JP5883519B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
潤滑油組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5883519B2 JP5883519B2 JP2015017014A JP2015017014A JP5883519B2 JP 5883519 B2 JP5883519 B2 JP 5883519B2 JP 2015017014 A JP2015017014 A JP 2015017014A JP 2015017014 A JP2015017014 A JP 2015017014A JP 5883519 B2 JP5883519 B2 JP 5883519B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- lubricating oil
- unsubstituted
- substituted
- oil composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
しかし、このジチオリン酸亜鉛は、分子中に金属分(亜鉛)とともに、リン分および硫黄分を多量に含んでいることから、ジチオリン酸亜鉛の分解物は硫酸やリン酸を発生する。そのため、ジチオリン酸亜鉛は、エンジン油中の塩基性化合物を消耗して潤滑油の劣化を促進し、更油期間を極端に短くすることがある(この現象は、いわゆる塩基価維持性が不十分であることを意味する)。また、ジチオリン酸亜鉛は高温条件でスラッジ化し、エンジン内部の清浄性を悪化することがあることも問題視されている。
このような状況から、ジチオリン酸亜鉛に替わる内燃機関用潤滑油に使用できる耐摩耗添加剤の出現が望まれている。
したがって、低金属分(すなわち、低硫酸灰分)、低リン分、さらには低硫黄分であっても内燃機関用潤滑油に要求される基本的な性能(耐摩耗性、清浄性、塩基価維持性など)を具備する内燃機関用潤滑油が切望されている。
すなわち、本発明は、
<1> 基油に、下記の一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物を配合してなる潤滑油組成物である。
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基及び置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1種であり、R2、R3は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基及び置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1種であり、またR2及びR3は結合して環構造または縮合環構造を形成していてもよい。)
本実施形態の潤滑油組成物は、基油に、前記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物を配合してなることを特徴とする。
本実施形態において用いる基油としては、特に制限はなく、従来、内燃機関用潤滑油の基油として使用されている鉱油や合成油の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
前記鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等のうちの1つ以上の処理を行って精製した鉱油、あるいはワックス、GTL WAXを異性化することによって製造される鉱油等が挙げられる。
本実施形態においては、基油として、前記鉱油は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記合成油を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。更には、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
100℃における動粘度が2mm2/s以上であると蒸発損失が少なく、また30mm2/s以下であると、粘性抵抗による動力損失が抑制され、燃費改善効果が得られる。
%CAが3.0以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基油は、良好な酸化安定性を有し、酸価の上昇やスラッジの生成を抑制しうる潤滑油組成物を提供することができる。より好ましい%CAは1.0以下、さらには0.5以下であり、またより好ましい硫黄分は30質量ppm以下である。
本実施形態の潤滑油組成物には、下記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物が配合される。該スルホンアミド化合物を潤滑油組成物の成分として用いることにより、リン分、硫黄分及び金属分を低減しても、耐摩耗性、高温清浄性及び塩基価維持性を高める効果を得ることができる。
上記置換基としては具体的には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、フッ素化アルキル基、フッ素化アリール基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、イミノ基、スルホン基、チオカルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホルミル基、チオホルミル基、シラノール基、ヒドロカルビルオキシ基、ニトリル基、ピリジル基、アミド基、イミド基、イミダゾリル基、アンモニウム基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ケチミン基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキシカルボニル基(エステル結合)、カルボニルチオ基(チオエステル結合)、オキシ基(エーテル結合)、グリシドキシ基、スルフィド基(チオエーテル結合)、ジスルフィド基、メルカプト基、ヒドロカルビルチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、イミン残基、ヒドロカルビルオキシシリル基、有機スズ基などが挙げられる。
また前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
また前記置換のアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)等や、さらには2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。
R2及びR3が共に水素原子であると、スルホンアミド化合物の極性が比較的大きくなると考えられ、基油への分散性あるいは溶解性が低下する等の好ましくない場合がある。
R2及びR3における置換基が、上記炭化水素基でなく炭素、水素以外の他の原子を含むと、構造上複雑となり、製造プロセス、製造コストの面で問題となるだけでなく、化合物自体の安定性も低下する場合がある。
前記炭化水素の炭素数は4〜18であることがより好ましい。
R2及びR3がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロアリール基のいずれかであると、スルホンアミド化合物の基油への分散性が向上するため好ましいが、これらが置換基を有する場合には、化合物の製造上不利であるだけでなく、全体として化合物が大きくなり、効果が低減する場合がある。
R1が置換基を有する場合には、化合物の製造上不利であるだけでなく、全体として化合物が大きくなり、効果が低減する場合がある。
またこの場合、前記無置換とする基としては、製造コストの観点から、アリール基、ヘテロアリール基とすることがより好ましい。
上記スルホンアミド化合物としては、ベンゼンスルホンアミド、2−メチルベンゼンスルホンアミド、4−メチルベンゼンスルホンアミド、2−クロロベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、2−ブロモベンゼンスルホンアミド、4−ブロモベンゼンスルホンアミド、2−ニトロベンゼンスルホンアミド、3−ニトロベンゼンスルホンアミド、4−ニトロベンゼンスルホンアミド、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、ナフタレンスルホンアミド、5−ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ベンゼンスルホンメチルアミド、ベンゼンスルホンエチルアミド、ベンゼンスルホンアニリド、ベンゼンスルホン−4−クロロアニリド、4−メチルベンゼンスルホンメチルアミド、4−メチルベンゼンスルホンエチルアミド、4−メチルベンゼンスルホンアニリド、4−メチルベンゼンスルホン−4−クロロアニリド、2−ニトロベンゼンスルホンメチルアミド、2−ニトロベンゼンスルホンエチルアミド、2−ニトロベンゼンスルホンアニリド、2−ニトロベンゼンスルホン−4−クロロアニリド、メタンスルホンアニリド、エタンスルホンアニリド、トリクロロメタンスルホンアニリド、トリフロロメタンスルホンアニリド、メタンスルホン−4−クロロアニリド、エタンスルホン−4−クロロアニリド、トリクロロメタンスルホン−4−クロロアニリド、トリフロロメタンスルホン−4−クロロアニリド、メタンスルホンナフタレンアミド、エタンスルホンナフタレンアミド、トリクロロメタンスルホンナフタレンアミド、トリフロロメタンスルホンナフタレンアミド、p−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−ブチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルホンアミド、2−アミノ−N−シクロヘキシル−N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−(4−アミノフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(3−アミノフェニル)メタンスルホンアミド、N,N−ジオクチルメタンスルホンアミド、N,N−ジオクチルエタンスルホンアミド、N,N−ジブテニルメタンスルホンアミドなどを挙げることができる。
一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物の配合量が0.01質量%未満であると、耐摩耗性、高温清浄性及び塩基価維持性などの性能が十分に発現されない場合があり、一方、配合量が5質量%を越えると、組成物中の硫黄含有量の増大に伴う自動車排出ガス浄化触媒の劣化を抑制することができない場合がある。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
これらの中で、特にビスフェノール系及びエステル基含有フェノール系のものが好適である。
これらの中で、ジアルキルジフェニルアミン系及びナフチルアミン系のものが好適である。
前記6価のモリブデン化合物と反応させるアミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、モノアミン、ジアミン、ポリアミン及びアルカノールアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。
また、特公平3−22438号公報及び特開2004−2866号公報に記載されているコハク酸イミドの硫黄含有モリブデン錯体等が例示できる。
酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で、通常0.1〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。
上記R6、R8及びR9の数平均分子量が500以上であれば、基油への溶解性が良好であり、4,000以下であれば清浄性が低下する恐れがない。
さらに一般式(3)において、sは好ましくは1〜4、より好ましくは2〜3である。sが上記範囲内であれば、清浄性及び基油に対する溶解性の点で好ましい。
また、好適なアルキル基の代表例は、ポリブテニル基又はポリイソブテニル基を水添したものである。
また、前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン等の単一ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;アミノエチルピペラジン等のピペラジン誘導体;などを挙げることができる。
アルケニル若しくはアルキルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体は、常法により製造したものを使用することができる。例えば、前記ポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させてアルケニルコハク酸無水物とした後、更に上記のポリアミンと酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、ホウ素酸のアンモニウム塩等のホウ素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化させることによって得られる。
このホウ素誘導体中のホウ素含有量には、特に制限はないが、ホウ素として、通常、0.05〜5質量%の範囲、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
配合量が0.5質量%未満の場合は、高温下における塩基価維持性に対する効果が少なく、一方、15質量%を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が大幅に悪化するため、それぞれ好ましくない。
これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)による全塩基価を意味する。
なお、ここでいう金属比とは、金属系清浄剤における金属元素の価数×金属元素含有量(モル%)/せっけん基含有量(モル%)で表され、金属元素とはカルシウム、マグネシウム等、せっけん基とは、スルホン酸基、フェノール基及びサリチル酸基等を意味する。
配合量が0.01質量%未満の場合、高温清浄性や酸化安定性、塩基価維持性などの性能が得られにくくなるため好ましくない。一方、20質量%以下であれば、通常その添加量に見合った効果が得られるが、当該金属系清浄剤の配合量の上限については、上記の範囲に関わらず、配合量を可能な限り低くすることが肝要である。それによって、潤滑油組成物の金属分、すなわち硫酸灰分を少なくして、自動車の排出ガス浄化装置の劣化を防止することができる。
また、金属系清浄剤は、上記の規定量を含有する限り、単独又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、前記金属系清浄剤の中では過塩基性カルシウムサリシレートまたは過塩基性カルシウムフェネートが、前記無灰系分散剤の中では前記ポリブテニルコハク酸ビスイミドが特に好ましい。なお、上記過塩基性カルシウムサリシレート及び過塩基性カルシウムフェネートの全塩基価は100〜500mgKOH/gの範囲であることが好ましく、200〜500mgKOH/gの範囲がより好ましい。
粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10質量%の範囲である。
流動点降下剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.1〜2質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%の範囲である。
金属不活性剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜3質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜1質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
前記摩擦低減剤としては、潤滑油用の摩擦低減剤として通常用いられている任意の化合物が使用可能であり、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪族エーテル等の無灰摩擦低減剤が挙げられる。
摩擦低減剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で0.01〜2質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
(1)硫酸灰分(JIS K2272)が、1.2質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下であること。かつ、
(2)リン含有量(JIS−5S−38−92)が、0.12質量%以下、より好ましくは0.10質量%以下、特に好ましくは0.09質量%以下であること。
さらに、上記に加えて以下を満たすことがより好ましい。
(3)硫黄含有量(JIS K2541)が、0.12質量%以下、より好ましくは0.10質量%以下、特に好ましく0.08質量%以下であること。
このような性状を満たす本実施形態の潤滑油組成物は、自動車エンジンの酸化触媒、三元触媒、NOx吸蔵型還元触媒、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)等の劣化を抑制できる。また、本実施形態の潤滑油組成物は、このような性状であっても、耐摩耗性、高温清浄性、塩基価維持性などの内燃機関用潤滑油に要求される基本的性能を高めることができる。
<性状、性能の測定方法>
以下の実施例、比較例における潤滑油組成物の性状及び性能は、次の方法によって求めた。
(1)動粘度
JIS K 2283に準拠して測定した。
(2)カルシウム、及びリンの含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(3)亜鉛の含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(4)硫黄含有量
JIS K 2541に準拠して測定した。
(5)硫酸灰分
JIS K 2272に準拠して測定した。
(6)銅溶出量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(7)塩基価
JIS K 2501に準拠して測定した。
往復動摩擦試験機にて、試験板として硬度(HRC)が61、表面の十点平均粗さ(Rz)が0.004μmで、大きさが3.9mm×38mm×58mmのSUJ−2製板、試験球として直径が10mmのSUJ−2製ボールを用い、下記の試験条件で摩耗試験を行った。摩耗試験後、試験球の摩耗痕径を測定した。摩耗試験後の試験球の摩耗痕径が小さいほど、耐摩耗性が優れていることを示す。
−試験条件−
・試験温度:100℃
・荷重:200N
・振幅15mm
・振動数:10Hz
・試験時間:30分
試験温度は300℃に設定し、その他の条件については、JPI−5S−55−99に準拠して測定した。試験後の評点はJPI−5S−55−99に準拠してテストチューブに付着したラッカーを0点(黒色)〜10点(無色)の11段階にて評価した。なお、数字が大きいほど堆積物が少なく高温清浄性が良好であることを示す。
JIS K2514−1996に準拠して内燃機関用潤滑油酸化安定度試験(Indiana Stirring Oxidation Test)を、下記の試験条件で実施した。
−試験条件−
・試験温度:165.5℃
・回転数:1300rpm
・試験時間:96時間
・触媒:銅板及び鉄板
上記試験後、油の塩基価、銅量(銅溶出量)を測定した。塩基価残存率は以下の式で算出した。なお、塩基価残存率が大きいほどロングドレン性に優れており、更油交換期間が長いことを示す。また、銅溶出量は多いほど、銅含有金属への影響が大きく、金属が腐食し易いことを表す。
塩基価残存率(%)=(試験後の潤滑油組成物の塩基価/試験前の潤滑油組成物の塩基価)×100
第1表に示した基油及び添加剤を第1表に示す割合で配合して、内燃機関用潤滑油組成物を調製し、その組成物の性状・組成及び性能を第1表に示す。
*1:水素化精製基油(40℃動粘度=21mm2/s、100℃動粘度=4.5mm2/s、粘度指数=127、%CA=0、硫黄分20質量ppm未満、NOACK試験蒸発量=13.3質量%)
*2:ポリメタクリレート(重量平均分子量=420000、樹脂量39質量%)
*3:ポリアルキルメタクリレート(重量平均分子量=6000)
*4:過塩基性カルシウムサリシレート(塩基価(過塩素酸法)=225mgKOH/g、Ca含有量=7.8質量%、硫黄含有量=0.3質量%
*5:ポリブテニルコハク酸ビスイミド(ポリブテニル基の平均分子量=2000、窒素含有量=0.99質量%)
*6:n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート
*7:ジアルキルジフェニルアミン(窒素含有量=4.62質量%)
*8:亜鉛含有量=9.0質量%、リン含有量=8.2質量%、硫黄含有量=17.1質量%、アルキル基:第2級ブチル基及び第2級ヘキシル基の混合物
*9:N−ブチルベンゼンスルホンアミド(大八化学社製、商品名「BM−4」)
*10:シリコーン系消泡剤
これに対して、実施例のスルホンアミド化合物Aに替えてジアルキルジチオリン酸亜鉛を用い、かつ金属系清浄剤の配合量を変更して調製した比較例1の潤滑油組成物は、実施例1の内燃機関用潤滑油組成物に比べて、耐摩耗性は同等であるが、高温清浄性(ホットチューブ試験の評点)及び塩基価残存率が著しく劣っている。また、比較例1の潤滑油組成物は、実施例の組成物と比較して、硫黄分含有量も高いことがわかる。
したがって、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなど、内燃機関用潤滑油組成物として広くかつ有効に利用することができる。
Claims (13)
- 基油に、下記の一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物と、金属系清浄剤とを配合してなる潤滑油組成物。
(式中、R1 は置換のアリール基であり、R2、R3は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基及び置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1種であり、またR2及びR3は結合して環構造または縮合環構造を形成していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(但し、アルキル基を置換する場合を除く)、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基(但し、アリール基を置換する場合を除く)、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、スルホン基、チオカルボキシル基、ホルミル基、チオホルミル基、シラノール基、ニトリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ジアゾ基、グリシドキシ基、メルカプト基のいずれか1種以上である。) - 前記一般式(1)におけるR2及びR3の少なくともいずれかが、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基及び置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1種である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 前記一般式(1)におけるR2及びR3の少なくともいずれかが置換基を有する場合、該置換基が、それぞれ独立に炭素数が1〜20の炭化水素基である請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
- 前記一般式(1)におけるR2及びR3の少なくともいずれかが、無置換のアルキル基、無置換のシクロアルキル基、無置換のアルケニル基、無置換のアルキニル基、無置換のアリール基及び無置換のヘテロアリール基から選択される1種である請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
- 前記一般式(1)におけるR 2 及びR 3 のいずれか一方が水素原子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 前記一般式(1)におけるR 1 、R 2 及びR 3 の少なくともいずれかが芳香族基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- リン含有量が組成物基準で0.12質量%以下であり、かつ硫酸灰分が1.2質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 前記基油の%C A が3.0以下で、硫黄分が50質量ppm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 前記スルホンアミド化合物の配合量が組成物基準で0.01質量%以上5質量%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 酸化防止剤、無灰分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、金属不活性化剤、防錆剤、及び消泡剤の中から選ばれる一種の添加剤を配合する請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 前記酸化防止剤は、リンを含有しない請求項10に記載の潤滑油組成物。
- 硫黄含有量が組成物基準で0.12質量%以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 内燃機関用潤滑油組成物である請求項1〜12のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015017014A JP5883519B2 (ja) | 2015-01-30 | 2015-01-30 | 潤滑油組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015017014A JP5883519B2 (ja) | 2015-01-30 | 2015-01-30 | 潤滑油組成物 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009145650A Division JP5785682B2 (ja) | 2009-06-18 | 2009-06-18 | 潤滑油組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015078389A JP2015078389A (ja) | 2015-04-23 |
JP5883519B2 true JP5883519B2 (ja) | 2016-03-15 |
Family
ID=53010064
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015017014A Expired - Fee Related JP5883519B2 (ja) | 2015-01-30 | 2015-01-30 | 潤滑油組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5883519B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2236168A (en) * | 1940-02-27 | 1941-03-25 | Du Pont | Lubricant |
GB1039234A (en) * | 1963-11-12 | 1966-08-17 | Exxon Research Engineering Co | Lubricating oil additives |
GB8904203D0 (en) * | 1989-02-23 | 1989-04-05 | Exxon Chemical Patents Inc | Hydrocarbon oil compositions and additives for use therein |
JP3567957B2 (ja) * | 1996-12-03 | 2004-09-22 | 日本精工株式会社 | グリース組成物及び転がり軸受 |
JP4999266B2 (ja) * | 2004-10-19 | 2012-08-15 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 酸化防止剤及びそれを含有する潤滑油組成物 |
-
2015
- 2015-01-30 JP JP2015017014A patent/JP5883519B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015078389A (ja) | 2015-04-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5785682B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
US8349775B2 (en) | Lubricant composition | |
JP2011190331A (ja) | 潤滑油組成物 | |
JP4597223B2 (ja) | 内燃機関用潤滑油組成物 | |
US8338342B2 (en) | Lubricant composition | |
JP6507455B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2006043606A1 (ja) | 潤滑油組成物及び酸化防止剤組成物 | |
JP2002012884A (ja) | エンジン油組成物 | |
WO2011125880A1 (ja) | 内燃機関用潤滑油組成物 | |
JP2011063654A (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2014189057A1 (ja) | 潤滑油組成物 | |
US20130030226A1 (en) | Lubricant composition for an internal combustion engine | |
TW200904966A (en) | Lubricating oil composition for internal combustion engine | |
JP5883519B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2013141077A1 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
EP2554641A1 (en) | Lubricant composition for an internal combustion engine | |
JP5714529B2 (ja) | 内燃機関用潤滑油組成物 | |
JP4334986B2 (ja) | エンジン油組成物 | |
JP5784183B2 (ja) | 潤滑油組成物 | |
JP2008169352A (ja) | コーティング剤 | |
JP6247820B2 (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 | |
WO2024058124A1 (ja) | 潤滑油添加剤組成物、および潤滑油組成物 | |
WO2024058119A1 (ja) | 潤滑油組成物 | |
WO2022075088A1 (ja) | 潤滑油組成物 | |
JP2013224405A (ja) | アルミ合金製エンジン用潤滑油組成物及び潤滑方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150224 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150224 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20151026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151104 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160119 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5883519 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |