以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
[AVシステムの構成例]
図1は、実施の形態としてのAV(Audio and Visual)システム10の構成例を示している。このAVシステム10は、リビングに配置されたシンク機器としてのテレビ受信機11と寝室に配置されたシンク機器としてのテレビ受信機12とが、伝送路としてのケーブル13により接続された構成とされている。
リビングのテレビ受信機11には、例えば、HDMIデジタルインタフェースにより、セットトップボックス(STB:Set Top Box)14a、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ14b、レコーダ14c、ゲームコンソール14d、ハンディカメラ14e等のソース機器が接続されている。この場合、テレビ受信機11と各ソース機器とは、伝送路としてのHDMIケーブル15で接続されている。
また、寝室のテレビ受信機12には、例えば、HDMIデジタルインタフェースにより、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)16a、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ16b、レコーダ16c等のソース機器が接続されている。この場合、テレビ受信機12と各ソース機器とは、伝送路としてのHDMIケーブル17で接続されている。
このAVシステム10では、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間のケーブル13には複数の差動信号レーン(ビデオ信号ライン)が用意されており、これらの間ではこの差動信号レーンが利用されてビデオ信号などのデジタル信号の双方向伝送が行われる。この場合、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間で、ケーブル13に用意された双方向通信ラインを利用した通信が行われて、必要であれば、すなわち他方が起動していない場合には起動し、使用レーン数、使用レーン番号、伝送方向などを含む伝送路構成が決定される。そして、テレビ受信機11,12は、決定された伝送路構成となって、ビデオ信号などのデジタル信号の双方向伝送を行う。
[ソース機器とシンク機器との間のデジタルインタフェース]
最初に、テレビ受信機11とこれに接続されているソース機器との間、あるいはテレビ受信機12とこれに接続されているソース機器との間のデジタルインタフェース20について説明する。図2は、デジタルインタフェース20の構成例を示している。
ソース機器110およびシンク機器120は、ケーブル200を介して接続されている。ソース機器110には、データ送信部112が接続された、コネクタを構成するレセプタクル111が設けられている。シンク機器120には、データ受信部122が接続された、コネクタを構成するレセプタクル121が設けられている。また、ケーブル200の一端にはコネクタを構成するプラグ201が設けられ、その他端にはコネクタを構成するプラグ202が設けられている。ケーブル200の一端のプラグ201はソース機器110のレセプタクル111に接続され、このケーブル200の他端のプラグ202はシンク機器120のレセプタクル121に接続されている。
ソース機器110は、制御部113を有している。この制御部113は、ソース機器110の全体を制御する。この実施の形態において、ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している。制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応し、かつシンク機器120が新HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を新HDMIの動作モードで動作するように制御する。一方、制御部113は、少なくとも、シンク機器120が現行HDMIにのみ対応していると判断する場合、あるいはケーブル200が現行HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
シンク機器120は、制御部123を有している。この制御部123は、シンク機器120の全体を制御する。この実施の形態において、シンク機器120のデータ受信部122は、現行HDMIにのみ、あるいは現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している。データ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合、制御部123は、このデータ受信部122を、ソース機器110のデータ送信部112と同じ動作モードで動作するように制御する。この場合、制御部123は、ソース機器110からCECなどのラインを通じて送られる動作モードの判断結果に基づいて、データ受信部122の動作モードを制御する。ケーブル200は、現行HDMI、あるいは新HDMIに対応している。
図2に示すデジタルインタフェース20において、図3(a)に示すように、ケーブル200が新HDMIに対応し、また、シンク機器120が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応しているとき、新HDMIでのデータ伝送が行われる。この際、ソース機器110のデータ送信部112およびシンク機器120のデータ受信部122は、新HDMIの動作モードで動作するように制御される。
また、図2に示すデジタルインタフェース20において、図3(b)〜(d)に示すように、少なくとも、ケーブル200が現行HDMIに対応しているか、あるいはシンク機器120が現行HDMIにのみ対応しているとき、現行HDMIでのデータ伝送が行われる。この際、ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIの動作モードで動作するように制御される。また、現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応しているシンク機器120のデータ受信部122は、現行HDMIの動作モードで動作するように制御される。なお、図3(b)の場合には、データ転送レートを低くするなどしてケーブル200が新HDMIのデータ伝送が可能なときには、新HDMIモードでのデータ伝送が行われることがある。
[データ送信部、データ受信部の構成例]
図4、図5は、図2に示すデジタルインタフェース20における、ソース機器110のデータ送信部112と、シンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。データ送信部112は、有効画像区間(「アクティブビデオ区間」ともいう)において、非圧縮の1画面分のビデオデータに対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。
ここで、有効画像区間は、一の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間及び垂直帰線区間を除いた区間である。また、データ送信部112は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくともビデオデータに付随するオーディオデータや制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。
データ受信部122は、アクティブビデオ区間において、複数のチャネルで、データ送信部122から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号を受信する。また、このデータ受信部122は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、複数のチャネルで、データ送信部112から一方向に送信されてくる、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。
データ送信部112とデータ受信部122とからなるHDMIシステムの伝送チャネルには、以下のものがある。まず、伝送チャネルとして、差動信号チャネル(TMDSチャネル、TMDSクロックチャネル)がある。ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルは、現行HDMIにおいては3チャネルであるが、新HDMIにおいては6チャネルである。
現行HDMIにおける差動信号チャネルについて説明する。図4に示すように、データ送信部112からデータ受信部122に対して、ビデオデータおよびオーディオデータを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての、3つのTMDSチャネル#0〜#2がある。また、TMDSクロックを伝送する伝送チャネルとしての、TMDSクロックチャネルがある。
データ送信部112のHDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮のビデオデータを対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、HDMIトランスミッタ81は、非圧縮のビデオデータに付随するオーディオデータ、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で、データ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
さらに、HDMIトランスミッタ81は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で送信するビデオデータに同期したTMDSクロックを、TMDSクロックチャネルで、データ送信部122に送信する。ここで、1つのTMDSチャネル#i(i=0,1,2)では、TMDSクロックの1クロックの間に、10ビットのビデオデータが送信される。
データ受信部122のHDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0,#1,#2で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号と、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。この場合、データ送信部112からTMDSクロックチャネルで送信されてくるピクセルクロック(TMDSクロック)に同期して受信する。
次に、新HDMIにおける差動信号チャネルについて説明する。図5に示すように、データ送信部112からデータ受信部122に対して、ビデオデータおよびオーディオデータを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての、6つのTMDSチャネル#0〜#5がある。なお、この新HDMIでは、TMDSクロックの伝送は省略され、受信側においては受信データからクロックを再生するセルフクロック方式が採用される。
データ送信部112のHDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮のビデオデータを対応する差動信号に変換し、6つのTMDSチャネル#0〜#5で、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、このHDMIトランスミッタ81は、非圧縮のビデオデータに付随するオーディオデータ、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、6つのTMDSチャネル#0〜#5で、データ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
データ受信部122のHDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0〜#5で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、ビデオデータに対応する差動信号と、オーディオデータや制御データに対応する差動信号を受信する。この場合、HDMIレシーバ82は、受信データからピクセルクロックを再生し、そのピクセルクロック(TMDSクロック)に同期して受信する。
HDMIシステムの伝送チャネルには、上述のTMDSチャネル、TMDSクロックチャネルの他に、DDC(Display Data Channel)やCECラインと呼ばれる伝送チャネルがある。DDCは、ケーブル200に含まれる図示しない2本の信号線からなる。DDCは、データ送信部112が、データ受信部122から、E−EDID(Enhanced Extended Display Identification Data)を読み出すために使用される。
すなわち、データ受信部122は、HDMIレシーバ82の他に、自身の能力(Configuration/capability)に関する能力情報であるE−EDIDを記憶している、EDID ROM(EEPROM)を有している。データ送信部112は、例えば、制御部113からの要求に応じて、ケーブル200を介して接続されているデータ受信部122から、E−EDIDを、DDCを介して読み出す。
データ送信部112は、読み出したE−EDIDを制御部113に送る。制御部113は、このE−EDIDを、図示しないフラッシュROMあるいはDRAMに格納する。制御部113は、E−EDIDに基づき、データ受信部122の能力の設定を認識できる。例えば、制御部113は、データ受信部122を有するシンク機器120が、現行HDMIの他に、新HDMIに対応しているか否か等を認識する。CECラインは、ケーブル200に含まれる図示しない1本の信号線からなり、データ送信部112とデータ受信部122との間で、制御用のデータの双方向通信を行うために用いられる。
また、ケーブル200には、HPD(Hot Plug Detect)と呼ばれるピンに接続されるライン(HPDライン)が含まれている。ソース機器は、このHPDラインを利用して、シンク機器の接続を検出することができる。なお、このHPDラインは双方向通信路を構成するHEAC−ラインとしても使用される。また、ケーブル200には、ソース機器からシンク機器に電源を供給するために用いられる電源ライン(+5V Power Line)が含まれている。さらに、ケーブル200には、ユーティリティラインが含まれている。このユーティリティラインは双方向通信路を構成するHEAC+ラインとしても使用される。
図6は、TMDS伝送データの構造例を示している。この図6は、TMDSチャネル#0〜#2、あるいはTMDSチャネル#0〜#5において、横×縦がBピクセル×Aラインの画像データが伝送される場合の、各種の伝送データの区間を示している。HDMIのTMDSチャネルで伝送データが伝送されるビデオフィールド(Video Field)には、伝送データの種類に応じて、3種類の区間が存在する。この3種類の区間は、ビデオデータ区間(Video Data period)、データアイランド区間(Data Island period)、およびコントロール区間(Control period)である。
ここで、ビデオフィールド区間は、ある垂直同期信号の立ち上がりエッジ(active edge)から次の垂直同期信号の立ち上がりエッジまでの区間である。このビデオフィールド区間は、水平ブランキング期間(horizontal blanking)、垂直ブランキング期間(vertical blanking)、並びに、アクティブビデオ区間(Active Video)に分けられる。このアクティブビデオ区間は、ビデオフィールド区間から、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間を除いた区間であるビデオデータ区間は、アクティブビデオ区間に割り当てられる。このビデオデータ区間では、非圧縮の1画面分の画像データを構成するBピクセル(画素)×Aライン分の有効画素(Active pixel)のデータが伝送される。
データアイランド区間およびコントロール区間は、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間に割り当てられる。このデータアイランド区間およびコントロール区間では、補助データ(Auxiliary data)が伝送される。
すなわち、データアイランド区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の一部分に割り当てられている。このデータアイランド区間では、補助データのうち、制御に関係しないデータである、例えば、オーディオデータのパケット等が伝送される。コントロール区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の他の部分に割り当てられている。このコントロール区間では、補助データのうちの、制御に関係するデータである、例えば、垂直同期信号および水平同期信号、制御パケット等が伝送される。
ここで、レセプタクル111のピンアサイメントを説明する。最初に、現行HDMIのピンアサイメント(タイプA)を説明する。この現行HDMIのピンアサイメントは、第1のピンアサイメントを構成する。図7(a)は、この現行HDMIのピンアサイメントを示している。TMDSチャネル#i(i=0〜2)の差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−は、差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン(ピン番号が7,4,1のピン)はTMDS Data#i+に割り当てられ、ピン(ピン番号が9,6,3のピン)はTMDS Data#i−に割り当てられている。なお、ピン番号が8,5,2のピンは、TMDS Data#i Shield(i=0〜2)に割り当てられている。
TMDSクロックチャネルの差動信号であるTMDS Clock+とTMDS Clock−は差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン番号が10のピンはTMDS Clock+に割り当てられ、ピン番号が12のピンはTMDS Clock−に割り当てられている。なお、ピン番号が11のピンは、TMDS Clock Shieldに割り当てられている。
また、制御用のデータであるCEC信号は、CECラインにより伝送される。ピン番号が13であるピンは、CEC信号に割り当てられている。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号は、SDAラインにより伝送される。ピン番号が16であるピンは、SDA信号に割り当てられている。また、SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号は、SCLラインにより伝送される。ピン番号が15であるピンは、SCLに割り当てられている。なお、上述のDDCラインは、SDAラインおよびSCLラインにより構成される。
また、ピン番号が19であるピンは、HPD/HEAC−に割り当てられている。また、ピン番号が14であるピンは、ユーティリティ/HEAC+に割り当てられている。また、ピン番号が17であるピンは、DDC/CEC Ground/HEAC Shieldに割り当てられている。さらに、ピン番号が18であるピンは、電源(+5V Power)に割り当てられている。
次に、新HDMIのピンアサイメントを説明する。この新HDMIのピンアサイメントは、第2のピンアサイメントを構成する。図7(b)は、この新HDMIのピンアサイメントを示している。TMDSチャネル#i(i=0〜5)の差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−は、差動ラインである2本のラインにより伝送される。ピン(ピン番号が1,4,7,10,2,8のピン)はTMDS Data#i+に割り当てられ、ピン(ピン番号が3,6,9,12,5,11のピン)はTMDS Data#i−に割り当てられている。
また、制御用のデータであるCEC信号は、CECラインにより伝送される。ピン番号が13であるピンは、CEC信号に割り当てられている。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号は、SDAラインにより伝送される。ピン番号が16であるピンは、SDA信号に割り当てられている。また、SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号は、SCLラインにより伝送される。ピン番号が15であるピンは、SCLに割り当てられている。なお、上述のDDCラインは、SDAラインおよびSCLラインにより構成される。
また、ピン番号が19であるピンは、HPD/HEAC−に割り当てられている。また、ピン番号が14であるピンは、ユーティリティ/HEAC+に割り当てられている。また、ピン番号が17であるピンは、DDC/CEC Ground/HEAC Shieldに割り当てられている。さらに、ピン番号が18であるピンは、電源(+5V Power)に割り当てられている。
上述したように、新HDMIピンアサイメント(図7(b)参照)では、現行HDMIピンアサイメント(図7(a)参照)でシールド端子として用いられている端子(ピン番号が2,5,8,11のピン)が、データ端子として用いられている。また、新HDMIピンアサイメントでは、現行HDMIピンアサイメントでクロック信号の差動信号の信号端子として用いられている端子(ピン番号が10,12のピン)が、データ端子として用いられている。
ソース機器110のデータ送信部112は、現行HDMIの動作モードで動作するとき、図7(a)に示す現行HDMIピンアサイメントを選択し、新HDMIの動作モードで動作するとき、図7(b)に示す新HDMIピンアサイメントを選択する。なお、上述ではソース機器110のレセプタクル111のピンアサイメントを説明した。詳細説明は省略するが、シンク機器120のデータ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合におけるシンク機器120のレセプタクル121のピンアサイメントに関しても同様である。
図8(a),(b)は、ソース機器110のレセプタクル111のピン配置を示している。図8(a)は現行HDMIのピン配置を示し、図8(b)は新HDMIのピン配置を示している。なお、レセプタクル111のピンアサイメントとして現行HDMIピンアサイメントが選択されるとき、ピン番号が2,5,8,11のピンは、ソース機器110及びシンク機器120にて、接地状態、あるいはシンク機器120にて接地状態、ソース機器110にてハイインピーダンス状態、あるいはシンク機器120にてハイインピーダンス状態、ソース機器110にて接地状態とされる。なお、詳細説明は省略するが、シンク機器120のデータ受信部122が現行HDMIおよび新HDMIの双方に対応している場合におけるシンク機器120のレセプタクル121のピン配置に関しても同様である。
図9(a)は、ケーブル200として使用される現行HDMIケーブルの構造例を示している。この現行HDMIケーブルは、3つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、クロックラインペアと、HEAC機能のためにユーティリティおよびHPDのラインペアも、シールドツイストペア部として構成されている。
図9(b)は、シールドツイストペア部の構造例を示している。このシールドツイストペア部は、2本の電線3と、ドレイン線4とが、シールド部材5で覆われた構造となっている。なお、電線3は、芯線1が被覆部2により覆われて構成されている。
現行HDMIケーブルでは、データおよびクロックの各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、このケーブルの端部に取りつけられたプラグのピンに接続されている。この場合、各ドレイン線は、上述したレセプタクル(現行HDMIのピン配置)の各シールド端子(ピン番号が2,5,8,11のシールド用ピン)に対応したピン(端子)に接続されている。これらのシールド端子はソース機器110及びシンク機器120において接地される。これにより、データおよびクロックの各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、プラグがレセプタクル(現行HDMIのピン配置)に接続された状態では接地された状態となる。
図10は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの構造例を示している。この新HDMIケーブルは、6つのデータラインペアがそれぞれ特性を得るためにシールドツイストペア部として構成されている。また、HEAC機能のためにユーティリティおよびHPDのラインペアも、シールドツイストペア部として構成されている。
新HDMIケーブルは、現行HDMIケーブル(図9(a)参照)に比べて、接続すべき個々の銅線の数が増えている。この新HDMIケーブルでは、ケーブルの両端のプラグの専用ピンにて接続されていた各シールドツイストペア部を構成するドレイン線は、プラグの金属製のシェルに接続される。これにより、シールド用ピンが開放され、プラグの必要ピン数の増加が回避され、新HDMIケーブルにおけるプラグは、現行HDMIケーブルのプラグと同様のものとされている。このように、各シールドツイストペア部を構成するドレイン線がプラグの金属製のシェルに接続されるものにあっては、プラグが差し込まれるレセプタクルのシェルが接地レベルと接続されていることにより、差動ペアラインのシールドを確保することができる。
図11は、ケーブル200として使用される新HDMIケーブルの他の構造例を示している。この新HDMIケーブルは、断面形状を平たくしたことを除き、実質的な構造は、上述の図10に示す新HDMIケーブルと同様である。なお、このように断面形状を平たくすることで、断面積を小さくでき、また、インピーダンス整合を取りやすくなることが知られている。
[現行HDMIと新HDMIの動作モード制御]
次に、ソース機器110の制御部113の動作モード制御についてさらに説明する。上述したように、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応し、かつシンク機器120が新HDMIに対応していると判断する場合、データ送信部112を新HDMIの動作モードに制御する。また、制御部113は、それ以外の場合、データ送信部112を現行HDMIの動作モードに制御する。
図12のフローチャートは、制御部113の動作モード制御の処理手順を示している。制御部113は、ステップST1において、処理を開始し、その後に、ステップST2の処理に移る。このステップST2において、制御部113は、ソース機器110、つまりデータ送信部112が新HDMIに対応しているか否かを判断する。制御部113は、自身が存在するソース機器110(データ送信部112)の能力情報を予め備えていることから、この判断に関しては容易に行うことができる。なお、この実施の形態において、ソース機器110は新HDMIに対応していることが明らかであるので、制御部113は、このステップST2の判断処理を省略してもよい。
ソース機器110が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST3において、シンク機器120、つまりデータ受信部113が新HDMIに対応しているか否かを判断する。この判断の詳細については、後述する。シンク機器120が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST4の処理に移る。このステップST4において、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。この判断の詳細については、後述する。
ケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、制御部113は、ステップST5の処理に移る。このステップST5において、制御部113は、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御する。また、ステップST2、ステップST3、ステップST4で、それぞれ、ソース機器110、シンク機器120、ケーブル200が新HDMIに対応していないと判断するとき、制御部113は、ステップST6の処理に移る。このステップST6において、制御部113は、データ送信部112が現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
なお、制御部113は、例えば、ステップST3でシンク機器120が新HDMIに対応していると判断したとき、最終的な動作モードの判断結果を、ケーブル200を介して、シンク機器120に送信する。この判断結果の送信は、例えば、ソース機器110からデータ伝送前にインフォフレームなどの制御情報として送られる。シンク機器120においては、このソース機器110からの動作モードの判断結果に基づき、制御部123により、データ受信部122がソース機器110のデータ送信部112と同じ動作モードで動作するように制御される。
また、制御部113は、ステップST5でデータ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御するとき、その旨を示すUI画面を、例えば、図13(a)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御してもよい。このUI画面により、ユーザは、ソース機器110とシンク機器120とが新HDMIで接続されたことを、容易に把握できる。なお、UI画面が表示される表示部(ディスプレイ)は、ソース機器110に設けられた図示しない表示部(ディスプレイ)、あるいは、シンク機器120に設けられた図示しない表示部(ディスプレイ)である。これは、以下の各UI表示に関しても同様である。
また、制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していないと判断し、ステップST6の処理に移るとき、その旨を示すUI画面を、例えば、図13(c)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御してもよい。このUI画面により、ユーザは、ソース機器110とシンク機器120とが新HDMIに対応しているが、ケーブル200だけが新HDMIに対応していないことを容易に認識でき、ケーブル200を新HDMIケーブルに取り替える等の対策を取ることができる。
また、図12のフローチャートの処理手順では、制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、直ちに、ステップST5に進み、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御している。しかし、制御部113は、データ伝送前にあらかじめCECなどのラインを通じてコマンドをやり取りすることにより、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、ユーザに、新HDMIあるいは現行HDMI(従来HDMI)のいずれかを選択させるようにしてもよい。
その場合、制御部113は、そのためのUI画面を、例えば、図13(b)に示すように、表示部(ディスプレイ)に表示するように制御する。ユーザは、このUI画面に基づいて、新HDMIあるいは現行HDMIのいずれかを選択する。図13(b)は、「新HDMI」が選択されている状態を示している。制御部113は、ユーザの選択に応じて、データ送信部112が新HDMIあるいは現行HDMIの動作モードで動作するように制御する。
図14のフローチャートは、その場合における制御部113の動作モード制御の処理手順を示している。この図14において、図12と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。制御部113は、ステップST4でケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとき、ステップST7の処理に進む。このステップST7において、制御部113は、新HDMIあるいは現行HDMIのいずれかを選択するためのUI画面を表示部(ディスプレイ)に表示するように制御する。このUIの表示はソース機器110が伝送路200を通じてビデオ信号として伝送してもよいし、シンク機器120が自身で表示するよう指示してもよい。
その後、制御部113は、ステップST8の処理に移る。このステップST8において、ユーザのリモコンなどによる操作を制御部123はCECなどのラインを通じて通知することにより、制御部113は、ユーザが新HDMIあるいは現行HDMIのいずれを選択したかを判断する。ユーザが新HDMIを選択したとき、制御部113は、ステップST5において、データ送信部112が新HDMIの動作モードで動作するように制御する。一方、ユーザが現行HDMIを選択したとき、制御部113は、ステップST6において、データ送信部112が現行HDMI(従来HDMI)の動作モードで動作するように制御する。
「シンク機器の新HDMIへの対応判断」
制御部113における、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断の方法について説明する。この判断方法としては、例えば、以下の第1の判断方法および第2の判断方法がある。
「第1の判断方法」
制御部113は、シンク機器120からケーブル200のDDCライン(SDAラインおよびSCLライン)を用いて読み出したEDIDに基づいて、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。EDID自体は、フォーマット上で規定されたデータ構造になっている。このEDIDの所定の場所に、新たに、シンク機器120が新HDMI(新しい伝送)に対応しているか否かを示すフラグ情報が新たに定義されるとする。
図15は、EDID上に新たに定義されるフラグ情報の例を示している。本来、EDIDは様々なシンク機器120の能力を示すデータ構造体である。図15は、説明の簡単化のために、EDIDの、この発明に関係するバイトのみを示し、最低限に簡素化している。第2ビットに、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを示す1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”が記載されている。また、第1ビットに、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示す1ビットのフラグ情報“New Cable”が新たに定義される。
制御部113は、シンク機器122から読み出したEDIDに、上述の1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”が存在するとき、シンク機器120が新HDMIに対応していると判断する。すなわち、シンク機器120が現行HDMIにのみ対応している場合、シンク機器122から読み出したEDIDに、上述の1ビットのフラグ情報“New Rx Sink”は存在しない。
「第2の判断方法」
制御部113は、シンク機器120との間で、ケーブル200を通じて通信を行うことで、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。例えば、制御部113は、CECラインを用いて、コマンドベースで、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。
また、例えば、制御部113は、ユーティリティラインおよびHPDラインで構成される双方向通信路(HEAC機能)を用いてシンク機器120との間で通信を行って、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。さらに、例えば、制御部113は、伝送が有効になるまでは未使用のライン、例えばユーティリティラインなどを用いて、なんらかの信号のやり取りを行って、シンク機器120が新HDMIに対応しているか否かを確認する。
「ケーブルの新HDMIへの対応判断」
次に、制御部113における、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断の方法について説明する。この判断方法には、例えば、以下の第1〜第4の判断方法がある。第1〜第3の判断方法は、ケーブル200が新HDMIケーブルであるとき、このケーブル200が持つ情報提供機能を用いて行う判断方法である。
「第1の判断方法」
この第1の判断方法の場合、図16に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、LSI(Large Scale Integration)が内蔵されている。例えば、ソース機器110から+5Vが供給されている状態で、シンク機器120は、HPDをLに落としている間にCECプロトコルにより、このLSIに、出力を要求する。なお、この場合のシンク機器120は、新HDMIに対応しているシンク機器である。LSIは、シンク機器120からの出力要求に応じて、このLSI内に実装されるレジスタ値(新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などのケーブル特性データ)を、シンク機器120に、CECプロトコルで報告する。
シンク機器120は、LSIから報告された情報を自身のEDIDに追記する。シンク機器120は、この追記の後に、HPDをHにすることで、ソース機器110にEDIDの読み出しを指示する。制御部113は、シンク機器120から読み出したEDIDに基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、ケーブル200が新HDMI対応である旨などの情報が含まれているとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
なお、上述では、シンク機器120がCECプロトコルによりLSIに出力を要求するように説明した。しかし、ソース機器110自体が、CECプロトコルによりLSIに出力を要求し、LSIからレジスタ値(新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などのケーブル特性データ)の報告を直接受けるようにすることも考えられる。
「第2の判断方法」
この第2の判断方法の場合にも、図16に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、LSIが内蔵されている。ソース機器110は、例えばHPDがLからHに変化するタイミングで、シンク機器120から、その能力を示すEDIDを読み出して取得する。この場合、EDIDは、SDA/SCLのラインを使い、シンク機器120のEEPROM内に書かれているデータをシリアル伝送することにより、ソース側に通知される。
LSIは、EDID伝送中に、EDID情報が伝送されるライン、つまりSDA/SCLの信号を観察する。そして、LSIは、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示すフラグ情報(図15の所定バイトの第1ビット)が伝送される際に、そのビット値を、ケーブル200が新HDMIに対応している状態、つまりフラグが立っている状態に変更する。つまり、シンク機器120のEDIDROM(EEPROM)上のデータは“00000100”であるが、伝送中にケーブル内のLSIがデータを書換え、ソース機器110が受信する際には“00000110”となる。
制御部113は、シンク機器120から読み出したEDIDに基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを示すフラグ情報(図15の所定バイトの第1ビット)が、新HDMIに対応している状態になっているとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
図17は、ケーブル内LSIのEDIDデータ書換え回路の一例を示している。このLSIは、SCLライン上のクロックをカウントするカウンタと、このカウンタのカウント値に基づいて、SDAライン上のデータを書き換えるドライバを有している。
「第3の判断方法」
この第3の判断方法の場合、図18に示すように、新HDMIケーブルには、例えばプラグに、新HDMI対応である旨、および伝送可能なデータ帯域などの情報を記憶したRFタグチップ(LSI)が内蔵されている。また、ソース機器110のレセプタクル111に、RFタグ読出しチップ(LSI)が内蔵される。この場合、セプタクル111のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われ、RFタグチップに記憶されている情報が、RFタグ読出しチップにより読み出される。
制御部113は、RFタグ読出しチップにより読み出される情報に基づいて、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かの判断を行う。すなわち、制御部113は、RFタグ読出しチップによりケーブル200が新HDMI対応である旨などの情報が読み出されるとき、ケーブル200が新HDMIに対応していると判断する。
なお、上述では、ソース機器110のセプタクル111のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われ、RFタグチップに記憶されている情報がソース機器110側で読み出されるように説明した。しかし、例えば、シンク機器120のセプタクル121のRFタグ読出しチップとプラグのRFタグチップとの間で近距離無線通信が行われ、RFタグチップに記憶されている情報がシンク機器120側で読み出され、その情報がその後に、ソース機器110側に提供される構成とすることも考えられる。
「第4の判断方法」
この第4の判断方法の場合、制御部113は、ケーブル200の電気的特性の測定を行うことで、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。図19に示すように、ソース機器110の制御部113は、ピン2とピン5に対して測定・検出用のテスト信号(デジタル信号)を発信し、シンク機器120の制御部123がその信号を受信する。なお、現行HDMIケーブルではピン2とピン5に接続される一対の信号線は差動信号の送信路を構成していないが、新HDMIケーブルではピン2とピン5に接続される一対の信号線は差動信号の送信路を構成している(図7(a),(b)参照)。
シンク機器120の制御部123は、受信したデジタル信号を、他の経路(例えば、SCL/SDAで示されるHDMIのDDCライン、あるいはCECラインやユーティリティラインなど)を通じて、ソース機器110側に通知する。ソース機器110の制御部113は、シンク機器120から通知されたデジタル信号が、自身が送信したデジタル信号との一致を確認することで、ケーブル200が新HDMIに対応しているか否かを判断する。すなわち、制御部113は、受信デジタル信号が送信デジタル信号と一致するとき、ケーブル200は新HDMIに対応していると判断する。
図20(a)に示すように、ケーブル200が現行HDMIケーブルである場合、ピン2とピン5に接続される一対の信号線は、シールドツイストペア線となっていない。そのため、ケーブル200が現行HDMIに対応しているとの判断には、“高速のテスト信号は伝達することができない”ということが利用される。この際、ピン2と関連するピン1またはピン3に、ピン2とは関係ない信号を印加することにより、その干渉を利用することも可能である。この干渉により、高速のテスト信号はより伝達しがたくなる。
一方、図20(b)に示すように、ケーブル200が新HDMIケーブルである場合、ピン2とピン5に接続される一対の信号線は、シールドツイストペア線となる。そのため、ケーブル200が新HDMIケーブルに対応しているとの判断には、“高速のテスト信号は伝達することができる”ということが利用される。この際、ピン1またはピン3に、ピン2とは関係ない信号が印加されていたとしても、それらは独立してシールド処理が施されており、印加された信号とピン2が干渉することはなく、テスト信号の伝達に影響することはない。
ここで、テスト信号は、例えば、ソース機器110が出力可能な最速のデータ、かつビットエラーレートとしてHDMIが保障する10−9を評価できるだけの十分長いランダムなデータとされる。なお、シンク機器120には通常ビデオ再生のためのフレームバッファメモリが内蔵されているので、この伝送テスト専用のメモリは必要ではないかもしれない。
なお、上述の説明では、制御部113は、受信デジタル信号が送信デジタル信号と一致するときだけケーブル200が新HDMIに対応していると判断するとした。制御部113は、データの転送速度を遅くして同様のテストを行い、一致するまで上述の判断プロセスを繰り返すことにより、ケーブルの性能を確定し、新HDMIに対応していると判断するが、その伝送スピード内で実行可能なだけの伝送を行うようにしてもよい。この場合には、現行HDMIケーブルも、新HDMIに対応していると判断される可能性がある。
また、上述の説明では、ピン2とピン5を用いている。しかし、これらのピンの代わりに、現行HDMIケーブルと新HDMIケーブルと間でこれらのピンと同様の関係にあるピン8とピン11を用いてもよい。すなわち、現行HDMIケーブルではピン8とピン11に接続される一対の信号線は差動信号の送信路を構成していないが、新HDMIケーブルではピン8とピン11に接続される一対の信号線は差動信号の送信路を構成している(図7(a),(b)参照)。
また、上述の説明では、ソース機器110がシンク機器に送ったデジタル信号(テスト信号)を、それを受信したシンク機器120がソース機器110に通知し、その正否をソース機器110側で判断するものを示した。しかし、デジタル信号(テスト信号)として予め決まったパターンを伝送することにより、シンク機器120が、受信デジタル信号の正否の判定を行って、その結果のみCECなどのラインを通じてソース機器110に通知してもよいし、自身のE−EDIDにその情報を追記してもよい。
上述したように、図2に示すデジタルインタフェース20においては、ソース機器110のデータ送信部112は現行HDMIの動作モードの他に、新HDMIモードの動作モードを有するものとされている。ここで、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルは、現行HDMIにおいては3チャネルであるが、新HDMIにおいては6チャネルである。そのため、新HDMIが用いられることで、高いデータレートでの信号伝送が可能となる。また、シンク機器120、ケーブル200が新HDMIに対応していないとき、現行HDMI(従来HDMI)が用いられることで、後方互換性が確保される。
なお、上述においては、新HDMIケーブルのプラグの形状が、現行HDMIケーブル(従来HDMIケーブル)のプラグの形状と同じであるものを示した。しかし、新HDMIケーブルのプラグの形状を、現行HDMIケーブルのプラグの形状を異ならせ、ソース機器およびシンク機器の一方が新HDMIに対応していないとき、これらが新HDMIケーブルで接続されないようにすることもできる。
図21(a)は現行HDMIケーブルのプラグの形状を示し、図21(b)は現行HDMIのみに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状を示している。これに対して、図21(c)は新HDMIケーブルのプラグの形状を示し、図21(d)は新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状の一例を示している。なお、図22(a)は現行HDMIケーブルのプラグの斜視図であり、図22(b)は新HDMIケーブルのプラグの斜視図を示している。
新HDMIケーブルのプラグには凸部(矢印Pで指し示している)が設けられている。そして、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルには、プラグの凸部に対応した凹部(矢印Qで指し示している)が設けられている。この場合、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状は、新HDMIケーブルのプラグの形状に合致し、現行HDMIケーブルのプラグの形状を包含するようにされている。
新HDMIケーブルのプラグの形状および新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状を上述のように設定することで、新HDMIケーブルは、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルに接続できる。しかし、新HDMIケーブルは、現行HDMIにのみ対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルには接続できなくなる。これにより、ソース機器およびシンク機器の一方が新HDMIに対応していないとき、これらが新HDMIケーブルで接続されるということはなくなる。つまり、ソース機器およびシンク機器の双方が新HDMIに対応しているときのみ、新HDMIケーブルにより、これらの接続が可能となる。
上述したように、新HDMIにも対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルの形状は、新HDMIケーブルのプラグの形状に合致し、現行HDMIケーブルのプラグの形状を包含するようにされている。そのため、現行HDMIケーブルは、現行HDMIにのみ対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルだけでなく、新HDMIに対応したソース機器やシンク機器のレセプタクルにも接続できる。
また、上述において、現行HDMIにおけるビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルが3チャネルであるのに対して、新HDMIとしてその差動信号チャネルが6チャネルであるものを示した。しかし、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルの数は6チャネルに限定されるものではなく、4チャネル、5チャネル、さらには7チャネル等も考えられる。例えば、ビデオデータ等のデジタル信号を伝送するための差動信号チャネルを5チャネルとし、クロック周波数を1.2倍程度に高速化することで、6チャネルにした場合と同等のデータ転送速度を得ることが可能となる。
[シンク機器とシンク機器との間のデジタルインタフェース]
次に、シンク機器としてのテレビ受信機11とシンク機器としてのテレビ12との間のデジタルインタフェース30について説明する。図23は、デジタルインタフェース30の構成例を示している。
シンク機器130およびシンク機器140は、ケーブル300を介して接続されている。シンク機器130には、データ送受信部132が接続された、コネクタを構成するレセプタクル131が設けられている。シンク機器140には、データ送受信部142が接続された、コネクタを構成するレセプタクル141が設けられている。また、ケーブル300の一端にはコネクタを構成するプラグ301が設けられ、その他端にはコネクタを構成するプラグ302が設けられている。ケーブル300の一端のプラグ301はシンク機器130のレセプタクル131に接続され、このケーブル300の他端のプラグ302はシンク機器140のレセプタクル141に接続されている。
ケーブル300には、複数、この実施の形態では、Data0〜Data5の6本の差動信号レーン(ビデオ伝送レーン)が用意されており、シンク機器130とシンク機器140との間でビデオ信号等のデジタル信号の双方向伝送が可能とされている。この場合、シンク機器130とシンク機器140との間で、例えば図6に示すような構造の伝送データが伝送される。6本の差動信号レーンは、上述した新HDMIの6つのTMDSチャネル#0〜#5に対応した差動信号ラインと同様の構造とされ、それぞれ、シールドツイストペア部として構成される(図10参照)。
個々の差動信号レーンは、例えば、3.4Gbpsなどの最大伝送レートを持ち、それ以上の伝送を必要とする際には複数の差動信号レーンを使用するような構成になることにより、最大3.4×6=20.4Gbpsの伝送が可能な伝送路であるとする。この場合、扱う信号をベースバンドのビデオ信号とすることにより、送信側、受信側の双方において圧縮/伸長といった処理が必要なくなる。
さらに、個々の差動信号レーンは、自身にビデオのピクセルクロックに同期した伝送クロックが重畳され、受信側でそれを再生することにより、個々の差動信号レーンで独立して受信側でビデオ信号を再生可能であるとする。ただし、迅速に正確なデータ受信可能なクロックを生成するために、予め、その搬送クロックの周波数をリファレンスとして送信側から受信側へ通知するものとする。
ケーブル300には、双方向通信ラインが用意されており、シンク機器130とシンク機器140との間で双方向の通信が可能とされている。この双方向通信ラインは、例えば、HDMIのCECラインと同等の双方向制御ライン、あるいは、双方向差動通信ラインとして構成される。
シンク機器130は、制御部133を有している。この制御部133は、シンク機器130の全体を制御する。また、シンク機器140は、制御部143を有している。この制御部143は、シンク機器140の全体を制御する。シンク機器130,140の間でビデオ信号等のデジタル信号を伝送する際、制御部133,143の間で双方向通信ラインを利用して通信が行われ、必要であれば他方を起動し、使用レーン数、使用レーン番号、伝送方向、搬送クロック周波数などの伝送路構成が互いに確認されて決定される。そして、制御部133,143により、それぞれ、データ送受信部132,142の構成が制御される。
図23に示すデジタルインタフェース30において、シンク機器130,140は、上述したように、ビデオの送信、受信の両方の機能を持ち、個々の差動信号レーン(ビデオ伝送レーン)は双方向伝送に対応している。シンク機器130,140の間の伝送路は、予め、双方で、使用レーン、伝送方向、搬送クロック周波数などが確認されて決定されることにより、構成される。
例えば、送信を要求する送信機は、受信機に対して、例えば、上述した双方向通信ライン通じて、必要であれば他方を起動し、使用レーン、搬送クロック周波数などの情報を通知する。例えば、送信機は、現在の双方を接続する伝送路の状況を見た上で、例えば4.4Gbpsのビデオ信号を伝送する際には、差動データレーンData0,1を用いて、搬送クロック2.2GHzでビデオを伝送する旨、受信機に通知する。コマンドを受信した受信機は自身の伝送路の構成を送信機の所望する構成へと変形し、搬送クロックのリファレンスクロックを送信機指定のものに設定する。
そして、受信機は、自身の構成が完了した旨、上述した双方向通信ライン通じて、送信機へ通知する。受信機の伝送路の構成が完了した旨を認知した送信機はビデオ信号の伝送を開始する。その際、同時に自身が送信しているビデオフォーマットの形式を、最初に、例えばビデオのブランキング区間にてInfoFrameなどを送信することにより、通知し、受信機が正しく伝送されたビデオを再生できるようにする。
図24のシーケンス図は、シンク機器130,140の一方から他方にビデオ信号等のデジタル信号を送信する際の制御部133,143の制御シーケンス例を示している。ここでは、デジタル信号を送信する側を送信機とし、デジタル信号を受信する側を受信機としている。
送信機の制御部は、伝送路状況を確認し、ビデオレートに従って使用レーン(レーン数、レーン番号)および搬送クロック周波数などの伝送路構成を決定する(シーケンス(1))。なお、この伝送路構成には、伝送方向も含まれるが、ここでは、送信機から受信機の方向に決まる。また、搬送クロック周波数については、固定である場合には、決定する必要はない。
次に、送信機の制御部は、必要であれば、双方通信ラインを通じて受信機の制御部に制御信号を送って、受信機を起動する(シーケンス(2))。そして、送信機の制御部は、双方向通信ラインを介して、受信機の制御部に使用レーンおよび搬送クロック周波数を通知し、伝送(送信)を要求する(シーケンス(3))。
次に、受信機の制御部は、要求に応じた伝送路が構成されるように、データ送受信部の伝送路構成を制御し、また、搬送クロック抽出のためのリファレンスクロックの周波数を設定する(シーケンス(4))。この場合、リファレンスクロックの周波数は、通知された搬送クロック周波数に一致したものとされる。後述するが、送信機から受信機に送信されてくるデジタル信号には搬送クロックが重畳されおり、受信機側ではこのデジタル信号から搬送クロックを抽出し、抽出された搬送クロックを用いて受信処理を行う。このようにリファレンスクロックの周波数が予め搬送クロック周波数に一致したものとされることで、デジタル信号からの搬送クロックの抽出を迅速に行うことが可能となる。
次に、受信機の制御部は、データ送受信部の伝送路構成の変更が完了した旨を、双方通信ラインを通じて受信機の制御部に報告する(シーケンス(5))。ただし、受信機の制御部は、構成変更が不可な場合にはその旨を報告する。この場合、図示していないが、送信機の制御部は、受信機の制御部からの報告に基づいて、使用レーンおよび搬送クロック周波数などの伝送路構成を再決定し、上述のシーケンスを繰り返す場合もある。
送信機の制御部は、データ送受信部の伝送路構成の変更が完了した旨の報告を受けた後、自身のデータ送受信部の伝送路構成を同様に変更し、その後に、使用レーンを利用して、デジタル信号の伝送を開始する(シーケンス(6))。
なお、例えば、送信機が受信機にデジタル信号を送信する際、このデジタル信号の送信を開始する前に、その使用レーンを利用して、受信機に、このデジタル信号に重畳されている搬送クロックに同期したリファレンスクロックが送信されるようにしてもよい。これにより、受信側がこのリファレンスクロックに同期した状態となってから実際の送信デジタル信号を送信でき、受信側において正確なデジタル信号受信が可能となる。
また、例えば、送信機は、受信機に上述したようにリファレンスクロックを送信し、受信機から双方向通信ラインを通じて送信クロックに同期したことの通知があった後に、デジタル信号の送信を開始するようにしてもよい。これにより、受信側がこのリファレンスクロックに完全に同期した状態となってから実際の送信デジタル信号を送信でき、受信側においてより正確なデジタル信号受信が可能となる。
また、例えば、送信機が受信機にデジタル信号を送信する際、このデジタル信号の無効データ区間或いは制御データ送信区間などに搬送クロックの抽出を容易にするような固定パターンを適宜挿入するようにしてもよい。これにより、受信側が受信した固定パターンから搬送クロックを適宜正確に抽出し、常に同期した状態を保って受信でき、受信側においてより正確なデジタル信号受信が可能となる。
[データ送受信部の構成例]
図25は、データ送受信部150(シンク機器130,140のデータ送受信部132,142)の構成例を示している。データ送受信部150は、データ送信回路151と、データ受信回路152と、6本の差動信号レーンに対応したデータチャネルインタフェース部153-0〜153-5を有している。
データ送信回路151には、ビデオ信号等のデジタル信号である送信データと共に、ピクセルクロックが供給される。このデータ送信回路151は、送信データを、使用レーン数に応じてパッキング処理を施し、各レーンで送信すべきデジタル信号を生成して、データチャネルインタフェース部153-0〜153-5に供給する。
データチャネルインタフェース部153-0〜153-5は、送信モードあるいは受信モードに選択的に制御される。送信モードのとき、データ送信回路151から供給される送信すべきデジタル信号に所定のデータコーディング、例えば8B10B変換を施した後、搬送クロックを重畳して、対応する差動信号レーンに送出する。また、受信モードのとき、対応する差動信号レーンを通して供給されるデジタル信号から搬送クロックを抽出し、その搬送クロックに基づいてデータを取り出し、デコード処理を行って受信データを生成し、データ受信回路152に供給する。
データ受信回路152は、データチャネルインタフェース部153-0〜153-5から供給されるデジタル信号に対してデパッキング処理を施し、受信データを生成して出力する。この場合、データ受信回路152は、デジタル信号から抽出された搬送クロックに基づいて受信データに同期したピクセルクロックも生成して出力する。
データ送受信回路150のデータ送信回路151およびデータ受信回路152は、送信に使用される差動信号レーンと受信に使用される差動信号レーンとを異なる状態とすることで、並行した動作が可能とされている。すなわち、ビデオ信号等のデジタル信号の送信動作と、受信動作とを並行して行うことができる。
図26は、データチャネルインタフェース部153(153-0〜153-5)の構成例を示している。このデータチャネルインタフェース部153は、PLL(Phase Locked Loop)回路161と、エンコーダ162と、Dラッチ回路(Dフリップフロップ回路)163と、ドライバ164を有している。また、このデータチャネルインタフェース部153は、入力アンプ171と、Dラッチ回路(Dフリップフロップ回路)172と、クロック&データリカバリ回路173と、PLL回路174と、デコーダ175を有している。
エンコーダ162は、データストリーム(ビデオストリーム)に対して、例えば8B10B等の受信側でクロック抽出が可能となるような所定のデータコーディングを施す。PLL回路161は、データストリーム(送信データストリーム)に同期したピクセルクロックを逓倍して、搬送クロック(データ搬送用クロック)を生成する。逓倍情報は、データ送信回路151から通知される。
Dラッチ回路163は、エンコーダ162の出力データストリームの各ビットを、PLL回路161で生成された搬送クロックでラッチして、対応した差動信号レーンで送信すべき、搬送クロックが重畳されたデータストリームを得る。ドライバ164は、Dラッチ回路163で得られるデータストリームを対応した差動信号レーンに送出する。
入力アンプ171は、対応した差動信号レーンで送られてくるデータストリームを等化、増幅する。クロック&データリカバリ回路173は、入力アンプ171で増幅されたデータストリームから搬送クロックを抽出する。このクロック&データリカバリ回路173には、送信側から通知される搬送クロック周波数の情報に基づいて、送信側からのデータ伝送前に制御部からリファレンスクロック情報が通知される。クロック&データリカバリ回路173は、このリファレンスクロック情報により搬送クロック抽出のためのリファレンスクロックの周波数を設定する。
Dラッチ回路172は、入力アンプ171で等化、増幅されたデータストリームから、クロック&データリカバリ回路173で抽出された搬送クロックに同期して、データ抽出を行う。デコーダ175は、Dラッチ回路172で抽出された、搬送クロックに同期したデータストリームに対して、上述のエンコーダ162におけるデータコーディングとは逆の処理を行って、データストリーム(ビデオストリーム)を取得する。PLL回路174は、クロック&データリカバリ回路173で抽出された搬送クロックを分周して、ピクセルクロックを生成する。分周情報は、制御部から通知される。
ドライバ164は、データ送信回路151からの送信要求によりアクティブとなる。また、入力アンプ171は、データ受信回路152からの受信要求によりアクティブとなる。すなわち、送信要求、受信要求は、伝送方向を決める。このデータチャネルインタフェース部153は、対応する差動信号レーンでデータ伝送が行われない場合には、ドライバ164および入力アンプ171の双方がアクティブにはならず、全体が低消費電力モードとなる。
図26に示すデータチャネルインタフェース部153において、送信時の動作を説明する。この場合、ドライバ164は送信要求によりアクティブとされる。前段のデータ送信回路151からPLL回路161にピクセルクロックが供給される。PLL回路161では、ピクセルクロックが逓倍され、搬送クロック(データ搬送用クロック)が生成される。また、前段のデータ送信回路151からエンコーダ162にデータストリーム(ビデオストリーム)が供給される。このエンコーダ162では、所定のデータコーディングが施される。
エンコーダ162の出力データストリームは、Dラッチ回路163に供給される。また、PLL回路161で生成された搬送クロックは、Dラッチ回路163にラッチクロックとして供給される。Dラッチ回路163では、エンコーダ162の出力データストリームの各ビットが、搬送クロックでラッチされて、対応した差動信号レーンで送信すべき、搬送クロックが重畳されたデータストリームが得られる。このデータストリームは、ドライバ164を通じて、対応した差動信号レーンに送出される。
図26に示すデータチャネルインタフェース部153において、受信時の動作を説明する。この場合、入力アンプ171は受信要求によりアクティブとされる。対応した差動信号レーンで送られてくるデータストリームは入力アンプ171で等化、増幅された後にDラッチ回路172およびクロック&データリカバリ回路173に供給される。クロック&データリカバリ回路173では、データストリームから搬送クロックが抽出される。
クロック&データリカバリ回路173で抽出された搬送クロックはDラッチ回路172にラッチクロックとして供給される。Dラッチ回路172では、入力アンプ171から供給されるデータストリームから、搬送クロックに同期して、各ビットのデータ抽出が行われる。Dラッチ回路172の出力データストリームは、デコーダ175に供給される。このデコーダ175では、搬送クロックに同期したデータストリームに対して、デコード処理が行われて、データストリーム(受信データストリーム)が生成される。
また、クロック&データリカバリ回路173で抽出された搬送クロックはPLL回路174に供給される。PLL回路174では、搬送クロックが分周されて、ピクセルクロックが生成される。デコーダ175で得られるデータストリーム(ビデオストリーム)およびPLL回路174で得られるピクセルクロックは、後段のデータ受信回路152に送られる。
図27は、データ送信回路151の構成例を示している。このデータ送信回路151は、データパッキング方法決定回路181と、各差動信号レーンに対応したデータパッキング回路182を有している。データパッキング方法決定回路181は、制御部から通知されるビデオフォーマット情報と、制御部から通知される伝送路の状況(空きレーン情報など)を用いて、使用レーン数、使用レーン番号、パッキングフォーマット、搬送クロック周波数などを決定する。また、データパッキング方法決定回路181は、使用レーンのデータパッキング回路182をアクティブにすると共に、そのレーンに対応したデータチャネルインタフェース部153(図26参照)のドライバ164に送信要求を通知してアクティブにする。
データパッキング回路182は、データパッキング方法決定回路181からの指示に基づき、入力されたデータストリーム(ビデオストリーム)のデータをリパッキングする。そして、データパッキング方法決定回路181で決定された所定数の使用レーンで送信される形に変形する。このデータパッキング回路182から、使用レーンのデータチャネルインタフェース部153に、データストリームおよび逓倍情報が送られる。なお、データ送信回路151においては、入力されたデータストリーム(ビデオストリーム)からピクセルクロックが抽出され、このピクセルクロックが、使用レーンのデータチャネルインタフェース部153に送られる。
図28は、データ受信回路152の構成例を示している。このデータ受信回路152は、各差動信号レーンに対応したデータデパッキング回路183を有している。このデータ受信回路152においては、制御部から通知された使用レーン情報に基づき、必要なレーンのデータデパッキング回路183がアクティブとされる。アクティブとされたデータデパッキング回路183は、前段のデータチャネルインタフェース部153から受信したデータストリームを、制御部から通知されるビデオパッキング情報に基づき、デパッキングを施し、データストリーム(ビデオストリーム)を生成する。このデータストリームのデータ形式は、後段が理解できる形とされる。
なお、データデパッキング回路183は、デパッキング処理の際に取得できるビデオフォーマット情報も後段に伝える。また、このデータ受信回路152において、ピクセルクロックに関しては、既に前段のデータチャネルインタフェース部153で生成されているので、そのまま後段へ伝える。
[ビデオ伝送パッキング例]
次に、ビデオ伝送パッキング例について説明する。図29は、現行HDMIで用いられているビデオ伝送フォーマットの例を示している。現行HDMIでは、データレーンを3本有し、それぞれにRGB信号が割り当てられて伝送される。各ピクセルの境目(破線の縦線で図示)がピクセルクロックとなる。
図30は、本発明にて用いられる伝送を、より効率よく行うためのリパッキングの例である。この場合は、2本のデータレーンが用いられている。全体のデータレートは3.55Gbpsとなり、1本のデータレーンの最大伝送レートを超過しているものとする。この場合も、各ピクセルデータの境目(破線の縦線で図示)がピクセルクロックとなる。
図31は、図30にて用いたのと同じフォーマットのビデオ信号を2ストリーム分伝送している例である。ここで、Data #0とData #1で第1のビデオ伝送が構成され、Data #2とData #3で第2のビデオ伝送が構成されている。また、それぞれは完全に独立しているので、図のように2つのビデオ伝送の方向は異なっていても構わない。さらに、ここでは2つのビデオ伝送が同じデータレートとなっているが、異なっていても構わない。さらに、Data #4とData #5はアクティブになっていないので、低消費電力モードになることが可能で余分な電力消費を抑制することになる。
[部屋間接続の動作例]
次に、図1に示すAVシステム10における動作例を説明する。ここでは、寝室のテレビ受信機12の視聴者が、リビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器のビデオの視聴を希望した場合を考える。
リビングのテレビ受信機11は、それに接続されているソース機器のビデオ信号を、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間のデジタルインタフェースを通じて、寝室のテレビ受信機12に伝送する能力を持っているものとする。また、リビングのテレビ受信機11は、その接続先である寝室のテレビ受信機12の表示能力などを、例えばHDMIのDDCラインに相当するような別系統のデータラインを用いて、寝室のテレビ受信機12のEDIDなどを取得することにより、認識している必要がある。
例えば、図1に示すように、テレビ受信機11とテレビ受信機12との接続が確立されたときに、双方はビデオ伝送路以外の経路、例えばHDMIでいうところのDDCラインのような系を用いて、双方の性能を記したEDIDを交換する。なお、接続確立時に双方のテレビ受信機間でEDIDを交換して予め格納しておく代わりに、部屋間伝送を必要とする場合が発生する都度、送信側のテレビ受信機が受信側のテレビ受信機のEDIDの読出しを行ってもよい。
図32のシーケンス図を参照して動作例を説明する。なお、この図32においては、リビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器としてセットトップボックス14aおよびDVDプレーヤ14bのみを示している。
寝室のユーザ(視聴者)が、例えば、リビングに存在するソース機器のリストやそのコンテンツなどを表示するアプリケーション上から1つのソース機器(例えば、DVDプレーヤ14b)を選択する。この場合、ユーザはリモコン送信機などからテレビ受信機12に接続機器リスト表示要求を送る。寝室のテレビ受信機12は、双方向通信ラインなどを通じて、必要であれば起動し、リビングのテレビ受信機11に接続機器リスト要求を送信する。
リビングのテレビ受信機11は、自身に接続されているソース機器に対して、アクセス選択用状態伝送要求を送る。それに対して、各ソース機器は、アクセス選択用状態データを、テレビ受信機11に送る。テレビ受信機11は、各ソース機器からのアクセス選択用状態データに基づいて接続機器リストデータを作成し、この接続機器リストデータを、双方向通信ラインなどを通じて、寝室のテレビ受信機12に送信する。
寝室のテレビ受信機12は、自身に接続されているソース機器と共に、リビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器のリストおよびそれらの状態を、UI表示する。図33は、そのUI表示の一例を示している。この例では各機器の名称のみがリストアップされているが、より高度な選択を可能にするよう各ソース機器の再生中のコンテンツや選択中のチャンネルなどの情報が含まれていてもよい。寝室のユーザは、このUI表示に基づいて、1つのソース機器を選択する。ここでは、リビングのDVDプレーヤ14bが選択されたものとする。
寝室のテレビ受信機12は、リビングのDVDプレーヤ14bに対して、再生を指示する。この場合、テレビ受信機12は、双方向通信ラインなどを通じて、リビングのテレビ受信機11にリビングのDVDプレーヤ再生要求を送信する。このリビングのテレビ受信機11は、自身に接続されたDVDプレーヤ14bをアクティブソースとして、このDVDプレーヤ14bに再生要求を送る。DVDプレーヤ14bは、リビングのテレビ受信機11にEDIDを要求する。
リビングのテレビ受信機11は、自身のEDIDを伝送する代わりに、先に取得しておいた寝室のテレビ受信機12のEDIDを、DVDプレーヤ14bに伝送する。DVDプレーヤ14bは、自身の能力と取得したEDIDから認識した寝室のテレビ受信機12の能力を照らして、最適な送信方法を決定する。そして、その送信フォーマットをInfoFrameに格納し、デジタル映像データと共にHDMIにて、リビングのテレビ受信機11へ伝送する。
リビングのテレビ受信機11は、自身に接続されたDVDプレーヤ14bから取得した伝送ビデオフォーマット等から、寝室のテレビ受信機12との間の伝送で使用すべきレーン(レーン数、レーン番号)および搬送クロック周波数などを決定し、その情報を寝室のテレビ受信機12に通知し、両者間の伝送インターフェースを確立する。リビングのテレビ受信機11は、必要であれば、フォーマット変換により、DVDプレーヤ14bから受信したデジタルビデオデータの形式を変更し、ケーブル13を通じて、寝室のテレビ受信機12にストリーム伝送する。ここで、デジタルビデオデータの形式を変更とは、例えば、上述したようにリパッキングを施し、3本の伝送レーンから2本の伝送レーンへの変更等である。
以上のプロセスにより、寝室のテレビ受信機12で、リビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器からのビデオ信号の受信が可能になる。これらの制御は、上述したように、双方の機器間で双方向通信ラインにてコマンドベースで実行される。
なお、図32に示すシーケンスにおいて、ソース機器を選択するための表示は部屋間接続が可能な際に実現されるユーザインタフェースのアプリケーションの一例であり、部屋間接続特有のその他アプリケーション、例えば、他接続機器へのデコードの要請、録画予約のデータベース化などの実現も可能である。
また、図32に示すシーケンスにおいて、例えば、6本の差動信号レーン(ビデオ伝送レーン)のうち、Data 0、Data 1の2本を使用しているとする。この場合、例えば、リビングのテレビ受信機11は、同時に、寝室のテレビ受信機12に接続されているソース機器からビデオデータを受信することも可能である。
リビングのテレビ受信機11のソース機器から寝室のテレビ受信機12への接続(第1の接続)では、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間を接続するインターフェースは、以下の構成とされる。すなわち、このインターフェースは、例えば差動信号レーン0、1を用いて、テレビ受信機11からテレビ受信機12への方向でビデオを伝送する構成とされる。
その後、リビングのテレビ受信機11から寝室のテレビ受信機12に接続されているソース機器への伝送要求があった場合は、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間を接続するインターフェースは、さらに、以下の構成が追加される。すなわち、このインターフェースは、例えば差動信号レーン2、3を用いて、テレビ受信機12からテレビ受信機11への方向でビデオを伝送する構成が追加される。実際のビデオ再生までのプロセスは、上述した寝室のテレビ受信機12がリビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器からのビデオ再生を受けることと全く同じである。
なお、上述の動作例は、寝室のテレビ受信機12の視聴者がリビングのテレビ受信機11に接続されているソース機器のビデオを視聴する例を示した。この際、これと同時に、リビングのテレビ受信機11の視聴者が、同じビデオを視聴することも可能である。同様に、例えば、寝室のテレビ受信機12で視聴しているビデオの伝送を、他の部屋のテレビ受信機が寝室との接続において要求することも可能である。このようにして、所謂、同一のコンテンツを家庭内において、多地点で視聴する、つまり1つの送信機と複数の受信機を接続する方法を本発明の接続を適用することにより、実現することも可能である。
上述したように、図1に示すAVシステム10においては、リビングのテレビ受信機11と寝室のテレビ受信機12との間にケーブル13が接続されており、このケーブル13には、複数、例えば6本の差動信号レーンが用意されている。そして、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間では、この差動信号レーンを利用してビデオ等のデジタル信号の双方向伝送を行うことができる。
この場合、テレビ受信機11とテレビ受信機12との間では、ケーブル13に用意されている双方向通信ラインを利用した通信により、使用レーン(レーン数、レーン番号)、搬送クロック周波数などが確認決定される。そのため、複数の差動信号レーンのうち、伝送に必要とする差動信号レーンのみを用いて双方向伝送を行うことができ、ビデオなどのデジタル信号を他の電子機器との間で双方向に効率よく伝送することが可能となる。
<2.変形例>
なお、上述の実施の形態においては、リビングのテレビ受信機11と寝室のテレビ受信機12とがケーブル13を介して接続された例を示しているが、3部屋以上の間で接続される構成も同様に考えられる。図34および図35は、多部屋間接続形態の一例を示している。
図34の形態の場合、すなわち個々の部屋間接続を担う機器が経路中に存在する場合は、少なくともインターフェース部分のみ起動し、受信したデータを他方のインターフェースへ伝送する。図35の形態の場合は、中心に位置するスイッチ機器が、各部屋間接続機器の接続時に行われるデータレーンの割当てなどを仲介する。
図36のシーケンス図は、図35の形態、すなわち部屋間接続においてスイッチ機器が介在している場合の伝送開始までの制御に関するシーケンスを概略的に示している。この図において、送信側のテレビ受信機(シンク機器)を送信機とし、受信側のテレビ受信機(シンク機器)を受信機としている。
部屋間接続にスイッチ機器が介在する場合は、部屋間接続については常にスイッチ機器が関与することになる。送信機側からはスイッチ機器しか見えていないため、スイッチ機器は常に送信機が部屋間で接続できる受信機の全ての振る舞いを行う必要がある。また、送信機から送られる指示については全て対象の受信機へ再送し、受信機からの報告についても同様である。
すなわち、送信機がスイッチ機器に受信機との間の伝送路状態確認を要求するとき、スイッチ機器は送信機と受信機の両者の伝送路の状況を確認する。この場合、スイッチ機器は、必要であれば、受信機側の伝送路のスワップを行い、最大限の空きを確保してもよい。そして、スイッチ機器は、送信機に、受信機との間の伝送路状態確認を報告する。
送信機は、伝送路状況を確認し、ビデオレートに従って使用レーン(レーン数、レーン番号)および搬送クロック周波数などの伝送路構成を決定する。なお、この伝送路構成には、伝送方向も含まれるが、ここでは、送信機から受信機の方向に決まる。また、搬送クロック周波数については、固定である場合には、決定する必要はない。
次に、送信機は、スイッチ機器に、使用レーンおよび搬送クロック周波数を通知し、伝送(送信)を要求する。これに対して、スイッチ機器は、必要であれば伝送路をスワップする。例えば、送信機においては、Data 4、Data 5が使用されておらず、受信機においては、Data 0、Data 1が使用されていない場合を考える。この場合、スイッチ機器は、受信機において使われていないレーンを送信機側にData 0、Data 1であると通知し、スイッチ機器内で両レーンをスワップすることにより、より効率よく接続が可能になるようにしてもよい。
次に、スイッチ機器は、受信機に、使用レーンおよび搬送クロック周波数を通知し、伝送(送信)を要求すると共に、両機器間の接続スイッチの構成を変更する。受信機は、要求に応じた伝送路が構成されるように、データ送受信部の伝送路構成を制御し、また、搬送クロック抽出のためのリファレンスクロックの周波数を設定する。この場合、リファレンスクロックの周波数は、通知された搬送クロック周波数に一致したものとされる。このようにリファレンスクロックの周波数が予め搬送クロック周波数に一致したものとされることで、デジタル信号からの搬送クロックの抽出を迅速に行うことが可能となる。
次に、受信機は、データ送受信部の伝送路構成の変更が完了した旨を、スイッチ機器に報告する。ただし、受信機は、構成変更が不可な場合にはその旨を報告する。スイッチ機器は、この受信機からの報告を、さらに、送信機に報告する。なお、受信機からの報告が、構成変更が不可であるとの場合には、図示していないが、送信機は、スイッチ機器からの報告に基づいて、使用レーンおよび搬送クロック周波数などの伝送路構成を再決定し、上述のシーケンスを繰り返す場合もある。
送信機は、データ送受信部の伝送路構成の変更が完了した旨の報告を受けた後、自身のデータ送受信部の伝送路構成を同様に変更し、その後に、使用レーンを利用して、デジタル信号の伝送を開始する。
また、上述実施の形態において、例えばData0、1を使用している際のData2−5は新たな接続が構成されるまでは、アクティブになっている必要はない。これらのレーンを低消費電力モードとするか、あるいは電源供給を断つことによって、インターフェースとしてのシステムで消費される電力を必要最小限に留めて置くことも可能である。さらに、インターフェースを別系統のHDMIのCECラインに相当するような双方向通信ラインにて他方から起動することも可能なので、起動されるまではそのライン以外のシステムの電源を全て落としておくことも可能である。
また、上述実施の形態において、各部屋のテレビ受信機とソース機器との間は現行HDMIなどで接続されている。しかし、これらの間も、各部屋のテレビ受信機間の接続と同様のデジタルインタフェース30(図23参照)で接続されるようにしてもよい。