JP5883704B2 - フルモールド鋳造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フルモールド鋳造装置に関し、より詳しくは、注湯時に鋳型内で発生するガスを鋳型の外へ排出するための排気管を備えたフルモールド鋳造装置に関するものである。
従来から、鋳物を作る鋳造法の一つとして、フルモールド法が広く使われてきた。このフルモールド法は、消失模型鋳造法とも言われ、発泡ポリスチレンなどを成型して作られた消失模型を鋳物砂に埋めて鋳型を造り、その鋳型に溶湯を注湯して、消失模型を熱分解させながら溶湯と置換し、消失模型と同一形状の鋳物製品を得る鋳造法である。
消失模型は熱分解するとガス化し、そのガスは鋳型を通じて鋳型の外へ出ていく。しかし、鋳型の通気性が不足した場合は、鋳型内の圧力が上昇して、鋳型の変形による鋳造不良が発生する場合がある。
また、注湯中の鋳型内の溶湯には、消失模型の燃え残り(残渣)やノロ等の異物が浮いている。この異物は鋳物製品の外部へ排出する必要がある。
消失模型のガス化で上昇した鋳型内の圧力と、鋳型内の溶湯に浮いた異物を外へ出すために、フルモールド法においても、鋳型内と外部をつなぐガス抜き用の排気管を設けることがある。
図5は、ガス抜き用の排気管を設けた従来のフルモールド鋳造装置の縦断面図であり、(a)は注湯前、(b)は注湯中の状態を表している。
このフルモールド鋳造装置c’は、主に、鋳型9と注湯口5から構成されている。
鋳型9は、鋼製の鋳枠4と、鋳枠の中で鋳物砂7に埋められた消失模型1と、鋳枠内の鋳物砂で造型された砂型11と、砂型の上面と消失模型の下部をつなぐ湯道6と、消失模型の上部から砂型の上まで鉛直方向に伸びて開口する円筒形の排気管8と、からなる。
注湯口5は、鋳物砂等(耐火材)を漏斗状に成型した物であり、鋳型内に溶湯を流し込むために、湯道の開口部に設けられる。
注湯口5に溶湯を注ぐと、溶湯は、湯道6を通って消失模型1の下部に流れ込み、消失模型を熱分解しながら、消失模型と同一形状で鋳型内に充填されていく。消失模型と排気管8との接続部分まで熱分解が進むと、注湯により発生したガスが排気管8の中を通って鋳型の外部へ排出される。
注湯した溶湯が凝固して鋳物が出来たら、鋳型の中から鋳物製品を取り出す。
このフルモールド法では、消失模型の熱分解でガスが発生し、鋳型内の圧力が高くなるため、消失模型と排気管8との接続部分まで熱分解が進んで、圧力が開放された時に、溶湯の一部が、ガスと一緒に排気管に沿って上に吹き出すことがある。(図5(b)中の白抜き矢印を参照)
このような溶湯の吹き出しは、注湯作業の安全性を著しく阻害していた。
溶湯の吹き出しを防止する技術として、消失模型の熱分解で発生するガスの排出速度を抑えるフィルターを排気管の中に設置する技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2002−219552号公報
しかしながら、ガスの排出速度を抑えるフィルターを排気管の中に取り付ける場合、フィルターが使い捨てとなるため、鋳造毎にフィルターを用意する必要があり、コストがかかる。
また、フィルターを砂型内に埋め込む等の作業が必要となる。
さらに、フィルターの圧力損失や通気度を予め把握して、鋳造条件の異なる鋳物製品毎に、フィルターを選定し直す必要があり、煩わしい。
本発明は、フィルター使用及び設置のコストを削減し、コストをかけなくても注湯作業の安全性を確保できるフルモールド鋳造装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のフルモールド鋳造装置は、鋳物砂で造型した砂型と、前記砂型の中に埋められた消失模型と、前記砂型の上に開口し、その開口から前記消失模型までつながって溶湯の通り穴となる湯道と、前記砂型の上に一端が上向きに開口し、他端が前記消失模型につながり、前記砂型の上から前記消失模型まで管内で通気可能とする排気管と、前記排気管の前記一端から吹き出す溶湯の流れを、前記砂型に向けて折り返すように、前記排気管の前記一端を覆う蓋とを備え、前記蓋が、前記排気管の前記一端の開口を臨む面を有する遮蔽板と、前記遮蔽板の周縁から下に伸びる側壁と、前記側壁の下に突出する脚部とからなる構成とした。
これにより、溶湯が排気管に沿って吹き上がっても、蓋に当たって砂型に向けて流れ落ちるから、吹き出た溶湯が注湯作業者に向かう恐れがない。
また、本発明のフルモールド鋳造装置は、前記蓋の内面に塗型が塗布されているものとすることができる。これにより、蓋の内面への溶湯の融着を防ぎ、蓋を繰り返し使用することが出来る。
本発明のフルモールド鋳造装置は、消失模型の熱分解で発生するガスと一緒に排気管から吹き出す溶湯が、蓋に当たって向きを変え、周辺に飛散しないので、注湯作業の安全性を確保することができる。
本発明の実施形態におけるフルモールド鋳造装置の縦断面図である。 本発明の実施形態における蓋の斜視図である。 本発明の実施形態における溶湯の吹き上がり状態を説明する図である。 本発明の他の実施形態における蓋の斜視図である。 従来のフルモールド鋳造装置の縦断面図であり、(a)は注湯前、(b)は注湯中を示す。
図1から図3を使って本発明の実施形態におけるフルモールド鋳造装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるフルモールド鋳造装置の縦断面図である。
このフルモールド鋳造装置cは、鋳物製品としてダクタイル鋳鉄管を鋳造する装置であり、主に、鋳型9と、鋳型内にダクタイル鋳鉄の溶湯を流し込むための注湯口5と、鋳型から吹き出す溶湯やガスを遮るための蓋10と、から構成されている。
鋳型9は、既述の従来技術と同様に、鋼製の鋳枠4と、鋳枠内で鋳物砂7に埋められた消失模型1と、前記鋳枠内の鋳物砂で造型された砂型11と、砂型の上面と前記消失模型の下部をつなぐ湯道6と、前記消失模型の上部から鉛直方向に前記砂型の上方まで伸びて開口する円筒形の排気管8と、から構成されている。
消失模型1は、鋳鉄管の形(円筒形状)に発泡ポリスチレンを成型した物であり、その表面(筒内面も含む)には鋳物砂の焼き付きを防ぐための塗型が塗布されている。
注湯口5は、鋳物砂(耐火材)を漏斗状に成型した物であり、砂型表面に現れる湯道の開口に載せられている。
蓋10は、排気管8上端の開口を臨む遮蔽板10aと、遮蔽板の周縁の下に伸びる側壁10bと、側壁の下に突出する脚部10cとからなり、排気管8の開口(上端)を上から覆うように脚部の下端を砂型11の上面に付けて、自立している。
蓋10の内面(遮蔽板10aの下面や側壁10bの内側面)と排気管8の上端との間には、隙間があり、排気管上端の開口は、塞がれずに蓋の中で開放されている。
また、蓋10は、下に突出する脚部10cで砂型の上に起立しており、側壁10bの下端と砂型上面との間にも隙間があり、蓋10の内側は外気と流通可能となっている。
図2は、蓋10を拡大した斜視図である。
蓋10は、鋼製であり、四角い平板の遮蔽板10aと、遮蔽板の周縁(四辺)で遮蔽板と直交する向きに固定されて下に伸びる四角い4枚の平板からなる側壁10bと、遮蔽板の四隅で遮蔽板や側壁に固定され遮蔽板と直交する向きに伸びる4本の円形断面の脚部10cと、から構成されている。
なお、遮蔽板10aと側壁10bとの接続部分や側壁同士の接続部分は、溶接等により液密に仕上げられている。
図3は、溶湯の吹き上がり状態を説明する図である。
排気管8の上端開口部から蓋10の遮蔽板10aの下面に向かって、溶湯mがガスgと一緒に吹き出している。吹き出した溶湯mは、遮蔽板10aの下面に当たり、向きを上向きから横向きに変え、遮蔽板の下面に沿うように広がる。そして、側壁10bの内側面に当たって、溶湯の向きは横向きから下向きに変わり、側壁に沿うようにして砂型の上面に流れ落ちる。(図3中の白抜き矢印を参照)
また、ガスgは、排気管8上端の開口部から吹き出すと、遮蔽板10aや側壁10bに遮られて向きを変え、側壁の下端と砂型の上面との隙間を通って、外気に流れ出る。
蓋の内面、すなわち遮蔽板の下面と側壁の内側面、には、予め塗型(耐火材)が塗布されているので、吹き出した溶湯がそれらの面に接触しても、融着することがなく、蓋は繰り返し使用することができる。
なお、本実施形態では、蓋は四角い平板からなる溶接構造物としたが、図4の(a)に示すような円筒形の蓋や、同(b)に示すような、遮蔽板と側壁と脚部が一体成型された円形ドーム状の蓋も採用し得る。
また、本実施形態では、蓋を鋼製としているが、蓋の材質は鋼に限定する必要はなく、溶湯が当たっても燃えなくて、溶湯やガスの吹き出す圧力を受けても動かない重量を確保できればよい。
また、本実施形態では、消失模型1の上部に排気管8がつながる構成を示したが、排気管がつながる部分は、消失模型の上部に限られず、注湯時の排気管からの溶湯吹き出しを発生させる部分であればよい。同様に、湯道がつながる部分も消失模型の下部に限られない。
1 消失模型
4 鋳枠
5 注湯口
6 湯道
7 鋳物砂
8 排気管
9 鋳型
10 蓋
10a 遮蔽板
10b 側壁
10c 脚部
11 砂型
c フルモールド鋳造装置
m 溶湯
g ガス

Claims (2)

  1. 鋳物砂で造型した砂型と、
    前記砂型の中に埋められた消失模型と、
    前記砂型の上に開口し、その開口から前記消失模型までつながって溶湯の通り穴となる湯道と、
    前記砂型の上に一端が上向きに開口し、他端が前記消失模型につながり、前記砂型の上から前記消失模型まで管内で通気可能とする排気管と、
    前記排気管の一端から吹き出す溶湯の流れを、前記砂型に向けて折り返すように、前記排気管の一端を覆う蓋を備え、
    前記蓋が、前記排気管の一端の開口を臨む面を有する遮蔽板と、前記遮蔽板の周縁から下に伸びる側壁と、前記側壁の下に突出する脚部とからなるフルモールド鋳造装置。
  2. 前記蓋の内面に塗型が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のフルモールド鋳造装置。
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