JP5880321B2 - 高強度鋼成形部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度鋼成形部材の製造方法に関し、具体的には、高度の抵抗溶接性と良好な塗装密着性とを兼ね備える高強度鋼成形部材の製造方法に関する。
近年、亜鉛系めっき鋼板からなる成形素材を熱間プレス成形して高強度鋼成形部材(熱間プレス成形品)を製造する技術の実用化が推進されている。
この高強度鋼成形部材は、例えばスポット溶接といった抵抗溶接により接合されて製品に組み立てられることが多く、高強度鋼成形部材のユーザーには、得られた高強度鋼成形部材の抵抗溶接性を現在よりも改善したいという要望がある。
特許文献1には、高強度鋼成形部材の抵抗溶接性の向上を意図するものではないが、鉄−亜鉛固溶相を含む1〜50μmの厚みの亜鉛系めっき層を表面に有するとともにこの亜鉛系めっき層の上に存在する酸化亜鉛層の平均厚みが2μm以下であることにより、高強度で塗装後耐食性や塗装密着性に優れる熱間プレス成形品が開示されている。
国際公開第2004/094684号パンフレット
しかし、特許文献1を含め、これまでは熱間プレス成形品の抵抗溶接性を高めるための検討は殆ど行われてこなかった。一方で、ユーザーからは以前にも増して高度の性能が要求され、その一つとして高度の抵抗溶接性と良好な塗装密着性とを兼ね備える高強度鋼成形部材が求められるようになった。
本発明の目的は、高度の抵抗溶接性と良好な塗装密着性とを兼ね備える高強度鋼成形部材の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(i)熱間プレス成形品の抵抗溶接性にはその表面の導電性の影響が大きいこと、(ii)熱間プレス成形品の表面をショットブラスト処理等により研掃すると、熱間プレス成形品の抵抗溶接性が改善されること、さらには、(iv)熱間プレス成形品の研掃条件によっては熱間プレス成形品の塗装密着性が劣化することを知見した。本発明は、これらの知見(i)〜(iv)に基づくものである。
本発明は、亜鉛系めっき鋼板を焼入れ可能温度以上の温度範囲に加熱する加熱工程と、前記加熱された亜鉛系めっき鋼板を、焼入れ可能温度以上の温度範囲でプレス成形を開始し、プレス成形と並行してまたはプレス成形の直後に金型内で急冷して成形部材を得る熱間プレス工程と、熱間プレス工程で得られた成形部材の表面を研掃する研掃工程とを備え、前記研掃工程を経て得られた成形部材が、部材表面の鉄亜鉛固溶相の上部に厚さが15g/m以下の酸化亜鉛層を有するとともに、JIS規定の粗さ指標Rpで7μm以下、である表面粗さを有することを特徴とする高強度鋼成形部材の製造方法である。
この本発明では、成形部材の表面の研掃が、成形部材の表面に、ショット投射装置で平均粒子径90μm以下のメディアをショット弾として投射することにより、行われることが好ましい。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板を熱間プレス成形して得られる高強度鋼成形部材に、優れた抵抗溶接性および塗装密着性を安定して与えることができる。
本発明を実施するための形態を工程毎に説明する。
(1)加熱工程
亜鉛系めっき鋼板を焼入れ可能温度以上の温度範囲に加熱する。
亜鉛系めっき鋼板のめっき付着量は、加熱工程により表面に鉄のスケールが形成されない程度に被覆されていればよく、そのためには20g/m以上である。さらに、近年は、高強度鋼成形部材の高耐食性も求められることが多く、そのためには40g/m以上、より好ましくは60g/m以上である。めっき付着量が過小であると部位によっては耐食性が要求レベルに満たないことがある。
一方、後述する研掃工程を経た後における成形部材の後述の表面を得るには、加熱工程において鉄亜鉛の合金化反応を十分に進行させる必要がある。この観点から、めっき付着量は、少ないほうがよく、好ましくは100g/m以下であり、より好ましくは70g/m以下である。
このような比較的厚目付けの亜鉛系めっき鋼板を得るには、溶融亜鉛めっきのほうが電気亜鉛めっきよりもコスト的に有利である。さらに、単なる溶融亜鉛めっき鋼板よりも合金化溶融亜鉛めっき鋼板のほうが、加熱工程において鉄−亜鉛間の相互拡散が速やかに進行し、最終的に鉄−亜鉛金属間化合物相が存在しない成形部材を得られやすいために、好ましい。
前述したように、溶融亜鉛めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板を含む)は、通常、めっき皮膜中に少量のAlを含有する。これは、溶融亜鉛めっきにおいては、めっき−母材鋼界面の鉄亜鉛の拡散を抑制するためと、めっき浴のドロス量を制御するために、めっき浴には通常0.1〜0.2%前後のAlが添加されていることによる。前述したように、成形部材の鉄亜鉛固溶相および酸化皮膜(酸化亜鉛層)に含有されるAl量が過剰であると、高強度鋼成形部材の塗装密着性が劣化する。このため、溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜中のAl含有量は0.40%以下であることが好ましい。
高強度鋼成形部材の加工素材として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を使用する場合、めっき皮膜中のFe含有量が比較的高めのものが好ましい。これは、上述したように、比較的短時間の加熱で金属間化合物相を消滅させて、酸化亜鉛層とその下の鉄亜鉛固溶相のみからなる表層構造を形成するためである。ただし、めっき皮膜中のFe含有量を過度に高めようとするのは、場合によっては、溶融めっき鋼板製造時のラインスピードを極端に低下させる必要を生じ、現実的ではない。めっき皮膜のFe含有量の好ましい範囲は10〜20%であり、より好ましくは10〜15%である。
コスト面では一般に不利であるが、高強度鋼成形部材の加工素材として電気亜鉛系めっき鋼板を使用することも可能である。電気めっき鋼板には、通常はめっき皮膜がAlを含まないという利点がある。電気めっき鋼板は、普通の純亜鉛めっき鋼板でもよいが、亜鉛−鉄合金めっき鋼板(めっき皮膜のFe含有量が20%以下)または亜鉛−8〜18%ニッケル合金めっき鋼板が好ましい。亜鉛−鉄合金電気めっき鋼板には、Alを含有しないという利点に加えて、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と同様に、比較的短時間で固溶相を形成し、かつ金属間化合物を残存させないようにすることができるという利点がある。
加熱工程では、亜鉛系めっき鋼板を焼入れ可能な温度範囲の所定温度に加熱する。加熱温度は、めっき鋼板の鋼成分にもよるが、通常は700〜1000℃程度であり、好ましくは850〜950℃である。亜鉛系めっき鋼板の加熱温度が高過ぎると、酸化皮膜層の膜厚が大きくなり過ぎ、表面の不均一が過大となって均一な表面を得るための研掃処理に要する時間が長くなる。一方、加熱温度が低過ぎると、焼入れし難くなる他に、材料によっては軟化が不十分となり、熱間プレス成形時に過大なプレス圧が必要となって、高強度鋼成形部材の表面に欠陥が発生したり、材料が破断するといった成形不良の原因となることがある。
加熱手段は、特に限定されるものではない。通常は、ガス炉または電気炉により、加工素材の亜鉛系めっき鋼板を酸化性雰囲気中で加熱する。酸化性雰囲気は大気でよいが、大気および/または酸素と他のガス(例、窒素、燃焼ガス等)との混合ガスでもよい。このような酸化性雰囲気中で加熱すると、めっき層の表面には酸化亜鉛層が形成されるので、加熱中の亜鉛の蒸発量を抑制することができる。一方で、後述するように合金化反応を十分に進行させる上では、それに伴って酸化亜鉛層も厚く成長して溶接性には好ましくないため、後述する研掃工程を備えることが特に有効である。
さらに、この加熱工程において、めっき層と母材鋼との合金化反応を十分に進行させる。合金化反応が不十分であると、熱間プレス成形の開始前のめっき鋼板の表層部には液相状態の亜鉛(または亜鉛−鉄合金)が存在し、この状態でプレス加工することにより得られる成形部材に溶融亜鉛割れが生じることが考えられる。そのため、加熱工程においては、熱間プレス成形後の高強度鋼成形部材の表層部に、鉄亜鉛固溶相(α−Fe中にZnが固溶した組織)が形成され、亜鉛−鉄系の金属間化合物相が存在しない程度にまで、十分に合金化反応を進行させる。
合金化反応を十分に進行させるには、前述した加熱温度の他に、加熱時間や昇温速度等も影響する。加熱時間が例えば数秒間と極端に短いと、合金化反応が進行し難い皮膜を十分に形成することが難しい。室温の鋼板を電気炉やガス炉で加熱する場合は、加熱温度やめっき鋼板の寸法にもよるが、好ましい加熱時間は4〜6分間である。
(2)熱間プレス工程
加熱工程により加熱された亜鉛系めっき鋼板を、焼入れ可能温度以上の温度範囲でプレス成形を開始し、プレス成形と並行してまたはプレス成形の直後に金型内で急冷することにより高強度鋼成形部材を得る。
熱間プレス成形の条件は、公知の熱間プレス成形の条件と同じでよい。加熱工程で加熱された亜鉛系めっき鋼板を、速やかにプレス機に搬送してセットし、プレス成形する。このとき、プレス金型で成形部材が冷却されることにより、焼入れが達成される。プレス金型に水冷機構を組み込むことが有効であり、成形部材に直接水がかかる直接水冷方式と、金型内部を水冷する間接水冷方式のいずれでも構わない。
このような熱間プレス工程は、当業者にとっては周知であるので、これ以上の説明は省略する。
(3)研掃工程
熱間プレス工程で得られた高強度鋼成形部材の表面の酸化亜鉛層の厚さを研掃工程において低減するか、あるいは酸化亜鉛層を除去する。研掃工程の結果、高強度鋼成形部材の表面の酸化亜鉛の厚さを15g/m以下とし、かつ高強度鋼成形部材の表面粗さをJIS B 0601(2001)の粗さ曲線の最大山高さRpで7μm以下であるようにする。
このような表面を得るためには、研掃工程として、ショットブラスト処理が好ましい。具体的には、平均粒子径が30〜300μm程度のメディアをショット弾として、インペラータイプあるいはエアー式の投射装置により数秒間〜60秒間のショットブラスト処理を行う。
高強度鋼成形部材の酸化亜鉛層が厚過ぎると、表面の導電性を阻害し、抵抗溶接性に悪影響を与える。また、研掃処理の結果、表面粗さが大きくなり過ぎると、塗装密着性に悪影響を及ぼす。抵抗溶接性と塗装密着性を兼ね備える高強度鋼成形部材を安定して得るためには、前述したように、研掃工程を経た後の表面の酸化亜鉛の厚さは15g/m以下であり、望ましくは10g/m以下であり、かつ、表面粗さは、JIS B 0601(2001)の粗さ曲線の最大山高さRpで7μm以下である。
研掃には、所望の表面が得られる限りにおいて、ショットブラスト処理の他に、サンドペーパーを用いたり、あるいは研掃処理のメディアとして例えば鋼線を切断して得られるカットワイヤー材や鋼球を破砕して鋭利な突起を有するグリッドを用いたりしてもよい。また、ある程度目の細かなサンドペーパーを使用する方法もある。
しかし、これらの手段では、高強度鋼成形部材の表面が荒れ易く、また鉄亜鉛固溶相の除去量が増加して耐食性に悪影響を及ぼす可能性があるので、適正条件の設定が難しい。この点、前述した粒径程度のメディア(材質として鋼やアルミナがあげられる。形状も極端に角張っている等でなければ、例えば特に限られない)をショット弾とするショットブラスト処理を用いることが容易である。また、メディアの粒径もできるだけ細かいほうがムラなく均一に処理し易い(カバー率が高い)とともに、粗さの小さい表面を得やすいので好ましい。特に、メディアの平均粒子径が90μm以下であると、塗装密着性の観点からも好適である。
このようにして、亜鉛系めっき鋼板を熱間プレス成形することにより製造される高強度鋼成形部材に、優れた抵抗溶接性および塗装密着性を安定して与えることができる。
本発明の作用効果を、実施例を参照しながら、さらに具体的に説明する。
(A)高強度鋼成形部材(熱間プレス部材)の製造
C:0.2%、Si:0.3%、Mn:1.3%、P:0.01%を含有する板厚2mmの焼入れ性の冷延鋼板を素地鋼板とする、めっき付着量が片面当たり65g/mで、めっき皮膜中のFe含有量が15%の合金化溶融亜鉛めっき鋼板(記号:GA)を加工素材として用いた。
また、上記と同様の化学組成および板厚の冷延鋼板を素地鋼板とする、電気亜鉛ニッケルめっき鋼板(記号:ZN、めっき付着量:片面あたり50、70g/m、めっき皮膜中のNi含有量:8〜18%)、溶融亜鉛めっき鋼板(記号GI、めっき付着量:片面あたり80g/m)も加工素材として用いた。
(B)加熱工程
前記のめっき鋼板を、大気雰囲気の電気炉を用いて900℃で5分間加熱した。ただし、GI材は7分間加熱した。
(C)熱間プレス工程:
前記めっき鋼板を電気炉から取り出し後、速やかに、プレス成形を模擬するため、ジャケット水冷機構を有する平板プレスによりプレスして焼き入れサンプルを作成した。水冷プレス金型には30秒間保持した。これにより、プレス成形と同時に焼入れも達成された。
(D)研掃工程:
表1に示す投射方法で、カバー率、酸化亜鉛層の厚み、表面粗さを変えた試料No.1〜39を作成した。
研掃は、表1に示すメディア種,粒径,砥粒形状,研掃条件,投射時間で行った。表1の「研掃条件」の欄における条件1〜5の内容は以下に列記の通りである。
条件1:エアー圧0.3MPa,投射距離100mm,ノズル径8mm
条件2:エアー圧0.5MPa,投射距離100mm,ノズル径8mm
条件3:エアー圧0.5MPa,投射距離100mm,ノズル径8mm
条件4:エアー圧0.5MPa,投射距離100mm,ノズル径8mm
条件5:荷重9.8N,10往復
また、粒径200,300μmのショット弾は直圧式のショット投射機で投射し、その他のショット弾は吸引式のショット投射機で投射した。
サンドペーパー研削は、70×30mmの鉄製ブロック体に砥粒の異なる数種類のサンドペーパーを巻き付け、荷重9.8Nで全面を10往復させ、研掃した。
研掃処理(サンドペーパー研削を除く)のカバー率は、焼入れサンプルに予め市販の感圧紙を張り付けておき、これに研掃処理し、投射された部分の変色した割合をデジタル画像処理により2値化して求めた。
(E)試料No.1〜39の分析,評価
(E1)表面の酸化亜鉛量
試料No.1〜39の表面を5%クロム酸で溶解し、溶液をICP発光分析することにより定量した。
(E2)表面の集合組織(鉄亜鉛固溶相の存在)
まず、試料No.1〜39の表面からX線回折スペクトルをとった。表1に示す試料ではいずれも、亜鉛−鉄金属間化合物に由来するピークは観察されなかった。次に、試料No.1〜39から断面観察用サンプルを切り出し、樹脂埋め込みと鏡面研磨した後、表層部を断面方向から、SEMの後方散乱電子(BSE)像で観察した。表1の試料No.1〜39の鉄亜鉛固溶相の厚みは10〜30μm程度であり、固溶相中の亜鉛濃度は25〜35%の範囲であった。
(E3)塗装密着性
試料No.1〜39に化成処理(処理液:日本パーカライジング株式会社製PBL−3080,処理条件は当該処理液での標準条件)を施した後、さらに、電着塗装[関西ペイント製GT10,膜厚目標値15μm,電圧および通電パターン:200Vのスロープ通電(0Vから200Vまで30秒間で昇圧)]、焼付け160℃×20分間)を施した。この電着塗装材を、50℃の5%塩化ナトリウム水溶液に1000時間浸漬し、その後、塗装面について、JIS K 5600に規定された、2mm幅碁盤目試験25マスの剥離試験を行い、レーティングで8以上のものを合格(○)と表示し、特にレーティング10を合格(◎)と表示し、レーティング6以下を×と表示した。
(F)化成結晶の組成比(P/P+H)の測定
市販のリン酸亜鉛処理液を用いてサンプル表面に約2.0〜2.3g/mの化成処理層を形成した。これをX線回折法により、燐酸亜鉛結晶のホパイト;H、燐酸亜鉛鉄結晶のフォスフォフィラト;Pの回折強度(cps)をそれぞれ測定して、その比率をP/(P+H)とした。P/(P+H)が0.20以上を合格とし、これ以外を不合格とした。
(G)抵抗溶接性:
次の条件で試料1〜39の表面の電気抵抗を測定し、これをスポット溶接性の評価とした。
DR型電極チップ(直径6mm,先端部曲率40mm)で鋼板を挟み、加圧力0.3MPa、加圧時間4秒間、定電流2Aを通電し、電極間電圧値から抵抗値を測定した。電気抵抗30mΩ以下を良好(○)とし、それ以外を不芳(×)とした。
以上の試験条件および試験結果を表1にまとめて示す。以下に表1における試料No.1〜39について説明する。
(H)GA材鋼球投射系
表1の試料No.1〜4,6〜14は本発明例である。試料No.1〜4,6〜14の投射結果から、試料No.1〜4,6〜14は、良好な抵抗溶接性および塗装密着性を有することが分かる。
これに対し、試料No.5は、酸化亜鉛量が本発明の範囲を超える比較例であり、抵抗溶接性が不芳であった。
試料No.15は、酸化亜鉛量および表面粗さが本発明の範囲を超える比較例であり、抵抗溶接性および塗装密着性がいずれも不芳であった。
さらに、試料No.1〜4,6〜14の本発明例で比較すると、P/P+Hの値が0.40以上であると(試料No.9〜13)、SDT1000h剥離レーティング評価が10(すなわち、塗装密着性が◎)になる。これらは、メディアである鋼球の粒径が50μm以下と細かいものを使用したときに得られており、また、燐酸亜鉛結晶のホパイトよりも耐アルカリ性の高い燐酸亜鉛鉄結晶のフォスフォフィライトの比率が増加していた。
(I)GA材アルミナ投射系
表1の試料No.16〜19は、酸化亜鉛量と表面粗さが本発明の範囲を満足する本発明例であり、抵抗溶接性および塗装密着性がいずれも良好であり、特に塗装密着性が良好であった。
さらに、試料No.16〜19の結果から理解されるように、アルミナの粒径が40〜80μmと細かいものを使用することにより、塗装密着性が極めて良好になる。
(J)GA材グリット投射系
表1の試料No.20〜23は、酸化亜鉛層の除去は達成されたものの表面粗さが本発明の範囲を超える比較例であるため、塗装密着性が不芳であった。母材の表面粗さが過大であると、塗膜厚みでは被覆し切れない突起部分からの腐食が進行するためと推定される。
(K)GA材サンドペーパー研削系
表1の試料No.24〜27のうちで酸化亜鉛量と表面粗さの両方が本発明の範囲を満足する試料No.26のみが抵抗溶接性および塗装密着性が良好であった。このように、サンドペーパーによる研削は、ショットブラスト処理よりも、表面が荒れ易く、適正条件の設定が難しいことがわかる。
試料No.28は、研掃を行わない参考例であり、酸化亜鉛量が18g/mと多いために抵抗溶接性が不芳であり、表面粗さが本発明の範囲を超えるために塗装密着性も不芳であった。
(L)Zn−Ni70めっき材鋼球投射系、Zn−Ni50めっき材アルミナ投射系
表1の試料No.29〜32は、Zn−Ni70材であり、酸化亜鉛量と表面粗さが本発明の範囲内であり、特に試料No.29〜31はSDT1000h後の碁盤目剥離のレーティングが良好であった。
試料No.33,34は、Zn−Ni50材をアルミナ投射したものであり、酸化亜鉛量と表面粗さの両方が本発明の範囲内であり、試料No.33は特にSDT1000h後の碁盤目剥離のレーティングが良好であった。
試料No.35は、研掃を行わない参考例であり、酸化亜鉛量が本発明の範囲より多いために抵抗溶接性が不芳であり、表面粗さが10μmであるために塗装密着性も不芳であった。
(M)GIめっき材鋼球投射系
表1の試料No.36〜38は、亜鉛酸化物量および粗さが本発明の範囲を満足する本発明例であり、抵抗溶接性および塗装密着性がいずれも良好であった。
さらに、試料No.39は、研掃を行わない参考例であり、酸化亜鉛量が18g/mと多いために塗装密着性が不芳であり、表面粗さが8μmであるために耐食性も不芳であった。
Figure 0005880321

Claims (2)

  1. 亜鉛系めっき鋼板を焼入れ可能温度以上の温度範囲に加熱する加熱工程と、
    加熱された前記亜鉛めっき鋼板を、焼入れ可能温度以上の温度範囲でプレス成形を開始し、プレス成形と並行してまたはプレス成形の直後に金型内で急冷して成形部材を得る熱間プレス工程と、
    熱間プレス成形工程で得られた前記成形部材の表面を研掃する研掃工程とを備え、
    前記研掃工程を経て得られた成形部材が、表面の鉄亜鉛固溶相の上部に厚さが15g/m以下の酸化亜鉛層を有するとともに、JIS規定の粗さ指標Rpで7μm以下である表面粗さを有すること
    を特徴とする高強度鋼成形部材の製造方法。
  2. 前記成形部材の表面の研掃は、前記成形部材の表面に、ショット投射装置で平均粒子径90μm以下のメディアをショット弾として投射することにより、行われる請求項1記載の高強度鋼成形部材の製造方法。
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