JP5884599B2 - クロム含有ダストのリサイクル方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄浴型転炉における含クロム溶鉄の精錬工程で発生したクロム含有ダストのリサイクル処理を行う方法に関するものである。
鉄浴型転炉における含クロム溶鉄の処理においては、クロムを含有したダストが大量に発生する。発生直後のダストは、金属鉄を含むが、粒径が1μm前後の微粉であるため大気下では酸化が進行する。安全上、酸化を防止するために一時保管の段階で意図的に酸化を進める(エージング処理を施す)のが一般的である。このため、再利用時には、酸化鉄および酸化クロムがほぼ大部分を占めるダストとなる。
ダスト中の酸化鉄および酸化クロムのうち、特に高価な酸化クロム分をステンレス鋼溶製のための原料として有効にリサイクルすることは、近年の省資源化の流れの中でも重要な課題である。
上記課題に対し、クロム含有ダストのリサイクル方法として、特許文献1に示されたように、コークスを充填した縦型炉等に、クロム含有ダストを吹込み、溶融還元処理する技術が実施されている。
特開2001−152258号公報
しかしながら、上記の鉄浴型転炉でのクロム鉱石の還元プロセスは、溶銑にクロム鉱石と炭材と酸素とを供給してクロム鉱石の還元熱を補償するという、本質的に、高熱負荷を必要とするプロセスであり、クロム含有ダスト中の酸化鉄および酸化クロムを還元するためには、さらに酸化鉄分の還元熱補償が余分に必要となる。すなわち、必要な含クロム溶鉄を得る為の還元量が増加することで、溶銑温度の低下幅が大きくなるために、吹錬時間が延びて、クロム含有ダスト投入量が制限されるという問題が生じる。すなわち、上掲した特許文献1に記載のリサイクル方法では、生産性の点で問題を残していた。
従って、鉄浴型転炉の生産性を損なうことなく、かつ安価に大量のダスト処理可能な方法を確立することが望まれていた。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、鉄浴型転炉における含クロム溶鉄の精錬工程で発生したクロム含有ダストを、鉄浴型転炉の生産性を損なうことなく、かつ安価で大量に処理するリサイクル方法を提供することを目的とする。
前述したとおり、ダスト中の酸化鉄および酸化クロムを還元処理するためには還元熱補償が必要であり、かつ、還元のための炭素分が必要である。
そこで、鉄浴型転炉にクロム含有ダストを供給し、溶融還元処理する際の還元熱を補償するという課題に対して、発明者らは鋭意検討をした。その結果、ダスト中のクロム分を濃縮して、鉄浴型転炉(溶融還元炉)に投入することで、ダスト中の酸化鉄分の還元熱補償が削減できることを見出した。さらに、ダスト中のクロム分を濃縮するためには、ダスト中の酸化鉄および酸化クロムのうち、酸化鉄のみを還元して酸化クロムをスラグに濃縮することが、極めて効率的であることを見出した。
この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.鉄浴型転炉を用いる含クロム溶鉄の精錬工程で発生したダストを、別の溶銑搬送容器内の溶銑にインジェクションして、該ダスト中に含有する酸化鉄を還元し前記溶銑搬送容器内の溶銑中に還元鉄を回収すると共に、該ダスト中に含有される酸化クロムを前記溶銑搬送容器内のスラグ中に濃縮させた後、該スラグを除滓する第一工程と、
前記第一工程で除滓したスラグを、前記鉄浴型転炉内に投入して前記第一工程で除滓したスラグ中の酸化クロムを還元し前記鉄浴型転炉内の溶銑中にクロムを回収する第二工程と
を有することを特徴とするクロム含有ダストのリサイクル方法。
2.前記ダストを前記第一工程の溶銑にインジェクションするに際し、該溶銑の温度を、1200℃以上1500℃以下に保持することを特徴とする前記1に記載のクロム含有ダストのリサイクル方法。
3.前記第一工程の溶銑に対し、前記ダストのインジェクションを行うにあたり、該ダストの吹込み速度を、溶銑1t当たり0.3〜1.5kg/minとして行うことを特徴とする前記1または2に記載のクロム含有ダストのリサイクル方法。
本発明によれば、鉄浴型転炉の生産性を阻害することなく、効率の良い含クロムダストのリサイクルが可能となる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明では、酸化鉄のみを還元して酸化クロムをスラグに濃縮するために、溶銑にダストをインジェクションし、溶銑中に含有される炭素により、ダスト中の酸化鉄および酸化クロムのうち、酸化鉄のみを還元し溶銑中に還元鉄を回収することが重要である。
そのためには、まず、ダストインジェクション用の溶銑を取鍋に出湯し、ダストインジェクション処理ステーションに設置する。その際の溶銑は、高炉から出銑後の1200℃〜1500℃の溶銑、あるいは、高炉溶銑等を貯留、保温する溶銑保持炉の溶銑を使用することができる。また、溶銑保持炉等から出湯し、十分温度が高い1300℃〜1500℃の溶銑を用いることが、酸化鉄の還元速度および溶銑温度の維持の観点からより好ましい。
一方、クロム含有ダストは、発生スラリを脱水し、さらにヤードにてエージング処理を行った後に乾燥し、ダストインジェクション用ディスペンサーに投入しておく。
ついで、溶銑の入った取鍋にダストインジェクションランスを挿入し、キャリアガスと共にダストを吹き込む。このとき、溶銑中の炭素が酸化鉄の還元反応で消費されるので、溶銑中の炭素濃度を維持するため、転炉等で使用できないような、篩下の炭材等とダストを混合してインジェクションすることが望ましい。
インジェクション処理終了後は、溶鉄表面上に浮上したスラグを除滓する。物流を簡素にするため、ダストインジェクションと除滓を同じ場所で実施可能な設備構造とすることが望ましい。
以上の工程が本発明における第一工程である。
上記溶銑中に、含クロムダストをインジェクションした場合、ダスト中に含有する酸化鉄のみが還元されて、溶銑中に回収することができる。ダスト中の酸化クロムは1500℃以下の溶銑温度では未還元のまま浮上してスラグとなるため、インジェクションしたダストと比較すると、インジェクション後に回収されるスラグには、酸化クロムが十分に濃縮される。
従って、インジェクション処理後に除滓したスラグを、クロム鉱石の溶融還元吹錬時にクロム源として鉄浴型転炉へ投入することで、高効率なクロム添加が可能となるのである。
以上の工程が本発明における第二工程である。
ここで、溶銑中の炭素濃度は高い方が、還元反応速度が高いので好ましい。溶銑中の炭素濃度が3.8〜4.5%の範囲ならば、溶銑の融点が1200℃以下となり、取鍋耐火物への地金付着が少なくなり好ましい。
また、溶銑との反応で酸化クロムの還元反応を起こすためには、溶銑温度を1500℃超とする必要があるものの、酸化鉄は、溶銑温度が1500℃以下であっても十分に還元反応が起こるので、転炉型のクロム溶融還元炉を用いなくとも、取鍋中の溶銑にダストをインジェクションすることで、ダスト中の酸化鉄を還元し溶銑中に回収することができる。一方、溶銑を1500℃超に保持した場合には、溶銑搬送容器の容器壁耐火物の損耗が著しくなる問題がある。従って、酸化鉄のみを還元回収するためには、クロム含有ダストをインジェクションする溶銑温度を1200〜1500℃の範囲とすることが好ましい。
本発明の処理開始時の溶銑温度は、酸化鉄の還元や放熱に伴って溶銑温度が低下することを考慮すると、1300℃以上が好ましい。処理開始時の溶銑温度が1300℃未満では、インジェクションしたクロム含有ダスト中の酸化鉄の還元に伴って、溶銑が凝固温度に到達してしまい、溶銑搬送容器への地金付きが著しく増加するおそれがあるからである。
但し、処理開始時の溶銑温度が1300℃未満であっても必要に応じて、昇熱吹錬を行うことで、溶銑温度を1200〜1500℃に維持することができる。なお、昇熱吹錬は、搬送容器内に炭材を適宜装入して搬送容器内の溶銑に酸素含有ガスを吹き込む方法や、炭材と酸素含有ガスを同時に吹き込む方法等、適宜公知の昇熱方法を選べば良い。
前述したように、ダストを溶銑にインジェクションすると、酸化鉄の還元反応によって溶銑温度が低下する。そのため、酸化クロムが濃縮したスラグを除滓後の溶銑は、電気加熱等が可能な溶銑保持炉に溶銑を装入して溶銑を十分昇温した後に、含クロム溶鉄の精錬用の溶銑として使用することが好ましい。
本発明におけるクロム含有ダストの吹込み速度は、溶銑1t当たり、0.3〜1.5kg/minとすることが望ましい。たとえ、吹込み速度を1.5kg/minより高位にしたとしても、クロム含有ダスト中の酸化鉄の還元速度が追いつかないため、結局、酸化鉄を十分に還元するには、溶銑搬送容器中で還元の進行を待つこととなり、1.5kg/minの吹込み速度での処理時間と同等以上の処理時間を要することとなるからである。一方、吹込み速度が0.3kg/minより低位の場合、処理時間が延びるなどの不利が起こるからである。その上、処理時間が延びると溶銑温度が低下するので溶銑搬送容器へのいわゆる地金付きの問題が発生し、溶銑温度維持のために昇熱吹錬を行う場合には、更に処理時間が延びることになる。
なお、吹込み速度は0.38〜1.5kg/minとするのが、溶銑温度を1200℃以上に維持するのが容易となりより好ましい。
ここで、本発明において、ダストをインジェクションする溶銑搬送容器は、取鍋やトピードの様な搬送容器を用いるのが好ましい。というのは、酸化クロムを濃縮したスラグの除滓が容易だからである。
除滓したスラグは、溶融還元吹錬に先立ちシュート等から鉄浴型転炉に投入する。その際、投入するスラグ温度が低いとスラグ顕熱分の溶銑温度が低下するので、溶融還元時間、すなわちクロム鉱石投入量を確保するために、熱間で投入することがより好ましい。
また、酸化クロムが濃縮したスラグを、鉄浴型転炉に投入する場合、本発明では、クロム含有ダスト中の酸化鉄の還元吸熱ロスが発生しない分、クロム含有ダストのリサイクル量が同じであってもクロム鉱石吹込み原単位を多くすることが可能となる。
ダストインジェクション処理後の溶銑は、電気をエネルギー源とする溶銑保持炉に装入して1300℃以上に加熱することが、鉄浴型転炉における昇熱負荷低減の観点から望ましい。
本発明に従う発明例を比較例と共に以下に示す。なお、以下の説明は、全ての実施例の第一工程に相当する工程を説明した後、第二工程に相当する工程の説明をする。
〔第一工程〕
まず、第一工程として、電気加熱可能な溶銑保持炉から炭素濃度が4.1mass%の溶銑を取鍋(溶銑搬送容器)に130t出銑した。ついで、ダストインジェクション処理前の溶銑温度を、昇熱処理または放冷により適宜調整した後、アルミナ系耐火物で保護されたインジェクションランスから、粉状のクロム含有ダストをインジェクション処理した。本実施例にて用いたクロム含有ダスト中の酸化クロム濃度は15mass%、また酸化鉄濃度は75mass%であって、残りはアルミナやマグネシアといった脈石成分であった。
また、ダストインジェクションの総量は2tとし、ダスト吹込み速度に応じて吹込み時間を調整した。
ダストインジェクション後、取鍋中の溶銑上に浮上したスラグを除滓してノロパンに受け入れた。
同様の処理を計10回繰り返し、第二工程で使用する酸化クロム濃縮スラグを得た。なお、ダストインジェクション後の溶銑は、電気加熱可能な溶銑保持炉に再投入し、加熱を行った。
溶銑の温度およびダストのインジェクション(吹込み)速度を変化させた結果について表1に示す。
試験No.1(発明例1)は1350℃の溶銑にクロム含有ダストを100kg/minのダスト吹込み速度で20分間吹き込んだ場合である。吹込み後の溶銑温度は120℃低下して1230℃となった。除滓により、酸化クロムを65mass%および酸化鉄を15mass%含有するスラグが、1回の処理あたり0.46t回収された。取鍋耐火物への地金付着も取鍋耐火物の損耗も許容範囲内であった。
なお、表1に記載した取鍋耐火物への地金付着指数、取鍋耐火物の損耗指数は、試験No.1の取鍋耐火物への地金付着量、取鍋耐火物の損耗量を、各々1.0として相対比較したものである。
試験No.2(比較例1)では、クロム含有ダスト2tをインジェクションではなく溶銑上に自然落下させ20分間保持した場合である。除滓により回収されたスラグ中の酸化クロムは30mass%と低く、酸化鉄は55mass%と高かった。また、回収スラグ量は1.0tと多く、ダスト中の酸化鉄の還元の進行が不十分なことが分かる。なお、ダスト中の酸化鉄の還元が不十分であったために、溶銑温度の低下は、75℃となって試験No.1に比べて少なかった。また、取鍋耐火物への地金付着や取鍋耐火物の損耗は許容範囲内であった。
試験No.3(比較例2)は、第一工程を行わない場合であり、表1の発生スラグ欄の数値は未処理のダストがそのままスラグとなった場合の仮想値である。
試験No.4(発明例2)は、処理前の溶銑温度が1300℃以下であると同時に、処理後の溶銑温度が1180℃、すなわち1200℃未満となった例であり、63mass%まで酸化クロムをスラグに濃縮することができた。なお、取鍋耐火物への地金付着指数が1.5と地金付着が増加した。
試験No.5(発明例3)は、発明例1よりも処理前の溶銑温度が30℃低かったものの、処理前の溶銑温度が1300℃以上で、かつ処理後の溶銑温度が1200℃以上であったので、発明例1と同程度に酸化クロムをスラグに濃縮することができた。
試験No.6(発明例4)は、処理前の溶銑温度を1470℃に昇熱し、炭素濃度が4.1mass%であることを確認した上で、ダストをインジェクションした例であり、発明例2と同程度に酸化クロムをスラグに濃縮することができた。なお、取鍋耐火物への地金付着指数が0.9とやや減ったものの、取鍋耐火物損耗指数は1.1にやや増加した。
試験No.7(発明例5)は、処理前の溶銑温度を1530℃に昇熱し、炭素濃度が4.1mass%であることを確認した上でダストをインジェクションした例であり、60mass%まで酸化クロムをスラグに濃縮することができた。なお、取鍋耐火物への地金付着指数が0.9とやや減ったものの、処理前の溶銑温度が1500℃を超えたために取鍋耐火物損耗指数が1.6に増加した。
試験No.8〜11(発明例6〜9)は、いずれも処理前の溶銑温度は試験No.1と同じ1350℃で、ダストインジェクション量は2tで吹込み速度を変更した例であり、吹込み速度が低く、吹込み時間が長いほど、溶銑温度低下幅が大きかった。その結果、試験No.8(発明例6)では、発明例1と同様に酸化クロムをスラグに濃縮することができ、取鍋耐火物への地金付着も取鍋耐火物の損耗も同等の結果が得られた。また、試験No.9〜11も効果的に酸化クロムをスラグに濃縮することができた。
〔第二工程〕
ついで、第二工程として、クロム鉱石の溶融還元吹錬を、クロム含有スクラップ、クロム鉱石、クロム含有ダストまたは、第一工程で得た酸化クロム濃縮スラグを、鉄浴型転炉(以下、単に転炉という)に投入して行った。
具体的には、転炉に、クロム濃度が15mass%のスクラップを50t入れ置きし、次に、クロムの含有していない1200℃の高炉溶銑を130t受入れた後、炭材を投入するとともに酸素を吹きこみ、溶銑温度を1550℃に昇温した。
ついで、昇温後の炉内の1550℃の溶鉄上に、上記した、クロム鉱石、クロム含有ダストまたは、第一工程で得た酸化クロム濃縮スラグを装入した。
ここに、試験No.1(発明例1)では、前記クロム濃度が65mass%の酸化クロム濃縮スラグ:4.6tを混合したものを転炉に吹込み、溶融還元する試験を行った。その結果、出湯クロム濃度は、20.1mass%であった。
なお、転炉での合計処理時間を150分とし、溶融還元時間を変化させた結果について表2に示す。また、クロム鉱石およびダストの合計の吹込み速度は、本実施例を含め以下の実施例も1t/minとした。
試験No.2(比較例1)では、前記した酸化クロム:30mass%の酸化クロム濃縮スラグ:10tを混合したものを転炉に吹込み、溶融還元する試験を行った。その結果、出湯クロム濃度は、19.2mass%であり、発明例1と比較して、出湯クロム濃度が低位になった。
なお、発明例1との比較のため、上記溶融還元吹錬では装入溶銑量は試験No.1と同じ130tで一定とし、クロムを含有しない高炉から出銑された溶銑を用いた。吹錬時間も150分で一定とした。
試験No.3(比較例2)では、溶銑の昇熱後、クロム濃縮スラグは投入せず、溶融還元吹錬にて、実施例1と同じ酸化クロム濃度が15mass%のクロム含有ダスト20tとクロム鉱石80tを混合したものを転炉に吹込み、溶融還元する試験を行った。その結果、発明例1や、比較例1と比較しても、出湯クロム濃度は低位であった。これは、ダストを未処理のまま、溶融還元吹錬に供給しているため、ダスト中に含まれる酸化鉄分の全量相当分を溶融還元吹錬中に補償する必要があり、結果的に鉱石投入量が低下したためである。すなわち、酸化クロム濃度が15mass%の未処理ダストを投入すると、クロム分の投入量が低下するのである。
ここで、転炉での溶融還元工程において、クロム含有ダストをリサイクルする場合には、クロム含有ダスト中の酸化鉄と酸化クロムの両方の還元吸熱ロスが生じ、溶融還元吹錬におけるクロム含有ダスト吹込み原単位が少量に制限される。というのは、クロム鉱石の還元を行う転炉において、還元熱ロスが増加するということは、熱補償のための昇熱吹錬時間を増やす必要が生じるが、クロム鉱石およびクロム含有ダストの溶融還元時間の減少という処理効率の低下は避けなければならないからである。
表2に示した諸条件、およびその他を試験No.1と同様の条件で、溶融還元吹錬を行う試験No.4〜11を併せて実施した。それぞれの実験結果(出湯クロム濃度)を表2に併記する。
試験No.4は、インジェクション時の溶銑温度を1200℃より低位としたものである。この場合、インジェクション後の取鍋への地金付着量が大きくなったものの、比較例1,2と比べると出湯クロム濃度は、高位であった。
試験No.7インジェクション時の溶銑温度を1500℃より高位としたものである。この場合、取鍋耐火物の損耗は大きくなったものの、比較例1,2と比べると出湯クロム濃度は、高位であった。
試験No.8は、インジェクションの吹込み速度を、溶銑1t当たり0.3kg/minより低位としたものである。この場合は、初期溶銑温度が高くても、インジェクション中の温度降下が大きくなって、取鍋への地金付着量は大きくなったものの、比較例1,2と比べると出湯クロム濃度は、高位であった。
試験No.11は、インジェクション吹込み速度を溶銑1t当たり1.5kg/minまで上げたものである。この場合は、酸化鉄の反応効率がやや低くなったものの、転炉(SR炉)比較例1,2と比べ、出湯クロム濃度は高位となった。
すなわち、初期溶銑温度が1300℃以下の場合は、ダストインジェクション後の温度は1170℃程度となるため、溶銑を払い出した後の取鍋耐火物への地金付きが大きくなった。また、試験的に、昇熱吹錬を実施して初期溶銑温度が1500℃を超えた溶銑を用いて同様の処理を行った場合は、取鍋耐火物の損耗が大きくなってしまった。
さらに、ダストの吹込み速度が溶銑1t当たり0.3kg/min未満の条件では、インジェクション処理時間が過大となり、他の条件と比較しても温度降下が大きくなってしまった。一方、吹込み速度が溶銑1t当たり1.5kg/min超の条件では、インジェクション処理後に発生したスラグ中の酸化鉄濃度が高く、還元が不十分という結果となった。
これらの試験結果に対し、本発明の好適範囲に従う試験No.1,5,6,9および10は、出湯クロム濃度も高く、かつ取鍋耐火物への地金付着や損耗が少ない結果となった。
従って、上記実施例により、本発明に従うことで、転炉生産性を阻害することなく、含クロムダストの効率的なリサイクルが可能となることが確認された。

Claims (3)

  1. 鉄浴型転炉を用いる含クロム溶鉄の精錬工程で発生したダストを、別の溶銑搬送容器内の溶銑にインジェクションして、該ダスト中に含有する酸化鉄を還元し前記溶銑搬送容器内の溶銑中に還元鉄を回収すると共に、該ダスト中に含有される酸化クロムを前記溶銑搬送容器内のスラグ中に濃縮させた後、該スラグを除滓する第一工程と、
    前記第一工程で除滓したスラグを、前記鉄浴型転炉内に投入して前記第一工程で除滓したスラグ中の酸化クロムを還元し前記鉄浴型転炉内の溶銑中にクロムを回収する第二工程と
    を有することを特徴とするクロム含有ダストのリサイクル方法。
  2. 前記ダストを前記第一工程の溶銑にインジェクションするに際し、該溶銑の温度を、1200℃以上1500℃以下に保持することを特徴とする請求項1に記載のクロム含有ダストのリサイクル方法。
  3. 前記第一工程の溶銑に対し、前記ダストのインジェクションを行うにあたり、該ダストの吹込み速度を、溶銑1t当たり0.3〜1.5kg/minとして行うことを特徴とする請求項1または2に記載のクロム含有ダストのリサイクル方法。
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