JP5892970B2 - 掘削システム - Google Patents

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Description

本発明は、場所打ち杭等の基礎工事等において、たとえばケーシング内の掘削土等を掴み出す際に適用されるハンマーグラブ制御装置を備えた、掘削システムに関するものである。
先端に切削チップが装着された鋼管等からなるケーシングを回転もしくは揺動しながら地盤内に立て込み、上方からワイヤ等で吊持され、開閉自在で対向するシェルから構成されたハンマーグラブを開姿勢で自由落下させてケーシング内の地盤に食い込ませ、ハンマーグラブを閉姿勢として地盤を掴み取り、ハンマーグラブを地上へ引き込んで掘削地盤を排出し、これを所定深度まで繰り返しながら地盤内に基礎用縦坑を造成する施工方法が基礎工事において適用されており、一般にオールケーシング工法と称されている。
なお、上記するハンマーグラブに関し、掘削地盤を掴み取る際にハンマーグラブが地盤上を滑ることを防止する掘削システムが特許文献1に開示されている。この掘削システムは、シェルを閉じて掘削地盤を掴み取る際に、弾性材の付勢力によって係止材をケーシングの内壁面に押し付ける。これにより、ケーシング内でハンマーグラブが位置決め固定され、掘削地盤を掴み取る際の地盤の効力によりハンマーグラブが押し上げられることが防止される。したがって、掘削地盤を掴み取る際にハンマーグラブが地盤上を滑ることを防止できる。
特開2011−149152号公報
また、上記の係止材を油圧系の駆動によりケーシングの内壁面に押し付ける機構が一般に用いられている。たとえば、油圧系を構成するシリンダ機構のピストンロッドに連結されたワイヤを牽引することで油圧系を駆動させて係止材をケーシングの内壁面に押し付ける機構が考えられる。このような機構では、ワイヤを緩めることでハンマーグラブの位置決め固定を解除する。しかしながら、ワイヤを緩めるのみでは、ワイヤの自重をシリンダ機構に作用させるに過ぎず、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止材をケーシングの内壁面から引き離すだけの駆動力を得ることが困難であった。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、先行して地盤内に挿入されて地盤を切削するケーシングと、このケーシング内に配設されて切削地盤を掴み取るハンマーグラブを制御するハンマーグラブ制御装置と、係止部をケーシングの内壁面に押し付けることでハンマーグラブ制御装置をケーシングに対して位置決め固定する係止装置と、から構成された掘削システムに関し、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部をケーシングの内壁面から引き離すだけの駆動力を得ることが困難であるという従来構造の掘削システムの具備する課題を、簡易な改良構造のもとで効果的に解消することのできる、掘削システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の掘削システムは、相互に開姿勢と閉姿勢を形成自在な第1、第2のシェルから構成されたハンマーグラブを備え、該ハンマーグラブの開閉を制御するハンマーグラブ制御装置と、これを収容するケーシングと、前記ハンマーグラブ制御装置を前記ケーシングに対して位置決め固定する係止装置と、からなる。この掘削システムにおいて、前記係止装置は、前記ケーシングの内壁面に押し当てられる複数の係止部と、前記ハンマーグラブ制御装置の有する基台に設けられ、前記係止部を前記ケーシングに対して進退させる進退機構と、を備える。前記進退機構は、第1、第2、第3の駆動部と、第1、第2の流路系と、を備える。第1の駆動部は、第1のシリンダと、前記係止部に連結されて第1のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第1のシリンダ内で進退自在な第1のピストンロッドと、を備える。第2の駆動部は、第2のシリンダと、第2のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第2のシリンダ内で進退自在な第2のピストンロッドと、を備える。第3の駆動部は、第3のシリンダと、第3のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第3のシリンダ内で進退自在な第3のピストンロッドと、を備える。第1の流路系は、第1、第2のシリンダのそれぞれの第1の領域を流体連通する。第2の流路系は、第1、第3のシリンダのそれぞれの第2の領域を流体連通する。前記進退機構は、第2のピストンロッドが引き上げられた際に、第2のピストンロッドが第2のシリンダ内を摺動してその第1の領域内に収容されていた流体を第1の流路系を介して第1のシリンダの第1の領域に提供し、提供された流体の流体圧によって第1のピストンロッドが押し込まれることで、前記係止部を前記ケーシングの内壁面に押し付ける。これによって、前記係止装置が前記ハンマーグラブ制御装置の前記ケーシングに対する位置決め固定を保障する。かつ、前記進退機構は、前記ハンマーグラブ制御装置が位置決め固定された状態から、第2のピストンロッドの引き上げが解除され、第3のピストンロッドが引き上げられた際に、第3のピストンロッドが第3のシリンダ内を摺動してその第2の領域に収容されていた流体を第2の流路系を介して第1のシリンダの第2の領域に提供し、提供された流体の流体圧によって第1のピストンロッドが押し込まれることで、前記係止部を前記ケーシングの内壁面から引き離す。これによって、前記係止装置が前記ハンマーグラブ制御装置の前記ケーシングに対する位置決め固定の解除を保障する。
本発明の掘削システムは、鋼管等からなるケーシングの先端には切削チップが装備され、ケーシングをベースマシンに装着されたオーガー等にて回転もしくは揺動することで地盤内に挿入し、次いで、その内部にハンマーグラブを具備するハンマーグラブ制御装置を自由落下等することで、開姿勢のハンマーグラブを地盤内に食い込ませ、これを閉姿勢とすることで地盤を掴み取り、排土する基礎工事に供されるものである。
ここで、本発明の掘削システムは、このハンマーグラブを開閉姿勢制御して地盤を掴み取る前に、係止部をその外周に位置するケーシングの内壁に押圧してハンマーグラブ制御装置の位置決め固定を図るようになっている。これにより、ケーシングを回転させ、ケーシングの先端の切削チップにて地盤を掘削するだけでなく、ケーシングと共に開姿勢のハンマーグラブを回転させて地盤を掘削し、これらを地盤内に食い込ませる。その後、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部を、十分な駆動力をもってケーシングの内壁から引き離すことで、ハンマーグラブ制御装置の位置決め固定の解除を保障し、地盤を掴み取ったハンマーグラブ制御装置の引き上げを円滑に行うことができる。
ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部を、十分な駆動力をもってケーシングの内壁から引き離すための構成として、本掘削システムを構成する係止装置は、ハンマーグラブ制御装置が備える基台に設けられ、係止部をケーシングに対して進退させる進退機構を備えている。この進退機構は、係止部を進退させてケーシングの内壁面に押し当てたり引き離したりするための駆動力を作用させる第1のピストンロッドを具備する第1の駆動部と、第1の駆動部に作動油等の流体を提供する第2の駆動部とを備えている。ここで、第2の駆動部の具備する第2のピストンロッドは、たとえばケーシングの上方から第1のワイヤ等を介して吊り上げられるようになっている。この第1のワイヤは、地上の油圧ポンプや油圧モータ等の駆動源にて上方に引き込まれるようになっていて、第1のワイヤの引き込みに同期して第2のピストンロッドが第2の駆動部が具備する第2のシリンダ内を上方に摺動するようになっている。
第1の駆動部が具備する第1のシリンダは、第1のピストンロッドにより第1の領域と第2の領域とに区分され、第2の駆動部の具備する第2のシリンダは、第2のピストンロッドによって第1の領域と第2の領域とに区分されている。各シリンダの第1、第2の領域には、作動油(圧油)等の流体が収容されている。そのため、第2のピストンロッドが第1のワイヤの引き込みに同期して第2のシリンダ内を上方に摺動すると、第2のシリンダの第1の領域に収容されている流体が第1の流路系に押し出され、これが第1の駆動部の第1のシリンダの第1の領域に提供される。この提供された流体の流体圧により、第1の駆動部の第1のピストンロッドが押し込まれ、これに連結された係止部がケーシングの内壁面へ向かって前進し、ケーシングの内壁面へ押し当てられ、ケーシングの内壁面に噛んだ状態になる。以上により、ハンマーグラブ制御装置が、係止装置によって位置決め固定された状態になる。
ハンマーグラブ制御装置の位置決め固定を解除する際には、第2のピストンロッドを吊持する第1のワイヤを緩め、第2のピストンロッドの引き上げを解除する。これにより、第2のピストンロッドに第1のワイヤの自重等が作用して、第2のピストンロッドを押し下げる力が働く。しかし、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部をケーシングの内壁面から引き離すだけの駆動力を、ワイヤの自重等のみで第1の駆動部の第1のピストンロッドに作用させることは困難である。
そこで、本掘削システムを構成する係止装置は、第3の駆動部を具備している。第3の駆動部の具備する第3のピストンロッドは、たとえばケーシングの上方から第2のワイヤ等を介して吊り上げられるようになっている。この第2のワイヤは、第1のワイヤと同様に、地上の油圧ポンプや油圧モータ等の駆動源にて上方に引き込まれるようになっていて、第2のワイヤの引き込みに同期して第3のピストンロッドが第3の駆動部が具備する第3のシリンダ内を上方に摺動するようになっている。
第3の駆動部が具備する第3のシリンダは、第3のピストンロッドによって第1の領域と第2の領域とに区分されている。第3のシリンダの第1、第2の領域には、作動油(圧油)等の流体が収容されている。そのため、第3のピストンロッドが第2のワイヤの引き込みに同期して第3のシリンダ内を上方に摺動すると、第3のシリンダの第2の領域に収容されている流体が第2の流路系に押し出され、これが第1の駆動部の第1のシリンダの第2の領域に提供される。この提供された流体の流体圧により、第1の駆動部の第1のピストンロッドが押し込まれ、これに連結された係止部がケーシングの内壁面から離れるように後退し、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部がケーシングの内壁面から引き離される。以上により、ハンマーグラブ制御装置が、係止装置によって位置決め固定された状態が解除される。
上記の進退機構は、リンク部を具備したリンク機構であってもよい。リンク部は、第1の駆動部が具備する第1のピストンロッドと、ハンマーグラブ制御装置の基台とに回動自在に装着される。また、第1の駆動部は、第1のシリンダを介してハンマーグラブ制御装置の基台に回動自在に装着される。これにより、リンク部と第1のピストンロッドとの共通の回転軸と、基台上のリンク部の回転軸と、基台上の第1のシリンダの回転軸とを結ぶ三角形が形成される。
上記のように、第1のシリンダの第1、第2の領域に提供される流体の流体圧により第1のピストンロッドが押し込まれて第1のシリンダ内を摺動し、第1のピストンロッドが進退すると、リンク部と第1のシリンダとがそれぞれ回動して、リンク部と第1のピストンロッドがなす角の角度が変化する。これにより、第1のピストンロッドに連結された係止部がハンマーグラブ制御装置の基台から離れたり、基台に近づいたりする。
すなわち、係止部は第1のピストンロッドの進退方向と交差する方向に進退する。また、リンク部によって係止部が移動する範囲を限定され、係止部が必要以上にケーシングの内壁面に食い込むことが防止される。すなわち、複雑な制御を必要とすることなく、簡易な構造でケーシングの内壁面に対する係止部の押し当てを最適化することが可能になる。
また、上記の進退機構は、第3のシリンダの第1の領域と、第2のシリンダの第2の領域と、を流体連通する第3の流路系をさらに備えてもよい。この場合、第2のシリンダの第1の領域内に収容されていた流体が第1の流路系を介して第1のシリンダの第1の領域に提供される際に、第3のシリンダの第1の領域に収容されていた流体が第3の流路系を介して第2のシリンダの第2の領域に提供される。この提供された流体の流体圧によって第2のピストンロッドの摺動が助成され、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
本発明の掘削システムは、上記のように係止装置によるハンマーグラブ制御装置の位置決め固定の解除に連動して、ハンマーグラブ制御装置によりハンマーグラブの開姿勢から閉姿勢への制御を行うものである。
そのための構成として、本掘削システムを構成するハンマーグラブ制御装置は、ハンマーグラブの姿勢変更を直接的に実行する第4、第5の駆動部と、これに作動油等の流体を提供するとともに、これらのシリンダ機構から返ってくる作動油をその動作に有効利用する第6のピストンロッドを具備する第6の駆動部と、この第6のピストンロッドの摺動を実行する際に自身が昇降する昇降部と、が基台にて一体に構成されたものとなっている。
ここで、昇降部は、たとえば、ケーシング上方から上記の第2のワイヤ等を介して吊持等され、第2のワイヤの引き込みに同期して上方に移動するようになっている。また、昇降部には、第6のピストンロッドが昇降する昇降空間が開設され、上記の第3の駆動部の第3のピストンロッドが連結されている。
したがって、上記のようにハンマーグラブ制御装置の位置決め固定がされた状態で、昇降部が第2のワイヤの引き込みに同期して上方に移動すると、第3のピストンロッドが第3のシリンダ内を上方に摺動し、上記のようにハンマーグラブ制御装置の位置決め固定が解除される。同時に、第6のピストンロッドが昇降空間を下降して、昇降空間の下端に係止され、この時点で第6のピストンロッドの摺動準備がなされる。
ところで、第4、第5、第6の駆動部を構成する第4、第5、第6のシリンダはそれぞれ、固有のピストンロッドにてそれぞれの内部空間が第1の領域と第2の領域とに二分されており、双方の領域には作動油(圧油)が収容されている。そして、さらに昇降部が上方に引き上げられると、昇降空間で係止された第6のピストンロッドが上方に持ち上げられて該ロッドが上方に摺動し、この摺動により、第6のシリンダの第1の領域に収容されていた作動油が第4の流路系に押し出され、これが第4、第5のシリンダの第1の領域に提供されることで、第4、第5のピストンロッドが押し込まれ、これらに回動自在に装着されていた2つのシェルが当初の開姿勢から閉姿勢へ姿勢変更される。
そして、この姿勢変更の際、すなわち、第6のシリンダの第1の領域内に収容されていた作動油が第4の流路系を介して第4、第5のシリンダの第1の領域に提供される際には、同時に、第4、第5のシリンダの第2の領域に収容されていた作動油は、双方に固有のピストンロッドから受ける押圧力によって第5の流路系を介して第6のシリンダの第2の領域に提供されるようになっている。この第6のシリンダに提供された作動油の流体圧によって第6のピストンロッドの摺動が助成され、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
昇降部がさらに引き上げられる過程で、第6のピストンロッドの摺動が進行し、これに起因して第4、第5のピストンロッドの摺動が同期進行することで、2つのシェルは除々に完全な閉姿勢へと移行していき、この際に、切削地盤が該2つのシェル内に掴み取られる。これにより、閉姿勢のハンマーグラブのケーシングからの引き上げ準備が完了することとなる。
上記のハンマーグラブ制御装置は、調整部と、第6の流路系とをさらに備えていてもよい。調整部は、第7のシリンダと、第7のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第7のシリンダ内で進退自在なピストンとを備え、少なくともその第2の領域に作動油等の流体が収容されている。第6の流路系は、第7のシリンダの第2の領域と第5の流路系とに流体連通している。この場合、調節部が、第4、第5、第6のピストンロッドを進退させる際に不足した流体を、第7のシリンダの第2の領域から、第6、第5の流路系を介して提供することで、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
以上説明したように、本発明の掘削システムによれば、先行して地盤内に挿入されて地盤を切削するケーシングと、このケーシング内に配設されて切削地盤を掴み取るハンマーグラブを制御するハンマーグラブ制御装置と、係止部をケーシングの内壁面に押し付けることでハンマーグラブ制御装置をケーシングに対して位置決め固定する係止装置と、から構成された掘削システムにおいて、ケーシングの内壁面に噛んだ状態の係止部をケーシングの内壁面から引き離すのに十分な駆動力を、簡易な改良構造のもとで得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る掘削システムを説明した模式図である。 図1の掘削システムが備えるハンマーグラブ制御装置の構成を説明した模式図である。 図2のハンマーグラブ制御装置が位置決め固定された状態を説明した模式図である。 図3の状態に続いてハンマーグラブ制御装置の位置決め固定が解除された状態を説明した模式図である。 図4の状態におけるハンマーグラブ制御装置の状態を説明した模式図である。 図5の状態に続いてハンマーグラブが開姿勢から閉姿勢へと移行した状態を説明した模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る掘削システムを説明した模式図である。
以下、図面を参照して本発明の掘削システムの実施の形態を説明する。
(掘削システムの第1の実施の形態)
図1,2は、本発明の第1の実施の形態に係る掘削システムに関し、いずれもハンマーグラブが開姿勢でケーシング内に配置された状態を説明した模式図であり、それぞれ係止装置とハンマーグラブ制御装置の構成を説明した模式図である。図3,図4は、それぞれ、図2の状態に続いて係止装置によりケーシングに対するハンマーグラブ制御装置が位置決め固定された状態、図3の状態に続いて第2のピストンロッドの引き上げが解除され、昇降部が上方に移動し、ケーシングに対するハンマーグラブ制御装置が位置決め固定が解除された状態を説明した模式図である。図5、図6は、それぞれ、図4の状態におけるハンマーグラブ制御装置の状態を説明した模式図、図5の状態に続いて昇降部がさらに上方に移動し、ハンマーグラブが開姿勢から閉姿勢へと移行した状態を説明した模式図である。なお、図示するケーシング300を回転または揺動させるオーガー等を備えたベースマシンの図示は省略しており、例えば図示する係止装置100、ハンマーグラブ制御装置200はベースマシンのブーム先端からワイヤを介して吊持されるものである。また、係止装置100、ハンマーグラブ制御装置200を構成する各種構成部材は、剛性のある鋼、鉄等の金属素材から形成される。
図示する本実施形態の掘削システム400は、その先端に切削チップ301を具備する鋼管等からなるケーシング300と、この内部に配され、自身の自由落下により切削された切削地盤を掴み取り、ケーシング300の外に排出するハンマーグラブ制御装置200と、このハンマーグラブ制御装置200をケーシング300に対して位置決め固定する係止装置100と、から大略構成される。
ここで、係止装置100の構成を詳述する。係止装置100は、ケーシング300の内壁面に押し当てられる複数の係止部101と、係止部101をケーシング300に対して進退させる進退機構102と、を備えている。
係止部101は、ケーシング300の周方向の異なる位置でケーシング300の内壁面に押し当てられるように、少なくとも2つが設けられる。係止部101の数は、複数であれば特に限定されないが、複数の係止部101がケーシング300の内周面にバランスよく押し当てられるように、ケーシング300の周方向に等間隔で配置される。本実施形態では、2つの係止部101がケーシング300の周方向に180°の間隔で配置されている。係止部101のケーシング300の内壁面に対向する面には、係止部101がケーシング300の内周面に押し当てられた際に、係止部101とケーシング300の内壁面とが滑ることを防止する滑り止めが設けられている。
進退機構102は、ハンマーグラブ制御装置200の基台201に設けられ、第1、第2、第3の駆動部110,120,130と、第1、第2の流路系140,150と、を備えている。
第1の駆動部110は、第1のシリンダ111と、第1のシリンダ111内で進退自在な第1のピストンロッド112と、を備えている。第1のピストンロッド112は、その一端が係止部101に連結されている。第1のシリンダ111は、第1のピストンロッド112によって、その内部空間が二分されている。すなわち、第1のピストンロッド112は、第1のシリンダ111内を下方の第1の領域と上方の第2の領域とに区分している。第1のシリンダ111の第1、第2の領域には、作動油等の流体が収容されている。本実施形態において、第1の駆動部110は、2つの係止部101のそれぞれに1つずつ設けられている。
第2の駆動部120は、第2のシリンダ121と、第2のシリンダ121内で進退自在な第2のピストンロッド122と、を備えている。第2のシリンダ121は、第2のピストンロッド122により、その内部空間が二分されている。すなわち、第2のピストンロッド122は、第2のシリンダ121内を、上方の第1の領域と、下方の第2の領域と、に区分している。第2のシリンダ121の第1、第2の領域には、作動油等の流体が収容されている。ここで、第2の駆動部120の具備する第2のピストンロッド122は、たとえばケーシング300の上方から第1のワイヤW1を介して吊り上げられるようになっている。この第1のワイヤW1は、地上の油圧ポンプや油圧モータ等の駆動源にて上方に引き込まれるようになっていて、第1のワイヤW1の引き込みに同期して第2のピストンロッド122が引き上げられ、第2のシリンダ121内を上方に摺動するようになっている。
第3の駆動部130は、第3のシリンダ131と、第3のシリンダ131内で進退自在な第3のピストンロッド132と、を備えている。第3のシリンダ131は、第3のピストンロッド132により、その内部空間が二分されている。すなわち、第3のピストンロッド132は、第3のシリンダ131内を、下方の第1の領域と、上方の第2の領域と、に区分している。第3のシリンダ131の第1、第2の領域には、作動油等の流体が収容されている。また、第3のピストンロッド132は、後述するハンマーグラブ制御装置200の昇降部280に連結され、昇降部280を介して第2のワイヤによって吊り上げられるようになっている。第2のワイヤW2は第1のワイヤW1と同様に、地上の油圧ポンプや油圧モータ等の駆動源にて上方に引き込まれるようになっていて、第2のワイヤW2の引き込みに同期して第3のピストンロッド132が引き上げられ、第3のシリンダ131内を上方に摺動するようになっている。
第1の流路系140は、第1、第2のシリンダ111,121のそれぞれの第1の領域を流体連通しており、第2の流路系150は、第1、第3のシリンダ111,131のそれぞれの第2の領域を流体連通している。また、本実施形態の進退機構102は、第3のシリンダ131の第1の領域と、第2のシリンダ121の第2の領域と、を流体連通する第3の流路系160を備えている。
また、本実施形態の進退機構102は、リンク部170を具備したリンク構造を有している。リンク部170は、ハンマーグラブ制御装置200の基台201と、第1のピストンロッド112とに、それぞれ回動自在に固定されている。より具体的には、リンク部170は平行に配置された第1、第2のリンク171,172を備えている。第1、第2のリンク171,172は、これらの一端がそれぞれハンマーグラブ制御装置200の基台201に回動自在に装着されると共に、これらの他端がそれぞれ係止部101に回動自在に装着されている。また、第1のリンク171は、第1のピストンロッド112に回動自在に装着されている。なお、第2のリンク172は省略することも可能である。
第1の駆動部110は、第1のシリンダ111を介してハンマーグラブ制御装置200の基台201に回動自在に装着され、第1のピストンロッド112を介してリンク部170の第1のリンク171に回動自在に装着されている。これにより、第1のリンク171、第1のピストンロッド112共通の回転軸と、基台201上の第1のリンク171の回転軸と、基台201上の第1のシリンダ111の回転軸とを結ぶ三角形が形成される。これにより、進退機構102は、係止部101をケーシング300の内壁面に対して進退させるリンク機構を構成している。
次に、ハンマーグラブ制御装置200の構成を詳述する。図2に示すように、ハンマーグラブ制御装置200は、基台201の内部に第4、第5、第6の駆動部210,220,230を内蔵している。これら第4、第5の駆動部210,220は、それぞれ第4、第5のシリンダ211,221と、それぞれのシリンダ211,221内で進退自在な第4、第5のピストンロッド212,222と、から構成されている。第4、第5のピストンロッド212,222の先端には、それぞれ第1、第2のシェル291,292が回動自在に装着され、ハンマーグラブ290を構成している。なお、これら2つのシェル291,292は、それらの一端が第4、第5のピストンロッド212,222に装着され、それらの他端が枢動固定部293に回動自在に固定されており、これが回動支点を形成している。
基台201内にはさらに別途の第6の駆動部230と、第4、第5の流路系240,250とが内蔵されており、第6の駆動部230と第4、第5の駆動部210,220との間で作動油等の流体の授受が実行され、各駆動部210,220,230のピストンロッド212,222,232が駆動される。
より具体的には、第4、第5、第6のシリンダ211,221,231は、それぞれ固有のピストンロッド212,222,232でそれらの内部空間が二分され、それぞれに固有の第1の領域と第2の領域とを有している。第4、第5、第6のシリンダ211,221,231の第1、第2の領域には作動油等の流体が収容されている。そして、各駆動部210,220,230の第1の領域同士が第4の流路系240で流体連通され、各駆動部210,220,230の第2の領域同士が第5の流路系250で流体連通されている。
基台201には、昇降部280が昇降自在に装着されている。昇降部280は、第6のピストンロッド232が昇降する昇降空間282を備えている。第6のピストンロッド232の一端には係合材233が装着され、これが昇降部280の本体281の内部に画成された昇降空間282内で昇降自在に収容されている。また、昇降部280の本体281には、図1に示すように、第3のピストンロッド132の一端が連結され、第3のピストンロッド132が昇降部280と共に昇降するようになっている。
図2に示すように、本実施形態のハンマーグラブ制御装置200は、調整部270と第6の流路系260をさらに備えている。
調整部270は、第7のシリンダ271と、第7のシリンダ271内を第1、第2の領域に区分すると共に第7のシリンダ271内で進退自在なピストン272とを備えている。第7のシリンダ271の第2の領域には作動油等の流体が収容されている。第7のシリンダ271の第1の領域には、例えば1MPa程度に圧力調整された圧力エア(圧縮エア)が収容されている。第6の流路系260は、第7のシリンダ271の第2の領域と第5の流路系250を流体連通している。
次に、図1から図7の順に、掘削システム400の一連の作動態様を説明する。図1、2では、不図示の地盤内にケーシング300が挿入され、ハンマーグラブ制御装置200を構成する開姿勢のハンマーグラブ290をなす2つのシェルが地盤内に食い込んでいる。この状態においては、係止装置100の係止部101は、ケーシング300の内壁面に押し付けられていない。また、第6のピストンロッド232の一端に装着された係合材233は、昇降空間282の下端に係合されていない。
係止装置100の具備する進退機構102の第2の駆動部120の第2のピストンロッド122に連結された第1のワイヤW1を上方に引き込み力:P1で引っ張ると、第2のピストンロッド122は第2のシリンダ121内を上方に摺動する(Y1方向)。第2のピストンロッド122が上方に摺動する際にピストンから作用する圧力により、第2のシリンダ121の上方の空間である第1の領域内に収容された作動油が、第1の流路系140を介して第1のシリンダ111の下方の空間である第1の領域へ押出される(G1方向)。
第1のシリンダ111の第1の領域に流入した作動油の流体圧により、第1のピストンロッド112が押し込まれ(Y2方向)、この押し込み力によりリンク部170および第1の駆動部110が回動する(Z1方向およびZ2方向)。これにより、第1のリンク171と第1のピストンロッド112がなす角の角度が小さくなり、係止部101がケーシング300の内壁面に向かって前進する(X1方向)。そして、図3に示すように、係止部101がケーシング300の内壁面に押し当てられ、ケーシング300の内壁面に噛んだ状態になる。これにより、ハンマーグラブ制御装置200は、係止装置100によってケーシング300に対して位置決め固定された状態になる。
また、図1に示すように、第1のシリンダ111の第1の領域に流入した作動油の流体圧により、第1のピストンロッド112が押し込まれる際には(Y2方向)、第1のシリンダ111の第2の領域から作動油が押出され、第2の流路系150を介して第3のシリンダ131の第2の領域に提供される(G2方向)。さらに、第3のシリンダ131の第1の領域から押出された作動油は、第3の流路系160を介して第2のシリンダ121の第2の領域に流入する(G3方向)。これにより、第1、第2のピストンロッド112,122の摺動が助成され、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
本実施形態では、上述のように、進退機構102がリンク部170を備えたリンク機構を有している。そのため、係止部101は第1のピストンロッド112の進退方向(Y2方向)と交差する方向(X1方向)に進退する。また、リンク部170によって係止部101が移動することのできる範囲を限定し、係止部101が必要以上にケーシング300の内壁面に食い込むことを防止することができる。すなわち、複雑な制御を必要とすることなく、簡易な構造でケーシング300の内壁面に対する係止部101の押し当てを最適化することが可能になる。
図3に示すように、係止装置100によるハンマーグラブ制御装置200のケーシング300に対する位置決め固定が完了したら、ケーシング300を回転させ、ケーシング300の先端の切削チップ301により地盤を掘削する。その際、ケーシング300と共に開姿勢のハンマーグラブ290を回転させて地盤を掘削し、ハンマーグラブ290を地盤内に食い込ませる。その後、第2の駆動部120の第2のピストンロッド122に連結された第1のワイヤW1を緩め、ハンマーグラブ制御装置200の位置決め固定を解除する。これにより、第2のピストンロッド122に第1のワイヤW1の自重:Fが作用して、第2のピストンロッド122を押し下げる力が働く。しかし、この力:Fによっては、ケーシング300の内壁面に噛んだ状態の係止部101をケーシング300の内壁面から引き離すだけの駆動力を、第1の駆動部110の第1のピストンロッド112に作用させることは困難である。
そこで、本掘削システム400を構成する係止装置100の進退機構102は、第3の駆動部130を具備している。第2のワイヤW2を上方に引き込み力:P2で引っ張ると、ハンマーグラブ制御装置200の昇降部280が上方に移動し(Y3方向)、昇降部280に連結された第3の駆動部130の第3のピストンロッド132が第3のシリンダ131内を上方に摺動する(Y4方向)。第3のピストンロッド132が上方に摺動する際にピストンから作用する圧力により、第3のシリンダ131の上方の空間である第2の領域内に収容された作動油が、第2の流路系150を介して第1のシリンダ111の上方の空間である第2の領域へ押出される(G4方向)。
第1のシリンダ111の第2の領域に流入した作動油の流体圧により、第1のピストンロッド112が押し込まれ(Y5方向)、この押し込み力によりリンク部170および第1の駆動部110が回動する(Z3方向およびZ4方向)。これにより、第1のリンク171と第1のピストンロッド112がなす角の角度が大きくなって、係止部101がケーシング300の内壁面から離れる方向に後退する(X2方向)。そして、図4に示すように、係止部101がケーシング300の内壁面から引き離される。これにより、ハンマーグラブ制御装置200は、係止装置100によってケーシング300に対して位置決め固定された状態が解除される。
したがって、本実施形態によれば、ケーシング300の内壁面に噛んだ状態の係止部101を、ケーシング300の内壁面から引き離すのに十分な駆動力を、簡易な構造の進退機構102のもとで得ることができる。
また、図3に示すように、第1のシリンダ111の第2の領域に流入した作動油の流体圧により、第1のピストンロッド112が押し込まれる際には(Y5方向)、第1のシリンダ111の第1の領域から作動油が押出され、第1の流路系140を介して第2のシリンダ121の第1の領域に提供される(G5方向)。さらに、第2のシリンダ121の第2の領域から押出された作動油は、第3の流路系160を介して第3のシリンダ131の第1の領域に提供される(G6方向)。これにより、第1、第3のピストンロッド112,132の摺動が助成され、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
また、ハンマーグラブ制御装置200の昇降部280が上方に移動(Y3方向)することで、第6の駆動部230の第6のピストンロッド232の一端に装着された係合材233が、昇降部280の昇降空間282を相対的に下降する。そのため、図4に示すように、ハンマーグラブ制御装置200の位置決め固定が解除されるのと同期して、係合材233が昇降空間282の下端に係止された状態になる。この状態で、図5に示すように、第2のワイヤW2を上方に引き込み力:P3で引っ張ると、ハンマーグラブ制御装置200の昇降部280がさらに上方に移動し(Y6方向)、第6のピストンロッド232が第6のシリンダ内を上方に摺動する(Y7方向)。第6のピストンロッド232が上方に摺動する際にピストンから作用する圧力により、第6のシリンダの上方の空間である第1の領域内に収容された作動油が、第4の流路系240を介して第4、第5のシリンダ211,221の上方の空間である第1の領域へ押出される(G7方向)。
第4、第5のシリンダ211,221の第1の領域に流入した作動油の流体圧により、第4、第5のピストンロッド212,222が押し込まれ(Y8方向)、この押し込み力により第1、第2のシェル291,292が回動する(Z5方向およびZ6方向)。これにより、図6に示すように、第1、第2のシェル291,292が開姿勢から閉姿勢へと移行し、ハンマーグラブ290が切削地盤を掴み取る。以上により、閉姿勢のハンマーグラブ290のケーシング300からの引き上げ準備が完了する。
また、図5に示すように、第4、第5のシリンダ211,221の第1の領域に流入した作動油の流体圧により、第4、第5のピストンロッド212,222が押し込まれる際には(Y8方向)、第4、第5のシリンダ211,221の第2の領域から作動油が押出され、第5の流路系250を介して第6のシリンダ231の第2の領域に流入する(G8方向)。これにより、第6のピストンロッド232の摺動が助成され、効率的なピストンロッドの摺動に寄与する。
ここで、図5で示す第6のシリンダ231内の作動油が、第4の流路系240を介して押出され(G7方向)、図6で示す第6のシリンダ231の状態となる際の、この押出された作動油量:V1は、図5で示す状態の第4、第5のピストンロッド212,222を図6で示す状態へ移行させる際に必要となる作動油量の合計量:V2(第4、第5のシリンダ211,221に流入する作動油の合計量)よりも多くなくてはならない。そして同時に、図5で示す状態から第4、第5のピストンロッド212,222が作動油を押し出し(この押出された作動油の合計量:V3)、第5の流路系250を介して第6のシリンダ231内に作動油を流入させる(G8方向)。この合計量:V3の作動油による流入圧によって、図6に示すように第6のピストンロッド232を移動させて、第6のシリンダ231の第1の領域から作動油を押し出すためには(この押し出し量は上記するV1)、この押し出し量:V1よりも、この押し出しに要する上記作動油量の合計量V3が多いことが必要である。
したがって、V3>V1>V2の関係が成立し、この関係式を満たしてはじめて、図5に示す状態から図6へ示す状態へのピストンロッドの移動が実現され、シェル291,292の開姿勢から閉姿勢への姿勢変更制御が実現する。
そこで、図5で示す状態から図6に示す状態へピストンロッドを移動させる際には、V3とV2の差分量に相当する量の作動油を、調整部270の第7のシリンダ271の第2の領域から、第6の流路系260、第5の流路系250を介して第6のシリンダ231の第2の領域に提供する(G9方向)。
ここで、第7のシリンダ271の第1の領域には、例えば1MPa程度に圧力調整された圧力エア(圧縮エア)が収容されており、この圧力エアによる押圧力でピストン272が押し込まれ(X3方向)、第7のシリンダ271の第2の領域に収容されていた作動油が第6の流路系260に押出される。このピストン272の移動によって、第7のシリンダ271の第1の領域の体積が増加し、第1の領域に収容された圧力エアの圧力が第5、第6の流路系250,260内の圧力に相当する圧力に低減され、ピストン272が停止する。すなわち、このピストン272が停止するまでの間で、所望量の作動油が第5、第6の流路系250,260内に提供されるように、第7のシリンダ271の第1の領域の圧力エアの圧力調整が図られている。
逆に、ハンマーグラブ290が図6に示す閉状態から図5に示す開状態へ移行する姿勢制御が行われると、図6の状態において補足供給された作動油が、今度は系内で余剰分の作動油となり、第4、第5のシリンダ211,221のそれぞれの第2の領域で収容しきれなくなってしまう。この収容しきれない余剰分の作動油は、今度は、第6の流路系260を介して調整部270の第7のシリンダ271の第2の領域に送り返され、この際の圧力によってピストン272が移動し、第7のシリンダ271の第1の領域の体積が縮小され、初期の圧力状態の圧力エアに戻される。
このように、所望圧に調整された圧力エアと、制御過程で第5の流路系250内にて不足する量の作動油と、を収容する第7のシリンダ271を備えた調整部270を、第6の流路系260を介して第5の流路系250に連通させたことにより、第4、第5の駆動部210,220によって駆動される第1、第2のシェル291,292のスムースな開閉姿勢制御を保障することが可能となり、しかも、この姿勢制御に熟練した制御管理は一切必要ない。
(掘削システムの第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る掘削システムに関し、ハンマーグラブが開姿勢でケーシング内に配置された状態を説明した模式図である。
本実施形態の掘削システム400Aは、係止装置100Aの構成およびハンマーグラブ制御装置200Aの昇降部280Aの構成が上述の第1の実施の形態の掘削システム400と異なっている。掘削システム400Aのその他の構成は、第1の実施の形態の掘削システム400と共通している。掘削システム400Aにおいて、上述の第1の実施の形態の掘削システム400と共通の構成要素については、第1の実施の形態と共通の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態の掘削システム400Aは、第1の実施の形態と同様に、ケーシング300と、ハンマーグラブ制御装置200Aと、係止装置100Aと、から大略構成される。係止装置100Aは、複数の係止部101と、係止部101をケーシング300に対して進退させる第1、第2の進退機構102A,102Bを備えている。
ここで、係止装置100Aの構成を詳述する。係止部101は、ケーシング300の周方向に、たとえば90°の間隔で4つが均等に配置されている。進退機構102A,102Bは、それぞれハンマーグラブ制御装置200Aの基台201に設けられ、それぞれ第1、第2、第3の駆動部110,120,130と、第1、第2、第3の流路系140,150,160と、を備えている。各進退機構102A,102Bは、実際には2つの係止部101をそれぞれ進退させる2つの第1駆動部110を有しているが、図7においては進退機構102A,102Bのそれぞれの第1の駆動部110と係止部101を1つずつ図示し、残りの第1駆動部110と係止部101の図示を省略している。
本実施形態のハンマーグラブ制御装置200Aは、昇降部280Aの構成以外は、上述の第1の実施の形態で説明したハンマーグラブ制御装置200と同一の構成を備えている。本実施形態の昇降部280Aは、本体281Aに第1、第2の進退機構102A,102Bのそれぞれの第3の駆動部130の第3のピストンロッド132が連結される張出部283を有している点で、第1の実施の形態の昇降部280と異なっている。
本実施形態の掘削システム400Aによれば、第1の実施の形態の掘削システム400と同様の効果を得ることができる。また、複数の進退機構102A,102Bを備えているため、ハンマーグラブ制御装置200Aをケーシング300に対してより強固に位置決め固定することができる。また、いずれかの進退機構102A,102Bに不具合が発生した場合であっても、その他の進退機構によってハンマーグラブ制御装置200Aの位置決め固定を保障することができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施の形態では、第1の駆動部が複数の係止部のそれぞれに設けられている構成について説明したが、第1の駆動部は複数の係止部に対して1つが設けられる構成であってもよい。この場合、例えば、上述のリンク機構を採用し、1つの第1のピストンロッドに複数の係止部を連結するようにすればよい。
また、上述の実施の形態では、進退機構がリンク部を具備したリンク構造を有している構成について説明したが、リンク部を省略することも可能である。例えば、第1の駆動部を水平に配置し、第1のピストンロッドを水平方向に進退させることで、係止部をケーシングの内壁面に押し付けたり、ケーシングの内壁面から引き離したりしてもよい。
100、100A…係止装置、101…係止部、102、102A、102B…進退機構、110…第1の駆動部、111…第1のシリンダ、112…第1のピストンロッド、120…第2の駆動部、121…第2のシリンダ、122…第2のピストンロッド、130…第3の駆動部、131…第3のシリンダ、132…第3のピストンロッド、140…第1の流路系、150…第2の流路系、160…第3の流路系、170…リンク部、200、200A…ハンマーグラブ制御装置、201…基台、210…第4の駆動部、211…第4のシリンダ、212…第4のピストンロッド、220…第5の駆動部、221…第5のシリンダ、222…第5のピストンロッド、230…第6の駆動部、231…第6のシリンダ、232…第6のピストンロッド、240…第4の流路系、250…第5の流路系、260…第6の流路系、270…調整部、271…第7のシリンダ、272…ピストン、280、280A…昇降部、282…昇降空間、290…ハンマーグラブ、291…第1のシェル、292…第2のシェル、300…ケーシング、400、400A…掘削システム

Claims (6)

  1. 相互に開姿勢と閉姿勢を形成自在な第1、第2のシェルから構成されたハンマーグラブを備え、該ハンマーグラブの開閉を制御するハンマーグラブ制御装置と、これを収容するケーシングと、前記ハンマーグラブ制御装置を前記ケーシングに対して位置決め固定する係止装置と、からなる掘削システムにおいて、
    前記係止装置は、前記ケーシングの内壁面に押し当てられる複数の係止部と、前記ハンマーグラブ制御装置の有する基台に設けられ、前記係止部を前記ケーシングに対して進退させる進退機構と、を備え、
    前記進退機構は、第1、第2、第3の駆動部と、第1、第2の流路系と、を備え、
    第1の駆動部は、第1のシリンダと、前記係止部に連結されて第1のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第1のシリンダ内で進退自在な第1のピストンロッドと、を備え、
    第2の駆動部は、第2のシリンダと、第2のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第2のシリンダ内で進退自在な第2のピストンロッドと、を備え、
    第3の駆動部は、第3のシリンダと、第3のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に、第3のシリンダ内で進退自在な第3のピストンロッドと、を備え、
    第1の流路系は、第1、第2のシリンダのそれぞれの第1の領域を流体連通し、
    第2の流路系は、第1、第3のシリンダのそれぞれの第2の領域を流体連通し、
    前記進退機構は、第2のピストンロッドが引き上げられた際に、第2のピストンロッドが第2のシリンダ内を摺動してその第1の領域内に収容されていた流体を第1の流路系を介して第1のシリンダの第1の領域に提供し、提供された流体の流体圧によって第1のピストンロッドが押し込まれることで、前記係止部を前記ケーシングの内壁面に押し付け、これによって、前記係止装置が前記ハンマーグラブ制御装置の前記ケーシングに対する位置決め固定を保障し、
    かつ、前記進退機構は、前記ハンマーグラブ制御装置が位置決め固定された状態から、第2のピストンロッドの引き上げが解除され、第3のピストンロッドが引き上げられた際に、第3のピストンロッドが第3のシリンダ内を摺動してその第2の領域に収容されていた流体を第2の流路系を介して第1のシリンダの第2の領域に提供し、提供された流体の流体圧によって第1のピストンロッドが押し込まれることで、前記係止部を前記ケーシングの内壁面から引き離し、これによって、前記係止装置が前記ハンマーグラブ制御装置の前記ケーシングに対する位置決め固定の解除を保障する、掘削システム。
  2. 前記進退機構は、
    第1の駆動部が第1のシリンダを介して前記基台に回動自在に装着され、
    第1のピストンロッドと前記基台とに回動自在に装着されるリンク部をさらに備え、
    第1のピストンロッドが前記流体圧により押し込まれることで、第1の駆動部と前記リンク部とを回動させ、前記係止部を第1のピストンロッドの進退方向と交差する方向に進退させる、請求項1に記載の掘削システム。
  3. 前記進退機構は、
    第3のシリンダの第1の領域と、第2のシリンダの第2の領域と、を流体連通する第3の流路系をさらに備え、
    第2のシリンダの第1の領域内に収容されていた流体が第1の流路系を介して第1のシリンダの第1の領域に提供される際に、第3のシリンダの第1の領域に収容されていた流体が第3の流路系を介して第2のシリンダの第2の領域に提供され、提供された流体の流体圧によって第2のピストンロッドの摺動を助成するようになっている、請求項1または請求項2に記載の掘削システム。
  4. 前記ハンマーグラブ制御装置は、第4、第5、第6の駆動部と、第4、第5の流路系と、前記基台に昇降自在に装着された昇降部と、をさらに備え、
    第4の駆動部は、第4のシリンダと、第1のシェルに回動自在に装着されて第4のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第4のシリンダ内で進退自在な第4のピストンロッドと、を備え、
    第5の駆動部は、第5のシリンダと、第2のシェルに回動自在に装着されて第5のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第5のシリンダ内で進退自在な第5のピストンロッドと、を備え、
    第6の駆動部は、第6のシリンダと、第6のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第6のシリンダ内で進退自在な第6のピストンロッドと、を備え、
    第4の流路系は、第4、第5、第6のシリンダそれぞれの第1の領域を流体連通し、
    第5の流路系は、第4、第5、第6のシリンダそれぞれの第2の領域を流体連通し、
    前記昇降部は、第6のピストンロッドが昇降する昇降空間を備え、第3のピストンロッドの一端に連結され、
    前記ハンマーグラブ制御装置は、その位置決め固定がされた状態で前記係止装置の第2のピストンロッドの引き上げが解除され、前記昇降部が引き上げられた際に、第3のピストンロッドが引き上げられてその位置決め固定の解除が保障されると共に第6のピストンロッドが前記昇降空間を下降して前記昇降空間の下端に係止され、
    前記昇降部がさらに引き上げられることで、第6のピストンロッドが引き上げられて第6のシリンダ内を摺動してその第1の領域内に収容されていた流体を第4の流路系を介して第4、第5のシリンダの第1の領域に提供し、提供された流体圧によって第4、第5のピストンロッドが押し出されることで、第1、第2のシェルの開姿勢から閉姿勢への姿勢制御を実行する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の掘削システム。
  5. 前記ハンマーグラブ制御装置は、調整部と、第6の流路系とをさらに備え、
    前記調整部は、第7のシリンダと、第7のシリンダ内を第1、第2の領域に区分すると共に第7のシリンダ内で進退自在なピストンとを備え、少なくともその第2の領域に流体が収容され、
    第6の流路系は、第7のシリンダの第2の領域と第5の流路系とに流体連通し、
    前記調節部は、第4、第5、第6のピストンロッドを進退させる際に不足した流体を、第7のシリンダの第2の領域から、第6、第5の流路系を介して提供する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の掘削システム。
  6. 前記流体は作動油であり、前記シリンダは油圧シリンダである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の掘削システム。
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