JP5897369B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ポリエステル樹脂との積層に適した樹脂組成物である。
積層シートには同系統樹脂を積層させる場合と異系統樹脂を積層させる場合があり、異系統樹脂の場合は、これらを直接積層させる場合と、これらの層間に接着層を介在させる場合がある。直接積層させる技術としては下記がある。
特開2011−079238 特開2011−079237 特開2011−056736 特開2010−076376 特開2008−207487 特開2006−323340 特開2006−323339 特開2006−035754 特開2006−015745
本発明はポリエステル樹脂で構成された層と直接積層させた際に、各層の層間で剥離を生じることのない、ポリエステル樹脂との積層に適した樹脂組成物およびこれらを用いた積層シート、成形品およびフィルムを提供することを課題とする。
即ち、本発明は以下を特徴とする要旨からなるものである。
以下に示す(A)、(B)で規定された樹脂の混合物であり、しかもASTMD1652に従って測定したオキシラン酸素濃度が0.5〜1.6質量%であり、(B)成分のオキシラン酸素濃度が0.7〜1.8質量%である樹脂組成物。(A)ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を少なくとも2種類以上混合し、以下に示す(I)、(II)で規定されたブロック共重合体樹脂組成物。
(I)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が83/17〜70/30。
(II)動的粘弾性測定で得られる損失弾性率(E”)が70〜100℃の温度範囲に少なくとも一つの極大値を有し、該極大値の温度における貯蔵弾性率と該極大値の温度より20℃高温のときの貯蔵弾性率の差が500MPa以下である樹脂組成物。
(B)スチレンとブタジエンの質量比が30/70〜50/50であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体をエポキシ化して得られる共重合体であり、(A)成分が、下記一般式(ア)〜(ウ)で示されるビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を、少なくとも一つ含むことを特徴とする樹脂組成物。ただしXはビニル芳香族炭化水素ブロック、Yは共役ジエンブロック、Zはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成されたテーパードブロックであり、nは1または2の整数である。
(ア)X−Zn
(イ)X−Zn−X
(ウ)X−Y−Z
さらに樹脂組成物で構成された層の少なくとも片側にポリエステル樹脂を積層させた積層シートであり、多価アルコール成分がエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールのポリエステル樹脂である積層シートである。
また、多価アルコール成分がエチレングリコール50〜70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜48モル%、ジエチレングリコール2〜15モル%である積層シートであり、積層シートを1軸または2軸に延伸したフィルム、これを用いたシュリンクフィルムである。
本発明はポリエステル樹脂で構成された層と直接積層させた際に、各層の層間で剥離を生じることのない、ポリエステル樹脂との積層に適した樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明で使用される樹脂組成物はオキシラン酸素濃度が0.5〜1.6質量%である。0.5質量%未満ではポリエステル樹脂との積層シートおよびフィルムの層間で剥離が発生する。1.6質量%を超えると、ポリエステル樹脂との積層シートにてゲル・ブツが発生し、シートの外観が不良となる場合がある。
オキシラン酸素とはオキシランを構成する酸素原子であり、オキシランとはエチレンなどに代表される不飽和炭化水素の二重結合部分をエポキシ化した構造である。すなわち炭素2原子、酸素1原子からなる複素三員環化合物である。
オキシラン酸素濃度はASTMD1652に従い、臭化水素による滴定により求めた。具体的には、所定量のポリマーをクロロホルム/クロロベンゼン(1/1混合溶液)に溶解し、クリスタルバイオレット指示薬を加え、臭化水素酢酸溶液で滴定することによって、オキシラン酸素濃度を測定することができる。
本発明で使用されるブロック共重合体の製造に用いられるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。好ましくは、スチレンである。
本発明で使用されるブロック共重合体の製造に用いられる共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエンである。
ブロック共重合体とは性質の異なる二種類以上のポリマーが共有結合でつながり、長連鎖となる分子構造の共重合体である。
本発明を構成するブロック共重合体樹脂組成物(A)は少なくとも2種類以上のブロック共重合体の混合物である。1種類の場合はポリエステル樹脂との積層シートの層間で層間剥離が発生する。
本発明を構成するブロック共重合体樹脂組成物(A)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比は83/17〜70/30でなければならない。共役ジエンの質量比が17未満ではポリエステル樹脂との積層シートの層間で層間剥離が発生し、30を超えると積層シートにゲル・ブツが発生する。
「ゲル・ブツ」とは積層シート作成時にシート状に発生する欠点であり、ゲルとは樹脂の劣化物もしくは未溶融物が集中して発生している箇所、ブツはゲル以外の目視で確認可能な欠点のことを現す。
本発明を構成するブロック共重合体樹脂組成物(A)の分子量は40000〜500000が好ましく、より好ましくは60000〜300000である。40000未満ではブロック共重合体の熱安定性が低下する場合があり、500000を超えると成形加工性が低下する場合がある。
本発明に用いられるブロック共重合体樹脂組成物(A)を構成するブロック共重合体は、以下に示す一般式(ア)〜(ウ)で規定されたビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体のいずれかが好ましい。以下に示す一般式以外の場合、ポリエステル樹脂との積層シートを延伸したフィルムの透明性が悪化する場合がある。
ただしXはビニル芳香族炭化水素ブロック、Yは共役ジエンブロック、Zはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成されたテーパードブロックであり、nは1または2の整数である。
(ア)X−Zn
(イ)X−Zn−X
(ウ)X−Y−Z
前記一般式は化学構造を示す。つまりビニル芳香族炭化水素、即ち実質的にビニル芳香族炭化水素からなるブロック状の重合鎖X、共役ジエンブロック、即ち実質的に共役ジエンからなるブロック状の重合鎖Y、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成されたテーパードブロック、即ちビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成された共重合鎖Zの配列順を示す。一般式中にX、YあるいはZが複数存在しても、分子量、共役ジエンの質量割合、共重合鎖のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの分布状態などはそれぞれ独立していて、同一である必要はない。共重合鎖Zの分子量および組成分布は、主にビニル芳香族炭化水素モノマーおよび共役ジエンモノマーの添加量と添加方法により制御される。
テーパードブロックとはビニル芳香族炭化水素単量体と共役ジエン単量体を同時に添加し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの反応性比の違いを利用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを同時に重合することにより作製することができる。テーパードブロック部分の組成比率はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの仕込み比率で調整することができる。
ブロック共重合体樹脂組成物(A)を構成するブロック共重合体の化学構造はテーパードブロックを有する。テーパードブロックと共役ジエンのブロックにおける共役ジエン単位の質量比が同じ場合、テーパードブロックのほうがより軟質化する傾向があり、テーパードブロックを使用することでブロック共重合体樹脂組成物(A)が軟質化しやすく、請求項1記載の動的粘弾性測定(II)の規定範囲内に収まりやすくなり、かつ請求項1記載の樹脂組成物のゲル・ブツが発生しづらい傾向がある。
ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンを一定流量で添加して重合することでランダムブロックを作製することもできる。ランダムブロックとはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンをランダムに重合する方法である。ランダムブロック部のランダム化状態はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの分添速度、温度およびランダム化剤の濃度で調整することができる。
本発明においてランダム化剤は極性を持つ分子であり、アミン類やエーテル類、チオエーテル類、およびホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、その他にカリウムまたはナトリウムのアルコキシドなどが使用可能である。適当なアミン類としては第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの他、環状第三級アミンなども使用できる。エーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その他にトリフェニルフォスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸カリウムまたはナトリウム、カリウム、ナトリウム等のブトキシドなどを挙げることができる。
ランダム化剤は1種、または複数の種類を使用することができ、その添加濃度としては、原料とするモノマー100質量部あたり合計0.001〜10質量部とすることが適当である。
次に、本発明のブロック共重合体の製造について説明する。ブロック共重合体は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのモノマーを重合することにより製造できる。有機溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、あるいは、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素などが使用できる。ブロック共重合体の溶解性の点で、シクロヘキサンが好ましい。
有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのような単官能有機リチウム化合物、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムのような多官能有機リチウム化合物等が使用できる。
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンは、前記したものを使用することができ、それぞれ1種又は2種以上を選んで重合に用いることができる。そして、前記の有機リチウム化合物を重合開始剤とするリビングアニオン重合において、重合反応に供したビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンは、ほぼ全量が重合体に転化する。
本発明におけるブロック共重合体の分子量は、モノマーの全添加量に対する重合開始剤の添加量により制御できる。
このようにして得られたブロック共重合体は、水、アルコール、二酸化炭素などの重合停止剤を活性末端が不活性化するのに充分な量を添加することにより不活性化する。得られたブロック共重合体の有機溶媒溶液より共重合体を回収する方法としては、メタノール等の貧溶媒により析出させる方法、加熱ロール等により溶媒を蒸発させて析出させる方法(ドラムドライヤー法)、濃縮器により溶液を濃縮した後にベント式押出機で溶媒を除去する方法、溶液を水に分散させ、水蒸気を吹き込んで溶媒を加熱除去して共重合体を回収する方法(スチームストリッピング法)等、任意の方法が採用できる。
本発明を構成するブロック共重合体樹脂組成物(A)の動的粘弾性測定で得られる損失弾性率(E”)は70〜100℃の温度範囲に少なくとも一つの極大値を有し、該極大値の温度における貯蔵弾性率と該極大値の温度より20℃高温のときの貯蔵弾性率の差が500MPa以下である。極大値が70℃未満ではポリエステル樹脂との積層シートが黄変する。該極大値の温度における貯蔵弾性率と該極大値の温度より20℃高温のときの貯蔵弾性率の差が500MPaを超えるとポリエステル樹脂との積層シートの層間で層間剥離が発生する。
動的粘弾性とは物体に振動的な変形を与えたときにみられる粘弾性である。動的粘弾性における振動応力とこれに位相の遅れをもつ振動ひずみの比を複素弾性率といい、複素数で表される。
貯蔵弾性率とは複素弾性率の実数部であり、損失弾性率とは複素弾性率の虚数部である。
損失弾性率(E”)が70〜100℃の温度範囲に少なくとも一つの極大値を有するには、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの組成比等により調整することができる。損失弾性率(E”)の極大値を低温側にシフトさせるには、共役ジエンの組成を増やすことで調整が可能である。また、損失弾性率(E”)の極大値を高温側にシフトさせるには、
ビニル芳香族炭化水素の組成を増やすことで調整が可能である。
損失弾性率(E”)が極大値を示す温度における貯蔵弾性率と、該極大値の温度より20℃高温のときの貯蔵弾性率の差を500MPa以下に調整する方法としては、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体の中のテーパードブロックの含有量を増やすことにより調整することができる。
本発明の樹脂組成物は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体をエポキシ化して得られる共重合体(B)(以下、エポキシ化物(B)と略す。)で構成されていなければならない。共重合体中にエポキシ、つまりオキシラン構造を有することにより、ポリエステル樹脂との層間接着強度が向上する。またブロック共重合体樹脂組成物(A)とのブレンド時に透明性が良好となる。
本発明で使用される、エポキシ化物(B)はオキシラン酸素濃度が0.7〜1.8質量%であることが好ましい。0.7質量%未満ではポリエステル樹脂との積層シートを延伸したフィルムの透明性が悪化する可能性があり、1.8質量%を越えると積層シートにゲル・ブツが発生する可能性がある。
本発明で使用される、エポキシ化物(B)のエポキシ化反応前の分子量は50000〜150000であることが好ましい。50000未満では積層シートにゲル・ブツが発生する場合があり、150000を超えると成形加工性が悪化する場合がある。
本発明で使用される、エポキシ化物(B)のエポキシ化反応前のスチレンとブタジエンの質量比は、30/70〜50/50であることが好ましい。スチレンの質量比が30未満ではブロック共重合体樹脂組成物(A)との相溶性が乏しくなり、透明性が低下する場合がある。また、スチレンの質量比が50を超えるとポリエステル樹脂との密着性が低下し、ポリエステル樹脂との積層シートの間で層間剥離を生じる場合がある。
エポキシ化物(B)は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体に、過酢酸、過ぎ酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、過プロピオン酸等の有機過酸化物類、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類などのエポキシ化剤を反応させて得ることができる。これらの中では、反応性の点で過酢酸が好ましい。
エポキシ化反応に用いる溶剤は、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素などが使用できる。これらの中では、エポキシ化剤およびスチレンーブタジエンブロック共重合体の溶解性の点で酢酸エチルが好ましい。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体に対するエポキシ化剤の仕込み量は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体100質量部あたり、0.1〜15質量部添加するのが好ましい。より好ましくは3〜15質量部である。
ポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を主体とした重縮合物である。
多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸及びこれらの置換体等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオールなどが挙げられる。これらのジオール成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
好ましい多価カルボン酸としてはテレフタル酸が、好ましい多価アルコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、これらが重縮合されたポリエチレンテレフタレートが好適に使用できる。
本発明に使用するポリエステル樹脂の多価アルコール成分配合量はエチレングリコール50〜70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜48モル%、ジエチレングリコール2〜15モル%であり、より好ましくはエチレングリコール64モル%〜70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール20モル%〜32モル%、ジエチレングリコール4モル%〜14モル%である。1,4−シクロヘキサンジメタノール20モル%未満ではポリエステル樹脂が結晶化するおそれがあり、48モル%を超えるとポリエステル樹脂が硬質化し、成形不良が発生するおそれがある。またジエチレングリコール2モル%未満であるとポリエステル樹脂が硬質化し、成形不良が発生するおそれがあり、15モル%を超えると軟質化し、積層シートの剛性が保てないおそれがある。
ポリエステル樹脂の多価アルコール成分配合量は、核磁気共鳴分光法(以下、NMRと略称する。)を用いてH−NMR、13C−NMRを測定し、各成分のピーク強度より算出できる。
装置名:ブルカー・バイオスピン製AVANCE−300
測定核種:H、13
共鳴周波数:300MHz(H)、75.5MHz(13C)
測定溶媒:CDCl
前記を満たすポリエステル樹脂の市販品としては、SKChemicals社製「SKYGREENPETGS2008」、EASTMANCHEMICAL社製「EastarCopolyester6763」、「EMBRACECopolyester21214」、「EMBRACELV」などが挙げられる。
前記ブロック共重合体、樹脂組成物およびポリエステル樹脂には、本発明の目的を阻害しない範囲で安定剤、ブロッキング防止剤、滑剤、スリップ剤、造核剤などの各種添加剤、顔料、着色剤を必要に応じて混合することができる。
本発明の樹脂組成物を用いた積層シートは、樹脂組成物、ポリエステル樹脂を各々押出機で溶融し、フィードブロック法、マルチマニホールド法、デュアルスロット法等で積層化することによって得られるが、あらかじめ基材層の単層シートを準備した後に、それぞれを熱により積層させてもよい。
なお、本発明の樹脂組成物を用いた積層シートをTダイ式シート押出機による共押しで製造する場合、押出温度は180〜260℃が好ましい。押出温度が180℃未満ではポリエステル樹脂の可塑化が不十分となる。一方、押出温度が260℃を越える場合は、樹脂組成物の熱劣化を助長し外観が悪化する。また、積層シートの厚さは、全体で0.2mm以上である。
前記積層シートを用いた容器は、例えば圧空真空成形法や、熱板成形法などの公知の方法により作製することができる。
前記積層シートを用いたフィルムは、例えばテンター式延伸法などの公知の方法により作製することができる。
以下に実施例をもって、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
重合例1(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2700mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン68.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は57℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン24.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は53℃まで上昇した。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン6.0kgとスチレン102.0kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は105℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例1のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
Figure 0005897369
重合例2(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液4230mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン44.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は45℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン90.0kgとスチレン66.0kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は130℃まで上昇した。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(6)この重合液を脱揮して、重合例2のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例2製造の(2)で使用するn−ブチルリチウムを調整することで目標分子量を決定することができる。また(3)、(4)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができる。表1に示した条件以外は、重合例2と同様にして、重合例3および4を製造した。
重合例5(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1920mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン50.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は55℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量45.0kgのスチレン、及び総量5.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ90.0kg/h、10.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、66.0kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は75℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、34.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は85℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例5のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例5製造の(2)で使用するn−ブチルリチウムを調整することで目標分子量を決定することができる。また(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができる。表1に示した条件以外は、重合例5と同様にして、重合例6を製造した。
重合例7(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1120mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量167.6kgのスチレン、及び総量24.4kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ83.8kg/h、12.2kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、4.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は85℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例7のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例8(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン490.0kg、THF73.5gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液950mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン105.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は73℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、n−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1160mLを加え、40℃に保った。
(5)スチレン23.1kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は52℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン33.6kgとスチレン48.3kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は100℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例8のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例9(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン490.0kg、THF73.5gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1650mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン35,7kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は58℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン8.9kgとスチレン69.3kgを同時に添加した。内温は104℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、内温を50℃まで下げ、純水を5.5g加えた。
(6)反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン26.8kgとスチレン69.3kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は107℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例9のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例10(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体(A))の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1400mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は45℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン36.4kgとスチレン13.6kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は100℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、スチレン146.0kgを加え、重合を完結させた。内温は93℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例10のブロック共重合体を得た。組成等を表1に示す。
重合例1〜10を2種類以上使用したブロック共重合体樹脂組成物の配合、組成、ビカット軟化点、損失弾性率、貯蔵弾性率測定結果を表2にまとめた。
Figure 0005897369
「スチレン量」、「ブタジエン量」は重合例1〜10にて使用した全モノマー量に対するスチレン量および1,3−ブタジエン量の割合から、それぞれ算出した。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCと略称する。)を用いることで測定できる。本発明において、分子量は特に断りが無い場合はピークトップ分子量Mpとする。
装置名:東ソー製HLC−8220GPC
使用カラム:昭和電工製商品名ShodexGPCKF−404を直列に4本接続
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率法
移動相:テトラヒドロフラン
サンプル濃度:2質量%
検量線:VARIAN社製標準ポリスチレン(ピークトップ分子量Mp=2,560,0000、841,700、280,500、143,400、63,350、31,420、9,920、2,930)を用いて検量線を作成した。
「ビカット軟化点」はJISK7206に準拠し、10N荷重で測定した。
「貯蔵弾性率」、「損失弾性率」は動的粘弾性測定により求めた。動的粘弾性測定用サンプルは200〜250℃の条件下で加熱プレスにより0.6mm厚のシートとした後、温度23℃、相対湿度50%RHに調整された室内にて24時間以上保管して使用した。下記の装置を用いてその被検サンプルに周波数1Hzの引っ張り方向の応力、及び歪みを加え、4℃/分の割合で温度を上げながら貯蔵弾性率、損失弾性率を測定した。
装置:ティー・エイ・インスツルメント社製 動的粘弾性測定装置 RSA3
設定温度範囲:30〜150℃
設定昇温速度:4℃/分
測定周波数:1Hz
重合例11(エポキシ化物(B)のエポキシ化反応前のスチレン−ブタジエンブロック共重合体)の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液3610mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン15.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は55℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン170.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は90℃まで上昇した。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、スチレン15.0kgを加え、重合を完結させた。内温は80℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例11のブロック共重合体を得た。組成等を表3に示す。
Figure 0005897369
重合例11製造の(2)で使用するn−ブチルリチウムを調整することで目標分子量を決定することができる。また(3)〜(5)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができる。表3に示した条件以外は、重合例11と同様にして、重合例12〜15を製造した。
B1(エポキシ化物(B))の製造
(1)反応容器中にスチレンとブタジエンの質量比が15/85のスチレン−ブタジエンブロック共重合体200kgと酢酸エチル400.0kgを入れた。
(2)内温を40℃に保ちつつ、この中にエポキシ化剤として、濃度20%に希釈した過酢酸の酢酸エチル溶液110.0kgを36.7kg/hの一定添加速度で添加し、添加終了後、さらに1時間反応を進行させた。
(3)反応終了後、反応液を水で洗浄し、過酢酸由来の酢酸を除去し、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物(B1)を含む反応液を得た。
(4)この反応液を脱揮して、B1のブロック共重合体のエポキシ化物を得た。組成、オキシラン酸素濃度等を表4に示す。
Figure 0005897369
B1同様に、スチレンとブタジエンの組成の異なるスチレンーブタジエンブロック共重合体を使用し、過酢酸溶液の添加量を調整することで、各オキシラン酸素濃度のスチレン−ブタジエンブロック共重合体B2〜B8を製造した。結果を表4に示す。
ポリエステル樹脂は以下のポリエステル樹脂を使用した。
PET1:SKChemicals社製「SKYGREENPETGS2008」
PET2:EASTMANCHEMICAL社製「EastarCopolyester6763」
PET3:EASTMANCHEMICAL社製「EMBRACELV」
PET4:EASTMANCHEMICAL社製「EMBRACECopolyester21214」
PET5:Nan Ya Plastics社製「PET CHIP 3822T」
それぞれの多価アルコール成分の割合は、表5にまとめた。
Figure 0005897369
積層シート、フィルムの製造(実施例1〜21、比較例1〜24)
フィードブロック法のTダイ式多層押出機にて、ポリエステル樹脂を層1、樹脂組成物を層2として、層1/層2/層1と2種3層に積層させ、層比15/70/15、シート厚0.3mmの積層シートを作製した。層1は40mmφ単軸押出機、押出温度240℃にて実施、層2は65mmφ単軸押出機、押出温度220℃にて実施、ダイスは210℃にて実施した。そのシートをテンター延伸法により流れ方向(MD方向)に対して垂直となる方向(TD方向)に設定延伸倍率5倍で延伸することでフィルムを作成した。それぞれの層構成と組成及び測定結果を表6〜表11にまとめた。
Figure 0005897369
Figure 0005897369
Figure 0005897369
Figure 0005897369
Figure 0005897369
Figure 0005897369
「シート剥離試験」は株式会社エー・アンド・デイ社製テンシロン万能試験機RTG−1210を用い、試験片はMD方向15mm、TD方向100mmとし、TD方向の50mmを予め剥離させておき、TD方向のT型剥離強度測定となるように試験片を設置し、初期チャック間隔50mm、引張速度100mm/minで測定し、試験回数7回の平均最大点荷重を測定値として測定した。その他の測定条件はJISK6854−3に準拠して測定した。剥離しづらい積層シートは積層シートの表面にダイヤテックス社製「パイオランクロス塗装養生テープY−09−GR」(SUS板粘着力:12N/25mm)を張り付け、それを勢いよく剥がすことにより、強制的に剥離させた。これを5回繰り返しても剥離しない積層シートは剥離不可と判断した。
「シート色」は外観を目視で評価した。無色透明に対し、黄色透明は明らかに黄変し、白色透明は明らかに白変したことを確認した。
「ゲル・ブツ」はTダイ式多層押出機にて積層シートの作製を開始してから15分後に、MD方向200mm、TD方向150mmのサンプルを3枚採取し、目視にて外観をチェックし、これらの平均を下記の要領で優、良、可、不可と判断した。ゲルとは樹脂の未溶融物もしくは劣化物が集中して発生している箇所、ブツはゲル以外の目視で確認可能な異物のことを現す。
優:ゲルなし、ブツが4個以下
良:ゲルなし、ブツが5個以上9個以下
可:ゲルなし、ブツが10個以上14個以下
不可:ゲルあり、もしくはブツが15個以上
「フィルム剥離試験」は株式会社エー・アンド・デイ社製テンシロン万能試験機RTG−1210を用い、試験片はMD方向15mm、TD方向100mmとし、TD方向の50mmを予め剥離させておき、TD方向のT型剥離強度測定となるように試験片を設置し、初期チャック間隔50mm、引張速度500mm/minで測定し、試験回数7回の平均最大点荷重を測定値として測定した。その他の測定条件はJISK6854−3に準拠して測定した。剥離しづらい積層フィルムは積層フィルムの表面にダイヤテックス社製「パイオランクロス塗装養生テープY−09−GR」(SUS板粘着力:12N/25mm)を張り付け、それを勢いよく剥がすことにより、強制的に剥離させた。これを5回繰り返しても剥離しない積層フィルムは剥離不可と判断した。
「セロハン粘着テープ剥離試験」はニチバン社製、植物系セロハンテープ「CT405AP−18」、18mm×35m(JISZ1522 セロハン粘着テープ適合品)を7.5cm引き出し、6.5cmを積層フィルム表面にしっかりと貼り付け、残りの1cmを貼り付けずに持ち手とし、フィルムを固定し、勢いよく剥がし、剥離の有無を確認する官能評価として実施した。セロハン粘着テープを剥がす方向はMDおよびTD方向とし、試験回数は各10回で剥離したサンプル数を記載した。
「透明性」は日本電色工業株式会社製濁度計NDH2000を用い、JISK7136に準じて測定し、HAZE値を記載した。
「熱収縮率」はJISZ1709に準拠し、80℃もしくは100℃の温水中に10秒間浸漬させて算出したフィルムの延伸方向(TD方向)の値を記載した。
「自然収縮率」は以下の方法で測定した。
(1)熱収縮率を測定したフィルムと同じ条件で作製したフィルムからMD方向が約75mm、TD方向が約400mmの試験片を切り出した。
(2)この試験片のTD方向に300.0mm間隔の標線を付けた。
(3)フィルムを40℃の環境試験機内で保管した。
(4)7日後にフィルムを取り出し、標線間の距離L(mm)をノギスを用いて0.1mm単位まで測定した。
(5)下記の式により自然収縮率を算出した。
自然収縮率(%)={(300.0−L)/300.0}×100
「衝撃強度」はテスター産業株式会社製フィルムインパクトテスターを用い、先端の直径が25.4mmの撃芯を使用して測定した。その他の測定条件はASTMD3420に準拠した。
「引張弾性率」および「伸度」は株式会社エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機RTC−1210Aを用い、試験片はMD方向100mm、TD方向10mmとし、初期チャック間隔50mm、引張速度200mm/min、23℃環境下で測定を行い、試験回数7回の平均を測定値とした。
実施例19より、層2に層1で使用したポリエステル樹脂を10質量%使用しても、シート、フィルム物性に大きな影響を及ぼさないことがわかった。よってフィルムの端材を再利用することが可能である。
比較例
比較例1より、請求項1記載のスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物(B)を使用しなければ剥離してしまうことがわかった。
比較例2、5〜7、23より、請求項1記載の樹脂組成物のオキシラン酸素濃度が低いと剥離してしまうため、効果が得られないことがわかった。
比較例3、12より、請求項1記載の動的粘弾性測定の範囲外であると、シート色が黄変し、シート外観が悪くなる。またゲル・ブツの発生や請求項1記載のオキシラン酸素濃度の範囲内であっても剥離する場合があることがわかった。
比較例4、8より、請求項1記載のブロック共重合体樹脂組成物を使用しなければゲル・ブツが発生し、シート外観が悪くなるだけでなく、フィルムの衝撃強度も低いことがわかった。
比較例9、11より、請求項1記載のブロック共重合体樹脂組成物のブタジエン量の範囲より低いと剥離が発生し、高いとゲル・ブツが発生し、シート外観が悪くなることがわかった。
比較例10より、請求項1記載のブロック共重合体は1種類では効果が得られず、剥離してしまうことがわかった。
比較例13より、請求項5記載の多価アルコール成分を有するポリエステル樹脂でなければ請求項1記載のオキシラン酸素濃度の範囲内であっても剥離するだけでなく、ポリエステル樹脂の結晶化により、フィルムの透明性が低下することがわかった。
比較例14〜17、19、20にてスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物(B)の比較として以下を使用した。
B9:日本触媒社製「エポクロスRPS−1005」(オキサゾリン基含有ポリマー。スチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体。)
B10:三菱化学社製「プリマロイA1706C」(ポリエステル系熱可塑性エラストマー。ポリエステル系ブロック共重合体をマトリックス、スチレン系ブロック共重合体ゴムをドメイン。)
比較例14〜16より、オキサゾリン基含有ポリマーでは剥離が発生することがわかった。オキサゾリン基では効果がなく、エポキシでなければならないことがわかった。
比較例17より、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは10質量%の添加でフィルムの透明性を損なうことがわかった。よって10質量%以上使用すると、より透明性が悪化することは明らかである。
比較例18〜20より、ポリエステル樹脂にスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、オキサゾリン基含有ポリマーおよびポリエステル系熱可塑性エラストマーを10質量%使用したところ、フィルムの透明性が悪化することがわかった。よって10質量%以上使用すると、より透明性が悪化することは明らかである。
比較例21、22より、請求項1記載のスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物(B)のエポキシ化反応前のスチレン量の範囲より低いと透明性が悪化するだけでなく、ゲル・ブツが発生し、シート外観が悪くなる。スチレン量の範囲より高いと請求項1記載のオキシラン酸素濃度の範囲内であっても剥離することがわかった。
比較例24より、請求項1記載の樹脂組成物のオキシラン酸素濃度が高いとゲル・ブツが発生し、シート外観が悪くなることがわかった。
本発明の樹脂組成物はこれとポリエステル樹脂を直接積層させた積層シート、成形品、フィルムとして用いることができる。具体的には食品などの包装容器、トレー、カップや熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシール、瓶の保護フィルム、パックガード収縮包装などの包装フィルムおよびコンデンサ、乾電池等の電気絶縁被膜などである。

Claims (6)

  1. 以下に示す(A)、(B)で規定された樹脂の混合物であり、しかもASTMD1652に従って測定したオキシラン酸素濃度が0.5〜1.6質量%であり、(B)成分のオキシラン酸素濃度が0.7〜1.8質量%である樹脂組成物。
    (A)ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を少なくとも2種類以上混合し、以下に示す(I)、(II)で規定されたブロック共重合体樹脂組成物。
    (I)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が83/17〜70/30。
    (II)動的粘弾性測定で得られる損失弾性率(E”)が70〜100℃の温度範囲に少なくとも一つの極大値を有し、該極大値の温度における貯蔵弾性率と該極大値の温度より20℃高温のときの貯蔵弾性率の差が500MPa以下である樹脂組成物。
    (B)スチレンとブタジエンの質量比が30/70〜50/50であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体をエポキシ化して得られる共重合体。
  2. 請求項1記載の(A)成分が、下記一般式(ア)〜(ウ)で示されるビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を、少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
    ただしXはビニル芳香族炭化水素ブロック、Yは共役ジエンブロック、Zはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成されたテーパードブロックであり、nは1または2の整数である。
    (ア)X−Zn
    (イ)X−Zn−X
    (ウ)X−Y−Z
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物で構成された層の少なくとも片側に、多価アルコール成分がエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールであるポリエステル樹脂を積層させた積層シート。
  4. 多価アルコール成分がエチレングリコール50〜70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜48モル%、ジエチレングリコール2〜15モル%である請求項3に記載の積層シート
  5. 請求項3または4に記載の積層シートを1軸または2軸に延伸したフィルム。
  6. 請求項5に記載のフィルムを用いたシュリンクフィルム。
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