JP5884540B2 - プラズマ処理用ガス供給管ユニットおよびそれを用いる被膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、プラズマCVD法によりプラスチック容器などの内面に被膜を形成する真空成膜装置の構成要素として使用する、ガス供給管ユニットに関する。
プラスチック容器の酸素遮断性を向上させることを主目的として、酸化珪素被膜やダイヤモンドの結晶構造に近い炭素被膜を容器の内外面に施すことが、盛んに行われている。この処方をされた容器は、プラスチック単層のポリエステルあるいはポリエチレン容器の酸素透過度が、上記被膜の無い場合の1/10あるいは1/20にまで低下し、その結果内容物の酸化の進み方が緩慢になることで商品寿命が延び、品質の向上を図ることが可能となった。従って、従来はEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)やポリアミドといったガスバリア性樹脂を用いて、多層成型の容器を必要としていた領域にも単層成型の容器が使われるようになった。
ガスバリア性樹脂を用いずに、プラスチック容器の内面に酸化珪素被膜や炭素被膜等の高いガスバリア性を有する被膜を形成する方法として、プラズマCVD法を用いた内面蒸着方法が提案されている。この方法は、原料ガスを化学変化させて薄膜を生成する。通常は、プラスチック容器よりも若干大きい空間に該容器を正立または倒立させ、真空ポンプで排気しながら容器内部に原料ガスを送り、容器内部が50Paから0.5Paの圧力となる領域で、高周波やマイクロ波でガスを励起させて反応を促進させ、薄膜を形成する。
容器の内面に成膜する工程での問題点のひとつは、ガス供給管に反応生成物が膜として付着することである。容器内面に膜を形成する目的で、容器の口元内径よりも細い管を容器内部に挿入して原料ガス及び反応ガスを噴出させる必要があるが、容器の内部で盛んに反応が行なわれるため、ガス供給管の壁面にも反応生成物が付着してしまう。反応生成物はガス供給管の表面との密着性が悪ければ容易に剥落するし、密着性が多少良くても膜が厚く堆積したところへプラズマによる発熱で膨張と収縮を繰り返すことにより凝集破壊が生じて、膜は剥がれ落ちる。そして剥がれた膜の切片が容器に残ると、容器を汚染して内容物の安全性が損なわれる危険に直面する。そのため、安全性の確保のための工夫が提案されている。
例えば特許文献1では、多孔質で形成されたパイプの端面および側面に適宜直径0.2mmの複数の孔を開けたガス供給管が提案されている。これは複数の孔から容器の複数箇所に向けて成膜ガスを放出させて、ガス供給管に付着する生成物は多孔質面に食いつかせて剥落を防止するという工夫である。この方法は膜の密着性を物理的に向上させガス供給管の交換時期を伸ばす効果があるけれども、付着した膜が厚くなるとガス放出孔を覆ってしまうため、ある程度の厚さに達した付着膜を剥がすことが必要である。付着膜を剥がす工程ではガス放出孔を変形させないようアルカリ液に浸漬するなど化学的な方法での除去が必要となり、物理的な除去方法と比べて遥かに時間がかかること、除去作業の間にも成膜作業をするためには高価な予備のガス供給管を用意しなければならず費用が嵩むということもあり、コストのかかる方法であった。
もともとガス供給管に反応生成物が付着することは全く不要なことであるが、構造上不可避なことでもある。反応生成物は成膜対象の容器の基材である樹脂と密着するように設計されているので、ガス供給管も樹脂製であれば反応生成物は化学的に密着し、付着物が容易には剥落しないようにできる。しかし、プラズマによる発熱は正常な反応であっても部分的には100℃を超え、異常放電では推定で500℃を越えるため、樹脂基材に対し
て連続的に使用することは一般的には不可能であり、金属をガス供給管の基材として使うことが普通である。そこで反応生成物の密着性の不足を補うために、ガス供給管の表面を荒らして、物理的に密着力を高めることが行なわれてきた。また、ガス供給管を簡単に取り外して交換洗浄できれば、反応生成物の剥落による成膜対象容器の汚染を防止できる。しかし、ガス供給管の一端は固定されているので取り外しが簡単でないことから、容易に着脱可能なガス供給装置が必要とされる。また生産時には継続した生産を行うことによる生産効率の向上の要請もあり、予備部品と交換して継続生産するために予備部品の作製費用を軽減する必要もある。
容器の内面に成膜する工程でのもうひとつの問題点は、プラズマの発熱により成膜対象容器へダメージが加わることである。容器内部の薄膜生成は、原料ガスの濃度と高周波あるいはマイクロ波のエネルギーによってコントロールされるが、2つのパラメータは成膜対象容器1本あたりに供給する量は調整可能だが、容器の部位ごとの調整は難しく、容器の形状によっては激しい反応によって容器の一部が大きく発熱することがある。特に容器首部は容器の断面積が最も小さい部分であるため未反応の原料ガスやプラズマによる生成ガスの濃度が高くなり、高温の発熱が生じやすい。プラズマによる発熱の容器への影響は、すぐさま容器の変形となって表れる場合と、短い周期で間歇的に成膜を繰り返しているうちに、ガス供給管などに熱が蓄積されることによって、その輻射熱により容器が変形する場合の2通りがある。前者は、成膜条件や容器形状自体を見直して、それらの変更にて対処する余地がある。一方、後者は、繰り返し作業による蓄熱の影響が大きいため、上記の方法で対処する余地が少なく、非成膜時間を長くとるか、成膜装置の改善が必要となる場合が多い。
また、ガス供給管に付着する反応生成物の剥落による成膜対象容器の汚染を防止するために、特許文献2では、ガス供給管の外側にガス供給管カバーを設けることを提案している。しかし、ガス供給管カバーは金属であるためプラズマによる発熱を蓄えることで輻射熱を発生することはガス供給管と変わらず、更に外径がガス供給管よりも大きいので、短い周期の間歇的な成膜により、成膜対象容器の首部はますます変形しやすくなる。
特開2006−249576号公報 特開2009−270187号公報
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、プラズマCVD法により容器の内面に被膜を繰り返し形成する場合に、ガス供給管に多量の反応生成物が付着し、付着した膜が剥がれることによって成膜後の容器内部に剥がれた膜片が残存することを防ぐと同時に、ガス供給管の近傍に意図せずに付着した膜の除去作業が成膜作業に支障なくできるように改善し、さらに、プラズマの発熱により加熱されたガス供給管およびその近傍を冷却することで、成膜対象容器の変形を防止する、構造のガス供給管ユニットを提案することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、プラズマ処理室内に保持された容器の内面に被膜を形成する真空成膜装置に用いるプラズマ処理用ガス供給管ユニットであって、容器内に挿入される先端部にガスの噴き出しノズルを有するガス供給管と、ガス供給管を着脱可能に覆うガス供給管カバーと、ガス供給管カバーの後端部にあって、ガス供給管とガス供給管カバーとを連結し、ガス供給管とガス供給管カバーとの
隙間に冷却気体を導入できるようにしたガス供給管取付ナット部と、からなることを特徴とするプラズマ処理用ガス供給管ユニットである。
また、請求項2に記載の発明は、ガス供給管カバーの内径が、ガス供給管の外径より0.5mm〜2mmの間で大きいことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理用ガス供給管ユニットである。
また、請求項3に記載の発明は、ガス供給管カバーの外表面の表面粗さが、基準長さ5mmの十点平均粗さで20μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理用ガス供給管ユニットである。
また、請求項4に記載の発明は、ガス供給管取付ナット部が、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間への冷却気体導入用リブを内側に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理用ガス供給管ユニットである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理用ガス供給管ユニットを用いて、プラズマCVD法により容器の内面に被膜を順次形成する方法であって、対象容器への被膜形成後に次の成膜対象容器に取り換える成膜休止時に、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入して、ガス供給管およびその近傍を冷却することを特徴とする被膜形成方法である。
本発明のプラズマ処理用ガス供給管ユニットは、容器内に挿入される先端部にガスの噴き出しノズルを有するガス供給管と、ガス供給管を着脱可能に覆うガス供給管カバーと、ガス供給管カバーの後端部にあって、ガス供給管とガス供給管カバーとを連結し、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入できるようにしたガス供給管取付ナット部と、からなるので、
プラズマCVD法により容器の内面に被膜を順次繰り返し形成する場合に、ガス供給管に多量の反応生成物が付着し、付着した膜が剥がれることによって成膜後の容器内部に剥がれた膜片が残存することをガス供給管カバーにより防ぐと同時に、ガス供給管の近傍に意図せずに付着した膜の除去作業が、ガス供給管カバーのみを交換洗浄することにより、成膜作業に支障なくできるように改善できる。さらに、プラズマの発熱により加熱されたガス供給管およびその近傍を成膜休止時間に冷却することで、成膜対象容器の変形を防止することができる。
本発明のガス供給管ユニットを従来のガス供給管との比較で説明するための模式図であって、(a)は、従来の通常のガス供給管、(b)は、本発明のガス供給管ユニットの全体を示す。 図1−A部の拡大模式図である。 図1−B部の拡大模式図である。 図3を各部品に分離して示す模式図である。 図4に示す部分をC方向から視た見た矢視図である。 本発明の被膜形成方法を説明するためにガスの導入状態を示す模式図であって、(a)は、被膜形成時のプラズマ処理用ガスの導入状態、(b)は、成膜休止時の冷却気体の導入状態である。
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明のガス供給管ユニットを従来のガス供給管との比較で説明するための模式
図であって、(a)は、従来の通常のガス供給管、(b)は、本発明のガス供給管ユニットの全体を示す。
本発明は、プラズマ処理室内に保持された容器の内面に被膜を形成する真空成膜装置に用いるプラズマ処理用ガス供給管ユニット10であって、従来のガス供給管1の側壁全体を強制冷却可能なガス供給管カバー3で、ガス供給管1の外面から隙間を空けて着脱可能に覆うように取り付けたガス供給管ユニット10としての集合形態を有する。点線円で囲ったガス供給管ユニット10の先端部付近Aが成膜対象の容器内部に初めに挿入される側であり、プラズマ処理用ガスの噴き出しノズル2を有する。また、上記先端部とは反対側にあたる、点線円で囲ったガス供給管ユニット10の後端部付近Bに、ガス供給管取り付けナット部4を介して、ガス供給管1とガス供給管カバー3とを連結するとともに、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入して強制冷却できるようにした。
図2は、図1(b)のガス供給管ユニット10の先端部付近A部の拡大模式図である。図の上部が上面図、下部が側断面図であり、一般に円筒形状を有するガス供給管1、噴き出しノズル2、ガス供給管カバー3が、それぞれ同心円状に配置される。ガス供給管1は金属材料の中空丸棒で、軸方向にプラズマ処理用ガスを供給するためのガス流路が延びている。ガスの入口は、後述のB部のガス供給管取り付けナット部4によりガス供給源から確実に接続しており、ガスの最終の出口は噴き出しノズル2により、均一に適量が噴き出す構造になっている。
本発明の重要な特徴は、プラスチック容器の内面成膜において、従来からあるガス供給管1に容易に着脱可能なガス供給管カバー3を追加することで、今まではガス供給管1に付着していた反応生成物を、もっぱらガス供給管カバー3に付着せしめるようにしながら、プラズマ発熱に起因する容器の熱変形を防止することにある。前述のように、従来の改良になるガス供給管カバーでは膜剥落の危険は回避できる一方で、容器が熱変形する危険は増大してしまったが、本提案により膜剥落防止と熱変形防止を両立させることが可能となった。ガス供給管カバー3は、円筒形状におけるその内径をガス供給管1の円筒形状の外径よりも0.5mm〜2mmの間で大きくすることにより、カバーの着脱に支障なく、かつ、プラスチック容器口を通るガス供給管ユニット10の挿入もスムーズに行える。カバー内径と供給管外径との差が上記の範囲より小さいと、ガス供給管からカバーを着脱して交換洗浄する作業がやり難く、該差が上記の範囲を超えると、毎回の成膜作業の前後におけるガス供給管ユニットへのプラスチック容器の設置および取り外しが窮屈になる。
図3は、ガス供給管ユニット10の後端部およびガス供給管取り付けナット部4付近、すなわち、図1−B部の拡大模式図である。
図の下方からガス供給管ユニットに接続するプラズマ処理用ガス供給元配管20により、ブロック矢印で示すプラズマ処理用ガス11を、専用のバルブ22の開閉制御に対応してガス供給管1内に導入することができる。本発明のガス供給管ユニット10とプラズマ処理用ガス供給元配管20との接続は、専用の継ぎ手24を用いて一般的な手段により固定接続できる。
強制冷却機能に係わるガス供給管カバー3は、交換洗浄を行うためのカバー円筒部分の着脱交換が容易であり、ある程度の機密性が確保されれば、一般的に用いられるさまざまな構造で実現することが可能である。簡単な方法としては、ガス供給管1にガス供給管カバー3を被せて、ガス供給管取り付けナット部4の上面でガス供給管カバーの後端部を受け止めるだけの構造も可能であり、ガス供給管カバー3の自重による圧力が一定の軽度の機密性を保持する。また、柔軟性の高いシール材6をガス供給管カバーの後端部とガス供給管取り付けナット部の上面との間に介在させて、機密性を高めることができる。
図の右方からガス供給管ユニットに接続する冷却気体供給元配管21により、太線矢印
で示す冷却気体13を、専用のバルブ23の開閉制御に対応してガス供給管1とガス供給管カバー3との隙間に導入することができる。冷却気体は、圧力エアでも、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスでも良い。圧力エアを熱交換して低温にしたエアは、一層効果的である。
なお、冷却気体を上述の隙間に流すことにより、ガス供給管カバーの外周に付着した成膜カスに冷媒が触れないため、成膜チャンバーを汚染することなく、ガス供給管ユニットを冷却することが可能である。
図4は、図3を各部品に分離して示す模式図である。
ガス供給管取り付けナット部4の右側面に図示した冷却気体供給口5は、図3における冷却気体供給元配管21からの冷却気体13の取り込み口である。ガス供給管1を下方から矢印Cの方向にガス供給管取り付けナット部4を通して挿入することにより、図3に示す形態を構成できる。ここで、矢印Cの方向にガス供給管取り付けナット部4を視た時に視える位置で、ガス供給管取り付けナット部4の内側にあたる位置に、リブ7を設けることにより、冷却気体供給口5から取り込んだ冷却気体を、図3におけるガス供給管1とガス供給管カバー3との隙間に導入することができる。
図5は、図4に示す部分をC方向から視た見た矢視図であり、リブ7は、ガス供給管取り付けナット部4の内側のドーナツ形状の面に部分的な盛り上がり形状を持って形成される。リブ7の盛り上がりがガス供給管1の後端部の鍔の部分に突き当たることにより、リブの隣接部平面に隙間が生じ、ガス供給管1とガス供給管カバー3との隙間までの冷却気体用の経路を形成できる。
また、強制冷却機能が効果を発揮するためには、多量のガスによって熱交換を行う必要がある。容器成膜では1回の成膜ごとに成膜室を大気圧から10乃至20Paまで変化させているが、成膜休止中の大気圧状態での容器交換時が冷却時間となる。冷却効果を更に高めるためには、ガス供給管カバーに冷却フィンを取り付けて、熱交換のための表面積を大きくすることも有効である。
また、ガス供給管カバー3の外表面にはその付着物が容易には剥落しないように、細い凹凸で覆われるように表面加工を施すことが効果的である。例えば、金属製円筒パイプ形状のガス供給管カバー3にサンドブラスト加工を施すことにより、カバーの外表面に細かい凹凸が形成され、表面汚染の原因となる油脂分を除去する効果と相俟って、反応生成物としての被膜の付着力が強くなるからである。
本発明ではガス供給管1の外周にガス供給管カバー3なる円筒パイプを設置して、汚れがひどくなったガス供給管カバー3は適宜取り出し、予備のガス供給管カバーに交換して成膜作業をすぐさま再開できる。取り外した汚れがひどくなったガス供給管カバーは、成膜作業時間の間に別ラインでの洗浄ができるので、ガス供給管の近傍に意図せずに付着した膜の除去作業が、成膜作業に支障なくできる。前述の例では、ガス供給管カバー3はガス供給管1に挿し込んで被せてあるだけなので、非常に着脱が容易であり、汚染度合の確認や交換作業がごく短時間に実行できる。従来は一端が接続固定されたガス供給管2のガス供給源側からの取り外し交換作業が必要であったことと比較すると、作業時間の大きな短縮になる。
また、ガス供給管カバー3の外表面は反応生成物が物理的に密着しやすいように、意図的に荒らしてある。その方法は一般に行なわれている金属表面加工なら何でも良いが、十点平均粗さが20μm以上(基準長さ5mmの場合)あると密着性が格段に向上する。また、荒らした表面の凹凸形状が楔型の凹みやアンダーカット形状が多いとさらに良く、そのような表面状態を再現するには、サンドブラスト加工が最適である。ただし、表面を荒らして膜の密着性が向上するとはいっても、膜の厚さが大きくなると、温度変化や機械的
な衝撃で膜の凝集破壊を起こすため、適宜交換して膜の剥離による洗浄作業を行なう必要はある。堆積した膜を剥がす方法として、サンドブラストが有効である。
なお、ガス供給管カバー3の外径は成膜対象の容器口内径よりも出来るだけ小さくしたいので、使用するパイプの肉厚はせいぜい1mm、通常は0.5mm程度が好ましい。これは、容器との干渉を防ぐという理由はもちろんのこと、場合によっては成膜対象容器内のガス排気性を良好に保つためにも重要である。というのも容器内部のガス置換速度と膜物性との関係は緊密であり、たとえば同一の成膜条件でありながら容器口近傍に障害物を設置すると、成膜後の容器の酸素透過度に差異が生じることがある。これは、容器口近傍の障害物のために排気性能に差異が生じ、その結果、膜物性に影響を与えたと理解される。従って、成膜後の容器の性能に影響しないよう、ガス供給管カバー3の厚さは出来るだけ小さくするべきである。
ガス供給管1の側面はガス供給管カバー3に覆われるため、噴き出しノズル2はガス供給管1の先端部にのみ、別部品を埋め込むように設置される。ガス供給管1の噴き出しノズル2は、例えば、直径0.5mmの孔または隙間が0.5mmのスリットであり、できればその孔径またはスリット隙間に対して奥行き寸法は10倍以上であることが望ましい。この寸法は、ガス供給管内部にプラズマが生じない寸法の目安である。また、孔径またはスリット隙間がこの程度であれば、噴き出しノズル2が生成物の付着で塞がれることはない。この加工については、レーザーで穴あけをする方法や、鋳造という方法が挙げられる。
プラズマCVD法で酸化珪素薄膜をコーティングするために使用できる原料ガスについては、主ガスとしてヘキサメチルジシロキサンの他、トリメチルシロキサンなどを用いることが可能で、これにより酸化珪素薄膜の成膜が可能になる。また、反応ガスとしては、酸素の他、オゾン、二酸化炭素などを用いることが可能である。
プラズマCVD法で炭素膜をコーティングするために使用できる原料ガスについては、主ガスとしてメタン、アセチレンなどを用いることが可能で、これにより炭素膜の成膜が可能になる。また、キャリアガスとしては、アルゴンの他、ヘリウムなど不活性ガスを用いることが可能である。
プラスチック容器に成膜する場合、樹脂構成は単層のポリエステルまたはポリエチレンないしポリプロピレン、ポリスチレン製であるか、または成膜面がこれらの樹脂で成形された多層容器である。
図6は、本発明の被膜形成方法を説明するためにガスの導入状態を示す模式図であって、(a)は、被膜形成時のプラズマ処理用ガスの導入状態、(b)は、成膜休止時の冷却気体の導入状態である。
図6(a)において、プラズマ処理用ガス11をガス供給元配管20より供給し、専用バルブ22を開くことにより、ガス供給管1の内部に通すことができ、供給出口へ向かうプラズマ処理用ガス12を与え、プラズマ処理を行うことができる。その際、冷却気体供給元配管21からの冷却気体13は冷却気体供給元配管用の専用バルブ23により閉じられる。
図6(b)において、ガス供給元配管20からのプラズマ処理用ガス11を、専用バルブ22を閉じてストップし、プラズマ処理による成膜作業を停止する。成膜休止時の成膜チャンバー内が大気圧に戻った段階で、冷却気体供給元配管21からの冷却気体13は、冷却気体供給元配管用の専用バルブ23を開くことにより前進する。その結果、ガス供給管1とガス供給管カバー3との隙間に導入される冷却気体14が、プラズマ処理用ガス供
給管ユニット10全体を強制冷却することができる。
以上に述べたプラズマ処理用ガス供給管ユニットを用いて、プラズマCVD法により容器の内面に被膜を順次形成する方法が提供できる。すなわち、対象容器への被膜形成後に次の成膜対象容器に取り換える成膜休止時に、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入して、ガス供給管およびその近傍を冷却することを特徴とする被膜形成方法を提供できる。
以下に、本発明の実施例を比較例とともに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。結果を表1に示す。
口元口内径が30mm、胴部直径が60mm、容器高さが200mm、満水量が500mlで40gのポリエステル製中空容器を延伸ブロー成形してその内側に酸化珪素皮膜の成膜を試みた。そこでガス供給管1の外径が6.35mm、肉厚が2mm、長さ300mmで先端から5mmまでは内径を0.4mm大きくした。また、他端は、外径12.6mmのフランジ型部品に挿しこみ溶接した。ガス供給管カバー3は、外径が9mm、肉厚が1mm、長さが250mmに加工した。外面はJIS R6001で規定された粒度#24の研磨剤を用いて、サンドブラスト加工で荒らした後に、ガス供給管カバー3の十点平均粗さを基準長さ5mmで計測した。強制冷却のための冷却気体は、成膜対象の容器を入れ替える成膜休止時に、プラズマ処理用のガスを供給停止した状態で、圧縮エアを除湿、フィルタリングして流した。ガス供給管1、ガス供給管カバー3の材質はSUS303とした。ガス供給管1には噴き出しノズル2として、幅0.2mm長さ2mm奥行き2.5mmのスリットを2本有する外径3mm長さ5.3mmの円筒形状の市販部品を嵌合した。そして、成膜対象の容器を毎回入れ替えながら成膜を行い、1000回目、2000回目、3000回目の成膜済みの容器をサンプル数3で抜き取り、それぞれの容器内面を蒸留水ですすぎ、その水を濾過したフィルターを200倍に拡大した映像で確認できる粒子の数が10個以上あった本数を記録した。さらに、異常放電の回数、および、3000回でガス供給管カバー3を交換してから成膜を再開するまでの時間を計測して、以上の結果を表1に示した。また、成膜した容器3000本の中で容器の形状に変形が生じたものの有無と異常本数を確認して、表1に示した。
<比較例1>
実施例1のうち、強制冷却機能のみを働かせずに、成膜とサンプリングを同様に実施後、粒子数の確認、異常放電の回数、成膜再開までの時間の計測、ならびに、容器形状の異常本数の確認を行い、以上の結果を表1に示した。
Figure 0005884540
表1より、成膜休止時に、プラズマ処理用ガス供給管ユニットを強制冷却した実施例1において、異常放電が発生せず、容器変形も皆無であった。一方、同様の装置を用いて強制冷却を働かせなかった比較例1では、成膜再開までの時間や規定粒子数を越えた容器本数は実施例1に劣らなかったが、異常放電が若干発生し、容器変形がかなり発生した。
1・・・ガス供給管
2・・・噴き出しノズル
3・・・ガス供給管カバー
4・・・ガス供給管取り付けナット部
5・・・冷却気体供給口
6・・・シール材
7・・・リブ
8・・・ガス供給管取り付けナット部固定用ネジ部
10・・・ガス供給管ユニット
11・・・プラズマ処理用ガス(供給入口)
12・・・プラズマ処理用ガス(供給出口)
13・・・冷却気体(供給入口)
14・・・冷却気体(供給出口)
20・・・プラズマ処理用ガス供給元配管
21・・・冷却気体供給元配管
22・・・プラズマ処理用ガス供給元配管用バルブ
23・・・冷却気体供給元配管用バルブ
24・・・プラズマ処理用ガス供給元配管用継ぎ手
A・・・ガス供給管ユニットの先端部付近
B・・・ガス供給管ユニットの後端部およびガス供給管取り付けナット部付近

Claims (2)

  1. プラズマ処理室内に保持された容器の内面に被膜を形成する真空成膜装置に用いるプラ
    ズマ処理用ガス供給管ユニットを用いた被膜形成方法であって、
    容器内に挿入される先端部にガスの噴き出しノズルを有するガス供給管と、
    ガス供給管を着脱可能に覆うガス供給管カバーと、
    ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入可能なプラズマ処理用ガス供給管ユニットを用いて、プラズマCVD法により容器の内面に被膜を順次形成して、対象容器への被膜形成後に次の成膜対象容器に取り換える成膜休止時に、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入して、ガス供給管およびその近傍を冷却することを特徴とする被膜形成方法。
  2. プラズマ処理室内に保持された容器の内面に被膜を形成する真空成膜装置に用いるプラ
    ズマ処理用ガス供給管ユニット用いた被膜形成方法であって、
    容器内に挿入される先端部にガスの噴き出しノズルを有するガス供給管と、
    ガス供給管を着脱可能に覆うガス供給管カバーと、
    ガス供給管カバーの後端部にあって、ガス供給管とガス供給管カバーとを連結し、ガス供
    給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入できるようにしたガス供給管取付ナッ
    ト部と、
    からなるプラズマ処理用ガス供給管ユニットを用いて、プラズマCVD法により容器の内面に被膜を順次形成する方法であって、対象容器への被膜形成後に次の成膜対象容器に取り換える成膜休止時に、ガス供給管とガス供給管カバーとの隙間に冷却気体を導入して、ガス供給管およびその近傍を冷却することを特徴とする被膜形成方法。
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