JP5892331B2 - 潤滑特性と耐摩耗性にすぐれた表面被覆ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、ドリル本体の先端部外周に切屑排出溝が形成されるとともに、この切屑排出溝のドリル回転方向を向く内周面の先端に切刃が設けられ、主として金属材よりなる加工物に穴あけ加工をするのに用いられる長期間に亘りすぐれた潤滑特性と耐摩耗性を維持する表面被覆ドリルに関するものである。
このようなドリルとしては、軸線を中心として該軸線回りにドリル回転方向に回転される概略円柱状のドリル本体の先端側が切刃部とされ、この切刃部の外周に一対の切屑排出溝が、軸線に関して互いに対称となるように、該切刃部の先端面、すなわちドリル本体の先端逃げ面から後端側に向かうに従い軸線回りにドリル回転方向の後方側に捩れる螺旋状に形成され、これらの切屑排出溝の内周面のうちドリル回転方向を向く部分の先端側の前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成された、いわゆる2枚刃のソリッドドリルが知られている。従って、このようなソリッドドリルでは、前記切屑排出溝内周面のドリル回転方向を向く部分の先端側がこの切刃のすくい面となり、切刃によって生成された切屑は、このすくい面から切屑排出溝の内周面を摺接しつつ、該切屑排出溝の捩れによって後端側に送り出されて排出されることとなる。そして、さらにこのようなドリルでは、ドリル本体の耐摩耗性の向上のために種々の方法が採用されている。
例えば、特許文献1においては、厚さ方向にAl最高含有点(Ti最低含有点)とAl最低含有点(Ti最高含有点)とが交互に所定間隔をおいて繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点からAl最低含有点、前記Al最低含有点からAl最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有する硬質被覆層を形成することによって、耐摩耗性を向上させた表面被覆ドリルが開示されている。
また、特許文献2においては、硬質被覆層を切刃の外周端から後端側に向けて切刃の外径Dに対して3×D以内の長さMの範囲までに被覆したことによって、切屑詰まりの発生を防いで折損等の生じることのない表面被覆ドリルが開示されている。
また、特許文献3においては、切屑排出溝の内周面には硬質被覆層を被覆した後にポリッシュ加工を施したことによって、切屑詰まりの発生を防いで折損等の生じることのない表面被覆ドリルが開示されている。
また、特許文献4においては、基材表面に最外層と内層とからなる被覆層を備え、最外層は、窒化アルミニウム又は炭窒化アルミニウムからなり、最外層中に塩素を0超0.5原子%以下含有することによって、すぐれた潤滑性を有して使用寿命が長い表面被覆ドリルが開示されている。
また、特許文献5においては、最表層がCrOy(原子比で0.3≦y≦1.5)で構成され、その膜厚が0.01〜2.0μmである硬質被覆層を備えたことにより耐凝着性又は耐溶着性を向上させた表面被覆ドリルが開示されている。
また、特許文献6においては、工具基体の表面に、0.8〜5.0μmの層厚のCrとAlの複合窒化物からなる硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、該硬質被覆層は、CrとAlの複合窒化物の粒状晶組織からなる薄層Aと柱状晶組織からなる薄層Bとの交互積層構造として構成され、薄層Aおよび薄層Bはそれぞれ0.1〜2μmの層厚を有し、さらに、上記薄層Aを構成する粒状晶の平均結晶粒径は30nm以下、また、上記薄層Bを構成する柱状晶の平均結晶粒径は50〜500nmであることを特徴とする表面被覆切削工具、および上記CrとAlの複合窒化物は、組成式:(Cr1−XAl)Nで表した場合に、0.55≦X≦0.75(但し、Xは原子比)を満足する表面被覆工具が開示されている。
特開2003−326402号公報 特開2003−275909号公報 特開2003−275910号公報 特開2005−297144号公報 特開平8−132310号公報 特開2010−94744号公報
近年のドリル加工装置の自動化はめざましく、加えてドリル加工に対する省力化、省エネ化、低コスト化さらに効率化の要求も強く、これに伴い、高送り、高切り込みなどより高効率の深穴用ドリル加工が要求される傾向にあるが、前記従来表面被覆ドリルにおいては、各種の鋼や鋳鉄を通常条件下でドリル加工した場合に特段の問題は生じないが、潤滑特性と耐摩耗性が必要とされるとともに切屑がドリルの切屑排出溝につまり易い、湿式高速の深穴用ドリル加工に用いた場合には、切屑排出溝に切屑がつまり易く、これが原因で、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者らは、前述のような観点から、湿式高速の深穴用ドリル加工に用いられた場合にも長期間に亘りすぐれた潤滑特性と耐摩耗性を維持する表面被覆ドリルを提供すべく、ドリルの最表面層に粒径組成制御層として(Cr1−xAl)Nの成分系からなる層厚0.3〜5μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ドリルの粒径組成制御層の構造に着目し鋭意研究を行った結果、次のような知見を得た。
(a)ドリルのマージン部の粒径組成制御層の膜断面でのAlの含有比率xが、xの値が0.1から0.6の範囲に存在し、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域とxの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が、前記粒径組成制御層の中に各々少なくとも一層以上含まれ、かつ
(b)Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが1〜5であり、
(c)Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが10〜70である場合、このような硬質被覆層を備えた表面被覆ドリルは、従来の表面被覆ドリルに比して、湿式高速の深穴加工において、すぐれた潤滑特性・耐摩耗性および耐チッピング性を示すことを見出した。
さらに、Cr高含有領域の平均層厚XCrが30〜200nmの範囲に存在し、かつ、Al高含有領域の平均層厚XAlが30〜200nmの範囲に存在し、かつ、ドリルマージン部におけるXCrがドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、ドリルマージン部におけるXAlが、ドリル先端から、ドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少するように構成した場合、潤滑特性、耐摩耗性および耐チッピング性が一層向上することを見出した。
前述したような硬質被覆層は、図1の概略説明図に示される物理蒸着装置の1種である圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置にドリル基体を装着し、
ドリル基体温度:400〜430℃、
蒸発源1:金属Cr、
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜11kW、
蒸発源2:金属Al、
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:7〜8kW、
反応ガス流量:窒素(N)ガス 80〜100sccm、
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 30〜35sccm、
ドリル基体に印加する直流バイアス電圧:−15〜−10V、
という特定の条件下で、かつ、ドリル基体の先端を回転中心に向けた方向で固定し、回転軸をハース積載面の法線から0度または35〜55度傾けて設置し、公転するドリル基体が通過する円周とCrのハースの距離が、公転するドリル基体が通過する円周とAlのハースの距離よりも短い、すなわち、相対的に空間中のCr量が高い領域では速い成膜速度、相対的にAl量が高い領域では遅い成膜速度となるよう調整された状態で、かつ、XCrおよびXAlの目標層厚に応じて、その公転速度が、Crのハースに最も接近する位置で最大、Alのハースに最も接近する位置で最小となる、三角波形状の速度制御パターンとすることによって、形成することができる。この結果形成された硬質被覆層を備えた表面被覆ドリルは、従来の表面被覆ドリルに比して、湿式高速の深穴加工において、すぐれた潤滑特性および耐摩耗性を示すことを見出した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 超硬合金焼結体あるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、直接または中間層を介し、最表面に粒径組成制御層として(Cr1−xAl)Nの成分系からなる層厚0.3〜5.0μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ドリルにおいて、
(a)前記ドリルのマージン部の粒径組成制御層の膜断面でのAlの含有比率xの値が、0.1以上0.6以下の範囲に存在し、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域と、xの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が、前記粒径組成制御層の中に各々少なくとも一層以上含まれ、かつ、
(b)前記Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが、1〜5であり、かつ、
(c)前記Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが、10〜70であること特徴とする長期に亘り高い耐摩耗性を維持する表面被覆ドリル。
(2) 前記Cr高含有領域の平均層厚XCrが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、前記Al高含有領域の平均層厚XAlが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、ドリルマージン部におけるXCrが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、ドリルマージン部におけるXAlが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少することを特徴とする(1)に記載の表面被覆ドリル。」
に特徴を有するものである。
本発明について、以下に説明する。
本発明の表面被覆ドリルのドリル基体の上に、直接または、中間層を介して、(Cr1−xAl)Nの成分系からなる層厚0.3〜5.0μmの硬質被覆層を形成する。ここで、硬質被覆層の層厚が0.3μm未満では、所望の耐摩耗性が維持できず、一方、5μmを超えると皮膜のチッピングなどが生じる。したがって、硬質被覆層の層厚は0.3〜5.0μmと定めた。
また、硬質被覆層の組成(Cr1−xAl)Nにおいて、Alの含有比率xの値が、0.1未満ではAlの耐摩耗性が十分でなく、0.6を超えると六方晶組織へと変化するためNaCl型結晶が持つ強度を維持できない。したがって、Alの含有比率xの値は0.1〜0.6と定めた。
また、Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aの値は、5を超えると粒状組織が持つ安定的な切削性能が実現できない。一方、平均アスペクト比Aの値は、個々の結晶粒の長辺を短辺で除した値の平均値であるため、1未満にはならない。したがって、平均アスペクト比Aの値は、1〜5と定めた。
また、Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bの値は、10未満では、柱状組織が持つ耐摩耗性が実現できない。一方、平均アスペクト比Bの値は、70を超えるとせん断力に対する抗折力が維持できない。したがって、アスペクト比Bの値は、10〜70と定めた。
Cr高含有領域の平均層厚XCrおよびAl高含有領域の平均層厚XAlの値は、30nmを下回るとそれぞれが持つ潤滑特性および耐摩耗性が発揮できない。一方、XCrが200nmを超えると、Al高含有領域に比べて耐摩耗性の劣るCr高含有領域の割合が相対的に大きくなり、Cr高含有領域中での破壊が生じやすくなるために所望の工具性能を維持できず、また、XAlが200nmを超えると、Al高含有領域に導入された圧縮応力の積算値が大きくなりすぎ、皮膜のチッピングの原因となる。したがって、XCrおよびXAlの値は、30〜200nmと定めた。
なお、本発明でいう「アスペクト比」とは、個々の結晶粒の測定された最大径を示す線分である長辺の値を、長辺に対して垂直方向の最大径を示す短辺の値で除した値である。また、平均アスペクト比は、測定した5つの結晶粒のアスペクト比の平均値である。
また、「ドリル先端から、ドリル外径の5倍の距離までの領域」とは、ドリルの中心軸と平行にドリル切れ刃部先端を起点に後方すなわちシャンクの方向へ計測して、ドリルの中心軸に垂直な平面内の最大直径の5倍の長さまでの領域をいう。
また、同一の測定領域に、膜厚方向に複数のCr高含有領域、あるいは複数のAl高含有領域が存在する場合は、それぞれの平均値をXCr、XAlとする。
本発明の表面被覆ドリルは、超硬合金焼結体あるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、直接または中間層を介し、最表面に粒径組成制御層として(Cr1−xAl)Nの成分系からなる層厚0.3〜5.0μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ドリルにおいて、(a)前記ドリルのマージン部の粒径組成制御層の膜断面でのAlの含有比率xの値が、0.1以上0.6以下の範囲に存在し、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域と、xの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が存在し、かつ、(b)前記Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが、1〜5であり、かつ、(c)前記Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが、10〜70であることによって、長期に亘り高い潤滑特性、耐チッピング性および耐摩耗性を維持する表面被覆ドリルに特徴を有するものである。
さらに、Cr高含有領域の平均層厚XCrが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、Al高含有領域の平均層厚XAlが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、ドリルマージン部におけるXCrが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、ドリルマージン部におけるXAlが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少するように形成することによって、耐摩耗性をより一層向上させることができる。
すなわち、一般的な深穴加工において、力学的負荷が高くまた同時に高い耐熱性が要求される先端部においては、高いAl含有比率を有するAl高含有領域をCr高含有領域に対して大きい割合で、柱状組織にて構成することにより、長期に亘り高い耐摩耗性を維持する。一方、力学的負荷よりも滑り特性や安定的な摩耗形態が要求される切屑排出溝やドリル後方のマージン部においては、CrNのもつ潤滑特性をさらに生かすために高いCr含有比率を有するCr高含有領域を、アスペクト比の低い粒状組織で構成することにより、最低限の耐摩耗性を維持したまま長期に亘り高い潤滑特性を維持することができる。また同時に、それらの領域が膜厚方向に層状に積層されていることで、主として柱状組織で構成されるAl高含有領域において発生した膜厚方向へ進展するクラックの進展方向がCr高含有領域の微細粒状組織により分散され、皮膜の耐衝撃性を向上させることが出来る。
さらに、XCrが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、XAlが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少することで、耐摩耗性が要求される先端部近傍から、潤滑特性が要求される工具後方にかけて、両者の効果をバランスよく発現し、更に工具寿命を延長することが出来る。
さらに、本発明によれば、膜厚方向へ組成比率とアスペクト比が連続的に変化する、あるいは、ドリル軸方向へXAl、XCrが漸次変化することで、ブラスト後処理やマスキングによる、不連続的に処理がなされた従来技術よりもきわめて安定的な切削を実現し、長寿命化を実現するものである。一般的な製造方法によれば、Alの含有比率xを変化させたとしても、粒状組織・柱状組織はAlの含有比率xにより被支配的に変化するものではないが、本製法によれば、基体回転機構およびCr蒸発源、Al蒸発源を極めて特異な配置とし、特定の成膜速度分布および、成膜時の基体表面におけるCrイオンやAlイオンの特定の密度分布を実現することで、本発明の表面被覆ドリルを制御可能な状態で製造することが出来るものである。
本発明の表面被覆ドリルの硬質被覆層(粒径組成制御層)を蒸着形成するための圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置の概略図を示す。 本発明の表面被覆ドリルの硬質被覆層(粒径組成制御層)の断面模式図を示す。 従来被覆ドリルを蒸着形成するためのアークイオンプレーティング装置の概略図を表す。
つぎに、本発明の表面被覆ドリルを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、平均粒径0.8μmのWC粉末、同2.3μmのCr粉末、同1.5μmのVC粉末および同1.8μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の各種の圧粉体にプレス成形し、これらの圧粉体を、6Paの真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この温度に1時間保持後、炉冷の条件で焼結して、ドリル基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の丸棒焼結体から、研削加工にて、溝形成部の直径×長さが10mm×80mmの寸法、並びにねじれ角30度の2枚刃形状をもったWC基超硬合金製のドリル基体D−1〜D−4をそれぞれ製造した。
ついで、これらのドリル基体D−1〜D−4の切刃に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1の概略図に示される物理蒸着装置の1種である圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置に装着し、
ドリル基体温度:400〜430℃、
蒸発源1:金属Cr、
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜11kW、
蒸発源2:金属Al、
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:7〜8kW、
反応ガス流量:窒素(N)ガス 80〜100sccm、
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 30〜35sccm、
ドリル基体に印加する直流バイアス電圧:−15〜−10V、
という表2に示される特定の条件下、ドリル基体の先端を回転中心に向けた方向で固定し、本発明被覆ドリル1〜15については公転回転軸をハース積載面の法線から0度、本発明被覆ドリル16〜30については35〜55度傾けて回転させ、回転速度が、Crのハースに最も接近する位置で最大、Alのハースに最も接近する位置で最小となる三角波形状の速度制御パターンとして反応性蒸着をして、表2に示される組成、および表4、5に示される目標層厚、平均アスペクト比を有する粒径組成制御層を形成した本発明表面被覆ドリル1〜30をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、前記ドリル基体D−1〜D−4の表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図3に示される、Cr−Al合金をターゲットとして取り付けたアークイオンプレーティング装置内にドリル基体を垂直方向に固定した状態で保持し自転させると同時に、該鉛直方向の軸を回転中心軸として公転させながら、
ドリル基体温度:410〜420℃、
ターゲット1:Cr−Al合金、
ターゲット1に対するアーク放電電流:80〜140A、
ターゲット2:Cr−Al合金、
ターゲット2に対するアーク放電電流:60〜120A、
反応ガス圧力:窒素(N)ガス 6〜10Pa、
ドリル基体に印加する直流バイアス電圧:−25〜−5V、
という条件のもと、従来被覆層を蒸着形成して、ドリル基体D−1〜D−4の表面に、表3に示される組成、および、表6に示される目標層厚、平均アスペクト比を有する従来層を形成した比較表面被覆ドリル1〜8をそれぞれ製造した。
つぎに、前記本発明表面被覆ドリル1〜30および比較表面被覆ドリル1〜8について、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:80mmのJIS・SC55(HB260)の板材、
切削速度:130m/min.、
送り:0.30mm/rev.、
穴深さ:50mm、
の条件での合金鋼の湿式高速深穴あけ切削加工試験(通常の、加工穴深さ5Dの切削速度および送りは、それぞれ、110m/min.および0.20mm/rev.)、
を行い、先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまで、若しくは工具の欠損に至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表4、5、6にそれぞれ示した。

この結果得られた本発明表面被覆ドリル1〜30の硬質被覆層を構成する粒径組成制御層、さらに、比較表面被覆ドリル1〜8の硬質被覆層を構成する従来層の平均層厚を、走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均値(5ヶ所の平均値)を示した。
さらに、本発明表面被覆ドリル1〜30、比較表面被覆ドリル1〜8を集束イオンビーム加工装置により、層厚方向に
高さ:層厚の2倍相当 × 幅:5μm × 厚さ:100nm
の薄片に加工した後、透過型電子顕微鏡を用いて、観察加速電圧200kVの条件のもと、本発明表面被覆ドリル1〜30の硬質被覆層を構成する粒径組成制御層、比較表面被覆ドリル1〜8の硬質被覆層を構成する従来層の粒径組織を観測したのち、薄片の幅方向における中心線とドリル基体の交差点から、ドリル基体に略垂直に皮膜の表面の方向へ向かって、10nmの間隔で組成を測定し、各点での組成が表2、3に示す目標組成範囲と実質的に同じ組成範囲を有していることを確認するとともに、さらに、Alの含有比率xが0.1以上0.2以下となるCr高含有領域の平均層厚XCrおよび、Cr高含有領域に含まれる(Cr1−xAl)Nの成分系からなる個々の結晶粒の長辺および短辺を測定し、平均アスペクト比Aを算出し、同じく、Alの含有比率xが0.3以上0.6以下となるAl高含有領域の平均層厚XAlおよび、Al高含有領域に含まれる(Cr1−xAl)Nの成分系からなる個々の結晶粒の長辺および短辺を測定し、平均アスペクト比Bを算出し、それぞれの結果を表4、5、6に示した。なお、ここで言う長辺とは結晶粒中の最大の長さを示す線分の長さを表し、短辺とは、長辺に垂直な線分のうち最大の長さもつ線分の長さを表し、アスペクト比とは前記長辺を前記短辺で除した値である。
表2、4、5に示される結果から、本発明表面被覆ドリルは、最表面に(Cr1−xAl)Nの成分系からなる粒径組成制御層が形成されており、その平均層厚が0.3〜5μmであり、ドリルのマージン部の粒径組成制御層の膜断面でのAlの含有比率xが、0.1〜0.6の範囲に存在し、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域とxの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が存在し、かつ、Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが、1〜5であり、かつ、Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが、10〜70であることにより、長期に亘りすぐれた潤滑特性と耐摩耗性を維持する表面被覆ドリルが得られることが明らかである。
また、Cr高含有領域の平均層厚XCrが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、Al高含有領域の平均層厚XAlが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、ドリルマージン部におけるXCrが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、ドリルマージン部におけるXAlが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少していることにより、さらに一層、長期に亘りすぐれた潤滑特性と耐摩耗性を維持する表面被覆ドリルが得られることが明らかである。
これに対して、表3、6に示される結果から、硬質被覆層のCrとAlそれぞれの高含有領域がない、あるいは、CrとAlそれぞれの高含有領域の平均アスペクト比および平均層厚が所定の範囲内に制御されていない従来層を有する比較表面被覆ドリルにおいては、潤滑特性および耐摩耗性が十分でないために、チッピング、欠損、剥離の発生等により、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
前述のように、本発明の表面被覆ドリルは、超硬合金焼結体あるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、直接または中間層を介し、最表面に粒径組成制御層として(Cr1−xAl)Nの成分系からなる平均層厚0.3〜5.0μmの硬質被覆層が存在し、ドリルのマージン部の粒径組成制御層の膜断面でのAlの含有比率xの値が、0.1以上0.6以下の範囲に存在し、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域と、xの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が、粒径組成制御層の中に各々少なくとも一層以上含まれ、かつ、Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが1〜5であり、かつ、Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが10〜70であることにより、すぐれた潤滑特性を備えており、そして、このすぐれた潤滑特性は、湿式高速の深穴用ドリル加工条件においても、長期間に亘り高い耐摩耗性を維持するものである。

Claims (2)

  1. 超硬合金焼結体あるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、直接または中間層を介し、最表面に粒径組成制御層として(Cr1−xAl)Nの成分系からなる平均層厚0.3〜5.0μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ドリルにおいて、
    (a)前記ドリルのマージン部の粒径組成制御層のAlの含有比率xの値が、
    0.1以上0.6以下の範囲であり、xの値が0.2以下となる層状のCr高含有領域と、xの値が0.3以上となる層状のAl高含有領域が、前記粒径組成制御層の中に各々少なくとも一層以上含まれ、かつ、
    (b)前記Cr高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Aが、1〜5であり、かつ、
    (c)前記Al高含有領域における結晶粒の平均アスペクト比Bが、10〜70であること特徴とする長期に亘り高い耐摩耗性を維持する表面被覆ドリル。
  2. 前記Cr高含有領域の平均層厚XCrが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、前記Al高含有領域の平均層厚XAlが、30〜200nmの範囲に存在し、かつ、ドリルマージン部におけるXCrが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次増加し、かつ、ドリルマージン部におけるXAlが、ドリル先端からドリル外径の5倍の距離までの領域にかけて漸次減少することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆ドリル。
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