JP5896395B2 - 加速度センサ及び鳥インフルエンザ監視システム - Google Patents
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このような加速度センサにおいては、加速度が作用すると変形部材が変形し、これにともない圧電材料部がその変形量に応じた電荷を発生する。そして、この圧電材料部は複数が電気的に直列に接続されているので、基準電位側からの配置(順番)によって、基準電位との間に直列に接続されている圧電材料部から印加される電圧が異なる。信号処理回路に圧電材料部から印加された電圧が設定電圧を超えた場合、信号処理回路は信号を発するが、この信号を発した信号処理回路を認識することで、作用した加速度の程度(レベル)を得ることができるものとなっている。つまり、複数の信号処理回路から発する信号に基づいて、加速度をデジタル的に測定することができる。
その原因を追及したところ、複数の圧電材料部間において、その膜厚や、圧電材料部が形成されるシリコン基板表面に形成される絶縁膜(SiO2)と、その表面に形成されるPt、Ti等からなる配線層との間に形成される寄生容量等に、ばらつきがあることが影響していることが判明した。
これらの影響により、特定の加速度を上回ったときに信号が切り替わるよう、直列接続された複数の圧電材料部の中から選定された圧電材料部に対し、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor ;相補型金属酸化膜半導体)インバータ等からなる信号処理回路を接続しても、実際にセンサを作動させると、前記の特定の加速度を上回っても、出力電圧が設計通りに変化せず、信号が切り替わらない、といった現象が生じた。
他の目的は、その作成プロセスを容易かつ確実なものとすることのできる加速度センサ等を提供することにある。
ここで、前記信号処理部は、前記複数のスイッチ回路において前記単一のキャパシタ又は抵抗の値が互いに異なり、かつ、前記スイッチ本体の前記しきい値が同一である構成とすることで、互いに前記設定電圧が異なる前記複数のスイッチ回路からなる構成であり、前記単一のキャパシタ又は抵抗に対して正負の基準電圧源からの正負の基準電圧と前記圧電材料部からの電圧とを切り替え入力することなく、前記圧電材料部からの電圧のみを前記単一のキャパシタ又は抵抗に印加し、その印加電圧に応じた論理値のデジタル信号を前記スイッチ本体から出力することを特徴とする。
この場合、圧電材料部が複数個備えられるとともに、これら複数個の圧電材料部が直列に接続されたとき、互いに前後する一方の圧電材料部の上部電極と、他方の圧電材料部の下部電極とを、ワイヤーボンディングにより形成された配線により接続するのが好ましい。
これにより、圧電材料部による段差を乗り越えた配線を行う必要ない。
また、本発明によれば、圧電材料部による段差を乗り越えた配線を行う必要ないため、その作成プロセスが容易であり、品質の安定性の確保、低コスト化を図ることもできる。
図1は、本発明による鳥インフルエンザ監視システム100を概念的に描いた図である。
図1に示すように、鳥インフルエンザ監視システム100は、管理区域110内で管理される鳥(生体)に装着されるセンサ120、管理区域110内をカバーするように1つ又は複数個設置される中継局130、管理区域110内に設置される全ての中継局130を集中制御する中継局コントローラ140、送受信装置150、制御装置(判定コンピュータ)160などから構成される。
管理区域110内においては、センサ120と中継局130との間は無線により通信が行われる。
このセンサ120における測定データは無線により送信される。送信された測定データは中継局130によって受信され、さらに、中継局コントローラ140に転送される。
送受信装置150は、各種通信ネットワークを介してセンサ120の測定データを制御装置160へと送信する。
この制御装置160は、センサ120から送信された測定データに基づき、鳥インフルエンザの発生の有無を監視している。そして、センサ120から送信された測定データが、鳥インフルエンザの発生を示すものであると判定された場合には、その判定結果、すなわち鳥インフルエンザが発生したことを表す情報を、アラームの出力、印刷物のプリントアウト、予めインプットされた送付先への電子メールの送信等によって出力することもできる。制御装置160は管理区域110の近辺に設置されていてもよいが、全く離れた遠隔地に設置されていても良い。
図2はセンサ120の構成を示す図である。
図2に示すように、センサ120は、例えば、所定の物理量を測定するセンサ部210と、センサ120として所定の動作を行うように各部をコントロールするためのICとメモリとから構成される回路からなるセンサ制御部220と、センサ制御部220の動作に必要な電力を蓄えるバッテリやコンデンサ等からなる蓄電部230と、中継局130との間で電波の送受信を行うための通信制御を行うための通信制御部240と、アンテナ250とを、薄帯状(フィルム状)、薄板状の基板上に実装した超小型ネットワークセンサチップである。
このようなセンサ120は、MEMS加工技術を用いることで、数cm四方以内の小型なものとすることができる。
この図3に示すように、加速度センサ210Aは、加速度センサ210Aに作用した加速度に応じて変形する変形部材211と、変形部材211の変形に応じて電荷を発生する圧電材料部212と、圧電材料部212で発生した電荷量に応じて得られる電圧が印加される信号処理回路(信号処理部)213とを備えている。
図4は、シリコン基板201のチップパッケージ200への積層例を示すものである。
例えば、図4(a)に示すように、シリコン基板201は、チップパッケージ200上に、センサ制御部220を構成するチップと並べて実装し、これらをワイヤーボンディングによる配線250により電気的に接続することができる。
また、図4(b)に示すように、チップパッケージ200の表面に、センサ制御部220を構成するチップを実装し、その上にシリコン基板201を積層した構成とすることもできる。この場合、チップパッケージ200、シリコン基板201、センサ制御部220は、ワイヤーボンディングによる配線251により電気的に接続することができる。また、図4(c)に示すように、チップパッケージ200の表面に、センサ制御部220、シリコン基板201を同様に積層し、シリコン基板201、センサ制御部220に設けた電極パッド253により、これらを電気的に接続することもできる。図4(b)、(c)に示す構成では、センサ120をコンパクトな構成とすることができる。
ここで、各スイッチ回路216A、216B、216Cにおいて、キャパシタ214A、214B、214Cの容量は互いに異なったものに設定されている。
この信号処理回路213は、センサ制御部220を構成するIC中に設けることができる。
信号処理回路213においては、CMOSインバータ215A、215B、215CがONに切り替わる設定電圧は予め統一されている。つまり印加された電圧が設定電圧を上回ればCMOSインバータ215A、215B、215CはONとなる。
このような構成により、作用した加速度によって印加される電圧は異なるので、センサ制御部220においては、CMOSインバータ215A、215B、215Cのうち、ONになるものの数を認識することで、加速度をデジタル的に決定することができる。
そして、一つの圧電材料部212から出力される、加わった加速度の大きさに応じた電圧の大きさを、スイッチ回路216A、216B、216Cに設けられたCMOSインバータ215A、215B、215Cで判定するので、従来のように複数の圧電材料部を直列接続した場合のように、圧電材料部の膜厚や寄生容量のばらつきの影響を受けることなく、精度良く加速度を検出することが可能となる。
また、用途に応じて、信号がONに切り替わる加速度の設定値を変更する場合には、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を変更するだけでよいため、容易かつ低コストで設定値変更に対応することができる。
例えば、上記実施形態においては、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を互いに異ならせる構成としたが、これは、交流電源を用いる場合である。直流電源を用いる場合、キャパシタ214A、214B、214Cに替えて抵抗をそれぞれ設け、その抵抗値を互いに異ならせればよい。
またキャパシタ214A、214B、214Cの容量や、抵抗の抵抗値を、スイッチ回路216A、216B、216C間で共通とし、CMOSインバータ215A、215B、215Cにおいて出力信号がONとなる設定電圧(しきい値)が互いに異なるものを用いても良い。
もちろん、3系統のスイッチ回路216A、216B、216Cを設ける構成としたが、これを2系統、あるいは4系統以上とすることも可能である。
また、センサ120を、動物ではなく、他の用途での加速度の測定に用いることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
まず、図3に示したようなセンサ120を用意した。変形部材211は、単結晶シリコンからなる厚さ400μmのシリコン基板からMEMS技術によりエッチングすることにより、長さ1.65mm、幅2mm、厚さ5μmのカンチレバー式とした。変形部材211のカンチレバー211aの基端部の表面に、Pb:Zr:Ti=100:52:48の組成比のPZT材料からなる圧電材料部212を、長さ1.65mm、幅1.98mm、厚さ3μmで形成した。このような変形部材211上に設けられた圧電材料部212は、共振周波数109Hzにおいて2V/gの出力電圧の感度を有する。
このような圧電材料部212に、図6に示すように、信号処理回路213を接続し、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を、22pF、33pF、330pFとした。
このときの、CMOSインバータ215A、215B、215CのON・OFF状態、信号処理回路213からの出力信号(デジタル信号)を図7および表1に示した。
Claims (4)
- 加速度に応じて変形する変形部材と、
前記変形部材の表面に形成され、前記変形部材の変形に応じて電荷を発生する圧電材料部と、
前記圧電材料部で発生した電荷量に応じて得られる電圧が印加され、印加された前記電圧が予め定めた設定電圧を超えたときに信号を発する複数のスイッチ回路を有した信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、複数の前記スイッチ回路を並列に備え、これら複数の前記スイッチ回路は、前記設定電圧が互いに異なり、
複数の前記スイッチ回路は、それぞれ、一端が前記圧電材料部に接続されて前記電荷量に応じた電圧が印加される単一のキャパシタ又は抵抗と、前記単一のキャパシタ又は抵抗の他端に入力端子が接続されており、前記単一のキャパシタ又は抵抗を介して入力される電圧がしきい値を超えたか否かに応じて異なる論理値のデジタル信号を出力する単一のスイッチ本体とからなり、
前記信号処理部は、前記複数のスイッチ回路において前記単一のキャパシタ又は抵抗の値が互いに異なり、かつ、前記スイッチ本体の前記しきい値が同一である構成とすることで、互いに前記設定電圧が異なる前記複数のスイッチ回路からなる構成であり、前記単一のキャパシタ又は抵抗に対して正負の基準電圧源からの正負の基準電圧と前記圧電材料部からの電圧とを切り替え入力することなく、前記圧電材料部からの電圧のみを前記単一のキャパシタ又は抵抗に印加し、その印加電圧に応じた論理値のデジタル信号を前記スイッチ本体から出力することを特徴とする加速度センサ。 - 前記変形部材は、当該変形部材を制御する制御回路を備えたチップ基板上に積層されていることを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。
- 前記圧電材料部が複数個備えられるとともに、これら複数個の前記圧電材料部が直列に接続され、
互いに前後する一方の前記圧電材料部の上部電極と、他方の前記圧電材料部の下部電極とが、ワイヤーボンディングにより形成された配線により接続されていることを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。 - 鳥インフルエンザ監視システムであって、
管理対象となる鳥に装着され、少なくとも加速度を測定するとともに、前記測定の結果をデータとして無線送信するセンサと、
前記センサから送信された前記データに基づき、前記鳥の健康状態に異常が生じているか否かの判定を行う判定装置と、を備え、
前記センサが、請求項1から3のいずれか一項に記載の加速度センサを備えることを特徴とする鳥インフルエンザ監視システム。
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