図1は、患者12の運動障害、神経変性障害、気分障害または発作性障害等の患者状態を管理するために治療を送達する治療システム10例を示す概念図である。患者12は、通常は人間の患者となる。しかしながら、場合によっては、治療システム10を、他の哺乳類または非哺乳類、非人間患者に適用することができる。本明細書では、主に運動障害および神経変性障害について言及するが、他の例では、治療システム10は、限定されないが発作性障害(たとえばてんかん)または気分(もしくは精神)障害(たとえば、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、不安障害、心的外傷後ストレス障害、気分変調性障害または強迫性障害(OCD))等、他の患者状態の症状を管理する治療を提供することができる。
治療システム10は、医療機器プログラマ14と、植込み型医療機器(IMD)16と、リード延長部18と、電極24、26のそれぞれのセットを備えたリード20Aおよび20Bとを含む。図1に示す例では、リード20A、20B(まとめて「リード20」と呼ぶ)の電極24、26は、それぞれ、患者12の脳28の硬膜の下の脳深部位等、脳28内の組織部位に電気刺激を送達するように位置決めされる。いくつかの例では、視床下核(たとえば、背側視床下核)、淡蒼球、内包、視床または運動野等、脳28の1つまたは複数の領域への刺激の送達は、運動障害の1つまたは複数の症状を緩和するかまたはさらには除去するための効果的な治療であり得る。運動障害または他の神経変性障害は、たとえば筋肉制御障害、運動機能障害、または固縮、寡動、律動性不随意運動、非律動性不随意運動および無動等の他の運動器疾患等の症状を含む可能性がある。場合によっては、運動障害は、パーキンソン病の症状であり得る。しかしながら、運動障害は、他の患者状態に起因する場合もある。
電極24、26を、患者12の脳28内の生体電気脳信号を検知するように配置することも可能である。いくつかの例では、電極24、26のうちのいくつかを、生体電気脳信号を検知するようにのみ構成してもよく、他の電極24、26を、脳28に電気刺激を送達するようにのみ構成してもよい。他の例では、電極24、26のうちのいくつかまたはすべては、生体電気脳信号を検知しかつ電気信号を脳28に送達するように構成される。
IMD16は、電気刺激治療を生成し、リード20Aおよび20Bそれぞれの電極24、26のサブセットを介して患者12に電気刺激治療を送達する刺激発生器を含む、治療モジュールを含む。電極24、26のサブセットは、少なくとも1つの電極を含み、複数の電極を含むことができる。患者12に電気刺激を送達するために用いられる電極24、26のサブセットと、場合によっては電極24、26のサブセットの極性とを、刺激電極の組合せまたは構成と呼ぶことができる。いくつかの例では、刺激電極の組合せは、リード20Aまたは20Bに配置された第1の電極と、第1の電極から比較的離れて配置された基準電極(たとえば単極刺激)かまたは1つまたは複数のリード20A、20Bに配置された2つ以上の電極(たとえば双極刺激)とを含む。
後にさらに詳細に説明するように、刺激電極の組合せを、特定の患者12および患者の状態に対し、患者12の脳28内で検知される生体電気脳信号と、患者の脳内におけるリード20の電極の配置に基づく生理学的モデルとに基づいて、選択することができる。後にさらに詳細に説明するように、患者の解剖学的データに対して脳28内のリード20の位置を参照するアルゴリズムを定義する命令を実行するコンピューティングデバイス(たとえば、汎用コンピュータに実装される医療データコンピューティングデバイス、医療機器プログラマ、外部医療機器または植込み型医療機器)によって生成することができる。リード20の位置を、あらゆる適切な撮像モダリティ(たとえば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、X線またはX線透視法)を用いて生成された医用画像に基づき、脳28内にリード20を植え込むために用いられる定位座標に基づき、IMD16によって検知される信号の、それら信号をもたらすと予測される解剖学的構造との相関、電極における刺激効果の、それらの効果をもたらすと予測される解剖学的構造との相関に基づき、または脳28内のリード20の臨床医が推定した位置に基づく等、あらゆる適切な技法を用いて確定することができる。
他の例では、刺激電極の組合せを、特定の患者12および患者状態に対し、患者12の脳28内で検知された生体電気脳信号と、リードなし電気刺激装置等、別の医療部材の電極の配置に基づく生理学的モデルとに基づき、選択することができる。このように、リード20の電極に関して説明したが、本明細書に記載した装置、システムおよび技法を用いて、電極が結合される構成要素のタイプに関らず、患者12の脳28内の電極の配置に基づいて、刺激電極の組合せを選択することも可能である。こうした例では、患者の解剖学的データに対して脳28内の電極(または電極を含む医療部材)の位置を参照するアルゴリズムを定義する命令を実行する(コンピューティングデバイスによって生成することができる。電極または医療コンポーネントの位置を、リード20に関して説明した技法等、あらゆる適切な技法を用いて確定することができる。
患者の解剖学的データは、植え込まれたリード20に近接する1つまたは複数の解剖学的構造等、植え込まれたリード20に近接する患者の組織の1つまたは複数の特徴を示す。患者の解剖学的データは、患者の解剖学的画像、基準解剖学的画像、解剖学図または組織導電率データセットを含むことができる。患者の解剖学的データは、患者12に特定であってもよく、または2人以上の患者に対するデータ、たとえば複数の患者の解剖学的構造および組織導電率のモデルまたは平均データを表すことができる。たとえば、いくつかの例では、患者解剖学データは、特定の治療用途(たとえば、図1の場合の深脳部刺激療法)に対する特定のリード20の位置に対して典型的な他の関連組織データを含むことができ、かつ患者12に対して特定であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。いくつかの例では、コンピューティングデバイスは、限定されないがCT、MRI、X線、X線透視法等の撮像モダリティから患者の解剖学データを生成する。
いくつかの例では、脳28内で検知される生体電気信号は、脳組織にわたる電位差の合計によって生成される電流の変化を反映することができる。生体電気脳信号の例には、限定されないが、脳波図(EEG)信号または皮質電図(ECoG)信号等、脳28の1つまたは複数の領域内で検知される局所電場電位(LFP)から生成される電気信号が含まれる。しかしながら、局所電場電位は、患者12の脳28内のより広い種類の電気信号を含むことができる。
いくつかの例では、刺激電極の組合せを選択するために用いられる生体電気脳信号を、電気刺激に対する標的組織部位と同じ脳28の領域かまたは脳28の異なる領域内で検知することができる。先に示したように、これらの組織部位は、脳28の視床、視床下核(STN)または淡蒼球内の組織部位とともに、他の標的組織部位(たとえば他の基底核構造)を含むことができる。脳28内の特定の標的組織部位および/または領域を、患者状態に基づいて選択することができる。したがって、いくつかの例では、刺激電極の組合せと検知電極の組合せとの両方を、電極24、26の同じ組から選択することができる。他の例では、電気刺激を送達するために用いられる電極は、生体電気脳信号を検知するために用いられる電極と異なっていてもよい。
治療システム10のプロセッサは、たとえば、プログラマ14のメモリ、IMD16または別のデバイスのメモリ(たとえば、1つまたは複数の生理学的モデルを格納する、プログラマ14またはIMD16から遠隔に位置するデータベース)であり得る、治療システム10のメモリの、生理学的モデルにアクセスする。生理学的モデルを、プロセッサが生成しメモリに格納するか、または異なるコンピューティングデバイスが生成してメモリに格納することができる。格納された生理学的モデルは、患者12に特定であってもよく、または2人以上の患者に対して汎用的であってもよい。たとえば、格納された生理学的モデルを、患者12の脳28内のリード20および電極24、26の配置に基づいて生成してもよい。一方、いくつかの例では、格納された生理学的モデルは、患者12に類似する患者状態であると診断された患者に対して提案されたリード位置を示すとともに、リードが提案された位置に植え込まれた時にリードの電極に近接する組織の特徴を示すことができる。
いくつかの例では、プロセッサは、脳28内のリード20および電極24、26の配置に基づいて生理学的モデルを生成する。生理学的モデルを、プログラマ14または別個の専用もしくは多機能コンピューティングデバイス等、コンピューティングデバイスで実行するモデリングソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアを用いて生成することができる。いくつかの例では、プロセッサは、刺激電極を選択する際に臨床医を誘導する情報を提供するために、ユーザインタフェースのディスプレイに生理学的モデルを表示する。他の例では、コンピューティングデバイスは、リード20の位置および患者の解剖学的データに基づいて生成された生理学的モデルに基づいて、刺激電極の組合せの推奨を提供する。
いくつかの例では、生理学的モデルは、治療が送達される患者の組織の領域を表す治療野のグラフィカル表現を含む。たとえば、治療野は、IMD16が電極24、26の選択されたサブセットを介して患者12の脳28に電気刺激を送達する時に生成される電気刺激場(電場とも呼ばれる)と、刺激パラメータを定義する治療プログラムとを含むことができる。電場は、治療中に電場(たとえば電場または電磁場)によって覆われることになる組織の領域を表す。他の例では、治療野を活性場とすることができ、それは、刺激治療が及ぶ患者の解剖学的領域において電場によって活性化されるニューロンを示し、それにより、電極24、26の選択されたサブセットと他の刺激パラメータ値(たとえば、電流または電圧振幅値および/または周波数値)を含む特定の治療プログラムを介して送達される電気刺激によって活性化される組織部位を示す。別のタイプの治療野モデルは、IMD16が、電極24、26の選択されたサブセットおよび治療パラメータ値の特定のセットを介して患者12の脳28に電気刺激を送達する時に生成される電場の電圧勾配または電流密度を示す、電圧勾配または電流密度モデルである。
他の例では、生理学的モデルは、植え込まれたリード20に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造のグラフィカル表現を含み、いくつかの例では、リード20のグラフィカル表現も含む。いくつかの例では、生理学的モデルは、脳28内のリード20の実際の植込み部位に基づいて確定される。たとえば、コンピューティングデバイス(たとえばプログラマ14または別のコンピューティングデバイス)のプロセッサは、脳28内の電極24、26の3D座標(たとえば定位座標)を、脳28の解剖学的画像、脳28の基準解剖学的画像または脳28の解剖学図のうちの少なくとも1つにマッピングして、植え込まれた電極24、26に近接する解剖学的構造を確定しかつ表示するアルゴリズムを実装することができる。
3D座標は、リード20が脳28内に植え込まれる際に用いられた座標か、または脳28内のリード20の位置を推定する、臨床医によって提供された座標であり得る。脳28内の解剖学的構造の位置を、患者12に特定であるかまたは2人以上の患者に汎用的な患者の解剖学的データに基づいて確定することができる。たとえば、脳28の解剖学的構造のグラフィカル表現を含む生理学的モデルは、患者12の脳28の少なくとも一部の画像、患者12に特定でない脳の画像、または2人以上の患者に汎用的な人間の脳のグラフィカルな非画像ベースモデルを表示することができる。
他の例では、生理学的モデルは、リード20に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の表現を含むことができ、そこでは、解剖学的構造は、リード20の推定された植込み部位に基づいて選択される。たとえば、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、リード20に対して意図された植込み部位に基づいて解剖学図を生成しかつ表示することができる。リード20に対する意図された植込み部位を、たとえば、患者状態を管理するために有用であると考えられる標的電気刺激部位に基づいて、臨床医の入力に基づいて、または別の入力に基づいて確定することができる。さらに、脳28の解剖学図を、特定の患者12の脳28の医用撮像に基づいて生成することができ、または解剖学図を、2人以上の患者に(たとえば1人または複数の他の患者の脳の撮像に基づいて)汎用とすることができる。解剖学図は、リード20が実際に植え込まれる脳28内の位置を示さない可能性があるが、脳28内のいずれの標的構造が刺激に対して有用であるか、または刺激を回避すべき(たとえば、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用を最小限にするかまたはさらには除去するために)標的構造を確定するために有用であり得る。
いくつかの例では、患者12内のIMD16およびリード20の植込みに続くプログラミングセッション中に、刺激電極の組合せを選択することができる。刺激電極の組合せを、特定の患者12および患者状態に対して、植え込まれたリード20によって患者12の脳28内で検知される生体電気脳信号と、植え込まれたリード20に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルとに基づいて選択することができる。いくつかの例では、刺激電極の組合せの電極を、検知された生体電気脳信号に基づいて選択し、その後確認する(たとえば実証する)か、または、生理学的モデルに基づいて他の方法で検証することができる。刺激電極の組合せの確認により、たとえば、脳28内の1つまたは複数の標的解剖学的構造に刺激を送達し、かつ/または1つもしくは複数の刺激が誘発する副作用に関連する解剖学的構造への刺激の送達を低減するかもしくはさらには除去するために、選択された刺激電極の組合せが有用であるか否かを示すことができる。他の例では、外部機器が、たとえば患者12の頭蓋骨32の外面に配置された表面電極を介して、1つまたは複数の生体電気脳信号を検知することができる。本明細書では、主に、IMD16が脳28内の生体電気信号を検知する例について言及する。しかしながら、刺激電極の組合せを選択する技法を、外部電極および/または外部の非植込み型医療機器を介して検知される生体電気脳信号を用いて適用することも可能である。
いくつかの例では、プログラミングセッション中、生体電気脳信号を、複数の検知電極の組合せを介して脳28内で検知することができる。各検知電極の組合せは、1つまたは複数の電極24、26の異なるサブセットを含むことができる。検知された生体電気脳信号の各々の1つまたは複数の信号特性(たとえば、時間領域特性または周波数領域特性)を互いに比較することができ、1つまたは複数の検知電極の組合せを、その比較に基づいて選択することができる。時間領域特性の一例は、経時的な時間領域信号のパターン(たとえば、経時的なニューロンスパイクのパターンまたは数)、経時的な時間領域信号の変動、信号の平均、中央、標準またはピーク振幅等を含む。周波数領域特性の例としては、特定の周波数帯域内の電力レベル(またはエネルギーレベル)が含まれ得る。電力レベルを、たとえば生体電気脳信号のスペクトル分析に基づいて確定することができる。スペクトル分析は、有限の組のデータに基づいて信号に含まれる電力の周波数にわたる分布を示すことができる。
いくつかの例では、刺激電極の組合せを、プログラマ14によって格納されたテンプレートに実質的に相関する時間領域パターンを含む生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。他の例では、刺激電極の組合せを、特定の時間枠内の閾値数のスパイクが観察された生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。スパイクの閾値数は、脳28の特定の領域内の活動を示すことができ、したがって、閾値数のスパイクを含む生体電気信号を検知することは、検知電極が脳28の関連領域に近接して配置されていることを示すことができる。
他の例では、刺激電極の組合せを、検知された生体電気脳信号の変動に基づいて選択することができる。たとえば、刺激電極の組合せを、変動が所定変動に一致するかまたは実質的に一致する(たとえば、約1%から約25%等、閾値パーセンテージ内にある)生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。別の例として、刺激電極の組合せを、変動が所定閾値変動未満である生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。テンプレートおよび閾値変動値は、脳28の特定領域内の活動を示すことができ、したがって、変動が閾値変動以下の生体電気信号を検知することは、検知電極が脳28の関連領域に近接して配置されていることを示すことができる。
他の例では、刺激電極の組合せを、平均、中央、標準またはピーク振幅が所定閾値を超えるかまたはいくつかの例では所定閾値未満である生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。閾値を、脳28の特定領域内の活動に関連付けることができ、したがって、振幅が閾値振幅値以下である生体電気信号を検知することは、検知電極が脳28の関連領域に近接して配置されていることを示すことができる。
他の例では、刺激電極の組合せを、選択された周波数帯域における相対的な帯域電力(またはエネルギー)レベルが最も高い生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて選択することができる。これは、たとえば、相対的な帯域電力レベルが最も高い生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の電極が、選択された周波数帯域内の相対的な電力レベルが最も高い生体電気信号を生成する脳28内の領域であり得る、標的組織部位の最も近くに位置することを、示すことができる。相対的な電力レベルは、検知された信号の選択された周波数帯域における電力の、検知された信号の総電力に対する比であり得る。対象となる特定の周波数帯域を、患者状態に基づいて選択することができる。たとえば、生体電気脳信号のベータ帯域内(たとえば約8ヘルツ(Hz)から約30Hzまたは約16Hzから約30Hz)の異常な活動は、運動障害(たとえばパーキンソン病)に関連する脳の活動を示すとともに、患者状態を管理するための治療送達に対する標的組織部位を明らかにすると考えられる。したがって、いくつかの例では、生体電気脳信号のベータ帯域内の電力レベルを用いて、運動障害を管理する刺激治療のための標的組織部位を特定することができる。
他の例では、患者状態に応じて、生体電気脳信号のガンマ帯域内(たとえば約35Hzから約120Hz)の電気活動が、標的組織部位を明らかにすることができる。たとえば、パーキンソン病または別の運動障害の患者の脳内の標的組織部位、たとえば視床下核は、患者が薬剤で治療されている時または患者が移動する時に、高いガンマ帯域活動を含む生体電気脳信号を示す可能性がある。したがって、いくつかの例では、生体電気脳信号のガンマ帯域内の電力レベルを用いて、標的組織部位を特定することができる。
本明細書に記載する生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択するいくつかのアルゴリズムは、一方または両方のリード20の長手方向軸に実質的に沿った方向において標的組織部位の位置を特定するのに役立つ。すなわち、本明細書に記載するいくつかのアルゴリズムは、それぞれのリード20に沿った電極24、26のいずれが標的組織部位に最も近いかを特定するのに役立ち、それにより、電極24の各々は、リード20Aの長手方向軸に沿った軸方向において隣接する電極からずれており、電極26の各々は、リード20Bの長手方向軸に沿った軸方向において隣接する電極からずれている。こうしたアルゴリズムは、円柱状リード、パドル状リードまたはグリッド電極(たとえば脳28の皮質の刺激のために用いられる)の長手方向軸に実質的に沿った方向において、標的組織部位の位置を特定するのに有用であり得る。
さらに、いくつかの例では、本明細書に記載したいくつかのアルゴリズムは、一方または両方のリード20の長手方向軸によって示される方向以外の方向において標的組織部位の位置を特定するのに役立つことができる。たとえば、本明細書に記載するアルゴリズムは、一方または両方のリード20の長手方向軸に沿った軸方向位置を共有するが半径方向位置が異なる(たとえば、一方または両方のリード20の長手方向軸に対して実質的に垂直な方向)複数の分割電極または部分リング電極の各々によって示される方向において、標的組織部位の位置を特定するのに役立つことができる。両タイプのアルゴリズムが結合されることにより、標的組織部位が2つの方向において確定される場合、結合されたアルゴリズムを、3Dアルゴリズムと呼ぶことができ、それを用いて、3次元において相対的な標的組織部位の位置を特定することができる。
いくつかの場合では、治療を送達する標的組織部位を、2つの検知電極の間に配置することができる。標的組織部位が2つの検知電極の間に直接位置する場合、検知電極のうちのいずれが標的組織部位に最も近いかを確定するには、選択された周波数帯域内の相対電力レベルが最も高い生体電気信号を検知した1つまたは複数の電極を単純に確定するより複雑なアルゴリズムが必要である可能性がある。本明細書に記載した例では、標的組織部位が検知された電極の間に位置しているか否かを判断するアルゴリズムを適用して、標的組織部位の最も近くに位置する1つまたは複数の電極を確定することができる。
いくつかの例では、生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択するアルゴリズムは、複数の生体電気脳信号を検知することと、相対的なベータ帯域電力レベルを確定することとを含む。相対的なベータ帯域電力は、検知された信号のベータ帯域における電力の、検知された信号の総電力に対する比であり得る。患者の脳の種々の領域に位置する検知電極によって検知される生体電気信号を正規化するために、ベータ帯域電力の代りに相対的なベータ帯域電力を用いることができる。この検知された脳信号の正規化は、あらゆる選択された周波数帯域内の電力レベルに当てはまる。したがって、本明細書では、全体として、検知された脳信号の選択された周波数帯域内の「電力レベル」について言及しているが、電力レベルは、検知された脳信号の選択された周波数帯域における電力レベルの、検知された脳信号の総電力に対する比である、相対電力レベルであり得る。
選択された周波数帯域における電力レベルを、あらゆる適切な技法を用いて確定することができる。いくつかの例では、IMD16のプロセッサは、約10秒間から約2分間等、所定期間にわたって検知された脳信号の選択された周波数帯域の電力レベルを平均することができるが、他の時間範囲も考えられる。他の例では、選択された周波数帯域電力レベルは、約10秒間から約2分間等、所定の時間範囲にわたる中央電力レベルであり得る。脳信号の選択された周波数帯域および対象となる他の周波数帯域内の活動は、経時的に変動する可能性がある。したがって、一瞬の選択された周波数帯域における電力レベルは、選択された周波数帯域における脳信号のエネルギーの精密かつ厳密な指示を与えない可能性がある。経時的に、選択された周波数帯域における電力レベルを平均するかまたは別の方法で監視することは、電力レベルの範囲、したがって、IMD16によって検知される特定の脳領域における患者の病理学的状態のより適切な指示を取り込むのに役立つことができる。
検知された生体電気脳信号の総電力を、あらゆる適切な技法を用いて確定することができる。一例では、IMD16(または、プログラマ14等の別のデバイス)のプロセッサは、脳信号の掃引スペクトルの総電力レベルに基づいて、検知された生体電気脳信号の総電力レベルを確定することができる。掃引スペクトルを生成するために、プロセッサは、経時的に連続した周波数帯域に同調させるように検知モジュールを制御することができ、プロセッサは、抽出された周波数帯域の各々における電力レベルに基づいて、検知された生体電気脳信号の疑似スペクトログラムを組み立てることができる。疑似スペクトログラムは、特定の時間窓内の生体電気脳信号の周波数成分のエネルギーを示すことができる。
生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択するアルゴリズムは、相対的なベータ帯域電力レベルの複数の相対的な値を確定することであって、各相対的な値が、2つの異なる電極によって検知される2つの生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルに基づく、確定することと、複数の相対的な値に基づいて標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を選択することとをさらに含む。選択された1つまたは複数の電極を、脳28への刺激治療の送達のためにIMD16内にプログラムされ得る1つまたは複数の刺激電極の組合せに関連付けることができる。このように、刺激電極の組合せを、生体電気脳信号の特性に基づいて選択することができる。本明細書では、主に周波数領域特性について言及するが、刺激電極を選択する本明細書に記載する技法を、生体電気脳信号の時間領域特性(たとえば、個々のニューロンスパイク、経時的な振幅のパターン、経時的な時間領域信号の変動、振幅の閾値との比較等)に基づいて1つまたは複数の刺激電極を選択することにも適用可能であり得る。
いくつかの例では、刺激電極の組合せに関連する検知電極の1つまたは複数の群を介して検知された生体電気脳信号の周波数領域特性に基づいて、他の刺激パラメータ値を選択することができる。たとえば、ベータ帯域電力レベルを、患者12に効果的な治療を提供することができる刺激振幅値に関連付けることができる。電極群は、少なくとも1つの電極を含み、複数の電極を含むことができる。
生体電気脳信号に基づいて検知電極の組合せのうちの1つを選択した後、生理学的モデルが、選択された電極が患者12に対して効果的な刺激治療を提供するのに有用であることを示す場合、検知電極の組合せの電極を、刺激電極の組合せとして選択することができる。たとえば、生理学的モデルは、検知電極の組合せの電極が脳28内の標的解剖学的構造に近接しているか否か、または、たとえば解剖学的構造の刺激が副作用を誘発する可能性があるため、電極が回避されるべき解剖学的構造に近接しているか否かを示すことができる。標的解剖学的構造は、たとえば、患者状態に対して比較的効果的な治療をもたらす電気刺激(または他の治療送達)のための脳28の解剖学的構造(または領域)であり得る。脳28の解剖学的構造例としては、限定されないが、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉、視床(たとえば視床下部前核または視床下部背内側核)、視床下部、扁桃、海馬、一次運動野、運動前野、背外側前頭前皮質、後部頭頂皮質および小脳が挙げられる。
脳28の視床下核(STN)に一方または両方のリード20を配置する場合、活性化を回避すべき脳28の構造は、筋収縮を誘発する可能性がある内包、感覚異常を誘発する可能性がある内側毛帯線維、および患者12の眼の斜偏位を誘発する可能性がある動眼神経線維内を進む皮質延髄路および/または皮質脊髄路を含む可能性がある。別の例では、淡蒼球内節(GPi)内に一方または両方のリード20を配置する場合、活性化を回避すべき脳28の構造は、筋収縮を誘発する可能性がある内包と、感覚異常および他の視覚障害をもたらす可能性がある視索とを含む可能性がある。さらに、視床のVim内に一方または両方のリード20を配置する場合、活性化を回避すべき構造は、感覚異常を誘発する可能性がある視床腹尾側核(「Vc核」とも呼ぶ)と、筋収縮を誘発する可能性がある内包とを含む可能性がある。他の例では、脳28および/または線維経路内の他の構造を活性化することにより、他の刺激が誘発する副作用がもたらされる可能性がある。
いくつかの例では、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、生理学的モデルを生成し、その生理学的モデルを、ユーザインタフェースのディスプレイに表示することができる。そして、臨床医は、生理学的モデルの表示に基づいて、検知電極の組合せの電極が、標的解剖学的構造または回避すべき解剖学的構造に近接しているか否かを判断することができる。別の例として、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、植え込まれた電極24、26に近接する患者12の脳28の解剖学的構造を示す生理学的モデルに基づいて、検知電極の組合せの電極が標的解剖学的構造に近接しているか否かを自動的に判断することができる。
他の例では、刺激電極の組合せの電極を、生理学的モデルに基づいて選択することができ、刺激電極の選択を、刺激電極の組合せの電極を介して検知される生体電気脳信号に基づいて確認する(たとえば実証する)ことができる。たとえば、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、臨床医が刺激電極の組合せのいずれの電極を選択することができるかに基づいて、生理学的モデルの表示を生成することができる。例として、臨床医は、刺激信号のために1つまたは複数の標的解剖学的構造に刺激を送達し、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用に関連する解剖学的構造等の他の解剖学的構造に対する刺激を最小限にするかまたはさらには回避する、電極および他の刺激パラメータ値を選択することができる。
治療システム10に対して、検知された生体電気脳信号および生理学的モデルに基づいて、1つまたは複数の刺激電極の組合せを選択することは、効果的な刺激電極の組合せを選択するために必要な時間を低減するために有用であり得る。図1に示す例では、治療システム10は8つの電極24、26を備え、それにより、8つの電極24、26のあらゆる組合せを、脳28に刺激治療を提供するために選択することができる。いくつかの既存の技法では、臨床医は、効果的な刺激電極の組合せを見つけるために刺激電極の組合せをランダムに選択して試験する。場合によっては、刺激電極の組合せを選択する臨床医の知識および経験が、刺激電極の組合せを選択するために必要な時間を制限するのに役立つ可能性がある。臨床医は、患者12が経験する副作用と、患者の運動障害の症状(または他の患者状態)が緩和される程度との均衡に基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。これらの既存の技法では、臨床医は、試験する電極の組合せを選択するために患者12の脳28の特定の解剖学的形態を考慮せず、患者12の特定の生理学的特性および患者の脳28の特定の機能不全状態も考慮しない可能性がある。さらに、刺激電極の組合せを選択し試験し、かつ比較的効果的な刺激電極の組合せを特定するこれらの技法は、比較的時間がかかりかつ冗長である可能性がある。
対照的に、本明細書に記載するシステム、装置および技法では、患者12の脳28に関する生理学的情報が刺激電極の選択を誘導し、それが、効果的な刺激電極の組合せが選択される効率を向上させるのに役立つことができる。特に、検知された生体電気脳信号は、患者12の脳28の植え込まれた電極24、26に近接する領域を示す生理学的モデルと組み合わせて、患者12の脳28に効果的な刺激治療を送達するのにいずれの電極24、26が配置されるべきかを確定する有用な情報を臨床医に提供することができる。生体電気脳信号に関して、効果的な刺激電極の組合せを選択する生理学的情報は、1つまたは複数の時間領域特性(たとえば振幅)、または検知電極の特定の群によって検知される生体電気脳信号の周波数領域特性の形態であり得る。種々の電極によって検知される生体電気信号の1つまたは複数の周波数領域特性の振幅の差は、脳28内の標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を確定するためにさらなる情報を提供することができ、効果的な刺激電極の組合せの選択を容易にすることができる。検知された生体電気脳信号は、患者の脳28内で検知されるため患者12に特定であり、したがって、それらを用いて、特定の患者12に効果的な治療を提供することができる刺激電極の組合せを比較的迅速に確認することができる。
効果的な刺激電極の組合せを選択するために必要な時間を低減することに加えて、本明細書に記載する技法は、有効な方法で効果的な刺激電極の組合せを見つけるために必要な専門知識および経験の量を低減するのに役立つことも可能である。たとえば、後にさらに詳細に説明するように、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、患者12に特定でありかつ患者の脳28内の実際のリード配置に特定である生体電気脳信号に基づいて、自動的に、1つまたは複数の電極の組合せを評価し、かついずれの特定の電極の組合せが患者12に効果的な治療を提供することができるかを判断することができる。
生理学的モデルに関して、患者12に対して効果的な刺激電極の組合せを選択する生理学的情報は、治療電気刺激に対する1つまたは複数の標的解剖学的構造、たとえば、刺激が誘発する副作用に関連するために、刺激の送達を最小限にすることが望ましい1つまたは複数の解剖学的構造、または選択された刺激電極の組合せを介して患者12に刺激を送達することからもたらされる可能性がある治療野を示す治療モデルの指示であり得る。プログラマ14または別のコンピューティングデバイスが生理学的モデルのグラフィカル表現を表示する例では、生理学的モデルは、臨床医が患者12の脳28内におけるリード20の位置を視覚化するのに役立つことができ、それは、刺激に対する標的解剖学的構造および回避すべき解剖学的構造にいずれの電極24、26が近接しているかを、臨床医が判断するのに役立つことができる。
生理学的モデルが、選択された刺激電極の組合せを介して患者12に刺激を送達することからもたらされる可能性がある治療野を示す治療野モデルを含む例では、生理学的モデルによって提供される生理学的情報は、刺激が脳28内の組織にいかに影響を与える可能性があるかの指示を含むことができる。上述したように、治療野モデルの例は、電場モデル、活性場モデル、または電圧勾配もしくは電流密度モデルを含む。プログラマ14または別のコンピューティングデバイスが治療野モデルのグラフィカル表現を表示する例では、表示されたモデルは、臨床医が、選択された刺激電極の組合せを介して治療送達からもたらされる治療野の特性(たとえば体積または位置)を視覚化するのに役立つことも可能である。治療野モデルの視覚化は、たとえば、治療野が、刺激に対する標的解剖学的構造および刺激が誘発する副作用に関連する解剖学的構造と部分的に重なるか否かを視覚化するのに有用であり得る。選択された電極および/または1つもしくは複数の刺激パラメータ値を、治療野を調整するように変更することができる。
効果的な刺激電極の組合せを選択するために必要な時間を低減することに加えて、本明細書に記載する技法は、有効な方法で効果的な刺激電極の組合せを見つけるために必要な専門知識または経験の量を低減するのに役立つことも可能である。たとえば、後にさらに詳細に説明するように、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、患者12に特定でありかつ患者の脳28内の実際のリード配置に特定の生体電気脳信号に基づいて、自動的に、検知電極の1つまたは複数の群を評価し、検知電極のいずれの特定の群が、患者12に効果的な治療を提供することができる刺激電極の組合せに関連しているかを判断することができる。そして、プログラマ14は、選択された検知電極の組合せに基づいて、刺激電極の組合せを自動的に選択することができる。運動障害等の患者状態によっては、生体電気脳信号は、患者状態に関連する脳28の領域に臨床医を誘導するのに役立つ。
さらに、いくつかの例では、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、生理学的モデルに基づいて、選択された電極の組合せが、患者12の脳28内の1つまたは複数の標的解剖学的構造に近接しているか、または刺激が誘発する副作用に関連する解剖学的構造に近接しているかを自動的に判断することができる。生理学的モデルは、脳28内のリード20の推定された位置または実際の位置に近接する患者12の脳28の構造を示し、それにより、プログラマ14が、選択された刺激電極が脳28内の生理学的に重要な位置(たとえば、刺激に対する標的解剖学的構造に近接するか、または刺激が誘発する副作用に関連する構造に近接する位置)に配置されているか否かを自動的に判断することができる。他の例では、生理学的モデルは、選択された刺激電極が脳28内の生理学的に重要な位置(たとえば、刺激に対する標的解剖学的構造に近接するか、または刺激が誘発する副作用に関連する構造に近接する位置)に配置されているか否かを判断する際に臨床医を誘導する生理学的情報を提供する。
検知された生体電気脳信号に基づき、かつ生理学的モデルを考慮することなく刺激電極の組合せを選択することが有用である場合があるが、生理学的モデルは、生体電気脳信号を検知するために用いられる検知電極の組合せに基づいて選択された刺激電極が、標的組織部位に近接していることを確認するために、かつ/または刺激電極が、刺激送達により1つまたは複数の副作用がもたらされる可能性がある脳28内の組織部位に近接していないことを確認するために有用であり得る、さらなる生理学的情報を提供することができる。
同様に、生理学的モデルに基づき、かつ刺激電極の組合せの電極を介して検知される生体電気脳信号を考慮することなく、刺激電極の組合せを選択することが有用である場合があるが、検知された生体電気脳信号に基づいて刺激電極選択を確認することが有用であり得る。後にさらに詳細に説明するように、検知された生体電気脳信号は、標的組織部位に対する刺激電極の位置を明らかにすることができる。
本明細書に記載するシステムおよび技法に従って刺激電極の組合せを選択した後、臨床医は、単独で、またはプログラマ14等のコンピューティングデバイスを用いて、患者12に対して効果的な治療を提供する他の刺激パラメータ値を選択することができる。これらの他の刺激パラメータ値は、たとえば、刺激信号の周波数および振幅と、刺激パルスの場合は刺激信号のデューティサイクルおよびパルス幅を含むことができる。他の場合では、プログラマ14は、刺激波形とともに送達された刺激パルスのパターンに関する情報を提案することができる。
いくつかの例では、IMD16は、患者12内に植え込まれ、長期にわたって治療を送達するようにプログラムされた後、選択された刺激電極の組合せを定期的に再評価して、別の刺激電極の組合せがより効果的な治療を提供することができるか否かを判断することができる。IMD16は、たとえば、刺激治療に対する標的組織部位を、たとえば脳28の生理学的変化に基づいて変更することができるか否か、または一方もしくは両方のリード20A、20Bが脳28内の元の植込み部位から離れるように移動したか否かを判断することができる。
いくつかの例では、選択された刺激電極の組合せを定期的に再評価するために、IMD16は、リード20A、20Bそれぞれの電極24、26を備えた検知電極の1つまたは複数の群によって、生体電気脳信号を定期的に検知することができる。プログラマ14またはIMD16のプロセッサは、検知された生体電気脳信号の周波数帯域特性の分析に基づき、異なる刺激電極の組合せを用いて脳28に刺激を送達するべきか否かを判断することができる。たとえば、IMD16のプロセッサは、目下選択されている刺激電極の組合せが、相対的なベータ帯域電力が最も高い生体電気信号を示す標的組織部位に最も近い検知電極群に関連していない場合、IMD16が患者12に刺激を送達する電極のサブセットを切り換えることができる。このように、IMD16が患者12に電気刺激を送達するために用いる刺激電極の組合せを、閉ループ系で動的に変更することができる。
リード20A、20Bそれぞれの電極24、26を備えた検知電極の1つまたは複数の群による生体電気脳信号に基づき、選択された刺激電極の組合せを再評価することに加えて、またはその代りに、プログラマ14、IMD16または別のデバイスのプロセッサは、電極24、26の実際の植込み位置に基づいて生成される生理学的モデルに基づいて、刺激電極が脳28に効果的な治療を提供するか否かを周期的に評価することができる。生理学的モデルは、たとえば、1つまたは複数の刺激電極が標的組織部位に電気刺激を送達するようにそれ以上配置されないように、または1つもしくは複数の刺激電極が、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に刺激を送達しているように、リード20のうちの1つまたは複数が脳28内で移動したか否かを示すことができる。
生理学的モデルに基づいて、選択された刺激電極の組合せを評価するために、臨床医は、何らかの適切な撮像モダリティを用いてリード20およびそれぞれの電極24、26の医用画像を取得することができる。プログラマ14または別のコンピューティングデバイスは、医用画像および患者の解剖学的データによって示される電極24、26の位置に基づいて、生理学的モデルを生成することができる。生理学的モデルは、たとえば、選択された刺激電極が、1つまたは複数の標的解剖学的構造に電気刺激を送達するように、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する1つまたは複数の解剖学的構造を回避するように、以前として配置されているか否かを示すことができる。たとえば、生理学的モデルは、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる電場、活性場、治療野の電圧勾配または電流密度が、依然として、標的解剖学的構造を標的としており、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する解剖学的構造を回避しているか否かを示すことができる。
IMD16によって生成される電気刺激を、種々の障害および状態を管理するように構成することができる。いくつかの例では、IMD16の刺激発生器は、電気パルスを生成し、選択された刺激電極の組合せの電極を介して患者12に送達するように構成されている。しかしながら、他の例では、IMD16の刺激発生器を、連続波信号、たとえば正弦波または三角波を生成し送達するように構成することができる。いずれの場合も、IMD16内の信号発生器は、その所与の時点で治療において選択される治療プログラムに従って、DBSに対し電気刺激治療を生成することができる。IMD16が刺激パルスの形態で電気刺激を送達する例では、治療プログラムは、患者12に刺激を送達する刺激電極の組合せ、パルスのパルス周波数、パルス幅および電流または電圧振幅等、一組の治療パラメータ値を含むことができる。上述したように、刺激電極の組合せは、患者12の組織に刺激信号を送達するために選択される特定の電極24、26と、選択された電極のそれぞれの極性とを示すことができる。
IMD16を、鎖骨、または代替的に、患者12の腹部、背中または臀部の上方の皮下ポケット内に、頭蓋骨の上もしくは中に、または患者12内の他のあらゆる適切な部位に植え込むことができる。概して、IMD16は、体液からの腐食および劣化に耐性がある生体適合性材料から構成されている。IMD16は、プロセッサ、治療モジュールおよびメモリ等のコンポーネントを実質的に封入する密封ハウジングを備えることができる。
図1に示すように、植え込まれたリード延長部18は、コネクタ30(IMD16のコネクタブロックまたはヘッダとも呼ばれる)を介してIMD16に結合される。図1の例では、リード延長部18は、IMD16の植込み部位から患者12の頸部に沿って患者12の頭蓋骨32まで横切り、脳28にアクセスする。図1に示す例では、リード20Aおよび20B(まとめて「リード20」)は、治療システム10によって制御される患者状態または障害に基づいて選択され得る、脳28の1つまたは複数の領域に電気刺激を送達するために、患者12の右脳および左脳内にそれぞれ植え込まれる。標的組織部位に刺激を送達するために用いられる刺激電極を、たとえば図5〜図10に関して、たとえば本明細書に記載するアルゴリズムを用いて、1つまたは複数の検知された生体電気脳信号と、植え込まれた電極に近接する脳28の領域を示す生理学的モデルとに基づいて選択することができる。他のリード20およびIMD16植込み部位が考えられる。たとえば、いくつかの例では、IMD16を、頭蓋骨32の上または中に植え込むことができる。別の例として、リード20を、脳28の同じ大脳半球内に植え込むことができ、またはIMD16を単一リードに結合することができる。
図1では、リード20が、共通のリード延長部18に結合されているように示すが、他の例では、リード20を、別個のリード延長部を介してIMD16に、またはコネクタ30に直接結合することができる。運動障害等の患者状態に関連する患者症状を管理するように、リード20を、脳28内の1つまたは複数の標的組織部位に電気刺激を送達するように配置することができる。リード20を、電極24、26を頭蓋骨32のそれぞれの穴を介して脳28の所望の位置に配置するように植え込むことができる。電極24、26が、治療中に脳28内の標的組織部位に電気刺激を提供することができるように、リード20を脳28内のあらゆる位置に配置することができる。たとえば、電極24、26を、脳28の硬膜の下に、または患者12の頭蓋骨32の穿頭孔を介して脳28の大脳皮質内に外科的に植え込み、1つまたは複数のリード20を介してIMD16に電気的に結合することができる。
図1に示す例では、リード20の電極24、26はリング電極として示されている。リング電極は、比較的プログラムが単純であり、かつ電極24、26に隣接するあらゆる組織に電場を送達することができるため、DBS用途で使用され得る。他の例では、電極24、26は異なる形態を有していてもよい。たとえば、いくつかの例では、リード20の電極24、26のうちの少なくともいくつかは、成形された電場を生成することができる複雑な電極アレイ形状を有することができる。複雑な電極アレイ形状は、1つのリング電極ではなく、各リード20の外周に複数の電極(たとえば、部分リング電極または分割電極)を含むことができる。このように、電気刺激を、リード20から特定の方向に向けることにより、治療の効力を向上させ、大量の組織を刺激することからのあり得る不都合な副作用を低減することができる。分割電極を含む複雑な電極アレイ形状の例を、図3Aおよび図3Bを参照して示し説明する。いくつかの例では、IMD16のハウジングは、1つまたは複数の刺激電極および/または検知電極を含むことができる。代替的な例では、リード20は、図1に示すような細長い円柱以外の形状を有することができる。たとえば、リード20は、パドル状リード、球状リード、屈曲可能リード、または患者12を治療しかつ/またはリード20の侵襲性を最小限にするのに有効な他のあらゆるタイプの形状であり得る。さらに、他の例では、リード20は、マクロ電極(たとえば、リング、局所電場電位および刺激を検知するように適合されたセグメント)およびマイクロ電極(たとえば、時間領域においてスパイク列を検知するように適合された)の両方をあらゆる組合せで含むことができる。
図1に示す例では、IMD16は、各々が一組の治療パラメータ値を定義する複数の治療プログラムを格納するメモリ(図3に示す)を含む。いくつかの例では、IMD16は、検出された患者活動レベル、検出された患者状態、日付に基づく等、さまざまなパラメータに基づいて、メモリから治療プログラムを選択することができる。IMD16は、運動障害に関連する患者の症状(または別の患者状態)を管理するように選択された治療プログラムに基づいて、電気刺激を生成することができる。
IMD16が効果的な治療を患者12に提供するか否かを判断するようにIMD16が評価される試行段階中、複数の治療プログラムを、有効であるか試験し評価することができる。さらに、後にさらに詳細に説明するように、少なくとも1つの検知された生体電気脳信号と、脳28内のリード20の位置に基づいて確定される生理学的モデルとに基づいて、1つまたは複数の治療プログラムに対し1つまたは複数の刺激電極の組合せを選択することができる。治療プログラムを、試行段階の結果に基づいてIMD16内に格納するように選択することができる。
IMD16が、一時的にではなく治療の送達のために患者12内に植え込まれる長期的な治療の間、IMD16は、種々の治療プログラムに従って、刺激信号を生成し患者12に送達することができる。さらに、いくつかの例では、患者12は、プログラマ14を用いて、患者12が感知する治療の効力を変更するために、単一の所与のプログラム内の1つまたは複数の治療パラメータ値の値を変更するか、またはプログラムを切り換えることができる。IMD16のメモリは、患者12が治療パラメータを調整し、プログラムを切り換え、または他の治療調整を受けることができる程度を定義する命令を格納することができる。患者12は、治療中のあらゆる時点で、または臨床医の指定に応じて、外部プログラマ14を介してIMD16が使用する追加のプログラムを生成することができる。
外部プログラマ14は、治療情報を提供するかまたは検索する必要に応じて、IMD16と無線通信する。プログラマ14は、ユーザ、たとえば臨床医および/または患者12が、IMD16と通信するために用いることができる外部コンピューティングデバイスである。たとえば、プログラマ14は、臨床医がIMD16と通信し、IMD16に対して1つまたは複数の治療プログラムをプログラムする臨床医プログラマであり得る。代替的に、プログラマ14は、患者12がプログラムを選択しかつ/または治療パラメータを見て変更するのを可能にする患者プログラマであり得る。臨床医プログラマは、患者プログラマより多くのプログラミング特徴を含むことができる。言い換えれば、訓練されていない患者がIMD16に望ましくない変更を加えるのを防止するように、より複雑なまたは慎重な扱いを要するタスクを、臨床医プログラマのみによって可能とすることができる。
プログラマ14は、ユーザが見ることができるディスプレイと、プログラマ14に入力を提供するインタフェース(すなわち、ユーザ入力機構)とを備えたハンドヘルドコンピューティングデバイスであり得る。たとえば、プログラマ14は、ユーザに情報を提示する小型表示画面(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイ)を含むことができる。さらに、プログラマ14は、タッチスクリーンディスプレイ、キーパッド、ボタン、周辺ポインティングデバイス、またはユーザがプログラマ14のユーザインタフェース内を移動し入力を提供するのを可能にする別の入力機構を含むことができる。プログラマ14がボタンおよびキーパッドを含む場合、ボタンを、所定の機能、すなわち電源の起動を行うのに専用とすることができ、またはボタンおよびキーパッドは、目下ユーザが見ているユーザインタフェースのセクションに応じて機能が変化するソフトキーであり得る。代替的に、プログラマ14の画面(図示せず)は、ユーザがディスプレイに表示されるユーザインタフェースに直接入力を提供するのを可能にするタッチスクリーンであり得る。ユーザは、スタイラスまたは指を用いてディスプレイに入力を提供することができる。
他の例では、プログラマ14は、専用のコンピューティングデバイスではなく、より大型のワークステーションか、または別の多機能デバイス内の別個のアプリケーションであってもよい。たとえば、多機能デバイスは、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション、携帯電話、携帯情報端末、または別のコンピューティングデバイスであって、それが医療機器プログラマ14として動作するのを可能にするアプリケーションを実行することができるコンピューティングデバイスであり得る。コンピューティングデバイスに結合された無線アダプタが、コンピューティングデバイスとIMD16との間のセキュア通信を可能にすることができる。
プログラマ14が臨床医によって使用されるように構成されている場合、プログラマ14を用いて、IMD16に初期プログラミング情報を送信することができる。この初期情報は、リード20および電極構成のタイプ等のハードウェア情報、脳28内のリード20の位置、電極アレイ24、26の構成、治療パラメータ値を定義する初期プログラム、および臨床医がIMD16にプログラムするように望む他のあらゆる情報を含むことができる。プログラマ14はまた、機能試験を完了する(たとえば、リード20の電極24、26のインピーダンスを測定する)ことができてもよい。
臨床医はまた、プログラマ14を用いてIMD16内に治療プログラムを格納することも可能である。プログラミングセッション中、臨床医は、患者状態に関連する、場合によっては、睡眠状態、運動状態または安静状態等、1つまたは複数の異なる患者状態に特定の症状に対処するために、患者12に効果的な治療を提供する1つまたは複数の治療プログラムを確定することができる。たとえば、臨床医は、刺激を脳に28に送達するための1つまたは複数の電極の組合せを選択することができる。プログラミングセッション中、患者12は、評価されている特定のプログラムの効力に関して、臨床医にフィードバックを提供することができ、または臨床医は、患者12の1つまたは複数の生理学的パラメータ(たとえば、筋活動または筋緊張)に基づいて効力を評価することができる。プログラマ14は、潜在的に有益な治療パラメータ値を識別する組織的なシステムを提供することにより、治療プログラムの作成/特定において臨床医を支援することができる。
プログラマ14を、患者12が使用するように構成することも可能である。患者プログラマとして構成される場合、プログラマ14は、患者12がIMD16の重大な機能または患者12に対して有害であり得るアプリケーションを変更しないように、機能を(臨床医プログラマに比較して)制限することができる。このように、プログラマ14は、患者12が、いくつかの治療パラメータに対して値を調整するか、または特定の治療パラメータに対して利用可能な値の範囲を設定することのみを可能にすることができる。
プログラマ14は、治療が送達されている時、患者入力が治療の変更のきっかけとなった時、またはプログラマ14またはIMD16内の電源を交換するか充電する必要がある時、患者12に指示を与えることも可能である。たとえば、プログラマ14は、警告LEDを含むことができ、患者12に対しプログラマディスプレイを介してメッセージを点滅することができ、患者入力が受け取られたことを確認するため、たとえば患者状態を示すかまたは治療パラメータを手動で変更するために、可聴音声または体性感覚キューを生成することができる。
プログラマ14は、無線通信を介して、IMD16に、任意に別のコンピューティングデバイスに通信するように構成されている。プログラマ14は、たとえば、本技術分野において既知である無線周波数(RF)遠隔測定技法を用いて、無線通信を介してIMD16と通信することができる。プログラマ14はまた、IEEE802.11またはBluetooth(登録商標)仕様セットによるRF通信、IRDA仕様セットによる赤外線(IR)通信、または他の標準もしくは固有遠隔測定プロトコル等、種々の局所無線通信技法のいずれかを用いて、有線または無線接続を介して別のプログラマまたはコンピューティングデバイスと通信することも可能である。プログラマ14はまた、磁気もしくは光ディスク、メモリカードまたはメモリスティック等、リムーバブルメディアの交換を介して他のプログラミングデバイスまたはコンピューティングデバイスと通信することも可能である。さらに、プログラマ14は、たとえばローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)または携帯電話ネットワークを介して通信して、本技術分野において既知である遠隔測定技法を介してIMD16および別のプログラマと通信することができる。
治療システム10を、数か月または数年にわたって患者12に長期の刺激治療を提供するように実施することができる。しかしながら、システム10を、完全な植込みに引き渡す前に治療を評価するために、試験的に採用することも可能である。一時的に植え込まれる場合、システム10のいくつかのコンポーネントを、患者12内に植え込まない可能性がある。たとえば、患者12に、IMD16ではなく試験刺激装置等の外部医療機器を取り付けてもよい。外部医療機器を、経皮リード、経皮延長部を介する植込み型リード、または1つもしくは複数の外部リードに結合することができる。試験刺激装置が、DBSシステム10が患者12に有効な治療を提供することを示す場合、臨床医は、比較的長期の治療に対して患者12内に長期刺激装置を植え込むことができる。
治療システム10の他の例では、治療システム10は、1本のリードのみかまたは2本以上のリードを含む。刺激電極の組合せを選択することに関して後述する装置、システムおよび技法を、1本のみのリードまたは2本以上のリードを含む治療システムに適用することができる。
図2は、例としてのIMD16のコンポーネントを示す機能ブロック図である。図2に示す例では、IMD16は、プロセッサ40、メモリ42、刺激発生器44、検知モジュール46、スイッチモジュール48、遠隔測定モジュール50および電源52を含む。メモリ42は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等、あらゆる揮発性媒体または不揮発性媒体を含むことができる。メモリ42は、プロセッサ40によって実行されるとIMD16に対してさまざまな機能を実行させるコンピュータ可読命令を格納することができる。
図2に示す例では、メモリ42は、治療プログラム54、生体電気脳信号60および動作命令58を、メモリ42内の別個のメモリまたはメモリ42内の別個の領域に格納する。各格納された治療プログラム54は、刺激電極の組合せ、電流または電圧の振幅、周波数(たとえば刺激パルスの場合はパルスレート)およびパルス幅等、電気刺激パラメータの特定の組を定義する。いくつかの例では、個々の治療プログラムを、治療群として格納することができ、それは、刺激を生成するために用いることができる一組の治療プログラムを定義する。治療群の治療プログラムによって定義される刺激信号を、オーバラップするようにまたはオーバラップしないように(たとえば時間インターリーブ式に)合わせて送達することができる。
生体電気脳信号60は、検知モジュール46によって患者12の脳28内で検知される生体電気脳信号を含む。生体電気脳信号の例には、限定されないが、脳28の1つまたは複数の領域内の局所電場電位から生成された信号が含まれる。EEG信号およびECoG信号は、脳28内で測定され得る局所電場電位の例である。しかしながら、局所電場電位は、患者12の脳28内のより広い種類の電気信号を含むことができる。いくつかの例では、生体電気脳信号60は、検知モジュール46(または別の検知モジュール)によって検知された生生体電気脳信号、検知モジュール46によって生成されたパラメータ化された生体電気脳信号、または生生体電気脳信号に基づいて生成されたデータである。動作命令58は、プロセッサ40の制御下でIMD16の全体的な動作を誘導する。
刺激発生器44は、プロセッサ40の制御下で、電極24、26の選択されたサブセットを介して患者12に送達される刺激信号を生成する。患者の運動障害を管理するためにDBSにおいて有効であると考えられる電気刺激パラメータの範囲例は、以下を含む。
1.周波数:およそ130Hz等、およそ100Hzとおよそ500Hzとの間。
2.電圧振幅:およそ0.5ボルトとおよそ20ボルトとの間、またはおよそ5ボルト等、およそ0.1ボルトとおよそ50ボルトとの間。
3.電流振幅:電流振幅は、生物学的負荷の両端の電圧を制御することによってもたらされる電荷の流れであり得る。電流制御系では、およそ500Ωのより低レベルのインピーダンスを呈する電流振幅は、およそ1ミリアンペアとおよそ40ミリアンペアまたはおよそ10ミリアンペア等、およそ0.2ミリアンペアからおよそ100ミリアンペアの間であり得る。しかしながら、いくつかの例では、インピーダンスは、約200オームと約2キロオームとの間の範囲であり得る。
4.パルス幅:およそ100マイクロ秒とおよそ1000マイクロ秒との間、またはおよそ180マイクロ秒とおよそ450マイクロ秒との間等、およそ10マイクロ秒とおよそ5000マイクロ秒との間。
したがって、いくつかの例では、刺激発生器44は、上述した電気刺激パラメータに従って電気刺激信号を発生する。治療パラメータ値の他の範囲も有用である可能性があり、患者12の標的刺激部位によって決まり得る。刺激パルスについて述べているが、刺激信号は、連続時間信号(たとえば正弦波)等、いかなる形態であってもよい。
プロセッサ40は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはディスクリート論理回路のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。本明細書に記載するプロセッサに属する機能を、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの任意の組合せを介してハードウェアデバイスにおいて具現化することができる。プロセッサ40は、メモリ42に格納されている治療プログラム54に従って、振幅、パルス幅およびパルスレート等、プログラムのうちの1つまたは複数によって指定される特定の刺激パラメータ値を適用するように刺激発生器44を制御する。
図2に示す例では、電極24の組は電極24A、24B、24Cおよび24Dを含み、電極26の組は、電極26A、26B、26Cおよび26Dを含む。プロセッサ40はまた、刺激発生器44によって生成された刺激信号を電極24、26の選択された組合せに適用するように、スイッチモジュール48を制御する。特に、スイッチモジュール48は、リード20内の選択された導体に刺激信号を結合することができ、それにより、リード20は、刺激信号を選択された電極24、26にわたって送達する。スイッチモジュール48は、スイッチアレイ、スイッチマトリックス、マルチプレクサ、または刺激エネルギーを選択された電極24、26に選択的に結合し、かつ選択された電極24、26によって生体電気脳信号を選択的に検知するように構成された他のあらゆるタイプのスイッチングモジュールであり得る。このため、刺激発生器44は、スイッチモジュール48およびリード20内の導体を介して電極24、26に結合される。しかしながら、いくつかの例では、IMD16はスイッチモジュール48を含まない。
刺激発生器44は、単一チャネルまたはマルチチャネル刺激発生器であり得る。特に、刺激発生器44は、単一の電極の組合せを介して所与の時点において単一の刺激パルス、複数の刺激パルスまたは連続信号を送達するか、または複数の電極の組合せを介して所与の時点において複数の刺激パルスを送達することができてもよい。しかしながら、いくつかの例では、刺激発生器44およびスイッチモジュール48を、時間インターリーブ式に複数のチャネルを送達するように構成してもよい。たとえば、スイッチモジュール48は、種々の時点で種々の電極の組合せにわたり刺激発生器44の出力を時分割して、刺激エネルギーの複数のプログラムまたはチャネルを患者12に送達する役割を果たすことができる。
いくつかの例では、プロセッサ40は、電極24、26の選択された組合せ、すなわち刺激電極の組合せを、脳28内で検知された生体電気信号の1つまたは複数の周波数領域特性に基づいて動的に変化させる。検知モジュール46は、プロセッサ40の制御下で、生体電気脳信号を検知し、検知された生体電気脳信号をプロセッサ40に提供することができる。プロセッサ40は、電極24、26の選択された組合せ、たとえば検知電極の組合せに検知モジュール46を結合するように、スイッチモジュール48を制御することができる。このように、IMD16は、検知モジュール46が複数の異なる検知電極の組合せによって生体電気脳信号を検知することができるように構成されている。スイッチモジュール48を、それぞれのリード20内の導体を介して、選択された電極24、26に電気的に結合することができ、それにより、リード20は、選択された電極24、26にわたって検知された生体電気脳信号を検知モジュール46に送達する。生体電気脳信号は、患者12の脳28内の電気活動を示す電気信号を含むことができる。プロセッサ40は、検知された生体電気脳信号をメモリ42に格納することができる。
検知モジュール46は、図2の刺激発生器44およびプロセッサ40と共通のハウジング内に組み込まれているが、他の例では、IMD16とは別個のハウジング内にあってもよく、かつ有線通信技法または無線通信技法を介してプロセッサ40(いくつかの例ではプログラマ14)と通信することができる。
遠隔測定モジュール50は、プロセッサ40の制御下で、IMD16と外部プログラマ14または別のコンピューティングデバイスとの間の無線通信を支援する。IMD16のプロセッサ40は、振幅および電極の組合せ等のさまざまな刺激パラメータに対する値を、プログラムの更新として、遠隔測定モジュール50を介してプログラマ14から受け取ることができる。治療プログラムに対する更新を、メモリ42の治療プログラム54部分内に格納することができる。IMD16における遠隔測定モジュール50は、プログラマ14等、本明細書に記載する他のデバイスおよびシステム内の遠隔測定モジュールと同様に、RF通信技法によって通信を達成することができる。さらに、遠隔測定モジュール50は、外部医療機器プログラマ14と、プログラマ14とのIMD16の近位誘導相互作用を介して通信することができる。したがって、遠隔測定モジュール50は、検知された生体電気脳信号に関連する情報等の情報を外部プログラマ14に、連続的に、周期的間隔で、またはIMD16もしくはプログラマ14からの要求時に送信することができる。
電源52は、動作電力をIMD16のさまざまなコンポーネントに送達する。電源52は、動作電力を生成する、小型充電式または非充電式バッテリおよび電力発生回路を含むことができる。充電を、外部充電器とIMD16内の誘導充電コイルとの間の近位誘導相互作用によって達成することができる。いくつかの例では、電力要件は、IMD16が充電式バッテリをトリクル充電するように患者の運動を利用し運動エネルギースキャベンジング装置を実装することができるように十分小さい可能性がある。他の例では、限られた期間、従来のバッテリを用いてもよい。
本開示を通して、電極の群は、1つまたは複数のリードの長手方向軸に沿った同じ位置に位置するあらゆる電極を指すものとする。電極の群は、1つの電極または複数の電極(たとえば2つ以上の電極)を含むことができる。
図3Aおよび図3Bは、電極24、26のそれぞれのセットを含む一方または両方のリード20A、20Bの代りにまたはそれに加えて、IMD16で使用され得る、リード62および電極64の群の例の概略図である。図3Aは、電極66、68、70および72の4つの群を含む、リード62のx−y平面(単に説明を簡単にするために、図3Aでは直交するx−y軸を示す)に2次元(2D)側面図を示す。図3Bは、電極の4つの群の各々のy−z平面における断面図を示す。電極66および72の群は、各々、図2に示す電極24、26の各々と同様であり得る1つのリング電極を含む。対照的に、電極68および70の群は、各々、リード62の外周に分散している3つの分割電極68A〜68Cおよび70A〜70Cを含む。他の例では、リード62は、リング電極または分割電極の群のあらゆる数のかつ組合せを含むことができる。たとえば、リード62は、分割電極の群のみを含むことができる。他の例では、電極の群68、70は、4つ以上の分割(または部分リング)電極かまたは1つもしくは2つの分割電極もしくは部分リング電極を含むことができる。
図4は、プロセッサ80、メモリ82、ユーザインタフェース84、遠隔測定モジュール86および電源88を含む、外部医療機器プログラマ14の例の概念ブロック図である。プロセッサ80は、ユーザインタフェース84および遠隔測定モジュール86を制御し、情報および命令をメモリ82に格納するとともにメモリ82から検索する。プログラマ14を、臨床医プログラマまたは患者プログラマとして使用されるように構成することができる。プロセッサ80は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または他の等価な集積回路もしくはディスクリート論理回路を含む、1つまたは複数のプロセッサのあらゆる組合せを含むことができる。したがって本明細書においてプロセッサ80に属する機能を、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらのいかなる組合せのいずれで実行するかに関らず、プロセッサ80はあらゆる適切な構造を含むことができる。
臨床医または患者12等のユーザは、ユーザインタフェース84を介してプログラマ14と対話することができる。ユーザインタフェース84は、複数の検知電極の組合せを介して検知される生体電気信号に関連する情報等、治療に関連する情報を提示するために、LCDもしくはLEDディスプレイまたは他のタイプの画面等、ディスプレイ(図示せず)を含む。さらに、ユーザインタフェース84は、ユーザからの入力を受け取る入力機構も含むことができる。入力機構は、たとえば、ボタン、キーパッド(たとえば英数字キーパッド)、周辺ポインティングデバイス、またはユーザが、プログラマ14のプロセッサ80によって提示されるユーザインタフェース内を移動し入力を提供するのを可能にする別の入力機構を含むことができる。
プログラマ14がボタンおよびキーパッドを含む場合、ボタンを、所定の機能、すなわち電源ボタンを実行するのに専用とすることができ、またはボタンおよびキーパッドは、ユーザが目下見ているユーザインタフェースのセクションに応じて機能を変更するソフトキーであり得る。代替的に、プログラマ14のディスプレイ(図示せず)は、ユーザが、ディスプレイに示されているユーザインタフェースに直接入力を提供することができるようにするタッチスクリーンであってもよい。ユーザは、スタイラスまたは指を用いて、ディスプレイに入力を提供することができる。他の例では、ユーザインタフェース84は、患者12の運動機能が限られている場合に有用であり得る、患者12に可聴命令または音声を提供しかつ/または患者12から音声コマンドを受け取る音声回路も含む。患者12、臨床医または別のユーザが、プログラマ14と対話して、手動で治療プログラムを選択し、新たな治療プログラムを生成し、個々の調整または全体的な調整を通して治療プログラムを変更し、かつIMD16に新たなプログラムを送信することも可能である。
いくつかの例では、IMD16による治療送達の制御の少なくとも一部を、プログラマ14のプロセッサ80によって実施することができる。さらに、いくつかの例では、プロセッサ80は、IMD16によって検知された生体電気脳信号と、リード20の植え込まれた電極24、26に近接する患者12の脳28の組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルとに基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。本明細書に記載する例は、主に、IMD16によって検知される生体電気脳信号について言及しているが、IMD16とは別個の検知モジュールによって検知される生体電気脳信号に基づいて電極の組合せを選択することにも適用可能である。別個の検知モジュールを、患者12内に植え込むことができるが、必ずしも必要ではない。
いくつかの例では、プロセッサ80は、個々のニューロンまたはニューロンの小さい群からの検知されたスパイク列等、検知された生体電気信号の時間領域特性に基づいて、1つまたは複数の電極を選択することができる。後にさらに詳細に説明するように、いくつかの例では、プロセッサ80は、刺激電極の組合せのうちの少なくとも1つに関連する種々の検知電極の組合せによって検知された生体電気脳信号の周波数領域特性の振幅の差に基づいて、1つまたは複数の電極を選択することができる。プロセッサ80は、たとえば図12、図13、図15A〜図15C、図16または図17に関して後述するアルゴリズムを実装することにより、検知された生体電気脳信号の周波数領域特性の分析に基づいて、かつ脳28内のリード20の配置に基づいて生成される生理学的モデルに基づいて、IMD16に対して刺激電極の組合せを選択することができる。場合によっては、たとえば、それぞれの電極の組合せによって検知された複数の生体電気脳信号の周波数領域特性の比較および生理学的モデルに基づいて、別の刺激電極の組合せが望ましいと判断した後、プロセッサ80は、IMD16に対して、刺激電極の組合せを切り換えるように命令する信号を送信することができる。
IMD16のプロセッサ40は、プログラマ14からそのそれぞれの遠隔測定モジュール50(図3)を介して信号を受け取ることができる。IMD16のプロセッサ40は、プログラマ14のプロセッサ80からの信号に基づいて、メモリ42から格納された治療プログラムを選択することにより、刺激電極の組合せを切り換えることができる。代替的に、プログラマ14のプロセッサ80は、治療プログラムまたは特定の刺激電極の組合せを選択し、IMD16に信号を送信することができ、そこでは、信号は、IMD16により、患者の運動障害を管理する刺激の効力を向上させるのに役立つように実施される、治療パラメータ値を示す。その指示は、たとえば、IMD16のメモリ42内の治療プログラムに関連する英数字識別子または記号であり得る。
図4に示す例では、メモリ82は、検知電極および刺激電極の組合せ90、生理学的モデルデータ92および生体電気脳信号94を、メモリ82内の別個のメモリかまたはメモリ82内の別個の領域に格納する。メモリ82はまた、ユーザインタフェース84および遠隔測定モジュール86を動作させる命令、および電源88を管理する命令も含むことができる。メモリ82はまた、IMD16によって検知される生体電気脳信号94等、治療の過程においてIMD16から受け取られるあらゆる治療データも格納することができる。臨床医は、この治療データを用いて、将来の治療を予測するために患者状態の進行を確定することができる。メモリ82は、RAM、ROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ等のあらゆる揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含むことができる。メモリ82はまた、メモリ更新またはメモリ容量の増大を提供するために用いることができるリムーバブルメモリ部分も含むことができる。リムーバブルメモリはまた、プログラマ14が異なる患者によって使用される前に、機密情報を扱う患者データが除去され得るようにすることも可能である。
検知電極および刺激電極の組合せ90は、検知電極の組合せおよび関連する刺激電極の組合せを格納する。上述したように、いくつかの例では、検知電極および刺激電極の組合せは、電極24、26の同じサブセットを含むことができ、または電極の異なるサブセットを含むことができる。したがって、メモリ82は、複数の電極の組合せを格納し、各検知電極の組合せに対して、それぞれの検知電極の組合せに関連する刺激電極の組合せを特定する情報を格納することができる。検知電極および刺激電極の組合せの間の関係を、たとえば臨床医により、またはプロセッサ80もしくは別のデバイス(たとえばIMD16)のプロセッサによって自動的に確定することができる。
いくつかの例では、対応する検知電極および刺激電極の組合せは、同じ電極のうちのいくつかまたはすべてを含むことができる。しかしながら、他の例では、対応する検知電極および刺激電極の組合せにおける電極のうちのいくつかまたはすべてが異なっていてもよい。たとえば、刺激電極の組合せは、刺激治療の効力を向上させるために、対応する検知電極の組合せより多くの電極を含むことができる。いくつかの例では、上述したように、検知電極の組合せに関連する組織部位内のあらゆる不規則な振動または他の不規則な脳活動を緩和するために、刺激を、刺激電極の組合せを介して、対応する検知電極の組合せに最も近い組織部位とは異なるが、脳28の同じ領域、たとえば視床内にある組織部位に送達することができる。別の例では、刺激を、刺激電極の組合せを介して、対応する検知電極の組合せに最も近い組織部位とは異なるが、同じ経路または脳回路内にある組織部位に送達することができ、たとえば、IMD16は、検知電極の組合せ内に関連する組織部位内のあらゆる異常な振動活動または他の異常な脳活動を緩和するために、GPi内の生体電気脳信号を検知し、脳28のSTNにおいて刺激することができる。脳回路の領域を、ネットワークの1つの領域内の活動がネットワークの別の領域内の活動によって影響を受けるようにする方法で、神経経路を介して互いに機能的に関連付けることができる。
メモリ82はまた、プロセッサ80が、検知電極の組合せからのいずれの電極が、たとえば特定の患者を管理する刺激治療に対する標的組織部位に最も近いかを判断するために実行することができる、アルゴリズムも格納する。図12および図13に関して後にさらに詳細に説明するように、場合によっては、標的組織部位は、検知電極の組合せによって測定される生体電気信号に基づいて相対的なベータ帯域電力レベルが高い脳28内の組織部位である。しかしながら、標的組織部位を明らかにする測定の周波数帯域は、リードが実装される脳28の解剖学的領域(たとえば、視床、前核等)に応じて、または患者状態に基づいて異なる可能性がある。種々の周波数帯域は、種々の患者状態に対するバイオマーカであり得る。したがって、プロセッサ80が、いずれの電極24、26が標的組織部位に最も近いかを判断するためのアルゴリズムは、検知された生体電気脳信号の種々の周波数帯域特性に依存する可能性がある。
生理学的モデルデータ92は、プログラマ14のプロセッサ80が、リード20に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルを生成する際に用いる情報を格納する。いくつかの例では、組織の特性は、植え込まれたリード20に近接する患者12の脳28内の1つまたは複数の解剖学的構造を含む。いくつかの例では、生理学的モデルデータ92は、脳28内のリード20の実際の位置かまたは脳28内のリード20のおよその位置であり得る、リード20の位置を特定するリード配置情報を格納する。リード20の実際の位置に関する情報は、たとえば、何らかの適切な撮像モダリティ(たとえば、CT、MRI、X線またはX線透視法)を用いて生成された医用画像、脳28内にリード20を植え込むために用いられる定位座標を含むことができる。リード20のおよその位置を示す情報は、たとえば、臨床医が提供する定位座標または他の3D座標を含むことができ、それにより、座標は、脳28内にリード20を植え込むためには使用されていないが、リード20の推定された植込み位置、IMD16によって検知された信号の、それら信号をもたらすものと予測される解剖学的構造との相関、または電極における刺激効果の、それらの効果をもたらすものと予測される解剖学的構造との相関に対する基準点として提供される。
生理学的モデルデータ92は、植え込まれたリード20に近接する患者組織および/または植え込まれたリード20に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の1つまたは複数の特性を示す、患者の解剖学的データも格納する。いくつかの例では、患者の解剖学的データは、患者12の解剖学的画像、特に患者12に基づいていない基準解剖学的画像、解剖学図(たとえば、予測されたリード植込み位置に近接する人間の脳の少なくとも一部を示す、コンピュータが生成した図等、非画像の概略図)、または組織導電率データセットのうちの少なくとも1つを含む。患者の解剖学的データは、患者12に特定であってもよく、または2人以上の患者に対するデータ、たとえば複数の患者の解剖学的構造および組織導電率のモデルまたは平均データを表してもよい。たとえば、いくつかの例では、患者の解剖学的データは、組織導電率データか、または特定の治療用途(たとえば、図1の場合の脳深部刺激療法)に対する特定のリード20位置に典型的な他の関連組織データを含むことができ、患者12に対して特定であってもよいが、必ずしも特定である必要はない。組織導電率データセットは、たとえば、患者12の脳28の測定の箇所または領域における組織の導電率を示すことができる。
いくつかの例では、患者の解剖学的データはまた、特定の解剖学的構造に関連する予測された生体電気脳信号またはバイオマーカを含むことも可能である。プロセッサ80は、電極が標的組織部位に配置されているか否かを、生体電気脳信号を、脳28の特定の解剖学的構造に関連する予測された生体電気脳信号かまたはバイオマーカと比較することにより、電極によって検知される生体電気信号に基づいて判断することができる。
患者の解剖学的データに加えてまたはその代りに、生理学的モデルデータ92は、プロセッサ80が生理学的モデルを生成するために実施する1つまたは複数のアルゴリズムを格納することができる。生理学的モデルが、リード20の植え込まれた電極24、26に近接する脳28内の組織部位を示す例では、アルゴリズムは、たとえば、リード20の位置を特定する情報および患者の解剖学的データに基づいて、プロセッサ80が脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を特定する際に用いる命令を含むことができる。たとえば、アルゴリズムは、プロセッサ80が、リード20の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定するために、リード20の位置を脳28の座標系と相関させるステップを指定することができ、そこでは、脳28の解剖学的構造は、特定の座標に関連付けられる。
生理学的モデルデータ92によって格納されるアルゴリズムは、さらに、プロセッサ80に対して、電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造のグラフィカル表現を表示させることができる。いくつかの例では、グラフィカル表現は、リード20および/または電極24、26の表現も含むことができる。これらの例では、メモリ82によって格納されるアルゴリズムは、プロセッサ80が、リード20の位置を特定する情報および患者の解剖学的データに基づいて、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造に近接するリード20を位置決めする際に用いる命令を含むことができる。たとえば、アルゴリズムは、プロセッサ80が、リード20の位置を、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造に関連する座標系と相関させ、かつ解剖学的構造を含むグラフィカルユーザインタフェースを生成するステップを指定することができ、そこでは、グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザインタフェース84のディスプレイを介してユーザ(たとえば臨床医)に提示される。
患者の解剖学的データに加えてまたはその代りに、生理学的モデルデータ92は、治療野モデルを生成するためにプロセッサ80が実施する1つまたは複数のアルゴリズムを格納することができる。上述したように、治療野モデルは、特定の刺激電極の組合せ(たとえば、電極24、26のサブセット)を介して刺激の送達からもたらされる電場、活性場、電場の電圧勾配または電流密度を示すことができる。生理学的モデルデータ92は、電場モデルを生成するために用いられる患者の解剖学的データを格納することができる。プロセッサ80は、患者の解剖学的データと刺激パラメータ値を定義する治療プログラムとに基づいて、電場モデルを生成することができ、電場モデルは、電気刺激がリード20A、20Bそれぞれの電極24、26から組織を通って伝播する場所を表す。患者の解剖学的データは、限定されないがCT、MRI、X線、X線透視法等、あらゆるタイプの撮像モダリティから作成される組織導電率データセットを含むことができる。患者の解剖学的データは、患者12に特定であってもよく、または、2人以上の患者に対するデータ、たとえば解剖学的構造のモデルまたは平均データおよび複数の患者の組織導電率を表してもよい。
プロセッサ80はまた、格納された組織導電率データセットを用いて、電気刺激がリード20A、20Bそれぞれの電極24、26から組織をいかに伝播するかに関するさらなる詳細を提供する、電流密度または電圧勾配マップを含む治療野モデルを生成することも可能である。
電場モデルを生成するために用いられる情報に加えてまたはその代りに、他の例では、生理学的モデルデータ92は、プロセッサ80が活性場モデルを生成する際に用いる情報を格納することができる。活性場モデルは、植え込まれたリード20A、20Bそれぞれの電極24、26に近接する患者の神経組織の1つまたは複数の特性を示すニューロンモデルに基づいて生成される。活性場モデルは、解剖学的領域において電場によって活性化されるニューロンを示すことができる。プロセッサ80は、単独でまたは臨床医の助けにより、所望のニューロンを活性化し他のニューロンの活性化を実質的に回避するように(たとえば、解剖学的構造に関連するニューロンにより、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用がもたらされる可能性がある)患者12に刺激を送達する電極を選択することにより、特定の患者12および患者状態に対して刺激電極を選択することができる。
本明細書に記載する治療システム10の例は、検知電極および刺激電極の組合せ90、生理学的モデルデータ92および生体電気脳信号94がプログラマ14のメモリ80によって格納される例について主に言及しているが、本明細書に記載する技法、装置およびシステムは、検知電極および刺激電極の組合せ90、生理学的モデルデータ92および/または生体電気脳信号94を、プログラマ14のメモリ80によって格納することに加えてまたはその代りに、IMD16のメモリ42(図2)かまたはリモートデータベース等の別のデバイスのメモリによって格納することができる、治療システム10の例にも適用可能である。
プログラマ14内の無線遠隔測定を、IMD16との外部プログラマ14のRF通信または近位誘導相互作用によって達成することができる。この無線通信は、遠隔測定モジュール86を使用することによって可能である。したがって、遠隔測定モジュール86は、IMD16内に含まれる遠隔測定モジュールと同様であってもよい。代替例では、プログラマ14は、赤外線通信または有線接続による直接通信が可能であり得る。このように、他の外部デバイスが、セキュア無線通信を確立する必要なしにプログラマ14と通信することができてもよい。
電源88は、プログラマ14のコンポーネントに動作電力を送達する。電源88は、動作電力を生成するバッテリおよび発電回路を含むことができる。いくつかの例では、バッテリは延長動作を可能にするように充電式であってもよい。充電を、交流(AC)コンセントに接続されるクレードルまたはプラグに電源88を電気的に結合することによって達成することができる。さらに、充電を、外部充電器とプログラマ14内の誘導充電コイルとの間の近位誘電相互作用によって達成することができる。他の例では、従来のバッテリ(たとえばニッケルカドミウムまたはリチウムイオン電池)を使用してもよい。さらに、プログラマ14を、動作させるために交流コンセントに直接結合することができる。電源88は、バッテリ内に残っている電力を監視する回路を含むことができる。このように、ユーザインタフェース84は、バッテリを交換するかまたは充電する必要がある時に現バッテリレベルインジケータまたは低バッテリレベルインジケータを提供することができる。場合によっては、電源88は、現バッテリを用いる動作の残りの時間を推定することができてもよい。
図5は、刺激電極の組合せを選択する技法例を示すフローチャートである。図5に示す技法を、図6〜図13、図15A〜図15C、図16および図17と同様に、プログラマ14のプロセッサ80のみ、プログラマ14のプロセッサ40のみ、またはプロセッサ40、80の組合せによって実施されるように述べている。他の例では、プロセッサ40、80のうちの一方、別のデバイスのプロセッサまたはプロセッサのあらゆる組合せが、図5〜図13、図15A〜図15C、図16および図17に示す技法を実施することができる。
図5に示す技法では、プロセッサ80は、IMD16または別の検知装置(たとえば、マイクロ電極記録装置等の外部検知装置)によって、1つまたは複数の選択された検知電極の組合せを用いて検知される少なくとも1つの生体電気脳信号(たとえば、それぞれの検知電極の組合せによって検知される複数の生体電気脳信号)を受け取る(100)。検知電極の組合せは、電極24、26(図2)のそれぞれのサブセットと、いくつかの例ではたとえばIMD16の外側ハウジング上の別の電極とを含む。いくつかの例では、IMD16の検知モジュール46は、単極構成で生体電気脳信号を検知し、そこでは、検知モジュール46は、リード20Aまたは20Bに配置された第1の電極と、第1の電極から比較的離れて位置決めされる基準電極(たとえば、IMD16の外側ハウジング上の電極)により生体電気脳信号を検知する。単極構成に加えてまたはその代りに、検知モジュール46は、たとえば、リード20A、20Bの2つ以上の電極24、26により、双極構成で生体電気脳信号を検知する。IMD16のプロセッサ40は、1つまたは複数の検知された脳信号(たとえば、生信号、パラメータ化された信号、または生生体電気脳信号に基づいて確定された他のデータ)を、それぞれの遠隔測定モジュール50、86を介してプログラマ14のプロセッサ80に送信する。
プロセッサ80は、脳28内のリード20(または電極24、26)の配置に基づいて生理学的モデルを生成する(102)。いくつかの例では、プロセッサ80は、プログラマ14のメモリ82によって格納された生理学的モデルデータ92に基づいて生理学的モデルを生成する。プロセッサ80が生理学的モデルを生成するために実装することができる技法例を、図6および図7を参照して説明する。他の例では、生理学的モデルはすでに生成されていてもよく、プロセッサ80は、たとえば、プログラマ14のメモリ82、IMD16のメモリ42または別のデバイスのメモリ(たとえば、プログラマ14またはIMD16から遠隔に位置する、1つまたは複数の生理学的モデルを格納するデータベース)であり得る、治療システム10のメモリの生理学的モデルをアクセスしてもよい。生理学的モデルを、プロセッサ80によって(たとえば、プロセッサ80が刺激電極の組合せを選択する期間に先立つ期間中に)生成することができ、それをメモリに格納することができ、または異なるコンピューティングデバイスによって生成し、それをメモリに格納することができる。プロセッサ80は、患者12に関連する生理学的モデル、患者状態、脳12内の電極24、26の植込み部位または他の何らかの適切な要素等を選択する等の何らかの適切な技法を用いて、メモリから生理学的モデルを選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、ユーザインタフェース84を介して受け取られる、ユーザからの入力に基づいて生理学的モデルを選択する。
生理学的モデルを生成(または評価)した後、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号のうちの1つまたは複数と生理学的モデルとに基づいて、刺激電極の組合せを選択する(104)。図8を参照して後にさらに詳細に説明するように、いくつかの例では、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号のうちの1つまたは複数に基づいて刺激電極の組合せを選択し、その後、生理学的モデルに基づいて刺激電極の組合せ選択を確認する。
他の例では、図9を参照して後述するように、プロセッサ80は、生理学的モデルに基づいて刺激電極の組合せを選択し、その後、刺激電極の組合せの電極を介して検知された生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せの選択を確認する。さらに、他の例では、図10を参照して後述するように、プロセッサ80は、生理学的モデルを生成しユーザインタフェース84を介して表示し、生理学的モデルに基づいて刺激電極の組合せを選択するユーザ入力を受け取り、検知された生体電気脳信号のうちの1つまたは複数に基づいて刺激電極の組合せの選択を確認する。
図6は、プログラマ14のプロセッサ80(またはIMD16等、別のデバイスのプロセッサ)が、植え込まれたリード20に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルを生成するために実施することができる技法例を示すフローチャートである。プロセッサ80は、たとえばIMD16のメモリ82によって格納された生理学的モデルデータ92に基づいて、リード配置情報を確定する(106)。リード配置情報は、患者12の脳28内の植え込まれたリード20の実際の位置かまたは脳28内のリード20のおよその位置を示すことができる。
図6に示す例では、プロセッサ80は、患者の脳28内のリード20の電極24、26の配置を確定する。たとえば、プロセッサ80は、脳28内にリード20を植え込むために用いられる定位座標を確定し、または脳28に関連する座標系に対する電極24、26の3D座標を示す入力を、ユーザインタフェース84を介して臨床医から受け取ることができる。座標系を、任意に脳28に割り当てることができ、または1人もしくは複数人の臨床医が使用する規約に基づかせることができる。臨床医が提供する座標は、脳28内にリード20を植え込むために用いられる座標でなくてもよく、代りに、電極24、26の推定された位置であり得る。
別の例として、プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26の患者特定医用画像と、電極24、26が植え込まれる患者12の脳28の領域とに基づき、リード20のおよびリード20が保持する電極24、26の位置を特定することができる。プロセッサ80は、たとえば、植え込まれた電極24、26に座標を割り当てることができ、それにより、座標は、患者12の脳28に関連する座標系に基づく。上述したように、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の位置を、座標系に関連する座標によって指示することも可能である。このように、植え込まれた電極24、26の座標は、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造に対する電極24、26の位置を示すことができる。
プロセッサ80は、リード配置情報によって指示されるリード20の位置を、メモリ82によって格納された患者の解剖学的データに相関させる(108)。たとえば、プロセッサ80は、メモリ82によって格納された患者の解剖学的データを参照し、リード20(たとえば電極24、26)の転位座標かまたは3D座標(たとえば臨床医が入力した)の別の組を、患者の解剖学的データにマッピングすることができる。患者の解剖学的データは、たとえば、患者12の脳28の医用画像、患者12以外の患者の脳の画像、患者12に特に基づいていない基準医用画像、患者12に特定ではない解剖学図、または患者12の脳28の解剖学的構造の位置を示す別のデータセットであり得る。プロセッサ80が、植え込まれた電極24、26および脳28の医用画像に基づいてリード配置情報を確定する例では、医用画像は、リード位置を患者の解剖学的データに相関させることができる。
リード20の位置を患者の解剖学的データに相関させた(108)後、プロセッサ80は、植え込まれたリード20の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定する(110)。たとえば、リード20の定位座標または他の座標を医用画像または別のデータセットにマッピングした後、プロセッサ80は、医用画像または他のデータセット内の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を特定することができる。プロセッサ80が、植え込まれた電極24、26および脳28の医用画像に基づいてリード配置情報を確定する例では、プロセッサ80は、医用画像を参照して、電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定することができる。たとえば、プロセッサ80は、テンプレートマッチングを利用して、医用画像内の、電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を特定することができる。テンプレートは、たとえば、脳28内の解剖学的構造のマップを提供する解剖学図であり得る。別の例として、プロセッサ80は、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の座標を示すデータを参照し、リード20の座標を脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の座標と比較して、植え込まれたリード20に近接する1つまたは複数の解剖学的構造を確定することができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、電極24、26によって検知される生体電気脳信号に基づいて、植え込まれたリード20の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定することができる。上述したように、いくつかの例では、プログラマ14のメモリ82(図4)は、脳28内の特定の解剖学的構造において検知されることが予測される、生体電気脳信号特性または他のバイオマーカ等、患者の解剖学的データを格納することができる。プロセッサ80は、電極24、26のうちのいくつかまたはすべてによって検知された生体電気脳信号を格納された患者の解剖学的データと比較して、植え込まれたリード20の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定することができる。
プロセッサ80は、メモリ82内の電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を格納することができる。他の例では、プロセッサ80は、電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造のグラフィカル表現を提供するユーザインタフェース84を介して、グラフィカルユーザインタフェースを表示することができ、いくつかの例では、電極24、26のグラフィカル表現も含む。プログラマ14によって生成されかつ提示される表示は、臨床医が、患者12の脳28内の電極24、26の配置を視覚化するのに役立つことができる。
いくつかの例では、生理学的モデルは、選択された刺激電極の組合せおよび特定の電極の組合せを介して患者12に刺激を送達することからもたらされる可能性がある治療野を示す治療野モデルを含む。このため、いくつかの例では、プロセッサ80は、治療野モデルを生成するアルゴリズムを実施することにより生理学的モデルを生成する。電極からの電流は、活性電極からすべての方向に伝播する。結果としての治療野は、すべての方向において所定距離内の脳28の解剖学的領域に達する。治療野は標的解剖学的領域に達することができるが、治療野はまた、非標的解剖学的領域にも提供を与え望ましくない副作用をもたらす可能性がある。治療野モデルを生成することにより、プロセッサ80は、治療野が脳28の標的解剖学的領域に達しかつ/または刺激が誘発する副作用に関連する脳28の解剖学的領域に影響を与えるか否かを判断することができる。
図7は、プロセッサ80が、電極24、26の選択されたサブセットを介して送達される電気刺激が脳28内を伝播する場所を示す、治療野モデルを含む生理学的モデルを生成することができる技法例を示すフローチャートである。図7に示す技法では、プロセッサ80は、リード配置情報を確定し(106)、リード20の位置を患者の解剖学的データに相関させる(108)。プロセッサ80は、電気刺激が脳28内の組織にいかに影響を与えるかを定義する治療野モデル式に患者の解剖学データを入力し(114)、その式に基づいて治療野モデルを生成する(116)。1つまたは複数の治療野モデル式を、プログラマ14のメモリ82かまたは別のデバイス(たとえばIMD16)のメモリに格納することができる。
たとえば、治療野モデル式は、刺激パラメータ値の特定の組(たとえば、電流または電圧振幅、電極の組合せ、周波数等)を含む、電場が元の位置(たとえば特定の電極)からいかに伝播するかを定義する電場モデル式であり得る。電場モデル式(または他の治療野モデル式)に入力される刺激パラメータ値を、ユーザ(たとえば臨床医)が入力することができ、またはプログラマ14もしくは別のデバイスのメモリ82によって格納することができる。電場モデル式は、患者12に特定であるかまたは患者12に対してカスタマイズされ得る。電場モデル式の1つの変数は、プログラマ14によって格納された患者の解剖学的データセットに含まれる、リード20に隣接す組織の物理的組織特性である。この情報から、プロセッサ80は、治療で生成される推定された電場を生成することができる。物理的組織特性例としては、限定されないが、組織導電率または組織インピーダンス値のうちのいずれか1つまたは複数が挙げられる。
別の例として、治療野モデル式は、プロセッサ80が、刺激が電極24、26の選択されたサブセットを介してかつ刺激パラメータ値の特定の組を用いて送達される時に生成される電場の電圧勾配または電流密度を確定する際に用いる、電圧勾配または電流密度モデル式であり得る。たとえば、プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26に近接する組織に対する組織導電性またはインピーダンス値を、刺激信号が組織内をいかに伝播するかを表す数式を提供する電圧勾配または電流密度モデル式に入力することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26に近接する組織に対する組織導電率またはインピーダンス値を検知するように、IMD16を制御する。そして、プロセッサ80は、組織導電率値および電圧勾配または電流密度モデル式に基づいて、電極24、26を介して電気刺激送達信号によって生成された電場の電圧勾配または電流密度を確定することができる。
別の例として、治療野モデル式は、ニューロンモデルが電場モデルにいかに適合するかを定義する活性場モデル式であり得る。プロセッサ80は、電場モデルおよびニューロンモデルに基づいて活性場モデルを確定することができる。ニューロンモデルは、一組の式、ルックアップテーブル、または電場モデル式に基づいて確定される電場によって影響を受ける、患者の解剖学的データによって定義される解剖学的構造を構成する特定のニューロンの閾値活動電位を定義する別のタイプのモデルであり得る。ニューロンモデルを、患者12に特定のまたは患者12に非特定の情報に基づいて生成することができる。電場の電圧または電流振幅が、電場内のいかなるニューロンの閾値をも超える場合、ニューロンは活性化され、たとえば神経インパルスをもたらす。いくつかの例では、プロセッサ80は、電場モデル、活性場モデルおよび/または電場の電圧勾配もしくは電流密度のグラフィカル表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成することができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、プロセッサ80が、選択された刺激パラメータ値および電極の組合せを介して刺激を送達するようにIMD16を制御し、治療野モデル式を用いて治療野モデルを生成し、その後、予測された治療野値が実際に達成されているか否かを判断するように電極を用いて検知するようにIMD16を制御することにより、治療野モデルを生成する際に用いる、式またはパラメータ(たとえば組織導電率値)を確認することができる。刺激を送達した同じ電極を用いて、刺激の送達からもたらされる電場が検知される場合、電極が信号を検知する前に刺激の送達に続き時間遅延があり得る。
電場を検知するために用いられる電極は、局所電場電位(たとえば電圧値)を検知することができ、プロセッサ80は、局所電場電位値を、治療野モデル予測が与えられると予測される値と比較することができる。プロセッサ80は、いくつかの例では、IMD16の検知モジュール46を制御して、単極構成でいくつかのもしくはすべての電極24、26かまたは電極24、26の対のサブセットを用いて生体電気脳信号を検知し、必要な場合は信号を後処理(たとえば、電力帯域または電力スペクトルを抽出)し、結果を治療モデル予測と比較することができる。プロセッサ80は、たとえば、検知された生体電気脳信号が、現電極(複数可)が、選択された電極の組合せおよび他の刺激パラメータ値に従って刺激の送達によって活性化されていることを示すか否かを判断することができる。
予測された治療野値が達成されない場合、プロセッサ80は、予測された治療野値が達成されるまで、治療野モデル(組織導電率値等)のパラメータかまたは式を変更することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、IMD16の刺激発生器44を制御して、周波数範囲内を掃引する刺激信号を送達することができ、他の非刺激送達電極において周波数応答(たとえば電力スペクトル密度)を測定して、単純な導電率に加えて組織の複雑なインピーダンス(たとえば誘導性態様または容量性態様)をもたらすことができる。そして、これらの複雑なインピーダンスを用いて、治療野モデルのパラメータを更新することができる。
電場モデル、活性場モデルおよび電圧勾配または電流密度モデル等の治療野モデルを生成する例としての装置、システムおよび技法は、「刺激治療を構成する電場モデルおよび活性場モデル(ELECTRICAL AND ACTIVATION FIELD MODELS FOR CONFIGURING STIMULATION THERAPY)」と題し2006年10月31日に出願された、Stoneらによる、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0203546号と、「複雑な電極アレイ形状を有する刺激リードの断面図とのプログラミングインタフェース(PROGRAMMING INTERFACE WITH A CROSS−SECTIONAL VIEW OF A STIMULATION LEAD WITH COMPLEX ELECTRODE ARRAY GEOMETRY)」と題する2006年10月31日に出願された、Goetzらによる、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0203541号とに記載されている。
Goetzらによる米国特許出願公開第2007/0203541号に記載されている技法によれば、プログラマ14は、リード20の電極を表示するとともに、ユーザが個々の電極を選択して、刺激電極の組合せを形成し電極の組合せを介して送達される刺激に対するパラメータを指定することを可能にする、ユーザインタフェースを提示することができる。米国特許出願公開第2007/0203541号はまた、種々の治療野モデルを表示するとともに、1つまたは複数の刺激パラメータ値を調整するために治療野を操作する(たとえば、電場または活性場等の治療野を、サイズ、方向および形状に関して操作する)ユーザ入力を受け取るように構成されている、プログラミング方法およびシステムも記載している。Goetzらによる米国特許出願公開第2007/0203541号に記載されているいくつかのシステムおよび技法によれば、電極の組合せを選択した後、臨床医は、刺激信号の振幅または周波数等、1つまたは複数の他の刺激パラメータ値を選択しまたは他の方法で調整するために、プログラマ14によって提示される治療野のグラフィカル表現と対話することができる。
図8は、1つまたは複数の検知された生体電気脳信号と、植え込まれた電極24、26に近接する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルとに基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる技法例を示すフローチャートである。IMD16のプロセッサ40は、検知モジュール46を制御して、電極の1つまたは複数の選択された組合せを用いて1つまたは複数の生体電気脳信号を検知する(120)。たとえば、スイッチモジュール48(図3)は、プロセッサ40の制御下で、検知モジュール46を電極24、26の第1サブセットに選択的に結合することができ、検知モジュール46は、電極24、26の第1のサブセットを介して脳28内の第1の局所電場電位を検知することができる。この電極の第1のサブセットを、第1の検知電極の組合せと呼ぶことも可能である。プロセッサ40は、IMD16のメモリ42内に、電極24、26の第1のサブセットを介して脳28内の第1の局所電場電位の測定からもたらされる第1の生体電気脳信号を格納することができる。
検知モジュール46が複数の生体電気脳信号を検知する例では、スイッチモジュール48は、その後、検知モジュール46を電極24、26の第2のサブセット、すなわち、少なくとも1つの電極が第1のサブセットと異なる第2の検知電極の組合せに選択的に結合することができる。検知モジュール46は、電極24、26の第2のサブセットを介して脳28内の局所電場電位を検知することができる。プロセッサ40は、IMD16のメモリ42の生体電気脳信号60内に、電極24、26の第2のサブセットを介して脳28内の局所電場電位の測定からもたらされる第2の生体電気脳信号を格納することができる。プロセッサ40は、あらゆる適切な数の検知電極の組合せを用いて、脳28内の生体電気脳信号を検知し続けることができる。検知電極の組合せを、IMD16のメモリ42または別のデバイスのメモリに格納することができる。図8に示す例では、プロセッサ40は、IMD16およびプログラマ14のそれぞれの遠隔測定モジュール50、86を介して、検知された生体電気脳信号をプログラマ14に送信する。
プログラマ14のプロセッサ80は、検知された生体電気脳信号の信号特性に基づいて刺激電極の組合せを選択する(122)。たとえば、プロセッサ80は、刺激電極の組合せとして検知電極の組合せを選択することができ、または、プロセッサ80は、図3を参照して上述したように、メモリ82を参照し、いずれの刺激電極の組合せが選択された検知電極の組合せに関連するかを判断することにより、検知電極の組合せを選択することができる。プロセッサ80は、たとえば、IMD16の検知モジュール46が、所定の信号特性(たとえば電位または周波数領域特性)を示す生体電気脳信号を検知した際に用いた検知電極の組合せに関連する刺激電極の組合せを選択することができる。
例として、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46が、平均、中間、ピークまたは最低振幅が所定閾値を超えるかまたは所定閾値未満である生体電気脳信号を検知した際に用いた検知電極の組合せに関連する、刺激電極の組合せを選択することができる。閾値を、プログラマ14のメモリ82かまたはIMD16等の別のデバイスのメモリに格納することができる。別の例として、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46が、プログラマ14によって格納されたテンプレートに実質的に相関する(たとえば、100%の一致は必要でない可能性があるが、約75%から約100%の一致等、閾値パーセンテージ内であり得る)パターン(たとえば時間領域パターン)を有する生体電気脳信号を検知した際に用いた検知電極の組合せに関連する、刺激電極の組合せを選択することができる。他の例では、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46が、特定の時間枠内に特定の数のスパイクがある生体電気脳信号を検知した際に用いた検知電極の組合せに関連する、刺激電極の組合せを選択することができる。さらに、他の例では、プロセッサ80は、変動が所定閾値変動に一致するかまたは実質的に一致する(たとえば、約1%から約25%等、閾値パーセンテージ内にある)生体電気脳信号が検知された1つまたは複数の検知電極に基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。
別の例として、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46が、周波数領域特性が所定閾値を超えるかまたは所定閾値未満である生体電気脳信号か、またはテンプレートに実質的に一致する信号を検知した際に用いた検知電極の組合せに関連する、刺激電極の組合せを選択することができる。テンプレートを事前に確定し、プログラマ14のメモリ82かまたはIMD16等の別のデバイスのメモリに格納することができる。
プロセッサ80が、それぞれの検知電極の組合せを介して検知された複数の生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択する例では、プロセッサ80は、検知された信号の各々の信号特性(たとえば、時間領域特性または周波数領域特性)の値に基づいて検知電極の組合せのうちの1つを選択することができる。たとえば、プロセッサ80は、複数の検知された生体電気脳信号に基づいて周波数領域特性の複数の相対値を確定し、複数の検知電極の組合せの相対値を比較し、相対値に基づいて、標的組織部位の最も近くに位置する1つまたは複数の検知電極を確定することができる。それぞれの検知電極の組合せを介して検知された複数の生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択する技法について、図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17を参照して後述する。生体信号の周波数領域特性は、たとえば、生体信号の1つまたは複数の周波数帯域内の電力レベル(またはエネルギー)、2つ以上の周波数帯域における電力レベルの比、2つ以上の周波数帯域の間の電力の変化の相関、経時的な1つまたは複数の周波数帯域の電力レベルのパターン等を含むことができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極に関連する刺激電極の組合せを選択する。これを、運動障害の患者によっては、他の検知された生体電気脳信号に比較して相対的なベータ帯域電力レベルが最も高い生体電気信号によって示すことができる。他の例では、プロセッサ40は、特定の周波数帯域における電力レベルが閾値を超える生体電気脳信号によって示されるように、標的組織部位に最も近い検知電極の組合せに関連する刺激電極の組合せを選択することができ、それを、プログラマ14のメモリ82またはIMD16等の別のデバイスのメモリに格納することができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、いずれの個々の電極が、標的組織部位、たとえば相対的なベータ帯域電力レベルが最も高い生体電気信号を示す脳28の領域に最も近いかを判断するために、プログラマ14のメモリ82によって格納されたアルゴリズムを実施する。そして、プロセッサ80は、脳28に対して最も有効な刺激治療を提供するために、いずれの検知電極が標的組織部位の最も近くに位置しているかを判断することに基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プログラマ14のメモリ82は、プロセッサ40に対し、複数の検知電極の組合せのそれぞれ1つによって検知される複数の生体電気信号に対して相対的なベータ帯域電力レベルを評価させ、いずれの検知電極の組合せが、相対的なベータ帯域電力レベルが最も高い標的組織部位に最も近いかを判断させる命令を含む、アルゴリズムを格納する。そして、プロセッサ80は、相対的なベータ帯域電力レベルが最も高い生体電気信号に関連する検知電極の組合せに基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。
1つまたは複数の検知された生体電気脳信号の信号特性に基づいて刺激電極の組合せを選択した(122)後、プログラマ14のプロセッサ80は、生理学的モデルに基づいて刺激電極の組合せの選択を確認する(124)。プロセッサ80によって生成される生理学的モデルは、患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造に対する、刺激電極の組合せの電極24、26のサブセットの位置を示す。このため、一例では、選択された刺激電極の組合せの電極24、26の少なくともサブセットを、脳28の解剖学的構造を示す患者の解剖学的データにマッピングした後、プロセッサ80は、生理学的モデルが、選択された刺激電極の組合せの電極24、26のサブセットが脳28内の標的組織部位に近接していることを示すか否かを判断する。標的組織部位は、たとえば、患者状態を有効に管理する刺激信号に対する組織部位であり得る。IMD16によって送達される刺激に対する標的組織部位としての役割を果たす患者12の脳28の解剖学的構造を、患者状態に基づいて選択することができる。たとえば、脳28内の黒質等の解剖学的領域を刺激することにより、患者12が経験する振戦の回数および大きさを低減することができる。運動障害の治療に対する他の標的解剖学的領域は、視床下核、淡蒼球内節、中間腹側および不確帯を含むことができる。
プロセッサ80は、生理学的モデルが、選択された刺激電極の組合せの電極24、26のサブセットが、いずれかの適切な技法を用いて脳28内の標的組織部位に近接していることを示すか否かを判断することができる。一例では、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せの電極24、26と、脳28内の標的組織部位との間の距離を近似し、それを、プログラマ14のメモリ82によって格納しかつ/または臨床医が入力することができる。別の例では、プロセッサ80は、単に、選択された刺激電極の組合せの電極24、26のサブセットが、脳28内の標的組織部位に直接隣接しているか否か、または電極24、26のサブセットが、別の解剖学的構造によって標的組織部位から分離されているか否かを判断する。他の技法も考えられる。
上述したように、患者の解剖学的データは、患者12の解剖学的画像、患者12に特定でない基準解剖学的画像、または解剖学図を含むことができる。このため、いくつかの例では、プロセッサ80は、単に、選択された刺激電極の組合せの電極の位置が標的組織部位のおよその領域にあることを確認する。患者12の解剖学的画像に基づいて生理学的モデルが生成される例では、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せの電極が標的組織部位に刺激を送達するように位置決めされていることをより正確に確定することができる。
生理学的モデルが治療野モデルを示す例では、プロセッサ80は、標的組織部位に対する治療野の位置および/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に基づいて、刺激電極の組合せの選択を確認することができる。プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せに基づいて治療野モデルを生成することができる。たとえば、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せと他の刺激パラメータ値(たとえば、刺激信号周波数、振幅等)の所定の組を介して刺激が送達される時にもたらされる電場または活性場を確定することができる。
治療野のサイズ、位置および他の特性を確定した後、プロセッサ80は、治療野が脳28内の生理学的に重要な位置とオーバラップしているか否かを判断することができる。生理学的に重要な位置は、たとえば、標的組織部位かまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位であり得る。治療野が標的組織部位にオーバラップする(たとえば、重なるかまたは他の方法で同じ領域に配置される)ことは、標的組織部位に刺激を送達するために、選択された刺激電極の組合せが有用であることを示すことができる。このため、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる治療野モデルが標的組織部位とオーバラップすると判断した場合、選択された刺激電極の組合せを確認することができる(124)。
一方、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる治療野が、標的組織部位と実質的にオーバラップしないと判断した場合、選択された刺激電極の組合せを確認することができず、生理学的モデルが、選択された刺激電極の組合せが効力のある刺激治療を提供することができないことを示す指示を生成することができる。指示を、プログラマ14のユーザインタフェース84または別のデバイスを介してユーザに提示することができ、または指示は、プロセッサ80によってプログラマ14のメモリ82に格納されかつ選択された刺激電極の組合せに関連する、信号、フラグまたは値であり得る。
脳28内の生理学的に重要な位置は、刺激が誘発する副作用に関連する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を含むことも可能である。すなわち、脳28内の領域を、その領域に対する刺激送達により、患者12によって知覚されるかまたは他の方法で患者12に影響を与える1つまたは複数の刺激が誘発する副作用がもたらされる場合、生理学的に重要であるとみなすことができる。いくつかの例では、臨床医は、刺激が誘発する副作用に関連する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を特定する入力を提供する。他の例では、プロセッサ80は、プログラマのメモリ82または別のデバイス(たとえばリモートデータベース)のメモリによって格納することができるデータベースにアクセスすることにより、刺激が誘発する副作用に関連する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を確定し、データベースは、こうした解剖学的構造を特定し、それを患者状態に関連付けることができる。解剖学的構造を、患者の解剖学的モデルまたは解剖学図内において特定することができる。
したがって、いくつかの例では、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる治療野が標的組織部位にオーバラップするか否かを判断することに加えてまたはその代りに、プロセッサ80は、治療野が、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップするか否かを判断することができる。プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる治療野が、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位と実質的にオーバラップしないと判断した場合、選択された刺激電極の組合せを確認することができる(124)。
一方、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せを介して刺激送達からもたらされる治療野が、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップすると判断した場合、選択された刺激電極の組合せを確認することができず、生理学的モデルが、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用をもたらす可能性があることを示す指示を生成することができる。指示を、プログラマ14または別のデバイスのユーザインタフェース84を介してユーザに提示することができ、または指示は、プロセッサ80によってプログラマ14のメモリ82に格納されかつ選択された刺激電極の組合せに関連する、信号、フラグまたは値であり得る。
DBSは、いくつかの神経学的疾患の症状を十分に低減することができるが、刺激によって同様に望ましくない副作用がもたらされる可能性がある。副作用としては、筋収縮、認知障害、視覚障害、気分変動、失禁、刺痛、平衡感覚の喪失、麻痺、不明瞭言語、記憶喪失および他の多くの神経学的問題を挙げることができる。副作用は、穏やかなものから激しいものまであり得るが、大部分の副作用は、刺激が停止すると可逆である。DBSは、標的解剖学的領域の近くの解剖学的領域に電気刺激を不注意で提供することにより、1つまたは複数の副作用をもたらす可能性がある。この理由で、特定の刺激電極の組合せが、1つまたは複数の副作用を発生する可能性がある刺激を送達するように位置決めされているか否かを自動的に評価するプロセッサ80を含むプログラマ14は、患者12に対して効果的な刺激治療をプログラムするために有用であり得る。
いくつかの例では、プロセッサ80は、選択された刺激電極の組合せに近接する1つまたは複数の解剖学的構造と治療野モデルとの両方に基づいて、刺激電極の組合せの選択を確認するが、生理学的モデルから確認された1つのタイプの情報のみを用いて、刺激電極の選択を確認することができる。
図8に示す技法の他の例では、臨床医は、生理学的モデルを提示するグラフィカルユーザインタフェースを利用して、生理学的モデルに基づいて、選択された電極の組合せを確認する。プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26に近接する患者12の脳28の解剖学的構造および少なくとも選択された電極の組合せの電極をともに表示することができる。いくつかの例では、臨床医は、患者12の脳28の解剖学的構造および選択された電極の組合せの電極のグラフィカル表示に基づいて、選択された電極の組合せの電極が、標的組織部位に近接しているかまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接しているかを判断することができる。
他の例では、プロセッサ80はまた、選択された刺激電極の組合せの電極に加えてまたはその代りに、ユーザインタフェース84のディスプレイを介して治療野のグラフィカル表現(たとえば図18に関して示す)を表示することも可能である。臨床医は、治療野のグラフィカル表示に基づいて、選択された電極の組合せに従って刺激の送達からもたらされる治療野が、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップするか否かを判断することができる。これらの例では、プロセッサ80は、治療野に加えて脳28の解剖学的構造を表示する場合も表示しない場合もある。プロセッサ80が、組織導電率データ等の患者の解剖学的データに基づいて治療野モデルを生成するため、グラフィカル表示治療野のみは、臨床医が、選択された刺激電極の組合せを介して送達される治療が周囲の組織にいかに影響を与える可能性があるかを視覚化するために有用であり得る。
選択された刺激電極の組合せが有用であるか否かを判断した後、臨床医は、選択された電極を確認する入力か、または、選択された電極の組合せがIMD16の治療パラメータとしてプログラムされるべきではないことを示す入力を(たとえば、プログラマ14のユーザインタフェース84の1つまたは複数の入力機構を介して)提供することができる。したがって、いくつかの例では、プロセッサ80は、生理学的モデルに基づいて、まず生理学的モデルを表示し、その後、刺激電極の組合せの選択を確認するかまたは拒否するユーザ入力を受け取ることにより、選択された刺激電極の組合せを確認することができる。
図8に示す技法に従って刺激電極の組合せを選択した後、臨床医は、単独で、またはプログラマ14等のコンピューティングデバイスを利用して、患者12に効果的な治療を提供する他の刺激パラメータ値を選択することができる。これらの他の刺激パラメータ値としては、たとえば、刺激信号の周波数および振幅、ならびに刺激パルスの場合は、刺激信号のデューティサイクルおよびパルス幅を挙げることができる。
図9は、生体電気脳信号と、植え込まれた電極24、26に近接する1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルとに基づいて刺激電極を選択する、別の技法例を示すフローチャートである。図9に示す例では、プログラマ14のプロセッサ80は、生理学的モデルを生成し、生理学的モデルに基づいて電極の組合せを選択する(126)。いくつかの例では、プロセッサ80は、生理学的モデルが、脳28内の標的組織部位に近接しており、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接していないものとして示す1つまたは複数の電極を選択する。たとえば、生理学的モデルを生成するために、プロセッサ80は、リード20の電極24、26を脳28の配置を示す患者の解剖学的データにマッピングし、脳28内の標的組織部位に近接する電極を刺激電極として選択することができる。プロセッサ80がメモリの先に生成された生理学的モデルにアクセスする例では、プロセッサ80はまた、リード20の電極24、26を、脳28の配置を示す患者の解剖学的データにマッピングし、脳28内の標的組織部位に近接する電極を刺激電極として選択することも可能である。標的組織部位に対する電極の近接性が、確実な治療の効力を示すことができる。
プロセッサ80は、あらゆる適切な技法を用いて、脳28内の標的組織部位に近接する電極24、26を確定することができる。一例では、プロセッサ80は、各電極24、26と脳28内の標的組織部位との間の距離を近似し、その距離を閾値と比較する。プロセッサ80は、標的組織部位からの距離が閾値未満である1つまたは複数の電極を選択することができる。
電極と解剖学的標的との間の距離を確定する装置、システムおよび技法の例は、「植込み後撮像を用いる電気刺激電極の特徴付け(CHARACTERIZATION OF ELECTRICAL STIMULATION ELECTRODES USING POST−IMPLANT IMAGING)」と題し、2009年8月6日に公開された、Goetzらによる米国特許出願公開第2009/0196471号に記載されている。プロセッサ80は、脳28内の標的組織部位に近接する電極24、26を確定するために、Goetzらによる米国特許出願公開第2009/0196471号に記載されている技法のうちのいずれかを実施することができる。たとえば、プロセッサ80は、電極24、26および標的組織部位の解剖学的画像の画像解析を実行して、解剖学的標的に対する電極の位置決めを確定することができる。たとえば、プロセッサ80は、植込み後のリード画像にx軸およびy軸座標原点を割り当て(たとえば、原点は、画像の左下角であり得る)、画像の画素を解析して電極および標的組織部位を特定し、画素から距離の寸法尺度を確立して、電極と標的組織部位との実際の相対的な位置決めを確定することができる。いくつかの例では、種々の次元において標的組織部位に対する電極の位置決めを確認するために、種々の透視図から複数の画像を得ることができる。
標的組織部位と刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とを特定する情報を、プログラマ14のメモリ82(または別のデバイスのメモリ)に、たとえば、患者の解剖学的データ内の組織部位の形状およびサイズに対応するそれぞれのテンプレートとして格納することができる。別の例として、プロセッサ80は、プロセッサ80によって表示された脳28のグラフィカル表現内において、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位を特定する入力を、ユーザから受け取ることができる。上述したように、脳28のグラフィカル表現は、特定の患者12の脳28の画像、脳28の患者非特定画像、または脳28の非画像グラフィカル表現(たとえば図面)であり得る。
別の例では、複数の所定の電極の組合せが、プログラマ14のメモリ82によって格納される。プロセッサ80は、標的組織部位に近接する所定の電極の組合せのうちの1つまたは複数を、刺激電極の組合せとして選択することができる。たとえば、リード20の電極24、26を、脳28の配置を示す患者の解剖学的データにマッピングする生理学的モデルを生成した後、プロセッサ80は、生理学的モデルに基づいて、所定の電極の組合せの各電極と標的組織部位との間の距離を確定することができる。そして、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近い電極を有する所定の電極の組合せ(たとえば、電極と標的組織部位との間の平均距離または中央距離に基づく)か、または標的組織部位の閾値距離内の電極の最大数を選択することができる。閾値距離は、たとえば、臨床医が確定し、プログラマのメモリ82または別のデバイスのメモリによって格納された値であり得る。
別の例では、プロセッサ80は、治療野モデルを含む生理学的モデルに基づいて刺激電極の組合せを選択する。たとえば、プロセッサ80は、標的組織部位と実質的にオーバラップし、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位を実質的に回避する治療野をもたらす、電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、最初に1つの電極の組合せを選択し、選択された電極の組合せに基づいて治療野モデルを確定し、治療野が標的組織部位とオーバラップし(たとえば部分的にまたは完全に)、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップしない場合に、電極の組合せを選択する。初期の電極の組合せが基準の一方または両方を満足させない場合、プロセッサ80は、別の電極の組合せを選択し、基準の一方または両方を満足させる電極の組合せが確定されるまで、選択された電極の組合せを介して治療の送達からもたらされる治療野を比較することができる。
複数の電極の組合せを、プログラマ14(または別のデバイス)のメモリ82に格納することができ、プロセッサ80は、満足のいく電極の組合せが確定されるまで電極の組合せの各々に基づいて治療野モデルを生成することができる。他の例では、電極の組合せは事前に確定されておらず、刺激電極選択プロセス中に、たとえば電極の組合せを選択するアルゴリズムを用いて、プロセッサ80によって確定される。電極の組合せを生成するあらゆる適切なアルゴリズムを使用することができる。
例として、プロセッサ80は、2007年7月3日に発行された、「遺伝的アルゴリズムを用いる神経刺激パラメータ構成の選択(SELECTION OF NEUROSTIMULATION PARAMETER CONFIGURATIONS USING GENETIC ALGORITHMS)」と題する、Goetzらに対する本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許第7,239,926号に記載されているもののような遺伝的アルゴリズムに基づく技法を実施することができる。Goetzらに対する米国特許第7,239,926号に記載されている一例では、遺伝的アルゴリズムは、評価セッション中にすでに実行された試験の結果が与えられると、効果的である可能性が最も高いパラメータを提案することにより、刺激パラメータの選択における誘導を提供する。遺伝的アルゴリズムは、問題に対する潜在的な解決法を、選択の母集団の個体として符号化する。そして、この母集団は、適応度関数に基づいて判定される。そして、最良の治療プログラムが保持され、それらの特性に基づいて新たな世代が作成される。新たな世代は、先の世代の最良の実行者に性質が類似する解決法から構成される。
Goetzらに対する米国特許第7,239,926号に記載されている技法に従って、プロセッサ80は、IMD16による治療送達に対して第1の電極の組合せ(すなわち、治療送達に対して選択された電極および選択された電極の極性)を選択し、第1の電極の組合せと他の刺激パラメータ値(たとえば、振幅、周波数、パルス幅等)の所定の組とに基づいて治療野モデルを生成し、第1の電極の組合せによる治療送達に基づく治療野のサイズおよび位置の、標的組織部位および刺激が誘発する副作用に関連する組織部位との比較に基づいて、IMD16に対して第2の電極の組合せを選択することができる。遺伝的アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムによって特定される種々の解決法の間の交差、または遺伝的アルゴリズムによって特定される1つまたは複数の解決法の突然変異か、またはランダムな電極変化を提案することができる。
他の例では、プロセッサ80は、最初に、複数の電極の組合せの治療野を比較して、標的組織部位と最もオーバラップしかつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位と最もオーバラップしない治療野モデルに関連する電極の組合せを選択する。この場合もまた、プログラミングセッションに先立って電極の組合せを事前に確定しメモリ82に格納することができ、またはプロセッサ80は、刺激電極選択プロセス中に電極の組合せを確定することができる。
図9に示す技法の他の例では、臨床医は、プログラマ14によって表示される生理学的モデルのグラフィカルユーザインタフェースを利用して、電極の組合せを選択する。臨床医は、選択された電極の組合せを示すユーザ入力を、ユーザインタフェース84(図3)を介して提供することができる。プロセッサ80は、ユーザ入力を受け取り、生理学的モデルおよびユーザ入力に基づいて電極の組合せを選択する(126)。
プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26に近接する患者12の脳28の少なくとも一部と、少なくとも選択された電極の組合せの電極との両方のグラフィカル表現を表示することができる。脳28の少なくとも一部のグラフィカル表現は、患者の解剖学的画像、患者非特定の基準解剖学的画像または解剖学図のうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの例では、臨床医は、患者12の脳28および植え込まれた電極24、26のグラフィカル表示に基づいて、いずれの電極が、標的組織部位に近接しているかまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接しているかを判断することができる。そして、臨床医は、標的組織部位に近接しているかまたは副作用に関連する組織部位に近接していると視覚的に判断される電極を選択することができる。
他の例では、プロセッサ80は、自動的にまたはユーザ入力を利用して、1つまたは複数の電極24、26を選択し、1つまたは複数の選択された電極と他の刺激パラメータ値の所定の組を介して刺激の送達からもたらされる治療野を示す治療野モデルのグラフィカル表現(たとえば図18に関して示す)を、ユーザインタフェース84のディスプレイを介して表示することができる。治療野モデルを、電極24、26を表示する代りにまたはそれに加えて表示することができる。臨床医は、患者12の脳28のグラフィカル表示および治療野モデルに基づいて、選択された電極の組合せに従って刺激の送達からもたらされる治療野が、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位と実質的にオーバラップするか否かを判断することができる。
選択された電極の組合せに従って刺激の送達からもたらされる治療野が、標的組織部位と実質的にオーバラップし、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位と実質的にオーバラップしない場合、臨床医は、後にさらに詳細に説明するように、プロセッサ80が、電極の組合せを選択し、電極の組合せによって検知される生体電気脳信号に基づいて電極の組合せを確認するべきであることを示す入力を、ユーザインタフェース84を介して提供することができる。一方、選択された電極の組合せに従って刺激の送達からもたらされる治療野が、標的組織部位と実質的にオーバラップしないか、または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位と実質的にオーバラップする場合、臨床医は、プロセッサ80がその電極の組合せを選択するべきでないことを示す入力を、ユーザインタフェース84を介して提供することができる。
いくつかの例では、臨床医はまた、たとえばリード20の別の1つまたは複数の電極24、26を選択することにより、または治療野モデルのグラフィカル表示と対話して、表示された治療野のサイズ、位置または他の治療野特性を調整することにより、別の電極の組合せを選択するユーザ入力を提供することも可能である。そして、プロセッサ80は、IMD16によって送達される刺激によって調整された治療野がもたらされる電極の組合せを自動的に選択することができる。臨床医が、別の電極の組合せを選択するために表示された治療野のサイズ、位置または他の治療野特性を調整することができる、プログラマ14によって提示されるグラフィカルユーザインタフェース例については、図18に関して後述する。
プログラマ14のプロセッサ80は、選択された電極の組合せを介してIMDによって検知される生体電気脳信号を受け取る(128)。いくつかの例では、プロセッサ80は、生体電気脳信号の検知を開始する。たとえば、プログラマ14のプロセッサ80は、それぞれの遠隔測定モジュール86、50を介してIMD16にメッセージを送信することができ、そこでは、メッセージは、IMD16のプロセッサ40が、選択された電極の組合せを介して生体電気脳信号を検知するように検知モジュール46を制御することを要求する。そして、プロセッサ40は、それぞれの遠隔測定モジュール50、86を介して、プログラマ14のプロセッサ80に生体電気脳信号(またはその信号に基づくデータ)を送信することができる。IMD16のプロセッサ40が生理学的モデルに基づいて電極の組合せを選択する例等の他の例では、IMD16のプロセッサ40は、選択された電極の組合せを介して生体電気脳信号を検知するように検知モジュール46を自動的に(たとえば、プログラマ14によるいかなる制御とも独立して)制御することができる。選択された電極の組合せを介してIMD16によって生体電気脳信号の検知を制御する他の技法が考えられる。
さらに、他の例では、IMD16のプロセッサ40は、電極24、26の種々の組合せを用いて複数の生体電気信号を検知するように検知モジュール46を制御し、検知された生体電気信号のすべてをプログラマ14に送信し、プログラマ14は、それらの信号をメモリ82に格納する。プログラマ14のプロセッサ80は、選択された電極の組合せを介して検知された生体電極脳信号を、メモリ82から検索することができる。
プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号に基づいて電極の組合せの選択を確認する(130)。図10は、プロセッサ80が検知された生体電気脳信号を利用して、生理学的モデルに基づいて選択された電極の組合せを確認することができる技法例である。生理学的モデルに基づいて電極の組合せを選択し(126)、検知された電極の組合せを介して検知された生体電気脳信号を受け取った(128)後、プロセッサ80は、生体電気脳信号が標的組織部位を示すバイオメーカを含むか否かを判断する(132)。バイオメーカは、たとえば、生体電気脳信号のセクションの平均、中央、ピークまたは最低の振幅、または検知された生体電気脳信号の周波数領域特性(たとえば、特定の周波数帯域内の電力レベルまたは2つの周波数帯域内の電力レベルの比)等、信号特性であり得る。脳28の種々の領域は、種々の電位を示すことができ、それにより、脳28の種々の領域において電極によって検知される生体電気脳信号により、種々の信号特性を有する生体電気脳信号がもたらされる可能性がある。これらの種々の信号特性は、標的組織部位に対するバイオマーカである。このように、生体電気脳信号の信号特性を用いて、選択された電極の組合せの電極が、標的組織部位かまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接しているか否かを判断することができる。プログラマ14のメモリ82または別のデバイスのメモリが、信号特性を格納することができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号の特性を、プログラマ14のメモリ82かまたは別のデバイスのメモリによって格納された所定閾値またはテンプレートを比較する。プログラマ14のメモリ82によって格納された所定閾値またはテンプレートを、臨床医またはプロセッサ80により、バイオマーカ、たとえば、脳28内の標的組織部位内で検知される信号の特性を表すように選択することができる。プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号に基づいて、電極の組合せの選択を確認する(130)。たとえば、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号が標的組織部位に対するバイオマーカを示すと判断した場合(132)、電極の組合せの選択を確認する(134)。
そして、プロセッサ80は、その電極の組合せを、IMD16による治療送達に対して有用な刺激電極の組合せとしてメモリ82に格納するか、または選択された電極の組合せを治療プログラムの一部として格納するためにIMD16に送信することができる。一方、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号が標的組織部位に対するバイオマーカを示さないと判断した場合(132)、その電極の組合せの選択を確認することができない。実際には、プロセッサ80は、自動的に、生理学的モデルに基づいて別の電極の組合せを選択することができるか、または臨床医に対して別の電極の組合せを選択するように促すことができる(126)。
図10の他の例では、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用に関連する組織部位を示すバイオマーカを用いて、標的組織部位を示すバイオマーカの代りにまたはそれに加えて、検知された生体電気脳信号に基づいて、選択された電極の組合せを確認することができる。これらの例では、プロセッサ80は、生体電気脳信号に基づいて、選択された電極の組合せが、刺激が誘発する副作用に関連する脳28の1つまたは複数の解剖学的構造に近接しているか否かを判断する。これは、たとえば、患者12が経験する副作用と、患者の運動障害(または他の患者状態)の症状が緩和される程度との平衡をとる電極の組合せを選択するために有用であり得る。
上述したように、特定の電極の組合せを用いて検知された生体電気脳信号は、電極の組合せの電極が、脳28の特定の組織部位(たとえば、治療送達のために標的組織部位または1つまたは複数の刺激が誘発する副作用に関連する組織部位)内に配置されているか否かを示すことができる。したがって、生体電気脳信号の1つまたは複数の特性は、刺激電極の組合せを選択するために有用であり得る。例として、図8に関して説明したように、刺激電極の組合せを、刺激電極の組合せに関連する検知電極の組合せを介して検知される生体電気脳信号に基づいて選択することができる。さらに、図9および図10に関して上述したように、選択された電極の組合せを、選択された電極の組合せを介して検知された生体電気脳信号に基づいて、有用な刺激電極の組合せとして確認することができる。
特定の患者状態に対して、1つまたは複数の特定の周波数帯域が、他の周波数帯域より、患者12に刺激治療を提供するために有用な標的組織位部位を明らかにする可能性がある。IMD16のプロセッサ40(図2に示す)、プログラマ14のプロセッサ80(図3に示す)または別のデバイスのプロセッサが、明らかになる周波数帯域において生体電気脳信号のスペクトル解析を実行することができる。生体電気信号のスペクトル解析は、ある範囲の周波数にわたって各所与の周波数帯域内の各生体電気信号の電力レベルを示すことができる。本明細書では、主にベータ周波数帯域について言及しているが、他の例では、プロセッサ40またはプロセッサ80は、ベータ帯域以外の1つまたは複数の周波数帯域内の電力レベルに基づいて刺激電極の組合せを選択することができる。
たとえば、プロセッサ40またはプロセッサ80は、種々の電極によって検知される生体電気信号におけるベータ帯域以外の周波数帯域の電力レベルを比較して、電極の組合せに対し電力レベルの相対値を確定することができる。そして、プロセッサ40またはプロセッサ80は、相対値に基づいて、いずれの電極が標的組織部位に最も近いかを判断することができる。いくつかの例では、ベータ帯域は、約10Hzから約30Hzまたは13Hzから約30Hz等、約10Hzから約35Hzの周波数範囲を含む。
種々の周波数帯域が脳28内の種々の活動に関連している。脳28内からの生体電気脳信号のいくつかの周波数帯域成分は、他の周波数成分より、特定の患者状態および特定の患者状態に関連する異常な脳の活動を明らかにする可能性がある。周波数帯域の一例を表1に示す。
表1に示す周波数帯域に対する周波数範囲は単に例である。周波数範囲は、他の例では異なってもよい。たとえば、表2に、周波数帯域に対する周波数範囲の別の例を示す。
一例では、臨床医は、患者12に特定である情報に基づくかまたは2人以上の患者12から収集されたデータに基づき刺激電極の組合せを選択するために、生体電気脳信号の周波数帯域を選択することができる。患者状態を管理するために刺激に対して標的組織部位を特定するために有用な周波数帯域は、特定の患者12に対して特定であるか、または同様の状態の患者群に対して一般的であり得る。いくつかの例では、臨床医は、医用撮像技法を利用して、患者状態の症状が観察された時に脳28のいずれの部分が異常な活動を示すかを特定することができる。たとえば、臨床医は、脳磁図(MEG)、ポジトロン断層法(PET)または機能的磁気共鳴画像法(fMRI)等の撮像装置を利用して、所定の患者症状(たとえば、運動開始困難)が観察された場合に最大の検出可能な変化を示す、関連する脳28の領域を特定することができる。他の例では、臨床医は、たとえば同様の患者状態である被験者に関する過去の知識または過去の研究に基づいて、患者状態に関連することが知られている標的組織部位を選択することができる。後述する例では、生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択する技法を説明する例としてベータ帯域を用いる。しかしながら、後述する技法は、他の周波数帯域に適用可能である。
運動緩慢等の患者12のいくつかの運動障害症状は、患者12の脳28の特定の構造内のベータ周波数帯域活動の異常な同期に関連する可能性がある。したがって、患者によっては、最も高い相対的なベータ帯域活動を示す脳28内の位置を特定することにより、電気刺激が患者の運動障害に関連するベータ周波数帯域活動の異常な同期を比較的有効に抑制することができる位置を示すことができる。最も高い相対的なベータ帯域活動を示す脳28内の位置は、患者の運動障害を管理する電気刺激に対する適当な刺激標的である、脳28内の位置を示すことができる。
比較的高いベータ帯域エネルギーのレベルを示すこの刺激標的に対して刺激を向ける結果として、IMD16が効果的な刺激治療を提供するために送達することができる刺激の強度が、刺激標的からさらに遠いかまたは刺激標的に機能的にそれほど関連しない可能性がある他の標的部位に対して、効果的な刺激治療を提供するために必要であり得る刺激の強度より低くなり得る。刺激の強度は、刺激信号の電流または電圧振幅、刺激信号の周波数、ならびに信号がパルスを含む場合は刺激信号のパルス幅および/またはパルス形状に関連し得る。
いくつかの例では、脳28内の相対的なベータ帯域(または他の選択された周波数帯域)活動が最も高い組織部位に最も近い検知電極群が、刺激治療がその群の電極を介して送達される場合に、患者12に対して最良の相対的効力を提供することができる。電極群は、1つの電極または2つ以上の電極(たとえば、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの電極)を含むことができ、リング電極かまたは1つもしくは複数の分割電極もしくは部分リング電極を含むことができる。このように、いくつかの例では、刺激電極の組合せは、IMD16が、相対的に高いベータ帯域電力を有する生体電気脳信号を検知した電極に基づいて選択される。いくつかの例では、患者の運動障害に関連するベータ周波数帯域活動の異常な同期を有効に抑制するために、相対的なベータ帯域電力が比較的高い生体電気脳信号が検知された位置と実質的に同じ位置に電気刺激を送達することができる。
他の例では、刺激電極の組合せは、相対的なベータ帯域活動が最も高い組織部位に最も近い検知電極群とは異なる電極のサブセットを含むことができる。たとえば、検知電極の組合せは、リード20A、20Bの少なくとも2つの電極24、26を含むことができ、刺激電極の組合せは、リード20A、20Bの単一の電極(たとえば単極刺激を提供するため)または3つ以上の電極を含むことができる。単極構成では、刺激を、リード20A、20Bの一方の電極とIMD16のハウジングまたはさらに離れて位置する別の基準電極との間に提供することができる。刺激電極の組合せの場合、2つ以上の電極が極性を共有することが可能であり得る。したがって、場合によっては、生体電気脳信号に基づいて選択される刺激電極の組合せは、検知電極の組合せより多くの電極を含むことができる。刺激電極の組合せおよび関連する検知電極群が少なくとも1つの異なる電極を含む場合、刺激電極の組合せおよび検知電極の組合せを、脳28の異なる領域内に配置することができる。領域は、オーバラップする場合もあればしない場合もある。
いくつかの例では、脳28内の最も高い相対的なベータ帯域活動に最も近い検知電極を、比較的効果的な刺激治療を提供することができる刺激電極の組合せにマッピングすることができる。たとえば、検知電極の組合せおよび刺激電極の組合せを、脳28の種々の領域の間の機能的関係によって関連付けることができる。たとえば、脳28の視床の第1の部分内において比較的高いベータ帯域電力を有する生体電気信号を検知する検知電極群を、第1の部分に機能的につながっている視床の第2の部分にマッピングすることができる。この機能的関係は、電気刺激が、特定の刺激電極の組合せを介して視床の第2の部分に送達される場合に、視床の第1の部分内のあらゆる不規則な振動または他の不規則な脳活動も有効に抑制され得ることを示すことができる。
相対的なベータ帯域電力レベルが、記録され、解析され、互いに比較され、かつ電力レベルが最も高い検知電極が、標的組織部位に最も近い検知電極として選択される1つの方法例は、9月21日に出願された、「刺激電極選択(STIMULATION ELECTRODE SELECTION)」と題する、Carlsonらによる、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/563,845号に記載されている。この技法は、それぞれの検知電極の組合せで検知される1つまたは複数の生体電気脳信号の周波数領域特性に基づいて刺激電極の組合せを選択する場合に有用であり得る。しかしながら、場合によっては、双極検知構成(たとえば、リード20A、20Bの電極間の検知)を用いて生体電気脳信号が検知される場合、記録された相対的なベータ帯域電力レベルが最も高い検知電極の組合せは、標的組織部位に最も近くはない可能性がある。たとえば、標的組織部位(たとえば、最も高い相対的なベータ帯域電力を示す脳28内の部位)が2つの電極の間に位置する場合、電極の組合せに対する相対値は、最高の相対的なベータ帯域電力の代りに最低の相対的なベータ帯域電力を有する可能性がある。
「刺激電極選択(STIMULATION ELECTRODE SELECTION)」と題し2009年12月19日出願された、Molnarらによる、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/639,717号と、「刺激電極選択(STIMULATION ELECTRODE SELECTION)」と題し2009年12月19日に出願された、Molnarらによる、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/639,678号とに記載されている技法により、標的組織部位が2つの検知電極の間にある場合を含む、標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極の確定を容易にすることができる。種々の電極(または電極の種々の組合せ)によって検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルを比較することにより、デバイス(たとえばIMD16またはプログラマ14)のプロセッサは、相対的なベータ帯域電力レベルの強度が電極に対する標的組織部位の位置を明らかにするため、標的組織部位が所定電極により近いか否かを判断することができる。
図11は、IMD16のプロセッサ40、プログラマ14のプロセッサ80または別のコンピューティングデバイスが、対象となる周波数帯域を特定するように実施することができる技法例を示すフローチャートである。プロセッサは、後にさらに詳細に説明するように、生体電気脳信号を比較する信号特性として対象となる周波数帯域を利用し、刺激電極の組合せを選択することができる。図11の説明を通して、プロセッサ40について言及する。他の例では、プログラマ14のプロセッサ80または別のコンピューティングデバイスが、図11に示す技法を実施してもよい。
図11に示す例では、プロセッサ40は、患者12が病気の状態にあり、たとえば運動障害または他の患者状態を管理するいかなる治療も受けていない第1の期間中、患者12の生体電気脳信号のスペクトログラムを生成する(140)。プロセッサ40は、患者12が運動障害または他の患者状態を管理する治療を受けている第2の期間中、スペクトログラムを生成する(142)。プロセッサ40は、スペクトログラムに基づいて患者の状態に対するバイオマーカを示す、対象となる周波数帯域を確定する(144)。いくつかの例では、プロセッサ40は、いずれの周波数帯域が、第1の期間と第2の期間との間に比較的大きいかつ/または識別可能な変化を示したかを判断することができる。
治療システム10は、図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17に関して説明する技法等、本明細書に記載の技法に従って、対象となる周波数帯域に基づいて標的組織部位に最も近い1つの検知電極または電極の組合せを選択することができる。そして、選択された検知電極または電極の組合せを用いて、刺激電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ40は、複数の格納された検知電極の組合せの各検知電極の組合せによって、患者12の脳28内の生体電気脳信号を検知することができる。
プログラマ14のプロセッサ80は、対象となる周波数帯域において相対的な電力レベルが最も大きい1つまたは複数の検知された生体電気脳信号に関連する検知電極の組合せに基づいて、刺激電極の組合せを選択する。他の例では、プログラマのプロセッサ80は、対象となる周波数帯域における相対的な電力レベルが最も低い検知された生体電気脳信号に関連する検知電極の組合せに基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、種々の検知電極の組合せおよび関連するベータ帯域電力レベルを、プログラマ14等のデバイスのディスプレイを介して、臨床医等のユーザに提示することができる。
図12〜図15C、図16および図17は、生体電気脳信号に基づいて、標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極の組合せを選択する技法例を示すフローチャートである。いくつかの例では、IMD16のプロセッサ40またはプログラマ14のプロセッサ80は、図12〜図15Cに関して説明する技法を用いて標的組織部位に最も近い生体電気信号を検知した1つまたは複数の検知電極を選択した後、1つまたは複数の検知電極に基づいて1つまたは複数の刺激電極を確定することができる。たとえば、プロセッサ40または80は、それぞれのメモリ42、82内の検知電極に関連する1つまたは複数の刺激電極を確定することができる。別の例では、プロセッサ40または80は、刺激電極として1つまたは複数の検知電極を選択する。生体電気脳信号に基づいて1つまたは複数の刺激電極を確定した後、プロセッサ40または80は、たとえば図8に関して説明したように、生理学的モデルに基づいて1つまたは複数の検知電極の選択を確認することができる。
生体電気脳信号に基づいて刺激電極の組合せを選択するために、他の技法を用いることも可能である。たとえば、Molnarらによる米国特許出願第12/639,717号および同第12/639,678号に記載されている技法のいずれかを、生体電気脳信号に基づいて患者12に効果的な治療を送達する刺激電極の組合せを選択するために、IMD16のプロセッサ40、プログラマ14のプロセッサ80または別のデバイスのプロセッサによって実施することができる。さらに、他のタイプのバイオマーカを用いて、検知電極の組合せが標的組織部位に近接して位置決めされている電極を含むか否かを示すことができる。
図12および図13は、生体電気脳信号に基づいて標的組織部位に最も近い検知電極の組合せを選択する技法例を示すフローチャートである。標的組織部位は、特定の周波数帯域において相対的な電力レベルが最も高い生体電気信号を示すか、または別の所定周波数領域特性を示す(たとえば、相対的な電力レベルが最も低い)、患者12の脳28内の組織部位であり得る。上述したように、運動障害に関して、高い相対的なベータ帯域電力レベルを、脳28内の異常な振動または活動に関連付けることができる。標的組織部位に最も近い検知電極の選択により、患者12に刺激治療を提供するのに最も有効な刺激電極の組合せの選択を容易にすることができる。
プロセッサ40は、電極24、26からの1つまたは複数の電極を含む複数の検知電極の組合せにより、患者12の脳において生体電気信号を検知するように、IMD16の検知モジュール46を制御する。いくつかの例では、プロセッサ40は、単極電極構成を用いて生体電気信号を検知するように検知モジュール46を制御し、そこでは、検知モジュール46は、1つまたは複数の個々の電極24、26の各々とIMD16のハウジング(たとえば、IMD16の外側ハウジングに結合されるかまたはそれによって画定されるハウジング電極)または別の基準との間の生体電気信号を検知する。単極構成での検知は、生体電気脳信号を検知するには有用であり得るが、リード20A、20Bの一方の電極とIMD16のハウジングまたは別の基準との間の検知により、検知された脳信号に雑音がもたらされ、場合によっては、検知された生体電気脳信号を歪ませる可能性がある。
たとえば、患者12の脳28内の生体電気信号の単極検知により、リード20の電極24、26間の双極検知に比較して、相対的に大量の患者12の電気的心臓活動または患者12もしくは患者12の外部の他の電気的活動を検知することができる。したがって、他の例では、プロセッサ40は、双極電極構成で生体電気信号を検知するように検知モジュール46を制御し、その場合、検知モジュール46は、電極24、26の対の間、たとえば電極24Aおよび24Bの間、電極24Aおよび24Dの間等の生体電気信号を検知する。リード62の電極66、68、70および72によって画定される構成等、他の電極構成を有する単極検知構成および双極検知構成もまた用いることができる。
図12は、単極検知構成を用いる場合の検知電極群を選択する概略的な技法を示すフローチャートである。例として、プロセッサ40は、単極構成の電極24の各々を用いて生体電気信号を検知するように、IMD16の検知モジュール46(図2)を制御することができる。たとえば、プロセッサ40は、電極24AとIMD16のハウジング(たとえば、IMD16の導電性外側ハウジングかまたは導電性もしくは非導電性外側ハウジングに結合された電極)との間の第1の生体電気信号と、電極24BとIMD16のハウジングとの間の第2の生体電気信号と、電極24CとIMD16のハウジングとの間の第3の生体電気信号と、電極24DとIMD16のハウジングとの間の第4の生体電気信号とを検知するように、検知モジュール46を制御することができる。
プロセッサ40は、各検知電極からの各生体電気脳信号に対して相対的なベータ帯域電力レベルを確定する(146)。たとえば、プロセッサ40は、第1の生体電気信号、第2の生体電気信号、第3の生体電気信号および第4の生体電気信号の各々に対して相対的なベータ帯域電力レベルを確定することができる。プロセッサ40は、相対的なベータ帯域電力が最も高い生体電気信号を検知した1つまたは複数の検知電極を、標的組織部位に最も近い検知電極として選択する(148)。いくつかの例では、プロセッサ40は、標的組織部位に最も近い検知電極を選択することに基づいて、刺激電極の組合せまたは治療プログラムを選択する。いくつかの例では、刺激電極の組合せは、標的組織部位に最も近い検知電極のいくつかまたはすべてを含むことができる。他の例では、刺激電極の組合せは、標的組織部位に最も近い検知電極とは異なる電極を含むことができる。
図13は、双極検知構成をシミュレートするために、選択された周波数帯域における相対的な電力レベルの相対値に基づいて検知電極群を選択する技法例を示すフローチャートである。図13に示す技法の例では、プロセッサ40は、単極構成の電極24の各々によって生体電気信号を検知するように、IMD16の検知モジュール46を制御する。たとえば、プロセッサ40は、電極24Aおよび基準電極(たとえばハウジング電極)により第1の生体電気信号を検知し、電極24Bおよび基準電極により第2の生体電気信号を検知し、電極24Cおよび基準電極により第3の生体電気信号を検知し、電極24Dおよび基準電極により第4の生体電気信号を検知するように、検知モジュールを制御することができる。
電極24によって生体電気脳信号を検知した後、プロセッサ40は、第1の生体電気信号、第2の生体電気信号、第3の生体電気信号および第4の生体電気信号の各組合せに対して、相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を確定する(150)。たとえば、プロセッサ40は、第1の生体電気信号および第2の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第1の相対値を確定し、第1の生体電気信号および第3の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第2の相対値を確定し、第1の生体電気信号および第4の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第3の相対値を確定し、第2の生体電気信号および第3の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第4の相対値を確定し、第2の生体電気信号および第4の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第5の相対値を確定し、第3の生体電気信号および第4の生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルの絶対差を確定することにより第6の相対値を確定する。
確定された相対値の各々は、それぞれの電極によって検知された信号に対して相対的なベータ帯域電力レベルの差を示す。したがって、相対値は、検知された生体電気脳信号に関連する電極の間で、すなわち双極電極形態で検知される生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルを示す。たとえば、第1の生体電気信号および第2の生体電気信号に基づいて確定された相対値は、電極24A、24Bの間で検知される生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルを示す(たとえばそれに実質的に等しい)。結果として、種々の電極を介して検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を確定する技法を、双極検知、および双極検知形態を介して検知された生体電気信号のベータ帯域電力レベルの確定に対する代用物として用いることができる。単極構成で検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を利用する、本明細書に記載する例では、多極(たとえば双極)構成で、電極間で検知される生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルを代りに用いて、同じ刺激電極の組合せの選択に達することができる。
第1の生体電気信号、第2の生体電気信号、第3の生体電気信号および第4の生体電気信号の各組合せに対して相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を確定した(150)後、IMD16のプロセッサ40またはプログラマ14のプロセッサ80は、それぞれのメモリ42、82にアクセスして、そこに格納されているアルゴリズムを実行して、相対的なベータ帯域電力レベルに対する相対値に基づいて標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を確定し選択する(152)。図15A〜図15Cに、アルゴリズム例を記載する。いくつかの例では、プロセッサ40は、標的組織部位に最も近いと判断された検知電極の対に基づいて、刺激電極の組合せまたは治療プログラムを選択する。いくつかの例では、刺激電極の組合せは、標的組織部位に最も近い検知電極のいくつかまたはすべてを含むことができる。他の例では、刺激電極の組合せは、標的組織部位に最も近い検知電極とは異なる電極を含むことができる。
検知された生体電気脳信号に基づいて標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を選択する、本明細書に記載のシステムおよび技法は、いかなる数および構成の電極を備えた医療リードにも適用可能であり得る。図14は、0の番号が付されたリード154の最も遠位の電極156からn−1の番号が付されたリード154の最も近位の電極158との間に数nの電極があるリード154の例を示す。図15A〜図15Cのフローチャートに関して、検知電極の組合せを、0からn−1の番号が付された電極を含む、図14に示す電極番号方式を用いて識別する。たとえば、リード154上の電極の最も遠位の対の電極の組合せはE10と呼ばれ、リード154上の第2の最も遠位の電極の対の間の電極の組合せはE21と呼ばれ、リード154上の最も遠位の電極と最も近位の電極との間の電極の組合せはE(n−1)0と呼ばれ、以下同様である。
図15A〜図15Cは、脳28内の標的組織部位に最も近いリード154(図14)の1つまたは複数の検知電極を選択する技法例を示す。上述したように、標的組織部位は、相対的に高いベータ帯域エネルギーを示す組織部位か、または別の所定の周波数帯域特性を示す脳28内の組織部位であり得る。標的組織部位は、たとえば、治療送達(たとえば刺激または薬剤送達)が、患者状態の症状を緩和するために患者12に効果的な治療を提供する組織部位であり得る。IMD16のプロセッサ40、プログラマ14のプロセッサ80または別のデバイスのプロセッサが、図15A〜図15Cに示すアルゴリズムを実施することができる。説明を容易にするために、図15A〜図15Cを、プロセッサ80に関して説明する。しかしながら、図15A〜図15Cに示す技法を、IMD16のプロセッサ40等、異なるプロセッサによって実行することができる。
相対的なベータ帯域電力レベルを、検知された信号のベータ帯域における電力の、検知された信号の総電力に対する比とすることができ、脳28の種々の領域に位置する検知電極によって検知される生体電気信号を正規化するために、ベータ帯域電力の代りに用いることができる。2つの電極(すなわち、電極の組合せの電極)の間の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を、単極構成の電極の組合せにおける2つの電極の各々によって検知される相対的なベータ帯域電力レベルの間の振幅の差の大きさとして定義することができる。たとえば、電極の組合せ24A〜24Bに対する相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を、電極24Aおよび基準電極によって検知される相対的なベータ帯域電力レベルの振幅と、電極24Bおよび基準電極によって検知される相対的なベータ帯域電力レベルの振幅との差の大きさとして定義することができる。
全体として、図15A〜図15Cに示す技法は、最も遠位の電極かまたは最も近位の電極のいずれか、すなわち電極0かまたはn−1(図14に示す)のいずれかに、これら2つの電極の間の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値が最も高いか否かを判断することによって、標的組織部位が最も近いか否かを判断することを含む。この相対値が最も高い場合、標的組織部位は、最も遠位の電極または最も近位の電極のいずれかに最も近い。この相対値が最も高くない場合、本技法は、最も遠位の電極と最も近位の電極との間の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値が最も低いか否かを判断することにより、標的組織部位がリードの中央の電極に最も近いか否かを判断することを含む。この相対値が最も低い場合、標的組織部位は、1つまたは複数の中央電極に最も近い。この値が最も高くも最も低くもない場合、本技法は、隣接する電極のいずれの対が相対的なベータ帯域電力レベルの最も高い相対値を検知したかを判断することと、標的組織部位が隣接する電極のこの対のうちの一方に最も近いと判断することとを含む。
図15Aに示すように、プロセッサ800は、各隣接する電極の組合せ、すなわちE10、E21、E32等によって検知される各生体電気信号に対し、かつ最も近位の電極および最も遠位の電極を含む電極の組合せ、すなわちE(n−1)0に対し、相対的なベータ帯域電力レベルを確定する(160)。次に、プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が最も高い相対値を有するか否かを判断する(162)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が最も高い相対値を有すると判断した場合、説明を容易にするために「部分A」と呼ぶ検知電極選択アルゴリズムの一部を実行し(164)、それについては図15Bに関して説明する。
一方、プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が最も高い相対値を有していないと判断した場合、代りに、電極の組合せE(n−1)0が最も低い相対値を有するか否かを判断する(166)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が最も低い相対値を有していると判断した場合、説明を容易にするために「部分B」と呼ぶ検知電極選択アルゴリズムの一部を実行し、それについては図15Cに関して説明する(168)。
プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が最も高い相対値も最も低い相対値も有していないと判断した場合、いずれの電極の組合せが最も高い相対値を有しているかを判断する。最も高い相対値を有する電極の組合せを、電極の組合せEi(i−1)と呼ぶ(170)。次に、プロセッサ80は、最も高い相対値を有する電極の組合せに近接する電極の組合せ、すなわち電極の組合せE(i−1)(i−2)が、最も高い相対値を有する電極の組合せの遠位の電極の組合せ、すなわち電極の組合せE(i+1)iより高い相対値を有するか否かを判断する(172)。
プロセッサ80は、電極の組合せE(i−1)(i−2)が電極の組合せE(i+1)iより高い相対値を有すると判断した場合、標的組織部位に最も近い電極として、最も高い相対値を有する電極の組合せの近位電極、すなわちE(i−1)を選択する(174)。プロセッサ80は、E(i−1)が標的組織部位に最も近い電極であるという判断に基づいて刺激電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、E(i−1)が標的組織部位に最も近い電極であるという判断に基づいて、電極E(i−1)を含む刺激電極の組合せを選択する。
一方、プロセッサ80は、電極の組合せE(i−1)(i−2)が電極の組合せE(i+1)iより高い相対値を有していないと判断した場合、電極の組合せE(i−1)(i−2)が電極の組合せE(i+1)iの相対値と実質的に等しい相対値を有するか否かを判断する(176)。プロセッサ80は、電極の組合せ(Ei−1)(i−2)が電極の組合せE(i+1)iの相対値と等しい相対値を有すると判断した場合、標的組織部位が電極EiおよびE(i−1)の中間点の最も近くに位置していると判断し、標的組織部位に最も近い電極として電極EiおよびE(i−1)を選択する(179)。プロセッサ80は、EiおよびE(i−1)が標的組織部位に最も近い電極であるという判断に基づき刺激電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、EiおよびE(i−1)が標的組織部位に最も近い電極であるという判断に基づいて、電極EiおよびE(i−1)を含む刺激電極の組合せを選択する。
プロセッサ80は、電極の組合せE(i−1)(i−2)が、電極の組合せE(i+1)iの相対値に等しい相対値を有していないと判断した場合、標的組織に近い電極として、最も高い相対値を有する電極の組合せの遠位電極、すなわち電極Eiを選択する(180)。
図15Bは、上述したように、プロセッサ80が、電極の組合せE(n−1)0が最も高い相対値を有すると判断した時に実施する、検知電極選択アルゴリズムの部分Aを示す(164)。プロセッサ80は、隣接する電極の最も遠位の対、すなわち電極の組合せE10が、隣接する電極の2番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE21より高い相対値を有しているか否かと、電極の組合せE21が、隣接する電極の3番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE32より高い相対値を有しているかと、電極の組合せE32が、隣接する電極の4番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE43より高い相対値を有しているか否か等を、電極の組合せE(n−2)(n−3)が電極の組合せE(n−1)(n−2)より高い相対値を有しているか否かを判断するまで判断する(182)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−2)(n−3)が電極の組合せE(n−1)(n−2)より高い相対値を有していると判断するまで、電極の組合せE10が電極の組合せE21より高い相対値を有し、電極の組合せE21が電極の組合せE32より高い相対値を有し、電極の組合せE32が電極の組合せE43より高い相対値を有している等と判断した場合、標的組織部位に最も近い電極として最も遠位の電極E0を選択する(184)。
一方、プロセッサ80は、これらの基準が満たされていないと判断した場合、隣接する電極の最も遠位の対、すなわち電極の組合せE10が、隣接する電極の2番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE21より低い相対値を有しているか否かと、電極の組合せE21が隣接する電極の3番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE32より低い相対値を有しているか否かと、電極の組合せE32が、隣接する電極の4番目に遠位の対、すなわち電極の組合せE43より低い相対値を有しているか否か等を、電極の組合せE(n−2)(n−3)が電極の組合せE(n−1)(n−2)より低い総対地を有しているか否かを判断するまで判断する(186)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−2)(n−3)が電極の組合せE(n−1)(n−2)より低い相対値を有していると判断するまで、電極の組合せE10が電極の組合せE21より低い相対値を有し、電極の組合せE21が電極の組合せE32より低い相対値を有し、電極の組合せE43が電極の組合せE32より低い相対値を有している等と判断した場合、標的組織部位に最も近い電極として、最も近位の電極E(n−1)を選択する(188)。
プロセッサ80は、これらの基準が満たされていないと判断した場合、電極の最も遠位の対E10が、電極の最も近位の対E(n−1)(n−2)より低い相対値を有しているか否かを判断する(190)。プロセッサ80は、電極の組合せE10が電極の組合せE(n−1)(n−2)より低い相対値を有していると判断した場合、標的組織部位が、最も遠位の電極の対E10の中間点に最も近いと判断し(192)、標的組織部位に最も近い電極として電極E1およびE0を選択する(193)。プロセッサ80は、電極の組合せE10が電極の組合せE(n−1)(n−2)より低い相対値を有していないと判断した場合、電極の組合せE10が電極の組合せE(n−1)(n−2)より高い相対値を有していると判断し、標的組織部位が、最も近位の電極の対E(n−1)(n−2)の中間点に最も近いと判断する(196)。そして、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近いものとして電極E(n−1)およびE(n−2)を選択する(197)。
図15Bは、上述したように、プロセッサ80が、電極の組合せE(n−1)0が最も低い相対値を有していると判断した時(168)(図15A)に実行する、部分B検知電極選択アルゴリズムを示す。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0がゼロに等しい相対値を有しているか否かを判断する(198)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0がゼロに等しい相対値を有していると判断した場合、電極の数nが偶数であるか否かを判断する(200)。電極の数nが偶数である場合、プロセッサ80は、標的組織部位が、中央の2つの電極E(n/2)とE((n/2)−1)との中間点の最も近くに位置していると判断する(202)。そして、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近い電極としてE(n/2)およびE((n/2)−1)を選択する(204)。プロセッサ80は、電極の数nが偶数でないと判断した場合(200)、中央の電極E((n−1)/2)が標的組織部位に最も近い電極であると判断する(206)。
プロセッサ80は、電極の組合せE(n−1)0が0に等しい相対値を有していないと判断した場合(198)、リードの電極の数nが偶数であるか否かを判断する(208)。プロセッサ80は、電極の数nが偶数であると判断した場合、中央の電極の組合せE(n/2)((n/2)−1)が、中央の電極対の近位電極と中央の電極の対の近位電極に近接する電極とを含む電極の組合せ、すなわち電極の組合せE((n/2)+1)(n/2)より高い相対値を有しているか否かを判断する(210)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n/2)((n/2)−1)が電極の組合せE((n/2)+1)(n/2)より高い相対値を有していると判断した場合、中央の電極対の近位電極に近接する電極E((n/2)+1)が標的組織部位に最も近い電極であると判断する(212)。プロセッサ80は、電極の組合せE(n/2)((n/2)−1)が電極の組合せE((n/2)+1)(n/2)より高い相対値を有していないと判断した場合、遠位の中央の電極E((n/2)−1)が標的組織部位に最も近い電極であると判断する(214)。
プロセッサ80は、電極の数nが偶数でないと判断した場合(208)、リードの電極の数nが奇数であると判断する(216)。そして、プロセッサ80は、中央の電極および中央の電極に隣接しかつ中央の電極の遠位の電極を含む電極の組合せ、すなわち電極の組合せE((n−1)/2)((n−1)/2−1)が、中央の電極および中央の電極に隣接しかつ中央の電極の近位の電極を含む電極の組合せ、すなわち電極の組合せE((n+1)/2)((n+1)/2)−1)より高い相対値を有するか否かを判断する(218)。プロセッサ80は、電極の組合せE((n−1)/2)((n−1)/2−1)がE((n+1)/2)((n+1)/2−1)より高い値を有していると判断した場合、標的組織部位に最も近い電極として中央の電極E((n−1)/2−1)を選択する(220)。プロセッサ80は、電極の組合せE((n−1)/2)((n−1)2−1)が電極の組合せE((n+1)/2)((n+1)/2−1)より高い相対値を有していないと判断した場合、標的組織に最も近い電極として中央の電極E((n+1)/2)に隣接しかつそれに対して近位の電極を選択する(242)。
治療システム10の一方または両方のリード20が分割電極を含む例では、プログラマ14のプロセッサ80(または別のデバイスのプロセッサ)は、リードの長手方向軸に沿った位置を共有するが異なる方向を向いている複数の電極のうちのいずれの1つまたは複数の電極が標的組織部位に最も近いかを指定するアルゴリズムを実施することができる。図16は、いずれの1つまたは複数の電極が、リード62(図3Aおよび図3B)等、分割電極群を含むリードに対する標的組織部位に最も近いかを判断する技法例を示すフローチャートである。この例では、本技法を、分割電極68および70の群を含む電極64の群を備えたリード62に関して説明する。しかしながら、他の例では、本技法を、リング電極および分割電極のあらゆる組合せおよび構成を備えたリードに適用可能であり得る。図15A〜図15Cと同様に、プロセッサ80は、プロセッサ80に対し、図16に示す技法のステップの各々を実行させる、メモリ82に格納されたアルゴリズムを実行することができる。しかしながら、他の例では、本技法を、IMD16のプロセッサ40等、異なるプロセッサによって実行してもよい。
全体として、図16は、図15A〜図15Cに示す技法より、脳28内の標的組織部位の位置のよりロバストな指示を提供することができる技法を示す。たとえば、リードの長手方向軸に沿って標的組織部位の位置を確定することに加えて、図16に示す技法は、リード62の側部(たとえば、長手方向軸に対して実質的に垂直な方向等、リード62の長手方向軸に対して非平行な方向によって示す)に対して標的組織部位の位置を確定することを含む。標的組織部位の位置を、リードの長手方向軸によって示されるような第1の方向に、その後、分割電極が互いからずれる方向によって示されるような第2の方向に確定することにより、標的組織部位の位置に関する追加の情報を提供することができ、患者12により効果的な治療を提供する刺激電極の組合せの選択が容易になる。
プロセッサ80は、電極の各群の間の各電極の組合せに対して相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を確定する(230)。特に、プロセッサ80は、電極の組合せ72−70A、72−70B、72−70C、70A−68A、70B−68B、70C−68C、68A−66、68B−66、68C−66および72−66の各々に対して相対値を確定する。そして、プロセッサ80は、電極の各群に対して平均相対値を確定する(232)。電極72〜70を含む、すなわち最も遠位の群の電極からなる電極の組合せの群に対して平均値を確定するために、プロセッサ80は、電極の組合せ72−70A、72−70Bおよび72−70Cに対して相対値の平均を確定する。電極の組合せ70−68の群、すなわち電極の中央の群に対して平均相対値を確定するために、プロセッサ80は、電極の組合せ70A−68A、70B−68Bおよび70C−68Cに対して相対値の平均を確定する。電極の組合せ68−66の群、すなわち電極の最も近位の群に対して平均相対値を確定するために、プロセッサ80は、電極の組合せ68A−66、68B−66および68C−66に対して相対値の平均を確定する。電極72および66の群の各々は1つのリング電極のみを備えるため、プロセッサ80は、電極の組合せ72−66、すなわち電極の最も近位の群および最も遠位の群に対して平均相対値を確定しない場合もある。
次に、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近い電極の1つまたは複数の群(すなわち、66、68、70および72)を確定する(234)。プロセスは、図8に示すものに類似しているが、プロセッサ80は、各電極の組合せに対する相対値の代りに、電極72−70、70−68および68−66の群の組合せに対する相対値ならびに組合せ72−66に対する相対値を比較する。プロセッサ80は、標的組織部位に最も近い電極の1つまたは複数の群を選択すると、選択された1つまたは複数の群が、電極の分割アレイ、すなわち群68または70を含むか否かを判断する(236)。プロセッサ80は、標的組織部位に最も近いと判断された、選択された1つまたは複数の群が、電極の分割アレイを含むと判断した場合、いずれの電極の群が標的組織部位に最も近いかを確定することに関して上述したアルゴリズムを繰り返すことにより、電極の選択された1つまたは複数の群におけるいずれの1つまたは複数の分割電極が標的組織部位に最も近いかを判断する(238)。
たとえば、プロセッサ80は、電極の群68が標的組織部位に最も近いと判断した場合、群の電極の組合せ68A−68B、68B−68Cおよび68C−68Aの相対的なベータ帯域電力レベルに対して相対値を確定する。そして、プロセッサ80は、相対値に基づいて、電極68A、68Bおよび68Cのいずれが標的組織部位に最も近いかを判断する。リードの長手方向軸に沿った位置を共有する分割電極の群の電極68A、68Bおよび68Cのいずれが標的組織部位に最も近いかの判断により、電極のいずれの群が標的組織部位に最も近いかを判断する第1の判断に対して異なる方向における標的組織部位の位置を確定する。
たとえば、電極のいずれの群が標的組織部位に最も近いかを判断することは、リード62の長手方向軸に沿ったいずれの位置が標的組織部位に最も近いかを判断することを含む。電極68A、68Bおよび68Cのいずれが標的組織部位に最も近いかを判断することは、電極68の長手方向位置におけるリード62の周辺のいずれの位置が標的組織部位に最も近いかを判断することを含むことができる。2つの方向における標的組織部位の位置、たとえば長手方向の位置および周辺の位置を確定することは、1つの方向のみにおける標的部位の位置を確定することより、リード62に沿った標的組織部位の位置のよりロバストな指示を提供することができる。
一方、プロセッサ80は、電極の選択された1つまたは複数の群が分割電極を含まないと判断した場合、標的組織部位に最も近い電極が標的組織部位に最も近い1つまたは複数の群であると判断する(240)。たとえば、プロセッサ80は、標的組織部位に最も近いものとして電極の群72を選択した場合、その結果として、電極の群72が電極72のみを含むため、標的組織部位に最も近い電極として電極72を選択する。
図12、図13、図15A〜図15Cおよび図16に関して上述した技法等、本明細書に記載する生体電気脳信号に基づいて標的組織部位に最も近い電極を選択する技法について、単極構成での電極の組合せを用いて生体電気信号を検知し、その後、相対値を介して単極生体電気信号データを双極生体電気信号データに変換することに関して説明した。たとえば、IMD16のプロセッサ40は、電極24A(図2)および基準電極(たとえばハウジング電極)を用いて第1の生体電気信号を検知し、電極24Bおよび基準電極を用いて第2の生体電気信号を検知し、電極24Cおよび基準電極を用いて第3の生体電気信号を検知し、電極24Dおよび基準電極を用いて第4の生体電気信号を検知するように、検知モジュール46を制御することができる。そして、プログラマ14のプロセッサ80は、各電極の組合せ、すなわち電極の組合せ24A−24B、24B−24C、24C−24Dおよび24A−24Dによって検知される生体電気信号に対する相対的なベータ帯域電力レベルの差を示す相対値を確定することができる。
図17に示すように、他の例では、第1の生体電気信号、第2の生体電気信号、第3の生体電気信号および第4の生体電気信号の各々の組合せに対して相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を確定する代りに、プロセッサ40は、双極構成で(たとえば電極24の組合せを用いて)生体電気脳信号を検知するように検知モジュール46を制御することができ、IMD16のプロセッサ40またはプログラマ14のプロセッサ80は、各双極電極構成を介して検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルの値を確定することができる(242)。双極電極構成を介して検知された生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルは、単極構成で双極構成の2つの電極を介して検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルの相対値に実質的に等しい。プロセッサ40またはプロセッサ80は、それぞれの双極電極構成を介して検知される生体電気脳信号の相対的なベータ電力レベルの値に基づいて、標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を選択することができる(244)。
Molnarらによる米国特許出願第12/639,717号および同第12/639,678号にさらに詳細に記載されているように、いくつかの例では、プログラマ14のプロセッサ80は、標的組織部位に対する近接性に基づき電極24、26を自動的にランク付けすることができる。たとえば、相対的なベータ帯域電力レベルが標的組織部位に対する近接性を示す例では、プログラマ14のプロセッサ80は、単極構成で電極24、26を介して検知される生体電気脳信号の相対的なベータ帯域電力レベルに基づいて電極24、26をランク付けすることができる。
いくつかの例では、各刺激電極のランクを提供することにより、患者特定の電気刺激治療送達を容易にすることができる。たとえば、いくつかの例では、最も高くランク付けされた電極の組合せを介して電気刺激を送達することにより、望ましくない副作用がもたらされる可能性がある。臨床医または使用者は、より少ない副作用をもたらす可能性がり、依然として標的組織部位の比較的近くに位置する可能性がある異なる電極の組合せを選択するために、電極のランクにアクセスすることができる。他の例では、IMD16のプロセッサ40は、特定の刺激電極の組合せの効果に関する患者からのフィードバックに基づいて刺激電極の組合せを自動的に変更するために、電極のランクにアクセスすることができる。
上述したように、生理学的モデルは、植え込まれたリード20に近接する組織を示す。プログラマ14は、臨床医がリード位置、1つもしくは複数の解剖学的構造および/または治療野(たとえば活性化される組織の体積)を視覚化するのに役立つ生理学的モデルを生成しかつ表示することができる。図18は、プログラマ14のユーザインタフェース84によって表示されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)230例の画面図であり、そこでは、グラフィカルユーザインタフェースはユーザに対して生理学的モデルを提示する。図18に示す生理学的モデルは、患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造252と、患者12に植え込まれたリードのグラフィカル表現を提供するリードアイコン254と、治療野モデル256とを含む。リードアイコン254は電極258A〜258Dを含む。
GUI250を、プログラマのユーザインタフェース84のディスプレイに提示することができる。ユーザは、たとえば刺激電極として電極258A〜258Dを選択するために、プログラマ14のユーザインタフェース84の1つまたは複数のユーザ入力機構を介してGUI250と対話することができる。GUI250では、リード20Aまたは20Bが患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的領域に対して実際に植え込まれる場所を示すために、リード20A、20Bのうちの一方を表すリードアイコン254が表示される。他の例では、GUI250は、2つ以上のリードおよびそのそれぞれの電極を表示することができる。図18に示す例では、GUI250は、脳28の前後の垂直断面である脳28の冠状断像を表示する。GUI250に含まれる脳28の解剖学的構造252は、MRI、CTまたは別の撮像モダリティを用いて生成される脳28の実際の画像であり得る。一例では、プログラマ14のプロセッサ80は、脳28の複数の画像に基づいて解剖学的構造252のグラフィカル表現を生成することができる。他の例では、脳28の解剖学的構造252は、患者非特定の基準解剖学的画像または非画像ベースの解剖学図(たとえば図面またはコンピュータレンダリング)を含むことができる。画像に基づいても基づかなくても脳28のこれらの表現を用いて、臨床医が脳28内のリード20Aまたは20Bの電極の位置を視覚化するのに役立つために必要な脳28の解剖学的領域のグラフィカル表現が生成される。
リードアイコン254が表示される例では、リードアイコン254を、患者12内に植え込まれた実際のリードの画像とすることができ、または、リードアイコン254を、患者12に植え込まれたタイプのリードであるが、患者12に植え込まれた特定のリードではないリードの画像とすることができる。他の例では、リードアイコン254を、患者12に植え込まれたリードの図面またはコンピュータレンダリングとすることができる。しかしながら、GUI250に表示されるリードアイコン254は、患者12内に植え込まれたリードの適切なサイズを表現する。たとえば、GUI250に示される電極258A〜258Dは、患者12内に植え込まれたリードの電極と同じ相対的な間隔でリード260に沿って配置される。さらに、プログラマ14のプロセッサ80は、リードアイコン254および解剖学的構造252が適切な尺度で、たとえば植え込まれたリードおよび患者12の脳28と実質的に同様の尺度で表示されるように、GUI250を生成する。
解剖学的構造252が患者12の脳28の実際の画像を含む例では、プロセッサ80は、患者特定の情報に基づいて解剖学的構造252に対しリードアイコン254を位置決めすることができる。たとえば、プロセッサ80は、脳28の術前MRI(たとえば、リード20が植え込まれる前)および、脳28の種々の「スライス」のグラフィカル表現を生成するために有用であり得る、脳28の3D表現を生成するために、脳構造体積を患者MRIにモーフィングすることができる。そして、プロセッサ80は、リード20の位置を特定するために脳28の術後MRIにアクセスすることができる。プロセッサ80は、術前MRI画像および術後MRI画像をマージし、解剖学的構造252に対してリードアイコン254を位置決めすべき場所を確定するために、脳構造体積に対してリードの画像を配置することができる。
図18に示す脳28の解剖学的構造252の図は、脳28の2D断面図(たとえば冠状スライス)である。解剖学的構造252の種々に陰影がつけられた部分は、脳28内の組織の異なる密度を示す。暗い部分ほど密度の低い組織を示す。たとえば、解剖学的構造252の最も暗い部分は、脳脊髄液(CSF)を含む脳28の空間を示す。脳28の白色部分は、高密度組織およびより多くのニューロンを示す。臨床医は、GUI250によって示される組織の組織密度に基づいて標的解剖学的領域を認識することができてもよい。しかしながら、いくつかの例では、プロセッサ80は、1つまたは複数の表示された解剖学的構造252をラベル付けするかまたは色分けすることによる(たとえば事前にラベル付けされる図解図に構造を比較することによる)等、表示された解剖学的構造252の臨床医の理解を向上させるのに役立つことができる。
図18に示す解剖学的構造252の冠状断像は、単に画像例であり、実際の画像は、より広い範囲の陰影およびより高い画像解像度を含むことができる。図18に示す像は、リード20Aまたは20Bおよびリードが植え込まれる解剖学的領域の一透視図を提供する。図18に示すGUI250の例では、臨床医は、矢印262および264を用いて、植え込まれたリードの別の透視図を見るためにリードが脳28内に植え込まれる別の冠状深さに移動することができる。
生理学的モデルの他の例では、脳28および1つまたは複数の植え込まれたリードの他のタイプの像を、プログラマ14によって生理学的モデルとして表示することができる。脳28の他の像は、他の2D像(たとえば矢状断像)、3D像、または2D像および3D像のあらゆる組合せを含む。同様に、たとえば解剖学的構造252の3D図がGUI250によって表示される場合、リードアイコン254を3Dオブジェクトとして表示することができる。プログラマ14のプロセッサ80は、リード20Aまたは20Bが患者12内に植え込まれる前に生成される定位データに基づいて、GUI250内でリードアイコン254を自動的に位置決めすることができる。特に脳128の領域の位置を特定するために、患者12の頭蓋骨の上に定位枠を配置することができる。さらに、この定位情報を用いて、植え込まれたリード20A、20Bの正確な位置の座標を提供することができる。場合によっては、プロセッサ80は、ユーザからのいかなる入力もなしにGUI250によって表示される解剖学的領域内に正確に、リードアイコン254を自動的に配置することができる。
臨床医は、図18に示す生理学的モデルのグラフィカル表示を利用して、1つまたは複数の刺激電極を選択することができる。たとえば、臨床医は、入力機構(たとえばカーソルまたはスタイラスコントロール)を用いてGUI250内でポインタ260を移動させることによる等、GUI250と対話することができる。一例では、1つまたは複数の電極258A〜258Dを刺激電極として選択するために、臨床医は、ポインタ260を1つまたは複数の電極258A〜258Dまで移動させ、ボタンをクリックするかまたは他の方法で電極を選択する入力を提供する。別の例として、臨床医は、電極に関連する英数字識別子をGUI250によって提示されるテキストボックス内に手動で入力し(たとえばテキストボックスに「電極1」とタイプすることにより)、電極に関連するボックスをチェックすることにより、またはあらゆる適切な技法を用いることにより、1つまたは複数の電極258A〜258Dを刺激電極として選択することができる。
1つまたは複数の電極258A〜258Dを選択する臨床医の入力を受け取ると、プログラマ14のプロセッサ80は、図9に関して上述したように、1つまたは複数の生体電気脳信号に基づいて電極選択を確認することができる。たとえば、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46を制御し、臨床医が選択した電極により1つまたは複数の生体電気脳信号を検知し、またはメモリ82から検知された生体電気脳信号を検索するように、IMD16のプロセッサ40に対して命令を送信することができる(図2)。プロセッサ80は、IMD16のプロセッサ40またはメモリ82から信号を受け取り、生体電気脳信号の1つまたは複数の特性を確定することにより、生体電気脳信号が、選択された電極が標的組織部位に近接しているかまたは少なくとも刺激が誘発する副作用に関連する組織部位から間隔が空けられていることを示すか否かを判断することができる。
いくつかの例では、臨床医は、GUI250によって表示される解剖学的構造252に対する電極の位置に基づいて、リードアイコン254の1つまたは複数の電極258A〜258Dを刺激電極として選択する。たとえば、臨床医は、1つまたは複数の標的組織部位に近接して表示され、かつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接して位置決めされる電極258A〜258Dを選択することができる。GUI250と対話するために必要な知識を低減するために、プロセッサ80は、1つまたは複数の標的組織部位および/または刺激が誘発する副作用に関連するあらゆる組織部位を強調表示するかまたは他の方法でマークすることができる。プロセッサ80は、組織部位を異なる色で表示することにより、組織部位に輪郭を描くことにより、または臨床医が組織部位を視覚的に特定するのに役立つ他のあらゆる技法を用いることにより、組織部位を強調表示することができる。
解剖学的構造252に対する電極258A〜258Dの位置に基づいて、刺激電極としてリードアイコン254の1つまたは複数の電極258A〜258Dを選択することに加えてまたはその代りに、臨床医は、治療野256に基づいて刺激電極としてリードアイコン254の1つまたは複数の電極258A〜258Dを選択することができる。治療野256は、IMD16が、特定の電極の組合せおよび刺激信号を定義するパラメータ値(たとえば、電流振幅または電圧振幅、パルスレート、パルス幅、周波数および/またはデューティサイクル)等、一組の刺激パラメータ値を介して刺激を送達する時に、治療が送達される患者の組織の領域を表す。プロセッサ80は、臨床医によって選択される(たとえば、上述した技法を用いて)1つまたは複数の電極258A〜258Dと、メモリ82によって格納されるかまたはユーザインタフェース84を介して臨床医によって入力される一組の刺激パラメータ値(たとえば、電流振幅または電圧振幅、パルスレート、パルス幅、周波数および/またはデューティサイクル)とに基づいて、治療野256を生成する。
いくつかの例では、治療野256は、患者の解剖学的構造と刺激パラメータ値を定義する治療プログラムとに基づいて生成される電場であり、治療野256は、治療中に電場によって覆われることになる患者の解剖学的領域のいくつかの領域を表す。たとえば、プロセッサ80は、図7に関して上述し、かつGoetzらによる米国特許出願公開第2007/0203541号およびStoneらによる米国特許出願公開第2007/0203546号にさらに詳細に記載されているように、組織インピーダンスモデル、電場伝播モデル等に基づいて治療野256を生成することができる。
他の例では、治療野256は、患者の標的解剖学的領域において電場によって活性化される神経または筋肉組織たとえばニューロンを示す活性場である。プロセッサ80が表示することができる他のタイプの治療野256には、組織導電率が一般的な人間の組織の特性または患者12に特定の組織の特性に基づいて確定される、電場の電流密度場または電圧勾配場が挙げられる。GUI250のいくつかの例では、臨床医は、ボタン266を選択することによって表示されるプルダウンメニューから治療野のタイプを選択することによる等、これらのタイプの治療野のあらゆるものを切り換えることができてもよい。
図18に示すGUI250の例では、治療野256は、他の直交像でさらに定義することができる体積電場の断面像である。図18には治療野256の2D像を示すが、他の例では、プロセッサ80は、治療野の3D像を表示する。このように、GUI250は、選択された電極の組合せに従って刺激送達によって影響を受ける組織の3D体積を示す治療野256を含むことができる。
プロセッサ80は、人間の組織の一般的な物理特性と、患者12に植え込まれたリード20Aまたは20Bの電極の既知の物理的特性とに基づいて確立された電場256のサイズおよび形状を確立することができる。言い換えれば、GUI250に表示される治療野256は、単に、特定の患者12の脳28内において電場がどうであるかの近似であり得る。しかしながら、いくつかの例では、治療されている患者12の実際の解剖学的構造の物理特性を用いて治療野256を生成することができる。この解剖学的構造情報を、CT、MRIまたは他のあらゆる体積撮像システム等、撮像モダリティによって生成され、かつメモリ82(図4)の患者の解剖学データに格納された患者の解剖学的データの形式として、プログラマ14のメモリ82によって格納することができる。
いくつかの例では、臨床医は、刺激電極として1つまたは複数の電極258A〜258Dを選択し、プロセッサ80は、選択された電極の組合せに基づいて治療野256を生成し表示する。臨床医は、GUI250を見て、治療野256が標的組織部位と十分にオーバラップしていないかまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップしていると判断した場合に、プログラマ14のユーザインタフェース84(図3)と対話することによって、電極の選択を変更することができる。電極の選択を変更するユーザ入力に応じて、プロセッサ80は、治療野256を更新し、更新された治療野を表示することができ、それにより、臨床医は、刺激電極の選択に対する変更が治療野にいかに影響を与えたかを見ることができる。
GUI250内の特定の電極を特定することにより(たとえば、選択される電極にポインタ260を移動させ、マウスまたは別の周辺ポインティングデバイスによって電極の上をクリックすることにより)電極を選択する代りにまたはそれに加えて、臨床医は、治療野256を調整することによって1つまたは複数の電極258A〜258Dを選択することができる。そして、プロセッサ80は、治療野256を達成するために必要な刺激電極を確定することができる。さらに、いくつかの例では、プロセッサ80はまた、治療野256を達成するために必要な他の刺激パラメータ値(たとえば、刺激振幅または周波数)も確定する。
臨床医はまた、リードアイコン254の長さに沿って治療野256を移動させることも可能であり、プロセッサ80は、治療野256を生成するようにいずれの電極レベルを活性化するべきかを自動的に選択することができる。さらに、図18に示す例では、臨床医(または他のユーザ)は、ポインタ260を用いて治療野256をドラッグし、より低いかまたは高い電圧振幅または電流振幅に対応するより小さいかまたはより大きいサイズを定義することができる。たとえば、ユーザは、治療野256の境界または周辺をクリックした後、境界をドラッグして治療野256を拡大または収縮させることができる。さらにまたは別法として、臨床医は、ポインタ260を用いて、制御スライド270を、治療野256のサイズをわずかに増大させるように上方にまたは治療野256のサイズをわずかに低減させるように下方に移動させることができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、治療野256が特性を変化させると、実際の電極258A〜258DまたはGUI250における治療野256に関連する他の刺激パラメータ値を表示する。
プログラマ14のプロセッサ80は、治療野256の移動の速度を制限することができる。言い換えれば、治療野256を、GUI250、または臨床医が治療野をドラッグするのを可能にする他の何らかのユーザインタフェース内で、1秒辺り数回の段階でのみ移動させることができる。この移動速度の制限により、プロセッサ80による不要な計算を防止することができる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、患者12にいくつかの効果的な結果を提供するものと事前に確定された最小閾値電圧によって、治療野256の初期サイズを確定する。治療野256のサイズを、ユーザまたはプロセッサ80によって事前に定義された体積パラメータ値または最大電圧制限によって制限することができる。制限を、IMD16の能力または患者12に対する安全な電圧レベルもしくは電流レベルに関連付けることができる。治療野256の最大サイズが満たされると、臨床医は、それ以上、治療野のサイズをリードアイコン254から離れるようにドラッグすることができない可能性がある。治療野256は、臨床医が2つ以上の電極レベル258A〜258Dを選択した場合、サイズを増大させるかまたは分割することができる。プロセッサ80は、治療野モデル256を生成するために用いられる式に基づいてこれらの判断を行うことができる。
臨床医が治療野256を変更するように調整することができる装置、システムおよび技法の例は、Goetzらによる米国特許出願公開第2007/0203541号およびStoneらによる米国特許出願公開第2007/0203546号にさらに詳細に記載されている。Goetzらによる米国特許出願公開第2007/0203541号に記載されているシステムおよび技法によれば、プログラマ18のプロセッサ80は、ユーザが、選択された電極の組合せを介する治療送達によって生成された電気刺激野(すなわち、一種の治療野)の表現を操作することができるようにするユーザインタフェースを、ユーザに提示することができる。そして、プロセッサ80は、プログラマ14のユーザインタフェースを介してユーザによって作成される刺激野に最もよく適合する、適切な電極の組合せ、電極の極性、電気刺激の振幅、パルス幅およびパルスレートを選択することができる。
十分な治療野256をもたらす1つまたは複数の電極258A〜258Dを確定した後、臨床医は、電極の選択を確認するためにボタン268を選択することができる。臨床医入力を受け取ると、プログラマ14のプロセッサ80は、図9に関して説明したように、1つまたは複数の生体電気脳信号に基づいて電極の選択を確認することができる。たとえば、プロセッサ80は、臨床医が選択した電極によって1つまたは複数の生体電気脳信号を検知するようにIMD16の検知モジュール46を制御する命令を、IMD16のプロセッサ40に送信することができる(図2)。プロセッサ80は、IMD16のプロセッサ40から信号を受け取り、生体電気脳信号の1つまたは複数の特性を確定して、生体電気脳信号が、選択された電極が標的組織部位に近接しているか、または少なくとも、刺激が誘発した副作用に関連する組織部位から間隔が空けられていることを示すか否かを判断することができる。
他の例では、プログラマ14は、患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造252およびリードアイコン254のグラフィカル表現のみ等、他のタイプのデータを含む生理学的モデルを表示することができ、その場合、生理学的モデルを、解剖学的モデルと呼ぶことができる。別の例として、生理学的モデルは、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造252および治療野モデル256のグラフィカル表現のみを含むことができ、その場合、生理学的モデルを治療野モデルと呼ぶことができる。別のタイプの治療野モデルは、治療野モデル256およびリードアイコン254のグラフィカル表現のみを含む。プログラマ14(または別のコンピューティングデバイス)のプロセッサ80は、植え込まれたリード20の電極24、26に近接する組織を搬送することに関するあらゆる適当な情報を含む生理学的モデルを生成することができる。
プログラマ14等のコンピューティングデバイスは、ユーザがIMD16をプログラムするために対話することができる複数のGUIを提示することができる。IMD16のプログラミングは、たとえば、IMD16が生成し患者12に送達する刺激信号を定義する1つまたは複数の刺激パラメータ値を選択すること、および/またはIMD16が患者12の脳28(図1)内の標的組織部位に電気刺激を送達する際に用いられる1つまたは複数の刺激電極を選択することを含むことができる。図19A〜図19Mは、プログラマ14のユーザインタフェース84によって表示されるグラフィカルユーザインタフェース画面例の概念図である。グラフィカルユーザインタフェース画面は、各々、ユーザが1つまたは複数の刺激電極を選択するために対話することができるインタフェースを提供し、それら刺激電極により、IMD16は、それぞれの検知電極の組合せによって患者の脳内で検知された1つまたは複数の生体電気脳信号と、患者の脳内において電極に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す1つまたは複数の生理学的モデルとに基づいて、患者12に治療を送達する。図19A〜図19Mに示す画面は、ユーザが1つまたは複数の刺激電極を選択するためにプログラマ14のプロセッサ80と対話することができるGUIを示す。
図19Aは、プログラマ14のプロセッサ80がプログラマ14のユーザインタフェース84のディスプレイを介して提示することができるGUI280の概念図である。GUI280は、複数のタブ282、284、286、288、290、292を含む。ユーザは、プログラマ14の種々の特徴にアクセスするためにタブ282、284、286、288、290、292のうちの1つを選択することができる。ユーザは、たとえば周辺ポインティングデバイス(たとえば、マウス、スタイラスまたはタッチスクリーンの場合は指)を用いてGUI280内のカーソルをタブの上で移動させ、たとえばマウスのボタンをクリックし、タブアイコンをダブルクリックし、表示されたタブを押下し、キーパッドまたはキーボード上のエンターボタンを押し下げる等により、タブを選択する入力を提供することによって、タブ282、284、286、288、290、292を選択することができる。他の例では、ユーザは、タブに関連する名前を、GUI280によって提示されるテキストボックスに手動でタイプ入力するかまたは別の技法を用いることにより、タブ282、284、286、288、290、292を選択することができる。
ユーザによってタブ282、284、286、288、290、292の各々が選択されると、プログラマ14のプロセッサ80は、それぞれのグラフィカルユーザインタフェース画面を提示し、それにより、ユーザは、IMD16をプログラムするか、または患者データにアクセスしかつ/またはプログラマ14のメモリ82かまたは別のメモリ(たとえばリモートデータベース)によって格納されるように患者データを入力することができる。たとえば、要約タブ282を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザが患者および/または治療システムハードウェア情報を選択することができる画面等、IMDプログラミングプロセスを開始するための情報を表示することができる。さらに、いくつかの例では、要約タブ282内において、プロセッサ80は、患者12に植え込まれたリード20の現モデル、患者12に植え込まれたIMD16の現モデル、および該当する場合は、IMD16が患者12に治療を送達する際の電流刺激パラメータ値に関する情報を提供することができる。さらに、いくつかの例では、プロセッサ80は、リード完全性(たとえば、最近の電極インピーダンス試験の結果)およびバッテリステータスに関する情報を提供することができる。要約タブ282はまた、患者の名前、年齢、体重、身長、診断、投薬等のうちのあらゆる1つまたは複数等の患者情報を表示するための1つまたは複数の画面を含むことも可能である。
プログラムタブ284を選択すると、プロセッサ80は、1つまたは複数のグラフィカルユーザインタフェース画面を提示することができ、ユーザはそれと対話して、図19E〜図19Iに関して説明するように、1つまたは複数の刺激パラメータ値および/または電極の組合せを選択することができる。いくつかの例では、プログラミング画面は、プロセッサ80が、IMD16のプログラミングの種々のステップ(たとえば、それぞれの治療パラメータ値の選択に関連するステップ)を通してユーザを誘導する画面を、所定の順序で提示する。他の例では、プロセッサ80は、画面をいかなる特定の順序で提示しない場合もあり、単に、ユーザが所望のプログラミング画面を選択するメニューを提示してもよい。いくつかの例では、いずれの場合も、プロセッサ80は、ユーザが、種々のプログラミング画面をあらゆる特定の順序で移動することができるようにしてもよい。
履歴タブ286が選択されると、プロセッサ80は、特定の患者に対する現プログラミングセッションおよび/または先のプログラミングセッションと、場合によっては、IMD16または別の植込み型医療機器もしくは外部医療機器によって検知される患者12の生理学的パラメータ値とに関する情報を提供することができる。ユーザは、報告タブ288を選択して、患者12に対する現プログラミングセッションと、場合によっては患者12に対する過去のプログラミングセッションとに関する報告を見ることができる。プロセッサ80は、ユーザに対し、グラフおよび円グラフ等、種々の報告フォーマットを提供することができ、いくつかの例では、プロセッサ80は、ユーザが種々の方法で(たとえば、IMD16が特定の治療プログラムに従って治療を送達した時間の割合等、IMD16による治療送達に関する種々の統計を生成するために)データを操作することができる画面を提示することができる。
インポート/エクスポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、患者12に関する情報(たとえば、患者状態、患者12に植え込まれたIMD16およびリード20のタイプ等)を格納することができる遠隔測定モジュール86(図4)を介して、IMD16またはリモートデータベース等、別のデバイスからデータをインポートすることができる。別のデバイスから情報をインポートすることに加えてまたはその代りに、インポート/エクスポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、遠隔測定モジュール86(図4)を介して別のデバイス(たとえば、IMD16、リモートコンピューティングデバイスもしくはローカルコンピューティングデバイスまたはプリンタ)にデータをエクスポートすることができる。データは、たとえば、プログラミングセッション中に選択された1つまたは複数の治療パラメータ値または刺激電極を含むことができる。プログラマ14はまた、ヘルプオプションも含むことができ、それによってユーザは質問を入力することができ、プロセッサ80は回答があるかデータベースを探索することができる。プログラマ14のこの特徴にアクセスするために、ユーザは、ヘルプタブ292を選択することができる。
図19Aに示す例では、要約タブ282を選択するユーザ入力を受け取ると、図19Aに示すように、プロセッサ80は、ユーザ識別(ID)294およびパスワード296を入力するようにユーザを促すGUI280を提示する。しかしながら、いくつかの例では、プロセッサ80は、プログラマ14の起動後の第1の画面としてGUI280を提示することができる。IMDプログラミングを、本質的に機密とすることができ、したがって、プログラミングデータにアクセスするセキュリティ対策を提供することが望ましい場合がある。さらに、権限のないユーザがIMD16をプログラムする可能性を最小限にするために、プログラマ14のプログラミング機能へのアクセスを制限することが望ましい場合がある。
ユーザによって提供されるユーザ識別294およびパスワード296が承認される(たとえば、それら識別およびパスワードを、プログラマ14のメモリ82またはリモートデータベースに格納されたユーザ情報と比較することにより)ことを確認した後、プロセッサ80は、GUI298を提示することができ、その概念図を図19Bに示す。GUI298は、ユーザが新たな患者に対してデータを入力するために選択することができる仮想ボタン300を含む。データ例として、限定されないが、識別情報(たとえば、患者の名前、住所および電話番号)、患者の健康情報(たとえば、患者状態、年齢、体重および身長)および患者12に植え込まれている治療システム10に関する情報(たとえば、IMD16およびリード20のモデルおよび/またはリード20の植込み位置)が挙げられる。GUI298はまた、ユーザが、既存のファイルを有する可能性がある患者を検索するために患者名または他の識別子(たとえば患者番号)を入力することができるテキストボックス302を含む。ユーザは、プログラマ14のユーザインタフェース84を介して英数字入力を提供することができ、ユーザインタフェース84としては、キーボード、キーパッド、マイクロホンおよび音声入力をテキストもしくは数字に変換する音声認識ソフトウェア、またはユーザから入力を受け取る他のあらゆる適当な入力機構を挙げることができる。
プログラミングセッションが実施される患者を示すユーザ入力を受け取った後、プロセッサ80は、患者名306を示しかつ患者12に関する情報を要約するGUI304を提示することができる。図19Cに示す例では、要約GUI304は、患者12に植え込まれたリード20の数、リードの位置、IMD16およびリード20のモデル、少なくとも1つの電極24、26を含むリード20の1つまたは複数の電気経路のインピーダンス(リード完全性を示すことができる)、バッテリステータス(たとえば残っているバッテリ寿命の推定値)、1つまたは複数の刺激電極を選択することができる活性電極24、26、および患者12に対して目下選択されている治療プログラムに関する情報を含む。GUI304は、患者12に対して処方された薬剤および患者の診断を列挙する種々雑多なセクションを含むことも可能である。図19Cに示す例では、患者の診断は、統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Score)(UPDRS)によって示される。しかしながら、患者の診断は、IMD16が管理するように実施される患者状態に応じて異なってもよい。
図19Dは、プログラマ14のプロセッサ80によって提示されるプログラミングGUI310の概念図である。一例では、プログラムタブ284が選択されると、プロセッサ80は、ユーザによって選択されるプログラミングオプションのメニュー312を含むGUI310を提示することができる。メニュー312は、手動プログラミングボタン314、誘導プログラミングボタン316、生理学ボタン318および生理学的モデルボタン320を含む。ボタン314、316、318、320の各々は、種々のプログラミング技法に関連し、それらプログラミング技法は、プログラマ14のプロセッサ80によって許可される刺激パラメータ値または電極の選択のユーザ制御のレベル、またはユーザによりIMD16のプログラミングを誘導するためにプロセッサ80によって提示される情報のタイプに基づいて、互いに異なる可能性がある。ボタン314、316、318、320の各々を選択する(たとえば、タブ282、284、286、288、290、292を選択することに関して上述した技法を用いる)ユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザインタフェース84のディスプレイにそれぞれのGUI画面を表示することができる。IMD16をプログラムするGUIの例については、図19E〜図19Iに関して説明する。
メニュー312はまた、パラメータ提案ボタン322を含む。図19Iに関して後にさらに詳細に説明するように、パラメータ提案ボタン322を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、患者12に対して効果的な刺激を提供する可能性がある刺激電極と、いくつかの例では、患者12に対して効果的な治療送達(たとえば、治療の利益を提供し副作用が最小限である治療送達)のための刺激パラメータ値を提案することができるGUI画面を生成し表示することができる。
図19Dに示す例では、プロセッサ80は、手動プログラミングオプション314に関連するGUI310を提示する。GUI310はプログラミング画面324を含み、それにより、ユーザは、種々の電極および他の刺激パラメータ値(たとえば、振幅、パルス幅および/または周波数)を選択し、選択された電極および刺激パラメータ値を用いて試験刺激を送達し、患者12に対する刺激の効果を確定しかつ記録することができる。誘導プログラミングオプション316が選択されると、プロセッサ80は、プログラミング画面324に類似するプログラミング画面を含むGUIを提示することができる。しかしながら、プログラマ14の誘導プログラミング機能は、プロセッサ80が、ユーザが刺激パラメータの少なくとも一部に対する値を選択する順序に対してより多くの制御を実行することができるという点で、手動プログラミングオプション314とは異なり得る。
いくつかの例では、生理学プログラミングオプション318を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、GUI330を提示することができ、その概略図を図19Eに示す。生理学プログラミングオプション318により、ユーザは、図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17に関して上述したように、電極によって検知された生体電気脳信号に基づいて一方または両方のリード20の1つまたは複数の電極を評価することができる。GUI330は、ユーザが、植え込まれた電極を介して1つまたは複数の生体電気脳信号を検知するために対話することができるユーザインタフェースを提供する。図19Eに示す例では、ユーザは、手動でまたはプロセッサ80を利用して、植え込まれた電極のアレイから1つまたは複数の刺激電極を選択し、かつ/または少なくとも、電極によって検知された生体電気脳信号に基づいて一方または両方のリード20の刺激電極をランク付けすることができる。
図19Eに示すGUI330の例では、GUI330は、ユーザが単一リード20Aの刺激電極24を評価することができるインタフェースを提供する。他の例では、プロセッサ80は、GUI330に類似するGUIを表示することができ、それにより、ユーザは、別のリード(たとえばリード20B)または一度に複数のリード(たとえば、図1に示すように患者12に複数のリードが植え込まれる場合)の刺激電極を選択しかつ/またはランク付けすることができる。このように、いくつかの例では、GUI330は、それぞれの電極24、26の組を備えた2つのリード20A、20Bを含むリード構成等、GUI330に概略的に示される他のリード構成の概略図を含むことができる。図19E〜図19Iを、主に、説明を簡単にするために、リード20Aの電極24のアレイから刺激電極を選択することに主に説明する。
GUI330は、ユーザが、IMD16によって検知された生体電気脳信号の対象となる周波数帯域を選択することができるメニューを含む。上述したように、生体電気脳信号は、EEG、ECoG、単一細胞記録またはLFPを含むことができる。いくつかの例では、IMD16の検知モジュール46(図2)は、たとえば生体電気脳信号であり得る、検知された患者パラメータ信号の1つまたは複数の選択された周波数帯域内のエネルギーレベルを抽出する周波数選択的検知回路を含む。したがって、いくつかの例では、メニュー332を介して周波数帯域が選択されると、プロセッサ80は、検知モジュール46を制御して、生体電気脳信号のユーザが選択した周波数帯域内のエネルギーレベルを抽出することができる。
いくつかの例では、検知モジュール46の周波数選択的検知回路は、チョッパ安定化スーパヘテロダイン計測用アンプおよび周波数解析ユニットを含むことができ、ヘテロダイン式、チョッパ安定化アンプ構造を利用して、生体電気脳信号等の生理学的信号の選択された周波数帯域を、解析用のベースバンドに変換することができる。生理学的信号を、1つまたは複数の選択された周波数帯域において解析して、本明細書に記載するように1つまたは複数の特徴を確定することができる。いくつかの例では、IMD16の検知モジュール(図2)は、1つまたは複数の患者パラメータを示す1つまたは複数の信号の同じかまたは異なる周波数帯域を抽出する複数のチャネルを含む。
本開示の技法、回路および装置に適しているかまたはそれらに適合され得るさまざまな追加のチョッパアンプ回路の例は、「チョッパ安定化計測用アンプ(CHOPPER STABILIZED INSTRUMENTATION AMPLIFIER)」と題し2008年1月10日に発行された、Denisonに対する米国特許第7,385,443号に記載されている。ヘテロダイン式、チョッパ安定化アンプ構造を利用することができる周波数選択的モニタの例は、「生理学的信号の周波数選択的モニタリング(FREQUENCY SELECTIVE MONITORING OF PHYSIOLOGICAL SIGNALS)」と題し、2007年9月26日に出願された、Denisonらによる米国仮特許出願第60/975,372号と、「生理学的信号の周波数選択的モニタリング(FREQUENCY SELECTIVE MONITORING OF PHYSIOLOGICAL SIGNALS)」と題し、2008年2月1日に出願された、Denisonらによる本願と同一の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/025,503号と、「周波数選択的EEG検知回路(FREQUENCY SELECTIVE EEG SENSING CIRCUITRY)」と題し、2008年7月24日に出願された、本願と同一の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/083,381号とに記載されている。チョッパアンプ回路のさらなる例は、「生理学的信号の周波数選択的モニタリング(FREQUENCY SELECTIVE MONITORING OF PHYSIOLOGICAL SIGNALS)」と題し、2008年9月25日に出願された、Denisonらによる本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0082691号にもさらに詳細に記載されている。
生体電気脳信号の重要な周波数帯域においてエネルギーを直接抽出する検知モジュール46を使用して、柔軟であり、ロバストでありかつ比較的低ノイズであるアーキテクチャを用いて、重要な生理学的周波数での帯域電力を抽出することができる。チョッパ安定化は、優れたプロセス耐性を有するマイクロパワー用途(たとえば植込み型機器)において低周波数神経信号を増幅するノイズおよび電力効率の高いアーキテクチャである。チョッパ安定化アンプを、広ダイナミックレンジの高Qフィルタを提供するように適合させることができる。チョッパ安定化アンプを含む検知モジュール46は、通信システムで使用されるスーパヘテロダイン受信機に類似する方法でエネルギーの標的帯域を直流(DC)に再度中心を置くようにするために、チョッパアンプ内のクロックをわずかにずらすことができる。いくつかの例では、選択された周波数帯域内の帯域電力を抽出するには、電力抽出断内で結合される2つの平行な信号経路(同位相かつ直交)が必要である。電力出力信号をローパスフィルタリングすることができ、それにより、周波数帯域においてスペクトルパワーの変動を表す出力がもたらされる。
周波数選択メニュー332は、ユーザが、患者非特定であるかまたは患者特定の周波数帯域であり得る所定の周波数帯域334か、または他の方法でユーザが指定した周波数帯域336から選択することができるボックスを含む。たとえば、ユーザは、たとえば、周辺ポインティングデバイス、タッチスクリーンまたは別の入力機構を介して、メニュー332に示される対象となる周波数帯域に隣接するボックスをチェックする入力を提供することができる。対象となる周波数帯域が表示されない場合、いくつかの例では、ユーザは、たとえばキーボード、キーパッドまたは別の入力機構を介して、周波数帯域を選択する入力を提供することができる。
患者12の脳28内の種々の活動に、種々の周波数帯域が関連する。脳28内で検知される生体電気脳信号のいくつかの周波数帯域成分は、特定の患者状態(たとえば症状)と患者状態の異常な脳活動症状を、他の周波数成分より明らかにする可能性があると考えられる。ユーザは、メニュー332から周波数帯域を選択するか、またはIMD16が管理するように実施される患者状態に基づいて患者特定の周波数帯域を入力することができる。周波数帯域の一例を表1に示す。
表1に示す周波数帯域に対する周波数範囲は、単に例である。周波数範囲は他の例では異なってもよい。たとえば、周波数帯域に対する周波数範囲の別の例を表2に示す。
一例では、ユーザは、患者12に特定の情報に基づいて、または2人以上の患者12から収集されたデータに基づいて刺激電極の組合せを選択する生体電気脳信号の周波数帯域を選択することができる。上述したように、患者状態を管理するための刺激に対する標的組織部位を特定するために有用な周波数帯域を、特定の患者12に特定とすることができ、または同様の状態の患者の群に汎用とすることができる。プロセッサ80は、いくつかの例では、ユーザによって示される患者状態に基づいて、検知された生体電気脳信号から抽出すべき周波数帯域を提案することができる。いくつかの例では、いくつかの電極24は、単に刺激を検知するかまたは刺激を送達するのみであってもよく、その場合、プロセッサ80は、IMD16がGUI330を介して生体電気脳信号を検知することができる電極の組合せに対するこうした制約を示すことができる。
GUI330はまた、格納ボタン338、実行ボタン340およびランクボタン342を含む。ボタン334、336、342は、本明細書に記載する他のGUIの他のボタンと同様に、それぞれのGUI内の選択可能なオブジェクト(たとえば、本明細書ではボタンまたは仮想ボタンとも呼ぶ)として表示される。ユーザは、GUI330内で所望のボタン334、336、342の上でカーソルを移動させ、選択されたボタンの上でカーソルをダブルクリックすることにより、カーソルが選択されたボタンの上にある間にエンターボタン(たとえばキーボードまたはキーパッド上)を選択することにより、または他のあらゆる適当な技法を用いる等により、あらゆる適当な技法を用いてボタン334、336、342を選択することができる。他の例では、ボタン334、336、342は、GUI330内に表示されるオブジェクトではないが、専用の物理的に押下可能なボタンか、またはプログラマ14のユーザインタフェース84の一部であるソフトキーである。
実行ボタン340を選択するユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のプロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46を制御して、たとえば図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17に関して説明した技法のうちの1つまたは複数を使用して、リード20Aの電極24を用いて複数の生体電気脳信号を検知することができる。たとえば、プログラマ14のプロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46を制御して、単極構成でリード20Aの各電極24を用いて、または双極構成でリード20Aの電極24の各組合せを用いて、生体電気脳信号を検知することができる。いくつかの例では、実行ボタン340を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、IMD16のプロセッサ40に対して命令(たとえば信号)を送信することができ、プロセッサ40は、それにより、検知モジュール46を制御して生体電気脳信号を検知することができる。命令を、プログラマ14からIMD16に、それぞれの遠隔測定モジュール86、50を介して送信することができる。
IMD16が、たとえば図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17に関して説明した技法のうちの1つまたは複数を用いて、生体電気脳信号を検知した後、ユーザは、標的組織部位に対する電極の近接性に基づいて電極をランク付けすることができる。図19Eに示すGUI330の例では、ユーザは、電極24のランク付けが望まれることを示す入力をプロセッサ80に提供するために、ランクボタン342を選択することができる。ランクボタン342を選択するユーザ入力を受け取ることに応じて、プロセッサ80は、ユーザがメニュー332を介して信号を解析するための周波数帯域を選択したか否かを判断することができる。周波数帯域が選択されていなかった場合、プロセッサ80は、メモリ82に格納されているデフォルト周波数帯域に基づいて生体電気脳信号を解析することができる。他の例では、周波数帯域が選択されていなかった場合、プロセッサ80は、ユーザにテキスト文字によるプロンプトおよび/または強調表示メニュー332を表示すること等により、ユーザに対し、周波数帯域を選択するように促すことができる。
ランクボタン342を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46によって検知された生体電気脳信号の少なくとも1つの特性に基づいて電極24を自動的にランク付けする。いくつかの例では、プロセッサ80は、電極によって検知された生体電気脳信号のユーザが選択した周波数帯域内の電力レベルによって示すことができる、標的組織部位に対する電極の近接性に基づいて、電極24をランク付けする。標的組織部位への近接性に基づいて電極24、26を自動的にランク付けするようにプロセッサ80が実施することができる技法例は、Molnarらによる米国特許出願第12/639,717号および同第12/639,678号にさらに詳細に記載されている。他の例では、プロセッサ80は、図12、図13、図15A〜図15C、図16および図17に関して説明した技法のうちの1つまたは複数を実施して、いずれの電極24、26が標的組織部位に最も近いかを判断する。
Molnarらによる米国特許出願第12/639,717号および同第12/639,678号にさらに詳細に記載されているように、いくつかの例では、標的組織部位への電極の近接性を、選択された周波数帯域(たとえばメニュー332における周波数帯域選択によって示される)における相対的な帯域電力(またはエネルギー)レベルに基づいて確定することができる。相対的な帯域電力は、検知された信号の総電力に対する検知された信号のベータ帯域における電力の比であり得る。したがって、いくつかの例では、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46が、標的組織部位に最も近い電極として相対的なベータ帯域電力が最大である生体電気脳信号を検知した際に用いられた電極24をランク付けする。
他の例では、Molnarらによる米国特許出願第12/639,717号および同第12/639,678号にさらに詳細に記載されているように、標的組織部位に対する電極の近接性を確定するために、プロセッサ80は、治療を送達する標的組織部位が2つの検知電極の間に位置することができる時にいずれの電極が標的組織部位に最も近いかを示す、図15A〜図15Cに関して説明したもののようなアルゴリズムを実施することができる。標的組織微が、2つの検知電極の間に直接位置する場合、検知電極のうちのいずれが標的組織部位に最も近いかを判断するには、選択された周波数帯域内で相対的な電力レベルが最も高い生体電気信号を検知した1つまたは複数の電極を単純に確定するより、複雑な技法が必要であり得る。本明細書に記載する例では、プロセッサ80は、標的組織部位の最も近くに位置する1つまたは複数の電極を確定するために、標的組織部位が検知された電極の間に位置するか否かを判断するアルゴリズム(メモリ82または別のメモリによって格納される命令として格納することができる)を実行することができ、それを標的組織部位の最も近くに位置する1つまたは複数の電極を確定するために適用することができる。アルゴリズムは、相対的なベータ帯域電力レベルの複数の相対値を確定することであって、各相対値が、2つの異なる電極によって検知された2つの生体電気信号の相対的なベータ帯域電力レベルに基づく、確定することと、複数の相対値に基づいて標的組織部位に最も近い1つまたは複数の検知電極を選択することとをさらに含む。
いくつかの例では、GUI330は、患者12に植え込まれた1つまたは複数のリード(図19Eに示す例では、例示を簡単にするために1つのリードのみを示す)のグラフィカル表現334と、生体電気脳信号に関連するデータとを含む。たとえば、図19Eに示す例では、GUI330は、植え込まれたリードの電極の種々の群の各々を介して検知された生体電気脳信号の電力分布を示すグラフ346と、植え込まれたリードの電極の種々の群によって検知されるピーク電力レベルを示すグラフ348とを含む。他の例では、プロセッサ80は、GUI330において、他のフォーマットのグラフ(たとえば線グラフ)または他のタイプの情報を提供するグラフ等、他のタイプのグラフを含むことができる。
電極24を自動的にランク付けした後、プロセッサ80は、GUI330の種々のデータ画面を更新することができる。たとえば、図19Eに示す例では、プロセッサ80は、標的組織部位に対する電極24のランク付けを示すように、リード20Aおよび電極24のグラフィカル表現344を更新する。図19Eに示すGUI330の例では、プロセッサ80は、電極24Dが標的組織部位に最も近く、電極24Cが標的組織部位に2番目に近く、電極24Bが標的組織部位に3番目に近く、電極24Aが標的組織部位に4番目に近いと判断している。GUI330は、電極ランク付けのテキスト指示を含み、それにより、ユーザは、GUI330を見て、電極を介して検知された生体電気脳信号に従っていずれの電極24が標的組織部位に最も近いかを比較的迅速に確認することができる。他の例では、電極ランク付けの他の指示を用いることも可能である。たとえば、他の例では、プロセッサ80は、標的組織部位に対する確定された近接性に基づいて電極24のグラフィカル表現を色分けすることができる。
電極24がランク付けされる順序は、いずれの電極が最も効果的な刺激治療を提供することができるかを示してもよく、または必ずしも示さない可能性もある。たとえば、図19Eに示す例では、電極24Dが標的組織部位に最も近いが、後に、電極24Dを介して送達される刺激治療により、刺激治療が電極24Cを介して送達される時には存在しない刺激が誘発する副作用をもたらすと判断される可能性がある。こうした場合、副作用を示すユーザ入力に基づいて、ユーザまたはプロセッサは、刺激を送達するために次にランクが高い電極または異なる電極を選択することができる。
プロセッサ80は、図19Eに示すように、電極がリード20Aの長手方向軸に実質的に沿った方向にずれている場合に、標的組織部位に対する近接性に基づいて電極をランク付けすることができる。さらに、いくつかの例では、プロセッサ80は、一方または両方のリード20の長手方向軸によって示される方向以外の方向に電極が配置されている場合に、標的組織部位に対する近接性に基づいて電極をランク付けすることができる。たとえば、プロセッサ80は、図16および図17に関して説明したアルゴリズムのうちの1つまたは複数を実施して、リードの長手方向軸に沿った軸方向の位置を共有するが、半径方向の位置が異なる複数の分割電極または部分リング電極の各々によって示される方向(たとえばリードの長手方向軸に対して実質的に垂直な方向)において、標的組織部位の位置を特定するのに役立つことができる。これらの例では、リード20Aのグラフィカル表現344を、相対的な電極の配置および電極のランク付けを含むように更新することができる。
グラフ346は、植え込まれたリード20Aの電極24の種々群の各々を介して検知される生体電気脳信号の電力分布を示す。特に、図19Eに示す例では、グラフ346は、双極電極構成で電極24Dおよび24Cによって検知された第1の生体電気脳信号350と、双極形態で電極24Cおよび2Bによって検知された第2の生体電気脳信号352と、双極構成で電極24Bおよび24Aを介して検知された第3の生体電気脳信号354との電力分布を示す。グラフ346は、電極24を介して検知された生体電気脳信号350、352、354の相対的な電力レベルに関連する有用な情報と、2つ以上の周波数帯域に対する電力レベルの分布とを提供することができる。ユーザは、たとえば、グラフ346に基づいて、電極24Dおよび24Cを介して検知された第1の生体電気脳350信号が、電極24Bおよび24Aを介して検知された第3の生体電気脳信号354よりはるかに総電力レベルが高かったということを比較的迅速に判断することができる。ユーザはまた、グラフ346に基づいて、電極24Dおよび24Cを介して検知された第1の生体電気脳信号350が、電極24Bおよび24Aを介して検知された第3の生体電気脳信号354より特定の周波数内の総電力レベルがはるかに高かったことを比較的迅速に判断することも可能である。
グラフ348は、標的組織部位が電極24Dの最も近くに位置するシナリオに対して、リード20A(電極24A〜24Dを含む)の各電極の組合せの相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を示す。図19Eに示す例では、両グラフ346および348は、Redmond、WashingtonのMicrosoft Corporationによって市販されているMicrosoft Office Excelを用いて生成されている。標的組織部位は、点源としてモデル化されており、検知電極の各々によって検知された細胞外電位が、以下の式を用いて確定された。
式中、Veは細胞外電位であり、Isrc(Isource)はモデル化された点源の大きさであり、σは細胞外媒体組織の導電率であり、rは点源と記録部位との間の距離である。この場合、σは、1メートル辺り0.23シーメンスとしてモデル化され、rは、電極が配置されるリードの長手方向軸から1ミリメートルであるものとしてモデル化されている。電位(たとえば、生体電気脳信号を表すことができる)は、直線状リードに沿った4つの位置で検知された。各位置の間の3ミリメートルの間隔を用いて、各々の間に3ミリメートルの間隔がある複数の電極を含む、1つのタイプの一般に使用される直線状リードにおける電極間の間隔がモデル化された。他の例では、電極は、異なる間隔、たとえば2ミリメートルを有していてもよい。
グラフ348は、複数の電極の組合せに対して相対的なベータ帯域電力レベルの相対値を示し、それにより、相対的なベータ帯域電力レベルの相対値は、単極構成で第1の電極によって検知された第1の生体電気脳信号のベータ帯域電力レベルと、単極構成で第2の電極24Dによって検知された第2の生体電気脳信号のベータ帯域電力レベルとの絶対差を示す。図19Eに示す例では、グラフ348は、電極の組合せ24A−24Bが、およそ12.9243ミリボルト(mV)の相対値356を有し、電極の組合せ24B−24Cが、およそ29.3284mVの相対値358を有し、電極の組合せ24C−24Dが、およそ116.865mVの相対値360を有し、電極の組合せ24A−24Dが、およそ159.117mVの相対値262を有するシナリオを示す。相対値360が相対値358より大きく、かつ相対値358が相対値356より大きいため、プロセッサ80は、図15A〜図15Cに示すもののようなアルゴリズムを実施する時、電極24A〜24Cと比較して標的組織部位が電極24Dに最も近いと判断する。
ユーザは、生体電気脳信号を確定し、メニュー332を介してユーザによって選択された周波数帯域内の周波数領域特性に基づいて電極をランク付けした後、格納ボタン338を選択することによって電極のランク付けを格納することができる。格納ボタン338を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、プログラマ14のメモリ82または別のデバイスのメモリに、GUIによって示されるリード20Aのグラフィカル表現344によって表示される電極24の現ランク付けを格納することができる。電極のランク付けを格納する代りにまたはそれに加えて、ユーザは、メニュー332を介してユーザによって選択された周波数帯域内の異なる周波数領域特性によって示されるように、標的組織部位に対する近接性に基づいて、電極のランク付けを再実行するように選択することができる。ユーザは、メニュー332を介して別の周波数帯域を選択し、その後、実行ボタン340を選択することができる。
ユーザは、さまざまな理由で電極24の種々の組合せを介して生体電気脳信号の検知を再実行することができる。たとえば、ユーザは、グラフ346を検討して、選択された周波数帯域内の生体電気脳信号の各々の電力分布が比較的同じであり、それにより、選択された周波数帯域が電極24をランク付けするのに有用ではないことが示されていると判断することができる。別の例では、ユーザは、グラフ348を検討し、電極24の種々の対のピーク電力分布が、比較的同じであるか、または少なくとも、標的組織部位に対する近接性に基づいて電極24をランク付けするのに役立たないレベルであると判断することができる。いくつかの例では、試行錯誤を利用して、標的組織部位を明らかにし、かつ標的組織部位に対する電極24の近接性を識別するに有用である特定の周波数帯域を確定することができる。ユーザが、広い周波数帯域が、特定の患者状態に関連する標的組織部位を明らかにすることを知っている可能性があるが、特定の下位周波数帯域は、1回または複数回の試行ランク付けがGUI330を介して行われるまで既知ではない可能性がある。
図19Fに示すように、プログラマ14のプロセッサ80はまたGUI370も提示することができ、ユーザはそれと対話して、植え込まれたリード20に近接する患者12の組織の生理学的モデルに基づいて、IMD16が患者12に刺激を送達する際に用いられる1つまたは複数の刺激電極を選択することができる。図8および図9に関して説明したように、プロセッサ80は、検知された生体電気脳信号に基づいて、たとえば図19Eに示すGUI330を用いて生成される患者データに基づいて、1つまたは複数の刺激電極の組合せを選択し、生理学的モデル、たとえば、GUI370によって表示される生理学的モデルに基づいて、電極の組合せの選択を確認することができ、または、プロセッサ80は、生理学的モデル、たとえばGUI370を用いて生成される患者データに基づいて1つまたは複数の刺激電極の組合せを選択し、生体電気脳信号に基づいて電極の組合せの選択を確認することができる。ユーザは、たとえば図19Eに示すGUI330に関して説明したように、標的組織部位に対する電極の近接性に基づいて電極24をランク付けする前にまたはランク付けした後に、GUI370を見ることができる。
プロセッサ80は、生理学的モデルボタン320を選択するユーザ入力を受け取ると、GUI370を表示することができる。生理学的モデルボタン320は、植え込まれた電極に近接する患者12の組織の特性を示す生理学的モデルに基づいて、IMD16が患者12に刺激を送達する際に用いられる1つまたは複数の刺激電極を選択するオプションを、ユーザに提供する。図18に関して上述したように、プログラマ14は、臨床医が、リード位置、1つまたは複数の解剖学的構造および/または治療野(たとえば活性化される組織の体積)を視覚化するのに役立つ生理学的モデルを生成しかつ表示することができる。GUI370は、生理学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの別の例である。
GUI370は、植え込まれた電極24に近接する患者12の組織372のグラフィカル表現と、組織372のグラフィカル表現によって示される脳28の大脳半球を示すインジケータ374と、組織372のグラフィカル表現によって示される組織の詳細を制御するメニュー376、378と、ユーザが1つまたは複数の刺激パラメータ値を変更するために対話することができるさまざまなユーザインタフェース機構とを含む。図19Fに示す例では、GUI370は、電極選択コントロール380、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384、周波数コントロール386、リード388のグラフィカル表現およびケース電極389のグラフィカル表現を含む。リード388のグラフィカル表現は、電極24のグラフィカル表現を含む。治療システム10がケース電極を含まない例等、いくつかの例では、GUI370は、ケース電極389のグラフィカル表現を含まない場合があり、またはケース電極389は、GUI370に含まれるが、非選択可能オブジェクトとして含まれる場合があり、それにより、ユーザは、刺激電極としてケース電極389を選択することができない。
図19Fに示す例では、組織372のグラフィカル表現は、リード20が脳28内に植え込まれるため、患者12の脳28内の組織のグラフィカル表現を示す。さらに、図19Fに示す例では、脳28の組織の画像、特に脳28の横断像が示されている。他の例では、GUI370に、脳28の少なくとも一部の概略表現(たとえばコンピュータ支援レンダリング)かまたは脳28以外の患者12の領域における組織の画像もしくは概略表現等、他のタイプのグラフィカル表現を含めることができる。図19Fに脳28の一部が示されており、患者12は、脳28内に2つのリード20が植え込まれているため、インジケータ374は、GUI370によって示される脳28に対して大脳半球を示す。しかしながら、リードが組織の別の領域に植え込まれる例等、他の例では、インジケータ374は、異なる領域(たとえば、GUI370によって示す中線の側部)を提供することができる。さらに、いくつかの例では、GUI370は、インジケータ374を含まない場合もある。
図19Fに示す例では、脳28の右脳に植え込まれるリード20Aに近接する組織が示されている。治療システムが複数のリードを含む例では、プロセッサ80は、植え込まれたリードの各々に対してGUI370に類似する別個のGUI、および/または複数のリードに近接する組織を示す単一のGUIを生成しかつ表示することができる。たとえば、治療システム10に関して、プロセッサ80はまたGUI370に類似するGUIを生成しかつ表示することができ、ユーザはそれと対話して、生理学的モデルに基づいて刺激電極としてリード20Bの1つまたは複数の電極26を選択することができる。このように、GUI370の説明は、リード20Bに近接する組織を示すGUIの説明にも適用可能であり得る。
リード20は、脳28の体積内に植え込まれる。このため、プロセッサ80が、図19Fに示すように脳28の2D像を提示する場合、脳28の1つの深さのみにおける組織かまたは1つの角度から見た組織の表現を示すことができる。図19Fに示す例では、GUI370は、ユーザが、組織372の表示されたグラフィカル表現によって示される脳28の像を選択することができるオプションを含む。ユーザは、メニュー376と対話して、組織372のグラフィカル表現によって示される脳28の組織の像を選択することができる。一例では、図19Fに示すように、メニュー376は、ユーザがリード20Aの植え込まれた電極24(図1に示すように脳28の右脳に植え込まれる)に近接する組織の横断像、矢状断像、冠状断像、横断像、矢状断像および冠状断像の3つすべて、ならびに電極24に近接する脳28の組織の3D像を見ることができるオプションを提供するプルダウンメニューである。横断像は、脳28の中心軸に向かって見る観点からの患者12の脳28の像であり得る。冠状断像は、脳28の前後の垂直断面であり得る。脳28の矢状断像を、冠状断像または横断像に対して実質的に垂直な観点から得ることができる。
メニュー376から像を選択するユーザ入力を受け取ることに応じて、プロセッサ80は、GUI370に示される組織372のグラフィカル表現を、リード20に近接する脳28の組織の選択された像を含むように更新することができる。いくつかの例では、脳28の種々の画像または他のデジタル表現(たとえばコンピュータレンダリング)を、プログラマ14のメモリ82の生理学的モデルデータ92(図4)の一部として格納することができる。組織の種々のグラフィカル表現をプログラマ14内に局所的に格納する代りにまたはそれに加えて、画像および他の生理学的モデルデータ92を、リモートデータベースに格納することができる。メニュー378は、ユーザに対して脳28の術後画像(たとえば、リード20が植え込まれた後)をアップロードし、術後画像を含むようにGUI370を更新するために提供するサブメニュー390を含む。メニュー390は、アップロードボックス390Aおよび表示ボックス392Aを含み、ユーザは、それぞれ、プロセッサ14による術後画像のアップロードおよび術後画像を含むGUI370のアップロードを開始するために選択することができる(たとえば、周辺ポインティングデバイスによってボックス内をクリックすることによる)。脳28の術後画像を、プログラマ14のメモリ82(図4)かまたは別のデバイス(たとえばリモートデータベース)のメモリによって格納することができる。メニュー390によって提供されるオプションを、たとえばGUI370によって表示される組織372の関連するグラフィカル表現を生成するために、プログラマ14の生理学的モデルボタン320と最初に対話する時に、ユーザが選択することができる。
ユーザはまた、GUI370のメニュー378と対話することによって、組織372のグラフィカル表現によって表示される情報のタイプも制御することができる。たとえば、プログラマ14のプロセッサ80は、たとえば組織372のグラフィカル表現によって示される脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を強調表示する(たとえば、ラベル付けする、色分けする、または輪郭を描く)ことにより、GUI370によって示される組織372のグラフィカル表現をユーザが理解するのに役立つことができる。図19Fに示す例では、GUI370のメニュー378は、プロセッサ80が組織372のグラフィカル表現内に含む脳構造の像を選択するサブメニュー392を含む。メニュー392は、2D像392Aおよび3D像392Bを含み、それらは、図19Fに示す例では、各々、たとえば周辺ポインティングデバイスによってボックス内をクリックすることにより、ユーザが選択することができる選択ボックスである。2D像392Aを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザインタフェース84を制御して、植え込まれた電極24に近接する脳28の組織372の2Dグラフィカル表現を表示することができる。さらに、3D像392Bを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザインタフェース84を制御して、植え込まれた電極24に近接する脳28の組織372の3Dグラフィカル表現を表示することができる。いくつかの例では、プログラマ14を、脳28の2D像または3D像の一方のみを一度に表示することができるように構成してもよい。他の例では、プログラマ14を、GUI370内に脳28の2D像および3D像の両方を同時に(たとえば異なるサブウィンドウ内に)表示することができるように構成してもよい。
GUI370はまた、ユーザが2D像392Aおよび3D像392Bを選択する際に選択することができるオプションも含む。特に、ユーザは、2D像392Aを選択した場合、組織372のグラフィカル表現内で、脳28の解剖学的脳構造の輪郭を見るために「輪郭表示」394ボックスを選択し、脳28の解剖学的構造のテキストラベルを見るために「ラベル表示」ボックス396を選択することができる。「輪郭表示」ボックス394を選択するユーザ入力を受け取ることに応じて、プロセッサ80は、プログラマ14のメモリ82またはリモートデータベースによって格納された情報にアクセスして、GUI370に示される組織372のグラフィカル表現に輪郭395を追加することができる。図19Fに示す例では、各輪郭395を、画像に示される解剖学的構造の周囲に描かれる線によって画定することができる。いくつかの例では、解剖学的構造の輪郭395を事前に確定してもよく、それにより、プロセッサ80は、事前に確定された輪郭にアクセスし組織372のグラフィカル表現にわたって輪郭を重ね合わせることができる。
プロセッサ80は、テンプレートマッチング、または組織372のグラフィカル表現に含まれる組織の座標に基づく等、何らかの適当な技法を用いて、脳28の解剖学的構造の輪郭395を生成することができる。たとえば、プロセッサ80は、所定形状(2Dまたは3Dであり得る)を有するテンプレートにアクセスし、組織372のグラフィカル表現に含まれる組織の領域のテンプレート間の最良適合を見つけるアルゴリズムを実施することができる。アルゴリズムは、テンプレート形状(2Dまたは3D)と、脳28の組織の種々の密度または脳28の画像、または他のグラフィカル表現から特定することができる他の組織測定によって示される組織の領域との間の適合率を示すことができる。
別の例として、プロセッサ80は、電極24および/またはリード20Aの座標を確定し、脳28の解剖学的構造およびそれらの相対的な座標を示す脳28の図解に座標をマッピングすることにより、組織372のグラフィカル表現に示される脳28の解剖学的構造の輪郭395を生成することができる。電極24および/またはリード20A自体に近接する脳28の解剖学的構造を示す情報に基づいて、プロセッサ80は、組織の密度、または脳28の画像または他のグラフィカル表現から特定することができる他の組織特性に基づいて、解剖学的構造を識別することにより、または組織372のグラフィカル表現によって表示される解剖学的確認点に解剖学的構造をマッピングすることにより、輪郭395を生成するために、組織372のグラフィカル表現に示される解剖学的構造の周囲に線を配置することができる。プロセッサ80は、たとえば、脳28の一部の画像(たとえばMRI)の上に解剖学図を重ね合わせ、自動的にまたはユーザの支援により、画像に示される脳28の領域の上に適合するように解剖学図を調整し(たとえば、伸張または収縮させ)、それにより、解剖学図は、寸法が決められかつ画像の上に位置決めされると、画像に示される構造を示すことができる。
他の例では、組織372のグラフィカル表現内に輪郭395を配置するのではなく、プロセッサ80は、組織372のグラフィカル表現に示される解剖学的構造を色分けするか、または解剖学的構造を視覚的に識別する別の機構を提供することができる。
「ラベル表示」ボックス396を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、GUI370内の解剖学的構造のラベル397を含むように組織372のグラフィカル表現を更新することができる。ラベル397は、組織372のグラフィカル表現に示される解剖学的構造のうちの1つまたは複数の英数字指示であり得る(たとえば、略記または正式名称)。図19Fに示す例では、ラベル397は、視床下核(STN)、被殻(Pu)の内側縁、前交連(AC)、脳弓(Fx)の前柱および乳頭体視床束(MTT)を示す。また、組織372のグラフィカル表現によって示されるがラベル付けされていないものには、赤核、内包、淡蒼球内節および淡蒼球外節がある。
プロセッサ80は、組織372のグラフィカル表現に解剖学的構造ラベル397を配置するために、解剖学的構造の輪郭にアクセスするかまたは提供するために用いられるもの等の技法を実施することができる。たとえば、プロセッサ80は、GUI370に示される組織372のグラフィカル表現にラベル397を関連付けるデータにアクセスすることができる。別の例として、プロセッサ80は、組織372のグラフィカル表現によって示される解剖学的構造を確定するようにテンプレートマッチングするか、または解剖学的構造ならびにリード20Aおよび/または電極24の座標に基づいて解剖学的構造を確定することにより、ラベル397を生成することができる。
GUI370はまた、組織372のグラフィカル表現の3D像(図19Fには示さず)内に解剖学的構造の輪郭395および/またはラベル397を含めるオプションも含む。3D像392bおよび「輪郭表示」ボックス398を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造の輪郭に加えて、脳28の組織の3D像を含むように組織372のグラフィカル表現を更新することができる。プロセッサ80は、2D像内にそれぞれの解剖学的構造の輪郭を生成する「輪郭表示」ボックス394に関して上述したもの等、あらゆる適当な技法を実施することができる。しかしながら、2D輪郭を生成するのではなく、プロセッサ80は、解剖学的構造の3D図の輪郭を描く。2D例または3D例のいずれにおいても、組織372のグラフィカル表現に示される組織の部分内に、解剖学的構造全体を表示しない場合もある。したがって、輪郭は、単に一部であってもよく、または組織372のグラフィカル表現によって実際に示される解剖学的構造の一部の輪郭を描くのみであってもよい。
同様に、3D像392bおよび「ラベル表示」ボックス400を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、脳28の1つまたは複数の解剖学的構造のラベルに加えて、脳28の組織の3D像を含むように組織372のグラフィカル表現を更新することができる。プロセッサ80は、2D像内に解剖学的構造の輪郭を生成する「ラベル表示」ボックス396に関して上述したもの等、あらゆる適当な技法を実施することができる。
図19Fに示す例では、ユーザが、組織372のグラフィカル表現によって示される情報を選択するように対話することができるメニュー378はまた、脳28内で実施される電極24を見るオプションをユーザに提供するメニュー402も含む。電極メニュー402の下で「表示」ボックス404を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、1つまたは複数の電極およびいくつかの例ではリード20Aのグラフィカル表現を含むように、組織372のグラフィカル表現を更新することができる。電極のグラフィカル表現を、実際の電極24または同様の電極の画像、患者12内に植え込まれた電極24のコンピュータ生成レンダリング、または他のあらゆる適当なグラフィカル表現とすることができる。
GUI370によって示される電極のグラフィカル表現は、図18に関して上述したリードアイコン254と同様であり得る。リードアイコン254と同様に、GUI370によって提示される電極のグラフィカル表現は、脳28の組織に対する電極24の同じ位置決め、患者12内に植え込まれたリードの電極と同じ相対的な間隔、および脳28に対する植え込まれた電極24と同様の尺度を含むことができる。このように、GUI370は、生理学的情報を表示し、それによって、ユーザが、脳28の組織に対する電極24の位置を確認し、いずれの電極24が刺激のための標的解剖学的構造および回避すべき解剖学的構造に近接しているかを、比較的迅速に判断することができる。
組織372のグラフィカル表現が患者12の脳28の実際の画像を含む例では、プロセッサ80は、患者特定情報に基づいて組織372のグラフィカル表現に対して電極24(図19Fには示さず)のグラフィカル表現を位置決めすることができる。たとえば、プロセッサ80は、脳28の術前MRI(たとえば、リード20が植え込まれる前)にアクセスし、脳28の少なくとも一部の3D表現を生成するために患者MRIに脳構造体積をモーフィングすることができ、それは、2D像392Aが選択された場合に脳28の種々の「スライス」のグラフィカル表現を生成するために有用であり得る。そして、プロセッサ80は、リード20の位置を確定するために脳28の術後MRIにアクセスすることができる。プロセッサ80は、術前MRI画像および術後MRI画像をマージし、電極のグラフィカル表現を組織372のグラフィカル表現に対して位置決めすべき場所を確定するために、脳構造体積に対してリードの画像を配置することができる。
上述したように、いくつかの例では、生理学的モデルは、IMD16が、選択された刺激電極の組合せおよび他の選択された刺激パラメータ値を介して患者12に刺激を送達することからもたらされる可能性がある治療野を示す治療野モデルを含む。メニュー378は、ユーザが、電極の特定の組および他の治療パラメータ値に従ってIMD16によって送達される治療の治療野モデルを見るように選択することができるオプションを含む。図19Fに示す例では、治療野モデルは、刺激治療によって扱われる患者の解剖学的領域において電場によって活性化されることになるニューロンを示す、活性場を含む。メニュー378は、GUI370内の活性場407のグラフィカル表現の表示を制御する表示ボックス406を含む。表示ボックス406を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、図7および図18に関して上述した技法を用いて、組織372のグラフィカル表現にわたって活性場407のグラフィカル表現を生成しかつ表示することができる。
活性場407のグラフィカル表現は、刺激治療によって扱われる患者の解剖学的領域において電場によって活性化されることになるニューロンを示す。図18に示す治療野256と同様に、GUI370によって表示される活性場407のグラフィカル表現は、ユーザが、刺激電極の特定の組および刺激パラメータ値に従ってIMD16によって送達される治療が、脳28の組織にいかに影響を与える可能性があるかを視覚化するのに役立つことができる。組織372のグラフィカル表現、ならびにいくつかの例では解剖学的構造の輪郭395およびラベル397の組合せにおいて、ユーザは、活性場407のグラフィカル表現に基づいて、選択された刺激電極および刺激パラメータ値が、標的組織部位(たとえば、特定の解剖学的構造または解剖学的構造の一部)を刺激するか、または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位の刺激を回避するために有用であるか否かを、比較的迅速に確認することができる。
プロセッサ80は、電極24および電極選択コントロール380を介して選択された刺激電極に近接する組織の特性と、電極選択コントロール380、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および周波数コントロール386を介してユーザによって選択された刺激パラメータ値とに基づいて、活性場407のグラフィカル表現を生成することができる。電極選択コントロール380は、リード389のグラフィカル表現を含み、それは、それぞれの電極24のグラフィカル表現と、治療システムがハウジング電極(ケース電極とも呼ぶ)を含む場合、ケース電極389のグラフィカル表現とを含む。ユーザは、示された電極24およびケース電極389から1つまたは複数の刺激電極を選択し、あらゆる適当な技法を用いて選択された電極に極性を割り当てることができる。
一例では、電極24は、選択可能オブジェクトであり、ユーザは、GUI370内で所望の電極24または389にわたってカーソルを移動させ、電極を選択するように入力の決定的な指示を提供することができる(たとえば、マウスのボタンをシングルクリックもしくはダブルクリックするか、またはプログラマ14がタッチスクリーンを含む場合はGUI370が表示されている画面を押下することによる)。最初のクリックまたは別の決定的指示により、電極に第1の極性(たとえば正極性)を割り当てることができ、第2の後続するクリックまたは他の決定的指示により、電極に第2の極性(たとえば負極性)を割り当てることができる。別の例では、電極24を、GUI370内の選択可能なオブジェクトとして表示しない場合もある、ユーザは、表示された電極24またはケース電極389の上で極性記号(たとえば、正(+)記号または負(−)記号)を移動させることによって電極を選択することができる。電極24を選択し選択された電極に極性を割り当てる他の技法が考えられる。プロセッサ80が電極24、389を選択するユーザ入力を受け取る特定の技法に関らず、プロセッサ80によって提示されるGUI370は、ユーザが電極を選択し、選択された電極と刺激信号を定義する一組の刺激パラメータ値を介するIMD16による刺激の送達からもたらされる可能性がある対応する治療野を見るために対話することができる、GUI370を提供する。
図19Fに示す例では、GUI370によって、ユーザは、刺激信号の振幅、パルス幅および周波数を変更することができる。他の例では、GUI370は、ユーザが、振幅、パルス幅および周波数に加えてまたはその代りに他の刺激パラメータ値(たとえばデューティサイクル)を変更することができるコントロールを含むことができる。
図19Fに示す例では、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および周波数コントロール386は、各々、GUI370内に選択可能なオブジェクトとして表示される、それぞれ上向き矢印408A、410A、412Aおよび下向き矢印408B、410B、412Bと関連付けられる。ユーザは、たとえば、GUI370内で所望の矢印の上でカーソルを移動させ、入力の決定的入力を提供することにより(たとえば、マウスのボタンをシングルクリックもしくはダブルクリックするか、またはプログラマ14がタッチスクリーンを含む場合はGUI370が表示される画面を押下することによる)、それぞれの矢印408A、408B、410A、410B、412A、412Bを選択することによって、それぞれの刺激パラメータ値を増大または低減させることができる。ユーザが刺激パラメータ値を変更すると、プロセッサ80は、図19Fに示すように、刺激パラメータ値の現値を表示するようにGUI370を更新することができる。
いくつかの例では、刺激振幅コントロール382に関連する上向き矢印408Aを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、IMD16の刺激発生器44(図2)が、患者12に送達される刺激信号を生成する刺激振幅を、所定の増分(たとえば0.5ミリアンペア)で増大させることができる。同様に、下向き矢印408Bを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、所定増分、刺激振幅を低減させることができる。プロセッサ80は、矢印410A、410Bを選択するユーザ入力を受け取ると、同様にIMD16によって生成されかつ送達される刺激信号のパルス幅を変更し、矢印412A、412Bを選択するユーザ入力を受け取ると、同様にIMD16によって生成されかつ送達される刺激信号の周波数を変更することができる。
活性場を生成するために、プロセッサ80は、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および周波数コントロール386によって選択された刺激パラメータ値の組と、電極選択コントロール380によって選択された電極24とにより、電場が原点位置からいかに伝播するかを判断する。プロセッサ80は、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および周波数コントロール386を介して選択された刺激パラメータ値を電場モデル式(または他の治療野モデル式)に入力し、かつ、電極24に隣接する組織の物理的組織特性(たとえば、組織導電率または組織インピーダンス値)とともに、IMD16が治療を患者12に送達する時に生成されることになる推定電場を生成する。電場を確定すると、プロセッサ80は、ニューロンモデルが電場モデルにいかに適合するかを定義する活性場モデル式を用いて活性場を確定することができる。図7に関して説明したように、ニューロンモデルは、電場モデル式に基づいて確定される電場によって影響を受ける、患者の解剖学的データによって定義されるような、解剖学的構造を構成する特定のニューロンの閾値活動電位を定義する、一組の式、ルックアップテーブル、または別のタイプのモデルであり得る。
図19Fに示す例では、GUI370はまた、ユーザがGUI370によって表示される画像(患者組織の実際の画像であってもよくまたは実際の画像でない場合もある)を保存するために選択することができる保存ボタン414も含む。GUI370によって表示される画像は、組織372のグラフィカル表現と、表示される場合は、輪郭395、ラベル397および活性場407(または別の治療野モデル)のグラフィカル表現とを含むことができる。保存ボタン414を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、GUI370によって表示される画像を生理学的モデルデータ92の一部として、プログラマ14のメモリ82(図4)内に保存することができる。そして、ユーザは、後に解析するためにメモリ82から格納された画像を検索することができる。
GUI370はまた、注釈追加ボタン416も含む。注釈追加ボタン416が選択されると、プロセッサ80は、GUI370または別個のGUIのウィンドウを開くことができ、ユーザは、選択された電極および刺激パラメータ値に関するユーザの観察または後に調査するための質問に関する注釈等、ウィンドウを介して情報を入力することができる。ユーザは、プログラマ14のユーザインタフェース84のキーボードまたはキーパッドからテキストを入力することにより、またはマイクロホンに話すことによる等、あらゆる適当な技法を用いて情報を入力することができる。プロセッサ80は、テキスト、音声情報または他のフォーマットの注釈をメモリ82に保存することができ、いくつかの例では、GUI370によって表示される画像ならびに選択された電極および刺激パラメータ値の指示に注釈を関連付けることができる。
図19Gは、GUI370(図19F)に類似するが、組織372のグラフィカル表現のより近い横断像(たとえば、脳28のスライスの軸方向向き)を含む、GUI420を示す。プロセッサ80は、メニュー376から横断像を選択するユーザ入力を受け取ると、GUI420を生成しかつ表示することができる。GUI420はまた、組織372のグラフィカル表現に示される解剖学的構造の輪郭395と、解剖学的構造のラベル397と、活性場407のグラフィカル表現とを含む。図19Gに示す例では、輪郭395は、脳28の視床下核(STN)および赤核の輪郭を描き、ラベル397は、そのテキスト指示を提供する。
図19Hは、プログラマ14によって表示されるGUI420の例を示す画面図であり、そこでは、GUI420はユーザに対して生理学的モデルを提示する。GUI422は、GUI370(図19F)と同様であるが、組織372のグラフィカル表現の2D像の代りに組織423のグラフィカル表現の3D像を含む。プロセッサ80は、メニュー376から3D像を選択するユーザ入力を受け取ると、GUI422を生成しかつ表示することができる。図19Hに示す組織423のグラフィカル表現は、植え込まれた電極24およびリード20Aに近接する患者の脳28の組織の3D透視像を含む。プロセッサ80は、あらゆる適当な技法を用いて脳28の組織423の3D像を含むようにGUI422を生成することができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、患者12の脳28の3D医用画像(たとえば、MRI、CTまたは別の医療撮像モダリティ)に基づいて組織423のグラフィカル表現の3D像を生成する。
脳28の画像の代りまたはそれに加えて、プロセッサ80は、患者12以外の患者の脳の画像に基づいて、または患者12の脳28または患者に特定ではないより一般的な脳に基づいて、または他のあらゆる技法を用いて、組織423のグラフィカル表現の3D像を生成することができる。組織423のグラフィカル表現の3D像を、部分的に透明な表面およびグレーまたは色合いを用いることによって、プログラマ14の2Dディスプレイに表示することができる。図19Hに示す例では、組織423のグラフィカル表現の3D像は、脳28の種々の解剖学的構造を視覚的に識別するように陰影がつけられている。
図19Hに示す例では、GUI420はまた、GUI250(図18)に示すリードアイコン254に類似していてもよいリード424のグラフィカル表現も含む。したがって、いくつかの例では、リード424のグラフィカル表現は、リード20Aの概略図か、または患者12内に植え込まれた実際のリード20Aの画像であり得る。リード424は、GUI420内の3Dオブジェクトとして示される。リード424のグラフィカル表現は、リード20Aの電極24に対応していてもよい電極のグラフィカル表現を含む。プロセッサ80は、メニュー378の電極402オプションの下で電極表示ボックス404を選択するユーザ入力を受け取った後、組織372のグラフィカル表現内に例としてのリード424のグラフィカル表現を配置することができる。
GUI250におけるリードアイコン254と同様に、プロセッサ80は、脳28内のリード20Aの実際の植込み位置および向きを表すように、組織423のグラフィカル表現に対してリード424のグラフィカル表現を位置決めすることができる。他の例では、ユーザは、患者12内に植え込まれた実際のリード20Aに対する定位データまたは植込み座標に基づいて、組織423の3Dグラフィカル表現内にリード424のグラフィカル表現を手動で配置することができる。GUI422を利用して、ユーザは、脳28内のリード20Aの位置および向きと、植え込まれたリード20Aに近接する解剖学的構造とを比較的迅速に確認することができる。
GUI420はまた、IMD16が、刺激電極および刺激パラメータ値の特定の組を介して患者12に治療を送達する時にもたらされる可能性がある活性場を示す、活性場407のグラフィカル表現も含む。いくつかの例では、ユーザは、電極選択コントロール380、振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および周波数コントロール386を介して、刺激電極および刺激パラメータ値を選択することができる。図19Hに示す例では、活性場407は、3Dオブジェクトとして示され、プロセッサ80が、刺激電極の特定の組および刺激パラメータ値を介するIMD16による刺激送達によって活性化される可能性があると判断した組織の体積に対応するサイズおよび形状を有する。
GUI422のいくつかの例では、ユーザは、1つまたは複数の方向において(たとえば背腹軸を中心に、前後軸を中心に、別の事前定義された軸を中心に、または6つの自由度すべてにおいて)組織423のグラフィカル表現を回転させることができる。たとえば、ユーザは、プログラマ14のユーザインタフェース84(図4)のキーボードまたはキーパッドを用いて回転角度を入力することができ、またはユーザは、組織423のグラフィカル表現と直接対話して(たとえば、組織423のグラフィカル表現内でカーソルを移動させる)、組織423の表示されたグラフィカル表現を回転させることができる。組織423のグラフィカル表現を回転させるユーザ入力を受け取ることに応じて、プロセッサ80は、リード424および活性場407のグラフィカル表現を回転させることも可能である。
本明細書に記載するいくつかの技法に従って、プロセッサ80は、単独でまたはユーザの支援により、IMD16が、種々の電極24、26または電極24、26の組合せを介して検知される1つまたは複数の生体電気脳信号からのデータと、患者12の脳28内の電極24、26に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルとに基づいて、患者12の脳28に対して刺激治療を送達する際に用いられる、1つまたは複数の電極24、26(図1)を選択することができる。図19E、図19F、図19Gおよび図19Hそれぞれに関して説明したGUI330、370、420、422は、プログラマ14のプロセッサ80が、ユーザが1つまたは複数の刺激電極のプログラミングを行うのを支援するユーザインタフェース84を介して提示することができる、ユーザインタフェースの図の例を示す。たとえば、ユーザは、GUI330(図19E)を利用して生体電気脳信号の検知を開始するか、またはたとえば刺激電極の選択を確認するかまたは1つもしくは複数の刺激電極を選択するために、GUI370、420、422を利用して生理学的モデルを検討することができる。
図19Eに示すGUI330は、電極24を介して検知される生体電気脳信号の1つまたは複数の特性に基づいて電極24のランク付けを示す。上述したように、いくつかの例では、プロセッサ80は、単極構成でそれぞれの電極を介して検知されるか、または双極構成で別の電極24との組合せでそれぞれの電極を介して検知される生体電気脳信号の信号特性(たとえば、特定の周波数帯域内の電力レベル)によって示され得る、標的組織部位に対する近接性に基づいて、電極24を自動的にランク付けする。図19F、図19Gおよび図19Hそれぞれに示されるGUI370、420、422は、ユーザが、電極24の標的組織部位に近接性を視覚化することができるか、またはもう1つの刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する近接性を視覚化することができるかと、いくつかの例では、標的組織部位またはもう1つの刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する治療野(たとえば、図19Gおよび図19Hに示すような活性場)のモデルの近接性とに基づいて、種々の生理学的モデルを示す。
プロセッサ80が、電極24を介して検知された生体電気脳信号の1つまたは複数の特性に基づいて電極24を自動的にランク付けするか、またはユーザが電極24をランク付けする入力を提供した後、プロセッサは、図19Iに示すように、刺激電極を提案することができる要約画面430(GUI430とも呼ぶ)と、いくつかの例では、患者12に効果的な治療(たとえば、治療の利益を提供し副作用が最小限である治療送達)を提供することができる刺激パラメータ値とを表示することができる。電極24および/または電極24の特定のサブセットを介する刺激送達からもたらされる治療野が、標的組織部位またはもう1つの刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接しているか否かを示す生理学的モデルを、ユーザが視覚化する前かまたは視覚化した後、要約画面430を、プロセッサ80によりプログラマ14のユーザインタフェース84(図4)のディスプレイを介して提示することができる。
要約画面430は、リード位置ウィンドウ432、生理機能ウィンドウ434および生理学的モデルウィンドウ436を含む。リード位置ウィンドウ432は、脳28内のリード20Aの電極24(いくつかの例では電極26も同様に)の位置を要約する。図19Iに示す例では、ウィンドウ432は、定位座標を介して電極24の位置を示すが、他の例では他の3D座標を用いてもよい。座標は、たとえば脳28および植え込まれたリード20Aの1つまたは複数の医用画像に基づいて、脳28内にリード20Aを植え込むために用いられる実際の座標かまたは植込み後に確定された座標であり得る。ユーザは、ウィンドウ432に示す各電極24の位置を見て、必要な場合は座標を変更することができる。
生理機能ウィンドウ434は、植え込まれた電極24を介する生体電気脳信号の検知の結果を要約する。図19Iに示す例では、生理機能ウィンドウ434は、電極24の種々のサブセットを介して検知される複数の生体電気脳信号に対して1つまたは複数の周波数帯域内の電力の分布を示すグラフ346を表示する。他の例では、生理機能ウィンドウ434は、グラフ346に加えてまたはその代りに、他のタイプのデータ(たとえば、図19Eに示すグラフ348かまたは図19Eに示すように電極24をランク付けするリード344の表現)を表示することにより、植え込まれた電極24を介する生体電気脳信号の検知の結果を要約することができる。
いくつかの例では、生理機能ウィンドウ434は選択可能なオブジェクトである。ウィンドウ434を選択する(たとえば、プログラマ14によって表示されるGUI内のオブジェクトを選択することに関して上述した技法を用いる)ユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のプロセッサ80は、GUI330(図19E)、またはユーザが電極24を介して生体電気脳信号の検知を制御することができる別のGUI330を表示することができる。ユーザは、検知された生体電気脳信号から抽出された周波数帯域特性が、患者12の脳28の種々の領域に対する電極24の位置を識別するのに有用でなかったと判断する場合等、多くの理由で、GUI330に戻る場合がある。ユーザは、たとえば図19Eに関して上述したGUI330と対話することにより、生体電気脳信号の検知に戻ることができる。
生理学的モデルウィンドウ436は、植え込まれた電極24に近接する組織372のグラフィカル表現のスナップショットを提供し、それは、ユーザが、刺激治療のための標的組織部位および/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位を視覚化するのに役立つことができる。組織372のグラフィカル表現は、たとえば、たとえば画像保存ボタン414(図19Fに示す)を選択するユーザ入力を受け取ると、メモリ82内にプロセッサ80によって保存されるGUI330(図19E)の少なくとも一部の画像(たとえばスクリーンショット)であり得る。いくつかの例では、図19Iに示すように、生理学的モデルウィンドウ436内に表示される組織372のグラフィカル表現は、図19Fおよび図19Gに関して上述した、活性場モデル407(または別のタイプの治療野モデル)と、解剖学的構造の輪郭395と、解剖学的構造のラベル397を含むことができる。他の例では、生理学的モデルウィンドウ436は、患者12の脳28内の電極24に近接する組織の3D像、植え込まれた電極24に近接する組織の複数の像、リード426(図19H)のグラフィカル表現、および/または別の治療野モデルを含むことができる。
いくつかの例では、生理学的モデルウィンドウ436は選択可能なオブジェクトである。ウィンドウ436を選択する(たとえば、プログラマ14によって表示されるGUI内のオブジェクトを選択することに関して上述した技法を用いる)ユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のプロセッサ80は、1つまたは複数のGUI370、420、422、または、ユーザが、植え込まれた電極24に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルを視覚化することができる別のGUIを表示することができる。ユーザは、生理学的モデルウィンドウ436に表示される治療野モデルが選択された電極を示し、かつ/または刺激パラメータ値が標的組織部位とオーバラップせずかつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とオーバラップすると判断した場合等、多くの理由でGUI370、420、422のうちの1つまたは複数に戻る場合がある。ユーザは、電極選択コントロール380(図19F)を用いて刺激電極の選択を調整し、または振幅コントロール382、パルス幅コントロール384および/または周波数コントロール386(図19F)を用いて、所望の治療野モデルが達成されるまで、1つまたは複数の刺激パラメータ値を調整することができる。プロセッサ80は、ユーザが刺激電極の選択および/または刺激パラメータ値を調整する際に、GUI370、420および/または422によって表示される活性場407のサイズ、形状および/または位置を更新することができる。
GUI430はまた、ユーザが、プログラマ14のメモリ82かまたは別のデバイス(たとえばリモートデータベース)のメモリから追加の情報を検索するために選択することができるデータベース照会ボタン438も含む。ユーザは、たとえばリード位置ウィンドウ432、生理機能ウィンドウ434または生理学的モデルウィンドウ436のうちの1つまたは複数がGUI430内に表示されない場合、データベース照会ボタン438を選択することができる。データベース照会ボタン438を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、メモリ82または別のメモリによって格納された種々のタイプの情報を示すウィンドウを表示するように、プログラマ14のユーザインタフェース84を制御することができ、ユーザは、要約画面430に表示する情報のタイプを選択することができる。プロセッサ80は、ユーザが選択したタイプの情報(たとえば、電極位置、電極24を介して検知される生体電気脳信号に関する情報、または植え込まれた電極24に近接する組織のグラフィカル表現)を含むようにGUI430を更新することができる。データベースはまた、副作用、臨床的効果および刺激パラメータに対してリード位置を関連付ける情報(たとえば、電極の定位座標、生理学的モデルから生成されるリード位置)も含むことができる。この種の情報は、ユーザが、治療プログラムを生成するためにいずれの電極および刺激パラメータから始めるべきかを特定するのに役立つことができる。
GUI430は、治療プログラムをランク付けするリスト440を含み、治療プログラムは各々、刺激電極の組合せ(たとえば、リード20Aの1つまたは複数の電極24の組合せ、およびいくつかの例では、IMD16の外側ハウジング上の電極および電極のそれぞれの極性)と、IMD16の刺激発生器46(図2)によって生成される刺激信号を定義する1つまたは複数の刺激パラメータ値(たとえば、電流振幅、パルス幅および周波数に対する値)を定義する。プロセッサ80は、いくつかの例では種々の治療プログラムを自動的に順序付けることができ、他の例では、ユーザは、治療プログラムを順序付ける入力を提供することができ、プロセッサ80は、ユーザによって提供された治療プログラムの順序を反映するようにGUI430を更新することができる。
プロセッサ80が治療プログラムを自動的に順序付ける例では、プロセッサ80は、それぞれの治療プログラムの電極を介して検知される生体電気脳信号、および/または植え込まれた電極に近接する組織を示すことができる生理学的モデルに基づいて、治療プログラムを順序付けることができる。いくつかの例では、プロセッサ80は、生体電気脳信号特性のみ、生理学的モデルのみ、または両方(たとえば図8および図9に関して説明したように)に基づくことができる、標的組織部位に対する治療プログラムの電極の組合せの電極の近接性に基づいて治療プログラムを順序付ける。
たとえば、プロセッサ80は、治療プログラムの電極の組合せの電極を介して検知される生体電気脳信号のベータ帯域内の電力レベルの順序で、治療プログラムを順序付けることができ、ベータ帯域電力レベルが最も高いことが、標的組織部位に対して最も近接していることを示す。電極の組合せが複数の下位電極の組合せを含み、それにより、複数の生体電気脳信号が治療プログラムに関連する場合、プロセッサ80は、下位電極の組合せの各々を介して検知される生体電気脳信号の各々の平均、中間、ピークまたは最低のベータ帯域電力レベルに基づいて、治療プログラムをランク付けすることができる。治療プログラムが複数の生体電気脳信号にいかに関連付けられ得るかの例として、電極24A、24Bおよび24Cを含む電極の組合せを含む治療プログラムは、単極形態で電極24A、24Bおよび24Cを介して検知される3つの生体電気脳信号か、または双極形態で電極24A−24B、双極形態で電極24B−24C、および双極形態で電極24A−24Cを介して検知される3つの生体電気脳信号に関連付けられ得る。
プロセッサ80が治療プログラムを順序付けるように実施することができる技法の別の例として、プロセッサ80は、電極24を脳28の組織にマッピングする生理学的モデルに基づいて確定することができる、標的組織部位に対する治療プログラムの電極の近接性に基づいて、治療プログラムを順序付けることができる。一例では、プロセッサ80は、所定の尺度を用いて標的組織部位に対する治療プログラムの電極間の距離を近似し、標的組織部位に対する治療プログラムの電極の平均、中間、最大および最小の距離に基づいて複数の治療プログラムを順序付ける。標的組織部位に最も近い電極(標的組織部位に対する電極の組合せの電極の平均、中間、最大または最小の距離によって示される)を用いる治療プログラム最高のランク付けを有することができる。同様に、いくつかの例では、プロセッサ80は、1つまたは複数の刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する治療プログラムの電極の近接性に基づいて、治療プログラムを順序付けることができる。刺激電極が誘発する副作用に関連する組織部位から最も遠い電極(組織部位に対する電極の組合せの電極の平均、中央、最大または最小の距離によって示される)を用いる治療プログラムは、最高のランク付けを有することができる。
上述したように、電極と解剖学的標的との間の距離を確定する装置、システムおよび技法の例は、「植込み後撮像を用いる電気刺激電極の特徴付け(CHARACTERIZATION OF ELECTRICAL STIMULATION ELECTRODES USING POST−IMPLANT IMAGING)」と題し、2009年8月6日に公開された、Goetzらによる米国特許出願公開第2009/0196471号に記載されている。
プロセッサ80が、治療プログラムに関連する生体電気脳信号と、電極に近接する組織の特性を示す生理学的モデルとの両方に基づいて治療プログラムをランク付けするいくつかの例では、プロセッサ80は、治療プログラムを順序付けするために生体電気脳信号と生理学的モデルとに基づいてランク付けすることに対して種々の重み付けを割り当てることができる。たとえば、生理学的モデルは、特定の治療プログラムによる刺激からもたらされる副作用をより明らかにする可能性があるため、プロセッサ80は、生理学的モデルに基づく治療プログラムのランク付けが、生体電気脳信号に基づいて確定されるランク付けより高い重みが与えられると判断する場合がある。そして、プロセッサ80は、生体電気脳信号に基づくランク付けと生理学的モデルに基づくランク付けとの両方を考慮する結合されたスコアに基づいて、治療プログラムをランク付けすることができ、それにより、結合されたスコアは、生体電気脳信号に基づくランク付けに与えられる重み(たとえば1%〜49%)に比較して、生理学的モデルに基づくランク付けに対して高い重み(たとえば51%〜99%)を与える。しかしながら、他の例では、プロセッサ80は、生体電気脳信号に基づく治療プログラムのランク付けに対して、生理学的モデルに基づく治療プログラムのランク付けより高い重みが与えられると判断する場合もある。
プロセッサ80が、治療プログラムに関連する生体電気脳信号と、電極に近接する組織の特性を示す生理学的モデルとの両方に基づいて治療プログラムをランク付けするいくつかの例では、プロセッサ80は、まず、生体電気脳信号の特性に基づいて治療プログラムをランク付けし、その後、たとえば図8に関して説明したように、生理学的モデル基づいて、治療プログラムが、刺激が誘発する副作用に関連する組織かまたは標的組織部位を刺激するか否かを判断することができる。生理学的モデルが、特定の治療プログラムが、刺激が誘発する副作用に関連する組織かまたは標的組織部位を刺激することを示す場合、プロセッサ80は、治療プログラムの電極が標的組織部位に近接していることを示す生体電気脳信号の特性(たとえば周波数領域特性)にも関らず、治療プログラムのランク付けを下げることができる。
プロセッサ80が、治療プログラムに関連する生体電気脳信号と、電極に近接する組織の特性を示す生理学的モデルとの両方に基づいて治療プログラムをランク付けするいくつかの例では、たとえば図9に関して説明したように、プロセッサ80は、まず、生理学的モデルが、電極が標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接していることを示すか否かに基づいて、治療プログラムをランク付けし、その後、生体電気脳信号の特性が、治療プログラムの電極が標的組織部位に近接していることを示すか否かを判断する。生体電気脳信号の特性が、たとえば、特定の帯域内の電力レベルが標的電力レベルから閾値量異なっているため、特定の治療プログラムが標的組織部位に近接してないことを示す場合、プロセッサ80は、治療プログラムの電極が標的組織部位に近接していることを示す生理学的モデルにも関らず、治療プログラムのランク付けを下げることができる。
他の例では、プロセッサ80は、治療野モデルが脳28内の生理学的に重要な位置とオーバラップする割合に基づいて治療プログラムを順序付けることができる。生理学的に重要な位置は、たとえば、標的組織部位かまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位であり得る。各治療プログラムに対して、プロセッサ80は、たとえば図7に関連して上述した技法を用いて、治療野モデルを生成することができる。図7に関して説明したように、治療野モデルは、IMD16が、治療プログラムの刺激パラメータ値に従って治療を生成し、治療プログラムの電極の組合せの電極を介して脳28に治療を送達する時に、植え込まれたリードから電場が伝搬する場所を示すことができる。治療野モデルのサイズ、位置および他の特性を確定した後、プロセッサ80は、治療野が脳28内の生理学的に重要な位置とオーバラップするか否かを判断することができる。たとえば、治療野モデルおよび生理学的に重要な位置が、共通の座標系に関連する場合、プロセッサ80は、座標が、治療野モデルと生理学的に重要な位置との間のオーバラップを示すか否かを判断することができる。他の技法が考えられる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、標的組織部位とのオーバラップの割合が相対的に高い治療プログラムを、最高ランク付け治療プログラムとして順序付ける。他の例では、プロセッサ80は、刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とのオーバラップの割合が相対的に最低である治療プログラムを、最高ランク付け治療プログラムとして順序付ける。さらに、いくつかの例では、プロセッサは、標的組織部位とのオーバラップの割合と刺激が誘発する副作用に関連する組織部位とのオーバラップの割合との結合されたスコアに基づいて、治療プログラムを順序付ける。
いくつかの例では、プロセッサ80は、ランク付けに対して数値を割り当てる信頼度スコアを生成することができる。図19Iに示す例では、治療プログラムのランク付け440は、治療野モデルと標的組織部位とのオーバラップする割合を示す信頼度スコアを含む。他のタイプの信頼度スコアが考えられる。
いくつかの例では、プロセッサ80は、ユーザが提供する基準に基づいて治療プログラムを順序付けることができる。たとえば、GUI430は、ユーザが、プロセッサ80が治療プログラムを順序付ける基準を選択することができるメニューを含むことができる。メニューは、たとえば、電極を介して検知される生体電気脳信号によって示される、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する治療プログラムの電極の近接性、生理学的モデルによって示される、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する電極の近接性、生体電気脳信号および治療プログラムに関連する生理学モデルの両方によって示される、標的組織部位または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に対する電極の近接性、および/または各治療プログラムによる治療送達からもたらされる可能性がある治療野に基づいて、治療プログラムを順序付けるオプションを含むことができる。
図19Iに示すGUI430は、それぞれの治療プログラムに関連する選択ボタン442を含むことも可能である。ボタン442を選択する(たとえば、GUI430内に表示されるオブジェクトを選択することに関して上述した技法を用いる)ユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、選択された治療プログラムを、メモリ82またはリモートデータベース等の別のデバイスのメモリ内に格納することができる。いくつかの例では、プロセッサ80はまた、選択された治療プログラムをIMD16にそれぞれの遠隔測定モジュール86、50を介して送信し、IMD16のプロセッサ50は、患者12に対する治療送達を制御するプログラムをメモリに格納することができる。他の例では、GUI430は、ボタン442を含まない場合もあり、代りに、ランク付けリスト440に列挙された各治療プログラムを、英数字識別子(たとえば数字または文字)または記号に関連付けることができ、ユーザは、プログラマ14のユーザインタフェース84(図4)のキーボードまたはキーパッドを用いて、関連する英数字識別子または記号をテキストボックスに入力することにより、ランク付けリスト440から治療プログラムを選択することができる。
いくつかの例では、プログラマ14のプロセッサ80は、メモリ82または別のメモリ(たとえばリモートデータベース)によって格納された情報に基づいてリスト440に含まれる治療プログラムの少なくとも一部を選択する。プロセッサ80は、メモリ82(または別のデバイスのメモリ)を照会し、植え込まれた電極24、26のアレイからの刺激電極と、患者12と同じかまたは同様の状態の他の患者の治療結果に基づく刺激パラメータ値とを含む治療プログラムを提案することができる。ユーザは、GUI430および本明細書に記載する他のGUIと対話して、提案された治療プログラムが患者12に効果的な治療を提供することができるか否かを判断することができる。たとえば、ユーザは、治療プログラムの各々の電極を介して検知される生体電気脳信号を確定し、治療プログラムが標的組織部位の刺激を達成し、かつ刺激が誘発する副作用に関連する組織部位の刺激を回避するか否かを判断するために、選択された治療プログラムを介して治療送達からもたらされる治療野を示す生理学的モデルを見ることができる。
図19Jは、履歴タブ286を選択するユーザ入力を受けると、プログラマ14のユーザインタフェース84のディスプレイを介してプロセッサ80によって表示されるGUI450の例を示す画面図である。GUI450は、図19Cに示されているGUI304と同様であり、IMD16に関係する患者12の履歴およびIMD16のプログラミングの要約を、プログラマ14がこうした情報を格納している程度まで提供する。GUI304と同様に、GUI450は、患者の名前306を示し、患者12に植え込まれるIMD16およびリード20のモデル、リードの位置、リード20の1つまたは複数の電極24、26のインピーダンス、バッテリステータス(たとえば残っているバッテリ寿命の推定値)、1つまたは複数の刺激電極を選択することができる活性電極24、26および患者12に対して目下選択されている治療プログラム等、患者12に関連する情報を要約する。GUI450は、現プログラミングセッション中に選択されかつ/または生成された新たな治療プログラム等、GUI304が表示されて以来取得された情報を要約するという点で、GUI304とは異なり得る。
図19Kは、報告タブ288を選択するユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のユーザインタフェース84のディスプレイを介してプロセッサ80によって表示されるGUI452の例を示す画面図である。GUI452は、IMD16による患者12への治療送達に関する報告を生成することができるオプションを提供する。プロセッサ80は、グラフおよび円グラフ等、種々の報告フォーマットをユーザに提供することができ、いくつかの例では、プロセッサ80は、ユーザが、種々の方法でデータを操作することができる(たとえば、IMD16が特定の治療プログラムに従って治療を送達した時間の割合等、IMD16による治療送達に関する種々の統計を生成するため)画面を提示することができる。
図19Kに示す例では、GUI452は、1つまたは複数の報告が生成される日付の範囲を選択する日付範囲メニュー454と、1つまたは複数の報告が生成される情報のタイプを選択するメニュー456と、報告が生成される1人または複数の患者を選択する患者選択メニュー458と、アクセスされた、いくつかの例ではプロセッサ80によって生成された報告を示す報告画面459と、報告画面459内に表示されるグラフのタイプ(たとえば、線グラフ、棒グラフ、ヒストグラム等)を選択するメニュー460と、報告画面459によって表示される統計(該当する場合)のタイプを選択するメニュー462と、報告画面459内に表示される信号の信号特性を選択するメニュー464とを含む。信号特性のタイプは、たとえば生体電気脳信号が報告画面459内に表示される場合に関連する可能性がある。プロセッサ80は、メニュー464を介してユーザによって選択される信号特性のタイプに基づいて、報告画面459内に表示される生体電気信号(または他の生理学的信号)の一部をフィルタリングすることができる。
図19Kに示す例では、日付範囲メニュー454により、ユーザは、現日付、患者12による先の追跡セッション以来の日付範囲、またはユーザが指定する日付範囲を選択することができる。プロセッサ80は、メニュー454を介して選択される日付範囲を利用して、報告画面459内に表示されるデータをフィルタリングすることができる。
メニュー456は、ユーザが、報告画面459に表示される1つまたは複数の報告によって示される情報のタイプを選択することができる複数のボックスを含む。図19Kに示す例では、メニュー456は、刺激パラメータ、リード完全性を示すことができる、電極24、26を含む電気経路のインピーダンス、バッテリステータス、種々の生理学的信号(たとえば生体電気脳信号)、UPDRSスコア、患者12が服用する薬剤および種々の生理学的モデルを含む。ユーザが定義する分野、または入力として用いられる他の分野、たとえば、1つまたは複数の電極に対する刺激パラメータに応じた副作用または臨床的利益を含む、他のタイプの情報をプロットしてもよい。メニュー456から刺激パラメータのタイプを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザに対して要求された情報を提供するあらゆる適当な報告を生成することができる。たとえば、プロセッサ80は、経時的にIMD16によって患者12に送達される刺激の平均値、中央値、ピーク値または最低値を示すグラフか、またはIMD16が経時的に患者12に刺激を送達する際に用いられた電極を示すグラフを生成することができる。図19Kに示す例では、報告画面459は、2006年3月5日から2010年7月7日までの時間範囲(たとえば、メニュー454を介して選択されたユーザが指定した日付範囲)にわたってIMD16によって患者12に送達された刺激の平均的な振幅を示すグラフを含む。
メニュー456からインピーダンスまたはバッテリステータスを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、ユーザに要求された情報を提供する同様の報告を生成することができる。たとえば、インピーダンスに関して、報告は、経時的な特定の電極24、26を含む電気経路のインピーダンスを示すことができる。バッテリ状態に関して、報告は、経時的なIMD16の電源58の電力レベルかまたは経時的なIMD16の電力の平均消費量を示すことができる。
メニュー456から生理機能を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、IMD16の検知モジュール46(図2)によって生成される信号であり得る、患者12の生理学的パラメータを示す信号を示す報告を生成することができる。図19Kに示す例では、ユーザが選択することができる生理学的情報は、電極24、26の種々のサブセットを用いて検知モジュール46によって検知される生体電気脳信号を含む。いくつかの例では、生理学的信号情報は、電極24、26のいくつかまたはすべてに対して図19E等に示されているグラフ346、348を含むことができる。
メニュー456から生理学的モデルを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、植え込まれた電極24、26の一部またはすべてに近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルを示す報告を生成することができる。生理学的モデルは、たとえば、組織のグラフィカル表現(たとえば、組織372のグラフィカル表現(図19Fに示す)または組織423の3Dグラフィカル表現(図19Hに示す)、リードのグラフィカル表現(たとえば図19Hに示すリード424のグラフィカル表現)および/または治療野モデル(たとえば、図19F〜図19Hに示す活性場モデル407))を含むことができる。
メニュー456からUPDRSスコアを選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、経時的な患者12のUPDRSスコアを示す報告を生成することができる。IMD16が、パーキンソン病以外の状態を管理するように患者12に治療を送達する例では、メニュー456はUPDRSスコアを含まない可能性がある。メニュー456から薬剤を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、経時的に患者12が服用する薬剤を示す報告を生成することができ、それは、ユーザに対し、患者状態が変化した可能性があるかまたはプログラムされている理由または方法を確認するための情報を提供することができる。
インポート/エクスポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、患者12に関する情報(たとえば、患者状態、患者12に植え込まれるIMD16およびリード20のタイプ等)を格納することができるIMD16またはリモートデータベース等、別のデバイスから、遠隔測定モジュール86を介して、データをインポートすることができる。別のデバイスから情報をインポートすることに加えてまたはその代りに、インポート/エクスポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、遠隔測定モジュール86を介して別のデバイス(たとえば、IMD16、リモートまたはローカルコンピューティングデバイスまたはプリンタ)にデータをエクスポートすることができる。データは、たとえば、プログラミングセッション中に選択された1つまたは複数の治療パラメータ値または刺激電極を含むことができる。プログラマ14はまた、ヘルプオプションを含むことができ、それによりユーザは質問を入力することができ、プロセッサ80はデータベースにおいて回答を探索することができる。プログラマ14のこの機能にアクセスするために、ユーザは、ヘルプタブ292を選択することができる。
図19Lは、エクスポート/インポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のユーザインタフェース84のディスプレイを介してプロセッサ80によって表示されるGUI470の例を示す画面図である。インポート/エクスポートタブ290を選択するユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80はGUI470を生成することができ、ユーザはそれと対話して、別のデバイス(たとえば、IMD16またはリモートコンピューティングデバイスまたはデータベース)にエクスポートされる情報のタイプ、またはプログラマ14にインポートされる情報のタイプを選択することができる。図19Lに示す例では、ユーザが別のデバイスにエクスポートするように選択することができる情報のタイプは、プロセッサ80またはユーザによって選択される治療プログラム、プログラムタブ284下でプロセッサ80によって生成されるかまたは表示される情報、患者履歴(たとえば履歴タブ286を介して表示される情報)、プロセッサによって生成されるさまざまな報告(たとえば、報告タブ288を介して表示される報告)を含む。しかしながら、他の例では、GUI470は、ユーザが別のデバイスに他のタイプの情報をエクスポートするために対話することができるインタフェースを提供することができる。
図19Lに示す例では、ユーザが別のデバイスからインポートするように選択することができる情報のタイプは、患者12の医用画像(たとえば患者12の脳28の画像)、患者12のビデオ、または他の患者データを含む。しかしながら、他の例では、GUI470は、ユーザが、他のタイプの情報をプログラマ14にインポートするために対話することができるインタフェースを提供することができる。
図19Mは、ヘルプタブ292を選択するユーザ入力を受け取ると、プログラマ14のユーザインタフェース84のディスプレイを介してプロセッサ80によって表示されるGUI472の例を示す画面図である。GUI472は、質問を受け取るテキストボックス476、ヘルプトピックスのインデックス478、および頻繁に質問される質問およびそれぞれの回答のリスト480を含む。テキストボックス476にユーザ入力を受け取ると、プロセッサ80は、質問に対する回答をプログラマ14のメモリ82(図4)またはリモートデータベースのメモリにおいて探索することができる。プロセッサ80は、たとえば、テキストボックス476に入力されたキーワードを、メモリ82に格納されているキーワードと整合して、患者12に表示すべき回答を選択することができる。
図1〜図19Mに関して説明した装置、システムおよび技法は、1つまたは複数の植え込まれたリードの電極を介して検知される生体電気脳信号と、1つまたは複数の植え込まれたリードに近接する患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルとに基づいて、刺激電極の組合せを選択することを言及する。他の例では、図1〜図19Mに関して上述した装置、システムおよび技法を用いて、医療機器のハウジング上の複数の電極から刺激電極の組合せを選択することも可能である(たとえば、リードなし電気刺激器は、ハウジングの外面に1つまたは複数の電極を含むことができる)。したがって、図1〜図19Mに関して説明した装置、システムおよび技法を用いて、電極が結合される部材に関らず1つまたは複数の電極を介して検知される生体電気脳信号と、1つまたは複数の電極に近接する患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学モデルとに基づいて、患者12に対して効果的な治療送達に対する刺激電極の組合せを選択することができる。
さらに、他の例では、図1〜図19Mに関して説明した装置、システムおよび技法を用いて、プローブを介して検知される生体電気脳信号と、プローブに近接する患者12の脳28の1つまたは複数の解剖学的構造を示す生理学的モデルとに基づいて、患者12に対して効果的な治療送達に対する刺激電極の組合せを選択することも可能である。
プローブは、臨床医が患者12の脳28内に植え込むと予期する1つまたは複数のリードと同様の構成の電気接点を含む装置であり得る。臨床医は、標的組織部位の位置を特定するか、または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位の位置を特定するために、患者12の脳28内にプローブを配置することができる。たとえば、臨床医は、脳28内にプローブを配置し、電気接点1つまたは複数を介して生体電気信号を検知し、検知された生体電気脳信号の信号特性に基づいて脳28内の適切な位置を特定することができる。脳28の種々の領域を、それぞれの生体電気脳信号特性と関連付けることができる。信号特性は、検知された生体電気脳信号が、生体電気脳信号を検知するために用いられた電極が標的組織部位に近接するかまたは刺激が誘発する副作用に関連する組織部位に近接することを示すか否かを判断することに関して上述したものに類似することができる。
プローブおよびその接点を、リード20に対する代用物として用いることができる。たとえば、刺激電極の組合せを選択する上述した技法のいずれかを利用して、標的組織部位に近接しかつ/または刺激が誘発する副作用に関連する組織部位から間隔が空けられているプローブの1つまたは複数の電気接点を選択することができる。そして、プローブの選択された電気接点に基づいて、刺激電極の組合せを選択することができる。たとえば、リードおよびプローブそれぞれに対する配置に基づいて選択された電気接点に直接対応する電極を、刺激電極として選択することができる。別の例として、プログラマ14もしくは別のコンピューティングデバイスのプロセッサ80または臨床医は、選択された電気接点の座標(たとえば、定位座標または他の3次元(3D)座標)を確定することができ、リード20が脳28内に植え込まれた後、選択された電気接点とおよそ同じ座標である電極を、刺激電極として選択することができる。
リード20を、プローブの座標に基づいて患者の脳28内に植え込むことができる。たとえば、プローブを用いて脳28内の標的組織部位を見つけた後、臨床医またはプログラマ14は、プローブの1つまたは複数の部分(たとえば、遠位先端、各接点等)の座標を確定することができ、臨床医は、対応する部分(たとえば、リードの遠位先端、電極位置等)が実質的に同じ座標に植え込まれるようにリード20を植え込むことができる。
プローブは、操作がより容易であり得るため(たとえば、その剛性または他の機械的特徴のため)、リード20に対する代用物としてプローブおよびその接点を利用することが有用であり得る。いくつかの例では、プローブは、リード20より小さくてもよく、それにより、プローブを、プローブの事前使用なしに脳28内にリード20を植え込むことに比較して、標的組織部位の位置を特定するより侵襲性の低い装置として用いることができる。
プログラマ14、IMD16またはさまざまな構成要素に属するものを含む、本開示に記載した技法を、少なくとも部分的にハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの何らかの組合せで実施することができる。たとえば、それら技法のさまざまな態様を、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGAまたは他のあらゆる等価な集積回路もしくはディスクリート論理回路を含む1つまたは複数のプロセッサとともに、臨床医プログラマまたは患者プログラマ等のプログラマ、刺激器、画像処理装置または他の装置等に植え込まれているこうした構成要素のあらゆる組合せ内に実装することができる。「プロセッサ」または「処理回路」という用語は、全体として、上述した論理回路のいずれかを、単独で、または他の論理回路もしくは他のあらゆる等価な回路と結合して指すものとする。
こうしたハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアを、本開示に記載したさまざまな動作および機能をサポートするように同じデバイスまたは別個のデバイス内で実施することができる。本明細書に記載する技法は、主に、IMD16のプロセッサ40および/またはプログラマ14のプロセッサ80によって実行されるように記載されているが、本明細書に記載する技法のあらゆる1つまたは複数の部分を、IMD16、プログラマ14または別のコンピューティングデバイスのうちの1つのプロセッサにより、単独でまたは互いに結合して実施することができる。
さらに、記載したユニット、モジュールまたはコンポーネントのいずれも、合わせて、またはディスクリートであるが相互運用可能な論理デバイスとして別個に実装することができる。モジュールまたはユニットとして種々の機能を記載する場合、それは、種々の機能態様を強調することが意図されており、こうしたモジュールまたはユニットを、別個のハードウェアコンポーネントまたはソフトウェアコンポーネントによって具現化しなければいけないことを必ずしも示唆していない。むしろ、1つまたは複数のモジュールまたはユニットに関する機能を、別個のハードウェアコンポーネントまたはソフトウェアコンポーネントによって実行するか、または共通のもしくは別個のハードウェアコンポーネントもしくはソフトウェアコンポーネント内に組み込むことができる。
ソフトウェアで実装される場合、本開示に記載するシステム、装置および技法に属する機能を、RAM、ROM、NVRAM、EEPROM、FLASHメモリ、磁気データ記憶媒体、光データ記憶媒体等のコンピュータ可読媒体における命令として具現化することができる。命令を、本開示に記載する機能の1つまたは複数の態様をサポートするように実行することができる。
本発明のさまざまな例について説明した。これらの例および他の例は、以下の特許請求の範囲内にある。
〔態様1〕
少なくとも1つの電極を含む検知電極の組合せを用いて患者の脳内の生体電気信号を検知する検知モジュールと、
前記患者の前記脳内の前記少なくとも1つの電極に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルにアクセスし、前記生体電気信号および前記生理学的モデルに基づいて、前記患者の前記脳に電気刺激を送達する刺激電極の組合せを選択するプロセッサと
を具備するシステム。
〔態様2〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記生理学的モデルが、電気刺激が前記刺激電極の組合せから伝播する場所を示す電場モデル、前記刺激電極の組合せによって送達される前記電気刺激によって活性化される前記患者の前記脳のニューロンを示す活性場モデル、または前記刺激電極の組合せを介して送達される前記電気刺激の分布を示す電圧勾配または電流密度モデルのうちの少なくとも1つを含む、システム。
〔態様3〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記生理学的モデルが、前記患者の前記脳内の前記少なくとも1つの電極に近接する前記患者の前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造を示す、システム。
〔態様4〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、少なくとも、前記患者の前記脳内の前記少なくとも1つの電極を含むリードの定位座標を確定し、前記定位座標に基づいて前記リードに近接する前記患者の前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造を確定することにより、前記生理学的モデルを生成し、前記生理学的モデルが、前記少なくとも1つの電極に近接する前記患者の前記脳の前記1つまたは複数の解剖学的構造を示す、システム。
〔態様5〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記検知モジュールが、それぞれの検知電極の組合せにより前記患者の前記脳内の複数の生体電気信号を検知し、前記検知電極の組合せの各々が少なくとも1つの電極を含み、前記プロセッサが、前記検知された生体電気信号に基づいて前記検知電極の組合せのうちの1つを選択し、かつ少なくとも前記選択された検知生体電気信号と前記生理学的モデルとに基づいて前記刺激電極の組合せを選択することにより、前記刺激電極の組合せを選択する、システム。
〔態様6〕
態様5記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記検知された生体電気信号に基づいて、少なくとも
前記複数の生体電気信号の各々に対して周波数領域特性を確定することと、
前記周波数領域特性の複数の相対値であって、前記複数の相対値の各々が前記周波数領域特性のうちの少なくとも2つに基づく、前記複数の相対値を確定することと、
前記複数の相対値に基づいて前記患者に刺激を送達する前記複数の電極のうちの少なくとも1つを選択することと
によって、前記検知電極の組合せのうちの1つを選択する、システム。
〔態様7〕
態様5記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記検知された生体電気信号に基づいて、少なくとも
前記検知された生体電気信号の各々のパターンをテンプレートと比較することと、
前記テンプレートに実質的に一致する検知された生体電気信号に対応する1つまたは複数の検知電極の組合せを選択することと
によって、前記検知電極の組合せのうちの1つを選択する、システム。
〔態様8〕
態様5記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記検知された生体電気信号に基づいて、前記それぞれの検知された生体電気信号の変動に基づいて前記検知電極の組合せのうちの1つを選択する、システム。
〔態様9〕
態様5記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記検知された生体電気信号に基づいて、少なくとも
前記検知された生体電気信号の各々の平均、中央、ピークまたは最低の振幅のうちの少なくとも1つを確定することと、
前記それぞれの検知された生体電気信号の前記平均、中央、ピークまたは最低の振幅に基づいて、前記検知電極の組合せを選択することと
によって、前記検知電極の組合せのうちの1つを選択する、システム。
〔態様10〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、少なくとも、前記検知電極の組合せに基づいて前記患者の前記脳に電気刺激を送達する前記刺激電極の組合せを選択することと、前記生理学的モデルに基づいて前記刺激電極の組合せを確認することとにより、前記刺激電極の組合せを選択する、システム。
〔態様11〕
態様10記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記生理学的モデルに基づいて、少なくとも、前記刺激電極の組合せを介して前記患者の前記脳に送達される前記電気刺激が、前記患者の前記脳の標的解剖学的構造の組織を刺激するか、または刺激が誘発する副作用に関連する前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造を刺激する少なくとも一方であるか否かを判断することにより、前記刺激電極の組合せを確認する、システム。
〔態様12〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記生理学的モデルが、刺激が前記刺激電極の組合せの電極から伝播する場所を示す治療野モデルを含み、前記プロセッサが、少なくとも、前記治療野が前記患者の前記脳の標的解剖学的構造または刺激が誘発する副作用に関連する前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造と少なくとも部分的にオーバラップするか否かを判断し、前記治療野が前記患者の前記脳の標的解剖学的構造と少なくとも部分的にオーバラップするか、または刺激が誘発する副作用に関連する前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造とオーバラップしない少なくとも一方の場合、前記検知電極の組合せを前記刺激電極の組合せとして選択することとにより、前記刺激電極の組合せを選択する、システム。
〔態様13〕
態様1記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、少なくとも、前記生理学的モデルに基づいて前記患者の前記脳に対し電気刺激を送達する前記刺激電極の組合せを選択することと、前記生体電気信号に基づいて前記選択された刺激電極の組合せを確認することとにより、前記刺激電極の組合せを選択する、システム。
〔態様14〕
態様13記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、少なくとも、前記生理学的モデルに基づいて選択された前記刺激電極の組合せを用いて、前記患者の前記脳内の前記生体電気信号を検知するように、前記検知モジュールを制御することと、前記刺激電極の組合せを介して検知される前記生体電気信号が、前記刺激電極の組合せが前記患者の前記脳内の標的刺激部位に近接していることを示すか否かを判断することとにより、前記生体電気信号に基づいて前記選択された刺激電極の組合せを確認する、システム。
〔態様15〕
態様1記載のシステムにおいて、
ディスプレイを含むユーザインタフェースをさらに具備し、前記プロセッサが、前記生理学的モデルを、前記ディスプレイを介して表示し、前記生理学的モデルを表示した後に前記ユーザインタフェースを介して受け取られるユーザ入力に基づいて、前記刺激電極の組合せを選択する、システム。
〔態様16〕
少なくとも1つの電極を含む検知電極の組合せを用いて患者の脳内の生体電気信号を検知する手段と、
前記生体電気信号と、前記患者の前記脳内の前記少なくとも1つの電極に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルとに基づいて、前記患者の前記脳に電気刺激を送達する刺激電極の組合せを選択する手段と
を具備するシステム。
〔態様17〕
態様16記載のシステムにおいて、
前記生理学的モデルが、刺激が前記刺激電極の組合せの電極から伝播する場所を示す治療野を含み、前記刺激電極の組合せを選択する前記手段が、前記検知電極の組合せに基づいて前記患者の前記脳に電気刺激を送達する前記刺激電極の組合せを選択し、かつ、前記生理学的モデルに基づいて、少なくとも、前記治療野が前記患者の前記脳の標的解剖学的構造または刺激が誘発する副作用に関連する前記脳の1つまたは複数の解剖学的構造と少なくとも部分的にオーバラップするか否かを判断することにより、前記刺激電極の組合せの選択を確認する、システム。
〔態様18〕
態様16記載のシステムにおいて、
前記刺激電極の組合せを選択する前記手段が、前記生理学的モデルに基づいて前記患者の前記脳に電気刺激を送達する前記刺激電極の組合せを選択し、前記生体電気信号に基づいて前記選択された刺激電極の組合せを確認する、システム。
〔態様19〕
プログラマブルプロセッサに対し、
検知モジュールから、少なくとも1つの電極を含む検知電極の組合せを用いて患者の脳内で前記検知モジュールによって検知される生体電気信号を受け取らせ、
前記患者の前記脳内の前記少なくとも1つの電極に近接する組織の1つまたは複数の特性を示す生理学的モデルにアクセスさせ、
前記生体電気信号および前記生理学的モデルに基づいて、前記患者の前記脳に電気刺激を送達する刺激電極の組合せを選択させる
命令を含むコンピュータ可読媒体。