JP5901666B2 - 光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法 - Google Patents

光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法に関するものである。
従来から、光ファイバを切断する光ファイバ切断装置として、光ファイバ素線の被覆を除去した光ファイバの表面にキズを形成し、そのキズを形成した部分とは反対側の側面を押圧することで、当該キズをきっかけとして光ファイバを切断するものが知られている。切断された光ファイバは、たとえば他の切断された光ファイバと切断面同士を突き合わせて融着接続される。また、光ファイバ切断装置は、種類または径の異なる光ファイバ素線に対応するため、光ファイバ素線を保持するための光ファイバホルダを交換可能に構成されている(特許文献1〜3参照)。
光ファイバの切断面が光ファイバの中心軸に対して傾斜していたり、切断面が平坦でなかったりする等の場合、切断した光ファイバ同士を融着接続すると接続不良が生じる場合がある。そのため、光ファイバ切断装置には、光ファイバの中心軸に垂直かつ平坦である良質な切断面をより安定して形成するために、光ファイバを挟持する部材が備えられている。
ところで、切断時に光ファイバを挟持する部材には、光ファイバにキズが付かないようにゴムなどの弾性体材料が用いられている。また、光ファイバのキズを形成した部分とは反対側の側面を押圧する部材も、光ファイバにキズが付かないように弾性体材料が用いられている。さらに、切断された光ファイバの切り屑を回収する機構を備える光ファイバ切断装置では、切り屑の搬送ローラにも弾性体材料が用いられている。
特開平11−248945号公報 特開平07−081970号公報 特開平10−221531号公報
しかしながら、長期間使用すると弾性体材料といえども少なからず塑性変形し、また、摩耗による変形も発生するので、光ファイバを精度よく所望位置に挟持することができなくなってしまう場合がある。その場合、装置の他の部品が寿命に至らなくても、装置の一部または全部の交換が必要となる場合がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、用いられている弾性体材料の寿命を延ばすことができる光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ切断装置は、光ファイバの表面にキズを形成し、当該キズを形成した反対側面から光ファイバの表面を押圧することで当該光ファイバを切断する光ファイバ切断装置であって、前記光ファイバの切断位置の両側にて前記光ファイバを挟持する弾性体材料からなる挟持部材と、前記光ファイバを収容する溝部と、前記溝部に前記光ファイバを保持する保持部と、前記挟持部材が、前記光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の前記光ファイバを挟持可能なように構成された光ファイバ挟持位置移動構造とを備え、前記光ファイバ挟持位置移動構造は、前記溝部が、当該複数の位置において、互いに平行になるように構成されていることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記複数の位置は、0.2mm以上、前記挟持部材の幅以下の範囲で離間していることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバ挟持位置移動構造は、前記溝部と前記保持部とが設けられた光ファイバホルダと、前記光ファイバホルダが載置される載置部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバ挟持位置移動構造は、前記複数の位置において、前記溝が互いに平行となるように、前記載置部に前記光ファイバホルダが当接されるガイド部と、該当接された状態で前記光ファイバホルダを前記載置部に固定する光ファイバホルダ固定部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバホルダ固定部は、前記光ファイバの軸方向と垂直方向を長径とする長穴を有し、前記光ファイバホルダが該長穴を介し前記載置部にねじ留めされることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記長穴の形状は、長径が短径よりも0.2mm以上3mm以下長い形状であることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記載置部は、前記光ファイバの軸方向と垂直方向に移動可能な第1の磁石を有し、前記光ファイバホルダ固定部は、前記第1の磁石に吸着する第2の磁石を有し、前記光ファイバホルダが前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の吸着力により前記載置部に固定されることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバホルダ固定部と前記載置部とが、それぞれ複数の磁石を備え、前記複数の磁石による磁力ポテンシャルが極小となる複数個所で、前記光ファイバホルダが前記載置部に固定されることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバホルダを前記載置部上の可動範囲内で一方端に付勢をかける付勢手段と、前記載置部上の可動範囲を制限するスペーサとをさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバホルダは、前記溝部と平行で離間した位置に、同一種類の光ファイバを収容する第二の溝部が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、互いに当接する2つのローラで前記光ファイバの切り屑を挟持して搬送する切り屑回収機構をさらに備え、前記2つのローラのうち少なくとも1つのローラの表面は、弾性体材料で構成されることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置は、上記発明において、前記光ファイバ挟持位置移動構造は、前記溝部と前記保持部とが設けられたファイバホルダと、前記光ファイバホルダが載置され、かつ、前記挟持部材に対する相対的位置が、前記光ファイバの軸方向と垂直方向に関して変更可能に構成された載置部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断方法は、上記光ファイバ切断装置を用いた光ファイバ切断方法において、前記挟持部材が前記光ファイバを挟持する位置を調整する工程と、前記溝に切断すべき光ファイバを保持する工程と、前記挟持部材により前記光ファイバを挟持する工程と、前記光ファイバの表面にキズを形成する工程と、前記キズを形成した反対側面から光ファイバの表面を押圧する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法によれば、用いられている弾性体材料の寿命を延ばすことができるという効果を有する。
図1は、本発明の実施形態1に係る光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な斜視図である。 図2は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な上面図である。 図3は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な斜視図である。 図4は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を開けた状態の模式的な斜視図である。 図5は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋と光ファイバホルダの蓋とを開けた状態の模式的な斜視図である。 図6は、図1に示す光ファイバ切断装置から光ファイバホルダを取り外した状態の模式的な斜視図である。 図7は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図8は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図9は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図10は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図11は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図12は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図13は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダの構成を示す図である。 図14は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を示す図である。 図15は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を示す図である。 図16は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を示す図である。 図17は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を示す図である。 図18は、挟持部材に光ファイバが接触する位置が異なることの作用効果を示す図である。 図19は、光ファイバホルダを載せた載置部の部分断面図である。 図20は、光ファイバホルダを正確に平行移動させるための工夫の変形例を示す図である。 図21は、光ファイバホルダを正確に平行移動させるための工夫の変形例を示す図である。 図22は、本発明の実施形態2に係る光ファイバホルダの底面図である。 図23は、本発明の実施形態2に係る載置部を示す概略図である。 図24は、光ファイバホルダを正確に平行移動させるための工夫の変形例を示す図である。 図25は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図26は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図27は、本発明の実施形態3に係る光ファイバホルダの底面図である。 図28は、本発明の実施形態3に係る載置部を示す概略図である。 図29は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図30は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図31は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図32は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図33は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図34は、光ファイバホルダが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダの周辺部分のみを抜き出して示した図である。 図35は、本発明の実施形態6に係る光ファイバ切断装置および載置部の部分断面図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバ切断装置および光ファイバ切断方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複した説明を適宜省略する。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な斜視図である。図2は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な上面図である。図3は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を閉めた状態の模式的な斜視図である。図4は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋を開けた状態の模式的な斜視図である。図5は、図1に示す光ファイバ切断装置の蓋と光ファイバホルダの蓋とを開けた状態の模式的な斜視図である。図6は、図1に示す光ファイバ切断装置から光ファイバホルダを取り外した状態の模式的な斜視図である。
図1〜図3に示すように、光ファイバ切断装置100は、本体101と、本体101に取り付けられた着脱可能な光ファイバ屑回収部102とを有している。本体101は、切断すべき光ファイバ素線を保持する光ファイバホルダ200を載置する載置部103と切断動作を実行するための操作レバー104と、光ファイバ素線の切断のための機構を備えた切断部105とを備えている。
図4〜図6に示すように、切断部105は、光ファイバ素線を切断するための切断刃106を備え、切断刃106を覆うように開閉可能に設けられた蓋107が取り付けられている。また、切断部105および蓋107は、光ファイバ素線を挟持する挟持部材108a〜108dを備えている。切断部105に設けられた挟持部材108aおよび挟持部材108bは、切断刃106を中心にほぼ対称に配置され、光ファイバ素線Fをセットした際に、光ファイバ素線Fから露出した光ファイバ部分が挟持部材108aと挟持部材108bに載せ置かれる。
また、蓋107に設けられた挟持部材108cおよび挟持部材108dは、蓋107を閉じたときに、挟持部材108aと挟持部材108cとが当接し、挟持部材108bと挟持部材108dとが当接するように配置されている。したがって、蓋107を閉じた際、光ファイバ素線Fの露出部分は、挟持部材108aと挟持部材108cとに挟持され、さらに、挟持部材108bと挟持部材108dとに挟持される構成となっている。なお、挟持部材108a〜108dの光ファイバと接触する部分には、ガラスからなる光ファイバがキズ付かないように、たとえばゴムのような弾性体材料が用いられている。
図4〜図6に示すように、蓋107は、挟持部材108cと挟持部材108dとの間の位置に配置された押圧部材109a、109bを有している。押圧部材109a、109bは、切断刃106によって表面にキズが形成された光ファイバを、そのキズを形成した部分とは反対側の側面から押圧するための部材である。したがって、押圧部材109a、109bは、切断刃106に対向した位置に配置され、切断時に押圧部材109a、109bと切断刃106が接触しないように、押圧部材109aと押圧部材109bとの間に隙間が設けられている。また、押圧部材109a、109bの先端部は、ガラスからなる光ファイバと接触したときにキズを付けないように、たとえばゴムのような弾性体材料で構成されている。
つぎに、光ファイバ切断装置100の切り屑回収機構について説明する。光ファイバ切断装置100の切り屑回収機構は、図4〜6に示される搬送ローラ110aおよび従動ローラ110bと図2および図3に示される光ファイバ屑回収部102とにより実現される。図4〜6に示すように、搬送ローラ110aは、挟持部材108bの近傍かつ切断刃106の反対側に配置されている。一方、従動ローラ110bは、挟持部材108dの近傍かつ押圧部材109bの反対側に配置されている。すなわち、搬送ローラ110aと従動ローラ110bとは、蓋107を閉じた際に、互いに当接する位置関係となっている。
搬送ローラ110aは、光ファイバ切断装置100の本体101内部のバネ機構およびギヤ機構によって、蓋107の開動作と連動して回転駆動するよう構成されている。なお、搬送ローラ110aの回転は、挟持部材108dから光ファイバ屑回収部102への搬送方向である。したがって、光ファイバ切断装置100では、光ファイバの切断後に、搬送ローラ110aと従動ローラ110bとに挟持された光ファイバの切り屑が光ファイバ屑回収部102へ搬送される。
なお、搬送ローラ110aおよび従動ローラ110bのうち、少なくとも搬送ローラ110aの表面は、光ファイバと摩擦力を適切に得るために、たとえばゴムのような弾性体材料で構成されている。一方、従動ローラ110bの表面は、光ファイバとの間の静電気を低減するために金属で構成することが好ましいが、光ファイバとの摩擦力を優先してたとえばゴムのような弾性体材料で構成してもよい。
次に、光ファイバホルダ200の構成について説明を行う。図7〜図13は、本発明の実施形態1に係る光ファイバホルダ200の構成を示す図である。図7〜図13に示すように、光ファイバホルダ200は、ホルダ本体201と、ホルダ本体201に取り付けられた抑え蓋202とを備えている。ホルダ本体201には、光ファイバ素線を収容する溝203が形成されており、溝203に収容された光ファイバ素線は、抑え蓋202を閉じることによって光ファイバホルダ200に保持される。すなわち、抑え蓋202は、光ファイバおよび光ファイバ素線を保持する保持部として機能する。なお、各図面に記載される光ファイバホルダ200は、異なる種類の単芯光ファイバ用として2つの溝203が設けられているが、たとえば2〜4芯の多芯光ファイバ用の溝が設けられた光ファイバホルダであっても本実施形態の適用が可能である。
図7〜図13に示すように、ホルダ本体201には長穴204が設けられている。長穴204の長径は、光ファイバ素線を収容する溝203の方向と垂直となるように設定されている。また、光ファイバ切断装置100の載置部103に光ファイバホルダ200を載せた際に、載置部103に設けられたネジ穴111と対応する位置に長穴204が設けられている(図6も参照)。したがって、長穴204を介してネジ穴111に締め込まれたネジによって、光ファイバホルダ200が載置部103に固定される。また、ネジを取り付けた際にネジ頭が光ファイバ等に干渉しないように、長穴204には座繰り加工が施されている。後に詳述するように、長穴204が設けられた光ファイバホルダ200および載置部103は、挟持部材が、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
長穴204の形状は、たとえば長径が短径よりも0.2mm以上3mm以下長い形状とすることが好ましく、とくに長径が短径よりも1mm以上3mm以下長い形状がより好ましい。すなわち、長穴204を介して取り付けられたネジが長穴204の中で少なくとも0.2mmの範囲で移動することが可能である。これにより、光ファイバ切断装置100を基準とした場合、光ファイバホルダ200は、載置部103の上で光ファイバの軸方向と垂直な方向に、少なくとも0.2mm以上の範囲で移動することが可能となる。また、最大値である3mmはこの値に限定されず、挟持部材108a、108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料のうち、光ファイバの軸方向に垂直方向に関して最も小さい幅に設定することができる。例えば、図4〜図6に示される構成では押圧部材109a、109bの光ファイバの軸方向に垂直方向に関する幅が最も小さいので、長穴204の長径は、押圧部材109a、109bの幅に短径を加えた値よりも小さく設定すればよい。
次に、光ファイバホルダ200が光ファイバ切断装置100に固定される位置を移動する様子を説明する。図14〜図17は、光ファイバホルダ200が光ファイバ切断装置100に固定される位置を移動する様子を示す図である。図14および図15は、ともに光ファイバ切断装置100の蓋107を開いた状態の上面図である。図16および図17は、それぞれ図14および図15において、光ファイバホルダ200および挟持部材108aの部分のみを抜き出して示した図である。
以下、説明を容易にするため、図14および図16における光ファイバホルダ200の光ファイバ切断装置100に対する固定位置をP1とし、図15および図17における光ファイバホルダ200の光ファイバ切断装置100に対する固定位置をP2と略記する。
図14と図15とまたは図16と図17とを比較すると解るように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200を光ファイバ切断装置100に固定するためのネジ205が、長穴204に関して異なる位置で締め込まれている。それに伴い、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200の光ファイバ切断装置100に対する固定位置が異なっている。結果、光ファイバホルダ200に保持された光ファイバ素線Fから露出された光ファイバFaは、光ファイバ切断装置100に用いられている弾性体材料との接触位置が異なる。すなわち、長穴204が設けられた光ファイバホルダ200および載置部103は、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。また、長穴204を介して光ファイバホルダ200を載置部103に固定するネジ205は、光ファイバホルダ固定部の一例であり、光ファイバホルダ固定部も光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
また、光ファイバホルダ200の図中下側の側面、あるいは上側の側面を、それぞれ対向する光ファイバホルダ載置部の内側側面と当接させた状態でネジ205を絞め込んで光ファイバホルダ200を固定することにより、複数の位置において溝203を互いに平行にして光ファイバホルダ200を載置部103上に固定することができる。すなわち、この場合には、ホルダ載置部の内側側面間の幅が、光ファイバホルダ200の幅(図中上下の両側面間の長さ)より、0.2mm以上長くなっている。
以下では、図面による説明を容易にするため、光ファイバFaと弾性体材料との接触のうち、挟持部材108aとの接触について説明をするが、本実施形態の作用効果は、挟持部材108aに限らず、挟持部材108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料に対しても及ぶ。
図16および図17に示すように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバFaが挟持部材108aと接触する位置が光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる。なお、図16では、固定位置がP2の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xbにて示されている。一方、図17では、固定位置がP1の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xaにて示されている。
図18は、挟持部材108a、108cに光ファイバFaが接触する位置が異なることの作用効果を示す図である。図18は、切断時に挟持部材108aと挟持部材108cとが当接した際に、切断刃106の位置から挟持部材108a、108cを眺めた模式図となっている。図18には、固定位置P1およびP2のそれぞれにおける光ファイバFaの接触位置Xa、Xbが示されている。
図18に示されるように、固定位置P2にて光ファイバ切断装置100を使用し続けた場合、挟持部材108a、108cにおける接触位置Xbが摩耗等により変形を受けて窪みが生じる。このような状況で固定位置P2にて光ファイバ切断装置100を使用すると、光ファイバFaを適切に挟持することができず、光ファイバFaの切断面の形状に影響を与えてしまう。しかしながら、図18に示されるように、挟持部材108a、108cにおける接触位置Xaは摩耗等により変形を受けていない。そこで、光ファイバが接触して繰り返し変形を伴う接触位置Xb近傍を避けるように、光ファイバホルダ200の挟持部材108a、108cに対する相対位置を、切断する光ファイバFaの直径以上変更し、固定位置P1とすることによって光ファイバ切断装置100を使用し続けることができる。すなわち、2つの取り付け位置P1、P2にて光ファイバ切断装置100を使用することにより、挟持部材108a、108cの寿命が2倍に延長される。
なお、上記説明では、2つの固定位置P1、P2にて光ファイバ切断装置100を使用することを想定したが、本発明の実施はこれに限らない。図16および図17からも明らかなように、長穴204内におけるネジ205の移動範囲内であり、かつ、切断すべき光ファイバFaの直径以上の移動量であれば、本発明の効果を適切に享受することができる。したがって、光ファイバホルダ200の固定位置をさらに多く設定すれば、挟持部材108a、108cの寿命がより長く延長される。
次に、光ファイバ切断装置100に対して光ファイバホルダ200を正確に平行移動させるための構成について説明する。
図19は、光ファイバホルダ200を載せた載置部103の部分断面図である。図19は、光ファイバ切断装置100における載置部103を図6における矢印A方向の断面と光ファイバホルダ200の側面図とを併せて記載したものである。図19に示すように、光ファイバホルダ200の尾端下部には、ガイド部206が設けられている。
このガイド部206は、光ファイバを保持する溝203と垂直方向の当接面を有し、当該当接面を載置部103の端面に当接させる。この載置部103の端面は、切断刃106と平行になるよう構成されており、ガイド部206の当接面を載置部103の端面に当接させた状態では、光ファイバ素線Fを保持する溝203が切断刃106と垂直となるよう構成されている。結果、ガイド部206の当接面を載置部103の端面に当接させながら、光ファイバホルダ200を移動させた場合、光ファイバ素線Fを保持する溝203と切断刃106との垂直関係が維持され、溝203に保持された光ファイバ素線Fから露出された光ファイバFaと切断刃106との垂直関係も同時に維持される。したがって、ガイド部206が設けられた光ファイバホルダ200および載置部103は、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
図20および図21は、光ファイバホルダを正確に平行移動させるための構成の変形例を示す図である。図20に示される光ファイバホルダ200aでは、先端部207が載置部103aの端部112に当接することにより、光ファイバホルダ200aの載置部103aに対する角度が正確に維持される。図21に示される光ファイバホルダ200bでは、底面の途中に設けられたガイド部208が載置部103bに設けられた溝113に嵌合することにより、光ファイバホルダ200bの載置部103bに対する角度が正確に維持される。なお、図20に示される例では、溝113が載置部103bに設けられた構成であるが、溝113が光ファイバアダプタ200bに設けられた構成としてもよい。さらに、光ファイバホルダが光ファイバの軸方向と垂直方向の当接面を有し、その当接面を載置部の一部に当接させながら移動させるその他の構成によっても、光ファイバFaと切断刃106との垂直関係を維持し得る構成となる。つまり、先端部207およびガイド部208は、ガイド部206の代わりに、光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
ここで、光ファイバ切断装置100の使用方法および動作について説明する。
初めに、図6に示したような、載置部103に光ファイバホルダ200が載せられていない状態の光ファイバ切断装置100に対して、光ファイバホルダ200を固定する。この取り付け作業の際、光ファイバホルダ200に設けられた長穴204と光ファイバホルダ200を載置部103に固定するためのネジ205との相対的位置関係を調節することにより、光ファイバ切断装置100に対する光ファイバホルダ200の固定位置を調節する。これにより、挟持部材108a、108b、108c、108dが光ファイバFaを挟持する位置を調整する。
なお、光ファイバ切断装置100に対する光ファイバホルダ200の固定位置は、図14および図15に示される2箇所に限らず、長穴204内におけるネジ205の移動範囲内であればどの個所でもよい。隙間ゲージを用いて光ファイバ切断装置100に対する光ファイバホルダ200の固定位置を設定すれば、より細かい位置設定も可能である。
次に、光ファイバホルダ200の溝203に光ファイバ素線Fを保持する。図14および図15に示されるように、光ファイバ素線Fから被覆を除去した光ファイバFaの先端部を、挟持部材108a、108b、および搬送ローラ108に架け渡すように配置し、抑え蓋202で光ファイバ素線Fを固定する。
その後、光ファイバ切断装置100の蓋107を閉じ、挟持部材108a、108b、108c、108dによって光ファイバFaを固定する。
つぎに、操作レバー104を押下する操作を行う。操作レバー104を押下すると、光ファイバ切断装置100内部の機構により、切断刃106が光ファイバFaを横断する方向に直線運動をする。その際、切断刃106は光ファイバFaの下を通過し、切断刃106が光ファイバFaにキズを形成する。
一方、蓋107に設けられた押圧部材109a、109bは、切断刃106によって表面にキズが形成された光ファイバFaを、そのキズを形成した部分とは反対側の側面から押圧する。これにより、光ファイバFaは切断される。
その後、操作レバー104をさらに押下すると、光ファイバ切断装置100内部の機構により蓋107が押し上げられ、蓋107が初期位置に復元される。搬送ローラ110aは、蓋107の開動作と連動して回転駆動するよう構成されているので、光ファイバの切断後に挟持部材108dおよび搬送ローラ110aに残された光ファイバFaの切り屑が光ファイバ屑回収部102へ搬送される。
以上の切断作業を所定回数ないし所定期間繰り返し、挟持部材108a、108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料が変形または劣化した場合、光ファイバホルダ200に設けられた長穴204と光ファイバホルダ200を載置部103に固定するためのネジ205との相対的位置関係を調節する。これにより、光ファイバFaと挟持部材108a、108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料との接触位置が変更され、新品同様の弾性力を利用することがきる。
以上説明したように、本実施の形態1に係る光ファイバ切断装置100は、光ファイバホルダ200と挟持部材108a、108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料との相対的位置変更可能に構成されているので、用いられている弾性体材料の寿命を延ばすことができる。したがって、本実施の形態1に係る光ファイバ切断装置100は、用いられている弾性体材料の寿命を、たとえば切断刃106などの他の交換部品の寿命に合わせることができ、製品全体としての効率性に寄与することになる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る光ファイバ切断装置の説明を行う。しかしながら、実施形態2と実施形態1との構成は、多くの点で共通しているので、共通構成については説明を省略する。すなわち、以下では、光ファイバホルダおよびその周辺の構成のみについて説明を行い、省略された構成については実施形態1と共通の構成であるものとする。
図22は、本発明の実施形態2に係る光ファイバホルダ200cの底面図である。なお、光ファイバホルダ200cの上面図などは実施形態1と同様であるので記載を省略する。図23は、本発明の実施形態2に係る載置部103cを示す概略図である。図24は、光ファイバホルダ200cを正確に平行移動させるための工夫の変形例を示す図である。
図22に示すように、光ファイバホルダ200cの底面には、磁石209が設けられている。また、光ファイバホルダ200cの尾端下部には、実施形態1と同様にガイド部206cが設けられている。
一方、図23に示すように、載置部103cの載置面にも、磁石114が設けられている。磁石114は、載置部103cの載置面に設けられた長穴115内を移動可能に設けられている。長穴115の長径方向は、実施形態1と同様に、切断する光ファイバの軸方向と垂直な方向である。また、長穴115の形状も、実施形態1と同様に、たとえば長径が短径よりも0.2mm以上3mm以下長い形状とすることが好ましい。また、図23に示すように、磁石114は、たとえば操作つまみ116によって、長穴115内を移動させる操作が可能に構成されることが好ましい。
図24に示すように、光ファイバホルダ200cを載置部103cに載せた際に、磁石209の方が磁石114よりも尾端のガイド部206cに近くなるように少しずらして配置されている。これにより、磁石209と磁石114との間の吸着力により光ファイバホルダ200cが載置部103cに固定されると共に、光ファイバホルダ200cが図中矢印方向に付勢を受け、ガイド部206cが載置部103cの端面に常に当接するようになる。結果、光ファイバホルダ200cの載置部103cに対する角度が安定する。すなわち、磁石209が設けられた光ファイバホルダ200cおよび磁石114が設けられた載置部103cは、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。また、光ファイバホルダ200cを載置部103cに固定する磁石209および磁石114は、光ファイバホルダ固定部の一例である。
図25および図26は、光ファイバホルダ200cが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダ200cの周辺部分のみを抜き出して示した図である。また、説明を容易にするため、図25における光ファイバホルダ200cの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP1とし、図26における光ファイバホルダ200cの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP2と略記する。
図25と図26とを比較すると解るように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200cの磁石209を吸着する磁石114の長穴115内での位置が異なる。それに伴い、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200cに保持された光ファイバ素線Fの光ファイバFaは、挟持部材108aとの接触位置が異なる。図25では、固定位置がP2の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xbにて示されている。一方、図26では、固定位置がP1の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xaにて示されている。
図25と図26とを比較すると解るように、本実施形態に係る光ファイバホルダ200cは、載置部103cに設けられた磁石114が長穴115内を移動することにより、挟持部材108aに対する相対的位置が変更される。結果、挟持部材108aの寿命が延長され、挟持部材108aの寿命を、たとえば切断刃106などの他の交換部品の寿命に合わせることができ、製品全体としての効率性に寄与することになる。
なお、上記実施形態2では、実施形態1と同様に、光ファイバFaと弾性体材料との接触のうち、挟持部材108aとの接触についてのみ説明したが、本実施形態の作用効果は、挟持部材108aに限らず、挟持部材108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料に対しても及ぶ。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る光ファイバ切断装置の説明を行う。しかしながら、実施形態3と実施形態1との構成は、多くの点で共通しているので、共通構成については説明を省略する。すなわち、以下では、光ファイバホルダおよびその周辺の構成のみについて説明を行い、省略された構成については実施形態1と共通の構成であるものとする。
図27は、本発明の実施形態3に係る光ファイバホルダ200dの底面図である。なお、光ファイバホルダ200dの上面図などは実施形態1と同様であるので記載を省略する。図28は、本発明の実施形態3に係る載置部103dを示す概略図である。
図27に示すように、光ファイバホルダ200dの底面には、2つの磁石209a、209bが設けられている。また、光ファイバホルダ200dの尾端下部には、実施形態1と同様にガイド部206dが設けられている。一方、図28に示すように、載置部103dの載置面にも、2つの磁石114a、114bが設けられている。これらの磁石114a、114b、209a、209bは、光ファイバホルダ固定部の一例である。
図29および図30は、光ファイバホルダ200dが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダ200dの周辺部分のみを抜き出して示した図である。また、説明を容易にするため、図29における光ファイバホルダ200dの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP1とし、図30における光ファイバホルダ200dの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP2と略記する。
図29に示すように、固定位置をP1で光ファイバホルダ200dを載置部103dに載せた場合、磁石114bと磁石209bとは近接しているが、磁石114aと磁石209aとは離れている。また、磁石209bの方が磁石114bよりも尾端のガイド部206に近くなるように少しずらして配置されている。
一方、図30に示すように、固定位置をP2で光ファイバホルダ200dを載置部103dに載せた場合、磁石114aと磁石209aとは近接しているが、磁石114bと磁石209bとは離れている。また、磁石209aの方が磁石114aよりも尾端のガイド部206に近くなるように少しずらして配置されている。
上記のように磁石114a、114bおよび磁石209a、209bを配置することにより、固定位置P1と固定位置P2との2箇所で磁力ポテンシャルが極小となる。結果、光ファイバホルダ200dは、固定位置P1と固定位置P2との2箇所で安定して固定される。また、磁石114a、114bと磁石209a、209bとの間の吸着力により光ファイバホルダ200dが付勢を受け、ガイド部206dが載置部103dの端面に常に当接するようになる。すなわち、磁石209a、209bが設けられた光ファイバホルダ200dおよび磁石114a、114bが設けられた載置部103dは、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
なお、磁石の配置は上記例に限らず、光ファイバホルダ200dと載置部103dとが、それぞれ複数の磁石を備え、複数個所で磁力ポテンシャルが極小となる配置とすればよい。磁力ポテンシャルが極小となる光ファイバホルダ200dの複数の固定位置が、切断される光ファイバFaの直径以上離間されていればよい。具体的には、複数の固定位置が、0.2mm以上かつ挟持部材108の幅以下の範囲で離間していることが好ましい。
図29と図30とを比較すると解るように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200dに保持された光ファイバFaは、挟持部材108aとの接触位置が異なる。図29では、固定位置がP2の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xbにて示されている。一方、図30では、固定位置がP1の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xaにて示されている。
図29と図30とを比較すると解るように、本実施形態に係る光ファイバホルダ200dは、磁石114a、114bおよび磁石209a、209bの磁力ポテンシャルが極小となる2箇所間を移動することにより、挟持部材108aに対する相対的位置が変更される。結果、挟持部材108aの寿命が延長され、挟持部材108aの寿命を、たとえば切断刃106などの他の交換部品の寿命に合わせることができ、製品全体としての効率性に寄与することになる。
なお、上記実施形態3では、実施形態1と同様に、光ファイバFaと弾性体材料との接触のうち、挟持部材108aとの接触についてのみ説明したが、本実施形態の作用効果は、挟持部材108aに限らず、挟持部材108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料に対しても及ぶ。
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係る光ファイバ切断装置の説明を行う。しかしながら、実施形態4と実施形態1との構成は、多くの点で共通しているので、共通構成については説明を省略する。すなわち、以下では、光ファイバホルダおよびその周辺の構成のみについて説明を行い、省略された構成については実施形態1と共通の構成であるものとする。
図31および図32は、光ファイバホルダ200eが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダ200eの周辺部分のみを抜き出して示した図である。また、説明を容易にするため、図31における光ファイバホルダ200eの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP1とし、図32における光ファイバホルダ200eの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP2と略記する。
図31および図32に示すように、光ファイバホルダ200eの側面と載置部103eの内側側面S2との間にスペーサ211を挿入して互いに当接させ、その状態で実施の形態1の場合と同様に長穴を用いてネジ留めするなどして光ファイバホルダ200eを固定することにより、図31に示される固定位置P1とは異なる固定位置P2に光ファイバホルダ200eを固定することができる。なお、幅の異なるスペーサ211を複数用意すれば、光ファイバホルダ200eの固定位置は複数設定することができる。また、図示されているように、スペーサと反対側からバネ210などによって付勢することで、光ファイバホルダ200eの位置決めをしても良い。すなわち、光ファイバホルダ200e、載置部103e、および、スペーサ211は、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
図31と図32とを比較すると解るように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200eに保持された光ファイバFaは、挟持部材108aとの接触位置が異なる。図31では、固定位置がP2の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xbにて示されている。一方、図32では、固定位置がP1の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xaにて示されている。
図31と図32とを比較すると解るように、本実施形態に係る光ファイバホルダ200eは、スペーサ211の挿入により、挟持部材108aに対する相対的位置が変更される。結果、挟持部材108aの寿命が延長され、挟持部材108aの寿命を、たとえば切断刃106などの他の交換部品の寿命に合わせることができ、製品全体としての効率性に寄与することになる。
なお、上記実施形態4では、実施形態1と同様に、光ファイバFaと弾性体材料との接触のうち、挟持部材108aとの接触についてのみ説明したが、本実施形態の作用効果は、挟持部材108aに限らず、挟持部材108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料に対しても及ぶ。
(実施形態5)
次に、本発明の実施形態5に係る光ファイバ切断装置の説明を行う。しかしながら、実施形態5と実施形態1との構成は、多くの点で共通しているので、共通構成については説明を省略する。すなわち、以下では、光ファイバホルダおよびその周辺の構成のみについて説明を行い、省略された構成については実施形態1と共通の構成であるものとする。
図33および図34は、光ファイバホルダ200fが光ファイバ切断装置に固定される位置を移動する様子を光ファイバホルダ200fの周辺部分のみを抜き出して示した図である。また、説明を容易にするため、図33における光ファイバホルダ200fの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP1とし、図34における光ファイバホルダ200fの光ファイバ切断装置に対する固定位置をP2と略記する。
図33および図34に示すように、光ファイバホルダ200fの側面と載置部103fの内側側面S4との間にくさび型のスペーサ212を挿入して互いに当接させ、その状態で長穴を用いてネジ留めするなどして光ファイバホルダ200fを固定することにより、図33に示される固定位置P1とは異なる固定位置P2に光ファイバホルダ200fを固定することができる。また、図示されているように、光ファイバホルダ200fと載置部103fの内側側面S3との間には付勢手段としてのバネ210が設けられ、光ファイバホルダ200fは載置部103f上の可動範囲内で一方端に付勢することで、光ファイバホルダ200fの位置決めをしても良い。
くさび型のスペーサ212のくさび角と載置部103fの内側側面S4の傾斜角とは整合しており、くさび型のスペーサ212の挿入位置を光ファイバホルダ200fの長手方向(つまり光ファイバの軸方向)に移動させることにより、光ファイバホルダ200eの可動範囲の制限量を変更し、光ファイバホルダ200fの固定位置をP1やP2に変更することができる。なお、図33および図34から明らかなように、くさび型のスペーサ212の挿入位置は連続的に変更可能であり、光ファイバホルダ200fの固定位置も連続的に変更することが可能である。したがって、切断する光ファイバの直径に対応して光ファイバホルダ200fの固定位置を調節すれば、光ファイバの直径以上に離間された異なる複数の位置で光ファイバホルダ200fを固定することができる。また、くさび型のスペーサ212の挿入位置を調節することが容易になるように、くさび型のスペーサ212に調節つまみ213を設けることが好ましく、調節つまみ213は挿入位置を固定するためのネジと兼用することがより好ましい。すなわち、光ファイバホルダ200f、載置部103f、および、くさび型のスペーサ212は、光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の光ファイバを挟持可能にする光ファイバ挟持位置移動構造の一部を構成している。
図33と図34とを比較すると解るように、固定位置がP1とP2とでは、光ファイバホルダ200fに保持された光ファイバFaは、挟持部材108aとの接触位置が異なる。図33では、固定位置がP2の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xbにて示されている。一方、図34では、固定位置がP1の時に光ファイバFaが接触する挟持部材108aでの位置が破線Xaにて示されている。
図33と図34とを比較すると解るように、本実施形態に係る光ファイバホルダ200eは、くさび型のスペーサ212の挿入位置を光ファイバの軸方向に移動させることにより、挟持部材108aに対する相対的位置が変更される。結果、挟持部材108aの寿命が延長され、挟持部材108aの寿命を、たとえば切断刃106などの他の交換部品の寿命に合わせることができ、製品全体としての効率性に寄与することになる。
なお、上記実施形態5では、実施形態1と同様に、光ファイバFaと弾性体材料との接触のうち、挟持部材108aとの接触についてのみ説明したが、本発明の作用効果は、挟持部材108aに限らず、挟持部材108b、108c、108d、押圧部材109a、109b、および搬送ローラ110aなどの弾性体材料に対しても及ぶ。
(実施形態6)
次に、本発明の実施形態6に係る光ファイバ切断装置の説明を行う。しかしながら、実施形態6と実施形態1との構成は、多くの点で共通しているので、共通構成については説明を省略する。すなわち、以下では、光ファイバホルダおよびその周辺の構成のみについて説明を行い、省略された構成については実施形態1と共通の構成であるものとする。
図35は、実施形態6に係る光ファイバ切断装置100gおよび載置部103gの部分断面図である。図35は、図6における矢印A方向に相当する載置部103gの断面と光ファイバホルダ200gの側面図とを併せて記載したものである。
図35に示すように、光ファイバ切断装置100gと載置部103gとは分離して構成されており、光ファイバ切断装置100gに設けられたガイド部117と載置部103gに設けられた溝116とが嵌合している。溝116は、紙面垂直方向に延伸するように設けられており、載置部103gは、ガイド部117と溝116とを嵌合した状態で、紙面垂直方向に移動が可能に構成されている。
したがって、本発明の実施形態6に係る光ファイバ切断装置では、載置部103の挟持部材108aに対する相対的位置が変更されることにより、同時に載置部103に載置される光ファイバホルダ200gも載置部103の挟持部材108aに対する相対的位置が変更される。上記のように構成することにより、実施形態6に係る光ファイバ切断装置100gにおいても、実施形態1〜5と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明の範疇に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。例えば、上述した各実施形態における光ファイバホルダは、異なる種類の単芯光ファイバ用として2つの溝203が設けられているが、同じ種類の単芯光ファイバを収容可能なように構成された複数の溝を互いに平行に設け、当該複数の溝が光ファイバの軸方向とは垂直な方向に0.2mm以上、挟持部材の幅以下の範囲で離間するよう構成した場合であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
100、100g 光ファイバ切断装置
101 本体
102 光ファイバ屑回収部
103、103a、103b、103c、103d、103e、103f、103g 載置部
104 操作レバー
105 切断部
106 切断刃
107 蓋
108 搬送ローラ
108a、108b、108c、108d 挟持部材
109a、109b 押圧部材
110a 搬送ローラ
110b 従動ローラ
111 ネジ穴
112 端部
113 溝
114、114a、114b 磁石
115 長穴
116 溝
117 ガイド部
200、200a、200b、200c、200d、200e、200f、200g 光ファイバホルダ
201 ホルダ本体
202 抑え蓋
203 溝
204 長穴
205 ネジ
206、206c、206d ガイド部
207 先端部
208 ガイド部
209、209a、209b 磁石
210 バネ
211、212 スペーサ

Claims (12)

  1. 光ファイバの表面にキズを形成し、当該キズを形成した反対側面から光ファイバの表面を押圧することで当該光ファイバを切断する光ファイバ切断装置であって、
    前記光ファイバの切断位置の両側にて前記光ファイバを挟持する弾性体材料からなる挟持部材と、
    前記光ファイバを収容する溝部および前記溝部に前記光ファイバを保持する保持部が設けられた光ファイバホルダと
    前記挟持部材が、前記光ファイバの軸方向とは垂直な方向において異なる複数の位置で、同一種類の前記光ファイバを挟持可能なように構成された光ファイバ挟持位置移動構造とを備え、
    前記光ファイバ挟持位置移動構造は、
    前記光ファイバホルダの前記挟持部材に対する相対的位置が、前記光ファイバの軸方向とは垂直方向に関して変更可能であり、
    前記光ファイバホルダの前記溝部が、当該複数の位置において、互いに平行になるように構成されている、
    ことを特徴とする光ファイバ切断装置。
  2. 前記複数の位置は、0.2mm以上、前記挟持部材の幅以下の範囲で離間していることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
  3. 前記光ファイバ挟持位置移動構造は、
    前記光ファイバホルダが載置される載置部と、
    前記複数の位置において、前記溝が互いに平行となるように、前記載置部に前記光ファイバホルダが当接されるガイド部と、
    該当接された状態で前記光ファイバホルダを前記載置部に固定する光ファイバホルダ固定部と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ切断装置。
  4. 前記光ファイバホルダ固定部は、前記光ファイバの軸方向と垂直方向を長径とする長穴を有し、前記光ファイバホルダが該長穴を介し前記載置部にねじ留めされる、
    ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ切断装置。
  5. 前記長穴の形状は、長径が短径よりも0.2mm以上3mm以下長い形状であることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ切断装置。
  6. 前記載置部は、前記光ファイバの軸方向と垂直方向に移動可能な第1の磁石を有し、
    前記光ファイバホルダ固定部は、前記第1の磁石に吸着する第2の磁石を有し、前記光ファイバホルダが前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の吸着力により前記載置部に固定される、
    ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ切断装置。
  7. 前記光ファイバホルダ固定部と前記載置部とがそれぞれ複数の磁石を備え、前記複数の磁石による磁力ポテンシャルが極小となる複数個所で、前記光ファイバホルダが前記載置部に固定される
    ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ切断装置。
  8. 前記光ファイバホルダを前記載置部上の可動範囲内で一方端に付勢をかける付勢手段と、
    前記載置部上の可動範囲を制限するスペーサと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ切断装置。
  9. 前記光ファイバホルダは、前記溝部と平行で離間した位置に、同一種類の光ファイバを収容する第二の溝部が形成されていることを特徴とする請求項の何れか1つに記載の光ファイバ切断装置。
  10. 互いに当接する2つのローラで前記光ファイバの切り屑を挟持して搬送する切り屑回収機構をさらに備え、
    前記2つのローラのうち少なくとも1つのローラの表面は、弾性体材料で構成される、
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1つに記載の光ファイバ切断装置。
  11. 前記光ファイバ挟持位置移動構造は
    前記光ファイバホルダが載置され、かつ、前記挟持部材に対する相対的位置が、前記光ファイバの軸方向と垂直方向に関して変更可能に構成された載置部と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ切断装置。
  12. 請求項1〜1の何れか1つに記載の光ファイバ切断装置を用いた光ファイバ切断方法であって、
    前記挟持部材が前記光ファイバを挟持する位置を調整する工程と、
    前記溝に切断すべき光ファイバを保持する工程と、
    前記挟持部材により前記光ファイバを挟持する工程と、
    前記光ファイバの表面にキズを形成する工程と、
    前記キズを形成した反対側面から光ファイバの表面を押圧する工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバ切断方法。
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