JP5891973B2 - 燃料蒸気処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンク内で発生する燃料蒸気を処理する燃料蒸気処理装置に関する。
従来、燃料タンクに接続する燃料蒸気流路に制御弁および逃がし弁を設けた燃料蒸気処理装置が知られている。例えば特許文献1に記載の燃料蒸気処理装置では、制御弁が閉弁すると、燃料タンクは密閉された状態となる。そのため、この状態で燃料タンクの周囲の温度が上昇した場合、燃料タンクの内圧が高くなる。燃料タンクの内圧が所定値以上に高くなると、燃料タンクに亀裂が入ったり破損を招いたりするおそれがある。
特許第3399429号公報
特許文献1の燃料蒸気処理装置では、制御弁をバイパスする流路に逃がし弁を設け、車両の駐車時等、制御弁が閉弁しているとき、逃がし弁が適宜開弁することで燃料タンクの内圧を低下させている。これにより、燃料タンクの内圧が所定値以上になることを抑制し、燃料タンクの破損の防止を図っている。
ところで、特許文献1の燃料蒸気処理装置では、逃がし弁は、常に燃料蒸気に晒される環境にある。そのため、逃がし弁の弁体が弁座に長期間着座した状態になると、燃料蒸気中に含まれる粘性の異物等により弁体が弁座に固着するおそれがある。特に逃がし弁近傍の温度が低い状態が続くと異物の粘度が高くなるため、弁体が弁座に固着し易くなる。弁体が弁座に固着すると、逃がし弁の機能が発揮されず、燃料タンクの破損を招くおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料タンクの内圧を所定範囲内に保つ第1リリーフ弁および第2リリーフ弁の機能を長期に亘って維持することが可能な燃料蒸気処理装置を提供することにある。
本発明は、燃料タンク内で発生する燃料蒸気を内燃機関に導入し処理する燃料蒸気処理装置であって、燃料蒸気流路とキャニスタと第1開閉弁と第2開閉弁と第1バイパス流路と第2バイパス流路と第1リリーフ弁と第2リリーフ弁とポンプ流路とポンプと制御手段とを備えている。燃料蒸気流路は、内燃機関に吸気を導く吸気管と燃料タンクとを接続している。キャニスタは、燃料蒸気流路に設けられ、燃料蒸気流路を流れる燃料蒸気の一部を吸着保持する。第1開閉弁は、燃料蒸気流路の燃料タンクとキャニスタとの間に設けられ、燃料蒸気流路を開閉する。第2開閉弁は、燃料蒸気流路の吸気管近傍に設けられ、燃料蒸気流路を開閉する。第1バイパス流路は、燃料蒸気流路の第1開閉弁に対し燃料タンク側とキャニスタ側とを接続している。第2バイパス流路は、燃料蒸気流路の第1開閉弁に対し燃料タンク側とキャニスタ側とを接続している。
第1リリーフ弁は、第1バイパス流路に設けられ、第1弁座および第1弁体を有している。第1リリーフ弁は、第1弁体が第1弁座から離座することにより、第1バイパス流路を燃料タンク側からキャニスタ側へ流れる流体の流れを許容する。第1リリーフ弁は、第1弁体が第1弁座に着座することにより、第1バイパス流路をキャニスタ側から燃料タンク側へ流れる流体の流れを規制する。この構成により、例えば第1開閉弁が閉弁しているとき、燃料タンク周囲の温度が上昇しても、燃料タンクの内圧が所定の上限値より高くなるのを抑制することができる。
第2リリーフ弁は、第2バイパス流路に設けられ、第2弁座および第2弁体を有している。第2リリーフ弁は、第2弁体が第2弁座から離座することにより、第2バイパス流路をキャニスタ側から燃料タンク側へ流れる流体の流れを許容する。第2リリーフ弁は、第2弁体が第2弁座に着座することにより、第2バイパス流路を燃料タンク側からキャニスタ側へ流れる流体の流れを規制する。この構成により、例えば第1開閉弁が閉弁しているとき、燃料タンクの温度が低下しても、燃料タンクの内圧が所定の下限値より低くなるのを抑制することができる。
このように、第1リリーフ弁と第2リリーフ弁とにより、燃料タンク周囲の温度にかかわらず、燃料タンクの内圧を前記下限値から前記上限値の間、すなわち所定範囲内に保つことができる。よって、燃料タンクに亀裂等の破損が生じるのを抑制することができる。
ポンプは、燃料蒸気流路に接続されるポンプ流路に設けられ、ポンプ流路内、燃料蒸気流路内、第1バイパス流路内、第2バイパス流路内および燃料タンク内を減圧または加圧可能である。
制御手段は、第1開閉弁、第2開閉弁およびポンプの作動を制御する。制御手段は、第1開閉弁を開弁することにより、燃料タンク内で発生した燃料蒸気をキャニスタに吸着させる。また、制御手段は、第2開閉弁を開弁することにより、キャニスタに吸着されている燃料蒸気を、吸気管を経由して内燃機関に導入する。これにより、燃料タンク内で発生する燃料蒸気を、内燃機関で燃焼させて処理することができる。
また、制御手段は、第1開閉弁および第2開閉弁を閉弁した状態でポンプを作動させて第1バイパス流路内および第2バイパス流路内を減圧または加圧することにより、第1弁体または第2弁体を第1弁座または第2弁座から離座させることが可能である。これにより、「第1弁体または第2弁体が、第1弁座または第2弁座に長期間着座した状態になることで第1弁座または第2弁座に固着する」といった事態を回避することができる。したがって、燃料タンクの内圧を所定範囲内に保つ第1リリーフ弁および第2リリーフ弁の機能を長期に亘って維持することができる。
本発明の一実施形態による燃料蒸気処理装置を示す模式図。
以下、本発明の実施形態による燃料蒸気処理装置を図面に基づき説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による燃料蒸気処理装置を図1に示す。
燃料蒸気処理装置1は、例えば車両に搭載された内燃機関(以下、「エンジン」という)10の吸気系に適用される。エンジン10には、吸気管11が接続されている。吸気管11の内側には吸気通路12が形成されている。吸気管11のエンジン10とは反対側は大気に開放されている。これにより、空気が吸気通路12を経由してエンジン10に吸入される。以下、エンジン10に吸入される空気を「吸気」という。
吸気管11の内側すなわち吸気通路12には、スロットル弁13が設けられている。スロットル弁13は、吸気通路12を開閉することにより、エンジン10に吸入される吸気の量を調節可能である。本実施形態では、吸気管11のスロットル弁13に対しエンジン10とは反対側にインジェクタ14が設けられている。インジェクタ14は、燃料タンク2に貯留された燃料としてのガソリンを吸気通路12に霧状に噴射可能である。インジェクタ14から吸気通路12に噴射された燃料は、吸気とともにエンジン10に導入される。エンジン10に導入された燃料は、エンジン10の燃焼室で燃焼し、排気管15の内側に形成された排気通路16を経由して大気へ排出される。以下、エンジン10から大気へ排出される燃焼ガスを含む空気を「排気」という。
燃料タンク2の内部には、貯留されたガソリンが蒸発することにより、ガソリンの蒸気すなわち燃料蒸気(エバポ)が発生する。
燃料蒸気処理装置1は、燃料蒸気流路21、22、キャニスタ23、第1開閉弁31、第2開閉弁32、第1バイパス流路41、第2バイパス流路42、第1リリーフ弁50、第2リリーフ弁60、ポンプ流路24、25、ポンプ70、および、制御手段としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という)80等を備えている。
燃料蒸気流路21は、燃料タンク2とキャニスタ23とを接続するよう設けられる。燃料蒸気流路22は、キャニスタ23と吸気管11の吸気通路12とを接続する。本実施形態では、燃料蒸気流路22のキャニスタ23とは反対側の端部は、吸気管11のスロットル弁13に対しエンジン10側に接続される。これにより、燃料タンク2内で発生する燃料蒸気は、燃料蒸気流路21、キャニスタ23および燃料蒸気流路22を経由して吸気通路12に流入可能である。
キャニスタ23は、燃料蒸気流路21、22を流れる燃料蒸気の一部を吸着保持する。キャニスタ23に吸着保持された燃料蒸気の一部は、キャニスタ23から離脱し、燃料蒸気流路22を経由して吸気通路12に流入する。
第1開閉弁31は、例えば電磁駆動式の制御弁であり、燃料蒸気流路21に設けられている。第1開閉弁31は、燃料蒸気流路21を開閉、すなわち開弁または閉弁することにより、燃料蒸気流路21を燃料タンク2側からキャニスタ23側へ流れる燃料蒸気の流れを許容または遮断する。第1開閉弁31は、オフ状態のとき閉弁しており、オン状態のとき開弁するノーマリークローズ型の弁である。
第2開閉弁32は、例えば電磁駆動式の制御弁であり、燃料蒸気流路22の吸気管11近傍に設けられている。第2開閉弁32は、燃料蒸気流路22を開閉、すなわち開弁または閉弁することにより、燃料蒸気流路22をキャニスタ23側から吸気通路12側へ流れる燃料蒸気の流れを許容または遮断する。第2開閉弁32は、第1開閉弁31と同様、オフ状態のとき閉弁しており、オン状態のとき開弁するノーマリークローズ型の弁である。
第1バイパス流路41は、燃料蒸気流路21の第1開閉弁31に対し燃料タンク2側とキャニスタ23側とを接続するよう設けられている。
第2バイパス流路42は、第1バイパス流路41と同様、燃料蒸気流路21の第1開閉弁31に対し燃料タンク2側とキャニスタ23側とを接続するよう設けられている。すなわち、第1バイパス流路41と第2バイパス流路42とは、共に第1開閉弁31をバイパスし、かつ、互いに並列となるよう設けられている。
第1リリーフ弁50は、第1バイパス流路41に設けられている。第1リリーフ弁50は、第1弁座51、第1弁体52および第1付勢部材53等を有している。第1付勢部材53は、第1弁体52が第1弁座51に着座する方向、すなわち閉弁方向に第1弁体52を付勢している。
例えば、第1バイパス流路41の第1リリーフ弁50に対し燃料タンク2側の圧力すなわち燃料タンク2の内圧が、所定の上限値より高い圧力になった場合、第1弁体52は、第1付勢部材53の付勢力に抗し、第1弁座51から離座することで開弁する。これにより、燃料タンク2の内圧が低下する。ここで、「所定の上限値」とは、燃料タンク2の破損を招かない程度の燃料タンク2の内圧の上限値である。
一方、第1バイパス流路41の第1リリーフ弁50に対し燃料タンク2側の圧力が、前記上限値以下の圧力になった場合、第1弁体52は、第1付勢部材53の付勢力により第1弁座51側へ付勢され、第1弁座51に着座することで閉弁する。
このように、第1リリーフ弁50は、第1弁体52が第1弁座51から離座することにより、第1バイパス流路41を燃料タンク2側からキャニスタ23側へ流れる流体(燃料蒸気を含む空気)の流れを許容する。また、第1リリーフ弁50は、第1弁体52が第1弁座51に着座することにより、第1バイパス流路41をキャニスタ23側から燃料タンク2側へ流れる流体の流れを規制する。上記構成により、第1リリーフ弁50は、燃料タンク2内の圧力を前記上限値以下に保つことができる。そのため、例えば燃料タンク2周囲の温度が上昇しても、燃料タンク2の内圧が前記上限値より高くなるのを抑制することができる。
第2リリーフ弁60は、第2バイパス流路42に設けられている。第2リリーフ弁60は、第2弁座61、第2弁体62および第2付勢部材63等を有している。第2付勢部材63は、第2弁体62が第2弁座61に着座する方向、すなわち閉弁方向に第2弁体62を付勢している。
例えば、第2バイパス流路42の第2リリーフ弁60に対し燃料タンク2側の圧力すなわち燃料タンク2の内圧が、所定の下限値より低い圧力になった場合、第2弁体62は、第2付勢部材63の付勢力に抗し、第2弁座61から離座することで開弁する。これにより、燃料タンク2の内圧が上昇する。ここで、「所定の下限値」とは、燃料タンク2の破損を招かない程度の燃料タンク2の内圧の下限値である。
一方、第2バイパス流路42の第2リリーフ弁60に対し燃料タンク2側の圧力が、前記下限値以上の圧力になった場合、第2弁体62は、第2付勢部材63の付勢力により第2弁座61側へ付勢され、第2弁座61に着座することで閉弁する。
このように、第2リリーフ弁60は、第2弁体62が第2弁座61から離座することにより、第2バイパス流路42をキャニスタ23側から燃料タンク2側へ流れる流体の流れを許容する。また、第2リリーフ弁60は、第2弁体62が第2弁座61に着座することにより、第2バイパス流路42を燃料タンク2側からキャニスタ23側へ流れる流体の流れを規制する。上記構成により、第2リリーフ弁60は、燃料タンク2内の圧力を前記下限値以上に保つことができる。そのため、例えば燃料タンク2周囲の温度が低下しても、燃料タンク2の内圧が前記下限値より低くなるのを抑制することができる。
本実施形態では、第1リリーフ弁50と第2リリーフ弁60とにより、燃料タンク2周囲の温度にかかわらず、燃料タンク2の内圧を概ね前記下限値から前記上限値の間、すなわち所定範囲内に保つことができる。よって、燃料タンク2に亀裂等の破損が生じるのを抑制することができる。
ポンプ流路24は、一端がキャニスタ23に接続するよう設けられている。ポンプ流路24の他端には、切換弁33が接続されている。ポンプ流路25は、一端が切換弁33に接続するよう設けられている。
ポンプ70は、ポンプ流路25の他端に接続するよう設けられている。ポンプ70は、例えば流体を吸入または吐出可能な電動ポンプである。ポンプ70は、例えば切換弁33によりポンプ流路24とポンプ流路25とが接続され、第1開閉弁31および第2開閉弁32が共に閉弁した状態では、駆動することにより、ポンプ流路25、24内、キャニスタ23内、燃料蒸気流路21、22内、第1バイパス流路41の第1リリーフ弁50に対しキャニスタ23側、および、第2バイパス流路42の第2リリーフ弁60に対しキャニスタ23側を減圧または加圧可能である。
ポンプ70には、大気流路26の一端が接続されている。大気流路26の他端は大気に開放され、この他端にフィルタ4が設けられている。フィルタ4は、大気流路26に流入する空気中の異物を捕集する。大気流路26と切換弁33との間には、大気流路26と切換弁33とを接続する接続流路27が設けられている。
切換弁33は、例えば電磁駆動式の制御弁である。切換弁33は、オフ状態のとき、接続流路27とポンプ流路24とを接続しつつ、ポンプ流路25とポンプ流路24との接続を遮断する。一方、切換弁33は、オン状態のとき、ポンプ流路25とポンプ流路24とを接続しつつ、接続流路27とポンプ流路24との接続を遮断する。このように、切換弁33は、ポンプ流路24と接続流路27またはポンプ流路25との接続状態を切り換えることができる。
ECU80は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM、ならびに、入出力手段等を有する小型のコンピュータである。ECU80は、車両に搭載されたセンサ類からの信号等に基づき、ROMに格納されたプログラムに従い車両の各部および各種機器類の作動を制御する。
本実施形態では、ECU80は、第1開閉弁31、第2開閉弁32、切換弁33およびポンプ70の作動を制御する。
ECU80は、図示しないバッテリからの電力を第1開閉弁31に供給することで第1開閉弁31をオン状態にして開弁することにより、燃料タンク2内で発生した燃料蒸気をキャニスタ23に吸着させる。一方、第1開閉弁31にバッテリからの電力が供給されていないとき、すなわち、第1開閉弁31がオフ状態のとき、第1開閉弁31は閉弁しているため、燃料タンク2は密閉された状態となる。このように、第1開閉弁31は、燃料タンク2を密閉可能な「タンク密閉システム」の一部を構成している。
ECU80は、エンジン10の運転中、吸気管11の吸気通路12に負圧が発生しているとき、図示しないバッテリからの電力を第2開閉弁32に供給することで第2開閉弁32をオン状態にして開弁することにより、キャニスタ23に吸着されている燃料蒸気を、吸気管11の吸気通路12に流入させ、吸気通路12を経由してエンジン10に導入する。これにより、燃料タンク2内で発生する燃料蒸気を、エンジン10で燃焼させて処理(パージ)することができる。このように、第2開閉弁32は、「パージ弁」を構成している。ECU80は、エンジン10の運転状態に基づき目標パージ量を算出し、当該目標パージ量に基づき第1開閉弁31および第2開閉弁32の作動を制御する。
なお、ECU80は、第2開閉弁32を開弁して燃料蒸気をパージするとき、切換弁33をオフ状態にすることで接続流路27とポンプ流路24とを接続する。これにより、燃料蒸気をパージするとき、空気が大気流路26、接続流路27およびポンプ流路24を経由してキャニスタ23に流入する。
ECU80は、第1開閉弁31および第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオン状態にすることでポンプ流路25とポンプ流路24とを接続した状態で、ポンプ70を作動させて第1バイパス流路41内の第1リリーフ弁50に対しキャニスタ23側を減圧することにより、第1弁体52を第1弁座51から強制的に離座させることができる。一方、ECU80は、第1開閉弁31および第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオン状態にすることでポンプ流路25とポンプ流路24とを接続した状態で、ポンプ70を作動させて第2バイパス流路42内の第2リリーフ弁60に対しキャニスタ23側を加圧することにより、第2弁体62を第2弁座61から強制的に離座させることができる。
このように、ECU80は、任意のタイミングで第1弁体52または第2弁体62を第1弁座51または第2弁座61から強制的に離座させることにより、「第1弁体52または第2弁体62が、第1弁座51または第2弁座61に長期間着座した状態になることで第1弁座51または第2弁座61に固着する」といった事態を回避することができる。
本実施形態では、燃料蒸気処理装置1は、オリフィス流路28、オリフィス29、圧力検出手段としての圧力センサ81および温度検出手段としての温度センサ82をさらに備えている。
オリフィス流路28は、ポンプ流路24とポンプ流路25とを接続するよう設けられている。オリフィス29は、オリフィス流路28に設けられている。ここで、オリフィス29は、燃料タンク2における燃料蒸気漏れ(エバポリーク)が許容される開口の大きさに対応している。例えば、CARBおよびEPAの基準では、燃料タンク2からのエバポリークの検出精度としてφ0.5mm相当の開口からのエバポリークの検出が要求されている。そのため、本実施形態では、オリフィス流路28に例えばφ0.5mm以下に設定された開口からなるオリフィス29を配置している。
圧力センサ81は、ポンプ流路25に設けられ、ポンプ流路25内の圧力を検出可能である。圧力センサ81は、検出した圧力に関する信号をECU80に伝達する。これにより、ECU80は、ポンプ流路25内の圧力を検出することができる。
温度センサ82は、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍に設けられ、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度を検出可能である。温度センサ82は、検出した温度に関する信号をECU80に伝達する。これにより、ECU80は、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度を検出することができる。
ECU80は、第1開閉弁31および第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオフ状態にすることで接続流路27とポンプ流路24とを接続しつつ、ポンプ流路25とポンプ流路24との接続を遮断した状態で、ポンプ70を作動させ、このとき圧力センサ81で検出したポンプ流路25内の圧力を基準圧力としてRAM等に記憶しておく。
続いて、ECU80は、第1開閉弁31を開弁し、第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオン状態にすることでポンプ流路25とポンプ流路24とを接続しつつ、接続流路27とポンプ流路24との接続を遮断した状態で、ポンプ70を作動させて燃料タンク2内を減圧または加圧し、このとき圧力センサ81で検出したポンプ流路25内の圧力と基準圧力とに基づき、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れが許容範囲内か否かを判定可能である。
例えば、ポンプ70により燃料タンク2内を減圧したときのポンプ流路25内の圧力が基準圧力以下の場合、「燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れは、許容範囲内である、すなわち、燃料タンク2から燃料蒸気の漏れは発生していない」と判定する。一方、ポンプ70により燃料タンク2内を減圧したときのポンプ流路25内の圧力が基準圧力より高い場合、「燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れは、許容範囲外である、すなわち、燃料タンク2から燃料蒸気の漏れが発生している」と判定する。
また、例えば、ポンプ70により燃料タンク2内を加圧したときのポンプ流路25内の圧力が基準圧力以上の場合、「燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れは、許容範囲内である、すなわち、燃料タンク2から燃料蒸気の漏れは発生していない」と判定する。一方、ポンプ70により燃料タンク2内を加圧したときのポンプ流路25内の圧力が基準圧力より低い場合、「燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れは、許容範囲外である、すなわち、燃料タンク2から燃料蒸気の漏れが発生している」と判定する。
このように、本実施形態では、ECU80、第1開閉弁31、第2開閉弁32、切換弁33、ポンプ70、オリフィス流路28、オリフィス29および圧力センサ81は、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れを検出可能な燃料蒸気漏れ検出装置3を構成している。
次に、燃料蒸気処理装置1および燃料蒸気漏れ検出装置3の一作動例について説明する。
エンジン10の運転中、ECU80は、エンジン10の運転状態に基づき第1開閉弁31および第2開閉弁32の作動を制御することによって、キャニスタ23に吸着された燃料蒸気を、吸気管11の吸気通路12を経由してエンジン10に導入することにより処理(パージ)する。
車両およびエンジン10の運転が停止し燃料タンク2およびエンジン10の温度が所定値以下の安定した温度になると、ECU80は、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れのチェックすなわちエバポリークチェックを開始する。ECU80は、第1開閉弁31、第2開閉弁32および切換弁33をすべてオフにした状態で、ポンプ70を作動させ、基準圧力を記憶する。続いて、ECU80は、第1開閉弁31を開弁し、第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオン状態にし、ポンプ70を作動させて燃料タンク2内を減圧または加圧し、このとき圧力センサ81で検出したポンプ流路25内の圧力と基準圧力とに基づき、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れが許容範囲内か否かを判定する。燃料蒸気の漏れが許容範囲外であった場合、ECU80は、例えば車室内の警告灯を点灯させる等して「燃料タンク2に燃料蒸気漏れが発生している」ことを運転者に通知する。
また、ECU80は、第1開閉弁31および第2開閉弁32を閉弁し、切換弁33をオン状態にし、ポンプ70を作動させて第1バイパス流路41内および第2バイパス流路42内を減圧または加圧することにより、第1弁体52または第2弁体62を第1弁座51または第2弁座61から強制的に離座させる。これにより、第1弁体52または第2弁体62の第1弁座51または第2弁座61への固着が抑制される。
本実施形態では、上述の第1弁体52または第2弁体62を強制的に離座させるためのポンプ70の作動は、所定間隔で行われる。例えば、数日間または数週間間隔で行われる。また、本実施形態では、ECU80は、温度センサ82で検出した第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度に基づき、前記所定間隔の長さを変更する。例えば、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が低いときほど、前記所定間隔の長さを短く設定し、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が高いときほど、前記所定間隔の長さを長く設定する。
以上説明したように、(1)本実施形態では、第1リリーフ弁50は、第1バイパス流路41に設けられ、第1弁座51および第1弁体52を有している。第1リリーフ弁50は、第1弁体52が第1弁座51から離座することにより、第1バイパス流路41を燃料タンク2側からキャニスタ23側へ流れる流体の流れを許容する。第1リリーフ弁50は、第1弁体52が第1弁座51に着座することにより、第1バイパス流路41をキャニスタ23側から燃料タンク2側へ流れる流体の流れを規制する。この構成により、例えば第1開閉弁31が閉弁しているとき、燃料タンク2周囲の温度が上昇しても、燃料タンク2の内圧が所定の上限値より高くなるのを抑制することができる。
第2リリーフ弁60は、第2バイパス流路42に設けられ、第2弁座61および第2弁体62を有している。第2リリーフ弁60は、第2弁体62が第2弁座61から離座することにより、第2バイパス流路42をキャニスタ23側から燃料タンク2側へ流れる流体の流れを許容する。第2リリーフ弁60は、第2弁体62が第2弁座61に着座することにより、第2バイパス流路42を燃料タンク2側からキャニスタ23側へ流れる流体の流れを規制する。この構成により、例えば第1開閉弁31が閉弁しているとき、燃料タンク2の温度が低下しても、燃料タンク2の内圧が所定の下限値より低くなるのを抑制することができる。
このように、第1リリーフ弁50と第2リリーフ弁60とにより、燃料タンク2周囲の温度にかかわらず、燃料タンク2の内圧を概ね前記下限値から前記上限値の間、すなわち所定範囲内に保つことができる。よって、燃料タンク2に亀裂等の破損が生じるのを抑制することができる。
ポンプ70は、燃料蒸気流路21、22に接続されるポンプ流路24、25に設けられ、ポンプ流路24、25内、燃料蒸気流路21、22内、第1バイパス流路41内、第2バイパス流路42内および燃料タンク2内を減圧または加圧可能である。
ECU80は、第1開閉弁31、第2開閉弁32およびポンプ70の作動を制御する。ECU80は、第1開閉弁31を開弁することにより、燃料タンク2内で発生した燃料蒸気をキャニスタ23に吸着させる。また、ECU80は、第2開閉弁32を開弁することにより、キャニスタ23に吸着されている燃料蒸気を、吸気管11を経由してエンジン10に導入する。これにより、燃料タンク2内で発生する燃料蒸気を、エンジン10で燃焼させて処理することができる。
また、ECU80は、第1開閉弁31および第2開閉弁32を閉弁した状態でポンプ70を作動させて第1バイパス流路41内および第2バイパス流路42内を減圧または加圧することにより、第1弁体52または第2弁体62を第1弁座51または第2弁座61から離座させることが可能である。これにより、「第1弁体52または第2弁体62が、第1弁座51または第2弁座61に長期間着座した状態になることで第1弁座51または第2弁座61に固着する」といった事態を回避することができる。したがって、燃料タンク2の破損を防止する第1リリーフ弁50または第2リリーフ弁60の機能を長期に亘って維持することができる。
また、(2)本実施形態では、ECU80は、第1弁体52または第2弁体62を第1弁座51または第2弁座61から離座させるため、所定間隔でポンプ70を作動させる。これにより、ポンプ70の消費電力を抑えつつ、第1弁体52または第2弁体62の第1弁座51または第2弁座61への固着を抑制することができる。
また、(3)本実施形態では、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度を検出可能な温度センサ82をさらに備えている。ECU80は、温度センサ82で検出した温度に基づき、前記所定間隔の長さを変更する。例えば、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が低いときほど、前記所定間隔の長さを短く設定し、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が高いときほど、前記所定間隔の長さを長く設定する。
ところで、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が低いときほど異物の粘度が高くなるため、第1弁体52または第2弁体62は第1弁座51または第2弁座61に固着し易く、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度が高いときほど異物の粘度が低くなるため、第1弁体52または第2弁体62は第1弁座51または第2弁座61に固着し難い。よって、第1リリーフ弁50および第2リリーフ弁60近傍の温度に合わせて前記所定間隔を変更することにより、ポンプ70の消費電力をより効果的に抑えつつ、第1弁体52または第2弁体62の第1弁座51または第2弁座61への固着を抑制することができる。
また、(4)本実施形態では、ポンプ流路25内の圧力を検出可能な圧力センサ81をさらに備えている。ECU80は、第1開閉弁31を開弁し第2開閉弁32を閉弁した状態でポンプ70を作動させて燃料タンク2内を減圧または加圧し、圧力センサ81により検出した圧力に基づき、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れが許容範囲内か否かを判定可能である。このように、本実施形態の燃料蒸気処理装置1は、燃料蒸気漏れ検出装置3を含み、燃料タンク2からの燃料蒸気の漏れを検出可能である。つまり、本実施形態では、「燃料蒸気漏れを検出するためのポンプ70を、第1弁体52または第2弁体62を第1弁座51または第2弁座61から強制的に離座させるためのポンプ(70)として用いている」ともいえる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、制御手段は、数日間または数週間等所定間隔でポンプを作動させて第1弁体または第2弁体を強制的に離座させる例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、前記所定間隔は、数時間間隔あるいは数ヶ月間間隔等、任意の間隔に設定できる。また、制御手段は、所定間隔ではなく、例えば車両および内燃機関の運転が停止した後、毎回、ポンプを作動させて第1弁体または第2弁体を強制的に離座させることとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第1リリーフ弁および第2リリーフ弁近傍の温度を検出可能な温度検出手段を備えない構成であってもよい。また、前記所定間隔は変更不可に設定されていてもよい。
また、上述の実施形態では、ポンプ流路がキャニスタに接続される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ポンプ流路は、キャニスタに限らず、燃料蒸気流路に接続されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ポンプ流路内の圧力を検出可能な圧力検出手段を備えていなくてもよい。すなわち、燃料蒸気漏れ検出装置を含まない構成であってもよい。
このように、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
1 ・・・・燃料蒸気処理装置
21、22 ・・・燃料蒸気流路
23 ・・・キャニスタ
24、25 ・・・ポンプ流路
31 ・・・第1開閉弁
32 ・・・第2開閉弁
41 ・・・第1バイパス流路
42 ・・・第2バイパス流路
50 ・・・第1リリーフ弁
51 ・・・第1弁座
52 ・・・第1弁体
60 ・・・第2リリーフ弁
61 ・・・第2弁座
62 ・・・第2弁体
70 ・・・ポンプ
80 ・・・制御手段(ECU)

Claims (4)

  1. 燃料タンク(2)内で発生する燃料蒸気を内燃機関(10)に導入し処理する燃料蒸気処理装置(1)であって、
    前記内燃機関に吸気を導く吸気管(11)と前記燃料タンクとを接続する燃料蒸気流路(21、22)と、
    前記燃料蒸気流路に設けられ、前記燃料蒸気流路を流れる燃料蒸気の一部を吸着保持するキャニスタ(23)と、
    前記燃料蒸気流路の前記燃料タンクと前記キャニスタとの間に設けられ、前記燃料蒸気流路を開閉する第1開閉弁(31)と、
    前記燃料蒸気流路の前記吸気管近傍に設けられ、前記燃料蒸気流路を開閉する第2開閉弁(32)と、
    前記燃料蒸気流路の前記第1開閉弁に対し前記燃料タンク側と前記キャニスタ側とを接続する第1バイパス流路(41)と、
    前記燃料蒸気流路の前記第1開閉弁に対し前記燃料タンク側と前記キャニスタ側とを接続する第2バイパス流路(42)と、
    前記第1バイパス流路に設けられ、第1弁座(51)および第1弁体(52)を有し、前記第1弁体が前記第1弁座から離座することにより前記第1バイパス流路を前記燃料タンク側から前記キャニスタ側へ流れる流体の流れを許容し、前記第1弁体が前記第1弁座に着座することにより前記第1バイパス流路を前記キャニスタ側から前記燃料タンク側へ流れる流体の流れを規制する第1リリーフ弁(50)と、
    前記第2バイパス流路に設けられ、第2弁座(61)および第2弁体(62)を有し、前記第2弁体が前記第2弁座から離座することにより前記第2バイパス流路を前記キャニスタ側から前記燃料タンク側へ流れる流体の流れを許容し、前記第2弁体が前記第2弁座に着座することにより前記第2バイパス流路を前記燃料タンク側から前記キャニスタ側へ流れる流体の流れを規制する第2リリーフ弁(60)と、
    前記燃料蒸気流路または前記キャニスタに接続されるポンプ流路(24、25)と、
    前記ポンプ流路に設けられ、前記ポンプ流路内、前記燃料蒸気流路内、前記第1バイパス流路内、前記第2バイパス流路内および前記燃料タンク内を減圧または加圧可能なポンプ(70)と、
    前記第1開閉弁、前記第2開閉弁および前記ポンプの作動を制御し、前記第1開閉弁を開弁することにより前記燃料タンク内で発生した燃料蒸気を前記キャニスタに吸着させ、前記第2開閉弁を開弁することにより前記キャニスタに吸着されている燃料蒸気を前記吸気管を経由して前記内燃機関に導入し、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を閉弁した状態で前記ポンプを作動させて前記第1バイパス流路内および前記第2バイパス流路内を減圧または加圧することにより前記第1弁体または前記第2弁体を前記第1弁座または前記第2弁座から離座させることが可能な制御手段(80)と、
    を備える燃料蒸気処理装置。
  2. 前記制御手段は、所定間隔で前記ポンプを作動させることを特徴とする請求項1に記載の燃料蒸気処理装置。
  3. 前記第1リリーフ弁および前記第2リリーフ弁近傍の温度を検出可能な温度検出手段(82)をさらに備え、
    前記制御手段は、前記温度検出手段で検出した温度に基づき、前記第1リリーフ弁および前記第2リリーフ弁近傍の温度が低いときほど、前記所定間隔の長さを短く設定し、前記第1リリーフ弁および前記第2リリーフ弁近傍の温度が高いときほど、前記所定間隔の長さを長く設定するよう前記所定間隔の長さを変更することを特徴とする請求項2に記載の燃料蒸気処理装置。
  4. 前記ポンプ流路内の圧力を検出可能な圧力検出手段(81)をさらに備え、
    前記制御手段は、前記第1開閉弁を開弁し第2開閉弁を閉弁した状態で前記ポンプを作動させて前記燃料タンク内を減圧または加圧し、前記圧力検出手段により検出した圧力に基づき、前記燃料タンクからの燃料蒸気の漏れが許容範囲内か否かを判定可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料蒸気処理装置。
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