JP5891359B2 - 複共振型アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の周波数で動作するアンテナパターンを備えた複共振型アンテナ装置に関する。
近年、車両には、様々な無線通信システム(例えば、AM/FM放送、地上デジタル放送、GPS、VICS、ETC)が搭載されている。各々の通信システムに対応するためには、数多くのアンテナが必要となることから、複数の周波数に対応するアンテナを設けることで、アンテナの小型化、低コスト化を図っている。
このようなアンテナ装置として、地導体上の誘電体ブロックの表面に2種類のアンテナ電極を設け、地導体の一方の面をグランド側とし、当該2種類のアンテナ電極へ給電する給電線路を地導体の他方の面に形成し、各々のアンテナ電極の給電点に挿入された給電ピンを介して給電線路と電気的に接続することで、当該2種類のアンテナ電極間の相互作用による影響を低減する複共振型誘電体アンテナが知られている(特許文献1)。
また、有限導体板上に設けられた略板状の誘電体基板の表面に、2つのアンテナ素子を含むアンテナ用導体パターンを設け、当該2つのアンテナ素子のうち高周波帯で動作するアンテナ素子の給電点を当該誘電体基板の略中央部に設けることで、低周波帯域のアンテナ素子間のアイソレーションを改善(あるいは調整)することができる多周波共用アンテナが知られている(特許文献2)。
特開2005−198335号公報 特開2007−267088号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアンテナでは、外側に配置されたアンテナ素子は、中心部を矩形状にくり抜かれた略環状形状となっているため、外側のアンテナ素子で共振する周波数帯におけるアンテナ効率が低下する。また、特許文献2に記載のアンテナでは、低周波帯域でのアイソレーションは考慮しているものの、アンテナの効率改善については全く考慮されていない。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、アンテナ効率を改善することができる複共振型アンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明の複共振型アンテナ装置は、誘電体基板と、誘電体基板上に形成された略環状形状の第1アンテナ素子と、第1アンテナ素子の内側に配置された第2アンテナ素子と、導電性材料で形成され、第1アンテナ素子の外周に沿うように、第1アンテナ素子から離れた位置に配置された複数の無給電素子とを備えた構成を有する。
この構成により、第1アンテナ素子で発生した磁界が無給電素子に流れ、第1アンテナ素子の両側エッジ部分で互いにキャンセルされる磁界の量を低減することができ、アンテナ効率の改善を図ることができる。
本発明の複共振型アンテナ装置において、複数の無給電素子として、第1アンテナ素子の外周に沿って均等に配置された、4つの矩形状の無給電素子であることが好ましい。また、この無給電素子は、第1アンテナ素子に向けて突出した突起部を設けても良く、これにより、第1アンテナ素子から無給電素子に流れこむ磁界が大きくなり、第1アンテナ素子の両側エッジ部分で互いにキャンセルされる磁界の量をさらに低減することができる。
また、本発明の複共振型アンテナ装置において、複数の無給電素子を互いに接続しても良い。これにより、第1アンテナ素子で発生する磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子の両側エッジ部分で互いにキャンセルされる磁界の量をさらに低減することができる。
本発明の複共振型アンテナ装置において、第1及び第2アンテナ素子とは反対側の前記誘電体基板上に設けられた地導体をさらに備え、複数の無給電素子は、地導体と電気的に接続されている構成を有する。この構成によっても、第1アンテナ素子で発生する磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子の両側エッジ部分で互いにキャンセルされる磁界の量をさらに低減することができる。
本発明によれば、略環状アンテナ素子の外側に複数の無給電素子を配置することにより、アンテナ素子の周囲でキャンセルされる磁束の量を低減することができ、アンテナ効率の改善を図ることができる。
本発明の第1の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 図1のA−A’線に沿った断面図 (a)は、図16のD−D’線に沿った断面における磁界分布を示す説明図(b)は、図1のB−B’線に沿った断面における磁界分布を示す説明図 本発明の第2の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 図4のC−C’線に沿った断面図 本発明の第3の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第4の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第5の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第6の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第7の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第8の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第9の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第10の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第11の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 本発明の第12の実施形態における複共振型アンテナ装置の平面図 従来構成の複共振型アンテナ装置の平面図 従来構成のさらに別の複共振型アンテナ装置の平面図
以下、本発明の好適な実施形態に係るアンテナ装置について、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1及び図2は、第1の実施形態に係る複共振型アンテナ装置を示すものであり、図1は平面図を、図2は断面図を示す。複共振型アンテナ装置1は、基板10と、この基板10上に形成された第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、地板13、第1〜第4無給電素子14〜17、第1給電用スルーホール18a、第2給電用スルーホール18b、第1給電部19a及び第2給電部19bを備える。
基板10は、例えば、縦横の長さL1が58mm、厚さD1が1.6mmの略直方体形状の誘電体であり、その誘電率εrは、例えば4.23である。
第1アンテナ素子11は、基板10の上面(+Z側の面)に設けられ、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。第1アンテナ素子11は、第2アンテナ素子12を囲む略環状に形成され、例えば、外形寸法L2が32.48mmの正方形であり、空隙寸法L3が22.22mmの正方形の形状を有している。また、第1アンテナ素子11は、第1給電用スルーホール18a及び給電ライン(図示せず)を介して、第1給電部19aより給電され、例えば、1.575GHzの動作周波数で発振する。
第2アンテナ素子12は、基板10の上面(+Z側の面)に設けられ、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。第2アンテナ素子12は、第1アンテナ素子11の空隙内の略中央の位置に設けられており、例えば、縦横の長さL4が11.76mmの正方形の形状を有する。また、第2アンテナ素子12は、第2給電用スルーホール18b及び給電ライン(図示せず)を介して、第1給電部19bより給電され、例えば、5.8GHzの動作周波数で発振する。
第1無給電素子14は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、基板10の上面(+Z側の面)、かつ、第1アンテナ素子11に対して+X側の位置に設けられている。第2無給電素子15は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、基板10の上面(+Z側の面)、かつ、第1アンテナ素子11に対して+Y側の位置に設けられている。第3無給電素子16は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、基板10の上面(+Z側の面)、かつ、第1アンテナ素子11に対して−X側の位置に設けられている。第4無給電素子17は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、基板10の上面(+Z側の面)、かつ、第1アンテナ素子11に対して−Y側の位置に設けられている。これら第1〜第4無給電素子14〜17の寸法は、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmとされている。
地板13は、例えば、各辺の長さL7が55mmの正方形の形状を有する導電性材料(例えば銅箔)であり、基板10の下面(−Z側の面)に設けられ、電気的に接地されている。
以下、上記構成による複共振型アンテナ装置の動作について説明する。図3(a)は、従来構成による複共振型アンテナ装置200(図16参照)において、第1アンテナ素子201に給電した場合の、D−D’線に沿った断面における磁界分布を模式的に示したものである。また、図3(b)は、上記第1の実施形態における複共振型アンテナ装置1の第1アンテナ素子11に給電した場合の、B−B’線に沿った断面における磁界分布を模式的に示したものである。なお、図3(a)(b)において、矢印は磁界を示しており、矢印が太いほど、その地点での磁界強度が強いことを示している。
従来構成による複共振型アンテナ装置200において、第1アンテナ素子201は中心が切り抜かれた略環状の形状とされているため、第1アンテナ素子201に給電された電力によって励起される磁界の分布のうち、第1アンテナ素子201のエッジ両端の成分203a、203bは逆位相となって互いにキャンセルされるため、放射効率が劣化してしまう。
これに対し、上記の第1の実施形態における複共振型アンテナ装置1では、第4無給電素子17を追加したことで、第1アンテナ素子11に給電される電力によって励起される磁界の分布が変化する。すなわち、第4の無給電素子17と地板13との間の領域を通過する磁束2の強度が、従来構成の複共振型アンテナ装置200よりも大きくなり、これにより、第1アンテナ素子11のエッジ両端の成分となる磁束3a、3bの強度が、従来構成の複共振型アンテナ装置200に対応する磁界203a,203bよりも小さくなる。したがって、第1アンテナ素子11のエッジ両端においてキャンセルされる磁界成分が小さくなるため、放射効率が改善される。なお、第1〜第3無給電素子14〜16についても、第4無給電素子17と同様に、第1アンテナ素子11のエッジ両端においてキャンセルされる磁界成分を低減することができる。
上記実施形態において、各アンテナ素子の寸法L1〜L5の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはない。例えば、給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じ、適宜、その値を変化させることができ、これにより放射効率及び利得を改善することができる。L2及びL4の値を大きくすることで、共振周波数を高くすることができる。また、L1及びL7の値を大きくすることで、放射効率を改善することができる。さらに、L3の値を大きくすると、第1アンテナ素子の効率が低下するが、第2アンテナ素子の効率は改善する。また、L5の値を小さくすると、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、この値を過度に大きくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。このことは、以下に述べる別の実施形態においても同様である。
また、上記実施形態において、第1〜第4無給電素子の寸法L6、W1の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはなく、L6及びW1の値を適宜変化することで、放射効率及び利得を変化させることができる。例えば、L6及びW1の値を大きくすれば、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、L6及びW1の値を過度に大きくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。W1=5mmとした場合、L6の値を38〜42mmとすることが好ましく、L6=40mmとした場合、W1の値を3〜6mmとすることが好ましい。また、本実施形態では、第1〜第4無給電素子の寸法が同一であるが、例えば、給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じ、個々の無給電素子の寸法を変化させても良く、これによっても、放射効率及び利得を変化させることができる。このことは、以下に述べる別の実施形態においても同様である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置20は、第1の実施形態におけるアンテナ装置1(図1参照)と比べ、第1〜第4無給電素子14〜17に、接地用の貫通ビア21〜24が形成されている点で相違する。
図4及び図5に示すように、第1〜第4貫通ビア21〜24は、それぞれ、第1〜第4無給電素子14〜17の略中央部分において、基板10を貫通するように形成され、第1〜第4無給電素子14〜17と地板13とを電気的に接続している。これにより、無給電素子14〜17が電気的に接地される。
上記構成による複共振型アンテナ装置20の動作については、前記第1の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子14〜17に接地用の貫通ビア21〜24を形成したことにより、無給電素子14〜17へ向かう磁界の強度が強くなり、その分だけ第1アンテナ素子11のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、複共振型アンテナ装置の放射効率を改善することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第1及び第2の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置30は、第2の実施形態におけるアンテナ装置20(図4参照)と比べ、第1〜第4無給電素子31〜34に、突起部が形成されている点で相違する。これら第1〜第4無給電素子31〜34は、前記第1及び第2の実施形態と同様、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。
第1〜第4無給電素子31〜34の突起部の各々は、対応する無給電素子のほぼ中央部分に設けられ、複共振型アンテナ装置30の内側に向けて設けられている。すなわち、第1〜第4無給電素子31〜34の突起部は、それぞれ、−X方向、−Y方向、+X方向、+Y方向に向けて設けられている。そして、各突起部の寸法は、例えば、幅L8が5mm、高さL9が2mmの略長方形状とされている。また、各無給電素子31〜34の寸法は、前記第1実施形態と同様に、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置30の動作については、前記第2の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子31〜34に突起部を追加したことにより、無給電素子31〜34へ向かう磁界の強度がさらに強くなり、その分だけ第1アンテナ素子11のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、複共振型アンテナ装置の放射効率を改善することができる。
なお、上記実施形態において、無給電素子に設けられた突起部の寸法L8、L9の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはなく、L8、L9の値を適宜変化することで、放射効率及び利得を変化させることができる。例えば、L8及びL9の値を大きくすれば、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、これらの値を過度に大きくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。L6=40mm、W1=5mmの条件下において、L9の値を2mmとした場合、L8の値を4〜6mmとすることが好ましく、L8の値を5mmとした場合、L9の値を1〜3mmとすることが好ましい。また、本実施形態では、第1〜第4無給電素子に設けられた突起部の寸法が同一であるが、例えば、給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じ、個々の無給電素子の寸法を変化させても良く、これによっても、放射効率及び利得を変化させることができる。このことは、以下に述べる別の実施形態においても同様である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置40は、第1の実施形態におけるアンテナ装置1(図1参照)と比べ、無給電素子が2個になっている点で相違する。これら第1及び第2無給電素子41、42は、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。
第1無給電素子41は、第1アンテナ素子11の+X方向の側に、第2無給電素子42は、第1アンテナ素子11の−X方向の側に、それぞれ設けられており、その寸法は、例えば、上記第1実施形態と同様に、第1アンテナ素子11との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置40の動作については、前記第1の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子を2個に変更するとともに、無給電素子をアンテナ素子上の電流が強く分布する方向に沿うように配置することで、アンテナ素子近傍の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子11のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、複共振型アンテナ装置の放射効率を改善することができる。
なお、上記実施形態では、第1、第2無給電素子41,42を、第1アンテナ素子11の+X側及び−X側に配置しているが、例えば給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じて、無給電素子の設置箇所を変更しても良い。例えば、第1、第2無給電素子を、第1アンテナ素子11の+Y側及び−Y側に配置してもよい。
また、本実施形態では、接地用の貫通ビアを省略しているが、第1、第2無給電素子の略中心部分に接地用の貫通ビアを形成しても良い。これにより、複共振型アンテナ装置の放射効率及び利得を変化させることができる。この点は、以下に説明する別の実施形態においても同様である。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置50は、第1の実施形態におけるアンテナ装置1(図1参照)と比べ、無給電素子が全て連結され、環状の第1無給電素子51が配置されている点で相違する。この第1無給電素子51は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、第1アンテナ素子11の外側に配置されている。本実施形態において、第1無給電素子51の寸法は、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、縦横の外形寸法L10は40mm、幅W2は5mmとされている。
上記構成による複共振型アンテナ装置50の動作については、前記第1の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子を全て連結して環状の無給電素子とすることで、アンテナ素子近傍の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子11のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、複共振型アンテナ装置の放射効率を改善することができる。
なお、上記実施形態における、第1無給電素子51の寸法L10、W2の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはなく、L10及びW2の値を適宜変化することで、放射効率及び利得を変化させることができる。例えば、L10及びW2の値を大きくすれば、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、これらの値を過度に大きくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。L10の値を55mmとした場合、W2の値を4〜6mmとすることが好ましい。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について、図9を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置60は、第1の実施形態におけるアンテナ装置1(図1参照)と比べ、第1及び第2アンテナ素子61,62に摂動素子が形成されている点で相違する。第1及び第2アンテナ素子は、基板10の上面(+Z側の面)に設けられ、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。
第1アンテナ素子61は、第2アンテナ素子62の周囲を囲む略環状の形状を有しており、摂動素子として、対角部分に2つの直角二等辺三角形状の切り欠き部が形成されている。第1アンテナ素子61の外形寸法L11は、例えば32.48mm、切り欠き部の寸法(直角二等辺三角形の各辺の長さ)L12は、例えば3.48mmとされている。
第2アンテナ素子62は、第1アンテナ素子61の空隙内のほぼ中央部に設けられており、摂動素子として、対角部分において2つの直角二等辺三角形状の切り欠き部が形成されている。第2アンテナ素子62の外形寸法L13は、例えば11.76mm、切り欠き部の寸法(直角二等辺三角形の各辺の長さ)L14は、例えば2.07mmとされている。
なお、第1及び第2アンテナ素子の他の寸法については、第1実施形態と同一の値とすることができる。また、第1及び第2アンテナ素子61,62は、それぞれ、給電用スルーホール18a、18b及び給電ライン(図示せず)を介して、第1,第2給電部19a、19bにより給電される。
上記構成による複共振型アンテナ装置60の動作については、前記第1の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子に加えて摂動素子を設けたことで、円偏波形式の電磁波を効率よく送受信することができる。例えば、本実施形態の複共振型アンテナ装置60を車載用無線装置に適用する場合に、第1アンテナ素子61では、1.575GHz帯のGPSの円偏波形式の電磁波を、第2アンテナ素子62では、5.8GHz帯のETCやDSRCの円偏波形式の電磁波を効率よく受信できるので、複数のサービスに効率よく対応することができる。
なお、本実施形態では、第1アンテナ素子61及び第2アンテナ素子62の両方に摂動素子を形成しているが、送受信する2種類の周波数帯での偏波特性に応じて、第1アンテナ素子61及び第2アンテナ素子62の一方にのみ摂動素子を形成しても良い。
また、上記実施形態における、第1、第2アンテナ素子の切り欠き部の寸法L12、L14の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはなく、例えば、給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じて、これらの値を適宜変化することで、放射効率、利得及び軸比を変化させることができる。このことは、以下に述べる別の実施形態においても同様である。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について、図10を参照して説明する。なお、本実施形態において、前記第6の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置70は、第6の実施形態におけるアンテナ装置60(図9参照)と比べ、第1〜第4無給電素子14〜17に、接地用の貫通ビア21〜24が形成されている点で相違する。これら貫通ビア21〜24の構成は、前記第2の実施形態において説明したものと同様であり、第1〜第4無給電素子14〜17と地板13とを電気的に接続するものである。これにより、無給電素子14〜17が電気的に接地される。
上記構成による複共振型アンテナ装置70の動作については、前記第1の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子に接地用の貫通ビアを形成したことにより、無給電素子へ向かう磁界の強度が強くなり、その分だけ第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について、図11を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第6及び第7の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置80は、第7の実施形態におけるアンテナ装置70(図10参照)と比べ、第1〜第4無給電素子31〜34に、突起部が形成されている点で相違する。これら第1〜第4無給電素子31〜34の突起部の各々は、前記第3の実施形態と同様に、対応する無給電素子のほぼ中央部分に設けられ、複共振型アンテナ装置30の内側に向けて設けられている。また、各突起部の寸法は、例えば、幅L8が5mm、高さL9が2mmの略長方形状とされている。また、各無給電素子31〜34の寸法は、前記第3実施形態と同様に、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置80の動作については、前記第7の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子31〜34に突起部を追加したことにより、無給電素子31〜34へ向かう磁界の強度がさらに強くなり、その分だけ第1アンテナ素子11のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態について、図12を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第6の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置90は、第6の実施形態におけるアンテナ装置60(図9参照)と比べ、第1〜第4無給電素子の形状がL字型である点において相違する。これら第1〜第4無給電素子91〜94は、前記第6の実施形態と同様、導電性材料(例えば銅箔)で形成されている。
第1〜第4無給電素子91〜94は、それぞれ、第1アンテナ素子61の+Xかつ+Y側、−Xかつ+Y側、−Xかつ−Y側、+Xかつ−Y側に配置されている。そして、本実施形態では、各無給電素子の形状はほぼ同一であり、例えば、第1アンテナ素子61との空隙寸法L5が6.26mm、外形寸法(各辺の長さ)L15が25mm、幅W3が5mmとされている。また、隣接する無給電素子91〜94間の空隙寸法L16は、例えば5mmとされている。
上記構成による複共振型アンテナ装置90の動作については、前記第6の実施形態とほぼ同様であるが、4個の無給電素子をL字型にして配置を変更することにより、第1アンテナ素子61の両端付近の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
なお、上記実施形態において、無給電素子の寸法L15、W3、及び、無給電素子間の空隙長L16の値はあくまで一例であり、上記実施形態に記載の数値に限定されることはなく、これらL15,W3,L16の値を適宜変化することで、放射効率及び利得を変化させることができる。例えば、L15及びW3の値を大きくすれば、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、これらの値を過度に大きくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。また、L16の値を小さくすると、1.575GHzにおける放射効率が大きくなるが、これらの値を過度に小さくすると、5.8GHzでの利得が小さくなる。W3の値を5mmとした場合、L15の値を49〜51mmとすることが好ましく、また、L16の値を4〜6mmとする(L15+L16=55mmとする)ことが好ましい。
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について、図13を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第6の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置100は、第6の実施形態におけるアンテナ装置60(図9参照)と比べ、無給電素子が全て連結され、環状の第1無給電素子101が配置されている点で相違する。この第1無給電素子101は、導電性材料(例えば銅箔)で形成され、第1アンテナ素子61の外側に配置されている。本実施形態において、第1無給電素子101の寸法は、前記第5実施形態と同様に、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL10が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置100の動作については、前記第6の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子を全て連結して環状の無給電素子とすることで、アンテナ素子近傍の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子61のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
(第11の実施形態)
次に、本発明の第11実施形態につき、図14を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第6の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置110は、第6の実施形態におけるアンテナ装置60(図9参照)と比べ、無給電素子が2個になっている点で相違する。これら第1及び第2無給電素子111、112は、導電性材料(例えば銅箔)で形成される。また、第1無給電素子111は、第1アンテナ素子61の+X方向の側に、第2無給電素子112は、第1アンテナ素子61の−X方向の側に、それぞれ設けられている。第1、第2無給電素子111,112の寸法は、前記第4実施形態と同様に、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置110の動作については、前記第6の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子を2個に変更するとともに、無給電素子をアンテナ素子上の電流が強く分布する方向に沿うように配置することで、アンテナ素子近傍の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子61のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
(第12の実施形態)
次に、本発明の第12実施形態につき、図15を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、前記第11の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における複共振型アンテナ装置120は、第11の実施形態におけるアンテナ装置110(図14参照)と比べ、無給電素子の配置が異なっている点で相違する。これら第1及び第2無給電素子121、122は、導電性材料(例えば銅箔)で形成される。また、第1無給電素子121は、第1アンテナ素子61の+Y方向の側に、第2無給電素子122は、第1アンテナ素子61の−X方向の側に、それぞれ設けられている。第1、第2無給電素子121,122の寸法は、前記第4実施形態と同様に、例えば、第1アンテナ素子との空隙寸法L5が6.26mm、長さL6が40mm、幅W1が5mmと定められる。
上記構成による複共振型アンテナ装置120の動作については、前記第11の実施形態とほぼ同様であるが、無給電素子の配置を変更し、無給電素子をアンテナ素子上の電流が強く分布する方向に沿うように配置することで、アンテナ素子近傍の磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子61のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分がさらに小さくなる。したがって、円偏波の放射効率を改善することができる。
なお、本実施形態では、第1及び第2無給電素子を、第1アンテナ素子の+Y側及び−X側に配置しているが、給電部の配置やアンテナ装置周辺に近接する部品、筐体、ケーブル等の材質や配置に応じて、例えば、第1アンテナ素子の−Y側と+X側、+X側と+Y側、あるいは、−X側と−Y側に配置しても良く、これによっても放射効率及び利得を変化させることができる。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
(実施例1)
上記第1、第2及び第4の実施形態、並びに、無給電素子が設けられていない従来例(図16参照)における複共振型アンテナ装置の放射効率及び+Z方向の利得につき、シミュレーションを行い、その結果を比較した。シミュレーションモデルとして用いた複共振型アンテナ装置の寸法等は、L1=58mm、L2=32.48mm、L3=22mm、L4=11.76mm、L5=6.26mm、L6=40mm、L7=55mm、W1=5mmとし、基板の厚さを1.6mm、導電性材料としての銅箔の厚さを0.035mmとした。なお、従来例のアンテナ装置では、L2=32.59mmとしたが、これは、無給電素子が存在しない従来構成のアンテナ装置では、効率が最大となる第1アンテナ素子の寸法が異なるためである。
シミュレーションの結果を表1に示す。なお表1において、「利得」とは、+Z方向における指向性利得を意味する。
Figure 0005891359
上記表1により、1.575GHzにおける放射効率は、従来例では−8.3dBiであるところ、本発明の第1、第2、第4実施形態のアンテナ装置では、−7.8dBi、−6.0dBi、−7.5dBiと、それぞれ改善されていることが分かる。
また、1.575GHzにおける+Z方向の利得は、従来例では4.3dBiであるところ、本発明の第2、第4実施形態のアンテナ装置では、4.6dBi、4.5dBiと、それぞれ改善されていることが分かる。
さらに、5.8GHzにおける+Z方向の利得は、従来例では6.5dBiであるところ、本発明の第1,第2、第4実施形態のアンテナ装置では、7.5dBi、7.6dBi,7.5dBiと、それぞれ改善されていることが分かる。
したがって、本実施形態におけるアンテナ装置によれば、無給電素子に向かう磁界分布が強くなり、第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分が低減される結果、放射効率を改善することができる。また、無給電素子の略中心に接地用の貫通ビアを形成し、また、無給電素子をアンテナ素子上の電流が強く分布する方向に沿うように配置することで、磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分をさらに低減することができる。
(実施例2)
上記第10、第6及び第7の実施形態、並びに、無給電素子が設けられていない従来例(図17参照)における複共振型アンテナ装置の放射効率及び+Z方向の右旋円偏波利得につき、シミュレーションを行い、その結果を比較した。シミュレーションモデルとして用いた複共振型アンテナ装置において、アンテナ素子の寸法を、L11=32.48mm、L12=3.48mm、L13=11.76mm、L14=2.07mmと定め、その他の部材の寸法等は、上記実施例1と同一の値とした。なお、従来例のアンテナ装置では、L11=32.59mm、L12=3.49mmとしたが、これは、無給電素子が存在しない従来構成のアンテナ装置では、効率が最大となり軸比が最良となる第1アンテナ素子の寸法が異なるためである。
シミュレーションの結果を表2に示す。なお表2において、「右旋円偏波利得」とは、+Z方向における指向性利得を意味する。
Figure 0005891359
上記表2により、1.575GHzにおける放射効率は、従来例では−8.4dBiであるところ、本発明の第6、第7、第10実施形態のアンテナ装置では、−7.7dBi、−6.2dBi、−8.0dBiと、それぞれ改善されていることが分かる。
また、1.575GHzにおける+Z方向の右旋円偏波利得は、従来例では4.1dBiであるところ、本発明の第6、第7、第10実施形態のアンテナ装置では、4.3dBi、4.5dBi、4.2dBiと、改善されていることが分かる。
さらに、5.8GHzにおける+Z方向の右旋円偏波利得は、従来例では6.6dBiであるところ、本発明の第6、第7、第10実施形態のアンテナ装置では、7.7dBi,7.8dBi、7.1dBiと、改善されていることが分かる。
したがって、本実施形態におけるアンテナ装置によれば、無給電素子に向かう磁界分布が強くなり、第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分が低減される結果、放射効率を改善することができる。また、無給電素子の略中心に接地用の貫通ビアを形成し、また、無給電素子を環状に形成することで、磁界分布のバランスが変化し、第1アンテナ素子のエッジ両端でキャンセルされる磁界成分をさらに低減することができる。
本発明の複共振型アンテナ装置は、高いアンテナ効率を有し、例えば車載用のアンテナ装置に適用することができ、有用である。
1,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,200,210 複共振型アンテナ装置
10 基板
11,61,201,211 第1アンテナ素子
12,62,202,212 第2アンテナ素子
13 地板
14〜17,31〜34,41,42,51,91〜94,101,111,112,121,122 無給電素子
18a、18b 給電用スルーホール
19a、19b 給電部
21〜24 貫通ビア

Claims (5)

  1. 誘電体基板と、
    前記誘電体基板上に形成された略環状形状の第1アンテナ素子と、
    前記第1アンテナ素子の内側に配置された第2アンテナ素子と、
    導電性材料で形成され、前記第1アンテナ素子の外周に沿うように、前記第1アンテナ素子から離れた位置に配置された複数の無給電素子と、
    前記第1及び第2アンテナ素子とは反対側の前記誘電体基板上に設けられた地導体と、
    を備え、前記複数の無給電素子は中央部分において前記地導体と電気的に接続されていることを特徴とする複共振型アンテナ装置。
  2. 前記複数の無給電素子は、前記第1アンテナ素子の外周に沿って均等に配置された4つの矩形状の無給電素子であることを特徴とする、請求項1記載の複共振型アンテナ装置。
  3. 前記無給電素子は、前記第1アンテナ素子に向けて突出した突起部が設けられていることを特徴とする、請求項2記載の複共振型アンテナ装置。
  4. 前記複数の無給電素子は、互いに接続されていることを特徴とする、請求項2記載の複共振型アンテナ装置。
  5. 前記第1アンテナ素子及び/又は前記第2アンテナ素子は摂動素子を有することを特徴とする、請求項1ないしのいずれか記載の複共振型アンテナ装置。
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