JP5885653B2 - 加湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質体電極を利用した加湿装置に関するものである。
敷地面積が3000[m]以上の商業施設又は事務所等の特定建築物は、いわゆるビル衛生管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)により、空気環境の管理基準値として室内温度を17[℃]〜28[℃]、及び、相対湿度を40[%]〜70[%]に保つべきことが定められている。また、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)では、相対湿度30[%]〜60[%]の湿度基準が明示されている。室内温度に関しては、エアーコンディショナーの普及に伴い、比較的容易に管理されている。しかし、相対湿度は十分に管理されているとは言い難く、特に冬場の加湿量不足が課題となっている。
従来の室内加湿方法としては、気化式、蒸気式及び水噴霧式等がある。このうち、気化式は、吸水性能を有するフィルターに通風することによってフィルターが含有する水分を気流と熱交換させて、フィルターから水分を蒸発させ、室内の加湿を行う方法である。また、蒸気式は、貯水槽内の水を加熱する加熱手段に通電することによって水分を蒸発気化させて、室内の加湿を行う方法である。そして、水噴霧式は、水分を加圧することによって微細化し、その微細化した水分が気流との熱交換を行うことによって室内の加湿を行う方法である。
従来の気化式の加湿方法を利用した加湿装置として、吸水性を有する板状の加湿板を等間隔に複数個並べて補強した加湿エレメントの上部と、吸水性材質の分散盤とに互いに切り欠きを設けて噛み合わせて固定し、また加湿板に設けた切り欠き溝の上部に切り欠きを設けて給水ヘッダーをこの切り欠きの部分に収納した滴下気化式加湿ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平4−113837号公報
特許文献1に記載の加湿装置は、複数枚の加湿板の上部に給水ヘッダーを設け、給水ヘッダーから滴下した水を、分散板を介して加湿板に供給しながら加湿を行うものである。しかし、この構成においては、隣接する加湿板同士の間に電界を形成して加湿する方法については考慮されていなかった。例えば特許文献1に記載の構成に、電界を形成して加湿する構成を組み合わせた場合、給水ヘッダーから水が供給された場合には、電圧が印加された加湿板又はそれに隣接する加湿板からクーロン力が作用するため、給水ヘッダーの水が電圧印加部に引き寄せられ、加湿板間で短絡するおそれがあった。また、加湿板の余剰水は加湿板の下端部で水滴を形成して滴下するが、この水滴は電界で誘電され、クーロン力の作用により短絡するおそれがある。
このように短絡が発生すると、加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び加湿板の物理的劣化が起こるという課題があった。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、加湿する水を含有する多孔質金属体と導電体電極との間に電界を形成させる加湿装置において、短絡を抑制することを目的としたものである。
本発明に係る加湿装置は、複数の空隙部を有した三次元網目構造で形成され、接地された多孔質金属体と、前記多孔質金属体と対向するように当該多孔質金属体との間に空間をおいて配置された導電体電極と、前記導電体電極に電圧を印加する電源と、前記多孔質金属体に上方から水を供給する供給部と、前記接地された多孔質金属体前記導電体電極との間に通風させる送風機と備え、前記多孔質金属体の上端の方が前記導電体電極の上端よりも高くなるように両者に高低差が設けられているものである。
本発明によれば、多孔質金属体の上端の方が導電体電極の上端よりも高くなるように両者に高低差が設けられているため、供給部から供給される水が導電体電極に付着しにくく、水を供給する際における多孔質金属体及び導電体電極からの短絡の発生を抑制することができる。
実施の形態1に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態1に係る供給部の一例を説明する図である。 実施の形態1に係る加湿装置の多孔質金属体の部分拡大断面図である。 多孔質金属体及び多孔質セラミックの単位体積当たりの純水の吸水量を比較した図である。 実施の形態1に係る加湿装置の多孔質金属体3及び多孔質セラミックの拡散速度を比較した図である。 実施の形態1に係る加湿装置の電界強度と加湿量との関係を示す図である。 実施の形態2に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態3に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態3に係る吸水体の一例を説明する図である。 実施の形態4に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態4に係る加湿装置の遮蔽部材の一例を説明する要部正面図である。 実施の形態4に係る加湿装置の遮蔽部材の他の例を説明する要部正面図である。 実施の形態7に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態8に係る加湿装置の構成図である。 実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングとを説明するタイミングチャートである。 実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。 実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。 実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。
以下、実施の形態に係る加湿装置の構成と動作について、図を参照しながら説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において同一又は対応する構成には、同一の符号を付している。
実施の形態1.
(加湿装置1の構成)
図1は、実施の形態1に係る加湿装置の構成図である。
図1で示されるように、本実施の形態1に係る加湿装置1は、少なくとも、加湿空間を加湿する水100を貯留する供給部2、この供給部2から供給された水100を保持する複数の多孔質金属体3、この多孔質金属体3同士の間に設けられた導電体電極4、この導電体電極4に接続され、導電体電極4に電圧を印加して多孔質金属体3と導電体電極4との空間(ギャップ)に電界を形成させる電源5、多孔質金属体3及び導電体電極4によって構成される加湿部に空気を被処理ガス200として通風する送風機6、及び多孔質金属体3から排出された余剰水を受けるドレンパン7を備える。本実施の形態1の加湿装置1は、供給部2及びドレンパン7の近傍において、多孔質金属体3と導電体電極4との間に高低差を設けた上で、多孔質金属体3を供給部2に接触させ、かつドレンパン7近傍に設ける構成としたことを特徴としている。以下、具体的に説明する。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、及びドレンパン7は、支持体によって固定されるものとする。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
(水100)
水100は、加湿装置1を構成する部材ではないが、加湿装置1に利用されるものであるので、簡単に説明する。
水100は、純水、水道水、軟水又は硬水のいずれを使用しても構わないが、スケールによる多孔質金属体3の空隙部9(図3において後述)の閉塞を低減するために、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含むミネラル成分が少ないものが好ましい。ミネラル分が多い水100を使用すると、溶液中のイオン成分と二酸化炭素とが反応して固形物が生成され、多孔質金属体3の空隙部9を閉塞させる可能性があるためである。したがって、陽イオン及び陰イオン用イオン交換膜等を使用してイオン成分を取り除いた水100を使用してもよい。
(供給部2)
供給部2は、水100を上方から多孔質金属体3に供給するものである。供給部2は、例えば、水100を貯留するタンク等の容器と、この容器内の水100を多孔質金属体3に供給する供給穴が形成された供給配管とを有する。供給部2からの水の出口は、多孔質金属体3に接触している。
供給部2の具体的構成の一例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る供給部の一例を説明する図である。図2に示す供給部2は、ポンプ等の駆動部11とノズル12とを用いて、多孔質金属体3の上部から多孔質金属体3に水100を滴下するものである。供給部2に、水道配管に直結された減圧弁やストレーナーを設けてもよい。
駆動部11は、水100を搬送できるものであればよく、例えば、非容積式ポンプ又は容積式ポンプ等を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
ノズル12は、多孔質金属体3の直上に設置されており、駆動部11から搬送された水100を多孔質金属体3の上部に滴下するものである。すなわち、本実施の形態1の多孔質金属体3は、水100を貯留した供給部2のタンクから水100が直接供給されるのではなく、ノズル12を介して供給される。ノズル12は、中空形状であり、その外形及び内径は多孔質金属体3の大きさに応じて選択すればよい。また、ノズル12の先端形状は、三角錐形状、円管形状又は四角管形状等のいずれの形状でもよい。また、ノズル12の材質は、ステンレス、タングステン、チタン、銀若しくは銅等の金属、又は、PTFE、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等の樹脂でもよく、これらに限定されるものではない。
(多孔質金属体3)
多孔質金属体3は、三次元網目構造を有する多孔質金属によって形成される。ここで、三次元網目構造とは、スポンジ等の樹脂発泡体と同様の構造である。図3は、実施の形態1に係る加湿装置の多孔質金属体の部分拡大断面図である。図3で示されるように、多孔質金属体3は、多数の空隙部9が形成された金属部10によって形成されている。本実施の形態1に係る多孔質金属体3は、多孔質セラミックに比べて気孔率及び平均細孔径を大きいものとしている。これによって、多孔質金属体3の空隙部9において、水100に含まれる不純物による目詰まりが抑制される。また、多孔質金属体3は毛細管力を有するので、この毛細管力によってポンプ等の駆動部を要することなく、供給部2からの水100を多孔質金属体3の全体へ効率的に供給することができる。
多孔質金属体3を構成する金属種としては、特に限定されるものではないが、例えば、チタン、銅若しくはニッケル等の金属、金、銀若しくは白金等の貴金属、又は、ニッケル合金若しくはコバルト合金等の合金が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、チタンは、その触媒効果によってオゾン等の放電生成物の生成を抑制するとともに、電気腐食及び電気磨耗に対する耐性が良好であり、さらに、長期に渡って多孔質金属体3の形状を保持して安定して加湿を行うことができるため、最も好ましい金属種である。また、多孔質金属の製造に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水等が挙げられる。また、多孔質金属の製造に用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂等が挙げられる。多孔質金属の焼結温度についても特に限定されるものではなく、使用する材料にあわせて適宜調整すればよい。
また、樹脂を材質として多孔質体を形成したものに、金属の粉末をコーティングしたものを多孔質金属体3として用いてもよい。
また、多孔質金属体3の表面層には、水100の保持量の増大、及び、吸水性能劣化防止の観点から、親水化処理を施してもよい。その浸水化処理の方法の種類についても限定されることはなく、例えば、親水化樹脂でコーティングすることによる親水化処理、又は、コロナ放電による親水化処理を実施することができる。
また、多孔質金属体3の形状についても特に限定されるものではないが、例えば、平板形状、四角柱形状又は円柱形状としてもよく、多孔質金属体3と導電体電極4との空間の電界によって効率的に水100の引き出しができる形状を選択すればよい。この場合、多孔質金属体3を所望の形状に成形する方法としては、例えば、厚さ0.5[mm]以上2[mm]以下のシート状の多孔質金属を作製した後、所望の形状に切断して所望の形状に加工すればよい。その加工方法としても特に限定されるものではなく、例えば、ワイヤーカット、レーザーカット、プレス打ち抜き、削りだし、手切断又は折り曲げ等の各種方法によって行うことができる。
また、多孔質金属体3の大きさについても特に限定されるものではなく、加湿装置1の大きさに合わせて適宜調整すればよいが、多孔質金属体3の通風方向の長さ(上流側から下流側の長さ)は、10[mm]以上100[mm]以下が望ましい。水100を供給した多孔質金属体3に通風すると、多孔質金属体3中の水100は、気相へ拡散して気相が加湿されるが、多孔質金属体3の通風方向の下流側に対して上流側は気相の水分濃度は上昇し、水飽和度が上昇することから、通風方向に多孔質金属体3を長くすると加湿の効率が低下する。このため、多孔質金属体3の通風方向の長さは、100[mm]以下が望ましい。また、多孔質金属体3の通風方向の長さが10[mm]以下であると、多孔質金属体3自体が歪みやすくなり、多孔質金属体3が歪むと多孔質金属体3と導電体電極4との間で電界集中を生じて短絡しやすくなるため、多孔質金属体3の通風方向の長さは10[mm]以上が望ましい。
(多孔質金属体3の気孔率)
図4は、多孔質金属体及び多孔質セラミックの単位体積当たりの純水の吸水量を比較した図である。以下、図3及び図4を参照しながら、多孔質金属体3の気孔率について説明する。
本実施の形態1に係る加湿装置1の多孔質金属体3の特徴の一つとして、高い気孔率がある。ここで、気孔率とは、空隙率を示し、多孔質金属体3全体の体積に対する空隙部9の割合を示したものである。気孔率が高いほど、多孔質金属体3における水100の含有量を高くすることができる。本実施の形態1の多孔質金属体3は、三次元網目構造によってその気孔率が70[%]〜95[%]程度と非常に高く、水100の含有能力は高い。ここで、図4で示されるように、本実施の形態1に係る加湿装置1で使用する多孔質金属体3及び多孔質セラミックの単位体積当りの純水の吸水量が比較されている。具体的には、図4は、多孔質金属体3として多孔質チタン(平均気孔率:90[%])及びSUS316L(平均気孔率:82[%])、そして、多孔質セラミックとしてチタニア(平均気孔率:31[%])及びムライト(平均気孔率:34[%])を用いた結果を示している。
図4からわかるように、多孔質セラミックであるチタニア及びムライトの単位体積当たりの吸水量は、それぞれ0.17[cc/cm]及び0.19[cc/cm]と少ないのに対し、多孔質チタン及びSUS316Lの単位体積当たりの吸水量は、それぞれ0.38[cc/cm]及び0.5[cc/cm]と多い。つまり、平均気孔率が高いほど吸水性能が増大することがわかる。したがって、加湿体である多孔質金属体3として多孔質チタン又はSUS316Lを使用することによって、供給部2から供給される多くの水100を保持することが可能となる。しかしながら、気孔率が増加すると空隙部9が増加するため、多孔質金属体3の機械的強度が低減する。このため、多孔質金属体3の気孔率は60[%]〜90[%]が望ましい。90[%]よりも高い気孔率であると強度的に脆くなり、60[%]未満であると吸水量が減少して充分な加湿量を得られないためである。
(多孔質金属体3の細孔径)
次に、図3を参照しながら、多孔質金属体3の細孔径について説明する。
本実施の形態1に係る加湿装置1の多孔質金属体3のもう一つの特徴として、大きい細孔径がある。ここで、細孔径とは、多孔質金属体3の空隙部9の孔径の平均値として定義する。本実施の形態1に係る多孔質金属体3は、その細孔径が50[μm]〜600[μm]としている。細孔径が50[μm]未満であると細孔径が細かくなり、不純物によって空隙部9に目詰まりを引き起こす可能性があり、600[μm]より大きいと多孔質金属体3の機械的強度が脆くなりやすいからである。したがって、多孔質金属体3の細孔径は、50[μm]〜600[μm]とするのが好ましく、この範囲内であれば多孔質金属体3の強度も問題なく、不純物による空隙部9の目詰まりを抑制することができる。
(多孔質金属体3の拡散速度)
図5は、実施の形態1に係る加湿装置の多孔質金属体3及び多孔質セラミックの拡散速度を比較した図である。以下、図3及び図5を参照しながら、多孔質金属体3の拡散速度について説明する。
本実施の形態1に係る加湿装置1の多孔質金属体3の特徴の一つとして、高い拡散速度がある。ここで、拡散速度とは、供給される水100が気孔を有する物体内部を拡散する速度を表す。本実施の形態1の加湿装置1においては、多孔質金属体3の拡散速度が、電界による加湿速度よりも小さい場合、多孔質金属体3の拡散速度が律速となり、加湿量が制限されると考えられる。このため、拡散速度が高い多孔質金属体3を用いる必要がある。ここで、図5には、本実施の形態1に係る多孔質金属体3と多孔質セラミックとを用いた場合の拡散速度を比較したものが示されている。具体的には、図5は、多孔質金属体3として多孔質チタンA(気孔率:86.4[%]、細孔径:50[μm])及び多孔質チタンB(気孔率:81.2[%]、細孔径:30[μm])を用い、そして、多孔質セラミックとしてチタニア(気孔率:31[%]、細孔径:0.4[μm])及びムライト(気孔率:34[%]、細孔径:0.3[μm])を用いている。そして、これらそれぞれの一方の端部に、100[cc]の純水をシリンジで供給した際の純水の移動距離を所定時間ごとに測定した結果を示している。なお、多孔質金属体3及び多孔質セラミックの測定サンプルの形状は、直径5mm、長さ10cmの丸棒形状とした。
図5からわかるように、多孔質セラミックであるチタニア及びムライトにおける純水の移動距離は、60[秒]を経過しても20[mm]未満であるのに対し、多孔質チタンA及び多孔質チタンBにおける純水の移動距離は、60[秒]を経過すると80[mm]〜90[mm]と長い。すなわち、気孔率及び細孔径が大きい多孔質チタンA及び多孔質チタンBは、多孔質セラミックに比べて拡散速度が速いことがわかる。したがって、多孔質金属体3として多孔質チタンA又は多孔質チタンBを使用することによって、多孔質セラミックよりも拡散速度は速く、拡散速度が加湿速度の律速条件になり難くなる。
また、本実施の形態1の多孔質金属体3内での水100の推進力ΔPは、下記の式(1)によって、表面張力σ、接触角α、細孔径D、定数Kcにより一義に決定され、多孔質金属体3を構成する金属種類に依存しない。また、下記の式(1)で示されるように、推進力ΔPの向上、すなわち拡散速度を大きくするためには、接触角αを小さくするための親水化処理、及び細孔径Dを小さくする選択が必要である。
Figure 0005885653
(導電体電極4)
導電体電極4は、間隔を開けて配置された複数の多孔質金属体3同士の間に、多孔質金属体3から空間をおいて配置される。導電体電極4は、多孔質金属体3との間の空間において電界を形成するために導電性を有する必要があり、材質として例えば、金属、金属合金又は導電性樹脂等が好ましい。また、導電体電極4は、電気抵抗が低いものであればよく、汎用性及び加工性の観点からアルミニウム、銅又はステンレス等が好ましいが、これに限定されるものではない。また、導電体電極4の大きさについても特に限定されるものではなく、製造する加湿装置の大きさに合わせて適宜調整すればよい。また、導電体電極4を多孔質金属体3と同じ材料で構成してもよい。導電体電極4の形状については、特に限定されるものではないが、例えば、平板形状、四角柱形状又は円柱形状とすることができる。
(電源5)
電源5は、導電体電極4に接続されており、この導電体電極4に電圧を印加する。導電体電極4に電圧が印加されると、多孔質金属体3と導電体電極4との空間に電界が形成される。ここで、多孔質金属体3から加湿を行うためには、多孔質金属体3を接地し、多孔質金属体3の対向部に設けられる導電体電極4に直流負極性電圧を印加すること、又は、多孔質金属体3に直流正極性電圧を印加し、対向部に設けられる導電体電極4を接地することが望ましい。なお、水100を含んだ多孔質金属体3に直流正極性電圧を印加した場合、電気腐食により多孔質金属体3を劣化させる可能性があるため、多孔質金属体3を接地し、対向部に設けられる導電体電極4は直流負極性電圧を印加する方がより望ましく、本実施の形態1ではそのように構成したものとして説明する。また、交流電圧、パルス電圧を導電体電極4に入力してもよい。
また、電源5が導電体電極4に印加する最大電圧値としては、直流負極性電圧を印加する場合には、−10[kV]以上−4[kV]以下とすることが望ましい。これは、印加電圧が−4[kV]より大きく0[kV]未満であれば、例えば、圧力損失の関係で多孔質金属体3と導電体電極4との間のギャップ長を長く構成する必要がある場合において、多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される電界の強度が弱く、多孔質金属体3から水100を引き出しにくくなるためである。一方、印加電圧が−10[kV]より小さく(すなわち、印加電圧の絶対値が10[kV]より大きく)なると、電源5の負荷が大きくなって絶縁設計が難しくなるためである。
また、本実施の形態1に係る加湿装置1の動作の説明で後述するように、加湿装置1は放電を発生させないため、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界の強度を気体の絶縁破壊電界強度である30[kV/cm]以下に設定することが望ましい。電源5によって多孔質金属体3と導電体電極4との間に30[kV/cm]の電界強度が形成されると、多孔質金属体3と導電体電極4との間で火花放電により短絡し、印加電圧低下による加湿性能の低下、多孔質金属体3の短寿命化、及び、発熱による無効消費電力が増大するという問題があるためである。
(送風機6)
送風機6は、多孔質金属体3及び導電体電極4に通風する。送風機6は、多孔質金属体3及び導電体電極4を通過する風の上流側及び下流側のいずれに設けられていてもよい。また、送風機6の種類については特に限定されず、軸流送風機及び遠心送風機を含め任意のものを用いることができる。
(ドレンパン7)
ドレンパン7は、多孔質金属体3及び導電体電極4の下側に設けられ、多孔質金属体3から滴下する余剰水を受ける。ドレンパン7内に入った余剰水は、加湿装置1の外部に排出される。
(多孔質金属体3と導電体電極4)
多孔質金属体3と導電体電極4との間の空間のギャップ長は、3[mm]以上20[mm]以下であることが望ましい。これは、ギャップ長が3[mm]未満である場合、多孔質金属体3と導電体電極4との空間が狭いため、送風機6による送風の圧力損失が大きくなり、送風機6の電力負荷が高くなるためである。一方、ギャップ長が20[mm]よりも長くなると、多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界強度が、多孔質金属体3から水100を引き出すために十分な電界強度に達しないため、加湿能力が低下するといった問題が生じやすくなるためである。
多孔質金属体3と導電体電極4とは、その上部(供給部2側)及び下部(ドレンパン7側)において、高低差を有している。より具体的には、多孔質金属体3の上端の全体が、導電体電極4の上端の全体よりも高い。また、多孔質金属体3の下端の全体が、導電体電極4の下端の全体よりも低い。多孔質金属体3と導電体電極4との高低差は、これらの上部及び下部において成長する水滴サイズを考慮して決定される。概ね水滴は5[mm]以下であることから、少なくとも10[mm]以上の空間距離(高低差)を多孔質金属体3と導電体電極4との間に設けるのが好ましい。高低差が10[mm]以下の場合には、水滴が、クーロン力に影響されて引っ張られて導電体電極4に付着する、又は多孔質金属体3と導電体電極4間で形成される電界場内に浸入して短絡が生じうるためである。このように、多孔質金属体3と導電体電極4の高低差を10[mm]以上設けることで、多孔質金属体3へ水100を供給する際、あるいは多孔質金属体3から水を排水する際における短絡を抑制することができる。
また、多孔質金属体3の上端部は、供給部2からの水100の出口(図2の例ではノズル12の先端)に接触しているのが好ましい。このようにすることで、供給部2から出た水100は多孔質金属体3に直接的に供給されるため、導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される電界内に水100が入りにくく、短絡をより抑制することができる。
また、多孔質金属体3と供給部2からの水100の出口(図2の例ではノズル12の先端)とを接触させずとも、供給部2の水100の出口で成長した水滴がその出口から落下する前に多孔質金属体3と接触する距離に、多孔質金属体3を設けてもよい。このようにすることで、供給部2から出た水100が、導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界内に入りにくいので、短絡を抑制することができる。
また、多孔質金属体3の下端部を、ドレンパン7と接触させてもよい。あるいは、多孔質金属体3の下端部とドレンパン7とを接触させずとも、多孔質金属体3の下端部をドレンパン7の近傍に配置してもよい。より詳しくは、多孔質金属体3の下端部において成長した余剰水の水滴が落下する前に、その水滴がドレンパン7又はドレンパン7に貯留された貯留水と接触する距離に、多孔質金属体3の下端部を配置する。このようにすることで、多孔質金属体3から出た余剰水の水滴の成長が抑制され、その水滴が導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界内に入りにくいので、短絡を抑制することができる。
(加湿装置1の動作)
次に、図1を参照しながら、本実施の形態1に係る加湿装置1の加湿運転の動作及び作用について説明する。
水道水等の水100が供給部2のタンク等に貯留されているものとし、この供給部2に接触する多孔質金属体3に水100が供給される。多孔質金属体3の上端は導電体電極4の上端よりも高い位置にあるため、供給部2から供給された水100は、導電体電極4からのクーロン力に影響されることなく、多孔質金属体3に吸収される。多孔質金属体3は毛細管力を有するため、水100は多孔質金属体3の空隙部9を通じて多孔質金属体3の全体に均一に拡散されて、多孔質金属体3は水100を一定量保持する。このとき、多孔質金属体3と対向するように所定の間隔を隔てて設けられた導電体電極4に電源5から電圧が印加されると、大地接地された多孔質金属体3と導電体電極4との間に電界が形成され、多孔質金属体3の表面近傍に電荷が移動する。移動した電荷は、多孔質金属体3の空隙部9に存在する水100を誘導帯電させ、誘導帯電された水100は、電界によるクーロン力によって、導電体電極4に向かう方向に引き寄せられる。
多孔質金属体3及び導電体電極4からなる加湿部の上流部又は下流部に設けた送風機6が動作すると、多孔質金属体3の表面層の水100、及び、電界により多孔質金属体3から引き出された水100は、送風機6から送風される空気である被処理ガス200との気液接触によって蒸散し、加湿空間を加湿する。また、送風機6による被処理ガス200の送風方向は、多孔質金属体3と導電体電極4との空間に形成された電界方向と垂直となるようにする。また、電源5が印加する電圧を調節することによって、多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界強度を増加させることによって、水100が導電体電極4の方向へ引き寄せられるので、被処理ガス200との接触面積が増加し、加湿性能を増加させることができる。
なお、供給部2から供給された水100のうち、多孔質金属体3で加湿のために消費されない余剰水は、多孔質金属体3の下端部で水滴となるが、多孔質金属体3の下端と導電体電極4の下端との間には高低差があって多孔質金属体3の下端の方が下に位置しているため、導電体電極4からのクーロン力の影響を受けにくく、円滑に多孔質金属体3の下端から水滴が落下する。また、多孔質金属体3の下端の近傍にドレンパン7が設けられており、多孔質金属体3の下端から滴下した水滴はドレンパン7に接触し収容され、加湿装置1の外部へ排出される。
(加湿装置1の加湿性能)
図6は、実施の形態1に係る加湿装置の電界強度と加湿量との関係を示す図である。
本実施の形態1に係る加湿装置1は、多孔質金属体3と導電体電極4との間に均一電界を形成させることによって加湿を行うものであり、その電界強度の調整により加湿量を制御することが可能である。ここで、図6は、供給部2から供給された水100を含む多孔質金属体3を接地し、この多孔質金属体3に対向するように配置された導電体電極4に電源5によって電圧が印加された場合の電界強度に対する加湿性能を示したものである。この図6においては、多孔質金属体3と導電体電極4との空間に対し、送風機6によって1[m/s]で送風された場合を示すものであり、加湿性能としては、多孔質金属体3の単位面積あたり、かつ、単位時間あたりの加湿量を示している。この図6からわかるように、電界強度が強くなるにしたがって、単位面積かつ単位時間あたりの加湿量も上昇する。このため、本実施の形態1に係る加湿装置1は、電界強度の調整によって加湿性能を制御することができ、外気環境に依存することなく、加湿空間に必要な加湿量を確保することができる。
(実施の形態1の効果)
以上の構成及び動作の説明の通り、本実施の形態1に係る加湿装置1は、電源5が印加する電圧で多孔質金属体3と導電体電極4との空間に電界を形成し、誘導帯電させた水100を多孔質金属体3から引き出すことで、この水100と送風機6から送風される被処理ガス200との接触面積を増加させることのできる省エネ性能に優れる加湿装置である。そして、多孔質金属体3の上端と導電体電極4の上端とに高低差を設けて多孔質金属体3の上端を高い位置に配置した。このため、供給部2から多孔質金属体3に供給される水100は、多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される電界の影響を受けにくい。したがって、供給部2からの水100が、導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4と間の空間に入りにくく、供給部2、多孔質金属体3、及び導電体電極4での短絡を抑制することができる。この結果、多孔質金属体3及び導電体電極4での短絡を抑制できることから、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
また、多孔質金属体3の上端を供給部2に接触させることで、供給部2から水を供給する際に、供給部2、多孔質金属体3、及び導電体電極4で生じうる短絡を抑制することができる。
また、本実施の形態1では、多孔質金属体3の下端と導電体電極4の下端とに高低差を設けて多孔質金属体3の下端を低い位置に配置した。このため、多孔質金属体3から滴下する余剰水は、多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される電界の影響を受けにくい。したがって、多孔質金属体3から出る余剰水が、導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4との間の空間に入りにくく、多孔質金属体3から排水する際における多孔質金属体3及び導電体電極4での短絡を抑制することができる。短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
また、多孔質金属体3の下端をドレンパン7に接触させることで、多孔質金属体3から水を排出する際に、多孔質金属体3及び導電体電極4で生じうる短絡を抑制することができる。
このように、本実施の形態1によれば、多孔質金属体3に水を供給する際、多孔質金属体3から余剰水を排水する際において、供給部2、多孔質金属体3、及び導電体電極4での短絡を抑制することができる、電界を利用した加湿装置1を提供することができる。
なお、本実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端及び下端の両方に高低差を設ける例を示した。このようにすることで、多孔質金属体3に水100を供給する際、及び多孔質金属体3から余剰水を排水する際の両方において短絡を抑制できるということは上述の通りであるが、いずれか一方に高低差を設けた構成としてもよい。また、後述する実施の形態2〜8と本実施の形態1とを組み合わせてもよく、後述する実施の形態によって水100を供給する際又は余剰水を排水する際における短絡を抑制できる場合には、上端又は下端の高低差を必ずしも設けなくともよい。
実施の形態2.
実施の形態2に係る加湿装置1について、実施の形態1に係る加湿装置1と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置1の構成)
図7は、実施の形態2に係る加湿装置の構成図である。
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設け、水100を多孔質金属体3に供給する構成であった。より詳しくは、実施の形態1では、多孔質金属体3の上端の全体が導電体電極4の上端全体よりも高い位置にあった。一方、図7に示す本実施の形態2に係る加湿装置1は、多孔質金属体3の上部の一部に、導電体電極4の上端よりも上へ突出する突起部13を設け、この突起部13から多孔質金属体3の全体に水100を供給するものであり、この点が実施の形態1と異なる。なお、多孔質金属体3と導電体電極4の下端の高低差については、実施の形態1と同様である。
多孔質金属体3の突起部13は、供給部2からの水100の出口と接触しているのが好ましい。また、多孔質金属体3の突起部と供給部2からの水100の出口とを接触させずとも、供給部2の水100の出口で成長した水滴がその出口から落下する前に突起部13と接触する距離に、突起部13を設けてもよい。このようにすることで、供給部2から出た水100が、導電体電極4、又は多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界内に入りにくいので、短絡を抑制することができる。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、ドレンパン7は、所定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
また、加湿運転の際には多孔質金属体3の上流側の空気から加湿されることから、下流側の空気は上流側よりも相対湿度が高くなる。加湿能力は蒸気圧に比例することから空気中の湿度が高いと加湿性能が低下する。すなわち、多孔質金属体3の上流側の水100から先に加湿に使われるため少なくなり、下流側が多く残存する現象が見られる。この現象を考慮すると、多孔質金属体3の送風方向における上流側に突起部13を設けるのがよい。このようにすることで、多孔質金属体3の通風方向における上流側に水100を多く供給することができるので、多孔質金属体3の全体の水分分布のばらつきを少なくすることができる。
その他の構成は、実施の形態1に係る加湿装置1と同様である。
また、動作については実施の形態1と同様であるため省略する。
(実施の形態2の効果)
多孔質金属体3の上端部に、導電体電極4の上端よりも上に突出する突起部13を設け、突起部13に水100を供給する構成を採用した。このため、供給部2から水100を多孔質金属体3へ供給する際には、水100は電圧が印加された導電体電極4からのクーロン力の影響を受けることなく、多孔質金属体3へ供給される。したがって、供給部2から多孔質金属体3へ水100を供給する際における、多孔質金属体3及び導電体電極4での短絡を抑制することができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る加湿装置1について、実施の形態1に係る加湿装置1と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置1の構成)
図8は、実施の形態3に係る加湿装置の構成図である。
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けた上で、供給部2と多孔質金属体3とを接触させて水100を多孔質金属体3に供給する構成であった。一方、図8に示す本実施の形態3に係る加湿装置1は、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けるという構成は実施の形態1と同様であるが、多孔質金属体3と導電体電極4の直上に、多孔質金属体3及び導電体電極4の上のすべて又は一部を覆う吸水体14を設けた点が異なる。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、ドレンパン7、及び吸水体14は、所定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
吸水体14は、多孔質金属体3に接するように設けられており、多孔質金属体3へ水100を伝達するための緩衝材の役割を果たすものである。吸水体14を構成する材料としては、金属系、樹脂系、セラミック系、布系など水100を吸水するものであればよく、適宜選択すればよい。
また、吸水体14は、多孔質金属体3及び導電体電極4に跨がって設けられ、多孔質金属体3及び導電体電極4の上のすべて又は一部を覆う。吸水体14の形状は任意であり、図8の例では平板状の吸水体14を例示している。この吸水体14は、多孔質金属体3に接触し、かつ導電体電極4には接触しないように配置されている。
吸水体14が、多孔質金属体3に接触しかつ導電体電極4には接触しないようにするための構成としては、実施の形態1と同様に多孔質金属体3の上端の方が導電体電極4の上端よりも高くなるように両者に高低差を設け、多孔質金属体3の上に例えば平板状の吸水体14を載置する。このようにすることで、多孔質金属体3の上端には接触するが導電体電極4には接触しない吸水体14を得ることができる。
このほか、次に説明するような構成を採用してもよい。
図9は、実施の形態3に係る吸水体の一例を説明する図であり、主要部の概略正面図である。図9に示す吸水体14には、下側、すなわち多孔質金属体3側に向かって延びる突起14aが設けられている。突起14aは、多孔質金属体3のそれぞれに対向する位置に設けられており、吸水体14が多孔質金属体3及び導電体電極4の上に設置されると、突起14aが多孔質金属体3の上部に接する。しかし、導電体電極4に対向する位置には突起14aが設けられていないため、導電体電極4には吸水体14は接触しない。このようにすることで、多孔質金属体3の上端には接触するが導電体電極4には接触しない吸水体14を得ることができる。また、吸水体14の下面に突起14aを設け、突起14aを多孔質金属体3に接触させることで、吸水体14に含まれる水100が突起14aに集まり、集まった水100が突起14aを介して多孔質金属体3へ供給されるため、多孔質金属体3への水100の供給を促進することができる。
その他の構成は、実施の形態1に係る加湿装置1と同様である。
また、加湿装置1の動作については実施の形態1と同様であるため省略する。
(実施の形態3の効果)
多孔質金属体3と導電体電極4の直上に、多孔質金属体3及び導電体電極4のすべて又は一部を覆うように吸水体14を設け、この吸水体14を、多孔質金属体3に接触させ、かつ導電体電極4に接触させない構成とした。このため、供給部2から供給される水100を、導電体電極4に付着させず、また多孔質金属体3及び導電体電極4で形成される電界に浸入させることなく、多孔質金属体3に水100を供給することができる。したがって、供給部2から多孔質金属体3へ水100を供給する際における、多孔質金属体3及び導電体電極4での短絡を抑制することができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
また、供給部2に通風された場合、通風により水100が多孔質金属体3ではなく、多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される空間、又は導電体電極4へ供給される可能性が考えられるが、本実施の形態3によれば、水100は吸水体14を介して多孔質金属体3へ供給されることから、短絡を抑制する効果が高い。
また、吸水体14を介することで、複数の多孔質金属体3へ水100を一様に供給することができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る加湿装置1について、実施の形態1に係る加湿装置1と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置1の構成)
図10は、実施の形態4に係る加湿装置の構成図である。
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けた上で、供給部2と多孔質金属体3を接触させて水100を多孔質金属体3に供給する構成であった。一方、図10に示す本実施の形態4に係る加湿装置1は、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けるという構成は実施の形態1と同様であるが、導電体電極4の直上に遮蔽部材15を設けた点が異なる。遮蔽部材15を導電体電極4の直上に設けることで、供給部2からの水100が導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に浸入しようとしても、それを遮蔽部材15が阻害する構造である。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、ドレンパン7、及び遮蔽部材15は、所定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
遮蔽部材15は、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に水100が浸入することを妨げるものである。遮蔽部材15の材質は、金属、合成樹脂などであればよいが、導電体電極4からの電界による放電や帯電を防止するためには、例えば、PTFEやセラミック等の電気絶縁性が高い材質が好ましい。
遮蔽部材15の形状は、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に水100が浸入することを防止できる形状が好ましい。
図10の例では、遮蔽部材15は、導電体電極4の上から隣接する多孔質金属体3へ向かって下方へ傾斜しており、正面視において三角形の形状を有している。このような遮蔽部材15を用いることで、遮蔽部材15の上面に水100が落下しても、その水100を隣の多孔質金属体3に供給することができる。また、遮蔽部材15の上面に蓄積した水100が多量に導電体電極4へ付着したり、多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に浸入したりすることを抑制できる。
遮蔽部材15の具体的形状の例としては次のようなものもある。
図11は、実施の形態4に係る加湿装置の遮蔽部材の一例を説明する要部正面図である。図11に示す遮蔽部材15Aは、平板状の部材であり、多孔質金属体3及び導電体電極4の直上に設けられていてこれらの上を覆っている。この遮蔽部材15Aには、多孔質金属体3への水100の供給口16が形成されている。供給口16は、多孔質金属体3の直上にのみ設けられており、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4との間の空間の上には配置されていない。供給部2から供給される水100は、遮蔽部材15Aの供給口16を介して多孔質金属体3に供給される。このようにすることで、供給部2から供給される水100が、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に水100が浸入するのを抑制することができる。
また、図11の例では、多孔質金属体3と導電体電極4の下端部には実施の形態1と同様に高低差が設けられているものの、多孔質金属体3と導電体電極4の上端部には高低差が設けられておらず、すべて同じ高さである。このようにしても、遮蔽部材15Aが設けられているため、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に水100が浸入するのを抑制することができる。図11に示す通り高低差を設けないことで、多孔質金属体3と対面する導電体電極4の面積を拡大できるため、多孔質金属体3の水100を効率よく帯電させることができ、加湿性能をより向上させることができる。なお、実施の形態1と同様に、多孔質金属体3の上端と導電体電極4の上端とに高低差を設けてもよい。
図12は、実施の形態4に係る加湿装置の遮蔽部材の他の例を説明する要部正面図である。図12に示す遮蔽部材15Bは、多孔質金属体3の上端に向かって下降する傾斜面を有する部材である。遮蔽部材15Bは、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される空間の上に設けられており、正面から見て三角形状(山型)である。このような遮蔽部材15Bを設けることで、何らかの原因で供給部2からの水が導電体電極4の方へ供給されても、遮蔽部材15Bがその水100を多孔質金属体3の方へ導く。すなわち、遮蔽部材15Bは、多孔質金属体3への水100のガイド部材として機能する。したがって、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4との間に形成される電界場に水100が浸入することを抑制することができる。
その他の構成は、実施の形態1に係る加湿装置1と同様である。
また、加湿装置1の動作については実施の形態1と同様であるため省略する。
(実施の形態4の効果)
導電体電極4の直上に遮蔽部材15、15A、又は15Bを設けたので、導電体電極4、及び多孔質金属体3と導電体電極4とで形成される電界場に供給部2からの水100が浸入しようとしても、遮蔽部材15、15A、又は15Bが、水100の浸入を防ぐことができる。したがって、供給部2から多孔質金属体3へ水100を供給する際における、多孔質金属体3及び導電体電極4での短絡を抑制することができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
実施の形態5.
実施の形態5に係る加湿装置1について、実施の形態1に係る加湿装置1と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置の構成)
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けた上で、供給部2と多孔質金属体3とを接触させて水100を供給する構成であった。一方、本実施の形態5の加湿装置1は、その構成は実施の形態1と同じであるが、導電体電極4の表面に親水化処理を施した点が異なる。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、ドレンパン7は固定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
例えば実施の形態1に示す加湿装置1において、加湿動作停止後は送風機6が停止する。しかし、場合によっては多孔質金属体3が完全に乾燥しておらず、水100を含む場合がある。このとき、多孔質金属体3の界面近傍では、多孔質金属体3から水100の自然蒸散により空気は飽和状態になる。一方、多孔質金属体3の対向部に設けられる導電体電極4は、飽和状態の空気に接しており、一般的に金属からなる導電体電極4は熱伝導率が高いため、周囲の空気温度を取り込むことにより導電体電極4の表面に結露する可能性がある。結露が促進されると、導電体電極4の表面には水滴が形成されてしまうが、このときに導電体電極4に電圧を印加すると水滴にはクーロン力が作用し、多孔質金属体3との間で短絡を発生し、多孔質金属体3の劣化が起こる。
また、供給部2からの水100の供給により、導電体電極4の表面に水滴が付着し短絡が発生する可能性も考慮される。
導電体電極4表面の水滴による短絡は、表面に付着した水滴が電界からのクーロン力により多孔質金属体3の方向へ引っ張られ、多孔質金属体3と導電体電極4のギャップ長が短くなるため発生する。このため、導電体電極4に結露した水滴の接触角が小さく、かつ導電体電極4の表面に一様に広がれば短絡を防止することができる。
そこで、導電体電極4の表面に生成した水滴の接触角を小さくする方法として、本実施の形態5では、導電体電極4の表面に親水化処理を施す。導電体電極4の親水化処理の方法の種類については限定されることはなく、例えば、親水化樹脂でコーティングすることによる親水化処理、又は、コロナ放電による親水化処理を実施するものとしてもよい。
その他の構成は、実施の形態1に係る加湿装置1と同様である。
また、加湿装置1の動作については実施の形態1と同様であるため省略する。
(実施の形態5の効果)
導電体電極4の表面に親水化処理を施すことにより、導電体電極4に結露が生じた場合であっても、電圧が印加される導電体電極4の表面で生成される水滴の接触角を小さくすることができる。このため、導電体電極4に電圧が印加されたときに誘電した水滴による多孔質金属体3と導電体電極4のとの間のギャップ長の短ギャップ化を防止できる。したがって、多孔質金属体3又は導電体電極4からの短絡、及び、多孔質金属体3又は導電体電極4への短絡を抑え、かつ電界場により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。
実施の形態6.
本実施の形態6に係る加湿装置について、実施の形態1に係る加湿装置と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置の構成)
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端に高低差を設けた上で、供給部2と多孔質金属体3とを接触させて水100を供給する構成であった。本実施の形態6の加湿装置1は、構成は実施の形態1と同じであるので詳細は省略するが、動作が実施の形態1とは異なる。
(加湿装置の動作)
実施の形態6の加湿装置1は、加湿運転の前又は後に、乾燥運転を行う。乾燥運転は、室温空気又は図示しないヒーターで加熱した空気を多孔質金属体3及び導電体電極4に送風し、多孔質金属体3及び導電体電極4に結露した水100を乾燥させる運転である。乾燥運転においては、供給部2からの水100の供給を停止させ、送風機6を動作させて送風する。このような乾燥運転を行うことで、多孔質金属体3、及び導電体電極4を乾燥させる。
(実施の形態6の効果)
加湿運転の前又は後に、多孔質金属体3及び導電体電極4を乾燥させる乾燥運転を行うので、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。すなわち、加湿運転の際に導電体電極4に結露が生じた場合であっても、次に加湿運転を行う際にはその結露は解消されているため、導電体電極4に電圧が印加されたときに誘電した水滴による、多孔質金属体3と導電体電極4のギャップ長の短ギャップ化を防止できる。したがって、多孔質金属体3又は導電体電極4からの短絡、及び、多孔質金属体3又は導電体電極4への短絡を抑えることができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
実施の形態7.
実施の形態7に係る加湿装置1について、実施の形態1に係る加湿装置1と相違する点を中心に説明する。
(加湿装置1の構成)
図13は、実施の形態7に係る加湿装置の構成図である。
図1に示す実施の形態1では、多孔質金属体3と導電体電極4の下端に高低差を設けて多孔質金属体3の下端を導電体電極4の下端よりも低くした上で、多孔質金属体3の下部をドレンパン7の近傍に設けた構成であった。一方、本実施の形態7の加湿装置1は、図13に示すように、導電体電極4の下端部に下部遮蔽部材17を設けた点が実施の形態1とは異なる。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、ドレンパン7、下部遮蔽部材17は固定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
下部遮蔽部材17は、多孔質金属体3の下端部に成長した水滴から導電体電極4への短絡を防止するものである。下部遮蔽部材17の形状は、導電体電極4の下端部のすべて又は一部を下側から覆う形状であればよく、導電体電極4の形状に合った構成にすればよい。下部遮蔽部材17の材質は、金属、剛性樹脂などであればよいが、導電体電極4からの電界による放電や帯電を防止するためには、例えば、PTFEやセラミック等の電気絶縁性が高い材質が好ましい。
その他の構成は、実施の形態1に係る加湿装置1と同様である。
また、加湿装置1の動作については実施の形態1と同様であるため省略する。
(実施の形態7の効果)
導電体電極4の下端を下から覆う下部遮蔽部材17を設けることにより、多孔質金属体3の下端で成長した余剰水の水滴が原因となる、多孔質金属体3又は導電体電極4からの短絡、及び、多孔質金属体3又は導電体電極4への短絡を抑制することができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
実施の形態8.
以下、実施の形態8に係る加湿装置1の構成と動作について、図を参照しながら説明する。
(加湿装置1の構成)
図14は、実施の形態8に係る加湿装置の構成図である。
図14で示されるように、本実施の形態8に係る加湿装置1は、少なくとも、加湿空間を加湿する水100を貯留する供給部2、この供給部2から供給された水100を保持する複数の多孔質金属体3、この多孔質金属体3同士の間に設けられた導電体電極4、この導電体電極4に接続され、導電体電極4に電圧を印加して多孔質金属体3と導電体電極4との空間(ギャップ)に電界を形成させる電源5、多孔質金属体3及び導電体電極4によって構成される加湿部の上流部又は下流部に設けられ加湿部に被処理ガス200を送る送風機6、及び多孔質金属体3からの余剰水を受けるドレンパン7を備える。
なお、実際の使用形態においては、これらの供給部2、多孔質金属体3、導電体電極4、電源5、送風機6、及びドレンパン7は、所定の支持体等によって固定されるものとすればよい。この支持体の構成は、特に限定されるものではなく、加湿装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
実施の形態1とは異なり、多孔質金属体3と導電体電極4の上端及び下端において必ずしも高低差を有していなくてもよく、図14に示す例では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端及び下端に高低差は設けられていない。
(加湿装置1の動作)
次に、図14、図15を参照しながら、本実施の形態8に係る加湿装置の動作について説明する。図15は、実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングとを説明するタイミングチャートである。
図14に示すように、水道水等の水100は、供給部2から多孔質金属体3に供給される。多孔質金属体3に供給された水100は、導電体電極4からのクーロン力に影響されることなく、多孔質金属体3に吸収される。多孔質金属体3は毛細管力を有するため、水100は多孔質金属体3の空隙部9を通じて多孔質金属体3の全体に均一に拡散されて、多孔質金属体3は水100を一定量保持する。このとき、多孔質金属体3と対向するように所定の間隔を隔てて設けられた導電体電極4に電源5によって電圧が印加されると、大地接地された多孔質金属体3と導電体電極4との間に電界が形成され、多孔質金属体3の表面近傍に電荷が移動する。移動した電荷は、多孔質金属体3の空隙部9に存在する水100を誘導帯電させ、誘導帯電された水100は、電界によるクーロン力によって、導電体電極4に向かう方向に引き寄せられる。
多孔質金属体3及び導電体電極4からなる加湿部の上流部又は下流部に設けた送風機6が動作すると、多孔質金属体3の表面層の水100、及び、電界により多孔質金属体3から引き出された水100は、送風機6から送風される空気である被処理ガス200との気液接触によって蒸散し、加湿空間を加湿する。また、送風機6による被処理ガス200の送風方向は、多孔質金属体3と導電体電極4との空間に形成された電界方向と垂直となるようにする。また、電源5が印加する電圧を調節することによって、多孔質金属体3と導電体電極4との間の電界強度を増加させることによって、水100が導電体電極4の方向へ引き寄せられるので、被処理ガス200との接触面積が増加し、加湿性能を増加させることができる。
なお、供給部2から供給された水100のうち、多孔質金属体3で加湿のために消費されない余剰水は、多孔質金属体3の下端部で水滴となるが、多孔質金属体3の下端と導電体電極4の下端との間には高低差があって多孔質金属体3の下端の方が下に位置しているため、導電体電極4からのクーロン力の影響を受けにくく、円滑に多孔質金属体3の下端から水滴が落下する。また、多孔質金属体3の下端の近傍にドレンパン7が設けられており、多孔質金属体3の下端から滴下した水滴はドレンパン7に接触し収容され、加湿装置1の外部へ排出される。
実施の形態8の加湿装置1の動作概要は以上の通りであるが、供給部2における水100の供給タイミング、及び導電体電極4への電圧の印加タイミングについて、図15を参照してさらに説明する。図15に示すように、供給部2における水100の供給のタイミング、及び電源5が導電体電極4へ電圧を印加するタイミングを、互いに重複させないようにする。すなわち、供給部2が水100を多孔質金属体3に供給する間(ON1)は、導電体電極4への電圧印加を停止する(OFF2)。また、導電体電極4への電圧印加を行う間(ON2)は、供給部2から多孔質金属体3への水100の供給を停止する(OFF2)。このように、多孔質金属体3への水100の供給と、導電体電極4への電圧の印加とを交互に切り替え、両者を異なるタイミングで実行する。
供給部2のON1の時間、及び導電体電極4へ電圧を印加するON2の時間は、それぞれ、装置仕様及び周囲の環境条件等に基づいて適宜決定すればよい。
なお、図15に示す例では、多孔質金属体3への水100の供給時間、及び導電体電極4への電圧印加時間を交互に迎えるシーケンスとなっているが、水100を供給した後には、供給部2に水滴が残っていて導電体電極4で短絡が発生する可能性がある。そこで、そのような短絡を抑制するための例を、次に説明する。
図16は、実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。図16に示すように、水100を供給し終わった後に待機時間t(例えば、数秒又は数十秒)が経過してから、導電体電極4に電圧を印加するようにしてもよい。このようにすることで、供給部2に残る水滴の影響によって導電体電極4で短絡が発生するのを抑制することができる。
また、図17は、実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。図17に示す例では、水の供給動作と電圧の供給動作をそれぞれ台形波としている。このようにしても、供給部2に残る水滴の影響によって導電体電極4で短絡が発生するのを抑制することができる。
また、図18は、実施の形態8に係る加湿装置の水の供給タイミングと導電体電極への電圧の印加タイミングの他の例を説明するタイミングチャートである。図18に示す例では、水の供給動作と電圧の供給動作をそれぞれ半整流波としている。このようにしても、供給部2に残る水滴の影響によって導電体電極4で短絡が発生するのを抑制することができる。
(実施の形態8の効果)
多孔質金属体3へ水100を供給するタイミング、及び導電体電極4へ電圧を印加するタイミングを重複させず交互に設けることにより、水100を供給する際の、多孔質金属体3又は導電体電極4からの短絡、及び多孔質金属体3又は導電体電極4への短絡を抑制することができる。短絡を抑制できるので、多孔質金属体3と導電体電極4との間で形成される電界により加湿能力を制御可能な加湿装置を実現することができる。また、短絡を抑制することができるので、短絡による加湿性能の低下、印加電圧の低下、及び多孔質金属体3又は導電体電極4の物理的劣化を抑えることができる。
なお、本実施の形態8では、多孔質金属体3と導電体電極4の上端及び下端に高低差を設けない例を示したが、実施の形態1と同様に、多孔質金属体3と導電体電極4の上端及び下端のいずれか又は両方に高低差を設けてもよい。このようにすることで、短絡を抑制する効果を高めることができる。また、本実施の形態8に、前述の実施の形態2〜7を組み合わせてもよく、短絡を抑制する効果を高めることができる。
また、上記実施の形態1〜8を互いに組み合わせてもよい。
1 加湿装置、2 供給部、3 多孔質金属体、4 導電体電極、5 電源、6 送風機、7 ドレンパン、9 空隙部、10 金属部、11 駆動部、12 ノズル、13 突起部、14 吸水体、14a 突起、15 遮蔽部材、15A 遮蔽部材、15B 遮蔽部材、16 供給口、17 下部遮蔽部材、100 水、200 被処理ガス。

Claims (16)

  1. 複数の空隙部を有した三次元網目構造で形成され、接地された多孔質金属体と、
    前記多孔質金属体と対向するように当該多孔質金属体との間に空間をおいて配置された導電体電極と、
    前記導電体電極に電圧を印加する電源と、
    前記多孔質金属体に上方から水を供給する供給部と、
    前記接地された多孔質金属体前記導電体電極との間に通風させる送風機とを備え、
    前記多孔質金属体の上端の方が前記導電体電極の上端よりも高くなるように両者に高低差が設けられている
    ことを特徴とする加湿装置。
  2. 前記多孔質金属体の下端の方が前記導電体電極の下端よりも低くなるように両者に高低差が設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
  3. 前記多孔質金属体の上部には、前記導電体電極の上端よりも上に突出する突起部が設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加湿装置。
  4. 前記突起部は、前記多孔質金属体の通風方向における上流側に設けられている
    ことを特徴とする請求項3記載の加湿装置。
  5. 前記供給部は前記多孔質金属体の上部に接触して当該多孔質金属体に水を供給する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の加湿装置。
  6. 前記多孔質金属体と前記供給部との間に介在し、前記多孔質金属体及び前記導電体電極の上に跨がって配置され、前記多孔質金属体に接触するが前記導電体電極には接触しない吸水体を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の加湿装置。
  7. 前記導電体電極の上に遮蔽部材を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の加湿装置。
  8. 前記遮蔽部材は、前記多孔質金属体と前記導電体電極との間の空間の上を覆う
    ことを特徴とする請求項7記載の加湿装置。
  9. 前記遮蔽部材の上面は、前記多孔質金属体に向かって下降する傾斜面を有する
    ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の加湿装置。
  10. 前記多孔質金属体及び前記導電体電極の下側に設けられ、前記多孔質金属体の余剰水を受けるドレンパンを備え、
    前記ドレンパンと前記多孔質金属体の下端とが接している
    ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の加湿装置。
  11. 前記多孔質金属体及び前記導電体電極の下側に設けられ、前記多孔質金属体の余剰水を受けるドレンパンと、
    前記導電体電極の下端と前記ドレンパンとの間に設けられた下部遮蔽部材とを備えた
    ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の加湿装置。
  12. 前記多孔質金属体への水の供給と前記導電体電極への電圧の印加とを交互に繰り返す
    ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の加湿装置。
  13. 前記導電体電極の表面に親水化処理が施されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の加湿装置。
  14. 前記供給部及び前記電源が動作するとともに前記送風機が送風する加湿運転の前又は後に、前記供給部及び前記電源が動作せず前記送風機が送風する乾燥運転を行う
    ことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の加湿装置。
  15. 複数の空隙部を有した三次元網目構造で形成された多孔質金属体と、
    前記多孔質金属体と対向するように当該多孔質金属体との間に空間をおいて配置された導電体電極と、
    前記導電体電極に電圧を印加する電源と、
    前記多孔質金属体に上方から水を供給する供給部と、
    前記多孔質金属体及び前記導電体電極に通風する送風機とを備え、
    前記多孔質金属体の下端の方が前記導電体電極の下端よりも低くなるように両者に高低差が設けられている
    ことを特徴とする加湿装置。
  16. 複数の空隙部を有した三次元網目構造で形成された多孔質金属体と、
    前記多孔質金属体と対向するように当該多孔質金属体との間に空間をおいて配置された導電体電極と、
    前記導電体電極に電圧を印加する電源と、
    前記多孔質金属体に上方から水を供給する供給部と、
    前記多孔質金属体及び前記導電体電極に通風する送風機とを備え、
    前記多孔質金属体への水の供給と前記導電体電極への電圧の印加とを交互に繰り返す
    ことを特徴とする加湿装置。
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