JP5894722B2 - 第vii因子ポリペプチドの疎水性相互作用クロマトグラフィ精製 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は第VII因子ポリペプチドの疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)精製のための方法に関する。本方法は、特定の濃度の疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と塩ないしは双性イオン、又はその両方の組み合わせを利用するものである。
(発明の背景)
例えば、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子及びプロテインCを含む凝固カスケードに関与するタンパク質は、様々な病理学的状態を治療するために有用な治療的薬剤であることが判明している。したがって、薬学的に受容可能であって、均一かつ所定の臨床有効性を表すこれらのタンパク質を含有してなる製剤の必要性が増している。第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の精製のための全般的な産業的規模の方法は、かなりの量の生成物関連の(第VII因子関連の)不純物(例えば遅発型溶出ピークに包含される不純物(異なるレベルのN結合グリコシル化を有するグリコ-変異体(「デス-N-グリカン型」)を含む)、酸化型、タンパク質分解型(重鎖切断型)、又は対象とする第VII因子ポリペプチドよりも大きな分子量を有する凝集塊)を含むという欠点に悩まされうることがある。もちろん、これは望ましいことでなく、場合によって容認できないものである。
文献「Amino acid sequence and posttranslational modifications of human factor VIIa from plasma and transfected baby hamster kidney cells」, Biochemistry, 1988 Oct 4; 27(20): 7785-93は、いくつかの重鎖分解性生成物がインタクトな活性型第VII因子により共精製することを報告する。
文献「FVIIa derivatives obtained by autolytic and controlled cathepsin G mediated cleavage」 FEBS Lett. 1993 Feb 15; 317(3): 245-9は、第VII因子の重鎖切断型が非変性条件下で第VII因子から単離することができないことを述べている。
米国特許第6777390号(Baxter)は、AIEXとその後のフェニル-セファロース上の疎水性クロマトグラフィによるクリオ上清からの第VII因子の精製に関する。
本発明の発明者の知識の限りでは、産業規模の方法でのFVIIポリペプチドの薬剤物質における生成物関連の不純物の除去の課題は従来技術で解決されなかった。
(発明の簡単な説明)
本発明は、組み換えて作製した第VII因子ポリペプチドの薬剤物質中の生成物関連の不純物の含有量を低減するための方法、特に、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の精製方法であって、
(a) 疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への薬剤物質の一部の結合を促す条件下にて疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と薬剤物質を接触させ、このときの該薬剤物質が0.0〜0.1Mの範囲又は0.5Mからそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲の濃度の塩類及び/又は双性イオンを含むものであり;
(b) 場合によって洗浄バッファにて該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を洗浄し;そして、
(c) 溶出バッファにて該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を溶出し、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質を溶出物として回収する;
という工程を含んでなり、それによって、本明細書中に定められる方法によって決定される生成物関連の不純物の含有量が、工程(a)に用いられる薬剤物質に含有される含有量と比較して、少なくとも50%(w/w)に減少している方法に関する。
(図面の簡単な説明)
図1は、TSK-Gelフェニル5PWによるrhFVII分離のクロマトグラムである(実施例1参照)。
図2は、TSKフェニル5PWによるFVIIa類似体分離のクロマトグラムである(実施例3参照)。
図3は、生成物ピークの全体にわたる不純物の溶出を例示する(実施例3参照)。
図4は、TSKフェニル5PWによるFVIIa類似体分離のクロマトグラムである(実施例4参照)。
図5は、185、140及び90kDaの高分子化合物を示すHIC負荷のSDS-PAGEを例示する。
図6は、185、140及び90kDaの高分子化合物がほとんど取り除かれたことを示すHICプールのSDS-PAGEを例示する。
図7は、TSK-Gelフェニル5PWによるrhFVII分離のクロマトグラムである(実施例6参照)。
図8は、GD-FVIIの部分的な除去を例示するSDS-PAGEゲルである。レーン1:mw標準物質、レーン2:負荷試料、レーン3:リーディングエッジ、レーン4:メインピーク、レーン5:テーリングエッジ、実施例6参照。
図9は、FVII及びその生成物関連の不純物のHPLCクロマトグラムを例示する。
図10は、20℃のTSKフェニル5PWを用いたFVIIaのHIC精製による他の生成物関連の不純物と遅発型溶出ピークの低減を例示する。
(発明の詳細な説明)
現在、本発明の発明者等は、塩及び/又は双性イオンが用いられる特定の疎水性相互作用クロマトグラフィ手順に従うことによって、薬剤物質中の特定の生成物関連の不純物の存在を低減、又は実質的に取り除くことができることを明らかにした。特に、(ヒトFVIIの)位置Asn145及び/又はAsn322にN-グリカンを持たないN-グリコ変異体を含む「遅発型溶出ピーク」といった不純物の存在は低減されうる。
本発明は、疎水性相互作用クロマトグラフィを用いた、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の精製のための方法を提供する(請求項1を参照)。
したがって、本発明による方法は、特に、初めにかなりの量の遅発型溶出ピーク、すなわち、第VII因子ポリペプチドの総量の少なくとも2%(w/w)の遅発型溶出ピークのプールを有する第VII因子ポリペプチドの薬剤物質に関連する。場合によって、第VII因子ポリペプチドの産業規模の薬剤物質は、さらに多くの量の遅発型溶出ピーク、例えば少なくとも3%、例えば少なくとも4%、又は少なくとも5%、ときにはおよそ最大10〜12%にも達する遅発型溶出ピークを含み得、本発明の方法はそのような薬剤物質にさらに関連することが理解されるであろう。このような薬剤物質は発酵プロセスから直接選られうるが、より一般的には初めの粗生成物の精製の結果として得られうる。
さらに、本発明は、初めにかなりの量の酸化型、タンパク質分解型、及び/又は対象とする第VII因子ポリペプチドの薬剤物質よりも大きな分子量を有する凝集塊、すなわち、第VII因子ポリペプチドの総量の少なくとも2%(w/w)のタンパク質分解型及び/又は第VII因子ポリペプチドの総量の少なくとも1%(w/w)の酸化型のプールを有する第VII因子ポリペプチドの薬剤物質に関連する。
第VII因子ポリペプチドと組み合わせて用いる場合、生成物関連の不純物(例えば遅発型溶出ピーク)の割合(%)はタンパク質(生成物+生成物関連の不純物)の総含有量の重量百分率として表される。
したがって、生成物関連の不純物(例えば遅発型溶出ピーク)の2分の1の低減、例えば2%から1%への低減は、50%の相対的な減少である;したがって、例えば8%から2%への低減は、4分の1の低減、すなわち75%の相対的な減少を示す;そして、12%から6%への低減は、生成物関連の不純物の含有量の2分の1の低減であり(すなわち50%の減少)、6%-程度の減少ではない。
「生成物関連の不純物」なる用語には、異なるレベルのN結合グリコシル化を有するグリコ-変異体(ヒトFVIIの例えば位置Asn145及び/又はAsn322に一又は複数のN-結合グリカンを持たない第VII因子ポリペプチドを含む)、酸化型、タンパク質分解型(分子の重鎖の自己触媒分解)及び対象とする第VII因子ポリペプチドよりも大きな分子量を有する凝集塊(ダイマー、オリゴマー、ポリマーを含む)が含まれるが、これらに限定するものではない。
遅発型溶出ピーク-不純物の正確な化学的構成は部分的に未知であるままであるが、「遅発型溶出ピーク」なる表現は、対象とする第VII因子ポリペプチドよりも相対的に滞留時間が長い第VII因子ポリペプチド関連の構造、おそらく第VII因子ポリペプチドが一又は複数の(例えば一方又は両方の)N-結合グリカンを欠いている形態などの望ましくないグリコフォームを意味することを意図する。
「遅発型溶出ピーク」の「相対的な滞留」(対象とするFVIIポリペプチド、例えばrFVIIaとの相対)は、後述の一般法にて説明するような、RP-HPLCアッセイを用いて決定される。
定量化のために、このような「遅発型溶出ピーク」の相対的な滞留時間(RR)は、一般的にRP-RPLC分析法によって決定されるところの1.040から1.300である(1.000でのrFVIIaメインピーク)。
後述の一般法にて説明するように、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の遅発型溶出ピークの含有量を決定することができる。
第VII因子ポリペプチドの薬剤物質中の、第VII因子ポリペプチドの酸化型、タンパク分解型、及び高分子量型(ダイマー、オリゴマー、凝集塊)は、後述の一般法にて説明するように決定することができる。
限定するものではないが、本発明の方法は、第VII因子ポリペプチドの「産業的規模の」(又は「大規模な」)薬剤物質に特に適する。「産業的規模」なる用語は、一般的に、液体の第VII因子ポリペプチド組成物の容量が少なくとも10L、例えば少なくとも50L、例えば少なくとも500L又は少なくとも5000Lであるか又は、生成物の重量が少なくとも1g(乾燥物)、例えば少なくとも10g、例えば少なくとも50g、例えば1〜1000gである方法を意味する。
本明細書中の「薬剤物質」なる表現は、固形質量並びに液体質量、例えば第VII因子ポリペプチドを含む溶液又は懸濁液を意味することを意図する。「薬剤物質」なる表現は、特に「大きな」容量又は質量を指す、すなわち、大規模な方法及び産業的規模の方法から既知の容量及び質量を指すことを意味する。
「第VII因子ポリペプチド」なる用語はさらに後述で定義される。
本明細書中で用いられる「塩」なる表現は、第VII因子ポリペプチドを、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に結合するくらいに相対的に疎水性にしうる一又は複数の塩類を指すことを意図する。塩類の好適な例は、特定の陽イオン及び特定の陰イオンの組合せから選択されるものである。陽イオンのグループにはアンモニウム、ナトリウム及びカリウムが含まれ、陰イオンのグループには硫酸塩、酢酸塩及び塩化物が含まれる。塩類の例は、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムである。好適な塩類は、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウムである。好適な塩類の他のグループには、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び酢酸ナトリウムが含まれる。
以下の表では、20℃での溶解性(飽和)及び一連の有用な塩類の85%の飽和に相当するモル濃度を示す。

Figure 0005894722
「双性イオン」なる表現は、陰極及び陽極の電荷を伝えるが、中性分子を形成するイオンを意味することを意図する。有用な双性イオンの例は、中性アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシンなど、特にグリシン及びβ-アラニンである。
工程(a)−疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と薬剤物質との接触
方法の第一工程では、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質は、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への薬剤物質の一部の結合を促す条件下にて疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と薬剤物質を接触させる。薬剤物質は(負荷溶液の温度で)0.0〜0.1Mの範囲又は0.5Mからそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲の濃度の塩類及び/又は双性イオンを含む。この目的は、前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への第VII因子ポリペプチドの一部の前記薬剤物質の結合を容易にすることである。特に好適な実施態様では、薬剤物質は0.5Mから飽和濃度の85%の範囲の濃度、例えば0.7〜2.2Mの塩を含む。
特定の塩の飽和濃度(及びそれによる飽和濃度の85%を成す濃度)は用いる実際の温度によって異なるであろう。例えば飽和濃度は通常20℃の場合より5℃の場合の法が低いであろう。特に有用な塩類の20℃の溶解性(飽和)を上記する。他の塩類の20℃の溶解性並びに他の温度(例えば5℃)の溶解性は、一般的な化学の便覧、例えばThe CRC Handbook of Chemistry and Physics (CRC Press)などでわかるであろう。あるいは、水中での特定の固形物(塩)の溶解のための溶解曲線は、変化する既知の容量の水に既知の重量の塩を溶解し、それぞれの濃度で溶液を冷まし、塩が溶液から結晶化し始める温度を測定することによって容易に得られる。つまり、特定の重量の塩に対して、水の量を次第に増加し、各々の増加に対して、飽和点に達するために必要な温度を測定する。各々の飽和温度に対する水の重量及び塩の重量は、その温度に対する飽和溶液の濃度を表し、100g水当たりのg塩で表される。次いで、溶解曲線は、x軸上の飽和温度に対するy軸上に100g水当たりのg塩をプロットすることによって描かれる。したがって、固形物の溶解性は、1リットルの液体に溶解する塩のモル数として、又は固形物のモル分率として、又は、本実施例では100mlの液体に溶解する固形物のグラム数として表されうる。
「0.5Mからそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲」なる用語は、0.5Mから一又は複数の工程(負荷(a)、洗浄(b)、溶出(c))が実施される実際の温度での特定の塩の飽和濃度の85%までの範囲を意味することを意図すると理解されるであろう。
工程(a)と関連する「一部」なる用語は、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質に存在する第VII因子ポリペプチドの質量の少なくとも30%(すなわち30〜100%)を意味する。ほとんどの場合、第VII因子ポリペプチドの質量のはるかに30%より多く、例えば少なくとも50%又は少なくとも70%又は主な部分を結合することが望ましいと理解されるであろう。「主な部分」なる用語は、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質に存在する第VII因子ポリペプチドの質量の少なくとも90%を意味する。好ましくは、さらに多い部分、例えば第VII因子ポリペプチドの薬剤物質に存在する第VII因子ポリペプチドの質量の少なくとも95%、又は質量の少なくとも98%、又は質量の少なくとも99%、又は質量の実質的にすべてを疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に結合するようになる。
一般的に、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質は、産業的規模の生産プロセス、例えば細胞培養、微生物プロセス、クローン動物(例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ及び魚)又は昆虫等、特に細胞培養から生じる。
疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は、疎水性リガンド、例えばエチル、ブチル、フェニル又はヘキシル(タンパク質結合を担うと思われる)と置換される基質である。好適な物質は、ブチル・リガンド及び/又はフェニル・リガンドに置換されるものである。物質は、多くの場合ビーズの形態、例えば0.1〜1000μmの範囲の平均直径を有する粒子状物質、又は棒状、膜状、ペレット状、モノリス状などの形態で存在することが多い。
疎水性相互作用クロマトグラフィ物質で最も一般的な配列はカラム形式である。バッチ容器の配列もまた可能である。
一般的に、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質は、先行する精製工程、又は必要ないしは有用である場合には後にpH、イオン強度、二価金属イオンのキレート化などを有する先行する精製工程から直接得られる。
一般的に、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の接触は、従来のプロトコールに従って実施される。すなわち薬剤物質の濃度、温度、イオン強度などは通常通りでよく、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は洗浄して平衡化してから、通常通り用いてもよい。
第VII因子ポリペプチドの負荷は、一般的に1リットルの基質(HIC物質)当たり少なくとも250mg、例えば1リットルの基質(湿性の疎水性相互作用クロマトグラフィ物質)当たり0.5〜10.0g、例えば2.0〜5.0gの第VII因子ポリペプチドの範囲であり、一般的には薬剤物質は1時間当たり1〜50カラム容量の流量で負荷される。
疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に用いる前及び用いる際の薬剤物質のpHは、遅発型溶出ピークの形成に関連する役割を果たすようである。したがって、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に用いる際には、薬剤物質が液体状態であり、3.0〜10.0の範囲、例えば3.0〜7.0又は6.5〜10.0の範囲のpHを有することが好ましい。いくつかの興味深い実施態様では、薬剤物質は4.0〜7.0の範囲、又は7.0〜9.0の範囲、又は4.5〜8.5の範囲のpHを有する。好適なpH範囲は5.0〜6.5である。
カルシウムイオンの含有量は、第VII因子ポリペプチドの安定性と関連して役割を果たしうる。いくつかの好適な実施態様では、工程(a)の薬剤物質は、少なくとも5mM、例えば5〜100mMの範囲のカルシウムイオンの濃度を有する。このような場合には、好適なpH範囲は5.0〜9.5である。
一般的に、伝導率は少なくとも40mS/cm、例として少なくとも50mS/cm、例として少なくとも100mS/cm、例として少なくとも200mS/cmである。
一般的に、薬剤物質の温度は、0〜25℃、例としておよそ2〜10℃又は2〜8℃である。一般的に、結合した第VII因子ポリペプチドを有する疎水性相互作用クロマトグラフィ物質の温度は、0〜25℃、例としておよそ2〜10℃又は2〜8℃であり、例えば冷却カバー及び温度を調節した溶液を用いることによって特定の範囲内に保たれる。
工程(b)−洗浄工程(任意)
一般的に、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の結合の後、洗浄工程(b)は、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質から遅発型溶出ピークの実質的分画を取り除くために実施される。この工程によって、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質上に残っている(結合した)第VII因子ポリペプチドの分画は、非常に少ない量の遅発型溶出ピークを有するであろう。
また、洗浄バッファ中の塩及び/又は双性イオンの含有は特定の利点を提供することがわかった。ゆえに、好ましくは、工程(b)の洗浄バッファは0.0〜0.1Mの範囲又は0.5Mからそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲の濃度の塩類及び/又は双性イオンを含む。最も好ましくは、洗浄バッファの塩及び/又は双性イオンの濃度は、工程(a)の薬剤物質中の塩の濃度の±0.1Mの範囲内である。特に好適な実施態様では、洗浄バッファは0.5Mから飽和濃度の85%の範囲の濃度、例えば0.7〜2.2Mの塩を含む。
この洗浄工程(b)は2.0〜6.9の範囲のpHを有する洗浄バッファにて行うことが好ましい。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファは、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に用いる際に、3.0〜10.0の範囲、例えば3.0〜7.0又は6.5〜10.0の範囲のpHを有する。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファは4.0〜7.0の範囲、又は7.0〜9.0の範囲、又は4.5〜8.5の範囲のpHを有する。
上記の工程(a)のように、カルシウムイオンの存在は特定の役割を果たすようである。ゆえに、一般的に、工程(b)の洗浄バッファは、少なくとも5mM、例えば5〜100mMの範囲のカルシウムイオンの濃度を有する。
一般的に、洗浄工程(b)は1時間当たり1〜50のカラム容量の流速で実施される。
一般的に、洗浄バッファは、緩衝剤を含む水溶液であり、一般的に、緩衝剤は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えば酢酸ナトリウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも一の成分を含む。緩衝剤が2以上の成分の混合物を含み、この混合物が特定の範囲のpH値を提供しうることが理解されるであろう。実施例では酢酸及び酢酸ナトリウムなどを言及する。
洗浄工程(b)は1、2又はいくつかの異なる洗浄バッファを用いて、又は勾配洗浄バッファを用いて行ってもよい。
また、洗浄工程と溶出工程は別々の工程である必要はないが、特に溶出工程で勾配溶出バッファが用いられる場合には組み合わされうることを注記する。
工程(c)-溶出工程
一又は複数の洗浄工程(c)の後、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は溶出バッファにて溶出され、第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質は溶出液として回収される。
溶出工程(c)には多くの変更が考えられうる。
前述の工程のように、溶出バッファもまた塩及び/又は双性イオンを含むことが好ましい。
したがって、溶出の種類は特に重要でなく、例えば、段階的に減少する勾配の塩及び/又は双性イオンを含む溶出バッファにて溶出する、線形的に減少する勾配の塩(段階的線形勾配(gradient-hold-gradient)ないしはその他の勾配)にて溶出する、又はpH勾配を用いる、又は温度勾配を用いる、又は上記の組み合わせを用いてもよい。あるいは、カルシウムキレート化合物(例えばEDTA、クエン酸塩、マロン酸塩など)又は水より極性の低い溶媒(例えばエタノール、PEG、2-プロパノールなどを含む水溶性の溶液)の勾配を溶出バッファとして用いてもよい。
一実施態様では、溶出バッファは0.7〜2.2Mの範囲の開始濃度の塩を含む。
一実施態様では、溶出バッファはカルシウムキレート化合物を含まない。他の実施態様では、溶出バッファはEDTA及び/又はクエン酸塩を含まない。一実施態様では、溶出バッファはカルシウム塩を含む;他の実施態様では、カルシウム塩を含まない。一実施態様では、本発明に係る方法はカルシウム塩の存在下にて実施される;他の実施態様では、本発明に係る方法はカルシウム塩の非存在下にて実施される。
したがって、現在最も好適な実施態様では、工程(c)の溶出バッファはアンモニウム塩に関する勾配バッファであり、勾配バッファのアンモニウム塩の開始濃度は1.7〜2.2Mの範囲であり、勾配バッファのアンモニウム塩の終濃度は0.0〜1.6Mの範囲である。
最終的な溶出バッファの伝導率は工程(a)の薬剤物質を含有する組成物の伝導率より低いことが好ましい。
多くの場合、一般的に、工程(c)の溶出バッファは工程(a)及び(b)のようなpHを有する。
また、工程(c)の溶出バッファは、少なくとも5mM、例えば5〜100mMの範囲のカルシウムイオンの濃度を有する実施態様が好ましい。
一般的に、溶出工程(c)は1時間当たり1〜50のカラム容量の流速で実施される。
「精製された薬剤物質」なる用語は、結果として生じる薬剤物質、すなわち工程(c)で回収された薬剤物質は、工程(a)に用いた薬剤物質よりも遅発型溶出ピークといった生成物関連の不純物の含有量が低い。「精製」なる用語は、精製された薬剤物質が得られる方法、すなわち本発明の方法を指す。
一般的に、本発明の方法は、薬剤物質中の生成物関連の不純物の初めの含有量の少なくとも50%、又は該含有量に対して少なくとも50%の相対量の生成物関連の不純物(遅発型溶出ピークを含む)の含有量を減らすことができるが、より好ましくかつ現実的には、相対的な減少量は少なくとも60%、例として少なくとも70%、又はさらに少なくとも80%又は少なくとも85%である。
一実施態様では、生成物関連の不純物は遅発型溶出ピークである。他の実施態様では、生成物関連の不純物は一又は複数のN-結合グリカンを持たない第VII因子ポリペプチドである。他の実施態様では、生成物関連の不純物は、酸化型、タンパク質分解型(分子の重鎖の自己触媒分解)又は対象とする第VII因子ポリペプチドよりも大きな分子量を有する凝集塊(ダイマー、オリゴマー、ポリマーを含む)である。他の実施態様では、生成物関連の不純物は上述の形状、ピーク及びグリカン欠失形状の一又は複数の混合物を含む。
さらに、非常に効率的な本発明の方法は、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質からの遅発型溶出ピークなどの生成物関連の不純物の除去を可能にし、更にこのような遅発型溶出ピークの形成の抑制を可能にする。
したがって、好適な実施態様では、工程(c)で回収された第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質は、工程(a)の薬剤物質と比較して50%未満、例えば40%未満又は30%未満の遅発型溶出ピークを含む。
一実施態様では、工程(c)で回収された第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質の酸化型の含有量は、工程(a)の薬剤物質の含有量と比較して、少なくとも35%、例えば少なくとも40%又は45%減少する。他の実施態様では、工程(c)で回収された第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質のタンパク質分解型の含有量は、工程(a)の薬剤物質の含有量と比較して、少なくとも30%、例えば少なくとも32%又は38%減少する。他の実施態様では、工程(c)で回収された第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質中の一又は複数のN-結合グリカンを持たない第VII因子ポリペプチド(デス-N-グリカン型)の含有量は、工程(a)の薬剤物質の含有量と比較して、少なくとも40%、例えば少なくとも50%、60%、70%又は75%減少する。
より具体的には、第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質は、遅発型溶出ピークの多くとも5%、例として多くとも2.0%、又は多くとも1.5%、好ましくは多くとも1.0%又は多くとも5%を含む。
通常、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は一連の工程によってその後の使用の目的のために再生する。
洗浄工程と溶出工程は別々の工程である必要はないが、特に溶出工程で勾配溶出バッファが用いられる場合には組み合わされうることを注記する。
好適な実施態様
本発明は、第VII因子ポリペプチドの精製した薬剤物質を得るために特に有用であり、さらに、pHに関して工程(a)−(c)の条件が適切に選択される場合、遅発型溶出ピークの形成を低減し、それにより方法全体の収率を増加することができる。
したがって、本発明の好適な実施態様は、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質の精製のための方法であって、該薬剤物質が少なくとも3%の遅発型溶出ピークを含むものであり、
(a) 疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への薬剤物質の一部の結合を促す条件下にて疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と薬剤物質を接触させ、このときの該薬剤物質が1.5〜2.5Mの範囲の濃度のアンモニウム塩を含むものであり;
(b) 1.5〜2.5Mの範囲の濃度、典型的には工程(a)と実質的に同じ濃度のアンモニウム塩を含む洗浄バッファにて該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を洗浄し;そして、
(c) アンモニウム塩を含む溶出バッファにて該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を溶出し、この溶出バッファがアンモニウム塩に関する勾配バッファであり、第VII因子ポリペプチドの薬剤物質を溶出物として回収する
という工程を含んでなり、この工程(b)と(c)が組み合わされうる方法を提供する。
好ましくは、工程(c)の溶出バッファはアンモニウム塩に関する勾配バッファであり、勾配バッファのアンモニウム塩の開始濃度は1.8〜2.2Mの範囲であり、勾配バッファのアンモニウム塩の終濃度は0.0〜0.2Mの範囲である。アンモニウム塩は(カルシウムがないとき)酢酸アンモニウム又は硫酸アンモニウムであることが好ましい。
第VII因子ポリペプチド
本明細書中で用いられる「第VII因子ポリペプチド」なる用語は、野生型ヒト第VIIa因子(すなわち米国特許第4784950号に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)、その変異体、並びに第VII因子関連ポリペプチド、第VII因子誘導体及び第VII因子コンジュゲートを包含する。これには、野生型ヒト第VIIa因子と相対的に同じか改善された生物学的活性を実質的に示すFVII変異体、第VII因子関連ポリペプチド、第VII因子誘導体及び第VII因子コンジュゲートが含まれる。
「第VII因子」なる用語は、それらの非切断(チモーゲン)型の第VII因子ポリペプチド、並びにそれぞれの生理活性型を得るためにタンパク質分解されてプロセシングされているもの(第VIIa因子とも称されうる)を包含することを意味する。一般的に、第VII因子は残基152と153の間で切断されて第VIIa因子を生じる。第VII因子のこのような変異体は、安定性、リン脂質結合、変更された特定の活性などを含め、ヒトの第VII因子と比べて異なる性質を表してもよい。また、上記の定義の範囲内の「第VII因子」又は「第VIIa因子」は各個体に存在し、各個体で生じる天然の対立遺伝子変異体を含む。また、グリコシル化又は他の翻訳後修飾の程度と位置は、選択した宿主細胞及び宿主細胞の環境の性質に応じて異なりうる。
また、「第VII因子ポリペプチド」なる用語は、第VIIa因子の生物学的活性が野生型第VIIa因子の活性と比較して実質的に修飾されている、ないしはいくらか減少している変異体を含むポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドには、ポリペプチドの生理活性を修飾するか又は破壊する特定のアミノ酸配列の変更が導入されている第VII因子又は第VIIa因子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
血液凝固の際の第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 組織因子(TF)に結合する、及び(ii) 第IX因子又は第X因子のタンパク質分解性の切断を媒介して活性化した第IX因子又は第X因子(それぞれ第IXa因子又は第Xa因子)を生成するという能力に由来する。
本発明のために、第VII因子ポリペプチドの生物学的活性(「第VII因子生物学的活性」)は、調製物の血液凝固を促進する能力を測定することによって定量化されうる(本明細書中のアッセイ4を参照)。このアッセイにおいて、生物学的活性は、コントロール試料に対する凝固時間の減少として表され、1単位/mlの第VII因子活性を含むプールしたヒト血清標準物質との比較により、「第VII因子単位」に変換される。あるいは、第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 脂質膜に包埋されたTF及び第X因子を含む系における第VIIa因子又は第VII因子関連ポリペプチドの活性化第X因子(第Xa因子)生産能の測定(Persson等, J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii) 水性の系における第X因子の加水分解の測定(「インビトロタンパク質分解アッセイ」、下記のアッセイ2を参照);(iii) 表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)を基礎とする装置を用いた、第VIIa因子又は第VII因子関連ポリペプチドのTFへの物理的な結合の測定(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv) 第VIIa因子及び/又は第VII因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解の測定(「インビトロ加水分解アッセイ」、下記のアッセイ1を参照);及び(v) TF-非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成の測定(下記のアッセイ3を参照)によって、定量化されうる。
野生型第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は改善された生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された第VIIa因子の特定の活性の少なくともおよそ25%、好ましくは少なくともおよそ50%、より好ましくは少なくともおよそ75%及び最も好ましくは少なくともおよそ90%を表すものを包含する。野生型第VIIa因子と比較して実質的に低減した生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された第VIIa因子の特定の活性のおよそ25%未満、好ましくはおよそ10%未満、より好ましくはおよそ5%未満及び最も好ましくはおよそ1%未満を表すものを包含する。野生型第VII因子と比較して実質的に修飾された生物学的活性を有する第VII因子変異体には、TF-非依存性第X因子タンパク質分解活性を示す第VII因子変異体及びTFを結合するが第X因子を切断しない変異体が含まれるが、これらに限定するものではない。
野生型第VII因子と実質的に同じかより良好な生理活性を示すか、ないしは野生型第VII因子と比較して実質的に修飾されたか低減した生理活性を示す第VII因子の変異体には、一又は複数のアミノ酸を挿入、欠失又は置換することによって野生型第VII因子の配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが、これに限定するものではない。
野生型第VII因子と実質的に同じ生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa(Lino等, Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5580560号に開示されるタンパク質分解安定性が増加しているFVIIa変異体;残基290と291又は残基315と316の間でタンパク質分解されて切断されている第VIIa因子(Mollerup等, Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VIIa因子の酸化型(Kornfelt等, Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189に開示されるFVII変異体;及び、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute)に開示される、タンパク質分解安定性が増加しているFVII変異体;国際公開第99/20767号(University of Minnesota)に開示される、修飾したGla-ドメインを有し、膜結合性の亢進を示すFVII変異体;及び、国際公開第01/58935号(Maxygen ApS)に開示されるFVII変異体が含まれる。
野生型FVIIaと比較して増加した生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、国際公開第01/83725号、国際公開第02/22776号、国際公開第02/077218号、国際公開第03/27147号、国際公開第03/37932号に開示されるFVII変異体;国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute);及び、特願2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示される、亢進した活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
また、「第VII因子ポリペプチド」なる用語は、第VIIa因子の生物学的活性が野生型第VIIa因子の活性と比較して実質的に修飾されている、ないしはいくらか減少しているが、典型的には第VII因子に有意なレベル、例として、少なくともおよそ70%、少なくともおよそ75%、少なくともおよそ80%、少なくともおよそ85%、少なくともおよそ90%、少なくともおよそ93%、少なくともおよそ95%又はそれ以上のアミノ酸配列同一性(例えばおよそ97、98又は99%の同一性)を保持している変異体を含むポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドには、ポリペプチドの生理活性を修飾するか又は破壊する特定のアミノ酸配列の変更が導入されている第VII因子又は第VIIa因子が含まれるが、これらに限定されるものではない(本明細書中でさらに例証される)。
本明細書中で用いられる「第VII因子誘導体」なる用語は、野生型第VII因子と比較して実質的に同じか又は改善された生物学的活性を示すFVIIポリペプチドを表すことを意図し、このFVIIポリペプチドにおいて、親ペプチドの一又は複数のアミノ酸が、例えばアルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成又はアミド形成などによって遺伝的に及び/又は化学的に及び/又は酵素的に修飾されている。これには、PEG化されたヒト第VIIa因子、システイン-PEG化ヒト第VIIa因子及びその変異体を含むが、これらに限定されるものではない。第VII因子誘導体の非限定的な例には、国際公開第03/31464号及び米国公開特許第20040043446号、同第20040063911号、同第20040142856号、同第20040137557号及び同第20040132640号(Neose Technologies, Inc.)に開示されるグリコPEG化FVII誘導体;国際公開第01/04287号、米国公開特許第20030165996号、国際公開第01/58935号、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)及び国際公開第02/02764号、米国公開特許第20030211094号(University of Minnesota)に開示されるFVIIコンジュゲート;及び、国際公開第01/58935号、米国特許第6806063号、米国公開特許第20030096338号(Maxygen ApS)、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)、国際公開第04/029091号(Maxygen ApS)、国際公開第04/083361号(Maxygen ApS)、及び国際公開第04/111242号(Maxygen ApS)、並びに国際公開第04/108763号(Canadian Blood Services)に開示されるFVII変異体が含まれる。
「増加した−」又は「改善された生物学的活性」なる用語は、i) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加したタンパク質分解活性を有するFVIIポリペプチド、又はii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチド、又はiii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加した血漿中の半減期を有するFVIIポリペプチドを指す。「PEG化されたヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子ポリペプチドにコンジュゲートされたPEG分子を有するヒト第VIIa因子を意味する。PEG分子が第VIIa因子ポリペプチドのいずれかのアミノ酸残基又は糖鎖を含む第VIIa因子ポリペプチドのいずれかの部分に付着しうることは理解されるであろう。「システイン-PEG化ヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子に導入されるシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされるPEG分子を有する第VIIa因子を意味する。
野生型第VII因子と比較して実質的に低減した又は修飾した生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、R152E-FVIIa (Wildgoose等, Biochem 29:3413-3420, 1990)、S344A-FVIIa (Kazama等, J. Biol. Chem. 270:66-72, 1995)、FFR-FVIIa (Holst等, Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15:515-520, 1998)、及びGlaドメインを持たない第VIIa因子(Nicolaisen等, FEBS Letts. 317:245-249, 1993)が含まれる。
第VII因子ポリペプチドの例には、野生型第VII因子、L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、and S336G-FVII、L305V/K337A-FVII、L305V/V158D-FVII、L305V/E296V-FVII、L305V/M298Q-FVII、L305V/V158T-FVII、L305V/K337A/V158T-FVII、L305V/K337A/M298Q-FVII、L305V/K337A/E296V-FVII、L305V/K337A/V158D-FVII、L305V/V158D/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V-FVII、L305V/V158T/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V-FVII、L305V/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/K316H-FVII、S314E/K316Q-FVII、S314E/L305V-FVII、S314E/K337A-FVII、S314E/V158D-FVII、S314E/E296V-FVII、S314E/M298Q-FVII、S314E/V158T-FVII、K316H/L305V-FVII、K316H/K337A-FVII、K316H/V158D-FVII、K316H/E296V-FVII、K316H/M298Q-FVII、K316H/V158T-FVII、K316Q/L305V-FVII、K316Q/K337A-FVII、K316Q/V158D-FVII、K316Q/E296V-FVII、K316Q/M298Q-FVII、K316Q/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D-FVII、S314E/L305V/E296V-FVII、S314E/L305V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/K337A/E296V-FVII、S314E/L305V/K337A/V158D-FVII、S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V-FVII、S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V-FVII、S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D-FVII、K316H/L305V/E296V-FVII、K316H/L305V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/K337A/E296V-FVII、K316H/L305V/K337A/V158D-FVII、K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V-FVII、K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V-FVII、K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A 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-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/K337A-FVII、F374Y/V158D-FVII、F374Y/E296V-FVII、F374Y/M298Q-FVII、F374Y/V158T-FVII、F374Y/S314E-FVII、F374Y/L305V-FVII、F374Y/L305V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D-FVII、F374Y/L305V/E296V-FVII、F374Y/L305V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T-FVII、F374Y/L305V/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E-FVII、F374Y/K337A/V158T-FVII、F374Y/K337A/M298Q-FVII、F374Y/K337A/E296V-FVII、F374Y/K337A/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q-FVII、F374Y/V158D/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q-FVII、F374Y/V158T/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E-FVII、F374Y/S314E/M298Q-FVII、F374Y/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A -FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、S52A-第VII因子、S60A-第VII因子; R152E-第VII因子、S344A-第VII因子、Glaドメインを欠いている第VIIa因子;及び、P11Q/K33E-FVII、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVI;及び、233Thrから240Asnまでのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII、304Argから329Cysまでのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII、及びアミノ酸配列Ile153−Arg223に置換、付加又は欠失を有するFVIIが含まれるがこれらに限定されるものではない。
したがって、第VII因子ポリペプチドの置換変異体には、位置P10、K32、L305、M306、D309、L305、L305、F374、V158、M298、V158、E296、K337、M298、M298、S336、S314、K316、K316、F374、S52、S60、R152、S344、T106、K143、N145、V253、R290、A292、G291、R315、V317の置換、及びT233からN240又はR304からC329;又はI153からR223のアミノ酸配列の置換、付加又は欠失、又はそれらの組合せ、特にP10Q、K32E、L305V、M306D、D309S、L305I、L305T、F374P、V158T、M298Q、V158D、E296V、K337A、M298Q、M298K、S336G、S314E、K316H、K316Q、F374Y、S52A、S60A、R152E、S344A、T106N、K143N、N145T、V253N、R290N、A292T、G291N、R315N、V317Tといった変異体、及び、T233からN240、又はR304からC329、又はI153からR223のアミノ酸配列の置換、付加又は欠失、又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは組み換えて作製したヒト第VIIa因子(rhVIIa)である。
他の実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子配列変異体である。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは野生型ヒト第VII因子と異なるグリコシル化を有する。
様々な実施態様では、例えば第VII因子ポリペプチドが第VII因子関連のポリペプチド又は第VII因子配列変異体である場合、第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比率は、本明細書中に記載の「インビトロタンパク質分解アッセイ」(アッセイ2)にて試験されると、少なくともおよそ1.25、好ましくは少なくともおよそ2.0、又は4.0、最も好ましくは少なくともおよそ8.0である。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子関連のポリペプチド、特に、該第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比率が、「インビトロ加水分解アッセイ」(下記のアッセイ1を参照)にて試験される場合に少なくともおよそ1.25である変異体である。他の実施態様では、その比率が少なくともおよそ2.0である。更なる実施態様では、その比率が少なくともおよそ4.0である。
第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質の使用
第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質に相当する分画の収集の後、溶液に調製し、バイアルに分注して、凍結乾燥してもよいし又はそのまま保存してもよい。市販の、組み換えて作製されたFVIIポリペプチド組成物に相当する最終生成物の例として、1.2mg 組み換えヒト第VIIa因子、5.84mg NaCl、2.94mg CaCl、2 HO、2.64mg GlyGly、0.14mg ポリソルベート80及び60.0mg マンニトールを含有するバイアル(1.2mg)であるNovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, Denmark)が述べられる。この生成物は、使用の前に2.0mlの注射用蒸留水(WFI)によってpH5.5に再構成される。再構成の場合、タンパク質溶液は24時間の使用に安定である。
組み換え活性化第VII因子(rFVIIa)の全体的な製造は、Thrombosis and Hemostasis, Vol. 27, No. 4, 2001のセミナーにおいてJurlander等によって示される。
一般法
第VII因子ポリペプチドの生物学的活性を決定するために適するアッセイ
本発明に有用な第VII因子ポリペプチドは、簡単な事前のインビトロ試験として実施されうる適切なアッセイによって選択されうる。したがって、本明細書は、第VII因子ポリペプチドの活性のための簡易試験(「インビトロ加水分解アッセイ」と称する)を開示する。
第一の生成凝固アッセイ
基本的には国際公開第92/15686号又は米国特許第5997864号に記述されるように、第VII因子ポリペプチドの活性を1-段階(one-stage)凝固アッセイを用いて測定してもよい。簡単に言うと、試験する試料を、50mM トリス(pH7.5)、0.1%BSAにて希釈して、100μlを、100μlの第VII因子欠損血漿及び200μlの10mM Ca2+を含むトロンボプラスチンCとともにインキュベートする。凝固時間を測定し、参照標準物質又は階段希釈のクエン酸塩加の正常ヒト血漿の貯留(プール)を用いた標準曲線と比較する。
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1)
天然の(野生型)第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降ともに「第VIIa因子」と称する)を特定の活性についてアッセイしてもよい。また、これらはアッセイすると同時に、特定の活性を直接比較してもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)にて行う。発色基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix, Sweden)を終濃度1mMで、第VIIa因子(終濃度100nM)を含む0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50mM HEPES、pH7.4に加える。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続的に測定する。酵素を含まない空のウェルの吸光度を減算した後、20分間のインキュベートの間に反応する吸光度を用いて、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子との活性の比率を算出する:
比率=(A405nmの第VII因子ポリペプチド)/(A405nmの第VIIa因子野生型)
これを元に、天然の第VIIa因子よりも活性が低い、同等又は高い第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超えるものである第VII因子ポリペプチドが同定されうる。
また、第VII因子ポリペプチドの活性は、100〜1000nMの濃度に適する、第X因子などの生理学的基質を用いて測定されうる(「インビトロタンパク質分解アッセイ」)。このアッセイでは生成された第Xa因子が適切な発色基質(例えばS-2765)を加えた後に測定される。さらに、活性アッセイは生理学的温度で行ってもよい。
インビトロタンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
天然の(野生型)第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降ともに「第VIIa因子」と称する)はアッセイすると同時に、特定の活性を直接比較してもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)にて行う。第VIIa因子(10nM)及び第X因子(0.8μM)を含む、0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50mM HEPES、pH7.4 100μlを15分間インキュベートする。次いで、0.1M NaCl、20mM EDTA及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50mM HEPES、pH7.4 50μlを加えて第X因子切断を止める。生成された第Xa因子の量は、発色基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、Chromogenix, Sweden)を終濃度0.5mMで加えて測定する。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続的に測定する。FVIIaを含まない空のウェルの吸光度を減算した後、10分間反応する吸光度を用いて、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子のタンパク質分解活性の比率を算出する:
比率=(A405nmの第VII因子ポリペプチド)/(A405nmの第VIIa因子野生型)
これを元に、天然の第VIIa因子よりも活性が低い、同等又は高い第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超えるものである第VII因子ポリペプチドが同定されうる。
トロンビン生成アッセイ(アッセイ3)
第VII因子ポリペプチドのトロンビン生成能は、生理的濃度のすべての関連する凝固因子及びインヒビター(血友病A症状を模倣する場合の第VIII因子を含まない)、及び活性化血小板(参照により本明細書中に組み込まれるMonroe等 (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543ページに記述される)を含むアッセイ(アッセイ3)にて測定することができる。
1-段階(One-stage)凝固アッセイ(凝固アッセイ)(アッセイ4)
また、第VII因子ポリペプチドは、1-段階(one-stage)凝固アッセイ(アッセイ4)を用いて、特定の活性(「凝固活性」)について試験してもよい。この目的のために、試験する試料を50mM PIPES-バッファ(pH7.2)、1%BSAにて希釈し、40μlを40μlの第VII因子欠損血漿及び80μlの10mM Ca2+及び合成リン脂質を含むヒトの組み換え組織因子とともにインキュベートする。凝固時間(凝血時間)を測定して、類似のアッセイにて参照標準物質を用いた標準曲線と比較する。
「相対的な滞留時間」、及び酸化型FVII、重鎖分解FVII及び「遅発型溶出ピーク」の含有量の測定に適するRP-HPLCアッセイ
「遅発型溶出ピーク」は、例えば以下に記載するようなRP-HPLCアッセイにおける対象の第VII因子ポリペプチドと比較したときに長い滞留時間で溶出するものである:
逆相HPLCは、5μmの粒子サイズと孔径300Åの社内生産されたブチル結合シリカカラム(4.5×250mm)にて行った;(類似の結果は、ACE C4、5μm、300Å、4.6×250mmカラムにて得られうる)。
カラム温度:70℃。A-バッファ:0.1%v/v トリフルオロ酢酸。B-バッファ:0.09%v/v トリフルオロ酢酸、80%v/v アセトニトリル。
カラムは、Xから(X+13)%Bまでの直線的濃度勾配にて30分間溶出した。Xは、FVIIaがおよそ26分の滞留時間で溶出するように調整した。
流速:1.0ml/分。検出:214nm。負荷:25μgのFVIIa。
図9は、FVIIのHPLCクロマトグラム及びその生成物関連の不純物を示す。
凝集塊の含有量
凝集塊の含有量は非変性サイズ排除HPLC(SEHPLC)によって測定する。非変性サイズ排除クロマトグラフィは、移動相として0.2M 硫酸アンモニウム、5% 2-プロパノール pH7.0を用いたWaters Protein Pak 300 SWカラム、7.5×300mmにて行った。流速:0.5ml/分。検出:215nm。負荷:25μgのFVIIa。
デスGla-第VII因子ポリペプチド構造の含有量の測定
完全長第VII因子ポリペプチド構造に対するデスGla-第VII因子ポリペプチド構造の含有量はSDS-PAGEによって測定される。150μlの試料に50μlの試料バッファ(非還元、NuPAGE)を加え、5分間煮沸する。10μlの試料を12%のBisTris NuPAGEゲル(Invitrogen)に流す。ゲルを200ボルト、120mAで55分間動作する。クーマシーブリリアントブルー溶液を用いてゲルを染色し、脱色して、乾燥する。相対的なデスGla-第VII因子ポリペプチド含有量を、およそ50kDaの第VII因子ポリペプチドバンド領域と45kDaのデスGla-第VII因子ポリペプチドバンドの領域で除したデスGla-第VII因子ポリペプチドバンドの領域として算出する。
あるいは、デスGla-第VII因子ポリペプチド構造の含有量を陰イオン交換HPLCで測定してもよい。この方法は、Gla-ドメインのない第VII因子ポリペプチドをインタクトな第VII因子ポリペプチドから切り離す。Gla-ドメインのない第VII因子ポリペプチドの含有量は、第VII因子ポリペプチド関連のピーク領域の%で表される。分析カラムには、DNAPac PA-100、250×4mm (Dionex Corp.)を用いる。カラムは、1.0ml/分の流速で、30分にわたって、pH9.0の0〜0.5Mの酢酸アンモニウムの直線的濃度勾配にて溶出する。溶出物の280nmの吸光度をモニタリングする。
一又は複数のN-結合グリカンを持たない第VII因子ポリペプチド構造の含有量の測定
一方又は両方のN-結合グリカンを持たない第VII因子ポリペプチド構造の含有量は、例えば高性能液体クロマトグラフィ(HPLC);キャピラリー電気泳動法(CE);又は質量分析(MALDI-MS及びLC-MS)を用いて測定されうる。
例えば、MALDI-MSを用いる場合、およそ50kDa、47.5kDa及び45kDaの質量を表すピークは、両方のN-結合グリカンを有する第VII因子ポリペプチド及び一又は両方のグリカンを持たないそれぞれの第VII因子ポリペプチドを示す。
N-結合オリゴ糖のパターンは、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC);キャピラリー電気泳動法(CE);核磁気共鳴法(NMR);イオン化技術を用いた質量分析(MS)、例えば高速原子衝撃、エレクトロスプレー、又はマトリックス支援レーザー脱離(MALDI);ガスクロマトグラフィ(GC);及び、陰イオン交換(AIE)-HPLC、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)又はMSと組み合わせたエキソグリコシダーゼによる治療法を含むがこれらに限定されるものではない、当分野で公知の任意の方法を用いて測定されうる。例として、Weber等, Anal. Biochem. 225:135 (1995);Klausen等, J. Chromatog. 718:195 (1995);Morris等, in Mass Spectrometry of Biological Materials, McEwen等, eds., Marcel Dekker, (1990), pp 137-167;Conboy等, Biol. Mass Spectrom. 21:397, 1992;Hellerqvist, Meth. Enzymol. 193:554 (1990);Sutton等, Anal. Biohcem. 318:34 (1994);Harvey等, Organic Mass Spectrometry 29:752 (1994)を参照。
上記の方法のいずれかを用いた第VII因子グリコフォームの分解の後、分解された種は、異なるグループ(i) 〜 (iii)に分類される。(i) 〜 (iii)のそれぞれの相対的な含有量は、試料中のグリコフォームの総含有量に対するあるグループに分類されたグリコフォームの合計として算出される。
実施例
以下の実施例は本発明を例示するものである。これらの実施例は、例示の目的にのみ記載するもので、いかなる場合においても請求される本発明の範囲を制限することを目的としない。
実施例1−TSKフェニル5PWを用いたpH6でのrhFVIIaのHIC精製による重鎖が分解された酸化型rhFVIIの減少
5mgの純度の高いrhFVIIaに、終濃度1.8MのNH-アセテートと終濃度10mMのCaClと終濃度10mMのメチオニンを加えた。pHはpH6.0に調整した。試料を、5CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、10mM メチオニン、pH6.0(負荷1.6g/l)にて平衡化したToso Haas TSK-Gelフェニル5PWを充填したカラム(0.5cm内径×10.0cmの長さ=2mlのカラム容量(CV))に流し込んだ。カラムを、3CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、10mM メチオニン、pH6.0にて洗浄した。10mM CaCl、10mM メチオニン、pH6.0を含むバッファ中で1.8MのNH-アセテートから50mMのNH-アセテートの直線的な勾配溶液 18CVを用いて溶出を行った。リーディングエッジで最大吸光度(280nm)のおよそ65%及びテーリングエッジで最大吸光度のおよそ20%のピーク集積であるが、貯留を回収した。図1にクロマトグラムを示す。
6〜12CV/hの流速及び5℃の温度で精製を行った。50mM クエン酸塩、pH7.0及び0.5M NaOHにてカラムを再生した。
貯留の分析及び分析的RP-HPLCに供した試料は、表1に示すように、重鎖が分解した酸化型のrhFVIIの減少を示した。
表1
Figure 0005894722
重鎖が分解した酸化型のrhFVIIは、修飾されていないrhFVIIよりも相対的に滞留時間が短いために主に減少し、それによってリーディングエッジの切断によって減少した。
実施例2−疎水性相互作用クロマトグラフィの実施
rhFVIIの試料に終濃度1Mの(NH)SOを加える。pHは20mMのトリスにて緩衝してpH8.6に調整する。この試料を5CVの1M (NH)SO、20mM トリス、pH8.6にて平衡化したToyopearl butyl 650Sを充填したカラムに加える。カラムを5CVの1M (NH)SO、20mM トリス、pH8.6にて洗浄する。20mM トリス、pH8.6を含むバッファ中で1.0Mの(NH)SOから0Mの(NH)SOの直線的な勾配溶液 20CVを用いて溶出を行う。FVII含有貯留(プール)はピークの集積によって選択する。重鎖が分解された酸化型のrhFVIIは天然のrhFVIIと比較して滞留時間が短いために減少する。遅発型溶出ピーク1、2及び3は、天然のrhFVIIと比較して滞留時間が相対的に長いために減少する。
実施例3−TSKフェニル5PWを用いたpH6でのFVIIaのHIC精製による遅発型溶出ピークの減少
4.7mlのカラムにTSKフェニル5PW(20μm)樹脂を充填して、2.0M 酢酸アンモニウム、10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0を含有するバッファ 20CVにて平衡化した。
15mlの0.25mg/ml FVIIa類似体を含む2.0M 酢酸アンモニウム、10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0からなる負荷物質をカラムに流した(0.8mg/ml樹脂の特定の負荷に相当)。5CVの平衡化バッファを用いてカラムを洗浄した。10CVにわたって洗浄バッファ及び平衡化バッファから10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0への直線的な勾配溶液を用いた後に5CVの勾配の付いていない溶液を用いて溶出を行った。5mlの分画を溶出ピーク全体にわたって回収した。クロマトグラムを図3に示す。
カラムは、5CVの50mM 三クエン酸ナトリウム、pH7.5の後に5CVの1.0M 水酸化ナトリウムを用いて再生した。流速は精製の間6CV/hとし、5℃の一定温度を維持した。
図2に示すように、相対的な滞留時間(RR)が1000より大きい遅発型溶出ピークを分離した。全体で、遅発型溶出ピーク(RR1045、RR1066、RR1119、RR1148、RR1192及びRR1247)が因子2.5によって減少した。ピークの滞留時間は、分析的RP-HPLCシステムの主要な生成物ピークと比較したときのそれぞれのピークの相対的な滞留時間を示す。分画12〜17を回収したところ62%の収率であった。
実施例4−高分子化合物の減少
2.0lのカラムに、TSKフェニル5PW(20μm)樹脂を充填し、20CVの2.0M 酢酸アンモニウム、10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0にて平衡化した。0.751mg/mlのFVIIa類似体を含む2.0M 酢酸アンモニウム、10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0を含有する5.3lの溶液を負荷した(2.0mg/ml樹脂の特定の負荷に相当)。10CVの平衡化バッファを用いてカラムを洗浄した。10CVにわたって洗浄バッファ及び平衡化バッファから10mM CaCl、10mM ヒスチジン、pH6.0への直線的な勾配溶液を用いた後に6.5CVの勾配の付いていない溶液を用いて溶出を行った。貯留分画は、リーディングエッジの100mAu(5mmの光路)から、テーリングエッジの65mAu(5mmの光路)まで回収した。図4にクロマトグラムを示す。貯留容量は9.0lであった。
カラムは、5CVの50mM 三クエン酸ナトリウム、pH7.5の後に5CVの1.0M 水酸化ナトリウムを用いて再生した。流速は精製の間6CV/hとし、5℃の一定温度を維持した。
SDS-PAGEによると、負荷は、生成物より大きい分子量を有するいくつかの成分を含有した。記述した精製工程は、これらのすべて〜濃度の半分より少ない程度までに減少した(表2及び図5及び6を参照)。
表2
Figure 0005894722
実施例5−遅発型溶出ピークの減少
負荷及び貯留の試料を上記の一般法で記載したRP-HPLCによって分析した。酸化型及び遅発型溶出ピーク(LEピーク)の両方の減少が観察された(表3を参照)。
表3
Figure 0005894722
実施例6−TSKフェニル5PWを用いたpH6でのFVIIa類似体のHIC精製によるGD-FVIIの減少
6mgの組み換えhFVIIaに、終濃度1.8MのNH-アセテートと終濃度10mMのCaClを加えた。pHはpH6.0に調整した。試料を、5CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、pH6.0(負荷1.6g/l)にて平衡化したToso Haas TSK-Gelフェニル5PWを充填したカラム(0.5cm内径×10.5cmの長さ=2mlのカラム容量(CV))に流し込んだ。カラムを、3CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、pH6.0にて洗浄した。10mM CaCl、pH6.0を含むバッファ中で1.8MのNH-アセテートから50mMのNH-アセテートの直線的な勾配溶液 18CVを用いて溶出を行った。3つの試料を回収した;リーディングエッジ、メインピーク及びテーリングエッジ。リーディングエッジで最大吸光度(280nm)のおよそ50%及びテーリングエッジで最大吸光度のおよそ20%のピーク集積であるが、メインピークを回収した。図7にクロマトグラムを示す。
6〜12CV/hの流速及び5℃の温度で精製を行った。5CVの50mM クエン酸塩、pH7.0及び5CVの0.5M NaOHを用いてカラムを再生した。
3つの回収した試料とアプリケーション試料中の、FVII、mwおよそ48kDaと比較してGD-FVII、mwおよそ43kDaの相対的な含有量は、非還元SDS-PAGE(図8)及びゲルのスキャニング(図)によって分析した。メインピークのGD-FVIIの量の減少が観察された(表5)。
表5
Figure 0005894722
実施例7−20℃のTSKフェニル5PWを用いたFVIIaのHIC精製による遅発型溶出ピークと他の生成物関連の不純物の減少
6mgの組み換えhFVIIaに、終濃度1.8MのNH-アセテートと終濃度10mMのCaClを加えた。pHはpH6.0に調整した。試料を、5CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、pH6.0にて平衡化したToso Haas TSK-Gelフェニル5PWを充填したカラム(0.5cm内径×10.0cmの長さ=2mlのカラム容量(CV))に加えた。
カラムを、3CVの1.8M NH-アセテート、10mM CaCl、pH6.0にて洗浄した。10mM CaCl、pH6.0を含むバッファ中で1.8MのNH-アセテートから50mMのNH-アセテートの直線的な勾配溶液 18CVを用いて溶出を行った。
リーディングエッジで最大吸光度(280nm)のおよそ65%及びテーリングエッジで最大吸光度のおよそ20%のピーク集積である。貯留を回収した。図10にクロマトグラムを示す。
6〜12CV/hの流速及び20℃の温度で精製を行った。50mM クエン酸塩、pH7.0及び0.5M NaOHにてカラムを再生した。
表6に示すように、酸化型及び重鎖が分解されたFVII及び遅発型溶出ピークの含有量は減少した。
表6
Figure 0005894722
TSK-Gelフェニル5PWによるrhFVII分離のクロマトグラムである(実施例1参照)。 TSKフェニル5PWによるFVIIa類似体分離のクロマトグラムである(実施例3参照)。 生成物ピークの全体にわたる不純物の溶出を例示する(実施例3参照)。 TSKフェニル5PWによるFVIIa類似体分離のクロマトグラムである(実施例4参照)。 185、140及び90kDaの高分子化合物を示すHIC負荷のSDS-PAGEを例示する。 185、140及び90kDaの高分子化合物がほとんど取り除かれたことを示すHICプールのSDS-PAGEを例示する。 TSK-Gelフェニル5PWによるrhFVII分離のクロマトグラムである(実施例6参照)。 GD-FVIIの部分的な除去を例示するSDS-PAGEゲルである。レーン1:mw標準物質、レーン2:負荷試料、レーン3:リーディングエッジ、レーン4:メインピーク、レーン5:テーリングエッジ、実施例6参照。 FVII及びその生成物関連の不純物のHPLCクロマトグラムを例示する。 20℃のTSKフェニル5PWを用いたFVIIaのHIC精製による他の生成物関連の不純物と遅発型溶出ピークの低減を例示する。

Claims (15)

  1. 組み換えによって作製された活性型第VII因子ポリペプチドの薬剤物質を精製する方法であって、
    (a)疎水性相互作用クロマトグラフィ物質への前記薬剤物質の一部の結合を促す条件下にて疎水性相互作用クロマトグラフィ物質と前記薬剤物質を接触させる工程であって、前記薬剤物質が塩含むものであり、前記塩は酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムからなる群から選択されこのときの前記薬剤物質0.5Mから工程(a)が実施される温度でのそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲の濃度の塩を含むものである工程、
    (b)洗浄バッファにて前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を洗浄する工程、及び
    (c)溶出バッファにて前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を溶出し、活性型第VII因子ポリペプチドの精製された薬剤物質を溶出物として回収する工程
    を含んでなり、
    工程(c)で回収された精製された薬剤物質中の、rFVIIaポリペプチドメインピークの滞留時間が1.000のときの相対的滞留時間が1.040から1.300である遅発型溶出ピークの分画として得られる第VII因子関連不純物の含有量が、工程(a)に用いられる薬剤物質と比較して、少なくとも50%(w/w)に減少している方法。
  2. 前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質が、ブチル・リガンド及び/又はフェニル・リガンドにて置換された樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)の前記薬剤物質の負荷が樹脂1リットル当たり少なくとも250mgの第VII因子ポリペプチドの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(a)の前記薬剤物質が液体の形態であり、少なくとも50mS/cmの伝導率を有する、請求項1から3のいずれか一に記載の方法。
  5. 工程(b)の前記洗浄バッファが、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムからなる群から選択される塩含有するものであり、このときの前記洗浄バッファが0.5Mから工程(b)が実施される温度でのそれぞれの塩の飽和濃度の85%の範囲の濃度の塩含有する、請求項1から4のいずれか一に記載の方法。
  6. 工程(b)の前記洗浄バッファが0.7〜2.2Mの範囲の濃度の塩を含む、請求項1から5のいずれか一に記載の方法。
  7. 工程(c)の前記溶出バッファが0.7〜2.2Mの範囲の開始濃度の塩を含む、請求項1から6のいずれか一に記載の方法。
  8. 工程(c)の前記溶出バッファが塩に関する勾配バッファである、請求項1から7のいずれか一に記載の方法。
  9. 前記勾配バッファの塩の開始濃度が1.7〜2.2Mの範囲であり、前記勾配バッファの塩の終濃度が0.0〜1.6Mの範囲である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記塩が酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一に記載の方法。
  11. 第VII因子関連不純物が、興味のある第VII因子タンパク質の一又は複数のN結合グリカンを欠く形態である、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
  12. 第VII因子関連不純物が、Gla-ドメインのない第VII因子ポリペプチドである、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
  13. 第VII因子関連不純物が、興味のある第VII因子ポリペプチドの酸化型である、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
  14. 第VII因子関連不純物が、興味のある第VII因子ポリペプチドのタンパク質分解型である、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
  15. 第VII因子関連不純物が、興味のある第VII因子ポリペプチドのダイマー、オリゴマー及び/又は凝集塊である、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
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