以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11と支持枠部としての内枠12とに対して、前面扉としての前面枠セット14を開放し、下皿ユニット13を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である但し、図2,3では便宜上、後述する遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようになっている。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲に対応して前面枠セット14が取り付けられている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。なお、符号24はスピーカ249(図2参照)からの音出力口であり、符号25は下皿15内から遊技球を下方へと排出するための球抜きレバーである。
下皿15よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)18が配設されている。また、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。
一方、下皿15の上方において球受皿としての上皿19が設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら発射手段としての遊技球発射装置の方へ導出する球受皿である。なお、上皿19は、前面枠セット14において、ガラス137を支持するガラス枠部と一体的に形成されている。
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30(図4参照)が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、樹脂ベース20には、前面枠セット14の開放を検知する開放検知センサ22が設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知スイッチも設けられている。
次に、遊技盤30の構成について図4を用いて説明する。遊技盤30には、一般入賞口31a,31b、下可変入賞装置ユニット32、契機対応口33a,33b、契機対応ユニット34、上可変入賞装置ユニット37等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。
ここで、一般入賞口31a,31b等の配設位置について説明する。遊技盤30の略中央部において上可変入賞装置ユニット37が配設され、この上可変入賞装置ユニット37の下方において始動入球手段としての契機対応ユニット34が配設され、契機対応ユニット34の下方において下可変入賞装置ユニット32が配設され、契機対応ユニット34の左右側方においてそれぞれ始動入球手段としての契機対応口33a,33bが配設され、各契機対応口33a,33bの左及び右外方において一般入賞口31a,31bが配設されている。周知の通り前記一般入賞口31a,31b、下可変入賞装置ユニット32、契機対応口33a,33b、契機対応ユニット34、上可変入賞装置ユニット37に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、始動口等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車27等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで上可変入賞装置ユニット37について図5〜図7を参照してより詳しく説明する。上可変入賞装置ユニット37は、図示しない電気配線を通じて後述する主制御装置261(主基板)に接続されており、主制御装置261により制御される。上可変入賞装置ユニット37が本実施形態における特別可変入球手段を構成する。
図5は、上可変入賞装置ユニット37の正面図である。上可変入賞装置ユニット37は、略中空形状の本体部401と、該本体部401の下部において遊技球振分け機構402と、該遊技球振分け機構402の上方において上下動を行う移動体403と、本体部401の上部に設けられた遊技球転動部404と、該遊技球転動部404の左右両側部において開閉可能に軸支された一対の開閉部材としての羽根405a,405bと、遊技球転動部404の奥側から遊技球振分け機構402へと遊技球を導く誘導通路406とを備えている。なお、誘導通路406の中途位置において後述するカウントスイッチ223bが設けられている。なお、上記上可変入賞装置ユニット37には、図9に示すように、移動体403を上下動するための移動体用モータD1と、羽根405a,405bを開閉するための羽根用ソレノイドD2,D3とが設けられている。
図6は遊技球振分け機構402の斜視図であり、図7は遊技球振分け機構402の一部を示す分解斜視図である。遊技球振分け機構402は、ベース部411と、該ベース部411の上部に取着された囲枠部412と、ベース部411に固定されたモータ413と、囲枠部412の凹部412aに嵌め込まれ、かつモータ413の回転軸413aに回転可能に軸支された回転体414とを備えている。
回転体414は、その周縁に沿って複数(本実施の形態では10個)の収容部を有している。複数の収容部は、複数(本実施の形態では8個)の第1収容部421、1つの第2収容部422、及び1つの第3収容部423によって構成されている。前記第1収容部421は、遊技球が回転体414の半径外方向に転出可能なように下面が傾斜した略U字状に構成されている。第2収容部422は、回転体414の円周方向に沿って架け渡された架橋下面を有し、遊技球が前記架橋下面から回転体414の中心方向に向けて転出可能なように図示しない落下口を備えた構成となっている。第3収容部423は、遊技球が回転体414の半径外方向に転出しないように遊技球を抱えることができるよう構成されている。なお、本実施の形態では、回転体414は、通常時(通常遊技状態)や大当たり状態(特別遊技状態)において常時回転を継続するよう構成されている。
一方、上記囲枠部412の凹部412aには、その側壁部において第1通過口425が形成され、その底部において第2通過口426及び第3通過口427が形成されている。便宜上、符号は省略するが、もちろんベース部411にも第2通過口426及び第3通過口427に対応して孔部が設けられている。
第1通過口425は、前記第1収容部421に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第1収容部425の位置が第1通過口425の位置と一致したとき、第1収容部421から遊技球が排出されるようになっている。
第2通過口426は、回転体414の中心軸寄りに形成されており、前記第2収容部422に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第2収容部422の落下口の位置が第2通過口426の位置と一致したとき、第2収容部422から遊技球が排出されるようになっている。
第3通過口427は、回転体414の周縁寄りに形成されており、前記第3収容部423に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第3収容部423の位置が第3通過口427の位置と一致したとき、第3収容部423から遊技球が排出されるようになっている。なお、第3通過口427は、後述する特定領域スイッチ223a(図9参照)が配置された図示しない特定入球部としての特定領域に繋がっており、第3通過口427から排出された遊技球はこの特定領域スイッチ223aによって検出される。つまり、第1収容部421及び第2収容部422は特定領域に繋がっていない第1通過口425や第2通過口426へ遊技球を導く機能を持ち、第3収容部423は特定領域に繋がっている第3通過口427へ遊技球を導く機能を有する。
また、第1通過口425の近傍において当該第1通過口425を遮蔽する第1遮蔽機構431が設けられ、第3通過口427の近傍において当該第3通過口427を遮蔽する第2遮蔽機構432が設けられている。
第1遮蔽機構431は、ベース部411と囲枠部412との間に回動可能に軸支された作動部435と、該作動部435を駆動する第1ソレノイド436とを備えている。作動部435には第1通過口425を閉鎖する第1シャッタ437が設けられている。そして、通常時、つまり第1ソレノイド436の非励磁状態において第1シャッタ437は第1通過口425を開状態とする位置にあり、第1ソレノイド436が励磁されると、作動部435が回動し、第1シャッタ437は第1通過口425を閉状態とする位置に移動する。従って、第1シャッタ437により第1通過口425が閉鎖され、遊技球が第1通過口425を通過できなくなる。
第2遮蔽機構432は、ベース部411と囲枠部412との間に回動可能に軸支された作動部441と、該作動部441を駆動する第2ソレノイド442とを備えている。作動部441には第3通過口427を閉鎖する第2シャッタ443が設けられている。そして、通常時、つまり第2ソレノイド442の非励磁状態において第2シャッタ443は第3通過口427を開状態とする位置にあり、第2ソレノイド442が励磁されると、作動部441が回動し、第2シャッタ443は第3通過口427を閉状態とする位置に移動する。従って、第2シャッタ443により第3通過口427が閉鎖され、遊技球が第3通過口427を通過できなくなる。
次に下可変入賞装置ユニット32、契機対応ユニット34、及び上可変入賞装置ユニット37に設けられた普通図柄表示装置41について三者の関連性を踏まえて詳しく説明する。下可変入賞装置ユニット32が本実施形態における第1可変入球手段(可変入球手段)を構成する。契機対応ユニット34が本実施形態における第2可変入球手段,始動入球手段を構成する。普通図柄表示装置41が本実施形態における表示手段を構成する。
図4に示すように、下可変入賞装置ユニット32は、回動可能に軸支された略平板状の開閉部材32aを備え、通常時(通常遊技状態)では遊技球が入賞不能な閉状態になっており、後述するように大当たり(特別遊技状態)の最終段階において遊技球が入賞可能な開状態となるよう構成されている。そして、第1規定時間(本実施形態では29.5秒)が経過するまで又は第1規定個数(例えば10個)の入賞があるまで開状態を維持し、その後閉状態となる。本実施形態ではこの開閉動作(開閉処理)を大当たりの最終段階において規定回数(第1規定回数)の1回のみ行うよう構成されている。
また、図5に示すように、上可変入賞装置ユニット37の下部には、下可変入賞装置ユニット32への遊技球の入賞を契機として普通図柄を変動表示する普通図柄表示装置41が設けられている。普通図柄表示装置41は、普通図柄用の表示部43と保留ランプ44とを備え、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されている。そして、遊技球が下可変入賞装置ユニット32へ入賞する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で表示(変動表示)する。後述するように、本実施形態では、開状態となった下可変入賞装置ユニット32が閉状態となった後にしか普通図柄の停止表示が行われないように構成されている。なお、普通図柄の変動表示中に、新たに遊技球が下可変入賞装置ユニット32へ入賞した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施の形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。しかし、かかる最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の普通図柄の変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。
また、図4に示すように、契機対応ユニット34は、回動可能に軸支された一対の開閉部材34aを備え、通常時(通常遊技状態)では遊技球が入球困難な閉状態となっており、普通図柄表示装置41において「○」図柄が停止表示された場合、遊技球が入賞可能な開状態となるよう構成されている。そして、第2規定時間(例えば2.0秒)が経過するまで又は第2規定個数(例えば1個)の入賞があるまで開状態を維持し、その後閉状態となる。そして、この開閉動作を、普通図柄表示装置41において「○」図柄が停止表示される毎に第2規定回数(本実施形態では1回)行うよう構成されている。
図4の説明に戻り、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成形品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール構成部(内レール部)51と外レール構成部(外レール取付け部)52とを有する。内レール構成部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。また、一部(主に左側部)が内レール構成部51に向かい合うようにして外レール構成部52が形成されている。かかる場合、内レール構成部51と外レール構成部52とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール構成部51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール構成部51,52)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール構成部51及び外レール構成部52によって囲まれる領域のうち、内外レール構成部51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内する発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62と一体的に樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が遊技領域まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられている。詳しい図面の開示は省略するが、シャッタ68は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となるとともに、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるようになっている。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿15へ排出されるようになっている。
ファール球通路63の途中には、下皿15が球で満タンになっていることを検出するための図示しない下皿満タンスイッチが通路底面の一部を形成するように設けられている。球が短期間で多量に払い出されると、上皿19が一杯となった後には下皿15に球が溜まり始める。その後、球が払い出され続けても下皿15の球を抜かないとファール球通路63の途中に球が溜まり始めるが、下皿満タンスイッチの設置箇所まで球が溜まるとそれ以降の払出しは後述する払出制御装置311により停止される。
次に、前面枠セット14について図1を参照しつつ説明する。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。前面枠セット14には矩形状をなす一対のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。
また、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、当該一体となった施錠機構G1(図8等参照)の本体部は内枠12の背面側に設けられている。
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図8はパチンコ機10の背面図であり、図9は内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。
まずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
後述するように略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
また、遊技盤30の裏面には、上可変入賞装置ユニット37を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品(例えばABS製)であって、各種入賞部に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、一般入賞口31a,31b、下可変入賞装置ユニット32、契機対応口33a,33b、契機対応ユニット34、上可変入賞装置ユニット37(それぞれ図4参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネイト樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31a,31b等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図4参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(入球検出手段)などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31a,31bに対応する位置にはそれぞれ入賞口スイッチ221が設けられ、下可変入賞装置ユニット32にはカウントスイッチ222が設けられている。当該カウントスイッチ222は、大当たりの最終段階で下可変入賞装置ユニット32に入賞した遊技球をカウントするスイッチである。カウントスイッチ222が本実施形態における第1入球検出手段(入球検出手段)を構成する。
また、上可変入賞装置ユニット37には、特定領域スイッチ223aとカウントスイッチ223bとが設けられている。上述したように特定領域スイッチ223aは、大当たり状態で上可変入賞装置ユニット37に入賞した遊技球が特定領域に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223bは入賞球をカウントするスイッチである。特定領域スイッチ223aが本実施形態における特定入球検出手段を構成する。カウントスイッチ223bが本実施形態における特別入球検出手段を構成する。
また、契機対応ユニット34に対応する位置には契機対応ユニットスイッチ224aが設けられ、契機対応口33a,33bに対応する位置にはそれぞれ契機対応口スイッチ224bが設けられている。契機対応ユニットスイッチ224aが本実施形態における第2入球検出手段,始動入球検出手段を構成する。契機対応口スイッチ224bが本実施形態における始動入球検出手段を構成する。
特定領域スイッチ223a及びカウントスイッチ223bは図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ222は電気配線を介して入賞口中継基板227に接続され、さらにこの入賞口中継基板227が電気配線を介して主基板(主制御装置261)に接続されている。これに対し、契機対応ユニットスイッチ224a、契機対応口スイッチ224bは中継基板を経ることなく電気配線を介して直接主基板(主制御装置261)に接続されている。
その他図示は省略するが、下可変入賞装置ユニット32には上記開閉部材32aを開閉駆動するためのソレノイドが設けられ、契機対応ユニット34には上記開閉部材34aを開閉駆動するためのソレノイドが設けられている。なお、図8,9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。これらセットハンドル228や発射モータ229等により上記遊技球発射装置が構成されている。
上記入賞感知機構(検出手段)にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の賞球(遊技球)の払出しが実施される。なお、賞球(遊技球)の払出個数は、各入賞部(一般入賞口31a,31b等)に対応している。例えば、本実施の形態では、一般入賞口31a,31b、契機対応口33a,33b及び契機対応ユニット34に対応する払出個数は4個、下可変入賞装置ユニット32及び上可変入賞装置ユニット37に対応する払出個数は15個と設定されている。
次に、第1制御基板ユニット201を図10を用いて説明する。図10は同ユニット201の斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261及び初期化装置543(基板ボックス263)と、音声ランプ制御装置262(基板ボックス265)とが搭載されている。
主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備している。
また、初期化装置543は、RAM消去スイッチ323が電気的に接続されており、RAM消去スイッチ323が押されたかを検出するとともに、その検出結果を主制御装置261へ送信するRAM消去スイッチ回路543a(図13参照)を具備している。
そして、前記主基板とRAM消去スイッチ回路543aとが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて、主制御装置261及び初期化装置543が構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
初期化装置543に電気的に接続されるRAM消去スイッチ323は、パチンコ機10を電源投入時の初期状態へ戻す場合に操作されるスイッチである。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
そして、一方の基板搭載面上に主制御装置261(主基板)と初期化装置543とが収容された基板ボックス263が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が収容された基板ボックス265が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261(基板ボックス263)は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262(基板ボックス265)はその奥側に配置される。
次に、第2制御基板ユニット202を図11を用いて説明する。図11は同ユニット202の斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、パチンコ機10の背面から見た背面図を図12に示す。
裏パック351は、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも上可変入賞装置ユニット37を囲むのに十分な大きさを有する。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は前記上皿19に供給される。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
また、裏パックユニット203のベース部353には、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図13は、本パチンコ機10の電気的構造を示したブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みは、通常処理(図15参照)によって電源遮断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)のメイン処理(図14参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、初期化装置543、払出制御装置311、下可変入賞装置ユニット32、契機対応ユニット34、上可変入賞装置ユニット37(普通図柄表示装置41)、その他図示しないスイッチ等が接続されている。
初期化装置543には、RAM消去スイッチ回路543aが設けられており、そのRAM消去スイッチ回路543aには、RAM消去スイッチ323が電気的に接続されている。RAM消去スイッチ回路543aはRAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SK2を出力する回路である。パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去スイッチ323が押下されると、主制御装置261と払出制御装置311のRAM503,513(バックアップエリア503a,513a)のデータがそれぞれクリアされる。なお、上述したように、初期化装置543と主制御装置261とは、基板ボックス263に収納されている。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグ513bと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグ513cと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ513dとが設けられている。RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値、コマンドバッファ513dにおける記憶ポインタ及び読出ポインタなどを記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはメイン処理(図25参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
払出許可フラグ513bは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグ513cは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグ513bと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、後述するコマンド判定処理(図28参照)により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファ513dは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ513dにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
払出制御装置311のCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技機の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される(図8,9参照)。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理(NMI割込み処理)の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理(NMI割込み処理)を正常に実行し完了することができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。主として主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理をフローチャート図を参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
図16は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図16において、先ずステップS301では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して入賞検知情報を保存する。より詳しくは、上記入賞口スイッチ221、カウントスイッチ222、特定領域スイッチ223a、カウントスイッチ223b、契機対応ユニットスイッチ224a、及び契機対応口スイッチ224bからの検出信号の入力の有無を判定して、検出信号の入力がなされた場合には入賞有りの入賞検知情報が保存される。そして、これら入賞検知情報に基づき、後述する通常処理の外部出力処理において契機対応口33a,33b等の各入賞部に対応した賞球数の払出許可コマンドが払出制御装置311へ出力される。
その後、ステップS302で、普通図柄乱数カウンタC4の更新を実行し、本処理を終了する。ここで、普通図柄乱数カウンタC4について説明する。普通図柄乱数カウンタC4は、普通図柄表示装置41において「○」図柄を停止させるか否かの抽選に用いられるものであり、その更新の都度、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。当該カウンタは本ステップS302の処理によって定期的に(タイマ割込み毎に1回)更新され、その更新値が、遊技球が下可変入賞装置ユニット32に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。また、RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)とからなる記憶エリアとしての保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、下可変入賞装置ユニット32への遊技球の入賞履歴に合わせて、普通図柄乱数カウンタC4の値が時系列的に格納されるようになっている。なお、当選することとなる乱数の値の数は219あり、その範囲は「5〜223」である。このように、普通図柄表示装置41における「○」図柄の停止確率(当選確率)は、本実施形態では比較的高く設定されている。
図17は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始し、ステップS401において、電源断の発生情報の設定として電源断の発生情報をRAM503のバックアップエリア503aに記憶してNMI割込み処理を終了する。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、電源断の発生情報がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図17のNMI割込み処理を開始する。その内容は上記説明の通りである。
また、図14は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ずはじめに、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、RAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、押下されていれば、バックアップデータをクリア(消去)するべく、ステップS113へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323が押下されていなければ、続くステップS105で、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、設定されていなければ、バックアップデータは記憶されていないので、この場合もステップS113へ移行する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS106でRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。ここで算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、この場合もステップS113へ移行する。
ステップS113の処理では、サブ側の制御装置となる払出制御装置311(及び音声ランプ制御装置262等)を初期化するために、払出初期化コマンド(及び音声初期化コマンド等)を送信する。その後、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期値を設定する。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に復帰させるコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
次に、通常処理の流れを図15のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S208の処理が4msec周期の定期処理として実行される。
図15において、先ずステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。例えば、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得賞球に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、ここで上可変入賞装置ユニット37等の各種アクチュエータを駆動させるための制御信号も出力される。
ステップS202では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号を読み込む。次に、ステップS203では、払出制御装置311より受信した払出異常信号を読み込む。その後、ステップS204で上可変入賞装置ユニット37の開閉制御処理を行い、ステップS205で大当たり制御処理を行い、ステップS206で下可変入賞装置ユニット32の入賞処理を行い、ステップS207で普通図柄変動処理を行い、ステップS208で契機対応ユニット34の開閉制御処理を行う。なお、ステップS204〜S208の処理の詳細については後述する。
その後は、ステップS209において、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていなければ、ステップS210で、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、既に所定時間が経過していれば、ステップS201へ移行し、上記ステップS201以降の処理を繰り返し実行する。一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、次の通常処理の実行タイミングに至るまで本ステップを繰り返し実行する。
また、ステップS209において、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS211以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS211において各割込み処理の発生を禁止し、ステップS212において、CPU501が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS213において、スタックポインタの値をバックアップエリア503aに記憶する。その後、ステップS214において、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置311等)に対して送信する。そして、ステップS215でRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後、ステップS216でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、ステップS209の処理は、ステップS201〜S208で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間の終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置261の通常処理において、各処理の終了時に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM503のバックアップエリア503aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア503aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、主制御装置261の処理の負担を軽減することができる。さらに、データの記憶前に割込み処理の発生を禁止(ステップS211)するので、電源が遮断されたときのデータが変更されることを防止でき、電源遮断前の状態を確実に記憶することができる。
ここで、上記ステップS204の上可変入賞装置ユニット37の開閉制御処理について図18を参照して説明する。この開閉制御処理の機能が本実施形態における特別開閉制御手段や、特定処理としての開閉制御処理を実行する特定処理実行手段を構成する。
先ずステップS501では、契機対応口33a,33b又は契機対応ユニット34への入賞に伴う始動入賞判別処理を実行する。より詳しくは、契機対応口スイッチ224b又は契機対応ユニットスイッチ224aの入賞検知情報(上記タイマ割込み処理参照)の有無を判別する。そして、遊技球の入賞がない場合(ステップS501:NO)には、そのまま本処理を終了する。
一方、遊技球の入賞があった(ステップS501:YES)と判別されると、続くステップS502において、上可変入賞装置ユニット37の駆動処理を実行し、本処理を終了する。当該駆動処理が実行されると、上可変入賞装置ユニット37において羽根405a,405bが所定時間(本実施形態では0.6秒間)だけ開放状態となる。なお、本実施形態では、契機対応口スイッチ224bに対応する入賞検知情報である場合には羽根405a,405bが1回開放され、契機対応ユニットスイッチ224aの入賞検知情報に対応する場合には羽根405a,405bが2回開放される。
なお、羽根405a,405bが開状態のときに、遊技球が上可変入賞装置ユニット37内に入ると、遊技球は遊技球転動部404から誘導通路406を介して遊技球振分け機構402へ導かれる。このとき、カウントスイッチ223bによって遊技球が検出される。遊技球が遊技球振分け機構402へ導かれると、遊技球は回転体414のいずれかの収容部に収容される。ここで、遊技球が第3収容部423に収容された場合には、遊技球が上記特定領域に導かれ、特定領域スイッチ223aによって検出される。
次に、前記ステップS205の大当たり制御処理を図19のフローチャートを参照して説明する。この大当たり制御処理の機能が本実施形態における遊技状態制御手段,特別開閉制御手段を構成する。
ステップS601では、後述する大当たり中フラグを参酌して、特別遊技状態としての大当たり状態中であるか否か判別する。
ここで大当たり状態中でない(大当たり中フラグの値が0)と判別された場合(ステップS601:NO)、ステップS602において上記特定領域スイッチ223aの入賞検知情報に基づき、遊技球が上記特定領域を通過したか否かを判別する。ここで、遊技球が特定領域を通過していない場合(ステップS602:NO)には、そのまま本処理を終了する。
一方、遊技球が特定領域を通過した場合(ステップS602:YES)には、ステップS603において大当たり開始設定処理を実行し、ステップS604へ移行する。なお、ステップS603の大当たり開始設定処理では、大当たり状態中であるか否かを特定するための大当たり中フラグの値に大当たり状態中である旨を示す1を設定する処理、大当たり状態中のラウンド数を特定するラウンドカウンタの値に1を設定する処理等が行われる。
また、上記ステップS601において大当たり状態中である(大当たり中フラグの値が1)と判別された場合(ステップS601:YES)には、そのままステップS604へ移行する。
ステップS604では、上可変入賞装置ユニット37又は下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作中であるか否か、すなわち後述するラウンド動作中フラグの値が1か否かを判別する処理を行う。ここで、ラウンド動作中フラグの値が1の場合(ステップS604:YES)、ステップS605においてラウンド動作中処理を実行し、本処理を終了する。一方、ラウンド動作中フラグの値が1でない、すなわち0の場合(ステップS604:NO)、ステップS606においてラウンド閉鎖中処理を実行し、本処理を終了する。
ここで、前記ステップS605のラウンド動作中処理について図20のフローチャートを参照して説明する。
ステップS701では、大当たり制御タイマの値が0であるか否かを判別する処理を実行する。なお、大当たり制御タイマとは、大当たり中における各種時間制御を行う上で参酌するタイマである。大当たり制御タイマには、例えばラウンド中の羽根405a,405bの開放時間として1.0秒が設定されたり、ラウンド閉鎖中の時間として2.0秒が設定されたりする。ここで大当たり制御タイマの値が0でない場合(ステップS701:NO)にはステップS702において大当たり制御タイマの値を1減算する処理を実行し、ステップS703へ移行する。
ステップS703では、上可変入賞装置ユニット37への入賞個数をカウントする上入賞カウンタ(又は下可変入賞装置ユニット32への入賞個数をカウントする下入賞カウンタ)の値が所定数(本実施形態では10)以上であるか否かを判別する処理を実行する。
ここで入賞カウンタの値が10以上でない場合(ステップS703:NO)、ステップS704において上可変入賞装置ユニット37又は下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作制御処理を実行し、本処理を終了する。なお、上可変入賞装置ユニット37及び下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作の詳細は後述する。
一方、ステップS701で大当たり制御タイマの値が0である場合(ステップS701:YES)、又は、ステップS703で入賞カウンタの値が10以上である場合(ステップS703:YES)には、ステップS705において上可変入賞装置ユニット37又は下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作終了設定処理を実行し、本処理を終了する。このラウンド動作終了設定処理において、ラウンド動作中フラグの値にラウンド動作中でないことを示す0を設定する処理や、入賞カウンタ(上又は下入賞カウンタ)のリセット処理などが行われる。
次に、前記ステップS606のラウンド閉鎖中処理について図21のフローチャートを参照して説明する。
ステップS801では、大当たり制御タイマの値が0であるか否かを判別する処理を実行する。ここで大当たり制御タイマの値が0でない場合(ステップS801:NO)にはステップS809において大当たり制御タイマの値を1減算する処理を実行し、本処理を終了する。
一方、ステップS801で大当たり制御タイマの値が0である場合(ステップS801:YES)、ステップS802において、大当たり状態中のラウンド数を特定するラウンドカウンタの値が1であるか否かを判別する。すなわち、現在のラウンドが初回ラウンドであるか否かを判別する。なお、本実施形態では、大当たり状態中でない場合に遊技球が特定領域を通過した際のラウンド、すなわち大当たり確定時のラウンドが初回ラウンドであり、当該ラウンドが1ラウンドとしてカウントされ、大当たり状態中に最大16ラウンドの遊技が行われる。このラウンドが本実施形態における特賞状態に相当する。
ここで初回ラウンドである場合(ステップS802:YES)、ステップS805へ移行する。一方、初回ラウンドでない場合(ステップS802:NO)、ステップS803において、現在のラウンドが最終ラウンドであるか否かを判別する。本実施形態では16ラウンドが最終ラウンドに設定されているため、ここでは上記ラウンドカウンタの値が16であるか否かを判別する。
そして、ここで最終ラウンドである場合(ステップS803:YES)、ステップS810へ移行する。一方、最終ラウンドでない場合(ステップS803:NO)、ステップS804において遊技球が特定領域を通過したか否かを、特定領域スイッチ223aの入賞検知情報に基づき判別する。
そして、遊技球の通過を検出していない場合(ステップS804:NO)には、ステップS810へ移行する。一方、遊技球の通過を検出した場合(ステップS804:YES)、ステップS805へ移行する。
ステップS805では、ラウンド数の更新処理を実行する。すなわちラウンドカウンタの値に1加算する処理を実行する。続くステップS806では、ラウンドカウンタの値が最大ラウンド数「16」以上であるか否かを判別する処理を実行する。
ここでラウンドカウンタの値が最大ラウンド数「16」以上でない場合(ステップS806:NO)、ステップS807において上可変入賞装置ユニット37のラウンド動作を実行するための設定処理を行い、本処理を終了する。例えば、上可変入賞装置ユニット37又は下可変入賞装置ユニット32がラウンド動作中であるか否かを特定するためのラウンド動作中フラグの値にラウンド動作中であることを示す1を設定する処理、ラウンド動作の実行期間を特定する値を大当たり制御タイマに設定する処理、羽根405a,405bの開状態時間や閉状態時間を特定するタイマを設定する処理、羽根405a,405bの開閉回数を特定するためのカウンタを設定する処理などが行われる。
上記設定処理に基づき、上記ステップS704のラウンド動作制御処理が実行された場合には、2ラウンド目(実質的な1ラウンド目)から15ラウンド目までは、以下のような上可変入賞装置ユニット37のラウンド動作が行われる。より詳しくは、羽根405a,405bの開閉処理、及び、遊技球停留処理が行われる。
前記開閉処理が実行されると、羽根405a,405bが1ラウンド中に特別規定回数(本実施形態では18回)開閉するよう制御される。そして、特別規定時間(例えば30.0秒)が経過するまで又は特別規定個数(例えば10個)の入賞があるまで、この開閉動作を繰り返し、その後閉状態となる。従って、このラウンド動作制御処理の機能も本実施形態における特別開閉制御手段を構成する。
また、前記遊技球停留処理が実行されると、主制御装置261から第1遮蔽機構431及び第2遮蔽機構432へ制御信号が送信され、第1ソレノイド436及び第2ソレノイド442が励磁される。これにより、第1通過口425及び第3通過口427が閉鎖され、第1収容部421又は第3収容部423に収容された遊技球は、通過口425,427から排出されず、各収容部に停留する。そして、羽根405a,405bの開閉動作が終了した後、遊技球停留解除処理が実行される。すなわち、主制御装置261から第1遮蔽機構431及び第2遮蔽機構432へ制御信号が送信され、第1ソレノイド436及び第2ソレノイド442が非励磁状態に戻される。これにより、第1通過口425及び第3通過口427が開放され、第1収容部421又は第3収容部423に収容された遊技球が、通過口425,427から排出される。そして、遊技球が特定領域へ入球することを条件に次回のラウンド動作が実行されることとなる。なお、本実施の形態では、通常、遊技球振分け機構402へ導かれた遊技球が第3収容部423に収容される確率は1/10である。しかし、上記大当たり状態が発生して上記遊技球停留処理が行われることにより、初めに導かれてきた遊技球が第1収容部421に収容され停留した場合には、次に導かれてきた遊技球が第3収容部423に収容される確率は1/9となる。このように、第3収容部423に遊技球が収容されないまま、遊技球振分け機構402へ次々に遊技球が導かれ、第1収容部423に収容され停留されていったとすると、第3収容部423に遊技球が収容される確率は、第1収容部421に停留している遊技球の数に応じて高くなる。なお、第2収容部422には遊技球が停留されないため、第3収容部423に収容される確率は最大で1/2となる。
さて、ステップS806においてラウンドカウンタの値が最大ラウンド数「16」以上である場合、すなわち最大ラウンド数「16」である場合(ステップS806:YES)、ステップS808において下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作を実行するための設定処理を行い、本処理を終了する。例えば、ラウンド動作中フラグの値にラウンド動作中であることを示す1を設定する処理、ラウンド動作の実行期間(開閉部材32aの開放期間)を特定する値(29.5秒)を大当たり制御タイマに設定する処理などが行われる。
上記設定処理に基づき、上記ステップS704のラウンド動作制御処理が実行された場合には、16ラウンド目には、以下のような下可変入賞装置ユニット32のラウンド動作が行われる。従って、このラウンド動作制御処理の機能が本実施形態における第1開閉制御手段(開閉制御手段)を構成する。より詳しくは、1ラウンド中に開閉部材32aが1度だけ開放するよう制御され、開放後、29.5秒が経過した場合又は遊技球10個が入賞した場合に閉鎖する。
さて、16ラウンドが終了した場合(ステップS803:YES)、ステップS810において大当たり終了設定処理が実行される。例えば、大当たり中フラグのリセット(0にする)処理や、大当たり制御タイマのリセット処理などが行われる。
次に、上記ステップS206の下可変入賞装置ユニット32への入賞に伴う入賞処理について図22を参照して説明する。
ステップS901では、下可変入賞装置ユニット32に遊技球が入賞したか否かをカウントスイッチ222の入賞検知情報に基づき判別する。遊技球が下可変入賞装置ユニット32に入賞していないと判別されると(ステップS901:NO)、そのまま本処理を終了する。一方、遊技球が下可変入賞装置ユニット32に入賞したと判別されると(ステップS901:YES)、続くステップS902では、下可変入賞装置ユニット32への遊技球の入賞個数をカウントする下入賞カウンタの値が所定数(本実施形態では10)未満であるか否かを判別する。
ここで、下入賞カウンタの値が10未満である場合(ステップS902:YES)には、ステップS903において下入賞カウンタの値に1加算し、ステップS904へ移行する。一方、下入賞カウンタの値が10以上である場合(ステップS902:NO)、そのままステップS904へ移行する。
ステップS904では、保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。ここで保留球数Nが上限値「4」未満でないと判別された場合(ステップS904:NO)、そのまま本処理を終了する。一方、保留球数Nが上限値「4」未満であると判別された場合(ステップS904:YES)、ステップS905に進み、保留球数Nの値に1加算する処理を行う。
続くステップS906では、当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS302で更新した普通図柄乱数カウンタC4の値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納し、本処理を終了する。この当落に関わる乱数を取得する処理が本実施形態における当落抽選処理に相当し、この処理の機能が抽選手段,変動ひかえ手段を構成する。
次に、前記ステップS207の普通図柄変動処理を図23のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1001では、今現在、下可変入賞装置ユニット32の開放中であるか否かを判別する。ここで、下可変入賞装置ユニット32が開放中である場合(ステップS1001:YES)、そのまま本処理を終了する。
一方、下可変入賞装置ユニット32が開放中でない場合(ステップS1001:NO)、続くステップS1002において契機対応ユニット34の開放中であるか否かを、後述する開放中フラグを参酌して判別する。ここで、契機対応ユニット34が開放中である場合(ステップS1002:YES)、そのまま本処理を終了する。
一方、契機対応ユニット34が開放中でない場合(ステップS1002:NO)、続くステップS1003において普通図柄表示装置41による普通図柄の変動表示中であるか否かを判別する。そして、変動表示中でない場合、ステップS1004に進み、保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。このとき、保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
また、保留球数N>0であれば、ステップS1005に進む。ステップS1005では、保留球数Nから1を減算する。続くステップS1006では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
その後、ステップS1007では、変動開始設定処理を実行する。ここでは、変動時間を設定するタイマなどの設定処理を行った上で、普通図柄表示装置41における普通図柄の変動表示を開始する。さらに、普通図柄乱数カウンタC4の値の判別処理を実行し、当該カウンタ値が当たりに該当する値である場合には、当たりフラグの値に「1」を設定する。一方、カウンタ値が外れに該当する値である場合には、当たりフラグの値に「0」を設定する。当たりフラグは契機対応ユニット34の開放条件が成立したか否かを判別するためのフラグである。
上記ステップS1003がYES、すなわち変動表示中である場合には、ステップS1008に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。ステップS1008で肯定判別された場合に移行するステップS1009では、普通図柄表示装置41による決定表示を行う。すなわち、取得された普通図柄乱数カウンタC4の値が当たりに該当する値である場合には「○」が決定表示され、普通図柄乱数カウンタC4の値が外れに該当する値である場合には「×」が決定表示される。一方、ステップS1008で否定判別された場合に移行するステップS1010では、普通図柄表示装置41の変動表示を行い、本処理を終了する。
次に、前記ステップS208の契機対応ユニット34の開閉制御について図24のフローチャートを説明する。契機対応ユニット34の開閉制御処理の機能が本実施形態における第2開閉制御手段を構成する。
ステップS1101では、上記当たりフラグの値を参酌して契機対応ユニット34の開放条件が成立したか否かを判別する。ここで当たりフラグの値が1でない場合(ステップS1101:NO)、ステップS1103へ移行する。一方、当たりフラグの値が1である場合(ステップS1101:YES)、ステップS1102において契機対応ユニット34の開放処理を実行する。この開放処理では、契機対応ユニット34を開放させるとともに、当該契機対応ユニット34の開放時間の制御を行う上で参酌する開放制御タイマ(本実施形態では2.0秒)の設定処理、契機対応ユニット34が開放中であるか否かを判別するための開放中フラグの値に開放中を示す1を設定する処理、当たりフラグのリセット処理(値を0にする処理)が行われる。
ステップS1103では、開放中フラグの値が1であるか否かを判別する。ここで開放中フラグの値が1でない場合(ステップS1103:NO)には、そのまま本処理を終了する。一方、開放中フラグの値が1である場合(ステップS1103:YES)には、ステップS1104へ移行する。
ステップS1104では、開放制御タイマの値が0であるか否かを判別する。ここで開放制御タイマの値が0である場合(ステップS1104:YES)にはステップS1107へ移行する。一方、開放制御タイマの値が0でない場合(ステップS1104:NO)にはステップS1105において開放制御タイマの値を1減算する処理を実行し、ステップS1106へ移行する。
ステップS1106では、契機対応ユニットスイッチ224aの入賞検知情報に基づき、契機対応ユニット34へ遊技球が入賞したか否かを判別する。ここで入賞無しの場合(ステップS1106:NO)には、そのまま本処理を終了する。一方、入賞有りの場合(ステップS1106:YES)にはステップS1107へ移行する。そして、ステップS1107において契機対応ユニット34の閉鎖処理を実行し、本処理を終了する。この閉鎖処理では、契機対応ユニット34を閉鎖させるとともに、開放中フラグ及び開放制御タイマのリセット処理(共に値を0にする処理)を実行する。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。説明の便宜上、まず図26を参照して受信割込み処理を説明し、その後図25を参照してメイン処理を説明する。
図26は、払出制御装置311により実行される受信割込み処理を示すフローチャートである。受信割込み処理は、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信した場合に割り込んで実行される処理である。主制御装置261から送信されたコマンドが受信されたことを払出制御装置311が確認すると、払出制御装置311内のCPU511により実行される他の処理を一端待機させ、受信割込み処理が実行される。受信割込み処理が実行されると、まずステップS2101において主制御装置261から送信されたコマンドをRAM513のコマンドバッファ513dに記憶し、ステップS2102において主制御装置261からコマンドが送信されたことを記憶するためにコマンド受信フラグ513cをオンして、本受信割込み処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファ513dに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に受信したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
なお、本実施形態では、主制御装置261から送信されるコマンドの受信処理は、そのコマンドが受信されたときに実行される割込処理で行われるものとしたが、例えば、図27に示したタイマ割込処理において、コマンド判定処理(ステップS2201)が行われる前に、コマンドが受信されたか否かを確認し、コマンドが受信されている場合にはそのコマンドをRAM513のコマンドバッファ513dへ記憶してコマンド受信フラグ513cをオンするとともに、コマンドが受信されていない場合にはコマンド判定処理へ移行するものとしてもよい。かかる場合には、所定間隔毎に入出力ポート515のコマンド入力に対応するポートを確認することで、コマンドが受信されたか否かを確認する。
次に、払出制御装置311のメイン処理を図25を参照して説明する。図25は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず始めに、ステップS2001では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、ステップS2002でRAMアクセスを許可すると共に、ステップS2003で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS2004では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。そして、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS2005でRAM判定値を算出し、続くステップS2006で、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
ステップS2004で電源断の発生情報が設定されていない場合や、ステップS2006でRAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合には、ステップS2013以降のRAM513の初期化処理へ移行する。
ステップS2013ではRAM513の全領域を0にクリアし、ステップS2014ではRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS2015ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS2012へ移行して割込みを許可する。
一方、ステップS2004で電源断の発生情報が設定されていること、及びステップS2006でRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS2007で電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS2008で電源断の発生情報をクリアし、ステップS2009で賞球の払出を許可する払出許可フラグ513bをクリアする。また、ステップS2010では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS2011では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS2012では、割込みを許可する。
ステップS2012で割込みが許可された後は、ステップS2016の処理において、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS2017以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS2017において各割込み処理の発生を禁止し、次のステップS2018において後述するコマンド判定処理を実行する。その後、ステップS2019でCPU511が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS2020でスタックポインタの値をバックアップエリア513aに記憶し、ステップS2021でRAM判定値を算出してバックアップエリア513aに保存し、ステップS2022でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM513のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、ステップS2016の処理は、電源投入時に行われる処理の終了後に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM513のバックアップエリア513aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア513aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、払出制御装置311の処理の負担を軽減することができる。
次に、図27のフローチャートを参照して、払出制御装置311のタイマ割込み処理を説明する。このタイマ割込み処理は、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動される。
タイマ割込み処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(ステップS2201)。このコマンド判定処理について図28を参照して以下に説明する。
図28は、払出制御装置311により行われるコマンド判定処理を示すフローチャートである。コマンド判定処理(ステップS2018,S2201)では、まず、ステップS2301においてコマンド受信フラグ513cがオンされているか否かを判別する。コマンド受信フラグ513cは、上述した受信割込み処理(図26参照)において主制御装置261から送信されたコマンドを受信したときにオンされる。
ステップS2301においてコマンド受信フラグ513cがオフと判別されれば、新たなコマンドを主制御装置261から受信していないので、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS2301でコマンド受信フラグ513cがオンと判別されれば、ステップS2302において、その受信したコマンドをRAM513から読み出し、ステップS2303においてコマンド受信フラグ513cをオフする。ステップS2303においてコマンド受信フラグ513cをオフすることにより、新たにコマンドが受信されるまで、ステップS2302〜ステップS2311の処理をスキップできるので、払出制御装置311の制御を軽減することもできる。
ステップS2304〜ステップS2306の処理でRAM513から読み出されたコマンドの種類が判別される。ステップS2304では主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであるか否かが判別され、ステップS2305では払出復帰コマンドであるか否かが判別され、ステップS2306では賞球コマンドであるか否かが判別される。
主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであれば、ステップS2307で既に払出許可フラグ513bがオンされているか否かが判別され、払出許可フラグ513bがオフされていれば、電源投入時に主制御装置261からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS2308でRAM513のスタックエリア以外となる作業領域(エリア)を0にクリアし、ステップS2309でRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS2311で払出許可フラグ513bをオンして、賞球の払出許可が設定される。
上述したように、主制御装置261は、払出初期化コマンドを送信した後に、RAM503の初期化処理を行っており、払出制御装置311は、払出初期化コマンドを受信した後に、RAM513の初期化処理を行っているので、RAM503が初期化されるタイミングと、RAM513が初期化されるタイミングとが略同時期となる。よって、初期化のタイミングがずれることにより、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信したとしても、RAM513が初期化されてしまい、受信したコマンドに対応する制御が行えない等の弊害の発生を防止することができる。また、RAM513が初期化された後に、払出許可フラグ513bをオンするので、賞球の払出許可を確実に設定することができる。
一方、ステップS2307で既に払出許可フラグ513bがオンされていれば、RAM513の作業領域のクリアと、RAM513の初期化処理とを行わずに、本コマンド判定処理を終了する。すなわちステップS2307の処理は、払出許可フラグ513bが設定された状態でRAM513が初期化されることを禁止している。なお、払出初期化コマンドは、電源投入時にRAM消去スイッチ323がオンされている場合のみ送信されるコマンドであるので、払出許可フラグ513bがオンされた状態で受信することはなく、かかる場合には、ノイズなどの影響によって払出制御装置311が払出初期化コマンドとして認識してしまったことが考えられる。よって、払出許可フラグ513bがオンされている状態で、RAM513の作業領域のクリア(ステップS2308)と、RAM513の初期値設定(ステップS2309)を実行すると、賞球が残っている場合に払出されないなどの弊害が生じて遊技者に損失を与えてしまうが、払出許可フラグ513bがオンされている状態で、RAM513が初期化されることを防止しているので、遊技者に損失を与えることを防止できる。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが払出復帰コマンドであれば(ステップS2304:NO、ステップS2305:YES)、主制御装置261及び払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰するので、賞球の払出を許可するためにステップS2311で払出許可フラグ513bをオンする。すなわち、電源断の発生情報があり、主制御装置261と払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰した場合には、賞球の払出が許可される。ステップS2311の処理において払出許可フラグ513bがオンされると、コマンドバッファ513dの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが賞球コマンドであれば(ステップS2305:NO、ステップS2306:YES)、ステップS2310において、受信した賞球個数を総賞球個数に加算して記憶し、賞球の払出を許可するためにステップS2311で払出許可フラグ513bをオンする。すなわち、主制御装置261から送信される賞球コマンドに基づいて賞球個数に対応した賞球の払出しが行われるので、賞球コマンドは、賞球コマンドは賞球の払出しを指示する払出指示コマンドである。また、賞球コマンドが受信された場合には、即座に払出許可が設定されるので、入賞に対して早期に賞球の払出しを行うことができる。ステップS2311の処理において払出許可フラグ513bがオンされると、コマンドバッファ513dの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
なお、主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドでもなく(ステップS2304:NO)、払出復帰コマンドでもなく(ステップS2305:NO)、賞球コマンドでもなければ(ステップS2306:NO)、払出許可フラグ513bをオンすることなく、コマンド判定処理を終了する。
ここで、図27のフローチャートに戻って説明する。コマンド判定処理が終わると、ステップS2202において、コマンド判定処理で払出許可フラグ513bがオンされたか否かが判別される。ここで、払出許可フラグ513bがオンされていなければ、そのまま本処理を終了する。つまり、主制御装置261からコマンドが送信される前に賞球の払出しが行われることを防止することができる。
一方、ステップS2202で肯定判定されれば、ステップS2203で発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い、ステップS2204で状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。この処理により、例えば払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
その後、ステップS2205では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、上記下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS2206では、上記タンク355のタンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、球無し検出スイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS2207では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた図示しない状態表示部(7セグメントLED)により報知する。
ステップS2208〜S2210では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく、且つ前記ステップS2201で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS2208,S2209が共にNO)、ステップS2210に進み、賞球制御処理(後述する図29)を開始する。また、賞球の払出不可状態、又は総賞球個数が0であれば(ステップS2208、S2209の何れかがYES)、貸球払出の処理に移行する。
その後、ステップS2211〜S2213では、貸球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS2211がNO、S2212がYES)、ステップS2213に進み、貸球制御処理(後述する図30)を開始する。また、貸球の払出不可状態、又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS2211がYES又はS2212がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS2214では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS2215では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
ここで、図29に示す賞球制御処理において、ステップS2401では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS2402では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS2403に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS2404に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS2405に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS2406に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS2407で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
また、図30に示す貸球制御処理において、ステップS2501では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS2502では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS2503に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS2504に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS2505に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS2506に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS2507で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図27のタイマ割込み処理に戻る。
以上詳述したように、大当たり状態中の最終ラウンドにおいてのみ開状態となる下可変入賞装置ユニット32へ遊技球を入球させることに基づき当落抽選を行い、その抽選結果に基づき契機対応ユニット34を開状態とし、当該契機対応ユニット34への遊技球の入球に基づき、次回の大当たり状態を発生しやすくする遊技者に有利な特定処理として上可変入賞装置ユニット37を開状態とする制御が行われる。これにより、遊技球が上可変入賞装置ユニット37へ入球する機会が増し、大当たり状態が発生する機会も増える。従って、大当たり状態中の遊技自体に、次回の大当たり状態の発生契機につながる遊技が含まれることとなり、大当たり状態中の遊技に対する遊技者にとっての興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
また、次回の大当たり状態を獲得するためには、上述したような複数のステップを経る必要があるため、大当たり状態が一旦発生すると、次回の大当たり状態が必ず発生してしまうといった不具合を抑制することができる。
以上、本発明は、上記実施の形態には何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の形態で実施できることは言うまでもない。
(a)上記実施形態では、上可変入賞装置ユニット37内の特定領域に遊技球が入球することにより、大当たり状態が発生するタイプのパチンコ機として実施されている。これに限らず、他のタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
例えば、始動入球手段へ遊技球が入球することに基づき所定の当落抽選処理を行い、当該当落抽選処理により当選結果が得られた場合において、複数ラウンドよりなる大当たり状態が発生するパチンコ機として実施してもよい。この場合、複数ラウンドのうちの最終ラウンドにおいてのみ開状態となる可変入球手段を備え、当該可変入球手段への遊技球の入球に基づき次回の大当たり状態を発生しやすくする遊技者に有利な特定処理が実行される。次回の大当たり状態を発生しやすくする遊技者に有利な特定処理としては、例えば、次回の大当たり状態を発生させるか否かの当落抽選処理や、始動入球手段へ遊技球が入球しやすくする処理等が一例として挙げられる。
(b)上記実施形態では、大当たり状態中の最終ラウンドにおいてのみ下可変入賞装置ユニット32を開状態とする制御を行うように構成されている。これに限らず、最終ラウンドから所定ラウンド回数分、例えば15ラウンド目及び16ラウンド目(最終ラウンドから2ラウンド分)において下可変入賞装置ユニット32を開状態とする制御を行う構成としてもよい。