JP5888252B2 - 車両用通信装置、情報処理装置 - Google Patents
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Description
本願を説明するため、まず、図10を参照して従来のRAMの使用例について説明する。図10はマイコン同士が車載ネットワークを介して通信する際に、マイコンがデータを受信する動作とそのデータ保存方法を示す図の一例である。
各メッセージを処理する通信コンポーネント15は予め決まっており、バッファBOX[i]と通信コンポーネント1〜3の対応も定められている。通信処理部1はメッセージのメッセージIDに基づき通信コンポーネント1〜3を特定し、通信コンポーネントに対応したバッファBOXに記憶する。よって、MBOX[i]とバッファBOX[i]は同じとは限らず、複数のMBOXが1つのバッファBOXと対応する場合がある。
図2は、本実施形態の通信方法が適用されうるマイコン100の概略構成図の一例を示す。マイコン100はシステムバスB1に接続された、CPU21、RAM22、ROM23、INTC24、WDT25、DMAC26及び通信コントローラ13を有している。この他、マイコン100はタイマ、UARTなどの各種のI/O、電源回路、他のマイコンと通信するためのCAN(Controller Area Network)コントローラなどの通信装置など、マイコンに一般的な構成を有している。
図3(a)は、CAN通信におけるメッセージのフォーマットの一例を示す図である。SOFはCANフレームの先頭を示す。メッセージID(CANの場合はCANID)はデータを識別するための識別子であり、通信バス27の使用権を調停する際にも使用される。RI,TDr、RE0は制御用bitで固定値である。DLCはDATAフレームが格納するデータの長さを示す。DATAには送信対象のデータが格納される。CRCはエラー検出用の巡回冗長符号である。CRCの次の1bitはCRCデリミタと呼ばれ、区切り用のbitである。ACKスロットは、受信側のECUが正常受信を伝えるための1bitである。ACKデリミタは区切り用の1bitである。EOFは送信の完了を示す。
図4は、マイコン100がメッセージを送受信する場合の基本的な処理手順を示すフローチャート図の一例である。図4の手順はメッセージの受信時と送信時に共通であるが、受信時から説明する。適宜、図1を参照されたい。
通信処理部1は、MBOXに記憶されたメッセージのメッセージIDをID差分に変換する。
ID差分=メッセージID−基準ID
基準IDは、例えばMIN_ADDRである。マイコン100の起動時、初期設定を行うプログラムが通信コントローラ13のMBOXにメッセージIDの範囲を設定する。この範囲の最小のメッセージIDがMIN_ADDR、最大のメッセージIDがMAX_ADDRである。通信コントローラ13の各MBOXは、メッセージIDがMIN_ADDRからMAX_ADDRの範囲内のメッセージのみを受信する。このような受信方法をメッセージのマスク処理という。例えば、MBOX[0]のMIN_ADDRが100h、MAX_ADDRが120hの場合、MBOX[0]は100h〜120hのメッセージIDのメッセージのみを受信する。
受信したメッセージIDが110hの場合、ID差分は以下のように算出される。
ID差分=110h−100h(基準ID)=10h
なお、基準IDは、例えばMAX_ADDRでもよい。この場合は、以下のようにID差分を算出する。
ID差分=|メッセージID−基準ID(MAX_ADDR)|
すなわち、メッセージIDと基準IDの差の絶対値を求めれば、MAX_ADDRからでもID差分を算出できる。また、「ID差分=基準ID(MAX_ADDR)−メッセージID」としてもよい。
ID差分のビット数=MAX_ADDR−MIN_ADDRの算出結果のビット幅
例えば、MAX_ADDR=120h、MIN_ADDR=100hの場合、
120h−100h=20h となる。
したがって、ID差分のビット数は6ビットである。
通信処理部1は、メッセージが格納されたMBOXの番号を取得する。ID差分は算出済である。そして、通信処理部1はメッセージのメッセージIDに基づき通信コンポーネント1〜3を特定し、通信コンポーネント1〜3に対応したバッファBOXに記憶する。
通信処理部3は、Queに格納されたメッセージのID差分をメッセージIDに復元する。
メッセージID=基準ID+ID差分
基準IDはSTEP1の基準IDと同じである。通信処理部3と通信処理部1は別のモジュールでも、互いに通信することや、通信処理部3がマスク値テーブルを参照することが可能なので、同じ基準IDを使用できる。通信処理部3はMBOX番号に基づきMBOXに専用の基準IDを特定する。
メッセージID=100h+10h=110h となる。
図7は、本実施形態のマイコン100がメッセージを送信する動作とそのデータ保存方法を示す図の一例である。
まず、通信コンポーネント1〜3はメッセージID、DLC及びDATAを生成して通信処理部3に送信を要求する。通信処理部3は基準IDに基づきID差分を算出する。送信時の基準IDも受信時とほぼ同様に、送信メッセージの最小メッセージIDとする。
MIN_SENDが200h、MAX_SENDが250h、メッセージIDが230hの場合、ID差分は以下のようになる。
ID差分=メッセージID−基準ID
=230h−200h(基準ID)=30h
バッファBOXとQueにおいて確保すべきID差分のビット数について説明する。
ID差分のビット数=MAX_SEND−MIN_SENDの算出結果のビット幅
例えば、MAX_SEND=250h、MIN_SEND=200hの場合、
250h−200h=50h となる。
したがって、ID差分のビット数は7ビットであればよい。
通信処理部3は、通信コンポーネント1〜3が作成したメッセージをQueに格納する。Queに格納される情報のうち、ID差分、DLC、DATA、はすでに作成されている。MBOX番号は、受信時にメッセージIDによりMBOX番号が決まったのと同様に、通信処理部3がメッセージIDに基づき作成する。さらにメッセージを作成した通信コンポーネントを考慮してもよい。コンポ指定は、メッセージを作成した通信コンポーネント1〜3の識別情報である。
通信処理部1は、バッファBOXに格納されたメッセージのID差分をメッセージIDに復元して、通信コントローラ13のMBOXに記憶する。メッセージIDは、受信時と同様に以下のようにして復元される。
メッセージID=基準ID+ID差分
基準IDはSTEP1の基準IDと同じである。通信処理部1は、通信処理部3からMBOX番号に紐づけられた送信時の基準ID(例えばMIN_SEND)を取得する。基準IDにID差分を加えることでメッセージIDを復元できる。
例えば、MIN_SEND=200h、ID差分が30hの場合、
メッセージID=200h+30h=230h となる。
メッセージID:32ビット、DLC:3ビット、DATA:8バイト、コンポ指定:1バイト、Queの段数:128、バッファBOXの数:256、
の場合、QueとバッファBOXのサイズは以下のようになる。
・従来
Que:(32+3+64+8)×128=107ビット×128=1712バイト
バッファBOX:(32+3+64)×256=99ビット×256=3168バイト
・本実施例(n=4)
Que:(8+4+3+64+8)×128=87ビット×128=1392バイト
バッファBOX:(8+4+3+64)×256=79ビット×256=2528バイト
よって、使用されるRAM容量を、従来の4880バイトから、本実施例では3902バイトに低減できる。差としては960バイトであり、比率としては約20%、小さくできる。組み込み系のマイコンではこのような差は大変、大きい。また、車両に搭載されるマイコンの多くでこの効果を得られるので、車両全体としての効果はさらに大きくなる。なお、メッセージIDは32ビットでなければならないのではなく、32ビット未満(例えば29ビット)や32ビットより大きくてもよい。
A.MBOX毎にマスクできない場合
マイコンによっては、例えば、MBOX[0]〜MBOX[100]、MBOX[101]〜MBOX[200]、MBOX[201]〜MBOX[255]のように、グループ毎にしかマスクを設定することしかできない。このようなマイコンでは、通信処理部1、3がMBOX毎にMIN_ADDRとMIN_SENDを自動的に判別する。
実施例1ではMBOX毎に基準IDが定められていたが、全てのMBOXに対し基準IDを一定値とすることもできる。例えば、MBOXの数が少ないマイコンなどでは、マスク値テーブルのサイズを削減できるという効果がある。
図9(b)は送受信頻度と基準IDの関係を模式的に示す図の一例である。上記のように、一定時間、通信コントローラ13がメッセージIDを受信すれば、メッセージIDの送受信頻度を求めることができる。図示するように、頻度が高いメッセージIDとメッセージIDの大きさに相関があれば、送受信頻度が閾値以上のメッセージIDと閾値未満のメッセージIDとに区分できる。そして、通信処理部1、3はこの閾値を基準IDに決定する。
ID差分=メッセージID−基準ID(実施例1と同じ)
通信コントローラ13が、頻度が低いメッセージIDを受信した場合、通信処理部1はID差分を算出しない。この場合、予め確保してあるバッファBOXとQueにメッセージを記憶する。メッセージIDは例えば32ビットのままなので、バッファBOXやQueのサイズを削減できないが、送受信の頻度が少ないので確保する容量は、少なくてよい。例えば、以下のように確保する。
頻度高:Que128段、バッファBOX128個
頻度低:Que 1段、バッファBOX 1個
したがって、実施例1より増えたとしても従来よりは、はるかにRAM22のサイズを抑制できる。
12 一次バッファ
13 通信コントローラ
14 通信処理部
15 通信コンポーネント
21 CPU
22 RAM
100 マイコン
Claims (9)
- 車載ネットワークを介してデータを受信する車両用通信装置であって、
所定範囲のデータ識別番号を有するデータを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したデータのデータ識別番号から予め定められた基準識別番号を減じることで番号差分を算出する差分算出手段と、
前記番号差分に対応づけて、前記受信手段が受信したデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出したデータの前記番号差分に前記基準識別番号を加えてデータ識別番号を復元し、データと共にデータを処理する処理手段に出力するデータ転送手段と、
を有することを特徴とする車両用通信装置。 - 前記基準識別番号は、前記受信手段が受信する前記所定範囲のデータ識別番号の上限又は下限である、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用通信装置。 - 前記差分算出手段は、前記受信手段が受信したデータのデータ識別番号を監視して、閾値以上の受信頻度のデータ識別番号を前記基準識別番号に決定し、
前記基準識別番号以上のデータを前記受信手段が受信した場合、前記基準識別番号を減じることで前記番号差分を算出し、データと対応づけて前記記憶手段に記憶し、
前記基準識別番号未満のデータを前記受信手段が受信した場合、前記番号差分を算出することなく、データ識別番号にデータを対応づけて前記記憶手段に記憶する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用通信装置。 - 前記差分算出手段は、前記受信手段が受信したデータのデータ識別番号を監視して、前記所定範囲のデータ識別番号の上限又は下限を決定し、前記上限又は前記下限のデータ識別番号を前記基準識別番号に決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用通信装置。 - 車載ネットワークを介してデータを送信する車両用通信装置であって、
所定範囲のデータ識別番号のデータを作成するデータ作成手段からデータを取得し、データ識別番号から予め定められた基準識別番号を減じることで番号差分を算出する差分算出手段と、
前記番号差分に対応づけて、前記データ作成手段か作成したデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出したデータの前記番号差分に前記基準識別番号を加えてデータ識別番号を復元し、データと共に送信手段に記憶するデータ転送手段と、
記憶されたデータ識別番号とデータをネットワークに送信する送信手段と、
を有することを特徴とする車両用通信装置。 - 前記基準識別番号は、前記データ作成手段が作成する前記所定範囲のデータ識別番号の上限又は下限である、
ことを特徴とする請求項5記載の車両用通信装置。 - 前記差分算出手段は、前記データ作成手段が作成したデータのデータ識別番号を監視して、閾値以上の作成頻度のデータ識別番号を前記基準識別番号に決定し、
前記基準識別番号以上のデータを前記データ作成手段が作成した場合、前記基準識別番号を減じることで前記番号差分を算出し、データと対応づけて前記記憶手段に記憶し、
前記基準識別番号未満のデータを前記データ作成手段が作成した場合、前記番号差分を算出することなく、データ識別番号にデータを対応づけて前記記憶手段に記憶する、
ことを特徴とする請求項5記載の車両用通信装置。 - 前記差分算出手段は、前記データ作成手段が作成したデータのデータ識別番号を監視して、前記所定範囲のデータ識別番号の上限又は下限を決定し、前記上限又は前記下限のデータ識別番号を前記基準識別番号に決定する、
ことを特徴とする請求項5記載の車両用通信装置。 - 請求項1〜8いずれか1項記載の車両用通信装置と、
データを処理するCPUと、
前記記憶手段と、
プログラムを記憶したプログラム記憶手段と、
を有する情報処理装置。
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