以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
[AVシステムの構成例]
図1は、実施の形態としてのAV(Audio and Visual)システム100の構成例を示している。このAVシステム100は、ソース機器110とシンク機器120とが接続されて構成されている。ソース機器110は、例えば、ゲーム機、ディスクプレーヤ、セットトップボックス、デジタルカメラ、携帯電話などのAVソースである。シンク機器120は、例えば、テレビ受信機、プロジェクタ等である。
ソース機器110およびシンク機器120は、ケーブル200を介して接続されている。ソース機器110には、データ送信部112が接続された、コネクタを構成するレセプタクル111が設けられている。シンク機器120には、データ受信部122が接続された、コネクタを構成するレセプタクル121が設けられている。また、ケーブル200の一端にはコネクタを構成するプラグ201が設けられ、その他端にはコネクタを構成するプラグ202が設けられている。ケーブル200の一端のプラグ201はソース機器110のレセプタクル111に接続され、このケーブル200の他端のプラグ202はシンク機器120のレセプタクル121に接続されている。
ソース機器110は、制御部113を有している。この制御部113は、ソース機器110の全体を制御する。この実施の形態において、ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している。制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応し、かつシンク機器120が新HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を新HDMIの動作モードで動作するように制御する。一方、制御部113は、少なくとも、シンク機器120が現行HDMIにのみ対応していると判断する場合、あるいはケーブル200が現行HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
シンク機器120は、制御部123を有している。この制御部123は、シンク機器120の全体を制御する。この実施の形態において、シンク機器120のデータ受信部122は、現行HDMIにのみ、あるいは現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している。データ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合、制御部123は、このデータ受信部122を、ソース機器110のデータ送信部112と同じ動作モードで動作するように制御する。この場合、制御部123は、ソース機器110からCECなどのラインを通じて送られる動作モードの判断結果に基づいて、データ受信部122の動作モードを制御する。ケーブル200は、現行HDMI、あるいは新HDMIに対応している。
図1に示すAVシステム100において、図2(a)に示すように、ケーブル200が新HDMIに対応し、また、シンク機器120が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応しているとき、新HDMIでのデータ伝送が行われる。この際、ソース機器110のデータ送信部112およびシンク機器120のデータ受信部122は、新HDMIの動作モードで動作するように制御される。
また、図1に示すAVシステム100において、図2(b)〜(d)に示すように、少なくとも、ケーブル200が現行HDMIに対応しているか、あるいはシンク機器120が現行HDMIにのみ対応しているとき、現行HDMIでのデータ伝送が行われる。この際、ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIの動作モードで動作するように制御される。また、現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応しているシンク機器120のデータ受信部122は、現行HDMIの動作モードで動作するように制御される。なお、図2(b)の場合には、データ転送レートを低くするなどしてケーブル200が新HDMIのデータ伝送が可能なときには、新HDMIモードでのデータ伝送が行われることがある。
[データ送信部、データ受信部の構成例]
図3、図4は、図1のAVシステム100における、ソース機器110のデータ送信部112と、シンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。データ送信部112は、有効画像区間(「アクティブビデオ区間」ともいう)において、非圧縮の1画面分のビデオデータに対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。
ここで、有効画像区間は、一の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間及び垂直帰線区間を除いた区間である。また、データ送信部112は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくともビデオデータに付随するオーディオデータや制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。
データ受信部122は、アクティブビデオ区間において、複数のチャネルで、データ送信部122から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号を受信する。また、このデータ受信部122は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、複数のチャネルで、データ送信部112から一方向に送信されてくる、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。
データ送信部112とデータ受信部122とからなるHDMIシステムの伝送チャネルには、以下のものがある。まず、伝送チャネルとして、差動信号チャネル(TMDSチャネル、TMDSクロックチャネル)がある。ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルは、現行HDMIにおいては3チャネルであるが、新HDMIにおいては6チャネルである。
現行HDMIにおける差動信号チャネルについて説明する。図3に示すように、データ送信部112からデータ受信部122に対して、ビデオデータおよびオーディオデータを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての、3つのTMDSチャネル#0〜#2がある。また、TMDSクロックを伝送する伝送チャネルとしての、TMDSクロックチャネルがある。
データ送信部112のHDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮のビデオデータを対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、HDMIトランスミッタ81は、非圧縮のビデオデータに付随するオーディオデータ、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で、データ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
さらに、HDMIトランスミッタ81は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で送信するビデオデータに同期したTMDSクロックを、TMDSクロックチャネルで、データ送信部122に送信する。ここで、1つのTMDSチャネル#i(i=0,1,2)では、TMDSクロックの1クロックの間に、10ビットのビデオデータが送信される。
データ受信部122のHDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0,#1,#2で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号と、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。この場合、データ送信部112からTMDSクロックチャネルで送信されてくるピクセルクロック(TMDSクロック)に同期して受信する。
次に、新HDMIにおける差動信号チャネルについて説明する。図4に示すように、データ送信部112からデータ受信部122に対して、ビデオデータおよびオーディオデータを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての、6つのTMDSチャネル#0〜#5がある。なお、この新HDMIでは、TMDSクロックの伝送は省略され、受信側においては受信データからクロックを再生するセルフクロック方式が採用される。
データ送信部112のHDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮のビデオデータを対応する差動信号に変換し、6つのTMDSチャネル#0〜#5で、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、このHDMIトランスミッタ81は、非圧縮のビデオデータに付随するオーディオデータ、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、6つのTMDSチャネル#0〜#5で、データ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
データ受信部122のHDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0〜#5で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号と、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。この場合、HDMIレシーバ82は、受信データからピクセルクロックを再生し、そのピクセルクロック(TMDSクロック)に同期して受信する。
HDMIシステムの伝送チャネルには、上述のTMDSチャネル、TMDSクロックチャネルの他に、DDC(Display Data Channel)ライン、CEC(Consumer Electronics Control)ラインがある。DDCラインは、ケーブル200に含まれる図示しない2本の信号ライン、つまりSDAラインおよびSCLラインからなっている。
DDCラインでは、2本の信号ラインがI2C(Inter-Integrated Circuit)通信ラインとして用いられ、I2Cの双方向通信が行われる。そのため、データ送信部112およびデータ受信部122の双方において、2本の信号ラインにI2C通信部が接続されている。
このDDCラインは、例えば、データ送信部112が、データ受信部122から、E−EDID(Enhanced Extended Display Identification Data)を読み出すために使用される。すなわち、データ受信部122は、HDMIレシーバ82の他に、自身の能力(Configuration/capability)に関する能力情報であるE−EDIDを記憶している、EDID ROM(EEPROM)を有している。データ送信部112は、例えば、制御部113からの要求に応じて、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122から、E−EDIDを、DDCを介して読み出す。
また、このDDCラインは、著作権保護の為のHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)システムにおける機器認証および鍵交換のための情報のやり取りにも使われる。
データ送信部112は、読み出したE−EDIDを制御部113に送る。制御部113は、このE−EDIDを、図示しないフラッシュROMあるいはDRAMに格納する。制御部113は、E−EDIDに基づき、データ受信部122の能力の設定を認識できる。例えば、制御部113は、データ受信部122を有するシンク機器120が、現行HDMIの他に、新HDMIに対応しているか否か等を認識する。CECラインは、ケーブル200に含まれる図示しない1本の信号ラインからなり、データ送信部112とデータ受信部122との間で、制御用のデータの双方向通信を行うために用いられる。
また、ケーブル200には、HPD(Hot Plug Detect)と呼ばれるピンに接続されるライン(HPDライン)が含まれている。ソース機器は、このHPDラインを利用して、シンク機器の接続を検出することができる。なお、このHPDラインは双方向通信路を構成するHEAC−ラインとしても使用される。また、ケーブル200には、ソース機器からシンク機器に電源を供給するために用いられる電源ライン(+5V Power Line)が含まれている。さらに、ケーブル200には、ユーティリティラインが含まれている。このユーティリティラインは双方向通信路を構成するHEAC+ラインとしても使用される。
図5は、TMDS伝送データの構造例を示している。この図5は、TMDSチャネル#0〜#2、あるいはTMDSチャネル#0〜#5において、横×縦がBピクセル×Aラインの画像データが伝送される場合の、各種の伝送データの区間を示している。HDMIのTMDSチャネルで伝送データが伝送されるビデオフィールド(Video Field)には、伝送データの種類に応じて、3種類の区間が存在する。この3種類の区間は、ビデオデータ区間(Video Data period)、データアイランド区間(Data Island period)、およびコントロール区間(Control period)である。
ここで、ビデオフィールド区間は、ある垂直同期信号の立ち上がりエッジ(active edge)から次の垂直同期信号の立ち上がりエッジまでの区間である。このビデオフィールド区間は、水平ブランキング期間(horizontal blanking)、垂直ブランキング期間(vertical blanking)、並びに、アクティブビデオ区間(Active Video)に分けられる。このアクティブビデオ区間は、ビデオフィールド区間から、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間を除いた区間であるビデオデータ区間は、アクティブビデオ区間に割り当てられる。このビデオデータ区間では、非圧縮の1画面分の画像データを構成するBピクセル(画素)×Aライン分の有効画素(Active pixel)のデータが伝送される。
データアイランド区間およびコントロール区間は、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間に割り当てられる。このデータアイランド区間およびコントロール区間では、補助データ(Auxiliary data)が伝送される。すなわち、データアイランド区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の一部分に割り当てられている。このデータアイランド区間では、補助データのうち、制御に関係しないデータである、例えば、オーディオデータのパケット等が伝送される。コントロール区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の他の部分に割り当てられている。このコントロール区間では、補助データのうちの、制御に関係するデータである、例えば、垂直同期信号および水平同期信号、制御パケット等が伝送される。
ここで、レセプタクル111のピンアサイメントを説明する。最初に、現行HDMIのピンアサイメント(タイプA)を説明する。この現行HDMIのピンアサイメントは、第1のピンアサイメントを構成する。図6(a)は、この現行HDMIのピンアサイメントを示している。TMDSチャネル#i(i=0〜2)の差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−は、差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン(ピン番号が7,4,1のピン)はTMDS Data#i+に割り当てられ、ピン(ピン番号が9,6,3のピン)はTMDS Data#i−に割り当てられている。なお、ピン番号が8,5,2のピンは、TMDS Data#i Shield(i=0〜2)に割り当てられている。
TMDSクロックチャネルの差動信号であるTMDS Clock+とTMDS Clock−は差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン番号が10のピンはTMDS Clock+に割り当てられ、ピン番号が12のピンはTMDS Clock−に割り当てられている。なお、ピン番号が11のピンは、TMDS Clock Shieldに割り当てられている。
また、制御用のデータであるCEC信号は、CECラインにより伝送される。ピン番号が13であるピンは、CEC信号に割り当てられている。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号は、SDAラインにより伝送される。ピン番号が16であるピンは、SDA信号に割り当てられている。また、SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号は、SCLラインにより伝送される。ピン番号が15であるピンは、SCLに割り当てられている。
また、ピン番号が19であるピンは、HPD/HEAC−に割り当てられている。また、ピン番号が14であるピンは、ユーティリティ/HEAC+に割り当てられている。また、ピン番号が17であるピンは、DDC/CEC Ground/HEAC Shieldに割り当てられている。さらに、ピン番号が18であるピンは、電源(+5V Power)に割り当てられている。
次に、新HDMIのピンアサイメントを説明する。この新HDMIのピンアサイメントは、第2のピンアサイメントを構成する。図6(b)は、この新HDMIのピンアサイメントを示している。TMDSチャネル#i(i=0〜5)の差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−は、差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン(ピン番号が1,4,7,10,2,8のピン)はTMDS Data#i+に割り当てられ、ピン(ピン番号が3,6,9,12,5,11のピン)はTMDS Data#i−に割り当てられている。
また、制御用のデータであるCEC信号は、CECラインにより伝送される。ピン番号が13であるピンは、CEC信号に割り当てられている。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号は、SDAラインにより伝送される。ピン番号が16であるピンは、SDA信号に割り当てられている。また、SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号は、SCLラインにより伝送される。ピン番号が15であるピンは、SCLに割り当てられている。なお、上述のDDCラインは、SDAラインおよびSCLラインにより構成される。
また、ピン番号が19であるピンは、HPD/HEAC−に割り当てられている。また、ピン番号が14であるピンは、ユーティリティ/HEAC+に割り当てられている。また、ピン番号が17であるピンは、DDC/CEC Ground/HEAC Shieldに割り当てられている。さらに、ピン番号が18であるピンは、電源(+5V Power)に割り当てられている。
上述したように、新HDMIピンアサイメント(図6(b)参照)では、現行HDMIピンアサイメント(図6(a)参照)でシールド端子として用いられている端子(ピン番号が2,5,8,11のピン)が、データ端子として用いられている。また、新HDMIピンアサイメントでは、現行HDMIピンアサイメントでクロック信号の差動信号の信号端子として用いられている端子(ピン番号が10,12のピン)が、データ端子として用いられている。
ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIの動作モードで動作するとき、図6(a)に示す現行HDMIピンアサイメントを選択し、新HDMIの動作モードで動作するとき、図6(b)に示す新HDMIピンアサイメントを選択する。なお、上述ではソース機器110のレセプタクル111のピンアサイメントを説明した。詳細説明は省略するが、シンク機器120のデータ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合におけるシンク機器120のレセプタクル121のピンアサイメントに関しても同様である。
図7(a),(b)は、ソース機器110のレセプタクル111のピン配置を示している。図7(a)は現行HDMIのピン配置を示し、図7(b)は新HDMIのピン配置を示している。なお、レセプタクル111のピンアサイメントとして現行HDMIピンアサイメントが選択されるとき、ピン番号が2,5,8,11のピンは、以下の状態とされる。すなわち、ソース機器110及びシンク機器120にて接地状態、あるいはシンク機器120にて接地状態、ソース機器110にてハイインピーダンス状態、あるいはシンク機器120にてハイインピーダンス状態、ソース機器110にて接地状態とされる。なお、詳細説明は省略するが、シンク機器120のデータ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合におけるシンク機器120のレセプタクル121のピン配置に関しても同様である。
図8(a)は、ケーブル200として使用される現行HDMIケーブルの構造例を示している。この現行HDMIケーブルは、3つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、クロックラインペアと、HEAC機能のためにユーティリティおよびHPDのラインペアも、シールドツイストペア部として構成されている。
図8(b)は、シールドツイストペア部の構造例を示している。このシールドツイストペア部は、2本の電線3と、ドレイン線4とが、シールド部材5で覆われた構造となっている。なお、電線3は、芯線1が被覆部2により覆われて構成されている。
現行HDMIケーブルでは、データおよびクロックの各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、このケーブルの端部に取りつけられたプラグのピンに接続されている。この場合、各ドレイン線は、上述したレセプタクル(現行HDMIのピン配置)の各シールド端子(ピン番号が2,5,8,11のシールド用ピン)に対応したピン(端子)に接続されている。これらのシールド端子はソース機器110及びシンク機器120において接地される。これにより、データおよびクロックの各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、プラグがレセプタクル(現行HDMIのピン配置)に接続された状態では接地された状態となる。
図9は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの構造例を示している。この新HDMIケーブルは、6つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、HEAC機能のためにユーティリティおよびHPDのラインペアも、シールドツイストペア部として構成されている。
新HDMIケーブルは、現行HDMIケーブル(図8(a)参照)に比べて、接続すべき個々の銅線の数が増えている。この新HDMIケーブルでは、ケーブルの両端のプラグの専用ピンにて接続されていた各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、プラグの金属製のシェルに接続される。これにより、シールド用ピンが開放され、プラグの必要ピン数の増加が回避され、新HDMIケーブルにおけるプラグは、現行HDMIケーブルのプラグと同様のものとされている。このように、各シールドツイストペア部を構成するドレイン線がプラグの金属製のシェルに接続されるものにあっては、プラグが差し込まれるレセプタクルのシェルが接地レベルと接続されていることにより、差動ペアラインのシールドを確保することができる。
図10は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの他の構造例を示している。この新HDMIケーブルは、断面形状を平たくしたことを除き、実質的な構造は、上述の図9に示す新HDMIケーブルと同様である。なお、このように断面形状を平たくすることで、断面積を小さくでき、また、インピーダンス整合を取りやすくなることが知られている。
[現行HDMIと新HDMIの動作モード制御]
次に、ソース機器110の制御部113の動作モード制御についてさらに説明する。上述したように、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応し、かつシンク機器120が新HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を新HDMIの動作モードに制御する。また、制御部113は、それ以外の場合、データ送信部112を現行HDMIの動作モードに制御する。
図11のフローチャートは、制御部113の動作モード制御の処理手順を示している。制御部113は、ステップST1において、処理を開始し、その後に、ステップST2の処理に移る。このステップST2において、制御部113は、ソース機器110、つまりデータ送信部112が新HDMIに対応しているか否かを判断する。制御部113は、自身が存在するソース機器110(データ送信部112)の能力情報を予め備えていることから、この判断に関しては容易に行うことができる。なお、この実施の形態において、ソース機器110は新HDMIに対応していることが明らかであるので、制御部113は、このステップST2の判断処理を省略してもよい。
ソース機器110が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST3において、シンク機器120、つまりデータ受信部122が新HDMIに対応しているか否かを判断する。この判断の詳細については、後述する。シンク機器120が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST4の処理に移る。このステップST4において、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。この判断の詳細については、後述する。
ケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST5の処理に移る。このステップST5において、制御部113は、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御する。また、ステップST2、ステップST3、ステップST4で、それぞれ、ソース機器110、シンク機器120、ケーブル200が新HDMIに対応していないと判断するとき、制御部113は、ステップST6の処理に移る。このステップST6において、制御部113は、データ送信部112が現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
なお、制御部113は、例えば、ステップST3でシンク機器120が新HDMIに対応していると判断したとき、最終的な動作モードの判断結果を、ケーブル200を介して、シンク機器120に送信する。この判断結果の送信は、例えば、ソース機器110からデータ伝送前にインフォフレームなどの制御情報として送られる。シンク機器120においては、このソース機器110からの動作モードの判断結果に基づき、制御部123により、データ受信部122がソース機器110のデータ送信部112と同じ動作モードで動作するように制御される。
また、制御部113は、ステップST5でデータ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御するとき、その旨を示すUI画面を、例えば、図12(a)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御してもよい。このUI画面により、ユーザは、ソース機器110とシンク機器120とが新HDMIで接続されたことを、容易に把握できる。なお、UI画面が表示される表示部(ディスプレイ)は、ソース機器110に設けられた図示しない表示部(ディスプレイ)、あるいは、シンク機器120に設けられた図示しない表示部(ディスプレイ)である。これは、以下の各UI表示に関しても同様である。
また、制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していないと判断し、ステップST6の処理に移るとき、その旨を示すUI画面を、例えば、図12(c)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御してもよい。このUI画面により、ユーザは、ソース機器110とシンク機器120とが新HDMIに対応しているが、ケーブル200だけが新HDMIに対応していないことを容易に認識でき、ケーブル200を新HDMIケーブルに取り替える等の対策を取ることができる。
また、図11のフローチャートの処理手順では、制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、直ちに、ステップST5に進み、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御している。しかし、制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、ユーザに、新HDMIあるいは現行HDMI(従来HDMI)のいずれかを選択させるようにしてもよい。
その場合、制御部113は、そのためのUI画面を、例えば、図12(b)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御する。ユーザは、このUI画面に基づいて、新HDMIあるいは現行HDMIのいずれかを選択する。図12(b)は、「新HDMI」が選択されている状態を示している。制御部113は、ユーザの選択に応じて、データ送信部112が新HDMIあるいは現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
図13のフローチャートは、その場合における制御部113の動作モード制御の処理手順を示している。この図13において、図11と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、ステップST7の処理に進む。このステップST7において、制御部113は、新HDMIあるいは現行HDMIのいずれかを選択するためのUI画面を表示部(ディスプレイ)に表示するように制御する。このUIの表示はソース機器110が伝送路200を通じてビデオ信号として伝送してもよいし、シンク機器120が自身で表示するよう指示してもよい。
その後、制御部113は、ステップST8の処理に移る。このステップST8において、ユーザのリモコンなどによる操作を制御部123はCECなどのラインを通じて通知することにより、制御部113は、ユーザが新HDMIあるいは現行HDMIのいずれを選択したかを判断する。ユーザが新HDMIを選択したとき、制御部113は、ステップST5において、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御する。一方、ユーザが現行HDMIを選択したとき、制御部113は、ステップST6において、データ送信部112が現行HDMI(従来HDMI)の動作モードで動作するように制御する。
「シンク機器の新HDMIへの対応判断」
制御部113における、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断の方法について説明する。この判断方法としては、例えば、以下の第1の判断方法および第2の判断方法がある。
「第1の判断方法」
制御部113は、シンク機器120からケーブル200のDDCライン(SDAラインおよびSCLライン)を用いて読み出したEDIDに基づいて、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。EDID自体は、フォーマット上で規定されたデータ構造になっている。このEDIDの所定の場所に、新たに、シンク機器120が新HDMI(新しい伝送)に対応しているか否かを示すフラグ情報が新たに定義されるとする。
図14は、EDID上に新たに定義されるフラグ情報の例を示している。本来、EDIDは様々なシンク機器120の能力を示すデータ構造体である。図14は、説明の簡単化のために、EDIDの、この発明に関係するバイトのみを示し、最低限に簡素化している。第2ビットに、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを示す1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”が記載されている。また、第1ビットに、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示す1ビットのフラグ情報“New Cable”が新たに定義される。
制御部113は、シンク機器120から読み出したEDIDに、上述の1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”が存在するとき、シンク機器120が新HDMIに対応していると判断する。すなわち、シンク機器120が現行HDMIにのみ対応している場合、シンク機器120から読み出したEDIDに、上述の1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”は存在しない。
「第2の判断方法」
制御部113は、シンク機器120との間で、ケーブル200を通じて通信を行うことで、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。例えば、制御部113は、CECラインを用いて、コマンドベースで、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。
また、例えば、制御部113は、ユーティリティラインおよびHPDラインで構成される双方向通信路(HEAC機能)を用いてシンク機器120との間で通信を行って、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。さらに、例えば、制御部113は、伝送が有効になるまでは未使用のライン、例えばユーティリティラインなどを用いて、なんらかの信号のやり取りを行って、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。
「ケーブルの新HDMIへの対応判断」
次に、制御部113における、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断の方法について説明する。この判断方法には、例えば、以下の第1〜第4の判断方法がある。第1〜第3の判断方法は、ケーブル200が新HDMIケーブルであるとき、このケーブル200が持つ情報提供機能を用いて行う判断方法である。
「第1の判断方法」
この第1の判断方法の場合、図15に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、LSI(Large Scale Integration)が内蔵されている。例えば、ソース機器110から+5Vが供給されている状態で、シンク機器120は、HPDをLに落としている間にCECプロトコルにより、このLSIに、出力を要求する。なお、この場合のシンク機器120は、新HDMIに対応しているシンク機器である。LSIは、シンク機器120からの出力要求に応じて、このLSI内に実装されるレジスタ値(新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などのケーブル特性データ)を、シンク機器120に、CECプロトコルで報告する。
シンク機器120は、LSIから報告された情報を自身のEDIDに追記する。シンク機器120は、この追記の後に、HPDをHにすることで、ソース機器110にEDIDの読み出しを指示する。制御部113は、シンク機器120から読み出したEDIDに基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、ケーブル200が新HDMI対応である旨などの情報が含まれているとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
なお、上述では、シンク機器120がCECプロトコルによりLSIに出力を要求するように説明した。しかし、ソース機器110自体が、CECプロトコルによりLSIに出力を要求し、LSIからレジスタ値(新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などのケーブル特性データ)の報告を直接受けるようにすることも考えられる。
「第2の判断方法」
この第2の判断方法の場合にも、図15に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、LSIが内蔵されている。ソース機器110は、例えばHPDがLからHに変化するタイミングで、シンク機器120から、その能力を示すEDIDを読み出して取得する。この場合、EDIDは、SDA/SCLのラインを使い、シンク機器120のEEPROM内に書かれているデータをシリアル伝送することにより、ソース側に通知される。
LSIは、EDID伝送中に、EDID情報が伝送されるライン、つまりSDA/SCLの信号を観察する。そして、LSIは、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示すフラグ情報(図14の所定バイトの第1ビット)が伝送される際に、そのビット値を、ケーブル200が新HDMIに対応している状態、つまりフラグが立っている状態に変更する。つまり、シンク機器120のEDIDROM(EEPROM)上のデータは“00000100”であるが、伝送中にケーブル内のLSIがデータを書換え、ソース機器110が受信する際には“00000110”となる。
制御部113は、シンク機器120から読み出したEDIDに基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示すフラグ情報(図14の所定バイトの第1ビット)が、新HDMIに対応している状態になっているとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
図16は、ケーブル内LSIのEDIDデータ書換え回路の一例を示している。このLSIは、SCLライン上のクロックをカウントするカウンタと、このカウンタのカウント値に基づいて、SDAライン上のデータを書き換えるドライバを有している。
「第3の判断方法」
この第3の判断方法の場合、図17に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などの情報を記憶したRFタグチップ(LSI)が内蔵されている。また、ソース機器110のレセプタクル111に、RFタグ読出しチップ(LSI)が内蔵される。この場合、セプタクル111のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われ、RFタグチップに記憶されている情報が、RFタグ読出しチップにより読み出される。
制御部113は、RFタグ読出しチップにより読み出される情報に基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、RFタグ読出しチップによりケーブル200が新HDMI対応である旨などの情報が読み出されるとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
なお、上述では、ソース機器110のセプタクル111のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われ、RFタグチップに記憶されている情報がソース機器110側で読み出されるように説明した。しかし、例えば、シンク機器120のセプタクル121のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われる。そして、RFタグチップに記憶されている情報がシンク機器120側で読み出され、その情報がその後に、ソース機器110側に提供される構成とすることも考えられる。
「第4の判断方法」
この第4の判断方法の場合、制御部113は、ケーブル200の電気的特性の測定を行うことで、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。図18に示すように、ソース機器110の制御部113は、ピン2とピン5に対して測定・検出用のテスト信号(デジタル信号)を発信し、シンク機器120の制御部123がその信号を受信する。なお、現行HDMIケーブルではピン2とピン5に接続される一対の信号ラインは差動信号の送信路を構成していないが、新HDMIケーブルではピン2とピン5に接続される一対の信号ラインは差動信号の送信路を構成している(図6(a),(b)参照)。
シンク機器120の制御部123は、受信したデジタル信号を、他の経路(例えば、SCL/SDAで示されるHDMIのDDCライン、あるいはCECラインやユーティリティラインなど)を通じて、ソース機器110側に通知する。ソース機器110の制御部113は、シンク機器120から通知されたデジタル信号が、自身が送信したデジタル信号との一致を確認することで、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。すなわち、制御部113は、受信デジタル信号が送信デジタル信号と一致するとき、ケーブル200は新HDMIに対応していると判断する。
図19(a)に示すように、ケーブル200が現行HDMIケーブルである場合、ピン2とピン5に接続される一対の信号ラインは、シールドツイストペア線となっていない。そのため、ケーブル200が現行HDMIに対応しているとの判断には、“高速のテスト信号は伝達することができない”ということが利用される。この際、ピン2と関連するピン1またはピン3に、ピン2とは関係ない信号を印加することにより、その干渉を利用することも可能である。この干渉により、高速のテスト信号はより伝達しがたくなる。
一方、図19(b)に示すように、ケーブル200が新HDMIケーブルである場合、ピン2とピン5に接続される一対の信号ラインは、シールドツイストペア線となる。そのため、ケーブル200が新HDMIケーブルに対応しているとの判断には、“高速のテスト信号は伝達することができる”ということが利用される。この際、ピン1またはピン3に、ピン2とは関係ない信号が印加されていたとしても、それらは独立してシールド処理が施されており、印加された信号とピン2が干渉することはなく、テスト信号の伝達に影響することはない。
ここで、テスト信号は、例えば、ソース機器110が出力可能な最速のデータ、かつビットエラーレートとしてHDMIが保証する10−9を評価できるだけの十分長いランダムなデータとされる。なお、シンク機器120には通常ビデオ再生のためのフレームバッファメモリが内蔵されているので、この伝送テスト専用のメモリは必要ではないかもしれない。
なお、上述の説明では、制御部113は、受信デジタル信号が送信デジタル信号と一致するときだけケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとした。制御部113は、データの転送速度を遅くして同様のテストを行い、一致するまで上述の判断プロセスを繰り返すことにより、ケーブルの性能を確定し、新HDMIに対応していると判断するが、その伝送スピード内で実行可能なだけの伝送を行うようにしてもよい。この場合には、現行HDMIケーブルも、新HDMIに対応していると判断される可能性がある。
また、上述の説明では、ピン2とピン5を用いている。しかし、これらのピンの代わりに、現行HDMIケーブルと新HDMIケーブルと間でこれらのピンと同様の関係にあるピン8とピン11を用いてもよい。すなわち、現行HDMIケーブルではピン8とピン11に接続される一対の信号ラインは差動信号の送信路を構成していないが、新HDMIケーブルではピン8とピン11に接続される一対の信号ラインは差動信号の送信路を構成している(図6(a),(b)参照)。
また、上述の説明では、ソース機器110がシンク機器に送ったデジタル信号(テスト信号)を、それを受信したシンク機器120がソース機器110に通知し、その正否をソース機器110側で判断するものを示した。しかし、デジタル信号(テスト信号)として予め決まったパターンを伝送することにより、シンク機器120が、受信デジタル信号の正否の判定を行う。そして、その結果のみCECなどのラインを通じてソース機器110に通知してもよいし、自身のE−EDIDにその情報を追記してもよい。
上述したように、図1に示すAVシステム100においては、ソース機器110のデータ送信部112は現行HDMIの動作モードの他に、新HDMIモードの動作モードを有するものとされている。ここで、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルは、現行HDMIにおいては3チャネルであるが、新HDMIにおいては6チャネルである。そのため、新HDMIが用いられることで、高いデータレートでの信号伝送が可能となる。また、シンク機器120、ケーブル200が新HDMIに対応していないとき、現行HDMI(従来HDMI)が用いられることで、後方互換性が確保される。
[新HDMIの他の構成例]
上述したように、DDCラインは、データ送信部112が、データ受信部122から、E−EDIDを読み出すため、あるいは、著作権保護の為のHDCPシステムにおける機器認証および鍵交換のための情報のやり取りのために使われる。これらの情報交換は、ソース機器110とシンク機器120の接続時に行われ、接続が完了した後には定期的なHDCP鍵の更新など以外にDDCラインが使われることはない。
また、上述したように、HDMI1.4にてHEC(HDMI Ethernet Channel)が新たに定義され、HDMI機器間でイーサネットによる情報のやり取りが可能になった。しかし、HPD信号への重畳、エコーキャンセラを用いた2線による完全双方向通信の構成などから、現状の100Mbps以上の帯域に拡張することは困難である。以上の状況から、接続時にDDCラインでEDIDの読出し、HDCP認証が完了した後に、DDCラインを構成する2本の信号ラインにより高速データ通信が可能な構成とする。
[データ送信部、データ受信部の他の構成例]
図20、図21は、図1のAVシステム100における、ソース機器110のデータ送信部112と、シンク機器120のデータ受信部122の他の構成例を示している。図20は、上述の図3の構成例に対応した、3チャネルモード時におけるソース機器110のデータ送信部112とシンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。図21は、上述の図4の構成例に対応した、6チャネルモード時におけるソース機器110のデータ送信部112とシンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。
この構成例において、DDCラインを構成する2本の信号ライン、つまりSDAラインおよびSCLラインは、I2C通信ラインとして用いられる他に、高速データ通信ラインとしても用いられる。この2本の信号ラインがI2C通信ラインとして用いられる場合には、I2Cの双方向通信が行われる。一方、この2本の信号ラインが高速データ通信ラインとしても用いられる場合には、双方向差動通信が行われる。
そのため、データ送信部112およびデータ受信部122の双方において、2本の信号ラインにI2C通信部または差動高速ドライバ/レシーバが選択的に接続される。ここで、I2C通信部は、第1の通信部を構成し、差動高速ドライバ/レシーバは第2の通信部を構成している。なお、詳細説明は省略するが、図20、図21のその他の構成は、上述の図3、図4と同様である。
図22(a)は3チャネルモード時におけるレセプタクルのピンアサイメントを示し、図22(b)は6チャネルモード時におけるレセプタクルのピンアサイメントを示している。ピン番号が16であるピンは、“SDA信号”および“差動信号+”に割り当てられる。また、ピン番号が15であるピンは、“SCL”信号および“差動信号−”に割り当てられる。なお、詳細説明は省略するが、図22(a),(b)のその他については、上述の図6(a),(b)と同様である。
図23は、ソース機器110およびシンク機器120における、DDCライン(SDA、SCL)に関係する部分の詳細構成例を示している。ソース機器110は、I2C通信部311と、差動高速ドライバ/レシーバ312と、プロトコルスイッチ部313と、データバッファ314を有している。同様に、シンク機器120は、I2C通信部321と、差動高速ドライバ/レシーバ322と、プロトコルスイッチ部323と、データバッファ324を有している。
I2C通信部311,321は、2本の信号ラインをI2C通信ラインとして用いることで、I2Cの双方向通信を行う。差動高速ドライバ/レシーバ312,322は、2本の信号ラインを高速データ通信ラインとして用いることで、双方向差動通信を行う。プロトコルスイッチ部313,323は、制御部113,123の制御のもと、I2C通信部311,321または差動高速ドライバ/レシーバ312,322を2本の信号ラインに選択的に接続する。データバッファ314,324は、差動高速ドライバ/レシーバ312,322で送受信されるデータのバッファリングを行う。
図24は、ソース機器110におけるプロトコルスイッチ部313の構成例(送信のみ)を示している。なお、SDAラインおよびSCLラインは、抵抗Rを介して、電源に接続(プルアップ)されている。プロトコルスイッチ部313は、差動高速ドライバ/レシーバ312を2本の信号ラインに接続するためのトランジスタ313aと、I2C通信部311を2本の信号ラインに接続するためのトランジスタ313bを備えている。トランジスタ313aとしては低電圧高速動作トランジスタが使用され、トランジスタ313bとしてはHDMI DDC規格にて動作するための5Vの耐圧トランジスタが使用される。
ここで、低電圧高速動作トランジスタであるトランジスタ313aの動作速度を保証するため、信号出力ライン上の寄生容量および直列抵抗成分の低減が必要となる。これは、例えば、制御部113からのモード切り換え信号によって、I2C双方向通信モードではトランジスタ313aの電源をオフとし、双方向差動通信モードではトランジスタ313bの電源をオフするなどの措置を行うことにより、実現可能となる。
すなわち、I2C双方向通信の動作時には、トランジスタ313bの電源がオンとされてI2C通信部311が2本の信号ラインに接続されると共に、トランジスタ313aの電源がオフとされて差動高速ドライバ/レシーバ312は2本の信号ラインから遮断される。また、双方向差動通信の動作時には、トランジスタ313aの電源がオンとされて差動高速ドライバ/レシーバ312が2本の信号ラインに接続されると共に、トランジスタ313bの電源がオフとされてI2C通信部311は2本の信号ラインから遮断される。
[DDCラインを用いた通信のモード変化例]
図25のシーケンス図は、DDCライン(I2C通信ライン)を高速データ通信ラインへ切り替えるシーケンス例を示している。接続時、シンク機器120がHPD信号を“H”にすると、ソース機器110はシンク機器120からEDIDをDDCライン経由で読み出す(シーケンス(1))。
ソース機器110は、読み出したシンク機器120のEDID上の自身の高速データ通信ラインへの切り替え可能情報とソース機器自身のその能力を照し合せることにより、双方が対応している場合、切り替えが可能であることを認識する(シーケンス(2))。その後、HDCPの認証および鍵交換のフローを実施して通常の接続時に行われるDDCラインでの通信を完了する(シーケンス(3))。なお、HDCP認証および鍵交換にはある程度のデータ量の双方向伝送を必要とするので、高速データ通信ラインへの切り替え後に実施して、高速化することも考えられる。また、ソース機器110は、シンク機器120が高速データ通信ラインへの切り替えが可能であるか否か、つまり双方向差動通信に対応しているか否かを、シンク機器120との間で例えばCECラインを用いた通信を行って、判断することもできる。
その後、ソース機器110は、ケーブル200が双方向差動通信に対応しているとき、DDCライン以外のライン、例えばCECラインを用いて、シンク機器120へ高速データ通信ラインへの切り換えを要求する(シーケンス(4))。なお、ケーブル200が双方向差動通信に対応しているか否かの判断の方法については後述する。
この要求を受け、シンク機器120は自身のDDCラインを高速データ通信ラインに切り替える(シーケンス(5))。すなわち、制御部123は、プロトコルスイッチ部323を制御して、DDCラインを構成する2本の信号ラインに差動高速ドライバ/レシーバ322が接続された状態とする。その後、シンク機器120は、高速データ通信ラインへの切り替えが完了したことを、ソース機器110へCECラインを用いて、通知する(シーケンス(6))。
ソース機器110は、シンク機器120がDDCラインから高速データ通信ラインに切り替えたことを認知すると、自身のDDCラインも高速データ通信ラインに切り替える(シーケンス(7))。すなわち、制御部113は、プロトコルスイッチ部313を制御して、DDCラインを構成する2本の信号ラインに差動高速ドライバ/レシーバ312が接続された状態とする。
ソース機器110およびシンク機器120の双方が高速データ通信ラインに切り替えられたら、まずは安全のため、双方で確認用の高速伝送開始パケットのやり取りを行って、構成が変更されたことを確認してもよい(シーケンス(8))。
以上でソース機器110、シンク機器120の双方でDDCライン(I2C通信ライン)が高速データ通信ラインへ切り替わったことが確認できたので、高速データ通信ラインを用いた双方向差動通信、つまり高速双方向データ伝送が可能になる(シーケンス(9))。
なお、従来行われていたDDCラインを使ったHDCP暗号鍵の更新は、上述したように高速データ通信ラインに切り替えられた後は、例えば、データパケットなどにパッキングすることにより、双方でデータをやり取りすることが可能である。また、上述したDDCラインを構成する2本の信号ラインを用いた双方向差動通信は、従来のCECやHECなどのデータ伝送方法とは完全に独立しているため、共存することも可能である。
[高速データ通信ラインによる双方向差動通信]
次に、高速データ通信ラインによる双方向差動通信について説明する。2線の差動ラインを用いた双方向伝送を実現するためには、HECのようにエコーキャンセラを用いて完全双方向通信を実現してもよいが、時分割通信で実現してもよい。
図26は、時分割双方向通信の概念図を示している。この図26では、最初にソース機器(Src)からシンク機器(Snk)に、例えば512バイト(ギガビット・イーサーネットの最小フレームサイズかつスロット時間)伝送が行われる。そして、その後、通信方向の変更(ターンアラウンド)時間TAを経過後、今度はシンク機器(Snk)からソース機器(Src)へ512バイト伝送が行われる。以下、同様に通信方向が交互とされて時分割双方向通信が行われる。全体としての伝送速度は片方向の2倍強必要とされるが、エコーキャンセラを用いた双方向構造よりも安価に実現できる可能性がある。
なお、時分割双方向通信にあっては、上述の図26に示すように、通信方向をあるデータ量毎に交互に変更してもよいし、予め伝送量を予約して、その伝送中、方向の変更を禁止するようにしてより効率よく伝送しても構わない。
[ケーブルの構造例]
図27は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの構造例を示している。この新HDMIケーブルは、3チャネルモードおよび双方向差動通信モードに対応している(図20参照)。この新HDMIケーブルは、図8に示す現行HDMIケーブルと同様に、3つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、DDCラインを構成する2本の信号ライン(SDA,SCL)も、双方向差動通信を行うためにシールドツイストペアとして構成されている。
また、図28は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの構造例を示している。この新HDMIケーブルは、6チャネルモードおよび双方向差動通信モードに対応している(図21参照)。この新HDMIケーブルは、図9に示す新HDMIケーブルと同様に、6つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、DDCラインを構成する2本の信号ライン(SDA,SCL)も、双方向差動通信を行うためにシールドツイストペアとして構成されている。
[ケーブルの双方向差動通信への対応判断]
次に、ケーブル200が双方向差動通信に対応しているか否か、つまりDDCラインを構成する2本の信号ライン(SDA,SCL)がシールドツイストペアとして構成されているか否かの判断方法について説明する。この判断は、ここでは詳細説明を省略するが、上述した「ケーブルの新HDMIへの対応判断」と同様に、例えば、以下の(1)〜(4)の方法実現可能である(図14〜図19参照)。
(1)ケーブル内に新通信方式に対応している旨の情報を格納し、HPDが“L”の際にCECコマンドを発行するなど、何らかの方法でアクセスして機器側が認知する。
(2)EDID伝送時にケーブル自身が新通信方式に対応している旨の情報を追記し、ソース側へ伝える。
(3)RFIDなどの別経路での通信手段をケーブルと機器の間に持ち、新方式に対応している旨を確認する。
(4)ソース側から測定・検出用の信号を発信し、シンク側で受信した信号を別通信手段にて知らせる、あるいは期待値との一致・不一致を通知する。
ただし、(4)に関しては、上述した「ケーブルの新HDMIへの対応判断」において、この「ケーブルの双方向差動通信への対応判断」においては、以下の部分は適用できない。すなわち、「現行HDMIケーブルである場合、ピン2と関連する信号ラインピン1またはピン3にピン2とは関係ない信号を印加することにより、その干渉を利用することも可能である」の部分は適用できない。また、保証されるべきエラーレートは、10−9ではなく、伝送データに施される誤り訂正技術の効果を含めた形で10−12程度となる。
上述したように、図1に示すAVシステム100においては、ソース機器110のデータ送信部112は現行HDMIの動作モードの他に、新HDMIモードの動作モードを有するものとされている。ここで、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルは、現行HDMIにおいては3チャネルであるが、新HDMIにおいては6チャネルである。そのため、新HDMIが用いられることで、高いデータレートでの信号伝送が可能となる。また、シンク機器120、ケーブル200が新HDMIに対応していないとき、現行HDMI(従来HDMI)が用いられることで、後方互換性が確保される。
また、図1に示すAVシステム100においては、双方向差動通信機能を有するソース機器110、シンク機器120は、DDCラインを構成する2本の信号ラインに、I2C通信部または差動高速ドライバ/レシーバを選択的に接続できる。そのため、ケーブル200を構成する信号ラインの数を増加することなく、双方向差動通信を行うことが可能となり、大容量のデータ通信が可能となる。
これにより、例えば、大容量双方向データ通信をベースにした高品質の機器間連携アプリケーションを、HDMIネットワークで接続された機器においても追加の接続を必要としないで実現できる。また、例えば、将来のギガビット・イーサーネットが中心となった家庭内高速通信を用いたアプリケーションを、HDMIネットワークで接続された機器においても追加の接続を必要としないで実現できる。
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、新HDMIケーブルのプラグの形状が、現行HDMIケーブル(従来HDMIケーブル)のプラグの形状と同じであるものを示した。しかし、新HDMIケーブルのプラグの形状を、現行HDMIケーブルのプラグの形状を異ならせ、ソース機器およびシンク機器の一方が新HDMIに対応していないとき、これらが新HDMIケーブルで接続されないようにすることもできる。
図29(a)は現行HDMIケーブルのプラグの形状を示し、図29(b)は現行HDMIのみに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状を示している。これに対して、図29(c)は新HDMIケーブルのプラグの形状を示し、図29(d)は新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状の一例を示している。なお、図30(a)は現行HDMIケーブルのプラグの斜視図であり、図30(b)は新HDMIケーブルのプラグの斜視図を示している。
新HDMIケーブルのプラグには凸部(矢印Pで指し示している)が設けられている。そして、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルには、プラグの凸部に対応した凹部(矢印Qで指し示している)が設けられている。この場合、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状は、新HDMIケーブルのプラグの形状に合致し、現行HDMIケーブルのプラグの形状を包含するようにされている。
新HDMIケーブルのプラグの形状および新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状を上述のように設定することで、新HDMIケーブルは、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルに接続できる。しかし、新HDMIケーブルは、現行HDMIにのみ対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルには接続できなくなる。これにより、ソース機器およびシンク機器の一方が新HDMIに対応していないとき、これらが新HDMIケーブルで接続されるということはなくなる。つまり、ソース機器およびシンク機器の双方が新HDMIに対応しているときのみ、新HDMIケーブルにより、これらの接続が可能となる。
上述したように、新HDMIにも対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状は、新HDMIケーブルのプラグの形状に合致し、現行HDMIケーブルのプラグの形状を包含するようにされている。そのため、現行HDMIケーブルは、現行HDMIにのみ対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルだけでなく、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルにも接続できる。
また、上述実施の形態において、現行HDMIにおけるビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルが3チャネルであるのに対して、新HDMIとしてその差動信号チャネルが6チャネルであるものを示した。しかし、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルの数は6チャネルに限定されるものではなく、4チャネル、5チャネル、さらには7チャネル等も考えられる。例えば、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルを5チャネルとし、クロック周波数を1.2倍程度に高速化することで、6チャネルにした場合と同等のデータ転送速度を得ることが可能となる。
また、上述実施の形態において、この発明をソース機器およびシンク機器がHDMI規格のデジタルインタフェースで接続されるAVシステムに適用したものである。この発明は、その他の同様のデジタルインタフェースで接続されるAVシステムにも同様に適用できる。