JP5881067B2 - 電力ケーブルの接続方法 - Google Patents
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Description
特に、電力ケーブルにアルミニウム導体を用いた場合には、アルミニウム導体が銅導体と比べて酸化し易いため、また、クリープし易いため、接続長をより長くしなければならない。
即ち、酸化によりアルミニウム導体の表面に形成される酸化被膜で接触抵抗が増大するため、接続長をより長くしなければならない。
また、スリーブと導体とを強く圧接すると接続抵抗を下げることができるが、単位面積当たりの接触圧が高すぎると、後に導体がクリープを起こし接触圧が低下し、これに伴いスリーブと導体との接触抵抗が増大してしまう。アルミニウムはクリープし易く(低い圧力でもクリープを生じる)、単位面積当たりの接触圧を高くすることができないので、接続長を長くする必要が生じる。
これらのことから、アルミニウム導体の電力ケーブルに、従来の引き抜き抵抗を大きくする圧縮接続方法を用いると、接続長がより長くなってしまう。
接続長が長くなると、当該接続箇所(導体接続部)の外側に装着する絶縁体、保護管等の他部品も長くする必要が生じ、電力ケーブル接続部全体のコストアップにつながってしまう。
図1は、本発明の実施形態に係る電力ケーブル接続部を示した図である。
図1に示す電力ケーブル接続部10は、一対の電力ケーブル11を、スリーブ(導体接続管)21を介して接続した構造である。このスリーブ21には、一対の電力ケーブル11の導体12が両端から各々挿入され、このスリーブ21が径方向外側から圧縮されることによって導体12同士が機械的および電気的に接続される。
この電力ケーブル接続部10は、地中送電線用の電力ケーブルの中間接続部に適用され、この電力ケーブル接続部10の周囲には、周辺の電界分布を制御する補強絶縁層や遮蔽層および遮水層、更にこれらを保護する保護管などの周囲部品が配置される。このため、電力ケーブル接続部10が軸方向に長くなると、周囲部品も長くなってしまう構造となっている。
各電力ケーブル11端部は、前記被覆を剥ぎ取って導体12を露出させる端末処理が行われ、露出した各導体12がスリーブ21の両端から各々挿入される。なお、スリーブ21内には導体12だけが挿入される。
なお、図1では、圧縮行程後のスリーブ21を示しているため、スリーブ21の内径および外径が一定ではない。また、図1に示すように、圧縮によって内径および外径を縮径させるため、図1の形状に圧縮可能な範囲で、スリープ21の圧縮前の形状は、内径および外径が一定の円筒形状に限らず、他の筒形状であっても良い。
図2(A)は、第1圧縮行程直前の電力ケーブル11の導体12の接続部を示した図であり、図2(B)は、図2(A)をケーブル軸線(電力ケーブル11の長手方向に一致)に直交する面から見た断面図である。
図2(A)(B)に示すように、電力ケーブル11は、導体12が真円断面を有し、スリーブ21は、この導体12が挿入可能な貫通孔25を有している。
図2(A)に示すように、電力ケーブル11の各導体12は、スリーブ21の軸線方向中央部21A内で略突き当たるまで挿入された後、スリーブ21を一対のダイス31、32によって一定の圧縮率で角形状に圧縮することによって、各導体12とスリーブ21とがスリーブ全長に亘って圧縮接続される。
図3(A)および図3(B)に示すように、第1圧縮行程では、金属製のスリーブ21の全体を同断面に圧縮するため、スリーブ21の軸線方向で圧縮率が一定である。このように第1圧縮行程で、スリーブ21の全体を圧縮変形させて元の径よりも縮径させ、スリーブ21の内周面全体を導体12の外周面に略均等に接触させる。言い換えれば、第1圧縮行程では、スリーブ21の内周面全体が導体12の外周面に略均等に接触するように圧縮される。
また、本構成では、図3(A)に示すように、金属製のスリーブ21と電力ケーブル11の導体12との両方を元の径よりも縮径させることによって、スリーブ21と導体12とを広く接触させる。このように、接触面積を広く確保して電気伝導パスを確保し易くできる。
なお、第1圧縮行程では、スリーブ21と導体12との両方を元の径よりも縮径させて密着させる場合を説明したが、これに限らず、スリーブ21と導体12とが密着するように圧縮させれば良く、導体12の縮径は必須ではない。
図4は、第2圧縮行程直前の図である。
図4(A)に示すように、第2圧縮行程では、スリーブ21に対し、第1圧縮行程で圧縮された軸線方向中央部21Aを避けた軸線方向側部21Bを、第1圧縮行程での一定の圧縮率よりも高い圧縮率を持って、ダイス35、36で圧縮する。なお、この場合における高い圧縮率は、第1圧縮行程で圧縮する前のスリーブ21の径を基準として規定される。ダイス35、36の組は2組準備されており、軸線方向中央部21Aの両側に夫々1組ずつ配置されている。
また、2組のダイス35、35、ダイス36、36は一体に構成しても良いし、別体に構成しても良い。また、一組のダイス35、36を移動させて、両側の軸線方向側部21Bを別々に圧縮するように構成しても良い。
図5(A)および図5(B)に示すように、第2圧縮行程では、金属製のスリーブ21の軸線方向側部21Bを各々圧縮するため、スリーブ21の内周面の一部を更に圧縮変形させて縮径させる。この縮径によって、軸線方向側部21Bの内周面と軸線方向中央部21Aの内周面との間の境界部に、導体12の中央部側が両端部側よりも高くなる(外周側に張り出す)段差24が形成される。
なお、この境界部は、軸線方向側部21Bと軸線方向中央部21Aとに対応する導体12の外周面の境界部とも言うことができ、この導体12の外周面に段差24を形成することと同義である。
この場合、上記段差24によって、軸線方向中央部21Aでは導体12がスリーブ21に食い込み、軸線方向側部21Bではスリーブ21が導体12に食い込む形態となっている。軸線方向中央部21Aでは、導体12の中央部側が両端部側よりも外周側に張り出す段差24が形成されているため、この段差24のテーパ面にくさび効果を発生する。このくさび効果により、電力ケーブル11の導体12が、スリーブ21から抜け難くなり、引き抜き抵抗を向上させることができる。
以上により、一対の電力ケーブル11を、スリーブ21を介して接続した電力ケーブル接続部10が構成される。
このように接触面積を広く確保したので、電気伝導パスを確保することができるとともに、アルミニウム導体12とスリーブ21との単位面積当たり接触圧を低くしても、全体として強い圧接状態を達成でき、両者間の接続抵抗を下げることができる。
しかも、圧縮以外の特別な方法や構造が不要なため、電力ケーブル11の接続方法は簡易であり、電力ケーブル接続部10の構造の複雑化も回避することができる。
このように、電力ケーブル11の接続長を短縮化することができるため、スリーブ21を短縮化することができ、電力ケーブル接続部10の周辺部品も短縮化することが可能である。これによって、電力ケーブル接続部10およびその周辺構造の小型化が容易である。
また、この第1および第2圧縮行程によれば、軸線方向側部21Bについては二回に分けて圧縮されることになり、一回で圧縮するよりも圧縮量を大きく確保し易く、かつ、圧縮も容易である。
さらに、軸線方向中央部21Aの圧縮により、一対の電力ケーブル11の導体12の各先端とスリーブ21とをまとめて接触させることができ、導体12の各先端とスリーブ21とを別々に圧縮することが不要である。また、軸線方向中央部21Aよりも大きく圧縮させる軸線方向側部21Bについては、第1圧縮行程よりも圧縮面積が狭くなり、小型の圧縮機を利用可能である。
例えば、上記実施形態とは逆に、スリーブ21の軸線方向側部21Bよりもスリーブ21の軸線方向中央部21Aを圧縮させる構成にしても良い。この場合でも、スリーブ21と導体12との接触面積を広く確保できる。
また、上述の実施形態では、圧縮行程を第1圧縮工程と第2圧縮工程とに分けて行う場合を説明したが、これに限らず、1回の圧縮行程又は3回以上の圧縮行程で行うようにしても良い。要は、スリーブ21の軸線方向中央部21Aと軸線方向側部21Bとを、各部位21A、21Bの内周面が導体12に接触し、かつ、圧縮後に各部位21A、21Bの内周面の境界部に段差24が形成されるように圧縮する範囲で、任意に圧縮を行えば良い。
また、上述の実施形態では、地中ケーブル用の電力ケーブル11を接続する電力ケーブル接続部10に本発明を適用する場合を説明したが、地中ケーブル以外の電力ケーブルを接続する電力ケーブル接続部に本発明を適用しても良い。
11 電力ケーブル
12 導体
21 スリーブ(導体接続管)
21A 軸線方向中央部
21B 軸線方向側部
22A 第1圧縮部
22B 第2圧縮部
Claims (3)
- 電力ケーブルの端部に露出する導体を、円筒部材からなる導体接続管の両端から挿入し、前記導体接続管を圧縮してケーブル同士を接続させる電力ケーブルの接続方法において、
両端から前記導体が挿入された前記導体接続管を略全長に亘って一定の圧縮率で圧縮して前記導体接続管の内周面全体を前記導体の外周面に接触させる第1圧縮工程と、
前記導体接続管の長手方向中央部に対して前記導体接続管の軸線方向に離れた両側部位を更に圧縮して、前記導体のそれぞれに、前記導体接続管に食い込むテーパ面の段差を互いに離間させて形成する第2圧縮工程とを備えたことを特徴とする電力ケーブルの接続方法。 - 前記第1圧縮行程では、前記導体接続管の外形状を角形状に圧縮し、
前記第2圧縮行程では、前記導体接続管の外形状を円弧形状に圧縮することを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブルの接続方法。 - 前記電力ケーブルの導体がアルミニウム導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力ケーブルの接続方法。
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