JP5895659B2 - 超音波測定装置、電子機器及び診断装置 - Google Patents

超音波測定装置、電子機器及び診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波測定装置、電子機器及び診断装置等に関する。
超音波診断装置では、安全規格や機器の信頼性確保のために超音波プローブの温度管理など使用環境の管理が必須である。また、携帯型の超音波診断装置では、低コストで小型であることが要求される。この課題に対して例えば特許文献1には、半導体基板上に超音波素子と温度センサーとを形成することにより、低コストで温度検出を行う手法が開示されている。
しかしながらこの手法では、温度検出のために専用の回路を設ける必要があり、コストの削減や小型化が十分ではないなどの課題があった。
特開2006−346105号公報
本発明の幾つかの態様によれば、簡素な構成で使用環境の管理などができる超音波測定装置、電子機器及び診断装置等を提供できる。
本発明の一態様は、複数の超音波素子がアレイ状に配置される超音波素子アレイと環境センサーとを有するセンサー部と、前記超音波素子アレイに対して駆動信号を出力する送信部と、前記超音波素子アレイからの受信信号及び前記環境センサーからの検出信号が入力される測定部と、前記センサー部、前記送信部及び前記測定部に接続されるスイッチ部とを含み、前記測定部は、前記センサー部から前記スイッチ部を介して入力される前記受信信号及び前記検出信号の測定処理を行う超音波測定装置に関係する。
本発明の一態様によれば、センサー部が超音波素子アレイと環境センサーとを有し、測定部が超音波素子アレイからの受信信号及び環境センサーからの検出信号の測定処理を行うことができるから、例えばセンサー部の温度や被測定物との距離などを精度良く測定することができる。その結果、超音波測定装置の使用環境を精度良く管理することができるから、安全で信頼性の高い超音波測定装置を実現することなどが可能になる。
また本発明の一態様では、前記送信部は、第1の期間において、前記超音波素子アレイに対して前記駆動信号を出力し、前記測定部は、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記超音波素子アレイからの前記受信信号の測定処理を行い、第1の期間において、前記環境センサーからの前記検出信号の測定処理を行ってもよい。
このようにすれば、測定部が、受信信号の測定処理を行わない第1の期間において環境センサーからの検出信号の測定処理を行うことができるから、環境センサーのための専用の測定回路等を設ける必要がなくなる。その結果、簡素な構成でセンサー部の温度などを精度良く測定することができる。
また本発明の一態様では、前記測定部は、前記第1の期間のうちの前半期間又は後半期間において、前記環境センサーからの前記検出信号の測定処理を行ってもよい。
このようにすれば、駆動信号が供給されていない期間に検出信号の測定処理を行うことができるから、環境センサーからの検出信号が駆動信号によるノイズ等の影響を受けることを防止することができる。
また本発明の一態様では、前記送信部は、前記測定部が出力する、前記環境センサーからの前記検出信号の測定結果に基づいて、前記第1の期間の繰り返し周波数又は前記駆動信号の振幅を可変に設定してもよい。
このようにすれば、例えばセンサー部の温度測定結果に基づいて、超音波素子アレイから発生する熱を制御することができるから、センサー部の温度上昇を抑制することなどができる。その結果、簡素な構成で人体に安全で信頼性の高い超音波測定装置を実現することなどが可能になる。
また本発明の一態様では、前記センサー部は、前記環境センサーとして、前記超音波素子アレイの第1の方向側に設けられる第1の環境センサーと、前記超音波素子アレイの、前記第1の方向の反対方向である第2の方向側に設けられる第2の環境センサーとを有してもよい。
このようにすれば、超音波素子アレイの第1の方向側と第2の方向側とにそれぞれ環境センサーを設けることができるから、2つの環境センサーからの検出信号に基づいて、センサー部の温度などを精度良く測定することができる。
また本発明の一態様では、前記センサー部は、前記超音波素子アレイからの第1の信号線〜第n(nは2以上の整数)の信号線と、前記第1の環境センサーに接続され、前記第1の信号線の前記第1方向側に設けられる第1の環境センサー線と、前記第2の環境センサーに接続され、前記第nの信号線の前記第2方向側に設けられる第2の環境センサー線とを有してもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第1〜第nの信号線を介して送信部からの駆動信号を超音波素子アレイに供給し、第1及び第2の環境センサー線を介して第1及び第2の環境センサーからの検出信号をスイッチ部に入力することができる。
また本発明の一態様では、前記超音波素子アレイは、アレイ状に配置される前記複数の超音波素子として、第1の超音波素子群〜第p(pは2以上の整数)の超音波素子群を有し、前記スイッチ部は、前記第1の超音波素子群〜前記第pの超音波素子群に対応して設けられる第1の送受信切換用スイッチ回路〜第pの送受信切換用スイッチ回路を有し、前記第1の環境センサー線は、前記第1の送受信切換用スイッチ回路を介して前記測定部に接続され、前記第2の環境センサー線は、前記第pの送受信切換用スイッチ回路を介して前記測定部に接続されてもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第1の環境センサーからの検出信号を第1の送受信切換用スイッチ回路を介して測定部に入力し、第2の環境センサーからの検出信号を第pの送受信切換用スイッチ回路を介して測定部に入力することができる。
また本発明の一態様では、前記測定部は、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路に対応して設けられ、複数チャネル分のA/D変換器をそれぞれ有する第1のアナログフロントエンド回路〜第pのアナログフロントエンド回路を有し、前記第1のアナログフロントエンド回路は、前記第1の環境センサー線を介して入力される検出信号のA/D変換処理を行い、前記第pのアナログフロントエンド回路は、前記第2の環境センサー線を介して入力される検出信号のA/D変換処理を行ってもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第1のアナログフロントエンド回路により第1の環境センサーからの検出信号のA/D変換処理を行い、第pのアナログフロントエンド回路により第2の環境センサーからの検出信号のA/D変換処理を行うことができる。
また本発明の一態様では、前記センサー部は、前記環境センサーとして、前記超音波素子アレイの前記第1の方向側に設けられ、前記第1の環境センサー線に接続される第3の環境センサーと、前記超音波素子アレイの前記第2の方向側に設けられ、前記第2の環境センサー線に接続される第4の環境センサーとをさらに有してもよい。
このようにすれば、超音波素子アレイの第1の方向側と第2の方向側とにそれぞれ2個の環境センサーを設けることができるから、センサー部の温度をより高い精度で測定することができる。
また本発明の一態様では、前記スイッチ部は、第1の送受信切換用スイッチ回路〜第p(pは2以上の整数)の送受信切換用スイッチ回路を有し、前記測定部は、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路に対応して設けられ、複数チャネル分のA/D変換器をそれぞれ有する第1のアナログフロントエンド回路〜第pのアナログフロントエンド回路を有し、前記環境センサーからの前記検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のいずれか1つを介して、前記測定部に入力されてもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第1〜第pの送受信切換用スイッチ回路のいずれか1つを介して、環境センサーからの検出信号を対応するアナログフロントエンド回路に入力し、A/D変換処理を行うことができる。
また本発明の一態様では、前記センサー部は、前記環境センサーとして、第1の環境センサーと第2の環境センサーとを有し、前記第1の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第i(iは1≦i≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第iのアナログフロントエンド回路に入力され、前記第2の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第j(jは1≦j≦p且つi≠jである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第jのアナログフロントエンド回路に入力されてもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第iのアナログフロントエンド回路により第1の環境センサーからの検出信号のA/D変換処理を行い、第jのアナログフロントエンド回路により第2の環境センサーからの検出信号のA/D変換処理を行うことができる。
また本発明の一態様では、前記センサー部は、前記環境センサーとして、第1の環境センサーと第2の環境センサーとを有し、前記第1の環境センサー及び前記第2の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第k(kは1≦k≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第kのアナログフロントエンド回路に入力されてもよい。
このようにすれば、第1の期間には、第kのアナログフロントエンド回路により第1及び第2の環境センサーからの検出信号のA/D変換処理を行うことができる。
また本発明の一態様では、前記環境センサーは、前記超音波素子アレイが形成される基板上に形成されてもよい。
このようにすれば、超音波素子アレイと環境センサーとが同一基板上に形成されることで、センサー部の温度などを精度良く測定することができる。
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の超音波測定装置を含む電子機器に関係する。
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の超音波測定装置と、表示用画像データを表示する表示部とを含む診断装置に関係する。
図1(A)、図1(B)は、超音波素子及び環境センサーの基本的な構成例。 センサー部の第1の構成例。 センサー部の第2の構成例。 超音波測定装置の基本的な構成例。 図5(A)、図5(B)は、第1の送受信切換用スイッチ回路の構成例。 図6(A)、図6(B)は、第2の送受信切換用スイッチ回路の構成例。 図7(A)、図7(B)は、第3の送受信切換用スイッチ回路の構成例。 第1のアナログフロントエンド回路の基本的な構成例。 比較例の動作を説明するタイミングチャート。 超音波測定装置の動作を説明するタイミングチャート。 位相走査を説明する図。 図12(A)、図12(B)は、環境センサーからの検出信号の測定処理を行うタイミングの一例。 第1の期間の繰り返し周波数又は駆動信号振幅の設定の一例を説明する図。 超音波診断装置(電子機器)の基本的な構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.超音波素子及び環境センサー
図1(A)、図1(B)に、本実施形態の超音波測定装置に含まれる超音波素子UE及び環境センサーASの基本的な構成例を示す。本実施形態の超音波素子UEは、第1電極層EL1、圧電体層PE、第2電極層EL2、メンブレン(支持部材)MB、空洞領域(空洞部)CAVを含む。また、本実施形態の環境センサーASは、第1電極層EL1、P型半導体層PS、N型半導体層NS、層間絶縁膜INS、コンタクトホールCH、第2電極層EL2を含む。
なお、本実施形態の超音波素子UE及び環境センサーASは図1(A)、図1(B)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図1(A)は、基板(シリコン基板)SUBに形成された超音波素子UE及び環境センサーASの、素子形成面側の基板に垂直な方向から見た平面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A’に沿った断面を示す断面図である。
第1電極層EL1は、メンブレンMBの上層に例えば金属薄膜で形成される。この第1電極層EL1は、図1(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波素子UEに接続される配線であってもよい。
圧電体層PEは、例えばPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)薄膜により形成され、第1電極層EL1の少なくとも一部を覆うように設けられる。なお、圧電体層PEの材料は、PZTに限定されるものではなく、例えばチタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb、La)TiO)などを用いてもよい。
第2電極層EL2は、例えば金属薄膜で形成され、圧電体層PEの少なくとも一部を覆うように設けられる。この第2電極層EL2は、図1(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波素子UEに接続される配線であってもよい。
メンブレンMBは、例えばSiO薄膜とZrO薄膜との2層構造により空洞領域CAVの上層に設けられる。このメンブレンMBは、圧電体層PE及び第1、第2電極層EL1、EL2を支持すると共に、圧電体層PEの伸縮に従って振動し、超音波を発生させることができる。
空洞領域CAVは、シリコン基板SUBの裏面(素子が形成されない面)側から反応性イオンエッチング(RIE)等によりエッチングすることで形成される。この空洞領域CAVの開口部OPより超音波が放射される。
超音波素子UEの第1の電極は、第1電極層EL1により形成され、第2の電極は、第2電極層EL2により形成される。具体的には、第1電極層EL1のうちの圧電体層PEに覆われた部分が第1の電極を形成し、第2電極層EL2のうちの圧電体層PEを覆う部分が第2の電極を形成する。即ち、圧電体層PEは、第1の電極と第2の電極に挟まれて設けられる。
圧電体層PEは、第1の電極と第2の電極との間、即ち第1電極層EL1と第2電極層EL2との間に電圧が印加されることで、面内方向に伸縮する。圧電体層PEの一方の面は第1電極層EL1を介してメンブレンMBに接合されているが、他方の面には第2電極層EL2が形成されるものの、第2電極層EL2上には他の層が形成されない。そのため圧電体層PEのメンブレンMB側が伸縮しにくく、第2電極層EL2側が伸縮し易くなる。従って、圧電体層PEに電圧を印加すると、空洞領域CAV側に凸となる撓みが生じ、メンブレンMBを撓ませる。圧電体層PEに交流電圧を印加することで、メンブレンMBが膜厚方向に対して振動し、このメンブレンMBの振動により超音波が開口部OPから放射される。圧電体層PEに印加される電圧は、例えば10〜30Vであり、周波数は例えば1〜10MHzである。
環境センサーASは、例えば温度センサーであって、P型半導体層PSとN型半導体層NSとのPN接合から成るダイオードで構成することができる。ダイオードの電流−電圧特性が温度に依存することを利用して、センサーの周囲の温度を測定することができる。具体的には、例えば定電流源によりダイオードの正極(アノード電極)から負極(カソード電極)へ一定の電流を流し、その時のアノード・カソード電極間の電圧を検出することで温度を測定することができる。
第1電極層EL1のうちのP型半導体層PSに接合する部分がアノード電極を形成する。また、第2電極層EL2のうちの、コンタクトホールCHを介してN型半導体層NSに接合する部分がカソード電極を形成する。第2電極層EL2は、隣接する超音波素子UEに接続されてもよい。
このように本実施形態の超音波測定装置では、超音波素子と環境センサーとを同一基板上に形成することができる。こうすることで、超音波素子が形成されている基板の温度を精度良く測定することができる。
本実施形態の環境センサーは、上記の温度センサーに限定されず、例えば距離センサー、圧力センサー、或いは速度センサーなどであってもよい。距離センサーは被測定物との距離を検出し、圧力センサーは被測定物から受ける圧力を検出し、速度センサーは超音波測定装置の動きを検出する。
2.センサー部
図2に、本実施形態の超音波測定装置に含まれるセンサー部210の第1の構成例を示す。第1の構成例のセンサー部210は、超音波素子アレイ100、第1、第2の環境センサーAS1、AS2、第1〜第n(nは2以上の整数)の信号線SL1〜SLn、第1、第2の環境センサー線ASL1、ASL2、第1〜第m(mは2以上の整数)のコモン電極線CL1〜CLm、共通コモン電極線COMを含む。図2では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、m、nはこれ以外の値であってもよい。なお、本実施形態のセンサー部210は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
超音波素子アレイ100は、m行n列のマトリックスアレイ状(広義にはアレイ状)に配置される複数の超音波素子UEを含む。超音波素子UEは、例えば図1(A)、図2(B)に示した構成とすることができる。具体的には、図2に示すように、第4の方向D4に向かって第1行〜第8行(広義には第m行)の超音波素子UEが配置され、第4の方向D4に交差する第2の方向D2に向かって第1列〜第12列(広義には第n列)の超音波素子UEが配置される。なお、以下の説明において、超音波素子UEのアレイ内での位置を特定する場合には、例えば第4行第6列に位置する超音波素子をUE4−6と表記する。
超音波素子UEの配置は、図2に示すm行n列のマトリックス配置に限定されない。例えば奇数番目の列にm個の超音波素子が配置され、偶数番目の列にm−1個の超音波素子が配置される、いわゆる千鳥配置であってもよい。
第1〜第8(広義には第m)のコモン電極線CL1〜CL8は、超音波素子アレイ100において第1の方向D1又は第2の方向D2に沿って配線される。第1〜第8のコモン電極線CL1〜CL8のうちの第i(iは1≦i≦8である整数)のコモン電極線CLiは、超音波素子アレイ100の第i行に配置される超音波素子UEがそれぞれ有する第1の電極及び第2の電極のうちの一方の電極に接続される。
第1〜第12(広義には第n)の信号線SL1〜SL12は、超音波素子アレイ100において第3の方向D3又は第4の方向D4に沿って配線される。第1〜第12の信号線SL1〜SL12のうちの第j(jは1≦j≦12である整数)の信号線SLjは、超音波素子アレイ100の第j列に配置される超音波素子UEがそれぞれ有する第1の電極及び第2の電極のうちの他方の電極に接続される。
具体的には、例えば図2に示す超音波素子UE1−1については、第1の電極が第1の信号線SL1に接続され、第2の電極が第1のコモン電極線CL1に接続される。また、例えば図2に示す超音波素子UE4−6については、第1の電極が第6の信号線SL6に接続され、第2の電極が第4のコモン電極CL4に接続される。
共通コモン電極線COMは、第1〜第8のコモン電極線CL1〜CL8に共通接続され、第3の方向D3又は第4の方向D4に沿って配線される。共通コモン電極線COMにはコモン電圧VCOMが供給される。このコモン電圧VCOMは、第1〜第8のコモン電極線CL1〜CL8を介して各超音波素子UEの第2の電極に供給される。コモン電圧VCOMは、一定の直流電圧であって、必ずしも接地電位(グランド電位、0V)である必要はない。
信号線SL1〜SL12には、図示していない送信部により、所定の周波数で電圧が変化する駆動信号がそれぞれ供給される。駆動信号電圧とコモン電圧VCOMとの差の電圧が各超音波素子UEに印加され、所定の周波数の超音波が放射される。例えば、第1列の超音波素子には、信号線SL1に供給される駆動信号電圧V(SL1)とコモン電圧VCOMとの差V(SL1)−VCOMが印加される。同様に、第6列の超音波素子には、信号線SL6に供給される駆動信号電圧V(SL6)とコモン電圧VCOMとの差V(SL6)−VCOMが印加される。
また信号線SL1〜SL12を介して、各超音波素子UEが受信した超音波エコー信号(受信信号)が図示していない測定部に出力される。例えば、第1列の超音波素子が受信した受信信号は信号線SL1を介して測定部に出力され、第6列の超音波素子が受信した受信信号は信号線SL6を介して測定部に出力される。
超音波素子アレイ100は、マトリックスアレイ状(広義にはアレイ状)に配置される複数の超音波素子UEとして、第1の超音波素子群GU1〜第p(pは2以上の整数)の超音波素子群GUpを有する。具体的には、例えば図2に示すように、超音波素子アレイ100は、第1、第2、第3の超音波素子群GU1、GU2、GU3を有する。そして第1の超音波素子群GU1は第1列〜第4列の超音波素子を含み、第2の超音波素子群GU2は第5列〜第8列の超音波素子を含み、第3の超音波素子群GU3は第9列〜第12列の超音波素子を含む。
図2では、例としてp=3の場合を示すが、pはこれ以外の値であってもよい。例えばp=2の場合では、超音波素子アレイ100は第1、第2の超音波素子群GU1、GU2を有し、GU1は第1列〜第6列の超音波素子を含み、GU2は第7列〜第12列の超音波素子を含む。或いは、p=4の場合では、超音波素子アレイ100は第1〜第4の超音波素子群GU1〜GU4を有し、GU1は第1列〜第3列の超音波素子を含み、GU2は第4列〜第6列の超音波素子を含み、GU3は第7列〜第9列の超音波素子を含み、GU4は第10列〜第12列の超音波素子を含む。
第1の環境センサーAS1は、超音波素子アレイ100の第1の方向D1側に設けられる。具体的には、図2に示すように、第8行第1列の超音波素子UE8−1の第1の方向D1側に設けられる。第1の環境センサーAS1は、例えば図1(A)、図2(B)に示した構成とすることができる。
第2の環境センサーAS2は、超音波素子アレイ100の第1の方向D1の反対方向である第2の方向D2側に設けられる。具体的には、図2に示すように、第8行第12列の超音波素子UE8−12の第2の方向D2側に設けられる。第2の環境センサーAS2は、例えば図1(A)、図2(B)に示した構成とすることができる。
第1の環境センサー線ASL1は、第1の環境センサーAS1に接続され、第1の信号線SL1の第1方向D1側に設けられる。具体的には、例えば第1の環境センサーAS1のアノード電極は第1の環境センサー線ASL1に接続され、カソード電極は第8のコモン電極線CL8に接続される。第1の環境センサーAS1からの検出信号は、第1の環境センサー線ASL1を介して測定部に出力される。
第2の環境センサー線ASL2は、第2の環境センサーAS2に接続され、第12(広義には第n)の信号線SL12の第2方向D2側に設けられる。具体的には、例えば第2の環境センサーAS2のアノード電極は第2の環境センサー線ASL2に接続され、カソード電極は第8のコモン電極線CL8に接続される。第2の環境センサーAS2からの検出信号は、第2の環境センサー線ASL2を介して測定部に出力される。
本実施形態のセンサー部210によれば、超音波素子が形成される基板上に環境センサーAS1、AS2を形成することができるから、センサー部210の温度(基板の温度)を精度良く測定することができる。
超音波素子を用いる超音波診断装置では、プローブ部分(センサー部)を人体の皮膚に接触させて用いるため、センサー部の温度が体温(例えば37°C)より過度に高くならないように認証基準が定められている。本実施形態の超音波測定装置によれば、環境センサーAS1、AS2として温度センサーを設けることで、センサー部の温度を精度良く測定することができるから、人体に安全な超音波診断装置等を実現することができる。
また、本実施形態の超音波測定装置によれば、環境センサーAS1、AS2として距離センサー又は圧力センサーを設けることができるから、超音波測定装置と被測定物とが確実に接触しているか否かを検出して、接触していない場合には超音波の出力を停止するなどの処理を行うことができる。また、環境センサーAS1、AS2として速度センサーを設けることができるから、超音波測定装置の動き(速度)に対応して超音波の出力を制御することなどができる。
図3に、本実施形態の超音波測定装置に含まれるセンサー部210の第2の構成例を示す。第2の構成例のセンサー部210は、第1の構成例(図2)に第3、第4の環境センサーAS3、AS4をさらに含む。図3では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、m、nはこれ以外の値であってもよい。なお、本実施形態のセンサー部210は図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
上述した第1の構成例(図2)と同一の構成要素については、詳細な説明を省略する。
第3の環境センサーAS3は、超音波素子アレイ100の第1の方向D1側に設けられ、第1の環境センサー線ASL1に接続される。具体的には、第3の環境センサーAS3は、例えば第1行第1列の超音波素子UE1−1の第1の方向D1側に設けられ、アノード電極は第1の環境センサー線ASL1に接続され、カソード電極は第1のコモン電極線CL1に接続される。第1、第3の環境センサーAS1、AS3からの各検出信号は合成されて、第1の環境センサー線ASL1を介して測定部に出力される。
第4の環境センサーAS4は、超音波素子アレイ100の第2の方向D2側に設けられ、第2の環境センサー線ASL2に接続される。具体的には、第4の環境センサーAS4は、例えば第1行第12列の超音波素子UE1−12の第2の方向D2側に設けられ、アノード電極は第2の環境センサー線ASL2に接続され、カソード電極は第1のコモン電極線CL1に接続される。第2、第4の環境センサーAS2、AS4からの各検出信号は合成されて、第2の環境センサー線ASL2を介して測定部に出力される。
このように第2の構成例のセンサー部210によれば、4個の環境センサーAS1〜AS4を用いて温度を測定することができるから、センサー部210の温度をより高い精度で測定することができる。
3.超音波測定装置
図4に、本実施形態の超音波測定装置200の基本的な構成例を示す。本実施形態の超音波測定装置200は、センサー部210、スイッチ部220、測定部230、送信部240を含む。なお、本実施形態のセンサー部210は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
センサー部210は、上述した第1の構成例(図2)又は第2の構成例(図3)のセンサー部210である。
スイッチ部220は、センサー部210、送信部240及び測定部230に接続され、第1〜第3(広義には第p)の超音波素子群GU1〜GU3に対応して設けられる第1〜第3(広義には第p)の送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSW3を有する。送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSW3は、制御部310の制御に基づいて切換動作を行う。具体的には、例えば第1の超音波素子群GU1からの信号線SL1〜SL4は、第1の送受信切換用スイッチ回路TRSW1を介して、第1の期間には駆動信号線DL1〜DL4に接続され、第2の期間には測定信号線ML1〜ML4に接続される。また、第1の環境センサー線ASL1は、第1の送受信切換用スイッチ回路TRSW1を介して、第1の期間には測定信号線ML1、即ち測定部230に接続され、第2の期間には非接続となる。
第2の超音波素子群GU2からの信号線SL5〜SL8は、第2の送受信切換用スイッチ回路TRSW2を介して、第1の期間には駆動信号線DL5〜DL8に接続され、第2の期間には測定信号線ML5〜ML8に接続される。
第3の超音波素子群GU3からの信号線SL9〜SL12は、第3の送受信切換用スイッチ回路TRSW3を介して、第1の期間には駆動信号線DL9〜DL12に接続され、第2の期間には測定信号線ML9〜ML12に接続される。また、第2の環境センサー線ASL2は、第3の送受信切換用スイッチ回路TRSW3を介して、第1の期間には測定信号線ML12、即ち測定部230に接続され、第2の期間には非接続となる。
第1の期間とは、各超音波素子群からの信号線が、送受信切換用スイッチ回路を介して駆動信号線と接続される期間であって、送信期間とも呼ぶ。また、第2の期間とは、各超音波素子群からの信号線が、送受信切換用スイッチ回路を介して測定信号線と接続される期間であって、受信期間とも呼ぶ。
測定部230は、超音波素子アレイ100からの受信信号及び環境センサーAS1、AS2からの検出信号が入力される。測定部230は、第2の期間において、超音波素子アレイ100からの受信信号の測定処理を行い、第1の期間において、環境センサーAS1、AS2からの検出信号の測定処理を行う。こうすることで、超音波素子アレイ100からの受信信号の測定処理を行わない第1の期間(超音波エコー信号を受信しない期間)において、測定部230を環境センサーAS1、AS2からの検出信号の測定処理に活用することができる。
測定部230は、第1〜第3(広義には第p)の送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSW3に対応して設けられ、複数チャネル分のA/D変換器をそれぞれ有する第1〜第3(広義には第p)のアナログフロントエンド回路AFE1〜AFE3を有する。例えば図4では、AFE1〜AFE3はそれぞれ4チャネル分のA/D変換器を有し、第2の期間には、AFE1〜AFE3はGU1〜GU3からの受信信号の測定処理を行う。また、第1の期間には、AFE1が第1の環境センサーAS1からの検出信号の測定処理を行い、AFE3が第2の環境センサーAS2からの検出信号の測定処理を行う。
送信部240は、第1の期間において、超音波素子アレイ100に対して駆動信号を出力する。送信部240は、駆動信号発生器HV_P及びマルチプレクサーMUXを含む。駆動信号発生器HV_Pは、制御部310の制御に基づいて、超音波素子UEを駆動するための信号(パルス)を生成する。マルチプレクサーMUXは、駆動信号発生器HV_Pから出力された駆動信号を、例えば駆動信号線DL1〜DL12に分配する。
制御部310は、超音波測定装置200における超音波の送受信及び測定処理の制御を行う。具体的には、スイッチ部220に対して送信・受信の切換制御を行い、送信部240に対して駆動信号の振幅、位相、周波数などの制御を行い、測定部230に対して受信信号の周波数設定やゲイン設定などの制御を行う。制御部310は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)などで実現することができる。
このように本実施形態の超音波測定装置200によれば、超音波エコー信号(受信信号)の測定処理を行わない第1の期間において、測定部230を環境センサーからの検出信号の測定処理に活用することができる。その結果、環境センサーのための専用の測定回路を設ける必要がなくなるから、簡素な構成でセンサー部の温度を精度良く測定することが可能になる。
図5(A)、図5(B)に、第1の送受信切換用スイッチ回路TRSW1の構成例を示す。図5(A)は第1の期間での接続状態を示し、図5(B)は第2の期間での接続状態を示す。
第1の期間では、図5(A)に示すように、信号線SL1〜SL4は駆動信号線DL1〜DL4に接続され、また第1の環境センサー線ASL1は測定信号線ML1に接続される。こうすることで、送信部240から出力される駆動信号が信号線SL1〜SL4を介して第1の超音波素子群GU1に供給され、また第1の環境センサーAS1からの検出信号が測定信号線ML1を介して第1のアナログフロントエンド回路AFE1に入力される。
第2の期間では、図5(B)に示すように、信号線SL1〜SL4は測定信号線ML1〜ML4に接続され、また第1の環境センサー線ASL1は非接続となる。こうすることで、第1の超音波素子群GU1からの受信信号が測定信号線ML1〜ML4を介して第1のアナログフロントエンド回路AFE1に入力される。
図6(A)、図6(B)に、第2の送受信切換用スイッチ回路TRSW2の構成例を示す。図6(A)は第1の期間での接続状態を示し、図6(B)は第2の期間での接続状態を示す。
第1の期間では、図6(A)に示すように、信号線SL5〜SL8は駆動信号線DL5〜DL8に接続される。こうすることで、送信部240から出力される駆動信号が信号線SL5〜SL8を介して第2の超音波素子群GU2に供給される。
第2の期間では、図6(B)に示すように、信号線SL5〜SL8は測定信号線ML5〜ML8に接続される。こうすることで、第2の超音波素子群GU2からの受信信号が測定信号線ML5〜ML8を介して第2のアナログフロントエンド回路AFE2に入力される。
図7(A)、図7(B)に、第3の送受信切換用スイッチ回路TRSW3の構成例を示す。図7(A)は第1の期間での接続状態を示し、図7(B)は第2の期間での接続状態を示す。
第1の期間では、図7(A)に示すように、信号線SL9〜SL12は駆動信号線DL9〜DL12に接続され、また第2の環境センサー線ASL2は測定信号線ML12に接続される。こうすることで、送信部240から出力される駆動信号が信号線SL9〜SL12を介して第3の超音波素子群GU3に供給され、また第2の環境センサーAS2からの検出信号が測定信号線ML12を介して第3のアナログフロントエンド回路AFE3に入力される。
第2の期間では、図7(B)に示すように、信号線SL9〜SL12は測定信号線ML9〜ML12に接続され、また第2の環境センサー線ASL2は非接続となる。こうすることで、第3の超音波素子群GU3からの受信信号が測定信号線ML9〜ML12を介して第3のアナログフロントエンド回路AFE3に入力される。
上述した送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSW3に含まれるスイッチ素子は、例えばCMOSトランジスターを用いて実現することができる。
図8に、第1のアナログフロントエンド回路AFE1の基本的な構成例を示す。図8では、例として4チャネル分のA/D変換器を有する場合を示す。各チャネルは同一の構成であるから、測定信号線ML1の信号を受ける第1のチャネルについて説明する。
測定信号線ML1から入力された信号は低雑音増幅器LNA1により増幅される。その後、電圧制御アッテネーターVCAT1及びプログラマブルゲインアンプPGA1により適正な信号レベルに調整される。そしてローパスフィルターLPF1により不要な周波数成分が除去され、A/D変換器ADC1によりデジタルデータに変換される。電圧制御アッテネーターVCAT1の減衰量、プログラマブルゲインアンプPGA1のゲイン、ローパスフィルターLPF1のカットオフ周波数などは、制御部310により可変に設定することができる。
図9は、比較例、即ち第1の期間において測定部が環境センサーからの検出信号の測定処理をしない構成の動作を説明するタイミングチャートである。
基準クロックの1サイクル期間において、第1の期間と第2の期間とが設けられる。第1の期間では、送受信切換用スイッチ制御信号がHレベル(高電位レベル)に設定され、これにより送受信切換用スイッチ回路が送信状態(例えば図5(A))に設定される。そして送信部からの駆動信号が超音波素子に供給される。第1の期間では、アナログフロントエンド回路AFEに受信信号が入力されないから、A/D変換器の出力を取り込むためのクロック(A/Dクロック)は停止し、1つ前のサイクルの受信結果が保持される。
第2の期間では、送受信切換用スイッチ制御信号がLレベル(低電位レベル)に設定され、これにより送受信切換用スイッチ回路が受信状態(例えば図5(B))に設定される。そして超音波素子からの受信信号がアナログフロントエンド回路AFEに入力される。第2の期間では、アナログフロントエンド回路AFEのA/Dクロックに基づいて、デジタルデータに変換された受信結果が書き込まれる。次の第1の期間では、この受信結果が保持される。
図10は、本実施形態の超音波測定装置200の動作を説明するタイミングチャートである。本実施形態の超音波測定装置200によれば、第1の期間では送信部240からの駆動信号が超音波素子に供給されると共に、環境センサーからの検出信号がアナログフロントエンド回路AFEに入力される。そしてA/Dクロックに基づいて、デジタルデータに変換された検出結果が書き込まれる。次の第2の期間では、この検出結果が保持される。
このように本実施形態の超音波測定装置200によれば、超音波エコー信号(受信信号)の測定処理を行わない第1の期間において、測定部230を環境センサーからの検出信号の測定処理に活用することができる。その結果、環境センサーのための専用の測定回路を設ける必要がなくなるから、簡素な構成でセンサー部の温度を精度良く測定することが可能になる。
上述した構成例(図4)では、第1の環境センサーAS1からの検出信号は第1の送受信切換用スイッチ回路TRSW1を介して第1のアナログフロントエンド回路AFE1に入力され、第2の環境センサーAS2からの検出信号は第3の送受信切換用スイッチ回路TRSW3を介して第3のアナログフロントエンド回路AFE3に入力されるが、これに限定されるものではない。
環境センサーからの検出信号は、第1〜第p(pは2以上の整数)の送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSWpのいずれか1つを介して、測定部230に入力されてもよい。
具体的には、第1の環境センサーAS1からの検出信号が、第1〜第pの送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSWpのうちの第i(iは1≦i≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路TRSWiを介して、第1〜第pのアナログフロントエンド回路AFE1〜AFEpのうちの第iのアナログフロントエンド回路AFEiに入力されてもよい。また、第2の環境センサーAS2からの検出信号が、第1〜第pの送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSWpのうちの第j(jは1≦j≦p且つi≠jである整数)の送受信切換用スイッチ回路TRSWjを介して、第1〜第pのアナログフロントエンド回路AFE1〜AFEpのうちの第jのアナログフロントエンド回路AFEjに入力されてもよい。
或いは、第1及び第2の環境センサーAS1、AS2からの検出信号が、第1〜第pの送受信切換用スイッチ回路TRSW1〜TRSWpのうちの第k(kは1≦k≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路TRSWkを介して、第1〜第pのアナログフロントエンド回路AFE1〜AFEpのうちの第kのアナログフロントエンド回路AFEkに入力されてもよい。
図11は、本実施形態の超音波測定装置200における位相走査を説明する図である。簡単にするために、図11では4個の超音波素子UE1〜UE4について説明する。UE1〜UE4は、等間隔dで配置されている。そして供給される駆動信号VDR1〜VDR4の位相はVDR1が最も早く、VDR2、VDR3、VDR4の順に所定の位相差だけ遅くなる。即ち、駆動信号VDR1〜VDR4は、VDR1、VDR2、VDR3、VDR4の順に所定の時間差Δtを伴って供給される。
図3には、各超音波素子UE1〜UE4から放射された超音波の或る時刻における波面W1〜W4を示す。各超音波素子から放射された超音波は合成されて、合成された超音波の波面WTを形成する。この波面WTの放線方向DTが合成された超音波の放射方向(ビーム方向)となる。ビーム方向DTとアレイ面の法線方向との成す角度θsは、
sinθs=c×Δt/d (1)
で与えられる。ここでcは音速、Δtは駆動信号の時間差、dは素子間隔である。
このように位相走査、即ち各超音波素子に供給する駆動信号の位相差(時間差)を変化させることで、ビーム方向を変化させることができる。具体的には、例えば図2に示す構成例では、信号線SL1〜SL12のそれぞれに供給する駆動信号の位相差(時間差)を変化させることで、ビーム方向を第1の方向D1又は第2の方向D2に沿って走査(スキャン)させることができる。即ち、第1及び第2の方向D1、D2は位相走査のスキャン方向であり、第3及び第4の方向D3、D4はスライス方向である。
図12(A)、図12(B)は、本実施形態の超音波測定装置200における環境センサーからの検出信号の測定処理を行うタイミングの一例を説明する図である。図12(A)は図11で説明した位相走査を行う場合であり、図12(B)は位相走査を行わない場合であり、どちらも6個の超音波素子に供給される駆動信号VDR1〜VDR6を示す。なお、駆動信号の波形及び検出信号の測定処理を行うタイミングは、図12(A)、図12(B)に示すものに限定されるものではない。
上述したように位相走査においては、位相差(時間差)を伴った駆動信号VDR1〜VDR6が供給される。例えば図12(A)の第1の期間TAでは、VDR6の位相が最も早く、VDR6からVDR1に向かって所定の位相差だけ遅くなる。測定部230は、第1の期間TAのうちの前半期間TA1又は後半期間TA2において、環境センサーからの検出信号の測定処理を行うことができる。
また例えば図12(B)の第1の期間TBでは、VDR1の位相が最も早く、VDR1からVDR6に向かって所定の位相差だけ遅くなる。測定部230は、第1の期間TBのうちの前半期間TB1又は後半期間TB2において、環境センサーからの検出信号の測定処理を行うことができる。
位相走査を行わない場合には、図12(B)に示すようにVDR1〜VDR6は同一の位相で供給される。測定部230は、第1の期間TCのうちの前半期間TC1又は後半期間TC2において、環境センサーからの検出信号の測定処理を行うことができる。
前半期間とは、第1の期間のうちの始めの期間であって、駆動信号が出力されない期間である。また、後半期間とは、第1の期間のうちの終わりの期間であって、駆動信号が出力されない期間である。
このように第1の期間のうちの前半期間又は後半期間、即ち駆動信号が供給されていない期間において、測定部230が検出信号の測定処理を行うことができる。こうすることで、環境センサーからの検出信号が駆動信号によるノイズ等の影響を受けることを防止することができる。
超音波素子に駆動信号を印加することで超音波が放射されるが、それに伴って熱が発生し、センサー部の温度が上昇する。超音波診断装置では、プローブ部分(センサー部)を人体の皮膚に接触させて用いるため、センサー部の温度が体温(例えば37°C)より過度に高くならないように認証基準が定められている。
本実施形態の超音波測定装置200によれば、センサー部210に設けられた温度センサー(環境センサー)(例えば図2のAS1、AS2)からの検出信号に基づいてセンサー部210の温度を測定し、この測定結果に基づいてセンサー部210の温度上昇を抑制することができる。
図13は、環境センサーからの検出信号の測定結果に基づく、第1の期間の繰り返し周波数又は駆動信号振幅の設定の一例を説明する図である。横軸は測定されたセンサー部210の温度を示し、縦軸は第1の期間の繰り返し周波数又は駆動信号の振幅を示す。なお、第1の期間の繰り返し周波数又は駆動信号振幅の制御は、図13に示すものに限定されるものではない。
図13に示すように、センサー部210の温度が第1の温度T1以下の場合には、第1の期間の繰り返し周波数は初期設定値f0に設定されている。そしてセンサー部210の温度がT1より高くなった場合には、第1の期間の繰り返し周波数はf0より低い値f1に設定される。さらにセンサー部210の温度が第2の温度T2より高くなった場合には、第1の期間の繰り返し周波数はf1より低い値f2に設定される。なお、第1の温度T1は例えば38°Cに設定し、第2の温度は例えば42°Cに設定することができる。
或いは、駆動信号の振幅を可変に設定してもよい。図13に示すように、センサー部210の温度が第1の温度T1以下の場合には、駆動信号の振幅は初期設定値V0に設定されている。そしてセンサー部210の温度がT1より高くなった場合には、駆動信号の振幅はV0より低い値V1に設定される。さらにセンサー部210の温度が第2の温度T2より高くなった場合には、駆動信号の振幅はV1より低い値V2に設定される。
このようにセンサー部210の温度が上昇した場合に、第1の期間の繰り返し周波数を低下させ、又は駆動信号振幅を減少させることで、超音波素子から発生する熱を制御することができるから、センサー部210の温度上昇を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の超音波測定装置200によれば、超音波素子と温度センサー(環境センサー)とを同一基板上に形成することができるから、基板(センサー部)の温度を精度良く測定することができる。そして測定された温度に基づいて、第1の期間の繰り返し周波数又は駆動信号振幅を可変に設定することができるから、センサー部の温度が過度に上昇することを防止することができる。さらに、第1の期間において測定部を環境センサーからの検出信号の測定処理に活用することで、専用の測定回路が不要になる。その結果、簡素な構成で人体に安全で信頼性の高い超音波測定装置を実現することなどが可能になる。
4.診断装置
図14に、本実施形態の超音波測定装置(超音波プローブ)200を含む診断装置(電子機器)400の基本的な構成例を示す。診断装置400は、超音波プローブ200、制御部310、処理部320、UI(ユーザーインターフェース)部330、表示部340を含む。なお、本実施形態の診断装置(電子機器)400は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
制御部310は、超音波プローブ200に対して超音波の送受信制御を行い、処理部320に対して検出データの画像処理等の制御を行う。処理部320は、測定部230からの検出データを受けて、必要な画像処理や表示用画像データの生成などを行う。UI(ユーザーインターフェース)部330は、ユーザーの行う操作(例えばタッチパネル操作など)に基づいて制御部310に必要な命令(コマンド)を出力する。表示部340は、例えば液晶ディスプレイ等であって、処理部320からの表示用画像データを表示する。
なお、制御部310をメイン制御部とサブ制御部とに分割して、サブ制御部を超音波プローブ200に含める構成にしてもよい。
図14には示していないが、センサー部210と接続部(図示せず)とを含むプローブヘッドを設ける構成にしてもよい。プローブヘッドは脱着可能であって、センサー部210は、装着時に接続部を介してスイッチ部220と接続される。こうすることで、センサー部210が破損した場合などにプローブヘッドだけを交換すればよいから修理費の低減やユーザーの利便性の向上などが可能になり、さらにプローブヘッドを使い捨てにすることで衛生面の向上なども期待できる。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また超音波測定装置、電子機器及び診断装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
100 超音波素子アレイ、200 超音波測定装置、210 センサー部、
220 スイッチ部、230 測定部、240 送信部、310 制御部、
320 処理部、330 UI部、340 表示部、
UE 超音波素子、GU1〜GU3 超音波素子群、
AS1、AS2 環境センサー、CL1〜CL8 コモン電極線、
COM 共通コモン電極線、SL1〜SL12 信号線、
ASL1、ASL2 環境センサー線、
TRSW1〜TRSW3 送受信切換用スイッチ回路、
AFE1〜AFE3 アナログフロントエンド回路、MUX マルチプレクサー、
HV_P 駆動信号発生器

Claims (15)

  1. 複数の超音波素子がアレイ状に配置される超音波素子アレイと環境センサーとを有するセンサー部と、
    前記超音波素子アレイに対して駆動信号を出力する送信部と、
    前記超音波素子アレイからの受信信号及び前記環境センサーからの検出信号が入力される測定部と、
    前記センサー部、前記送信部及び前記測定部に接続されるスイッチ部とを含み、
    前記測定部は、
    前記センサー部から前記スイッチ部を介して入力される前記受信信号及び前記検出信号の測定処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記送信部は、
    第1の期間において、前記超音波素子アレイに対して前記駆動信号を出力し、
    前記測定部は、
    前記第1の期間に続く第2の期間において、前記超音波素子アレイからの前記受信信号の測定処理を行い、
    前記第1の期間において、前記環境センサーからの前記検出信号の測定処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  3. 請求項2において、
    前記測定部は、
    前記第1の期間のうちの前半期間又は後半期間において、前記環境センサーからの前記検出信号の測定処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  4. 請求項2又は3において、
    前記送信部は、
    前記測定部が出力する、前記環境センサーからの前記検出信号の測定結果に基づいて、前記第1の期間の繰り返し周波数又は前記駆動信号の振幅を可変に設定することを特徴とする超音波測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記センサー部は、前記環境センサーとして、
    前記超音波素子アレイの第1の方向側に設けられる第1の環境センサーと、
    前記超音波素子アレイの、前記第1の方向の反対方向である第2の方向側に設けられる第2の環境センサーとを有することを特徴とする超音波測定装置。
  6. 請求項5において、
    前記センサー部は、
    前記超音波素子アレイからの第1の信号線〜第n(nは2以上の整数)の信号線と、
    前記第1の環境センサーに接続され、前記第1の信号線の前記第1方向側に設けられる第1の環境センサー線と、
    前記第2の環境センサーに接続され、前記第nの信号線の前記第2方向側に設けられる第2の環境センサー線とを有することを特徴とする超音波測定装置。
  7. 請求項6において、
    前記超音波素子アレイは、
    アレイ状に配置される前記複数の超音波素子として、
    第1の超音波素子群〜第p(pは2以上の整数)の超音波素子群を有し、
    前記スイッチ部は、
    前記第1の超音波素子群〜前記第pの超音波素子群に対応して設けられる第1の送受信切換用スイッチ回路〜第pの送受信切換用スイッチ回路を有し、
    前記第1の環境センサー線は、前記第1の送受信切換用スイッチ回路を介して前記測定部に接続され、
    前記第2の環境センサー線は、前記第pの送受信切換用スイッチ回路を介して前記測定部に接続されることを特徴とする超音波測定装置。
  8. 請求項7において、
    前記測定部は、
    前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路に対応して設けられ、複数チャネル分のA/D変換器をそれぞれ有する第1のアナログフロントエンド回路〜第pのアナログフロントエンド回路を有し、
    前記第1のアナログフロントエンド回路は、前記第1の環境センサー線を介して入力される検出信号のA/D変換処理を行い、
    前記第pのアナログフロントエンド回路は、前記第2の環境センサー線を介して入力される検出信号のA/D変換処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  9. 請求項8において、
    前記センサー部は、前記環境センサーとして、
    前記超音波素子アレイの前記第1の方向側に設けられ、前記第1の環境センサー線に接続される第3の環境センサーと、
    前記超音波素子アレイの前記第2の方向側に設けられ、前記第2の環境センサー線に接続される第4の環境センサーとをさらに有することを特徴とする超音波測定装置。
  10. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記スイッチ部は、
    第1の送受信切換用スイッチ回路〜第p(pは2以上の整数)の送受信切換用スイッチ回路を有し、
    前記測定部は、
    前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路に対応して設けられ、複数チャネル分のA/D変換器をそれぞれ有する第1のアナログフロントエンド回路〜第pのアナログフロントエンド回路を有し、
    前記環境センサーからの前記検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のいずれか1つを介して、前記測定部に入力されることを特徴とする超音波測定装置。
  11. 請求項10において、
    前記センサー部は、前記環境センサーとして、
    第1の環境センサーと第2の環境センサーとを有し、
    前記第1の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第i(iは1≦i≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第iのアナログフロントエンド回路に入力され、
    前記第2の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第j(jは1≦j≦p且つi≠jである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第jのアナログフロントエンド回路に入力されることを特徴とする超音波測定装置。
  12. 請求項10において、
    前記センサー部は、前記環境センサーとして、
    第1の環境センサーと第2の環境センサーとを有し、
    前記第1の環境センサー及び前記第2の環境センサーからの検出信号が、前記第1の送受信切換用スイッチ回路〜前記第pの送受信切換用スイッチ回路のうちの第k(kは1≦k≦pである整数)の送受信切換用スイッチ回路を介して、前記第1のアナログフロントエンド回路〜前記第pのアナログフロントエンド回路のうちの第kのアナログフロントエンド回路に入力されることを特徴とする超音波測定装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかにおいて、
    前記環境センサーは、前記超音波素子アレイが形成される基板上に形成されることを特徴とする超音波測定装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の超音波測定装置を含むことを特徴とする電子機器。
  15. 請求項1乃至13のいずれかに記載の超音波測定装置と、
    表示用画像データを表示する表示部とを含むことを特徴とする診断装置。
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