JP5896783B2 - 埋設管の掘削警報システム - Google Patents
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ところが、地形の関係上、例えば、公道から私有地の地中を横切ってガス管を敷設せざるを得ない場合があり、私有地については届出義務がないため、私有地を掘削する際に誤ってガス管を損傷させる可能性がある。
従来、このような事故を未然に防ぐため、例えば、私有地の地面上にガス管の存在を示すシールを貼着するなどの手段を講じてきたのであるが、風雨に晒されてシールの表示が見えなくなったりシールが剥がれることがあり、その結果、誤ってガス管を損傷させてガス漏れを生じる事故が起きており、そのための有効な事故防止手段がなかったのが実状である(この点に関して言及した適切な特許文献などは見当たらない)。
そして、そのチューブ内の加圧気体の圧力を検出する圧力検出手段が設けられ、その圧力検出手段が、加圧気体の圧力が設定値以下に低下したことを検出すると、警報手段により警報するように構成されているので、その警報に基づいて掘削作業を停止するなどの適切な処置を採ることによって、掘削作業による埋設管の損傷を未然に防止することが可能となる。
この埋設管の掘削警報システムは、例えば、図1および図2に示すように、地中に敷設された埋設管としての2本の都市ガス用のガス管Pの一部、つまり、中圧用のガス管P1の一部が、公道Cの地中から私有地Aの地中を横切って図外のガバナにまで敷設され、低圧用のガス管P2が、そのガバナから私有地Aの地中を横切って公道Cの地中にまで延びている場合などに適用される。
図3に示すように、私有地Aの地面がアスファルト1などで舗装されている場合であれば、例えば、道路用のカッターを使用して、2本のガス管P1、P2のほぼ真上でガス管P1、P2に沿ってアスファルト1の表面に2本の切り込み2、3を入れ、図1および図2に示すように、両切り込み2、3の端部を繋ぐように他の切り込み4を入れる。これら切り込み2、3、4は、一例を挙げると、6mmのカッター刃を使用して、幅6mm、深さ30mm程度とする。
このようにして、2本のガス管P1、P2に沿ってガス管P1、P2より地面側の地中に1本のチューブ5を配設した後、切り込み2、3、4を目隠しシール6や目地埋め材などの適宜手段により封鎖して養生するとともに、チューブ5内に加圧気体の一例である加圧空気7を注入して封入し、図4に示すように、チューブ5内の加圧空気7の圧力を検出する圧力検出手段としての圧力スイッチ8をチューブ5に接続する。
圧力スイッチ8は、関係者以外の第三者が触れることのないように、例えば、収納ボックス10内に収納し、チューブ5の埋設箇所近くの適宜箇所に設置するとともに、パトライト9は、その収納ボックス10の近くに、例えば、ポール11を介して設置するか、あるいは、収納ボックス10の上に設置する。
すなわち、圧力スイッチ8が入り状態になると、通信ユニット12、ターミナル13、ISDN14、TAP15などにより構成される通信システム16を介して、センターパソコン18に報知され、同時に、TAP15から無線通信によって埋設管の管理作業員、例えば、パトロール車に搭乗して巡回している複数の作業員が所持する警報手段としての携帯電話19にも報知される。
私有地Aについては、掘削作業を行う場合に届出義務はなく、したがって、その私有地Aの地中に2本のガス管P1、P2の一部が敷設されていることを知らずに、例えば、バックホーなどの掘削作業車により私有地Aを掘削する可能性がある。
バックホーにより私有地Aを掘削する場合、バックホーのバケットがガス管P1、P2に至る前に、ガス管P1、P2より地面側のアスファルト1内に埋設のチューブ5を引掛けて開孔させることになり、チューブ5内の加圧空気7がチューブ5外へ流出して、加圧空気7の圧力が低下する。
加圧空気7の圧力が設定値以下に低下すると、圧力スイッチ8が入り状態となり、チューブ5の埋設箇所近くに設置のパトライト9、つまり、掘削作業の掘削現場から知覚可能な位置に配置された警報手段としてのパトライト9が点滅し、かつ、警報音などを発して、掘削作業者に対して、その掘削現場の下方にガス管P1、P2が敷設されていることを警報する。
掘削作業者は、パトライト9の作動によって掘削作業を停止することになり、ガス管P1、P2の損傷によるガス漏れが未然に回避される。それと同時に、埋設管の管理センター17に駐在する作業員と埋設管の管理作業員も、センターパソコン18と携帯電話19により私有地Aで掘削作業が行われていることを知り、例えば、管理センター17の作業員と埋設管の管理作業員とが、センターパソコン18と携帯電話19により互いに連絡を取りながら、管理作業者が掘削現場に直行して必要な処置を取るなど、迅速な対応が可能となる。
特に里山や山中などでは、例えば、大きく迂回していた旧道の一部Bを廃道にして、近道となる新たな公道Cに造り直すことが行われる。その場合、旧道に沿って敷設されていたガス管Pの一部が、図5に示すように、廃道となった旧道Bの地中に敷設されたままとなる。
このような場合、旧道B上に落ち葉が溜まったり雑草が生えたりし、さらに、公道Cでもないため、届出なしに掘削作業を行って、その結果、ガス管Pを損傷してガス漏れ事故を起こすことが多々ある。
その場合、図5に示すように、ガス管Pに沿って1本のチューブ5を埋設し、その1本のチューブ5に圧力スイッチ8を接続し、かつ、圧力スイッチ8に通信ユニット12を接続して、圧力スイッチ8が入り状態となると、複数個のパトライト9の全てが作動するように設定することになる。しかし、旧道Bの距離や状況に応じて、例えば、旧道Bを複数のブロックに区画し、チューブ5、圧力スイッチ8、通信ユニット12、および、パトライト9からなるシステムセットを各区画に対して各別に設置して実施することもできる。
なお、その他の構成およびシステムの作動については先の実施形態と同様である。
(1)これまでの実施形態では、1本のガス管Pに対して1本のチューブ5を配置した例を示したが、例えば、図6に示すように、1本のガス管Pに対して、そのガス管Pの左上方と右上方とにそれぞれチューブ5を1本ずつ配置することもできる。このような配置にすることによって、図6の左側から掘削した場合にも、図6の右側から掘削した場合にも、いずれか一方のチューブ5に確実に損傷を与えて開孔することになり、ガス管Pの損傷をより確実に回避することができる。なお、この図6の例では、左上方と右上方のチューブ5を別々のシステムとして構成しているが、1本のチューブ5を折り曲げて単一のシステムで構成することもできる。
また、図7に示すように、1本のガス管Pに対して、多数本のチューブ5を配置したり、図8に示すように、チューブ5を網目状に配置して実施することもできる。そして、図7では、単一のシステムで構成した例を示したが、複数のシステムで構成することもでき、また、図8では、複数のシステムで構成した例を示したが、単一のシステムで構成することもできる。
なお、いずれの場合にも、地面がアスファルト1などで舗装されていない場合には、ガス管Pより地面側の地中に適当な深さで埋設することになる。
また、チューブの一例として外径4mmのナイロン製のチューブ5を示したが、特にナイロン製に限るものではなく、可撓性を有する各種のチューブ、場合によっては、非可撓性のチューブを使用して実施することができ、そのチューブ5内に封入する気体についても空気に限るものではなく、例えば、窒素などの不活性ガスを封入して実施することができる。
7 加圧気体
8 圧力検出手段
9 掘削現場から知覚可能な警報手段
16 通信システム
17 埋設管の管理センター
18、19 掘削現場から知覚不能な警報手段
A 私有地
B 旧道
P 埋設管
Claims (7)
- アスファルト舗装の舗装面の地下に敷設された埋設管の掘削作業による損傷を未然に防ぐための埋設管の掘削警報システムであって、
前記アスファルト舗装に前記埋設管に沿って設けられた切り込みに、内部の加圧気体の圧力を検出する圧力検出手段が接続されてなるチューブが挿入された状態で、前記切り込みが封鎖されてなり、
前記アスファルト舗装が掘削されて前記チューブが開孔してチューブ内の加圧気体の圧力が設定値以下に低下したことを前記圧力検出手段が検出すると、警報手段により警報するように構成されている埋設管の掘削警報システム。 - 前記警報手段が、前記掘削作業の掘削現場から知覚可能な位置に配置されている請求項1に記載の埋設管の掘削警報システム。
- 前記チューブ内の加圧気体の圧力が設定値以下に低下したことを前記圧力検出手段が検出すると、前記掘削作業の掘削現場から知覚不能な位置にある警報手段に通信システムを介して報知するように構成されている請求項1または2に記載の埋設管の掘削警報システム。
- 前記掘削現場から知覚不能な位置にある警報手段が、埋設管の管理センターに配置された警報手段である請求項3に記載の埋設管の掘削警報システム。
- 前記掘削現場から知覚不能な位置にある警報手段が、埋設管の管理作業員の所持する警報手段である請求項3または4に記載の埋設管の掘削警報システム。
- 前記埋設管が、私有地の地中に敷設された私有地内の埋設管である請求項1〜5のいずれか1項に記載の埋設管の掘削警報システム。
- 前記埋設管が、廃道となった旧道の地中に敷設された旧道内の埋設管である請求項1〜5のいずれか1項に記載の埋設管の掘削警報システム。
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