウムを添加した核酸溶液を腹腔内投与すると、腹腔内臓器表面への核酸導入が高い効率で起こることから、腹腔内臓器表面への核酸導入剤として炭酸カルシウムが優れていることを見出した。更に本発明者らは、核酸導入においてより操作性のよい、新たな形状の炭酸カルシウム結晶を製造することに成功し、それを炭酸カルシウムマイクロフラワーと命名し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]研磨剤として炭酸カルシウムを含有する、細胞への核酸導入を行なうための核酸導入剤。
[2]細胞が生体内に存在する細胞である、[1]に記載の核酸導入剤。
[3]細胞が漿膜に存在する細胞である、[2]に記載の核酸導入剤。
[4]炭酸カルシウムの粒子径が、1〜80μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の核酸導入剤。
[5]炭酸カルシウムが、中空の円錐形、すなわち先端が尖っており傘のような形状である、[1]〜[4]のいずれかに記載の核酸導入剤。
[6]炭酸カルシウムが、以下の工程(i)及び(ii)を含む方法によって製造されるものである、[1]〜[5]のいずれかに記載の核酸導入剤:
(i)乳化剤を溶解した有機溶媒の存在下で、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とから固形状の炭酸カルシウムを生成させる工程、
(ii)水相と有機相との間に生じる中間相に存在する炭酸カルシウムを回収する工程。
[7]乳化剤が卵黄レシチンである、[6]に記載の核酸導入剤。
[8]核酸と共に腹腔内投与又は胸腔内投与される、[1]〜[7]のいずれかに記載の核酸導入剤。
[9]腹膜播種又は胸膜播種の予防及び/又は治療用である、[8]に記載の核酸導入剤。
[10]腹膜癒着又は胸膜癒着の予防用である、[8]に記載の核酸導入剤。
[11]形状が底面の開いた中空の円錐形であり、且つ見掛け密度が0.2g/cm未満である炭酸カルシウムの製造方法であって、以下の工程(i)及び(ii)を含む方法:
(i)乳化剤を溶解した有機溶媒の存在下で、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とから固形状の炭酸カルシウムを生成させる工程、
(ii)水相と有機相との境界に存在する炭酸カルシウムを回収する工程。
[12]乳化剤が卵黄レシチンである、[11]に記載の方法。
[13]炭酸カルシウムが、[11]又は[12]に記載の方法により製造されたものである、[1]〜[10]のいずれかに記載の核酸導入剤。
本発明の核酸導入剤は、炭酸カルシウムをプラスミドDNAなどの核酸溶液に加えるのみで、高効率で細胞に遺伝子導入することができる。そのため、従来開腹手術が必要とされた腹膜に存在する細胞への核酸導入を、開腹せずに行なうことが可能となる。これにより、腹膜に存在する細胞への核酸導入を必要とする腹膜播種等の疾患に対する安全且つ簡便な予防及び/又は治療手段が提供される。
炭酸カルシウムは、従来のウイルス性ベクターやカチオン性キャリアと比較して、安価であること、特殊な施設や機器を使用することなく容易に調製することができることなどから、製剤学的に望ましい特徴を持つ。特にアサガオ形の構造を有する炭酸カルシウム結晶は、沈降速度が従来の炭酸カルシウムよりも遅く、沈殿しても再懸濁可能であるため、臨床応用において、より安全且つ簡便な臓器表面への核酸導入が可能となる。
図1は、開腹することによりマウス胃漿膜表面への遺伝子導入効率が向上することを示す。開腹して胃漿膜表面にプラスミドDNA溶液(20μg/20μl)を滴下した場合には、開腹せずに腹壁越しに胃漿膜表面近傍に投与した場合と比較して、遺伝子導入効率は顕著に高かった(各群、n=7以上)。縦軸は、プラスミドDNAにコードされるホタルルシフェラーゼの遺伝子発現量をルシフェラーゼ活性で示したものである。 図2は、ラット胃漿膜表面の摩擦による遺伝子導入効率の向上を示す。開腹して胃漿膜表面にプラスミドDNA溶液(5μg/5μl)を滴下する際に薬さじで滴下部位を摩擦した場合(instillation + rubbing)には、プラスミドDNA溶液を滴下したのみの場合(instillation)と比較して、59倍高い遺伝子導入効率が得られた(各群、n=10以上)。横軸は、プラスミドDNAにコードされるホタルルシフェラーゼの遺伝子発現量をルシフェラーゼ活性で示したものである。有意差:*P<0.05、**P<0.01(脾臓に対して)。 図3は、ラット胃漿膜表面の摩擦による遺伝子発現期間の延長を示す。プラスミドDNA溶液(5μg/5μl)を滴下する際に薬さじで滴下部位を摩擦した場合(instillation + rubbing)には、摩擦しない場合(instillation)と比較して、遺伝子導入効率が有意に高く、遺伝子導入から28日経過後でも十分な遺伝子発現が認められた(各群、n=10以上)。縦軸は、プラスミドDNAにコードされるホタルルシフェラーゼの活性を示す。横軸は、遺伝子導入からの時間(日)を示す。有意差: **P<0.01(instillationに対して)。 図4は、炭酸カルシウムによる遺伝子導入効率の向上を示す。市販の炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社、販売元コード036−00382)(最終濃度100、50、25、12.5又は6.25μg/μl)をプラスミドDNA溶液(10μg/10μl)に混合した懸濁液を、開腹せずに腹壁越しに胃漿膜表面近傍に投与した。100μg/μlの炭酸カルシウムを使用した場合、炭酸カルシウムを使用しない場合と比較して、遺伝子導入効率は約70倍に上昇した。縦軸は、プラスミドDNAにコードされるホタルルシフェラーゼの遺伝子発現量をルシフェラーゼ活性で示したものである。 図5は、炭酸カルシウムマイクロフラワーの形状を示す。実施例2に記載の製造方法により作製した炭酸カルシウムマイクロフラワーの走査型電子顕微鏡写真を示す。スケールバー:50μm。 図6は、炭酸カルシウムマイクロフラワーによる遺伝子導入効率の増強を示す。実施例2に記載の製造方法により作製した炭酸カルシウムマイクロフラワー(図中、MF)又は市販の炭酸カルシウム(図中、wako)(最終濃度100、50、25、12.5又は6.25μg/μl)をプラスミドDNA溶液(10μg/10μl)に混合したものを、開腹せずに腹壁越しに胃漿膜表面近傍に投与した。炭酸カルシウムマイクロフラワーの使用量を100μg/μlから6.25μg/μlまで下げても、遺伝子導入効率は低下しなかった(各群、n=5以上)。縦軸は、プラスミドDNAにコードされるホタルルシフェラーゼの遺伝子発現量をルシフェラーゼ活性で示したものである。有意差:*P<0.05、**P<0.01(wakoに対して)。 図7は、炭酸カルシウムマイクロフラワーによる遺伝子発現陽性細胞の増加を示す。実施例2に記載の製造方法により作製した炭酸カルシウムマイクロフラワー(最終濃度6.25μg/μl)をプラスミドDNA溶液(100μg/100μl)に混合したものを、腹腔内に投与した。図はプラスミドDNAにコードされる緑色蛍光タンパク質ZsGreen1を発現している細胞を示す。
本発明の核酸導入剤に含有される炭酸カルシウム(CaCO)は、歯磨用組成物等に一般に使用されるような研磨剤として機能するものであれば、その結晶構造、製法、形状等は特に限定されない。例えば、炭酸カルシウムの結晶構造は、カルサイト、アラゴナイト、バテライトのいずれの結晶構造であってもよい。また例えば、炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、重質炭酸カルシウム(天然炭酸カルシウム)のいずれであってもよい。軽質炭酸カルシウムは、例えば炭酸ガス化合法又は可溶性塩反応法によって合成される。重質炭酸カルシウムは、石灰石の乾式又は湿式粉砕により製造される。これらの炭酸カルシウムの製造法は、当該分野において公知である。或いは、市販の炭酸カルシウムを使用してもよく、例えばポアカル−N、コロカルソー−EX(白石カルシウム株式会社)等が挙げられるが、これらに限定されない。
炭酸カルシウムの粒子径は、それを含有する本発明の核酸導入剤が核酸導入効率を向上させることができる限り、特に限定されず、その形状によって適宜設定することができるが、通常1〜80μm、好ましくは5〜30μmである。粒子径が1μm未満であると、核酸導入効率が向上しない傾向がある。また、粒子径が30μmを超えると、沈降しやすくなる傾向があり、製剤学的に好ましくないが、中空の構造を有する結晶では見掛け密度が低下するため、この限りではなく、粒子径が50μm程度でも沈降速度が充分遅い場合もある。
本発明の核酸導入剤に含有される炭酸カルシウムの形状は、球形、立方体、紡錘形、板状、針状、球状多孔質、花弁状(アサガオ形等)等であり得る。球形の炭酸カルシウム(例えば、コロカルソー−EX(白石カルシウム株式会社)や、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合し炭酸カルシウムを合成した後、遠心分離した上清)は、沈降速度が遅く、沈殿しても再懸濁が容易であり、製剤学的観点から好適に用いられる。また立方体の炭酸カルシウム(例えば、市販の炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社、販売元コード036−00382)や、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合し炭酸カルシウムを合成した後、遠心分離した沈殿)は、高い遺伝子導入効率が得られることから好適に用いられる。アサガオ形の炭酸カルシウムは、本発明者らが開発した新規の形状及び特性を有する炭酸カルシウムであり、以下、このようなアサガオ形の炭酸カルシウムを炭酸カルシウムマイクロフラワーとも言う(図5参照、詳細は後述)。炭酸カルシウムマイクロフラワーは、沈降速度が遅く、沈殿しても再懸濁が容易である上に、遺伝子導入効率も高いことから、特に好ましい。
走査型電子顕微鏡で観察した炭酸カルシウムマイクロフラワーの形状は、中空の円錐形であり、その先端は尖っておりアサガオあるいは傘のような形状である。さらに換言すれば、「中空の円錐形」は、底面が開いており、中身の詰まっていない円錐形である。粒子径(円錐の底面の直径を意味する)は、通常2〜80μm、好ましくは10〜50μmである。
炭酸カルシウムマイクロフラワーの見掛け密度は、0.2g/cm未満であることが好ましい。ここで見掛け密度は、以下の方法により測定される:(1)適当な容器(例えば、1.5mlエッペンドルフ(登録商標)チューブ)に試料を充填してタッピングした後、重量を測定し、(2)試料の上端の位置を記録し、(3)当該試料の上端の位置までの当該容器の容積から試料の体積を算出し(例えば、容器を空にした後、当該試料の上端の位置まで加えた水の重量から試料の体積を算出する)、(4)測定しておいた試料の重量を当該体積で割る。この方法で測定された見掛け密度が0.2g/cm以上であると、沈降速度が速くなり、製剤学的観点から好ましくない。また炭酸カルシウムマイクロフラワーの見掛け密度の下限値は、0g/cmより大きい測定可能な値であれば特に限定されない。尚、マイクロフラワー型以外の市販の炭酸カルシウムの見掛け密度は、この方法で測定した場合、通常0.2g/cm以上である。
見掛け密度は、当該分野において公知の方法(例えば、JIS K 5101−12−1、JIS K 6220等)によって測定することもでき、その場合にも、炭酸カルシウムマイクロフラワーは、前記球形又は立方体の炭酸カルシウムよりも低い見掛け密度を示す。
炭酸カルシウムマイクロフラワーは、上記形状及び特性を有する限り、いかなる方法によって製造してもよいが、例えば、以下の工程(i)及び(ii)を含む方法によって製造することができる:
(i)乳化剤を溶解した有機溶媒の存在下で、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とから固形状の炭酸カルシウムを生成させる工程、
(ii)水相と有機相との間に生じる中間相に存在する炭酸カルシウムを回収する工程。
本製造方法は、油水抽出によって水相中の炭酸カルシウムが有機相中に移行することに着目することで、開発に成功したものである。
例えば、工程(i)では、乳化剤を溶解させた有機溶媒に炭酸ナトリウム水溶液を混合した後、ボルテックスしながら塩化カルシウム水溶液を混合し、固形状の炭酸カルシウムを生成させる。
有機溶媒としては、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用が許可されたものが好ましく、アルコール類、エーテル類、脂肪酸エステル類、ケトン類、炭化水素類、油脂類等を挙げることができ、具体的にはジエチルエーテル等が挙げられる。乳化剤としては、医薬品用、食品用、化粧品用に通常使用されている界面活性剤の中から、生体に対して安全性の高いものを適宜選択して用いることができる。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン(例、大豆レシチン、卵黄レシチン)等が挙げられるが、卵黄レシチンを使用することが好ましい。乳化剤の濃度は、特に限定されないが、通常5〜20重量%である。
工程(i)において、有機溶媒と水溶液を混合することにより、有機相と水相の二相に分離する。有機相(有機溶媒に由来する部分)と水相(水溶液に由来する部分)との割合は特に限定されないが、通常、重量比で1:1〜3程度、好ましくは1:2程度となるよう調整する。
炭酸カルシウムが生成した後、有機相と水相の分離をよくするため、適宜エタノール−ジエチルエーテル(1:1)混液等を加えてもよい。エタノール−ジエチルエーテル混液は、有機溶媒に対して、通常、1〜3倍(重量)、好ましくは約2倍(重量)で添加される。
当該工程は、通常15〜35℃、好ましくは20〜25℃で、2〜10時間、好ましくは3〜4時間実施される。
上記工程で分離した有機溶媒と水溶液を廃棄し中間相の炭酸カルシウムを回収する(工程(ii))。工程(ii)は、当該分野において公知の方法を用いて行なうことができ、例えば以下の手順で行なうことができる。工程(i)の反応液より水相および有機相を注意深く除き、得られた粗沈殿に対しエタノール−ジエチルエーテル(1:1)混液等を加え残留する液相を一相とした後、炭酸カルシウム全体を沈降させ、液相を除くことで、水を除去する。水を除去することで、炭酸カルシウムマイクロフラワーをマイクロフラワーにならなかった炭酸カルシウム小片から分離することが可能となる。マイクロフラワーにならなかった炭酸カルシウム小片から炭酸カルシウムマイクロフラワーを分離するには、エタノール−ジエチルエーテル混液(例えば、エタノール:ジエチルエーテル=0〜1:1の混液)を加え自由沈降させたとき、上清に含まれるマイクロフラワーにならなかった炭酸カルシウム小片を除き、マイクロフラワーを含む沈殿を回収する。この際、前記混液中のジエチルエーテルの割合を100%まで徐々に増やしながら、3回以上洗浄し、マイクロフラワーを含む沈殿を乾燥させる。以上の方法により得られる炭酸カルシウムマイクロフラワーは、底面の開いた中空の円錐形となり、通常、その粒子径は2〜80μm、好ましくは10〜50μmであり、見掛け密度は0.2g/cm未満、好ましくは約0.14g/cmである。こうして得られる炭酸カルシウムマイクロフラワーは、そのまま本発明の核酸導入剤として使用することができる。
本発明の核酸導入剤によって細胞に導入される核酸(以下、被導入核酸という)は、RNA、DNA、RNAとDNAのキメラ核酸(以下、キメラ核酸と称する)又はハイブリッド核酸である。ここで、キメラ核酸とは、一本の核酸の中にRNAとDNAを含むことをいい、ハイブリッド核酸とは、二本鎖において、一方の鎖がRNA又はキメラ核酸でもう一方の鎖がDNA又はキメラ核酸である核酸をいう。
被導入核酸は、一本鎖又は二本鎖である。二本鎖の態様には、二本鎖RNA、二本鎖DNA、二本鎖キメラ核酸、RNA/DNAハイブリッド、RNA/キメラ核酸ハイブリッド、キメラ核酸/キメラ核酸ハイブリッド及びキメラ核酸/DNAハイブリッドが含まれる。被導入核酸は、好ましくは一本鎖RNA、一本鎖DNA、一本鎖キメラ核酸、二本鎖RNA、二本鎖DNA、二本鎖キメラ核酸、RNA/DNAハイブリッド、RNA/キメラ核酸ハイブリッド、キメラ核酸/キメラ核酸ハイブリッド又はキメラ核酸/DNAハイブリッドである。
被導入核酸は、コード領域を含む核酸であり得る。ここでコード領域を含む核酸とは、遺伝子を発現可能に含むものが挙げられ、例えばプラスミド、或いはプロモーターに連結された遺伝子を含む遺伝子構築物などが挙げられる。遺伝子としては、例えば、酵素阻害剤をコードする遺伝子、細胞毒性又はアポトーシス誘導作用を有するポリペプチドをコードする遺伝子、転写因子の阻害物質をコードする遺伝子、免疫系を活性化させるサイトカインをコードする遺伝子、血管新生を阻害するポリペプチドをコードする遺伝子等が挙げられるがこれらに限定されない。
被導入核酸は、非コード核酸であり得る。ここで非コード核酸とは、タンパク質をコードしない核酸を意味し、天然の核酸であるか、人為的に製造されたものであるかを問わない。非コード核酸は、機能を有するものであることが好ましく、該核酸が導入される細胞内で、ある特定の遺伝子(標的遺伝子)の発現を阻害する機能を有することが特に好ましい。ここで「標的遺伝子の発現を阻害する」とは、結果的に標的遺伝子がタンパク質に翻訳されて(標的遺伝子が非コードの場合は、成熟RNAにプロセシングされて)機能を発揮するのを妨げるものである限り、その阻害様式に特に制限はなく、例えば、アンチジーンのように遺伝子の転写を阻害するもの、アンチセンス核酸やmiRNAのようにmRNAからタンパク質への翻訳を阻害するもの、siRNAやリボザイムのようにmRNAを分解するものなどが挙げられるが、それらに限定されない。
被導入核酸は、化学的に合成されたものであっても天然に存在するRNAやDNAに由来するものであってもよい。天然に存在するものにおいては、当該天然型の塩基配列を一部改変したものを用いてもよく、例えば、天然のものと70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列を含み、且つ、天然型のものと同等の機能(例えば、0.5〜2倍の阻害活性)を有する配列改変体が挙げられる。
所望に応じて種々の化学修飾を施したものであってもよい。
より好ましくは、被導入核酸は、miRNA又はsiRNAである。
miRNAとしては、任意の公知のものを用いることができるが、本発明の核酸導入剤を疾患の予防・治療用に用いる場合には、miRNAは、腹腔内の疾患若しくは状態又は胸腔内の疾患若しくは状態の発症及び/又は増悪に関与する遺伝子を標的とするものであることが好ましい。例えば、上記遺伝子を標的とすることが報告されているmiRNAとしては、miR−516a−3p等が挙げられるが、これらに限定されない。
一方、siRNAとは、標的遺伝子のmRNAもしくは初期転写産物のヌクレオチド配列又はその部分配列(好ましくはコード領域内)(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)に相同なヌクレオチド配列とその相補鎖からなる二本鎖オリゴRNAである。siRNAに含まれる、標的ヌクレオチド配列と相同な部分の長さは、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21〜23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。また、siRNAの全長も、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21〜23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。
標的ヌクレオチド配列と、siRNAに含まれるそれに相同な配列との関係については、100%一致していてもよいし、塩基の変異があってもよい(少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の同一性の範囲内であり得る)。
siRNAは任意の標的遺伝子に対するものであってよいが、本発明の核酸導入剤を疾患の予防・治療用に用いる場合には、腹腔内の疾患若しくは状態又は胸腔内の疾患若しくは状態の発症及び/又は増悪に関与する遺伝子を標的とするものであることが好ましい。そのような遺伝子としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子をコードする遺伝子が挙げられる。
siRNAやmiRNAには、上述の種々の化学修飾、誘導体、天然型の配列に適宜付加、置換等の修飾を行ったものも含まれる。
別の好ましい実施態様においては、被導入核酸は、アンチセンス核酸やリボザイムであり得る。
アンチセンス核酸はDNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。アンチセンス核酸がDNAの場合、標的RNAとアンチセンスDNAとによって形成されるRNA:DNAハイブリッドは、内在性RNaseHに認識されて標的RNAの選択的な分解を引き起こすことができる。
リボザイムは、狭義には、核酸を切断する酵素活性を有するRNAをいうが、本明細書では配列特異的な核酸切断活性を有する限りDNAをも包含する概念として用いるものとする。リボザイムとして汎用性の高いものとしては、ウイロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見られるセルフスプライシングRNAがあり、ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。ハンマーヘッド型は約40塩基程度で酵素活性を発揮し、ハンマーヘッド構造をとる部分に隣接する両端の数塩基ずつ(合わせて約10塩基程度)をmRNAの所望の切断部位と相補的な配列にすることにより、標的mRNAのみを特異的に切断することが可能である。このタイプのリボザイムは、RNAのみを基質とするので、ゲノムDNAを攻撃することがないというさらなる利点を有する。標的mRNAが自身で二本鎖構造をとる場合には、RNAヘリカーゼと特異的に結合し得るウイルス核酸由来のRNAモチーフを連結したハイブリッドリボザイムを用いることにより、標的配列を一本鎖にすることができる。
被導入核酸及び本発明の核酸導入剤は、該核酸導入剤によって、核酸導入効率が向上される限り、その投与方法は特に限定されない。被導入核酸は本発明の核酸導入剤とは別々に製剤化されてもよいし、本発明の核酸導入剤との配合剤として製剤化されてもよい。
本発明の核酸導入剤を使用して核酸が導入される細胞(以下、標的細胞とも言う)は、任意の哺乳動物細胞であってよい。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類及びウサギなどの実験動物、イヌ及びネコなどのペット、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ及びヒツジなどの家畜、サル、オランウータン及びチンパンジーなどの霊長類並びにヒトなどが挙げられ、特にヒトが好ましい。
標的細胞は、任意の細胞であってよく、例えば、任意の組織若しくは器官[例えば、漿膜(例、胸膜、腹膜)、胃、肝臓、脾臓、腎臓、胎盤、尿管、血管、皮膚、骨髄、脊髄、下垂体、膵臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、副腎、筋肉 (骨格筋、平滑筋)、肺、消化管(例、大腸、小腸)、心臓、胸腺、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、子宮、骨、関節、脂肪組織等]に存在する細胞、又はこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞、株化若しくは癌細胞であり得る。これらの細胞は、生体内に存在する細胞であってもよいし、自体公知の方法によりin vitroで培養した細胞であってもよい。
標的細胞が、生体内に存在する細胞である場合、標的細胞は、好ましくは漿膜に存在する細胞、より好ましくは腹膜に存在する細胞である。漿膜は体腔表面を覆う膜様組織であり、胸腔を覆う漿膜は胸膜と呼ばれ、腹腔を覆う漿膜は腹膜と呼ばれる。後述のように漿膜(より好ましくは腹膜)に存在する細胞に対しては、本発明の核酸導入剤を使用して核酸導入操作を比較的簡便に行なうことができる上に、高い核酸導入効率が得られる。
標的細胞は癌細胞であってもよい。癌としては、例えば、消化器癌(例、胃癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌)、肺癌(例、小細胞癌、非小細胞癌)、膵臓癌、腎臓癌、肝臓癌、胸腺癌、脾臓癌、甲状腺癌、副腎癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮癌(例、子宮内膜癌、子宮頚癌)、骨癌、皮膚癌、肉腫(例、カポシ肉腫)、黒色腫、芽細胞腫(例、神経芽細胞腫)、腺癌、扁平細胞癌、非扁平細胞癌、脳腫瘍、並びにこれらの癌の再発及び転移が挙げられる。癌細胞は、好ましくは腹腔内臓器(例、胃、肝臓、膵臓、脾臓、胆嚢、大腸、小腸、卵巣)の癌細胞若しくは胸腔内臓器(例、肺、心臓)の癌細胞又はその癌細胞が転移したものであり、より好ましくは腹腔内臓器の癌細胞又はその癌細胞が転移したものであり、更により好ましくは腹腔内臓器の癌細胞が転移したものである。
腹腔内臓器の癌細胞が腹膜に転移した状態を腹膜播種という。腹膜播種は、進行・再発胃癌の多くに合併することが知られており、癌治療を困難にする原因の1つと考えられている。消化器癌の末期には、ほとんどの場合、腹膜播種となっていると考えられている。本発明の核酸導入剤は、腹膜播種における癌細胞への核酸導入に特に有効である。
細胞への核酸の導入は、本発明の核酸導入剤と核酸溶液とを細胞に接触させることにより行なう。標的細胞が培養細胞である場合には、例えば、本発明の核酸導入剤と核酸溶液とを培養液中に添加することで細胞と接触させることができる。一方、標的細胞が生体内に存在する細胞である場合には、例えば非経口的な投与により、本発明の核酸導入剤と核酸溶液とを細胞に接触させることができる。非経口的な投与としては、例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与、胸腔内投与等が挙げられ、細胞の存在する組織又は器官に応じて適宜選択することができる。
例えば、標的細胞が腹膜に存在する細胞である場合には、本発明の核酸導入剤と核酸溶液とを腹腔内投与することにより、標的細胞に接触させることができる。本発明の核酸導入剤を使用せずに、核酸溶液のみを腹腔内投与した場合には、十分な核酸導入効率を得ることができない。それに対して本発明の核酸導入剤を使用すれば、腹腔内投与であっても、開腹して標的細胞に直接核酸溶液を滴下した場合と同等の、十分な核酸導入効率を得ることができる。
本発明の核酸導入剤の投与量は、核酸のみを投与した場合よりも高い核酸導入効率が得られる限り特に限定されず、in vitroの試験又は実験動物を使用する試験等に基づき、投与対象、投与手段に応じて適宜設定することができる。また本発明の核酸導入剤の投与時の濃度は、例えば、マウスへの腹腔内投与の場合、炭酸カルシウムの濃度として、12.5〜100μg/μl、好ましくは25〜100μg/μl、より好ましくは50〜100μg/μlとなるように調整して投与すればよい。100μg/μlよりも多いと炭酸カルシウムの沈殿が多くなる傾向がある。12.5μg/μl未満だと十分な核酸導入効率が得られない傾向がある。また本発明で提供される炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用する場合には、炭酸カルシウムの使用量及び投与時の濃度を低減することができる。例えば、マウスへの腹腔内投与において、炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用する場合、炭酸カルシウムの濃度として、3.125〜100μg/μl、好ましくは6.25〜50μg/μl、より好ましくは6.25〜12.5μg/μlとなるように調整して投与すれば十分な核酸導入効率を得ることができる。
本発明の核酸導入剤に含有される炭酸カルシウムと核酸との投与割合は、核酸のみを投与した場合よりも高い核酸導入効率が得られる限り特に限定されず、簡単な繰り返し実験により適宜設定することができ、使用する炭酸カルシウムの特性により変わり得る。通常、炭酸カルシウムと核酸との混合比は、重量比で、6.25〜100:1、好ましくは15〜100:1、より好ましくは25〜100:1、いっそう好ましくは50〜100:1である。また本発明で提供される炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用する場合には、炭酸カルシウムの使用量を低減することができるので、炭酸カルシウムと導入核酸との割合は、重量比で3.125〜100:1、好ましくは6.25〜25:1の範囲で適宜設定することができる。
本発明の核酸導入剤は、炭酸カルシウムに加えて、随意に薬理学的に許容される担体を含んでよい。ここで、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤などの製剤添加物を用いることもできる。
溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子、植物油、アルコール類、プロピレングリコールなどが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール、D-ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
本発明の核酸導入剤は、併用される核酸の種類に応じて、種々の疾患又は状態の予防及び/又は治療に用いられる。ここで「併用」とは、核酸投与の前、同時、後における本発明の核酸導入剤の使用を意味し、また、本発明の核酸導入剤と核酸との配合剤の使用も含む意である。本発明によれば、本発明の核酸導入剤(炭酸カルシウム)を核酸(例、プラスミドDNAなどの核酸医薬)溶液に単に加えるだけで、該核酸の細胞への導入効率が向上する。本発明の核酸導入剤は、特に腹腔内投与又は胸腔内投与による漿膜に存在する細胞への核酸導入効率を向上させることから、好ましくは腹腔内の疾患若しくは状態又は胸腔内の疾患若しくは状態の予防及び/又は治療に用いられる。腹腔内の疾患又は状態としては、例えば、腹膜播種、腹膜癒着などが挙げられる。胸腔内の疾患又は状態としては、例えば、胸膜播種、胸膜癒着などが挙げられる。例えば、本発明の核酸導入剤を、抗癌作用を有する核酸と共に用いれば、腹膜播種の予防及び/又は治療用として使用することができる。
本発明の核酸導入剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により医薬組成物として製造することができる。医薬組成物中の炭酸カルシウム含量は、該医薬組成物の形状、投与量などにより異なるが、例えば約0.01〜約50重量%である。
本発明の核酸導入剤を含む医薬組成物の投与は、非経口投与、例えば静脈内、腹腔内、胸腔内、筋肉内、皮下、経皮投与等であり得るが、好ましくは腹腔内又は胸腔内投与であり、より好ましくは腹腔内投与である。
本発明の核酸導入剤を含む医薬組成物の投与量、投与頻度及び投与期間は、投与対象、症状、投与ルート等によっても異なるが、in vitroの試験又は実験動物を使用する試験等に基づき、核酸導入効率を増強するのに十分でありかつ重篤な副作用を生じない範囲で適宜調整することができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
参考例1
胃漿膜表面への核酸導入
導入用核酸として以下の手順により調製したプラスミドDNAを用いた:CMVプロモーターの下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードしたプラスミドDNA(pCMV−luciferase)を大腸菌(DH5α)に形質転換して増幅後、遠心分離により大腸菌を回収し、EndoFree(登録商標) Plasmid Giga Kit(QIAGEN GmbH, Hilden, Germany)を用いて精製した。
マウス胃漿膜へのプラスミドDNA導入は、以下の手順により行なった:ペントバルビタールナトリウム麻酔下、5週齢ddY系雄性マウスの胃近傍の皮膚および腹壁を切開し、速やかにプラスミドDNA溶液(1μg/μl)20μlを胃中央部に滴下した。あるいは、皮膚を切開後、腹壁を切開せず、26ゲージの針付シリンジを用いて腹壁越しにプラスミドDNA溶液を胃中央部に滴下した。滴下後、腹壁および皮膚を縫合糸で縫合した。
プラスミドDNA導入効率の評価は、以下の手順により行なった:プラスミドDNA投与6時間後、ペントバルビタールナトリウム麻酔下、胃を摘出した後、胃内容物を除去し、生理食塩水で胃を洗浄した。その後、4倍容のLysis Buffer(0.05% Triton X−100と2 mM EDTAを含む0.1 M Tris/HCl Buffer(pH7.8))を加え、ホモジナイズした。ホモジネートを遠心分離後、上清中のホタルルシフェラーゼ活性を測定した。
結果を図1に示す。開腹せずにプラスミドDNAを腹壁越しに胃近傍へ投与した場合の遺伝子導入効率は、開腹して胃を露出させてプラスミドDNAを滴下した場合と比較して、30分の1以下であった。このことから、腹腔内臓器表面への効率的な遺伝子導入には、開腹操作が有効であることが示された。
参考例2
胃漿膜表面の摩擦の核酸導入効率への影響
参考例1の結果から、腹腔内臓器表面への物理的な刺激が核酸導入効率を向上させることが推測された。そこで以下の手順により、核酸導入時に胃漿膜表面を摩擦し、その核酸導入効率への影響を調べた。
参考例1と同様に、ラット胃漿膜表面へプラスミドDNA溶液(1μg/μl)5μlを滴下後、薬さじ(有効面積0.13cm)を用いて胃漿膜表面を摩擦し(0.3N/cm、30秒間)、以下参考例1と同様の操作を行った。
結果を図2に示す。開腹して胃漿膜表面にプラスミドDNA溶液を滴下する際に薬さじで滴下部位を摩擦した場合(instillation + rubbing)には、プラスミドDNA溶液を滴下したのみの場合(instillation)と比較して、59倍高い遺伝子導入効率が得られた(各群、n=10以上)。尚、instillation、instillation + rubbingのいずれの場合も、胃以外の臓器での遺伝子発現はごくわずかであり、投与部位特異的に遺伝子導入が可能であった(ルシフェラーゼ活性比(胃/脾臓):40.7(instillation)、421(instillation + rubbing))。
さらに、遺伝子導入時に胃漿膜表面を摩擦した場合と摩擦しない場合の遺伝子発現期間を比較した。
参考例1および参考例2と同様に、ラット胃漿膜表面へのプラスミドDNAの投与と摩擦を行い、一定時間経過後の胃におけるホタルルシフェラーゼ活性を測定した。
結果を図3に示す。滴下部位を摩擦した場合(instillation + rubbing)には、摩擦しない場合(instillation)と比較して、遺伝子導入効率が有意に高く、遺伝子導入から28日経過後でも十分な遺伝子発現が認められた(各群、n=10以上)。
実施例1
炭酸カルシウムによる遺伝子導入効率の向上
参考例に示すように、腹腔内臓器表面への摩擦などの物理的な刺激が核酸導入効率を向上させることが明らかとなった。しかしながら、開腹して腹腔内臓器表面を露出させて物理的刺激を加えることは、生体への負担が大きく、またその機会は限られている。そこで核酸溶液と共に研磨剤などを腹腔内投与することで、開腹せずに同様な核酸導入効率向上効果が得られるか否かを検討したところ、以下に示すように、炭酸カルシウムが核酸導入効率を向上させることを見出した。
炭酸カルシウムとプラスミドDNAの胃漿膜近傍への投与は以下の手順で行なった:皮膚を切開後、腹壁を切開せず、26ゲージの針付シリンジを用いて腹壁越しに、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社、販売元コード036−00382)(最終濃度100、50、25、12.5又は6.25μg/μl)をプラスミドDNA溶液(1μg/μl)に混合した懸濁液(10μl)を胃中央部に滴下した。滴下後、皮膚を縫合糸で縫合した。
結果を図4に示す。100μg/μlの炭酸カルシウムを使用した場合、炭酸カルシウムを使用しない場合と比較して、遺伝子導入効率は約70倍に上昇した。炭酸カルシウムの量を12.5μg/μl以下にまで下げると、遺伝子導入効率は炭酸カルシウム未使用時と同程度まで低下した。
以上の結果から、炭酸カルシウムが核酸導入効率を向上させることが示された。
実施例2
炭酸カルシウムマイクロフラワーの製造
本発明の遺伝子導入剤として使用する場合、既存の炭酸カルシウムは、沈降しやすく、ケーキング(自由沈降した懸濁粒子を放置することにより固化する現象)を起こして再懸濁不良となる場合があるが、これは臨床応用の妨げとなる。そこで種々の形状及び大きさの炭酸カルシウムの特性について検討を行なった。球形の炭酸カルシウム(炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合し炭酸カルシウムを合成した後、遠心分離した上清)は、小さく(粒径3μm)沈降しにくいが、核酸導入効率を向上させる効果が低い傾向があった。一方、立方体の炭酸カルシウム(炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合し炭酸カルシウムを合成した後、遠心分離した沈殿)は、核酸導入効率を向上させる効果が高いが、大きい(粒径15μm)ため球形の炭酸カルシウムに比べて沈降しやすかった。
本発明者らは、核酸導入剤としてより優れた特性を有する炭酸カルシウム粒子を得るために、以下の手順で炭酸カルシウムを製造した。
ジエチルエーテル1mlにEggPC(卵黄レシチン)(和光純薬工業株式会社、販売元コード126−00812)200mgを溶解させ、有機相存在下、炭酸ナトリウム水溶液(1M、1ml)と塩化カルシウム水溶液(1M、1ml)をボルテックスしながら順に混合し、炭酸カルシウムを合成した。反応後、エタノール(1ml)及びジエチルエーテル(1ml)を更に加え、分離するまで放置した。中間相に浮遊している炭酸カルシウムを回収し、エタノール・ジエチルエーテル混液(1:1)5ml、エタノール・ジエチルエーテル混液(0.5:1)5ml、ジエチルエーテル5mlで沈殿を洗浄した後、乾燥させた。
得られた炭酸カルシウム結晶の走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。アサガオ形のその形状から、得られた炭酸カルシウム結晶を炭酸カルシウムマイクロフラワーと命名した。
また炭酸カルシウムマイクロフラワーの見掛け密度を以下の手順により測定した。炭酸カルシウムマイクロフラワーの結晶をエッペンドルフ(登録商標)チューブに充填した。タッピングした後、試料の重量を測定した。試料の上端の位置に目印をつけた後、容器を空にし、目印まで加えた水の重量から試料の体積を算出した。試料の重量を当該体積で割ることにより見掛け密度を計算した。炭酸カルシウムマイクロフラワーの見掛け密度は0.143g/cmであった。同様に測定した市販の炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社、販売元コード036−00382)の見掛け密度は0.454g/cmであった。
以上のように、炭酸カルシウムマイクロフラワーは、球形の炭酸カルシウムよりも大きい粒子を含む(粒径2〜80μm)が、中空で密度が低く、かつ傘のような形状であるため、沈降中に溶媒から受ける抵抗が大きい。そのため、球形の炭酸カルシウムと同様に沈降速度が遅く、また沈殿しても再懸濁が容易であるという、製剤学的に優れた特性を有する。
実施例3
炭酸カルシウムマイクロフラワーによる核酸導入効率の向上
実施例2において製造した炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用して、実施例1と同様の方法により、核酸導入効率を調べた。なお、ここでは懸濁化剤として、33v/v%のプロピレングリコールを用いた。
結果を図6に示す。既存の炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社、販売元コード036−00382);図中、wako)を使用した場合とは異なり、炭酸カルシウムマイクロフラワー(図中、MF)の濃度を100μg/μlから6.25μg/μlまで下げても、遺伝子導入効率は低下しなかった(各群、n=5以上)。このことは、炭酸カルシウムマイクロフラワーが既存の炭酸カルシウムよりも低用量で核酸導入剤として有効に機能することを示す。また6.25μg/μlの炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用した場合、投与前に超音波処理を施すと、遺伝子導入効率は1/10にまで低下した。このことは、超音波処理によって破壊される炭酸カルシウムマイクロフラワーの構造が、核酸導入剤としての機能に重要であることを示す。
実施例4
炭酸カルシウムマイクロフラワーによる腹腔内臓器全体への遺伝子導入1:遺伝子発現細胞の分布
実施例2において製造した炭酸カルシウムマイクロフラワー(最終濃度6.25μg/μl)を使用して、緑色蛍光タンパク質ZsGreen1をコードしたプラスミドDNA溶液(タカラバイオ株式会社:pZsGreen1−N1)100μg/100μl(懸濁化剤として、33v/v%のプロピレングリコールを含む)の腹腔内投与により、マウス腹腔内臓器全体への遺伝子導入を試みた。遺伝子導入は、100μlの懸濁液を用いて実施例1と同様の方法で行なった。
結果の一部を図7に示す。プラスミドDNAの投与24時間後に実体蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、炭酸カルシウムマイクロフラワーを用いない場合、緑色蛍光タンパク質ZsGreen1を発現している細胞はわずかであったが、炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用した場合、肝臓、脾臓、胃、小腸、直腸、腎臓等の臓器表面並びに腹壁、腸間膜、大網の各部位で、極めて多数のZsGreen1発現細胞が認められ、腹腔内臓器全体へ核酸を導入可能であることが示された。
実施例5
炭酸カルシウムマイクロフラワーによる腹腔内臓器全体への遺伝子導入2:分泌タンパク質をコードしたプラスミドDNAの導入
実施例4で用いたプラスミドDNAを、分泌型コペポーダルシフェラーゼをコードしたプラスミドDNAに置き換え検討を行った。24時間後、コペポーダルシフェラーゼの活性を測定することにより腹腔内液および血漿中のコペポーダルシフェラーゼの濃度を評価したところ、腹腔内液中の濃度は血漿中濃度より300倍高かった(データは示さない)。従って本発明の核酸導入剤を使用する核酸導入方法は、腹腔内への選択的なタンパク質の分泌に適した方法であることが示され、分泌型の治療遺伝子を用いる際の高い安全性を担保するものである。
以上のように、炭酸カルシウムが、細胞への核酸導入を行なうための核酸導入剤として機能することが示された。
本発明の核酸導入剤を用いることで、細胞(特に漿膜に存在する細胞)に効率よく簡便に核酸を導入することができるので、腹膜播種等の疾患に対する安全且つ簡便な予防及び/又は治療手段を提供することが可能となる。

Claims (9)

  1. 研磨剤として炭酸カルシウムを含有する、細胞への核酸導入を行なうための核酸導入剤であって、細胞への核酸の導入が、該核酸導入剤と核酸溶液とを細胞に接触させることによって行われるものである、核酸導入剤。
  2. 細胞が生体内に存在する細胞である、請求項1に記載の核酸導入剤。
  3. 細胞が漿膜に存在する細胞である、請求項2に記載の核酸導入剤。
  4. 炭酸カルシウムの粒子径が、1〜80μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸導入剤。
  5. 炭酸カルシウムが、中空の円錐形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸導入剤。
  6. 核酸と共に腹腔内投与又は胸腔内投与される、請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸導入剤。
  7. 腹膜播種又は胸膜播種の予防及び/又は治療用である、請求項に記載の核酸導入剤。
  8. 腹膜癒着又は胸膜癒着の予防用である、請求項に記載の核酸導入剤。
  9. 形状が底面の開いた中空の円錐形であり、且つ見掛け密度が0.2g/cm未満である炭酸カルシウムの製造方法であって、以下の工程(i)及び(ii)を含む方法:
    (i)卵黄レシチンを溶解したジエチルエーテルの存在下で、炭酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とから固形状の炭酸カルシウムを生成させる工程、
    (ii)水相と有機相との境界に存在する炭酸カルシウムを回収する工程。
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