JP5880958B2 - 温風暖房装置 - Google Patents
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Description
そのため、温風暖房装置では、常時、火炎の状態を監視し、火炎に異常が認められた場合には燃料供給路に設けられた電磁弁を閉止し、燃焼を強制的に停止させる。
そして例えば摂氏800度を閾値とし、熱電対の検知温度がこの閾値を下回った場合には、バーナの立ち消えまたは燃焼状態が異常であると見なす。この機能は、当業者の間では立ち消え検知と総称されている。
また従来技術においては、立ち消え検知に利用される閾値は、一つであり、どの様な環境で燃焼されていたとしても、熱電対の検知温度が例えば摂氏800度を下回ると立ち消え検知がなされ、熱電対の検知温度が摂氏800度以上であるならば、立ち消えとは見なされない。
立ち消え検知がなされた場合には、燃料の供給を遮断して燃焼を停止させる(当業者の間では安全動作と称されている)。
(1)給気量不足
例えば、温風暖房装置の吸気口にふとん等が被さった場合や、送風機が異常をきたした場合に発生する現象である。また吸気口に設けられたフィルターが目詰りした場合にも発生する。
給気量不足に陥ると、燃焼に必要な空気が不足し、火炎が不安定となり、極端に給気量不足が進行すると立ち消えに至る。
(2)低酸素
例えば、室内を締め切った状態で、長時間、温風暖房機を使用し続けた場合に発生する現象である。この場合、室内の二酸化炭素量が増大し、室内の酸素濃度が低下することとなり、燃焼に必要な酸素が不足し、火炎が不安定となり、極端に低酸素状態が進行すると立ち消えに至る。
(3)インプット低下
例えばガスを燃料とする温風暖房機であれば、誤って、ガスホースを踏んでしまった様な場合に発生する。また燃料供給量調整手段(例えば比例弁)等の、燃料を供給する経路の機器に異常が発生した場合にも発生することがある。
インプット低下が起きると、火炎が極端に小さくなり、送風機の風によって火炎が吹き消されてしまう。
立ち消えに至る原因は、大きく前記した3種に分類分けされるが、これらの場合の緊急性や、火炎の温度の低下パターンは異なる。
例えば、「インプット低下」による場合は、立ち消えする蓋然性が高いので、火炎の温度は、急激に低下し、閾値を遙に下回る状態となる。
一方、「給気量不足」や「低酸素」状態の場合は、完全に立ち消えしてしまうことはむしろ稀であり、火炎の温度低下は小さい。また温度低下の速度も遅い。
また「低酸素」による立ち消えが起きるのは、室内の二酸化炭素量が相当に増えた場合であり、空気が汚れた状態であると言え、立ち消えに至るまで放置することは好ましくない。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題に注目し、原因に応じた適切な立ち消え検知を行うことができる温風暖房装置を開発することを課題とするものである。
ここで過熱防止サーミスタとは、温風暖房装置の異常高温を検知するものであり、安全装置の一つである。過熱防止サーミスタの本来の機能は、燃焼ケース等の温度を監視し、燃焼ケースが異常な高温となった場合(以下、高温異常と称する)には、安全機能を働かせて燃焼を停止させる。
実験に使用した温風暖房装置は、燃焼ケース内にバーナが設置されたものであり、バーナは、天地方向上向きに火炎を発生させる。
また過熱防止サーミスタは、燃焼ケースの外側であって、天井部分に取り付けられている。
そして「給気量不足」の状態が発生すると、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも高くなる。即ち「給気量不足」の場合には、立ち消えに至る前に、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも高くなる。ただし「給気量不足」の場合の過熱防止サーミスタの検知温度は、前記した「高温異常」には至らない。
これに対して「低酸素」の場合は、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも幾分高くなるものの、前記した「給気量不足」の場合ほどには上昇しない。
一方、「インプット低下」の状態が発生すると、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも低くなる。即ち「インプット低下」の場合には、立ち消えに至る前に、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも低くなる。
即ち「給気量不足」であっても、燃料ガスの供給量には変化がないから、バーナの発生する熱量自体は変化がない。しかしながら、「給気量不足」の状態が発生すると、火炎の長さが通常よりも伸びて火炎の末端が燃焼ケース内の天面に近づく。そのため燃焼ケースの上部が火炎に炙られることとなる。
一方、「給気量不足」が生じると、燃焼ガスに混合される空気の量が少なくなるから、燃焼ケースを冷却する能力が低下する。
そのため伸びた火炎によって過熱防止サーミスタの近傍が加熱され、且つ燃焼ケースを冷却する冷却空気の量が減少するから、「給気量不足」が生じると、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも高くなる。
しかしながら、「低酸素」であっても、燃焼ガスに混合される空気の量は変わらないから、燃焼ケースを冷却する能力は維持される。
そのため伸びた火炎によって過熱防止サーミスタの近傍が加熱されるものの、燃焼ケースを冷却する冷却空気の量は維持されるから、「低酸素」が生じた場合は、過熱防止サーミスタの検知温度が通常よりも幾分高くなるものの、「給気量不足」の場合よりも上昇量は小さい。
本発明の温風暖房装置では、ケース温度検知手段によって、火炎が不安定になった原因を判別することができるので、原因に応じた適切な閾値で立ち消え検知を行うことができ、安全動作に繋げることができる。
そのため適切な安全動作を行うことができる。
そして燃焼ケース3の燃焼部36には、図4で示されるように、バーナ17、熱電対18、点火プラグ19等によって構成される燃焼用機構が内蔵されている。そして、このバーナ17には燃料ガス供給路30及びガスノズル31から燃料ガスを供給可能となっている。
なお燃料ガス供給路30には、電磁弁(燃料供給停止手段)33が設けられている。
さらに、この燃焼ケース3の下端近傍には送風機4が内蔵されている。即ち、燃焼ケース3の下部はファンケースを構成するものであり、燃焼ケース3はファンケース一体型の燃焼ケースとなっている。
具体的には、制御装置5は、温風暖房装置1の各種温度センサ(サーミスタ)、熱電対18等からの信号を取得可能であり、バーナ17の炎の有無や火炎の温度、バーナ17の燃焼量、筺体2の内部の温度、温風暖房装置1が設置されている部屋の室温等を取得可能となっている。そして、取得した情報に基づいた温風暖房装置1の各部の制御が可能となっている。
また制御装置5は、バーナ17と、バーナ17に燃料ガスを供給するガス供給路に設けられた電磁弁(燃料供給停止手段)33や比例弁等の各種制御弁(図示せず)と、点火プラグ19とに接続されている。そのことにより、バーナ17に対して燃焼開始動作、燃焼停止動作、安全動作、燃焼量を増減させる動作等を行うことができる。
さらに、制御装置5は図示しない記憶手段(メモリー)を有し、後記する3種類の閾値を記憶している。
過熱防止用サーミスタ7は、燃焼ケース3の温度を検知することができる。また過熱防止用サーミスタ7は、バーナ17に対して天地方向上方に設けられているから、燃焼ケース3の温度であって、バーナ17の上部側の温度を検知することができる。
熱電対18の感熱部は、正常な状態における火炎40の内炎42部分に相当する位置に配置されており、火炎40の平均的な温度を測定している。
即ち公知の様に、火炎40は、外炎部分41の温度が最も高く、内炎部分42は幾分温度が低い。本実施形態では、図4に示す様に、火炎40が正常である場合には、内炎42に熱電対18の感熱部がある。
本実施形態の温風暖房装置1は、載置された室内温度を昇温、維持する暖房運転状態を行う。即ち、バーナ17で燃料ガスを燃焼し、発生した燃焼ガスと空気とを撹拌して生成される温風を送風機4によって吹き出す運転(以下燃焼運転と称す)を実施することによって、室内を設定された温度まで昇温させることができる。
そして空気迂回部37を流れた空気は、バーナ17から発生する燃焼ガスと撹拌されて温風となる。即ち燃焼部36を通過する高温の空気に、空気迂回部37を流れた空気が混合されて適温の温風となる。そして温風となった空気が燃焼ケース3の下方へと流動し、ケース側排気口22から燃焼ケース3の外部へ吹き出され、筺体側排気口10から筺体2の外部へ吹き出される。
そして熱電対18が検知する温度が、所定の閾値以下となった場合には、電磁弁(燃料供給停止手段)33を閉止してバーナ17に対する燃料供給を停止する。即ち安全動作を実行する。
なお本実施形態では、熱電対18の感熱部は、正常な状態における火炎40の平均的な温度の部位に配置されているから、燃焼状態が不安定になると、熱電対18の検知温度は低下傾向となる。
三種類の閾値は、閾値SCT、閾値UCT、閾値DCTである。
そして本実施形態では、閾値SCTの具体的数値は、「低酸素」状態を想定した閾値である。
例えば、空気中の酸素濃度が、18.5パーセント未満となった場合における熱電対18の検知温度(実際には発生電圧 BmV)が閾値SCTとして採用されている。
例えば、筺体側吸気口11にガーゼを10枚重ねた場合における熱電対18の検知温度(実際には発生電圧 AmV)が閾値UCTとして採用されている。
例えば、燃料ガスの供給量が、正常時に比べて30パーセント低下した場合における熱電対18の検知温度(実際には発生電圧 CmV)が閾値DCTとして採用されている。
即ち本実施形態では、過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、基準温度を含む一定範囲に納まった基準状態の場合には閾値SCT(「低酸素」用)が選択され、前記一定の範囲を上方に外れている上方逸脱状態の場合には閾値UCT(「給気量不足」用)が選択される。また基準状態の範囲を下方に外れている下方逸脱状態の場合には閾値DCT(「インプット低下」用)が選択される。
その結果、図5の様に火炎40の長さが伸び、火炎40の末端が燃焼ケース3の上部側に近づき、燃焼部36の天井部45を炙る。
一方、「給気量不足」が生じると、燃焼ケース3の空気迂回部37に導入される空気(矢印A)が減少し、燃焼ケース3の外郭を冷却する能力が低下する。
そのため伸びた火炎40によって過熱防止サーミスタ7の近傍が加熱され、且つ燃焼ケース3を冷却する冷却空気の量が減少するから、「給気量不足」が生じると、過熱防止サーミスタ7の検知温度が通常よりも高くなる。
本実施形態では、過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、基準状態から上方に外れた上方逸脱状態となっている場合には、閾値UCT(「給気量不足」用)が選択される。
「給気量不足」となると、前記した様に火炎40の長さが伸びる。その結果、熱電対18の感熱部が、火炎40の根元側にずれ、熱電対18の検知温度は低下する。
即ち前記した様に、熱電対18は、火炎40が正常である場合には、火炎40の内炎42の温度を検知するが、火炎40の長さが伸びると、内炎42が広がる。そのため熱電対18は、火炎40の根元部分の温度を検知することとなり、検知温度が低下する。
前記した様に、「低酸素」の場合についても、燃料ガスの供給量には変化がないから、バーナ17の発生する熱量自体は変化がない。しかしながら、「低酸素」の状態が発生すると、火炎40の長さが通常よりも伸びて火炎40の末端が燃焼ケース3内の天面に近づき、燃焼部36の天井部45を炙る。
しかしながら、「低酸素」であっても、燃焼ケース3の空気迂回部37に導入される空気(矢印A)量は変わらず、燃焼ケース3の外郭を冷却する能力は維持されている。
そのため伸びた火炎40によって過熱防止サーミスタ7の近傍が加熱されるものの、燃焼ケース3を冷却する冷却空気の量は維持されるから、「低酸素」が生じた場合は、過熱防止サーミスタ7の検知温度が通常よりも幾分高くなるものの、「給気量不足」の場合よりも上昇量は小さい。
従って過熱防止用サーミスタ7の検知温度は、基準状態を維持している。
本実施形態では、過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、基準状態を維持している場合には、閾値SCT(「低酸素」用)が選択される。
「低酸素」状態になると、前記した様に火炎40の長さが伸びる。その結果、熱電対18の感熱部が、火炎40の根元側にずれ、熱電対18の検知温度は低下する。
この場合には、火炎40自体が小さくなり、燃焼ケース3の温度が通常よりも低下し、過熱防止サーミスタ7の検知温度が通常よりも低くなる。
本実施形態では、過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、基準状態から下方に外れた下方逸脱状態となっている場合には、閾値DCT(「インプット低下」用)が選択される。
「インプット低下」状態となると、前記した様に火炎40が小さくなり、熱電対18の感熱部が、火炎40を外れる。そのため熱電対18の検知温度は低下する。
本実施形態によると、温風暖房装置1のバーナ17に点火されて、一定時間が経過してから、過熱防止用サーミスタ7の検知温度の監視及び火炎40の監視が行われる(ステップ1)。この時間は、火炎40が安定するのを待つために設定した時間であり、20秒から60秒程度である。なお、バーナ17に点火されたか否かを熱電対18の検知温度で判断してもよい。もちろん、公知のフレームロッド等により、バーナ17に点火されたか否かを判断してもよい。
一定時間が経過すると、ステップ2,3に進み、現在の過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、基準状態であるのか、上方逸脱状態にあるのか、下方逸脱状態にあるのかが判定される。
そして現在の過熱防止用サーミスタ7の検知温度が、上方逸脱状態にあるならば、ステップ2からステップ6に移行し、熱電対18が検知する火炎の温度が、閾値UCT(「給気量不足」用)以下であるか否かが判断される。
ここで熱電対18が検知する火炎の温度が、閾値UCT(「給気量不足」用)以下であるならば、火炎の状態が不安定であり、立ち消えの懸念があるから、ステップ8に移行し安全動作を実行する。より具体的には、電磁弁33を閉じてバーナ17に供給するガスを停止する。
ここで熱電対18が検知する火炎の温度が、閾値SCT(「低酸素」用)以下であるならば、火炎の状態が不安定であり、立ち消えの懸念があるから、ステップ8に移行し安全動作を実行する。
なお、ステップ5の動作は、過熱防止用サーミスタ7の本来の動作であると言える。
UCT<DCT<SCT
なお熱電対18の出力電力についても、同様の順番となる。
また以上説明した実施形態は、ガスを燃料とするものであるが、灯油を燃料とする温風暖房装置にも本発明を適用することができる。
3 燃焼ケース
4 送風機
5 制御装置
7 過熱防止用サーミスタ(ケース温度検知手段)
17 バーナ
18 熱電対(火炎状態検知手段)
33 電磁弁(燃焼供給停止手段)
Claims (8)
- 燃焼用のバーナが内蔵された燃焼ケースと、バーナに対する燃料供給を停止する燃料供給停止手段と、送風機と、火炎または火炎近傍の温度を検知する火炎状態検知手段とを有し、前記火炎状態検知手段の検知温度が一定の閾値以下となった場合に、燃料供給停止手段によってバーナに対する燃料供給を停止する安全機能を備えた温風暖房装置において、燃焼ケース又は燃焼ケース内の温度を検知するケース温度検知手段を有し、前記ケース温度検知手段の検知温度に応じて前記閾値が変更されることを特徴とする温風暖房装置。
- ケース温度検知手段は、バーナに対して天地方向上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段は、燃焼ケースの外側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段の検知温度が所定の温度以上となった場合についても、バーナに対する燃料供給が停止されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段の検知温度が、基準温度を含む一定範囲に納まった基準状態の場合における閾値SCTと、前記一定の範囲を上方に外れている上方逸脱状態の場合における閾値UCTとが相違することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段の検知温度が、基準温度を含む一定範囲に納まった基準状態の場合における閾値SCTと、前記一定の範囲を下方に外れている下方逸脱状態の場合における閾値DCTとが相違することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段の検知温度が、基準温度を含む一定範囲を上方に外れている上方逸脱状態の場合における閾値UCTと、前記一定の範囲を下方に外れている下方逸脱状態の場合における閾値DCTとが相違することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の温風暖房装置。
- ケース温度検知手段の検知温度が、基準温度を含む一定範囲に納まった基準状態の場合における閾値SCTと、前記一定の範囲を上方に外れている上方逸脱状態の場合における閾値UCTと、前記一定の範囲を下方に外れている下方逸脱状態の場合における閾値DCTとが相違し、閾値SCT、閾値UCT及び閾値DCTが次の関係にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温風暖房装置。
UCT<DCT<SCT
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