以下、本発明の一実施形態に関わる吸入器1の構成を、図1乃至図27を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る吸入器1の構成を模式的に示す正面図、図2は吸入器1の構成を示す背面図、図3は吸入器1の構成を示す上面図、図4は吸入器1の構成を示す側面図、図5は吸入器1の構成を分解して示す側面図である。
図6は吸入器1に用いられるカートリッジ部6及びノズル部7の構成を示す斜視図、図7はカートリッジ部6及びノズル部7の構成を示す正面図、図8はカートリッジ部6及びノズル部7の構成を示す断面図、図9はカートリッジ部6及びノズル部7の要部構成を拡大して示す断面図である。
図10はカートリッジ部6の構成及び吸入器1に用いられる操作部8の一部構成を示す斜視図、図11はカートリッジ部6の構成及び吸入器1に用いられる表示部9の一部の構成を示す斜視図、図12はカートリッジ部6及び操作部8の一部の構成を示す正面図、図13はカートリッジ部6及び操作部8の一部の構成を示す背面図、図14はカートリッジ部6及び操作部8の要部構成を拡大して示す斜視図、図15はカートリッジ部6の構成を分解して示す斜視図、図16はカートリッジ部6に用いられる薬剤ディスク21の構成を示す正面図、図17は薬剤ディスク21の構成を示す背面図、図18は薬剤ディスク21の構成を示す断面図、図19は薬剤ディスク21の要部構成を拡大して示す断面図である。
図20はノズル部7の構成を示す斜視図、図21はノズル部7の構成を示す背面図、図22はノズル部7の構成を示す断面図、図23はノズル部7に用いられる内ノズル42の構成を示す側面図、図24は内ノズル42の構成を示す上面図である。
図25は吸入器1に用いられる操作部8の要部構成を示す斜視図、図26は操作部8の要部構成を示す背面図、図27は操作部8の要部構成、具体的には、吸入器1の操作時におけるピン28d及び係合部67の関係を模式的に示す説明図である。
図1乃至図5に示すように、吸入器1は、外郭体5と、外郭体5内に収納されたカートリッジ部6と、外郭体5内に収納されたノズル部7と、操作部8と、表示部9と、を備えている。吸入器1は、カートリッジ部6に所定の量で複数個所に保管された粉体の薬剤を、ノズル部7を介して吸入可能に形成された、粉体の薬剤の吸入用の容器である。なお、図1において、吸入器1は、外郭体5の後述する口部11が重力方向で上方に配置された縦の姿勢で示される。
図5に示すように、外郭体5は、カートリッジ部6、ノズル部7及び操作部8を収納する本体部10と、ノズル部7の一部を覆うとともに、使用者が薬剤を吸入するための流路の一部を構成する孔部11aが形成された口部11と、を備えている。
本体部10は、円盤状に形成されている。本体部10は、第1本体部13及び第2本体部14を備えている。本体部10は、第1本体部13及び第2本体部14が螺子等の締結部材15,16による締結、及び、嵌合等によって固定されることで一体に形成される。具体的には、本体部10は、その外縁側の複数個所において、第1本体部13及び第2本体部14を締結する複数の締結部材15と、その中心側において、第1本体部13、第2本体部14、ノズル部7及び操作部8の一部を支持する一対の締結部材16と、を備えている。本体部10は、これら締結部材15,16により第1本体部13及び第2本体部14が一体に組み立てられる。
第1本体部13は、周縁が突出することで形成された曲面の側壁部13aを有する円板状に形成され、口部11が配置される部位が一部切欠して形成される。第1本体部13は、その側壁部13aに、周方向に沿って延設された切欠部13bを備えている。また、第1本体部13は、図27に示すように、操作部8の後述する係合部67の移動を案内可能な、ガイド13cを備えている。ガイド部13cは、外郭体5、カートリッジ部6、ノズル部7、操作部8及び表示部9が一体に組立てられたときに、その端部が、後述するピン28dよりもカートリッジ部6の径方向で外方側に配置される。ガイド部13cは、例えば、その端部が、曲面状の外面を有する略円柱状に形成される。
第2本体部14は、周縁が突出することで形成された曲面状の側壁部14aを有する円板状に形成され、口部11が配置される部位が一部切欠して形成される。また、第2本体部14は、その主面の一部に、その中心側から周縁の一部に向って直線状に延設された開口である窓枠部14bを備えている。
第1本体部13及び第2本体部14は、その間に、カートリッジ部6、ノズル部7、操作部8及び口部11を介在させて締結部材15,16によって固定することで、カートリッジ部6及び操作部8の一部を、同軸上を中心に回動可能に支持し、且つ、ノズル部7及び操作部8の他部を固定する。
口部11は、使用者の口に銜えられる、所謂マウスピースである。口部11は、第1口部17及び第2口部18を備えており、互いに係合することで、一体に形成される。口部11は、その中心に孔部11aを備えており、第1本体部13及び第2本体部14に収容されたノズル部7と連通する。第1口部17は、例えば、使用者の上側の口唇に適合する形状に形成されている。また、第2口部18は、例えば、使用者の下側の口唇に適合する形状に形成されている。
図6乃至図19に示すように、カートリッジ部6は、薬剤ディスク21と、ガイドレール22と、ラミネートフィルム23と、を備えている。薬剤ディスク21は、円盤状であって、且つ、その中心に円状の第1開口部25aが形成された第1基部25と、第1基部25に複数設けられた薬剤ポケット26と、第1基部25に設けられた位置決め用穴27と、を備えている。
第1基部25は、ガイドレール22と対向する一方の主面に薬剤ポケット26が複数配置される。また、第1基部25は、他方の主面に螺旋状に、所定の間隔を有して形成された一対のレール部25bと、レール部25b間に設けられた情報表示部25cと、を備えている。
一対のレール部25bは、第1基部25の開口部25a側から外円側に螺旋状に延設される。情報表示部25cは、例えば、薬剤ポケット26の設置数が「1」から記載される。なお、各図面においては、情報表示部25cは一部のみ記載するか、又は、省略する。
薬剤ポケット26は、有底円筒状に形成される。図19に示すように、薬剤ポケット26は、所定の量の薬剤100を収容可能に形成されている。ここで、所定の量の薬剤100とは、使用者に投与する量である。薬剤ポケット26は、第1基部25の一方の主面に、螺旋状であって、且つ、放射状に配置される。なお、薬剤ポケット26は、その螺旋状の配置が、一対のレール部25b間の中心の曲率半径と略同一に形成されている。
より具体的には、薬剤ポケット26は、第1基部25の中心から反時計回りに漸次離間する距離が増加するように所定の間隔をあけて配置されることで、第1基部25の中心から螺旋状に等角度間隔で、本実施形態においては18度間隔で配置される。また、薬剤ポケット26は、第1基部25の中心から径方向に複数、本実施形態においては3つ配置される。これにより、螺旋状に等角度間隔で複数配置された薬剤ポケット26は、例えば、薬剤ポケット26の列が、20列、18度間隔で放射状に配置される。
ガイドレール22は、円盤状であって、且つ、その中心に円状の第2開口部28aが形成された第2基部28と、第2基部28に設けられ、ガイドレール22が薬剤ディスク21と対向したときに、薬剤ポケット26と対向する対向穴29と、位置決め用穴27と対向する位置に設けられた位置決め用ボス30と、を備えている。
第2基部28は、第2開口部28aの内周面に、半円錐状又は半円柱状の複数のギア溝28bを備えている。ギア溝28bは、薬剤ポケット26の列と同様に等角度間隔、本実施例においては18度間隔で第2開口部28aの内周面に設けられる。
第2基部28は、薬剤ディスク21と対向する一方の主面が平坦に形成される。第2基部28は、他方の主面に形成され、連続して全ての対向穴29を通る螺旋状のガイド溝28cと、他方の主面であって、且つ、外周縁に複数設けられたピン28dと、を備えている。ガイド溝28cは、その幅が、対向穴29の内径と同一又は若干大に形成されている。ピン28dは、円柱状に形成され、薬剤ポケット26の列及びギア溝28bと同数が等間隔に、本実施例においては18度間隔で第2基部28の他方の主面の外周縁に設けられる。
対向穴29は、各薬剤ポケット26と同軸上にそれぞれ設けられ、その内径が薬剤ポケット26の内径と同一径又は若干小径に形成されている。位置決め用ボス30は、円柱状に形成され、その外径が位置決め用穴27の内径と略同一径に形成される。
ラミネートフィルム23は、円環状、具体的には、第1基部25及び第2基部28と同一形状に形成され、複数の薬剤ポケット26を覆うことが可能に形成されている。ラミネートフィルム23は、例えば、PETフィルム、膜状のアルミニウム材及び接着性のシーラント材が積層された薄膜状に形成される。
図15に示すように、ラミネートフィルム23は、第1基部25の位置決め用穴27及び第2基部28の位置決め用ボス30と対向する位置に、孔部23aが形成されている。孔部23aは、その内径が、位置決め用穴27の内径及び位置決め用ボス30の外径と略同一又は若干大径に形成されている。ラミネートフィルム23は、薬剤ポケット26とともに、薬剤を密封して収容する収容部を構成する。
このようなカートリッジ部6は、薬剤ディスク21の各薬剤ポケット26に、薬剤100を所定の量充填し、その後、薬剤ポケット26の端部にラミネートフィルム23を溶着し、位置決め用穴27及び位置決め用ボス30を係合させて薬剤ディスク21にガイドレール22を固定することで一体に形成される。また、カートリッジ部6は、ラミネートフィルム23により薬剤ポケット26を封止することで、等角度間隔で螺旋状に複数配置された薬剤の収容部を複数備える構成となる。
図5乃至図9、及び、図20乃至図24に示すように、ノズル部7は、外ノズル41と、外ノズル41内に設けられた内ノズル42と、を備えている。ノズル部7は、薬剤ポケット26のいずれかから口部11まで流体的に連続する、薬剤及び空気の流路を形成する。
外ノズル41は、固定部43と、固定部43に設けられた第1管部44と、固定部43に設けられた第1軸部45と、第1管部44に設けられ、第1軸部45の軸心と同軸上に配置された第2軸部46と、を備えている。固定部43は、例えば、円盤状に形成され、第1管部44に一体に形成される。固定部43は、その一部に形成された複数の孔部43aと、固定部43の一方の主面、具体的には、外郭体5の第1本体部13と対向する面の一部に設けられた一対の第1傾斜面43bと、固定部43の他方の主面に設けられた弾性部43cと、を備えている。また、固定部43は、他方の主面に、第1管部44が一体に設けられる。
孔部43aは、例えば、固定部43の第1軸部45を挟んだ対称位置に一対設けられる。孔部43aは、一対の第1傾斜面43b間にそれぞれ配置される。孔部43aは、第1本体部13及び第2本体部14を本体部10の中心側で締結する一対の締結部材16を挿通可能に形成されている。
第1傾斜面43bは、固定部43の主面から一部が窪むことで形成される。第1傾斜面43bは、例えば、第1傾斜面43bを第1本体部13側から正面視したときに、反時計回りに深さが漸次増大するように窪む。
弾性部43cは、例えば、円弧状に形成され、その一端が固定部43と一体に接続されることで形成された、板状の発条である。弾性部43cは、第1軸部45及び第2軸部46の軸心方向に弾性変形可能に形成されている。
第1管部44は、その中心に円柱状の流路44aが形成されるとともに、固定部43を挟んで一方端が所定の間隔を有して二つに分かれて形成される。具体的には、第1管部44は、一方端に、第1スリット44b及び第2スリット44cが形成される。
第1スリット44bは、固定部43の一方の主面側の第1管部44の一部が、第1管部44の軸心方向に沿って切欠されることで形成される。第2スリット44cは、固定部43の他方の主面側の第1管部44の一部が、第1管部44の軸心方向に沿って切欠されることで形成される。第2スリット44cは、カートリッジ部6と対向可能に形成される。第2スリット44cは、第1スリット44bよりも、その幅が大きく形成される。第1管部44は、その他方端が、口部11と対向して配置される。
内ノズル42は、第2管部48と、第2管部48の外周面の一部に設けられ、第2管部48に一方端側に、その面方向が第2管部48の軸心に沿って形成された板部49と、第2管部48の一方端側であって、且つ、板部49に対して第2管部48の軸心を中心とした対称位置に設けられた第3管部50と、を備えている。
第2管部48は、その外径が、第1管部44の流路44aの内径と同一径、又は、若干小径に形成され、第1管部44内に挿入可能に形成される。第2管部48は、両端を連続する流路48aが形成される。なお、この流路48aは、第1管部44の流路44aよりも小径であって、且つ、第2管部48の他方端側の内径、より具体的には、第1管部44の流路44aと連続する他端側の開口から第3管部50までの内径が、第3管部50から一方側の開口までの内径よりも大径に形成されている。即ち、第2管部48は、本体部10内に開放する端部に、その内径が他部よりも小径に形成された小径流路48bが形成される。
板部49は、その厚さが第1スリット44bの幅と略同一又は若干小さく形成される。板部49は、第2管部48が第1管部44に挿入されたときに、第1スリット44bに案内されることで、第2管部48の周方向の移動を規制可能に形成される。
第3管部50は、その内部に、その端部及び第2管部48の流路48aを接続する流路50aが形成される。第3管部50の流路50aは、その内径が、第2管部48の流路48aと略同一径に形成されるとともに、その外周面に、軸心方向に沿った凸部50bが等間隔に複数箇所、例えば4箇所に形成されている。第3管部50は、第2管部48の流路48aと連続して形成される。図22乃至図24に示すように、第3管部50は、その先端の上下方向が傾斜するように切欠して形成される。また第3管部50は、その外径及び凸部50bの高さの和が、薬剤ポケット26の内径、対向穴29の内径及び第2スリット44cの幅よりも若干小さく形成される。
このようなノズル部7は、外ノズル41内に内ノズル42が挿入され、且つ、内ノズル42の板部49及び第3管部50が第1スリット44b及び第2スリット44cに案内される。これにより、ノズル部7は、内ノズル42が外ノズル41の軸心方向に移動可能であって、且つ、当該軸心回りの回動が規制される、即ち、外ノズル41の端部から第3管部50間の距離が伸縮可能に形成される。また、ノズル部7は、第1管部44、第2管部48及び第3管部50の流路、44a,48a,48b,50aによって、ベンチュリ管を形成する。ノズル部7は、口部11を銜えて吸引することで、第2管部48の小径流路48bの端部及び第3管部50の流路50aの端部から第1管部44を介して口部11への空気の流れが発生する。
操作部8は、レバー部材61と、歯車62と、を備えている。操作部8は、使用者が回動操作することで、当該回動を直接又は直動に変換してカートリッジ部6及びノズル部7に伝達可能に形成されている。
レバー部材61は、基部65と、基部65に設けられた第2傾斜面66と、基部65に設けられた係合部67と、基部65に設けられた操作レバー68と、を備えている。レバー部材61は、基部65が、ノズル部7の第1軸部45に支持されることで、回動可能に形成される。
基部65は、その外周側の一部が扇状に切欠する円盤状に形成されている。基部65は、その中心に第1軸部45が挿入される挿入孔65aと、挿入孔65aの周囲に設けられ、第1本体部13及び第2本体部14を締結する一対の締結部材16を挿入可能であって、操作部8の回動方向に沿って延設された円弧状の一対の開口部65bと、を備えている。また、基部65は、固定部43と対向する主面の一部に、固定部43と接触する突起部65cを備えている。
第2傾斜面66は、基部65から突出して形成され、第1傾斜面43bの傾斜角度と同一角度に形成される。第2傾斜面66は、基部65から突出する高さがノズル部7のカートリッジ部6への移動距離と同一距離に形成される。
係合部67は、基部65及び操作レバー68間から基部65の外周の接線方向に延出して設けられた延出部67aと、延出部67aに設けられ、基部65の中心側に突出する突出部67bと、を備えている。延出部67aは、基部65及び操作レバー68間から延出するその付け根付近を軸としてカートリッジ部6の径方向内外方へ撓み変形可能に形成されている。換言すると、延出部67aは、その付け根付近を軸として、カートリッジ部6の径方向に回動可能に形成されている。また、延出部67aは、ガイド13cの端部と当接可能に形成されている。延出部67aは、カートリッジ部6の径方向内方へ変形しようとする動きをガイド部13cの端部と当接することで規制される。突出部67bは、操作レバー68側が、接線方向に対して直交する方向に延設されるとともに、他方側が接線方向に対して傾斜して延設される。突出部67bは、ピン28dと係合可能に形成されている。このような係合部67は、突出部67bがピン28dと係合後、操作レバー68が、ピン28d間の角度の半分の角度を超えて、且つ、ピン28d間の角度及び二次側のピン28d間の角度の半分の角度の和の角度未満を回動後に、ガイド13cの端部との当接により延出部67aがカートリッジ部6の径方向外方へ撓み、それに伴い、突出部67bがピン28dから離間可能に形成される。換言すると、係合部67は、本実施形態においては、突出部67bがピン28dと係合後、操作レバー68が9度を越えて、且つ、27度未満だけ回動すると、突出部67b及びピン28dの係合が解除される。
操作レバー68は、基部65から周方向に突出して形成される。操作レバー68は、レバー部材61が外郭体5に収納されたときに、切欠部13bから突出可能に形成されている。
歯車62は、円盤状に形成され、その外周面に、ギア溝28bと同一形状の、半円錐状又は半円柱状のギア部62aが複数設けられる。また、歯車62は、その中央に、第1本体部13及び第2本体部14を本体部10の中心側で締結する一対の締結部材16を挿通可能な一対の孔部62bと、第2軸部45を軸支可能な挿入孔62cと、を備えている。
ギア部62aは、例えば、3つ設けられる。このような歯車62は、孔部62bに締結部材16が挿入されることで、回転方向の移動が規制される。
表示部9は、第2本体部14に設けられた窓枠部14bと、第1基部25の他方の主面に設けられた情報表示部25cと、一対のレール部25bに挿入される複数の挿入部71aを有し、窓枠部14bに配置される窓部71と、窓枠部14bに設けられ、窓枠部14bの開口を閉塞する可撓性を有する閉塞部材72と、を備えている。情報表示部25cは、薬剤ポケット26の数に即した数字が記載されている。情報表示部25cは、第1基部25に印刷、又は、数字が記載されたシールを貼り付けることで、第1基部25に設けられる。
窓部71は例えば、挿入部71aによって一対のレール部25bに沿って移動可能に形成されている。また、窓部71は、例えば、情報表示部25cのいずれかの数字と重なることで、当該数字を透過可能、且つ、拡大可能なレンズである。具体的には、窓部71は、例えば、光を透過可能に形成された、樹脂材料又はガラス材料等により形成された凸レンズである。閉塞部材72は、薄膜状のゴム部材や、ブラシである。閉塞部材72は、窓部71に押圧されることで弾性変形し、窓枠部14bの窓部71が存在する部位以外を閉塞する。
このような表示部9は、窓部71が窓枠部14bによって移動が規制されることで、カートリッジ部6の回動により移動した情報表示部25cを、窓部71によって指向し、且つ、拡大して表示することで、吸入器1の残使用回数、即ち、使用可能な収容部の数を視認可能に形成された、カウンターである。なお、表示部9は、薬剤が収容された収容部の数が分かれば、薬剤が収容された収容部の残数をカウントダウンさせる構成であっても、吸入回数をカウントアップさせる構成であっても、どちらでもよい。
次に、このように構成された吸入器1の使用し、薬剤を吸入する方法について説明する。
先ず、使用者は、操作レバー68を切欠部13bに沿って、口部11側から口部11から離間する方向に移動(回動)させる。操作レバー68が移動すると、レバー部材61の基部65が、第1軸部45を中心に回動する。基部65が回動すると、係合部67は、図27に実線で示す係合部67Aのように、突出部67bがピン28dと係合し、カートリッジ部6を操作レバー68の操作方向に回動させる。次に、図27に二点鎖線で示す係合部67Bのように、操作レバー68及びカートリッジ部6が所定の距離(角度)だけ回動すると、ガイド13cの端部との当接により延出部67aがカートリッジ部6の径方向外方へ撓み、それに伴い、突出部67bはピン28dから離間する。
また、カートリッジ部6が所定の距離だけ回動すると、ギア溝28bと歯車62のギア部62aの係合が外れ、ギア溝28bをギア部62aが乗り上げ、ギア部62aが二次側のギア溝28bに移動する。なお、突出部67bは、ギア溝28bをギア部62aが乗り上げるまでの距離を移動するまでピン28dと係合可能に形成されており、突出部67b及びピン28dの係合が外れても、次のギア溝28b及びギア部62aが係合することで、カートリッジ部6が、ギア溝28b間の角度だけ、本実施形態においては18度回転する。
カートリッジ部6が18度回転することで、ノズル部7の内ノズル42が、ガイド溝28cに沿って案内されてカートリッジ部6の径方向(外ノズル41の軸心方向)に移動する。また、カートリッジ部6が18度回転することで、第4管部50と対向していた薬剤ポケット26の二次側の薬剤ポケット26が、第3管部50と対向する。また、操作レバー68の回動により、第1傾斜面43bに対して突起部65cが移動することで、突起部65cが第1傾斜面43bを押圧する。結果、ノズル部7がカートリッジ部6に向かって押圧され、弾性部43cが弾性変形し、ノズル部7がカートリッジ部6に近接する方向に移動し、第3管部50の先端が、対向する薬剤ポケット26を閉塞するラミネートフィルム23を破断して薬剤ポケット26内に第3管部50が挿入される。これにより、薬剤ポケット26内が、第1管部44、第2管部48及び第3管部50の流路44a,48a、50aを介して、口部11の孔部11aと流体的に連続する。なお、操作レバー68の回動により、ノズル部7に対して、第2傾斜面66が移動することで、第2傾斜面66が板部49を押圧する。これにより、突起部65cによる第1傾斜面43bの押圧に加えて、第2傾斜面66により板部49を押圧することができ、第3管部50の先端をより確実に薬剤ポケット26内に挿入可能となる。
使用者は、口部11を銜えて息を吸い込むことで、第2管部48の小径流路48bから少量の空気と、第3管部50の流路50aから薬剤及び空気が吸い込まれ、結果、薬剤が使用者に吸入される。なお、このとき、小径流路48bの開口面積によって設定された、使用者の所定の部位、例えば、気管支や肺胞等、設定された薬剤の到達設定部位に、薬剤が到達する。
なお、カートリッジ部6が回動することで、窓部71に対して相対的に情報表示部25cが回動することから、窓部71が対向する情報表示部25cの数は、次の数が位置することとなり、現在の薬剤ポケット26の残数が視認可能となる。
使用者は、薬剤を吸入後、操作レバー68を操作し、口部11側に移動させる。これにより、図27に二点鎖線で示す係合部67Cのように、係合部67は、突出部67bが、ガイド13cの先端と係合し、その後、ガイド13cにより案内されて撓み、ガイド13cの先端及び次に操作するピン28dを乗り越える。これにより、突出部67bは、操作レバー68の次操作によって、ピン28dと係合可能となる。
また、操作レバー68が口部11側に移動することで、第1傾斜面43b及び突起部65cが対向して当接するとともに、板部49及び第2傾斜面66が対向して当接する。これにより、突起部65c及び第2傾斜面66による押圧が解除され、弾性部43cの復元力によって、ノズル部7が、カートリッジ部6から離間する方向に移動し、第3管部50が、薬剤ポケット26及び対向穴29から離れ、ガイド溝28cに配置される。これにより、第3管部50は、次に操作レバー68が操作されたときに、ガイド溝28cの移動によって、カートリッジ部6の径方向に移動可能となる。
このような操作レバー68の操作の繰り返しによって、使用者は、薬剤ポケット26の数だけ、薬剤の収容部(薬剤ポケット26及びラミネートフィルム23)を開封し、薬剤を吸入可能となる。
このように構成された吸入器1によれば、操作レバー68を操作することにより、カートリッジ部6を所定の角度毎に回動させるとともに、操作部8の回転方向の動きをノズル部7のカートリッジ部6に対する往復動の動きに変換する。
また、吸入器1は、カートリッジ部6の操作レバー68の一回の操作で回動する角度と同一の角度間隔に薬剤ポケット26を螺旋状に配置するとともに、ノズル部7をカートリッジ部6の径方向に、カートリッジ部6の回動によって移動可能とする。さらに、吸入器1は、薬剤ポケット26を、ノズル部7の内ノズル42の第3管部50により、ノズル部7がカートリッジ部6に近接したときに、薬剤ポケット26を閉塞するラミネートフィルム23を破断可能(収容部を開封可能)に形成されている。
これらの構成により、吸入器1は、操作レバー68を操作することで、カートリッジ部6が回動し、ノズル部7により、収容部が開封されて薬剤ポケット26内及び口部11が連通し、使用者が薬剤を吸入可能となる。
また、第3管部50は、先端の一部が切欠することで、ラミネートフィルム23と接触する面積が低減し、ラミネートフィルム23の破断を容易とすることが可能となるとともに、その開口面積が増加することから、吸入時に、確実に薬剤を移動させることが可能となる。
また、ノズル部7は、第3管部50の外周に凸部50bを設けることで、第3管部50の外周面と、薬剤ポケット26及び対向穴29の内周面との間に所定の隙間を確保可能となり、薬剤ポケット26内への空気の流れを確保可能となる。また、第3管部50の切欠は、吸入器1を縦の姿勢、即ち、口部11を上方に配置した状態で上下方向に位置する部位を切欠することで、吸入器1を使用した場合に、重力方向で下方側に溜まる薬剤の移動を阻害することがなく、且つ、開口面積を確保することが可能となる。これにより、吸入時に、空気の流れを形成し、薬剤ポケット26内から薬剤を確実に吸入することが可能となる。
これらのことから、薬剤ポケット26内に封入する薬剤の量を一回に投与する所定の量としても、確実に使用者が吸入することが可能となり、余剰量、即ち、吸入されない薬剤を考慮して、所定の量以上の薬剤を別途封入する必要がなく、製造コストを低減することが可能となる。
吸入器1は、ノズル部7の内ノズル42を外ノズル41に対して移動可能とすることで、ノズル部7の流路44a,48a、50aを伸縮可能とし、且つ、ノズル部7の伸縮は、カートリッジ部6のガイド溝28cに内ノズル42を案内する簡単な構成でよい。また、同様に、ノズル部7による収容部の開封は、第1傾斜面43b及び突起部65cの当接位置によってノズル部7を移動させることで開封する、簡単な構成でよい。
また、これらノズル部7の各収容部への対向、及び、収容部の開封は、操作部8のレバー部材61の回動操作による簡単な操作でよい。このように、吸入器1は、簡単な構成とすることで、部品点数及び製造コストの低減が可能であって、且つ、使用者の使用性を向上することが可能となる。
吸入器1は、薬剤ポケット26を第1基部25に等角度間隔で放射状に配置することで、省スペースに多数の収容部を配置することが可能となる。また、ノズル部7は、第3管部50の形状によって、薬剤を効率よく移動させることが可能となることから、薬剤ポケット26の形状は所定の薬剤の量が収容可能であればよい。このため、吸入器1の小型化が可能となる。
さらに、吸入器1は、表示部9として、螺旋状に設けられた一対のレール部25bに相対的に移動可能な窓部71を外郭体5の窓枠部14bに設けることで、カートリッジ部6の回動に伴って、情報表示部25cの表示を切り替え可能となる。これにより、吸入器1は、簡単な構成で、薬剤ポケット26の情報を表示可能となる。
上述したように、本発明の一実施の形態に係る吸入器1によれば、薬剤ポケット26を等角度間隔で螺旋状に配置するとともに、ノズル部7を伸縮可能とし、カートリッジ部6の回動することで、収容部と順次対向可能とすることで、複数の収容部を備えることが可能、且つ、構成の簡素化が可能となる。
なお、本発明は上述した本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、吸入器1は、銜えることで薬剤を吸入する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、口部11は、鼻孔から吸入する構成可能な形状に形成されていてもよい。
また、上述した例では、吸入器1は、ノズル部7を、小径流路48bを有するベンチュリ管とする構成を説明したがこれに限定されない。吸入器1により吸入したときに、薬剤の到達位置によっては、小径流路48bを設けず、当該流路を閉塞する構成であってもよく、また、小径流路48bを流路48aと同一径とする構成であってもよい。
さらに、上述した例では、第3管部50は、その先端の一部が切欠する構成を説明したが、第3管部50の先端が切欠せず、管状に形成されている構成であってもよい。ただし、第3管部50は、吸入器1の使用時に下方に位置する部位をより切欠することで、薬剤に対向する第3管部50の開口面積が増大することから、一部が切欠していることが好ましい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 薬剤を吸入する口部を備える外郭体と、
前記外郭体内に回動可能に支持され、等角度間隔であって、且つ、螺旋状に配置されるとともに前記薬剤を密封して収容する複数の収容部を備えるカートリッジ部と、
前記外郭体内に設けられ、前記収容部を開封して前記収容部内と前記口部とを、流体的に連続するノズル部と、
を備えることを特徴とする吸入器。
[2] 前記ノズル部は、
前記カートリッジ部に対して移動可能に形成される外ノズルと、
前記外ノズル内を、前記外ノズルの軸心に沿って移動可能な内ノズルと、
を備えることを特徴とする[1]に記載の吸入器。
[3] 前記収容部は、薬剤を収容する薬剤ポケット、及び、前記薬剤ポケットを封止するラミネートフィルムを備え、
前記内ノズルは、前記外ノズルが前記カートリッジ部に対して移動することで、前記ラミネートフィルムと当接して破断可能に形成されている、
ことを特徴とする[2]に記載の吸入器。
[4] 前記カートリッジ部は、前記複数の収容部と通るとともに、前記内ノズルの先端が配置されるガイドレールを備え、
前記カートリッジ部を前記収容部間の角度だけ回動させるとともに、前記外ノズルを前記カートリッジ部に対して移動させる操作部をさらに備える、
ことを特徴とする[3]に記載の吸入器。
[5] 前記操作部は、前記外ノズルを前記カートリッジ部に対して近接する方向に移動させ、
前記外ノズルは、前記カートリッジ部との間に、前記外ノズル及び前記カートリッジ部間を付勢する弾性部を備える、
ことを特徴とする[4]に記載の吸入器。
[6] 前記外ノズルは、一方の端部に、その軸心に沿ったスリットを備え、
前記内ノズルは、円筒状に形成されるとともに、その外周面の一部に設けられ、前記内ノズルが前記外ノズル内を移動する時に前記スリットに沿って案内される板部、及び、その外周面の一部に設けられ、前記内ノズルの軸心に直交する方向に流路を形成する管部を備える、
ことを特徴とする[5]に記載の吸入器。
[7] 前記内ノズルは、その軸心に沿った流路の端部の内径が、前記管部の内径よりも小径に形成されていることを特徴とする[6]に記載の吸入器。
[8] 前記管部は、その先端の一部が切欠して形成されることを特徴とする[7]に記載の吸入器。