JP5904257B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
風力発電、電気自動車等の電気車両などを制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子においては、発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えばAlN(窒化アルミ)などからなるセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を回路層として接合したパワーモジュール用基板が、従来から広く用いられている。また、セラミックス基板の他方の面に、金属板を金属層として接合することもある。
また、Ag−Cu−Ti系ろう材は、高価なAgを含有しているため製造コストが高くなる問題もあった。
また、溶加材の融点が710℃以下とされているので、Ag−Cu−Ti系ろう材を用いた場合と比較して、低温で溶加材の液相を形成することができる。このような低温域で加熱処理を行うと、セラミックス基板への熱的な負荷を軽減することができる。
さらに、Agを含有しない溶加材を用いてセラミックス基板と銅板とを接合するので、Ag−Cu−Ti系ろう材を用いた場合よりも製造コストを低減できる。
また、前記溶加材が液相線温度450℃以上のろう材であることが好ましい。具体的には、前記ろう材は、Cu−P系ろう材、Cu−Al系ろう材の中から選択されるいずれか一種であることが望ましい。
このようなろう材を用いた場合、ろう材の融点が低いので、低温条件でも確実にセラミックス基板と銅板との接合を行うことができる。
なお、Cu−P系ろう材としては、例えば、Cu−Pろう材、Cu−P−Snろう材、Cu−P−Sn−Ni系ろう材などを用いることができる。
ここで、前記加熱処理工程においては、積層された前記セラミックス基板及び前記銅板を積層方向に圧力1〜35kgf/cm 2 で加圧することが好ましい。
この場合、溶加材の液相中にTiが溶け込むことで確実にセラミックス基板の表面を溶加材の液相で濡れさせることができ、セラミックス基板と銅板とを確実に接合することが可能となる。
この場合、比較的低温で回路層及び金属層を形成することができるので、接合時にセラミックス基板が劣化することを抑制できる。
この場合、比較的低温で回路層を形成することができるので、接合時にセラミックス基板が劣化することを抑制できる。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。まず、本発明の第一実施形態について説明する。
本実施形態である接合体の製造方法は、セラミックス基板11(セラミックス部材)と回路層12(銅部材)及び金属層13(銅部材)とを接合することにより、接合体としてパワーモジュール用基板10を製造するものである。図1に、本実施形態であるパワーモジュール用基板10を備えたパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の一方の面(図1において上面)に接合層2を介して接合された半導体素子3と、パワーモジュール用基板10の他方側(図1において下側)に配置されたヒートシンク30と、を備えている。
接合層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。
まず、図4に示すように、セラミックス基板11の一方の面(図4において上面)に、溶加材25、活性金属材26、及び回路層12となる銅板22を順に積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面(図4において下面)にも、図4に示すように、溶加材25、活性金属材26、及び金属層13となる銅板23を順に積層する。(積層工程S01)。すなわち、セラミックス基板11と銅板22の間において、セラミックス基板11側に溶加材25を配置し、銅板22側に活性金属材26を配置しており、セラミックス基板11と銅板23の間において、セラミックス基板11側に溶加材25を配置し、銅板22側に活性金属材26を配置している。
本実施形態では、溶加材25としてCu−P−Sn−Ni系ろう材箔(Cu−7mass%P−15mass%Sn−10mass%Ni)を用いている。溶加材25の厚みは、5μm以上150μm以下の範囲とされている。
これにより、セラミックス基板11(セラミックス部材)の一方の面及び他方の面に回路層12(銅部材)及び金属層13(銅部材)が形成され、本実施形態であるパワーモジュール用基板10(接合体)が製造される。
次に、パワーモジュール用基板10の回路層12の上面に、はんだ材を介して半導体素子3を接合する(半導体素子接合工程S04)。
このようにして、本実施形態に係るパワーモジュール1が製造される。
さらに、溶加材25と銅板22、23との間に活性金属材26が介在されているので、溶加材25の液相と銅板22、23とが直接接触することがなく、接合界面にコブが生じたり、厚みが変動したりすることを抑制できる。
さらに、Agを含有しない溶加材25を用いてセラミックス基板11と銅板22、23とを接合するので、Ag−Cu−Ti系ろう材を用いた場合よりも製造コストを低減できる。
さらに、活性金属材26と銅板22、23との接合される面は、予め平滑な面とされているので、接合界面に隙間が生じることを抑制でき、活性金属材26と銅板22,23とを確実に接合することができる。
また、セラミックス基板11の他方の面に銅板23からなる金属層13が形成されているので、半導体素子3からの熱を効率的にヒートシンク30側へと伝達することができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付して記載し、詳細な説明を省略する。
図5に、第二実施形態であるパワーモジュール用基板110を備えたパワーモジュール101を示す。
このパワーモジュール101は、回路層112が配設されたパワーモジュール用基板110と、回路層112の一方の面(図5において上面)に接合層2を介して接合された半導体素子3と、パワーモジュール用基板110の他方側(図5において下側)に配置されたヒートシンク130と、を備えている。
まず、図7に示すように、セラミックス基板11の一方の面(図7において上面)に、溶加材25、活性金属材26、及び回路層112となる銅板122を順に積層する(第一積層工程S11)。すなわち、セラミックス基板11と銅板122の間において、セラミックス基板11側に溶加材25を配置し、銅板122側に活性金属材26を配置している。
ここで、第二実施形態においては、溶加材25としてCu−P−Sn−Ni系ろう材箔(Cu−7mass%P−15mass%Sn−10mass%Ni)を用いている。この溶加材25の厚みは、5μm以上150μm以下の範囲とされている。
また、第二実施形態においては、活性金属材26としてTi箔を用いている。活性金属材26の厚みは、1μm以上20μm以下の範囲とされている。
このようにして、セラミックス基板11の一方の面に銅板122が接合され、回路層112が形成される。
このようにして、セラミックス基板11の他方の面にアルミニウム板123が接合されて金属層113が形成され、第二実施形態のパワーモジュール用基板110が製造され、さらにこのパワーモジュール用基板の下側にヒートシンク130が接合される。
このようにして、第二実施形態のパワーモジュール101が製造される。
したがって、溶加材25の液相が凝固した際に、溶加材25とセラミックス基板11との接合信頼性が向上する。
また、本実施形態においては、活性金属材26と銅板122とを積層し、加圧した状態で、温度560℃以上650℃以下に加熱し保持する構成とされているので、活性金属材26と銅板122とを固相拡散接合することができる。
また、上記の実施形態では、パワーモジュール用基板とヒートシンクとをはんだ材又はろう材で接合する場合について説明したが、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの間にグリースを介してネジ止めなどによって固定する構成とされても良い。
また、第二実施形態では、金属層とヒートシンクとを同時に接合する場合について説明したが、金属層を先に接合した後に、ヒートシンクを金属層に接合する構成とされても良い。
本発明例1〜6,9,10及び参考例7,8については、AlNからなるセラミックス基板(40mm×40mm×0.635mmt)の一方の面及び他方の面に表1に示す溶加材、活性金属材、純度99.99%の銅からなる銅板(37mm×37mm×0.3mmt)を積層する。
本発明例11についてはAlNからなるセラミックス基板(40mm×40mm×0.635mmt)の一方の面に表1に示す溶加材、活性金属材、純度99.99%の銅からなる銅板(37mm×37mm×0.3mmt)を積層した。
なお、活性金属の位置が銅部材側(銅板側)とされた本発明例1〜6,9及び参考例7,8及び本発明例11については、セラミックス基板/溶加材/活性金属材/銅板の順に積層し、活性金属の位置がセラミックス基板側とされた本発明例10についてはセラミックス基板/活性金属材/溶加材/銅板の順に積層した。
本発明例11については積層方向に圧力15kgf/cm2で加圧した状態で真空加熱炉内に装入し、加熱することによってセラミックス基板の一方の面に銅板を接合し、回路層を形成した。ここで、真空加熱炉内の圧力を10−6Pa以上、10−3Pa以下の範囲内に設定し、加熱温度及び加熱時間は表1に示す条件とした。冷却後、セラミックス基板の他方の面にAl−Si系ろう材を介して純度99.99質量%のアルミニウムからなるアルミニウム板を積層し、積層方向に5kgf/cm2で加圧した状態で真空加熱炉内に装入し、640℃で30分間加熱することによってセラミックス基板の他方の面にアルミニウム板を接合し、本発明例11のパワーモジュール基板を得た。
このようにして、本発明例1〜6,9〜11及び参考例7,8のヒートシンク付パワーモジュール用基板を作製した。
冷熱サイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、ヒートシンク付パワーモジュール用基板に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→125℃×5分の3000サイクルを実施した。
ヒートシンク付パワーモジュール用基板に対し、セラミックス基板と回路層との界面の接合率について超音波探傷装置を用いて評価し、以下の式から算出した。
ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち本実施例では回路層の面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。なお、セラミックス基板及び回路層にクラックが生じた場合、このクラックは超音波探傷像において白色部で示され、クラックも剥離面積として評価されることになる。
(接合率(%))={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
以上の評価の結果を表1に示す。
11 セラミックス基板(セラミックス部材)
12、112 回路層(銅部材)
13 金属層(銅部材)
25、225 溶加材
26、226 活性金属材
113 金属層
211 セラミックス部材
222 銅部材
Claims (5)
- セラミックス基板の一方の面に銅又は銅合金からなる回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が配設されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
活性金属材及び融点が710℃以下の溶加材を介して、前記セラミックス基板と前記回路層となる銅板とを積層する積層工程と、積層された前記セラミックス基板及び前記銅板を積層方向に加圧した状態で加熱処理する加熱処理工程と、を備えており、
前記溶加材が液相線温度450℃以上のろう材であり、前記ろう材は、Cu−P系ろう材、Cu−Al系ろう材の中から選択されるいずれか一種であることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記加熱処理工程においては、積層された前記セラミックス基板及び前記銅板を積層方向に圧力1〜35kgf/cm 2 で加圧することを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記活性金属材は、Ti材とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記金属層は、前記セラミックス基板の他方の面に銅又は銅合金からなる銅板が接合されて構成されており、
前記セラミックス基板と前記回路層、及び前記セラミックス基板と前記金属層とを、前記積層工程及び前記加熱処理工程とによって接合することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記金属層は、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板が接合されて構成されており、
前記回路層を前記セラミックス基板の一方の面に接合した後に、前記金属層を前記セラミックス基板の他方の面に接合することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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