JP5898127B2 - 溶接不良検出方法 - Google Patents

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本発明は、缶胴の溶接不良を検出する溶接不良検出方法に関する。
燃料、溶剤、油等の種々の液体を収容する金属角缶や金属ペール缶あるいはブリキ缶等の缶胴を溶接する方法として、例えば、特許文献1に示すような抵抗シーム溶接という方法が知られている。この抵抗シーム溶接とは、被溶接材の重ね合せ部分にワイヤを介して加圧しながら大電流を流して接合面にナゲット(溶解した金属が凝固した跡)を形成し溶接を行うという方法である。
従来、このように溶接された缶胴の溶接部分を確認するにあたっては、目視、あるいは、当該缶内部に液体を収容し加圧することで液漏れが発生するか否かによって溶接不良を検出するという方法が採られていた。
特開平1−118379号公報
しかしながら、上記のような方法では、精確性に欠け、溶接不良を見落としてしまうという問題があった。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、缶胴の溶接不良を確実に検出することができる溶接不良検出方法を提供することを目的としている。
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1に係る溶接不良検出方法は、缶胴(1)の継目部(1a)に電流を流して当該継目部(1a)を抵抗シーム溶接する工程(図3(a)参照)と、前記溶接した缶胴(1)を撮像する工程と、前記撮像した画像から溶接部分(溶接部1b)を特定する工程(ステップS1)と、前記特定した溶接部分(溶接部1b)を所定幅毎に切り出し、その所定幅毎の溶接部分(溶接部1b)の高さから当該溶接部分(溶接部1b)の平均高さを算出する工程(ステップS2)と、前記算出した平均高さと前記所定幅毎の溶接部分(溶接部1b)の高さとを比較し、その比較結果と所定の第1閾値(高さ閾値HT)とを比較することで前記溶接部分(溶接部1b)の高さ変動幅を算出する工程(ステップS3〜ステップS5)と、前記算出した高さ変動幅と所定の第2閾値(幅閾値WT)とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程(ステップS6)とを含むことを特徴としている。
また、請求項2に溶接不良検出方法は、上記請求項1に記載の溶接不良検出方法において、前記特定した溶接部分(溶接部1b)からスパッタ(SP)を判定する工程(ステップS10)と、前記判定したスパッタ(SP)からスパッタ数を算出し、その算出したスパッタ数と所定の第3閾値(スパッタ数閾値ST)とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程(ステップS11)とをさらに含むことを特徴としている。
さらに、請求項3に係る溶接不良検出方法は、上記請求項1又は2に記載の溶接不良検出方法において、前記撮像した画像から缶胴(1)の端部側を切り出し、非継目部分(非継目部1c)を特定する工程(ステップS20、ステップS21)と、前記特定した非継目部分(非継目部1c)の幅(WA)と所定の第4閾値(非継目部幅閾値NST)とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程(ステップS22)とをさらに含むことを特徴としている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1に係る発明によれば、抵抗シーム溶接した缶胴(1)を撮像し、その撮像した画像から溶接部分(溶接部1b)を特定し、その特定した溶接部分(溶接部1b)を所定幅毎に切り出し、その所定幅毎の溶接部分(溶接部1b)の高さから当該溶接部分(溶接部1b)の平均高さを算出し、その算出した平均高さと所定幅毎の溶接部分(溶接部1b)の高さとを比較し、その比較結果と所定の第1閾値(高さ閾値HT)とを比較することで溶接部分(溶接部1b)の高さ変動幅を算出し、その算出した高さ変動幅と所定の第2閾値(幅閾値WT)を比較することで溶接不良の判定を行っている。これにより、缶胴(1)を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が低電圧である場合には、缶胴(1)の溶接部分(溶接部1b)の所定箇所の幅が他の箇所に比べ大きく変動している場合があるため、その箇所を特定し溶接不良か否かを判定することができる。
しかして、本発明によれば、缶胴の溶接不良を確実に検出することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、特定した溶接部分(溶接部1b)からスパッタ(SP)を判定し(ステップS10)、その判定したスパッタ(SP)からスパッタ数を算出し、その算出したスパッタ数と所定の第3閾値(スパッタ数閾値ST)とを比較することで溶接不良の判定を行っている。これにより、缶胴(1)を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が高電圧である場合には、缶胴(1)の溶接部分(溶接部1b)にスパッタが発生するため、そのスパッタの数を特定し溶接不良か否かを判定することができる。
しかして、本発明によれば、缶胴の溶接不良をより確実に検出することができる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、撮像した画像から缶胴(1)の端部側を切り出し、非継目部分(非継目部1c)を特定し、その特定した非継目部分(非継目部1c)の幅(WA)と所定の第4閾値(非継目部幅閾値NST)とを比較することで溶接不良の判定を行っている。これにより、缶胴(1)を製缶した際、端部側に非継目部(1c)が生じている可能性があるため、その箇所を特定し溶接不良か否かを判定することができる。
しかして、本発明によれば、缶胴の溶接不良をさらにより確実に検出することができる。
本発明の一実施形態に係る溶接不良検出方法における製缶ラインの要部を示す概略側面図である。 (a)〜(c)は同実施形態に係る缶胴の製缶方法を示す説明図である。 (a)は同実施形態に係る溶接機の概略図、(b)は缶胴を溶接した後の一部側面図である。 同実施形態に係る溶接不良を判定する処理を説明するフローチャート図である。 画像処理後の溶接部の拡大写真図である。 図5に示す溶接部に膨らみが生じていた場合の溶接部を所定幅毎に切り出した際の画像処理を説明する説明図である。 図5に示す溶接部に凹みが生じていた場合の溶接部を所定幅毎に切り出した際の画像処理を説明する説明図である。 同実施形態に係る缶胴の先頭部又は後尾部の画像を切り出した画像を示す図である。
以下、本発明に係る溶接不良検出方法の一実施形態について、図1〜図8を参照して具体的に説明する。
図1は、本実施形態における製缶ラインの要部を示しており、この製缶ラインの要部には、燃料、溶剤、油等の種々の液体を収容する金属角缶や金属ペール缶あるいはブリキ缶等の缶胴1を抵抗シーム溶接によって溶接する溶接機2と、溶接後の缶胴1を撮像する撮像装置3と、撮像後の缶胴1を角出しや、フランジ加工等するプレス機4と、撮像装置3によって撮像された缶胴1の画像を用いて溶接不良を判定する溶接不良判定装置5とを備えている。そして、溶接機2とプレス機4との間には、缶胴1を搬送する搬送ラインLが設けられており、この搬送ラインLの下流側に撮像装置3が設けられている。
ところで、缶胴1は、図2に示すように、製缶される。すなわち、図2(a)に示す予め規定寸法に切断された帯板状のブランクシート10が、図2(b)に示すロールホーマー11によって円筒状に成形され、これにより、図2(c)に示す缶胴1が製缶される。そしてこのように製缶された缶胴1の継目部1a(図3(b)参照)が、溶接機2によって抵抗シーム溶接される。
溶接機2は、図3(a)に示すように、ガイド部材20と、ローラ電極21と、ピンチローラ22と、ガイドローラ23〜25と、ワイヤーカッター26と、電極アーム27を備えている。このガイド部材20は、Z形状に形成されており、図示しない搬送ラインによって矢印P1方向に搬送されてきた缶胴1の継目部1a(図3(b)参照)を調整する。そして、この調整された缶胴1は、溶接機2が備えるローラ電極21に搬送される。
一方、ローラ電極21には、ピンチローラ22によって一定速度で繰出される銅ワイヤCWがガイドローラ23によって案内されており、この案内された銅ワイヤCWは、缶胴1に案内されている。そしてこの状態で、ローラ電極21を矢印P2方向に回転させると共に、銅ワイヤCWに大電流を通電すると、缶胴1の継目部1a(図3(b)参照)がローラ電極21に加圧・通電されながら溶接される。これにより、図3(b)に示すように缶胴1の継目部1aに溶接部1bが形成されることとなる。
他方、この通電に使用された銅ワイヤCWは、ガイドローラ24,25に案内され、ワイヤーカッター26によって切断されて破棄される。なお、電極アーム27は、ローラ電極21を支持するものである。
撮像装置3は、図1に示すように、外光遮断カバー30によって上方及び周囲を覆われた内部に撮像用照明32及び撮像用カメラ33が設置されている。そして、この撮像用カメラ33の撮影範囲に缶胴1が搬送ラインLによって搬送されてくると、撮像用照明32による無影光の照明下で缶胴1が撮像され、その撮像された画像データが溶接不良判定装置5に送信されるようになっている。
溶接不良判定装置5は、撮像装置3より送信されてきた画像データに基づき、溶接不良の判定を行うもので、図1に示すように、CPU50と、溶接不良を判定するプログラムを格納したROM51と、作業領域やバッファメモリ等として機能するRAM52と、作業者等によって溶接不良か否かの閾値等を入力できる入力部53と、液晶等からなる表示部54とで構成されている。なお、撮像装置3より送信されてきた画像データは、CPU50により、RAM52内に格納される。
ここで、ROM51内に格納されている溶接不良を判定するプログラムをより詳しく図4〜図8を参照して具体的に説明する。まず、溶接不良と判定するにあたっては、次の3つの処理をそれぞれ行う。第1に、缶胴1を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が低電圧である場合には、缶胴1の溶接部1bの所定箇所の幅が他の箇所に比べ大きく変動している場合があるため、その箇所を特定し溶接不良か否かを判定する。そして第2に、缶胴1を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が高電圧である場合には、缶胴1の溶接部1bにスパッタが発生するため、そのスパッタの数を特定し、溶接不良か否かを判定する。そして最後、第3に、図2に示すように、缶胴1を製缶した際、缶胴1の先頭部又は後尾部に非継目部1c(図8参照)が生じている可能性があるため、その箇所を特定し溶接不良か否かを判定するというものである。
まず、第1の溶接不良判定処理について説明する。
図4に示すように、CPU50は、まず、RAM52内に格納されている画像データの画像処理を行う(ステップS1)。具体的には、二値化処理し、ラプラシアンフィルタ等の演算処理を行う。この処理をした後の画像が図5に示す写真である。この際、図5に示すように、筋状の線Tが形成されるため、この筋状の線Tを境として溶接部1bが特定される。
次いで、CPU50は、特定した溶接部1bの平均高さを算出する処理を行う(ステップS2)。具体的には、図5に示す画像データを図6及び図7に示すように、所定幅毎に切り出す。そしてこの切り出した所定幅毎の高さをh,h,h,・・・・,hn-3,hn-2,hn-1とすると、溶接部1bの平均高さは、Ah=(h+h+h+・・・・+hn-3+hn-2+hn-1)/nとして算出される。なお、図6は、溶接部1bに膨らみが生じていた場合を示し、図7は、溶接部1bに凹みが生じていた場合を示している。
次いで、CPU50は、ステップS3〜ステップS5間のステップS4の処理を繰り返す。すなわち、CPU50は、溶接部1bの平均高さAhから所定幅毎の高さh,h,h,・・・・,hn-3,hn-2,hn-1を減算し、その値が、入力部53によって予め入力されている高さ閾値HTより大きいか否かを判定する。これにより、図7及び図8に示す高さ変動幅Wを検出する。具体的に式に示せば、|Ah−h|>HT、又は、|Ah−h|≦HT,・・・・・,|Ah−hn-1|>HT、又は、|Ah−hn-1|≦HTというように0〜n−1までの処理を繰り返す。そして、減算した高さ閾値HTより大きかったものだけを抽出し、高さ変動幅Wを検出する(ステップS4)。
次いで、CPU50は、上記検出した高さ変動幅Wと入力部53によって予め入力されている幅閾値WTとを比較し、W>WTであれば、溶接不良と判定し、W≦WTであれば、溶接不良でないと判定し処理を終える(ステップS6)。
しかして、このようにすれば、缶胴1を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が低電圧である場合の溶接不良を確実に検出することができる。
次に、第2の溶接不良判定処理について説明する。
CPU50は、図4に示す画像処理(ステップS1)後、輝度が高い部分を判別し、その部分をスパッタとして特定する(ステップS10)。なお、図5に示す符号SPがスパッタである。
次いで、CPU50は、上記特定したスパッタの数を算出し、その算出したスパッタ数と入力部53によって予め入力されているスパッタ数閾値STとを比較し、当該スパッタ数がスパッタ数閾値STより多ければ、溶接不良と判定し、スパッタ数閾値ST以下であれば、溶接不良でないと判定し処理を終える(ステップS11)。
しかして、このようにすれば、缶胴1を抵抗シーム溶接した際、印加した電圧が高電圧である場合の溶接不良を確実に検出することができるため、より確実に溶接不良を検出することができる。
次に、第3の溶接不良判定処理について説明する。
CPU50は、図4に示す画像処理(ステップS1)後、図8に示すように缶胴1の先頭部又は後尾部の画像IMを切り出す(ステップS20)。
次いで、CPU50は、上記切り出した画像IMから、非継目部1cを特定し、その非継目部1cの幅WAを算出する(ステップS21)。続いて、CPU50は、その算出した幅WAと、入力部53によって予め入力されている非継目部幅閾値NSTとを比較し、WA>NSTであれば、溶接不良と判定し、WA≦NSTであれば、溶接不良でないと判定し処理を終える(ステップS22)。
しかして、このようにすれば、缶胴1の先頭部又は後尾部に非継目部が生じた際の溶接不良を確実に検出することができるため、さらにより確実に溶接不良を検出することができる。
1 缶胴
1a 継目部
1b 溶接部(溶接部分)
1c 非継目部
2 溶接機
3 撮像装置
33 撮像用カメラ
5 溶接不良判定装置
HT 高さ閾値(所定の第1閾値)
WT 幅閾値(所定の第2閾値)
ST スパッタ数閾値(所定の第3閾値)
WA (非継目部の)幅
NST 非継目部幅閾値(所定の第4閾値)


Claims (3)

  1. 缶胴の継目部に電流を流して当該継目部を抵抗シーム溶接する工程と、
    前記溶接した缶胴を撮像する工程と、
    前記撮像した画像から溶接部分を特定する工程と、
    前記特定した溶接部分を所定幅毎に切り出し、その所定幅毎の溶接部分の高さから当該溶接部分の平均高さを算出する工程と、
    前記算出した平均高さと前記所定幅毎の溶接部分の高さとを比較し、その比較結果と所定の第1閾値とを比較することで前記溶接部分の高さ変動幅を算出する工程と、
    前記算出した高さ変動幅と所定の第2閾値とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程とを含むことを特徴とする溶接不良検出方法。
  2. 前記特定した溶接部分からスパッタを判定する工程と、
    前記判定したスパッタからスパッタ数を算出し、その算出したスパッタ数と所定の第3閾値とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の溶接不良検出方法。
  3. 前記撮像した画像から缶胴の端部側を切り出し、非継目部分を特定する工程と、
    前記特定した非継目部分の幅と所定の第4閾値とを比較する演算を行い、その比較した演算の結果に基づいて溶接不良を判定する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接不良検出方法。
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