JP5891522B1 - 押湯の給湯効果を高めるとともに注湯量を節減する鋳造方法 - Google Patents

押湯の給湯効果を高めるとともに注湯量を節減する鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】押湯の給湯効果を高めるとともに注湯量を節減する鋳造方法を提供する。【解決手段】湯口部と押湯頂部の溶湯レベルの差を一定範囲に調整して押湯効果を高めるとともに、湯口部の湯量を節減する。【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
鋳鉄溶湯を重力注湯する鋳造方法であって、押湯の給湯効果を高めるとともに注湯量を節減する鋳造方法を提供するものである。
鋳鉄材は自動車部品を始めとして建機、配管、一般機械の部品として広く使われている材料であるが、溶解工程で消費するエネルギーは膨大で、その省エネルギーのため、鋳造歩留り(製品重量/全注湯重量)を向上して溶湯節減をすることが重要な課題である。このためには、押湯の給湯効果を高めて押湯を削減することや、何らかの方法で注湯量を削減することが必要である。
まず押湯の給湯効果を高めることすなわち押湯を効率的に用いる技術について、従来技術では、(1)押湯を高くするまたは大きくする。(2)湯口部の溶湯高さを高くして押湯及び製品部に高い溶湯静圧をかける。(3)発熱スリーブや発熱材を使用する、などの方法が用いられている。しかし、(1)は押湯体積が大きくなり鋳造歩留りが低下する。(2)は押湯頂部に作用する溶湯静圧が高くなり、押湯頂部に凝固被膜を生成し易く殻被り現象が生じ、その結果大気圧を有効に利用できず、押湯からの給湯作用が低下して製品部に引け巣欠陥が生じ易い。また、(3)は発熱スリーブなどの補助材料の費用がかかるので適用に限定が伴う。したがって、いずれも汎用的かつ安価な手段で押湯の給湯効果を高める方法ではなくこの解決が課題である。上記の従来技術のうち(2)が最も簡便に用いられているし、後述の本願の技術思想とも関連するので、以降はこれを従来技術の代表として説明に用いる。
次に注湯量の節減について、従来技術では、(1)湯口部の湯口カップの大きさを小さくする。(2)注湯時に注湯量を減らす、などの方法が行われている。しかし、(1)は注湯時の湯こぼれの問題があり適用には限界がある。(2)は製品部及び押湯の高さに応じて適宜採用されているが、湯口カップの範囲内で試行錯誤の結果をもとに一部で行われている程度で、明確な技術思想として確立されてはいない。したがって、注湯量の節減が可能な新規な方法の開発が課題である。
また上記のように、押湯の給湯効果を高めることと溶湯節減することは別個の技術として取組まれており、両方を同時に改善する方法ないし技術思想は見当たらない。本願はこの点に着目して発案されたものである。
発明がが解決しようとする課題
上記のような従来技術の問題点を整理すると次のようになる。一般に用いられる押湯の給湯効果を高める方法としては、押湯サイズ(直径、高さ)の適正化、湯口部の溶湯高さを高くして押湯及び製品部に高い溶湯静圧をかける、あるいは発熱剤あるいはスリーブのような補助材を使うなどで、いずれも汎用的かつ安価な手段で押湯を効果的に効かせる方法にはなっていない。また、注湯量の節減は注湯時に湯口カップの大小、湯量の多少などの範囲で行われているが、適用に限界がある、または試行錯誤の結果をもとに行われており、明確な技術思想として確立されてはいないなどの問題点がある。また、押湯の給湯効果を高める技術と注湯量を節減する技術を同時に改善する技術は行われていない。
このような問題点に鑑み本発明では、押湯の給湯効果を高めるとともに、同時に注湯量の節減が可能な全く新規な技術思想に基づく鋳造方法を提供するものである。本願の基本的な技術思想はどの材質にも適用可能であるが、特に自動車部品などに多く用いられている鋳鉄系材料の鋳造に効果的である。
課題を解決するための手段
(手段1)
鋳鉄溶湯を重力注湯するにあたり、注湯量を全キャビティー体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させることを特徴とする鋳造方法である。
通常、鋳型キャビティーは、製品部、押湯、湯道、湯口部(湯口棒と湯口カップからなる)で構成されている。一般的には押湯の給湯効果を高めるために、押湯高さが製品部高さよりも高い鋳造鋳型がほとんどであるが、稀には押湯高さが製品部高さよりも低い鋳造鋳型の場合もある。本発明はいずれの場合にも適用できるものであるが、押湯が製品部よりも低い場合は、製品部の高さを考慮して用いる必要がある。鋳造においては、健全な製品を得るために押湯の給湯効果を高めること及び注湯量の節減が重要な課題である。本手段では、この2つの課題を同時に解決する方法を提供するものである。
まず、本願における押湯の給湯効果を高める基本的な考え方について説明する。それは押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることにより、押湯頂部の凝固を遅延させて凝固被膜が生成することを防止して長時間融液状態を保つことによって、押湯頂部から大気圧を作用させて押湯から製品部への給湯作用を高めることである。この状態が得られたときは、押湯頂部から連通した大きな引けが確認されが、製品部には引け巣欠陥が生じない。一方、押湯の給湯作用が不十分な場合には、押湯頂部がその形状通り凝固被膜を形成したいわゆる殻被りの状態となり、大気圧が有効に作用できず、製品部に引け巣欠陥が残る結果となり易い。ここで、押湯頂部の引けは大気圧によって押湯頂部の融液が押されることで生じるもので、押湯効果が確実に行われたことを示すものであり、一方、製品部の引け巣は押湯からの給湯不足によって生じる欠陥であり、全く異なる現象である。
つまり、押湯の給湯作用を確実にするためには、押湯頂部に引けが誘発されそこから大気圧が作用することが重要である。このことの重要性は一般にも認識されており、そのために押湯頂部に発熱剤あるいはウィリアムスコアなどが用いられることもある。しかし、これらは設置の手間及び費用面などで採用は少ない。本願はこれとは全く異なる方法でこれを実現するものである。
本手段では、注湯量を全キャビティーの体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、注湯完了時点で押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げる。これによって押湯頂部の凝固を遅らせて、融液状態を長時間保持できるようにする。なお、全注湯量とは鋳型の全キャビティーの体積を指すものとする。
この作用効果について説明する。本手段では、減量注湯して前記差(H1−H2)に相当する体積を全注湯量の5%以下と通常注湯よりも少なくしているので、その溶湯静圧は通常注湯の場合よりも低い。この結果、注湯完了時点で押湯頂部にかかる溶湯静圧は低く、溶湯と鋳型の密着度が低くなり、熱伝達量が下がることで、押湯頂部の凝固が遅延されて融液状態を長時間保持するようになる。
ここで通常の湯口部の全注湯量に対する体積比率は12〜16%(平均14%)程度で、その内訳は、湯口カップが9〜11%(平均10%)、湯口棒が3〜5%(平均4%)である。したがって例えば、従来技術の中で溶湯削減のために減量注湯して注湯完了時点で湯口カップの半分を満たした状態としても、本願の差(H1−H2)に相当する体積は、鋳型の高さにもよるが通常7%程度で5%を下回ることはない。つまり、本願のように5%以下とすることで、押湯頂部にかかる溶湯静圧を従来よりも低くすることができる。
従来技術では、押湯の給湯効果を高めるには、湯口部の溶湯高さを十分に保って押湯に高い溶湯静圧を作用させることが用いられており、本願とは異なる考えに基づいている。しかし、これは注湯後の初期段階で製品部に液体収縮を補給する意味では有効であるが、本格的に凝固が始まり製品部の欠陥発生を防止するため押湯から製品部への給湯が重要になる段階では、押湯頂部が高い溶湯静圧によって凝固被膜の生成が促進され殻被り状態となり、その結果大気圧が作用せず押湯からの給湯効果は低くなる。これは本願とは逆の作用効果である。また、減量注湯は従来技術でも製品部及び押湯の高さが低い限られた場合に適用されているが、これは単に注湯量の削減のみが目的で、押湯頂部に作用する溶湯静圧を低くして押湯頂部の凝固を遅延させる技術思想は全く考慮されていない。
前記の溶湯と鋳型の密着度が低くなることの意味は、溶湯静圧が低いと、溶湯の表面張力のため押湯頂部の鋳型のミクロな凹凸の凹部には溶湯が侵入しない状態が得られ易いということである。つまり、溶湯と鋳型の密着度は、溶湯静圧と溶湯の表面張力の均衡作用で決まるので、注湯量を減量して溶湯静圧を低くした方が密着度は下がることになる。この現象は、通常の鋳造において溶湯静圧が低い場合に、鋳出し文字などが不回り気味で不鮮明になることと同じ作用効果を利用したものである。密着度が下がる作用効果の意味は、溶湯と鋳型の界面にミクロな薄い空気層が生じ、これが断熱作用をするので熱伝達量が小さくなるのである。その結果、押湯頂部の凝固が遅延し長時間融液状態を保ち、この部分から大気圧によって引けが誘発され、押湯の給湯効果を高めるのである。詳細は実施例1で説明する。
(手段2)
鋳鉄溶湯を重力注湯するにあたり、注湯量を全キャビティー体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させ、かつ液体収縮完了前に押湯頂部の溶湯と湯口部の溶湯の高さを同一とすることを特徴とする鋳造方法である。
本手段では、手段1の条件に加えて、液体収縮完了前に押湯頂部の溶湯と湯口部の溶湯の高さを同一とするようにした。その作用効果について説明する。注湯された溶湯は初期段階で注湯温度から凝固温度に達するまでに液体収縮を起こすとともに、鋳型は溶湯の熱によって加熱され鋳型膨張を起こす。例えば、鋳鉄で注湯温度1400℃の場合、凝固温度1150℃まで、100℃あたり1.5%の液体収縮を起こすので、合計3.75%の液体収縮を起こす。また、溶湯の熱による鋳型の膨張量は鋳型の種類にもよるが2%程度と推定される。鋳型の膨張は溶湯の不足と同じことになるので、液体収縮に加算されるものである。したがって、合計5.75%の液体収縮が起こることになる。その結果、湯口の溶湯レベルはこの分だけ降下する。注湯温度がやや低く1350℃の場合はこの液体収縮は約5%である。
本手段においては、湯口部の差(H1−H2)に相当する部分の体積は全注湯量の5%以下になっているので、湯口部の溶湯高さは注湯後の初期段階で逐次降下し、液体収縮完了前に押湯頂部の高さと同一になる。したがって、押湯頂部に作用する溶湯静圧は、当初は差(H1−H2)であったものが、ゼロまで逐次下がることになる。その結果、押湯頂部の溶湯と鋳型の密着度は逐次低下し、熱伝達量がさらに下がり続け、押湯頂部の凝固がさらに遅延されて長時間融液状態を保つことになる。このことによって、押湯頂部から大気圧が長時間作用し、押湯から製品部への給湯作用がより効果的に行われることになるのである。
なお、差(H1−H2)を注湯完了時点からゼロ、すなわち同一高さとすることもできる。この場合は、その後の液体収縮に伴って後述の手段3に示すように押湯内の湯面高さと湯口部の湯面高さが連動して降下することになる。この場合も、製品部に供給する十分な押湯体積があれば問題なく適用できる。
(手段3)
鋳鉄溶湯を重力注湯するにあたり、注湯量を全キャビティー体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させるとともに、押湯内の湯面高さを湯口部の湯面高さと連動して降下させることを特徴とする鋳造方法である。
本手段では、手段1の条件に加えて、押湯内の湯面高さを湯口部の湯面高さと連動して降下させるようにした。その作用効果について説明する。例えば注湯温度が前述の1400℃よりも高い場合には、凝固開始までの液体収縮分が多くなるので、手段2と同様に注湯完了後の液体収縮の進行に伴って、押湯頂部の溶湯高さと湯口部の溶湯の湯面高さは同一となり、さらに両方の湯面は連動して下がることになる。あるいは、注湯温度がこれよりも低い場合でも、鋳型の膨張量が大きい場合などには、液体収縮分が増加したのと同じことになり、上記注湯温度の場合と同様な結果となる。また、前記差(H1−H2)に相当する湯口部の体積がより小さい条件でも同様な結果となる。このように、適宜の条件によって押湯内の湯面高さを湯口部の湯面高さと連動して降下させることが可能である。
この結果、押湯頂部の溶湯は押湯頂部の高さH2より下がり、押湯頂部の鋳型と溶湯が分離することで生じる空洞が早期に形成される。この空洞は、空気層(発生したガスも含む)からなり、断熱効果が大きい。ちなみに、空気の熱伝導率は鋳型の約1/13と小さく、押湯頂部の溶湯は空気断熱で凝固が大幅に遅れることになる。この結果、押湯頂部の溶湯はさらに長時間融液状態を保つことができ、共晶凝固の段階においても大気圧の作用を受けながら押湯の給湯作用が効率的に付加されることになる。
注湯完了時点の湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積は、極力小さい方が早期に押湯頂部に空洞が形成されるので効果的である。最小は(H1−H2)=0、すなわち2つの溶湯面レベルが同一でもよい。この場合には、押湯頂部の湯面高さは、液体収縮開始とともに湯口部の湯面高さと連動して降下し、さらに早期に押湯頂部に空気層による空洞が生じるので極めて効果的である。
また、押湯頂部に溶湯が充満しない状態の注湯量(この場合もH1−H2=0となる)の場合でも、必要な製品部への給湯量を確保できる溶湯量が押湯内にあれば問題なく適用できる。ただし当然ながら、少なくとも湯口部の高さH1は、製品部の高さを下回ることはできない。また、押湯が製品部よりも低いときは、同様に製品部の高さを下回ることはできない。
以上手段1乃至3によって押湯の給湯作用は、従来技術とは全く異なる方法で改善され極めて効果的となり、製品部の引け巣欠陥が生じない。そして、湯口部特に湯口カップの部分の溶湯は削減されるとともに、押湯体積を削減することも可能である。その結果、大幅な注湯量の節減となり鋳造歩留りが大きく向上する。
(手段4)
手段1乃至3のいずれかに記載の鋳造方法において、前記差(H1−H2)によって決まる押湯頂部の溶湯に作用する溶湯静圧を0.0075MPa以下とすることを特徴とする鋳造方法である。
手段1乃至3の条件で押湯頂部が長時間融液状態を保持され、押湯頂部からの引け誘発が効果的に可能となったが、本手段ではさらに、差(H1−H2)によって決まる押湯頂部の溶湯に作用する溶湯静圧を0.0075MPa以下と規定した。これは、手段1において鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下として押湯頂部にかかる溶湯静圧を低くしたが、湯口部の湯口カップと湯口棒の体積比率などで、注湯完了時点での押湯頂部に作用する溶湯静圧に差異が生じた場合であっても、押湯の給湯効果を確実に作用させるように考慮して規定したものである。
この数値は溶湯の表面張力及び押湯頂部の鋳型の面粗度の変動などを考慮して求めたものである。つまり、溶湯静圧がこれ以下の場合、例えば注湯温度の変動による溶湯の表面張力の変化、及び鋳型の種類や締り具合による押湯頂部の鋳型の面粗度の変動などが生じても、押湯頂部の鋳型表面の凹凸の凹部に溶湯が侵入する程度が低減されて、その部分にわずかながらも断熱効果のある薄い空気層が形成される。これによって押湯頂部の凝固遅延の効果がより確実に発生し、押湯の給湯効果を手段1乃至3に加えてさらに向上させることができる。
(手段5)
手段1乃至4いずれかに記載の鋳造方法において、押湯の全高さHと見切面上での直径Dの比(H/D)が1.3以下である押湯を用いることを特徴とする鋳造方法である。
従来技術では、押湯の高さHと直径Dの比率は、押湯の給湯効果を高めるためにH/Dは1.5〜2.0が一般的に用いられている。押湯効果をさらに高めたい時は、この値を超えて高くするあるいは直径を大きくすることが行われてきた。これに対し本手段では、手段1及び2によって、押湯頂部の引け誘発を効果的に発生させ、押湯の給湯効果を高めることができたので、押湯高さを低くした押湯を用いて押湯体積を削減するようにしたものである。これによって、手段1乃至4による減量注湯による溶湯節減と合わせて押湯体積も節減することができる。
(手段6)
手段1乃至3いずれかに記載の鋳造方法において、注湯完了後、湯口カップ上面から圧縮ガスを用いて加圧することを特徴とする鋳造方法である。
ここで、本発明で用いたもうひとつの手段は、注湯完了後、湯口カップ上面から適宜の加圧を加えるものである。これは、減量注湯することによって、湯口部の溶湯レベルが低くなるために製品部に作用する溶湯静圧が低下し、不回り、ガス欠陥などの溶湯静圧不足によって生じ易い欠陥を防止するためである。
加圧は圧縮空気が最も簡便で、これを湯口カップの上面に設けた加圧マウスを介して加圧する。加圧力は、鋳型の大きさ、鋳型の強度などを考慮して決めるが0.020〜0.30MPaが適切である。また加圧時間は溶湯が凝固するまでの長時間加圧は必要なく、単に不回り部を密着させる、あるいは鋳型内に残留したガスを排出することを目指して1〜10秒間で十分である。
作用
本発明により、従来技術とは全く異なる技術思想に基づき、減量注湯によって押湯頂部の溶湯静圧を下げることで押湯頂部の凝固被膜の生成が遅れ、従来技術に比べて長時間融液状態を保つことができるようになる。その結果、押湯頂部に大気圧が有効に作用し押湯の給湯作用がより効率的になり、製品部の引け巣欠陥を防止することができるようになる。つまり製品品質の向上効果が得られる。また同時に、減量注湯によって湯口部の溶湯が節減される。この結果、溶湯が大幅に節減され溶解のための消費電力及び溶湯処理費等を大幅に削減できるようになる。またCO削減にも大きく貢献するものである。
以下に本発明を詳細に説明するが、これら実施例によって本発明が限定されるものではない。
図1〜図4に手段1を用いた実施例1を示す。本例では、溶湯を重力注湯するにあたり、注湯量を全キャビティー体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を、全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させるとすることを特徴とする鋳造方法について説明する。なお、以下の説明の中で特に規定しない限り、高さは鋳型の見切面からの高さを表すものとする。
まず比較のために従来技術の例について説明する。図13は製品部1、押湯2、湯道3、湯口部4(湯口棒5と湯口カップ6からなる)で構成された鋳型キャビティーに、溶湯7を湯口カップ6から注湯した状態を示す。従来技術では、一般的に湯口カップ6にほぼ一杯まで注湯される。この場合、押湯頂部8の溶湯7に作用する溶湯静圧は差(H1−H2)で示されるが、この圧力が高いので押湯頂部8の溶湯7はその部分の鋳型9に強い密着度で押付けられる。
その結果、熱伝達が速やかに行われ押湯頂部8に凝固被膜を生成し易く、したがって押湯頂部8からの大気圧が作用し難くなる。これがしばしば発生する押湯頂部8の殻被りで、この現象が起こると凝固段階で押湯2から製品部1への給湯にあたり、大気圧が作用せず、押湯高さH2と製品部高さH4との差(H2−H4)に相当する圧力のみで給湯が行われることになる。つまり押湯2が効率的に効かない現象が生じ、製品部1に引け巣欠陥が残る結果となり易い。通常、大気圧と差(H2−H4)に相当する圧力とでは10倍以上の差があり、大気圧を有効に利用することは極めて重要である。このように湯口カップ一杯注湯することは押湯の給湯効果を高める上ではマイナス効果である。
なお、注湯後に始まる液体収縮段階では湯口部4から製品部1への給湯も生じるが、これは凝固が始まる前の途中段階で湯口部4又は湯道部3が凝固した時点で終了し、その後は押湯2からのみの給湯作用によって製品部1の欠陥発生部に溶湯補給することになる。そのため、押湯頂部8の凝固を遅らせることが重要である。なお、液体収縮段階とは、溶湯全体の凝固開始までの液体収縮期間を示すが、場合によっては、湯口部4あるいは湯道3がその途中で半凝固乃至凝固状態となり、湯口部4からの給湯が止まり、湯口部4の湯面高さの低下が停止することがあるので、その場合は、この時点までを液体収縮段階とみなすこととする。
図14は、従来技術の他の例で、製品部1の高さH4が低い場合で、溶湯節減のため注湯量を減量し、湯口カップ6の半分程度にしたものである。この場合、図13の例と比べ押湯頂部8に作用する圧力は少し減少する場合もあるが、通常は押湯高さH2も低くなるのでさほど変わらないことが多い。したがって、この場合も押湯頂部8の凝固被膜生成を遅らせるには圧力が高過ぎ、押湯頂部8に殻被りが発生し易い。
このように従来技術においては、注湯量は湯口カップ6を充満することが一般的で、特別に高さの低い製品部1の場合には湯口部4の高さを適宜低くすることが行われている。しかし、これは単に湯口部4の溶湯を削減することが目的で、押湯効果を高める作用を目指したものではない。このため、湯口部4の高さの明確な基準値はなく、かつ押湯の給湯効果の改善もなされていない。
このように従来技術では、注湯量は製品部1及び押湯2の高さを考慮して、これらに十分な溶湯静圧をかけるとことを基本条件として、その中で適宜調節して行われている。しかし、注湯量を制御することで押湯頂部8にかかる溶湯静圧を調整し、押湯頂部8の引け誘発を効果的に行い、押湯2の給湯効果を高めるという技術思想はない。
なお、一般的な湯口部4の全注湯量に対する割合は平均14%程度で、その湯口カップ6と湯口棒5の内訳は平均11%と3%程度であるので、図11のように湯口カップ6の半分程度まで減量注湯しても、上記の差(H1−H2)に相当する湯口部4の体積は平均7%程度で5%を下回る注湯条件は行われていない。
一方、図1に示す本願技術では、従来よりも減量注湯して、湯口部4と押湯頂部8の高さの差(H1−H2)の部分の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部8に作用する溶湯静圧を下げるようにした。通常の鋳型の場合、この注湯状態では湯口部4の高さH1は、湯口カップ6の体積を下から半分程度を満たす高さ以下になっている。この結果、当然差(H1−H2)は小さくなり、注湯完了時点で、押湯頂部8に作用する溶湯静圧は低くなるので、押湯頂部8の溶湯7と鋳型9との密着度は低くなる。したがって、溶湯7から鋳型9への熱伝達量は小さくなり、押湯頂部8は凝固被膜を形成し難くなることで、長時間融液状態を保つことができる。その結果、押湯頂部8からその部分の融液を通して大気圧が長時間作用し、押湯2の給湯効果を高めることができる。
本願技術思想の要点である上記押湯頂部8の溶湯7と鋳型9との密着度について詳細に説明する。図2(a)と(b)は押湯頂部8の溶湯7と鋳型9の密着度を、砂鋳型の砂粒子10を拡大して示したものである。(a)は従来技術の状態、(b)は本願の状態である。
従来技術(a)では湯口部4の溶湯レベルを考慮することなく注湯されるので、押湯頂部8に作用する溶湯静圧が高いため溶湯7は砂粒子10の空隙11に侵入するので、真実接触面積は大きく、熱伝達量が増大し押湯頂部8の溶湯7の凝固は促進される。その結果、押湯頂部8に凝固被膜が生成され易く大気圧が作用しにくい状態が生じ易い。
一方、本願の(b)では、減量注湯して押湯頂部8に作用する溶湯静圧が低いので、溶湯7は砂粒子10の空隙11に侵入し難い。したがって、鋳型9と溶湯7が接する真実接触面積は小さく、かつその界面に薄い空気層18が存在し、その空気断熱によって熱伝達量が小さく押湯頂部8の凝固は遅延される。その結果、押湯頂部8に凝固被膜が生成されにくく大気圧が作用する状態が生じ易い。この溶湯の砂粒子10の空隙11への侵入程度がマクロには密着度という表現である。これは、溶湯静圧と、溶湯の表面張力、砂粒径、鋳型の締り具合などによって決定されるが、本願のように溶湯静圧を下げることは密着度を下げる効果を生む重要な要素である。
さらに、注湯後の液体収縮段階で、湯口部4の溶湯レベルは低下し、図3のようになる。つまり、差(H1−H2)は逐次小さくなり、押湯頂部8に作用する溶湯静圧は減少する。したがって、押湯頂部8の凝固進行はさらに遅延することになる。このような溶湯静圧の逐次減少は、前述の従来技術の図13及び図14でも起こるが、湯口カップ部の体積(又は直径)が大きいので溶湯レベルの低下は小さく、したがって溶湯静圧の減少程度は本願に比べて小さい。図4は、液体収縮段階が終了し、製品部1の凝固が本格的に始り押湯2から製品部1へ給湯が開始されて、凝固遅延した押湯頂部8から大気圧によって引け13が誘発されて長時間給湯がなされている状態を示したものである。このように、押湯頂部8にかかる溶湯静圧を下げることで、押湯頂部8の凝固を遅延させ大気圧を作用させることができ、給湯効果を高めることができる。
このように、製品部1の引け巣欠陥発生部に対して共晶凝固段階での本格的な給湯作用が始まる前に、押湯頂部8の凝固遅延を十分に行う条件を本願のように設定することで安定した給湯作用を実現することができる。勿論、上記工程の液体収縮の補給も給湯作用の一部であるが、製品部1の引け巣欠陥を防止するには共晶凝固段階での大気圧を利用した給湯作用を確実に行えるようにすることが重要である。
以上のように、減量注湯して押湯頂部8にかかる溶湯静圧を下げることは押湯の給湯効果を高める上で有効である。この結果、給湯効果と合わせて減量注湯による溶湯節減が可能になった。このように給湯効果と溶湯削減を同時に達成できる技術思想は全く新規なものである。
図5及び6に手段2を用いた実施例2を示す。本例では、手段2を用いて、前記差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させ、かつ液体収縮完了前に押湯頂部の溶湯と湯口部の溶湯の高さを同一とすることを特徴とする鋳造方法について説明する。
前記実施例1において、溶湯の温度が高い場合、鋳型の熱膨張が大きい場合、あるいは初期の差(H1−H2)が小さい場合などには、湯口部の湯面は図5のように液体収縮完了前に押湯頂部8の溶湯と湯口部4の溶湯の高さが同一となる。この状態では、差(H1−H2)=0で、押湯頂部8に作用する溶湯静圧はゼロである。つまり、注湯完了後の差(H1−H2)に相当する溶湯静圧からゼロまで逐次低下することになる。したがって、実施例1よりも押湯頂部8に作用する溶湯静圧は低くなり、押湯頂部8の疑固被膜生成はさらに遅延され、押湯効果が高められる。図6は図5の状態から凝固進行に伴って押湯頂部8が大気圧によって引け13が誘発され、製品部に給湯が効果的になされた状態を示すものである。
なお図5の状態は、大幅な減量注湯を行って注湯完了時点で得るようにすることもできる。この場合には、この状態から液体収縮が進行し、次の実施例3に示すように、押湯頂部8に空洞12が生成され、その空気層の断熱効果で押湯頂部8の保温が促進される。この場合も、製品部1に供給する十分な押湯体積があれば問題なく本手段を適用できる。
図7及び8に手段3を用いた実施例3を示す。本例では、手段3を用いて、前記差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させるとともに、押湯内の湯面高さを湯口部の湯面高さと連動して降下させることを特徴とする鋳造方法について説明する。
前記実施例2において、さらに溶湯の温度が高い場合、鋳型の熱膨張が大きい場合、あるいは初期の差(H1−H2)が小さい場合などには、液体収縮完了前に押湯頂部8の溶湯と湯口部4の溶湯の高さが同一の状態となり、その後図7のように押湯内の湯面高さと湯口部4の湯面高さは同一のまま連動して降下する。これによって、押湯頂部8に空洞12が生成され、その空気層の断熱効果で押湯頂部8の保温が促進される。この場合も、製品部1に供給する十分な押湯体積があれば問題なく本手段を適用できる。図8は図7の状態から凝固進行に伴って押湯頂部8が大気圧によって引け13が誘発され、製品部1に給湯が効果的になされた状態を示すものである。
なお図7の状態は、大幅な減量注湯を行って注湯完了時点で得るようにすることもできる。この場合には、この状態から液体収縮が進行し、押湯頂部8に空洞12が生成され、その空気層18の断熱効果で押湯頂部8の保温が促進される。この場合も、製品部1に供給する十分な押湯体積があれば問題なく本手段を適用できる。
以上のように、従来技術では、製品部及び押湯にある程度以上の高い溶湯静圧を付与することで、押湯からの給湯効果を高めることが基本思想であったが、本願では逆に押湯頂部にかかる溶湯静圧を下げることによって押湯の給湯効果を高めるという技術思想に基づいている。すなわち、注湯量を減量して、差(H1−H2)に相当する体積を全注湯量の5%以下として押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させることによって、明確に押湯の給湯効果を高めるとともに、湯口部の溶湯を節減することができた。このような作用効果は従来技術の鋳造方法では達成できない技術である。なお、実施例2と実施例3は明確に区別されて実施されるものではなく、実生産では注湯条件等の変動によって、注湯枠ごとに2つの作用効果のいずれかが生み出されることになる。
図9に手段4を用いた実施例4を示す。本例では、手段1乃至3いずれかに記載の鋳造方法において、前記差(H1−H2)によって決まる押湯頂部の溶湯に作用する溶湯静圧を0.0075MPa以下とすることを特徴とする鋳造方法について説明する。
実施例1乃至3において、注湯量を減量して前記差(H1−H2)に相当する部分の体積を全注湯量の5%以下にすることによって押湯頂部8に作用する初期の溶湯静圧を低くし、かつその後の液体収縮段階でさらに溶湯静圧を逐次低下させることで、押湯頂部8の凝固を遅延させ給湯効果を高めることができた。しかし、種々の製品部1及び押湯2の高さによっては初期の差(H1−H2)に相当する溶湯静圧が高い場合があるので、このような場合にも初期段階から押湯頂部8作用する溶湯静圧を低く設定するように、溶湯静圧を0.0075MPa以下と規定した。ちなみに、鋳鉄溶湯の場合、溶湯静圧0.0075MPaは、溶湯比重量7gf/cmとして、高さ約110mmである。これによって、図9のように湯口部4の溶湯高さをさらに低くすることが可能になる場合もある。
以上の結果、湯口部の初期の差(H1−H2)に相当する体積と溶湯静圧の2つの条件を規定することで、本願の目指す押湯頂部8の凝固遅延による保温とそれに伴う高い給湯効果をさらに確実に実施することができるようになった。
図10に手段5を用いた実施例5を示す。本例では、手段1乃至4いずれかに記載の鋳造方法において、押湯の全高さHと見切面上での直径Dの比(H/D)が1.3以下である押湯を用いることを特徴とする鋳造方法について説明する。
実施例1乃至4によって、押湯頂部8に作用する溶湯静圧を低くすることで、押湯頂部8の凝固遅延とそれに伴う給湯効果を高めることができるようになったので、従来技術におけるように押湯2の全高さHを高くする必要はなくなった。従来技術では、通常は円柱状の押湯が用いられており、押湯の直径(見切面上での値とする)と高さの比H/Dは、一般的に1.5〜2程度が用いられてきたが、本願では、これを1.3以下と低く規定した。押湯高さは低くなっても、本願の給湯作用は押湯頂部8の凝固を遅延させ大気圧を利用するものであるので、押湯内に給湯するに足る溶湯量があればその効果が低下することはない。この結果、減量注湯による湯口部4の溶湯節減と合わせて、押湯体積も節減することも可能になった。押湯2の高さHは製品部1の高さより低くても大気圧が十分作用する上記条件が成立しておれば問題なく適用できる。
図11に手段6を用いた実施例6を示す。本例では、手段1乃至5いずれかに記載の鋳造方法において、注湯完了後、湯口カップ上面から圧縮ガスを用いて加圧する鋳造方法について説明する。
実施例1乃至4によって、押湯の給湯効果を高めつつ、かつ溶湯節減を行えるようになったが、減量注湯することによって、湯口部4の溶湯レベルが低くなるために製品部1に作用する溶湯静圧が低下した場合に生じ易い不回り、ガス欠陥などの欠陥を防止するために注湯完了後、湯口カップ6の上面から適宜の加圧を加えるようにしたものである。
注湯完了後できるだけ速やかに湯口カップ6上に加圧マウス14を密着して被せ、圧縮ガス15を用いて短時間加圧して不回り、ガス欠陥などを防止するようにした。加圧ガスは圧縮空気が最も簡便である。加圧力は、鋳型の大きさ、鋳型の強度などを考慮して決めるが0.020〜0.30MPaが適切である。また加圧時間は単に不回り部を密着させる、あるいは鋳型内に残留したガスを排出することを目指して1〜10秒間で十分である。なお、加圧によって一時的に押湯頂部8の溶湯は鋳型9と強く密着するが、短時間であるのですぐに密着度は低下し、上記実施例の作用効果に影響はない。
図12に手段1乃至5を用いた実施例5を示す。本例では、縦型鋳型の場合を示す。鋳型の方案は製品部1、押湯2、縦湯道16、横湯道17、湯口カップ6から構成されている。図は注湯完了時点の溶湯7の充填状況を示している。縦型で実施例1のような湯口部はないが、縦湯道16と横湯道17がこれに相当すると考えられる。縦湯道16の高さH1と押湯頂部8の高さH2の差(H1−H2)は図のようになる。したがって、この例では、この差(H1−H2)に相当する部分の体積を全注湯量の5%以下とし、必要な場合にはこの差(H1−H2)に相当する部分の溶湯静圧を0.0075MPa以下にすることで、実施例1乃至実施例5と全く同じ作用効果を得ることができる。すなわち押湯頂部8の保温性を確保し、凝固被膜の形成を遅らせ大気圧によって高い給湯効果を得るとともに、湯口カップ6と縦湯道16及び横湯道17の一部の溶湯節減が可能になった。
発明の効果
以上説明した通り本発明により、減量注湯によって押湯頂部の溶湯静圧を下げることによって押湯頂部の凝固を遅延させ大気圧を十分に作用させることで、押湯の給湯効果を高めるとともに、湯口部の溶湯を節減するという従来にない溶湯節減効果を生み出すことができた。また、押湯高さも低くして押湯体積の削減も可能になった。これらは、従来技術の技術思想とは全く逆の新規な技術思想に基づくものである。この結果、製品部の品質改善と合わせて大幅な溶湯節減も可能になり、省エネルギー、CO削減に大いに貢献するものである。
本発明の実施例1の注湯完了を示す図である。 本発明の実施例1の押湯頂部の状態を示す図である。 本発明の実施例1の液体収縮完了状態を示す図である。 本発明の実施例1の凝固途中を示す図である。 本発明の実施例2の液体収縮完了状態を示す図である。 本発明の実施例2の凝固途中を示す図である。 本発明の実施例3の液体収縮完了状態を示す図である。 本発明の実施例3の凝固途中を示す図である。 本発明の実施例4を示す図である。 本発明の実施例5を示す図である。 本発明の実施例6を示す図である。 本発明の実施例7を示す図である。 従来技術の注湯完了の一例を示す図である。 従来技術の注湯完了の別例を示す図である。
1製品部 2押湯 3湯道 4湯口部 5湯口棒 6湯口カップ
7溶湯 8押湯頂部 9鋳型 10砂粒子 11空隙 12空洞
13押湯上部からの引け 14加圧マウス 15圧縮ガス 16縦湯道
17横湯道 18空気層

Claims (3)

  1. 鋳鉄溶湯を重力注湯するにあたり、押湯の全高さHと見切面上での直径Dの比(H/D)が1.3以下である押湯を用い、注湯量を全キャビティー体積よりも減量して注湯することにより、注湯完了時点において、鋳型見切面から湯口部の湯面までの高さH1と、押湯頂部の湯面までの高さH2の差(H1−H2)に相当する湯口部の体積を全注湯量の5%以下とし、押湯頂部に作用する溶湯静圧を下げることによって当該部の凝固を遅延させることを特徴とする鋳造方法。
  2. 請求項1記載の鋳造方法において、前記差(H1−H2)によって決まる押湯頂部の溶湯に作用する溶湯静圧を0.0075MPa以下とすることを特徴とする鋳造方法。
  3. 請求項1又は2のいずれかひとつに記載の鋳造方法において、注湯完了後、湯口カップ上面から圧縮ガスを用いて加圧することを特徴とする鋳造方法。
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