<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材などを四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機本体12は、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、図2に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔23が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤24が着脱可能に取り付けられている。遊技盤24は合板よりなり、遊技盤24の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔23を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤24の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤24には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31,可変入賞装置32,上作動口(第1始動入球部)33,下作動口(第2始動入球部)34,スルーゲート35、可変表示ユニット36、メイン表示部43及び役物用表示部44等がそれぞれ設けられている。
一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33及び下作動口34への入球が発生すると、それが遊技盤24の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合に、一般入賞口31への入球が発生した場合には10個の遊技球の払出が実行され、可変入賞装置32への入球が発生した場合には15個の遊技球の払出が実行され、上作動口33への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口34への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行される。なお、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。
その他に、遊技盤24の最下部にはアウト口37が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口37を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤24には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘38が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口37への遊技球の入球と明確に区別するために、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34又はスルーゲート35への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口33及び下作動口34は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤24に設置されている。上作動口33及び下作動口34は共に上向きに開放されている。また、上作動口33が上方となるようにして両作動口33,34は上下方向、より詳細には鉛直方向に並んでいる。下作動口34には、左右一対の可動片よりなるガイド片としての電動役物34aが設けられている。電動役物34aが閉鎖状態である場合には下作動口34への入賞が不可となり、電動役物34aが開放状態となることで下作動口34への入賞が可能となる。
可変入賞装置32は、遊技盤24の背面側へと通じる大入賞口32aを備えているとともに、当該大入賞口32aを開閉する開閉扉32bを備えている。開閉扉32bは、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放される態様がある。
メイン表示部43及び役物用表示部44は、遊技領域の下部側の外縁に沿って配設された装飾部材39に設けられている。装飾部材39は、遊技盤24の盤面からパチンコ機10前方に延出している。より具体的には、装飾部材39の前面は、遊技領域をパチンコ機10前方から視認可能とするために前扉枠14に設けられた窓パネル62と対向しており、さらに窓パネル62との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、装飾部材39の前面の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
装飾部材39の前面から露出するようにしてメイン表示部43及び役物用表示部44が設けられている。つまり、メイン表示部43及び役物用表示部44は、前扉枠14の窓パネル62を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら両表示部43,44の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
メイン表示部43では、上作動口33又は下作動口34への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口33への入賞と下作動口34への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部43にて明示される。そして、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部43にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。また、開閉実行モード後に当否抽選の確率が高確率となる場合と、開閉実行モード後に当否抽選の確率が低確率となる場合とでは、メイン表示部43にて変動表示が終了される場合の停止結果が異なっている。
ちなみに、いずれかの作動口33,34への入賞に基づいて、メイン表示部43にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。また、メイン表示部43にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
役物用表示部44は、スルーゲート35への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート35への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート35への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部44にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では下作動口34に設けられた電動役物34aが所定の態様で開放状態となる。
可変表示ユニット36には、絵柄として数字が付された図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット36には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。このセンターフレーム42は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置41は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
図柄表示装置41では、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置41において変動表示が行われる。
図柄表示装置41の表示内容について、図5を参照して詳細に説明する。図5は図柄表示装置41の表示面Gを示す図である。
絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
図5(a)に示すように、図柄表示装置41の表示面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
図5(b)に示すように、表示面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。
上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて表示面Gにおいて遊技回用の演出が行われる場合には、各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示が開始される。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示から待機表示に切り換えられ、最終的に各図柄列Z1〜Z3にて所定の図柄を静止表示した状態で遊技回用の演出が終了される。
また、遊技回用の演出が終了する場合において同一の図柄の組合せが一の有効ライン上に停止表示された場合には、可変入賞装置32が所定回数に亘って開閉され且つ多量の遊技球の獲得を可能とする開閉実行モードに移行することとなる。この場合に、開閉実行モード後に当否抽選の確率が高確率となる場合に対応した遊技回用の演出では、いずれかの有効ラインに同一の奇数の数字が付された図柄の組み合わせが形成される。一方、開閉実行モード後に当否抽選の確率が低確率となる場合に対応した遊技回用の演出では、いずれかの有効ラインに同一の偶数の数字が付された図柄の組み合わせが形成される。
また、図柄表示装置41における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置41にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
センターフレーム42の前面側における左上部分には、メイン表示部43及び図柄表示装置41に対応した第1保留発光部45が設けられている。遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留発光部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上述したように、センターフレーム42の上部がパチンコ機10前方に延出していることにより、第1保留発光部45の視認性が遊技球の落下により阻害されない構成となっている。
センターフレーム42の右上部分には、役物用表示部44に対応した第2保留発光部46が設けられている。遊技球がスルーゲート35を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留発光部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留発光部45,46の機能が図柄表示装置41の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
遊技盤24には、内レール部51と外レール部52とが取り付けられており、これら内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構53から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構53は、図2に示すように、樹脂ベース21における窓孔23の下方に取り付けられており、前扉枠14に設けられた発射ハンドル54が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部61が形成されている。窓部61は、略楕円形状をなし、上述した窓パネル62が嵌め込まれている。窓パネル62は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。
窓部61の周囲には、各種発光部等の発光手段が設けられている。当該各種発光部の一部として発光部63が窓部61の上方に設けられている。また、発光部63の左右両側には遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部64が設けられている。
前扉枠14における窓部61の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部65と下側膨出部66とが上下に並設されている。上側膨出部65内側には上方に開口した上皿71が設けられており、下側膨出部66内側には同じく上方に開口した下皿72が設けられている。上皿71は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構53側へ導くための機能を有する。また、下皿72は、上皿71内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。上皿71及び下皿72には、裏パックユニット15の払出装置96から払い出された遊技球が前扉枠14の背面に設けられた通路形成ユニット73を通じて排出される。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤24)の背面には、主制御装置81及び音光制御装置82が搭載されている。
主制御装置81は、遊技の主たる制御を司る主制御基板と、電源を監視する停電監視基板と、を具備しており、これら主制御基板及び停電監視基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス83に収容されて構成されている。基板ボックス83は、略直方体形状のボックスベースとこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは分離阻止手段(又は、結合手段)としてのボックス結合部85によって分離不能に連結され、これにより基板ボックス83が封印されている。そして、これらボックス結合部85によって分離不能に連結されていることで、基板ボックス83の内部空間の開放に際しては当該基板ボックス83の破壊又は一部の切除を要する構成となっている。ボックス結合部85は基板ボックス83の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて結合処理が行われる。
ボックス結合部85はボックスベースとボックスカバーとを開放不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス結合部85を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開放不能に結合されるようになっている。ボックス結合部85による結合処理は、その結合後の不正な開放を防止し、また万一不正開放が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開放した後でも再度開放処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス結合部85のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより結合処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス83を開放する場合には、係止爪が挿入されたボックス結合部85と他のボックス結合部85との連結部分やボックス本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス83のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度結合処理する場合は他のボックス結合部85の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス83の開放を行った旨の履歴を当該基板ボックス83に残しておけば、基板ボックス83を見ることで不正な開放が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス83の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片86が設けられている。これら結合片86は、主制御装置81の取付台に形成された複数の被結合片87と1対1で対応しており、結合片86と被結合片87とにより基板ボックス83と取付台との間で結合処理が行われる。
なお、上記基板ボックス83の不正な開放を発見するための痕跡手段として、封印シールをボックスベースとボックスカバーとの境界を跨ぐようにして貼り付ける構成としてもよい。この場合、封印シールをその貼付箇所から剥がした場合には、当該封印シールの接着剤層が基板ボックス83側に残り、その痕跡が残ることとなる。さらには、当該封印シールに所定周波数の呼び出し波に対して識別情報を含む応答波を発信するICタグを設け、封印シールを剥がした場合には、当該ICタグのアンテナが切断されて、上記応答波の発信が不可となる構成としてもよい。
音光制御装置82は、主制御装置81からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス84に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図3に示すように、裏パック91を備えており、当該裏パック91に対して、払出機構部92及び制御装置集合ユニット93が取り付けられている。なお、裏パック91は透明性を有する合成樹脂により形成されており、主制御装置81や音光制御装置82などを後方から覆うように、後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部94を有している。
払出機構部92は、保護カバー部94を迂回するようにして配設されており、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク95と、当該タンク95に貯留された遊技球を払い出すための払出装置96と、を備えている。払出装置96より払い出された遊技球は、当該払出装置96の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、上皿71又は下皿72に排出される。また、払出機構部92には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチが設けられた裏パック基板が搭載されている。
制御装置集合ユニット93は、払出制御装置97と電源及び発射制御装置98とを備えている。これら払出制御装置97と電源及び発射制御装置98とは、払出制御装置97がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置97は、払出装置96を制御する払出制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されている。この場合、当該払出制御装置97の基板ボックスに対して、主制御装置81の基板ボックス83と同様の不正抑制手段を適用してもよい。
電源及び発射制御装置98は、電源及び発射制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による発射ハンドル54の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
<電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図6のブロック図に基づき説明する。
主制御装置81は、遊技の主たる制御を司る主制御基板101と、電源を監視する停電監視基板105と、を具備している。主制御基板101には、MPU102が搭載されている。MPU102には、制御部及び演算部を含む中央演算処理装置であるCPUの他に、ROM103及びRWM104が内蔵されている。
ROM103は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM103は、MPU102により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
RWM104は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM103よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。当該RWM104は、ROM103内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。
また、MPU102又は主制御基板101には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。なお、MPU102に対してROM103及びRWM104が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
MPU102には、入出力ポートが設けられている。MPU102の入力側には、停電監視基板105、払出制御装置97、各種入賞検知センサ106a〜106h及び磁石検知センサ109などが接続されている。
停電監視基板105には電源及び発射制御装置98が接続されており、MPU102には停電監視基板105を介して電力が供給される。また、各種入賞検知センサ106a〜106hの検知結果に基づいて、MPU102において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU102では、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて大当たり抽選を実行するとともに、スルーゲート35への入賞に基づいてサポート抽選を実行する。
また、磁石検知センサ109は、上作動口33周辺における遊技盤24の背面側に設置されている。上記のとおり上作動口33は内部抽選のトリガとなるため、窓パネル62の前方において上作動口33周辺に磁石を近付け、不正に上作動口33へと遊技球を誘導させようとする行為が想定される。これに対して、磁石検知センサ109が設けられていることにより、上記磁石を用いた不正行為が行われた場合に、それを検知することが可能となる。MPU102では、磁石検知センサ109の検知結果に基づいて上記不正行為の発生の有無を特定する。
MPU102の出力側には、停電監視基板105、払出制御装置97及び音光制御装置82が接続されている。
払出制御装置97には、例えば、上記入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。音光制御装置82には、変動用コマンド、種別コマンド、最終停止コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。
また、MPU102の出力側には、可変入賞装置32の開閉扉32bを開閉動作させる可変入賞駆動部107、下作動口34の電動役物34aを開閉動作させる役物駆動部108、メイン表示部43及び役物用表示部44が接続されている。主制御基板101には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU102は各種駆動部の駆動制御を実行する。また、図示による説明は省略するが、第1保留発光部45及び第2保留発光部46の発光制御もMPU102により行われる。
停電監視基板105は、主制御基板101と電源及び発射制御装置98とを中継し、また電源及び発射制御装置98から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置97は、主制御装置81から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置96により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源及び発射制御装置98は、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板101や払出制御装置97等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源及び発射制御装置98は、遊技球発射機構53の発射制御を担うものであり、発射ハンドル54に対する所定の発射操作を特定したことに基づいて、遊技球発射機構53を駆動する。
音光制御装置82は、主制御装置81から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた発光部63及びスピーカ部64を駆動制御するとともに、表示制御装置111を制御するものである。表示制御装置111では、音光制御装置82から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置41の表示制御を実行する。
<MPU102にて各種抽選を行うための電気的構成>
次に、MPU102にて各種抽選を行うための電気的な構成について、図7を用いて説明する。
MPU102は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部43の表示の設定、図柄表示装置41の図柄表示の設定、役物用表示部44の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図7に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値カウンタCN1と、大当たり種別カウンタC2の初期値設定に使用する第2初期値カウンタCN2と、メイン表示部43及び図柄表示装置41における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、下作動口34の電動役物34aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電役乱数カウンタC4と、電役乱数カウンタC4の初期値設定に使用する第3初期値カウンタCN3と、を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CN1,CN2,CS,C4,CN3は、RWM104の抽選用カウンタエリア104aに設けられている。
各カウンタC1〜C3,CN1,CN2,CS,C4,CN3は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口33又は下作動口34への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としてRWM104に設けられた保留格納エリア104bに格納される。
保留格納エリア104bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口33又は下作動口34への入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口33又は下作動口34への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口33又は下作動口34への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、メイン表示部43の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。また、大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値カウンタCN1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、第1初期値カウンタCN1は、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア104bに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM103における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モードと高確率モードとが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、大当たり乱数カウンタC1とは数値範囲が異なっており、大当たり乱数カウンタC1よりも数値範囲が狭く設定されている。具体的には、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。また、大当たり種別カウンタC2が1周した場合、その時点の第2初期値カウンタCN2の値が当該大当たり種別カウンタC2の初期値として読み込まれる。なお、第2初期値カウンタCN2は、大当たり種別カウンタC2と同様のループカウンタである(値=0〜29)。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア104bに格納される。
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。具体的には、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置32への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードのいずれであっても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
ここで、ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球が大入賞口32aに入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は15ラウンドに設定されている。
また、本パチンコ機10では、可変入賞装置32の1回の開放態様が、大入賞口32aが開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間を相違させて、複数種類設定されている。詳細には、開放継続時間が長時間である29secに設定された長時間態様と、開放継続時間が上記長時間よりも短い短時間である0.6secに設定された短時間態様と、が設定されている。
本パチンコ機10では、発射ハンドル54が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構53が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が9個に設定されている。そうすると、上記開放態様のうち長時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。一方、短時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも短い時間、より詳細には、遊技球の発射周期よりも短い時間の開放継続時間が設定されている。したがって、長時間態様で可変入賞装置32の1回の開放が行われた場合には、大入賞口32aに対して、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待され、短時間態様で可変入賞装置32の1回の開放が行われた場合には、大入賞口32aへの入賞が発生しないこと又は入賞が発生するとしても1個程度となることが期待される。
高頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において長時間態様による大入賞口32aの開放が1回行われる。一方、低頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において短時間態様による大入賞口32aの開放が1回行われる。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口32aの開閉回数、ラウンド遊技の回数、1回の開放に対する開放継続時間及び1回のラウンド遊技における上限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置32への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口34の電動役物34aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)と低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電役乱数カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物34aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物34aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口34よりも上作動口33への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口33よりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口34への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート35への入賞に基づき役物用表示部44にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部44における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM103における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、低確大当たり結果と、低入賞高確大当たり結果と、最有利大当たり結果とが設定されている。
低確大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
低入賞高確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
最有利大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。また、遊技結果として、低入賞高確大当たり結果が設定されていない構成としてもよい。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が低確大当たり結果に対応しており、「10〜14」が低入賞高確大当たり結果に対応しており、「15〜29」が最有利大当たり結果に対応している。
なお、高確大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示の低入賞高確大当たり結果が含まれていてもよい。この場合、大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示の低入賞高確大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示の低入賞高確大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
リーチ乱数カウンタC3は、大当たり乱数カウンタC1及び大当たり種別カウンタC2とは数値範囲が異なっており、大当たり乱数カウンタC1よりも数値範囲が狭く且つ大当たり種別カウンタC2よりも数値範囲が広く設定されている。具体的には、0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア104bに格納される。
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置41における表示演出の一種としてリーチ表示が設定されている。リーチ表示とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置41を備え、可変入賞装置32の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置41における図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
リーチ表示には、図柄表示装置41の表示面Gに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM103のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。
変動種別カウンタCSは、大当たり乱数カウンタC1及び大当たり種別カウンタC2とは数値範囲が異なっており、大当たり乱数カウンタC1よりも数値範囲が狭く且つ大当たり種別カウンタC2よりも数値範囲が広く設定されている。具体的には、0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部43における変動表示時間と、図柄表示装置41における図柄の変動表示時間とをMPU102において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述するメイン処理及びタイマ割込み処理のそれぞれにて更新され、メイン表示部43における変動表示の開始時及び図柄表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM103の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
電役乱数カウンタC4は、大当たり乱数カウンタC1及び大当たり種別カウンタC2とは数値範囲が異なっており、大当たり乱数カウンタC1よりも数値範囲が狭く且つ大当たり種別カウンタC2よりも数値範囲が広く設定されている。具体的には、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。また、電役乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第3初期値カウンタCN3の値が当該電役乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、第3初期値カウンタCN3は、電役乱数カウンタC4と同様のループカウンタである(値=0〜250)。電役乱数カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート35に遊技球が入賞したタイミングで、RWM104に設けられた電役保留エリア104cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電役乱数カウンタC4の値によって電動役物34aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
<MPU102にて実行される各種処理について>
次に、MPU102にて遊技を進行させるために実行される各処理を説明する。かかるMPU102の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に起動されるタイマ割込み処理とがある。
<メイン処理>
先ず、図8のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。
先ずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102ではRWM104のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU102の内部機能レジスタの設定を行う。
その後、ステップS104では、電源及び発射制御装置98に設けられたRWM消去スイッチが手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RWM104の停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRWMデータを初期化する場合にはRWM消去スイッチを押しながら電源が投入される。したがって、RWM消去スイッチが押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RWM104の初期化として当該RWM104をクリアする。その後、ステップS109に進む。
一方、RWM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRWM104の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを音光制御装置82に送信する。また、払出制御装置97のRWMの初期化を実行すべきことを示す払出初期化コマンドを払出制御装置97に送信する。さらに、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
その後、ステップS110〜ステップS115の残余処理に進む。つまり、MPU102はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110〜ステップS115の残余処理を繰り返し実行する。この点、ステップS110〜ステップS115の残余処理は非定期的に実行される非定期処理であると言える。
残余処理では、先ずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。その後、ステップS111にて、第1初期値カウンタCN1の更新を行う第1初期値更新処理を実行し、ステップS112にて、第2初期値カウンタCN2の更新を行う第2初期値更新処理を実行し、ステップS113にて、第3初期値カウンタCN3の更新を行う第3初期値更新処理を実行し、ステップS114にて、変動種別カウンタCSの更新処理を実行する。
これらの更新処理では、RWM104の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。
その後、ステップS115にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS115の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110〜ステップS115の処理を繰り返す。
<タイマ割込み処理>
次に、図9のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
ここで、MPU102にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板101には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてクロック回路が設けられており、さらに当該クロック回路とMPU102との間の信号経路の途中位置に存在するように分周回路が設けられている。
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングをMPU102にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路からMPU102に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。MPU102では、かかるパルス信号の立ち上がり又は立下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも一の条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、MPU102における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることがある。
4msecが経過しているにも関わらずタイマ割込み処理が起動されない場合としては、上記ステップS110にて割込み禁止の設定がなされ、上記残余処理が実行されている最中において4msecが経過した場合である。したがって、残余処理の実行状況によって、タイマ割込み処理の開始タイミングは変動することとなる。
但し、上記分周回路からのパルス信号の出力はMPU102における処理の経過内容に関係なく4msecといった特定周期で行われるため、基本的にはタイマ割込み処理は特定周期で起動される。さらにまた、MPU102の処理構成は、所定のタイミングにおけるタイマ割込み処理が前回のタイマ割込み処理が起動されてから特定周期を超える期間が経過した後に起動されたとしても、当該所定のタイミングの次のタイミングにおけるタイマ割込み処理にてその特定周期を超えた分が吸収されて、さらに次のタイミングにおけるタイマ割込み処理ではパルス信号の入力を確認したタイミングで起動されるように設定されている。
なお、タイマ割込み処理が定期的に起動される態様は、上記態様に限定されることはなく、基本的には4msecといった所定の周期で起動されるが、タイマ割込み処理が前回起動されてから所定の周期に相当する時間が経過したタイミングが残余処理の途中であるといった事情により、新たなタイマ割込み処理が所定の周期に相当する時間の経過後に起動された場合であっても、その次のタイマ割込み処理は、上記新たなタイマ割込み処理が起動されてから所定の周期に相当する時間の経過前のタイミングでは開始されない構成としてもよい。つまり、タイマ割込み処理は、基本的には所定の周期で起動されるとともに、残余処理との関係で所定の周期を超える時間の間隔で開始されることがある一方、所定の周期を下回る時間の間隔では開始されない構成としてもよい。この場合であっても、残余処理との関係では、タイマ割込み処理の起動間隔は変動し得るものとなる。
さて、タイマ割込み処理では、先ずステップS201にて停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、MPU102に設けられた入出力ポートを通じて停電監視基板105から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。
この場合、数値情報が最大値に達したカウンタについては、数値情報を最小値である「0」にクリアする。また、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及び電役乱数カウンタC4については、数値情報の更新が1周した際には、対応する初期値カウンタCN1〜CN3から初期値の情報を読み出し、その読み出した初期値の情報を新たな周回の初期値として上書きする。
ここで、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3は、遊技が正規に進行している状態(具体的には後述するステップS206にて否定判定をする状態)においては、後述するステップS214の特図特電制御処理の1回の実行に対して1回実行される構成となっている。当該特図特電制御処理では、作動口33,34への入賞を監視する処理が実行されるとともに、作動口33,34への入賞が発生している場合には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3から数値情報を取得する処理が実行される。そして、その取得した数値情報に基づき、大当たり当選か否かの当否判定処理や、大当たり種別を振り分けるための振分判定処理や、リーチ発生当選か否かのリーチ判定処理が実行される。
つまり、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3のそれぞれは、それらの数値情報を取得可能とする1回の契機に対して、数値情報の更新処理が1回行われる構成となっている。そして、上記のとおり、これら大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3のそれぞれは、対象となる全ての数値情報が各1回ずつ設定された場合に更新周回が1回完了したと判定される。したがって、パチンコ機10の設計段階にて設定した確率で、大当たり当選が発生し、大当たり当選が発生した場合には、パチンコ機10の設計段階にて設定した割合で、各大当たり結果のいずれかに振り分けられる。また、大当たり当選とならなかった場合には、パチンコ機10の設計段階にて設定した確率でリーチ表示が発生する。
また、電役乱数カウンタC4は、遊技が正規に進行している状態(具体的には後述するステップS206にて否定判定をする状態)においては、後述するステップS215の普図普電制御処理の1回の実行に対して1回実行される構成となっている。当該普図普電制御処理では、スルーゲート35への入賞を監視する処理が実行されるとともに、スルーゲート35への入賞が発生している場合には、電役乱数カウンタC4から数値情報を取得する処理が実行される。そして、その取得した数値情報に基づき、電動役物34aを開放状態とするか否かの判定処理が実行される。
つまり、電役乱数カウンタC4は、その数値情報を取得可能とする1回の契機に対して、数値情報の更新処理が1回行われる構成となっている。そして、上記のとおり、電役乱数カウンタC4は、対象となる全ての数値情報が各1回ずつ設定された場合に更新周回が1回完了したと判定される。したがって、パチンコ機10の設計段階にて設定した確率で、電動役物34aの開放当選が発生する。
その後、ステップS203では各種初期値更新処理を実行する。各種初期値更新処理では、上記ステップS111〜ステップS113と同様の処理を実行する。また、ステップS204では、上記ステップS114と同様に、変動種別カウンタCSの更新処理を実行する。
続くステップS205では、遊技停止判定処理を実行する。遊技停止判定処理では、MPU102に設けられた入出力ポートを通じて磁石検知センサ109における検知結果を読み込み、その検知結果が不正の発生に対応したものであるか否かを判定する。また、前回のタイマ割込み処理におけるステップS211にて不正を検知しているか否かを判定する。これらの判定処理のいずれかにて肯定判定をした場合には、遊技の進行を停止すべき状況であると特定し、これらの判定処理の両方にて否定判定をした場合には、遊技の進行を停止すべき状況ではないと特定する。
その後、ステップS206にて遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定し、遊技の進行を停止していない状態であることを条件に、ステップS207以降の処理を実行する。
ステップS207では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部107,108に行うための処理を実行する。例えば、大入賞口32aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には可変入賞駆動部107への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、下作動口34の電動役物34aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には役物駆動部108への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
続くステップS208では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
続くステップS209では入賞検知処理を実行する。当該入賞検知処理では、各入賞検知センサ106a〜106hから受信している信号を読み込むとともに、一般入賞口31、大入賞口32a、上作動口33、下作動口34及びスルーゲート35への入賞の有無を特定する処理を実行する。
続くステップS210では、RWM104に設けられている複数種類のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。この場合、記憶されている数値情報が減算されて更新されるタイマカウンタを集約して扱う構成であるが、減算式のタイマカウンタの更新及び加算式のタイマカウンタの更新の両方を集約して行う構成としてもよい。
続くステップS211では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。当該不正検知処理では、複数種類の事象の発生を監視し、所定の事象が発生していること(例えば図示しない振動検知センサが振動を検知していることや、図示しない電波検知センサが電波を検知していること)を確認することで、次回のタイマ割込み処理における上記ステップS205にて遊技停止用の設定を行い、ステップS206にて肯定判定するようになる。
続くステップS212では、遊技球の発射制御を行うための発射制御処理を実行する。発射ハンドル54に対して発射操作が継続されている状況では、既に説明したとおり、所定の発射周期である0.6secに1個の遊技球が発射される。
続くステップS213では、入力状態監視処理として、ステップS208の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサ106a〜106hの断線確認や、遊技機本体12や前扉枠14の開放確認を行う。
続くステップS214では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理の内容は後に説明する。
続くステップS215にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート35への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、下作動口34の電動役物34aを開閉させる処理を実行する。
続くステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、メイン表示部43に係る保留情報の増減個数を第1保留発光部45に反映させるための出力情報の設定を行うとともに、役物用表示部44に係る保留情報の増減個数を第2保留発光部46に反映させるための出力情報の設定を行う。また、ステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、メイン表示部43の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、役物用表示部44の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
続くステップS217では、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない状況において図柄表示装置41の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行するとともに、ステップS218では、払出制御装置97から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS219では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
続くステップS220では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する。また、ステップS221では、試射試験情報を編集するための処理を実行する。
ステップS206にて肯定判定をした場合、又はステップS207〜ステップS221の処理を実行した後は、ステップS222に進む。ステップS222では、割込み終了宣言の設定を実行する。MPU102では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS222では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。また、ステップS223では、割込み許可の設定を行う。MPU102では、タイマ割込み処理が一旦起動されると、割込み禁止の状態に設定されるため、ステップS223では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
<特図特電制御処理>
次に、タイマ割込み処理(図9)のステップS214にて実行される特図特電制御処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
特図特電制御処理では、上作動口33又は下作動口34への入賞が発生している場合に保留情報を取得するための処理を実行するとともに、保留情報が記憶されている場合にその保留情報について当否判定を行い、さらにその当否判定を契機として遊技回用の演出を行うための処理を実行する。また、当否判定の結果に基づいて、遊技回用の演出後に開閉実行モードに移行させる処理を実行するとともに、開閉実行モード中及び開閉実行モード終了時の処理を実行する。
具体的には、先ずステップS301にて、保留情報の取得処理を実行する。保留情報の取得処理では、上作動口33又は下作動口34への入賞が発生しているか否かを判定し、入賞が発生している場合には保留格納エリア104bにおける保留数記憶エリアNAに格納された保留数を読み出し、当該保留数が上限値(本実施の形態では「4」)未満であるか否かを判定する。保留数が上限値未満である場合には、保留数を1加算するとともに、前回のステップS202にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を、保留用エリアREの空き保留エリアRE1〜RE4のうち最初の保留エリアに格納する。
なお、上作動口33及び下作動口34への入賞が同時に発生している場合には、保留情報の取得処理を1回実行する範囲内において、上記保留情報を取得するための処理を複数回実行する。
ステップS301にて保留情報の取得処理を実行した後は、ステップS302に進む。ステップS302では、RWM104に設けられた特図特電カウンタの情報を読み出す処理を実行する。続くステップS303では、ROM103から特図特電アドレステーブルを読み出す処理を実行する。そして、ステップS304にて、特図特電アドレステーブルから特図特電カウンタの情報に対応した開始アドレスを取得する処理を実行する。
ここで、ステップS302〜ステップS304の処理内容について説明する。
既に説明したとおり特図特電制御処理には、遊技回用の演出に係る処理と、開閉実行モードに係る処理と、が含まれている。この場合に、遊技回用の演出に係る処理として、遊技回用の演出を開始させるための処理である特図変動開始処理(ステップS306)と、遊技回用の演出を進行させるための処理である特図変動中処理(ステップS307)と、遊技回用の演出を終了させるための処理である特図確定中処理(ステップS308)と、が設定されている。
また、開閉実行モードに係る処理として、開閉実行モードのオープニングを制御するための処理である特電開始処理(ステップS309)と、大入賞口32aの開放中の状態を制御するための処理である特電開放中処理(ステップS310)と、大入賞口32aの閉鎖中の状態を制御するための処理である特電閉鎖中処理(ステップS311)と、開閉実行モードのエンディング及び開閉実行モード終了時の遊技状態の移行を制御するための処理である特電終了処理(ステップS312)と、が設定されている。
このような処理構成において、特図特電カウンタは、上記複数種類の処理のうちいずれを実行すべきであるかをMPU102にて把握するためのカウンタであり、特図特電アドレステーブルには、特図特電カウンタの数値情報に対応させて、上記複数種類の処理を実行するためのプログラムの開始アドレスが設定されている。
この場合、開始アドレスSA0は、特図変動開始処理(ステップS306)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA1は、特図変動中処理(ステップS307)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA2は、特図確定中処理(ステップS308)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA3は、特電開始処理(ステップS309)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA4は、特電開放中処理(ステップS310)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA5は、特電閉鎖中処理(ステップS311)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA6は、特電終了処理(ステップS312)を実行するためのプログラムの開始アドレスである。
特図特電カウンタは、現状格納されている数値情報に対応した処理を終了した場合に当該数値情報を更新すべき条件が成立していることを契機として、その次の処理回における特図特電制御処理にて実行される処理に対応させて、1加算、1減算又は「0」クリア(初期化)される。したがって、各処理回における特図特電制御処理では、特図特電カウンタにセットされている数値情報に応じた処理を実行すればよいこととなる。
上記構成によれば、特図特電制御としていずれの処理を実行すべき状態であるかを、各種フラグの有無を確認しなくてもMPU102にて把握することが可能となる。例えば、遊技回用の演出は、他の遊技回用の演出が実行されておらず且つ開閉実行モードではない場合に開始されるが、各状態をフラグの有無により判断しようとすると、遊技回用の演出に係る処理にて、遊技回用の演出を開始させる前に、遊技回用の演出の実行中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認と、開閉実行モードの実行中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認とを行う必要が生じる。また、遊技回用の演出の実行中には、遊技回用の演出の実行中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認と、確定表示中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認とを行う必要が生じる。
また、開閉実行モードは、遊技回用の演出が終了し且つ他の開閉実行モードが実行されていない場合に開始されるが、各状態をフラグの有無により判断しようとすると、開閉実行モードに係る処理にて、開閉実行モードを開始させる前に、遊技回用の演出が終了したことを示すフラグがセットされているか否かの確認と、開閉実行モードの実行中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認とを行う必要が生じ、さらにオープニング中である場合には、オープニング中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認を行う必要が生じる。また、オープニング以降では、開閉実行モードの実行中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認を行うとともに、大入賞口32aが開放中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認を行う必要が生じる。さらにまた、エンディング中である場合には、エンディング中であることを示すフラグがセットされているか否かの確認を行う必要が生じる。
これに対して、特図特電カウンタを利用すれば、様々なフラグを用意しておく必要はなく、さらには各処理の実行タイミングを確認する際の情報も集約される。よって、処理の簡素化が図られる。
ステップS304の処理を実行した後は、ステップS305にて、ステップS304にて取得した開始アドレスの示す処理にジャンプする処理を実行する。具体的には、取得した開始アドレスがSA0である場合にはステップS306の特図変動開始処理にジャンプする。
特図変動開始処理では、保留情報が保留記憶されていることを条件に、その保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。当否判定処理に際しては、保留情報において大当たり乱数カウンタC1から取得した数値情報が、大当たり当選に対応した数値情報であるか否かの判定を行う。また、振分判定処理に際しては、保留情報において大当たり種別カウンタC2から取得した数値情報が、いずれの大当たり結果の区分に対応しているか否かの判定を行う。
当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の継続時間を選択する継続時間の選択処理を実行する。なお、リーチ判定処理に際しては、保留情報においてリーチ乱数カウンタC3から取得した数値情報が、リーチ発生の数値情報に対応しているか否かの判定を行う。
継続時間の情報を選択した場合には、当該継続時間の情報を含む変動用コマンドと遊技結果の情報を含む種別コマンドとを音光制御装置82に送信するとともに、メイン表示部43における絵柄の変動表示を開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、メイン表示部43及び図柄表示装置41にて遊技回用の演出が開始される。
ちなみに、このように遊技回用の演出を開始させた場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図変動開始処理に対応したものから特図変動中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA1である場合にはステップS307の特図変動中処理にジャンプする。特図変動中処理では、遊技回の継続時間中であって、確定表示前のタイミングであるか否かを判定する処理を実行し、確定表示前であればメイン表示部43における絵柄の表示態様を規則的に変化させるための処理を実行する。
ちなみに、確定表示させるタイミングとなるまで特図変動中処理にて待機するのではなく、確定表示させるタイミングではない場合には上記規則的に変化させるための処理を実行した後に、本特図変動中処理を終了する。したがって、遊技回用の演出が開始された後は、確定表示させるタイミングとなるまで、特図特電制御処理が起動される度に特図変動中処理が起動される。また、確定表示させるタイミングとなった場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図変動中処理に対応したものから特図確定中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA2である場合にはステップS308の特図確定中処理にジャンプする。特図確定中処理では、図柄表示装置41にて今回の遊技回の停止結果を最終停止表示させるために、最終停止コマンドを音光制御装置82に送信するとともに、メイン表示部43における絵柄の表示態様を今回の遊技回の抽選結果に対応した表示態様とする。また、特図確定中処理では、確定表示中の期間が経過したか否かを判定し、当該期間が経過している場合には開閉実行モードへの移行が発生するか否かの判定を行い、開閉実行モードへの移行が発生する場合には当該モード移行用の処理を実行する。
ちなみに、確定表示中の期間が経過するまで特図確定中処理にて待機するのではなく、当該期間が経過していない場合には本特図確定中処理を終了する。したがって、確定表示が開始された後は、確定表示中の期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特図確定中処理が起動される。また、確定表示中の期間が経過した場合には、開閉実行モードへの移行が発生しない状況では特図特電カウンタの数値情報を初期化(すなわち「0」クリア)し、開閉実行モードへの移行が発生する状況では特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図確定中処理に対応したものから特電開始処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA3である場合にはステップS309の特電開始処理にジャンプする。特電開始処理では、開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを音光制御装置82に送信する。また、特電開始処理では、開閉実行モードのオープニング期間が経過したか否かを判定する。オープニング期間が経過していない場合には特電開始処理にて待機するのではなく本特電開始処理を終了する。したがって、開閉実行モードのオープニング演出が開始された後は、オープニング期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電開始処理が起動される。また、オープニング期間が経過した場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電開始処理に対応したものから特電開放中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA4である場合にはステップS310の特電開放中処理にジャンプする。特電開放中処理では、1のラウンド遊技を開始させるとともに、当該ラウンド遊技の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立していない場合には特電開放中処理にて待機するのではなく、上記終了条件の成立を監視するための処理を実行した後に本特電開放中処理を終了する。上記終了条件が成立している場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電開放中処理に対応したものから特電閉鎖中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA5である場合にはステップS311の特電閉鎖中処理にジャンプする。特電閉鎖中処理では、1のラウンド遊技を終了させる処理を実行する。また、ラウンド遊技間のインターバル期間においては、インターバル期間が経過したか否かを判定する。インターバル期間が経過していない場合には特電閉鎖中処理にて待機するのではなく本特電閉鎖中処理を終了する。したがって、インターバル期間が開始された場合には当該期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電閉鎖中処理が起動される。また、インターバル期間が経過した場合には、特図特電カウンタの数値情報を1減算することで、当該カウンタの数値情報を特電閉鎖中処理に対応したものから特電開放中処理に対応したものに更新する。
一方、最後のラウンド遊技に対する特電閉鎖中処理では1のラウンド遊技を終了させる処理を実行した後に、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電閉鎖中処理に対応したものから特電終了処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA6である場合にはステップS312の特電終了処理にジャンプする。特電終了処理では、開閉実行モードが終了されることを示すエンディングコマンドを音光制御装置82に送信する。また、特電終了処理では、開閉実行モードのエンディング期間が経過したか否かを判定する。エンディング期間が経過していない場合には特電終了処理にて待機するのではなく本特電終了処理を終了する。したがって、開閉実行モードのエンディング演出が開始された後は、エンディング期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電終了処理が起動される。また、エンディング期間が経過した場合には、開閉実行モード後の遊技状態(当否抽選モード及びサポートモード)を設定するための処理を実行した後に、特図特電カウンタの数値情報を初期化することで、当該カウンタの数値情報を特電終了処理に対応したものから特図変動開始処理に対応したものに更新する。
<数値情報の取得に関して不正を施す行為に対する対策>
ここで、本パチンコ機10では、大当たり乱数カウンタC1が所定の数値情報となっていることを不正に読み取り、さらにその読み取り結果に基づき、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が大当たりに対応した数値情報となったタイミングで、作動口33,34への入賞が発生したかのような状態とすることで、不正に開閉実行モードへの移行を発生させようとする行為が想定される。以下、当該不正行為を阻止するための構成について説明する。
当該不正行為の対策についての構成の説明に先立ち、上記不正行為がどのように行われるのかについて、図11を参照しながら説明する。図11は、MPU102において当該MPU102外部から信号を入力する場合の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図11に示すように、MPU102には、当該MPU102外部から信号を受信するとともに、当該MPU102外部に信号を送信するために、入出力ポート102aが設けられている。入出力ポート102aには、所定数(具体的には8個)の端子が設けられており、MPU102内のレジスタに設けられた所定のフラグの状態に応じて、入出力ポート102aが入力用の状態と出力用の状態とに切り換えられる。
入出力ポート102aを入力用の状態とした状況において、MPU102では、各種信号を当該MPU102外部から受信する。この信号の種類は、既に説明したとおりであり、停電監視基板105から停電発生の有無に対応した信号を受信し、各種入賞検知センサ106a〜106h(図6参照)のそれぞれから入賞検知結果に対応した信号を受信し、さらに磁石検知センサ109から磁気の検知結果に対応した信号を受信する。また、これら以外にも信号を受信する。そして、この入力対象となっている信号の種類の数は、入出力ポート102aに設けられた端子数よりも多くなっている。
これに対応させて主制御基板101には、第1ポート用ドライバ101aと第2ポート用ドライバ101bとが設けられており、入力対象となっている信号は各ポート用ドライバ101a,101bに入力される構成となっている。第1ポート用ドライバ101aに入力される信号の種類の数は、入出力ポート102aの端子数以下となっており、さらに第2ポート用ドライバ101bに入力される信号の種類の数も、入出力ポート102aの端子数以下となっている。
この場合、第1ポート用ドライバ101aに対しては、第1信号経路LN1を通じて停電監視基板105が電気的に接続されており、停電監視基板105からの停電信号(停電を検知していない場合はHI及びLOWのうち一方であり、停電を検知している場合にはHI及びLOWのうち他方である)は第1ポート用ドライバ101aに入力される。また、第2ポート用ドライバ101bに対しては、第2信号経路LN2を通じて磁石検知センサ109が電気的に接続されており、磁石検知センサ109からの磁石検知信号(磁気を検知していない場合にはHI及びLOWのうち一方であり、磁気を検知している場合にはHI及びLOWのうち他方である)は第2ポート用ドライバ101bに入力される。
第1ポート用ドライバ101a及び第2ポート用ドライバ101bは、第3信号経路LN3を通じて入出力ポート102aに対して電気的に接続されている。この場合、第3信号経路LN3は、第1ポート用ドライバ101aから続く信号経路と第2ポート用ドライバ101bから続く信号経路とが途中位置で合流するとともに、その合流後の信号経路が入出力ポート102aに接続されてなる。
また、MPU102は、上記第3信号経路LN3とは異なる第4信号経路LN4を通じて第1ポート用ドライバ101aと電気的に接続されているとともに、上記第3信号経路LN3とは異なる第5信号経路LN5を通じて第2ポート用ドライバ101bと電気的に接続されている。MPU102から第4信号経路LN4を通じて第1ポート用ドライバ101aに信号出力がなされている場合には、MPU102にて受信する対象の信号が第1ポート用ドライバ101aに対して接続されている信号出力元からの信号となる。一方、MPU102から第5信号経路LN5を通じて第2ポート用ドライバ101bに信号出力がなされている場合には、MPU102にて受信する対象の信号が第2ポート用ドライバ101bに対して接続されている信号出力元からの信号となる。
上記のような構成において、大当たり乱数カウンタC1が所定の数値情報となっていることを不正に読み取る場合、例えば不正装置Aを第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5のそれぞれに対して電気的に接続することで、MPU102が第1ポート用ドライバ101aを通じて信号を受信している状態、及びMPU102が第2ポート用ドライバ101bを通じて信号を受信している状態のいずれであるかを特定可能とする。ちなみに、主制御装置81の外部に存在している不正装置Aを第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5に対して電気的に接続する場合には、主制御装置81の基板ボックス83に不正に形成した孔又は基板ボックス83に形成された通気孔を通じて不正な接続が行われる。
この場合に、上述したタイマ割込み処理(図9)では、抽選用乱数更新処理(ステップS202)を間に挟むようにして、停電情報記憶処理(ステップS201)と遊技停止判定処理(ステップS205)とが存在しており、上記のように不正装置Aを電気的に接続した場合には、第4信号経路LN4を通じて信号出力が行われた状態と第5信号経路LN5を通じて信号出力が行われた状態との間の時間を読み取ることで、抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間を把握することが可能となる。
抽選用乱数更新処理では、既に説明したとおり、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の更新処理が実行されるが、当該数値情報の更新に際しては、
1.数値情報が次の順番の数値情報となるように数値情報を1加算するだけの場合
2.数値情報が次の順番の数値情報となるように数値情報を1加算した結果が最大値を超えている場合に最小値にクリアする場合
3.数値情報が次の順番の数値情報となるように数値情報を1加算した結果が、今回の数値情報の更新周回における初期値となっている場合に第1初期値カウンタCN1から初期値を新たに取得して設定する場合
という1.〜3.の3種類の更新態様が存在する。
これら各更新態様に要する処理時間は相違している。具体的には、上記1.<上記2.<上記3.の順番で処理時間が長くなる。したがって、上記1.〜3.のいずれが実行されるかによって、停電情報記憶処理(ステップS201)が実行されてから遊技停止判定処理(ステップS205)が実行されるまでに要する処理時間も変動することとなる。
このような事情においては、上記のように不正装置Aにて抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間が把握されると、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の更新処理が上記1.〜3.のうちいずれについて実行されているのかを特定することが可能となる。特に、上記2.及び上記3.の場合、上記1.の場合の処理時間と大きく相違しているため、少なくとも上記1.以外が実行されていることを容易に特定することが可能となる。
上記2.であることが特定された場合には、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値である「0」となっていることが特定されたこととなる。そうすると、主制御装置81のROM103を不正取得などすることによって、大当たり当選となる数値情報の種類と大当たり乱数カウンタC1の更新周期を事前に把握しておけば、上記のように大当たり乱数カウンタC1の数値情報が「0」となるタイミングを取得できれば、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が大当たり当選に対応した数値情報となるタイミングで、作動口33,34の入賞検知センサが入賞を検知したとMPU102に特定させることが可能となる。この場合、不正に大当たり当選が発生させられてしまう。なお、不正装置Aを作動口33,34の入賞検知センサとMPU102との間の信号経路に電気的に接続させておくことで、上記タイミングで作動口33,34の入賞検知センサが入賞を検知したとMPU102に特定させることが可能となる。
以下、上記不正行為の対策となる構成を複数パターン説明する。
<第1のパターン>
先ず、上記不正行為の対策となる第1のパターンの構成について説明する。
図12は、本第1のパターンにおける抽選用乱数更新処理(ステップS202)を示すフローチャートである。
抽選用乱数更新処理では、先ずステップS401にて、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を定期的に更新するための大当たり乱数更新処理を実行する。当該大当たり乱数更新処理の詳細は、後に説明する。
またステップS402では、大当たり種別カウンタC2の数値情報を定期的に更新するための大当たり種別更新処理を実行し、ステップS403では、リーチ乱数カウンタC3の数値情報を定期的に更新するためのリーチ乱数更新処理を実行し、ステップS404では、電役乱数カウンタC4の数値情報を定期的に更新するための電役乱数更新処理を実行する。これらステップS402〜ステップS404の処理内容の詳細は、上記ステップS202にて説明した処理内容の通りである。その後、本抽選用乱数更新処理を終了する。
次に、図13(a)のフローチャートを参照しながら、大当たり乱数更新処理を説明する。
先ずステップS501では、大当たり乱数カウンタC1に保持されている数値情報をMPU102のレジスタに読み出し、ステップS502にて、その読み出した数値情報を次の数値情報となるように更新すべく1加算する。その後、ステップS503にて、ステップS502にて更新した結果の数値情報が、大当たり乱数カウンタC1の最大値(具体的には「599」)を超えているか否かを判定する(具体的には「600」以上となっているか否かを判定する)。
最大値を超えていない場合(ステップS503:NO)には、ステップS504にて時間調整用処理(又は遅延処理)を実行する一方、最大値を超えている場合(ステップS503:YES)には、ステップS505にて上記ステップS502にて更新した数値情報を最小値の数値情報、具体的には「0」に設定する。
ここで、上記ステップS504の時間調整用処理は、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を更新順序に従って1個分更新する場合、すなわち大当たり乱数カウンタC1の数値情報を1加算する場合に要する処理時間が、数値情報を更新順序に従って1個分更新した後に数値範囲の一方の境界を超えた数値情報を他方の境界に設定する場合、すなわち大当たり乱数カウンタC1の数値情報を最小値である「0」に設定する場合に要する処理時間よりも短い構成において、前者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を後者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間に近付けるための処理である。より詳細には、前者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を、後者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と同一又は略同一とするための処理である。
上記時間調整用処理の具体的な内容を、MPU102のレジスタに設けられたプログラムカウンタとの関係で説明する。図13(b)はプログラムカウンタとの関係で時間調整用処理の内容を説明するための説明図である。
図13(b)に示すように、大当たり乱数更新処理が起動された状態においては、プログラムカウンタのデータは「m」となっている。この場合、MPU102は、命令1を実行することで、上記ステップS501の処理を実行する。当該命令1の実行が完了すると、プログラムカウンタのデータが1加算されて「m+1」となる。この場合、MPU102は、命令2を実行することで、上記ステップS502の処理を実行する。
当該命令2の実行が完了すると、プログラムカウンタのデータが1加算されて「m+2」となる。この場合、MPU102は、条件付きジャンプ命令JRを実行することで、上記ステップS503の判定処理を実行する。
条件付きジャンプ命令JRにて指定されている条件を満たしている場合には、プログラムカウンタのデータを「n」とするジャンプ命令JPを実行する。これにより、MPU102は、プログラムカウンタのデータが「n」であることに対応した命令4をROM103から読み出し、当該命令4を実行する。この場合、上記ステップS505の処理を実行する。その後、プログラムカウンタのデータが1加算されて「n+1」となる。この場合、MPU102は、プログラムカウンタのデータを「m+14」とするジャンプ命令JP1を実行する。これにより、その後は命令3以降の処理、すなわちステップS506以降の処理を実行する。
上記のように数値情報が最小値に設定される場合、先ずプログラムカウンタの書き換えを命令として実行することで、プログラムをROM103から読み出す場合におけるアドレスをそれまでの順番に従ったアドレスとは異なるアドレスに変更させる必要がある。かかる処理は、命令の読み出しに対して何も処理を実行することなくプログラムカウンタがそれまでの順番に従って単純に1加算されるだけの場合に要する時間、すなわちNOPの場合に要する時間をTとした場合においてp×Tとなる。また、ジャンプした先の命令(ステップS505)を実行する必要がある。かかる処理に要する時間は、q×Tとなる。また、当該命令を実行した後に、再度、ジャンプ命令を実行して、プログラムをROM103から読み出す場合におけるアドレスをそれまでの順番に従ったアドレスとは異なるアドレスに変更させる必要がある。かかる処理に要する時間は、r×Tとなる。つまり、ステップS503にて肯定判定をして、ステップS505の処理を実行した後に、ステップS506の処理に移行するまでに要する時間は、(p+q+r)×Tとなる。
その一方、条件付きジャンプ命令JRにて指定されている条件を満たしていない場合には、プログラムカウンタのデータが1加算されて「m+3」となる。この場合、命令としてはNOPが設定されているため、何も処理を実行しない。その後、プログラムカウンタのデータが順次1加算される度にNOPが読み出されることで、何も処理を実行しない状態が継続される。つまり、プログラムカウンタのデータが「m+13」となるまでは、MPU102では何も処理が実行されることなく単純にプログラムカウンタのデータが1加算されていく。そして、プログラムカウンタのデータが「m+14」になることで、ステップS506の処理に移行する。
上記プログラムカウンタのデータが「m+3」〜「m+13」がステップS504の時間調整用処理に該当する。つまり、時間調整用処理は、遊技を進行させる場合にMPU102にて参照されることとなるデータについての設定処理が実行されない状態で、換言すれば、MPU102から送信される信号の内容に影響を与えない状態で、プログラムカウンタのデータを単に1加算していくことを繰り返す処理となっている。そして、当該時間調整用処理によって、ステップS503にて否定判定をして、ステップS506の処理に移行するまでに要する時間が、上記(p+q+r)×Tと同一となる。
詳細には、ステップS503にて否定判定をしてステップS504に移行するには、プログラムカウンタのデータを1加算する必要があるため、Tの時間を要する。したがって、ステップS504では、プログラムカウンタの「m+3」〜「m+13」の命令を実行することで、(p+q+r−1)×T分の時間に亘って処理の進行が待機されることとなる(なお、この時間には、ステップS504からステップS506に移行するのに必要な時間が含まれる)。
図13(a)の説明に戻り、ステップS504又はステップS505の処理を実行した後は、ステップS506にて、MPU102にて読み出されている上記数値情報が、大当たり乱数カウンタC1の今回の更新周回において初期値となった数値情報と同一であるか否かを判定する。具体的には、RWM104に記憶されている今回の更新周回における初期値の情報を読み出し、ステップS502の処理後の数値情報又はステップS505の処理後の数値情報がその初期値の情報と同一であるか否かを判定する。
ステップS506にて否定判定をした場合には、ステップS507にて、ステップS502の処理後の数値情報又はステップS505の処理後の数値情報を大当たり乱数カウンタC1に上書きすることで設定する。その後、本大当たり乱数更新処理を終了する。
一方、ステップS506にて肯定判定をした場合には、ステップS508にて、第1初期値カウンタCN1に保持されている現状の数値情報を読み出し、ステップS509にて、その数値情報を、ステップS502の処理後の数値情報又はステップS505の処理後の数値情報に対して上書きするとともに、RWM104における更新周回の初期値を記憶するためのエリアに上書きする。その後、ステップS507にて、ステップS509の処理後の数値情報を大当たり乱数カウンタC1に上書きすることで設定した後に、本大当たり乱数更新処理を終了する。
上記第1のパターンの構成によれば、大当たり乱数カウンタC1の数値情報をその数値範囲の一方の境界である最大値に向けて順次更新していく場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報がその数値範囲の一方の境界を超えたことに基づき他方の境界である最小値に当該数値情報を設定する場合における大当たり乱数更新処理の処理時間とが、MPU102の外部から識別しづらく又は識別不可となる。したがって、上記不正装置Aを利用して、ステップS201〜ステップS205に要する処理時間が不正に読み出されたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報がその数値範囲の一方の境界となったことを特定しづらく又は特定不可となる。よって、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の不正読み取りに基づき不正な利益を得ようとしても、それを阻止することが可能となる。
特に、本構成によれば、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合の処理時間が、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が一方の境界に向けて順次更新されていく場合の処理時間に対して特定しづらく又は特定不可となるため、上記不正装置Aを利用して、ステップS201〜ステップS205に要する処理時間が不正に読み出されたとしても、その際の大当たり乱数カウンタC1の数値情報がいずれであるかを特定することができない。よって、上記不正行為を実質的に無効化させることが可能となる。
また、大当たり乱数カウンタC1の数値情報をその数値範囲の一方の境界である最大値に向けて順次更新していく場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を長くするだけで、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を更新するための具体的な手法は同一であるため、従来の処理手法を採用しながら上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
また、時間調整用処理では、NOPの命令を複数回読み出すだけであるため、その処理時間が変動しづらい。したがって、MPU102における処理時間の変動を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。また、遊技の進行内容への影響を抑えながら、遅延時間を付加することが可能となる。さらにまた、NOPは、MPU102が実行する命令において最もステート数が小さい最小単位の命令であるため、パチンコ機10の設計段階において上記各処理時間の均一化を図る上で設計し易くなる。
なお、第1のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(1−1)NOPの命令を読み出してその読み出しに対して何も処理を実行することなくプログラムカウンタの数値情報が1加算される場合における処理時間Tを基準として、時間調整用処理(ステップS504)が設定されている構成に限定されることはなく、クロック回路の1周期分に対応した1ステートの時間T’を基準として、時間調整用処理が設定されている構成としてもよい。
具体的には、ステップS503にて肯定判定をして、ステップS505の処理を実行した後に、ステップS506の処理に移行するまでに要する時間が、s×T’である場合、時間調整用処理に要する時間は、s×T’−Tに設定する必要がある。この場合に、s×T’が、NOPの命令を読み出してその読み出しに対して何も処理を実行することなくプログラムカウンタの数値情報が1加算される場合における処理時間Tの倍数ではない場合が考えられる。当該構成においては、時間調整用処理においてNOPのみが繰り返される構成とした場合、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が一方の境界に向けて順次更新されていく場合の処理時間とを同一とすることはできないが、両者の時間差を低減させることは可能となる。
その一方、s×T’が、上記処理時間Tの倍数ではない構成において、時間調整用処理にて設定される命令の少なくとも一部としてNOP以外の命令が設定されていることにより、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が一方の境界に向けて順次更新されていく場合の処理時間とを同一とする構成としてもよい。但し、このNOP以外の命令は、遊技を進行させる場合にMPU102にて参照されることとなるデータについての設定処理が行われないものであること、すなわちMPU102から送信される信号の内容に影響を与えないものであることが好ましい。例えば、命令としてプログラムカウンタのデータを現状のデータに再設定する処理や、汎用レジスタであってMPU102のその後の処理に影響を与えないエリアに「1」を設定する処理などが考えられる。
なお、このようにNOP以外の命令が設定されている構成を、上記第1のパターンのように、ステップS503にて肯定判定をしてステップS506の処理に移行する場合に要する処理時間が、上記処理時間Tの倍数である構成に適用してもよい。
(1−2)処理時間の均等化を図るべく、ステップS503にて否定判定をしてステップS506の処理に移行する場合に第1時間調整用処理を実行するとともに、ステップS503にて肯定判定をしてステップS506の処理に移行する場合に第2時間調整用処理を実行する構成とし、さらにそれら第1時間調整用処理と第2時間調整用処理とで遅延時間を相違させる構成としてもよい。
(1−3)時間調整用処理がステップS503にて否定判定をした後であって、ステップS506に移行する前に実行されるのではなく、ステップS506の後であって、ステップS205の前までに実行される構成としてもよい。この場合、例えばステップS503にて否定判定をした場合には、それに対応したフラグに「1」をセットしておき、ステップS507の処理の実行後であってステップS203の処理に移行する前、ステップS203の途中、ステップS203とステップS204との間、又はステップS204とステップS205との間にて、上記フラグに「1」がセットされていることを条件として時間調整用処理を実行する構成としてもよい。この場合、当該フラグのセットに要する時間及びフラグの判定に要する時間を考慮して、上記時間調整用処理にて遅延させる時間を設定する必要がある。
<第2のパターン>
次に、上記不正行為の対策となる第2のパターンの構成について説明する。なお、抽選用乱数更新処理(ステップS202)の処理構成は、上記第1のパターンの場合と同様である。
図14(a)は、本第2のパターンにおける大当たり乱数更新処理を示すフローチャートである。
先ずステップS601では、大当たり乱数カウンタC1に保持されている数値情報をMPU102のレジスタに読み出し、ステップS602にて、その読み出した数値情報を次の数値情報となるように更新すべく1加算する。その後、ステップS603にて、ステップS602にて更新した結果の数値情報が、最大値以下であるか否かを判定する(具体的には「599」以下となっているか否かを判定する)。
最大値以下である場合(ステップS603:YES)には、ステップS604及びステップS605の処理を実行することなくステップS606に進む。一方、最大値を超えている場合(ステップS603:NO)には、ステップS604に進み、上記ステップS505と同様に、上記ステップS602にて更新した数値情報を最小値の数値情報、具体的には「0」に設定する。
ここで、本パターン2では、大当たり乱数カウンタC1の数値情報をその数値範囲の一方の境界である最大値に向けて順次更新していく場合には、ステップS603にて肯定判定をする。つまり、条件付きジャンプ命令JRを読み出して実行した結果、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行する。その一方、大当たり乱数カウンタC1の数値情報がその数値範囲の一方の境界を超えたことに基づき他方の境界である最小値に当該数値情報を設定する場合には、ステップS603にて否定判定をする。つまり、条件付きジャンプ命令JRを読み出して実行した結果、ジャンプ命令を実行することなくプログラムカウンタのデータが1加算される。
この場合に、ステップS603にて肯定判定をしてステップS606にそのまま移行する場合に要する処理時間は、ステップS603にて否定判定をするとともにステップS604を完了する場合に要する処理時間よりも長くなっている。したがって、ステップS604の実行後であって、ステップS606の実行前のタイミングに、ステップS605の時間調整用処理が設定されている。この時間調整用処理によって、ステップS603に否定判定をしてステップS604を実行した後にステップS606に移行するまでに要する処理時間が遅延され、その遅延された結果の処理時間が、ステップS603にて肯定判定をしてステップS606にそのまま移行する場合に要する処理時間と同一又は略同一となるように設定される。
ちなみに、上記時間調整用処理の処理内容は、ステップS603にて肯定判定をしてステップS606に移行する場合の処理時間と、ステップS603にて否定判定をしてステップS604の処理を完了するのに要する処理時間及びステップS605からステップS606に移行するのに要する処理時間との時間差を埋めるように、上記ステップS504と同様にNOPの命令を読み出して処理を実行しないことを繰り返す構成としてもよく、NOP以外であって遊技を進行させる場合にMPU102にて参照されることとなるデータについての設定処理が実行されない命令を実行する構成としてもよい。
ステップS606〜ステップS609の各処理内容は、上記ステップS506〜ステップS509の各処理内容と同一であるため説明を省略する。
上記第2のパターンの構成によれば、ステップS603の判定処理の結果、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行することで、プログラムをROM103から読み出す場合におけるアドレスをそれまでの順番に従ったアドレスとは異なるアドレスに変更させる対象が、ステップS602における更新後の数値情報をそのままにする側となる。一方、ステップS603の判定処理の結果、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行することなく、プログラムをROM103から読み出す場合におけるアドレスをそれまでの順番に従ったアドレスとする対象が、ステップS602における更新後の数値情報を最小値に書き換える側となる。そして、これら両処理の流れのうち、処理時間が短くなる側である後者の側に対して時間調整用処理が実行される。これにより、大当たり乱数更新処理の各処理回に要する時間の短縮化を図りながら、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の不正読み取りに基づき不正な利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
さらにまた、本構成によれば、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行するのに要する処理時間を利用して、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を最小値に設定する場合の処理時間と、当該数値情報を順次更新していく場合の処理時間との時間差を低減する構成であるため、それだけ時間調整用処理のために設定するNOPの繰り返し回数を抑えられる。よって、プログラム容量の削減を図りながら、上記のような不正行為を阻止することが可能となる。
なお、第2のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(2−1)ステップS603にて肯定判定をして、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行した後に、ステップS606に移行する場合に要する処理時間が、ステップS603にて否定判定をして、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行することなくステップS604を実行した後にステップS606に移行する場合に要する処理時間よりも短い場合には、図14(b)に示すように、ステップS603にて肯定判定をしてプログラムカウンタのジャンプ命令を実行した先側にてステップS605の時間調整用処理を実行し、さらにプログラムカウンタのジャンプ命令を実行してステップS606に移行する構成としてもよい。この場合であっても、大当たり乱数更新処理の各処理回に要する時間の短縮化を図りながら、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の不正読み取りに基づき不正な利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
(2−2)ステップS603にて肯定判定をして、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行した後に、そのままステップS606に移行する場合に要する処理時間が、ステップS603にて否定判定をして、プログラムカウンタのジャンプ命令を実行することなくステップS604を実行した後にステップS606に移行する場合に要する処理時間と同一又は略同一である構成においては、ステップS605の時間調整用処理を実行しないようにしてもよい。
(2−3)上記(1−2)と同様の構成を上記第2のパターンの構成に対して適用してもよく、上記(1−3)と同様の構成を上記第2のパターンの構成に対して適用してもよい。
<第3のパターン>
次に、上記不正行為の対策となる第3のパターンの構成について説明する。なお、抽選用乱数更新処理(ステップS202)の処理構成は、上記第1のパターンの場合と同様である。
図15は第3のパターンにおける大当たり乱数更新処理を示すフローチャートである。
先ずステップS701では、大当たり乱数カウンタC1に保持されている数値情報をMPU102のレジスタに読み出し、ステップS702にて、その読み出した数値情報を次の数値情報となるように更新すべく1加算する。その後、ステップS703にて、ステップS702にて更新した結果の数値情報が、大当たり乱数カウンタC1の最大値(具体的には「599」)を超えているか否かを判定する(具体的には「600」以上となっているか否かを判定する)。
最大値を超えていない場合(ステップS703:NO)には、そのままステップS706に進む。この場合、プログラムカウンタのジャンプ命令は実行されず、プログラムカウンタのデータが1加算されることでステップS706に移行する。
一方、最大値を超えている場合(ステップS703:YES)には、ステップS704にて上記ステップS702にて更新した数値情報を最小値の数値情報、具体的には「0」に設定する。その後、ステップS705にて時間調整用処理を実行した後に、ステップS706に進む。この時間調整用処理の内容については後に説明する。ちなみに、ステップS704への移行及びステップS706への移行に際して、プログラムカウンタのジャンプ命令が実行される。
ステップS706では、MPU102にて読み出されている上記数値情報が、大当たり乱数カウンタC1の今回の更新周回において初期値となった数値情報と同一であるか否かを判定する。具体的には、RWM104に記憶されている今回の更新周回における初期値の情報を読み出し、ステップS702の処理後の数値情報又はステップS704の処理後の数値情報がその初期値の情報と同一であるか否かを判定する。
ステップS706にて否定判定をした場合には、ステップS707に進む。この場合、プログラムカウンタのジャンプ命令は実行されず、プログラムカウンタのデータが1加算されることでステップS707に移行する。ステップS707では、ステップS702の処理後の数値情報又はステップS704の処理後の数値情報を大当たり乱数カウンタC1に上書きすることで設定する。その後、本大当たり乱数更新処理を終了する。
一方、ステップS706にて肯定判定をした場合には、ステップS708に進む。この場合、プログラムカウンタのジャンプ命令が実行されることでステップS708に移行する。ステップS708では、第1初期値カウンタCN1に保持されている現状の数値情報を読み出し、続くステップS709にて、その数値情報をステップS702の処理後の数値情報又はステップS705の処理後の数値情報に対して上書きするとともに、RWM104における更新周回の初期値を記憶するためのエリアに上書きする。その後、ステップS707にて、ステップS709の処理後の数値情報を大当たり乱数カウンタC1に上書きすることで設定した後に、本大当たり乱数更新処理を終了する。
ここで、上記ステップS705の時間調整用処理は、大当たり乱数カウンタC1から読み出した数値情報を更新順序に従って1個分更新した後に数値範囲の一方の境界を超えた数値情報を他方の境界に設定する場合、すなわち大当たり乱数カウンタC1の数値情報を最小値である「0」に設定する場合に要する処理時間が、大当たり乱数カウンタC1から読み出した数値情報を更新順序に従って1個分更新した結果が、今回の更新周回における初期値となっている場合に新たな更新周回の初期値を大当たり乱数カウンタC1に設定する場合に要する処理時間よりも短い構成において、前者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を後者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間に近付けるための処理である。より詳細には、前者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を、後者の場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と同一又は略同一とするための処理である。
ちなみに、上記時間調整用処理の処理内容は、ステップS703にて肯定判定をしてステップS704に移行するのに要する処理時間、ステップS704の処理を完了するのに要する処理時間、ステップS705の完了後においてステップS706に移行するのに要する処理時間、及びステップS706にて否定判定をしてステップS707に移行するのに要する処理時間の和(以下、第1の時間ともいう)と、ステップS703にて否定判定をしてステップS706に移行するのに要する処理時間、ステップS706にて肯定判定をしてステップS708に移行するのに要する処理時間、ステップS708の処理を完了するのに要する処理時間、ステップS709の処理を完了するのに要する処理時間、及びステップS709の完了後においてステップS707に移行するのに要する処理時間の和(以下、第2の時間ともいう)との時間差を埋めるように、上記ステップS504と同様にNOPの命令を読み出して処理を実行しないことを繰り返す構成としてもよく、NOP以外であって遊技を進行させる場合にMPU102にて参照されることとなるデータについての設定処理が実行されない命令を実行する構成としてもよい。
上記第3のパターンの構成によれば、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を最小値に設定する場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を新たな更新周回の初期値に設定する場合における大当たり乱数更新処理の処理時間とが、MPU102の外部から識別しづらく又は識別不可となる。したがって、上記不正装置Aを利用して、ステップS201〜ステップS205に要する処理時間が不正に読み出されたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値となったことを特定しづらく又は特定不可となる。よって、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の不正読み取りに基づき不正な利益を得ようとしても、それを阻止することが可能となる。
また、本構成によれば、大当たり乱数カウンタC1の数値情報をその数値範囲の一方の境界に向けて順次更新させていく場合における大当たり乱数更新処理の処理時間を、従来の構成に比べて長時間化させることなく、上記のような不正行為を阻止することが可能となる。
なお、第3のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(3−1)上記第1の時間の方が上記第2の時間よりも長い場合には、大当たり乱数カウンタC1の数値情報として新たな更新周回の初期値が設定される場合に時間調整用処理が実行されるようにしてもよい。
(3−2)ステップS706にて、数値情報は今回の初期値と異なるか否かを判定することで、ステップS706にて否定判定をした場合、すなわちステップS706の判定処理の結果、プログラムカウンタのジャンプ命令は実行されず、プログラムカウンタのデータが1加算される場合に、ステップS708及びステップS709の処理が実行される構成においては、それに対応する上記第2の時間が、上記第1の時間と同一又は略同一となり得る。この場合には、ステップS705の時間調整用処理を実行しなてくもよい。
(3−3)上記(1−2)と同様の構成を上記第3のパターンの構成に対して適用してもよく、上記(1−3)と同様の構成を上記第3のパターンの構成に対して適用してもよい。
<第4のパターン>
次に、上記不正行為の対策となる第4のパターンの構成について説明する。
図16は、第4のパターンにおける抽選用乱数更新処理を示すフローチャートである。
先ずステップS801では、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を定期的に更新するための大当たり乱数更新処理を実行する。この場合、当該大当たり乱数更新処理は、上記第1のパターンにおける大当たり乱数更新処理(図13(a))においてステップS504の時間調整用処理が実行されない処理構成となっている。つまり、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間を、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が順次更新される場合又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間と同一又は略同一とするための処理は実行されない。
その代わりに、ステップS802〜ステップS804にて、ステップS201〜ステップS205の処理時間を不規則なものするための処理を実行する。具体的には、先ずステップS802にて、繰り返し回数の情報を取得し、MPU102のレジスタに記憶する。
この繰り返し回数の情報は、RWM104に設けられた繰り返し回数カウンタに記憶されており、この繰り返し回数カウンタは、予め定められた数値範囲内においてループするループカウンタである。この場合、当該繰り返し回数カウンタの数値範囲の最小値は「0」であるが、最小値が1以上である構成としてもよい。最小値を1以上とすることにより、ステップS802〜ステップS804の遅延処理にて確実に遅延時間が設定されることとなる。
繰り返し回数カウンタの数値情報は、上記メイン処理(図8)におけるステップS110〜ステップS115の残余処理にて更新される。この場合、当該残余処理は既に説明したとおり、非定期的に実行されるため、繰り返し回数の情報は不規則なものとなる。
なお、繰り返し回数の情報を不規則なものとする上では、上記のように繰り返し回数カウンタを用いるとともにその数値情報を残余処理にて更新する構成に限定されることはなく、MPU102の制御部とは別に動作する回路にて繰り返し回数の情報を順次更新し、ステップS802のタイミングで、その時点で保持している繰り返し回数の情報をMPU102の制御部に提供する構成としてもよい。この回路は、MPU102として1チップ化されていてもよく、MPU102とは別チップ化されていてもよい。また、リフレッシュレジスタを利用して繰り返し回数の情報を順次更新する構成としてもよい。
続くステップS803では、取得した繰り返し回数の情報を1減算するように更新し、ステップS804にて、その更新後の繰り返し回数の情報が「0」であるか否かを判定する。ステップS804にて否定判定をした場合には、ステップS803及びステップS804の処理を再度実行する一方、ステップS804にて肯定判定をした場合には、ステップS805〜ステップS807の処理を実行した後に、本抽選用乱数更新処理を終了する。ステップS805〜ステップS807の各処理内容は、上記ステップS402〜ステップS404の各処理内容と同一である。
上記のように繰り返し回数の情報を利用して、ステップS802〜ステップS804にて不規則な遅延処理が実行されることにより、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたタイミングを上記不正装置AにてステップS201〜ステップS205の処理時間を把握することで特定しようとしてもそれが行いづらくなる。
ここで、上記のように不規則な遅延処理を実行することに基づき、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたタイミングを特定しづらくする上では、当該遅延処理にて選択される複数種類の遅延時間の中に、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合とは異なる態様で設定される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間との時間差以上となる遅延時間が含まれていることが好ましい。
より好ましくは、遅延処理にて選択される複数種類の遅延時間の中に、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最大値に向けて順次更新される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間との時間差以上となる遅延時間が含まれている構成である。
また、当該構成に代えて又は加えて、遅延処理にて選択される複数種類の遅延時間の中に、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される場合における大当たり乱数更新処理の処理時間との時間差以上となる遅延時間が含まれている構成としてもよい。これにより、上記不正装置AにてステップS201〜ステップS205の処理時間を不正に読み取ったとしても、大当たり乱数カウンタC1の最小値の設定及び大当たり乱数カウンタC1の初期値の設定のうちいずれが実行されたかを特定することができなくなる。
なお、第4のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(4−1)ステップS802〜ステップS804にて示す不規則な遅延処理は、ステップS801の処理の直後に実行されることは必須ではなく、ステップS201〜ステップS205の範囲内において実行されるのであれば任意である。例えば、抽選用乱数更新処理の開始に際して上記不規則な遅延処理が実行されてもよく、抽選用乱数更新処理の終了に際して上記不規則な遅延処理が実行されてもよい。
<第5のパターン>
次に、上記不正行為の対策となる第5のパターンの構成について説明する。なお、抽選用乱数更新処理(ステップS202)の処理構成は、上記第1のパターンの場合と同様である。
図17(a)は第5のパターンにおける大当たり乱数更新処理を示すフローチャートであり、図17(b)は第5のパターンにおけるリーチ乱数更新処理を示すフローチャートであり、図17(c)は第5のパターンにおける電役乱数更新処理を示すフローチャートである。
図17(a)に示すように、本パターンの大当たり乱数更新処理では、上記第1のパターンにおける大当たり乱数更新処理(図13(a))においてステップS504の時間調整用処理が実行されない処理構成となっている。つまり、ステップS901〜ステップS903では、上記ステップS501〜ステップS503と同様の処理を実行し、ステップS904では上記ステップS505と同様の処理を実行し、ステップS905〜ステップS908では上記ステップS506〜ステップS509と同様の処理を実行する。
図17(b)に示すように、本パターンのリーチ乱数更新処理では、先ずステップS911にて、リーチ乱数カウンタC3に保持されている数値情報をMPU102のレジスタに読み出し、ステップS912にて、その読み出した数値情報を次の数値情報となるように更新すべく1加算する。その後、ステップS913にて、ステップS912にて更新した結果の数値情報が、リーチ乱数カウンタC3の最大値(具体的には「238」)を超えているか否かを判定する(具体的には「238」以上となっているか否かを判定する)。
最大値を超えていない場合(ステップS913:NO)には、そのままステップS914に進む。この場合、プログラムカウンタのジャンプ命令は実行されず、プログラムカウンタのデータが1加算されることでステップS914に移行する。ステップS914では、上記ステップS912の処理後の数値情報を、リーチ乱数カウンタC3に上書きすることで設定する。その後、本リーチ乱数更新処理を終了する。
最大値を超えている場合(ステップS913:YES)には、ステップS915にて、上記ステップS912において更新した数値情報を最小値の数値情報、具体的には「0」に設定する。続くステップS916にて、リーチ側の時間調整用処理を実行する。当該時間調整用処理の処理内容については、後に説明する。その後、ステップS914にて、上記ステップS915の処理後の数値情報を、リーチ乱数カウンタC3に上書きすることで設定した後に、本リーチ乱数更新処理を終了する。ちなみに、ステップS915への移行及びステップS914への移行に際して、プログラムカウンタのジャンプ命令が実行される。
図17(c)に示すように、本パターンの電役乱数更新処理では、先ずステップS921にて、電役乱数カウンタC4に保持されている数値情報をMPU102のレジスタに読み出し、ステップS922にて、その読み出した数値情報を次の数値情報となるように更新すべく1加算する。その後、ステップS923にて、ステップS922にて更新した結果の数値情報が、電役乱数カウンタC4の最大値(具体的には「250」)を超えているか否かを判定する(具体的には「250」以上となっているか否かを判定する)。
最大値を超えていない場合(ステップS923:NO)には、そのままステップS926に進む。この場合、プログラムカウンタのジャンプ命令は実行されず、プログラムカウンタのデータが1加算されることでステップS926に移行する。
最大値を超えている場合(ステップS923:YES)には、ステップS924にて、上記ステップS922において更新した数値情報を最小値の数値情報、具体的には「0」に設定する。続くステップS925にて、電役側の時間調整用処理を実行する。当該時間調整用処理の処理内容については、後に説明する。その後、ステップS926に進む。ちなみに、ステップS924への移行及びステップS926への移行に際して、プログラムカウンタのジャンプ命令が実行される。
ステップS926では、MPU102にて読み出されている上記数値情報が、電役乱数カウンタC4の今回の更新周回において初期値となった数値情報と同一であるか否かを判定する。具体的には、RWM104に記憶されている今回の更新周回における初期値の情報を読み出し、ステップS922の処理後の数値情報又はステップS925の処理後の数値情報がその初期値の情報と同一であるか否かを判定する。
ステップS926にて否定判定をした場合には、ステップS927にて、ステップS922の処理後の数値情報又はステップS925の処理後の数値情報を電役乱数カウンタC4に上書きすることで設定する。その後、本大当たり乱数更新処理を終了する。
一方、ステップS926にて肯定判定をした場合には、ステップS928にて、第3初期値カウンタCN3に保持されている現状の数値情報を読み出し、ステップS929にて、その数値情報をステップS922の処理後の数値情報又はステップS925の処理後の数値情報に対して上書きするとともに、RWM104における更新周回の初期値を記憶するためのエリアに上書きする。その後、ステップS927にて、ステップS929の処理後の数値情報を電役乱数カウンタC4に上書きすることで設定した後に、本大当たり乱数更新処理を終了する。
上記ステップS916のリーチ側の時間調整用処理は、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定されずに、リーチ乱数カウンタC3の数値情報が初期値に設定される場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間を、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定され、リーチ乱数カウンタC3の数値情報が初期値に設定されない場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間に近付けるために、リーチ乱数カウンタC3の数値情報が初期値に設定される場合におけるリーチ乱数更新処理の処理時間を遅延させるための処理である。より詳細には、前者の処理時間と後者の処理時間とを同一又は略同一とするための処理である。
また、上記ステップS925の電役側の時間調整用処理は、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定されずに、電役乱数カウンタC4の数値情報が初期値に設定される場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間を、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定され、電役乱数カウンタC4の数値情報が初期値に設定されない場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間に近付けるために、電役乱数カウンタC4の数値情報が初期値に設定される場合における電役乱数更新処理の処理時間を遅延させるための処理である。より詳細には、前者の処理時間と後者の処理時間とを同一又は略同一とするための処理である。
ここで、大当たり乱数カウンタC1は、RWM104において2バイトが設定されているのに対して、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4はそれぞれ、RWM104において1バイトが設定されている。この場合に、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4の数値情報を最小値に設定する場合には、それらの「0」クリア処理が実行されるが、その「0」クリア処理は、ビット単位ではなくバイト単位で実行される。そうすると、大当たり乱数カウンタC1を最小値に設定するための処理(ステップS904)の処理時間は、リーチ乱数カウンタC3を最小値に設定するための処理(ステップS915)の処理時間よりも長く、同様に、電役乱数カウンタC4を最小値に設定するための処理(ステップS924)の処理時間よりも長い。これは大当たり種別カウンタC2についても同様であり、大当たり種別カウンタC2もRWM104において1バイトが設定されているため、大当たり乱数カウンタC1を最小値に設定するための処理の処理時間は、大当たり種別カウンタC2を最小値に設定するための処理の処理時間よりも長い。したがって、上記不正装置Aを利用してステップS201〜ステップS205の処理時間を読み取ることで、抽選用乱数更新処理(ステップS202)にて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電役乱数カウンタC4のいずれか1つが最小値への設定がなされた場合、それが大当たり乱数カウンタC1に対するものであるか否かを特定することが可能となってしまう。
これに対して、上記のようにリーチ側の時間調整用処理(ステップS916)及び電役側の時間調整用処理(ステップS925)が実行されることにより、抽選用乱数更新処理(ステップS202)にて、大当たり乱数カウンタC1のみが最小値への設定がなされた場合、リーチ乱数カウンタC3のみが最小値への設定がなされた場合、及び電役乱数カウンタC4のみが最小値への設定がなされた場合のいずれであるかを、ステップS201〜ステップS205の処理時間を不正に読み取ったとしても、特定することができなくなる。よって、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の不正読み取りに基づき不正な利益を得ようとしても、それを阻止することが可能となる。
ちなみに、上記各時間調整用処理の具体的な処理内容は、処理時間の均一化を図る同士の処理時間の時間差を埋めるように、上記ステップS504と同様にNOPの命令を読み出して処理を実行しないことを繰り返す構成としてもよく、NOP以外であって遊技を進行させる場合にMPU102にて参照されることとなるデータについての設定処理が実行されない命令を実行する構成としてもよい。
なお、第5のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(5−1)リーチ側の時間調整用処理及び電役側の時間調整用処理のうち一方のみが実行される構成としてもよい。
(5−2)大当たり種別更新処理においても、大当たり種別カウンタC2の数値情報を最小値に設定する場合には、種別側の時間調整用処理を実行するようにしてもよい。この場合、当該種別側の時間調整用処理を、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定されずに、大当たり種別カウンタC2の数値情報が初期値に設定される場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間を、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定され、大当たり種別カウンタC2の数値情報が初期値に設定されない場合におけるステップS201〜ステップS205の処理時間に近付けるために、大当たり種別カウンタC2の数値情報が初期値に設定される場合における大当たり種別更新処理の処理時間を遅延させるようにすればよい。より詳細には、前者の処理時間と後者の処理時間とを同一又は略同一とするための処理として、当該種別側の時間調整用処理が設定されていればよい。このように種別側の時間調整用処理を実行する場合、リーチ側の時間調整用処理及び電役側の時間調整用処理を実行しないようにしてもよいが、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されるタイミングを特定しづらくする上では、リーチ側の時間調整用処理及び電役側の時間調整用処理のうち一方も実行される構成とすることが好ましく、それら処理の両方が実行される構成とすることがより好ましい。
(5−3)RWM104において大当たり乱数カウンタC1として割り当てられるバイト数と、RWM104においてリーチ乱数カウンタC3として割り当てられるバイト数とを同一とすることにより、上記ステップS904の処理に要する時間と、上記ステップS915の処理に要する時間とが同一又は略同一となるようにしてもよい。この場合、ステップS916の処理を実行しなくても、大当たり乱数カウンタC1のみが最小値への設定がなされた場合及びリーチ乱数カウンタC3のみが最小値への設定がなされた場合のいずれであるかを、ステップS201〜ステップS205の処理時間を不正に読み取ったとしても特定することができなくなる。なお、当該構成を、大当たり種別カウンタC2や電役乱数カウンタC4に対して適用してもよい。
(5−4)上記ステップS916の処理を実行する構成に代えて、上記ステップS915では、リーチ乱数カウンタC3を最小値に設定する処理、すなわちRWM104における該当する1バイトのエリアのクリア処理を2回実行する構成としてもよい。この場合、リーチ乱数カウンタC3を最小値に設定する場合においてクリア処理の対象となるバイト数が、大当たり乱数カウンタC1を最小値に設定する場合においてクリア処理の対象となるバイト数と同一となる。したがって、ステップS916の処理を実行しなくても、大当たり乱数カウンタC1のみが最小値への設定がなされた場合及びリーチ乱数カウンタC3のみが最小値への設定がなされた場合のいずれであるかを、ステップS201〜ステップS205の処理時間を不正に読み取ったとしても特定することができなくなる。なお、当該構成を、大当たり種別カウンタC2や電役乱数カウンタC4に対して適用してもよい。
<第6のパターン>
次に、上記不正行為の対策となる第6のパターンの構成について説明する。
当該第6のパターンでは、タイマ割込み処理の処理構成が、既に説明したタイマ割込み処理(図9)の処理構成と異なっている。図18は、本パターンにおけるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図18に示すように、本タイマ割込み処理では、先ずステップS1001にて、抽選用乱数更新処理を実行した後に、ステップS1002にて、停電情報記憶処理を実行する。その後、ステップS1003〜ステップS1023では、上記タイマ割込み処理(図9)におけるステップS203〜ステップS223と同様の処理を実行する。
つまり、本パターンでは、抽選用乱数更新処理が、停電情報記憶処理(ステップS1002)と、遊技停止判定処理(ステップS1005)との間に含まれていない。したがって、これらの処理間の処理時間が不正に読み出されたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたタイミングを特定することはできない。また、抽選用乱数更新処理は、タイマ割込み処理の1処理回の範囲内において、MPU102が入出力ポート102aを通じて入出力を行うための処理間に含まれていない。したがって、タイマ割込み処理の1処理回の範囲内において、ステップS1002とステップS1005との間以外で、一の入出力に係る処理と、その後の入出力に係る処理との間の処理時間が不正に読み取られたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたタイミングを特定することはできない。
但し、タイマ割込み処理の1処理回における一の入出力に係る処理と、次の処理回におけるそれと同一又はそれとは異なる入出力に係る処理との間の処理時間が不正に読み取られると、その処理時間に抽選用乱数更新処理が含まれてしまう。これに対して、抽選用乱数更新処理は、タイマ割込み処理において最初の入出力に係る処理よりも前のタイミングで実行されるように設定されている。つまり、メイン処理(図8)のステップS110〜ステップS115における残余処理の後であって、その後に最初に実行される入出力に係る処理(入力及び出力の少なくとも一方に係る処理)よりも前に、抽選用乱数更新処理が実行される。
既に説明したとおり、残余処理は、各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて実行の有無及び2回のタイマ割込み処理間における実行回数が不規則に変動する非定期処理であるため、所定の処理回のタイマ割込み処理が完了してから次の処理回のタイマ割込み処理にて最初の入出力に係る処理が実行されるまでの処理時間は不規則に変動することとなる。そうすると、タイマ割込み処理の1処理回における一の入出力に係る処理と、次の処理回におけるそれと同一又はそれとは異なる入出力に係る処理との間の処理時間が不正に読み取られたとしても、抽選用乱数更新処理にて大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたか否かを特定しづらくなる、又は特定不可となる。
また、本構成であれば、大当たり乱数カウンタC1が初期値に設定されたタイミング、大当たり種別カウンタC2が最小値に設定されたタイミング、大当たり種別カウンタC2が初期値に設定されたタイミング、リーチ乱数カウンタC3が最小値に設定されたタイミング、電役乱数カウンタC4が最小値に設定されたタイミング、及び電役乱数カウンタC4が初期値に設定されたタイミングについても、上記のように処理時間が不正に読み取るだけでは特定しづらい又は特定不可となる。
ちなみに、本パターンにおける抽選用乱数更新処理の処理構成は、上記第1のパターンの場合と同様である。また、大当たり乱数更新処理を含めて、上記各パターンにて説明したような時間用調整処理は実行されない。
なお、第6のパターンの構成は、以下のように変更してもよい。
(6−1)残余処理と、その後に最初に実行される入出力に係る処理との間に、抽選用乱数更新処理(すなわち大当たり乱数更新処理)が含まれる構成においては、当該抽選用乱数更新処理がタイマ割込み処理の最初のタイミングで実行されることは必須ではなく、入出力に係る処理、すなわちMPU102から入力用のドライバを選択する信号や、出力用のドライバを選択する信号が出力される処理ではないこと、MPU102から他の制御装置に向けてコマンドが出力される処理ではないこと、及びMPU102から遊技ホールの管理コンピュータに信号出力される処理ではないことを条件として、抽選用乱数更新処理よりも前に他の処理が実行される構成としてもよい。例えば、所定のデータをROM103から読み出す処理が、抽選用乱数更新処理よりも先に実行される構成としてもよい。
(6−2)図19に示すタイマ割込み処理では、先ずステップS1101にて、上記ステップS201と同様に停電情報記憶処理を実行する。その後、ステップS1102〜ステップS1120では、上記ステップS203〜ステップS221と同様の処理を実行する。そして、ステップS1121にて、抽選用乱数更新処理を実行した後に、ステップS1122にて割込み終了宣言の設定を行うとともに、ステップS1123にて割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。本処理構成の場合、所定の入出力に係る処理(ステップS1119)が実行された後に他の入出力に係る処理が実行されることなく残余処理が実行され得る構成において、当該所定の入出力に係る処理と残余処理との間で抽選用乱数更新処理が実行される。これにより、上記パターン6と同様に、タイマ割込み処理の1処理回における一の入出力に係る処理と、次の処理回におけるそれと同一又はそれとは異なる入出力に係る処理との間の処理時間が不正に読み取られたとしても、抽選用乱数更新処理にて大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたか否かを特定しづらくなる、又は特定不可となる。
(6−3)図20及び図21に示すように、定期的に最初の処理が実行される通常処理と、同じく定期的に最初の処理が実行されるタイマ割込み処理とのそれぞれに、遊技を進行させるのに必要な処理が分散して設定された処理構成において、上記第6のパターンと同様の対策を採用してもよい。
具体的には、通常処理は、メイン処理(図8)におけるステップS109の処理が実行された後に、実行される。そして、図20に示すように、ステップS1201にて上記ステップS207と同様の処理を実行し、ステップS1202〜ステップS1203にて、上記ステップS203〜ステップS204と同様の処理を実行し、ステップS1204〜ステップS1213にて、上記ステップS212〜ステップS221と同様の処理を実行する。その後、ステップS1214にて、停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。停電フラグは、タイマ割込み処理(図21)におけるステップS1302の停電情報記憶処理にて停電の発生が特定された場合に「1」がセットされる。
停電フラグに「1」がセットされていない場合には、ステップS1215にて次の通常処理の実行タイミングであるか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(具体的には4msec)が経過したか否かを判定する。そして、通常処理の開始タイミングに至るまで、ステップS1216〜ステップS1219の残余処理を繰り返し実行する。ステップS1216〜ステップS1219の処理内容は、上記ステップS110〜ステップS115と同様である。
一方、ステップS1214にて、停電フラグに「1」がセットされていると判定した場合には、ステップS1220以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS1220では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS1221にてRWM判定値を算出、保存し、ステップS1222にてRWM104のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
タイマ割込み処理は、図21に示すように、先ずステップS1301にて抽選用乱数更新処理を実行する。この処理内容は、上記ステップS1001と同様である。その後、ステップS1302にて上記ステップS201と同様の処理を実行し、ステップS1303にて上記ステップS205と同様の処理を実行し、ステップS1304〜ステップS1307にて、上記ステップS208〜ステップS211と同様の処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
上記処理構成とすることにより、通常処理とタイマ割込み処理とのそれぞれに遊技の進行を制御するための処理が分散して設定された構成において、残余処理の後であって、その後に最初に実行される入出力に係る処理(入力及び出力の少なくとも一方に係る処理)よりも前に、抽選用乱数更新処理(大当たり乱数更新処理)が実行される。これにより、タイマ割込み処理の1処理回における一の入出力に係る処理と、次の処理回におけるそれと同一又はそれとは異なる入出力に係る処理との間の処理時間が不正に読み取られたとしても、抽選用乱数更新処理にて大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定されたか否かを特定しづらくなる、又は特定不可となる。
なお、抽選用乱数更新処理がタイマ割込み処理(図21)において最後の入出力に係る処理の後に実行される構成としてもよい。
(6−4)大当たり乱数更新処理において、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を最大値に向けて順次更新させていく場合の処理と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最大値を超えた場合に最小値に設定する場合の処理とが分離して設定されており、それらの処理の間に、大当たり乱数カウンタC1の更新に係る処理とは異なる処理が存在している構成としてもよい。この場合、少なくとも上記最小値に設定する場合の処理が、ステップS110〜ステップS115における残余処理の後であって、その後に最初に実行される入出力に係る処理(入力及び出力の少なくとも一方に係る処理)よりも前に実行されるようにすることが好ましい。又は、所定の入出力に係る処理が実行された後に他の入出力に係る処理が実行されることなく上記残余処理が実行され得る構成において、当該所定の入出力に係る処理と残余処理との間で、少なくとも上記最小値に設定する場合の処理が実行されるようにすることが好ましい。
以上のとおり、上記第1のパターン〜上記第6のパターンのいずれかを採用することにより、上記不正装置Aを利用して、MPU102における一の入出力に係る処理から、その後の一の入出力に係る処理までの処理時間が不正に読み取られたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値となるタイミングを特定しづらくさせる又は特定不可とさせることが可能となる。
また、上記第1のパターン〜上記第6のパターンのいずれかであれば、上記不正行為を抑制する上で、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を直接操作するのではなく、数値情報の更新タイミングの遅延又は不規則化を行うだけであるので、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を利用した当否判定に関して不都合が生じづらくなる。
この場合に、本パチンコ機10は、上記第1のパターン〜上記第6のパターンのいずれか1つの構成を有しているが、複数のパターンに係る構成を同時に有していてもよい。例えば、上記第1のパターンに係る構成、上記第2のパターンに係る構成、上記第3のパターンに係る構成、及び上記第5のパターンに係る構成のいずれかと、上記第4のパターンに係る構成及び上記第6のパターンに係る構成の少なくとも一方とを同時に有していてもよい。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
・上記第1〜第6のパターンの構成に代えて、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を更新するためのCPU又は専用回路を、MPU102の制御部とは別に備える構成とし、大当たり乱数カウンタC1の数値情報の更新、最小値の設定及び更新周回を開始する場合における初期値の設定を、MPU102の制御部とは独立して実行する構成としてもよい。そして、MPU102の制御部にて大当たり乱数カウンタC1の数値情報を利用した当否判定処理を実行する場合には、上記別制御部からその時点の数値情報を取得する構成としてもよい。本構成においては、上記別制御部からMPU102への数値情報の提供に要する時間が一定(異なる提供タイミング間で同一又は略同一)となるようにすることで、上記不正装置Aを利用して所定の処理間の処理時間が取得されたとしても、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値となるタイミングを特定しづらくさせる又は特定不可とさせることが可能となる。
また、本構成においては、上記別制御部がMPU102の制御部とは別チップとして設けられていてもよいが、両者の通信経路に対して不正にアクセスして上記別制御部の更新後の数値情報を不正に取得しようとする行為を阻止する上では、上記別制御部がMPU102の制御部とともに1チップ化されていることが好ましい。
なお、以下、上記のように別制御部を利用する構成を、第7のパターンともいう。
・上記第1〜第7のパターンの構成に代えて、MPU102において入出力に係る処理が実行されるタイミングを信号の不正取得によって特定しようとする行為を直接的に抑制する構成を採用してもよい。具体的には、MPU102と第1ポート用ドライバ101aとを電気的に接続する第4信号経路LN4(図11参照)や、MPU102と第2ポート用ドライバ101bとを電気的に接続する第5信号経路LN5に、実際にはMPU102において信号を受信する処理が実行されないタイミングであるにも関わらず、それに対応した信号が送信されるようにし、さらにそのダミー信号の送信に際してはMPU102において信号の受信結果を確認しない又は無効化する構成としてもよい。この場合、当該信号は、定期的に送信されるようにしてもよく、不規則に送信されるようにしてもよい。また、当該信号は、MPU102とポート用ドライバ101a,101bとの間の経路上に設けられた専用素子から送信される構成としてもよく、MPU102自身が送信する構成としてもよい。
また、上記のようにダミー信号を送信する対象は、信号経路LN4及び信号経路LN5のいずれか一方又は両方に限定されることはなく、それに加えて又は代えて、信号経路LN1、信号経路LN2及び信号経路LN3の少なくとも一つが対象となる構成としてもよい。例えば、信号経路LN1や信号経路LN2を通じて不正に入出力に係る処理の実行の有無を読み取ろうとする場合、それら信号経路LN1,LN2を流れる電流の変化を読み取ることが考えられる。したがって、それら信号経路LN1,LN2に流れる電流の変化を、実際にMPU102にて信号の受信が行われる場合とは異なるタイミングで、定期的に又は不規則に生じさせる素子を設けるようにしてもよい。
なお、以下、上記のように信号の不正取得を直接的に抑制する構成を、第8のパターンともいう。
・上記不正装置Aを利用した不正行為が、MPU102から外部装置への信号出力に係る2つの処理間の処理時間を不正に読み取ることで行われることが想定される。したがって、このような構成に対して、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を適用してもよい。具体的には、MPU102から他の制御装置(音光制御装置82、払出制御装置97、電源及び発射制御装置98)へのコマンド出力に係る2つの処理間の処理時間を、上記不正装置Aを利用して不正に読み取ることが想定される。この場合において、例えば大当たり乱数更新処理又は抽選用乱数更新処理が一のコマンド出力に係る処理と、次のコマンド出力に係る処理との間で実行される場合には、当該大当たり乱数更新処理又は抽選用乱数更新処理に対して、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用してもよい。
・大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値となるタイミングを特定させづらくする又は特定不可とするために、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用するのではなく、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が新たな更新周回の初期値に設定されるタイミングを特定させづらくする又は特定不可とするために、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用してもよい。
例えば上記第1のパターン又は上記第2のパターンを採用する場合には、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が上記初期値に設定される場合における処理時間と、大当たり乱数カウンタC1の数値情報がその数値範囲の一方の境界に向けて順次更新される場合における処理時間とが同一又は略同一となるように、時間調整用処理といった処理構成を上記第1のパターンや上記第2のパターンのように設定すればよい。
また、上記第5のパターンを採用する場合には、大当たり乱数カウンタC1の数値情報が上記初期値に設定される場合の処理時間と、大当たり種別カウンタC2及び電役乱数カウンタC4の少なくとも一方の数値情報が上記初期値に設定される場合の処理時間とが同一又は略同一となるように、時間調整用処理といった処理構成を上記第1のパターンや上記第2のパターンのように設定すればよい。
・大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値又は初期値となるタイミングを特定させづらくする又は特定不可とするために、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用するのに加えて又は代えて、他の特典付与の処理にて利用されるカウンタ、具体的には大当たり種別カウンタC2及び電役乱数カウンタC4の少なくとも一方について、数値情報が最小値又は初期値となるタイミングを特定させづらくする又は特定不可とするために、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用してもよい。
・大当たり乱数カウンタC1は、数値範囲の一方の境界に向けて数値情報を順次更新していく場合には当該数値情報が1加算されていく構成としたが、数値情報を順次更新していく場合には当該数値情報が1減算されていく構成としてもよい。この場合、数値情報を1減算した結果、最小値を下回った場合に最大値が設定されることとなる。当該構成であっても、最小値を下回った数値情報を最大値に設定する場合には、数値情報を順次更新していく場合に比べて処理時間が長くなるため、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用することが好ましい。
・大当たり乱数カウンタC1は、数値情報が順次更新されていく場合において数値が1ずつ変化していく構成に限定されることはなく、例えば「2」→「4」→「6」→「8」→・・・といったように2ずつ変化していく構成としてもよい。また、「1」→「3」→「5」→「7」→・・・といったように2ずつ変化していく構成としてもよい。また、その数値の変化量は、「1」や「2」に限定されることはなく、「3」や「4」といったように、他の所定量ずつ変化していく構成としてもよい。これらの場合であっても、一方の境界を超えた場合には他方の境界に対応した数値情報に設定する必要があり、この設定に際しての処理時間が上記のように順次更新していく場合の処理時間と相違することが考えられる。したがって、当該構成であっても、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用することが好ましい。
・大当たり乱数カウンタC1の更新周回の1回において、数値範囲の一方の境界側から他方の境界側への設定が複数回行われる構成であってもよい。例えば、先ず「2」→「4」→「6」→「8」→・・・といったように数値情報を順次更新していき最大値を超えた場合には最小値側である「1」に設定し、その後、「1」→「3」→「5」→「7」→・・・といったように再度、数値情報を順次更新していく構成とする。そして、全ての数値情報が1回ずつ設定された場合に、新たな初期値を設定して新たな更新周回を開始する構成としてもよい。この場合であっても、一方の境界を超えた場合には他方の境界に対応した数値情報に設定する必要があり、この設定に際しての処理時間が上記のように順次更新していく場合の処理時間と相違することが考えられる。したがって、当該構成であっても、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用することが好ましい。
・大当たり乱数カウンタC1は、数値情報が順次更新されていく場合において同一の数値ずつ変化していく構成に限定されることはなく、数値情報が順次更新されていく場合において所定の更新タイミングでは第1所定数変化する一方、他の更新タイミングでは第1所定数とは異なる第2所定数変化する構成としてもよい。但し、予め定められた順序に従って数値情報が順次更新されていく構成とする。この場合であっても、一方の境界を超えた場合には他方の境界に対応した数値情報に設定する必要があり、この設定に際しての処理時間が上記のように順次更新されていく場合の処理時間と相違することが考えられる。したがって、当該構成であっても、上記第1〜第8のパターンのいずれかの構成を採用することが好ましい。
・上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
スロットマシンに適用する場合又はパチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機に適用する場合、主制御装置にて役の当否抽選を実行するために利用される抽選カウンタの数値情報の更新に関して、上記第1のパターン〜上記第8のパターンのいずれかの構成を採用してもよく、主制御装置の指示に基づき表示装置を制御するサブ制御装置にて遊技者への特典(具体的にはメダルの払出)の付与率に影響を当たる抽選を実行するために利用される抽選カウンタの数値情報の更新に関して、上記第1のパターン〜上記第8のパターンのいずれかの構成を採用してもよい。
<第2の実施の形態>
大当たり乱数カウンタC1といった数値情報記憶手段が所定の数値情報となっていることを不正に読み取る行為は、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5のそれぞれに対して不正装置A(図11参照)を電気的に接続することに基づき行う行為以外にも、第4信号経路LN4や第5信号経路LN5を信号が伝送することに伴う電磁波ノイズ(すなわち特定電気経路を所定の電流(第1電流)が流れることに伴う電磁波ノイズ)を拾うことに基づき行う行為(以下、当該行為による不正行為を特定不正行為ともいう)が想定される。
当該特定不正行為について、具体的に説明すると、先ず、セル等の長尺状の部材の先端に電磁波ノイズを検知するための検知部が設けられた不正治具を、パチンコ機10の背面側に挿入する。この挿入は、遊技機本体12を上方へと押すことで、遊技機本体12の下端部と外枠11の下枠部との間に僅かな隙間を生じさせ、その隙間を利用することで行われる。そして、その挿入した不正治具を、その先端部分がパチンコ機10背面側に到達するように操作するとともに、遊技機本体12の下端部に対して上方に存在する主制御装置81側に到達するように操作する。不正治具の先端部を主制御装置81側へと導いた後は、不正治具の先端部を主制御装置81においてMPU102が設けられている領域に対してパチンコ機10後方の位置に配置する。
この状態とすることにより、第4信号経路LN4を通じて信号出力が行われた場合における電磁波ノイズを不正治具によって検知することで、タイマ割込み処理(図9)における停電情報記憶処理(ステップS201)の実行タイミングを不正に把握することができるとともに、第5信号経路LN5を通じて信号出力が行われた場合における電磁波ノイズを不正治具によって検知することで、タイマ割込み処理(図9)における遊技停止判定処理(ステップS205)の実行タイミングを不正に把握することができる。そして、これら処理間の時間を読み取ることで、タイマ割込み処理(図9)における抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間を把握することが可能となる。
上記特定不正行為は、上記第1の実施の形態にて示した不正対策の構成によって抑制することが可能となる。但し、本実施の形態では、当該不正対策の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。以下、当該不正対策の構成について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成については、上記第1の実施の形態の場合と同一の番号を付すとともに、基本的にその説明を省略する。
図22は、本実施の形態における遊技機本体12の背面図である。また、図23(a)は、背面側から見た遊技機本体12の斜視図であり、図23(b)は、図23(a)の状態において不正対策部品を取り外した状態を示す分解斜視図である。なお、図23(a)及び図23(b)では、前扉枠14を取り外した状態を示す。
図22及び図23(a),(b)に示すように、上記第1の実施の形態と同様に、主制御装置81は、内枠13(遊技盤24)の背面側に設けられている。この場合、主制御装置81は、長方形状の表面及び裏面を有する略直方体状の箱状をなしており、主制御装置81の表面がパチンコ機10後方を向き且つ上記長方形状の長辺部の方向が横方向となるようにして内枠13に固定されている。また、主制御装置81が配設されている位置は、パチンコ機10の縦方向の中央よりも下側であって遊技機本体12の下端部よりも上方となっている。
主制御装置81は、上記第1の実施の形態と同様に、主制御基板101と、当該主制御基板101を収容する基板ボックス83と、を備えている。基板ボックス83は、当該基板ボックス83の外部から主制御基板101を目視可能なように透明、具体的には無色透明に形成されている。主制御基板101には、図22に示すように、MPU102が搭載されているとともに、当該主制御基板101を払出制御装置97、電源及び発射制御装置98や、各種センサと電気的に接続するための接続部としてコネクタ121a〜121eが設けられている。これらコネクタ121a〜121eは、基板ボックス83において主制御装置81の表面を構成する部位に形成された開口部122a〜122eを通じて主制御装置81の外部に露出している。また、主制御装置81には、RWM104の初期化を実行する際に操作される初期化スイッチ123が設けられており、当該初期化スイッチ123も、基板ボックス83において主制御装置81の表面を構成する部位に形成された開口部124を通じて主制御装置81の外部に露出している。
基板ボックス83には、内部空間の開放が行われた場合にその痕跡を残す痕跡手段が設けられている。当該痕跡手段の一つとして、基板ボックス83を構成する複数のケース体間を跨ぐようにして封印シール125が貼り付けられている。基板ボックス83の内部空間を開放させるには上記複数のケース体を分離させる必要があり、その分離に際しては封印シール125を剥がす必要が生じる。封印シール125は、その貼付箇所から剥がした場合には、当該封印シール125の接着剤層が基板ボックス83側に残り、その痕跡が残ることとなる。
また、封印シール125には、遊技ホールの管理者が保持するリーダ装置から送信される呼び出し波に対して、識別情報を含む応答波を発信するICタグが設けられている。このICタグは、封印シール125を剥がした場合に、当該ICタグのアンテナが切断されて、上記応答波の発信が不可となるように設けられている。したがって、遊技機本体12を外枠11に対して前方に回動させた状態においてリーダ装置から呼び出し波を発信することで、基板ボックス83が不正に開放されたか否かを簡単に確認することが可能となる。当該封印シール125は、基板ボックス83において一方の短辺部に設けられており、パチンコ機10に主制御装置81が搭載された状態において当該主制御装置81における横方向の一方の端部に存在している。
主制御装置81が搭載された内枠13の背面側には、裏パックユニット15が回動可能に支持されている。裏パックユニット15は、内枠13の背面側を覆う裏パック91を備えており、裏パック91にはパチンコ機10後方に膨出させて保護カバー部94が一体形成されている。保護カバー部94は、裏パックユニット15の閉鎖状態において内枠13の遊技盤24を後方から覆っている。但し、主制御装置81については、図23(b)に示すように、その全体を覆っているのではなく、その一部のみを覆っており、具体的には、主制御装置81の上縁部及び一方の側縁部のみを覆っている。
当該一方の側縁部は、封印シール125が設けられていない側である。よって、封印シール125は裏パックユニット15により覆われておらず、遊技機本体12を外枠11に対して前方に回動させて当該遊技機本体12の背面側を露出させた場合に、封印シール125側にリーダ装置を近付け易くなる。
保護カバー部94により覆われている主制御装置81の上縁部には、図22に示すように、上記複数のコネクタ121a〜121eの一部が設けられているが、これらコネクタ121a〜121cは磁石検知センサ109といった遊技盤24側に設けられた機器と主制御基板101との電気的な接続を行うためのものとなっている。したがって、当該電気的な接続を行うための作業は、基本的に、裏パックユニット15を開放させた状態で行われ、上記コネクタ121a〜121cが保護カバー部94により覆われているとしても問題が生じない。
その一方、主制御装置81の下縁部には、上記複数のコネクタ121a〜121eの残りが設けられている。これらコネクタ121d,121eは、払出制御装置97や、電源及び発射制御装置98といった裏パックユニット15側に設けられた機器と主制御基板101との電気的な接続を行うためのものとなっている。したがって、これらコネクタ121d,121eを保護カバー部94により覆わないようにすることで、裏パックユニット15を閉鎖した状態であっても、上記コネクタ121d,121eに対する配線の接続作業を容易に行うことが可能となる。また、主制御装置81において保護カバー部94により覆われない領域は、MPU102の後方領域が含まれている。
ちなみに、保護カバー部94は、裏パックユニット15を閉鎖した状態において、当該保護カバー部94により覆われている領域をその外側から目視可能なように透明、具体的には無色透明に形成されている。したがって、上記のように主制御装置81の上縁部などが保護カバー部94により覆われるとしても、その覆われた領域を裏パックユニット15を閉鎖させた状態のまま目視することが可能となる。
保護カバー部94には、図22及び図23(a)に示すように、当該保護カバー部94を内外に貫通させるようにして多数の放熱孔94aが形成されている。これら多数の放熱孔94aのうち、下端側の放熱孔94aに引掛けて保護カバー部94に支持させるようにして、シールド板130が設けられている。当該シールド板130について、図24(a)〜(c)も参照しながら、以下に詳細に説明する。
シールド板130は、図24(a)に示すように、当該シールド板130の形状を決定付けるベース部131に対して、ノイズ抑制シート132を貼り付けることにより形成されている。ベース部131及びノイズ抑制シート132は、シールド板130により覆われる領域、すなわち主制御装置81及びその内部を、シールド板130を装着した状態において目視可能となるように透明、具体的には無色透明に形成されている。また、ノイズ抑制シート132は、電磁波ノイズを熱に変換することにより、当該電磁波ノイズがノイズ抑制シート132を透過及び反射することを抑制する。
シールド板130は、図24(b)及び図24(c)に示すように、主制御装置81の表面にパチンコ機10後方から重なる板状部133と、当該板状部133の周縁部から同一方向に起立させて形成された複数の起立壁部134a,134bと、上記放熱孔94aに引掛けるためのフック部135とが一体形成されてなる。フック部135は、板状部133の上縁において左右一対となるように設けられており、図22に示すように、それら一対のフック部135がそれぞれ、保護カバー部94の下縁側に形成された放熱孔94aに対して引掛け支持されている。
図示による説明は省略するが、シールド板130は、フック部135だけでなく、両面テープを利用して保護カバー部94に固定されているが、当該両面テープによる固定が行われるか否かは任意である。また、シールド板130が保護カバー部94に対して、ネジ等の固定具を利用して固定されていてもよく、接着剤を利用して固定されていてもよい。
但し、シールド板130は、主制御装置81に対しては固定されておらず、さらに内枠13及び遊技盤24側には固定されていない。これにより、裏パックユニット15を内枠13に対して回動させる場合にシールド板130を取り外す必要が生じないため、主制御装置81のメンテナンス時などにおいて裏パックユニット15を回動させる必要が生じた場合の作業性が低下してしまうことがない。
上記のようにシールド板130が支持されている状態において、板状部133は、保護カバー部94における上記引掛け対象の放熱孔94aよりも下側の領域(以下、下部領域94bともいう)に対してパチンコ機10後方から重なるとともに、主制御装置81の表面において保護カバー部94により覆われていない領域に対してパチンコ機10後方から重なっている。つまり、保護カバー部94により後方から覆う範囲を、主制御装置81の略全体にまで延長させるようにしてシールド板130が設けられている。
シールド板130は、上記のとおり保護カバー部94の下部領域94bに対してパチンコ機10後方から重なっており、さらに保護カバー部94において主制御装置81の一方の側縁部に重なる延在領域94cに対してもパチンコ機10後方から重なっている。そして、上記両面テープによる粘着固定は、下部領域94b及び延在領域94cを対象に行われている。したがって、下部領域94bとシールド板130との境界部分や、延在領域94cとシールド板130との境界部分を通じて、主制御装置81側に不正冶具を挿入しようとしても、それが行いづらくなっている。
なお、板状部133の裏面には、主制御装置81側に向けて起立するとともに主制御装置81の長辺部に沿って延びる突条部136が一体形成されている。主制御装置81は、図23(b)に示すように、その表面において上端側が裏面側に凹むようにして段差面126が形成されており、この段差面126に対して上記突条部136が上方から当接した状態となっている。これにより、シールド板130の重量負荷が主制御装置81によっても受けられ、シールド板130を安定した状態で支持させることが可能となる。
主制御装置81の表面においてシールド板130が重なる領域には、基板ボックス83の表面においてMPU102及びその周辺(第1ポート用ドライバ101a、第2ポート用ドライバ101b、第3信号経路LN3、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5が設けられた領域)と対峙する領域が含まれている。したがって、MPU102及びその周辺は基板ボックス83だけでなくシールド板130によっても覆われた状態となっている。この場合に、ノイズ抑制シート132は、シールド板130の表面を構成するようにして少なくとも上記対峙する領域に対して設けられている。より具体的には、ノイズ抑制シート132は、シールド板130の表面全体又は略全体に対して設けられている。そして、当該ノイズ抑制シート132は、MPU102からの信号出力に伴い発生する電磁波を透過不可とするように形成されている。これにより、不正冶具が挿入されてその先端部がシールド板130の後方に配置されたとしても、MPU102からの信号出力に伴うノイズの検知を不可とすることが可能となる。
シールド板130には、主制御装置81における払出制御装置97や電源及び発射制御装置98と電気的に接続するためのコネクタ121d,121e、及び初期化スイッチ123を覆わないように、板状部133を貫通させて複数の露出孔部137a〜137cが形成されている。これら露出孔部137a〜137cは、各コネクタ121d,121e及び初期化スイッチ123に1対1で対応させて形成されており、露出させる領域の狭小化が図られている。図24(b)及び図24(c)に示すように、露出孔部137a〜137cのうち一部は板状部133の周縁部に対して離間された貫通孔として形成されているとともに、残りの一部は板状部133の周縁部から凹む凹部として形成されている。
シールド板130に形成された起立壁部134a,134bは、図23(a)及び図23(b)に示すように、主制御装置81において保護カバー部94により覆われていない側の側面、及び下面をそれぞれ外側から覆うようにして形成されている。
側面の被覆については、基板ボックス83の表側のケース体において表側へ膨出した膨出部の側面を覆うように起立壁部134aが形成されている。これにより、主制御装置81において保護カバー部94により覆われていない側面の側からシールド板130と主制御装置81との間に不正冶具を挿入しようとしても、それが行いづらくなる。但し、封印シール125は、側面用の起立壁部134a、すなわちシールド板130により覆われていない。これにより、リーダ装置を利用して封印シール125のICタグから識別情報を読み取ろうとする作業が、シールド板130によって邪魔されてしまわないようにすることが可能となる。
下面の被覆については、上記のように板状部133の周縁部から凹ませるようにして一部の露出孔部137a,137bが形成されていることに起因して、下面用の起立壁部134bは、断続させて形成されている。下面用の起立壁部134bが形成されていることにより、主制御装置81の下面側からシールド板130と主制御装置81との間に不正冶具を挿入しようとしても、それが行いづらくなる。特に、既に説明したとおり、不正冶具は遊技機本体12の下端部側から挿入され、さらに不正冶具の先端部が主制御装置81に向けて上方へと誘導されるため、主制御装置81の下面に不正冶具の先端部が到達し易い。これに対して、当該下面を覆うようにして起立壁部134bが形成されていることにより、主制御装置81の下面に到達した不正冶具の先端部が、さらに主制御装置81とシールド板130との間に入り込んでしまうことが抑制される。
また、露出孔部137a,137bとの関係で、上記のとおり下面用の起立壁部134bは断続させて形成されているが、これら露出孔部137a,137bは払出制御装置97や電源及び発射制御装置98との電気的な接続を主制御装置81が行うためのコネクタ121d,121eに対して設けられている。そして、払出制御装置97や電源及び発射制御装置98は、主制御装置81の下方に存在しているため、上記コネクタ121d,121eに接続される配線は、上記コネクタ121d,121eを基準として下方へ延びている。したがって、下面用の起立壁部134bが断続させて形成されているとしても、その断続箇所が実質的に配線によって覆われた状態となっており、当該断続箇所を利用して主制御装置81とシールド板130との間に不正冶具を挿入しようとしても、それが行いづらくなっている。
なお、本実施の形態では、上記第1の実施の形態にて説明した第1〜第8のパターンの処理構成を具備していないが、これら第1〜第8のパターンのいずれかの処理構成を備えていてもよい。
以上詳述した本実施の形態によれば、主制御装置81をパチンコ機10後方から覆うようにしてシールド板130が設けられていることにより、不正行為者がタイマ割込み処理(図9)における抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間を不正に把握すべく、主制御装置81のパチンコ機10後方に不正冶具を挿入してMPU102からの信号出力に伴うノイズを検知しようとしても、それを不可とすることが可能となる。
ちなみに、シールド板130を設ける上記構成によれば、MPU102からの信号出力に伴う電磁波ノイズを検知して、抽選用乱数更新処理に要した時間以外の処理時間や処理タイミングを不正に把握しようとする行為も、それを不可とすることが可能となる。また、主制御装置81の外部からMPU102に対して電磁波ノイズを与えることにより当該MPU102の動作に異常を生じさせることにより不正な特典を得ようとする行為にも対処することが可能となる。
シールド板130には、各コネクタ121d,121e及び初期化スイッチ123を露出させるようにして露出孔部137a〜137cが形成されている。これにより、各コネクタ121d,121eへの配線の電気的な接続作業の容易化及び初期化スイッチ123の操作の容易化を図りながら、上記のような不正行為を抑制することが可能となる。
また、各露出孔部137a〜137cは、露出対象の部位に対して1対1で対応させて形成されているため、主制御装置81において露出される領域を極力狭くすることが可能となる。これにより、露出孔部137a〜137cを利用してシールド板130と主制御装置81との間に不正冶具の先端部を挿入させようとしても、それが行いづらくなる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
・シールド板130又はノイズ抑制シート132が主制御装置81の表面側だけでなく裏面側にも設けられている構成としてもよい。例えば、主制御装置81の表面側に加えて、主制御装置81を設置するための取付台に対してシールド板130又はノイズ抑制シート132が設けられている構成としてもよく、主制御装置81の裏面に対してシールド板130又はノイズ抑制シート132が設けられている構成としてもよい。
・シールド板130又はノイズ抑制シート132が基板ボックス83に直接付されていてもよい。例えば、基板ボックス83の内部空間を規定するための内周面に対して、シールド板130又はノイズ抑制シート132が付されている構成としてもよい。
・基板ボックス83により区画形成された内部空間においてMPU102を個別に囲むカバー部が設けられている構成においては、当該カバー部に対してシールド板130又はノイズ抑制シート132が付されている構成としてもよい。つまり、基板ボックス83の表面の略全体ではなく、基板ボックス83においてMPU102と対峙する領域のみにシールド板130又はノイズ抑制シート132が付されている構成としてもよい。
・基板ボックス83を形成する材料に対して電磁波の透過を抑制する材料を含有させることにより、基板ボックス83自体が電磁波ノイズの透過を抑制する構成としてもよい。
・シールド板130が保護カバー部94に一体形成されていてもよい。また、保護カバー部94を主制御装置81のパチンコ機10後方も覆うように設け、その後方から覆っている領域に対してノイズ抑制シート132を貼り付ける構成としてもよい。
・平面視で四角形状をなすMPU102において、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5の一方(すなわちノイズ検知の対象となる一方の信号経路)がMPU102の一辺から延び、且つ他方(すなわちノイズ検知の対象となる他方の信号経路)がMPU102の他の一辺、好ましくは逆側の一辺から延びる構成としてもよい。この場合、ノイズを検知するための不正治具が単一ではなくて複数必要となり、不正行為を行いづらくなる。また、両者の信号経路間の距離が、MPU102を基準として下流側にて、MPU102側の接続部分における距離よりも近付かない構成とすることが好ましい。また、MPU102が平面視で長方形であれば、一方の信号経路が一の短辺部から延び、且つ他方の信号経路が逆側の短辺部から延びる構成とすることが好ましい。
・上記のようにシールド板130若しくはノイズ抑制シート132を設ける構成に加えて又は代えて、上記第1の実施の形態における第8のパターンの構成を適用してもよい。
・上記第2の実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、上記特定不正行為、すなわち電磁波ノイズを取得することにより、大当たり乱数カウンタC1の数値情報を特定する不正行為に対する対策の構成が、上記第1の実施の形態と異なっている。以下、当該不正対策の構成について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成については、上記第1の実施の形態の場合と同一の番号を付すとともに、基本的にその説明を省略する。
図25は、本実施の形態における主制御基板101の実装面側の回路図である。ここで、図25中の矢印は配線パターンを示している。
図25に示すように、主制御基板101には、MPU102と、そのMPU102に対してnsec周期のクロック信号を出力するクロック回路201とが搭載されている。クロック回路201はMPU102と第6信号経路LN6を通じて電気的に接続されている。クロック回路201から出力されたクロック信号はMPU102に入力される。そして、MPU102は、クロック信号に基づいてタイマ割込み処理などの各種処理を実行するものである。
なお、クロック回路201及び第6信号経路LN6については、第1及び第2の実施の形態についても同様に搭載されている。ここで、クロック回路201は、上述したタイマ割込み処理の起動タイミングをMPU102にて特定するためのパルス信号を出力するためのクロック回路及び分周回路とは別に設けられているが、これに限られず、例えば1のクロック回路201で兼用してもよい。すなわち、クロック回路201とMPU102とを接続する経路を2系統設け、一方の経路に上記クロック回路201から出力されるクロック信号を4msec周期のクロック信号に分周する分周回路を設ける構成としてもよい。
MPU102は、クロック信号を出力する入出力ポート102bを備えている。そして、入出力ポート102bには、クロック信号又はそれに対応した信号を伝送するための第7信号経路LN7が接続されている。MPU102は、クロック回路201から入力されたクロック信号を用いてタイマ割込み処理等の各種処理を実行するとともに、入出力ポート102bを介してそのクロック信号を外部に出力する。そして、そのクロック信号は第7信号経路LN7を通じて主制御基板101を伝送する。
ここで、第7信号経路LN7について詳細に説明すると、第7信号経路LN7は、主制御基板101において各信号経路LN4,LN5が形成されている面と同一面に形成されている。これら各信号経路LN4,LN5,LN7が形成されている面は、MPU102が実装されている実装面である。主制御装置81は、当該実装面が後方から視認可能となるように、実装面を後方側に向けた状態で取り付けられている。
第7信号経路LN7は、一端が入出力ポート102bに接続されている一方、他端がいずれにも電気的に接続されていない状態、すなわちフローティングの状態で、主制御基板101に取り付けられている。
第7信号経路LN7は、矩形状に形成された主制御基板101の縁を1周するように形成されている。具体的には、第7信号経路LN7は、主制御基板101の長手方向に延びる長手経路LN7a,LN7bと、主制御基板101の短手方向に延びる短手経路LN7c,LN7dと、を備えている。これら各経路LN7a〜LN7dが連続することにより、第7信号経路LN7が主制御基板101の縁を1周している。この場合、各信号経路LN4,LN5は第7信号経路LN7によって囲まれた領域内に形成されている。
また、第7信号経路LN7の一部と、不正装置Aによる電磁波の取得対象である第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5の一部とが、並走するように形成されている。
具体的には、MPU102と第1ポート用ドライバ101aとは、主制御基板101の長手方向に所定の間隔を隔てて配置されている。そして、両者を接続する第4信号経路LN4は、主制御基板101の長手方向に延びる長手経路LN4aを有している。長手経路LN4aは、第4信号経路LN4における短手方向に沿った経路よりも長く形成されている。長手経路LN4aは、第7信号経路LN7における長手経路LN7aの内側を並走している。
さらに、第2ポート用ドライバ101bは、第1ポート用ドライバ101aに対して短手方向に所定の間隔を隔てて配置されている。すなわち、第2ポート用ドライバ101bは、MPU102に対して対角方向に隔てた位置に配置されている。両者を接続する第5信号経路LN5は、主制御基板101の長手方向に延びる長手経路LN5aと、主制御基板101の短手方向に延びる短手経路LN5bとを備えている。第5信号経路LN5の長手経路LN5aが第7信号経路LN7の長手経路LN7bの内側を並走し、第5信号経路LN5の短手経路LN5bが第7信号経路LN7の短手経路LN7dの内側を並走している。
かかる構成によれば、入出力ポート102bからクロック信号が出力された場合には、そのクロック信号は第7信号経路LN7を通じて伝送する。これにより、第7信号経路LN7には、クロック信号に対応した所定の電流(第2電流に対応する)が流れ、クロック信号に対応した電磁波ノイズ(以降、クロックノイズという)が出力される。よって、第4信号経路LN4や、第5信号経路LN5を通じて信号出力が行われた場合に発生する電磁波ノイズと、クロックノイズとが混在することとなり、電磁波ノイズの特定が困難となる。したがって、停電情報記憶処理(ステップS201)の実行タイミング及び遊技停止判定処理(ステップS205)の実行タイミングの特定を困難にすることができ、抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間の特定を困難なものとすることができる。
ここで、クロックノイズを発生させる場合、そのクロックノイズが各信号経路LN3〜LN5に混入し、MPU102にて誤動作が発生することが想定される。これに対して、各信号経路LN3〜LN5上にはそれぞれ、上記クロックノイズを除去するノイズ除去回路211〜213が設けられている。
ノイズ除去回路211〜213は、それぞれ同一の構成を備えており、少なくともクロック信号の周波数のノイズを除去するローパスフィルタ回路を備えている。ローパスフィルタ回路は、任意ではあるが、例えば積分回路である。かかる構成によれば、第7信号経路LN7からクロックノイズが発生した場合であっても、そのクロックノイズが各信号経路LN3〜LN5に対して影響を与えにくい。これにより、クロックノイズに起因するMPU102の誤動作を抑制することができる。
第7信号経路LN7上には、クロック信号の周波数を変更する周波数変更回路221が設けられている。周波数変更回路221は、入出力ポート102bから出力されたクロック信号の周波数を変更し、その変更した変更クロック信号を出力可能に構成されている。これにより、MPU102にて用いられるクロック信号とは異なる周波数のクロック信号を出力することができる。
なお、周波数変更回路221の詳細な構成について説明すると、周波数変更回路221は、入力されるクロック信号の周波数を分周する複数種類の分周回路221a〜221cを備えている。分周回路221a〜221cは、入出力ポート102b(クロック回路201)から出力されるクロック信号の周波数を、1/N(N:2以上の自然数)に分周する。この場合、各分周回路221a〜221cの分周比(N)はそれぞれ異なっている。詳細には、第1分周回路221aの分周比は2であり、第2分周回路221bの分周比は8であり、第3分周回路221cの分周比は16である。
なお、以降の説明において、入出力ポート102b(クロック回路201)から出力されるクロック信号の周波数を所定周波数f0と、第1分周回路221aにより分周された変更クロック信号の周波数を第1分周周波数f1と、第2分周回路221bにより分周された変更クロック信号の周波数を第2分周周波数f2と、第3分周回路221cにより分周された変更クロック信号の周波数を第3分周周波数f3とする。
周波数変更回路221はMPU102と接続されている。MPU102は、所定の変更タイミングとなった場合に、周波数変更回路221に向けて変更信号を出力する。周波数変更回路221は、MPU102からの変更信号に基づいて、各分周回路221a〜221cのうち1の分周回路を選択する。そして、周波数変更回路221は、その選択された分周回路を用いて、入出力ポート102bから出力されたクロック信号を、その選択された分周回路の分周比で分周し、その分周されたクロック信号を変更クロック信号として第7信号経路LN7に伝送させる。これにより、クロック回路201から出力されるクロック信号とは異なる周波数の変更クロック信号が第7信号経路LN7を伝送することにより、クロック回路201から出力されるクロック信号とは異なる周波数のクロックノイズが発生する。よって、クロックノイズを除去して、所望の電磁波ノイズだけを取得しようとする不正行為を抑制することができる。
すなわち、取得対象の電磁波ノイズとクロックノイズとが混在している場合には、不正装置Aにより取得されたノイズから、クロックノイズのみを除去して電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為が想定される。この場合、同一周期のクロック信号が出力されている構成においては、クロックノイズの特定、及びその除去が容易に行われやすい。
これに対して、上記のように周波数変更回路221が設け、クロックノイズの周波数を可変なものとすることにより、クロックノイズの特定を困難なものとすることができる。これにより、クロックノイズのみを除去して、対象となる電磁波ノイズのみを抽出する不正行為を抑制することができる。
なお、変更可能な周波数の種類数は複数であれば任意である。例えば、分周回路を2種類設ける構成としてもよいし、4種類以上設ける構成としてもよい。
また、周波数変更回路221の具体的な構成については、周波数の変更が可能であれば任意である。例えば、所定の周波数のクロック信号を出力する発振回路と、そのクロック信号と、入出力ポート102bから出力されるクロック信号とを混合させ、両者の周波数に対応した1の周波数のクロック信号を生成するミキサ回路と、を備える構成としてもよい。
ここで、周波数変更回路221により複数種類の周波数のクロック信号が出力されることに対応させて、各ノイズ除去回路211〜213は、上記複数種類の周波数のクロック信号を除去することが可能に構成されている。具体的には、各ノイズ除去回路211〜213の積分回路はそれぞれ、コンデンサとスイッチング素子(例えばMOSFET)とからなる直列接続体を複数(具体的には4つ)備えている。各直列接続体はそれぞれ、互いに並列に接続されているとともに、規定抵抗と直列に接続されている。各直列接続体のコンデンサの静電容量は異なっている。かかる構成によれば、スイッチング素子がON/OFFに応じて、積分回路における全体での静電容量が変化する。これにより、遮断(除去)される周波数範囲が変化する。
この場合、遮断周波数の帯域に、各分周回路221a〜221cにて分周された変更クロック信号の周波数が含まれるよう、各直列接続体のコンデンサの静電容量が設定されている。
具体的には、入出力ポート102bから出力されるクロック信号の周波数である所定周波数f0が、上記規定抵抗と、各直列接続体のうち第0直列接続体の第0コンデンサとからなる積分回路の遮断周波数の帯域に含まれるように、第0コンデンサの静電容量が設定されている。
第1分周回路221aにより分周された変更クロック信号の周波数である第1分周周波数f1が、上記規定抵抗と、各直列接続体のうち第1直列接続体の第1コンデンサとからなる積分回路の遮断周波数の帯域に含まれるように、第1コンデンサの静電容量が設定されている。
第2分周回路221bにより分周された変更クロック信号の周波数である第2分周周波数f2が、上記規定抵抗と、各直列接続体のうち第2直列接続体の第2コンデンサとからなる積分回路の遮断周波数の帯域に含まれるように、第2コンデンサの静電容量が設定されている。
第3分周回路221cにより分周された変更クロック信号の周波数である第3分周周波数f3が、上記規定抵抗と、各直列接続体のうち第3直列接続体の第3コンデンサとからなる積分回路の遮断周波数の帯域に含まれるように、第3コンデンサの静電容量が設定されている。
以上の構成により、各直列接続体のスイッチング素子のON/OFF制御を行うことにより、変更クロック信号に基づき発生したクロックノイズを好適に遮断(除去)することができる。
図25に示すように、周波数変更回路221に周波数を変更することを指示するための変更信号は、各ノイズ除去回路211〜213に伝送される。各ノイズ除去回路211〜213は、上記変更信号が入力された場合に、変更先のクロック信号の周波数が遮断周波数の帯域に含まれるように、上記各直列接続体の各スイッチング素子のON/OFF制御を行う。例えば、第1分周回路221aにより分周された変更クロック信号を第7信号経路LN7に伝送させる場合には、第1直列接続体のスイッチング素子をONとし、その他のスイッチング素子をOFFとする。これにより、各信号経路LN3〜LN5において、変更クロック信号に基づくクロックノイズを好適に除去することができる。
<ノイズ制御処理について>
MPU102は、周波数変更回路221及び各ノイズ除去回路211〜213を制御するためのノイズ制御処理を実行する。ノイズ制御処理は、MPU102により実行されるタイマ割込み処理におけるステップS221の処理の実行後に実行される。ノイズ制御処理について図26のフローチャートを用いて説明する。
先ず、ステップS1401にて、周波数の変更タイミングであるか否かを判定する。具体的には、RWM104の所定のカウンタエリアに格納されている周波数変更用タイマカウンタが「0」であるか否かを判定する。周波数変更用タイマカウンタは、第7信号経路LN7を伝送する変更クロック信号の周波数の変更間隔を計測するためのタイマカウンタである。周波数変更用タイマカウンタは、周波数の変更タイミングとなる度に所定の値がセットされ、ステップS210のタイマ更新処理にて1ずつ減算されるものである。
ステップS1401にて、周波数変更用タイマカウンタが「0」でないと判定した場合には、そのまま本処理を終了する一方、周波数変更用タイマカウンタが「0」であると判定した場合には、ステップS1402に進み、現状の周波数を把握する。
その後、ステップS1403では、現状の周波数に基づいて、変更先の周波数を決定する処理を実行する。具体的には、RWM104には、予め周波数の変更順番が設定されたテーブル、具体的には例えば所定周波数f0→第1分周周波数f1→第2分周周波数f2→第3分周周波数f3の順に設定されているテーブルが記憶されている。ステップS1403では、上記テーブルを参照することにより、現状の周波数に対して次の周波数を変更周波数として把握する。この場合、現状の周波数が第3分周周波数f3であれば、所定周波数f0を変更周波数として把握する。
続くステップS1404では、ステップS1403にて決定された変更周波数に対応した変更信号を、周波数変更回路221及び各ノイズ除去回路211〜213に出力する処理を実行する。なお、変更信号の態様としては、変更周波数が特定可能であれば任意であり、例えば変更周波数を特定するための情報が設定されたコマンドを出力する構成としてもよく、所定のパルス信号を送信する構成において、そのパルス信号の数を、変更周波数に応じて異ならせる構成としてもよい。
周波数変更回路221は、上記変更信号を受信した場合に、当該変更信号に対応した変更周波数の変更クロック信号を出力する。また、各ノイズ除去回路211〜213は、変更信号を受信した場合に、当該変更信号に対応した変更周波数が遮断周波数に含まれるように、各直列接続体の各スイッチング素子のON/OFF制御を行う。
その後、ステップS1405にて、周波数変更用タイマカウンタの初期値として「50」を設定して、本処理を終了する。既に説明した通り、タイマ割込み処理は4msec単位で実行されるとともに、周波数変更用タイマカウンタはタイマ割込み処理が実行される度に1ずつ減算されるものであるため、0.2secが経過する度に周波数変更用タイマカウンタが「0」となることとなる。なお、上記初期値については任意である。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御基板101に、入出力ポート102bから出力されたクロック信号が伝送される第7信号経路LN7を形成した。これにより、第4信号経路LN4や、第5信号経路LN5を通じて信号出力が行われた場合に発生する電磁波ノイズと、クロックノイズとが混在することとなり、電磁波ノイズの特定が困難となる。したがって、停電情報記憶処理(ステップS201)の実行タイミング及び遊技停止判定処理(ステップS205)の実行タイミングの特定を困難なものとすることができ、抽選用乱数更新処理(ステップS202)に要した時間の特定を困難なものとすることができる。
特に、主制御基板101の縁を1周するように第7信号経路LN7を形成した。これにより、主制御基板101に対してどの方向から不正治具を近づけてもクロックノイズが混入され易い。これにより、不正治具の位置を調整することにより、クロックノイズを受信することなく、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズのみを受信しようとする不正行為を抑制することができる。
また、各信号経路LN4,LN5と第7信号経路LN7とが並走するよう各信号経路LN4,LN5,LN7を形成したことにより、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズを取得しようとすると、自ずとクロックノイズが取得される。これにより、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズを取得しようとする不正行為をより好適に抑制することができる。
さらに、第7信号経路LN7を、各信号経路LN4,LN5と同一面に形成するとともに、これら各信号経路LN4,LN5よりも主制御基板101の縁側に形成したことにより、不正治具にクロックノイズを混入させ易くすることができる。
第7信号経路LN7に周波数変更回路221を設けた。これにより、クロックノイズの周波数が変更されるため、クロックノイズを除去して、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズを取得しようとする不正行為を抑制することができる。
また、各信号経路LN3〜LN5上には、クロック信号又は変更クロック信号を除去するノイズ除去回路211〜213を設けた。これにより、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズを取得する不正行為を抑制しつつ、各信号経路LN3〜LN5にクロックノイズが混入することによるMPU102の誤動作を抑制することができる。
本実施の形態では、実装面に不正装置Aの取得対象となる各信号経路LN4,LN5を形成する構成としたが、これに限られず、例えば反対側の面に各信号経路LN4,LN5を形成する構成としてもよい。これにより、主制御装置81の外側から不正装置Aを近づけた場合に、不正装置Aと各信号経路LN4,LN5との間に主制御基板101が介在することとなるため、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズが取得されにくい。そして、主制御基板101において、第7信号経路LN7とは反対側に各信号経路LN4,LN5が形成されているため、各信号経路LN4,LN5にクロックノイズが混入しにくい。これにより、各信号経路LN4,LN5から発生する電磁波ノイズの取得を困難なものとしつつ、クロックノイズを発生させることに起因するMPU102の誤動作を抑制することができる。
本実施の形態では、クロックノイズを除去するものとして、ノイズ除去回路211〜213を設ける構成としたが、これに限られず、例えば各信号経路LN3〜LN5を、導体等からなるノイズ除去シートで包む構成としてもよい。この場合、ノイズ除去シートを接地しておく。この場合、各信号経路LN4,LN5は、ノイズ除去シートで包む分だけ太くなり、実装面に搭載されている他の信号経路(配線)と物理的に干渉するおそれがある。
これに対して、上記のように各信号経路LN4,LN5を実装面とは反対側に設ける構成においては、上記のような干渉が発生しにくい。さらに、実装面とは反対側の面に主制御基板101を接地するための接地部を設け、その接地部と上記ノイズ除去シートとを接地させるとよい。この場合、実装面とは反対側の面の方が、接地部のための面積を確保し易いため、主制御基板101を好適に接地させることができる。そして、その接地部とノイズ除去シートとが同一平面にあるため、両者を接続するための配線の長さを短くすることができ、ノイズ除去シートの接地を好適に行うことができる。
本実施の形態では、クロック回路201から出力されるクロック信号を用いてノイズを発生させる構成としたが、クロック回路201とは別にクロックノイズ発生用のクロック回路を別途設ける構成としてもよい。この場合、MPU102にて用いられるクロック信号と異なる周波数のクロック信号を出力するものとするとよい。これにより、クロックノイズの周波数の特定を困難なものにすることができる。
本実施の形態では、周波数を変更する契機として所定の期間(0.2sec)が経過することを採用したが、これに限られず、例えば各作動口33,34等への入賞が発生した場合や、予め定められた特定演出を実行することに当選した場合などを周波数の変更契機として設定してもよい。この場合、周波数の変更契機にランダム性を付与することができるため、周波数の特定をより困難にすることができる。
また、周波数を変更する契機としての所定の期間を変更する構成としてもよい。これによっても、周波数の変更契機にランダム性を付与することができる。
本実施の形態では、クロックノイズを発生させる構成としたが、これに限られない。要は、所定の周期でノイズを発生させることがあれば、第7信号経路LN7を伝送する信号は任意である。例えば、交流電圧やノコギリ波形の電圧を伝送する構成としてもよい。
また、周期については、単一である必要はない。例えば、間隔Taでパルス信号を出力し、その後間隔Taとは異なる間隔Tbでパルス信号を出力するまでが1単位であるパルス信号群を所定の周期で出力する構成としてもよい。
また、第7信号経路LN7に伝送する信号として、例えば抽選で当選した場合にのみパルス信号を出力する等といった周期性がない信号を採用してもよい。
また、本実施の形態では、第7信号経路LN7は、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5に対して主制御基板101の縁側にのみ形成されている構成としたが、これに限られず、例えば第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5を挟むように第7信号経路LN7を形成する構成としてもよい。この場合、クロックノイズがより好適に混入することが想定されるため、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5から出力される電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為をより好適に抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、第4信号経路LN4と第7信号経路LN7とは、主制御基板101の長手方向に並走する構成としたが、これに限られず、例えば短手方向に並走する構成としてもよい。但し、並走する距離が大きい方が、第4信号経路LN4から発生する電磁波ノイズとクロックノイズとが混在した電磁波ノイズが取得され易いことを鑑みれば、本実施の形態のように構成するのが好ましい。
本実施の形態によれば、第7信号経路LN7は、主制御基板101の縁を1周するように形成されていたが、これに限られない。例えば、第7信号経路LN7を、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5等が範囲内に含まれる同心円状に形成してもよい。要は、第7信号経路LN7は、主制御基板101において第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5などを囲むように形成されていればよい。但し、搭載する電子部品の配置及び搭載面積の拡大を鑑みれば、第7信号経路LN7を、主制御基板101の縁を1周するように形成する構成がよい。
なお、主制御基板101の縁を複数周するように第7信号経路LN7を形成してもよい。これにより、相乗的にクロックノイズが大きくなるため、第4信号経路LN4等の電磁波ノイズの特定をより困難なものにすることができる。
また、クロック信号が伝送される経路と、変更クロック信号が伝送される経路とをそれぞれ形成する構成としてもよい。この場合、クロックノイズが複雑となるため、クロックノイズを取り除くことを抑制することができる。
さらに、両者を合成して、その合成された信号を伝送させる構成としてもよい。
また、第7信号経路LN7の他端はフローティングの状態となっていたが、これに限られず、例えば抵抗等を介してグランドに接続されている構成としてもよい。但し、クロックノイズをより好適に発生させることに着目すれば、フローティングに設定されている方がよい。
本実施の形態では、クロック回路201から出力されるクロック信号の出力周期は、nsec単位であったが、これに限られず、タイマ割込み処理の実行周期よりも短ければよい。より詳細には、ステップS201とステップS205との間に少なくとも1回はクロック信号の1パルス信号が出力されるようにクロック信号(変更クロック信号)の周波数が設定されていればよい。
また、本実施の形態では、MPU102の入出力ポート102bからクロック信号が出力される構成としたが、これに限られず、例えばクロック回路201に対して第7信号経路LN7が直接接続されている構成としてもよい。
また、上記のようにクロックノイズを発生させる構成に加えて又は代えて、第2の実施の形態におけるシールド板130若しくはノイズ抑制シート132を設けてもよく、上記第1の実施の形態における第8のパターンの構成を適用してもよい。
上記第3の実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間が、前記数値情報更新処理の処理態様が前記特定更新態様であることが一義的に定まる処理時間となる事象の発生を制限するように、前記制御手段が構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、それを元にして数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であることを特定しようとしても、それが行いづらくなる。これにより、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴A2.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間が、前記数値情報更新処理の処理態様が前記特定更新態様である場合と、前記数値情報更新処理の処理態様が当該特定更新態様とは異なる更新態様である場合とのいずれであるかが一義的に定まる処理時間となる事象の発生を制限するように、前記制御手段が構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、それを元にして数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であることを特定しようとしても、それが行いづらくなる。これにより、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴A3.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間が、前記数値情報更新処理の処理態様が前記特定更新態様である場合と、前記数値情報更新処理の処理態様が前記順次更新態様である場合とのいずれであるかが一義的に定まる処理時間となる事象の発生を制限するように、前記制御手段が構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴A3によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、それを元にして数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であることを特定しようとしても、それが行いづらくなる。特に、上記のように処理時間が不正に読み取られたとしても、その処理時間が特定更新態様及び順次更新態様のいずれに対応しているのかを特定することができないため、その処理時間は所定の数値範囲に含まれる全ての数値情報に対応していることとなる。そうすると、その処理時間を利用して不正に遊技の進行を操作しようとしても、実質的に不可となる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴A4.前記特定更新態様は、前記数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記所定の数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる態様であることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
数値情報を、所定の数値範囲における一方の境界に向けて順次更新していく場合と、所定の数値範囲における一方の境界を超えた場合に他方の境界に対応した数値情報に設定する場合とでは、その数値情報の設定に要する処理時間は後者の方が長くなるものと考えられる。そうすると、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間を不正に読み取り、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを特定する不正行為が想定される。これに対して、上記特徴A3の構成を備えていることにより、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを不正に特定しようとしても、それを行いづらくさせることが可能となる。
特徴A5.前記特定更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間と、前記順次更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間との時間差を、前記第2処理タイミングとなるまでに消失させる又は低減させる調整手段(第1のパターンにおけるステップS504を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS603〜ステップS606の処理構成及びステップS605を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A3又はA4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間から特定更新態様であるか又は順次更新態様であるかを特定しようとしても、両者の場合における処理時間の時間差が存在していない又は区別できない程度となっているため、それが不可又は行いづらくなる。
特徴A6.前記調整手段は、前記数値情報更新処理の処理態様が前記特定更新態様である場合、及び前記数値情報更新処理の処理態様が前記順次更新態様である場合の少なくとも一方に対して、前記第2処理タイミングとなる前に遅延時間を付加することにより、前記時間差を消失させる又は低減させるものであることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、遅延時間を付加するという比較的簡素な処理構成により、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴A7.前記調整手段は、前記遅延時間が付加されている期間においては、その後の遊技を進行させる場合に前記制御手段に参照されるデータについての設定処理が実行されないようにするものであることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A7によれば、遊技の進行内容への影響を抑えながら遅延時間を付加することが可能となる。また、遅延時間の変動が抑えられる。
特徴A8.前記数値情報更新手段は、
前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる順次更新処理(第1のパターンにおいてステップS502、第2のパターンにおいてステップS602)を実行する手段(第1のパターンにおいてステップS502を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS602を実行する機能)と、
当該順次更新処理により更新された数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超えていることを特定することを可能とする境界判定処理(第1のパターンにおいてステップS503、第2のパターンにおいてステップS603)を実行する手段(第1のパターンにおいてステップS503を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS603を実行する機能)と、
当該境界判定処理の結果が、前記順次更新処理により更新された数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超えていることに対応した結果である場合に、前記数値情報が前記所定の数値範囲における他方の境界となるようにするための境界設定処理(第1のパターンにおいてステップS505、第2のパターンにおいてステップS604)を実行する手段(第1のパターンにおいてステップS505を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS604を実行する機能)と、
を備え、
前記順次更新態様は、前記境界設定処理が実行されることなく、前記順次更新処理により更新された数値情報が前記数値情報記憶手段に設定される態様であり、
前記特定更新態様は、前記境界設定処理の実行に基づき、前記他方の境界となる数値情報が前記数値情報記憶手段に設定される態様であることを特徴とする特徴A3乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8の処理構成によれば、数値情報を、所定の数値範囲における一方の境界に向けて順次更新していく場合と、所定の数値範囲における一方の境界を超えた場合に他方の境界に対応した数値情報に設定する場合との処理を好適に実施することができる反面、その数値情報の設定に要する処理時間は後者の方が長くなるものと考えられる。そうすると、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間を不正に読み取り、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを特定する不正行為が想定される。これに対して、上記特徴A3の構成を備えていることにより、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを不正に特定しようとしても、それを行いづらくさせることが可能となる。
特徴A9.前記数値情報更新手段は、前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行されずに前記順次更新態様となる場合の前記境界判定処理から前記数値情報更新処理の終了タイミングまでの第1処理時間と、前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行されて前記特定更新態様となる場合の前記境界判定処理から前記終了タイミングまでの第2処理時間との時間差を、消失させる又は低減させる調整手段(第1のパターンにおけるステップS504を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS603〜ステップS606の処理構成及びステップS605を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、第1処理時間と第2処理時間との時間差が存在していない又は区別できない程度となっているため、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間から特定更新態様であるか又は順次更新態様であるかを特定しようとしても、それが不可又は行いづらくなる。
特徴A10.前記調整手段は、前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行されずに前記順次更新態様で前記数値情報更新処理が完了する場合、及び前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行されて前記特定更新態様で前記数値情報更新処理が完了する場合の少なくとも一方に対して、前記境界判定処理の判定結果に応じて処理が分岐している状況にて遅延時間を付加することにより、前記第1処理時間と前記第2処理時間との時間差が生じないようにする又は当該時間差を低減するものであることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、遅延時間を付加するという比較的簡素な処理構成により、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。また、本構成によれば、境界判定処理による判定結果に応じて処理が分岐する先側にて処理時間の調整が行われるため、当該処理時間の調整を行う上での処理構成の簡素化が図られる。
特徴A11.前記制御手段は、プログラムカウンタのデータに従って各種処理を実行していく構成であり、
前記特定更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間と、前記順次更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間との時間差を、前記第2処理タイミングとなるまでに消失させる又は低減させる調整手段(第1のパターンにおけるステップS504を実行する機能、第2のパターンにおいてステップS603〜ステップS606の処理構成及びステップS605を実行する機能)を備え、
当該調整手段は、前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行される場合、前記プログラムカウンタのデータが第1データ分変更されることで、前記境界判定処理の判定先の処理が実行されるようにする一方、前記境界判定処理の結果、前記境界設定処理が実行されない場合、前記プログラムカウンタのデータが前記第1データ分よりもデータ量が多い第2データ分変更されることで、前記境界判定処理の判定先の処理が実行されるようにしながら、前記時間差を消失させる又は低減させるものであることを特徴とする特徴A8乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
判定処理の結果に応じた処理を実行する場合、プログラムカウンタのデータ量が変更される場合ほど、その判定先の処理を開始するのに要する時間が長くなる。この場合に、特徴A11によれば、境界設定処理が実行される場合と境界設定処理が実行されない場合とのうち、前者の処理時間の方が長くなることに鑑みて、判定処理の結果、前者の処理が実行される場合の方が後者の場合よりもプログラムカウンタにおいて変更されるデータ量が少なくなる。これにより、数値情報更新処理の各処理回の処理時間が長時間化することを抑制しながら、上記のような不正行為を抑制することが可能となる。
特徴A12.前記特定処理は、前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報が付与対応の数値情報である場合に遊技者に特典が付与されるようにする処理であることを特徴とする特徴A1乃至A11のいずれか1に記載の遊技機。
数値情報の取得に関して不正を施すことで不正な特典を得ようとしても、上記特徴A1乃至A3のいずれかの構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
特徴A13.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであることを特徴とする特徴A1乃至A12のいずれか1に記載の遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取ることで遊技の進行を不正に操作しようとしても、上記特徴A1乃至A3のいずれかの構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
<特徴B群>
特徴B1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
前記数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記所定の数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる境界更新態様と、
前記数値情報の更新が1周分完了した場合に、当該数値情報が次の更新周回における新たな初期値に対応した数値情報に更新させる初期値更新態様と、
が含まれており、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間が、前記数値情報更新処理の処理態様が前記境界更新態様である場合と、前記数値情報更新処理の処理態様が前記初期値更新態様である場合とのいずれであるかが一義的に定まる処理時間となる事象の発生を制限するように、前記制御手段が構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、それを元にして数値情報更新処理の処理態様が境界更新態様及び初期値更新態様のいずれであるかを特定しようとしても、それが行いづらくなる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴B2.前記境界更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間と、前記初期値更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間との時間差を、前記第2処理タイミングとなるまでに消失させる又は低減させる調整手段(第3のパターンにおけるステップS705を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間から境界更新態様であるか又は初期値更新態様であるかを特定しようとしても、両者の場合における処理時間の時間差が存在していない又は区別できない程度となっているため、それが不可又は行いづらくなる。
特徴B3.前記調整手段は、前記数値情報更新処理の処理態様が前記境界更新態様である場合、及び前記数値情報更新処理の処理態様が前記初期値更新態様である場合の少なくとも一方に対して、前記第2処理タイミングとなる前に遅延時間を付加することにより、前記時間差を消失させる又は低減させるものであることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、遅延時間を付加するという比較的簡素な処理構成により、上記のように優れた効果を奏することが可能となる。
特徴B4.前記調整手段は、前記遅延時間が付加されている期間においては、その後の遊技を進行させる場合に前記制御手段に参照されるデータについての設定処理が実行されないようにするものであることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
特徴B4によれば、遊技の進行内容への影響を抑えながら遅延時間を付加することが可能となる。また、遅延時間の変動が抑えられる。
特徴B5.前記特定処理は、前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報が付与対応の数値情報である場合に遊技者に特典が付与されるようにする処理であることを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
数値情報の取得に関して不正を施すことで不正な特典を得ようとしても、上記特徴B1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
特徴B6.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであることを特徴とする特徴B1乃至B5のいずれか1に記載の遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取ることで遊技の進行を不正に操作しようとしても、上記特徴B1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
<特徴C群>
特徴C1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
第1数値範囲内において、第1数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される第1数値情報を更新させる第1数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する第1数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記第1数値情報記憶手段に保持されている第1数値情報を利用して第1特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する第1特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
第2数値範囲内において、第2数値情報記憶手段(リーチ乱数カウンタC3)に保持される第2数値情報を更新させる第2数値情報更新処理(リーチ乱数更新処理)を実行する第2数値情報更新手段(MPU102におけるリーチ乱数更新処理を実行する機能)と、
前記第2数値情報記憶手段に保持されている第2数値情報を利用して第2特定処理(特図変動開始処理のうちリーチ判定処理)を実行する第2特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうちリーチ判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記第1数値情報更新処理による処理態様には、
前記第1数値範囲において前記第1数値情報を順次更新させる第1順次更新態様と、
第1特定契機が発生した場合に、前記第1数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記第1数値情報を更新させる第1特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様)と、
が含まれており、
前記第2数値情報更新処理による処理態様には、
前記第2数値範囲において前記第2数値情報を順次更新させる第2順次更新態様と、
第2特定契機が発生した場合に、前記第2数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記第2数値情報を更新させる第2特定更新態様(リーチ乱数カウンタC3の数値情報が最小値に設定される態様)と、
が含まれており、
前記第1数値情報更新処理及び前記第2数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間が、前記第1数値情報更新処理の処理態様が前記第1特定更新態様であって前記第2数値情報更新処理の処理態様が前記第2順次更新態様である場合と、前記第1数値情報更新処理の処理態様が前記第1順次更新態様であって前記第2数値情報更新処理の処理態様が前記第2特定更新態様である場合とのいずれであるかが一義的に定まる処理時間となる事象の発生を制限するように、前記制御手段が構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、それを元にして第1数値情報更新処理の処理態様が第1特定更新態様である状況及び第2数値情報更新処理の処理態様が第2特定更新態様である場合のいずれであるかを特定しようとしても、それが行いづらくなる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「第1順次更新態様」には、「前記第1数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、第1数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
また、「第2順次更新態様」には、「前記第2数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、第2数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴C2.前記第1特定更新態様は、前記第1数値情報が前記第1数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記第1数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる態様であり、
前記第2特定更新態様は、前記第2数値情報が前記第2数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記第2数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる態様であることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
第1数値情報を、第1数値範囲における一方の境界に向けて順次更新していく場合と、第1数値範囲における一方の境界を超えた場合に他方の境界に対応した数値情報に設定する場合とでは、その数値情報の設定に要する処理時間は後者の方が長くなるものと考えられる。これは、第2数値情報についても同様である。そうすると、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間を不正に読み取り、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを特定する不正行為が想定される。これに対して、上記特徴C1の構成を備えていることにより、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを不正に特定しようとしても、それを行いづらくさせることが可能となる。
特徴C3.前記第1特定更新態様とするために前記第1数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間及び前記第2順次更新態様とするために前記第2数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間の和の時間と、前記第1順次更新態様とするために前記第1数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間及び前記第2特定更新態様とするために前記第2数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間の和の時間との時間差を、前記第2処理タイミングとなるまでに消失させる又は低減させる調整手段(第5のパターンにおけるステップS916を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1又はC2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間から第1特定更新態様であるか又は第2特定更新態様であるかを特定しようとしても、両者の場合における処理時間の時間差が存在していない又は区別できない程度となっているため、それが不可又は行いづらくなる。
特徴C4.前記調整手段は、前記第1数値情報更新処理の処理態様が前記第1特定更新態様である場合、及び前記第2数値情報更新処理の処理態様が前記第2特定更新態様である場合の少なくとも一方に対して、前記第2処理タイミングとなる前に遅延時間を付加することにより、前記時間差を消失させる又は低減させるものであることを特徴とする特徴C3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、遅延時間を付加するという比較的簡素な処理構成により、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴C5.前記調整手段は、前記遅延時間が付加されている期間においては、その後の遊技を進行させる場合に前記制御手段に参照されるデータについての設定処理が実行されないようにするものであることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C5によれば、遊技の進行内容への影響を抑えながら遅延時間を付加することが可能となる。また、遅延時間の変動が抑えられる。
特徴C6.前記第1特定処理は、前記第1数値情報記憶手段に保持されている第1数値情報が付与対応の数値情報である場合に遊技者に特典が付与されるようにする処理であることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
第1数値情報の取得に関して不正を施すことで不正な特典を得ようとしても、上記特徴C1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
特徴C7.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであることを特徴とする特徴C1乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取ることで遊技の進行を不正に操作しようとしても、上記特徴C1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
<特徴D群>
特徴D1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された第1処理タイミング(停電情報記憶処理が実行されるタイミング)と第2処理タイミング(遊技停止判定処理が実行されるタイミング)との間の処理時間を、前記数値情報更新処理の処理態様が前記特定更新態様であることが一義的に定まらないように変動させる時間変動手段(第4のパターンにおけるステップS802〜ステップS804を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間が不正に読み取られた場合において、その処理時間は数値情報更新処理の処理態様に関係なく変動するため、不正に読み取った処理時間を元にして、数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であるか否かを特定しようとしても、それが行いづらくなる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴D2.前記時間変動手段は、前記第1処理タイミングと前記第2処理タイミングとの間において遅延時間を付加するものであって、その付加する遅延時間を変動させるものであることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、遅延時間を変動させるという比較的簡素な処理構成により、上記のように優れた効果を奏することが可能となる。
特徴D3.前記時間変動手段は、前記遅延時間が付加されている期間においては、その後の遊技を進行させる場合に前記制御手段に参照されるデータについての設定処理が実行されないようにするものであることを特徴とする特徴D2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、遊技の進行内容への影響を抑えながら遅延時間を付加することが可能となる。
特徴D4.前記時間変動手段により付加される遅延時間の種類には、前記特定更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間と、前記順次更新態様とするために前記数値情報更新処理にて実行される処理の処理時間との時間差以上となる遅延時間が含まれていることを特徴とする特徴D2又はD3に記載の遊技機。
特徴D4によれば、処理時間が不正に読み取られたとしても、その処理時間が特定更新態様及び順次更新態様のいずれに対応しているのかを特定することができないため、その処理時間は所定の数値範囲に含まれる全ての数値情報に対応していることとなる。そうすると、その処理時間を利用して不正に遊技の進行を操作しようとしても、実質的に不可となる。
特徴D5.前記特定更新態様は、前記数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記所定の数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる態様であることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
数値情報を、所定の数値範囲における一方の境界に向けて順次更新していく場合と、所定の数値範囲における一方の境界を超えた場合に他方の境界に対応した数値情報に設定する場合とでは、その数値情報の設定に要する処理時間は後者の方が長くなるものと考えられる。そうすると、第1処理タイミングと第2処理タイミングとの間の処理時間を不正に読み取り、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを特定する不正行為が想定される。これに対して、上記特徴D1の構成を備えていることにより、上記他方の境界に対応した数値情報となったタイミングを不正に特定しようとしても、それを行いづらくさせることが可能となる。
特徴D6.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が前記第1処理タイミングの次に行われるタイミングであり、
前記特定更新態様は、前記数値情報が前記所定の数値範囲における一方の境界を超える場合に、その数値情報を前記所定の数値範囲における他方の境界となる数値情報に更新させる境界更新態様であり、
前記数値情報更新処理による処理態様には、前記数値情報の更新が1周分完了した場合に、当該数値情報が次の更新周回における新たな初期値に対応した数値情報となるように更新させる初期値更新態様が含まれており、
前記数値情報更新処理においてその処理態様が前記境界更新態様となるのに必要な処理、前記数値情報更新処理においてその処理態様が前記初期値更新態様となるのに必要な処理、及び前記時間変動手段において前記処理時間を変動させる処理のいずれもが、前記第1処理タイミングと前記第2処理タイミングとの間に含まれていることを特徴とする特徴D1乃至D5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D6によれば、処理時間が不正に読み取られたとしても、その処理時間が境界更新態様であるか否かを特定することができなくなり、さらにその処理時間が初期値更新態様であるか否かも特定することができなくなる。つまり、境界更新態様であるか否かを不正に特定しようとする行為及び初期値更新態様であるか否かを不正に特定しようとする行為を、時間変動手段によってまとめて抑制することが可能となる。
特徴D7.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が前記第1処理タイミングの次に行われるタイミングであり、
前記制御手段は、
第2数値範囲内において、第2数値情報記憶手段(リーチ乱数カウンタC3)に保持される第2数値情報を更新させる第2数値情報更新処理(リーチ乱数更新処理)を実行する第2数値情報更新手段(MPU102におけるリーチ乱数更新処理を実行する機能)と、
前記第2数値情報記憶手段に保持されている第2数値情報を利用して第2特定処理(特図変動開始処理のうちリーチ判定処理)を実行する第2特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうちリーチ判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記第2数値情報更新処理による処理態様には、
前記第2数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、前記第2数値情報を順次更新させる第2順次更新態様と、
第2特定契機が発生した場合に、前記第2数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記第2数値情報を更新させる第2特定更新態様(リーチ乱数カウンタC3の数値情報が最小値に設定される態様)と、
が含まれており、
前記数値情報更新処理においてその処理態様が前記特定更新態様となるのに必要な処理、前記第2数値情報更新処理においてその処理態様が前記第2特定更新態様となるのに必要な処理、及び前記時間変動手段において前記処理時間を変動させる処理のいずれもが、前記第1処理タイミングと前記第2処理タイミングとの間に含まれていることを特徴とする特徴D1乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D7によれば、処理時間が不正に読み取られたとしても、その処理時間が第1特定更新態様であるか否かを特定することができなくなり、さらにその処理時間が第2特定更新態様であるか否かも特定することができなくなる。つまり、第1特定更新態様であるか否かを不正に特定しようとする行為及び第2特定更新態様であるか否かを不正に特定しようとする行為を、時間変動手段によってまとめて抑制することが可能となる。
特徴D8.前記特定処理は、前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報が付与対応の数値情報である場合に遊技者に特典が付与されるようにする処理であることを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
数値情報の取得に関して不正を施すことで不正な特典を得ようとしても、上記特徴D1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
特徴D9.前記第1処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであり、
前記第2処理タイミングは、前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われるタイミングであることを特徴とする特徴D1乃至D8のいずれか1に記載の遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取ることで遊技の進行を不正に操作しようとしても、上記特徴D1の構成を備えていることにより、それを行いづらくすることが可能となる。
<特徴E群>
特徴E1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記制御手段は、定期的に定期処理(第6のパターンにおけるタイマ割込み処理)を実行可能であり、且つ当該定期処理が実行されていない状況において非定期的に非定期処理(ステップS110〜ステップS115)を実行可能であり、
前記定期処理には、前記数値情報更新処理が含まれており、且つ前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われる所定処理(ステップS1002)が含まれており、
前記数値情報更新処理において少なくともその処理態様が前記特定更新態様となるのに必要な処理は、前記定期処理が開始された場合において前記所定処理が実行される前に実行されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取られることが想定され、一の所定処理と次の所定処理との間の処理時間が不正に読み取られた場合、数値情報更新処理の処理時間が間接的に特定されてしまうことが想定され、それに伴って特定更新態様であるか否かが特定されてしまうことが想定される。これに対して、定期処理が実行されていない状況で非定期処理が実行される構成において、定期処理が開始された場合には所定処理が実行される前に、数値情報更新処理において少なくともその処理態様が特定更新態様となるのに必要な処理が実行される。これにより、上記処理時間が読み取られたとしても、その処理時間は非定期処理の実行態様に応じて変動することとなり、上記読み取った処理時間を元にして数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であることを特定しようとしてもそれが行いづらくなる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
特徴E2.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれており、
前記制御手段は、定期的に定期処理(第6のパターンにおけるタイマ割込み処理)を実行可能であり、且つ当該定期処理が実行されていない状況において非定期的に非定期処理(ステップS110〜ステップS115)を実行可能であり、
前記定期処理には、前記数値情報更新処理が含まれており、且つ前記制御手段において信号の入力及び出力の少なくとも一方が行われる所定処理(ステップS1119)が含まれており、
前記定期処理における前記所定処理と前記定期処理の終了タイミングとの間には、前記制御手段にて信号の入力及び出力を行うための処理が含まれておらず、
前記数値情報更新処理において少なくともその処理態様が前記特定更新態様となるのに必要な処理は、前記定期処理において前記所定処理の後に実行されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
制御手段における信号の入出力の間隔を不正に読み取られることが想定され、一の所定処理と次の所定処理との間の処理時間が不正に読み取られた場合、数値情報更新処理の処理時間が間接的に特定されてしまうことが想定され、それに伴って特定更新態様であるか否かが特定されてしまうことが想定される。これに対して、定期処理が実行されていない状況で非定期処理が実行される構成において、定期処理における所定処理の実行後に、数値情報更新処理にて少なくともその処理態様が特定更新態様となるのに必要な処理が実行される。これにより、上記処理時間が読み取られたとしても、その処理時間は非定期処理の実行態様に応じて変動することとなり、上記読み取った処理時間を元にして数値情報更新処理の処理態様が特定更新態様であることを特定しようとしてもそれが行いづらくなる。よって、上記処理時間の読み取りを通じて遊技の進行を不正に操作しようとしてもそれが行いづらくなる。
なお、「順次更新態様」には、「前記所定の数値範囲における一方の境界となる数値情報に向けて、数値情報を順次更新させる態様」が含まれる。
上記特徴A群乃至特徴E群の各発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種としてパチンコ遊技機等の遊技機が知られている。かかる遊技機は、例えば作動口への入球を条件に当り外れの抽選を行い、当選の場合には大入賞口を開放するなどの特典が遊技者に付与される。ここで、当り外れの抽選に際しては、所定の数値範囲において数値情報を順次更新する乱数カウンタといった数値情報記憶手段から数値情報を取得し、その数値情報が所定の数値情報に対応しているか否かを判定することにより行われる。
数値情報記憶手段としては、CPUなどの制御手段に付属させて設けられた読み書き両用のメモリにおける所定ビット数分のエリアを利用する構成が知られている。この場合、例えば数ms単位といった極微小な時間単位で+1ずつ更新され、最大値までくると最小値に戻される。
具体的に説明すると、上記所定の数値範囲が0〜299であったとすれば、数値情報が0から始まり、299にくると0に戻されるようになっている。かかる数値情報を作動口へ入球したタイミングによって取得し、その数値情報が大当たり対応の数値情報である場合に当選として処理されるのである(例えば、特開2003−245455号公報参照)。
しかしながら、上記のようにループする数値情報記憶手段は大局的には数値情報が周期的な変化を行うため、当選に対応した数値情報を意図的に狙われる不正行為が後を絶たない。
かかる不正行為の対策として、数値情報の更新が1周した場合に、次の周回の初期値を不規則に変化させる手法が考えられている。この手法によれば、数値情報の周期性が失われ、当選に対応した数値情報の取得を意図的に狙うことが比較的むずかしくなる。
しかしながら、上記のような構成であっても、当選に対応した数値情報が意図的に狙われる不正行為が行われてしまうことが想定される。例えば、上記のように各周回の初期値を不規則とした場合であっても、最小値の「0」となる場合等といったように所定の数値情報への更新を行う場合において更新に要する処理時間が他の場合と比して変動することが考えられ、その処理時間の変動を外部から読み取り、当選に対応した数値情報を意図的に狙われる不正行為が想定される。
なお、以上は作動口への入球タイミングによって当たり外れを抽選するパチンコ遊技機を中心に説明したが、スタートレバーの操作タイミングによって当たり外れを抽選するスロットマシン等の他の遊技機でも同様の問題がある。
また、大当たり抽選とは異なる抽選に利用される数値情報においてもその取得に関して不正を施すことが考えられ、このような数値情報についても同様の問題がある。
<特徴F群>
特徴F1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(MPU102、第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、所定の処理を実行する場合に所定の電流が流れる特定電気経路(第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5)を備えており、
前記制御手段に対して直接対峙する箇所及び所定の部材を挟んで対峙する箇所の少なくとも一方に、電磁波の透過を抑制する透過抑制手段(シールド板130)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、制御手段に発生する電磁波ノイズを検知することで当該制御手段における処理タイミングが所定の処理タイミングであることを不正に把握しようとしても、透過抑制手段によって上記電磁波ノイズの透過が抑制されるため、上記不正行為が行いづらくなる。これにより、上記不正行為を阻止することが可能となる。
特徴F2.前記透過抑制手段は、当該透過抑制手段を挟んで前記制御手段とは反対側から当該制御手段を目視可能なように透明に形成されていることを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
特徴F2によれば、制御手段の目視による確認を可能としながら、上記不正行為を阻止することが可能となる。
特徴F3.前記制御手段は、基板ボックス(基板ボックス83)内に収容された回路基板(主制御基板101)に対して設けられており、
前記透過抑制手段は、前記基板ボックスにおいて前記制御手段と対峙する箇所に又は当該基板ボックスを挟んで前記制御手段と対峙する箇所に設けられていることを特徴とする特徴F1又はF2に記載の遊技機。
特徴F3によれば、基板ボックスを支えとして利用しながら透過抑制手段を設けることができる。
特徴F4.前記基板ボックスは、前記回路基板に設けられた特定部品(コネクタ121d,コネクタ121e、初期化スイッチ123)を当該基板ボックス外部に露出させるための特定開口部(開口部122d,122e,124)を備えており、
前記透過抑制手段は、前記特定部品を非露出状態としないように形成されていることを特徴とする特徴F3に記載の遊技機。
特徴F4によれば、特定部品に対する操作性を低下させることなく、透過抑制手段を設けることができる。
特徴F5.前記特定部品は複数設けられているとともに、それに対応させて前記開口部が設けられており、
前記透過抑制手段において前記特定部品を非露出状態としないようにするための露出孔部(露出孔部137a〜137c)は、前記複数の特定部品に対して1対1で対応させて設けられていることを特徴とする特徴F4に記載の遊技機。
特徴F5によれば、複数の特定部品を露出状態とする上で、基板ボックスにおいて透過抑制手段と対峙しない領域を極力狭くすることが可能となる。これにより、上記特定部品を露出させるための箇所を利用して、透過抑制手段よりも制御手段側へと不正治具を挿入しようとしても、それが行いづらくなる。
特徴F6.前記透過抑制手段は、前記基板ボックスの外部において当該基板ボックスに重ねるようにして設けられていることを特徴とする特徴F3乃至F5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F6によれば、基板ボックスの製造工程への影響及び基板ボックスの組み立て工程への影響を低減しながら、透過抑制手段を設けることが可能となる。
特徴F7.前記基板ボックスは、前記制御手段と対峙する表面と当該表面に連続する周面とを含む箱状に形成されており、
前記透過抑制手段は、前記表面に対して外側から重ねるように設けられており且つ当該表面から連続させて前記周面側へ延在させて設けられていることを特徴とする特徴F6に記載の遊技機。
特徴F7によれば、基板ボックスの表面と周面との曲がり部分を利用して基板ボックスと透過抑制手段との間に不正治具を入り込ませようとしても、それが行いづらくなる。
特徴F8.前記基板ボックスは支持体(遊技盤24)の背面に搭載されているともに、当該支持体の背面には当該支持体の背面の少なくとも一部を覆うようにして背面体(裏パックユニット15)を備えており、
前記透過抑制手段は、前記背面体に対して設けられていることを特徴とする特徴F6又はF7に記載の遊技機。
特徴F8によれば、背面体を支持体から分離させれば、基板ボックスに対して透過抑制手段が重ならない状態とすることが可能となる。これにより、制御手段、回路基板又は基板ボックスのメンテナンス時における作業性を低下させることなく、透過抑制手段を設けることが可能となる。
特徴F9.前記基板ボックスは、リーダ装置に対して識別情報を送信可能なICタグを備えており、
前記透過抑制手段は、前記ICタグを覆わないようにして設けられていることを特徴とする特徴F3乃至F8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F9によれば、ICタグからの識別情報の読み取り作業の作業性を低下させることなく、透過抑制手段を設けることが可能となる。
特徴F10.前記制御手段は、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)を実行する数値情報更新手段(MPU102における大当たり乱数更新処理を実行する機能)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)を実行する特定処理実行手段(MPU102における特図変動開始処理のうち当否判定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれていることを特徴とする特徴F1乃至F9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F10によれば、不正行為者が、数値情報記憶手段に保持される数値情報が所定の数値情報となるタイミングを、制御手段からの電磁波ノイズを検知することにより行うとしても、上記特徴F1等にて記載した構成を備えていることにより、それが行いづらくなる。
上記F群の各発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種としてパチンコ遊技機等の遊技機が知られている。かかる遊技機は、例えば作動口への入球を条件に当り外れの抽選を行い、当選の場合には大入賞口を開放するなどの特典が遊技者に付与される。当り外れの抽選に際しては、数値情報が順次更新される乱数カウンタといった数値情報記憶手段から数値情報を取得し、その数値情報が所定の数値情報に対応しているか否かを判定することにより行われる(例えば、特開2003−245455号公報参照)。
ここで、電磁波ノイズを利用して不正に特典を得ようとする行為が想定される。例えば、上記制御手段にて所定の処理が実行される場合に電気経路を電流が流れる構成において、当該電流が流れる際の電磁波ノイズを検知して制御手段の処理タイミングが所定のタイミングであるか否かを不正に把握しようとする行為が想定される。
なお、以上は作動口への入球タイミングによって当たり外れを抽選するパチンコ遊技機を中心に説明したが、スタートレバーの操作タイミングによって当たり外れを抽選するスロットマシン等の他の遊技機でも同様の問題がある。
<特徴G群>
特徴G1.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(主制御装置81)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の処理を実行する場合に所定の第1電流が流れる第1電気経路(第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5)と、
前記所定の処理の処理内容に関わらず、予め定められた特定信号(クロック信号)が伝送されることにより所定の第2電流が流れる第2電気経路(第7信号経路LN7)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴G1によれば、第1電気経路を所定の第1電流が流れることに起因して発生する電磁波ノイズと、第2電気経路を所定の第2電流が流れることに起因して発生する電磁波ノイズとが混在する。これにより、第1電気経路から発生する電磁波ノイズを特定することが困難となる。これにより、第1電気経路から発生する電磁波ノイズを検知することで、制御手段における処理タイミングが所定の処理タイミングであることを不正に把握しようとする不正行為を抑制することができる。
特徴G2.複数種の処理を実行することにより遊技の進行を制御する制御手段(主制御装置81)を備えた遊技機であって、
前記制御手段は、
所定の処理を実行する場合に所定の第1電流が流れる第1電気経路(第4信号経路LN4及び第5信号経路LN5)と、
前記所定の処理の処理内容に関わらず、予め定められた周期信号(クロック信号)が伝送されることにより所定の第2電流が流れる経路であって、電磁波ノイズを発生させるための第2電気経路(第7信号経路LN7)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴G2によれば、第1電気経路を所定の第1電流が流れることに起因して発生する電磁波ノイズと、第2電気経路に周期信号が伝送されることに起因して発生する電磁波ノイズとが混在する。これにより、第1電気経路から発生する電磁波ノイズを特定することが困難となる。これにより、第1電気経路から発生する電磁波ノイズを検知することで、制御手段における処理タイミングが所定の処理タイミングであることを不正に把握しようとする不正行為を抑制することができる。
特徴G3.前記制御手段は、
前記第1電気経路に前記所定の第1電流が流れる契機となる所定信号を出力する所定信号出力手段(MPU102にて各信号経路LN4,LN5を通じて信号出力する機能)と、
前記第2電気経路を伝送する前記周期信号を出力する周期信号出力手段(クロック回路201)と、
前記各出力手段が搭載された制御基板(主制御基板101)と、
を備え、
前記制御基板に、前記第1電気経路及び前記第2電気経路が形成されていることを特徴とする特徴G2に記載の遊技機。
特徴G3によれば、1の制御基板に各電気経路が形成されている。これにより、制御基板からの発生する電磁波ノイズには、各電気経路から発生する電磁波ノイズが混在している。これにより、第1電気経路からの電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為を抑制することができる。
特徴G4.前記各電気経路は、少なくとも一部が並走するように形成されていることを特徴とする特徴G3に記載の遊技機。
特徴G4によれば、各電気経路は、少なくとも一部が並走するよう形成されているため、第1電気経路から発生している電磁波ノイズを取得しようとすると、自ずと第2電気経路からの電磁波ノイズが取得されることとなる。これにより、第1電気経路から発生している電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為を抑制することができる。
特徴G5.前記第2電気経路は、前記第1電気経路よりも前記制御基板の縁側に形成されていることを特徴とする特徴G3又は特徴G4に記載の遊技機。
特徴G5によれば、第2電気経路が第1電気経路よりも制御基板の縁側に形成されているため、制御基板の外側から、特に基板の面方向から電磁波ノイズを取得しようとすると、第2電気経路からの電磁波ノイズが取得され易い。これにより、第1電気経路から発生している電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為をより好適に抑制することができる。
特徴G6.前記第2電気経路は、前記制御基板において、前記第1電気経路を囲むように形成されていることを特徴とする特徴G3乃至G5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G6によれば、第2電気経路は、第1電気経路を囲むように形成されているため、どの方向から電磁波ノイズを取得しようとしても、第2電気経路からの電磁波ノイズが取得され易い。これにより、第1電気経路から発生している電磁波ノイズのみを取得しようとする不正行為をより好適に抑制することができる。
特徴G7.前記第2電気経路の一端には、前記周期信号出力手段又は前記周期信号出力手段からの前記周期信号を中継する中継手段(MPU102)が接続されている一方、前記第2電気経路の他端は、フローティングに設定されていることを特徴とする特徴G3乃至G6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G7によれば、第2電気経路の他端はフローティングに設定されているため、第2電気経路は電気的に不安定な状態となっている。これにより、第2電気経路から電磁波ノイズが発生し易いため、第1電気経路からの電磁波ノイズを取得する不正行為をより好適に抑制することができる。
特徴G8.前記制御手段は、前記周期信号として予め定められた特定周期を有するクロック信号を出力するクロック信号出力手段(クロック回路201)を備え、前記クロック信号を用いて前記所定の処理を実行するものであり、
前記第2電気経路には前記クロック信号が伝送されることを特徴とする特徴G2乃至G7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G8によれば、所定の処理を実行するのに用いられるクロック信号を周期信号として第2電気経路に伝送させることにより、クロック信号に対応したクロックノイズが発生する。これにより、所定の処理を実行するのに用いられる構成を利用して、第1電気経路から発生する電磁波ノイズの把握を困難なものとするができる。
特徴G9.前記周期信号の周期を変更する変更手段(周波数変更回路221)を備えていることを特徴とする特徴G2乃至G8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G9によれば、周期信号の周期を変更することにより、周期信号の周期の特定を困難にすることができる。これにより、周期信号の周波数を特定するとともに、第2電気経路から発生する周期信号に対応した電磁波ノイズを除去し、第1電気経路から発生する電磁波ノイズのみを抽出する不正行為を抑制することができる。
特徴G10.前記制御手段は、
前記周期信号として予め定められた特定周期を有するクロック信号を出力するクロック信号出力手段(クロック回路201)と、
前記クロック信号を用いて前記所定の処理を実行する演算装置(MPU102)と、
前記第2電気経路とは別に設けられ、前記クロック信号出力手段及び前記演算装置間にて前記クロック信号を伝送するのに用いられる第3電気経路(第6信号経路LN6)と、
を備え、
前記演算装置は、前記第3電気経路を介して伝送された前記クロック信号を用いて、前記所定の処理を実行するものであり、
前記第2電気経路上に前記変更手段を設けたことを特徴とする特徴G9に記載の遊技機。
特徴G10によれば、所定の処理を実行するのに用いられるクロック信号を周期信号として第2電気経路に伝送させることにより、クロック信号に対応したクロックノイズが発生する。これにより、所定の処理を実行するのに用いられる構成を利用して、第1電気経路から発生する電磁波ノイズの把握を困難なものとするができる。
かかる構成において、第2電気経路と第3電気経路とを別々に設け、変更手段を第2電気経路に設けたことにより、変更手段によりクロック信号の周波数が変更された場合であっても、演算装置に入力されるクロック信号の周波数は変化しない。これにより、所定の処理を安定して実行することができる。
特徴G11.前記第1電気経路上には、前記周期信号を除去する除去手段(各ノイズ除去回路211〜213)が設けられていることを特徴とする特徴G2乃至G10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G11によれば、第2電気経路から発生する電磁波ノイズが第1電気経路に混入することに起因する制御手段の誤動作を抑制することができる。
なお、前記制御手段が「前記第1電気経路に前記所定の第1電流が流れる契機となる所定信号を出力する所定信号出力手段」を備えている構成において、第1電気経路を伝送する所定信号の最小周期がmsec単位である場合には、周期信号の周期は、μsec単位又はnsec単位であるとよい。さらに、第1電気経路を伝送する所定信号の最小周期がμsec単位である場合には、周期信号の周期は、nsec単位であるとよい。これにより、除去対象となる周期信号の周波数と、伝送対象となる所定信号の周波数とが大きく異なるため、伝送対象となる所定信号については好適に伝送させつつ、周期信号のみを除去することができる。
特徴G12.前記周期信号の周期を変更する変更手段(周波数変更回路221)を備え、
前記除去手段は、前記変更手段による前記周期信号の変更に伴って、除去対象の周波数を変更する手段を備えていることを特徴とする特徴G11に記載の遊技機。
特徴G12によれば、変更手段により周波数が変更された場合であっても、当該変更に好適に対応することができる。これにより、制御手段の誤動作を抑制しつつ、第2電気経路から発生する周期信号に対応した電磁波ノイズを除去する不正行為を抑制することができる。
特徴G13.前記制御手段は、前記所定の処理として、
所定の数値範囲内において、数値情報記憶手段(大当たり乱数カウンタC1)に保持される数値情報を更新させる数値情報更新処理(大当たり乱数更新処理)と、
前記数値情報記憶手段に保持されている数値情報を利用して特定処理(特図変動開始処理のうち当否判定処理)と、
前記数値情報更新処理を間に挟むようにして設定された処理であって、前記第1電気経路に前記所定の第1電流が流れる契機となる所定信号を出力する処理(ステップS201及びステップS205の処理)と、
を実行可能であり、
前記数値情報更新処理による処理態様には、
前記所定の数値範囲において数値情報を順次更新させる順次更新態様と、
特定契機が発生した場合に、前記数値情報を順次更新する場合とは異なる態様で前記数値情報を更新させる特定更新態様(大当たり乱数カウンタC1の数値情報が最小値に設定される態様、又は大当たり乱数カウンタC1の数値情報が初期値に設定される態様)と、が含まれていることを特徴とする特徴G1乃至G12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G13によれば、不正行為者が、数値情報記憶手段に保持される数値情報が所定の数値情報となるタイミングを、制御手段からの電磁波ノイズを検知することにより行うとしても、上記特徴G1等にて記載した構成を備えていることにより、それが行いづらくなる。
上記G群の各発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種としてパチンコ遊技機等の遊技機が知られている。かかる遊技機は、例えば作動口への入球を条件に制御装置(制御手段)にて当り外れの抽選を行い、当選の場合には大入賞口を開放するなどの特典が遊技者に付与される。当り外れの抽選は、所定の数値範囲において数値情報が順次更新される乱数カウンタといった数値情報記憶手段から数値情報を取得し、その数値情報が所定の数値情報に対応しているか否かを判定することにより行われる(例えば特開2003−245455号公報参照)。
ここで、例えば、上記制御装置にて所定の処理が実行される場合に電気経路を電流が流れる構成において、当該電流が流れる際の電磁波ノイズを検知して制御装置の処理タイミングが所定のタイミングであるか否かを不正に把握し、その所定のタイミングに基づいて、取得される数値情報が当選に対応した数値情報となっているタイミングを不正に把握する行為が行われる場合がある。
なお、以上は作動口への入球タイミングによって制御装置にて当たり外れを抽選するパチンコ遊技機を中心に説明したが、スタートレバーの操作タイミングによって当たり外れを抽選するスロットマシン等の他の遊技機でも同様である。また、上記当り外れの抽選とは異なる抽選に利用される数値情報、抽選とは異なる処理にて利用される数値情報においても同様である。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。