JP5891697B2 - 放電ランプ用陰極の製造方法 - Google Patents
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Description
その典型的な一例が図3に示されている。放電ランプ10は発光部12とその両端の封止部13とからなる発光管11を有し、前記発光部12内には、陰極14と陽極15とが対向配置されていて、直流点灯される。
このように、放電ランプを直流点灯することで、アークの輝点を陰極先端に固定し、点光源とすることで光学系と組み合わされた時に高い光の利用効率を実現するものとされている。
このような直流点灯方式の放電ランプに用いられる陰極は、定常点灯時に常時電子を放出する役割を担うため、電子放射を容易にすべく、高融点金属に電子放射性物質を混入して構成されたものが多用されている。
このような観点から、陰極先端にのみトリウムを含有したチップを設けるようにした陰極構造が、上記した昨今の要請にマッチしたものとして使用されるようになってきている。
特許文献1に示された陰極構造では、高融点金属の電極基材に形成された凹部に、電子放射性物質を含有した焼結体(チップ)を圧入する方法では、圧入時にチップあるいは電極基材が破損することがあり、歩留まりが悪くなるという問題がある。
また、特許文献2のものでは、高融点金属からなる電極基材と、電子放射性物質を含有した焼結体とを、高温中で加圧当接させて、拡散接合により接続する。その方法として例えば、放電プラズマ焼結法(SPS焼結法)が挙げられるが、まず、この放電プラズマ装置は高価であるため、工業的に生産可能なまで設備を整えることが現実的には難しいという問題がある。
そして、その製造工程では、接合させる部材同士を当接した状態で圧力を加え、所定の焼結温度まで昇温させた後、この状態を一定時間保持しなければならない。このため、製造に多大な熱量と時間を要することになる。
この拡散接合の方法としては、上記放電プラズマ焼結法(SPS焼結法)以外にも、例えば、ホットプレス法(HP)、熱間静水圧加圧法(HIP)などが知られているが、いずれも、加圧しながら焼結する、つまり、高温状態で一定時間加圧保持しなければならない方法であるため、製造コストが高く、量産性に乏しいという問題がある。
また、前記第四の工程において、前記電極基材のチップが埋設された周縁部の端面を残留させて切削することを特徴とする。
また、前記第三の工程のあとに、前記電極基材の側面からレーザ照射することにより、前記チップと前記電極基材を拡散接合させることを特徴とする。
図1(A)において、円柱状の電極基材1は、陰極本体部分を構成する高融点金属、好適にはタングステンよりなり、該基材1の先端面1Aの中心には軸方向に断面円形の有底穴からなる凹部2が形成されている。前記基材1は、例えば、その直径がφ15mmで、長さが25mmである。凹部2は、直径がφ6mmよりも5〜10μm程度小さく形成されており、その深さは8mmである。
図1(B)に示すように、この基材1を、凹部2の開口が上を向くように電気炉の内部に載置し、ヒータHによって約600℃程度の温度に加熱する。
前記チップ3は、高融点金属と電子放射性物質を適正な割合で混合して圧縮し、高温で焼成することで、製造された焼結体である。電子放射性物質は酸化トリウム(ThO2)であり、焼結体中に適宜の割合で含有されている。焼結体の高融点金属は例えばタングステンである。
そして、前記チップ3の直径は、φ6mmであり、長さは16mmであるが、その直径は、常温において前記凹部2の直径に対して5〜10μmの範囲で大きいことが望ましい。また、その長さは、前記凹部2を構成する有底穴の深さ(8mm)と比較して、その全長が長く、挿入されたとき先端が基材1より突出する。
この溝4は、レーザ加工によって形成することができ、その幅は5〜10μm程度であって、好ましくは、基材1の全長に亘って設けられるのがよく、少なくとも、チップ3が基材1に埋設される領域に設けられている。
この溝4は、製造工程時に、基材1に電子放射性物質を含むチップ3を挿入する際、および、後述する基材1の収縮時に、凹部2の底部の残ガスを排除する機能を有する。
前記チップ3を基材1に挿入する段階では、基材1は加熱されて熱膨張している状態であるので、X部拡大図に示すように、チップ3と凹部2との間には若干の間隙Sが形成されていて、チップ3の挿入は、圧入による必要がなく容易に挿入される。
図1(D)に示すように、この冷却により、基材1は収縮して、そのX部拡大図に示すように、基材1の凹部2とチップ3とは密着し、その間には隙間はなくなり、基材1とチップ3とは焼き嵌められる。
このとき、前記したように、凹部2内の残留ガスは、チップ3の外周溝4を経て外部に排除されるので、基材1の収縮時にチップ3との間にガスが残留して両者の密着が不完全になることがない。
次いで、必要に応じて、図1(E)に示すように、基材1の側面からレーザ照射Yすることにより、前記チップ3と前記基材1を拡散接合させる。これにより、チップ3と基材1との接合が一層強固なものとなる。
図2に好適な形態を示す陰極形状が示されていて、チップ3の先端には平坦面3Aが残るように切削される。そして、基材1もその先端1Aが残るように切削加工されるのがよく、これにより、チップ3を挿入する凹部2の開口周縁部分が薄肉になりすぎず、一定量の肉厚が確保できて、安定的なチップ3の保持ができる。
また、先端部に拡散接合のみによってチップを取り付ける場合と比較して、加熱時間が少なく、かつ加圧手段も必要としないので、製造コストが低く抑えられるものである。
1A 基材先端面
2 凹部
3 (電子放射性物質含有)チップ
3a チップ先端の平坦面
4 溝
S 間隙
Claims (4)
- 先端に電子放射性物質を含むチップを設けてなる放電ランプ用陰極の製造方法において、
高融点金属よりなり、先端面に凹部を有する電極基材を高温に加熱して熱膨張させる第一の工程と、
前記電極基材が高温に維持された状態で前記凹部に電子放射性物質を含有し、その直径が前記凹部の直径よりも大きなチップを挿入する第二の工程と;
前記電極基材を冷却することで、当該電極基材を収縮させて前記チップを焼嵌めにより接合する第三の工程と;
前記チップが頂点をなすように、前記電極基材の先端を略テーパ状に切削加工する第四の工程と;
を具備していることを特徴とする放電ランプ用陰極の製造方法。
- 前記第二の工程において、前記チップは前記電極基材の先端面より突出するように挿入されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ用陰極の製造方法。
- 前記第四の工程において、前記電極基材のチップが埋設された周縁部の端面を残留させて切削することを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ用陰極の製造方法。
- 前記第三の工程のあとに、前記電極基材の側面からレーザ照射することにより、前記チップと前記電極基材を拡散接合させることを特徴とする請求項1または2に記載の放電ランプ用陰極の製造方法。
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