JP5672441B2 - 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ - Google Patents
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Description
工具基体温度:400〜440℃、
蒸発源1:金属Ti
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜14kW、
蒸発源2:金属Al
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:7〜10kW、
反応ガス流量:窒素(N2)ガス 75〜100sccm
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 45〜60sccm、
ブローチ基体に印加する直流バイアス電圧:+4〜+10V、
という特定の条件下で、かつ、成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整された成膜条件で反応性蒸着形成した場合、この結果形成された硬質被覆層を備えた表面被覆ブローチは、従来の表面被覆ブローチに比して、高速・乾式の深穴加工において、すぐれた耐摩耗性および切屑排出性を示すことを見出した。
「(1) 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるブローチ基体の上に、直接または中間層を介して、最表面に粒径制御層として(Ti1−xAlx)N{x=0〜0.6}の成分系からなる層厚0.2〜5μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ブローチにおいて、
前記ブローチを構成する切れ刃のうち、先端切れ刃の硬質被覆層断面の結晶粒形状を観察したとき、前記粒径制御層を構成する結晶粒が幅10〜100nm、高さ0.2〜1.8μmの柱状晶からなり、かつ、前記ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチの先端切れ刃から後端に向けて、皮膜断面の結晶粒形状を観察した際の前記粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、1〜100の範囲で先端切れ刃における結晶粒の平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域がブローチの長さ方向に工具切れ刃部の2分の1以上の長さに亘り存在することを特徴とする、優れた耐摩耗性と高い仕上げ面精度を長期間に亘り発揮する表面被覆ブローチ。
(2)前記粒径制御層の層厚が、最もブローチ先端に近い位置から後方にかけて、0.2〜5.0μmの範囲で漸次増加することを特徴とする(1)に記載の表面被覆ブローチ。
(3)前記中間層が、Tiの窒化物または炭化物、炭窒化物、または、TiとAlからなる複合窒化物、TiとAlとSiからなる複合窒化物、CrとAlからなる複合窒化物のうち、いずれかの単層または前記硬質膜群から選ばれる複数の層構造からなる積層構造を有し、層厚5μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表面被覆ブローチ。」
に特徴を有するものである。
そして、本発明者らは、粒径制御層を蒸着形成するための数多くの試験を行った結果、圧力勾配型プラズマガンを用いて、Arプラズマを原料が入ったハースに照射して蒸発させ、基板上に皮膜を物理蒸着させる反応性蒸着法を用いて、ブローチ基体上での成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整された成膜条件で反応性蒸着を行うと、ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチ基体の先端から後端にかけて、被膜断面の結晶粒形状を観察した際、図2に示す通り、ブローチ先端部では、粒径制御層が、幅10〜100nm、高さが層厚相当となる高アスペクト比の柱状晶によって構成される一方で、例えば、ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチ後端の位置においては、粒径制御層が、幅10〜100nm、高さが層厚以下の縦長の柱状から粒状の結晶粒によって構成されており、かつ、そのアスペクト比がブローチ先端からブローチ後端に向かって、1〜100の範囲で、先端切れ刃における平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域が工具切れ刃全体の長さLの2分の1以上に亘り存在することを見出した。
また、結晶粒の「幅」とは粒径制御層を断面から観察した際に、ブローチ基材と略平行に、最表面から0.1μmの深さに引いた長さ10μmの線分が結晶粒界によって区分される、線分の両端を除いた各区分のそれぞれの長さの平均値を指す。
また、結晶粒の「高さ」とは結晶粒層を断面から観察した際に、ブローチ基材と略平行な線分に対して垂直に、0.1μmの間隔で引いた10本の、長さ膜厚相当の線分が結晶粒界によって区分される、各線分の両端を除いた区分のそれぞれの長さの平均値を指す。
また、「結晶粒のアスペクト比がブローチ先端から後端に向かって、1〜100の範囲で漸次減少する」とは、特定位置を中心として幅1mmの領域の中の任意の点において前記内容により定義された数値が、特定位置からブローチ先端方向へ少なくとも5mmを超えて離れた位置を中心として幅1mmの領域の中の任意の点において同様に定義された数値よりも小さいことを指す。すなわち、前記条件を満たすならば、例えば、前記幅1mmの領域中で複数個所測定した際の結晶粒のアスペクト比が漸次減少していなくとも、本発明の範囲を何ら外れるものではない。
また、ブローチ先端から後端にかかる粒径制御層の結晶粒アスペクト比の変化傾向を測定する際、先端切れ刃および後端切れ刃を含む、少なくとも5点以上の測定点、望ましくは、先端切れ刃および後端切れ刃を含む、等間隔に分布した10点以上の測定点を定める必要がある。
工具基体温度:400〜440℃、
蒸発源1:金属Ti
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜14kW、
蒸発源2:金属Al
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:7〜10kW、
反応ガス流量:窒素(N2)ガス 75〜100sccm、
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 45〜60sccm、
ブローチ基体に印加する直流バイアス電圧:+4〜+10V、
という特定の条件(表2)下、ブローチ基体上での成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整する目的で、ブローチ基体を、例えば、図1に示すように、ブローチ基体の先端部を水平から上方に向け、かつ、ハース載置平面の鉛直方向の軸に対して、表2に示される角度を保ったまま自転させると同時に、該鉛直方向の軸を回転中心軸として公転させながら反応性蒸着をして、表3に示される組成および組織を有する粒径制御層を形成した本発明表面被覆ブローチ1〜12をそれぞれ製造した。
被削材:外径80mm 中心穴径40mm、厚さ40mm、JIS S45Cの貫通孔あき材
引き抜き速度: 10m/min.、
寿命判断条件: 切れ刃の欠損または逃げ面摩耗幅が0.15mmを超えるまで
の条件での炭素鋼の高速内歯車穴加工試験(通常の引き抜き速度は7m/min.)
を行い、工具寿命に至るまでの加工数を測定した。この測定結果を表3、4にそれぞれ示した。
本発明表面被覆ブローチ1および2については表5、図3、図4および図5の変化グラフに示すとおり、本発明表面被覆ブローチ3〜12については図3、図4および図5の変化グラフに示すとおり、前記ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチの先端切れ刃から後端に向けて、皮膜断面の結晶粒形状を観察した際の前記粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、1〜100の範囲で、先端切れ刃における結晶粒の平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域がブローチの長さ方向に工具切れ刃部の全長の2分の1以上の長さに亘り存在しており、優れた耐摩耗性と切屑排出性が実現できていることが分かる。
Claims (3)
- 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるブローチ基体の上に、直接または中間層を介して、
最表面に粒径制御層として(Ti1−xAlx)N{x=0〜0.6}の成分系からなる層厚0.2〜5μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ブローチにおいて、
前記ブローチを構成する切れ刃のうち、先端切れ刃の硬質被覆層断面の結晶粒形状を観察したとき、前記粒径制御層を構成する結晶粒が幅10〜100nm、高さ0.2〜1.8μmの柱状晶からなり、かつ、前記ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチの先端切れ刃から後端に向けて、皮膜断面の結晶粒形状を観察した際の前記粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、1〜100の範囲で先端切れ刃における結晶粒の平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域がブローチの長さ方向に工具切れ刃部の全長の2分の1以上の長さに亘り存在することを特徴とする、優れた耐摩耗性と高い仕上げ面精度を長期間に亘り発揮する表面被覆ブローチ。 - 前記粒径制御層の層厚が、最もブローチ先端に近い位置から後方にかけて、0.2〜5.0μmの範囲で漸次増加することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆ブローチ。
- 前記中間層が、Tiの窒化物または炭化物、炭窒化物、または、TiとAlからなる複合窒化物、TiとAlとSiからなる複合窒化物、CrとAlからなる複合窒化物のうち、いずれかの単層または前記硬質膜群から選ばれる複数の層構造からなる積層構造を有し、層厚5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面被覆ブローチ。
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JP2010226352A JP5672441B2 (ja) | 2010-10-06 | 2010-10-06 | 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ |
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JP2010226352A JP5672441B2 (ja) | 2010-10-06 | 2010-10-06 | 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ |
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JP2012076210A JP2012076210A (ja) | 2012-04-19 |
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