JP5892103B2 - クロム鉱石の溶融還元方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ステンレス溶製プロセス中の一工程である、反応容器におけるクロム鉱石の溶融還元方法に関し、詳しくは、反応容器内に収容される溶融鉄の上方に上吹きランスを設置し、該上吹きランスの先端部に火炎を形成して、クロム鉱石を、前記火炎の中を通過させることで加熱してから溶融鉄へ供給するクロム鉱石の溶融還元方法に関する。
転炉型製錬炉などの反応容器に収容される溶融鉄に酸化クロムなどのクロム源を添加し、添加したクロム源を溶融して還元する溶融還元処理において、クロム源として、酸化クロムを含むクロム鉱石は安価であるため、その使用量を多くすることが望まれる。しかしながら、クロム鉱石の溶融には熱が必要である上に、酸化クロムの還元反応は吸熱反応であるため、溶融還元の実施には多量の熱が必要となる。このため、クロム鉱石の使用量は、溶融鉄への熱の供給量でその上限が決まる。よって、クロム鉱石の溶融還元を実施する際に、溶融鉄への熱の供給量を迅速に向上させる(溶融鉄を昇熱する)ことは、溶融還元を効果的に実施するだけでなく製造コストを削減することにつながる。
従来、反応容器に収容された溶融鉄を昇熱するための熱源には、その反応容器内に酸素を上方または底部から供給して、その酸素で溶融鉄中に添加された炭素源を燃焼(以下「一次燃焼」と呼ぶ)させて得られる一次燃焼熱と、この一次燃焼によって発生する一酸化炭素(COガス)を更に燃焼(以下「二次燃焼」と呼ぶ)させて二酸化炭素(COガス)を生成することによって得られる二次燃焼熱と、が利用されている。さらに、近年、溶融鉄への着熱効率の良いクロム鉱石の溶融還元方法が提案されている。鉄浴型溶融還元炉の軸心上に設置された酸化性ガスを供給する上吹きランスとは別に、鉱石装入ランスを設置し、前記鉱石装入ランスの先端部に鉱石の流通孔を設けるとともに燃料と酸素とを吹込む噴射孔からなるバーナーを設け、当該バーナーから発生する火炎の中を通過するように鉱石を鉄浴型溶融還元炉内に装入することで、溶湯(溶融鉄)へのさらなる熱エネルギーの供給を可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
また、反応容器内に、酸化性ガスと製錬用粉状物質とを供給する上吹きランスが開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示されている上吹きランスには、その先端部に、酸化性ガスを噴射するためのノズルとは別に、搬送用ガスとともに、精錬用粉粒状物質を炉(反応容器)内に吹き込むための流通孔が設けられ、かつ、燃料及び酸化性ガスを吹き込む噴射孔からなるバーナーが設けられている。この上吹きランスは、炉内に酸化性ガスを供給する機能を有するとともに、バーナーで火炎を形成し、精錬用粉粒状物質をその火炎に通過させて、炉内に吹き込む機能をも有している。この上吹きランスを用いて、着熱効率を高めて効率的に溶鉄(溶融鉄)を昇熱することを可能にしている。
クロム鉱石の溶融還元処理において溶融還元量を増大させるためには、溶融鉄を迅速にかつ効率的に昇熱させると同時に、反応容器に投入されるクロム鉱石を含んだ物質のバーナー火炎による昇熱量を高めることが重要である。この昇熱量が小さい場合には、燃料の昇熱に寄与しない熱量が多く、燃料を余分に使用している上に、反応容器内の雰囲気を過熱することに繋がるため、反応容器内の耐火物がより損耗してしまう。また、特許文献1及び特許文献2で開示されている技術では、反応容器に投入される物質のバーナー火炎による昇熱量が十分ではないという事情がある。
特開2007−138207号公報 特開2010−209436号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、反応容器に吹き込まれる物質へのバーナー火炎による昇熱量をより向上させたクロム鉱石の溶融還元方法を提供することである。
本発明者らは、バーナーが形成する火炎の熱の大部分が粉粒状のクロム鉱石へ伝わる前に、該クロム鉱石がバーナー火炎外へ移動してしまう現象に着目し、鋭意検討した。その結果、本発明者らは、100μm以下の粒子の製錬用粉体と粉粒状のクロム鉱石とへの着熱効率が高いこと、かつ、100μm以下の粒子の質量比率が、粉粒体状のクロム鉱石より高い製錬用粉体を、粉粒体状のクロム鉱石と混合することで、その混合物への昇熱量が改善されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)炭素源が添加された溶融鉄を収容する反応容器内に、製錬用酸化性ガス供給ランスから製錬用酸化性ガスを供給しつつ、前記製錬用酸化性ガス供給ランスとは別に設置したクロム鉱石供給ランスの先端部に、燃料を燃料燃焼用酸化性ガスによって燃焼させた火炎を形成し、粉粒状クロム鉱石を前記火炎の中を通過させて前記反応容器内に供給し、供給した前記粉粒状クロム鉱石を前記反応容器内で還元するクロム鉱石の溶融還元方法において、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、前記粉粒状クロム鉱石よりも多い製錬用粉体を前記粉粒状クロム鉱石と共に同じ供給口から前記反応容器内に供給することを特徴とするクロム鉱石の溶融還元方法。
(2)炭素源が添加された溶融鉄を収容する反応容器内に、製錬用酸化性ガスを供給しつつ、前記製錬用酸化性ガス供給用の製錬用酸化性ガス供給ランスの先端部に、燃料を燃料燃焼用酸化性ガスによって燃焼させた火炎を形成し、粉粒状クロム鉱石を前記火炎の中を通過させて前記反応容器内に供給し、供給した前記粉粒状クロム鉱石を前記反応容器内で還元するクロム鉱石の溶融還元方法において、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、前記粉粒状クロム鉱石よりも多い製錬用粉体を前記粉粒状クロム鉱石と共に同じ供給口から前記反応容器内に供給することを特徴とするクロム鉱石の溶融還元方法。
(3)前記粉粒状クロム鉱石と前記製錬用粉体との混合物の全質量のうち、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が10質量%以上であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載のクロム鉱石の溶融還元方法。
(4)前記製錬用粉体が、前記粉粒状クロム鉱石を溶融還元したときに排出される、クロムを含むダストであることを特徴とする上記(1)ないし上記(3)のいずれかに記載のクロム鉱石の溶融還元方法。
本発明によれば、反応容器に収容された溶融鉄の上方に、製錬用酸化性ガス供給ランス及び/またはクロム鉱石供給ランスを設置し、粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体とを含む混合物が、製錬用酸化性ガス供給ランスまたはクロム鉱石供給ランスの先端部に形成される火炎中を通過するように、前記混合物を供給してクロム鉱石を溶融還元する際に、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が粉粒状クロム鉱石よりも高い製錬用粉体を、粉粒状クロム鉱石に混合しているので、前記混合物への火炎の昇熱量が向上し、火炎の熱が溶融鉄に効果的に伝達される。その結果、溶融鉄は効率的に着熱され、製錬の効率化、製造コストの削減、省エネルギーの達成など工業上有益な効果がもたらされる。
本発明を実施する際に用いる製錬設備を示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いる製錬設備を示す概略断面図である。図1に示すように、製錬設備1は、反応容器2と、この反応容器2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な製錬用酸化性ガス供給ランス3と、該製錬用酸化性ガス供給ランス3とは別に設置した、上下方向に移動可能なクロム鉱石供給ランス4と、を有している。また、該クロム鉱石供給ランス4には、流路を介して混合物収容器5が接続されている。
反応容器2の内側には、耐火物が設けられており、この反応容器2に、1200℃程度の高温の溶融鉄6を装入して、反応容器2で溶融鉄6を収容する。反応容器2の上部の側壁には、クロム鉱石の溶融還元処理終了後に、溶融鉄6を出湯するための出湯口8が設けられている。
製錬用酸化性ガス供給ランス3は、製錬用酸化性ガス供給流路を有しており、該製錬用酸化性ガス供給流路には酸化性ガス供給管が接続されている。前記酸化性ガス供給管を通じて、酸化性ガス(製錬用酸化性ガス)11を製錬用酸化性ガス供給流路へ供給して、製錬用酸化性ガス供給ランス3から酸化性ガス11を反応容器2内へ供給する。
反応容器2の上方には、図示しないシュートが配置されており、このシュートから、例えば、無煙炭などの炭素源7を溶融鉄6に添加(投入)する。製錬用酸化性ガス供給ランス3から酸化性ガスを反応容器2内へ供給する前に、及び/または、供給している間に、炭素源7を溶融鉄6に投入する。
クロム鉱石供給ランス4は、クロム鉱石供給流路と、燃料供給流路と、燃料燃焼用酸化性ガス供給流路と、を別々に有している。クロム鉱石供給ランス4の先端部には、各供給流路が連通する噴射孔が設けられている。製錬用酸化性ガス供給ランス3及びクロム鉱石供給ランス4は、これらを冷却するための冷却水を供給及び排出するための冷却水給水路及び排水路を更に有している。
クロム鉱石供給ランス4の燃料供給流路には燃料ガス供給管が接続されており、燃料燃焼用酸化性ガス供給流路には酸化性ガス供給管が接続されている。該燃料ガス供給管を通じて、プロパンガス、液化天然ガス、コークス炉ガスなどの燃料12が燃料供給流路に供給され、前記酸化性ガス供給管を通じて、酸化性ガス11が燃料燃焼用酸化性ガス供給流路に供給される。酸化性ガス11としては、一般的に酸素ガスが用いられる。燃料12を燃料供給流路に供給するとともに、酸化性ガス11を燃料燃焼用酸化性ガス供給流路に供給して、燃料12及び酸化性ガス11をクロム鉱石供給ランス4の先端に送る。該先端の噴射孔から、燃料12及び酸化性ガス11を噴射して、溶融鉄6の温度によって着火源を要さず燃焼させて、溶融鉄6の浴面に向けて、クロム鉱石供給ランス4の先端部に火炎を形成する。
混合物収容器5には、窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスを供給する不活性ガス供給管が接続しており、この不活性ガスを混合物収容器5へ供給する。この混合物収容器5は、粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との混合物13を収容しており、クロム鉱石供給ランス4のクロム鉱石供給流路に接続している。前記不活性ガスをキャリアガスとして、前記混合物13を混合物収容器5からクロム鉱石供給流路へ供給し、クロム鉱石供給ランス4の先端部に形成された火炎を通過するように、混合物13を反応容器2内に供給する。すなわち、製錬用粉体を、粉粒状クロム鉱石と共に同じ供給口から反応容器内に供給する。
反応容器2の底部には、複数の底吹き羽口14が設けられており、この底吹き羽口14には、酸化性ガス11の導入管が接続されている。この底吹き羽口14から、反応容器2へ酸化性ガス11が吹き込まれる。また、製錬用酸化性ガス供給ランス3からも、酸化性ガス11が反応容器2へ吹き込まれる。溶融鉄6中に添加された炭素源7が、これらの酸化性ガス11と反応し一次燃焼して、溶融鉄6には、一酸化炭素と一次燃焼熱とが生じる。この一酸化炭素は、反応容器2内の空間で酸化性ガス11と更に反応して二次燃焼し、二次燃焼熱が生じる。この二次燃焼熱の一部は、スラグ21を介して溶融鉄6に伝わる。更には、昇温した混合物13が溶融鉄6に供給されて、スラグ21中の酸化クロムの還元に必要な熱量の一部が供給される。
溶融鉄6に向けて供給された混合物13中のクロム鉱石はスラグ21中に浮遊して、やがてスラグ21中に溶解し、クロム鉱石中の酸化クロムや脈石成分がスラグ21の液相中に供給される。また、生石灰、珪石などの副原料を、溶融鉄6へ、図示しないホッパーから別途上置き投入することも可能であり、そのような副原料によってスラグ21の組成が調整される。酸化クロムは、スラグ21中で、炭素源7や溶融鉄6中の炭素を還元材として還元され、金属クロムとなる。この還元反応は大きな吸熱量を伴い、この吸熱量に対応する熱量には、上述した一次燃焼熱と、二次燃焼熱と、昇温した混合物13が有する顕熱とが使用される。生成した金属クロムは、スラグ21に対して密度が大きいので、沈降するなどしてスラグ21から溶融鉄6中に溶け込む。このようにして、反応容器内の温度を1550〜1600℃程度のクロム鉱石の溶融還元に適した温度に維持するように、熱供給速度に応じて混合物13の供給速度を調整することによって、クロム鉱石の溶融還元操業が行われる。
溶融鉄6へ供給される混合物13のクロム鉱石と製錬用粉体との配合率及び粒度分布を調整することによって、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、粉粒状クロム鉱石よりも多い製錬用粉体を有する混合物13を火炎に通過させることで、クロム鉱石と製錬用粉体とがより高い温度まで加熱されてから溶融鉄6へ供給される。このため、着熱効率を高めることが可能となる。
着熱効率(%)は次の(1)式で求めることができる。
着熱効率(%)=100×((反応容器内物質の顕熱増加量+反応容器内に投入された混合物13中の酸化物の還元熱)/(一次燃焼熱+二次燃焼熱+燃料の燃焼熱))・・・(1)
溶融鉄6に混合物13を供給している期間において着熱効率を評価し、着熱効率が50%以上であれば、非常に効率よく熱をクロム鉱石の溶融還元に用いることができたといえる。なお、反応容器内物質の顕熱増加量及び酸化物の還元熱に寄与しなかった熱は、反応容器2からの排ガスの顕熱などとなってしまっている。
反応容器内物質の顕熱増加量は、着熱効率を評価した期間における反応容器内物質(溶融鉄、スラグ、炭材)の質量と温度の変化から算出することができ、反応容器2内物質の顕熱増加量の大部分は反応容器内に投入された混合物13の顕熱増加量に相当する。
なお、(1)式における、還元熱とは、混合物13中のクロムおよび鉄の酸化物を還元するために必要となる熱量のことであり、混合物13の組成、供給量および還元率がわかれば、理論的に還元熱を算出することが可能である。還元率は、着熱効率を評価した期間における溶融鉄中のクロム濃度の変化から算出することができる。
一次燃焼熱と二次燃焼熱とは、溶融鉄6に添加した炭素源7の燃焼熱であり、その炭素源7の組成、量、及び、排ガスの成分分析値に基づいて、理論的に算出することが可能である。(1)式における燃料の燃焼熱とは、クロム鉱石供給ランス4の先端部に形成される火炎の熱のことであり、供給される燃料の組成と量とがわかれば、理論的に算出することが可能である。
着熱効率を向上させるためには、上記(1)式から、特に、分母の(燃料の燃焼熱)を、混合物13の昇熱に効果的に用いて、混合物13の熱を溶融鉄6に伝達し、分子の(反応容器内物質の顕熱増加量)を増大させることが重要であることとわかる。
更には、混合物13の全質量のうち、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との合計質量比率を10質量%以上とすれば、混合物13を、クロム鉱石供給ランス4の先端部に形成される火炎によって、より効果的に昇熱させることが可能である。製錬用粉体とは、クロム鉱石を除いた、クロム鉱石供給ランス4から溶融鉄6へ供給される粉体をいう。製錬用粉体としては、例えば、クロムを含むダストやスラッジを乾燥した粉体の他、ニッケル、マンガン、モリブデンなどの有価金属の酸化物を含む鉱石やダストなどの粉体、製錬上必要な造滓材の粉体などが挙げられるが、ステンレス鋼の精錬やクロム鉱石を溶融還元したときに排出される、クロムを含むダストであることが好ましい。混合物に含まれるダスト及びクロム鉱石の累積粒度分布の一例を表1に示す。
Figure 0005892103
クロム鉱石は硬いため、例えば、ハンマーなどの粉砕機で、粒径を小さくするために多大な動力が必要となる。このため、粉砕コストや粉砕機の寿命を考慮すると、クロム鉱石の累積粒度分布は、概ね表1に示すような粒径100μm以下の比率が非常に少ない分布になる。一方で、転炉でのクロム鉱石の溶融還元工程やステンレス鋼の脱炭工程、クロム銑を得る竪型移動層溶融還元炉で発生して回収されるクロムを含むダストは、表1に示すように、粉粒状のクロム鉱石と比べてその粒子が細かく粒径100μm以下の比率が高いため、熱媒体として好適である。ここで、粒径100μm以下の粒子はそれ自身が火炎の中を通過する際に加熱されて高温となることによって熱媒体として機能するだけでなく、火炎からクロム鉱石に熱を伝達する媒体として有効に機能するため、比較的少量の含有比率であっても大きな熱効率の向上効果が得られる。
高温の火炎から混合物13への伝熱は、対流伝熱と輻射伝熱とによるが、加熱された混合物13の粒子自身も輻射伝熱の媒体となり得る。この際、粒径の小さな粒子ほど短時間で高温になり易く、比表面積も大きいことから輻射伝熱の媒体として有効である。一般に、クロム鉱石に含まれる酸化物、特に酸化クロムは、気体に比べて非常に高い輻射率を有してはいるが、前述のようにクロム鉱石は粒径100μm以下の粒子の比率が少なく、比表面積(表面積/体積)が小さいため、輻射による伝熱の媒体として有効なものではない。
本発明のクロム鉱石の溶融還元方法では、粒径100μm以下の粒子の比率がクロム鉱石よりも多い製錬用粉体を、クロム鉱石と共に火炎の中を通過させて反応容器内に供給することによって、火炎から混合物13への伝熱(粒径100μm超の粒子への伝熱も含む)を促進させている。粒子の比表面積は粒径に反比例することから、粒径の小さい粒子ほど輻射伝熱の媒体として有効に機能する。クロム鉱石では粒径100μm以下の粒子の比率が小さいが、本発明では、この粒径範囲の粒子を加え合わせることで、効果的に輻射による混合物13への伝熱量を高めている。
表1は、クロム鉱石及びダストの各粒径以下の粒子の百分率での質量比率を示している。表1によれば、クロム鉱石では、粒径が100μm以下のクロム鉱石が、そのクロム鉱石全体のうち7%含まれていることになる。ダストの場合もクロム鉱石の場合と同様に粒子の割合が示され、ダストの場合には、粒径が100μm以下のダストが、そのダスト全体のうち40%含まれていることになる。
表1に示すクロム鉱石とダストとの配合率をともに50%とした混合物を作製することを想定し、クロム鉱石を100gとダストを100gとを混合して得られる混合物の場合には、全質量が200gとなり、混合物の全質量に対する、粒径が100μm以下である製錬用粉体の質量比率は20%(=100×(40/200))であり、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石の質量比率が3.5(=100×(7/200))%である。よって、この場合の混合物13は、粒径が100μm以下の粒子の製錬用粉体(ダスト)の質量比率が、粉粒状クロム鉱石より多く、かつ、全質量のうち、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との合計質量比率が10質量%以上となっており、火炎によって、混合物13をより効果的に昇熱させることができる。このようにして、予め、粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との粒度分布を調べておき、混合物の配合率を調整することで、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との質量比率を調整することが可能である。
上述のようなクロム鉱石の溶融還元処理を行ない、溶融鉄6中のクロムの質量比率(%)が、所望の値となるように、製錬用酸化性ガス供給ランス3からの酸化性ガス11の供給、炭素源7や副原料の供給、及びクロム鉱石供給ランス4からの混合物13の供給を行った後、スラグ中に蓄積された酸化クロムを還元する仕上げ還元を経て、クロム鉱石の溶融還元処理を終了する。クロム鉱石の溶融還元処理の終了後、反応容器2を傾動させて溶融鉄6を、出湯口8を介して、別の溶融鉄保持容器に出湯し、出湯した溶融鉄6を次工程の設備に搬送する。なお、クロム鉱石の溶融還元処理を、所定の時間行なったら、その溶融還元処理を終了するようにしてもよい。
製錬用酸化性ガス供給ランス3に、製錬用酸化性ガス供給流路に加えて、クロム鉱石供給流路と、燃料供給流路と、燃料燃焼用酸化性ガス供給流路とを設け、製錬用酸化性ガス供給ランス3の先端部には、各供給流路が連通する噴射孔を設けて、製錬用酸化性ガス供給ランス3の先端部で火炎を形成してもよい。その場合には、製錬用酸化性ガス供給ランス3に混合物13を供給して、混合物13が火炎中を通過するようにしてもよいし、製錬用酸化性ガス供給ランス3に併設されるクロム鉱石供給ランス4から混合物を供給して、その火炎を通過するようにしてもよい。また、クロム鉱石供給ランス4に、製錬用酸化性ガス供給流路を設けて、クロム鉱石供給ランス4から溶融鉄の浴面に向けて製錬用酸化性ガスを供給してもよい。
以上のようにして、クロム鉱石供給ランス4へ供給する混合物13において、粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との質量比率や粒径分布を調整することによって、クロム鉱石供給ランス4の先端部に形成される火炎による、その混合物への昇熱量が向上し、火炎の熱が溶融鉄あるいはスラグに効果的に伝達され、クロム鉱石の溶融還元に利用される。
図1に示す製錬設備1を用いて、クロム鉱石と製錬用粉体との混合物13を反応容器2に収容される反応容器2内に吹き込んで、本発明に係るクロム鉱石の溶融還元方法を実施した。
溶融鉄として1200℃の100トンの溶銑を用意し、反応容器2として、150トンの溶銑を収容可能な転炉を用意して、次いで、その転炉に100トンの溶銑を装入した。製錬用酸化性ガス供給ランス3及びクロム鉱石供給ランス4は、前記転炉の容量に合わせたサイズを有している。
装入後の溶銑温度を1550℃に調整した後に、製錬用酸化性ガス供給ランス3から430Nm/分の酸素ガスを供給するとともに、底吹き羽口14から120Nm/分の酸素ガスを供給した。また、20Nm/分のプロパンガス及び120Nm/分の酸素ガスをクロム鉱石供給ランス4に供給して、そのクロム鉱石供給ランス4の先端部に火炎を形成した。炭素源7として無煙炭を図示しないシュートから所定の供給速度で投入するとともに、溶銑温度を約1550℃に維持するように、クロム鉱石とダストとの混合物13をクロム鉱石供給ランス4から所定の速度で前記火炎の中を通過するように供給した。溶銑中のクロムの質量比率が13%となるように、製錬用酸化性ガス供給ランス3からの酸素ガスの供給、炭素源7や副原料の供給、及びクロム鉱石供給ランス4からの混合物13の供給を行った後、スラグ中に蓄積された酸化クロムを還元する仕上げ還元を経て、クロム鉱石の溶融還元処理を終了した。終了時の溶銑温度が1560℃となるように溶融還元処理を行った(本発明例1)。
本発明例1で用いたクロム鉱石とダストとの組成を表2に示す。クロム鉱石とダストとには、表2に示す組成物以外にも、微量の不可避物質が含まれる。クロム鉱石とダストとしては、表1に示す粒度分布を有するクロム鉱石とダストとを用いた。本発明例1で用いた混合物13中のクロム鉱石とダストとの配合率を表3に示す。
Figure 0005892103
Figure 0005892103
本発明例1で投入した混合物13の投入速度と着熱効率とを表4に示す。なお、着熱効率は、前述の(1)式により、混合物13を供給している溶銑の温度がほぼ一定している期間において算出した。
Figure 0005892103
混合物13中のクロム鉱石とダストとの配合率、及び、混合物13の投入速度と無煙炭の投入速度、を適宜変更した点を除いて、本発明例1と同様にクロム鉱石の溶融還元処理を実施した(本発明例2、比較例)。なお、無煙炭の投入速度は、混合物13中の酸化鉄および酸化クロムに含まれる酸素の供給速度の増減に対応して、反応容器内に残留する炭材量を同じ条件とするように調節した。表3及び表4には、本発明例1と同様に、本発明例2、比較例における混合物13中のクロム鉱石とダストとの配合率、及び、混合物13の投入速度を示してある。
<結果の評価>
混合物13中にダストを配合しなかった比較例では、着熱効率が48%であった。一方で、本発明例1では、製錬用粉体は、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、40%であり、粉粒状クロム鉱石は、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、7%である。よって、製錬用粉体は、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、粉粒状クロム鉱石より多い。このため、混合物13への昇熱量を高め、混合物13の投入速度を、比較例の場合より向上させることが可能となり、着熱効率も50%と向上させることが確認できた。また、混合物13の全質量のうち、粒径が100μm以下となる粒子の粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との合計質量比率は、16.9%であり、着熱効率が50%に向上した。
また、本発明例2では、製錬用粉体は、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、40%であり、粉粒状クロム鉱石は、粒径が100μm以下の質量比率が、7%である。よって、粒径が100μm以下の製錬用粉体の質量比率が、粉粒状クロム鉱石の質量比率より大きい。また、混合物13の全質量のうち、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石と製錬用粉体との合計質量比率は、23.5%であるため、本発明例2では、着熱効率が51%となり、本発明例1と比べて着熱効率を更に向上することが確認できた。これらの着熱効率の向上は、クロム鉱石供給ランス4の火炎の熱を、混合物13により効果的に伝熱したことに基づく。
製錬用粉体のうち、粒径が100μm以下である製錬用粉体の質量比率が、粉粒状クロム鉱石のうち、粒径が100μm以下である粉粒状クロム鉱石の質量比率より大きくすることによって、クロム鉱石供給ランス4の火炎によって、混合物13を効果的に昇熱することができたことがわかる。
1 製錬設備
2 反応容器
3 製錬用酸化性ガス供給ランス
4 クロム鉱石供給ランス
5 混合物収容器(ディスペンサー)
6 溶融鉄
7 炭素源
8 出湯口
11 酸化性ガス
12 燃料
13 混合物
14 底吹き羽口
21 スラグ

Claims (3)

  1. 炭素源が添加された溶融鉄を収容する反応容器内に、製錬用酸化性ガス供給ランスから製錬用酸化性ガスを供給しつつ、
    前記製錬用酸化性ガス供給ランスとは別に設置したクロム鉱石供給ランスの先端部に、燃料を燃料燃焼用酸化性ガスによって燃焼させた火炎を形成し、粉粒状クロム鉱石を前記火炎の中を通過させて前記反応容器内に供給し、供給した前記粉粒状クロム鉱石を前記反応容器内で還元するクロム鉱石の溶融還元方法において、
    粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、前記粉粒状クロム鉱石よりも多い製錬用粉体を前記粉粒状クロム鉱石と共に同じ供給口から前記反応容器内に供給し、
    前記製錬用粉体は、前記粉粒状クロム鉱石を溶融還元したときに排出されるクロムを含むダスト、ステンレス鋼の精錬で排出されるクロムを含むダスト、クロムを含むスラッジを乾燥した粉体、及び造滓材の粉体のうちの少なくとも一種であることを特徴とするクロム鉱石の溶融還元方法。
  2. 炭素源が添加された溶融鉄を収容する反応容器内に、製錬用酸化性ガスを供給しつつ、
    前記製錬用酸化性ガス供給用の製錬用酸化性ガス供給ランスの先端部に、燃料を燃料燃焼用酸化性ガスによって燃焼させた火炎を形成し、粉粒状クロム鉱石を前記火炎の中を通過させて前記反応容器内に供給し、供給した前記粉粒状クロム鉱石を前記反応容器内で還元するクロム鉱石の溶融還元方法において、
    粒径が100μm以下の粒子の質量比率が、前記粉粒状クロム鉱石よりも多い製錬用粉体を前記粉粒状クロム鉱石と共に同じ供給口から前記反応容器内に供給し、
    前記製錬用粉体は、前記粉粒状クロム鉱石を溶融還元したときに排出されるクロムを含むダスト、ステンレス鋼の精錬で排出されるクロムを含むダスト、クロムを含むスラッジを乾燥した粉体、及び造滓材の粉体のうちの少なくとも一種であることを特徴とするクロム鉱石の溶融還元方法。
  3. 前記粉粒状クロム鉱石と前記製錬用粉体との混合物の全質量のうち、粒径が100μm以下の粒子の質量比率が10質量%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクロム鉱石の溶融還元方法。
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